JP6957075B1 - 低溶解性ナノファイバーの製造方法 - Google Patents

低溶解性ナノファイバーの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法は、水溶性ポリマー水溶液とポリウレタン分散液との混合液に架橋剤を添加して紡糸溶液を準備する紡糸溶液準備工程と、電界紡糸法により前記紡糸溶液からナノファイバーを形成する紡糸工程と、架橋により前記ナノファイバーを低溶解性ナノファイバーとする架橋工程とを含むことを特徴とする。本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、水及び有機溶剤(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)に溶けにくい低溶解性ナノファイバーをポリウレタン分散液から製造することができる。

Description

本発明は、低溶解性ナノファイバーの製造方法に関する。
近年、ナノオーダーの繊維径(おおよそ3000nm以下の繊維径)を有するナノファイバーに注目が集まっている。ナノファイバーは極めて大きい比表面積を有するため、従来から用いられてきた通常の繊維(繊維径がおおよそ1μm以上の繊維)とは顕著に異なる性質を有する。このため、ナノファイバーは、通常の繊維では実現不可能な様々な性能(高いイオン透過性、高い液保持性、高い吸着能力等)を有する製品の材料として期待されている。
ナノファイバーの製造方法としては、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)が広く知られている。一般的な電界紡糸法では、ナノファイバーの原料であるポリマーを溶媒に溶解させて紡糸溶液とし、当該紡糸溶液を静電気力で微細化させることによりナノファイバーを製造する。
ところで、ナノファイバーの原料として用いられるポリマーの多くは有機溶剤(有機溶媒)に溶けやすいため、溶媒として有機溶剤を用いることが多い。しかし、有機溶剤を用いる場合には処理設備や防爆設備等の設置が必要となることから、設備費用やランニングコストという形でナノファイバーを製造するためのコストが増大する。コストの問題はナノファイバーの普及を阻む大きな障害となっているため、軽視することはできない。一方、有機溶剤の使用を回避するために水溶性ポリマーを用いることも考えられるが、水溶性ポリマーをナノファイバーの主構成材料として用いる場合には、ナノファイバーの溶解性を低減する後処理(薬品処理又は熱処理)を実施するための設備が必要となり、このような設備もコスト増大の要因となる。また、水溶性ポリマーは種類が限られているという問題もある。
上記のような問題を解決可能な方法の1つとして、紡糸溶液としてポリマーを水系溶液中に分散させたポリマー分散液を用いるナノファイバーの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2012−12715号公報
しかしながら、従来の、ポリマー分散液を用いるナノファイバーの製造方法においては、有機溶剤に溶けにくいナノファイバーを製造することが困難であるという問題がある。例えば、コンデンサ(キャパシタ)や公称電圧が高い電池(リチウムイオン二次電池等)においては有機溶剤ベースの電解液が用いられることが多い。ナノファイバーを用いたセパレータは、電解液保持性、イオン透過性、厚さあたりの強度等、多くの点で優れた性質を示す。しかし、ナノファイバーが電解液に容易に溶解する場合には、当然ながら当該ナノファイバーを用いたセパレータを当該電解液とともに用いることはできない。このように、ナノファイバーの有機溶剤への溶解性は、ナノファイバーの応用範囲に直接かかわる要素である。特に、ポリウレタン系のナノファイバーについては、有機溶剤に容易に溶解してしまうことが応用範囲拡大のネックとなっていた。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、有機溶剤に溶けにくい低溶解性ナノファイバーをポリウレタン分散液から製造することができる低溶解性ナノファイバーの製造方法を提供することを目的とする。
[1]本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法は、水溶性ポリマー水溶液とポリウレタン分散液との混合液に架橋剤を添加して紡糸溶液を準備する紡糸溶液準備工程と、電界紡糸法により前記紡糸溶液からナノファイバーを形成する紡糸工程と、架橋により前記ナノファイバーを低溶解性ナノファイバーとする架橋工程とを含むことを特徴とする。
[2]本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法においては、前記水溶性ポリマー水溶液がポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクリルアミドのうち少なくとも1つを含有することが好ましい。
[3]本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法においては、前記架橋工程においては、50℃〜180℃の範囲内の温度で熱処理を実施することが好ましい。
