以下、図面を参照して、各実施形態に係る解析装置として装置本体を備える超音波診断装置を説明する。なお、各実施形態は、適宜組み合わせることができる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、心電計104と、装置本体100とを有する。超音波プローブ101、入力装置102、ディスプレイ103及び心電計104は、装置本体100と通信可能に接続される。なお、被検体Pは、超音波診断装置1の構成に含まれない。
超音波プローブ101は、超音波の送受信を行う。例えば、超音波プローブ101は、複数の圧電振動子を有する。これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、第1の実施形態に係る超音波プローブ101は、2次元的な領域に対する走査(スキャン)を行う1Dアレイプローブであっても、3次元的な領域に対する走査を行うメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても適用可能である。超音波プローブ101は、2次元的な領域に対する走査を行った場合には、2次元的な反射波信号を受信し、3次元的な領域に対する走査を行った場合には、3次元的な反射波信号を受信する。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック、フリーズボタン等の装置に対応する。入力装置102は、超音波診断装置1のユーザからの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。入力装置102は、操作部の一例である。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1のユーザが入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成されたBモード画像やカラードプラ等を表示したりする。例えば、ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
心電計4は、被検体Pの生体信号として、被検体Pの心電波形(ECG:Electrocardiogram)を取得する。心電計4は、取得した心電波形を装置本体100に送信する。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体100により生成される超音波画像データは、2次元的な反射波信号に基づいて生成される2次元の超音波画像データ、又は、3次元的な反射波信号に基づいて生成される3次元の超音波画像データである。
装置本体100は、図1に例示するように、送受信回路110と、バッファ111と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、処理回路140と、画像メモリ150と、内部記憶回路160と、解析回路170とを備える。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、処理回路140、画像メモリ150、内部記憶回路160及び解析回路170は、互いに通信可能に接続される。
送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定の繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路110は、処理回路140からの指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、アンプ回路、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器、直交検波回路等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データ(エコーデータ)を生成する。送受信回路110は、2次元的な反射波信号に基づいて2次元の反射波データを生成し、3次元的な反射波信号に基づいて3次元の反射波データを生成する。
アンプ回路は、反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路により受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行う。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
そして、直交検波回路は、加算器の出力信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(以下、IQ信号と記載する)を反射波データとして、バッファ111に格納する。なお、直交検波回路は、加算器の出力信号を、RF(Radio Frequency)信号に変換した上で、バッファ111に格納してもよい。IQ信号や、RF信号は、位相情報が含まれる信号(受信信号)となる。
ここで、バッファ111は、送受信回路110が生成した反射波データ(IQ信号)を一時的に記憶するバッファである。具体的には、バッファ111は、数フレーム分のIQ信号、又は、数ボリューム分のIQ信号を記憶する。例えば、バッファ111は、FIFO(First-In/First-Out)メモリであり、所定フレーム分のIQ信号を記憶する。そして、例えば、バッファ111は、新たに1フレーム分のIQ信号が送受信回路110にて生成された場合、生成時間が最も古い1フレーム分のIQ信号を破棄して、新たに生成された1フレーム分のI/Q信号を記憶する。なお、バッファ111は、送受信回路110、Bモード処理回路120、及びドプラ処理回路130とそれぞれ通信可能に接続される。
Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130は、送受信回路110が反射波信号から生成した反射波データに対して、各種の信号処理を行う。Bモード処理回路120は、バッファ111から読み出した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理、対数圧縮などを行って、多点の信号強度が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。Bモード処理回路120は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。
ドプラ処理回路130は、バッファ111から読み出した反射波データを周波数解析することで、走査範囲内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したドプラデータを生成する。具体的には、ドプラ処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。血流には、例えば、心腔内の血流や、心壁内の血流がある。本実施形態に係るドプラ処理回路130は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。なお、ドプラ処理回路130は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
画像生成回路141は、例えば、プロセッサにより実現される。画像生成回路141は、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像を生成する。具体例を挙げて説明すると、画像生成回路141は、Bモード処理回路120が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像を生成する。また、画像生成回路141は、ドプラ処理回路130が生成した2次元のドプラデータから血流情報が映像化された2次元ドプラ画像を生成する。2次元ドプラ画像は、速度画像、分散画像、又は、これらを組み合わせた画像である。画像生成回路141は、ドプラ画像として、血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像データを生成したり、1つの血流情報がグレースケールで表示されるドプラ画像データを生成したりする。
ここで、画像生成回路141は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路141は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路141は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成回路141は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路141が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
更に、画像生成回路141は、Bモード処理回路120が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行うことで、3次元Bモード画像を生成する。また、画像生成回路141は、ドプラ処理回路130が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行うことで、3次元ドプラ画像を生成する。
更に、画像生成回路141は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像を生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う。画像生成回路141が行うレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行ってボリュームデータからMPR画像を生成する処理がある。また、画像生成回路141が行うレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像を生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
ここで、画像生成回路141は、表示用の超音波画像データと当該超音波画像データを生成するために行なわれた超音波走査の時間とを、心電計4から送信された心電波形に対応付けて画像メモリ150に格納する。これにより、後述する選択機能170aは、画像メモリ150に格納されたデータを参照することで、所定の心時相の超音波画像データを取得することができる。
