JP6952340B2 - 表面処理剤 - Google Patents

表面処理剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6952340B2
JP6952340B2 JP2018010232A JP2018010232A JP6952340B2 JP 6952340 B2 JP6952340 B2 JP 6952340B2 JP 2018010232 A JP2018010232 A JP 2018010232A JP 2018010232 A JP2018010232 A JP 2018010232A JP 6952340 B2 JP6952340 B2 JP 6952340B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surface treatment
treatment agent
peg
resin material
chol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018010232A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018123315A (ja
Inventor
章一郎 朝山
章一郎 朝山
浩良 川上
浩良 川上
果南 長島
果南 長島
祐哉 曽根
祐哉 曽根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Metropolitan Public University Corp
Original Assignee
Tokyo Metropolitan Public University Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Metropolitan Public University Corp filed Critical Tokyo Metropolitan Public University Corp
Publication of JP2018123315A publication Critical patent/JP2018123315A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6952340B2 publication Critical patent/JP6952340B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Steroid Compounds (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

本発明は、有機系の樹脂材料に対する表面処理剤および当該表面処理剤を用いる有機系の樹脂材料の表面修飾方法に関する。
バイオマテリアルが生体で安全に機能するために重要となるのが生体適合性である。生体適合性は、(1)材料側の反応性と(2)生体側の反応性という2つに大きく分けられ、これらはそれぞれ以下の様に細分化して考えることができる。
(1)材料側の反応性
・物理的性質の変化:大きさ、形、強度、弾性、透明度など
・化学的性質の変化:親/疎水性、酸/塩基性、吸着性、透過性、溶出性など
(2)生体側の反応性
・組織適合性(多量の血液に触れない場合):細胞接着性、細胞増殖性、細胞活性化など
・血液適合性(多量の血液に触れる場合):抗血小板血栓性、抗凝固性、抗溶血性など
特に、血液適合性の向上を目指したバイオマテリアルの研究例は、そのニーズが高いことから多く存在する。血液適合性バイオマテリアルには、血小板を活性化して血栓を形成することなく、血液凝固因子などの血液中の生体分子との相互作用も抑制し、赤血球の溶血などにより血液を構成する細胞を破壊しないなどの特性が求められる。
生体適合性を有するバイオマテリアルの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)(PMEA)、およびポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン)(PMPC)のほか、非特許文献1および2に記載の材料が挙げられる。
生体適合性高分子であるポリエチレングリコールを医療用材料の表面に化学修飾する方法は、医療用材料表面へのタンパク質の吸着を抑制する手法として一般的である。しかし、この方法では、被修飾ポリエチレングリコールは安定的に医療用材料表面に結合するものの、化学反応性基を予め導入しなくてはならない煩雑性や、副生成物残存の問題がある。
特開2005−187456号公報 特開2016−069610号公報
合成の容易性または簡便性、生体適合性の高さ、表面修飾処理の簡便性、安全性、またはコスト等の様々な観点に照らして有利な効果を奏する生体適合性高分子を開発し、それを表面処理剤として利用することについてのニーズは高い。
本願は、有機系の樹脂材料に対する表面処理剤を提供する。
以上に鑑み、本件の発明者は、ポリエチレングリコールを含む界面活性剤様化合物に注目し、研究を開始した。鋭意検討の結果、疎水部としてステロイド基を有し、親水部としてポリエチレングリコールを含む化合物が、タンパク質吸着抑制効果を示すことを見いだした。当該知見に基づいて、本発明は完成された。
すなわち、一態様において、本発明は以下のとおりであってよい。
[1] 有機系の樹脂材料に対する表面処理剤であって、下記式(1):
−(CHCHO)−R−A (1)
[式中、
は、−OCH、−COOH、−OR、−SR、−Rであり、ここでRは炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基である;
