JP6962541B2 - タンパク質の発現量を増加させる機能を有するdna、および変異型ハイグロマイシンbホスホトランスフェラーゼ - Google Patents
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Description
別の観点からは、本発明は、高い薬剤耐性の形質転換体を与えるハイグロマイシンB耐性遺伝子およびそれにコードされる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼを提供することを課題とする。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
<1>配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、タンパク質の発現量を増加させる機能を有するDNA。
<2>上記ペプチドが26個以下のアミノ酸からなる請求項1に記載のDNA。
<3>配列表の配列番号1、2、3、または4で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをコードする<1>に記載のDNA。
<4>配列表の配列番号5で表される塩基配列を含む<1>または<2>に記載のDNA。
<6>配列表の配列番号5で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつタンパク質の発現量を増加させる機能を有するDNA。
<7><1>〜<6>のいずれか一項に記載のDNAでコードされるアミノ酸配列をC末端に有する変異型タンパク質。
<8><1>〜<6>のいずれか一項に記載のDNAでコードされるアミノ酸配列をC末端に含む、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ。
(A)配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(B)配列番号9で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(C)配列番号10で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(D)配列番号10で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(E)配列番号11で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(F)配列番号11で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(G)配列番号12で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(H)配列番号12で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ。
<11>配列表の配列番号13、14、15、または16で表される塩基配列からなる<10>に記載の遺伝子。
<12><10>または<11>に記載の遺伝子を含むベクター。
<13><12>に記載のベクターを含む形質転換体。
本発明のDNAは、配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードし、タンパク質の発現量を増加させる機能を有する。本発明のDNAが発現系において、構造遺伝子の一部として導入されていることにより、上記の遺伝子を発現させて得られるタンパク質の量を増大させることができる。
後述の実施例で示すように、本発明のDNAを導入することにより、構造遺伝子に基づくmRNA量が増加することから、タンパク質発現の過程においてmRNAの安定性が増加していると考えられ、このことに由来してタンパク質の量が増大すると考えられる。
具体的な塩基配列として、配列表の配列番号5で表される塩基配列を含むDNAを挙げることができる。また、配列表の配列番号1、2、3、または4で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをコードするDNAとしては、それぞれ具体的に配列表の配列番号5、6、7、または8で表される塩基配列からなるDNAが挙げられる。
本発明のDNAは発現系において、タンパク質を高発現させるために用いることができる。
本発明のDNAを用いたタンパク質の製造は、本発明のDNAを挿入または付加した遺伝子を用いればよい。
本発明のDNAを用いたタンパク質の製造の際は、まず、タンパク質をコードする遺伝子を取得する。例えば天然型の遺伝子を大腸菌由来のcDNAライブラリーなどから取得すればよい。適当なプライマーを設計し、それらを用いて取得した遺伝子を鋳型にしてPCRを行えばよい。遺伝子の一部の断片をPCR等により得た場合には、作製した断片を順番に遺伝子組み換え技術により連結することにより、所望のタンパク質をコードする遺伝子を得ることもできる。
得られた遺伝子はベクターに挿入して増幅することができる。用いることができるベクターの種類は特に限定されず、宿主中で複製可能なものであれば特に制限されず、例えば、プラスミドDNA、ファージDNAなどが挙げられる。
DNA、プロモータ、ならびに所望によりターミネータおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、これらを適切なベクターに挿入する方法は当業者に周知である。
タンパク質をコードする遺伝子または組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。
上記遺伝子またはベクターを導入する宿主細胞は、上記遺伝子を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌細胞、および昆虫、植物、または動物の細胞などの高等真核細胞等が挙げられる。
哺乳類細胞の例としては、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、BHK細胞、CHL細胞またはCHO細胞等が挙げられる。哺乳類細胞を形質転換し、該細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法も公知であり、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等を用いることができる。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman and Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、Trichoplusia niの卵巣細胞であるHiFive(インビトロジェン社製)等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法またはリポフェクション法等を挙げることができる。