処理回路140は、例えば、プロセッサにより実現される。処理回路140は、制御機能140aを有する。ここで、例えば、図1に示す処理回路140の構成要素である制御機能140aは、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で内部記憶回路160に記録されている。処理回路140は、プログラムを内部記憶回路160から読み出し、読み出したプログラムを実行することで、プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路140は、制御機能140aを有することとなる。本実施形態で説明する制御機能140aは、制御部の一例である。
制御機能140aは、超音波診断装置1の処理全体を制御する。例えば、制御機能140aは、入力装置102を介してユーザから入力された各種指示や、内部記憶回路160から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、並びに、解析回路170の後述する選択機能170a、後述する特定機能170b及び後述する算出機能170cにより実行される処理を制御する。また、制御機能140aは、画像メモリ150や内部記憶回路160が記憶する表示用の超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。
例えば、制御機能140aは、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、超音波走査の制御を行う。
解析回路170は、選択機能170a、特定機能170b及び算出機能170cを備える。ここで、例えば、図1に示す解析回路170の構成要素である選択機能170a、特定機能170b及び算出機能170cの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で内部記憶回路160に記録されている。解析回路170は、各プログラムを内部記憶回路160から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の解析回路170は、図1の解析回路170内に示された各機能を有することとなる。本実施形態で説明する選択機能170aは、選択部の一例である。また、特定機能170bは、特定部の一例である。また、算出機能170cは、算出部の一例である。なお選択機能170a、特定機能170b及び算出機能170cにより実行される各種の処理については後述する。
処理回路140と、解析回路170とが、1つの処理回路にて実現されてもよい。すなわち、1つの処理回路が、制御機能140a、選択機能170a、特定機能170b及び算出機能170cを備えてもよい。このような1つの処理回路は、例えば、プロセッサにより実現される。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable GateArray:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは内部記憶回路160に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、内部記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
画像メモリ150は、画像生成回路141が生成した表示用の超音波画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、Bモード処理回路120が生成したBモードデータやドプラ処理回路130が生成したドプラデータを記憶することも可能である。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後にユーザが呼び出すことが可能となっており、画像生成回路141を経由して表示用の超音波画像データとなる。また、画像メモリ150は、送受信回路110が出力した反射波データを記憶することも可能である。
内部記憶回路160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶回路160は、必要に応じて、画像生成回路141により生成された超音波画像の保管等にも使用される。また、内部記憶回路160が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。また、内部記憶回路160は、外部装置から図示しないインターフェースを経由して転送されたデータを記憶することも可能である。また、内部記憶回路160は、選択機能170a、特定機能170b及び算出機能170cが各種の処理を実行する際に用いられるデータや各種の処理の結果算出されたデータ等を記憶する。例えば、内部記憶回路160には、特定機能170bにより特定された後述する輪郭の情報が格納される。すなわち、内部記憶回路160は、輪郭の情報(例えば、画像上の輪郭の位置)を記憶する。また、内部記憶回路160は、輪郭の情報を断面ごとに記憶してもよい。内部記憶回路160は、記憶部の一例である。
以上第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。
ここで、例えば、超音波診断装置が、スペックルトラッキング法を用いて、心臓の左室18分節それぞれの長軸方向に関する歪み(Longitudinal Strain)を算出し、算出した長軸方向に関する歪みの平均値を全体の長軸方向に関する歪み(GLS:Global Longitudinal Strain)として算出する場合について説明する。
この場合には、まず、医師などのユーザは、入力装置を操作して、超音波診断装置により生成された心臓の長軸断面の時系列のBモード画像のうち、1枚のBモード画像をディスプレイに表示させる。そして、ユーザは、ディスプレイに表示されたBモード画像において左室の心筋の輪郭を設定する。そして、ユーザは、入力装置を操作して、複数のフレームに亘って心筋の輪郭上の点を追跡するスペックルトラッキングを開始させるための指示を装置本体に入力する。そして、ユーザは、ディスプレイに表示された複数フレームに亘る心筋の輪郭上の点の追跡結果をフレームごとに確認し、追跡結果が誤っているフレームについては、入力装置を操作して心筋の輪郭上の点を修正する。そして、ユーザは、入力装置を操作して、GLSを算出するための指示を装置本体に入力する。そして、ユーザは、装置本体により算出されてディスプレイに表示された各心時相におけるGLSを確認し、心臓の診断を行う。
このように、超音波診断装置が、スペックルトラッキング法を用いてGLSを算出する場合には、ユーザは、入力装置を操作する回数が比較的多いため、時間を要し、また、わずらわしく感じる。そのため、超音波診断装置がスペックルトラッキング法を用いてGLSを算出する場合には、心臓の診断を容易に行うことが困難である。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下に説明する処理を行って、心臓の診断をユーザに容易に行わせる。
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図2の例に示す処理は、例えば、ユーザが入力装置102を操作して、被検体Pの心臓を含む画像の収集を開始する指示が入力装置102から入力された場合に実行される。
図2の例に示すように、ステップS101では、処理回路140の制御機能140aは、長軸断面像やボリュームデータなどの被検体Pの心臓を含む画像を収集するように、各回路を制御する。すなわち、ステップS101では、制御機能140aは、超音波プローブ101が超音波を送信することを開始するとともに、受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成することを開始するように送受信回路110を制御する。なお、ユーザは、2次元的な走査を行う場合には、被検体Pの心臓の長軸断面が走査されるように、超音波プローブ101を操作する。また、ユーザは、3次元的な走査を行う場合には、被検体Pの心臓を含む3次元的な領域が走査されるように、超音波プローブ101を操作する。これにより、送受信回路110は、2次元的な走査が行われた場合には、長軸断面が走査されたことにより次々に受信した2次元的な反射波信号に基づき、次々に2次元の反射波データを生成し、生成した2次元の反射波データを次々とバッファ111に格納することを開始する。また、送受信回路110は、3次元的な走査が行われた場合には、心臓を含む3次元の領域が走査されたことにより受信した3次元的な反射波信号に基づき次々に3次元の反射波データを生成し、生成した3次元の反射波データを次々とバッファ111に格納することを開始する。
また、ステップS101では、制御機能140aは、時系列のBモードデータを生成することを開始するように、Bモード処理回路120を制御する。これにより、Bモード処理回路120は、2次元的な走査が行われた場合には、バッファ111に格納された2次元の反射波データを用いて2次元のBモードデータを次々と生成し、生成した時系列の2次元のBモードデータを次々と画像メモリ150に格納することを開始する。また、Bモード処理回路120は、3次元的な走査が行われた場合には、バッファ111に格納された3次元の反射波データを用いて3次元のBモードデータを次々と生成し、生成した時系列の3次元のBモードデータを次々と画像メモリ150に格納することを開始する。
また、ステップS101では、制御機能140aは、時系列のBモード画像を生成することを開始するように、画像生成回路141を制御する。これにより、画像生成回路141は、2次元的な走査が行われた場合には、画像メモリ150からBモードデータを次々と読み出し、読み出したBモードデータから被検体Pの心臓の長軸断面像を次々と生成することを開始する。ここで、長軸断面像の種類には、心臓の四腔が描出された心尖部四腔像(心尖部四腔断面像)、心臓の三腔が描出された心尖部三腔像(心尖部三腔断面像)や、心臓の二腔が描出された心尖部二腔像(心尖部二腔断面像)がある。すなわち、長軸断面像は、被検体Pの心臓を含む画像である。
また、画像生成回路141は、3次元的な走査が行われた場合には、画像メモリ150からBモードデータを次々と読み出し、読み出したBモードデータから被検体Pの心臓を含む3次元のBモード画像(ボリュームデータ)を次々と生成することを開始する。このボリュームデータは、被検体Pの心臓を含む画像である。
そして、ステップS101では、画像生成回路141は、2次元的な走査が行われた場合には、次々と生成した長軸断面像と、当該長軸断面像を生成するために行なわれた超音波走査の時間とを、心電計4から送信された心電波形に対応付けて次々と画像メモリ150に格納することを開始する。また、ステップS101では、画像生成回路141は、3次元的な走査が行われた場合には、次々と生成したボリュームデータと、当該ボリュームデータを生成するために行なわれた超音波走査の時間とを、心電計4から送信された心電波形に対応付けて次々と画像メモリ150に格納することを開始する。
