JP6967965B2 - コロナシールドテープ及び当該コロナシールドテープを備える電気機械 - Google Patents

Description

本発明は、コロナシールド系（Ｇｌｉｍｍｓｃｈｕｔｚｓｙｓｔｅｍ）、特に電気機械、好ましくは高電圧機械、電気エネルギを発生させる発電機、電気式のモータ又は定格電圧が高いその他の電気的な運転手段、特に変圧器、ブッシング若しくはケーブルに用いられるコロナシールド系に関する。

技術の進歩に伴ってますます高い出力密度が要求されるため、ますます高出力の機械、例えば発電機の開発が進められている。高出力の発電機、例えばタービン発電機は、特に、（固定子）鉄心と、発電機巻線が内部に収められた複数の発電機スロットと、を有する固定子（ステータ）を備えている。

鉄心に対するこの発電機巻線の主絶縁部は、高い電気的ストレスがかかる系である。運転中、高い電圧が発生し、この電圧は、高電圧にある導体バーと、接地電位にある鉄心との間の絶縁の容積内で解消しなければならない。その際、鉄心中に積層された金属薄板のエッジにおいて電界が強く上昇し、この上昇自体は、部分放電を引き起こしてしまう。この部分放電は、絶縁系に衝突したときに、局所的に極めて強い温度上昇を生じさせる。このとき、この外側のコロナシールドを含めた絶縁系の有機材料は、徐々に、低分子の揮発性の生成物、例えば二酸化炭素に分解されてしまう。

絶縁系の重要な構成部分は、いわゆる外側のコロナシールド（ＡＧＳ：Ａｕｓｓｅｎｇｌｉｍｍｓｃｈｕｔｚ）である。外側のコロナシールドは、比較的大型の発電機及び電気モータの場合、発電機巻線絶縁部の表面に直接被着される。外側のコロナシールドは、現在、カーボンブラック及びグラファイトを含むテープ又は塗料からなることが多い。系に起因して、このような絶縁系の場合、特に外側のコロナシールドと主絶縁部との間の界面を完全に気孔なしに製造することはできない。それゆえ、電界強度が十分に高ければ、絶縁系内に、相応に高い電気的な部分放電活動が生じてしまう。この部分放電活動は、運転中、時間の経過とともに、外側のコロナシールドを焼尽してしまう。これにより、このことは、絶縁部を早期に劣化させ、最悪の場合、電気機械を地絡させる。これは、通例、機械の回復不能な完全故障を意味する。

外側のコロナシールドは、所定の範囲内にある特定のスクエア抵抗値（Ｑｕａｄｒａｔｗｉｄｅｒｓｔａｎｄ）あるいはシート抵抗値を有していなければならない。スクエア抵抗値が低すぎれば、鉄心は電気的に短絡するおそれがある。短絡は、誘導された高い循環電流に至ることがあり、この循環電流は、鉄心の端部と外側のコロナシールドとを介して閉じ、大電流のアークに至る。これに対して、この抵抗値が高すぎれば、高電圧スパーク侵食が生じるおそれがある。理想的には、半径方向では、つまり、電流を案内する導体から鉄心へと向かう方向では導電性が高められ、バー方向では、抵抗値が高められ、つまり導電性が低められるという異方性が形成できるように、外側のコロナシールド系内のこの抵抗が調整される。

コロナシールド系では、部分放電に対して耐性のある材料として、しばしばマイカが使用される。典型的には、マイカは、絶縁系において、微細マイカペーパ（Ｆｅｉｎｇｌｉｍｍｅｒｐａｐｉｅｒ）であって、特にフィルム、織布、不織布等のキャリア材料と、このペーパをキャリア材料と接着し、マイカペーパを機械的に安定化させるために必要な樹脂（封止樹脂）とを有する微細マイカペーパをベースとする絶縁テープとして使用される。

絶縁系、ひいては電気機械の寿命にとって重要であるのは、剥離に対する絶縁系の耐性である。剥離した場合、部分放電活動を高め、絶縁系の不良、ひいては電気機械の故障に至らしめる欠陥が生じてしまう。

それゆえ本発明の課題は、従来技術の欠点を克服し、耐性のあるコロナシールド系を提供することである。さらに本発明の課題は、改良された、特に長寿命の電気機械、特に高電圧機械を提供することである。

本発明の上記課題は、請求項１に記載の特徴を有するコロナシールド系及び請求項７に記載の特徴を有する電気機械により解決される。本発明の好ましい形態は、対応する従属請求項及び以下の説明に看取可能である。

本発明に係るコロナシールド系は、特に電気機械、好ましくは高電圧機械、特に電気エネルギを発生させる発電機、電気式のモータ又はその他の電気装置、合目的には変圧器、ブッシング若しくはケーブルに用いられるコロナシールド系である。本発明に係るコロナシールド系は、フィラをポリマーマトリックス中に含み、フィラは、粒子を有し、粒子は、マイカにより形成されており、マイカを包囲するように、少なくとも１種のセラミックの金属酸化物により形成される層を有する。

