JP6967979B2 - 生体情報検出装置 - Google Patents

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本発明は、生体情報検出装置に関する。
従来、マイクロ波を対象物に照射し、対象物の動きによってドップラシフトした反射波に基づいて対象物の動きの情報を検出するドップラセンサが知られており、このドップラセンサを用いて生体の動きに係る生体情報を検出するバイタルセンサが知られている。例えば、特許文献1には、ドップラセンサの出力信号をA/D変換した後の各信号に基づいて、被験者の体動、心拍(脈波)、呼吸を検出することが開示されている。特許文献2には、ドップラセンサの出力信号をAMP(アンプ)やLPF(ローパスフィルタ)で処理した後の各信号に基づいて体動や呼吸を検出することが開示されている。特許文献3には、呼吸帯域と体動帯域を設定し、呼吸帯域から呼吸を検出し、体動帯域から体動を検出することが開示されている。
特開2013−97670号公報 特開2015−144796号公報 特開2015−109991号公報
ところで、被験者との距離が遠いほど検出感度が低下すると考えられる。そのため、特許文献1では、被験者との相対距離が長くなるほど、脈波が検出できなくなり、次に呼吸が検出できなくなる。これは、体動の動きに比べて、脈波の動きが非常に小さく、次に呼吸の動きが小さいので、ドップラセンサによる脈波や呼吸の検出感度が低下するからである。特に、特許文献1では、ドップラセンサの出力信号がA/D変換された後の各信号に基づいて検出が行われているので、A/D変換の分解能に対して脈波や呼吸の信号が非常に小さくなり、体動以外の検出が困難になると考えられる。これに対し、特許文献2では、呼吸の動きが小さいことを考慮して、CPUへの入力前にAMPを設けて、ドップラセンサの出力信号をAMPによって増幅し、増幅後の信号に基づいて検出が行われている。
また、特許文献3では、特許文献3の図4に示すように、R1〜R2を呼吸帯域、R3〜R4を体動帯域とし、R2<R3として、呼吸帯域と体動帯域とが重ならないように設定され、この各周波数帯域から呼吸と体動が検出される。さらに、この特許文献3に対して脈波帯域(R5〜R6)を設け、脈波も検出できる構成とした場合、3つの周波数帯域が重ならないようにするためには、R2<R5<R6<R3とする必要がある。
図26には、FFT(Fast Fourier Transform)で周波数分解した後の各周波数帯域(呼吸帯域、脈波帯域、体動帯域)における各信号の例を示す。この呼吸、脈波、及び体動の各周波数帯域は、互いに重ならないように設定されている。例えば、呼吸の周波数帯域は、呼吸が1分間に9〜30回とすると、0.15〜0.5Hzの周波数帯域のバンドパスフィルタを設けることで抽出される。脈波の周波数帯域は、脈拍が1分間に40〜180回とすると、0.7〜3.0Hzの周波数帯域のバンドパスフィルタを設けることで抽出される。体動は、人の一般的な動きの速さを考慮すると、4Hz以上の周波数帯域のハイパスフィルタを設けることで抽出される。図26に示す例は、3つの周波数帯域におけるアンプの増幅率を均一の値としているので、各周波数帯域における信号の強度の大きさにばらつきがあり、強度の小さい脈波帯域等での信号の検知感度が低下するおそれがある。
そこで、発明者は、全ての周波数帯域での検出感度を向上させるためには、周波数帯域毎にアンプの増幅率を変える必要があると考えた。周波数帯域毎の増幅率は、呼吸、脈波及び体動の各動きの大きさ(脈波<呼吸<体動)を考慮して、決められる。例えば、呼吸の周波数帯域での増幅率は、30dBである。脈波の周波数帯域の増幅率は、40dBである。体動の周波数帯域での増幅率は、20dBである。
各周波数帯域毎に増幅率を変えた構成は、動きの小さい呼吸や脈波の検知感度を向上させることができる。上述した増幅率の例の場合、呼吸の検知感度は3.2倍となり、脈波の検知感度は10倍となる。図27には、周波数帯域毎にアンプの増幅率を変えた場合の各信号の強度の例を示す。図27に示すように、脈波帯域では、図26に比べて、信号の強度が大きくなるので、検知感度が高くなる。体動帯域では、図26に比べて、信号の強度が小さくなるので、サチュレーションを防止できる。したがって、この構成では、各周波数帯域においてアンプの増幅率を適切な値に変えることにより、呼吸、脈波、体動の各信号の検知感度が向上する。
ところで、呼吸、脈波、及び体動は、上述したように一般的には重ならないような周波数帯域に存在するが、個人差や人そのものの動きに起因して、周波数帯域が移動する場合がある。例えば、呼吸は、過呼吸のときには最大で1分間に60回(1Hz)になることがある。この呼吸の周波数(1Hz)は、脈波の正常値の範囲内であり、脈波帯域(0.7〜3.0Hz)に入る。また、脈波は、一般的な拍動が少ない徐脈が1分間に60回以下とされているが、実際には1分間に40回(0.7Hz)程度で正常な人もいる。この正常値が低い人の脈波が更に低下した場合、脈波の周波数が、呼吸帯域(0.15〜0.5Hz)に入るおそれがある。また、人の非常に緩やかな動きを想定した場合、体動の周波数が、脈波帯域(0.7〜3.0Hz)に入る場合もある。
例えば、図28には、脈波が低下した場合の各信号の例を示している。図28に示すように、低下した脈波の信号は、ハッチング部分PWDで表す周波数であり、呼吸帯域に入っている。この場合、従来のセンサでは、低下した脈波の信号PWDが呼吸帯域に入っているので、この低下した脈波の信号PWDを脈波として検出することができないおそれがある。つまり、上述したようにアンプの増幅率を脈波帯域では40dBとし、呼吸帯域では30dBとした場合、呼吸帯域の増幅率は脈波帯域の増幅率よりも10dB小さい。そのため、呼吸帯域に入った脈波の信号PWDは、この10dB小さい増幅率によって小さくなり、脈波信号用の検出閾値範囲を下回るからである。
また、図29には、呼吸が上昇した場合の各信号の例を示している。図29に示すように、上昇した呼吸の信号は、ハッチング部分RUで表す周波数であり、脈波帯域に入っている。この場合、従来のセンサでは、上昇した呼吸の信号RUが脈波帯域に入っているので、この上昇した呼吸の信号RUを呼吸として検出することができないおそれがある。つまり、上述したようにアンプの増幅率を呼吸帯域では30dBとし、脈波帯域では40dBとした場合、脈波帯域の増幅率は呼吸帯域の増幅率よりも10dB大きい。そのため、脈波帯域に入った呼吸の信号RUは、この10dB大きい増幅率によって大きくなり、呼吸信号用の検出閾値範囲を上回るからである。
1つのセンサによって複数の生体情報を検出可能とすることは、非常に有用である。しかしながら、1つのセンサでは、個人差や人そのものの動きに起因して、各生体情報の周波数帯域が移動すると、複数の生体情報のうちの任意の生体情報の信号が他の生体情報の帯域に入ってしまうので、その任意の生体情報を検出できない場合がある。そこで、生体情報が存在し得る周波数帯域を広めに設定すると、複数の生体情報の設定周波数帯域は、互いに重複してしまう。このように周波数帯域が重複した場合、重複した周波数帯域内の各信号が、何れの生体情報ものものか判別できない。したがって、個人差や様々な人の動きを考慮すると、1つのセンサにより、同じ周波数帯域に入った複数の生体情報を検出できないおそれがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数の生体情報が同じ周波数帯域内に含まれている場合でも生体情報を検出可能である生体情報検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の生体情報検出装置は、生体に電波を照射してドップラシフトした反射波に基づいて、前記生体の動きを示す複数の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、前記反射波を周波数分解して得られる周波数領域において前記生体情報毎に当該生体情報の検出信号が存在する可能性がある想定周波数帯域に前記生体情報の検出信号が存在するか否かを判定する処理部を備え、前記処理部は、いずれかの前記想定周波数帯域において当該想定周波数帯域に対応する生体情報に対して設定された想定最大値より大きい検出信号又は想定最小値より小さい検出信号の有無に基づいて、当該想定周波数帯域において前記対応する生体情報とは異なる他の生体情報の検出信号の有無を判定することを特徴とする。
また、前記処理部は、いずれかの前記想定周波数帯域において前記他の生体情報の検出信号が存在する場合、当該検出信号に基づいて前記他の生体情報を検出し、当該検出信号において前記想定周波数帯域に対応する生体情報の検出信号が埋もれている場合には当該埋もれている検出信号に基づいて前記想定周波数帯域に対応する生体情報を検出する。
また、前記処理部は、いずれかの前記想定周波数帯域において検出信号のレベルの異なる複数のピークが存在する場合、それぞれの前記ピークに基づいて、前記想定周波数帯域に対応する生体情報及び前記他の生体情報を検出する。
また、前記処理部は、値を増加させた前記想定最小値よりも小さい検出信号の有無に基づいて、前記他の生体情報の検出信号の有無を判定する。
また、前記処理部は、前記生体情報の検出信号が各々存在し得る前記想定周波数帯域を監視し、前記他の生体情報が存在した前記想定周波数帯域から前記他の生体情報の検出信号が存在するか否かを判定する。
また、前記処理部は、前記生体との距離が所定距離未満の場合には、前記生体との距離が前記所定距離以上の場合に比べて、前記想定最大値及び前記想定最小値を大きい値に設定する。
また、前記生体情報毎に、前記想定周波数帯域内の信号を前記想定周波数帯域に対応する生体情報に適した増幅率で増幅する増幅部を備える。
また、一の前記想定周波数帯域と他の前記想定周波数帯域とは、重なった帯域を有する。
また、前記処理部は、前記複数の生体情報のうち検出信号のレベルが大きい生体情報から順に検出処理を実施する。
また、前記複数の生体情報は、体動、呼吸、脈波であり、前記処理部は、前記体動、前記呼吸、前記脈波の順に検出処理を実施する。
また、前記処理部は、前記体動の検出信号を検出した場合、前記呼吸及び前記脈波の検出処理の信頼度を低下させる。
本発明によれば、複数の生体情報が同じ周波数帯域内に含まれている場合でも生体情報を検出可能である。
ドップラセンサの構成を示すブロック図。 呼吸用I波AMPの構成を示すブロック図。 各AMPの帯域幅とGainを示す表。 呼吸帯域、脈波帯域、体動帯域を示す図。 最適化処理の動作を示すフローチャート。 呼吸、脈波、体動の各検出閾値を示す表。 呼吸、脈波、体動の連続性許容周波数変化量を示す表。 体動最適化処理(不連続)の動作を示すフローチャート。 体動最適化処理(連続)の動作を示すフローチャート。 呼吸最適化処理(不連続)の動作を示すフローチャート。 呼吸最適化処理(連続)の動作を示すフローチャート。 脈波最適化処理(不連続)の動作を示すフローチャート。 脈波最適化処理(連続)の動作を示すフローチャート。 重複確認処理で用いる検出閾値を示す表。 呼吸、脈波、体動の各検出信号の例を示す図。 呼吸帯域に呼吸と脈波の各検出信号がある場合の例を示す図。 呼吸帯域に呼吸と脈波の各検出信号がある場合の例を示す図。 呼吸帯域に呼吸と脈波の各検出信号がある場合の例を示す図。 呼吸帯域に呼吸と脈波の各検出信号がある場合の例を示す図。 呼吸帯域に呼吸と脈波の各検出信号がある場合の例を示す図。 呼吸帯域に呼吸と脈波の各検出信号がある場合の例を示す図。 非重複確認処理で用いる検出閾値を示す表。 体動帯域に体動の検出信号がある場合の例を示す図。 最適化処理の説明図。 呼吸、脈波、体動の周波数の演算方法の説明図。 アンプの増幅率が均一の場合の各信号の例を示す図。 周波数帯域毎にアンプの増幅率を設定した場合の各信号の例を示す図。 脈波が低下した場合の各信号の例を示す図。 呼吸が上昇した場合の各信号の例を示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、ドップラセンサ1の構成を示すブロック図である。
