JP6967260B2 - 移植片対宿主病の治療剤又は予防剤、ファイブロサイト浸潤抑制剤、及び涙液減少と杯細胞の減少の抑制剤 - Google Patents

移植片対宿主病の治療剤又は予防剤、ファイブロサイト浸潤抑制剤、及び涙液減少と杯細胞の減少の抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6967260B2
JP6967260B2 JP2017018643A JP2017018643A JP6967260B2 JP 6967260 B2 JP6967260 B2 JP 6967260B2 JP 2017018643 A JP2017018643 A JP 2017018643A JP 2017018643 A JP2017018643 A JP 2017018643A JP 6967260 B2 JP6967260 B2 JP 6967260B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
versus
host disease
graft
fibrosite
infiltration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017018643A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017178922A (ja
Inventor
一男 坪田
葉子 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Keio University
Original Assignee
Keio University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Keio University filed Critical Keio University
Publication of JP2017178922A publication Critical patent/JP2017178922A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6967260B2 publication Critical patent/JP6967260B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、移植片対宿主病の治療剤又は予防剤、ファイブロサイト浸潤抑制剤及び涙液減少と杯細胞の減少の抑制剤に関する。
造血幹細胞の腫瘍化に伴う血液悪性疾患に対して、他者の健康な造血幹細胞を移植して、白血病を根治させる治療法として確立されている医療である造血幹細胞移植が行われる場合がある。他方、近年、ドナーから提供された骨髄細胞、末梢血又は臍帯血の移植片が、免疫応答によってレシピエントの標的臓器を攻撃することによって発症する移植片対宿主病(graft−versus−host disease:GVHD)が問題となっている。
この移植片対宿主病の治療剤として、例えば、眼表面の治療としてレバミピドやジクアホソルが知られており、非特許文献1には、レバミピドとジクアホソルとを併用することで、移植片対宿主病の症状の一つであるドライアイを改善することが開示されている。
Mio Yamane, Yoko Ogawa,et al., "Long−term Rebamipide and Diquafosol in Two Cases of Immune−Mediated Dry Eye" Optometry and Vision Science, Vol. 92, No. 4S, April 2015
しかしながら、上記レバミピドやジクアホソルは、軽度、中度の移植片対宿主病の患者の治療には用いることができるものの、重度の移植片対宿主病の患者の治療には用いることができなかった。
したがって、重度の眼移植片対宿主病の患者の治療に用いることができる、移植片対宿主病の患者の治療剤が必要とされるが、未だそのような治療剤はなかった。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、重度の移植片対宿主病の患者の治療に用いることができる、新規な移植片対宿主病の治療剤又は予防剤、ファイブロサイト浸潤抑制剤並びに涙液及び杯細胞の減少の抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、移植片対宿主病において、ファイブロサイト浸潤が涙腺に生じること、及びこのファイブロサイト浸潤をHC−HA/PTX3複合体が抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下の構成からなる。
(1) HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、移植片対宿主病の治療剤又は予防剤。
(2) 前記移植片対宿主病は、骨髄移植後の移植片対宿主病である、(1)に記載の治療剤又は予防剤。
(3) 前記移植片対宿主病は、眼における移植片対宿主病である、(1)又は(2)に記載の治療剤又は予防剤。
(4) 前記移植片対宿主病は、ドライアイである、(3)に記載の治療剤又は予防剤。
(5) 前記移植片対宿主病は、ファイブロサイト浸潤を伴う移植片対宿主病である、(1)から(4)のいずれかに記載の治療剤又は予防剤。
(6) HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、ファイブロサイト浸潤抑制剤。
(7) HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、杯細胞の減少の抑制剤。
(8) HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、涙液減少抑制剤。
本発明によれば、重度の移植片対宿主病の患者の治療に用いることができる、新規な移植片対宿主病の治療剤又は予防剤、ファイブロサイト浸潤抑制剤並びに涙液及び杯細胞の減少の抑制剤を提供することができる。
