本発明に関する冷蔵庫の第一の実施例(実施例1)について説明する。図1は実施例1に係る冷蔵庫の正面図、図2は図1のA−A断面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の順に貯蔵室を有している。
冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉する扉を備えている。これらの扉は、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室扉2a、2bと、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5a、第二切替室扉6aである。これら複数の扉の内部材料は主に発泡ウレタンで構成されている。
冷蔵庫1の外形寸法は幅685mm、奥行き738mm、高さ1833mmであり、JISC9801−3:2015に基づく定格内容積は、冷蔵室2が308L、製氷室3が23L、冷凍室4が32L、第一切替室5が104L、第二切替室6が100Lである。また、第一切替室扉5aの上端の高さ位置は780mm、第二切替室扉6aの上端の高さ位置は400mmである。
このように、扉上端の高さ位置が床面から500mm〜1200mmに含まれ、屈まずに作業できるので食品の出し入れの負担が小さい貯蔵室と、扉上端の高さ位置が床面から500mm以下となり食品の出し入れの負担がやや大きくなる貯蔵室の双方を切替室とすることで、ユーザーがライフスタイルに合わせて使い易いレイアウトを選ぶことができ、使い勝手の良い冷蔵庫となる。また、冷蔵扉上端の高さ位置が床面から500mm〜1200mmに含まれる切替室(第一切替室5)の内容積を、扉上端の高さ位置が床面から500mm以下となる切替室(第二切替室6)の内容積を同等にすることで、ライフスタイルに合わせて食品の出し入れの負担が小さい貯蔵室と、食品の出し入れの負担がやや大きくなる貯蔵室の設定を入れ替えて使えるようになるため、使い勝手の良い冷蔵庫となる。なお、第一切替室と第二切替室の定格内容積の差が10%以下であれば両者は同等とみなせる。
扉2aの庫外側表面には、庫内の温度設定の操作を行う操作部26を設けている。操作部26の高さ位置(床面からの高さ)は、下端が1200mm、上端が1300mmとしている。このように900mm〜1500mmの範囲に操作部26を設けることで、屈んだり、見上げたりせずに温度設定等の操作が可能となり、使い勝手の良い冷蔵庫となる。また、扉の庫外側に操作部を設けることで、扉を開けることなくユーザーが温度設定等の操作を行うことができるようにしている。
冷蔵室2と、冷凍室4及び製氷室3は断熱仕切壁28によって隔てられている。また、冷凍室4及び製氷室3と、第一切替室5は断熱仕切壁29によって隔てられ、第一切替室5と第二切替室6は断熱仕切壁30によって隔てられている。
断熱箱体10の天面庫外側の前方と、断熱仕切壁28の前縁には、冷蔵庫1と扉2a、2bを固定するための扉ヒンジ(図示せず)が配設されており、上部の扉ヒンジは扉ヒンジカバー16で覆われている。
製氷室3及び冷凍室4は、基本的に庫内を冷凍温度(0℃未満)の例えば平均的に−18℃程度にした貯蔵室であり、冷蔵室2は庫内を冷蔵温度(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした貯蔵室である。第一切替室5及び第二切替室6は、操作部26によって冷凍温度もしくは冷蔵温度に設定することができる貯蔵室であり、本実施例の冷蔵庫では、冷蔵温度(平均的に4℃程度に維持)と、冷凍温度(平均的に−18℃程度に維持)の何れかを選択することができる。具体的には、第一切替室5と第二切替室6がともに冷凍温度に設定される「FF」モード、第一切替室5と第二切替室6がそれぞれ冷蔵温度と冷凍温度に設定される「RF」モード、第一切替室5と第二切替室6がそれぞれ冷凍温度と冷蔵温度に設定される「FR」モード、第一切替室5と第二切替室6がともに冷蔵温度に設定される「RR」モードの中から選択することができる。
図2に示すように、冷蔵庫1は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製(例えばABS樹脂)の内箱10bとの間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内が隔てられて構成されている。断熱箱体10には発泡断熱材に加えて、発泡断熱材より熱伝導率が低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、内容積の低下を抑えて断熱性能を高めている。本実施例では、断熱箱体10の背面、下面及び両側面に真空断熱材25を実装して、冷蔵庫1の断熱性能を高めている。同様に、本実施例の冷蔵庫では、第一切替室扉5a、第二切替室扉6aに真空断熱材25を実装することで、冷蔵庫1の断熱性能を高めている。
冷蔵室扉2a、2bは、庫内側に複数の扉ポケット33a、33b、33cを備えている。また、冷蔵室2内は、棚34a、34b、34c、34dによって複数の貯蔵スペースに区画されている。製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5a、第二切替室扉6aは、それぞれ一体に引き出される製氷室容器3b、冷凍室容器4b、第一切替室容器5b、第二切替室容器6bを備えている。
冷蔵室2の背部には、第一蒸発器14aが実装された第一蒸発器室8aが備えられている。また、第一切替室5及び第二切替室6の略背部には、第二蒸発器14bが実装された第二蒸発器室8bが備えられており、第一切替室5及び第二切替室6と、第二蒸発器室8、後述する第二ファン吐出風路12、冷凍室風路130、第一切替室第一風路140a、第一切替室第二風路140b、第二切替室第一風路150a、第二切替室第二風路150b(図3参照)が断熱仕切壁27によって隔てられている。
なお、断熱仕切壁27は、断熱箱体10、断熱仕切壁29及び断熱仕切壁30とは別体であり、図示しないシール部材(一例として軟質ウレタンフォーム)を介して断熱箱体10、断熱仕切壁29及び断熱仕切壁30と接触するように固定し、着脱可能としている。このように、断熱仕切壁27を別体で形成し着脱可能とすることで、第二蒸発器室8bに収納される第二蒸発器14bや後述する第二ファン9b、第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b、第二切替室第二ダンパ102bといった断熱仕切壁27により覆われる部品に不具合が生じた場合に、断熱仕切壁27を外して容易にメンテナンスが行えるようになる。
また、断熱仕切壁27、28、29、30の内部には断熱部材として発泡ポリスチレンが実装されている。また、断熱仕切壁27、29、30の内部には真空断熱材25を実装することで断熱性能を高めている。
断熱仕切壁27、28、29、30の貯蔵室(冷蔵室2、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6)と接する面は、厚さが0.5mm以上の合成樹脂(例えば厚さ1.5mmのポリプロピレン)で覆われている。これにより、断熱仕切壁27、28、29、30の内部に実装される断熱部材(発泡ポリスチレンや真空断熱材25)に触れることによる劣化や破損を防止している。
第一切替室5の背面(断熱仕切壁27の第一切替室5側表面を覆う合成樹脂の内側)と、第一切替室5の底面(断熱仕切壁30の第一切替室5側表面を覆う合成樹脂の内側)には、第一切替室5の加温手段となる第一切替室ヒータ121を備えている。また、第一切替室5の両側面の上部(外箱10aと内箱10bの間の領域の内箱10a側表面)にも加温手段として図示しない第一切替室ヒータを備えている。また、第二切替室6の上面(断熱仕切壁30の第二切替室6側表面を覆う合成樹脂の内面側)と、第二切替室6の背面下方(外箱10aと内箱10bの間の領域の内箱10a側表面)には、第二切替室6の加温手段となる第二切替室ヒータ122を備えている。このように、第一切替室ヒータ121、第二切替室ヒータ122が貯蔵室内に露出しないように配設することで、ユーザーがヒータに触れることによるヒータの破損が生じない信頼性が高い冷蔵庫となる。
冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43、第二切替室温度センサ44を設け、第一蒸発器14aの上部には第一蒸発器温度センサ40a、第二蒸発器14bの上部には第二蒸発器温度センサ40bを設けている。これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6、第一蒸発器室8a、第一蒸発器14a、第二蒸発器室8b、及び、第二蒸発器14bの温度を検知している。また、冷蔵庫1の天井部の扉ヒンジカバー16の内部には、外気温度センサ37と外気湿度センサ38を設け、外気(庫外空気)の温度と湿度を検知している。その他にも、扉センサ(図示せず)を設けることで、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知している。
図3(a)は、図1の扉、容器、後述する吐出口形成部材を外した状態の正面図である。図2及び図3(a)を用いて、冷蔵室2内の風路及び冷気の流れを説明する。
図2及び図3(a)に矢印で示すように、第一蒸発器14aと熱交換して低温になった空気は、第一蒸発器14aの上方に設けた第一ファン9aにより、冷蔵室風路110、冷蔵室吐出口110aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。ここで、第一ファン9aの形態は、遠心ファンであるターボファン(後向きファン)であり、回転速度は高速(1600min-1)と低速(1000min-1)に制御可能となっている。冷蔵室2に送風された空気は冷蔵室戻り口110b(図2参照)及び冷蔵室戻り口110c(図3(a)参照)から第一蒸発器室8aへと戻り、再び第一蒸発器14aと熱交換する。冷蔵室戻り口110b及び110cには後述する第一排水管の最小径よりも隙間が小さいスリット(図示せず)を設け、排水口(図示せず)及び第一排水管での食品のつまりを防止している。
冷蔵室2の冷蔵室吐出口110aは冷蔵室2の上部に設けており、本実施例では最上段の棚34aと二段目の棚34bの上方に空気が吐出するように設けている。また、冷蔵室戻り口110cは冷蔵室2の棚34cと棚34dの間に形成される空間の背部に設け、冷蔵室戻り口110bは冷蔵室2の棚34dと断熱仕切壁28の間に形成される空間の略背面に設けている。
図3(b)は、図1の扉及び容器を外した状態の正面図である。図3(b)に示すように、冷蔵室2内の棚34dの上部には、容器35が備えられており、容器35内部は、冷気が直接送風されない間接冷却空間となっている。これにより、食品の乾燥が抑制され、野菜等の乾燥に弱い食品の収納に適した収納スペースとなる。
なお、内箱10bと容器35の左壁間や、仕切り壁35bと容器35の右壁間などの容器35とその他の壁面との間には約8mmの隙間を設けており、容器35の出し入を容易にしている。同様に、容器35に取手35aを設けることで、出し入れを容易にしている。
図3(b)に示すように、冷蔵室2内の、断熱仕切壁28の上部には、内部が−1℃程度に維持される容器36が備えられており、容器36の前方は蓋体36aにより開閉可能となっている。蓋体36aの外周にはパッキン(図示せず)が備えられており、蓋体36aを閉鎖状態とした場合、パッキンにより蓋体36aと容器36が隙間なく接触し、密閉される構造となっている。また、容器36の背部には、容器36内の空気を吸引するポンプ(図示せず)が備えられており、蓋体36aが閉鎖された状態でポンプを駆動することで、容器36内の気圧が約0.8気圧に減圧されるようにしている。これにより容器36内は、蓋体36aにより冷気が直接送風されなくなるとともに、減圧環境となるので、食品の乾燥と酸化を抑制する収納スペースとなる。
図4は、実施例に係る製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、及び第二切替室6の冷気の流れを示す風路構造の概略図である。図2及び図4を用いて、冷蔵室2以外の庫内の風路構成と、冷気の流れを説明する。
本実施例の冷蔵庫1は、図4に示すように第一切替室5及び第二切替室6への送風を制御するダンパとして、第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b、第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102bを備えている(送風遮断手段)。第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b及び第二切替室第二ダンパ102bは第一切替室5の背部に実装され、第二切替室第一ダンパ102aは第二切替室6の背部に実装されている。