ドップラセンサ1は、マイクロ波(電波)を対象物に照射し、ドップラシフトした反射波に基づいて対象物の動きの情報を検出する電波センサである。ドップラセンサ1は、検出の対象物が人(生体)であり、人の動きに係る複数の生体情報を検出するバイタルセンサである。ドップラセンサ1は、例えば、車両に搭載され、車両の乗員の生体情報を検出する。複数の生体情報は、人の呼吸、脈波、体動である。
なお、本実施形態では、ドップラセンサ1が本発明の生体情報検出装置に相当する。
ドップラセンサ1には、中央制御装置2が接続される。中央制御装置2は、ドップラセンサ1から各生体情報の検出結果を取得し、目的に応じたシステムを実現する制御装置である。中央制御装置2は、例えば、ドップラセンサ1で検出された生体情報が異常値の場合、警報等を出力して異常を知らせる。
ドップラセンサ1は、電波照射検知装置10、呼吸用I波AMP20、呼吸用Q波AMP21、脈波用I波AMP22、脈波用Q波AMP23、体動用I波AMP24、体動用Q波AMP25、接近/離反回路26、CPU Block30、及び外部通信装置40を備える。
電波照射検知装置10は、マイクロ波を照射し、照射したマイクロ波の反射波を検知する装置である。マイクロ波の周波数は、例えば、24GHzである。電波照射検知装置10は、I波と、I波に直交するQ波を検知する。電波照射検知装置10は、検知した反射波のI波を、呼吸用I波AMP20、脈波用I波AMP22、体動用I波AMP24、及び接近/離反回路26に出力する。電波照射検知装置10は、検知した反射波のQ波を、呼吸用Q波AMP21、脈波用Q波AMP23、体動用Q波AMP25、及び接近/離反回路26に出力する。
呼吸用I波AMP20、呼吸用Q波AMP21、脈波用I波AMP22、脈波用Q波AMP23、体動用I波AMP24、体動用Q波AMP25の装置構成は同様の構成であるので、代表して、呼吸用I波AMP20の装置構成について説明する。
図2は、呼吸用I波AMP20の構成を示すブロック図である。
呼吸用I波AMP20は、BPF(バンドパスフィルタ)20a、及びAMP(増幅回路)20bを備える。BPF20aは、電波照射検知装置10から出力されたI波から、呼吸用の信号に対応した周波数帯域を抽出する。AMP20bは、このBPF20aで抽出された周波数帯域内のI波の信号を、呼吸用の信号に適した増幅率で増幅する。
なお、体動用I波AMP24及び体動用Q波AMP25は、周波数帯域の抽出にバンドパスフィルタではなく、ハイパスフィルタを用いる。
呼吸用I波AMP20、呼吸用Q波AMP21、脈波用I波AMP22、脈波用Q波AMP23、体動用I波AMP24、体動用Q波AMP25は、各生体情報(呼吸、脈波、体動)が存在し得る想定周波数帯域を抽出し、想定周波数帯域内において所定の増幅率で増幅する。呼吸用I波AMP20及び呼吸用Q波AMP21で抽出される想定周波数帯域を、以下では呼吸帯域と呼ぶ。脈波用I波AMP22及び脈波用Q波AMP23で抽出される想定周波数帯域を、以下では脈波帯域と呼ぶ。体動用I波AMP24及び体動用Q波AMP25で抽出される想定周波数帯域を、以下では体動帯域と呼ぶ。
なお、本実施形態では、各AMP20、21、22、23、24、25が本発明の増幅部に相当する。
図3は、各AMP20、21、22、23、24、25の帯域幅と増幅率(Gain)を示す表である。
呼吸用I波AMP20及び呼吸用Q波AMP21で抽出される呼吸帯域は、人の1分間当たりの最大と最小の呼吸数を考慮して、0.1〜0.7Hzである。呼吸用I波AMP20及び呼吸用Q波AMP21での増幅率は、人の肺の動きの大きさに応じた反射波の信号の強度を考慮して、30dBである。
脈波用I波AMP22及び脈波用Q波AMP23で抽出される脈波帯域は、人の1分間当たりの最大と最小の脈拍数を考慮して、0.5〜4.0Hzである。脈波用I波AMP22及び脈波用Q波AMP23での増幅率は、人の血流の動きの大きさに応じた反射波の信号の強度を考慮して、40dBである。
体動用I波AMP24及び体動用Q波AMP25で抽出される体動帯域は、人の動きを考慮して、3.0Hz以上である。体動用I波AMP24及び体動用Q波AMP25での増幅率は、人の動きの大きさに応じた反射波の信号の強度を考慮して、20dBである。
図4は、呼吸帯域、脈波帯域、体動帯域を示す図である。
上述したように、呼吸帯域RBは、下限の周波数RBLが0.1Hzであり、上限の周波数RBHが0.7Hzである。呼吸帯域RBに隣り合う脈波帯域PBは、下限の周波数PBLが0.5Hzであり、上限の周波数PBHが4.0Hzである。したがって、呼吸帯域RBと脈波帯域PBとは、0.5〜0.7Hzにおいて重なる帯域(共有帯域)を有する。脈波帯域PBに隣り合う体動帯域MBは、下限の周波数MBLが3.0Hzである。したがって、脈波帯域PBと体動帯域MBとは、3.0〜4.0Hzにおいて重なる帯域(共有帯域)を有する。
前掲図1に戻って、接近/離反回路26は、反射波のI波とQ波に基づいて、ドップラセンサ1から検出対象である人まででの接近/離反を判断する。接近/離反回路26は、例えば、接近/離反情報としてドップラセンサ1と検出対象(例えば、人)との相対距離を検出し、CPU Block30に出力する。
CPU Block30は、電波照射検知装置10で検知した反射波のI波/Q波を各AMP20、21、22、23、24、25を経由して取得し、呼吸、脈波、及び体動を解析する演算装置である。CPU Block30は、呼吸用のA/D変換31、脈波用のA/D変換32、体動用のA/D変換33、及びSPI(Serial Peripheral Interface)34を備える。また、CPU Block30は、メモリに保存されたドップラセンサ1の制御用プログラムを読み込んでCPUで実行することにより、呼吸用演算処理部35、脈波用演算処理部36、及び体動用演算処理部37として機能する。本実施形態では、各演算処理部35、36、37が本発明の処理部に相当する。
A/D変換31、32、33は、電波照射検知装置10からの反射波のI波/Q波を各AMP20、21、22、23、24、25を経由して取得し、デジタル値として出力するA/D変換装置である。
SPI34は、接近/離反回路26からの接近/離反情報を入力し、各演算処理部35、36、37に出力するシリアル通信処理部である。
呼吸用演算処理部35は、検知対象の1つである呼吸の状況を検知するための演算処理部である。呼吸用演算処理部35は、デジタルフィルタ&FFT変換35a、呼吸信号最適化35b、及び呼吸データ解析・記憶35cを有する。
脈波用演算処理部36は、検知対象の1つである脈波の状況を検知するための演算処理部である。脈波用演算処理部36は、デジタルフィルタ&FFT変換36a、脈波信号最適化36b、及び脈波データ解析・記憶36cを有する。
体動用演算処理部37は、検知対象の1つである体動の状況を検知するための演算処理部である。体動用演算処理部37は、デジタルフィルタ&FFT変換37a、体動信号最適化37b、及び体動データ解析・記憶37cを有する。
デジタルフィルタ&FFT変換35a、36a、37aは、A/D変換31、32、33でA/D変換された信号を目的に応じたフォーマットに変換する。具体的には、デジタルフィルタ&FFT変換35a、36a、37aは、デジタルフィルタによりA/D変換された信号からノイズを除去する。また、デジタルフィルタ&FFT変換35a、36a、37aは、ノイズ除去後の信号を高速フーリエ変換し、周波数分解して周波数領域(スペクトル分布)を得る。
呼吸信号最適化35bは、デジタルフィルタ&FFT変換35aでの信号処理結果を元に呼吸信号を特定する最適化部である。呼吸信号最適化35bの動作については、後で詳細に説明する。
脈波信号最適化36bは、デジタルフィルタ&FFT変換36aでの信号処理結果を元に脈波信号を特定する最適化部である。脈波信号最適化36bの動作については、後で詳細に説明する。
体動信号最適化37bは、デジタルフィルタ&FFT変換37aでの信号処理結果を元に体動信号を特定する最適化部である。体動信号最適化37bの動作については、後で詳細に説明する。
呼吸信号最適化35b、脈波信号最適化36b、及び体動信号最適化37bは、互いに連携し合って各処理を実施し、各信号を特定する。
呼吸データ解析・記憶35cは、呼吸信号最適化35bでの結果を元に呼吸の周波数、呼吸数、呼吸異常等を解析する呼吸データ解析部であり、解析したデータを記憶する。
脈波データ解析・記憶36cは、脈波信号最適化36bでの結果を元に脈波の周波数、脈拍数、脈波異常等を解析する脈波データ解析部であり、解析したデータを記憶する。
体動データ解析・記憶37cは、体動信号最適化37bでの結果を元に体動の周波数、体動異常等を解析する体動データ解析部であり、解析したデータを記憶する。
外部通信装置40は、中央制御装置2と通信を行う通信装置である。外部通信装置40は、CPU Block30で解析された呼吸、脈波、体動の各解析データを中央制御装置2に送信する。
各信号最適化35b、36b、37bについて詳細に説明する。
各信号最適化35b、36b、37bは、呼吸、脈波、体動の各帯域における高速フーリエ変換後のスペクトラム分布により、呼吸信号、脈波信号、体動信号を特定する。図5のフローチャートを参照して、その処理順序を説明する。この処理は、サンプリング周期毎に実施される。
CPU Block30は、前回処理時に、体動情報が検出されていたか否かを判定する(ステップSA1)。前回処理で体動情報が検出されていたと判定した場合(ステップSA1:Yes)、CPU Block30は、体動信号最適化37bによって連続の場合の体動最適化処理を実施する(ステップSA2)。前回処理で体動情報が検出されていないと判定した場合(ステップSA1:No)、CPU Block30は、体動信号最適化37bによって不連続の場合の体動最適化処理を実施する(ステップSA3)。
CPU Block30は、前回処理時に、呼吸情報が検出されていたか否かを判定する(ステップSA4)。前回処理で呼吸情報が検出されていたと判定した場合(ステップSA4:Yes)、CPU Block30は、呼吸信号最適化35bによって連続の場合の呼吸最適化処理を実施する(ステップSA5)。前回処理で呼吸情報が検出されていないと判定した場合(ステップSA4:No)、CPU Block30は、呼吸信号最適化35bによって不連続の場合の呼吸最適化処理を実施する(ステップSA6)。