実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの結膜を、マロリー染色、ヘマトキシリン・エオジン染色及びPAS染色により染色し、顕微鏡により観察した画像を示す図である。 実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの結膜の単位面積あたりの杯細胞の数についてのグラフを示す図である。 実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの涙腺について、電子顕微鏡により観察した画像を示す図である。図3中のスケールバーは10μmである。 実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの涙腺におけるMHC class II陽性の細胞と、それぞれの例の涙腺組織とについてリアルタイムPCRにより、NF−kBのmRNAの発現量を測定したときの、それぞれのmRNAの発現量についてのグラフを示す図である。 実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの涙腺において、CD45及びCD34、CD45及びコラーゲンタイプI、並びに、CD45、CXCR4、及びCD34についての抗体を用いて免疫染色を行ったときの、蛍光顕微鏡によりファイブロサイトを検出した画像を示す図である。 実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスのコラーゲン・タイプIIIのmRNAの発現量についてのグラフを示す図である。 実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスのコラーゲン・タイプIα1のmRNAの発現量についてのグラフを示す図である。 実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスのHSP47のmRNAの発現量についてのグラフを示す図である。 実施例、対照例、及び参考例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスにおける涙の生成量のグラフを示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<移植片対宿主病の治療剤又は予防剤>
本発明の移植片対宿主病の治療剤又は予防剤は、HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する。
(HC−HA/PTX3複合体)
HC−HA/PTX3複合体とは、HA(hyaluronan)とHC(heavy chain)との結合体と、PTX3(Pentraxin3)との複合体を意味する。このHC−HA/PTX3複合体は、胎盤羊膜中に存在する成分であり、免疫抑制機能等があることが知られている(Scheffer C. G. Tseng et al., “In Vivo Downregulation of Innate and Adaptive Immune Responses in Corneal Allograft Rejection by HC−HA/PTX3 Complex Purified From Amniotic Membrane” Invest Ophthalmol Vis Sci. 2014 Mar 19;55(3):1647−56)。しかしながら、HC−HA/PTX3複合体が、ファイブロサイト浸潤を抑制し、移植片対宿主病の治療に用いられることは、従来知られていなかった。
HC−HA/PTX3複合体が、移植片対宿主病の治療又は予防に有効である理由は、以下のとおりであると推察される。
移植片対宿主病が発症すると、外分泌腺(例えば、涙腺)の組織において、ドナー由来線維芽細胞浸潤が生じ、この線維芽細胞の浸潤が、組織の繊維化を引き起こすことが知られている。ヒト移植片対宿主病涙腺で報告したドナー由来線維芽細胞に相当するともいわれる、間葉系細胞がマウス移植片対宿主病の涙腺に浸潤しており、これらの細胞がファイブロサイトに典型的なマーカーを発現していたことが確認された。マウスGVHD涙腺ではじめて確認された所見である。他方、移植片対宿主病が発症すると、外分泌腺の組織においてT細胞が活性化する。このように外分泌腺の組織中で、T細胞の活性化と繊維化との両方が生じることで炎症や、外分泌腺のうち粘膜の組織において杯細胞(ゴブレットセル)の減少が生じて、移植片対宿主病が発症する。本発明の移植片対宿主病の治療剤は、外分泌腺のT細胞の活性化の抑制と、外分泌腺へのファイブロサイト浸潤の両方を抑制することで、結果として、移植片対宿主病を治療又は予防可能であると推測される。
本発明において、「ファイブロサイト浸潤」とは、ある組織中(例えば、涙腺)に、血中からファイブロサイトが浸潤することを意味する。また、「ファイブロサイト浸潤抑制」とは、結果として、組織中にファイブロサイトが浸潤する状態となることを抑制することを意味する。
本発明におけるHC−HA/PTX3複合体の種類は、特に限定されず、例えば、ヒト由来、ウシ由来、ブタ由来、マウス由来、ラット由来、イヌ由来、ネコ由来、サル由来、ヒツジ由来、ウサギ由来等の哺乳動物由来のものを用いることができる。
本発明におけるHC−HA/PTX3複合体は、公知の方法により、準備可能である。例えば、以下のような方法により、HC−HA/PTX3複合体を準備することができる。
ヒト等の哺乳動物の羊膜を胎盤から無菌条件下で分離してから、羊膜を薄い片にカットし、凍結させるか(例えば、−80℃にて)、あるいは、液体窒素等で冷却して、Cuisinart CBT―700ブレンダ(クイジナート社製)等により、ホモジナイズを行う。その後、遠心分離を行い、上澄みからを回収することで羊膜の抽出物を得る。次いで、羊膜の抽出物について、CsCl/4MグアニジンHClを用いて超遠心分離を行い、HA(hyaluronan)は検出でき、かつ、タンパクを検出できない画分を回収し、蒸留水等で透析することで、精製されたHC−HA/PTX3複合体を得ることができる。本発明において、HC−HAにおける「HC」は、例えば、2000kDa程度の分子量のものが挙げられる。また、HC−HAにおける「HA」は、例えば、200〜10000kDa(好ましくは3000kDa程度)の分子量のものが挙げられる。また、HC−HA間の結合は、Tumor necrosis factor (TNF)−α stimulated gene−6(TSG−6)を介したものであってもよい。
