以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係るう蝕リスク予測システム1(う蝕予測システム)の機能構成を示すブロック図である。う蝕リスク予測システム1は、ユーザの各歯のう蝕リスクを予測するシステムである。う蝕とは、口腔内の細菌であるプラークが出す酸によって歯質が溶かされ欠損した状態をいう。う蝕された歯をう歯(虫歯)という。う蝕リスクとは、う蝕の罹患しやすさ(う蝕に罹患しやすい程度)を示す情報である。う蝕リスクが高い歯ほど、う蝕に罹患しやすい。う蝕リスク予測システム1は、携帯端末10と、サーバ装置50とを備えている。携帯端末10は、サーバ装置50と通信可能に構成された通信端末であり、例えばスマートフォン又はタブレット端末等である。サーバ装置50は、携帯端末10と通信可能に構成されたサーバである。なお、図1においては、便宜上、1台のサーバ装置50が1台の携帯端末10と通信している状態を示すが、実際には、サーバ装置50は、複数台の携帯端末10と通信可能に構成されている。また、以下の説明において、「ユーザ」とは携帯端末10を利用するユーザ(携帯端末10の保持者)をいう。
携帯端末10は、機能構成として、取得部11と、口腔情報DB12と、算出部13と、出力部14とを備えている。携帯端末10は、例えば図2に示されるハードウェアによって構成されている。
図2は、携帯端末10のハードウェア構成を示す図である。図2に示されるように、携帯端末10は、物理的には、1又は複数のプロセッサ1001、主記憶装置であるメモリ1002、ハードディスク又は半導体メモリ等のストレージ1003、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信装置1004、入力装置1005、及びディスプレイ等の出力装置1006等を含むコンピュータシステムとして構成されている。図1に示される各機能は、図2に示されるメモリ1002等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、プロセッサ1001の制御のもとで入力装置1005、出力装置1006、及び通信装置1004を動作させるとともに、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことにより実現される。
再び図1を参照して、携帯端末10の各機能の詳細を説明する。
取得部11は、ユーザ(すなわち、携帯端末10を利用するユーザ)の口腔情報を取得する。口腔情報とは、口からのどまでの間の口の中の空間(口腔)に関する情報であり、口腔の状態を示す情報(例えば歯列情報)だけでなく、口腔で発生する事象に関する情報(例えば飲食情報)等の口腔に関わる種々の情報である。具体的には、取得部11は、ユーザのう蝕情報と、歯磨き情報と、歯列情報と、飲食情報と、口内環境情報と、を含んだ口腔情報を取得する。
う蝕情報とは、ユーザの各歯におけるう蝕の度合いを示す情報である。う蝕の度合いは、例えば、う蝕の健康基準値により示される。う蝕の度合いが所定値よりも低い歯については、健康基準値において「健全」である(う蝕が進行していない)とされる。取得部11は、例えば、ユーザの操作によって携帯端末10のカメラ機能により撮像された口腔内の画像(各歯の画像)に基づき、各歯のう蝕基準値を取得する。この場合、取得部11は、例えば画像認識技術を用いて、予め準備された、う蝕の度合い(進行レベル)に対応する健康基準値毎のう蝕状態を示す歯の画像と、撮像された口腔内の歯の画像とを比較することにより、撮像された各歯の状態に最も近い、う蝕の健康基準値を特定する。取得部11は、例えば、携帯端末10のアプリ上で、ユーザからう蝕の健康基準値の取得が指示されると共に口腔内の画像が指定された際に、う蝕の健康基準値の取得を行う。う蝕の健康基準値の取得間隔は、ユーザによって任意に決められるものであるが、例えば数週間〜数か月に一度程度とされる。なお、取得部11は、歯科医の検診結果に基づきユーザ等によって携帯端末10に入力された各歯のう蝕の健康基準値を取得してもよい。取得部11は、取得したう蝕情報を口腔情報DB12に格納する。
歯磨き情報とは、ユーザの歯磨きに関する情報である。歯磨き情報とは、例えば、各歯の磨き度合いを示す情報、及び、歯磨きを実施した時刻である。各歯の磨き度合いは、例えば、磨き度合いが低いほど小さい値となるスコアにより示される。取得部11は、例えば、携帯端末10のカメラ機能により撮像された口腔内の画像(各歯の画像)から取得される各歯の位置と、歯ブラシ60本体に内蔵された加速度センサ又はジャイロセンサ等の測定結果から取得される口腔内における歯ブラシ60の変位とに基づき、各歯の磨き度合いを取得する。なお、口腔内の画像は、歯ブラシ60本体のカメラ機能により撮像されて携帯端末10に送信されるものであってもよい。取得部11は、歯ブラシ60のタフト(毛束)部分の到達頻度が低いと考えられる歯ほど、磨き度合いが低いと判定する。取得部11は、例えばブルートゥース(登録商標)通信により、歯ブラシ60本体から上記測定結果を取得する。また、取得部11は、例えば動作するタイミング(すなわち、歯ブラシ60本体と通信を行うタイミング)の時刻を、上述した歯磨きを実施した時刻として取得する。或いは、取得部11は、携帯端末10のアプリ上でのユーザの入力によって、歯磨きを実施した時刻を取得してもよい。取得部11は、取得した歯磨き情報を口腔情報DB12に格納する。