CPU Block30は、前回処理時に、脈波情報が検出されていたか否かを判定する(ステップSA7)。前回処理で脈波情報が検出されていたと判定した場合(ステップSA7:Yes)、CPU Block30は、脈波信号最適化36bによって連続の場合の脈波最適化処理を実施する(ステップSA8)。前回処理で脈波情報が検出されていないと判定した場合(ステップSA7:No)、CPU Block30は、脈波信号最適化36bによって不連続の場合の脈波最適化処理を実施する(ステップSA9)。
このように、CPU Block30は、スペクトラム分布において強度が高くなる体動、呼吸、脈波の順に、最適化処理を実施する。また、CPU Block30は、前回処理で検出されている場合と前回処理で検出されていない場合とに分けて最適化処理を実施する。なお、例えば、車両のシート(胸部の背面側)にドップラセンサ1を配置し、シートベルト着用時の状態で検知を行う場合、呼吸、脈波、体動の順で最適化処理を実施するようにしてもよい。
図6は、呼吸、脈波、体動の各信号の検出用の閾値を示す表である。
呼吸信号最適化35bは、呼吸信号を検出するために、呼吸信号の想定最小値及び想定最大値(閾値)として遠方用の呼吸信号最小値Bfbと呼吸信号最大値Bfp、及び近傍用の呼吸信号最小値Bnb(>Bfb)と呼吸信号最大値Bnp(>Bfp)を有している。呼吸信号最小値Bfb、Bnbより小さい信号は、呼吸信号以外の他の信号である。呼吸信号最大値Bfp、Bnpより大きい信号は、呼吸信号以外の他の信号である。この各値Bfb、Bfp、Bnb、Bnpは、実験等によって予め設定される。
脈波信号最適化36bは、脈波信号を検出するために、脈波信号の想定最小値及び想定最大値(閾値)として遠方用の脈波信号最小値Pfbと脈波信号最大値Pfp、及び近傍用の脈波信号最小値Pnb(>Pfb)と脈波信号最大値Pnp(>Pfp)を有している。脈波信号最小値Pfb、Pnbより小さい信号は、脈波信号以外の他の信号である。脈波信号最大値Pfp、Pnpより大きい信号は、脈波信号以外の他の信号である。この各値Pfb、Pfp、Pnb、Pnpは、実験等によって予め設定される。
体動信号最適化37bは、体動信号を検出するために、体動信号の想定最小値及び想定最大値(閾値)として遠方用の体動信号最小値Mfbと体動信号最大値Mfp、及び近傍用の体動信号最小値Mnb(>Mfb)と体動信号最大値Mnp(>Mfp)を有している。体動信号最小値Mfb、Mnbより小さい信号は、体動信号以外の他の信号である。体動信号最大値Mfp、Mnpより大きい信号は、体動信号以外の他の信号である。なお、体動より大きい信号を想定しない場合、体動信号最大値Mfp、MnpをA/D変換の最大値としてもよい。この各値Mfb、Mfp、Mnb、Mnpは、実験等によって予め設定される。
遠方用の各信号最小値Bfb、Pfb、Mfbと各信号最大値Bfp、Pfp、Mfpは、接近/離反回路26によって検出されたドップラセンサ1と検出対象との相対距離が所定距離以上の場合に用いられる。近傍用の各信号最小値Bnb、Pnb、Mnbと各信号最大値Bnp、Pnp、Mnpは、相対距離が所定距離未満の場合に用いられる。この所定距離は、実験等によって予め設定される。この所定距離を用いた相対距離の判定は、各データ解析・記憶35c、36c、37cで実施される。
図7は、呼吸、脈波、体動の連続性許容周波数変化量を示す表である。
呼吸信号最適化35bは、連続の場合の呼吸最適化処理において前回処理から呼吸信号が連続して存在すると判定する許容周波数の変化量を有しており、例えば、±0.2Hzである。脈波信号最適化36bは、連続の場合の脈波最適化処理において前回処理から脈波信号が連続して存在すると判定する許容周波数の変化量を有しており、例えば、±0.3Hzである。体動信号最適化37bは、連続の場合の体動最適化処理において前回処理から体動信号が連続して存在すると判定する許容周波数の変化量を有しており、例えば、±0.5Hzである。
図8のフローチャートを参照して、体動信号最適化37bにおける不連続の場合の体動最適化処理について説明する。この説明では、体動信号を判定するための閾値として遠方用の体動信号最小値Mfbを用いた場合とする。前回処理で体動信号が検出されなかった場合、体動信号を全帯域から探索する。
体動信号最適化37bは、体動帯域において最大波高値(最大強度)Mを確認する(ステップSB1)。体動信号最適化37bは、体動帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb以上か否かを判定する(ステップSB2)。体動帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb以上と判定した場合(ステップSB2:Yes)、体動信号最適化37bは、体動帯域において体動信号が検出され、体動情報あり判定する(ステップSB3)。
体動帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb未満と判定した場合(ステップSB2:No)、体動信号最適化37bは、体動帯域と脈波帯域との増幅率の差を考慮して、体動信号最小値Mfbを20dBアップした値に変更する(ステップSB4)。体動信号最適化37bは、脈波帯域において最大波高値Pを確認する(ステップSB5)。体動信号最適化37bは、脈波帯域の最大波高値Pが体動信号最小値Mfb以上か否かを判定する(ステップSB6)。脈波帯域の最大波高値Pが体動信号最小値Mfb以上と判定した場合(ステップSB6:Yes)、体動信号最適化37bは、脈波帯域において体動信号が検出され、体動情報ありと判定する(ステップSB7)。
脈波帯域の最大波高値Pが体動信号最小値Mfb未満と判定した場合(ステップSB6:No)、体動信号最適化37bは、脈波帯域と呼吸帯域との増幅率の差を考慮して、体動信号最小値Mfbを10dBダウンした値に変更する(ステップSB8)。体動信号最適化37bは、呼吸帯域において最大波高値Bを確認する(ステップSB9)。体動信号最適化37bは、呼吸帯域の最大波高値Bが体動信号最小値Mfb以上か否かを判定する(ステップSB10)。呼吸帯域の最大波高値Bが体動信号最小値Mfb以上と判定した場合(ステップSB10:Yes)、体動信号最適化37bは、呼吸帯域において体動信号が検出され、体動情報ありと判定する(ステップSB11)。呼吸帯域の最大波高値Bが体動信号最小値Mfb未満と判定した場合(ステップSB10:No)、体動信号最適化37bは、全帯域において体動信号が検出されず、体動情報なしと判定する(ステップSB12)。
図9のフローチャートを参照して、体動信号最適化37bにおける連続の場合の体動最適化処理について説明する。この説明では、体動信号を判定するための閾値として遠方用の体動信号最小値Mfbと体動信号最大値Mfpを用いた場合とする。連続の場合の体動最適化処理では、前回処理で体動信号が検出された場合、体動信号が検出された帯域から探索する。
体動信号最適化37bは、前回処理で検出された体動信号の周波数M′pulseを確認する(ステップSC1)。体動信号最適化37bは、体動信号の周波数M′pulseに基づいて、呼吸帯域、脈波帯域、体動帯域のいずれの帯域で前回検出されたかを判定する(ステップSC2)。
ステップSC2の判定において体動帯域で検出されたと判定した場合(ステップSC2:体動)、体動信号最適化37bは、体動帯域において最大波高値(最大強度)Mを確認する(ステップSC3)。体動信号最適化37bは、体動帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb×2以上か否かを判定する(ステップSC4)。体動帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb×2以上と判定した場合(ステップSB4:Yes)、体動信号最適化37bは、体動帯域の最大波高値Mが体動信号最大値Mfp以下か否かを判定する(ステップSC5)。体動帯域の最大波高値Mが体動信号最大値Mfp以下と判定した(ステップSC5:Yes)、体動信号最適化37bは、体動帯域において体動信号が検出され、体動情報ありと判定する(ステップSC6)。
体動信号最適化37bは、体動データ解析・記憶37cで解析した体動帯域における最大波高値Mの周波数Mpulseを確認する(ステップSC7)。そして、体動信号最適化37bは、今回処理での周波数Mpulseが前回処理での周波数M′pulseに0.5Hz加算した周波数以下か否かを判定する(ステップSC8)。周波数Mpulseが周波数M′pulseに0.5Hz加算した周波数以下と判定した場合(ステップSC8:Yes)、体動信号最適化37bは、今回処理での周波数Mpulseが前回処理での周波数M′pulseから0.5Hz減算した周波数以上か否かを判定する(ステップSC9)。周波数Mpulseが周波数M′pulseから0.5Hz減算した周波数以上と判定した場合(ステップSC9:Yes)、体動信号最適化37bは、体動帯域に体動情報が連続してあると判断し、本処理を終了する。一方、周波数Mpulseが周波数M′pulseに0.5Hz加算した周波数より高いと判定した場合(ステップSC8:No)又は周波数Mpulseが周波数M′pulseから0.5Hz減算した周波数より低いと判定した場合(ステップSC9:No)、体動信号最適化37bは、体動帯域において体動情報が連続してなく、不連続であると判断し(ステップSC10)、本処理を終了する。
ステップSC2の判定において脈波帯域で検出されたと判定した場合(ステップSC2:脈波)、体動信号最適化37bは、脈波帯域において最大波高値Mを確認する(ステップSC11)。体動信号最適化37bは、体動帯域と脈波帯域との増幅率の差を考慮して、体動信号最小値Mfb及び体動信号最大値Mfpを20dBアップした値に変更する(ステップSC12)。体動信号最適化37bは、脈波帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb×2以上か否かを判定する(ステップSC13)。脈波帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb×2以上と判定した場合(ステップSC13:Yes)、体動信号最適化37bは、脈波帯域の最大波高値Mが体動信号最大値Mfp以下か否かを判定する(ステップSC14)。脈波帯域の最大波高値Mが体動信号最大値Mfp以下と判定した場合(ステップSC14:Yes)、体動信号最適化37bは、脈波帯域において体動信号が検出され、体動情報ありと判定する(ステップSC15)。そして、体動信号最適化37bは、上述したステップSC7、SC8、SC9の各処理を行う。