そして、ステップS101では、制御機能140aは、2次元的な走査が行われた場合には、画像メモリ150に格納された長軸断面像を時系列順でディスプレイ103に表示させることを開始する。
また、制御機能140aは、3次元的な走査が行われた場合には、ボリュームデータからA面を次々に生成し、生成したA面を画像メモリ150に次々に格納することを開始するように画像生成回路141を制御する。そして、制御機能140aは、画像生成回路141により次々と生成されるA面を時系列順でディスプレイ103に表示させることを開始する。ここで、画像生成回路141は、次々に生成したA面と、当該A面が生成されたボリュームデータと、当該A面を生成するために行われた超音波走査の時間とを、心電計4から送信された心電波形に対応付けて次々と画像メモリ150に格納することを開始する。
ここで、ステップS101では、制御機能140aは、2次元的な走査が行われた場合には、現在から所定時間分だけ前までの所定の期間分の長軸断面像が画像メモリ150に記憶されているように、画像メモリ150に記憶される長軸断面像のデータ量を制御する。また、制御機能140aは、3次元的な走査が行われた場合には、現在から所定時間分だけ前までの所定の期間分のボリュームデータが画像メモリ150に記憶されているように、画像メモリ150に記憶されるボリュームデータのデータ量を制御する。例えば、制御機能140aは、少なくとも1心拍(1つの心周期)における長軸断面像やボリュームデータが画像メモリ150に記憶されているように、画像メモリ150に記憶される長軸断面像やボリュームデータのデータ量を制御する。
そして、制御機能140aは、上述したフリーズボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS102)。フリーズボタンが押下されていない場合(ステップS102:No)には、制御機能140aは、再び、ステップS102で、同様の判定を行う。
一方、フリーズボタンが押下された場合(ステップS102:Yes)、制御機能140aは、ステップS103で、以下に説明する処理を行う。すなわち、ステップS103では、制御機能140aは、フリーズボタンが押下されたタイミングでディスプレイ103に表示されている長軸断面像又はA面をそのまま表示させ続ける。すなわち、制御機能140aは、長軸断面像又はA面の表示をフリーズさせる。なお、この長軸断面像又はA面は、後述するステップS105において、拡張末期に対応する長軸断面像及び収縮末期に対応する長軸断面像がディスプレイ103に表示されるまで、表示され続ける。
また、ステップS103では、制御機能140aは、2次元的な走査が行われた場合には、フリーズボタンが押下されたタイミングで画像メモリ150に記憶されている所定の期間分の長軸断面像を取得する。また、ステップS103では、制御機能140aは、3次元的な走査が行われた場合には、フリーズボタンが押下されたタイミングで、画像メモリ150に記憶されている所定の期間分のボリュームデータを取得する。
図3は、第1の実施形態に係る制御機能140aが実行する処理の一例を説明するための図である。図3の例に示すように、フリーズボタンが押下されたタイミングで、心尖部四腔像11がディスプレイ103に表示されていた場合には、制御機能140aは、心尖部四腔像11をそのまま表示させ続ける。図3においては、「LV:Left Ventricle(左心室)」、「LA:Left Atrium(左心房)」、「RV:Right Ventricle(右心室)」、「RA:Right Atrium(右心房)」が描出された心尖部四腔像11が示されている。
図2の説明に戻り、制御機能140aは、ユーザが入力装置102を操作して、自動的にGLSの算出を行うための指示(GLS算出指示)が入力装置102から入力されたか否かを判定する(ステップS104)。
ここで、GLSについて説明する。上述したように、多数の心疾患の病態解明、治療効果判定、予後推定等の心臓の診断において有用性がある心機能パラメータとして心筋ストレイン指標が用いられる。このような心筋ストレイン指標の中でも、GLSは、心機能定量化の指標として多く用いられている。例えば、GLSは、下記の式(1)を用いて算出される。
GLS(%)=((L1−L0)/L0)*100 (1)
ここで「−」は、減算を示す演算子であり、「/」は、除算を示す演算子であり、「*」は、乗算を示す演算子である。また、L1は、1心拍におけるある時相(第1の時相)での心臓の左室の心内膜又は心外膜の輪郭の長さを示す。また、L0は、1心拍における他の時相(第2の時相)での心臓の左室の心内膜又は心外膜の輪郭の長さを示す。すなわち、GLSは、第2の時相での輪郭の長さL0に対する第1の時相での輪郭の長さL1からL0を減じた値の割合を100分率で示した値である。なお、心尖部二腔像における左室の輪郭の長さは、心尖部二腔像では僧帽弁及び大動脈弁が描出されているので、僧帽弁から心尖部を通り大動脈弁までの輪郭の長さである。また、心尖部三腔像における左室の輪郭の長さも、心尖部三腔像では僧帽弁及び大動脈弁が描出されているので、僧帽弁から心尖部を通り大動脈弁までの輪郭の長さである。また、心尖部四腔像における左室の輪郭の長さは、心尖部四腔像では僧帽弁及び大動脈弁のうち僧帽弁のみ描出されているので、僧帽弁から心尖部を通り僧帽弁までの長さである。また、ボリュームデータにおける左室の輪郭の長さは、例えば、心尖部二腔断面及び心尖部三腔断面においては、僧帽弁から心尖部を通り大動脈弁までの輪郭の長さとなり、心尖部四腔断面においては、僧帽弁から心尖部を通り僧帽弁までの輪郭の長さとなる。
ここで、GLSは、第1の時相(第1の心時相)として収縮末期、及び、第2の時相(第2の心時相)として拡張末期が適用されたものが、心臓の診断において特に有用な情報である。そのため、以下の説明では、第1の時相として収縮末期、及び、第2の時相として拡張末期を適用した場合について説明するが、第1の時相及び第2の時相として、任意の時相を適用することができる。すなわち、以下の説明では、第1の心時相は、収縮末期に対応し、第2の心時相は、拡張末期に対応する。
GLS算出指示が入力されていない場合(ステップS104:No)には、制御機能140aは、再び、ステップS104で、同様の処理を行う。
一方、GLS算出指示が入力された場合(ステップS104:Yes)には、制御機能140aは、ステップS105で、以下に説明する処理を行う。すなわち、ステップS105において、制御機能140aは、2次元的な走査が行われた場合には、ステップS103で画像メモリ150から取得した所定の期間分の長軸断面像の中から、1心拍内で、拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像を選択するように、選択機能170aを制御する。これにより、選択機能170aは、画像メモリ150に格納された、長軸断面像と超音波走査の時間と心電波形とが対応付けられたデータを参照して、時系列の長軸断面像の中から、1心拍内で、拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像を選択する。例えば、選択機能170aは、R波を拡張末期とし、T波を収縮末期として、拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像を選択してもよい。また、選択機能170aは、他の公知の技術を用いて、時系列の長軸断面像の中から、1心拍内で、拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像を選択してもよい。
また、ステップS105において、制御機能140aは、3次元的な走査が行われた場合には、ステップS103で画像メモリ150から取得した所定の期間分のボリュームデータの中から、1心拍内で、拡張末期に対応するボリュームデータ、及び、収縮末期に対応するボリュームデータを選択するように、選択機能170aを制御する。これにより、選択機能170aは、画像メモリ150に格納された、ボリュームデータと超音波走査の時間と心電波形とA面とが対応付けられたデータを参照して、時系列のボリュームデータの中から、1心拍内で、拡張末期に対応するボリュームデータ、及び、収縮末期に対応するボリュームデータを選択する。
そして、ステップS105において、制御機能140aは、拡張末期に対応する長軸断面像及び収縮末期に対応する長軸断面像が選択された場合には、選択された拡張末期に対応する長軸断面像及び収縮末期に対応する長軸断面像をディスプレイ103に表示させる。
また、ステップS105において、制御機能140aは、拡張末期に対応するボリュームデータ及び収縮末期に対応するボリュームデータが選択された場合には、選択された拡張末期に対応するボリュームデータ、及び、選択された収縮末期に対応するボリュームデータそれぞれからMPRにより長軸断面像を生成するように画像生成回路141を制御する。そして、制御機能140aは、画像生成回路141により生成された拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像をディスプレイ103に表示させる。
図4は、第1の実施形態に係る選択機能170aが実行する処理の一例を説明するための図である。ステップS105において、例えば、選択機能170aは、2次元的な走査が行われた場合には、時系列の心尖部四腔像の中から、拡張末期に対応する心尖部四腔像12及び収縮末期に対応する心尖部四腔像13を選択する。そして、選択機能170aは、図4の例に示すように、選択した心尖部四腔像12及び心尖部四腔像13をディスプレイ103に表示させる。
そして、ステップS106において、制御機能140aは、2次元的な走査が行われた場合に、選択された拡張末期に対応する長軸断面像及び収縮末期に対応する長軸断面像それぞれについて、自動的に心臓の2次元的な輪郭をトレースして特定するように、特定機能170bを制御する。これにより、特定機能170bは、例えば、長軸断面像が心尖部四腔像である場合には、心臓の左室の輪郭として、僧帽弁から心尖部を通り僧帽弁までの輪郭を特定する。また、特定機能170bは、例えば、長軸断面像が心尖部三腔像である場合には、心臓の左室の輪郭として、僧帽弁から心尖部を通り大動脈弁までの輪郭を特定する。また、特定機能170bは、例えば、長軸断面像が心尖部二腔像である場合には、心臓の左室の輪郭として、僧帽弁から心尖部を通り大動脈弁までの輪郭を特定する。
