JP6966242B2 - 液体の収容容器 - Google Patents

Description

本発明は、液体の収容容器に関する。

体液測定システムの一例として、使い捨て型のグルコースセンサが接続され、このグルコースセンサに点着された血液中のグルコース濃度の測定を行い、その結果を表示する測定器を含むグルコース測定システムがある。

測定器による測定精度を保つため、コントロール液と呼ばれる液体を用いた試験が実施されている。試験では、グルコースセンサにコントロール液を点着させて測定器による測定を行い、測定結果の数値が所定範囲に収まる場合に測定器が正常であると判定する。

上記したコントロール液を用いた試験は、医療機関や検査機関などの家庭外の機関で実施されていた。コントロール液はスクリューキャップを有するボトルに収容され、ボトルから１回の試験に必要な量を滴下させ、試験対象のグルコースセンサに点着させていた。

近年、グルコース濃度の測定を家庭で行うケースが増えてきており、コントロール液を用いた試験が家庭でも行われるケースが増えることが見込まれている。家庭における試験の頻度は、上記した医療機関や検査機関における頻度よりも低いと考えられる。

このため、上記したボトルをそのまま家庭に適用すると、必要量以上のコントロール液を提供する結果となり、コスト低減の妨げとなるとなるおそれがあった。上記ボトルに家庭での試験の頻度を考慮した量を収容することも考えられる。しかし、ボトルの収納性の問題や、開栓されたボトルの保管の煩雑さや、開栓によるコントロール液の劣化を考慮すると、上記ボトルでの提供は好ましいとは云えない。さらに、測定器の使用者がスクリューキャップの開け閉めに不便を感じるケースも想定される。

このような問題は、コントロール液の収容容器だけに止まらず、使用頻度が多くない測定器の試験用の液体の収容容器一般に対して当てはまる問題である。

本発明は、測定器の試験用の液体の扱いを容易にする液体の収容容器を提供することを目的とする。

本発明の一側面は、測定器の試験用の液体を密閉状態で収容する収容部と、
前記液体を貯留する貯留部と、
前記収容部及び前記貯留部との一方を他方に対して折り返し可能に連結する連結部と
を含むことを特徴とする液体の収容容器である。

本発明に係る液体の収容容器は、前記貯留部が前記収容部に対して折り返し可能に形成され、前記貯留部は、前記折り返し時に前記収容部内に挿入される突起部を含み、前記突起部は、前記折り返し時に前記収容部と前記貯留部とを連通させる前記液体の流路を含むように構成しても良い。

本発明に係る液体の収容容器は、前記収容部が前記貯留部に対して折り返し可能に形成
され、前記収容部は、前記折り返し時に前記貯留部の上方に位置する、前記液体の排出口を有するように構成しても良い。前記液体は、試料中のグルコース濃度を測定する測定器の試験に用いるコントロール液であるのが好ましい。

本発明によれば、測定器の試験用の液体の扱いが容易となる。

図１は実施形態１に係る収容容器の表面を示す。 図２は実施形態１に係る収容容器の裏面を示す。 図３は実施形態１に係る収容容器の折り返し状態を模式的に示す。 図４は実施形態１に係る収容容器の使用状態を示す。 図５は実施形態１に係る収容容器の変形例を模式的に示す。 図６は実施形態２に係る収容容器の構成を模式的に示す。 図７は実施形態２に係る収容容器の変形例１を模式的に示す。 図８は実施形態２に係る収容容器の変形例２を模式的に示す。

以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る液体の収容容器について説明する。以下に説明する実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。

〔実施形態１〕
図１は実施形態１に係る収容容器の表面を示し、図２は実施形態１に係る収容容器の裏面を示す。図３は実施形態１に係る収容容器の折り返し状態を模式的に示す。また、図４は実施形態１に係る収容容器の使用状態を示す。

収容容器１０は、体液測定システムの一例である試料（血液、間質液）中のグルコース濃度を測定するグルコース測定システム（測定器）の試験に適用されるコントロール液の収容容器である。但し、体液は血液以外であっても良い。

収容容器１０は、収容部１３を含む第１部材１１と貯留部１７を含む第２部材１２と、第２部材１２（貯留部１７）を第１部材１１（収容部１３）に対して折り返し可能に連結する連結部とを含む。

図１〜図３に示す例では、第１部材１１は、測定器の試験用の液体の一例であるコントロール液２０（図３）を密閉状態で収容する収容部１３を含み、第２部材１２は貯留部１７を含み、貯留部１７が収容部１３に対して折り返し可能に連結されている。第１部材１１は、収容容器１０の裏面において開口する凹部１３ａを有する円形ボウル状の収容部１３と、収容部１３の縁部に連結されたフランジ１１ａとを含む。