ステップSC2の判定において呼吸帯域で検出されたと判定した場合(ステップSC2:呼吸)又はステップSC13の判定において脈波帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb×2より小さいと判定した場合(ステップSC13:No)又はステップSC14の判定において脈波帯域の最大波高値Mが体動信号最大値Mfpより大きいと判定した場合(ステップSC14:No)、体動信号最適化37bは、呼吸帯域において最大波高値Mを確認する(ステップSC16)。体動信号最適化37bは、体動帯域と呼吸帯域との増幅率の差を考慮して、体動信号最小値Mfb及び体動信号最大値Mfpを10dBアップした値に変更する(ステップSC17)。体動信号最適化37bは、呼吸帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb×2以上か否かを判定する(ステップSC18)。呼吸帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb×2以上と判定した場合(ステップSC18:Yes)、体動信号最適化37bは、呼吸帯域の最大波高値Mが体動信号最大値Mfp以下か否かを判定する(ステップSC19)。呼吸帯域の最大波高値Mが体動信号最大値Mfp以下と判定した場合(ステップSC19:Yes)、体動信号最適化37bは、呼吸帯域において体動信号が検出され、体動情報ありと判定する(ステップSC20)。そして、体動信号最適化37bは、上述したステップSC7、SC8、SC9の各処理を行う。
ステップSC18の判定において呼吸帯域の最大波高値Mが体動信号最小値Mfb×2より小さいと判定した場合(ステップSC18:No)又はステップSC19の判定において呼吸帯域の最大波高値Mが体動信号最大値Mfpより大きいと判定した場合(ステップSC19:No)、体動信号最適化37bは、全帯域において体動信号が検出されず、体動情報が不連続であると判断し(ステップSC10)、本処理を終了する。
図10のフローチャートを参照して、呼吸信号最適化35bにおける不連続の場合の呼吸最適化処理について説明する。この説明では、呼吸信号を判定するための閾値として遠方用の呼吸信号最小値Bfb、呼吸信号最大値Bfpを用いた場合とする。前回処理で呼吸信号が検出されなかった場合、呼吸信号を、体動帯域を除いた呼吸帯域と脈波帯域から探索する。脈波帯域の最大周波数は4.0Hz(240回/分)であり、非常に高い周波数であるため、体動帯域までの探索は不要である。
呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域において体動情報がないか否かを判定する(ステップSD1)。呼吸帯域において体動情報があると判定した場合(ステップSD1:No)、呼吸信号最適化35bは、呼吸情報なしと判定する(ステップSD12)。
体動情報がないと判定した場合(ステップSD1:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域において最大波高値(最大強度)Bを確認する(ステップSD2)。呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfp以下か否かを判定する(ステップSD3)。呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfp以下と判定した場合(ステップSD3:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸最小値Bfb以上か否かを判定する(ステップSD4)。呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最小値Bfb以上と判定した場合(ステップSD4:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域において呼吸信号が検出され、呼吸情報ありと判定する(ステップSD5)。
ステップSD3の判定において呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfpより大きいと判定した場合(ステップSD3:No)又はステップSD4の判定において呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最小値Bfb未満と判定した場合(ステップSD4:No)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域において体動情報がないか否かを判定する(ステップSD6)。脈波帯域において体動情報があると判定した場合(ステップSD6:No)、呼吸信号最適化35bは、呼吸情報なしと判定する(ステップSD12)。
ステップSD6の判定において脈波帯域に体動情報がないと判定した場合(ステップSD6:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域と脈波帯域との増幅率の差を考慮して、呼吸信号最小値Bfb及び呼吸信号最大値Bfpを10dBアップした値に変更する(ステップSD7)。呼吸信号最適化35bは、脈波帯域において最大波高値Pを確認する(ステップSD8)。呼吸信号最適化35bは、脈波帯域の最大波高値Pが呼吸信号最大値Bfp以下か否かを判定する(ステップSD9)。脈波帯域の最大波高値Pが呼吸信号最大値Bfp以下と判定した場合(ステップSD9:Yes)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域の最大波高値Pが呼吸信号最小値Bfb以上か否かを判定する(ステップSD10)。脈波帯域の最大波高値Pが呼吸信号最小値Bfb以上と判定した場合(ステップSD10:Yes)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域において呼吸信号が検出され、呼吸情報ありと判定する(ステップSD11)。
ステップSD9の判定において脈波帯域の最大波高値Pが呼吸信号最大値Bfpより大きいと判定した場合(ステップSD9:No)又はステップSD10の判定において脈波帯域の最大波高値Pが呼吸信号最小値Bfb未満と判定した場合(ステップSD10:No)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域及び脈波帯域において呼吸信号が検出されず、呼吸情報なしと判定する(ステップSD12)。
図11のフローチャートを参照して、呼吸信号最適化35bにおける連続の場合の呼吸最適化処理について説明する。この説明では、呼吸信号を判定するための閾値として遠方用の呼吸信号最小値Bfbと呼吸信号最大値Bfpを用いた場合とする。連続の場合の呼吸最適化処理では、前回処理で呼吸信号が検出された場合、呼吸信号が検出された帯域から探索する。また、連続の場合の呼吸最適化処理では、脈波帯域の最大周波数が4.0Hz(240回/分)であり、非常に高い周波数であるため、体動帯域までの探索は不要である。
呼吸信号最適化35bは、前回処理で検出された呼吸信号の周波数B′pulseを確認する(ステップSE1)。呼吸信号最適化35bは、呼吸信号の周波数B′pulseに基づいて、呼吸信号が呼吸帯域、脈波帯域のいずれの帯域で前回検出されたかを判定する(ステップSE2)。
ステップSE2の判定において呼吸帯域で検出されたと判定した場合(ステップSE2:呼吸)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域において体動情報があるか否かを判定する(ステップSE3)。呼吸帯域において体動情報があると判定した場合(ステップSE3:YES)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域における呼吸と体動についての重複確認処理を行う(ステップSE4)。重複確認処理については、後で説明する。呼吸信号最適化35bは、重複確認処理の結果に基づいて、呼吸帯域において呼吸情報があるか否かを判定する(ステップSE5)。呼吸帯域において呼吸情報がないと判定した場合(ステップSE5:No)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域について未確認か否かを判定する(ステップSE6)。脈波帯域について未確認と判定した場合(ステップSE6:Yes)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域での探索処理に移行する。一方、脈波帯域について確認と判定した場合(ステップSE6:No)、呼吸信号最適化35bは、最適化処理を行う。
ステップSE5の判定において呼吸帯域において呼吸情報があると判定した場合(ステップSE5:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸データ解析・記憶35cで解析した呼吸帯域における最大波高値Bの周波数Bpulseを確認する(ステップSE7)。そして、呼吸信号最適化35bは、今回処理での周波数Bpulseが前回処理での周波数B′pulseに0.2Hz加算した周波数以下か否かを判定する(ステップSE8)。周波数Bpulseが周波数B′pulseに0.2Hz加算した周波数以下と判定した場合(ステップSE8:Yes)、呼吸信号最適化35bは、今回処理での周波数Bpulseが前回処理での周波数B′pulseから0.2Hz減算した周波数以上か否かを判定する(ステップSE9)。周波数Bpulseが周波数B′pulseから0.2Hz減算した周波数以上と判定した場合(ステップSE9:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域に呼吸信号が検出され、呼吸情報が連続してあると判定し(ステップSE10)、本処理を終了する。一方、周波数Bpulseが周波数B′pulseに0.2Hz加算した周波数より高いと判定した場合(ステップSE8:No)又は周波数Bpulseが周波数B′pulseから0.2Hz減算した周波数より低いと判定した場合(ステップSE9:No)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域に呼吸情報が連続してなく、呼吸情報が不連続であると判定し(ステップSE27)、本処理を終了する。
ステップSE3の判定において呼吸帯域において体動情報なしと判定した場合(ステップSE3:No)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域において最大波高値(最大強度)Bを確認する(ステップSE11)。呼吸信号最適化35bは、呼吸信号最小値Bfb及び呼吸信号最大値Bfpを初期値に変更する(ステップSE12)。呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最小値Bfb×2以上か否かを判定する(ステップSE13)。呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最小値Bfb×2以上と判定した場合(ステップSE13:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfp以下か否かを判定する(ステップSE14)。呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfp以下と判定した場合(ステップSE14:Yes)、呼吸信号最適化35bは、上述したステップSE7、SE8、SE9の各処理を行う。