ここで、第一切替室第一ダンパ101aの開口面積は6300mm2(幅180mm×高さ35mm)、第一切替室第二ダンパ101bの開口面積は900mm2(幅30mm×高さ30mm)、第二切替室第一ダンパ102aの開口面積は5200mm2(幅80mm×高さ65mm)、第二切替室第二ダンパ102bの開口面積は900mm2(幅30mm×高さ30mm)である。なお、第一切替室第二ダンパ101bと第二切替室第二ダンパ102bは同一のモータ(図示せず)により開閉される。本実施例の冷蔵庫1のように、切替室(第一切替室5)の背部に、複数のダンパ(第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b、第二切替室第二ダンパ102b)を実装する場合、一つのモータで複数のダンパを開閉することで、コンパクトな実装が可能となるとともにコストを削減することができる。
図2及び図4に示すように、第二蒸発器14bは第一切替室5、第二切替室6、及び断熱仕切壁30の略背部の第二蒸発器室8b内に設けてある。第二蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、第二蒸発器14bの上方に設けた第二ファン9bを駆動することにより、第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b、第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102bの開閉状態に依らず第二ファン吐出風路12、冷凍室風路130、冷凍室吐出口120a、120bを介して製氷室3及び冷凍室4に送られ、製氷室3の製氷皿3c(図4参照)内の水、容器3b内の氷、冷凍室4内の容器4bに収納された食品等を冷却する。ここで、第二ファン9bは、遠心ファンであるターボファン(後向きファン)であり、回転速度は高速(1800min-1)と低速(1200min-1)に制御可能となっている。製氷室3及び冷凍室4を冷却した空気は、冷凍室戻り口120cより冷凍室戻り風路120dを介して、第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。
第一切替室第一ダンパ101aが開放状態、第一切替室第二ダンパ101bの閉鎖状態では、第二ファン9bにより昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第一切替室第一風路140a、第一切替室第一ダンパ101a、吐出口形成部材111(図3参照)に備えられた第一切替室5の直接冷却用吐出口である第一切替室吐出口111aを介して、第一切替室5に設けた第一切替室容器5b内に送られて、第一切替室容器5b内の食品を冷却する。この送風状態では、冷却空気は第一切替室容器5b内の食品に直接的に作用するため、比較的短時間で第一切替室容器5b内の食品を冷却できる。
第一切替室第一ダンパ101aが閉鎖状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態の場合、第二ファン9bにより昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第一切替室第二風路140b、第一切替室第二ダンパ101b、第一切替室5の間接冷却用吐出口である第一切替室吐出口111bを介して、第一切替室容器5bの外側(外周)に送られる。この送風状態では、冷却空気は第一切替室容器5b内の食品に直接到達し難く、食品は第一切替室容器5bを介して間接的に冷却されるため、食品の乾燥を抑えつつ冷却できる。
第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101bが何れも開放状態の場合、第二ファン9bにより昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第一切替室第一風路140a、第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室5の直接冷却用吐出口である第一切替室吐出口111aを介して、第一切替室5に設けた第一切替室容器5b内に送られるとともに、第一切替室第二風路140b、第一切替室第二ダンパ101b、第一切替室5の間接冷却用吐出口である第一切替室吐出口111bを介して、第一切替室容器5bの外側(外周)にも送られる。この送風状態では、第一切替室容器5b内の食品に直接的に作用するとともに、第一切替室容器5bを介して間接的にも冷却されるため、より短時間で第一切替室容器5b内の食品を冷却できる。
第一切替室5を冷却した空気は、第一切替室戻り口111c、冷凍室戻り風路120dを流れて、第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。
第二切替室第一ダンパ102aが開放状態、第二切替室第二ダンパ102bが閉鎖状態では、第二ファン9bにより昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第二切替室第一風路150a、第二切替室第一ダンパ102a、吐出口形成部材112(図3参照)に備えられた第二切替室6の直接冷却用吐出口である第二切替室吐出口112aを介して、第二切替室6に設けた第二切替室容器6b内に送られて、第二切替室容器6b内の食品を冷却する。この送風状態では、冷却空気は第二切替室容器6b内の食品に直接的に作用するため、比較的短時間で第二切替室容器6b内の食品を冷却できる。
第二切替室第一ダンパ102aが閉鎖状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態の場合、第二ファン9bにより昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第二切替室第二風路150b、第二切替室第二ダンパ102b、第二切替室6の間接冷却用吐出口である第二切替室吐出口112bを介して、第二切替室容器6bの外側(外周)に送られる。この送風状態では、冷却空気は第二切替室容器6b内の食品に直接到達し難く、食品は第二切替室容器6bを介して間接的に冷却されるため、食品の乾燥を抑えつつ冷却できる。
第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102bが何れも開放状態の場合、第二ファン9bにより昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第二切替室第一風路150a、第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室6の直接冷却用吐出口である第二切替室吐出口112aを介して、第二切替室6に設けた第二切替室容器6b内に送られるとともに、第二切替室第二風路150b、第二切替室第二ダンパ102b、第二切替室6の間接冷却用吐出口である第二切替室吐出口112bをして、第二切替室容器6bの外側(外周)にも送られる。この送風状態では、第二切替室容器6b内の食品に直接的に作用するとともに、第二切替室容器6bを介して間接的にも冷却されるため、より短時間で第二切替室容器6b内の食品を冷却できる。
第二切替室6を冷却した空気は、第二切替室戻り口112c、第二切替室戻り風路112dを流れて、第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。なお、低温の蒸発器が収納される蒸発器室(本実施例では第二蒸発器室8b)、蒸発器と熱交換して低温になった空気が流れる風路(本実施例では、第二ファン吐出風路12、冷凍室風路130、第一切替室第一風路140a、第一切替室第二風路140b、第二切替室第一風路150a、第二切替室第二風路150b)、冷凍温度に維持される貯蔵室(本実施例では製氷室3、冷凍室4、冷凍温度に設定された場合の第一切替室5、冷凍温度に設定された場合の第二切替室6)、冷凍温度に維持される貯蔵室からの戻り風路(本実施例では、冷凍室戻り風路120d、冷凍温度に設定された場合の第二切替室戻り風路112d)は、冷凍温度になる空間であるため、以下では冷凍温度空間と呼ぶ。
図5は、実施例1に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成図である。本実施例の冷蔵庫1では、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段としての庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b(外箱10aと内箱10bの間の領域の外箱10aの内面に配置)、仕切り壁28、29、30の前面部への結露を抑制する結露防止配管50c(仕切り壁28、29、30の内面に配置)、冷媒を減圧する減圧手段である第一キャピラリチューブ53aと第二キャピラリチューブ53b、冷媒と庫内の空気を熱交換することで庫内の熱を吸熱する第一蒸発器14aと第二蒸発器14bを備えている。また、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51と、液冷媒の圧縮機24への流入を抑制する気液分離器54a、54b、冷媒流路を制御する冷媒制御弁52、逆止弁56、冷媒流を接続する冷媒合流部55を備えており、これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。
冷媒制御弁52は、流出口52a、52bを備えており、流出口52aを開放し、流出口52bを閉鎖した「状態1」、流出口52aを閉鎖し、流出口52bを開放した「状態2」、流出口52aと流出口52bの何れも閉鎖した「状態3」、流出口52aと流出口52bの何れも開放した「状態4」の4つの状態に切換え可能な弁である。なお、圧縮機24の回転速度は高速(2500min-1)、中速(1500min-1)、低速(1000min-1)の3段階に制御可能となっている。
次に本実施例の冷蔵庫1の冷媒の流れについて説明する。圧縮機24から吐出した冷媒は、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、冷媒制御弁52に至る。冷媒制御弁52の流出口52aは冷媒配管を介して第一キャピラリチューブ53aと接続され、流出口52bは冷媒配管を介して第二キャピラリチューブ53bと接続されている。
第一蒸発器14aにより冷蔵室2を冷却する場合は、冷媒制御弁52を、流出口52a側に冷媒が流れる「状態1」に制御する。流出口52aから流出した冷媒は、第一キャピラリチューブ53aにより減圧されて低温低圧となり、第一蒸発器14aに入り庫内空気と熱交換した後に、気液分離機54a、第一キャピラリチューブ53a内の冷媒と熱交換する熱交換部57a、冷媒合流部55を流れ、圧縮機24に戻る。
第二蒸発器14bにより製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6を冷却する場合は、冷媒制御弁52を、流出口52b側に冷媒が流れる「状態2」に制御する。流出口52bから流出した冷媒は、第二キャピラリチューブ53bにより減圧されて低温低圧となり、第二蒸発器14bに入り庫内空気と熱交換した後に、気液分離機54b、第二キャピラリチューブ53b内の冷媒と熱交換する熱交換部57b、逆止弁56、冷媒合流部55の順に流れ、圧縮機24に戻る。逆止弁56は冷媒合流部55から第二蒸発器14b側に向かう流れを阻止するように配設している。
続いて本実施例の冷蔵庫1の除霜方式について図2及び図3を参照しながら説明する。第一蒸発器14aについては、圧縮機24駆動状態で冷媒制御弁52を流出口52bに流れる「状態2」に制御した状態、または、圧縮機24停止状態の何れかの状態に制御することで第一蒸発器14aに冷媒を流さない状態として、第一ファン9aを駆動して冷蔵室2からの戻り空気によって第一蒸発器14aを加熱して除霜を行う。第一蒸発器14aの除霜時に発生した除霜水は、第一蒸発器室8aの下部に設けた樋23a(図2参照)から、図示しない第一排水管を介して機械室39に設けた図示しない第一蒸発皿に排出され、圧縮機24からの放熱や、機械室39に設置された図示しない機械室ファンによる通風等の作用により蒸発する。このように第一蒸発器14aの除霜は、ヒータを用いず、第一ファン9aの駆動によって行うため省エネルギー性能が高い冷蔵庫となる。また、霜の水分の一部は除霜によって冷蔵室2に還元されるため、冷蔵室2をより高湿に保つことができる。
一方、第二蒸発器14bについては、圧縮機24が停止した状態で、第二蒸発器14bの下部に備えられた、除霜ヒータ21(図2参照)に通電することによって除霜を行う。除霜ヒータ21は、例えば50W〜200Wの電気ヒータを採用すれば良く、本実施例では150Wのラジアントヒータとしている。第二蒸発器14bの除霜時に発生した除霜水は第二蒸発器室8bの下部の樋23b(図2参照)から第二排水管26(図2参照)を介して圧縮機24の上部に設けた第二蒸発皿32(図2参照)に排出され、圧縮機24からの放熱や、図示しない機械室ファンによる通風等の作用により蒸発する。