は、−R−NHCO−、−CONH−R−、−NHCO−または−CONH−であり、ここでRは炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキレン、アルケニレン、アルキニレンである;
Aは、以下の式:
Figure 0006952340
で表されるステロイド基であり、式中、
、R、およびRは、それぞれ独立して水素または−OHであり、
は−CH−CH(CHまたは−COOHであり;および
nは、11〜2300の整数を表す]
で表される構造を有する化合物を含む、前記表面処理剤。
[2] 有機系の樹脂材料が、ビニル系のポリマー、ポリイミド系のポリマー、ポリスチレン、またはセルロース、である、上記[1]に記載の表面処理剤。
[3] 有機系の樹脂材料が、ポリプロピレンまたはポリスチレンである、上記[1]に記載の表面処理剤。
[4] 化合物が、下記式(2’)
Figure 0006952340
[式中、nは20〜120の整数を表す]
で表される構造を有する、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[5] 化合物が、下記式(2)
Figure 0006952340
[式中、nは20〜120の整数を表す]
で表される構造を有する、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の表面処理剤を用いた樹脂材料の表面処理方法であって、上記樹脂材料の表面に、上記表面処理剤を溶剤に溶解してなる処理剤溶液を作用させて、上記表面処理剤を該表面に吸着させることを特徴とする表面処理方法。
[7] 上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の表面処理剤を、樹脂材料の表面に吸着させることで、樹脂表面へのタンパク質の吸着を抑制する、タンパク質吸着抑制剤。
本願の表面処理剤は、人工臓器などに広く用いられているポリプロピレン等の有機系の樹脂材料に対し、水溶液を添加して静置するという簡便な表面処理によってコーティングすることが可能である。また、タンパク質の吸着を効果的に抑制する。
図1は、Chol−PEGでポリプロピレンの表面修飾を行った場合のタンパク質吸着抑制効果について、表面修飾の際の処理濃度依存性の結果、およびコレステロール基の有無による効果を示すグラフである。 図2は、Chol−PEGでポリプロピレンの表面修飾を行った場合のタンパク質吸着抑制効果について、表面修飾の際の処理時間依存性の結果を示すグラフである。 図3は、表面処理剤の構造によるタンパク質吸着抑制効果への影響を検討した結果を示すグラフである。 図4は、Affinix(登録商標)QN Pro(ULVAC)で計測が可能な各周波数パラメータを説明する概略図である。 図5は、Chol−PEGをポリプロピレン表面への結合性を評価した際の、高濃度の添加実験の結果を示すグラフである。 図6は、Chol−PEGをポリプロピレン表面への結合性を評価した際の、粘弾性値の吸着時の経時変化を観察した結果を示すグラフである。 図7は、Chol−PEGをポリプロピレン表面への結合性を評価した際の、低濃度からの段階的添加実験の結果を示すグラフである。 図8は、Chol−PEGをポリプロピレン表面への結合性を評価した際の、低濃度からの段階的添加実験の結果を示すグラフである。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本明細書で特段に定義されない限り、本発明に関連して用いられる科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。
表面処理剤
一態様において、本願は有機系の樹脂材料に対するタンパク質吸着を抑制するための表面処理剤であって、下記式(1):
−(CHCHO)−R−A
[式中、
は、−OCH、−COOH、−OR、−SR、−Rであり、ここでRは炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基である;
は、−R−NHCO−、−CONH−R−、−NHCO−または−CONH−であり、ここでRは炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキレン、アルケニレン、アルキニレンである;
Aは、以下の式:
Figure 0006952340
で表されるステロイド基であり、式中、
、R、およびRは、それぞれ独立して水素または−OHであり、
は−CH−CH(CHまたは−COOHであり;および
nは、11〜2300の整数を表す]
で表される構造を有する化合物を含む、前記表面処理剤に関する。
有機系の樹脂材料は、炭化水素系の骨格構造を有する樹脂材料であれば特に限定されない。好ましい態様において、有機系の樹脂材料は、医療用材料として用いられる樹脂材料である。また別の好ましい態様において有機系の樹脂材料は、ビニル系のポリマー、ポリイミド系のポリマー、ポリスチレン、またはセルロースである。本願の表面処理剤は、水溶液を樹脂材料上で静置することにより樹脂材料のコーティングが可能である。このため、表面に修飾可能な官能基が存在しない樹脂材料であっても修飾可能であり、本願の表面処理剤を適用する上で好適であることが想定できる。より好ましくは、有機系の樹脂材料は、ポリプロピレンまたはポリスチレンであり、さらに好ましくはポリプロピレンである。
上記表面処理剤において、Rは、好ましくは、−OCH、−COOH、−ORである。さらに好ましくはRは、−OCHである。
上記表面処理剤に含まれる化合物について、Rは、好ましくは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基である。
上記表面処理剤に含まれる化合物について、Rは、好ましくは−R−NHCO−または−NHCO−である。さらに好ましくはRは、−R−NHCO−である。