また、ステップS106において、制御機能140aは、3次元的な走査が行われた場合に、選択された拡張末期に対応するボリュームデータ及び収縮末期に対応するボリュームデータそれぞれについて、自動的に心臓の3次元的な輪郭をトレースして特定するように、特定機能170bを制御する。これにより、特定機能170bは、選択された拡張末期に対応するボリュームデータ及び選択された収縮末期に対応するボリュームデータそれぞれについて、心臓の左室の3次元的な輪郭を特定する。
なお、3次元的な走査が行われた場合に、特定機能170bは、拡張末期に対応するボリュームデータ及び収縮末期に対応するボリュームデータそれぞれについて、MPR処理により、異なる複数の長軸断面像を生成し、複数の長軸断面像について、心臓の左室の輪郭を特定してもよい。すなわち、特定機能170bは、ボリュームデータそれぞれについて、複数の輪郭を特定してもよい。例えば、特定機能170bは、ボリュームデータそれぞれについて、心尖部四腔像及び心尖部二腔像を生成し、尖部四腔像及び心尖部二腔像それぞれについて、心臓の左室の輪郭を特定してもよい。また、例えば、特定機能170bは、ボリュームデータそれぞれについて、心尖部四腔像、心尖部三腔像及び心尖部二腔像を生成し、心尖部四腔像、心尖部三腔像及び心尖部二腔像それぞれについて、心臓の左室の輪郭を特定してもよい。
上述したように、特定機能170bは、心臓の少なくとも一部の輪郭を特定する。また、特定機能170bは、心腔の心内膜の輪郭を特定する。
ここで、特定機能170bは、例えば、辞書データを用いて輪郭を特定してもよい。辞書データには、心尖部四腔像、心尖部三腔像や心尖部二腔像などの画像の種類ごとに、左室の輪郭の位置などが登録されている。例えば、辞書データには、心尖部四腔像における僧帽弁から心尖部を通り僧帽弁までの輪郭の位置が登録されている。また、辞書データには、心尖部三腔像における僧帽弁から心尖部を通り大動脈弁までの輪郭の位置が登録されている。また、辞書データには、心尖部二腔像における僧帽弁から心尖部を通り大動脈弁までの輪郭の位置が登録されている。例えば、特定機能170bは、輪郭を特定する対象である左室が描出された長軸断面像が心尖部四腔像である場合には、辞書データに登録された心尖部四腔像に対して変形及び回転などの画像処理を行って、辞書データに登録された心尖部四腔像に描出された左室と、輪郭を特定する対象である長軸断面像に描出された左室との位置合わせを行う。そして、特定機能170bは、位置合わせ後の変形や回転された輪郭を、輪郭を特定する対象である左室の輪郭として特定する。特定機能170bは、輪郭を特定する対象である左室が描出された長軸断面像が心尖部二腔像である場合や心尖部三腔像である場合にも同様の処理を行う。
例えば、特定機能170bは、SNAKE法を用いて、輪郭を特定してもよい。特定機能170bは、SNAKE法を用いて、輪郭を特定する対象である左室が描出された長軸断面像上の曲線上で、内部エネルギー、画像エネルギーの線形和として表されるエネルギー関数を用い、エネルギー関数が最小となるように、曲線の形状を修正することで輪郭を抽出する。また、特定機能170bは、動的輪郭モデルを用いて輪郭線を抽出するActive Shape Model法を用いて、輪郭を特定してもよい。
図5は、第1の実施形態に係る特定機能170bが実行する処理の一例を説明するための図である。先の図4の例に示す心尖部四腔像12及び心尖部四腔像13が選択機能170aにより選択された場合には、特定機能170bは、心尖部四腔像12に描出された左室の輪郭12a、及び、心尖部四腔像13に描出された左室の輪郭13aを特定する。
上述したように、ステップS106では、特定機能170bは、スペックルトラッキングを行わずに、自動的に心臓の輪郭を特定する。ここで、スペックルトラッキングを行って心臓の輪郭を特定する場合には、上述したように、比較的多くの操作を必要とする。しかしながら、第1の実施形態では、ユーザが、自動的にGLSの算出を行うための指示を入力装置102を介して入力するという単一の操作だけで、自動的に心臓の輪郭が特定される。なお、単位の操作は、共通の操作の一例である。したがって、第1の実施形態によれば、ユーザの操作を比較的必要とせずに、心筋の輪郭を特定することができる。したがって、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、心臓の診断が容易となるように支援することができる。
そして、制御機能140aは、特定機能170bにより特定された輪郭の情報を用いて、心筋の歪みを表す心機能パラメータであるGLSを算出するとともに、算出したGLSをディスプレイ103に表示させるように、算出機能170cを制御する(ステップS107)。これにより、ステップS107では、算出機能170cは、2次元的な走査が行われた場合に、拡張末期に対応する長軸断面像について特定された輪郭の長さL0を算出し、収縮末期に対応する長軸断面像について特定された輪郭の長さL1を算出する。そして、算出機能107cは、輪郭の長さL0及び輪郭の長さL1を用いて、上記の式(1)によりGLSを算出する。
また、ステップS107では、算出機能170cは、3次元的な走査が行われた場合に、拡張末期に対応するボリュームデータについて特定された3次元的な輪郭の長さL0を算出し、収縮末期に対応するボリュームデータについて特定された3次元的な輪郭の長さL1を算出する。そして、算出機能107cは、輪郭の長さL0及び輪郭の長さL1を用いて、上記の式(1)によりGLSを算出する。
また、3次元的な走査が行われた場合に、拡張末期に対応するボリュームデータ及び収縮末期に対応するボリュームデータそれぞれについて、1つではなく複数の輪郭が特定された場合には、GLSを算出する方法として2種類の方法がある。
1つ目の方法について説明する。ステップS107において、算出機能107cは、拡張末期に対応するボリュームデータについて特定された複数の輪郭の長さを算出し、算出した複数の輪郭の長さの平均値をL0として算出する。また、算出機能107cは、収縮末期に対応するボリュームデータについて特定された複数の輪郭の長さを算出し、算出した複数の輪郭の長さの平均値をL1として算出する。そして、算出機能107cは、L0及びL1を用いて、上記の式(1)によりGLSを算出する。
1つ目の方法について具体例を挙げて説明すると、例えば、ステップS107において、算出機能107cは、拡張末期に対応するボリュームデータについて特定された心尖部四腔像における輪郭、心尖部三腔像における輪郭、及び、心尖部二腔像における輪郭それぞれの長さを算出し、算出した3つの輪郭の長さの統計値、例えば平均値をL0として算出する。また、算出機能107cは、収縮末期に対応するボリュームデータについて特定された心尖部四腔像における輪郭、心尖部三腔像における輪郭、及び、心尖部二腔像における輪郭それぞれの長さを算出し、算出した3つの輪郭の長さの統計値、例えば平均値をL1として算出する。そして、算出機能107cは、L0及びL1を用いて、上記の式(1)によりGLSを算出する。
2つ目の方法について説明する。ステップS107において、算出機能107cは、拡張末期に対応するボリュームデータについて特定された複数の輪郭の長さを算出する。また、算出機能107cは、収縮末期に対応するボリュームデータについて特定された複数の輪郭の長さを算出する。そして、算出機能107cは、複数の輪郭のそれぞれについて、上記の式(1)を用いて、GLSを算出する。すなわち、算出機能107cは、ボリュームデータからMPRにより生成された複数の長軸断面像それぞれについて、GLSを算出する。
上述したように、算出機能107cは、特定された輪郭の長さに基づいて、GLSを算出する。
そして、制御機能140aは、GLSをディスプレイ103に表示させる(ステップS108)。なお、ステップS108において、制御機能140aは、ステップS107で複数のGLSが算出された場合には、複数のGLSをディスプレイ103に表示させる。
そして、制御機能140aは、ユーザが入力装置102を操作して、被検体Pの心臓を含む画像の収集を終了する指示が入力装置102から入力されたか否かを判定する(ステップS109)。収集を終了する指示が入力されていない場合(ステップS109:No)には、ステップS105に戻り、次の心周期においても上述したステップS105〜ステップS109での処理と同様の処理を行う。一方、画像の収集を終了する指示が入力された場合(ステップS109:Yes)には、制御機能140aは、画像の収集を終了するように、各回路を制御して、処理を終了する。
上述したように、時系列のボリュームデータ(3次元的な領域に対するスキャンにより生成された時系列の3次元画像)が収集された場合には、超音波診断装置1の特定機能170bが、時系列の3次元画像に含まれる収縮末期および拡張末期に対応する3次元画像それぞれについて、心臓の3次元的な輪郭を特定し、算出機能170cが、特定した3次元的な輪郭の情報を用いて、心機能パラメータを算出する。
また、時系列の長軸断面像(2次元的な領域に対するスキャンにより生成された時系列の2次元画像)が収集された場合には、超音波診断装置1の特定機能170bが、時系列の2次元画像に含まれる収縮末期および拡張末期に対応する2次元画像それぞれについて、心臓の2次元的な輪郭を特定し、算出機能170cが、特定した2次元的な輪郭の情報を用いて、心機能パラメータを算出する。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1について説明した。上述したように、超音波診断装置1の制御機能140aは、選択機能170aによる画像の選択、特定機能170bによる輪郭の特定、及び、算出機能170cによるGLSの算出を、ユーザによる自動的にGLSの算出を行うための指示の入力という単一の操作だけで、実行させる。このように、超音波診断装置1は、単一の操作だけで、GLSを自動的に算出する。したがって、超音波診断装置1によれば、ユーザの操作を比較的必要とせずに、GLSを算出することができる。したがって、超音波診断装置1によれば、心臓の診断が容易となるように支援することができる。
また、スペックルトラッキング法によるGLSの算出では、全時相で追跡が行われるため、処理量が膨大となるが、第1の実施形態では、2つの時相の画像を用いてGLSの算出が行われる。このため、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、簡便に、GLSという心機能定量化の指標として多く用いられている心機能パラメータを算出することができる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