本発明において、宿主細胞としては、大腸菌が好ましい。
例えば、タンパク質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得ればよい。この無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常のタンパク質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(ファルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィ一法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製品を得ることができる。
本発明のDNAを含むベクターまたは本発明のDNAを含む遺伝子を利用して、所望のタンパク質を高い濃度で得ることができる。そのため、本発明のDNAを用いてタンパク質を高い効率で生産できる。
得られるタンパク質は、本発明のDNAでコードされるアミノ酸配列を含む変異型タンパク質である。本発明のDNAでコードされるアミノ酸配列は、変異型タンパク質のいずれの位置に含まれていてもよいが、末端に含まれることが好ましく、C末端に含まれることがさらに好ましい。
上記のタンパク質の製造方法で得られるタンパク質として、変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼが挙げられる。本発明の変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼは、本発明のDNAでコードされるアミノ酸配列をC末端に含み、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する。ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性とは、ハイグロマイシンBをリン酸化することにより、ハイグロマイシンBの抗菌活性を失わせる活性を意味する。
(A)配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(B)配列番号9で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(C)配列番号10で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(D)配列番号10で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(E)配列番号11で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(F)配列番号11で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(G)配列番号12で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(H)配列番号12で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ。
得られる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ遺伝子の例としては、配列表の配列番号13、14、15、または16で表される塩基配列からなる遺伝子が挙げられる。
本発明の変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼの遺伝子は、この遺伝子により形質転換された細胞株をハイグロマイシンB耐性にすることができる。従って、ハイグロマイシンBを添加した培地での培養では、上記遺伝子を有する細胞株のみが生育するため、本発明の変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼの遺伝子は、発現系において選択マーカーとして使用することができる。
実施例において、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼをHPTという。
(a)pET28b−HPTの作製
HPTのcDNA配列を鋳型DNA(Template 1)とし、プライマー1(5'- ATATCCATGGGCAAAAAGCCTGAACTCACCGCGAC -3')(配列番号17)およびプライマー2(5'- ATATGGATCCCGTTTCTTTGCCCTCGGACGAGTGC -3')(配列番号18)を用いてPCR法によりHPT遺伝子を増幅した。以下の反応溶液25μLにて行った。
5 x PrimeSTAR Buffer(Mg2+ plus) 10.0μL
dNTP Mixture(2.5 mM each) 4.0μL
プライマー1(10μM) 1.5μL
プライマー2(10μM) 1.5μL
PrimeSTAR GXL DNA Polymerase(2.5 unit/μL) 1.0μL
Template 1 250 ng
滅菌蒸留水を加えて50 μLに調製
(1)98℃ 2分
(2)98℃ 10秒
(3)55℃ 15秒
(4)68℃ 1分
(5)68℃ 10分
(6) 4℃ 保持
(2)〜(4)を30サイクル行った。
変異型HPT遺伝子の作製にはGeneMorph II random Mutagenesis Kit (Agilent)を使用した。pET28b−HPTを鋳型DNA(Template 2)としてプライマー3(5'- CGCGAAATTAATACGACTCACTATA -3')(配列番号19)およびプライマー4(5'- TTATGCTAGTTATTGCTCAGCG -3')(配列番号20)を用いて以下の反応溶液25μLを準備しPCR法によってHPT遺伝子を増幅した。
滅菌蒸留水 35μL
10 x Mutazyme II reaction buffer 5μL
40 mM dNTP mix (200μM each final) 1μL
プライマー3 1μL
プライマー4 1μL
Mutazyme II DNA polymerase (2.5 U/μL) 1μL
Template 2 (250ng/μL) 5μL
Total 50μL
(1)95℃ 2分
(2)95℃ 1分
(3)50℃ 1分
(4)72℃ 1分30秒
(5)72℃ 10分
(6) 4℃ 保持
(2)〜(4)を30サイクル行った。