(移植片対宿主病)
本発明における移植片対宿主病の種類は、特に限定されず、例えば、その症状が眼、口腔、肝臓、消化管、皮膚、肺等の外分泌腺を備える器官において発現するものが挙げられる。これらのうち、本発明の治療剤又は予防剤は、眼における移植片対宿主病に用いることが好ましい。
眼における移植片対宿主病としては、特に限定されないが、例えば、ドライアイ、乾性結膜炎、角膜損傷等、ドライアイに伴う結膜線維化が挙げられる。これらのうち、特に治療又は予防効果に優れることから、治療又は予防対象である眼における移植片対宿主病の疾患は、ドライアイであることが好ましい。
口腔における移植片対宿主病としては、特に限定されないが、例えば、口腔乾燥症、皮膚硬化による開口障害等が挙げられる。
肝臓における移植片対宿主病としては、特に限定されないが、例えば、急性肝炎等が挙げられる。
消化管における移植片対宿主病としては、特に限定されないが、例えば、下痢、食欲不振、嘔吐、上部消化管狭窄や拘束等が挙げられる。
皮膚における移植片対宿主病としては、特に限定されないが、例えば、皮膚乾燥症、強皮症等が挙げられる。
肺における移植片対宿主病としては、特に限定されないが、例えば、間質性肺炎、閉塞性肺炎等が挙げられる。
移植片対宿主病の原因となる移植される臓器としては、特に限定されず、例えば、骨髄、血液(輸血)等が挙げられる。移植片対宿主病は、特に、骨髄移植後に、骨髄由来の造血幹細胞が、移植片対宿主病の原因であるファイブロサイトに分化して、血中を経由して、外分泌腺の組織に浸潤する可能性が指摘されている。しかしながら、本発明の治療剤又は予防剤は、ファイブロサイト浸潤の抑制効果に優れることから、このような骨髄移植後の移植片対宿主病に対して、特に優れた治療又は予防効果を発揮する。このことから、本発明の治療剤又は予防剤の対象の移植片対宿主病は、骨髄移植後の移植片対宿主病であることが好ましい。
移植片対宿主病は、慢性移植片対宿主病であってもよく、急性移植片対宿主病であってもよい。なお、通常、慢性移植片対宿主病とは、移植後、一定期間経過後に発症する移植片対宿主病のことを指し、例えば、古典的な分類では移植後、100日以降に発症する移植片対宿主病を指す。急性移植片対宿主病とは、移植後、一定期間内(慢性移植片対宿主病が発症するまでの期間より短い期間内)に発症する移植片対宿主病を指し、例えば、移植後、古典的には100日以内に発症する移植片対宿主病を指す。現在の分類では時期による分類はなされておらず急性、慢性に典型的で特徴的所見により両者の区別がなされている。本発明の移植片対宿主病の治療剤又は予防剤は、特に、慢性移植片対宿主病に好適に用いることができる。その理由は、線維化抑制に有効であるためであると推測される。
本発明の治療剤又は予防剤は、軽度、中度、又は重度のいずれの移植片対宿主病にも適用可能であるが、特に、重度の移植片対宿主病の治療又は予防に好適に用いることができる。その理由は、重症例のドライアイでは線維化が著明であるからである。なお、重度の移植片対宿主病とは、通常、涙液分泌の細胞源となる涙腺細胞、角結膜ムチンの分泌上皮細胞、マイボーム腺細胞が重度の障害された眼移植片対宿主病のことを指す。
上述のとおり、本発明におけるHC−HA/PTX3複合体は、ファイブロサイト浸潤を特に抑制できる。このことから、本発明における移植片対宿主病は、ファイブロサイト浸潤を伴うものであることが特に好ましい。
(剤形)
本発明の治療剤又は予防剤の剤形は、特に限定されず、移植片対宿主病の症状が発現する器官に応じて、適宜設定することができるが、例えば、軟膏剤、静脈内注射剤(点滴を含む)、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、皮下注射剤等の注射剤、坐剤、腫瘍内直接投与剤等に製剤化し、注射用製剤の場合は単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提供されてよい。特に、本発明の治療剤又は予防剤を、眼における移植片対宿主病の治療剤又は予防剤として用いる場合、点眼剤、結膜下注射剤、軟膏剤として用いることが好ましい。
これらの各種製剤は、製剤上通常用いられる賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、等張化剤等を適宜用い、常法により製造することができる。
本発明の治療剤又は予防剤は、上記製剤化を目的として、HC−HA/PTX3複合体以外の成分を有してもよいが、有さなくてもよい。より具体的な、本発明の治療剤又は予防剤に含んでもよい成分の例示としては、例えば、メチルセルロース等が挙げられる。
(投与方法)
本発明の治療剤又は予防剤は、特に限定されず、症状が発現した器官に応じて適宜選択することができるが、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射等により、投与が可能である。特に、眼における移植片対宿主病の場合、点眼、結膜下注射による投与が可能である。
<スクリーニング方法>
本発明は、移植片対宿主病の治療剤又は予防剤の候補物質のスクリーニング方法であって、被験物質を、ヒトを除く、移植片対宿主病のモデル動物に投与する工程と、被験物質が投与された前記モデル動物におけるファイブロサイト浸潤の抑制の程度を測定する工程と、測定結果に基づいて、移植片対宿主病の治療剤又は予防剤の候補物質として被験物質を選択する工程と、を有するスクリーニング方法を包含する。
(投与工程)
本発明における投与工程は、被験物質を、ヒトを除く、移植片対宿主病のモデル動物に投与する工程である。
被験物質は、特に限定されず、天然又は合成の有機又は無機の低分子又は高分子物質等の任意の物質であってよい。
ヒトを除く、移植片対宿主病のモデル動物の種類は、特に限定されないが、例えば、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウサギ等の哺乳等物等を使用することができる。
移植片対宿主病のモデル動物は、例えば、マウスの移植片対宿主病のモデル動物を作製する場合、雄のB10.D2(H―2)マウスの骨髄を、雌のBALB/c(H―2)マウスに移植することにより、作製することができる。