凹部１３ａにはコントロール液２０が充填され、コントロール液２０を収容した凹部１３ａは蓋１９により密閉される。凹部１３ａに保持されるコントロール液の量は、例えば１００μl〜２００μlである（但し、実質の使用量は収容量より少ない）。蓋１９は、例えば樹脂製のフィルムなどであり、接着剤を用いた接着、熱による融着、圧着などの適宜の手法を用いて設けられる。このように、第１部材１１の収容部１３はコントロール液２０を密閉状態で収容する。

第２部材１２は、収容容器１０の表面（図１）において開口する凹部１４と、凹部１４の縁部に連結されたフランジ１２ａと、凹部１４の形成によって収容容器１０の裏面側に飛び出した貯留部１７と、貯留部１７の中央部から突出する突起部１６とを含む。突起部
１６は、第２部材１２が収容部１３に対して折り返される折り返し方向（図３の矢印参照）に突出している。

突起部１６の内部は中空であり、突起部１６の両端は開口している。すなわち、突起部１６の一端は、貯留部１７に連結され、凹部１４の底と突起部１６の内部とを連通させる開口部１５ａを有している。突起部１６の他端は開口部１５ｂを有し、凹部１４の底から突起部１６の他端までを貫通する貫通孔１５が形成されている。このように、貯留部１７は漏斗状に形成されている。

フランジ１１ａ及びフランジ１２ａは収容部１３と貯留部１７とを連結する連結部として機能する。フランジ１１ａ及びフランジ１２ａのそれぞれは矩形に形成されており、その一辺が同一平面上で連結され、収容容器１０の表面を上方に向けて配置した場合に、収容部１３が収容容器１０の下方に配置され、貯留部１７が収容容器の上方に配置される（図３参照）。

実施形態では、収容部１３を含む第１部材１１と貯留部１７を含む第２部材１２とは、樹脂等を用いて一体成型されている。収容容器１０の裏面（図２）において、第１部材１１と第２部材１２との間に溝１８が形成され、溝１８がフランジ１１ａとフランジ１２ａとを区画し、第１部材１１（収容部）と第２部材１２（貯留部）との境界部分（連結部位）をなしている。溝１８は、例えばハーフカット加工による切り込みである。溝１８の代わりにミシン目や折り目を設けても良く、溝、ミシン目、折り目の少なくとも一つが形成されるようにしても良い。

溝１８により、図３に示すように、収容容器１０の裏面を上方に向けた状態で、第２部材１２（貯留部１７）を第１部材１１（収容部１３）へ向かって折り返すことができる。折り返しによって、突起部１６の先端が蓋１９に当接し、蓋１９を破って凹部１３ａ内のコントロール液２０に挿入される。

すると、毛管現象によって、コントロール液２０が開口部１５ｂから吸い上げられ、貫通孔１５を通って開口部１５ａから排出され、凹部１４に貯留される（図４参照）。貫通孔１５は、収容部１３と貯留部１７とを連通させるコントロール液２０の流路として機能し、開口部１５ａは、収容部１３から貯留部１７へ移動するコントロール液２０の排出口として機能する。もっとも、毛管現象によらず、凹部１３ａ内のコントロール液２０が貫通孔１５を通って凹部１４に移動するようになっていても良い。

凹部１４をなす面は、例えば球面として、コントロール液２０が集まりやすくする。或いは、凹部１４の底が平面で形成され、この平面に開口部１５ａがある場合、上記平面のうちの開口部１５ａを囲む第１の領域の疎水性は、この第１の領域を囲む第２の領域の疎水性よりも低くなるようにしても良い。この場合、開口部１５ａから排出され、第１の領域に滴下されたコントロール液２０が第２の領域へ拡散するのが規制される。このような拡散範囲の規制により、コントロール液２０が点着に適した盛り上がった形状（例えば半球状）となるようにすることができる。これらの第１の領域及び第２の領域は規制部として機能する。また、凹部１４をなす面は疎水性を有するように形成してもよい。

なお、貯留部１７が収容部１３に対して１８０°近く折り返された場合に、貯留部１７が凹部１３ａ内に収容され、収容容器１０が二つ折りにされた状態となるようにしても良い。また、折り返された貯留部１７が凹部１３ａに嵌合して二つ折りの状態が維持されるようにしても良い。