冷蔵庫1の上部には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31を配置している。また、制御基板31は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43、第二切替室温度センサ44、第一蒸発器温度センサ40a、第二蒸発器温度センサ40b等と電気配線(図示せず)で接続されている。制御基板31では、各センサの出力値や操作部26の設定、ROMに予め記録されたプログラム等を基に、後述する圧縮機24や第一ファン9a、第二ファン9bのON/OFFや回転速度制御、第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b、第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102bの開閉制御、冷媒制御弁52の流路切替制御を行っている。
なお、本実施例の冷蔵庫1は、冷媒に可燃性冷媒のイソブタンを用いている。
以上で、本実施例に係る冷蔵庫の構成を説明したが、次に本実施例に係る冷蔵庫の制御について、図6〜図10を参照しながら説明する。図6は、本実施例に係る冷蔵庫の制御を表すフローチャート、図7は、本実施例に係る冷蔵庫の第二蒸発器による冷却運転開始時の状態を示す表、図8、図9は、本実施例に係る冷蔵庫の制御を表すタイムチャート、図10は本実施例に係る冷蔵庫の制御状態を示す表である。
まず、図6及び図7を参照しながら本実施例の冷蔵庫の基本制御について説明する。図6に示すように、本実施例の冷蔵庫は、電源の投入により冷却運転が開始される(スタート)。電源投入から庫内の貯蔵室が所定の温度レベルに到達するまでのプルダウン運転の制御については省略し、安定運転状態に達した状態において第一蒸発器運転が開始される段階(ステップS101)から説明する。なお、安定運転状態とは、冷蔵庫の扉の開閉が行われない状態で、安定して周期的な冷却運転が行われる状態である(例えばJISC9801−3:2015に規定)。
第一蒸発器運転とは、冷媒制御弁を「状態1」に制御し、圧縮機24を駆動状態、第一ファン9aを駆動状態として、第一蒸発器14aに供給される低温冷媒で冷蔵室2を冷却する運転である。本実施例の冷蔵庫では、ステップS101ににより、冷媒制御弁52は「状態1」の状態に制御され、圧縮機24は低速(1000min-1)で駆動、第一ファン9aは高速(1600min-1)で駆動され、冷蔵室2の冷却(第一蒸発器運転)が行われる。
ステップS101によって開始された第一蒸発器運転は、第一蒸発器運転終了条件(ステップS102)が成立するまで継続される。ステップS102は、冷蔵室温度センサ41が検知する冷蔵室温度が、第一蒸発器運転終了温度(本実施例の冷蔵庫では2℃)以下の場合、または、第一蒸発器運転開始からの経過時間が所定時間(本実施例の冷蔵庫では50分)に到達した場合に成立する。
ステップS102が成立した場合(ステップS102がYes)、続いて冷媒回収運転が行われる(ステップS103)。冷媒回収運転とは、圧縮機24の駆動状態を継続し、冷媒制御弁52を「状態3(全閉)」として、第一蒸発器14a内の冷媒を放熱手段(庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c)側に回収する運転であり、本実施例の冷蔵庫では2分間継続する(ステップS103)。このとき、第一ファン9aの駆動状態も継続し、冷媒回収運転中も冷蔵室2の冷却を行う。これにより第一蒸発器運転終了時に第一蒸発器14a内に残った冷媒を冷却に利用できるので、冷却効率が高い冷蔵庫となる。
ステップS103の冷媒回収運転が終了すると、続いて第一蒸発器除霜が開始される(ステップS104)。第一蒸発器除霜とは、第一蒸発器14aに冷媒を流さない状態で、第一ファン9aを駆動状態とすることで冷蔵室2からの戻り空気による加熱で除霜を行うものである。本実施例の冷蔵庫では、第一蒸発器除霜時の第一ファン9aの回転速度は低速(1000min-1)であり、第一蒸発器運転時の第一ファン9aの回転速度より低くしている。これにより、ファンの消費電力をより低く抑えた効率のよい除霜を行うことができる。
続いて、切替室の設定を読み込み(ステップS105)、第一切替室5、第二切替室6の設定に応じた第二蒸発器運転が開始される(ステップS106)。ステップS106では、切替室の設定と周囲温度(庫外温度)に基づいて圧縮機24の回転速度、第二ファン9bの回転速度、第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b、第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102b、第一切替室ヒータ121、第二切替室ヒータ122の状態が決定される。
図7はステップS106において選択される第二蒸発器運転の開始状態を示す表である。本実施例の冷蔵庫では第一切替室5と第二切替室6の設定がそれぞれ冷凍温度と冷凍温度(「FF」モード)であって、周囲温度が高い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃より高い場合)、圧縮機24が高速(2500min-1)、第二ファンが高速(1800min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが開放状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが開放状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。この状態で各貯蔵室に供給される風量は、製氷室3及び冷凍室4が0.45m3/min(両室の合計)、第一切替室5が0.27m3/min、第二切替室6が0.33m3/minである。
第一切替室5と第二切替室6の設定がそれぞれ冷凍温度と冷凍温度(「FF」モード)であって、周囲温度が低い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃以下の場合)、圧縮機24が中速(1500min-1)、第二ファンが低速(1200min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが開放状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが開放状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。この状態で各貯蔵室に供給される風量は、製氷室3及び冷凍室4が0.30m3/min(両室の合計)、第一切替室5が0.18m3/min、第二切替室6が0.22m3/minである。
第一切替室5と第二切替室6の設定がそれぞれ冷蔵温度と冷凍温度(「RF」モード)であって、周囲温度が高い場合、圧縮機24が中速(1500min-1)、第二ファンが高速(1800min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが閉鎖状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが開放状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。この状態で各貯蔵室に供給される風量は、製氷室3及び冷凍室4が0.36m3/min(両室の合計)、第一切替室5が0.06m3/min、第二切替室6が0.39m3/minである。
第一切替室5と第二切替室6の設定がそれぞれ冷蔵温度と冷凍温度((「RF」モード))であって、周囲温度が低い場合、圧縮機24が低速(1000min-1)、第二ファンが低速(1200min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが閉鎖状態、第一切替室第二ダンパ101bが閉鎖状態、第二切替室第一ダンパ102aが開放状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がON状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。この状態で各貯蔵室に供給される風量は、製氷室3及び冷凍室4が0.24m3/min(両室の合計)、第一切替室5が0.04m3/min、第二切替室6が0.26m3/minである。
第一切替室5と第二切替室6の設定がそれぞれ冷凍温度と冷蔵温度(「FR」モード)であって、周囲温度が高い場合、圧縮機24が中速(1500min-1)、第二ファンが高速(1800min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが開放状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが閉鎖状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。この状態で各貯蔵室に供給される風量は、製氷室3及び冷凍室4が0.38m3/min(両室の合計)、第一切替室5が0.33m3/min、第二切替室6が0.08m3/minである。
第一切替室5と第二切替室6の設定がそれぞれ冷凍温度と冷蔵温度(「FR」モード)であって、周囲温度が低い場合、圧縮機24が低速(1000min-1)、第二ファンが低速(1200min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが開放状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが閉鎖状態、第二切替室第二ダンパ102bが閉鎖状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態、第二切替室ヒータ122がON状態が選択される。この状態で各貯蔵室に供給される風量は、製氷室3及び冷凍室4が0.27m3/min(両室の合計)、第一切替室5が0.22m3/min、第二切替室6が0.05m3/minである。
第一切替室5と第二切替室6の設定がそれぞれ冷蔵温度と冷蔵温度(「RR」モード)であって、周囲温度が高い場合、圧縮機24が中速(1500min-1)、第二ファンが高速(1800min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが閉鎖状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが閉鎖状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。この状態で各貯蔵室に供給される風量は、製氷室3及び冷凍室4が0.45m3/min(両室の合計)、第一切替室5が0.07m3/min、第二切替室6が0.09m3/minである。
第一切替室5と第二切替室6の設定がそれぞれ冷蔵温度と冷蔵温度(「RR」モード)であって、周囲温度が低い場合、圧縮機24が低速(1000min-1)、第二ファンが低速(1200min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが閉鎖状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが閉鎖状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。この状態で各貯蔵室に供給される風量は、製氷室3及び冷凍室4が0.30m3/min(両室の合計)、第一切替室5が0.05m3/min、第二切替室6が0.06m3/minである。
図6に示すステップS106では、以上で説明した状態に圧縮機24、第二ファン、第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b、第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102b、第一切替室ヒータ121、第二切替室ヒータ122が制御されるとともに、冷媒制御弁52が「状態2」に制御されて第二蒸発器運転が開始される。続いてステップS107では、第一切替室ダンパ閉条件が成立しているか否かが判定される。ステップS107は第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101bの少なくとも一方が開放状態であって、第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室5の温度が、第一切替室第一ダンパ閉温度以下になった場合に成立し(ステップS107がYes)、開放状態となっていたダンパ(第一切替室第一ダンパ101aと第一切替室第二ダンパ101bの一方または両方)は閉鎖され(ステップS201)、第一切替室第一ダンパ101aと第一切替室第二ダンパ101bは何れも閉鎖状態となる。本実施例の冷蔵庫における第一切替室ダンパ閉温度は、第一切替室5の設定が冷蔵温度の場合は2℃、冷凍温度の場合は−20℃である。