歯列情報とは、ユーザの歯列に関する情報である。歯列情報とは、例えば、口腔内の叢生の有無及び空隙の有無に関する情報である。口腔内の叢生の有無及び空隙の有無に関する情報は、叢生及び空隙が存在する場合に高くなるスコアにより示される。取得部11は、例えば、携帯端末10のカメラ機能により撮像された口腔内の画像から取得される歯列に基づき、口腔内の叢生の有無及び空隙の有無に関する情報を取得する。この場合、取得部11は、例えば画像認識技術を用いて、予め準備された、口腔内の叢生の及び空隙を示す画像と、撮像された口腔内の画像とを比較することにより、撮像された口腔内における叢生及び空隙の有無を判定する。取得部11は、例えば、携帯端末10のアプリ上で、ユーザから叢生等の有無に関する情報の取得が指示されると共に口腔内の画像が指定された際に、口腔内の叢生の有無及び空隙の有無に関する情報の取得を行う。口腔内の叢生の有無及び空隙の有無に関する情報の取得間隔は、ユーザによって任意に決められるものであるが、例えば数週間〜数か月に一度程度とされる。なお、取得部11は、歯科医の検診結果に基づきユーザ等によって携帯端末10に入力された口腔内の叢生の有無及び空隙の有無に関する情報を取得してもよい。取得部11は、取得した歯列情報を口腔情報DB12に格納する。
飲食情報とは、ユーザの飲食に関する情報である。飲食情報とは、例えば、所定期間内(例えば1日あたり)における飲食の回数、及び、飲食を実施した時刻である。取得部11は、例えばユーザの腕に装着されたスマートウォッチ70に内蔵された加速度センサ又はジャイロセンサ等の測定結果から、飲食のタイミングを特定することにより、所定期間内における飲食の回数を取得する。取得部11は、例えば加速度センサ等の測定結果から、スマートウォッチ70が連続的に口腔近傍に変位していると考えられる場合に、飲食のタイミングであると判定する。取得部11は、例えばブルートゥース通信により、スマートウォッチ70から上記測定結果を取得する。また、取得部11は、例えば動作するタイミング(すなわち、スマートウォッチ70と通信を行うタイミング)の時刻を、上述した飲食を実施した時刻として取得する。或いは、取得部11は、携帯端末10のアプリ上でのユーザの入力によって、飲食を実施した時刻を取得してもよい。取得部11は、取得した飲食情報を口腔情報DB12に格納する。
口内環境情報とは、ユーザの口内環境に関する情報であり、例えば、ユーザの唾液から特定されるミュータンス菌数、pH(水素イオン濃度を表す指標)、及び酸緩衝能等から導出される情報(スコア)である。ミュータンス菌数は、例えば酸化還元指示薬であるレサズリンを用いた検出法により計測される。また、pH及び酸緩衝能は、例えばpH指示薬法により計測される。取得部11は、ミュータンス菌数が多く、pH及び酸緩衝能が小さいほど、口内環境情報のスコアを大きくする。具体的には、取得部11は、下記の(1)式により口内環境情報のスコアを算出する。下記(1)式において、OEは口内環境情報のスコア、MCはミュータンス菌数、pHは水素イオン濃度を表す指標であるpH、ACは酸緩衝能、下付き文字のuはユーザ毎の値であることを示す表記、ρ、σ、τは重み付け係数である。
なお、上記(1)式の重み付け係数ρ、σ、τとしては、予め定められた固定値を用いてもよいし、機械学習法等により随時最適化される値を用いてもよい。予め定められた固定値を用いる場合には、全ユーザ共通の固定値を用いてもよいし、ユーザ毎の固定値を用いてもよい。機械学習法等により最適化された値を用いる場合においても、全ユーザ共通の最適化された値を用いてもよいし、ユーザ毎に最適化された値を用いてもよい。機械学習技法としては、例えば、Logistics Regression、又は、Support Vector Machine(SVM)等を適用することができる。取得部11は、取得した口内環境情報を口腔情報DB12に格納する。
口腔情報DB12は、取得部11によって格納された口腔情報を記憶するデータベースである。具体的には、口腔情報DB12は、ユーザの口腔情報として、う蝕情報と、歯磨き情報と、歯列情報と、飲食情報と、口内環境情報とを記憶している。
算出部13は、取得部11によって取得された口腔情報に基づいて、ユーザの各歯のう蝕リスクを算出する。算出部13は、例えば携帯端末10のアプリ上でユーザから各歯のう蝕リスクの算出が指示された際に、各歯のう蝕リスクの算出を行う。或いは、算出部13は、所定時間間隔で、各歯のう蝕リスクの算出を行ってもよい。
算出部13は、最初に、リスク算出対象の歯を決定する。具体的には、算出部13は、口腔情報DB12からう蝕情報を取得し、各歯のうち、う蝕の度合いが所定値よりも低い歯(健康基準値において「健全」(う蝕が進行していない)とされている歯)のみをリスク算出対象の歯に決定する。