ステップSE2の判定において脈波帯域で検出されたと判定した場合(ステップSE22:脈波)又はステップSE13の判定において呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最小値Bfb×2より小さいと判定した場合(ステップSE13:No)又はステップSE14の判定において呼吸帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfpより大きいと判定した場合(ステップSE14:No)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域において体動情報があるか否かを判定する(ステップSE15)。脈波帯域において体動情報があると判定した場合(ステップSE15:YES)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域における呼吸と体動についての重複確認処理を行う(ステップSE16)。呼吸信号最適化35bは、重複確認処理の結果に基づいて、脈波帯域において呼吸情報があるか否かを判定する(ステップSE17)。脈波帯域において呼吸情報がないと判定した場合(ステップSE17:No)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域について未確認か否かを判定する(ステップSE18)。呼吸帯域について未確認と判定した場合(ステップSE18:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域での探索処理に移行する。一方、呼吸帯域について確認と判定した場合(ステップSE18:No)、呼吸信号最適化35bは、最適化処理を行う。
ステップSE17の判定において脈波帯域において呼吸情報があると判定した場合(ステップSE17:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸データ解析・記憶35cで解析した脈波帯域における最大波高値Bの周波数Bpulseを確認する(ステップSE19)。そして、呼吸信号最適化35bは、今回処理での周波数Bpulseが前回処理での周波数B′pulseに0.2Hz加算した周波数以下か否かを判定する(ステップSE20)。周波数Bpulseが周波数B′pulseに0.2Hz加算した周波数以下と判定した場合(ステップSE20:Yes)、呼吸信号最適化35bは、今回処理での周波数Bpulseが前回処理での周波数B′pulseから0.2Hz減算した周波数以上か否かを判定する(ステップSE21)。周波数Bpulseが周波数B′pulseから0.2Hz減算した周波数以上と判定した場合(ステップSE21:Yes)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域に呼吸信号が検出され、呼吸情報が連続してあると判定し(ステップSE22)、本処理を終了する。一方、周波数Bpulseが周波数B′pulseに0.2Hz加算した周波数より高いと判定した場合(ステップSE20:No)又は周波数Bpulseが周波数B′pulseから0.2Hz減算した周波数より低いと判定した場合(ステップSE21:No)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域に呼吸情報が連続してなく、不連続であると判定し(ステップSE27)、本処理を終了する。
ステップSE15の判定において脈波帯域において体動情報なしと判定した場合(ステップSE15:No)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域において最大波高値(最大強度)Bを確認する(ステップSE23)。呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域と脈波帯域との増幅率の差を考慮して、呼吸信号最小値Bfb及び呼吸信号最大値Bfpを10dBアップした値に変更する(ステップSE24)。呼吸信号最適化35bは、脈波帯域の最大波高値Bが呼吸信号最小値Bfb×2以上か否かを判定する(ステップSE25)。脈波帯域の最大波高値Bが呼吸信号最小値Bfb×2以上と判定した場合(ステップSE25:Yes)、呼吸信号最適化35bは、脈波帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfp以下か否かを判定する(ステップSE26)。脈波帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfp以下と判定した場合(ステップSE26:Yes)、呼吸信号最適化35bは、上述したステップSE19、SE20、SE21の各処理を行う。
ステップS25の判定において脈波帯域の最大波高値Bが呼吸信号最小値Bfb×2未満と判定した場合(ステップSE25:No)又はステップSE25の判定において脈波帯域の最大波高値Bが呼吸信号最大値Bfpより大きいと判定した場合(ステップSE26:No)、呼吸信号最適化35bは、呼吸帯域に呼吸情報が連続してなく、不連続であると判定し(ステップSE27)、本処理を終了する。
図12のフローチャートを参照して、脈波信号最適化36bにおける不連続の場合の脈波最適化処理について説明する。この説明では、脈波信号を判定するための閾値として遠方用の脈波信号最小値Pfb及び脈波信号最大値Pfpを用いた場合とする。この脈波最適化処理では、脈波帯域の最大周波数は4.0Hz(240回/分)であり、非常に高い周波数であるため、体動帯域までの探索は不要である。脈波最適化処理では、脈波帯域の最小周波数が0.5Hz(30回/分)であり、非常に低い周波数であるため呼吸帯域までの探索はほぼ必要ないが、連続性を確認できたときのみ呼吸帯域を探索する。なお、脈波の低下を重視する場合、不連続での確認でも呼吸帯域まで確認するようにしてもよい。
脈波信号最適化36bは、脈波帯域において体動情報がないか否かを判定する(ステップSF1)。呼吸帯域において体動情報があると判定した場合(ステップSF1:No)、脈波信号最適化36bは、脈波情報なしと判定する(ステップSF7)。
体動情報がないと判定した場合(ステップSF1:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域において呼吸情報がないか否かを判定する(ステップSF2)。脈波帯域において呼吸情報があると判定した場合(ステップSF2:No)、脈波信号最適化36bは、脈波情報なしと判定する(ステップSF7)。
ステップSF2の判定において脈波帯域に呼吸情報がないと判定した場合(ステップSF2:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域における最大波高値(最大強度)Pを確認する(ステップSF3)。脈波信号最適化36bは、脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfp以下か否かを判定する(ステップSF4)。脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfp以下と判定した場合(ステップSF4:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb以上か否かを判定する(ステップSF5)。脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb以上と判定した場合(ステップSF5:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域において脈波信号が検出され、脈波情報ありと判定する(ステップSF6)。
ステップSF4の判定において脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfpより大きいと判定した場合(ステップSF4:No)又はステップSF5の判定において脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb未満と判定した場合(ステップSF5:No)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域において脈波信号が検出されず、脈波情報がなしと判定し(ステップSF7)、本処理を終了する。
図13のフローチャートを参照して、脈波信号最適化36bにおける連続の場合の脈波最適化処理について説明する。この説明では、脈波信号を判定するための閾値として遠方用の脈波信号最小値Pfbと脈波信号最大値Pfpを用いた場合とする。連続の場合の脈波最適化処理では、前回処理で脈波信号が検出された場合、脈波信号が検出された帯域から探索する。また、連続の場合の脈波最適化処理では、脈波帯域の最大周波数が4.0Hz(240回/分)であり、非常に高い周波数であるため、体動帯域までの探索は不要である。
脈波信号最適化36bは、前回処理で検出された脈波信号の周波数P′pulseを確認する(ステップSG1)。脈波信号最適化36bは、脈波信号の周波数′pulseに基づいて、呼吸帯域、脈波帯域のいずれの帯域で前回検出されたかを判定する(ステップSG2)。
ステップSG2の判定において呼吸帯域で検出されたと判定した場合(ステップSG2:呼吸)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域において体動情報がなしか否かを判定する(ステップSG3)。呼吸帯域において体動情報がなしと判定した場合(ステップSG3:YES)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域において呼吸情報がなしか否かを判定する(ステップSG4)。呼吸帯域において呼吸情報がなしと判定した場合(ステップSG4:YES)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域において最大波高値(最大強度)Pを確認する(ステップSG5)。脈波信号最適化36bは、呼吸帯域と脈波帯域との増幅率の差を考慮して、脈波信号最小値Pfb及び脈波信号最大値Pfpを10dBダウンした値に変更する(ステップSG6)。脈波信号最適化36bは、呼吸帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb以上か否かを判定する(ステップSG7)。呼吸帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb以上と判定した場合(ステップSG7:Yes)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfp以下か否かを判定する(ステップSG8)。