まさにマイカ粒子は、易劈開性を有するため、このようなコロナシールド系の機械的な弱点をなしている。こうして、マイカ粒子は、部分放電活動を高め、絶縁部の不良に至らしめる欠陥を引き起こす、コロナシールド系の剥離の典型的な原因となる。本発明により、マイカ粒子の劈開性、ひいてはコロナシールド系の剥離が、セラミックの金属酸化物により形成される層の結果として大幅に減じられることで、コロナシールド系の耐性は向上する。コーティングは、粒子中の個々のマイカ層の安定した機械的な結合を保証し、これにより、結晶面に起因するこれらのマイカ層における劈開を効果的に防止する。

好適には、粒子は、少なくとも平均（特に算術平均）で精々１ミリメートル、好ましくは、少なくとも平均（特に算術平均）で精々１００マイクロメートルの寸法を有する。

本発明に係るコロナシールド系の好ましい一形態において、層は、１つの粒子のマイカを全周にわたって、特に全方位で包囲する。本発明の本形態は、欠陥を特に高信頼性に回避できる。

合目的には、本発明に係るコロナシールド系において、層は、酸化アルミニウム（Ａｌ_２Ｏ_３）及び／又は二酸化ケイ素（ＳｉＯ_２）及び／又は二酸化チタン（ＴｉＯ_２）により形成されている。前述のセラミックの金属酸化物は、非導電性であり、好適な機械的な安定化を達成する。

好ましい一形態において、コロナシールド系は、コロナシールドペーパを形成する。マイカ粒子を含むマイカペーパの製造自体は、公知であり、本発明において設けられた、少なくとも１種のセラミックの金属酸化物により形成される層を有するマイカ粒子でも、同様に適用可能である。

加えて合目的には、本発明に係るコロナシールド系は、コロナシールドペーパが接着されているキャリア材料を備える。好ましくは、キャリア材料は、フィルム及び／又は織布及び／又は不織布を含む。

本発明に係るコロナシールド系の有利な一形態において、コロナシールド系は、少なくとも１つのコロナシールドテープを形成する。特にマイカペーパは、前述のように、有機の繊維、好ましくはアラミド及び／又はＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）が混合され、好ましくは固められる。こうしてマイカテープは、キャリアレスに実現されている。

好適には、本発明に係るコロナシールド系は、外側のコロナシールドの少なくとも一部及び／又はエンドコロナシールド（Ｅｎｄｅｎｇｌｉｍｍｓｃｈｕｔｚ）の少なくとも一部を形成する。

本発明に係る電気機械は、特に高電圧機械であり、前述のようにコロナシールド系を備える。好ましくは、本発明に係る電気機械は、電気エネルギを発生させる発電機、電気式のモータ又は定格電圧が高いその他の電気装置、特に変圧器、ブッシング若しくはケーブルである。

Claims (10)

1. コロナシールドペーパからなる電気機械用のコロナシールドテープであって、
   前記コロナシールドペーパは、フィラをポリマーマトリックス中に含み、前記フィラは粒子を有し、前記粒子は、マイカにより形成されており、前記マイカを全方位で包囲するように、酸化アルミニウムＡｌ_２Ｏ_３及び／又は二酸化ケイ素ＳｉＯ_２及び／又は二酸化チタンＴｉＯ_２により形成される層を有し、
   前記マイカの粒子は、酸化アルミニウムＡｌ_２Ｏ_３及び／又は二酸化ケイ素ＳｉＯ_２及び／又は二酸化チタンＴｉＯ_２により形成される層によって完全にコーティングされている、
   コロナシールドテープ。
2. 前記コロナシールドテープは、前記コロナシールドペーパに接着されているキャリアを有する、請求項１記載のコロナシールドテープ。
3. 前記キャリアは、少なくとも部分的にフィルムを含む、請求項２記載のコロナシールドテープ。
4. 前記キャリアは、少なくとも部分的に織布を含む、請求項２又は３記載のコロナシールドテープ。
5. 前記キャリアは、少なくとも部分的に不織布を含む、請求項２から４までのいずれか１項記載のコロナシールドテープ。
6. 前記コロナシールドペーパは、有機繊維を含むマイカペーパであり、かつ前記マイカペーパの前記有機繊維が固められることでキャリアレスに実現されている、請求項１記載のコロナシールドテープ。
7. 前記マイカペーパは、少なくとも部分的にアラミド繊維を含む、請求項６記載のコロナシールドテープ。
8. 前記マイカペーパは、少なくとも部分的にＰＥＴ繊維を含む、請求項６又は７記載のコロナシールドテープ。
9. 請求項１から８までのいずれか１項に記載のコロナシールドテープを備える電気機械。
10. 請求項１から８までのいずれか１項に記載のコロナシールドテープを備える高電圧機械。