第1の実施形態では、時系列のボリュームデータが収集された場合には、超音波診断装置1の特定機能170bが、時系列のボリュームデータに含まれる収縮末期および拡張末期に対応するボリュームデータそれぞれについて、心臓の3次元的な輪郭を特定し、算出機能170cが、特定した3次元的な輪郭の情報を用いて、心機能パラメータを算出する例について説明した。しかしながら、時系列のボリュームデータが収集された場合であっても、図2に示すステップS101で、超音波診断装置1の画像生成回路141が、時系列のボリュームデータそれぞれから、MPRにより長軸断面像を生成し、制御機能140aが、時系列順で長軸断面像をディスプレイ103に表示させてもよい。また、ステップS106で、特定機能170bが、時系列の長軸断面像に含まれる収縮末期および拡張末期に対応する長軸断面像それぞれについて、心臓の2次元的な輪郭を特定し、ステップS107で、算出機能170cが、特定した2次元的な輪郭の情報を用いて、GLSを算出してもよい。なお、第1の変形例において、ユーザは、超音波プローブ101が心尖部二腔断面又は心尖部四腔断面を走査するように、超音波プローブ101を操作する。
(第1の実施形態の第2の変形例)
第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、特定した輪郭の長さという情報を用いてGLSという心機能パラメータを算出し、算出したGLSをディスプレイ103に表示させる例について説明した。しかしながら、超音波診断装置1は、特定した輪郭の情報を用いて、GLS以外にも、心臓の容積(心腔の容積)及び駆出率などの心機能パラメータを算出し、算出した心臓の容積及び駆出率などの心機能パラメータをディスプレイ103に表示させてもよい。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第2の変形例として説明する。
例えば、第2の変形例に係る算出機能170cは、特定された輪郭を用いて、Simpson法やModified Simpson法等の方法により、特定された輪郭により形成される収縮末期における左室の容積(ESV(End Systolic Volume)及び拡張末期における左室の容積(EDV(End Diastolic Volume))を算出する。
例えば、算出機能170cが、特定された輪郭を用いて、Simpson法により、左室の容積を算出する場合について説明する。例えば、算出機能170cは、特定された輪郭により形成される左室の内腔領域の長軸を検出する。そして、算出機能170cは、左室の内腔領域を左室の長軸に垂直な複数(例えば20個)のディスクに分割する。そして、算出機能170cは、複数のディスクそれぞれについて、内膜面と交差する2点の距離を算出する。そして、算出機能170cは、各ディスクを、算出した2点の距離を直径とする円柱のスライスとして近似する。そして、算出機能170cは、円柱のスライスとして近似した各ディスクの体積を算出する。そして、算出機能170cは、各ディスクの体積の総和を、左室の容積として算出する。
また、算出機能170cが、特定された輪郭を用いて、Modified Simpson法により、左室の容積を算出する場合について説明する。この場合には、心尖部四腔像及び心尖部二腔像が用いられる。例えば、算出機能170cは、心尖部四腔像について特定された輪郭により形成される左室の内腔領域の長軸を検出する。また、算出機能170cは、心尖部二腔像について特定された輪郭により形成される左室の内腔領域の長軸を検出する。そして、算出機能170cは、心尖部四腔像について特定された輪郭により形成される左室の内腔領域を左室の長軸に垂直な複数(例えば20個)のディスク(心尖部四腔像におけるディスク)に分割する。また、算出機能170cは、心尖部二腔像について特定された輪郭により形成される左室の内腔領域を左室の長軸に垂直な複数(例えば20個)のディスク(心尖部二腔像におけるディスク)に分割する。そして、算出機能170cは、心尖部四腔像における複数のディスクそれぞれについて、内膜面と交差する2点の距離Aを算出する。また、算出機能170cは、心尖部二腔像における複数のディスクそれぞれについて、内膜面と交差する2点の距離Bを算出する。そして、算出機能170cは、各ディスクの3次元形状を、算出した2点の距離A及びBから推定される長径及び短径を有する楕円体のスライスとして近似する。そして、算出機能170cは、楕円体のスライスとして近似した各ディスクの体積を算出する。そして、算出機能170cは、各ディスクの体積の総和を、左室の容積として算出する。
上述したような方法で、算出機能170cは、ESV及びEDVを算出する。そして、算出機能170cは、下記の式(2)を用いて、駆出率(EF(Ejection Fraction))を算出する。
EF=(ESV−EDV)/ESV (2)
そして、第2の変形例に係る制御機能140aは、GLSに加えて、ESV、EDV及びEFをディスプレイ103に表示させる。図6は、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波診断装置1が実行する処理の一例を説明するための図である。例えば、算出機能170cが、EDV「46.7ml」、ESV「30.4ml」、EF「34.9%」及びGLS「10.2%」を算出した場合には、制御機能140aは、図6の例に示すように、EDV「46.7ml」、ESV「30.4ml」、EF「34.9%」及びGLS「10.2%」をディスプレイ103に表示させる。すなわち、制御機能140aは、EDV「46.7ml」、ESV「30.4ml」、EF「34.9%」と、GLS「10.2%」とを同時に表示させる。なお、算出機能170cは、EDV「46.7ml」及びESV「30.4ml」、並びに、EF「34.9%」のうち、少なくともいずれかを算出してもよい。すなわち、算出機能170cは、心腔の容積及び駆出率のうち少なくともいずれかを表す心機能パラメータ(第1の心機能パラメータ)と、心腔に対応する心筋の全域的な歪みを表す心機能パラメータ(第2の心機能パラメータ)であるGLSとを算出してもよい。そして、制御機能140aは、第1の心機能パラメータと第2の心機能パラメータをディスプレイ103に表示させてもよい。すなわち、制御機能140aは、第1の心機能パラメータと第2の心機能パラメータの表示を、上述の共通の操作により実行させてもよい。
第2の変形例によれば、既に特定した輪郭を用いて容積及び駆出率の少なくともいずれかが算出されるので、容易に、GLS以外の他の心機能パラメータを容易に算出することができる。
また、第2の変形例によれば、制御機能140aは、選択機能170aによる画像の選択と、特定機能170bによる輪郭の特定と、ディスプレイ103による第1の心機能パラメータ及び第2の心機能パラメータの表示制御を、ユーザによる自動的にGLSの算出を行うための指示の入力という単一の操作だけで、実行させる。このように、超音波診断装置1は、単一の操作だけで、第1の心機能パラメータ及び第2の心機能パラメータを自動的にディスプレイ103に表示させる。したがって、超音波診断装置1によれば、ユーザの操作を比較的必要とせずに、第1の心機能パラメータ及び第2の心機能パラメータをディスプレイ103に表示させることができる。したがって、超音波診断装置1によれば、心臓の診断が容易となるように支援することができる。
(第1の実施形態の第3の変形例)
上述した第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、1つの心周期において1つのGLSを算出し、算出したGLSをディスプレイ103に表示させる場合について説明した。しかしながら、超音波診断装置1は、複数の心周期のそれぞれでGLSを算出し、算出した複数のGLSの統計値を算出し、算出したGLSの統計値をディスプレイ103に表示させてもよい。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第3の変形例として説明する。
図7は、第1の実施形態の第3の変形例に係る算出機能170cが実行する処理の一例を説明するための図である。図7の例には、3つの心周期ごとに、ディスプレイ103に表示させるGLSを算出する場合が示されている。図7の例に示すように、第3の変形例に係る算出機能170cは、第1の実施形態と同様に、1つの心周期において1つのGLSを算出する。すなわち、算出機能170cは、R波R1とR波R2との間でGLS21を算出する。算出機能170cは、R波R2とR波R3との間でGLS22を算出する。算出機能170cは、R波R3とR波R4との間でGLS23を算出する。そして、算出機能170cは、GLS21とGLS22とGLS23との平均値を、3つの心周期におけるGLS24として算出する。そして、算出機能170cは、GLS24をディスプレイ103に表示させる。すなわち、算出機能170cは、3つの心周期ごとに、ディスプレイ103に表示されるGLSを更新する。
第3の変形例によれば、外乱の影響などにより、たまたまある心周期で算出されたGLSが他のGLSより大きく異なってしまう場合であっても、大きく異なっているGLSをそのままディスプレイ103に表示させない。ここで、ユーザが、他のGLSよりも大きく異なるGLSを確認した場合には、誤った診断を行う場合があるため、心臓の診断結果の精度が低下してしまう場合がある。したがって、第3の変形例によれば、ユーザに極端に大きく異なる心機能パラメータを確認させることによる心臓の診断結果の精度の低下を抑制することができる。
(第1の実施形態の第4の変形例)
超音波診断装置1は、特定した輪郭をディスプレイ103に表示させてもよい。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第4の変形例として説明する。図8Aは、第1の実施形態の第4の変形例に係る制御機能140aが実行する処理の一例を説明するための図である。ここで、先の図5の例に示すように、特定機能170bにより輪郭12a及び輪郭13aが特定された場合について説明する。この場合に、制御機能140aは、図8Aの例に示すように、輪郭12aのうち、解剖学的に、心筋に沿っている部分の形状を示す画像12bを生成する。また、制御機能140aは、輪郭13aのうち、解剖学的に、心筋に沿っている部分の形状を示す画像13bを生成する。この際、制御機能140aは、心尖部四腔像12において、輪郭12aのうち心筋に沿っている部分に画像12bが重畳された場合に、この心筋に沿っている部分の表示態様、すなわち、画像12bの表示態様と、心筋に沿っていない部分の表示態様との区別がつくような画像12bを生成する。例えば、制御機能140aは、画像12bとして、所定のパターンが形成された画像を生成する。また、制御機能140aは、画像12bとして、心筋に沿っていない部分の色と異なる色の画像を生成してもよい。
