(第1の実施形態)
図1は、実施形態の表示装置1の構成例を示す図である。表示装置1は、表示部11と、遮光部12aとを備える。表示部11は、観察者9からみて、遮光部12aの後方に、所定の距離を有して遮光部12aに平行に配置される。直交座標であるXYZ座標が図1に示すように定義されている。XZ面は床に平行な面であり、Y軸は床に垂直な方向である。X軸は、表示部11のおもて面に平行な方向である。Z軸は、X軸とY軸とに垂直であり、観察者9が表示部11のおもて面を見る向きを正の向きとする。以下、XYZ座標を用いた説明においてX軸、Y軸,Z軸の方向は上記記載の方向とする。
表示装置1は、運動視差を再現する。
表示部11は、複数の画像を同時に表示させる表示板である。表示部11は、例えば、
フラットパネルディスプレイなどの表示板である。表示部11は、例えば、RGBの3原
色の光によって画像を表示する。表示部11は、表示部11のおもて面(すなわち、遮光
部12aに近い側の面)に例えば、RGBの3原色の光によって画像を表示する。
表示部11としては、液晶パネルの背面に光源(バックライト)を配置したものや、この光源と液晶パネルを一体形成したディスプレイ、あるいは、これと同等の機能を有機ELディスプレイで実現する方法などがある。例えば液晶パネルの背面に光源を配置する場合には、観察者9からみて光源が液晶パネルよりも遠くであるように、光源と液晶パネルとを備える。
遮光部12aは、開口部を有する遮光板(以下「光学バリア」という。)である。遮光部12aは、表示部11の前面に配置され、表示部11が発する光の一部を遮る。なお、開口は光を透過すればどのようなものであってもよく、例えば、無色透明なガラス板であってもよいし、空隙であってもよい。
図2は、第1の実施形態における表示部11の正面図である。表示部11は、単位画素111を備える。表示部11は、XY平面内で二次元的に配列された単位画素111を備える。
単位画素111は、一般的に画素といわれ、例えば液晶などにより透過率を制御する光変調素子や有機ELなどの発光体等を備えることにより、微小な領域から発せられる光の量を制御する単位構造である。単位画素111は、例えば、正方形の形状である。単位画素111は、例えば3つの副画素を備える。単位画素111は、3つの副画素として、赤サブ単位画素1111rと、緑サブ単位画素1111gと、青サブ単位画素1111bとを備える。赤サブ単位画素1111rは、RGBの3原色のうち赤色の光を発する副画素である。緑サブ単位画素1111gは、RGBの3原色のうち緑色の光を発する副画素である。青サブ単位画素1111bは、RGBの3原色のうち青色の光を発する副画素である。RGBの3原色とは、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue)である。以下、赤サブ単位画素1111rと、緑サブ単位画素1111gと、青サブ単位画素1111bとを互いに区別しない場合、サブ単位画素1111という。さらに、以下、複数の画素をY軸方向に一次元的に配置した画素の集合を「画素列」という。
サブ単位画素1111は、長手方向がX軸に平行であるように、表示部11に配置される。サブ単位画素1111は、短手方向がY軸に平行である。単位画素111において、サブ単位画素1111はY軸方向に3つ重ねて配置されている。図中、サブ単位画素1111を表す図形中に記載されたRは、文字Rを含む図形が表すサブ単位画素1111が、光強度Rの赤色の光を発する赤サブ単位画素1111rであることを表す。同様に、サブ単位画素1111を表す図形中に記載されたGは、文字Gを含む図形が表すサブ単位画素1111が、光強度Gの緑色の光を発する緑サブ単位画素1111gであることを表し、サブ単位画素1111を表す図形中に記載されたBは、文字Bを含む図形が表すサブ単位画素1111が、光強度Bの青色の光を発する青サブ単位画素1111bであることを表す。単位画素111は、Y軸負方向にむかって順番に、赤サブ単位画素1111rと、緑サブ単位画素1111gと、青サブ単位画素1111bとを有する。なお、「光を発する」とは、画素そのものでおきた励起子結合などの発光過程による発光だけを表した表現ではなく、液晶ディスプレイのように、透過光も表す表現である。たとえ、画像を表現する光が透過光であっても、観察者9は、観測している光が発光なのか、透過光なのか、反射光なのか、散乱光なのかの区別はつかない。そのため、統一した表現として「光を発する」と表現している。また、以下「発せられる光」等、発せられた光を表す表現は全て、透過光も、反射光も、散乱光も含んで、画素又は表示板を起点として空間を伝搬する光を表す。