上記表面処理剤に含まれる化合物について、Aは、好ましくは以下の式:
Figure 0006952340
[式中、Rは−CH−CH(CHである]
で表されるコレステロール基である。ここにおいてR、R、およびRは、それぞれ独立して水素または−OHであり、好ましくは水素である。
上記表面処理剤に含まれる化合物について、−(CHCHO)−は、分子量約500〜約100,000のポリエチレングリコール部分である。好ましくは、ポリエチレングリコール部分の分子量は約1,000〜約10,000、より好ましくは約1,000〜約5,000、または約1,000〜約3,000である。したがって、上記式においてnは、11〜2300、20〜230、20〜120、または20〜70であってもよい。
、R、A、R、R、R、R、R、R、およびnについて上記に列挙した各態様については、それぞれ組み合わせて本願の表面処理剤の一態様とすることができる。
好ましい態様において、表面処理剤は、下記式(2’)
Figure 0006952340
[式中、nは20〜120、好ましくは20〜70、の整数を表す]
で表される構造を有する化合物を含むものであってもよい。
特に好ましい態様において、表面処理剤は、下記式(2)
Figure 0006952340
[式中、nは20〜120、好ましくは20〜70、の整数を表す]
で表される構造を有する化合物を含むものであってもよい。
表面処理剤に含まれる化合物は、例えば国際公開第WO2014/148378号パンフレットに記載の方法など、当業者に公知の手法やそれらを適宜組み合わせることにより合成することができる。
表面修飾方法または表面処理方法
一態様において、本願は上記表面処理剤を用いる有機系の樹脂材料の表面修飾方法または表面処理方法を提供する。有機系の樹脂材料については、上記「表面修飾剤」の項目において記載した通りである。上記表面修飾方法または表面処理方法は、上記樹脂材料の表面に、上記表面処理剤を溶剤に溶解してなる処理剤溶液を作用させて、上記表面処理剤を該表面に吸着させる工程を含む。溶剤は、特に限定されないが、例えば水、各種緩衝液、生理食塩水であり、好ましくは水である。好ましい態様において、上記表面修飾方法または表面処理方法は、本願の表面処理剤の水溶液を有機系の樹脂材料上で静置する工程を含む。
表面修飾方法又は表面処理方法は、本願の表面処理剤溶液を有機系の樹脂材料上で静置した後、当該処理剤溶液を取り除き、樹脂材料をドライヤー等で風乾させる工程を含んでもよい。
表面処理剤溶液の濃度は、0.0001mg/mL以上、0.001mg/mL以上、0.01mg/mL以上、0.1mg/mL以上、0.3mg/mL以上、0.5mg/mL以上、0.7mg/mL以上、好ましくは1mg/mL以上である。1mg/mL以上の濃度としても樹脂材料へのタンパク質吸着抑制効果は向上せず、1mg/mL程度の濃度で充分に効果を発揮する。また、表面処理剤の樹脂材料表面上への吸着の挙動を評価したところ、0.4mg/mLの表面処理剤を適用すれば、樹脂材料表面上への吸着がほぼ飽和に達することが見出された。処理に用いる表面処理剤の量は少ないほど低コストとなることに鑑みれば、水溶液濃度の上限は0.4mg/mLまたは1.0mg/mLであってもよい。
好ましい態様において、本願の表面修飾方法または表面処理方法は、上記樹脂材料の表面に、上記表面処理剤の希薄溶液を、段階的に濃度を向上させて、数回に分けて作用させて、上記表面処理剤を該表面に吸着させる工程を含む。表面処理剤の希薄溶液は、例えば、表面処理剤を溶剤に溶解してなる処理剤溶液であって、表面処理剤の濃度が0.0001mg/mL〜0.4mg/mLのものであってよい。また、この場合、表面処理剤の希薄溶液の濃度はこの範囲で段階的に向上させる。表面処理剤の希薄溶液を作用させる回数は特に限定されないが、例えば、2回、3回、4回、5回であってよい。
表面処理剤の水溶液を有機系の樹脂材料上で静置する時間、すなわち表面修飾の処理時間は、5分以上、好ましくは10分以上、30分以上、45分以上、1時間以上、である。1時間以上処理しても樹脂材料へのタンパク質吸着抑制効果は向上せず、1時間程度の処理時間で充分に効果を発揮する。処理に用いる時間は短いほど、効率よく修飾ずみの材料を提供できることに鑑みれば、処理時間の上限は1時間であってもよい。
以下に本発明の具体例を示す。これらの具体例は、本発明を理解するための説明を提供することを目的とするものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1:表面修飾の際の処理濃度依存性
以下の構造式で表されるChol−PEG:
Figure 0006952340
[式中、−(CHCHO)−は分子量約2,000のポリエチレングリコール(PEG)である。すなわち、nは約45である。]
を用い、ポリプロピレンの表面修飾を行った場合のタンパク質吸着抑制効果について、表面修飾の際の処理濃度依存性を検討した。また、コレステロール基の有無による効果を検討すべく、以下の構造式で表されるNH−PEG:
Figure 0006952340
を比較のために用いた。
方法