前述の操作によって変異型HPT遺伝子ライブラリーを大腸菌コンピテントセル(BL21−AI)に形質転換した。形質転換した大腸菌細胞に500μLのLB液体培地を加え、37℃で1時間培養した。培養後の大腸菌細胞を250μg/mlのハイグロマイシンB、50μg/mlのカナマイシンを含むLB固体培地で37℃にて12時間培養し、ハイグロマイシンB高耐性コロニー(mut1〜mut20)を単離した。ハイグロマイシンB高耐性コロニーは250μg/mlハイグロマイシンB、50μg/mlのカナマイシン、0.1%のL−アラビノースを含むLB液体培地で37℃にて16時間培養し、回収した大腸菌細胞からHiYield Plasmid Mini Kit(RBC Bioscience)を用いてプラスミドDNAを回収した。
各コロニー(mut1〜mut20)由来の上記で回収した各プラスミドDNA、pET28bプラスミド(empty)、pET28b−HPT(HPT-c-His)、ならびにHisタグおよびリンカーが付かないHPTが発現するようにpET28bを用いて別途調製したプラスミド (HPT)をそれぞれ保持する大腸菌を50μg/mlのカナマイシンを含む25mlのLB培地に植菌し、OD600=0.5になるまで37℃で液体培養した。その培養液をOD600=0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001になるようにLB培地で希釈した。各希釈液 10μLを250μg/mlハイグロマイシンBを含むあるいは含まない、LB固体培地(カナマイシン 50μg/ml、L−アラビノース 0.1%)に滴下し、37℃で16時間培養した。結果を図1に示す。
mut8由来のプラスミドDNA(mut 8)、pET28bプラスミド(empty)、pET28b−HPT(HPT-c-His)、ならびにHisタグおよびリンカーが付かないHPTが発現するようにpET28bを用いて別途調製したプラスミド(HPT)をそれぞれ保持する大腸菌を、50μg/mlのカナマイシンを含む25mlのLB培地に植菌し、OD600=0.5になるまで37℃で液体培養した。その後、L−アラビノースを終濃度0.1%になるように添加し、さらに37℃で4時間培養した。その大腸菌の総タンパク質溶液を試料として、10%ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGEによりタンパク質を分離した。各レーンには10μgのタンパク質を供した。電気泳動後の10%ポリアクリルアミドゲルはCoomassie Brilliant Blue 染色することでタンパク質を検出した。
結果を図3に示す。
Emptyで観測されていないバンド(*)として、mut8において、pET28b−HPTで観測されたバンドよりも高分子量にバンドが確認された。
Real-time PCRを用いて以下の手順で、mRNA量を測定した。
Real-time PCRは、FastStart Universal SYBR Green Master(ROX)(Roche)を用いた。また、Real-time PCRの解析は、LightCycler(登録商標)96 System(Roche)を用いて行った。
(f-i) mut8由来のプラスミドDNA(mut 8)ならびにHisタグおよびリンカーが付かないHPTが発現するようにpET28bを用いて別途調製したプラスミド(HPT)をそれぞれ保持する大腸菌を、50μg/mlのカナマイシンを含む25mlのLB培地に植菌し、OD600=0.5になるまで37℃で液体培養した。その後、L−アラビノースを終濃度0.1%になるように添加し、さらに37℃で4時間培養した。その大腸菌を試料としてホットフェノール法によるTotal RNAの粗精製、Rneasy(登録商標) Mini Kit(Qiagen)およびRNase-Free DNase Set(Qiagen)による再精製を行った。さらに、PrimeScript RT Master Mix (TAKARA)によってcDNA を合成した。HPT遺伝子の検出にはプライマー5(5'- ACATTGGGGAGTTTAGCGAGAG -3')(配列番号21)とプライマー6(5'- AGCGGGCAGTTCGGTTT -3')(配列番号22)また、NPTII遺伝子の検出にはプライマー7(5'- TCCCCGGGAAAACAGCA -3')(配列番号23)とプライマー8(5'- CAAAATCACTCGCATCAACCA -3')(配列番号24)を用いた。mRNA量はpET28bに含まれるNPTII遺伝子対応のmRNA量に基づいて標準化した。結果を図4に示す。
図4から、mut8由来のプラスミドDNAからは、Hisタグおよびリンカーが付かないHPTを発現するプラスミドからと比較して、約2倍のmRNAが転写されていることが分かる。
さらに、免疫ブロットを行った。
mut8由来のプラスミドDNAならびにHisタグおよびリンカーが付かないHPTが発現するようにpET28bを用いて別途調製したプラスミド(HPT)をそれぞれ保持する大腸菌を、50μg/mlのカナマイシンを含む25mlのLB培地に植菌し、OD600=0.5になるまで37℃で液体培養した。その後、L−アラビノースを終濃度0.1%になるように添加し、さらに37℃で4時間培養した。その大腸菌の総タンパク質溶液を試料として、10%ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGEによりタンパク質を分離した。各レーンには2.5μgのタンパク質を供した。電気泳動後のゲルからPVDF膜へタンパク質を転写した。HPTタンパク質の検出には、一次抗体として、抗HPT抗体(Anti−HPT: MBS)を10,000倍希釈で、二次抗体として、抗マウスIgG抗体(Anti−Mouse IgG: MBL)を10,000倍希釈で使用した。タンパク質の検出にはECL-select(GE-Healthcare)、冷却CCDカメラ(Light Capture: Gentaur Molecular Products)を使用した。また、定量のための画像解析にはImage J(http://imagej.nih.gov/ij/)を用いた。
結果を図6(A)、(B)に示す。
図6(A)、(B)から、mut8由来のプラスミドDNAを保持する大腸菌においては、Hisタグおよびリンカーが付かないHPTを発現するプラスミドを保持する大腸菌と比較して、1.5倍程度の高濃度でHPTが発現していることがわかる。
mut1〜mut20由来のそれぞれのプラスミドDNA溶液をシークエンス反応に用いた。以下の組成の反応溶液10μLを準備し、シークエンス反応を行った。
5 x sequence buffer 1.5μL
プライマー (3.2μM) 1.0μL
BigDye 1.0μL
プラスミドDNA 300 ng
水を加えて10μLに調製
(1)96℃ 1分
(2)95℃ 10秒
(3)50℃ 5秒
(4)60℃ 4分
(5) 4℃ 保持
(2)〜(4)を30サイクル行った。