同様に、制御機能140aは、長軸断面像13において、輪郭13aのうち心筋に沿っている部分に画像13bが重畳された場合に、この心筋に沿っている部分の表示態様、すなわち、画像13bの表示態様と、心筋に沿っていない部分の表示態様との区別がつくような画像13bを生成する。
そして、制御機能140aは、生成した画像12bを、ディスプレイ103に表示された心尖部四腔像12において、輪郭12aのうち解剖学的に心筋に沿っている部分に重畳する。また、制御機能140aは、生成した画像13bを、ディスプレイ103に表示された心尖部四腔像13において、輪郭13aのうち解剖学的に心筋に沿っている部分に重畳する。これにより、制御機能140aは、心尖部四腔像12上に、特定した輪郭12aのうち心筋に沿っている部分の表示態様と、心筋に沿っていない部分の表示態様とを区別した状態で、特定した輪郭12aを示す画像12bを表示させる。また、制御機能140aは、心尖部四腔像13上に、特定した輪郭13aのうち心筋に沿っている部分の表示態様と、心筋に沿っていない部分の表示態様とを区別した状態で、特定した輪郭13aを示す画像13bを表示させる。
したがって、第4の変形例に係る超音波診断装置1によれば、心臓の診断に有用な情報である輪郭の形状及び位置をユーザに容易に把握させることができる。よって、第4の変形例に係る超音波診断装置1によれば、心臓の診断が容易となるように支援することができる。
なお、図8Bの例に示すように、ユーザが入力装置102を介して、ディスプレイ103に表示されたGLSが指定されると、制御機能140aは、心尖部四腔像12上に、画像12bを表示させるとともに、心尖部四腔像13上に、画像13bを表示させてもよい。すなわち、制御機能140aは、GLSを指定する操作に応じて、拡張末期及び収縮末期に対応する画像12,13上に、指定されたGLSの計算対象となった心臓の一部の輪郭を示す画像12b,13bを表示させてもよい。なお、制御機能140aは、GLSを指定する操作に応じて、拡張末期及び収縮末期に対応する画像12,13のうち少なくとも一方の上に、指定されたGLSの計算対象となった心臓の一部の輪郭を示す画像を表示させてもよい。なお、心臓の一部の輪郭を示す画像12b,13bは、輪郭マーカの一例である。
(第1の実施形態の第5の変形例)
第1の実施形態では、超音波診断装置1が、図2に示すステップS105で拡張末期に対応する画像及び収縮末期における画像を自動的に選択し、選択した画像を用いて、各種の処理を行う例について説明した。また、第1の実施形態では、超音波診断装置1が、図2に示すステップS106で自動的に輪郭を特定し、特定した輪郭を用いて各種の処理を行う例について説明した。しかしながら、超音波診断装置1は、ユーザによる、拡張末期に対応する画像及び収縮末期における画像の指定を受け付けて、指定された拡張末期に対応する画像及び収縮末期における画像を用いて、第1の実施形態と同様に各種の処理を行っても良い。また、超音波診断装置1は、ユーザによる、輪郭のトレースを受け付けて、トレースされた輪郭を用いて、第1の実施形態と同様に各種の処理を行ってもよい。そこで、このような実施形態を、第1の実施形態に係る第5の変形例として説明する。
第5の変形例に係る超音波診断装置1は、選択機能170a及び特定機能170bの機能を有さない。図9は、第1の実施形態の第5の変形例に係る超音波診断装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9の例に示すステップS101〜ステップS104で実行される処理は、図2の例に示す第1の実施形態に係るフローチャートにおけるステップS101〜ステップS104で実行される処理と同様であるので説明を省略する。
図9の例に示すように、ステップS201において、制御機能140aは、2次元的な走査が行われた場合及び3次元的な走査が行われた場合の両方の場合において、ステップS103で画像メモリ150から取得した所定の期間分の長軸断面像の中から、1心拍内で、拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像が指定可能なようにディスプレイ103に表示させる。
そして、ステップS201において、制御機能140aは、ユーザから入力装置102を介して拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像の指定を受け付ける。ここで、指定された拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像は、第1の実施形態と同様に、各種の処理で用いられる。
そして、ステップS202において、制御機能140aは、ユーザにより指定された拡張末期に対応する長軸断面像、及び、収縮末期に対応する長軸断面像をディスプレイ103に表示させる。
そして、ステップS202において、制御機能140aは、ユーザから入力装置102を介して、拡張末期及び収縮末期それぞれの輪郭のトレースを受け付ける。ここで、トレースされた拡張末期及び収縮末期それぞれの輪郭は、第1の実施形態と同様に、各種の処理で用いられる。
図9の例に示すステップS107〜ステップS109で実行される処理は、図2の例に示す第1の実施形態に係るフローチャートにおけるステップS107〜ステップS109で実行される処理と同様であるので説明を省略する。ただし、ステップS108で、制御機能140aは、GLSとともに輪郭を表示させて、入力装置102を介したユーザによる輪郭の修正を受け付けてもよい。そして、制御機能140aは、輪郭の修正を受け付けた場合には、受け付けた修正に基づいて、輪郭を修正してもよい。
以上、第5の変形例について説明した。第5の変形例に係る超音波診断装置1によれば、選択機能170a及び特定機能170bの機能を有さなくとも、GLSを算出することができる。したがって、第5の変形例に係る超音波診断装置1によれば、安価な構成で、心臓の診断を支援することができる。
(第1の実施形態の第6の変形例)
超音波診断装置1は、GLS、ESV、EDV及びEF以外の心機能パラメータも算出してもよい。そこで、超音波診断装置1が、GLS、ESV、EDV及びEF以外の心機能パラメータも算出する実施形態を、第1の実施形態に係る第6の変形例として説明する。
第6の変形例では、超音波診断装置1が、拡張末期と収縮末期との間における弁輪の移動距離を心機能パラメータとして算出する例について説明する。
第6の変形例に係る制御機能140aは、図2に示すステップS106において、第一の実施形態で説明した制御に加えて、拡張末期に対応する画像及び収縮末期に対応する画像それぞれについて、僧帽弁の弁輪の位置(弁輪位置)及び心尖部の位置を特定するように、特定機能170bを制御する。
図10は、第1の実施形態の第6の変形例に係る特定機能170b及び算出機能170cが実行する処理の一例について説明するための図である。図10の例に示すように、ステップS106において、特定機能170bは、拡張末期に対応する心尖部四腔像12における僧帽弁の弁輪位置12cを特定する。また、ステップS106において、特定機能170bは、拡張末期に対応する心尖部四腔像12における心尖部の位置12dを特定する。
また、図10の例に示すように、ステップS106において、特定機能170bは、収縮末期に対応する心尖部四腔像13における僧帽弁の弁輪位置13cを特定する。また、ステップS106において、特定機能170bは、収縮末期に対応する心尖部四腔像13における心尖部の位置13dを特定する。
そして、制御機能140aは、図2に示すステップS107において、第1の実施形態又は上述した何れかの変形例で説明した制御に加えて、拡張末期と収縮末期との間における弁輪の移動距離を心機能パラメータとして算出するように算出機能170cを制御する。これにより、ステップS170において、算出機能170cは、弁輪の移動距離を算出する。
図10の例に示すように、算出機能170cは、拡張末期に対応する心尖部四腔像12において、特定された僧帽弁の弁輪位置12cと、特定された心尖部の位置12dとの距離(距離d1)を計算する。また、算出機能170cは、収縮末期に対応する心尖部四腔像13において、特定された僧帽弁の弁輪位置13cと、特定された心尖部の位置13dとの距離(距離d2)を計算する。そして、算出機能170cは、距離d1から距離d2を減じた値を僧帽弁の弁輪の移動距離として算出する。
このような弁輪の移動距離は、心臓の歪を表す心機能パラメータであり、心臓を診断する際に有用な情報である。
以上、第1の実施形態の第6の変形例に係る超音波診断装置1について説明した。上述したように、第6の変形例に係る制御機能140aは、選択機能170aによる画像の選択、特定機能170bによる輪郭の特定、及び、算出機能170cによるGLSの算出に加え、特定機能170bによる弁輪位置の特定、及び、算出機能170cによる弁輪の移動距離の算出を、ユーザによる自動的にGLSの算出を行うための指示の入力という単一の操作だけで、実行させる。このように、超音波診断装置1は、単一の操作だけで、GLSに加えて弁輪の移動距離を自動的に算出する。したがって、超音波診断装置1によれば、ユーザの操作を比較的必要とせずに、GLS及び弁輪の移動距離を算出することができる。したがって、超音波診断装置1によれば、心臓の診断が容易となるように支援することができる。
また、第6の変形例に係る特定機能170bは、ステップS106において、拡張末期に対応する心尖部四腔像及び収縮末期に対応する心尖部四腔像それぞれについて、心尖部四腔像に描出された2つの僧帽弁の弁輪位置を特定してもよい。この場合、算出機能170cは、ステップS107で、拡張末期に対応する心尖部四腔像において、特定された2つの僧帽弁の弁輪位置の距離(距離d3)を算出し、収縮末期に対応する心尖部四腔像において、特定された2つの僧帽弁の弁輪位置の距離(距離d4)を算出してもよい。そして、算出機能170cは、距離d3から距離d4を減じた値を弁輪の移動距離として算出してもよい。
また、第6の変形例に係る特定機能170bは、ステップS106において、拡張末期に対応する心尖部二腔像及び収縮末期に対応する心尖部二腔像それぞれについて、心尖部二腔像に描出された僧帽弁の弁輪位置及び大動脈弁の弁輪位置を特定してもよい。この場合、算出機能170cは、ステップS107で、拡張末期に対応する心尖部二腔像において、特定された僧帽弁の弁輪位置と、特定された大動脈弁の弁輪位置との距離(距離d5)を算出し、収縮末期に対応する心尖部二腔像において、特定された僧帽弁の弁輪位置と、特定された大動脈弁の弁輪位置との距離(距離d6)を算出してもよい。そして、算出機能170cは、距離d5から距離d6を減じた値を弁輪の移動距離として算出してもよい。