ステップS108では、第二切替室ダンパ閉条件が成立しているか否かが判定される。ステップS108は、第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102bの少なくとも一方が開放状態であって、第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室6の温度が、第二切替室ダンパ閉温度以下になった場合に成立し(ステップS108がYes)、開放状態となっていたダンパ(第二切替室第一ダンパ102aと第二切替室第二ダンパ102bの一方または両方)は閉鎖され(ステップS202)、第二切替室第一ダンパ102aと第二切替室第二ダンパ102bは何れも閉鎖状態となる。本実施例の冷蔵庫における第二切替室ダンパ閉温度は、第二切替室6の設定が冷蔵温度の場合は1.5℃、冷凍温度の場合は−21℃である。
ステップS109では、第一切替室ヒータOFF条件が成立しているか否かが判定される。ステップS109は、第一切替室ヒータ121が通電状態(ON状態)であって、第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室5の温度が、第一切替室ヒータOFF温度以上になった場合に成立し(ステップS109がYes)、第一切替室ヒータ121が非通電状態(OFF状態)となる(ステップS203)。本実施例の冷蔵庫における第一切替室ヒータOFF温度は5℃である。
ステップS110では、第二切替室ヒータOFF条件が成立しているか否かが判定される。ステップS110は、第二切替室ヒータ122が通電状態(ON状態)であって、第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室6の温度が、第二切替室ヒータOFF温度以上になった場合に成立し(ステップS111がYes)、第二切替室ヒータ122が非通電状態(OFF状態)となる(ステップS204)。本実施例の冷蔵庫における第二切替室ヒータOFF温度は5℃である。
ステップS111では、第一蒸発器除霜終了条件が成立しているか否かが判定される。ステップS111は、第一ファン9aが駆動状態で、第一蒸発器温度センサ40aが検知する第一蒸発器14aの温度が、第一蒸発器除霜終了温度以上になった場合に成立し(ステップS111がYes)、第一ファン9aがOFF(停止)され、第一蒸発器除霜が終了する(ステップS205)。本実施例の冷蔵庫における第一蒸発器除霜終了温度は3℃である。
ステップS112では、第二蒸発器運転終了条件が成立しているか否かが判定される。ステップS112は、第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b、第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102bの全てが閉鎖状態で、冷凍室温度センサ42が検知する温度が第二蒸発器運転終了温度以下となった場合に成立する(ステップS112がYes)。本実施例の冷蔵庫では、冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室4の温度が−21℃以下の場合にステップS112が成立する。ステップS112が成立しない場合(ステップS112がNo)は、再びステップS107の判定に戻る。
ステップS112で第二蒸発器運転終了条件が成立した場合(ステップS112がYes)、続いて冷媒回収運転を行う(ステップS113)。ステップS113における冷媒回収運転は、圧縮機24の回転速度を維持し、冷媒制御弁52を「状態3(全閉)」として、第二蒸発器14b内の冷媒を放熱手段側に回収する運転であり、本実施例の冷蔵庫では3分間継続する。このとき、第二ファン9bは駆動状態を継続し、冷媒回収運転中も冷凍室4などの冷却を行い、冷媒回収運転終了時に第二ファン9bを停止する。これにより第二蒸発器運転終了時に第二蒸発器14b内に残った冷媒を冷却に利用できるので、冷却効率が高い冷蔵庫となる。
続いてステップS114では、第一蒸発器運転開始条件が成立しているか否かが判定される。ステップS114は、冷蔵室温度センサ41が検知する冷蔵室2の温度が第一蒸発器運転開始温度以上となった場合に成立し(ステップS114がYes)、ステップS101に戻り第一蒸発器運転が開始される。本実施例の冷蔵庫における第一蒸発器運転開始温度は6℃である。ステップS114が成立しない場合(ステップS114がNo)、圧縮機24が停止(OFF)される(ステップS115)。
次にステップS116では、第一蒸発器除霜終了条件が成立しているか否かが判定される。ステップS116が成立する条件は、ステップS111が成立する条件と同様である。ステップS116が成立した場合(ステップS111がYes)、第一ファン9aが停止(OFF)され、第一蒸発器除霜が終了する(ステップS206)。
ステップS117では、第一蒸発器運転開始条件が成立しているか否かが判定される。ステップS117が成立する条件は、ステップS114が成立する条件と同様である。ステップS117が成立した場合(ステップS117がYes)、ステップS101に戻り第一蒸発器運転が開始される。
ステップS118では、第二蒸発器運転開始条件が成立しているか否かが判定される。ステップS118は、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43、及び、第二切替室温度センサ44が検知する温度の少なくとも一つが第二蒸発器運転開始温度以上となった場合に成立する(ステップS118がYes)。本実施例の冷蔵庫では、第一切替室5が冷凍温度、第二切替室6が冷凍温度(「FF」モード)に設定されていた場合、冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室4の温度が−12℃以上、第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室5の温度が−12℃以上、第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室6の温度が−12℃以上の少なくとも一つを満足した場合にステップS118が成立する。
また、第一切替室5が冷蔵温度、第二切替室6が冷凍温度(「RF」モード)に設定されていた場合は、冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室4の温度が−12℃以上、第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室5の温度が8℃以上、第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室6の温度が−12℃以上の少なくとも一つを満足した場合にステップS118が成立する。
第一切替室5が冷凍温度、第二切替室6が冷蔵温度(「FR」モード)に設定されていた場合は、冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室4の温度が−12℃以上、第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室5の温度が−12℃以上、第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室6の温度が8℃以上の少なくとも一つを満足した場合にステップS118が成立する。
第一切替室5が冷蔵温度、第二切替室6が冷蔵温度(「RR」モード)に設定されていた場合は、冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室4の温度が−12℃以上、第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室5の温度が8℃以上、第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室6の温度が8℃以上の少なくとも一つを満足した場合にステップS118が成立する。
ステップS118が成立した場合(ステップS118がYes)、ステップS105に移行し、ステップS118が成立しない場合(ステップS118がNo)、ステップS116の判定に戻る。
図8は本実施例に係る冷蔵庫を、JISC9801−3:2015に則って16℃、相対湿度55%の環境に設置して、第一切替室5を冷凍温度、第二切替室6を冷凍温度(「FF」モード)に設定した場合の安定運転状態を表すタイムチャートである。以下では冷凍室4と同時に冷却される製氷室3の冷却状態については説明を省略する。
時刻t0は冷蔵室2を冷却する第一蒸発器運転を開始(図6のステップS101)した時刻である。第一蒸発器運転では、冷媒制御弁52を「状態1」に制御し、圧縮機24を低速(1000min-1)で駆動、第一ファン9aを高速(1600min-1)で駆動することで冷蔵室2を冷却する。ここで、第一蒸発器運転中の第一蒸発器14aの時間平均温度は−8℃であり、後述する第二蒸発器運転中の第二蒸発器14bの時間平均温度よりも高くしている。これにより冷凍室4や冷凍温度に設定された第一切替室5や第二切替室6に対して、維持する温度が相対的に高い冷蔵室2を効率よく冷却でき、省エネルギー性能が高い冷蔵庫となる。
第一蒸発器運転により冷蔵室2が冷却され、時刻t1で冷蔵室温度センサ42により検知する冷蔵室温度(TR)が第一蒸発器運転終了温度(TR_off=2℃)以下となり、冷蔵運転から冷媒回収運転に移行している(図6のステップS102、S103)。冷媒回収運転では冷媒制御弁52を「状態3(全閉)」に制御し、圧縮機24を低速(1000min−1)で駆動した状態を継続して、第一蒸発器14a内の冷媒を2分間回収する(図6のステップS103)。これにより、次の第二蒸発器運転における冷媒不足による冷却効率低下を抑制することができる。このとき第一ファン9aを駆動状態とすることで、第一蒸発器14a内の残留冷媒を冷蔵室2の冷却に活用するとともに、冷蔵室2からの戻り空気による加熱で、第一蒸発器14a内の圧力低下が緩和される。これにより、圧縮機24が吸い込む冷媒の比体積の増加が抑制され、比較的短い時間で多くの冷媒を回収できるようになり、冷却効率を高めることができる。
冷媒回収運転が終わると(時刻t2)、第一ファン9aが低速(1000min-1)になり、第一蒸発器除霜が行われている。このように第一蒸発器運転中よりも第一ファン9aの回転速度を低くすることでファンの駆動に要する消費電力量を抑えつつ、第一蒸発器の除霜を行うことができ省エネルギー性能に優れた冷蔵庫となる。このとき、第一蒸発器14aの温度(Tevp1)は冷蔵室2からの戻り空気で加熱されて温度が上昇し、冷蔵室2の温度(TR)は、霜や第一蒸発器14aの蓄冷熱による冷却効果により温度上昇が緩和される。
次いで、冷媒制御弁52が「状態2」に制御され、第一切替室5と第二切替室6の設定に基づいた第二蒸発器運転が開始している(図6のステップS105、S106)。ここでは第一切替室5が冷凍温度、第二切替室6が冷凍温度(「FF」モード)に設定されており、周囲温度が20℃以下であるため、圧縮機24が中速(1500min-1)、第二ファンが低速(1200min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが開放状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが開放状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。
第二蒸発器運転が開始されると、第一切替室第一ダンパ101aが開放状態、第一切替室第二ダンパ101bが開放状態、第二切替室第一ダンパ102aが開放状態で、第二ファン9bが駆動されるため、冷凍室4の温度(TF)、第一切替室5の温度(TS1)、第二切替室6の温度(TS2)が低下している。時刻t3で第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室温度(TS1)が第一切替室ダンパ閉温度(TS1_off=−20℃)以下となり、開放されていた第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101bが閉鎖され(図6のステップS107、S201)、第一切替室5の冷却が終了し、冷凍室4と第二切替室6が冷却される状態となる。