投与方法は、特に限定されず、例えば、目的とする、症状が発現する器官に応じて適宜選択することができるが、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射等の方法で投与してもよい。また、目的とする、症状が発現する器官が、眼である場合、結膜下注射、点眼により投与してもよい。
(測定工程)
本発明における測定工程は、被験物質が投与された移植片対宿主病のモデル動物におけるファイブロサイト浸潤の抑制の程度を測定する工程である。
測定方法は、特に限定されず、従来の公知の方法を使用することができ、例えば、被験物質の投与後のヒトを除く移植片対宿主病のモデル動物から、対象となる組織(涙腺等の外分泌腺の組織)を摘出し、ファイブロサイトのマーカー(例えば、CD45、コラーゲン・タイプI、CXCR4等)を免疫染色等の方法で検出し、ファイブロサイト浸潤の程度(例えば、検出された面積)を測定することで、ファイブロサイト浸潤の抑制の程度を測定することができる。この測定結果に基づいて、後述の選択工程において、候補物質を選択することができる。
本発明における測定工程は、ファイブロサイト浸潤の抑制の程度以外のものを測定してもよく、測定しなくてもよい。そのような測定してもよい対象としては、例えば、粘膜における杯細胞の数、組織中の炎症の程度、マーカーとなる遺伝子(例えば、繊維化のマーカーとなる遺伝子、炎症性のマーカーとなる遺伝子等)のmRNAの発現量等が挙げられる。これらの測定結果を、ファイブロサイト浸潤の抑制の程度の測定結果と組み合わせて、後述の選択工程において、被験物質を移植片対宿主病の治療剤又は予防剤の候補物質として選択してもよい。
(選択工程)
選択工程は、上記測定結果に基づいて、移植片対宿主病の治療剤又は予防剤の候補物質として被験物質を選択する工程である。
選択方法は、特に限定されず、従来公知の選択方法により候補物質を選択すればよい。例えば、ヒトを除く移植片対宿主病のモデル動物の被験物質の投与前の組織中のファイブロサイト浸潤の程度と比較して、被験物質がファイブロサイト浸潤を抑制したという結果に基づいて、被験物質を候補物質として選択してもよい。また、あらかじめ測定した他の物質(例えば、HC−HA/PTX3複合体)を、ヒトを除く移植片対宿主病のモデル動物に投与したときの測定結果と比較して、被験物質を候補物質として選択してもよい(例えば、移植片対宿主病の治療効果を有するHC−HA/PTX3を、ヒトを除く移植片対宿主病のモデル動物に投与したときの測定結果と比較して、同様の測定結果である場合、その被験物質を候補物質として選択することができる)。
上記の測定工程において、ファイブロサイト浸潤の抑制の程度以外のもの(粘膜における杯細胞の数、組織中の炎症の程度、マーカーとなる遺伝子のmRNAの発現量等)を測定した場合、これらの測定結果を、ファイブロサイト浸潤の抑制の程度の測定結果と組み合わせて、被験物質を移植片対宿主病の治療剤又は予防剤の候補物質として選択してもよい。例えば、ファイブロサイト浸潤の抑制効果が示された被験物質について、該被験物質のモデル動物への投与後に更に、粘膜における杯細胞の数、組織中の炎症の程度、もしくはマーカーとなる遺伝子のmRNAの発現量、又はこれらのうち2つ以上を測定して、それぞれの効果(つまり、粘膜における杯細胞の数の減少の抑制効果、組織中の炎症の抑制効果、マーカーとなる遺伝子のmRNAの発現量の減少もしくは促進効果、又はこれらのうち2つ以上の効果)があることを確認してから、該被験物質を移植片対宿主病の治療剤又は予防剤の候補物質として選択してもよい。
(その他の工程)
本発明のスクリーニング方法は、上記で述べた工程以外の工程を有してもよく、有さなくてもよい。本発明のスクリーニング方法が、有してもよい工程としては、特に限定されないが、例えば、移植片対宿主病の治療剤又は予防剤の候補物質として選択した被験物質を、ヒトを除く移植片対宿主病のモデル動物に投与して、その治療又は予防効果を確認する工程が挙げられる。
<ファイブロサイト浸潤抑制剤>
本発明は、HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、ファイブロサイト浸潤抑制剤を包含する。
本発明のファイブロサイト浸潤抑制剤は、上記の移植片対宿主病の治療剤又は予防剤と同様のもの(同様のHC−HA/PTX3複合体、同様の剤型、同様の投与方法、同様の成分等)を用いることができる。
<杯細胞の減少の抑制剤>
本発明は、HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、杯細胞の減少の抑制剤を包含する。杯細胞の種類は、結膜杯細胞であることが好ましい。
本発明の杯細胞の減少の抑制剤は、上記の移植片対宿主病の治療剤又は予防剤と同様のもの(同様のHC−HA/PTX3複合体、同様の剤型、同様の投与方法、同様の成分等)を用いることができる。
<涙液減少抑制剤>
本発明は、HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、涙液減少抑制剤を包含する。
本発明において、「涙液減少」とは、例えば、上述した移植片対宿主病(例えば、ドライアイ)による症状としての涙液減少のことを指す。
本発明の涙液減少抑制剤は、上記の移植片対宿主病の治療剤又は予防剤と同様のもの(同様のHC−HA/PTX3複合体、同様の剤型、同様の投与方法、同様の成分等)を用いることができる。
<HC−HA/PTX3複合体の準備>
HC−HA/PTX3複合体はBio―Tissue社から提供されたヒトの胎盤から準備した。まず、無菌条件下で、羊膜を他の胎盤組織からの分離してから、羊膜を薄い片に切り、−80℃で凍結させるか、あるいは、一時的に液体窒素中(PBS(リン酸緩衝生理食塩水)(ml)/羊膜重量(g)=1:1)に置き、次いで、Cuisinart CBT―700ブレンダ(クイジナート社製)によりホモジナイズした。ホモジナイズによる混合は、1時間、4℃で行われた。その後、4℃、48,000gの条件で30分間遠心分離を行い、上澄み(羊膜の抽出物)を回収した。回収した羊膜の抽出物を、更に、開始時の密度を1.35g/ml(1回目の分離)及び1.40g/ml(2回目の分離)とし、CsCl/4MグアニジンHClにより、48時間、15℃、35,000rpm/minの条件で超遠心分離に2回供した。遠心後の溶液から、HAは検出できたが、タンパクを検出できなかった画分を集め、蒸留水に対して透析を行い、目的とするHC―HA/PTX3を得た。