図2のX軸とZ軸で張られる面は、表示装置1又は観察者9が設置されている床に平行である。そのため、サブ単位画素1111は、長手方向が床に平行である。サブ単位画素1111が発するRGBの3原色の光は、例えば、それぞれ256段階の光強度を有する。サブ単位画素1111の長手方向の長さ(X軸方向の長さ)は、表示装置1の想定される使用目的に応じて決定される所定の長さXL1である。長さXL1は、観察者9と表示装置1との距離が、表示装置1の想定された使い方における観察者9と表示装置1との適切な距離を保っている場合において、観察者9による単位画素111の個体識別が困難である程度には十分短い長さである。あるいは、観察者9による遮光部12aは、開口部の個体識別が困難な程度に短い長さに設計しても良い。
図3は、第1の実施形態における遮光部12aの正面図である。遮光部12aは、非開口部121aと開口部122aとを備える。非開口部121aと開口部122aとは、遮光部12aにおいて、X軸方向に交互に配置される。
非開口部121aは、遮光板の一部であり所定の光を遮蔽する。非開口部121aは、非開口部121aの後面に位置する単位画素111が発するRGBの光を遮光する。非開口部121aは、前述の床に垂直な方向(すなわちY軸方向)には、開口を備えず連続である。
開口部122aは、遮蔽板に開けられた開口であり、例えば所定の光を透過させるスリットである。開口部122aは、遮光部12aの後面に位置する単位画素111が発するRGBの光を透過させる。開口部122aは、前述の床に垂直な方向(すなわちY軸方向)には、遮光する構造を備えず連続である。
非開口部121aと開口部122aとのX軸方向の長さはXL2である。XL2の長さは、サブ単位画素1111のX軸方向の長さXL1と略同一(略同等)の長さであるもののとする。
図4は、表示装置1における表示画像のブレンドを説明する説明図である。図4(A)は、表示部11が備える単位画素111−1と単位画素111−2とを表す。単位画素111−1は、光強度R0の赤サブ単位画素1111r、光強度G0の緑サブ単位画素1111gと、光強度B0の青サブ単位画素1111bとを有する。単位画素111−2は、光強度Rrの赤サブ単位画素1111r、光強度Grの緑サブ単位画素1111gと、光強度Brの青サブ単位画素1111bとを有する。
図4(B)は、視点位置に依存して、表示部11の発する光の観察者9への届き方が変わることを説明する図である。視点位置とは、観察者9の立ち位置であり、立ち位置の座標は観察者9の片目の位置で表されるものとする。尚、片目の場合には、片目の虹彩の中心を立ち位置とする。立ち位置は、XZ平面(床に平行な面)内で変化するだけでなく、観察者9が台座に上ったり、目を上下に動かすなどすることで、床に垂直な方向に対しても変化する。図4(B)においては、XZ平面で立ち位置が変わる場合を想定している。
図4(B)において、光線A1と光線A2とは、それぞれ表示部11から発せられる光の光線のうち、それぞれ図4(B)における開口部122a−1の右端と左端とを通過し、視点位置P−1に達する光線を表す。視点位置P−1にいる観察者9は、表示部11から発せられた光のうち、光線A1と光線A2によって囲まれる領域に存在する光を観測する。視点位置P−1と、前述の開口部122a−1の左右の端とを結ぶ直線が表示部11のおもて面と交わる点をそれぞれ、点P0と点P2とする。点P0と点P2とのX座標の値は、それぞれ、単位画素111−1の左端のX座標の値と、単位画素111−1の右端のX座標の値とである。点P0と点P2を結ぶ線分上に存在する単位画素111−1から発せられた光のみが、視点位置P−1である観察者9によって観測される。開口部122a―1は、遮光部12aが有する複数の開口部122aのうち、図4(B)において、点P2に最も近い開口部122aである。なお、ここでの説明は観察者9が観測可能なY軸方向の範囲を、例えば、単位画素111−1のY軸方向下端から上端までと仮定し、点P0と点P2を結ぶ線分は単位画素111−1上を通る線分であるとしている。