また、第6の変形例に係る特定機能170bは、ステップS106において、拡張末期に対応する心尖部四腔像及び収縮末期に対応する心尖部四腔像それぞれについて、心尖部四腔像に描出された2つの僧帽弁の弁輪位置及び心尖部の位置を特定してもよい。この場合、算出機能170cは、ステップS107で、拡張末期に対応する心尖部四腔像において、特定された2つの僧帽弁の弁輪位置のそれぞれと、特定された心尖部の位置との距離(距離d7,d8)を算出し、収縮末期に対応する心尖部四腔像において、特定された2つの僧帽弁の弁輪位置のそれぞれと、特定された心尖部の位置との距離(距離d9,d10)を算出してもよい。そして、算出機能170cは、距離d7と距離d8との平均値から、距離d9と距離d10との平均値を減じた値を、弁輪の移動距離として算出してもよい。
また、第6の変形例に係る特定機能170bは、ステップS106において、拡張末期に対応する心尖部二腔像及び収縮末期に対応する心尖部二腔像それぞれについて、心尖部二腔像に描出された僧帽弁の弁輪位置、大動脈弁の弁輪位置及び心尖部の位置を特定してもよい。この場合、算出機能170cは、ステップS107で、拡張末期に対応する心尖部二腔像において、特定された僧帽弁の弁輪位置と、特定された心尖部の位置との距離(距離d11)と、特定された大動脈弁の弁輪位置と、特定された心尖部の位置との距離(距離d12)を算出してもよい。また、算出機能170cは、収縮末期に対応する心尖部二腔像において、特定された僧帽弁の弁輪位置と、特定された心尖部の位置との距離(距離d13)と、特定された大動脈弁の弁輪位置と、特定された心尖部の位置との距離(距離d14)を算出してもよい。そして、算出機能170cは、距離d11と距離d12との平均値から、距離d13と距離d14との平均値を減じた値を、弁輪の移動距離として算出してもよい。
(第1の実施形態の第7の変形例)
上述した第1の実施形態では、ステップS104で制御機能140aがGLS算出指示が入力されたと判定した場合に、ステップS105〜ステップS108の処理が、ステップS109で収集を終了する指示が入力されたと判定されるまで、繰り返し実行される例について説明した。しかしながら、ステップS101において、制御機能140aが、検査における診断の項目を取得し、取得した検査の項目の内容から、ステップS101で収集される画像が心臓を含む画像であると判別した場合、すなわち、心臓の検査であると判別した場合には、ステップS104での処理を省略して、ステップS103での処理の実行の後に、ステップS105での処理を実行してもよい。
この場合、第7の変形例に係る制御機能140aは、選択機能170aによる画像の選択、特定機能170bによる輪郭の特定、及び、算出機能170cによるGLSの算出を、入力装置102を介した操作なしで実行させる。このように、第7の変形例に係る超音波診断装置1は、操作なしで、GLSを自動的に算出する。したがって、第7の変形例に係る超音波診断装置1によれば、ユーザの操作をほとんど必要とせずに、GLSを算出することができる。したがって、超音波診断装置1によれば、心臓の診断が更に容易となるように支援することができる。
ここで、第7の変形例と第6の変形例とを組み合わせた場合には、制御機能140aは、選択機能170aによる画像の選択、特定機能170bによる輪郭の特定、及び、算出機能170cによるGLSの算出に加え、特定機能170bによる弁輪位置の特定、及び、算出機能170cによる弁輪の移動距離の算出を、入力装置102を介した操作なしで、実行させる。このように、超音波診断装置1は、操作なしで、GLSに加えて弁輪の移動距離を自動的に算出する。したがって、超音波診断装置1によれば、ユーザの操作をほとんど必要とせずに、GLS及び弁輪の移動距離を算出することができる。したがって、超音波診断装置1によれば、心臓の診断が更に容易となるように支援することができる。
(第1の実施形態の第8の変形例)
算出機能170cは、第1の実施形態で説明した方法とは異なる方法でGLSを算出してもよい。そこで、算出機能170cが第1の実施形態で説明した方法とは異なる方法でGLSを算出する実施形態を、第1の実施形態の第8の変形例として説明する。
例えば、ステップS107において、第8の変形例に係る算出機能170cは、まず、特定機能170bにより特定された輪郭を複数の分節で区別することで、心筋における複数の局所を決定する。例えば、算出機能170cは、3次元的な輪郭を18の分節で区別することで、心筋における18個の局所を決定する。また、算出機能170cは、2次元的な輪郭を2の分節で区別することで、心筋における2個の局所を決定する。
そして、算出機能170cは、複数の局所それぞれについて、局所における心筋の長軸方向に関する歪みを算出する。例えば、算出機能170cは、局所ごとに、拡張末期における輪郭の長さL2を算出する。また、算出機能170cは、局所ごとに、収縮末期における輪郭の長さL3を算出する。そして、算出機能170cは、式(3)により、局所ごとに、局所における心筋の長軸方向に関する歪みRLS(Regional Longitudinal Strain)を算出する。
RLS(%)=((L3−L2)/L2)*100 (3)
そして、算出機能170cは、算出した歪みの統計値を心機能パラメータとして算出する。例えば、算出機能170cは、局所における心筋の長軸方向に関する歪みRLSの平均値を、心筋の心機能パラメータとして算出し、算出した局所における心筋の長軸方向に関する歪みRLSの平均値をディスプレイ103に表示させてもよい。
なお、ユーザが入力装置102を操作して、拡張末期における輪郭及び収縮末期における輪郭を複数の分節で区分してもよい。この場合、制御機能140aは、局所における心筋の長軸方向に関する歪みRLSの平均値とともに、ユーザにより設定された複数の分節を修正可能なようにディスプレイ103に表示させてもよい。そして、制御機能140aは、ユーザによる修正を受け付けた場合には、受け付けた修正の内容に基づいて、複数の分節を修正し、算出機能170cは、修正後の複数の分節を用いて上述したRLSの平均値を再度算出し、RLSの平均値をディスプレイ103に表示させてもよい。
(第1の実施形態の第9の変形例)
なお、ステップS101で、超音波診断装置1の画像生成回路141が、時系列の画像として、拡張末期に対応する画像及び収縮末期に対応する画像のみを生成してもよい。そこで、このような実施形態を、第1の実施形態の第9の変形例として説明する。例えば、第9の変形例に係る画像生成回路141は、2次元的な走査が行われた場合には、ステップS101で、時系列の画像として、心電計4からの心電波形を基に、拡張末期に対応する長軸断面像及び収縮末期に対応する長軸断面像のみを生成する。また、画像生成回路141は、3次元的な走査が行われた場合には、ステップS101で、時系列の画像として、心電計4からの心電波形を基に、拡張末期に対応するボリュームデータ及び収縮末期に対応するボリュームデータのみを生成する。
ここで、ステップS105〜ステップS108の処理では、拡張末期に対応する画像及び収縮末期に対応する画像が用いられ、これらの画像以外の画像は生成されてもステップS105〜ステップS108の処理で用いられない。したがって、第9の変形例によれば、不要な画像の生成が抑制されるため、更に簡便に、GLSを算出することができる。
(第1の実施形態の第10の変形例)
送受信回路110は、複数の多くの断面を走査(スキャン)する走査方式である多断面スキャンを行うように超音波プローブ101を制御してもよい。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第10の変形例として説明する。
多断面スキャンは、多断面の画像を実質的に同一のタイミングで収集する多断面同時スキャンと、ある断面に対するスキャンを所定回数実行した後に別の断面に対するスキャンを所定回数実行するスキャンと、を含む。多断面スキャンには、例えば、2つの断面を走査する2断面スキャン、3つの断面を走査する3断面スキャン等がある。以下の説明では、第10の変形例に係る超音波プローブ101が、多断面スキャンとして、心尖部四腔断面、心尖部三腔断面及び心尖部二腔断面を走査する3断面スキャンを行う場合を例に挙げて説明するが、超音波プローブ101が行う多断面スキャンはこれに限られず、他の多断面スキャンを行ってもよい。
第10の変形例に係る制御機能140aは、ステップS101において、超音波プローブ101が、心尖部四腔断面、心尖部三腔断面及び心尖部二腔断面を走査する3断面スキャンを行うことを開始するとともに、受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成することを開始するように送受信回路110を制御する。これにより、ステップS101では、画像生成回路141は、心尖部四腔像、心尖部三腔像及び心尖部二腔像を次々と生成し、心尖部四腔像、心尖部三腔像及び心尖部二腔像を次々と画像メモリ150に格納することを開始する。また、ステップS101では、制御機能140aは、画像メモリ150に格納された心尖部四腔像、心尖部三腔像及び心尖部二腔像のそれぞれを時系列順でディスプレイ103に表示させる。
そして、ステップS105において、制御機能140aは、画像メモリ150から取得した所定の期間分の心尖部四腔像、心尖部三腔像及び心尖部二腔像の中から、1心拍内で、拡張末期に対応する心尖部四腔像、拡張末期に対応する心尖部三腔像、及び、拡張末期に対応する心尖部二腔像、並びに、収縮末期に対応する心尖部四腔像、収縮末期に対応する心尖部三腔像、及び、収縮末期に対応する心尖部二腔像を選択するように、選択機能170aを制御する。これにより、選択機能170aは、1心拍内で、拡張末期に対応する心尖部四腔像、拡張末期に対応する心尖部三腔像、及び、拡張末期に対応する心尖部二腔像、並びに、収縮末期に対応する心尖部四腔像、収縮末期に対応する心尖部三腔像、及び、収縮末期に対応する心尖部二腔像の6つの画像を選択する。
そして、ステップS105において、制御機能140aは、選択された6つの画像をディスプレイ103に表示させる。
そして、ステップS106において、制御機能140aは、選択された6つの画像それぞれについて、自動的に心臓の2次元的な輪郭をトレースして特定するように、特定機能170bを制御する。これにより、特定機能170bは、選択された6つの画像それぞれについて、輪郭を特定する。