なお、上述の羊膜からHC−HA/PTX3複合体を調製するための全ての試薬は、シグマアルドリッチ社製のものを用いた。また、HAは、HA Quantitative Test Kit(Corgenix社製)により検出し、タンパク量は、BCAタンパク質分析キット(Pierce社製)により測定した。つまり、HC−HA/PTX3複合体の量は、複合体中に存在するHAの量に基づいて、表した。また、本実施例において、4−15%の勾配のアクリルアミドのゲル、及び、ニトロセルロース膜は、BIO―RAD社製のものを用いた。HC1(ab70048)に対する抗体は、abcam社製のものを用い、PTX3に対する抗体(MNB1、ALX―804―463―C100)は、Enzo Life Sciences社製のものを用いた。
<骨髄移植による慢性移植片対宿主病を発症するマウスの作製>
ドナー及びレシピエントとして、7〜8週間目の雄及び雌のB10.D2(H―2)及びBALB/c(H―2)マウス(三共研究所製)を用い、また、それぞれについて、成熟したT細胞のソースとして添加する脾臓細胞を使用した。雌のレシピエントマウスに、Gammacel 137Cs source(J. L. Shepherd & Associates社製)から、700cGyの致命的な放射線を与えた。その約6時間後に、これらマウスに、雄のドナー骨髄(1X10/マウス)、及びRPMI 1640(BioWhittaker社製)で懸濁した脾臓(2X10/マウス)を尾静脈から注入し、慢性移植片対宿主病のモデルマウスを作製した。なお、雄ドナーマウスのBALB/cの脾臓及び骨髄細胞が注入された雌のBALB/cレシピエントマウスを、コントロール(同系の骨髄移植)として用いた。
<HC−HA/PTX3複合体のマウスへの注入>
HC−HA/PTX3複合体をPBSに溶解した溶液と、コントロールとして、HC−HA/PTX3複合体を含まないPBSを、慢性移植片対宿主病のモデルマウス(n=9〜18)の涙腺周辺に注入した。具体的には、以下のようなスケジュールで注入を行った。
まず、上記のPBS溶液を、30Gの注射針を備えるツベルクリン・シリンジにより、涙腺周辺の4つの箇所(2箇所が皮膚であり、2箇所が結膜である)に1箇所あたり10μlの量を注入した。この注入を、移植後からD10(骨髄移植後の4日後)、D17(骨髄移植後の17日後)、D21(骨髄移植後の21日後)、D25(骨髄移植後の25日後)、及びD28(骨髄移植後の28日後)まで、3日又は4日毎に、1週間あたり2回実施した。なお、HC−HA/PTX3複合体が投与された慢性移植片対宿主病のモデルマウスを実施例に係るマウスとし、(HA/PTX3複合体を含まない)PBSが投与された慢性移植片対宿主病のモデルマウスを、対照例に係るマウスとした。
<マロリー染色、ヘマトキシリン・エオジン染色、PAS染色による涙腺及び結膜の線維化の観察>
実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの涙腺及び結膜の組織の切片を、ホルマリン4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンワックスで包埋した。このパラフィン包埋組織の切片を、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE staining)及びマロリー染色(Mallory staining)により染色した。ヘマトキシリン・エオジン染色、マロリー染色、PAS染色を受ける涙腺及び結膜の切片を、顕微鏡により観察した。染色パターンは標識化の強度及び区分に従って半定量的に等級分けされた。
具体的には、顕微鏡としてNikon Coolscope II(株式会社ニコン製)を用い、各切片について200Xの倍率で4つ以上のランダムに選択したフィールドをキャプチャーし、コンピュータ化されたイメージ分析システムであるImage J(NIH(National Institutes of Health)製)に取り込んだ。なお、染色による観察は、骨髄移植後の35日後に行った。
涙腺組織において、コラーゲン堆積を、青で染色した領域と、染色した全ての領域との比として定量化し、線維化領域として表した。
<免疫染色によるファイブロサイト浸潤の評価>
実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの涙腺についてのファイブロサイト浸潤を評価するために、以下の操作を行った。
まず、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの涙腺の組織の切片を、ホルマリン4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンワックスで包埋した。次に、コラーゲン特異的な分子シャペロンであるHSP47(StressGen Biotechnologies社製)の免疫蛍光染色を行うことを目的として、抗体反応の前処置としての抗原賦活化方法は、パラフィン包埋された涙腺の組織の切片に対して、20分間、120℃でオートクレーブ処理を行い、ホルマリンで固定・凍結された涙腺の組織の切片に対しては、10分間、37℃で、抗原賦活化液(Histo VT One、ナカライテスク社製)中で37℃でインキュベートした。
慢性移植片対宿主病のモデルマウスにおいて、抗−CD3、CD4、CD8、CD11c、CD19、CD34、CD45、CD68、CD154、CXCR4、IL―17、コラーゲン・タイプI、MHC class II及びHSP47の抗体(全てe−bioscience社製)とともに、オーバーナイトで4℃でインキュベートした。PBSによる洗浄後、切片を、Alexa 488と複合体を形成したヤギの抗マウスの第2の抗体(Molecular Probes社製)とともにインキュベートし、その核をTO−PRO(登録商標)−3(Invitrogen社製)により染色した。蛍光染色のための組織の切片は、SM 700 confocal microscope(Carl Zeiss社製)を用いて観察した。HSP47+線維芽細胞/領域(x630の倍率)の数は、3〜5の切片上の少なくとも5つの異なる領域でカウントした。間質に存在する楕円形の核を有するHSP47+紡錘状の細胞を、線維芽細胞とみなした。つまり、コラーゲン特異的な分子シャペロンであるHSP47を陽性に免疫染色する方法を、活性化された線維芽細胞のマーカーとして使用した。