算出部13は、リスク算出対象の各歯のう蝕リスクを算出する。算出部13は、口腔情報DB12から歯磨き情報、歯列情報、飲食情報、及び口内環境情報を取得し、これらの情報に基づいて、各歯のう蝕リスクを算出する。算出部13は、歯磨き情報に基づき、磨き度合いが低い歯ほどう蝕リスクを高く算出する。算出部13は、歯列情報に基づき、口腔内の叢生の及び空隙が存在する歯ほどう蝕リスクを高く算出する。算出部13は、飲食情報に基づき、飲食の回数が多いほど、各歯のう蝕リスクを高く算出する。算出部13は、口内環境情報に基づき、ミュータンス菌数、pH(水素イオン濃度を表す指標)、及び酸緩衝能等から導出されたスコアが高いほど、各歯のう蝕リスクを高く算出する。算出部13は、飲食情報及び歯磨き情報に基づき、飲食を実施した時刻と、該飲食を実施した時刻以降の最初の歯磨きを実施した時刻との差が大きいほど、各歯のう蝕リスクを高く算出する。すなわち、算出部13は、飲食をしてから歯磨きするまでの時間差が大きいほど、各歯のう蝕リスクを高く算出する。
具体的には、算出部13は、以下の(2)式により各歯のう蝕リスクを算出する。下記(2)式において、rはう蝕リスク、PTは磨き度合いを示すスコア、NEは飲食の回数、RTは叢生及び空隙の有無に応じたスコア、OEは上述した(1)式により導出される口内環境情報のスコア、DTは飲食を実施した時刻と、該飲食を実施した時刻以降の最初の歯磨きを実施した時刻との時間差、bは所定のバイアス、下付き文字のuはユーザ毎の値であることを示す表記、下付き文字のtは歯毎の値であることを示す表記、α、β、γ、δ、εは重み付け係数、a1〜a3はシグモイド関数における係数である。
なお、上記(2)式の重み付け係数α、β、γ、δ、εとしては、予め定められた固定値を用いてもよいし、機械学習法等により随時最適化される値を用いてもよい。予め定められた固定値を用いる場合には、全ユーザ共通の固定値を用いてもよいし、ユーザ毎の固定値を用いてもよい。機械学習法等により最適化された値を用いる場合においても、全ユーザ共通の最適化された値を用いてもよいし、ユーザ毎に最適化された値を用いてもよい。機械学習技法としては、例えば、Logistics Regression、又は、Support Vector Machine(SVM)等を適用することができる。また、上記(2)式のシグモイド関数a1〜a3としては、例えば予め定められた固定値を用いてもよい。
算出部13は、算出したう蝕リスクが所定の閾値よりも高い歯のう蝕リスクのみを出力部14に出力する。すなわち、う歯(虫歯)となりやすい歯のう蝕リスクのみを出力部14に出力する。また、算出部13は、う蝕リスクを算出した全ての歯のう蝕リスクを、サーバ装置50に送信する。
出力部14は、算出部13によって算出された、各歯のう蝕リスクを出力する。具体的には、出力部14は、算出部13に入力された歯のう蝕リスクを携帯端末10のディスプレイに提示(表示)する。これにより、う蝕に罹患しやすい歯をユーザに知らせることができる。更に、出力部14は、う蝕リスクと併せて、う蝕の進行を防ぐための生活及び行動のアドバイスを携帯端末10のディスプレイに提示してもよい。具体的には、例えば右前歯のう蝕リスクが高い場合、出力部14は、「上顎の右側の中切歯がう蝕になりやすいから入念に歯磨きをしよう」等のアドバイスを携帯端末10のディスプレイに提示してもよい。なお、出力部14は、各歯のう蝕リスク(う蝕に罹患しやすい歯に関する情報)を、ユーザ(携帯端末10のディスプレイ)以外の、例えば医者等に知らせる機能を有していてもよい。
サーバ装置50は、各ユーザの携帯端末10から、各ユーザのう蝕リスクを受信する。また、サーバ装置50は、各ユーザの携帯端末10に対して、う蝕リスクの算出に用いる情報、具体的には、上述した(1)式及び(2)式における重み付け係数の値を送信してもよい。また、機械学習により当該重み付け係数が算出される場合には、サーバ装置50自体が機械学習を行い、各種重み付け係数を算出してもよい。
次に、図3を参照して、携帯端末10が行うう蝕リスク予測方法の一連の処理を説明する。図3は、携帯端末10が行うう蝕リスク予測方法の一連の処理を示すフローチャートである。
まず、取得部11によって、ユーザの口腔情報が取得される(ステップS1)。取得部11は、ユーザのう蝕情報と、歯磨き情報と、歯列情報と、飲食情報と、口内環境情報と、を含んだ口腔情報を取得する。
つづいて、取得部11によって、ユーザの口腔情報が口腔情報DB12に格納される(ステップS2)。取得部11は、口腔情報を取得したタイミングで口腔情報を口腔情報DB12に格納してもよいし、所定の時間間隔で口腔情報を口腔情報DB12に格納してもよい。
つづいて、算出部13によってリスク算出対象の歯が決定される(ステップS3)。算出部13は、口腔情報DB12からう蝕情報を取得し、各歯のうち、う蝕の度合いが所定値よりも低い歯のみをリスク算出対象の歯に決定する。
つづいて、算出部13によって、リスク算出対象の各歯のう蝕リスクが算出される(ステップS4)。算出部13は、口腔情報DB12から歯磨き情報、歯列情報、飲食情報、及び口内環境情報を取得し、これらの情報に基づいて、各歯のう蝕リスクを算出する。
つづいて、算出部13によってユーザにう蝕リスクを提示する歯が決定される(ステップS5)。算出部13は、算出したう蝕リスクが所定の閾値よりも高い歯のう蝕リスクのみを出力部14に出力する。