時刻t4で第一蒸発器温度センサ40aが検知する第一蒸発器14aの温度(Tevp1)が、第一蒸発器除霜終了温度(TRD_off =3℃)以上に到達し、第一ファン9aが停止している。続いて時刻t5で第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室温度(TS2)が第二切替室ダンパ閉温度(TS2_off =−21℃)以下となり、開放されていた第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102bが閉鎖され(図6のステップS108、S202)、第二切替室6の冷却が終了し、冷凍室4のみが冷却される状態となる。
時刻t6で冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室温度(TF)が、第二蒸発器運転終了温度(TF_off =−21℃)以下に到達したことで、第二蒸発器運転を終了し、冷媒回収運転に移行している(図6のステップS112、S113)。時刻t2〜t6で実施された第二蒸発器運転中の第二蒸発器14bの時間平均温度は−29℃である。
冷媒回収運転では冷媒制御弁52を「状態3(全閉)」に制御し、圧縮機24を中速(1500min-1)で駆動した状態を継続して、第二蒸発器14b内の冷媒を3分間回収する(図6のステップS113)。これにより、次の第一蒸発器運転における冷媒不足による冷却効率低下を抑制することができる。このとき第二ファン9bを駆動状態とすることで、第二蒸発器14b内の残留冷媒を冷凍室4の冷却に活用するとともに、冷凍室4からの戻り空気による加熱で、第二蒸発器14b内の圧力低下が緩和される。これにより、圧縮機24が吸い込む冷媒の比体積の増加が抑制され、比較的短い時間で多くの冷媒を回収できるようになり、冷却効率を高めることができる。
時刻t7で冷媒回収運転が終わると、第一蒸発器運転開始条件が成立しているかが判定され(図6のステップS114)、冷蔵室温度センサ41が検知する冷蔵室2の温度(TR)が、第一蒸発器運転開始温度(TR_on=6℃)以上となっているので、再び第一蒸発器運転が開始される(図6のステップS101)。
図9は本実施例に係る冷蔵庫を、JISC9801−3:2015に則って16℃、相対湿度55%の環境に設置して、第一切替室5と第二切替室6を「RF」モードに設定した場合の安定運転状態を表すタイムチャートである。時刻t0は冷蔵室2を冷却する第一蒸発器運転を開始(図6のステップS101)した時刻である。第一蒸発器運転では、冷媒制御弁52を「状態1」に制御し、圧縮機24を低速(1000min-1)で駆動、第一ファン9aを高速(1600min-1)で駆動することで冷蔵室2を冷却する。ここで、第一蒸発器運転中の第一蒸発器14aの時間平均温度は−8℃であり、後述する第二蒸発器運転中の第二蒸発器14bの時間平均温度よりも高くしている。
第一蒸発器運転により冷蔵室2が冷却され、時刻t1で冷蔵室温度センサ41により検知する冷蔵室温度(TR)が第一蒸発器運転終了温度(TR_off =2℃)以下となり、冷蔵運転から冷媒回収運転に移行している(図6のステップS102、S103)。冷媒回収運転では冷媒制御弁52を「状態3(全閉)」に制御し、圧縮機24を低速(1000min-1)で駆動した状態を継続して、第一蒸発器14a内の冷媒を2分間回収する(図6のステップS103)。冷媒回収運転が終わると(時刻t2)、第一ファン9aが低速(1000min-1)になり、第一蒸発器除霜が行われている。
次いで、冷媒制御弁52が「状態2」に制御され、第一切替室5と第二切替室6の設定に基づいた第二蒸発器運転が開始している(図6のステップS105、S106)。ここでは第一切替室5が冷蔵温度、第二切替室6が冷凍温度(「RF」モード)に設定されており、周囲温度が20℃以下であるため、圧縮機24が低速(1000min-1)、第二ファンが低速(1200min-1)、第一切替室第一ダンパ101aが閉鎖状態、第一切替室第二ダンパ101bが閉鎖状態、第二切替室第一ダンパ102aが開放状態、第二切替室第二ダンパ102bが開放状態、第一切替室ヒータ121がON状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。
第二蒸発器運転が開始されると、第一切替室第一ダンパ101aが閉鎖状態、第一切替室第二ダンパ101bが閉鎖状態、第二切替室第一ダンパ102aが開放状態で、第二ファン9bが駆動されるため、冷凍室4の温度(TF)、第二切替室6の温度(TS2)が低下し、第一切替室ヒータ121がON状態となるため、第一切替室5の温度(Ts1)が上昇している。
時刻t3で第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室温度(TS1)が第一切替室ヒータOFF温度(TS1_H_off =5℃)以上となり、第一切替室ヒータ121がOFFされ(図6のステップS109、S203)、第一切替室5の加温が終了し、冷凍室4と第二切替室6が冷却される状態となる。
時刻t4で第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室温度(TS2)が第二切替室ダンパ閉温度(TS2_off =−21℃)以下となり、開放されていた第二切替室第一ダンパ102a、第二切替室第二ダンパ102bが閉鎖され(図6のステップS108、S202)、第二切替室6の冷却が終了し、冷凍室4のみが冷却される状態となる。
時刻t5で冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室温度(TF)が、第二蒸発器運転終了温度(TF_off =−21℃)以下に到達したことで、第二蒸発器運転を終了し、冷媒回収運転に移行している(図6のステップS112、S113)。時刻t2〜t5で実施された第二蒸発器運転中の第二蒸発器14bの時間平均温度は−24℃である。
冷媒回収運転では冷媒制御弁52を「状態3(全閉)」に制御し、圧縮機24を低速(1000min-1)で駆動した状態を継続して、第二蒸発器14b内の冷媒を3分間回収する(図6のステップS113)。
時刻t6で冷媒回収運転が終わると、第一蒸発器運転開始条件が成立しているかが判定され(図6のステップS114)、冷蔵室温度センサ41が検知する冷蔵室2の温度(TR)が第一蒸発器運転開始温度TR_on(=6℃)以上に到達していないため、圧縮機24、第二ファン9bが停止され、OFF状態となる。
時刻t7で第一蒸発器温度センサ40aが検知する温度(Tevp1)が第一蒸発器除霜終了温度TRD_off (=3℃)以上に到達し、第一ファン9aが停止している。
時刻t8で冷蔵室温度センサ41が検知する冷蔵室2の温度TRが第一蒸発器運転開始温度TR_on(=6℃)以上となり、第一蒸発器運転開始条件が成立して(図6のステップS114)、再び第一蒸発器運転が開始される(図6のステップS101)。
なお、蒸発器(第一蒸発器14aと第二蒸発器14b)は蒸発器室(第一蒸発器室8aと第二蒸発器室8b)に収納され、蒸発器室の温度は蒸発器温度に依存して変化する。したがって、図8及び図9に示す蒸発器温度(第一蒸発器温度Tevp1,第二蒸発器温度Tevp2)を蒸発器室の代表温度(第一蒸発器室温度、第二蒸発器室温度)とみなすことができる。
ここで、図8及び図9に示す第二蒸発器室温度(第二蒸発器温度Tevp2)の安定運転状態における時間平均値は、「FF」モードに設定された場合は−27℃(図8)、「RF」モードに設定された場合は−22℃(図9)であり、「FF」モードに設定された場合より、「RF」モードに設定された場合の方が高くなっている。
また、安定運転状態における第二ファン9bの回転速度の時間平均値は、「FF」モードに設定された場合は860min-1、「RF」モードに設定された場合は485min-1であり(停止状態は回転速度0min-1として算出)、「FF」モードに設定された場合より「RF」モードに設定された場合の方が低くなっている。
第二蒸発器室8bの温度は、第二蒸発器14bに冷媒が供給されている状態においては、圧縮機24の回転速度、第二ファン9bの回転速度によって調整できる。具体的には圧縮機24の回転速度を下げる、あるいは、第二ファン9bの回転速度を上げることで、第二蒸発器室8b(第二蒸発器14b)の温度を上げることができる。また、圧縮機24の回転速度、第二ファン9bの回転速度を変えると、冷却能力(第二蒸発器14bにおける交換熱量)が変わるため、第二蒸発器14bに冷媒が供給されない状態の時間比率が変化する。第二蒸発器14bに冷媒が供給されない状態では、庫外からの熱の侵入により温度が上昇するので、第二蒸発器14bに冷媒が供給されない状態の時間比率を大きくすると、第二蒸発器14bの時間平均温度は高くなる。これらの関係から、第二蒸発器室8bの時間平均温度は、圧縮機24及び第二ファン9bの回転速度により調整することができるので、これらを蒸発器室温度制御手段と呼ぶ。
図10は本実施例に係る冷蔵庫を、JISC9801−3:2015に則って16℃、相対湿度55%と、32℃相対湿度70%の環境に設置した場合の安定運転中の第一切替室5と第二切替室6の設定状態と庫内温度の時間平均値の関係を示す表である。
第一切替室5が冷凍温度、第二切替室6が冷凍温度(「FF」モード)に設定されている場合、周囲温度が32℃では、冷凍室4の時間平均温度が-18℃、第一切替室5の時間平均温度が-18℃、第二切替室6の時間平均温度が-18℃、第二蒸発器室8bの時間平均温度が−26℃に制御され、周囲温度が16℃では、冷凍室4の時間平均温度が-18℃、第一切替室5の時間平均温度が-18℃、第二切替室6の時間平均温度が-18℃、第二蒸発器室8bの時間平均温度が−27℃に制御されている。また、第一切替室5が冷凍温度、第二切替室6が冷凍温度(「FF」モード)に設定されている場合のJISC9801−3:2015に則って測定した年間消費電力量は340kWh/年である。
第一切替室5が冷蔵温度、第二切替室6が冷凍温度(「RF」モード)に設定されている場合、周囲温度が32℃では、冷凍室4の時間平均温度が-18℃、第一切替室5の時間平均温度が4℃、第二切替室6の時間平均温度が-18℃、第二蒸発器室8bの時間平均温度が−21℃、周囲温度が16℃では、冷凍室4の時間平均温度が-18℃、第一切替室5の時間平均温度が4℃、第二切替室6の時間平均温度が-18℃、第二蒸発器室8bの時間平均温度が−22℃である。また、第一切替室5が冷蔵温度、第二切替室6が冷凍温度(「RF」モード)に設定されている場合のJISC9801−3:2015に則って測定した年間消費電力量は320kWh/年である。
第一切替室5が冷凍温度、第二切替室6が冷蔵温度(「FR」モード)に設定されている場合、周囲温度が32℃では、冷凍室4の時間平均温度が-18℃、第一切替室5の時間平均温度が-18℃、第二切替室6の時間平均温度が4℃、第二蒸発器室8bの時間平均温度が−20℃、周囲温度が16℃では、冷凍室4の時間平均温度が-18℃、第一切替室5の時間平均温度が-18℃、第二切替室6の時間平均温度が4℃、第二蒸発器室8bの時間平均温度が−21℃である。また、第一切替室5が冷凍温度、第二切替室6が冷蔵温度(「FR」モード)に設定されている場合のJISC9801−3:2015に則って測定した年間消費電力量は310kWh/年である。
第一切替室5が冷蔵温度、第二切替室6が冷蔵温度(「RR」モード)に設定されている場合、周囲温度が32℃では、冷凍室4の時間平均温度が-18℃、第一切替室5の時間平均温度が4℃、第二切替室6の時間平均温度が4℃、第二蒸発器室8bの時間平均温度が−18℃、周囲温度が16℃では、冷凍室4の時間平均温度が−18℃、第一切替室5の時間平均温度が4℃、第二切替室6の時間平均温度が4℃、第二蒸発器室8bの時間平均温度が−16℃である。また、第一切替室5が冷蔵温度、第二切替室6が冷蔵温度(「RR」モード)に設定されている場合のJISC9801−3:2015に則って測定した年間消費電力量は280kWh/年である。
以上で、本実施例の冷蔵庫の構成と、制御方法の説明をしたが、次に、本実施形態の冷蔵庫の奏する効果について説明する。
本実施例の冷蔵庫は、蒸発器室(第二蒸発器室8b)と隣接する冷蔵温度と冷凍温度に設定可能な切替室(第一切替室5、または、第二切替室6)と、切替室を加温するヒータ(第一切替室ヒータ121、または、第二切替室ヒータ122)を備え、周囲環境(庫外環境)が同等の場合に、安定運転中の時間平均温度が、切替室を冷凍温度に設定した場合より、冷蔵温度に設定した場合の方が高くなるようにしている。これにより、切替室を冷蔵温度に設定した際に、庫内を冷却する蒸発器が収納され特に低温となる蒸発器室の冷熱によって切替室が冷却される影響を軽減できるので、冷蔵温度に設定した場合に加温に要するヒータ通電量を抑えられ、冷凍温度に設定した場合に比べて、過度に消費電力量が増加することがない冷蔵庫となる。