<リアルタイムPCRによる遺伝子発現量の評価>
RNeasyミニ・キット(Qiagen社製)を使用して、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの涙腺から、全RNAを抽出した。その後、cDNAの合成を、Rever Tra Ace with genomic remover qPCR RT Kit(東洋紡株式会社)を用いて行った。TaqManリアルタイムPCRによるmRNA発現分析のためのプライマーとしては、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド 3―リン酸塩デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、HSP47、コラーゲン・タイプIα1、コラーゲン・タイプIα2、コラーゲン・タイプIIIα1、TGF―β、及びNF−kBの遺伝子について、Applied Biosystems社から購入したものを用いた。qPCRは、Step One Plus system (Applied Biosystems社)を使用して行った。すべてのデータは、2△△CT方法(遺伝子発現の相対定量の中には検量線をひかなくても目的遺伝子とリファレンス遺伝子のCt値を求めるだけで、未知のサンプル間の目的遺伝子の発現量を比較定量できる方法のことを指す。言い換えると、検量線を作成せず目的遺伝子とリファレンス遺伝子の差(ΔΔCt値)をもとに更に未知のサンプル間のΔCt値の差から比較定量する方法である。「原理からよくわかる リアルタイムPCR実験ガイド 羊土社 35、37ページ」を参照)により分析し、GAPDHのmRNAを、内部標準とした。
<涙の分泌量の測定>
実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウス、及び、慢性移植片対宿主病でない、通常のマウス(以下、「参考例に係るマウス」ということがある。)における涙の生成量の測定を行った。
まず、フェノールレッド糸を、15秒間、下眼瞼縁に一時的に配置し、糸の端から湿る糸の長さを測定した。涙の分泌量は、それぞれのマウスの両眼において測定し、それぞれの平均値を測定値とした。
<評価結果>
(結膜の杯細胞(Goblet cell)の観察及び数の測定)
マロリー染色、ヘマトキシリン・エオジン染色、PAS染色により、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウス(それぞれ、n=6)の結膜の杯細胞の観察及びその数の計測を行った。その結果を、図1、2に示す。図1が、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの結膜を、マロリー染色、ヘマトキシリン・エオジン染色及びPAS染色により染色し、顕微鏡により観察した画像である。図2が、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの結膜の杯細胞の数についてのグラフである。
図1(特に、PAS染色)及び図2からわかるように、対照例に係るマウスに対し、実施例に係るマウスにおいては、結膜上の杯細胞の数が、有意に多いことが確認された。このことから、慢性移植片対宿主病のマウスにおいて生じる、粘膜である結膜の杯細胞の減少が、HC−HA/PTX3複合体により抑制されたからであると考えられる。
(涙腺における炎症の評価)
マロリー染色、ヘマトキシリン・エオジン染色により、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウス(それぞれ、n=6)の涙腺の観察を行った。その結果、実施例に係るマウスにおいて、対照例に係るマウスと比較して、涙腺における炎症が減少した。また、電子顕微鏡を用いて、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウス(それぞれ、n=6)の涙腺の観察を行った。その結果を、図3に示す。図3中、「Aci」は腺房を示し、矢印は、浸潤している炎症細胞を示す。図3の結果から、実施例に係るマウスにおいては、浸潤している炎症細胞が減少していることが確認された。更に、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病涙腺のマウスモデル(それぞれ、n=6)において、CD45、CD4、及び、IL−17についての抗体、又はMHC class IIについての抗体を用いて、免疫染色を行った。この際、併せて、DAPIによる染色を行った。染色後の涙腺について観察を行ったところ、対照例に係るマウスと比較して、実施例に係るマウスにおいては、炎症が少ないことが確認された。
実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウス(それぞれ、n=4)の涙腺における、MHC class II陽性の細胞について、リアルタイムPCRにより、炎症のマーカーであるNF−kBのmRNAの発現量を測定した。その結果を、図4に示す。図4の結果からわかるように、NF−kBのmRNAの発現量が、対照例に係るマウスと比較して、実施例に係るマウスにおいては、有意に少ないことが確認された。
以上のことから、HC−HA/PTX3複合体は、慢性移植片対宿主病における炎症を抑制することが示された。
(ファイブロサイト浸潤の評価)
実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスの涙腺において、ファイブロサイトのマーカーであるCD45及びCD34、CD45及びコラーゲンタイプI、並びに、CD45、CXCR4、及びCD34についての抗体を用いて、免疫染色を行った。染色後の組織について観察した結果を、図5に示す。図5中の矢印は、涙腺中に遊走してきたファイブロサイト、すなわち、涙腺中に浸潤したファイブロサイトを示す。図5に示す結果から明らかなように、ファイブロサイト浸潤が、対照例に係るマウスと比較して、実施例に係るマウスにおいては、有意に少ないことが確認された。