ステップSG8の判定において呼吸帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfp以下と判定した場合(ステップSG8:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波データ解析・記憶36cで解析した呼吸帯域における最大波高値Pの周波数Ppulseを確認する(ステップSG9)。そして、脈波信号最適化36bは、今回処理での周波数Ppulseが前回処理での周波数P′pulseに0.3Hz加算した周波数以下か否かを判定する(ステップSG10)。周波数Ppulseが周波数P′pulseに0.3Hz加算した周波数以下と判定した場合(ステップSG10:Yes)、脈波信号最適化36bは、今回処理での周波数Ppulseが前回処理での周波数P′pulseから0.3Hz減算した周波数以上か否かを判定する(ステップSG11)。周波数Ppulseが周波数P′pulseから0.3Hz減算した周波数以上と判定した場合(ステップSG11:Yes)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域に脈波信号が検出され、脈波情報が連続してあると判定し(ステップSG12)、本処理を終了する。一方、周波数Ppulseが周波数P′pulseに0.3Hz加算した周波数より高いと判定した場合(ステップSG10:No)又は周波数Ppulseが周波数P′pulseから0.3Hz減算した周波数より低いと判定した場合(ステップSG11:No)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域に脈波情報が連続してなく、脈波情報が不連続であると判定し(ステップSG32)、本処理を終了する。
ステップSG3の判定において呼吸帯域に体動情報があると判定した場合(ステップSG3:No)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域において呼吸情報がなしか否かを判定する(ステップSG13)。呼吸帯域において呼吸情報がなしと判定した場合(ステップSG13:Yes)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域における脈波と体動についての重複確認処理を行う(ステップSG14)。脈波信号最適化36bは、重複確認処理の結果に基づいて、呼吸帯域において脈波情報があるか否かを判定する(ステップSG15)。呼吸帯域において脈波情報があると判定した場合(ステップSG15:Yes)、脈波信号最適化36bは、上述したステップSG9、SG10、SG11の各処理を行う。
ステップSG13の判定において呼吸帯域に呼吸情報があると判定した場合(ステップSG13:No)又はステップSG15の判定において呼吸帯域に脈波情報がなしと判定した場合(ステップS15:No)又はステップSG7の判定において呼吸帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb未満と判定した場合(ステップSG7:No)又はステップSG8の判定において呼吸帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfpより大きいと判定した場合(ステップSG8:No)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域について未確認か否かを判定する(ステップSG16)。脈波帯域について未確認と判定した場合(ステップSG16:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域での探索処理に移行する。一方、脈波帯域について確認と判定した場合(ステップSG16:No)、脈波信号最適化36bは、最適化処理を行う。
ステップSG4の判定において呼吸帯域に呼吸情報がありと判定した場合(ステップSG4:No)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域における呼吸と脈波についての重複確認処理を行い(ステップSG17)、上述したステップSG15の判定に移行する。
ステップSG2の判定において脈波帯域で検出されたと判定した場合(ステップSG2:脈波)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域において体動情報がなしか否かを判定する(ステップSG18)。脈波帯域において体動情報がなしと判定した場合(ステップSG18:YES)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域において呼吸情報がなしか否かを判定する(ステップSG19)。脈波帯域において呼吸情報がなしと判定した場合(ステップSG19:YES)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域において最大波高値(最大強度)Pを確認する(ステップSG20)。脈波信号最適化36bは、脈波信号最小値Pfb及び脈波信号最大値Pfpを初期値に変更する(ステップSG21)。脈波信号最適化36bは、脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb以上か否かを判定する(ステップSG22)。脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb以上と判定した場合(ステップSG22:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfp以下か否かを判定する(ステップSG23)。
ステップSG23の判定において脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfp以下と判定した場合(ステップSG23:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波データ解析・記憶36cで解析した脈波帯域における最大波高値Pの周波数Ppulseを確認する(ステップSG24)。そして、脈波信号最適化36bは、今回処理での周波数Ppulseが前回処理での周波数P′pulseに0.3Hz加算した周波数以下か否かを判定する(ステップSG25)。周波数Ppulseが周波数P′pulseに0.3Hz加算した周波数以下と判定した場合(ステップSG25:Yes)、脈波信号最適化36bは、今回処理での周波数Ppulseが前回処理での周波数P′pulseから0.3Hz減算した周波数以上か否かを判定する(ステップSG26)。周波数Ppulseが周波数P′pulseから0.3Hz減算した周波数以上と判定した場合(ステップSG26:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域に脈波信号が検出され、脈波情報が連続してあると判定し(ステップSG27)、本処理を終了する。一方、周波数Ppulseが周波数P′pulseに0.3Hz加算した周波数より高いと判定した場合(ステップSG25:No)又は周波数Ppulseが周波数P′pulseから0.3Hz減算した周波数より低いと判定した場合(ステップSG26:No)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域に脈波情報が連続してなく、不連続であると判定し(ステップSG32)、本処理を終了する。
ステップSG18の判定において脈波帯域に体動情報があると判定した場合(ステップSG18:No)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域において呼吸情報がなしか否かを判定する(ステップSG28)。脈波帯域において呼吸情報がなしと判定した場合(ステップSG28:Yes)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域における脈波と体動についての重複確認処理を行う(ステップSG29)。脈波信号最適化36bは、重複確認処理の結果に基づいて、脈波帯域において脈波情報があるか否かを判定する(ステップSG30)。脈波帯域において脈波情報があると判定した場合(ステップSG30:Yes)、脈波信号最適化36bは、上述したステップSG24、SG25、SG26の各処理を行う。
ステップSG28の判定において脈波帯域に呼吸情報があると判定した場合(ステップSG28:No)又はステップSG30の判定において脈波帯域に脈波情報がなしと判定した場合(ステップS29:No)又はステップSG22の判定において脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最小値Pfb未満と判定した場合(ステップSG22:No)又はステップSG23の判定において脈波帯域の最大波高値Pが脈波信号最大値Pfpより大きいと判定した場合(ステップSG23:No)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域について未確認か否かを判定する(ステップSG31)。呼吸帯域について未確認と判定した場合(ステップSG31:Yes)、脈波信号最適化36bは、呼吸帯域での探索処理に移行する。一方、呼吸帯域について確認と判定した場合(ステップSG31:No)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域に脈波情報が連続してなく、不連続であると判定し(ステップSG32)、本処理を終了する。
ステップSG19の判定において脈波帯域に呼吸情報がありと判定した場合(ステップSG19:No)、脈波信号最適化36bは、脈波帯域における呼吸と脈波についての重複確認処理を行い(ステップSG33)、上述したステップSG30の判定に移行する。
上述した重複確認処理について説明する。
本実施形態では、脈波、呼吸、及び体動の各周波数帯域において2つの生体情報が重複しているかを確認する仕様とする。なお、各周波数帯域において3つの生体情報が重複しているかを確認する仕様としてもよい。
図14は、重複確認処理で用いる検出閾値を示す表である。
各周波数帯域での重複確認処理は、検出閾値範囲内となる強度の周波数帯を、周波数帯域における低い周波数から探索する。検出閾値範囲は、図14に示すように、検出閾値下限と検出閾値上限がある。検出閾値下限は、前掲図6の各検出信号の最小値(Bfb、Pfb、Mfb)を2倍に増加させた各値である。このように検出閾値下限を最小値の2倍にするのは、同じ周波数帯域に入ってきた他の生体情報の検出信号を見え難くして、差別化を図るためである。検出閾値上限は、前掲図6の各検出信号の最大値(Bfp、Pfp、Mfp)の各値である。検出閾値の大小関係は、脈波の検出閾値下限<呼吸の検出閾値下限<体動検出閾値であることが望ましい。重複確認処理は、この検出閾値下限と検出閾値上限の範囲にある強度の周波数帯を特定する。重複確認処理は、検出した信号が隣接又は重なる場合、強度の大きいほうの生体の検出信号を「あり」と判定し、強度の小さいほうの生体の検出信号を「なし」と判定する。また、重複確認処理は、同じ生体の信号が複数存在する場合、最も強度の総和が大きい信号をその生体の検出信号とする。
図15は、呼吸、脈波、体動の各検出信号の例を示す図である。図15に示す例は、呼吸帯域においてピークが2つ存在し、体動帯域においてピークが1つ存在する。呼吸帯域の各ピークは、呼吸信号BSと脈波信号PSである。体動帯域のピークは、体動信号MSである。
図15の例に示すように、例えば、呼吸帯域において呼吸信号BSと脈波信号PSが存在する場合、呼吸帯域における呼吸と脈波の重複確認処理が実施される。呼吸帯域は、上述したように、0.1〜0,7Hzである。この例では、A/D変換の周波数の分解能は、0.025Hzとする。重複確認処理は、呼吸帯域において0.1Hzから順に探索する。呼吸の検出閾値下限は、Bfb×2である。呼吸の検出閾値上限は、Bfpである。脈波の検出閾値下限は、Pfb×2である。脈波の検出閾値上限は、Pfpである。