Chol−PEG 1mg/ml、2mg/ml、5mg/ml、NH−PEG 1mg/mlを、ポリプロピレン製のプレートのウェルにそれぞれ50μL添加し、24時間静置した(n=3)。24時間後、溶液を取り除き、ドライヤーでウェルを完全に乾燥させた。蒸留水でウェルを2回洗浄した。Chol−PEGまたはNH−PEGで表面修飾せずに抗原を添加したウェルをポジティブコントロール(「+」)とし、Chol−PEGまたはNH−PEGで表面修飾せず、抗原を添加もしないウェルをネガティブコントロール(「−」)とした。「+」、「NH−PEG」、「Chol−PEG 1mg/ml」、「Chol−PEG 2mg/ml」および「Chol−PEG 5mg/ml」のウェルに抗原(ニワトリγ−グロブリン、1μg/mL)を50μL/ウェル、「−」のウェルに1×PBS(−)を50μL/ウェルで添加し、5分間静置した。各ウェルを洗浄液(0.05% Tween 20、PBS(−))で2回洗浄した。全てのウェルに1×1次抗体(ウサギ抗ニワトリポリクローナル抗体、バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、1μg/mL)を50μL/ウェルで添加し、5分間静置した後、各ウェルを洗浄液で2回洗浄した。続いて1×2次抗体(ヤギ抗ウサギ抗体西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体、バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、#166-2400JEDU(ELISA イムノ Explorer キット)附属品)を50μL/ウェルで添加し、5分静置した後、各ウェルを洗浄液で2回洗浄した。HRP酵素基質である3,3’、5、5’−テトラメチルベンジジン(TMB)(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、#1662402)を50μL/ウェルずつ加えて10分間静置した。2M硫酸を50μL/ウェルずつ加えて反応を止めた。450nmの吸光度を測定した。
結果
結果を図1に示す。Chol−PEGを添加したウェルはネガティブコントロールと同等の低い吸光度を示し、抗原の吸着を抑制したことが示された。また、1mg/mL以上の濃度範囲では濃度依存性は観察されず、1mg/mLのChol−PEGによる処理で十分なタンパク質吸着抑制効果が得られることが明らかとなった。
実施例2:表面修飾の際の処理時間依存性
Chol−PEG 1mg/mlを、ポリプロピレン製のプレートのウェルにそれぞれ50μL添加し、1、3、6、18または24時間静置した。その後は実施例1と同様に処理し、Chol−PEGによる表面修飾の際の処理時間の長さによる影響を検討した。
結果を図2に示す。処理時間1、3、6、18または24時間のウェルはいずれも、ネガティブコントロールと同等の低い吸光度を示し、抗原の吸着を抑制したことが示された。すなわち、Chol−PEGによるポリプロピレン表面の修飾について、1時間以上の時間では処理時間依存性は観察されず、少なくとも1時間の処理で十分なタンパク質吸着抑制効果が得られることが明らかとなった。
実施例3:疎水基構造依存性
表面処理剤の構造によるタンパク質吸着抑制効果への影響を検証するために、実施例1において記載したChol−PEG、NH−PEGの他、以下の構造式の化合物:
Figure 0006952340
[式中、−(CHCHO)−は分子量約2,000のポリエチレングリコール(PEG)である。すなわち、nは約45である。]
Figure 0006952340
[式中、PEGは、−(OCHCH−OCHを表す。ここで、−(OCHCH−は分子量約2,000のポリエチレングリコール(PEG)である。すなわち、nは約45である。]
Figure 0006952340
[式中、PEGは、−(OCHCH−OCHを表す。ここで、−(OCHCH−は分子量約2,000のポリエチレングリコール(PEG)である。すなわち、nは約45である。]
および、
Figure 0006952340
[式中、PEGは、−(OCHCH−OCHを表す。ここで、−(OCHCH−は分子量約2,000のポリエチレングリコール(PEG)である。すなわち、nは約45である。]
を用い、ポリプロピレン表面修飾によるタンパク質吸着抑制効果を検討した。
方法
Chol−PEG、NH−PEG、St−PEG、DEAE−PEG、APe−DEAE−PEG、およびGu−PEGの各1mg/mlのサンプル溶液を、ポリプロピレン製のプレートのウェルにそれぞれ50μL添加し、室温で24時間静置した。蒸留水でウェルを2回洗浄した。実施例1と同様に、ポジティブコントロール(「+」)およびネガティブコントロール(「−」)を設けた。「+」、「NH−PEG」、「Chol−PEG」、「DEAE−PEG」、「APe−DEAE−PEG」、および「Gu−PEG」のウェルには抗原ニワトリγ-グロブリン、1μg/mL)を50μL/ウェル、「−」のウェルにPBS(−)を50μL/ウェルで添加し、5分間静置した。各ウェルを洗浄液(0.05% Tween 20、PBS(−))で3回洗浄した。1×1次抗体(ウサギ抗ニワトリポリクローナル抗体、バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、1 μg/mL)を50μL/ウェルで添加し、5分間静置した後、各ウェルを洗浄液で3回洗浄した。続いて1×2次抗体(ヤギ抗ウサギ抗体西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体、バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、#166-2400JEDU(ELISA イムノ Explorer キット)附属品)を50μL/ウェルで添加し、5分静置した後、各ウェルを洗浄液で3回洗浄した。HRP酵素基質であるTMB(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、#1662402)50μL/ウェルずつ添加し、20分間または30分間静置した。2M硫酸を50μL/ウェルずつ加えて反応を止めた。450nmの吸光度を測定した。
結果
結果を図3に示す。Chol−PEGを添加したウェルが最も吸光度が低く、ネガティブコントロールと同等の吸光度を示した。このことは、ウェルにChol−PEGがコーティングされたことで、抗原の吸着を抑制したことが示している。