なお、蒸発器室の温度は一様ではなく変動も伴うが、蒸発器温度に依存するため、蒸発器温度を蒸発器室の代表温度とすれば良い。特に蒸発器の温度を安定して測定するためには、蒸発器を流れる冷媒配管の入口部(冷媒流れの最上流部)近傍の温度を測定すると良い。
本実施例の冷蔵庫は、第二蒸発器室8b(第一の冷凍温度空間)の前方に隣接する冷蔵温度と冷凍温度に設定可能な切替室(第一切替室5)と、切替室(第一切替室5)の上部に隣接する冷凍室4及び製氷室5(第二の冷凍温度空間)と、切替室(第一切替室5)の下部に隣接する冷凍温度に設定可能な第二切替室6(第三の冷凍温度空間)を備え、周囲環境(庫外環境)が同等の場合に、第二蒸発器室8bの安定運転中の時間平均温度が、切替室を冷凍温度に設定した場合より、冷蔵温度に設定した場合の方が高くなるようにしている。これにより、略直方体の切替室の6面のうち、3面が冷凍温度空間と隣接することで特に低温になりやすい切替室を冷蔵温度に設定した際に、切替室が冷却される影響を軽減でき、加温に要するヒータ通電量を抑えられるので、冷凍温度に設定した場合に比べて、過度に消費電力量が増加することがない冷蔵庫となる。
本実施例の冷蔵庫は、第二蒸発器室8bの温度を調節する手段(蒸発器室温度制御手段)として、圧縮機24の回転速度を可変する回転速度制御手段を備えている。これにより、ヒータに依らずに第二蒸発器室8bの時間平均温度を調整できるので、第二蒸発器室8bの時間平均温度を制御するために要する消費電力量の増加を抑えられ、省エネルギー性能が高い冷蔵庫となる。
本実施例の冷蔵庫は、第二蒸発器室8bの温度を調節する手段(蒸発器室温度制御手段)として、第二ファン9bの回転速度を可変する回転速度制御手段を備えている。これにより、ヒータに依らずに第二蒸発器室8bの時間平均温度を調整できるので、第二蒸発器室8bの時間平均温度を制御するために要する消費電力量の増加を抑えられ、省エネルギー性能が高い冷蔵庫となる。
本実施例の冷蔵庫は、周囲環境(庫外環境)が同等の場合に、第二切替室6を冷凍に設定して、第一切替室5が3面で冷凍温度の室と隣接する状態とした場合、第一切替室5を冷凍に設定した場合より、冷蔵に設定した場合の方が消費電力量が小さくなるように第二蒸発器室温度制御手段と第一切替室加温手段を制御している。
冷蔵庫では、一般に維持する温度が低いほど外気(庫外空気)との温度差が拡大することで熱負荷が大きくなり、冷却するための消費電力量が大きくなることが知られている。従って、冷凍温度と冷蔵温度に設定可能な切替室を備えた冷蔵庫を使用するユーザーは、切替室の設定を冷凍温度から冷蔵温度に切り替えた際に節電効果を期待する。本実施例の冷蔵庫では、第二切替室6を冷凍に設定して、第一切替室5が3面で冷凍温度の室と隣接する状態となることで特に低温になりやすい場合であっても、第一切替室5を冷凍温度に設定した場合より、冷蔵温度に設定した場合の方が、消費電力量が小さくなるように蒸発器室温度制御手段と切替室加温手段を制御して節電効果が得られる冷蔵庫としている。
本実施例の冷蔵庫は、周囲環境(庫外環境)が同等の場合に、第一切替室5を冷蔵、第二切替室6を冷凍に設定した場合(「RF」モード)より、第一切替室5を冷凍、第二切替室6を冷蔵に設定した場合(「FR」モード)の方が、消費電力量が小さくなるように第二蒸発器室温度制御手段と第一切替室加温手段を制御している。「RF」モードでは第一切替室5が冷凍温度、第二切替室6が冷蔵温度となるので、第二切替室6は、上部の第一切替室5と、背部の第二蒸発器室8bから冷却されるが、冷蔵温度の貯蔵室が3面から冷却される状態となる「FR」モード(第一切替室5が冷蔵温度、第二切替室6が冷凍温度)とした場合より温度低下を抑えやすい。したがって、第一切替室5を冷蔵、第二切替室6を冷凍に設定した場合より、第一切替室5を冷凍、第二切替室6を冷蔵に設定した場合の方が、消費電力量が小さくなるように第二蒸発器室温度制御手段と第一切替室加温手段を制御するようにして節電効果が得られる冷蔵庫としている。
本実施例の冷蔵庫は、蒸発器(第二蒸発器14b)と、蒸発器に空気を流すファン(第二ファン9b)と、蒸発器が収納される蒸発器室(第二蒸発器室8b)と、冷蔵温度と冷凍温度に設定可能な第一の貯蔵室(第一切替室5)と、冷凍温度に維持される第二の貯蔵室(製氷室3及び冷凍室4、または、冷凍温度に設定された第二切替室6)と、蒸発器室からの空気を第一の貯蔵室に循環させる第一の風路と、蒸発器室からの空気を第二の貯蔵室に循環させる第二の風路と、第一の風路の送風を遮断する送風遮断手段(第一切替室第一ダンパ101a、第一切替室第二ダンパ101b)を備え、第一の貯蔵室は周囲を扉体(第一切替室扉5a)と壁体(断熱箱体10、断熱仕切壁27、断熱仕切壁29、断熱仕切壁30)で区画され、第一の貯蔵室と蒸発器室及び第二の風路の一部は、壁体の一部であって他の壁体とは別体に形成され、着脱可能な仕切壁(断熱仕切壁27)を隔てて隣接しており、周囲環境(庫外環境)が同等の場合に、第一の貯蔵室が冷凍温度に設定された場合より、第一の貯蔵室が冷蔵温度に設定された場合の方がファンの回転速度の時間平均値が低くなるように制御している。
一般に、周囲の壁体に対して着脱可能に形成された仕切壁によって冷気が流れる風路や蒸発器室を区画した場合、ファンを駆動して蒸発器室や風路に通風すると、周囲の壁体と仕切壁が一体に形成された場合や、周囲の壁体と接着あるいは溶着された場合に比べ、微小な隙間が生じることによる漏れ流れが生じ易くなる。冷凍温度に維持される貯蔵室を循環する冷気は低温であるため、第一の貯蔵室が冷蔵温度に設定された場合に、第一の貯蔵室に漏れ流れが作用すると、昇温のためのヒータ通電量を過度に増加させることが必要になったり、意図しない箇所に霜や結露が生じる場合がある。漏れ流れは、風路や蒸発器室内と冷蔵温度に設定された貯蔵室の間の圧力差によって生じ、圧力差が大きいほど増加する。圧力差はファンの駆動により生じ、また、ファン回転速度が高いほど大きくなるので、第一の貯蔵室が冷蔵温度に設定された場合に、漏れ流れを抑制するためにはファン回転速度の時間平均値を低くすることが有効となる。
一方、第一の貯蔵室が冷凍温度に設定された場合は、漏れ流れが生じても冷凍温度の低温の冷気が冷凍温度の低温の貯蔵室に流入し、冷却が促進されることになる。したがって、第一の貯蔵室が冷凍温度に設定された場合は、ファンの回転速度の時間平均値は高くして運転して良い。すなわち、第一の貯蔵室が冷凍温度に設定された場合より、第一の貯蔵室が冷蔵温度に設定された場合の方がファンの回転速度が低くなるように制御することで、冷蔵温度に設定された場合に昇温のためのヒータ通電量を過度に増加させることが必要になったり、意図しない箇所に霜や結露が生じにくい冷蔵庫となる。
本実施例の冷蔵庫は、周囲環境(庫外環境)が同等の場合に、第一切替室5と第二切替室6のそれぞれの設定状態と消費電力量の大小関係が、「FF」モード>「RF」モード>「FR」モード>「RR」モードとなるように、第二蒸発器室温度制御手段と第一切替室加温手段を制御している。維持する温度が低いほど外気(庫外空気)との温度差が拡大することで熱負荷が大きくなることと、第一切替室5が配設されている中段と、第二切替室6が配設されている下段の貯蔵室の特性として、庫内外を隔てる面が多くなる下段を冷凍温度室とするより、庫内外を隔てる面が少ない中段を冷凍温度室としたほうが熱負荷が小さく抑えられる構成であることが一般に知られている。したがって、第一切替室5と第二切替室6のそれぞれの設定状態と消費電力量の大小関係が、「FF」モード>「RF」モード>「FR」モード>「RR」モードとなるように第二蒸発器室温度制御手段と第一切替室加温手段を制御することで、ユーザーの知識に符合し、合理的に節電効果が得られる冷蔵庫とすることができる。
なお、本実施例においては、日本国における冷蔵庫の使用を想定した消費電力量の評価方法としてJISC9801−3:2015に則って測定した場合について説明したが、日本国以外においては、当該国における冷蔵庫の使用を想定した標準的な消費電力量測定方法(例えばIEC 62552:2015)に則って測定し、切替室の設定状態と消費電力量の関係を評価すれば良い。
以上で、第一の実施例(実施例1)を説明したが、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、蒸発器室温度制御手段として、圧縮機の回転速度、蒸発器に送風するファンの回転速度を挙げたが、他にも冷凍サイクルに膨張弁を採用して冷媒流量制御を行ったり、凝縮器に送風するファンの回転速度制御を行う、あるいは、ダンパの開閉制御によってファンの送風量を制御して蒸発器室の温度制御を行ってもよい。さらには、蒸発器室の温度を制御するためのヒータを設けて制御しても良い。 加えて、本実施例の冷蔵庫は、冷蔵室冷却用の第一蒸発器と、製氷室、冷凍室、第一切替室、第二切替室の冷却用に第二蒸発器を備えているが、単一の蒸発器で全貯蔵室を冷却する方式の冷蔵庫に本発明の構成を適用しても良い。すなわち、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本発明に関する冷蔵庫の第二の実施例(実施例2)について説明する。図11は実施例2に係る冷蔵庫の正面図、図12は図11のA−A断面図、図13は、実施例2に係る冷蔵庫の風路構成を表す模式図である。なお,実施例1と同様の構成については説明を省略する。
図11に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から冷蔵室2、第一切替室5、左右に併設された製氷室3と冷凍室4、第二切替室6の順に貯蔵室を有している。
冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉する扉を備えている。これらの扉は、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室扉2a、2bと、第一切替室5、製氷室3、冷凍室4、第二切替室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の第一切替室扉5a、製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第二切替室扉6aである。これら複数の扉の内部材料は主にウレタンで構成されている。
冷蔵庫1の外形寸法は幅685mm、奥行き738mm、高さ1833mmであり、JISC9801−3:2015に基づく定格内容積は、冷蔵室2が308L、第一切替室5が120L、製氷室3が20L、冷凍室4が30L、第二切替室6が100Lである。また、第一切替室扉5aの上端の高さ位置は980mm、第二切替室扉6aの上端の高さ位置は400mmである。
このように、扉上端の高さ位置が床面から500mm〜1200mmに含まれ、屈まずに作業できるので食品の出し入れの負担が小さい貯蔵室と、扉上端の高さ位置が床面から500mm以下となり食品の出し入れの負担がやや大きくなる貯蔵室の双方を切替室として、冷蔵扉上端の高さ位置が床面から500mm〜1200mmに含まれる切替室(第一切替室5)の内容積を、扉上端の高さ位置が床面から500mm以下となる切替室(第二切替室6)の内容積より大きくすることで使い勝手の良い冷蔵庫となる。すなわち、ユーザーがライフスタイルに合わせて、野菜などの冷蔵食品を多く収納する場合は、扉上端の高さ位置が500mm〜1200mmに含まれる貯蔵室を冷蔵温度に、扉上端の高さ位置が床面から500mm以下に含まれる貯蔵室を冷凍温度に設定し、冷凍食品を多く収納する場合は、扉上端の高さ位置が500mm〜1200mmに含まれる貯蔵室を冷凍温度に、扉上端の高さ位置が床面から500mm以下に含まれる貯蔵室を冷蔵温度に設定して使用することができ、使い勝手を優先したレイアウトとすることができる。
製氷室3及び冷凍室4は、基本的に庫内を冷凍温度(0℃未満)の例えば平均的に−18℃程度にした貯蔵室であり、冷蔵室2は庫内を冷蔵温度(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした貯蔵室である。第一切替室5及び第二切替室6は、操作部26によって冷凍温度もしくは冷蔵温度に設定することができる貯蔵室であり、本実施例の冷蔵庫では、平均的に4℃程度の冷蔵温度と、平均的に−18℃程度にする冷凍温度の何れかを選択することができる。具体的には、第一切替室5と第二切替室6がともに冷凍温度に設定される「FF」モード、第一切替室5と第二切替室6がそれぞれ冷蔵温度と冷凍温度に設定される「RF」モード、第一切替室5と第二切替室6がそれぞれ冷凍温度と冷蔵温度に設定される「FR」モード、第一切替室5と第二切替室6がともに冷蔵温度に設定される「RR」モードの中から選択することができる。
図12に示すように、冷蔵室2と、第一切替室5は断熱仕切壁28によって隔てられている。また、第一切替室5と製氷室3及び冷凍室4は断熱仕切壁29によって隔てられ、製氷室3及び冷凍室4と第二切替室6は断熱仕切壁30によって隔てられている。