実施形態では、グルコース濃度測定システムは、図４に示すように、グルコースセンサ
２１と、グルコースセンサ２１が接続される測定器２２とを有する。グルコースセンサ２１の末端は、血液やコントロール液２０を点着する点着部２１ａとなっている。使用者は、コントロール液２０を用いた測定器２２の正常性の試験を行う場合に、グルコースセンサ２１を接続した測定器２２を手で持ち、点着部２１ａを凹部１４に貯留されたコントロール液２０と接触させることで点着を行う。グルコースセンサ２１は、点着された血液やコントロール液２０の流路を有し、流路内に電極及び試薬が設けられている。

測定器２２は、上記したグルコースセンサ２１が備える電極に所定の電圧を印加し、電圧印加による血液やコントロール液２０の電気化学反応により生じる電流（応答電流と呼ばれる）を検出し、応答電流をグルコース濃度に換算した値を算出し、ディスプレイ２３に表示する。

コントロール液２０は、測定器２２の測定結果としてディスプレイ２３に所定のグルコース濃度が表示されるようにグルコース濃度が調整されたグルコース含有溶液である。但し、コントロール液の成分は、測定対象の体液成分に応じて適宜変更される。使用者は、ディスプレイ２３に表示されたコントロール液２０の測定結果（グルコース濃度）が所定の値を示すことを以て、測定器２２が正常であると認識することができる。これに対し、測定結果が所定の値以外である場合に、使用者は、測定器２２とグルコースセンサ２１との少なくとも一方が異常の可能性ありと判断することができる。

実施形態１によれば、収容容器１０の裏面を上方に向け、溝１８を用いて第２部材１２（貯留部１７）を第１部材１１（収容部１３）に向かって折り返すことで、所望量のコントロール液２０を凹部１４に貯めることができ、点着作業を行うことができる。この場合、コントロール液が収容されたボトルのスクリューキャップを外したり、ボトルから所定量のコントロール液を適宜の場所に滴下したりする作業が不要となるため、点着作業が容易となる。また、コントロール液が手に付着するのを回避し易くなる。

また、収容容器１０には一回の試験用のコントロール液２０を収容し、使い捨てとすることで、スクリューキャップを再びボトルに取り付けたり、ボトルを保管したりするなどの煩雑さが解消される。また、コントロール液２０の収容量の減少により収容容器１０のコストを抑えることができる。このような収容容器１０の採用により、家庭での試験の需要に適正に対応することができる。

図５は実施形態１に係る収容容器１０の変形例（収容容器１０Ａ）を模式的に示す。収容容器１０Ａでは、図５に示すように、第２部材１２（貯留部１７）の凹部１４の底に、開口部１５ａの周囲を囲む環状凸部２４が形成されている。環状凸部２４は、開口部１５ａから凹部１４内に排出されるコントロール液２０の拡散範囲を規制する規制部として機能する。環状凸部２４によって、凹部１３ａから凹部１４内に排出されたコントロール液２０が少量でも点着に適した深さを有するようにすることができる。

〔実施形態２〕
以下、実施形態２について説明する。実施形態２の構成は、実施形態１と共通点を含むので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。

図６は実施形態２に係る収容容器１０Ｂの構成を模式的に示す。収容容器１０Ｂでは、第１部材１１は、収容部１３Ａを有している。収容部１３Ａの内部は中空であり、内部は図６における下方にて開口し、凹部を形成している。収容部１３Ａの内部（凹部）にはコントロール液が充填され、蓋１９Ａにより密閉される。蓋１９Ａは実施形態１で説明した蓋１９と同様のものを適用できる。

また、収容部１３Ａには、収容部１３Ａの底面（図６における上面）の中央部から突出する突起部１６Ａが設けられている。突起部１６Ａは、収容部１３Ａの内部と連通した貫通孔を有し、突起部１６Ａの先端には開口部が設けられている。開口部にはキャップ１６ａが設けられ、収容部１３Ａ内が密閉されている。開口部の閉塞にキャップ１６ａ以外の部材を用いても良い。

第２部材１２には、図６において上方に開口した凹部１４Ａを有する貯留部１７Ａが設けられている。収容部１３Ａの下縁はフランジ１１ａと連結され、貯留部１７Ａの上縁はフランジ１２ａと連結され、フランジ１１ａ及びフランジ１２ａは、収容部１３Ａを貯留部１７Ａに対して折り返し可能に連結する連結部として機能する。実施形態１と同様に、第１部材１１と第２部材１２との間に溝１８（切れ込み）が形成され、図６中の矢印で示す折り返し方向に容易に折り返し可能となっている。溝１８の代わりにミシン目や折り目を設けても良いことは実施形態１と同様である。