図4(B)において、光線B1と光線B2とは、それぞれ表示部11から発せられる光の光線のうち、それぞれ図4(B)における開口部122a−1の右端と左端とを通過し、視点位置P−2に達する光線を表す。視点位置P−2にいる観察者9は、表示部11から発せられた光のうち、光線B1と光線B2によって囲まれる領域に存在する光を観測する。視点位置P−2と、前述の開口部122a−1の左右の端とを結ぶ直線が表示部11のおもて面と交わる点をそれぞれ、点P1と点P3とする。点P1と点P3とのX座標の値は、それぞれ、単位画素111−1の中心点のX座標の値と、単位画素111−2の中心点のX座標の値とである。点P1と点P3を結ぶ線分上に存在する単位画素111−2から発せられた光のみが、視点位置P−2である観察者9によって観測される。
図4(B)において、光線C1と光線C2とは、それぞれ表示部11から発せられる光の光線のうち、それぞれ図4(B)における開口部122a−1の右端と左端とを通過し、視点位置P−3に達する光線を表す。視点位置P−3にいる観察者9は、表示部11から発せられた光のうち、光線C1と光線C2によって囲まれる領域に存在する光を観測する。視点位置P−3と、前述の開口部122a−1の右端とを結ぶ直線が表示部11のおもて面と交わる点を、点P4とする。視点位置P−3と、前述の開口部122a−1の左端とを結ぶ直線が表示部11のおもて面と交わる点は、点P2である。点P2と点P4とのX座標の値は、それぞれ、単位画素111−2の左端のX座標の値と、単位画素111−2の右端のX座標の値とである。点P2と点P4を結ぶ線分上に存在する単位画素111−2から発せられた光のみが、視点位置P−3である観察者9によって観測される。
図4(C)は、図4(B)に示される点P0と、点P1と、点P2と、点P3と、点P4とが表すX座標の、表示部11への対応を表す図である。図4(B)において、Y軸方向の情報はないが、図4の説明においては、観察者9が観測可能なY軸方向の範囲を、例えば、単位画素111−1のY軸方向下端から上端までとする。この場合、視点位置P−1の観察者9が観測する光を発する単位画素111は、図4(C)の単位画素111−1である。視点位置P−2の観察者9が観測する光を発する図4(C)における単位画素111は、単位画素111−1の半分と単位画素111−2の半分とである。視点位置P−3の観察者9が観測する光を発する単位画素111は、図4(C)の単位画素111−2である。すなわち、視点位置の違いによって、観察者9の観測する画像は変わる。
図4(D)は、図4(B)において、視点位置P−1から視点位置P−3まで移動した場合における、画像の混合の様子を表す。視点位置がP−1の時には、図4(C)に示される単位画素111−1が発する光を観察者9は観測する。そのため光強度R0の赤色の光と、光強度G0の緑色の光と、光強度B0の青色の光とを観測する。視点位置P−1とP−3の間では、視点位置がP−3に近づくにつれて、観察者9が観測する光の混合の具合が変化する。具体的には、視点位置がP−3に近づくにつれて、単位画素111−1が発する光と単位画素111−2が発する光が同時に観測されるようになる、すなわち、光強度R0の赤色の光と、光強度G0の緑色の光と、光強度B0の青色の光と、光強度Rrの赤色の光と、光強度Grの緑色の光と、光強度Brの青色の光とが混合(ブレンディング)された光を観察者9が観測することになる。視点位置がP−1からP−3に近づくほど、観察者9に観測される光強度R0の赤色の光と、光強度G0の緑色の光と、光強度B0の青色の光の強度は弱くなり、光強度Rrの赤色の光と、光強度Grの緑色の光と、光強度Brの青色の光の強度が強くなっていく。視点位置がP−3にくると光強度Rrの赤色の光と、光強度Grの緑色の光と、光強度Brの青色の光とが強く観測される。この変化は、図4(D)に示されるように、連続的かつ線形的におこる。このように、視点位置の視点位置の変化にあわせ混合比が線形的に変化することをリニアブレンディングという。また、この光の混合比を、以下、ブレンド比という。
このように構成された第1の実施形態の表示装置1では、X軸方向に規則的に一部の画素から発せられる光を遮蔽する遮蔽板を有するために、水平面内での視点位置の移動にともなう画像のリニアブレンディングを実現でき、連続的な運動視差の実現を可能とする。
なお、単位画素111の水平方向(x軸方向)の長さは、単位画素111の垂直方向(y軸方向)の長さよりも短くてよい。すなわち、表示装置1は、水平方向の画素密度を垂直方向の画素密度よりも高くしてもよい。これにより、表示装置1は、バリアにより画素が間引かれて見えることにより生じた水平方向の解像度の低下を抑えることができる。