製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5a、第二切替室扉6aは、一体に引き出される製氷室容器3b、冷凍室容器4b、第一切替室容器5b、第二切替室容器6bを備えている。
冷蔵室2の背部には、第一蒸発器14aが実装された第一蒸発器室8aを備えている。また、冷凍室4及び第二切替室6の略背部には、第二蒸発器14bが実装された第二蒸発器室8bを備えており、製氷室3、冷凍室4及び第二切替室6と、第二蒸発器室8及び後述する冷凍室風路12の一部が断熱仕切壁27によって隔てられている。なお、断熱仕切壁27は、断熱箱体10、断熱仕切壁29及び断熱仕切壁30とは別体であり、図示しないシール部材(一例として軟質ウレタンフォーム)を介して断熱箱体10、断熱仕切壁29及び断熱仕切壁30と接触するように固定し、着脱可能としている。このように、断熱仕切壁27を別体で形成し着脱可能とすることで、第二蒸発器室8bに収納される第二蒸発器14bや後述する第二ファン9b、第二切替室ダンパ102といった断熱仕切壁27により覆われる部品に不具合が生じた場合に、断熱仕切壁27を外して容易にメンテナンスが行えるようになる。
第一切替室5は、高さH1が340mm、幅W1(図11参照)が620mm、奥行D1が600mmの略直方体の貯蔵室、第二切替室6は、高さH2が340mm、幅W2(図11参照)が620mm、奥行D2が520mmの略直方体の貯蔵室である。
第一切替室5の上面(面積W1×D1=372000mm2)は断熱仕切壁28を介して冷蔵室2と、下面(面積W1×D1=372000mm2)は断熱仕切壁29を介して製氷室3及び冷凍室4と、前面(面積H1×W1=210800mm2)は第一切替室扉5aを介して庫外と、背面(面積H1×W1=210800mm2)は断熱箱体10を介して庫外と、左右両側面(それぞれ面積H1×D1=204000mm2)は断熱箱体10を介して庫外と接している。庫外は冷蔵温度以上となるので、冷蔵温度以上の空間と隣接している面の総面積AR1は、AR1=1201600mm2(上面、前面、背面、左右両側面)となる。また、冷凍温度の空間と隣接している面の総面積AF1は、AF1=372000mm2(下面)となる。
また、第二切替室6の上面(面積W2×D2=260400mm2)は断熱仕切壁30を介して製氷室3及び冷凍室4と、下面(面積W2×D2=260400mm2)は断熱箱体10を介して庫外と、前面(面積H2×W2=210800mm2)は第二切替室扉6aを介して庫外と、背面の上部(面積H2a(図12参照)×W1=84320mm2)は断熱仕切壁27を介して第二蒸発器室8bと、背面の下部(面積H2b(図12参照)×W2=126480mm2)は断熱箱体10を介して庫外と、左右両側面(それぞれ面積H2×D2=204000mm2)は断熱箱体10を介して庫外と接している。したがって、冷蔵温度以上の空間と隣接している面の総面積AR2は、AR2=951280mm2(前面、下面、両側面、背面の一部(下部))となる。また、冷凍温度の空間と隣接している面の総面積AF2は、AF2=344720mm2(上面と、背面の一部(上部))となる。
また、断熱仕切壁27、28、29、30の内部には真空断熱材25を設けることで、断熱性能を高めている。
冷蔵室2、第一切替室5、冷凍室4、第二切替室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、第一切替室温度センサ43、冷凍室温度センサ42、第二切替室温度センサ44を設け、第一蒸発器14aの上部には第一蒸発器温度センサ40a、第二蒸発器14bの上部には第二蒸発器温度センサ40bを設けている。これらのセンサにより、冷蔵室2、第一切替室5、冷凍室4、第二切替室6、第一蒸発器室8a、第一蒸発器14a、第二蒸発器室8b、及び、第二蒸発器14bの温度を検知している。また、冷蔵庫1の天井部の扉ヒンジカバー16の内部には、外気温度センサ37と外気湿度センサ38を設け、外気(庫外空気)の温度と湿度を検知している。その他にも、扉センサ(図示せず)を設けることで、扉2a、2b、3a、5a、6a、7aの開閉状態をそれぞれ検知している。
第一切替室5の底面(断熱仕切壁29の第一切替室5側表面を覆う合成樹脂の内側)には、第一切替室5の加温手段となる第一切替室ヒータ121を備えている。また、第二切替室6の上面(断熱仕切壁30の第二切替室6側表面を覆う合成樹脂の内側)と、第二切替室6の背面下方(外箱10aと内箱10bの間の領域の内箱10a側表面)には、第二切替室6の加温手段となる第二切替室ヒータ122を備えている。
第一蒸発器14aと第二蒸発器14bの下部には、それぞれ第一蒸発器除霜ヒータ21a、第二蒸発器除霜ヒータ21bが備えられており、除霜は、圧縮機24が停止した状態で、第一蒸発器除霜ヒータ21aと第二蒸発器除霜ヒータ21bに通電することによって行われる。第一蒸発器除霜ヒータ21a、第二蒸発器除霜ヒータ21bとしては、例えば50W〜200Wの電気ヒータを採用すれば良く、本実施例では第一蒸発器除霜ヒータ21aは120Wのラジアントヒータ、第二蒸発器除霜ヒータ21bは150Wのラジアントヒータを用いている。このように切替室を冷却する蒸発器(第一蒸発器14a、第二蒸発器14b)には、それぞれに除霜ヒータ(第一蒸発器除霜ヒータ21a、第二蒸発器除霜ヒータ21b)を配設することで、切替室の設定に依らず確実な除霜が行えるようにしている。
図13は、実施例2に係る冷蔵庫1の冷気の流れを示す風路構造の概略図である。図12及び図13を参照しながら、冷蔵庫1の庫内の風路構成と、冷気の流れを説明する。
図12に示すように、第一蒸発器14aは冷蔵室2の背面下部の第一蒸発器室8a内に設置されている。図13に示すように、第一蒸発器14aと熱交換して低温になった空気は、第一ファン9aにより昇圧され、第一ファン吐出風路11に送り出される。第一ファン吐出風路11は、冷蔵室風路110、第一切替室風路140に分岐しており、冷蔵室風路110と、第一切替室風路140には、それぞれ冷蔵室2への送風を開放状態と閉鎖状態とを切り替えることで制御する冷蔵室ダンパ100と第一切替室5への送風を開放状態と閉鎖状態とを切り替えることで制御する第一切替室ダンパ101が備えられている。
冷蔵室ダンパ100が開放状態に制御された場合、第一ファン9aにより昇圧された空気は、第一ファン吐出風路11、冷蔵室風路110、冷蔵室吐出口110aを介して冷蔵室2に送られて冷蔵室2内の食品等を冷却する。冷蔵室2を冷却した空気は、冷蔵室戻り口110bを介して第一蒸発器室8aに戻り、再び第一蒸発器14aと熱交換する。
また、第一切替室ダンパ101が開放状態に制御された場合、第一ファン9aにより昇圧された空気は、第一ファン吐出風路11、第一切替室風路140、第一切替室吐出口111aを介して第一切替室5に送られて第一切替室5内の食品等を冷却する。第一切替室5を冷却した空気は第一切替室戻り口111c、第一切替室戻り風路111dを介して第一蒸発器室8bに戻る。
第二蒸発器14bは、冷凍室4、第二切替室6及び断熱仕切壁30の略背部の第二蒸発器室8b内に設置されている(図12参照)。第二蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、第二ファン9bにより昇圧され、第二ファン吐出風路12に送り出される。第二ファン吐出風路12は、冷凍室風路130、第二切替室風路150に分岐しており、第二切替室風路150には、第二切替室6への送風を開放状態と閉鎖状態に切り替えることで制御する第二切替室ダンパ102が備えられている。
第二ファン吐出風路12に送り出された空気は、冷凍室風路130、製氷室吐出口120a冷凍室吐出口120bを介して製氷室3及び冷凍室4に入り、製氷皿3c内の水、容器3b内の氷、冷凍室4内の食品等を冷却する。製氷室3と冷凍室4を冷却した空気は、冷凍室戻り口120c、冷凍室戻り風路120dを介して第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。
第二切替室ダンパ102が開放状態に制御されている場合、第二ファン9bにより昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第二切替室風路150、第二切替室吐出口112aを介して第二切替室6に入り、第二切替室6内の食品等を冷却する。第二切替室6を冷却した空気は第二切替室戻り口112c、第二切替室戻り風路112dを介して第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bにより冷却される。
ここで、冷蔵室ダンパ100の開口面積は900mm2(幅30mm×高さ30mm)、第一切替室ダンパ101の開口面積は6300mm2(幅180mm×高さ35mm)、第二切替室ダンパ102の開口面積は5200mm2(幅80mm×高さ65mm)である。
次に本実施例に係る冷蔵庫の制御について、図14及び図15を参照しながら説明する。図14は、本実施例に係る冷蔵庫の制御を表すフローチャート、図15は本実施例に係る冷蔵庫の制御状態を示す表である。
図14に示すように、本実施例の冷蔵庫は、電源の投入により冷却運転が開始される(スタート)。電源投入から庫内の貯蔵室が所定の温度レベルに到達するまでのプルダウン運転の制御については省略し、安定運転状態に達した状態において第一蒸発器運転が開始される段階から説明する。
第一蒸発器運転の開始にあたって、切替室の設定が読み込まれる(ステップS301)。切替室の設定は、第一切替室5と第二切替室6がともに冷凍温度に設定された「FF」モード、第一切替室5と第二切替室6が冷蔵温度と冷凍温度に設定された「RF」モード、第一切替室5と第二切替室6が冷凍温度と冷蔵温度に設定された「FR」モード、第一切替室5と第二切替室6がともに冷蔵温度に設定された「RR」モードの何れかが選択される。
続いてステップS302によって第一蒸発器運転が開始される。第一蒸発器運転とは、冷媒制御弁を「状態1」に制御し、圧縮機24を駆動状態、第一ファン9aを駆動状態として、第一蒸発器14aに供給される低温冷媒で冷蔵室2及び第一切替室5の少なくとも一方の貯蔵室を冷却する運転である。第一蒸発器運転開始時の状態は、切替室の設定によって異なり、以下のとおり選択される。
第一切替室5の設定が冷凍温度の場合(「FF」モードまたは「FR」モード)であって、周囲温度が高い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃より高い場合)、圧縮機24が高速(2500min-1)、第一ファン9aが高速(1800min-1)、冷蔵室ダンパ100が開放状態、第一切替室ダンパ101が開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態が選択される。
また、第一切替室5の設定が冷凍温度の場合(「FF」モードまたは「FR」モード)であって、周囲温度が低い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃以下の場合)、圧縮機24が中速(1500min-1)、第一ファン9aが低速(1200min-1)、冷蔵室ダンパ100が開放状態、第一切替室ダンパ101が開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態が選択される。
第一切替室5の設定が冷蔵温度の場合(「RF」モードまたは「RR」モード)であって、周囲温度が高い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃より高い場合)、圧縮機24が低速(1000min-1)、第一ファン9aが低速(1200min-1)、冷蔵室ダンパ100が開放状態、第一切替室ダンパ101が開放状態、第一切替室ヒータ121がOFF状態が選択される。
第一切替室5の設定が冷蔵温度の場合(「RF」モードまたは「RR」モード)であって、周囲温度が低い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃以下の場合)、圧縮機24が低速(1000min-1)、第一ファン9aが低速(1200min-1)、冷蔵室ダンパ100が開放状態、第一切替室ダンパ101が閉鎖状態、第一切替室ヒータ121がON状態が選択される。
次に冷蔵室ダンパ閉条件が成立しているか否かが判定される(ステップS303)。ステップS303は、冷蔵室ダンパ100が開放状態で、冷蔵室温度センサ41が検知する冷蔵室温度が、冷蔵室ダンパ閉温度以下になった場合に成立し(ステップS303がYes)、冷蔵室ダンパ100は閉鎖される(ステップS401)。本実施例の冷蔵庫における冷蔵室ダンパ閉温度は1℃である。