つづいて、出力部14によって各歯のう蝕リスクがユーザに提示される(ステップS6)。出力部14は、算出部13に入力された歯のう蝕リスクを携帯端末10のディスプレイに提示する。更に、出力部14は、う蝕リスクと併せて、う蝕の進行を防ぐための生活及び行動のアドバイスを携帯端末10のディスプレイに提示する。
次に、本実施形態に係る携帯端末10の作用効果について説明する。
本実施形態に係る携帯端末10は、ユーザの歯磨きに関する情報である歯磨き情報、及び、ユーザの歯列に関する情報である歯列情報の少なくともいずれか一方を含んだ口腔情報を取得する取得部11と、取得部11によって取得された口腔情報に基づいて、ユーザの各歯のう蝕リスクを算出する算出部13と、算出部13によって算出された、各歯のう蝕リスクを出力する出力部14と、を備える。
本実施形態に係る携帯端末10では、歯磨き情報及び歯列情報の少なくともいずれか一方を含んだ口腔情報が取得され、該口腔情報に基づきユーザの各歯のう蝕リスクが算出され、該う蝕リスクが出力される。口腔情報から歯毎にう蝕リスクが算出されるため、口腔全体のう蝕リスクが算出される場合と異なり、う蝕に罹患し易い歯を適切に予測することができる。また、本発明では、歯磨き情報及び歯列情報が考慮されてう蝕リスクが算出される。歯磨き情報及び歯列情報は、歯毎に示される情報であり、且つ、う蝕の罹患との関連度が大きい情報であるため、これらの情報を考慮してう蝕リスクを算出することにより、う蝕に罹患し易い歯を高精度に予測することができる。
なお、歯毎のう蝕リスクを算出する方法としては、例えば、口腔内に複数のpHセンサ(各歯に対応させたpHセンサ)を設ける手法が考えられる。しかしながら、複数のpHセンサを口腔内に設ける手法は、ユーザの負担(口腔内に複数のpHセンサが設けられることによる負担)が大きいことが問題となる。この点、本実施形態に係る携帯端末10では、例えば歯ブラシ及びカメラ等を用いて容易に取得できる情報である歯磨き情報及び歯列情報を用いているため、ユーザの負担を軽減しながら、う蝕に罹患し易い歯を容易に予測することができる。
取得部11は、歯磨き情報として、各歯の磨き度合いを示す情報を取得し、歯列情報として、口腔内の叢生の有無及び空隙の有無に関する情報を取得し、算出部13は、磨き度合いが低く、叢生が存在し、空隙が存在する歯ほど、う蝕リスクを高く算出する。これにより、う蝕が発生し易い状態となっている歯(磨き度合いが低く、叢生が存在し、空隙が存在する歯)のう蝕リスクを適切に高くすることができ、う蝕に罹患し易い歯をより高精度に予測することができる。
取得部11は、ユーザの飲食に関する情報である飲食情報を含んだ口腔情報を取得し、飲食情報として、所定期間内における飲食の回数を取得し、算出部13は、飲食の回数が多いほど、う蝕リスクを高く算出する。一般的に、飲食の回数が多いほどう蝕リスクが高くなる。このため、飲食の回数が多いほどう蝕リスクを高く算出することにより、各歯のう蝕リスクをより高精度に算出することができる。
取得部11は、歯磨き情報として、歯磨きを実施した時刻を取得し、飲食情報として、飲食を実施した時刻を取得し、算出部13は、飲食を実施した時刻と、該飲食を実施した時刻以降の最初の歯磨きを実施した時刻との差が大きいほど、う蝕リスクを高く算出する。一般的に、飲食を実施してから歯磨きを実施するまでの時間差が大きくなるほど、う蝕リスクが高くなる。このため、当該時間差が大きいほどう蝕リスクを高く算出することにより、各歯のう蝕リスクをより高精度に算出することができる。
取得部11は、ユーザの各歯のう蝕の度合いを示す情報を取得し、算出部13は、う蝕の度合いが所定値よりも低い歯についてのみ、う蝕リスクを算出する。う蝕の度合いが高い歯(すでにう蝕が進行している歯)については、う蝕リスク算出の対象から外すことにより、ユーザがう蝕リスクを把握したい歯のみをう蝕リスク算出の対象とすることができる。これにより、リスク算出の処理をより効率的に行うと共に、ユーザが必要な情報のみをユーザに提供することができる。
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線で)接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
例えば、上記実施形態における携帯端末10等は、上記実施形態の携帯端末10の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図2は、本実施形態に係る携帯端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の携帯端末10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、及びバス1007等を含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニット等に読み替えることができる。携帯端末10のハードウェア構成は、図1に示された各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