(変形例)
表示部11は、単位画素111を90°回転した単位画素を備えてもよい。このように構成された表示装置1は、Y軸方向に規則的に一部の画素から発せられる光を遮蔽する遮蔽板を有するために、視点位置の移動にともなう画像のリニアブレンディングを実現でき、視点位置のY軸方向への変化に対するリニアブレンディングを実現する。
第1の実施形態における表示装置は、遮光部12aに代えて、図5に示される遮光部12bを備えてもよい。図5は、第1の実施形態における遮光部12bの正面図である。遮光部12bは、非開口部121bと、開口部122bとを有する。非開口部121bは、開口部122bよりも広い幅(X軸方向の長さ)を有する。開口部122bの幅は、開口部122aのX軸方向の長さと略同一である。なお、一般的に非開口部121bの幅は開口部122bの幅の整数倍である。
図6は、遮光部12bによるブレンディングを説明する説明図である。図6には、遮光部12bを透過する光線の代表として、光線12b−1〜光線12b−4までの4つの光線が矢印によって示されている。光線12b−1と、光線12b−2と、光線12b−3と、光線12b−4とは、それぞれ表示部11が備える画素Aと、画素Bと、画素Cと、画素Dとが発する光である。すなわち、光線12b−1は、画素Aが発する光が100%であるようなブレンド比の光であり、光線12b−2は、画素Bが発する光が100%であるようなブレンド比の光であり、光線12b−3は、画素Cが発する光が100%であるようなブレンド比の光であり、光線12b−4は、画素Dが発する光が100%であるようなブレンド比の光である。光線12b−1と光線12b−2とで囲まれる領域に視点位置が来た場合、画素Aが発する光と画素Bが発する光のリニアブレンディングが実現された光を観察者9は知覚する。光線12b−2と光線12b−3とで囲まれる領域に視点位置が来た場合、画素Bが発する光と画素Cが発する光のリニアブレンディングが実現された光を観察者9は知覚する。光線12b−3と光線12b−4とで囲まれる領域に視点位置が来た場合、画素Cが発する光と画素Dが発する光のリニアブレンディングが実現された光を観察者9は知覚する。遮光部12bによって、観察者9は、4つの画素が発する光の連続的なリニアブレンディングをひとつの開口部を通して知覚する。なお、画素A、画素B、画素C、画素Dは、それぞれ、単位画素111であり、互いに隣接している。
図7は、遮光部12bの開口部の間隔と視域の広さの関係について説明するための遮光部12aの視域の説明図である。図7には、遮光部12aを透過する光線の代表として、光線12a−1と、光線12a−2と、光線12a−3との3つの光線が太線の矢印によって示されている。
光線12a−1と、光線12a−3とは、それぞれ表示部11が備える画素Bと、画素Cとが発する光である。すなわち、光線12a−1は、画素Bが発する光が100%であるようなブレンド比の光であり、光線12a−3は、画素Cが発する光が100%であるようなブレンド比の光である。光線12a−2は、画素Bが発する光と画素Cが発する光のブレンド比が50%:50%の光である。光線12a−1と光線12a−3とで囲まれる領域に視点位置が来た場合、画素Bが発する光と画素Cが発する光のリニアブレンディングが実現された光を観察者9は知覚する。遮光部12aによって、観察者9は、2つの画素が発する光のリニアブレンディングをひとつの開口部122a−2を通して知覚する。なお、画素A及び画素Dが発する光によるリニアブレンディングは、開口部122a−2とは別の開口部122aを通して観察者9によって知覚される。そのため、開口部122a−2の視域の拡大には寄与できない。
遮光部12bは、遮光部12aの視域と比較して拡大された視域を有する。
第1の実施形態における表示装置は、遮光部12aに代えて、図8に示される遮光部12cを備えてもよい。図8は、第1の実施形態における遮光部12cの正面図である。遮光部12cは、非開口部121cと、開口部122cとを有する。非開口部121cと開口部122cとは、遮光部12cと異なり、Y軸方向に不連続な正方形であり、互いに市松模様をなすように配置されている。非開口部121cと開口部122cとの幅の長さは開口部122aのX軸方向の長さと同じ長さである。遮光部12cの場合には、遮光部12a及び遮光部12bの形状と比較して、遮光板とスリットとの空間配置の均一性が高いために、観察者9が遮光板の文様を知覚しにくく、体感的な画質の向上を可能とする。