[4]本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法においては、前記架橋工程においては、50℃〜180℃の範囲内の温度に設定した加熱用ロールを用いて、前記ナノファイバーを押圧及び搬送しながら前記熱処理を実施することが好ましい。
[5]本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法においては、前記ポリウレタン分散液における不揮発分の重量は、前記水溶性ポリマー水溶液における水溶性ポリマー成分の重量の1倍〜5倍の範囲内にあることが好ましい。
[6]本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法においては、前記架橋剤は、水溶性カルボジイミド架橋剤であり、前記紡糸溶液における前記架橋剤の重量は、前記ポリウレタン分散液が含有する不揮発分の重量の1%〜30%の範囲内にあることが好ましい。
[7]本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法においては、前記ポリウレタン分散液におけるポリウレタンは、ポリカーボネート系ポリウレタンであることが好ましい。
[8]本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法においては、前記ポリウレタン分散液における分散質の平均粒子径は、1μm以下であることが好ましい。
本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、後述する実施例に示すように、有機溶剤に溶けにくい低溶解性ナノファイバーをポリウレタン分散液から製造することができる。
架橋工程前におけるナノファイバーのSEM画像。 架橋工程後における低溶解性ナノファイバーのSEM画像。 蒸留水に浸漬した後における低溶解性ナノファイバーのSEM画像。 DMFに浸漬した後における低溶解性ナノファイバーのSEM画像。
以下、本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法について説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明に必須であるとは限らない。
[実施形態]
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法は、紡糸溶液準備工程と、紡糸工程と、架橋工程とを含む。本明細書における「低溶解性ナノファイバー」とは、水とN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載する。)との両方について、60℃で24時間浸漬しても繊維形状が残存するナノファイバーのことをいう。以下、各工程について説明する。
紡糸溶液準備工程は、水溶性ポリマー水溶液とポリウレタン分散液との混合液に架橋剤を添加して紡糸溶液を準備する工程である。本明細書における「ポリウレタン分散液」とは、微粒子状のポリウレタンが分散している水系溶液のことをいう。分散液は、エマルジョン(エマルション)、乳濁液、サスペンション、懸濁液、ディスパージョン、コロイド溶液等と呼称されることもある。
水溶性ポリマー水溶液は、いわゆる水溶性ポリマーを含有する。水溶性ポリマーとは、安定した水溶液とすることができるポリマーのことをいう。実施形態においては、紡糸性(ナノファイバーの形成しやすさ)及び扱いやすさの観点から、水溶性ポリマー水溶液は、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクリルアミドのうち少なくとも1つを含有することが好ましい。
ポリウレタン分散液におけるポリウレタンの種類は特に限定されない。ただし、本発明の目的が低溶解性ナノファイバーを製造することであること、及び、当該低溶解性ナノファイバーの使用用途として電力機器(コンデンサや電池)が想定されることを考慮すると、ポリウレタン分散液におけるポリウレタンは、ポリオール由来の構造に起因して水、有機溶剤、熱等に比較的強いポリカーボネート系ポリウレタンであることが好ましい。なお、ポリウレタン分散液及び紡糸溶液は、複数種類のポリウレタンやポリウレタンのモノマー及びオリゴマーを含有していてもよい。また、ポリウレタン分散液及び紡糸溶液は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、ポリウレタン以外のポリマーやポリマー以外の物質を含有していてもよい。
ポリウレタン分散液における分散質(不揮発分)の平均粒子径は特に限定されないが、分散液としての安定性(分散質の沈殿しにくさ)及びナノファイバーの形成しやすさを考慮すると、1μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることが一層好ましい。なお、紡糸溶液における分散質の平均粒子径についても、ポリウレタン分散液の場合と同様である。