続いて第一切替室ダンパ閉条件が成立しているか否かが判定される(ステップS304)。ステップS304は、第一切替室ダンパ101が開放状態で、第一切替室温度センサ43が検知する冷蔵室温度が、第一切替室ダンパ閉温度以下になった場合に成立し(ステップS304がYes)、第一切替室ダンパ101は閉鎖される(ステップS402)。本実施例の冷蔵庫における第一切替室ダンパ閉温度は、第一切替室5の設定が冷凍温度の場合は−20℃、冷蔵温度の場合は2℃である。
さらにステップS305では、第一切替室ヒータOFF条件が成立しているか否かが判定される。ステップS305は、第一切替室ヒータ121が通電状態(ON状態)で、第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室5の温度が、第一切替室ヒータOFF温度以上になった場合に成立し(ステップS305がYes)、第一切替室ヒータ121が非通電状態(OFF状態)となる(ステップS403)。本実施例の冷蔵庫における第一切替室ヒータOFF温度は5℃である。
ステップS306では、第一蒸発器運転終了条件が成立しているか否かが判定される。ステップS306は、冷蔵室ダンパ100と第一切替室ダンパ101が共に閉鎖状態となった場合に成立し(ステップS306がYes)、第一蒸発器運転が終了して冷媒回収運転が行われる(ステップS307)。ステップS306が成立しない場合(ステップS306がNo)、ステップS303の判定に戻る。ステップS307における冷媒回収運転は、圧縮機24の回転速度を維持、第一ファン9aの駆動を継続し、冷媒制御弁52を「状態3(全閉)」として、第一蒸発器14a内の冷媒を放熱手段側に回収する運転である。本実施例の冷蔵庫では3分間冷媒回収運転を継続して第一ファン9aを停止する。
次にステップS308で第二蒸発器運転が開始される。第二蒸発器運転とは、冷媒制御弁を「状態2」に制御し、圧縮機24を駆動状態、第二ファン9bを駆動状態として、第二蒸発器14bに供給される低温冷媒で製氷室3、冷凍室4及び第二切替室6、あるいは、製氷室3及び冷凍室4を冷却する運転である。第二蒸発器運転開始時の状態は、切替室の設定によって異なり、以下のとおり選択される。
第二切替室6の設定が冷凍温度の場合(「FF」モードまたは「RF」モード)であって、周囲温度が高い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃より高い場合)、圧縮機24が高速(2500min-1)、第二ファン9bが高速(1800min-1)、第二切替室ダンパ102が開放状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。
また、第二切替室6の設定が冷凍温度の場合(「FF」モードまたは「RF」モード)であって、周囲温度が低い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃以下の場合)、圧縮機24が中速(1500min-1)、第二ファン9bが低速(1200min-1)、第二切替室ダンパ102が開放状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。
第二切替室6の設定が冷蔵温度の場合(「FR」モードまたは「RR」モード)であって、周囲温度が高い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃より高い場合)、圧縮機24が中速(1500min-1)、第二ファン9bが低速(1200min-1)、第二切替室ダンパ102が開放状態、第二切替室ヒータ122がOFF状態が選択される。
第二切替室6の設定が冷蔵温度の場合(「FR」モードまたは「RR」モード)であって、周囲温度が低い場合(本実施例の冷蔵庫では20℃以下の場合)、圧縮機24が低速(1000min-1)、第二ファン9bが低速(1200min-1)、第二切替室ダンパ102が閉鎖状態、第二切替室ヒータ122がON状態が選択される。
次に第二切替室ダンパ閉条件が成立しているか否かが判定される(ステップS309)。ステップS309は、第二切替室ダンパ102が開放状態で、第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室温度が、第二切替室ダンパ閉温度以下になった場合に成立し(ステップS309がYes)、第二切替室ダンパ102は閉鎖される(ステップS404)。本実施例の冷蔵庫における第二切替室ダンパ閉温度は、第二切替室6の設定が冷凍温度の場合は−20℃、冷蔵温度の場合は2℃である。
続いてステップS310では、第二切替室ヒータOFF条件が成立しているか否かが判定される。ステップS310は、第二切替室ヒータ122が通電状態(ON状態)で、第二切替室温度センサ44が検知する第二切替室6の温度が、第二切替室ヒータOFF温度以上になった場合に成立し(ステップS310がYes)、第二切替室ヒータ122が非通電状態(OFF状態)となる(ステップS405)。本実施例の冷蔵庫における第二切替室ヒータOFF温度は5℃である。
ステップS311では、第二蒸発器運転終了条件が成立しているか否かが判定される。ステップS311は、第二切替室ダンパ102が閉鎖状態、且つ、冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室4の温度が第二蒸発器運転終了温度以下となった場合に成立する(ステップS311がYes)。本実施例の冷蔵庫では、冷凍室温度センサ42が検知する冷凍室4の温度が−21℃以下の場合にステップS311が成立し、第二冷却器運転が終了して冷媒回収運転が行われる(ステップS312)。ステップS311が成立しない場合(ステップS311がNo)、ステップS309の判定に戻る。ステップS312における冷媒回収運転は、圧縮機24の回転速度を維持、第二ファン9bの駆動を継続し、冷媒制御弁52を「状態3(全閉)」として、第二蒸発器14b内の冷媒を放熱手段側に回収する運転である。本実施例の冷蔵庫では3分間冷媒回収運転を継続して第二ファン9bを停止する。
続いてステップS313では、第一蒸発器運転開始条件が成立しているか否かが判定される。ステップS313は、冷蔵室温度センサ41が検知する冷蔵室2の温度、または、第一切替室温度センサ43が検知する第一切替室5の温度の少なくとも一方が第一蒸発器運転開始温度以上となった場合に成立し(ステップS313がYes)、ステップS101に戻る。本実施例の冷蔵庫における第一蒸発器運転開始温度は、冷蔵室2については6℃、第一切替室5については、設定が冷凍温度の場合は−14℃、冷蔵温度の場合は6℃である。
ステップS313が成立しない場合(ステップS313がNo)、圧縮機24が停止(OFF)される(ステップS314)。
ステップS315では、第一蒸発器運転開始条件が成立しているか否かが判定される。ステップS315が成立する条件は、ステップS313が成立する条件と同様である。ステップS313が成立した場合(ステップS313がYes)、ステップS101に戻る。
ステップS316では、第二蒸発器運転開始条件が成立しているか否かが判定される。ステップS316は、冷凍室温度センサ42、または、第二切替室温度センサ44が検知する温度の少なくとも一方が第二蒸発器運転開始温度以上となった場合に成立する(ステップS316がYes)。本実施例の冷蔵庫における蒸発器運転開始温度は、冷凍室4については−12℃、第二切替室6については、設定が冷凍温度の場合は−14℃、冷蔵温度の場合は6℃である。
ステップS316が成立した場合(ステップS316がYes)、ステップS308に移行し、ステップS316が成立しない場合(ステップS316がNo)、ステップS315の判定に戻る。
以上で、本実施例の冷蔵庫の構成と、制御方法の説明をしたが、次に、本実施形態の冷蔵庫の奏する効果について説明する。
本実施例の冷蔵庫は、冷蔵温度と冷凍温度に設定可能な複数の切替室(第一切替室5、第二切替室6)を備え、何れの切替室を冷蔵温度に設定した場合であっても、冷蔵温度に設定された切替室を区画する面のうち、冷蔵温度以上の空間と隣接する面の面積の総和が、冷凍温度空間と隣接する面の面積の総和より大きくなるように貯蔵室を配置している。具体的には、「RF」モードでは、第一切替室5が冷蔵温度となる。第一切替室5は、上面と、前面と、背面と、左右両側面が冷蔵温度以上の空間と隣接しており、その総面積ARは1201600mm2である。一方、下面(372000mm2)は冷凍温度空間と隣接しており、その面積AFは372000mm2であり、AR>AFを満足している。また、「FR」モードでは、第二切替室6が冷蔵温度となる。第二切替室6は、前面と、下面と、両側面と、背面の一部(下部)が冷蔵温度以上の空間と隣接しており、その総面積ARは951280mm2である。一方、上面と、背面の一部(上部)は冷凍温度空間と隣接しており、その総面積AFは344720mm2であり、AR>AFを満足している。さらに、「RR」モードでは、第一切替室5と第二切替室6が冷蔵温度となる。第一切替室5は、上面と、前面と、背面と、左右両側面が冷蔵温度以上の空間と隣接しており、その総面積ARは1201600mm2である。一方、下面(372000mm2)は冷凍温度の空間と隣接しており、その面積AFは372000mm2であり、AR>AFを満足している。また、第二切替室6は、前面と、下面と、両側面と、背面の一部(下部)が冷蔵温度以上の空間と隣接しており、その総面積ARは951280mm2である。一方、上面と、背面の一部(上部)は冷凍温度空間と隣接しており、その総面積AFは344720mm2であり、AR>AFを満足している。
以上のように、複数の切替室を設定状態に依らず、冷蔵温度に設定された切替室が、冷蔵温度以上の空間(冷蔵温度の貯蔵室、または、庫外)とを隔てる面の面積の総和ARより、冷凍温度の空間(冷凍温度の貯蔵室、または、風路を含む蒸発器室)とを隔てる面の面積の総和AFの方が小さくなる(AR>AF)ように貯蔵室を配置することにより、切替室を冷蔵温度に設定した場合に、周囲の冷凍温度の空間から冷蔵温度に設定した切替室が過度に冷却され難くなり、温度補償や結露、凍結防止のためのヒータ通電による過度な消費電力量増加を抑制した冷蔵庫とすることができる。
なお、本実施例の冷蔵庫1は、第一切替室5及び第二切替室6の2つの切替室を備えているが、3つ以上の切替室を備えた冷蔵庫において、何れの切替室を冷蔵温度に設定した場合であっても、冷蔵温度に設定された切替室を区画する面のうち、冷蔵温度以上の空間と隣接する面の面積の総和が、冷凍温度空間と隣接する面の面積の総和より大きくなるように貯蔵室を配置しても良い。また、本実施例の冷蔵庫1は略直方体の切替室(第一切替室5及び第二切替室6)を備えているが、他の形状であっても、切替室を区画する面(内面)の面積が上記関係を満足するようにすれば良い。なお、切替室を区画する面の一部が冷凍温度空間と隣接する場合、切替室を区画する面に冷凍温度空間を投影した面積を冷凍温度空間と隣接する面とすればよい。また、吐出口形成部材や、切替室の内寸を規定する代表寸法の最大値の1/10以下の高さ(深さ)の凹凸は無視して表面積を算出すれば良い。
本実施例の冷蔵庫は、冷蔵温度と冷凍温度に設定可能な第一切替室5と第二切替室6と、冷却手段として第一蒸発器7a、第二蒸発器7bと、送風手段として第一ファン9a、第二ファン9bを備え、第一切替室5は、第一蒸発器7aと熱交換した空気を第一ファン9aにより送風することで冷却し、第二切替室6は第二蒸発器7bと熱交換した空気を第二ファン9bにより送風することで冷却するようにしている。すなわち、冷蔵温度と冷凍温度に設定可能な複数の切替室と複数の蒸発器を備え、各切替室の冷却を、互いに独立した冷却手段と送風手段によって行うように構成している。ユーザーが切替室を冷蔵温度に設定した場合と、冷凍温度に設定した場合では、冷蔵温度に設定した場合の方が庫内の絶対湿度が高くなりやすいために、蒸発器に霜が成長し易くなる。本実施例の冷蔵庫のように、冷蔵温度と冷凍温度に設定可能な複数の切替室と複数の蒸発器を備え、各切替室の冷却を、互いに独立した冷却手段と送風手段によって行うように構成することで、複数の切替室を冷蔵温度に設定した場合に、特定の蒸発器に霜が成長することで冷却性能が低下し、過度に消費電力量が増加するといった事態を回避することができる。
以上が,実施例であるが、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく,様々な変形例が含まれる。例えば,前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり,必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また,実施例の構成の一部について,他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。