また、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウス(それぞれ、n=6−7)の涙腺の細胞において、繊維化の指標となる遺伝子である、コラーゲン・タイプIII、コラーゲン・タイプIα1、HSP47のmRNAの発現量をリアルタイムPCRにより測定した。その結果を、図6〜8に示す。図6は、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスのコラーゲン・タイプIIIのmRNAの発現量についてのグラフである。図7は、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスのコラーゲン・タイプIα1のmRNAの発現量についてのグラフである。図8は、実施例及び対照例に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスのHSP47のmRNAの発現量についてのグラフである。
これらの結果から、慢性移植片対宿主病においては、涙腺においてファイブロサイト浸潤が生じること、HC−HA/PTX3複合体が慢性移植片対宿主病におけるファイブロサイト浸潤を抑制すること、及び、ファイブロサイト浸潤により生じると考えられる繊維化を抑制することが示された。
(涙の分泌量の測定)
実施例(n=6)、対照例(n=7)、及び参考例(n=7)に係る慢性移植片対宿主病のモデルマウスにおける涙の生成量の測定を行った。その結果を、図9に示す。図9からわかるように、対照例に係るマウスと比較して、実施例に係るマウスにおいては、有意に涙の量が多いことが確認された。この結果より、HC−HA/PTX3複合体が、慢性移植片対宿主病において減少した涙の量を回復させることが示され、慢性移植片対宿主病により引き起こされるドライアイの治療に有効であることが示された。
以上の結果から、移植片対宿主病が発症すると、涙腺等の外分泌腺の組織において、ファイブロサイト浸潤が生じ、このファイブロサイト浸潤が、組織の繊維化を引き起こす。他方、移植片対宿主病が発症すると、外分泌腺や粘膜組織のT細胞が活性化する。このように外分泌腺及び粘膜組織中で、T細胞の活性化と繊維化との両方が生じることで炎症の亢進や、結膜等の粘膜における杯細胞(ゴブレットセル)の減少が生じて、ドライアイ等の移植片対宿主病が発症する。本発明の移植片対宿主病の治療剤は、HC−HA/PTX3複合体が、外分泌腺及び粘膜組織のT細胞の活性化の抑制と、外分泌腺よび粘膜組織へのファイブロサイト浸潤の両方を抑制することで、結果として、移植片対宿主病を治療に有効に用いることができると推測される。

Claims (5)

  1. HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、涙線及び結膜よりなる群から選択される少なくとも1つにおけるファイブロサイト浸潤を抑制する剤。
  2. HC−HA/PTX3複合体を有効成分として含有する、涙線及び結膜よりなる群から選択される少なくとも1つにおける杯細胞の減少を抑制する剤。
  3. 前記ファイブロサイト浸潤が移植片対宿主病におけるファイブロサイト浸潤である、請求項に記載の剤。
  4. 前記杯細胞の減少が移植片対宿主病における杯細胞の減少である、請求項に記載の剤。
  5. 前記ファイブロサイト浸潤による線維化を抑制するための、請求項又はに記載の剤。
JP2017018643A 2016-03-28 2017-02-03 移植片対宿主病の治療剤又は予防剤、ファイブロサイト浸潤抑制剤、及び涙液減少と杯細胞の減少の抑制剤 Active JP6967260B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016064376 2016-03-28
JP2016064376 2016-03-28

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017178922A JP2017178922A (ja) 2017-10-05
JP6967260B2 true JP6967260B2 (ja) 2021-11-17

Family

ID=60003788

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017018643A Active JP6967260B2 (ja) 2016-03-28 2017-02-03 移植片対宿主病の治療剤又は予防剤、ファイブロサイト浸潤抑制剤、及び涙液減少と杯細胞の減少の抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6967260B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2822301T3 (es) * 2011-06-10 2021-04-30 Tissuetech Inc Métodos de procesamiento de tejidos de soporte fetal
JP2015528001A (ja) * 2012-07-11 2015-09-24 ティッシュテック,インク. Hc−ha/ptx3複合体を含む組成物およびその使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017178922A (ja) 2017-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100068177A1 (en) Methods of organ regeneration
Ozerdem et al. Contribution of Bone Marrow–Derived Pericyte Precursor Cells to Corneal Vasculogenesis
KR101859124B1 (ko) 눈 손상 및 질환 치료용 성체 줄기 세포/전구 세포 및 줄기 세포 단백질