また、Gu−PEGはNH−PEGと同等の吸光度を示したことから、ウェル表面との相互作用に静電相互作用ではなく疎水性相互作用が起因していることが示唆された。さらに、末端に疎水性の高いステアリル基を有するSt−PEGが高い吸光度を示したことから、タンパク質の吸着抑制について、Chol−PEGのように疎水性基としてコレステロール基を用いることで高い効果が期待できることが示唆された。
実施例4:Chol−PEGの結合性評価
ポリプロピレンに対するChol−PEGの結合性を、水晶振動子(QCM:Quartz Crystal Microbalance)ベースの分子間相互作用解析装置であるAffinix(登録商標)QN Pro(ULVAC)により評価した。
Affinix(登録商標)QN Pro(ULVAC)では、図4に示す各周波数パラメータの計測が可能である。本実施例において測定した各周波数の変化の意味は、以下の数式に示すとおりである。
Fs=−質量−粘性+粘弾性G”
F2=−質量+粘弾性G’+G”
Fw=−粘性−粘弾性G’
QCMは、質量、粘性、粘弾性の影響を受けるが、各々の周波数はその寄与が異なっている。Fwは損失分を表し、溶液の粘性が上がったとき、あるいは、吸着物が柔らかく変化したときに減少する。本実施例においては、吸着したものが硬ければFwは変化せず、柔らかければ吸着量に合わせてマイナスに変化する。
測定は、次のように行った。QCMの金電極上にポリプロピレン(PP)を成膜したPPセンサーを準備した。センサー上に蒸留水を500μl添加した後、Chol−PEGを含む試料を所定の濃度となるように添加した。次いで、PPに吸着したChol−PEGが脱着しないことを確認する場合は、センサー上の溶液を蒸留水に置換した。
(4−1)高濃度の添加実験
高濃度の添加実験として、Chol−PEGを含む試料を終濃度が0.4mg/mLとなるようにPPセンサー上に添加した。その後、蒸留水500μlに置換した。結果を図5に示す。
Chol−PEGを含む試料を終濃度が0.4mg/mLとなるようにPPセンサー上に添加した場合、非常に速い吸着速度が確認できた。また、蒸留水に置換しても、吸着したものの解離はそれほどみられなかった。
また、この結果に基づき、粘弾性値の吸着時の経時変化を評価した。結果を図6に示す。Chol−PEGを含む試料の吸着時の経時変化を観察すると、剛性率(μ)、粘性率(η)ともに上昇し、吸着初期よりも固くなっている様子が観察された。また、蒸留水に置換した際には、いったん構造がゆるみ、柔らかくなったが、再度固くなる挙動が見られた。これは吸着物の構造の再構成によるものである可能性がある。一方、膜厚(h)はそれほど変化していないため、吸着物の解離はほとんど起こっていない様子が観察された。
さらに、これらの結果で得られたデータを、Sauerbreyの式:
Figure 0006952340
[式中、Δfは周波数変化量、fは基本周波数、Aは金電極面積、ρは水晶の密度、μは水晶のせん断応力、Δmは質量変化量]
に当てはめ、PPセンサー1cmあたりに吸着したChol−PEGの量を計算した。その結果、0.23273μg/cmのChol−PEGが吸着したことが明らかとなった。また、この値を、PPセンサー1nmあたりに吸着したChol−PEGの分子数に換算したところ、0.5806分子/nmであった。
(4−2)低濃度からの段階的添加実験
低濃度からの添加実験として、希薄濃度のChol−PEGを含む試料を、段階的に濃度を向上させてPPセンサー上に添加した。
1回目の実験では、Chol−PEGを含む試料を、終濃度が順に、0.01mg/mL、0.04mg/mL、0.4mg/mLとなるように添加した。2回目の実験では、Chol−PEGを含む試料を、終濃度が順に、0.0001mg/mL、0.001mg/mL、0.01mg/mL、0.1mg/mLとなるように添加した。順に、1回目および2回目の実験結果を、それぞれ図7および図8に示す。
1回目の実験結果により、0.01mg/mLのChol−PEGは、当該試料の添加によりChol−PEGのPPへの吸着量がほぼ飽和する濃度であったことが読み取れた。また、2回目の実験結果により、Chol−PEGは、0.0001mg/mLという低濃度からもPPに吸着しはじめており、0.01mg/mLを適用した段階ではほぼ飽和に達していることが読み取れた。
上記2回目の実験結果から、Kd値(PP表面とChol−PEGの結合における解離定数を求めたところ、Kd=4.35×10−7Mであった。
また、上記1回目の実験結果について、(4−1)の手法と同様にしてPPセンサー1cmあたりに吸着したChol−PEGの量を計算したところ、0.5μg/cmのChol−PEGが吸着したことが明らかとなった。また、この値を、PPセンサー1nmあたりに吸着したChol−PEGの分子数に換算したところ、1.25分子/nmであった。この結果は、低濃度からの段階的添加により、樹脂材料1nmああたり1本程度のChol−PEGが吸着したことを意味する。
ポリマーブラシの作製方法の一つとして、高分子鎖を固体表面に物理的・科学的に吸着・反応させてポリマーブラシを作成する方法は、grafting-to法として知られている。しかし、grafting-to法は固体表面への高分子鎖の結合が進むにつれてすでにグラフトされた鎖の立体障害により、新たに表面に結合しようとする高分子鎖の接近が妨げられるために、一般的には高密度のポリマーブラシブラシを得ることができないとされている(横山秀昭著、高分子、66巻、8月号、421頁、2017年)。しかし、本発明の表面処理剤は、grafting-to法によっても高密度のポリマーブラシを得ることが可能である。
本願の表面処理剤は、簡便な表面処理によって有機系の樹脂材料のコーティングが可能である。また、タンパク質の吸着抑制効果が高いものであることから、医療用材料のコーティングへの適用が可能である、医療用材料の表面修飾において優れた血液適合性を発揮する。