図16〜図21は、呼吸帯域に呼吸と脈波の各検出信号がある場合の例を示す図である。この図16〜図21に示す各例では、脈波の信号にのみハッチングを施す。
図16に示す例の場合、重複確認処理は、呼吸の検出閾値下限Bfb×2と検出閾値上限Bfpの範囲にある強度の周波数帯を0.125〜0.225Hzと特定する。また、重複確認処理は、脈波の検出閾値下限Pfb×2と検出閾値上限Pfpの範囲にある強度の周波数帯を0.4〜0.475Hzと特定する。この場合、重複確認処理は、呼吸帯域において、呼吸信号BS1が検出され、呼吸情報ありと判定すると共に、脈波信号PS1が検出され、脈波情報ありと判定する。
図17に示す例の場合、重複確認処理は、呼吸の検出閾値下限Bfb×2と検出閾値上限Bfpの範囲にある強度の周波数帯を0.125〜0.225Hzと特定する。また、重複確認処理は、脈波の検出閾値下限Pfb×2と検出閾値上限Pfpの範囲にある強度の周波数帯を0.3〜0.375Hzと特定する。この場合、重複確認処理は、呼吸帯域において、呼吸信号BS2が検出され、呼吸情報ありと判定すると共に、脈波信号PS2が検出され、脈波情報ありと判定する。
図18に示す例の場合、重複確認処理は、呼吸の検出閾値下限Bfb×2と検出閾値上限Bfpの範囲にある強度の周波数帯を0.125〜0.225Hzと特定する。また、重複確認処理は、脈波の検出閾値下限Pfb×2と検出閾値上限Pfpの範囲にある強度の周波数帯を0.25〜0.0.35Hzと特定する。この場合、重複確認処理は、呼吸信号BS3が検出され、呼吸情報ありと判定する。また、重複確認処理は、脈波信号PS3の周波数帯が呼吸信号BS3に隣接する帯域であるため、脈波情報なしと判定する。
図19に示す例の場合、重複確認処理は、呼吸の検出閾値下限Bfb×2と検出閾値上限Bfpの範囲にある強度の周波数帯を0.125〜0.225Hzと特定する。また、重複確認処理は、脈波の検出閾値下限Pfb×2と検出閾値上限Pfpの範囲にある強度の周波数帯を0.25又は0.3〜0.35Hzと特定する。この場合、重複確認処理は、呼吸信号BS4が検出され、呼吸情報ありと判定する。また、重複確認処理は、脈波の周波数帯の0.25Hzが呼吸信号BS3に隣接する帯域であるため、0.3〜0.35Hzの周波数帯を脈波信号PS4として検出し、脈波情報ありと判定する。
図20に示す例の場合、重複確認処理は、呼吸の検出閾値下限Bfb×2と検出閾値上限Bfpの範囲にある強度の周波数帯を0.125〜0.25Hzと特定する。また、重複確認処理は、脈波の検出閾値下限Pfb×2と検出閾値上限Pfpの範囲にある強度の周波数帯を0.275Hzと特定する。この場合、重複確認処理は、呼吸信号BS5が検出され、呼吸情報ありと判定する。また、重複確認処理は、脈波信号PS5の周波数帯が呼吸信号BS5に隣接する帯域であるため、脈波情報なしと判定する。なお、重複確認処理は、0.25Hzの脈波を呼吸信号と誤認識するが、強度は小さいため影響は殆どない。
図21に示す例の場合、重複確認処理は、呼吸の検出閾値下限Bfb×2と検出閾値上限Bfpの範囲にある強度の周波数帯を0.125〜0.225Hzと特定する。また、重複確認処理は、脈波の検出閾値下限Pfb×2と検出閾値上限Pfpの範囲にある強度の周波数帯を0.3〜0.375又は0.475〜0.5Hz又は0.6Hzと特定する。この場合、重複確認処理は、呼吸信号BS6が検出され、呼吸情報ありと判定する。また、重複確認処理は、脈波の信号が3帯域に存在するが、最も大きい0.3〜0.375Hz以外をノイズとみなし、0.3〜0.375Hzの周波数帯を脈波信号PS6として検出し、脈波情報ありと判定する。
図22は、非重複確認処理で用いる検出閾値を示す表である。
非重複確認処理は、脈波、呼吸、及び体動の各周波数帯域において1つの生体情報を確認する処理である。各周波数帯域での非重複確認処理は、検出閾値範囲内となる強度の周波数帯を、周波数帯域における低い周波数から探索する。検出閾値域は、図22に示すように、検出閾値下限と検出閾値上限がある。検出閾値下限は、前掲図6の各検出信号の最小値(Bfb、Pfb、Mfb)の各値である。検出閾値上限は、前掲図6の各検出信号の最大値(Bfp、Pfp、Mfp)の各値である。非重複確認処理は、この検出閾値下限と検出閾値上限の範囲にある強度の周波数帯を特定する。
例えば、前掲図15の例に示すように、例えば、体動帯域において体動信号MSのみが存在する場合、体動帯域での非重複確認処理が実施される。体動帯域は、上述したように、3.0Hz〜である。この例では、A/D変換の周波数の分解能は、0.25Hzとする。非重複確認処理は、体動帯域において3.0Hzから順に探索する。体動の検出閾値下限は、Mfbである。体動の検出閾値上限は、Mfpである。
図23は、体動帯域に体動の検出信号がある場合の例を示す図である。
図23に示す例の場合、非重複確認処理は、体動の検出閾値下限Mfbと検出閾値上限Mfpの範囲にある強度の周波数帯を4.75〜6.0Hzと特定する。この場合、非重複確認処理は、体動帯域において体動信号MS1が検出され、体動情報ありと判定する。
最適化処理について説明する。
呼吸、脈波、及び体動の各周波数帯での最適化処理は、各生体の検出信号とした判定した周波数帯を確認する。最適化処理は、例えば、前掲図16、図23の示すように、呼吸の検出信号の周波数帯0.125〜0.225Hz、脈波の検出信号の周波数帯0.4〜0.475Hz、体動の検出信号の周波数帯4.75〜6.0Hzと明確に判別できる場合には、判定結果を変更しない。しかし、最適化処理は、以下に示す2つの条件を満たす場合、判定結果を変更する。
1つ目の条件について説明する。最適化処理は、呼吸/脈波/体動のいずれか2つの生体の検出信号の周波数帯が重なった場合、強度の小さいほうの検出信号を「なし」に変更する。例えば、呼吸帯域において呼吸の検出信号の周波数帯として0.5〜0.6Hzと判定し、脈波帯域において脈波の検出信号の周波数帯として0.55〜0.65Hzと判定した場合、最適化処理は、判定を「脈波情報なし」に変更する。
2つ目の条件について説明する。最適化処理は、呼吸、脈波、及び体動のうちの任意の生体の検出信号の現在の周波数帯域が隣接する生体の周波数帯域に重なったときに、隣接する周波数帯域に含まれる検出信号の強度の総和Σ(S′)が現在の周波数帯域の強度の総和Σ(S)の所定割合(例えば、80%)以上である場合、検出信号の帯域を隣接する生体の周波数帯域に変更する。この最適化処理の条件は、広い周波数帯域に現れる検出信号に効果的である。なお、検出信号が狭い周波数帯域に現れる場合、隣接する周波数帯域間で共有する周波数を狭めてもよい。
図24は、最適化処理の説明図である。
図24に示す例は、呼吸最適化処理において呼吸帯域に呼吸信号BS7が検出され、この呼吸信号BS7の周波数帯域が0.475〜0.6Hzと特定された場合である。この例では、呼吸信号BS7の周波数帯域0.475〜0,6Hzのうち0.5〜0.6が脈波の周波数帯域0.5〜4.0Hzの中に重なっている。
0.475Hzでの強度は、5である。0.5Hzでの強度は、7である。0.525での強度は、9である。0.55Hzでの強度は、6である。0.575Hzでの強度は、4である。0.6Hzでの強度は、3である。
呼吸帯域での強度の総和Σ(S)=5+7+9+6+4+3=34である。脈波帯域に重なった部分の強度の総和Σ(S′)=7+9+6+4+3=29である。
したがって、この例では、Σ(S)×80%<Σ(S′)となる。そこで、最低化処理は、呼吸最適化処理で判定された「呼吸帯域に呼吸情報あり」を「脈波帯域に呼吸情報あり」に変更する。
呼吸、脈波、及び体動の各データ解析・記憶35c、36c、37cでの周波数の演算方法について説明する。各データ解析・記憶35c、36c、37cは、以下の演算式により正規化して、各周波数を演算する。
呼吸の周波数Bpulse=Σ(Bn×Fbn)/Σ(Bn)・・・(式1)
Bnは、呼吸信号が検出された周波数帯の各周波数の強度である。
Fbnは、呼吸信号が検出された周波数帯の各周波数である。
nは、低周波数からのカウント数である。
脈波の周波数Ppulse=Σ(Pn×Fpn)/Σ(Pn)・・・(式2)
Pnは、脈波信号が検出された周波数帯の各周波数の強度である。
Fpnは、脈波信号が検出された周波数帯の各周波数である。
nは、低周波数からのカウント数である。
体動の周波数Mpulse=Σ(Mn×Fmn)/Σ(Mn)・・・(式3)
Mnは、体動信号が検出された周波数帯の各周波数の強度である。
Fmnは、体動信号が検出された周波数帯の各周波数である。
nは、低周波数からのカウント数である。
図25は、呼吸、脈波、体動の周波数の演算方法の説明図である。この図24に示す例は、呼吸帯域に呼吸信号BS8が検出され、脈波帯域に脈波信号PS8が検出され、体動帯域に体動信号MS8が検出された例である。以下では、この各信号BS8、PS8、MS8の周波数の演算を示す。この例では、A/D変換の周波数の分解能は、0.1Hzとする。
呼吸信号BS8は、0.2Hzの強度が5であり、0.3Hzの強度が7であり、0.4Hzの強度が9であり、0.5Hzの強度が6であり、0.6Hzの強度が4である。
呼吸信号BS8の周波数Bpulseは、(式1)により以下のように演算される。
Bpulse=(5×0.2+7×0.3+9×0.4+6×0.5+4×0.6)
/(5+7+9+6+4)
=(1.0+2.1+3.6+3.0+2.4)/31
=約0.39Hz
脈波信号PS8は、1.3Hzの強度が4であり、1.4Hzの強度が5であり、1.5Hzの強度が8であり、1.6Hzの強度が5であり、1.7Hzの強度が4であり、1.8Hzの強度が2である。
脈波信号PS8の周波数Pulseは、(式2)により以下のように演算される。
Ppulse=(4×1.3+5×1.4+8×1.5+5×1.6+4×1.7+2×1.8)/(4+5+8+5+4+2)
=(5.2+7.0+12.0+8.0+6.8+3.6)/28
=約1.52Hz
体動信号MS8は、4.3Hzの強度が3であり、4.4Hzの強度が5であり、4.5Hzの強度が7であり、4.6Hzの強度が8であり、4.7Hzの強度が9であり、4.8Hzの強度が8であり、4.9Hzの強度が6であり、5.0Hzの強度が5であり、5.1の強度が4であり、5.2Hzの強度が4であり、5.3Hzの強度が3である。
体動信号MS8の周波数MPulseは、(式3)により以下のように演算される。
Mpulse=(3×4.3+5×4.4+7×4.5+8×4.6+9×4.7+8×4.8+6×4.9+5×5.0+4×5.1+4×5.2+3×5.3)/(3+5+7+8+9+8+6+5+4+4+3)
=(12.9+22.0+31.5+36.8+42.3+38.4+29.4+25.0+20.4+20.8+15.9)/62
=約4.76Hz
各データ解析・記憶35c、36c、37cは、各信号最適化35b、36b、37bにおいて生体情報があると判定した場合、上述のようにその生体情報の周波数を演算し、演算した周波数を記憶する。また、各データ解析・記憶35c、36c、37cは、各信号最適化35b、36b、37bにおいて生体情報なしと判定した場合、その旨を記憶する。