電界紡糸法の安定実施の観点からは水溶性ポリマーの量を少なくしすぎることは好ましくないが、低溶解性ナノファイバーの強度や安定性の観点からは水溶性ポリマーの量が多すぎることは好ましくない。このような観点からは、ポリウレタン分散液における不揮発分の重量は、水溶性ポリマー水溶液における水溶性ポリマー成分の重量の1倍〜5倍の範囲内にあることが好ましい。
実施形態における架橋剤は、後述する架橋工程でポリウレタンを架橋させるためのものである。このため、架橋剤としては紡糸溶液中では架橋反応を開始しないもの(熱や電磁波等のような外部刺激により架橋反応を開始するもの)を用いることが好ましい。実施形態における架橋剤は、水溶性カルボジイミド架橋剤である。水溶性カルボジイミド架橋剤の種類は、使用するポリウレタンの種類に応じて具体的に決定することができる。架橋剤の量が少ないと有機溶剤に対する溶解性を十分に低くすることができない場合がある。一方、架橋剤の量が多すぎると不経済的であるばかりか意図しない副反応が発生する可能性が高くなる。このような観点からは、紡糸溶液における架橋剤の重量は、ポリウレタン分散液における不揮発分の重量の1%〜30%の範囲内にあることが好ましい。
なお、紡糸溶液は上記した以外の物質を含有していてもよい。このような物質としては、電界紡糸を補助する物質(例えば、導電助剤及び界面活性剤)、紡糸溶液の状態を安定させる物質(例えば、乳化剤)及び機能性物質(例えば、無機粒子、触媒、顔料)を例示することができる。
紡糸工程は、電界紡糸法により紡糸溶液からナノファイバーを形成する工程である。電界紡糸法については公知の方法を用いることができるため、説明は省略する。
架橋工程は、架橋によりナノファイバーを低溶解性ナノファイバーとする工程である。架橋工程においては、外部から刺激(エネルギー)を与えることでポリウレタンと架橋剤とを反応させ、ポリウレタンの高分子化を促進する。例えば、熱によりポリウレタンの架橋を開始(進行)可能な架橋剤を用い、架橋工程においては、熱処理を実施することで架橋を開始させることができる。なお、架橋剤の種類にもよるが、架橋工程においては熱処理以外の処理、例えば紫外線や可視光の照射を実施してもよい。
熱処理を実施する場合、熱処理の温度が低すぎるとポリウレタンの架橋が不十分となる場合がある。一方、熱処理の温度が高すぎると繊維構造を損なってしまう場合がある。このような観点からは、50℃〜180℃の範囲内の温度で熱処理を実施することが好ましい。
実施形態における架橋工程では、架橋は熱そのものよりも架橋剤の存在により進行するため、熱処理の時間(ナノファイバーを高温にさらす時間)は比較的短時間、例えば、10秒以下とすることができ、3秒以下とすることもできる。ただし、熱伝達等の観点から、熱処理の時間を0.1秒以上とすることが好ましい。このため、実施形態における架橋工程においては、50℃〜180℃の範囲内の温度に設定した加熱用ロール(搬送物の加熱及び加圧が可能な、ローラーを用いた搬送機構)を用いて、ナノファイバーを押圧及び搬送しながら熱処理を実施することができる。
加熱用ロールを用いた熱処理は、紡糸工程においてナノファイバーを帯状に形成し(帯状のナノファイバー不織布を形成し)、いわゆるカレンダ機(カレンダロール)のような設備を用いて実施することができる。
以上の工程を実施することにより、低溶解性ナノファイバーを製造することができる。なお、低溶解性ナノファイバーの製造方法は、上記以外の工程を含んでいてもよい。また、上記の説明では言及しなかった操作等を実施してもよい。
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、後述する実施例に示すように、有機溶剤に溶けにくい低溶解性ナノファイバーをポリウレタン分散液から製造することができる。なお、本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法により製造された低溶解性ナノファイバーは、水に対する溶解性も低くすることができる。
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、紡糸溶液が上記した水溶性ポリマー水溶液(ポリエチレンオキシド等)を含有する場合には、比較的扱いやすい紡糸溶液により安定した電界紡糸が可能となる。
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、架橋工程において、50℃〜180℃の範囲内の温度で熱処理を実施する場合には、ポリウレタンの高分子化を十分に進行させることが可能となり、かつ、熱による繊維構造へのダメージを低減することが可能となる。
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、架橋工程においては、50℃〜180℃の範囲内の温度に設定した加熱用ロールを用いて、ナノファイバーを押圧及び搬送しながら熱処理を実施する場合には、比較的簡易な設備を用いて比較的短時間でナノファイバーを製造することが可能となる。