Claims (7)

  1. 有機系の樹脂材料に対する表面処理剤であって、下記式(1):
    −(CHCHO)−R−A (1)
    [式中、
    は、−OCH、−COOH、−OR、−SR、−Rであり、ここでRは炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基である;
    は、−R−NHCO−、−CONH−R−、−NHCO−または−CONH−であり、ここでRは炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキレン、アルケニレン、アルキニレンである;
    Aは、以下の式:
    Figure 0006952340
    で表されるステロイド基であり、式中、
    、R、およびRは、それぞれ独立して水素または−OHであり、
    は−CH−CH(CHまたは−COOHであり;および
    nは、11〜2300の整数を表す]
    で表される構造を有する化合物を含む、前記表面処理剤。
  2. 有機系の樹脂材料が、ビニル系のポリマー、ポリイミド系のポリマー、ポリスチレン、またはセルロース、である、請求項1に記載の表面処理剤。
  3. 有機系の樹脂材料が、ポリプロピレンまたはポリスチレンである、請求項1に記載の表面処理剤。
  4. 化合物が、下記式(2’)
    Figure 0006952340
    [式中、nは20〜120の整数を表す]
    で表される構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  5. 化合物が、下記式(2)
    Figure 0006952340
    [式中、nは20〜120の整数を表す]
    で表される構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理剤を用いた樹脂材料の表面処理方法であって、上記樹脂材料の表面に、上記表面処理剤を溶剤に溶解してなる処理剤溶液を作用させて、上記表面処理剤を該表面に吸着させることを特徴とする表面処理方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理剤を、樹脂材料の表面に吸着させることで、樹脂表面へのタンパク質の吸着を抑制する、タンパク質吸着抑制剤。
JP2018010232A 2017-01-30 2018-01-25 表面処理剤 Active JP6952340B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017013942 2017-01-30
JP2017013942 2017-01-30