KR101730052B1 (ko) 심근경색의 수복 재생을 유도하는 다능성 간세포
Moroncini et al. Mesenchymal stromal cells from human umbilical cord prevent the development of lung fibrosis in immunocompetent mice
Ogawa et al. Heavy chain-hyaluronan/pentraxin 3 from amniotic membrane suppresses inflammation and scarring in murine lacrimal gland and conjunctiva of chronic graft-versus-host disease
Fuentes-Julián et al. Adipose-derived mesenchymal stem cell administration does not improve corneal graft survival outcome
Kwon et al. Treatment of Full‐Thickness Rotator Cuff Tendon Tear Using Umbilical Cord Blood‐Derived Mesenchymal Stem Cells and Polydeoxyribonucleotides in a Rabbit Model
Long et al. The therapeutic effect of vascular endothelial growth factor gene-or heme oxygenase-1 gene-modified endothelial progenitor cells on neovascularization of rat hindlimb ischemia model
Liu et al. Hematopoietic stem cells mobilized by granulocyte colony‐stimulating factor partly contribute to liver graft regeneration after partial orthotopic liver transplantation
TW201832776A (zh) 心肌病、陳舊性心肌梗塞及慢性心臟衰竭的治療藥物
Lan et al. Altered expression and in vivo lung function of protease-activated receptors during influenza A virus infection in mice
US20170080030A1 (en) Compositions and methods for treating retinopathy
Hu et al. Preparation of single cell suspensions from mouse aorta
Wang et al. Pre-clinical study of human umbilical cord mesenchymal stem cell transplantation for the treatment of traumatic brain injury: safety evaluation from immunogenic and oncogenic perspectives
Laukka et al. Preperitoneal fat grafting inhibits the formation of intra-abdominal adhesions in mice
US20180280446A1 (en) Agent for Treating Urinary Incontinence Including Stem Cells Derived from Amniotic Fluid
JP6967260B2 (ja) 移植片対宿主病の治療剤又は予防剤、ファイブロサイト浸潤抑制剤、及び涙液減少と杯細胞の減少の抑制剤
Hu et al. Effects of administration route of adipose-derived stem cells on the survival of allogeneic skin grafts in mice
JP7279890B2 (ja) 移植片対宿主病の治療剤又は予防剤
Zhang et al. Effect of secondary lymphoid tissue chemokine suppression on experimental ulcerative colitis in mice
US20140050705A1 (en) Agent for treating urinary incontinence including stem cells derived from amniotic fluid
JP2020174573A (ja) 虚血組織に集積するエクソソームおよびその製造方法
Blanco et al. Experimental models of uveal melanoma
Sun et al. Application of human umbilical cord mesenchymal stem cells in rat spinal cord injury model

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181221

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210608

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210806

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211018

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6967260

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150