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、ポリウレタン分散液における不揮発分の重量が水溶性ポリマー水溶液における水溶性ポリマー成分の重量の1倍〜5倍の範囲内にある場合には、十分な強度や安定性を有する低溶解性ナノファイバーを製造することが可能となり、かつ、電界紡糸法を安定して実施することが可能となる。
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、紡糸溶液における架橋剤の重量が、ポリウレタン分散液が含有する不揮発分の重量の1%〜30%の範囲内にある場合には、低溶解性ナノファイバーの有機溶剤に対する溶解性を十分に低くすることが可能となり、かつ、コストや副反応の発生確率の増加を抑制することが可能となる。
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、ポリウレタン分散液におけるポリウレタンがポリカーボネート系ポリウレタンであるため、ポリカーボネート系ポリウレタン以外の系統のポリウレタンを用いる場合と比較して、低溶解性ナノファイバーの有機溶媒及び水に対する溶解性を一層低減可能であり、かつ、低溶解性ナノファイバーの耐熱性を一層高くすることが可能となる。
実施形態に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法によれば、ポリウレタン分散液における分散質の平均粒子径が1μm以下である場合には、紡糸溶液中の分散質の沈殿を抑制することで電界紡糸の安定性を高くすることが可能となる。
[実施例]
本発明の発明者らは、本発明の低溶解性ナノファイバーを実際に製造して形態の観察及び溶解性に関する実験を実施した。
I.使用した材料及び装置
まず、製造や実験等に用いた材料及び装置について説明する。なお、一般的な普及品であって特定の名称等を記載する必要がない事物については説明を省略する。
ポリエチレンオキシド(以下、PEOと記載する。粘度平均分子量Mv〜1,000,000、粉末)は、米国のSigma−Aldrich Corporationを通じて購入したものを用いた。
ポリウレタン分散液としては、水分散ポリカーボネート系ポリウレタンディスパージョン(アニオン性、乳白色、不揮発分30%、平均粒子径〜0.06μm)を用いた。
カルボジイミド架橋剤としては、水溶性のカルボジイミド架橋剤を用いた。
ナノファイバーを電界紡糸する際の基材としては、市販のクッキングシート(表面に低摩擦性の樹脂がコーティングされている紙シート)を用いた。
DMFは、富士フイルム和光純薬株式会社を通じて購入したものを用いた。
蒸留水は、実験前に製造したものを用いた。
電界紡糸装置は、株式会社ナフィアスのナノファイバープロダクションシステムES200(自社製品)を用いた。
カレンダ機としては、試作品の試験用熱カレンダ機(非市販品)を用いた。試験用熱カレンダ機の基本的な構造は、一般的に広く知られているものと同様である。試験用熱カレンダ機は、上部金属ロール(直径100mm、幅300mm)及び下部ゴムロール(直径100mm、幅300mm)を備える。試験用熱カレンダ機の上部金属ロール側にはエアシリンダが設けられ、ロール間を通過する物体に圧力をかけることができるように構成されている。また、下部ゴムロールは電動モーターと接続されており、回転速度を調節しながら回転させることが可能な構成となっている。
走査型電子顕微鏡(SEM)としては、株式会社キーエンスのVE−9800を用いた。
II.実施例に係る低溶解性ナノファイバーの製造方法
(1)紡糸溶液準備工程
まず、PEOを蒸留水に溶解させ、6wt%の水溶性ポリマー水溶液を作製した。次に、当該水溶性ポリマー水溶液7gに対して水分散ポリカーボネート系ポリウレタン分散液3gを混合して混合液を作製した。さらに、当該混合液にカルボジイミド架橋剤を0.5g添加して攪拌し、紡糸溶液を作製した。
(2)電界紡糸工程
電界紡糸工程においては、19G針先15mm長の金属ノズルを取り付けた5mlシリンジに紡糸溶液を充填し、当該金属ノズルにプラス電極を取り付けた。その後、回転可能な金属製ドラムコレクタにアース線を接続し、金属製ドラムコレクタの回転部分にクッキングシートを巻きつけ、当該クッキングシートを基材として電界紡糸をおこなった。電界紡糸は、印加電圧8kV、TCD12cm、シリンジ押出速度0.002mm/min、ノズルトラバース幅150mm、コレクタ回転速度50rpmという条件で実施した。
(3)架橋工程
架橋工程においては、試験用熱カレンダ機を用いて、130℃、30cm/minの条件で搬送しながら、加圧を伴う熱処理を実施した。なお、架橋工程においては基材上にナノファイバーを載せたまま熱処理を実施し、その後基材からナノファイバーを剥離した。
以上の工程により、実施例に係る低溶解性ナノファイバーを製造した。
III.ナノファイバー及び低溶解性ナノファイバーの形態
まず、架橋工程(熱処理)の前後でナノファイバーの形態が変化するかどうか観察をおこなった。
図1は、架橋工程前におけるナノファイバーのSEM画像である。