携帯端末10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002等のハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタ等を含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、及び/又はデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、携帯端末10の取得部11は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)等の少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)等と呼ばれてもよい。メモリ1002は、上記実施形態に係る楽器音認識方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール等を保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)等の光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ等の少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバ、その他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュール等ともいう。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサ等)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプ等)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及びメモリ1002等の各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、携帯端末10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更された態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
例えば、各歯のう蝕リスクの算出に用いる口腔情報として、ユーザのう蝕情報と、歯磨き情報と、歯列情報と、飲食情報と、口内環境情報とを用いるとして説明したがこれに限定されず、口腔情報には、歯磨き情報及び歯列情報の少なくともいずれか一方が含まれていればよい。
また、携帯端末10がう蝕リスクを算出し出力するとして説明したがこれに限定されず、携帯端末10と通信を行うサーバ(例えば図1に示すサーバ装置50)が、各ユーザのう蝕リスクを算出してもよい。すなわち、携帯端末10と通信を行うサーバが、上述した取得部11、口腔情報DB12、算出部13、及び出力部14に相当する機能を有していてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、フローチャート等は、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよいし、実行に伴って切り替えて用いられてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)によって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能等を意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令等は、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)等の有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波等の無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本明細書で説明した情報及び信号等は、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップ等は、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
本明細書で使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
また、本明細書で説明した情報、パラメータ等は、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
上述したパラメータに使用される名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギー等の電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」との両方を意味する。
本明細書で使用する「第1」、「第2」等の呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書において、文脈又は技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置であることが示されていなければ、複数の装置をも含むものとする。