その結果、mut1〜mut8、mut10〜mut13、mut16、およびmut17由来のプラスミドDNAにおいては、天然型HPTをコードする塩基配列のHPTの下流側に26アミノ酸からなるペプチドタグアミノ酸配列(配列番号4)をコードする塩基配列が確認された。この配列は、pET28b由来のHisタグおよびリンカーをコードする塩基配列において、2塩基が欠失した配列に該当していた。さらに、mut4においては天然型HPTの286位(287位)のアラニンのバリンへの置換に該当する変異があり、mut8(配列番号13)においては天然型HPTの311位(312位)のアルギニンのシステインへの置換に該当する変異が見られた。(括弧内のアミノ酸の位置は、探索過程でNco I 制限酵素部位を設けるため、天然型HPTのN末端対応部分のATGのあとにGGCが付加されているために1位ずれた後の位置である。)
(a)ペプチドタグ一部欠損型プラスミドの作製
最も高いハイグロマイシンB耐性を示したmut8から回収されたプラスミドDNA(pET28b−HPT−mut8)に基づき、ペプチドタグ一部欠損型プラスミドを作製した。上記26アミノ酸からなるペプチドタグを有する変異HPTに対し、C末端が5アミノ酸欠損したpET28b−HPT−mut8−21AA、C末端が10アミノ酸欠損したpET28b−HPT−mut8−16AA、C末端が15アミノ酸欠損したpET28b−HPT−mut8−11AAを調製した。
10 x PCR buffer for KOD -Plus- Neo 2.5μL
2 mM dNTPs 2.5μL
25 mM MgSO4 1.5μL
プライマー9(10μM) 0.75μL
プライマー10、11、または12(10μM) 0.75μL
Template 3 10 ng
滅菌蒸留水を加えて25μLに調製
(1)94℃ 2分
(2)98℃ 10秒
(3)55℃ 30秒
(4)68℃ 5分
(5) 4℃ 保持
(2)〜(4)を30サイクル行った。
得られたペプチドタグ一部欠損型プラスミドを保持する大腸菌を50μg/mlのカナマイシンを含む25mlのLB培地に植菌し、OD600=0.5になるまで37℃で液体培養した。その培養液をOD600=0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001になるようにLB培地で希釈し、各希釈液 10μLを250μg/mlハイグロマイシンBを含むあるいは含まない、LB固体培地(カナマイシン 50μg/ml、L−アラビノース 0.1%)に滴下し、37℃で16時間培養した。結果を図7に示す。
配列表の配列番号4で示されるアミノ酸配列をC末端側に有する変異型タンパク質を緑色蛍光タンパク質(GFP−S65T)について設計し、上記変異HPTと同様に細胞中での発現量を調べたところ、SDS−PAGEにおいて高い発現量を示すバンドが確認された。
Claims (11)
- 配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む26個以下のアミノ酸からなるペプチドをコードする、タンパク質の発現量を増加させる機能を有するDNA。
- 配列表の配列番号1、2、3、または4で表されるアミノ酸配列からなるペプチドをコードする請求項1に記載のDNA。
- 配列表の配列番号5で表される塩基配列を含む請求項1に記載のDNA。
- 配列表の配列番号5、6、7、または8で表される塩基配列からなる請求項1に記載のDNA。
- 配列表の配列番号5で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ26個以下のアミノ酸からなるペプチドをコードするDNAである、タンパク質の発現量を増加させる機能を有するDNA。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のDNAでコードされるアミノ酸配列をC末端に含む、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ。
- 下記(A)〜(H)からなる群より選ばれる、請求項6に記載の変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ:
(A)配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(B)配列番号9で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(C)配列番号10で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(D)配列番号10で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(E)配列番号11で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(F)配列番号11で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(G)配列番号12で表されるアミノ酸配列からなる変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ;
(H)配列番号12で表されるアミノ酸配列の1位〜342位において、1から数個のアミノ酸の欠失、置換もしくは付加を有するアミノ酸配列を有し、かつ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ活性を有する変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ。 - 請求項6または7に記載の変異型ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼをコードする遺伝子。
- 配列表の配列番号13、14、15、または16で表される塩基配列からなる請求項8に記載の遺伝子。
- 請求項8または9に記載の遺伝子を含むベクター。
- 請求項10に記載のベクターを含む形質転換体。
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JP2017049468A Active JP6962541B2 (ja) | 2016-03-16 | 2017-03-15 | タンパク質の発現量を増加させる機能を有するdna、および変異型ハイグロマイシンbホスホトランスフェラーゼ |
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JP (1) | JP6962541B2 (ja) |
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2017
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