図2は、架橋工程後における低溶解性ナノファイバーのSEM画像である。
観察の結果、繊維径がやや太くなる傾向はみられたが、架橋工程を実施しても繊維構造は維持されていることが確認できた。なお、図1と図2とではSEM画像中に存在するビーズ状の構造の数が異なるが、これはSEM画像を取得する位置が異なることに起因し、架橋(熱処理)によりナノファイバー不織布の形態が変化したことを示すものではない。また、ビーズ状の構造は低溶解性ナノファイバーの機能を必ずしも阻害するものではないが、低溶解性ナノファイバーの構造として必須のものではない。
IV.低溶解性ナノファイバーの溶解性
溶解性に関する試験は、不織布状の低溶解性ナノファイバーからなる試験片を蒸留水に浸漬した後にSEM画像を取得して形態を確認し、その後DMFに浸漬した後に再びSEM画像を取得して再度形態を確認した。浸漬時における蒸留水及びDMFの温度は60℃とし、浸漬時間は24時間とした。なお、SEM画像の取得は、試験片を乾燥させた後におこなった。
図3は、蒸留水に浸漬した後における低溶解性ナノファイバーのSEM画像である。
図3に示すように、蒸留水に浸漬しても繊維構造に変化がないことが確認できた。
図4は、DMFに浸漬した後における低溶解性ナノファイバーのSEM画像である。
図4に示すように、DMFに浸漬しても繊維構造に変化がないことが確認できた。
以上の試験により、本発明の低溶解性ナノファイバーの製造方法により、水にも有機溶剤に溶けにくい低溶解性ナノファイバーをポリウレタン分散液から製造することができることが確認できた。特に本発明における低溶解性ナノファイバーは、分散液中の微粒子状のポリウレタンから製造され、かつ、比表面積が非常に大きい(水や有機溶剤と接する面積が非常に大きい)にもかかわらず、非プロトン性溶媒の中でも溶解性が高いDMFに対する溶解性を低くできるという画期的な結果が得られた。
以上、本発明を上記の実施形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態及び実施例に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能である。つまり、上記実施形態において記載した工程の具体的内容は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
本発明に係る低溶解性ナノファイバーは、電池用セパレータ、コンデンサ用セパレータ、流体フィルタ等、種々の用途において好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 水溶性ポリマー水溶液とポリウレタン分散液との混合液に架橋剤を添加して紡糸溶液を準備する紡糸溶液準備工程と、
    電界紡糸法により前記紡糸溶液からナノファイバーを形成する紡糸工程と、
    架橋により前記ナノファイバーを低溶解性ナノファイバーとする架橋工程とを含むことを特徴とする低溶解性ナノファイバーの製造方法。
  2. 前記水溶性ポリマー水溶液がポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクリルアミドのうち少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項1に記載の低溶解性ナノファイバーの製造方法。
  3. 前記架橋工程においては、50℃〜180℃の範囲内の温度で熱処理を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の低溶解性ナノファイバーの製造方法。
  4. 前記架橋工程においては、50℃〜180℃の範囲内の温度に設定した加熱用ロールを用いて、前記ナノファイバーを押圧及び搬送しながら前記熱処理を実施することを特徴とする請求項3に記載の低溶解性ナノファイバーの製造方法。
  5. 前記ポリウレタン分散液における不揮発分の重量は、前記水溶性ポリマー水溶液における水溶性ポリマー成分の重量の1倍〜5倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低溶解性ナノファイバーの製造方法。
  6. 前記架橋剤は、水溶性カルボジイミド架橋剤であり、
    前記紡糸溶液における前記架橋剤の重量は、前記ポリウレタン分散液が含有する不揮発分の重量の1%〜30%の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の低溶解性ナノファイバーの製造方法。
  7. 前記ポリウレタン分散液におけるポリウレタンは、ポリカーボネート系ポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の低溶解性ナノファイバーの製造方法。
  8. 前記ポリウレタン分散液における分散質の平均粒子径は、1μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の低溶解性ナノファイバーの製造方法。
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