収容容器１０Ｂの使用時（測定器２２の試験時）には、収容部１３Ａを貯留部１７Ａに向かって折り返し、突起部１６Ａの先端が貯留部１７Ａの凹部１４Ａに対向する状態においてキャップ１６ａを取り外し、蓋１９Ａを指などで押す。蓋１９Ａは可撓性を有し、凹部１３ａ内に向かって凹む。このとき、収容部１３Ａ内に収容されたコントロール液が突起部１６Ａの先端の開口部から押し出されて凹部１４Ａ内に落ち、凹部１４Ａにて貯留される。

このように、実施形態２では、収容部１３Ａが貯留部１７Ａに対して折り返し可能に形成され、収容部１３Ａは、コントロール液の排出口である突起部１６Ａの開口部を有し、この開口部は上記折り返し時に貯留部１７Ａの上方に位置する。

使用者は、凹部１４Ａの底に貯まったコントロール液をグルコースセンサ２１に点着させる。凹部１４Ａをなす面は球面としても良い。また、凹部１４Ａの底には、コントロール液の拡散範囲を規制する規制部を設けることができる。例えば、親水性領域が設けられ、親水性領域の周囲に親水性領域より親水性の低い周辺領域が設けられ、親水性領域に収容部１３Ａからのコントロール液が滴下され、親水性領域から周辺領域への拡散が規制されるようにして、盛り上がった形状（例えば半球状）のコントロール液が形成されるようにしても良い。また、凹部１４Ａをなす面は疎水性を有するように形成してもよい。

或いは、図７の変形例１に示すように、凹部１４Ａの底に規制部としての環状凸部２４Ａを設けて、環状凸部２４Ａ内に収容部１３Ａからのコントロール液が滴下されるようにしても良い。或いは、図８の変形例２に示すように、凹部１４Ａの底に規制部としての窪み２４Ｂを設けて、窪み２４Ｂ内に収容部１３Ａからのコントロール液が滴下されるようにしても良い。実施形態２の収容容器１０Ｂも、実施形態１と同様の効果を奏することができる。実施形態で説明した構成は適宜組み合わせることができる。

１１・・・第１部材
１２・・・第２部材
１１ａ，１２ａ・・・フランジ（連結部）
１３，１３Ａ・・・収容部
１３ａ，１４，１４Ａ・・・凹部
１５・・・貫通孔（流路）
１６，１６Ａ・・・突起部
１７，１７Ａ・・・貯留部
１８・・・溝
２０・・・コントロール液
２１・・・グルコースセンサ
２２・・・測定器
２４，２４Ａ・・・環状凸部

Claims (9)

1. 測定器の試験用の液体を密閉状態で収容する収容部と、
   前記液体を貯留する貯留部と、
   前記収容部及び前記貯留部との一方を他方に対して折り返し可能に連結する連結部とを含み、
   前記貯留部が前記収容部に対して折り返し可能に形成され、
   前記貯留部は、前記折り返し時に前記収容部内に挿入される突起部を含み、
   前記突起部は、前記折り返し時に前記収容部と前記貯留部とを連通させる前記液体の流路を含む
   液体の収容容器。
2. 前記貯留部は、前記収容部への折り返し方向に凹んだ凹部を有し、
   前記突起部は、前記折り返し方向に突出し、前記凹部内で開口する一端と前記折り返し時に前記収容部内の前記液体に挿入される他端とを有する貫通孔を有する
   請求項１に記載の液体の収容容器。
3. 前記貯留部は、前記流路を通って前記貯留部内に排出される前記液体の拡散範囲を規制する規制部を含む
   請求項１又は２に記載の液体の収容容器。
4. 前記貫通孔の一端の周囲に設けられた第１の領域の疎水性は、前記第１の領域を囲む第２の領域の疎水性よりも低い
   請求項２に記載の液体の収容容器。
5. 前記貯留部は、前記貫通孔の一端を囲むように前記凹部に設けられた環状凸部を有する請求項２に記載の液体の収容容器。
6. 取り外し可能なキャップで塞がれた液体の排出口を有する底面と可撓性の蓋とを有し、測定器の試験用である前記液体を密閉状態で収容する収容部と、
   前記液体を貯留する貯留部と、
   前記収容部及び前記貯留部の一方を他方に対して折り返し可能に連結する連結部とを含
   み、
   前記貯留部が折り返されて前記収容部の底面と前記貯留部が対向したときに、前記排出口は前記貯留部の上方に位置する
   液体の収容容器。
7. 前記貯留部は、前記排出口から排出された前記液体の拡散範囲を規制する規制部を含む請求項６に記載の液体の収容容器。
8. 前記連結部に、溝、ミシン目、折り目の少なくとも一つが形成されている
   請求項１から７のいずれか１項に記載の液体の収容容器。
9. 前記液体は、試料中のグルコース濃度を測定する測定器の試験に用いるコントロール液である
   請求項１から８のいずれか１項に記載の液体の収容容器。

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