ドップラセンサ1によれば、呼吸帯域、脈波帯域、及び体動帯域のうちのいずれかの周波数帯域において当該周波数帯域に対応する生体情報に対して設定された最大値より大きい検出信号又は最小値より小さい検出信号の有無に基づいて、当該周波数帯域において対応する生体情報とは異なる他の生体情報の検出信号の有無を判定することにより、一つの周波数帯域に複数の生体情報が入ったときに少なくとも一つの生体情報を検出することができるので、複数の生体情報が同じ周波数帯域内に含まれている場合でも生体情報を検出可能である。これにより、ドップラセンサ1によれば、個人差や人そのものの動きに起因して各生体情報の周波数帯域が移動し、複数の生体情報のうちの任意の生体情報の信号が他の生体情報の帯域に入った場合でも、その任意の生体情報を検出できる。その結果、ドップラセンサ1は、人の3つの生体情報(呼吸、脈波、体動)を精度良く検出することができる。
例えば、ドップラセンサ1は、不安や緊張等により引き起こされる過呼吸となり、呼吸が脈波帯域まで上昇した場合でも、脈波帯域において呼吸と脈波の各検出信号を検出することができる。また、ドップラセンサ1は、脈波が低下し、脈波が呼吸帯域まで低下した場合でも、呼吸帯域において呼吸と脈波の各検出信号を検出することができる。
ドップラセンサ1によれば、呼吸帯域、脈波帯域、及び体動帯域のうちの任意の周波数帯域において他の生体情報の検出信号が存在する場合、当該検出信号に基づいて他の生体情報を検出し、当該検出信号において任意の周波数帯域に対応する生体情報の検出信号が埋もれている場合には当該埋もれている検出信号に基づいて任意の周波数帯域に対応する生体情報を検出することにより、一つの周波数帯域において2つの生体情報を検出することができる。
ドップラセンサ1によれば、呼吸帯域、脈波帯域、及び体動帯域のうちの任意の周波数帯域において検出信号のレベルの異なる複数のピークが存在する場合、それぞれのピークに基づいて、任意の周波数帯域に対応する生体情報及び他の生体情報を検出することにより、一つの周波数帯域において2つの生体情報を検出することができる。
ドップラセンサ1によれば、最小値を2倍に増加し、この増加した閾値より小さい検出信号の有無に基づいて、他の生体情報の検出信号の有無を判定することにより、一つの周波数帯域において2つの生体情報をより確実に検出することができる。
ドップラセンサ1によれば、生体情報の検出信号が各々存在し得る周波数帯域を断続的に検出処理を行うことで監視し、他の生体情報が存在した周波数帯域から他の生体情報の検出信号が存在するか否かを判定することにより、任意の周波数帯域において対応する生体情報とは異なる他の生体情報を検出することができる。
ドップラセンサ1によれば、人との距離が所定距離未満の場合には、人との距離が所定距離以上の場合に比べて、呼吸、脈波、及び体動の各信号の最大値及び最小値を大きい値に設定することにより、人との相対距離に応じて適切な閾値を設定でき、呼吸、脈波、及び体動を高精度に検出できる。
ドップラセンサ1によれば、呼吸、脈波、及び体動の生体情報毎に周波数帯域内の信号を周波数帯域に対応する生体情報に適した増幅率で増幅することにより、反射波の強度のレベルを所定範囲内に揃えることができ、反射波の強度の異なる呼吸、脈波、及び体動を1つのドップラセンサ1によって精度良く検出することできる。これにより、ドップラセンサ1は、動きの小さい呼吸や脈波の各信号の検出感度を向上させることができる。また、ドップラセンサ1は、動きの大きい体動の信号の強度のサチュレーションを防止することができる。
ドップラセンサ1によれば、隣り合う一の周波数帯域と他の周波数帯域とは重なった帯域(共有帯域)を有するので、呼吸、脈波、及び体動がそれぞれ存在する可能性のある広い領域として呼吸帯域、脈波帯域、及び体動帯域をそれぞれ設定することができる。
ドップラセンサ1によれば、呼吸、脈波、及び体動のうち動きが大きく、反射波の強度が大きい体動、呼吸、脈波の順に検出処理を実施することにより、検出精度を向上させることができる。
ドップラセンサ1によれば、体動の検出信号を検出した場合、呼吸及び脈波の検出処理の信頼度を低下させることにより、反射波のレベルの大きい体動を優先的に検出することができ、検出精度を向上させることができる。特に、ドップラセンサ1は、体動情報があると判断した場合には呼吸情報なしや脈波情報なしと判定し、呼吸や脈波の検出処理を実施せず、処理負荷を軽減することができる。
なお、上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では複数の生体情報として呼吸、脈波、体動を検出するドップラセンサ1に適用したが、この3つの生体情報のうちの2つの生体情報のみを検出するドップラセンサに適用可能であり、この3つの生体情報以外の生体情報を検出するドップラセンサにも適用可能である。
また、上記実施形態ではドップラセンサ1を車両に搭載する例を示したが、介護支援システム、見守りシステム等の他の用途に適用できる。
また、上記実施形態では図24を参照して説明した最適化処理を各信号最適化35b、36b、37bで行う構成としたが、各データ解析・記憶35c、36c、37cで行う構成としてもよいし、或いは、各信号最適化35b、36b、37bと各データ解析・記憶35c、36c、37cとを一体で行う処理部としてもよい。
また、図1は、本願発明を理解容易にするために、ドップラセンサ1の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、ドップラセンサ1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
また、図1のドップラセンサ1おいて、CPUで実行される制御用プログラムは、例えば、通信ネットワークを介して外部サーバー等からダウンロードされ、それからRAM等のメモリ上にロードされてCPUにより実行されるようにしてもよい。また、通信ネットワークを介して、外部サーバーからRAM等のメモリに直接ロードされ、CPUにより実行されるようにしてもよい。或いは、ドップラセンサ1に接続された記憶媒体から、RAM等のメモリ上にロードされるようにしてもよい。
また、図5、8〜13のフローチャートの処理単位は、ドップラセンサ1による処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。ドップラセンサ1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、同様の処理結果が得られるものであれば、図5、8〜13のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
1 ドップラセンサ
2 中央制御装置
10 電波照射検知装置
20 呼吸用I波AMP
21 呼吸用Q波AMP
22 脈波用I波AMP
23 脈波用Q波AMP
24 体動用I波AMP
25 体動用Q波AMP
26 接近/離反回路
30 CPU Block
31、32、33 A/D変換
34 SPI
35 呼吸用演算処理部
35a デジタルフィルタ&FFT変換
35b 呼吸信号最適化
35c 呼吸データ解析・記憶
36 脈波用演算処理部
36a デジタルフィルタ&FFT変換
36b 脈波信号最適化
36c 脈波データ解析・記憶
37 体動用演算処理部
37a デジタルフィルタ&FFT変換
37b 体動信号最適化
37c 体動データ解析・記憶
40 外部通信装置

Claims (11)

  1. 生体に電波を照射してドップラシフトした反射波に基づいて、前記生体の動きを示す複数の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、
    前記反射波を周波数分解して得られる周波数領域において前記生体情報毎に当該生体情報の検出信号が存在する可能性がある想定周波数帯域に前記生体情報の検出信号が存在するか否かを判定する処理部を備え、
    前記処理部は、いずれかの前記想定周波数帯域において当該想定周波数帯域に対応する生体情報に対して設定された想定最大値より大きい検出信号又は想定最小値より小さい検出信号の有無に基づいて、当該想定周波数帯域において前記対応する生体情報とは異なる他の生体情報の検出信号の有無を判定することを特徴とする生体情報検出装置。
  2. 前記処理部は、いずれかの前記想定周波数帯域において前記他の生体情報の検出信号が存在する場合、当該検出信号に基づいて前記他の生体情報を検出し、当該検出信号において前記想定周波数帯域に対応する生体情報の検出信号が埋もれている場合には当該埋もれている検出信号に基づいて前記想定周波数帯域に対応する生体情報を検出することを特徴とする請求項1記載の生体情報検出装置。
  3. 前記処理部は、いずれかの前記想定周波数帯域において検出信号のレベルの異なる複数のピークが存在する場合、それぞれの前記ピークに基づいて、前記想定周波数帯域に対応する生体情報及び前記他の生体情報を検出することを特徴とする請求項2記載の生体情報検出装置。
  4. 前記処理部は、値を増加させた前記想定最小値よりも小さい検出信号の有無に基づいて、前記他の生体情報の検出信号の有無を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
  5. 前記処理部は、前記生体情報の検出信号が各々存在し得る前記想定周波数帯域を監視し、前記他の生体情報が存在した前記想定周波数帯域から前記他の生体情報の検出信号が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
  6. 前記処理部は、前記生体との距離が所定距離未満の場合には、前記生体との距離が前記所定距離以上の場合に比べて、前記想定最大値及び前記想定最小値を大きい値に設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
  7. 前記生体情報毎に、前記想定周波数帯域内の信号を前記想定周波数帯域に対応する生体情報に適した増幅率で増幅する増幅部を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
  8. 一の前記想定周波数帯域と他の前記想定周波数帯域とは、重なった帯域を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
  9. 前記処理部は、前記複数の生体情報のうち検出信号のレベルが大きい生体情報から順に検出処理を実施することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
  10. 前記複数の生体情報は、体動、呼吸、脈波であり、
    前記処理部は、前記体動、前記呼吸、前記脈波の順に検出処理を実施することを特徴とする請求項9記載の生体情報検出装置。
  11. 前記処理部は、前記体動の検出信号を検出した場合、前記呼吸及び前記脈波の検出処理の信頼度を低下させることを特徴とする請求項10に記載の生体情報検出装置。
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