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018123315A JP2018123315A (ja) 2018-08-09
JP6952340B2 true JP6952340B2 (ja) 2021-10-20

Family

ID=63108817

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018010232A Active JP6952340B2 (ja) 2017-01-30 2018-01-25 表面処理剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6952340B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5560719B2 (ja) * 2010-01-08 2014-07-30 東レ株式会社 親水性生理活性物質含有微粒子の製造方法
EP2900740B1 (en) * 2012-09-28 2017-08-23 Sophion Bioscience A/S A method for applying a coating to a polymeric substrate
WO2014148378A1 (ja) * 2013-03-19 2014-09-25 公立大学法人首都大学東京 界面活性剤様化合物
CA2970010A1 (en) * 2014-12-09 2016-06-16 Karen Havenstrite Medical device coating with a biocompatible layer
JP5874859B1 (ja) * 2014-12-12 2016-03-02 東洋インキScホールディングス株式会社 体液接触用医療用具および生体適合性重合体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018123315A (ja) 2018-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hasan et al. Conformational and organizational insights into serum proteins during competitive adsorption on self-assembled monolayers
JP5030383B2 (ja) 生物活性化合物を含む表面コーティング
US8048437B2 (en) Medical device with surface coating comprising bioactive compound
Wertz et al. Effect of surface hydrophobicity on adsorption and relaxation kinetics of albumin and fibrinogen: single-species and competitive behavior
JP4961133B2 (ja) 医療用材料
Liu et al. Grafting of zwitterion from cellulose membranes via ATRP for improving blood compatibility
Mollahosseini et al. Latest advances in zwitterionic structures modified dialysis membranes
JP5775454B2 (ja) 固定化生物学的実体
Luo et al. Dopamine-assisted deposition of poly (ethylene imine) for efficient heparinization
JP5960612B2 (ja) 固定された生物学的実体
Li et al. Covalent heparin modification of a polysulfone flat sheet membrane for selective removal of low‐density lipoproteins: A simple and versatile method
Bonomini et al. Proteomics characterization of protein adsorption onto hemodialysis membranes
Hu et al. pH dependence of adsorbed fibrinogen conformation and its effect on platelet adhesion
Vorobii et al. Antifouling microparticles to scavenge lipopolysaccharide from human blood plasma
Dong et al. Carboxybetaine methacrylate oligomer modified nylon for circulating tumor cells capture
JP6952340B2 (ja) 表面処理剤
EP3539581A1 (en) Polymer and device for capturing or separating leucocytes, manufacturing method and use thereof
JP2000279512A (ja) 医療用材料および製造方法
TW201141887A (en) Substrate for ligand immobilization and method for producing same
CN106119820B (zh) 一种利用可控接枝技术提高材料表面血液相容性的方法
JP5467986B2 (ja) ボツリヌス毒素除去用高分子基材、及び医療器具
Davantes et al. Adsorption Behavior of Arabinogalactan-Proteins (AGPs) from Acacia Senegal Gum at a Solid–Liquid Interface
Bajpai Blood protein adsorption onto a polymeric biomaterial of polyethylene glycol and poly [(2‐hydroxyethyl methacrylate)‐co‐acrylonitrile] and evaluation of in vitro blood compatibility
JP3509829B2 (ja) 抗凝血材料
WO2011071447A1 (en) Molecular imprints

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201102

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210913

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210917

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6952340

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150