そして、ステップS107において、制御機能140aは、特定機能170bにより特定された輪郭の情報を用いてGLSを算出するとともに、算出したGLSをディスプレイ103に表示させるように、算出機能170cを制御する。これにより、算出機能107cは、拡張末期に対応する心尖部四腔像、拡張末期に対応する心尖部三腔像、及び、拡張末期に対応する心尖部二腔像について特定された3つの輪郭それぞれの長さを算出し、算出した3つの輪郭の長さの統計値、例えば平均値をL0として算出する。また、算出機能107cは、収縮末期に対応する心尖部四腔像、収縮末期に対応する心尖部三腔像、及び、収縮末期に対応する心尖部二腔像について特定された3つの輪郭それぞれの長さを算出し、算出した3つの輪郭の長さの統計値、例えば平均値をL1として算出する。そして、算出機能107cは、L0及びL1を用いて、上記の式(1)によりGLSを算出する。そして、算出機能107cは、算出したGLSをディスプレイ103に表示させる。
なお、上述した第10の変形例では、送受信回路110の制御により超音波プローブ101が多断面スキャンを行って複数の断面を走査する場合について説明したが、超音波プローブ101をユーザが操作することにより、超音波プローブ101が複数の断面を走査してもよい。例えば、超音波プローブ101をユーザが操作することにより、超音波プローブ101が心尖部四腔断面、心尖部三腔断面及び心尖部二腔断面を走査してもよい。
(第1の実施形態の第11の変形例)
ディスプレイ103に表示されたGLSを確認したユーザが、被検体Pの心臓についてより詳細に検査を行うために、被検体Pについての上述したRLSを確認したい場合がある。そこで、GLSを算出して表示した後に、RLSを算出して表示する実施形態を第1の実施形態の第11の変形例として説明する。
第11の変形例において、例えば、GLSが算出されて表示された後に、制御機能140a又は特定機能170bが、GLSが算出される際に用いられた輪郭(特定機能170bにより特定された輪郭)の情報(例えば、画像上の輪郭の位置等)を内部記憶回路160から読み出す。なお、内部記憶回路160は、少なくとも拡張末期に対応する画像について特定した輪郭の情報を記憶していればよい。
例えば、制御機能140a又は特定機能170bは、ユーザが入力装置102を操作して、入力装置102からRLSを算出する指示が入力された場合に、輪郭の情報を内部記憶回路160から読み出す。すなわち、制御機能140a又は特定機能170bは、GLSの表示後に行われた操作に応じて、内部記憶回路160に記憶された輪郭の情報を読み出す。また、制御機能140a又は特定機能170bは、上述した共通の操作に続けて行われた操作に応じて、内部記憶回路160に記憶された輪郭の情報を読み出す。
そして、算出機能170cは、読み出した輪郭の情報を用いて、心腔に対応する心筋の局所的な歪みを表す第3心機能パラメータであるRLSを算出する。そして、制御機能140aは、算出したRLSをディスプレイ103に表示させる。すなわち、算出機能170cは、GLSの算出後に、RLSを算出し、制御機能140aは、算出されたRLSをディスプレイ103に表示させる。
ここで、超音波診断装置が、ルーチン検査においてルーチン検査用のソフトウェアを実行することでGLSを算出し、ルーチン検査に続けて行われる非ルーチン検査において非ルーチン検査用のソフトウェアを実行することでRLSを算出する場合について説明する。ルーチン検査用のソフトウェアと、非ルーチン検査用のソフトウェアとの連携が取れていない場合には、ルーチン検査用のソフトウェアがGLSを算出する際に輪郭を特定しているにも関わらず、非ルーチン検査用のソフトウェアがRLSを算出する際に再度輪郭を特定する処理を実行してしまう。このため、簡易に、RLSを算出することが困難である。
一方、第11の変形例では、RLSを算出する際に、輪郭を特定する処理を実行することなく、既に特定された輪郭の情報が用いられる。すなわち、第11の変形例によれば、ルーチン検査で特定した輪郭の情報が、非ルーチン検査で再利用される。したがって、第11の変形例によれば、RLSを簡易に算出することができる。
(第1の実施形態の第12の変形例)
上述した第11の変形例において、超音波診断装置1が、スペックルトラッキングにより輪郭を特定し、特定した輪郭の情報を用いて、GLSを算出した後、GLSを算出する際に用いられた輪郭の情報を再利用して、RLSを算出してもよい。そこで、このような実施形態を第1の実施形態の第12の変形例として説明する。
第12の変形例において、特定機能170bは、収縮末期及び拡張末期に対応する画像を選択するために、スペックルトラッキングにより、被検体Pの心臓を含む時系列の画像に含まれる複数の画像(例えば、全ての画像)それぞれについて、心臓の少なくとも一部の輪郭を特定する。なお、かかる全ての画像は、例えば、3以上の画像である。特定機能170bは、複数の画像それぞれについて、特定した輪郭の情報を内部記憶回路160に格納する。これにより、内部記憶回路160は、複数の画像それぞれについて、特定された輪郭の情報を記憶する。なお、内部記憶回路160は、少なくとも拡張末期に対応する画像について特定された輪郭の情報を記憶していればよい。
そして、制御機能140a又は特定機能170bは、複数の画像それぞれについて内部記憶回路160に記憶された輪郭の情報を読み出す。
そして、特定機能170bは、読み出された輪郭の情報を用いたスペックルトラッキングにより、複数の画像それぞれについて、再度、心臓の少なくとも一部の輪郭を特定する。
そして、算出機能170cは、再度、スペックルトラッキングにより特定された輪郭の情報を用いて、RLSを算出する。例えば、算出機能170cは、複数の画像のうち、収縮末期及び拡張末期に対応する画像それぞれについて特定された輪郭の情報を用いて、RLSを算出する。
(第2の実施形態)
また、例えば、上記の実施形態において説明した機能は、超音波診断装置1に限らず、画像処理装置に対しても適用することが可能である。
図11は、第2の実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。図11に示すように、第2の実施形態に係る画像処理システムは、画像処理装置200と、医用画像診断装置300と、画像保管装置400とを備える。なお、図11に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)5により、直接的、又は、間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、画像処理システムにPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像データ等を相互に送受信する。
図11において、例えば、医用画像診断装置300は、被検体の心臓を含む医用画像を画像保管装置400へ格納する。なお、医用画像診断装置300は、例えば、上述した超音波診断装置1、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置、PET装置とMRI装置とが一体化されたPET−MRI装置、若しくはこれらの装置を複数含む装置群等に対応する。
また、画像保管装置400は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、画像保管装置400は、各種の医用画像診断装置300により生成された医用画像を記憶部に格納し、保管する。画像保管装置400に保管された医用画像は、例えば、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等の付帯情報と対応付けて保管される。
画像処理装置200は、例えば、病院内に勤務する医師や検査技師が医用画像の閲覧に用いるワークステーションやPC(Personal Computer)等である。画像処理装置200の操作者は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行なうことで、必要な医用画像を画像保管装置400から取得する。或いは、画像処理装置200は、医用画像診断装置300から直接、医用画像を受信してもよい。画像処理装置200は、解析装置の一例である。
画像処理装置200は、入力装置201と、通信回路202と、ディスプレイ203と、記憶回路210と、処理回路220とを備える。入力装置201、通信回路202、ディスプレイ203、記憶回路210、処理回路220及び解析回路230は、互いに接続されている。
入力装置201は、マウスやペンタブレット等のポインティングデバイス、キーボード、トラックボール等であり、画像処理装置200に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。マウスを用いる場合には、マウスホイールによる入力を行うことができる。ペンタブレットを用いる場合には、フリック操作やスワイプ操作による入力を行うことができる。通信回路202は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。ディスプレイ203は、モニタ、液晶パネル等であり、各種情報を表示する。
記憶回路210は、例えば、ハードディスク、半導体メモリ素子等であり、各種情報を記憶する。例えば、記憶回路210は、処理回路220が処理を実行する際に用いられるデータや処理の結果算出されたデータ等を記憶する。
処理回路220は、例えば、プロセッサにより実現される。処理回路220は、画像処理装置200の全体制御を行う。処理回路220は、制御機能220aを備える。
解析回路230は、選択機能230aと、特定機能230bと、算出機能230cとを備える。
制御機能220aは、先の図1に示す制御機能140aと同様の機能を有する。選択機能230aは、選択機能170aと同様の機能を有する。特定機能230bは、特定機能170bと同様の機能を有する。算出機能230cは、算出機能170cと同様の機能を有する。そして、制御機能220a、選択機能230a、特定機能230b及び算出機能230cは、医用画像に対して、第1の実施形態及び各変形例で説明した処理と同様の処理を行う。したがって、第2の実施形態に係る画像処理装置200によれば、第1の実施形態及び各変形例と同様の効果が得られる。
また、例えば、上記の実施形態において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態及び各変形例で説明した処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上、説明した少なくとも一つの実施形態によれば、心臓の診断が容易となるように支援することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。