第1の実施形態における表示装置は、遮光部12aに代えて、図9に示される遮光部12dを備えてもよい。図9は、第1の実施形態における遮光部12dの正面図である。遮光部12dは、非開口部121dと、開口部122dとを有する。非開口部121dと、開口部122dとの幅(X軸方向の長さ)XL3は、開口部122aのX軸方向の幅より短い長さである。具体的には、XL3はXL1よりわずかに短く、XL1と異なる長さであるとよい。例えば、XL3の長さのXL1の長さに対する比は、遮光部12dと観察者9との間の距離の、表示部11と観察者9との間の距離に対する比と同じ値である。
図10は、遮光部12dの最適視距離の説明を行う説明図である。最適視距離とは、光学バリアの有する開口を通って視点位置に到達する全ての光のブレンド比が全て同じであるような視点位置と表示板との距離である。図中太線の矢印は、遮光部12dを透過する光線を表す。図中、表示部11からの距離が最適視距離に存在する視点位置が視点位置P−4として表されている。遮光部12dを透過する光線の代表として、光線12d−1〜光線12d−6までの6つの光線が示されている。非開口部121dと、開口部122dとの幅は単位画素111より狭い。そのため、ブレンド比が一定の光は、その光を形成する画素が視点位置に近づくほど、ディスプレイに平行に近い角度から視点位置に入射する。
一方、光学バリアが遮光部12aである場合には最適視距離は無限遠になる。図11は、遮光部12aの最適視距離を説明した説明図である。各開口部を通るブレンド比が一定の光は、全て互いに平行である。そのため、最適視距離は無限遠となる。したがって、遮光部12aは、観察者9による遠距離からの観測に適した光学バリアである。
遮光部12aと比較して、遮光部12dは、観察者9による近距離からの観測に適する。
なお、単位画素111のサブ単位画素1111の長手方向は、水平方向でなくてもよく、例えば垂直方向でもよい。また、色が互いに異なる複数の副画素を単位画素111が有している場合、垂直方向に隣接する副画素の色は、単位画素111において互いに異なっていてもよい。
以上のように、表示装置1は、画像を表示する表示面を有する表示部11と、光の一部を遮る遮光部12aとを、互いに離して備える。遮光部12aは、光を透過させる複数の開口部122aを有する。開口部122aの形状及び大きさは、表示面に配列された複数の単位画素111のうちの一つ又は複数の単位画素111の形状及び大きさと略同等である。画像の光は、開口部122a及び単位画素111を透過した光である。
これによって、表示装置1は、小型であり、連続的な運動視差を表現することが可能である。表示装置1は、投射光学系の歪みを除去することが可能である。このため、表示装置1は、正確なリニアブレンディングを実現することが可能である。
なお、表示部11が備える単位画素111は、必ずしも長手方向が水平方向に一致するように配置された副画素を備えなくてもよい。例えば、単位画素111は、長手方向が垂直方向に一致する副画素を2つ以上有し、それら副画素の色の変化が垂直方向に一致している単位画素であってもよい。
また、表示部11が備える単位画素111は、必ずしも正方形でなくてもよい。図2及び図4(A)は、表示部11が、現在一般的に流通しているディスプレイを90°回転させて使用したである場合を例として示している。一般に流通しているディスプレイとは、画素(本実施形態における単位画素111)が正方形で、副画素の垂直方向が長手方向となっているディスプレイである。しかし、表示部11は、縦長の形状に構成した画素を有するディスプレイであってもよい。縦長の形状とは、長方形の形状であって、図2及び図4(A)において、Y軸方向を長手方向とする形状である。すなわち、単位画素111は縦長の長方形であり、Y軸方向に異なる色のサブ単位画素1111に分割され、サブ単位画素1111のX軸方向の幅が単位画素111のX軸方向の幅に等しい構成である。画素をこのように構成することで、水平方向の画素密度を向上させることができ、実施形態の表示装置1で生じる水平方向の解像度の減少を補うことができる。
(第2の実施形態)
次に本表示装置における第2の実施形態について説明する。図12は、実施形態の表示装置2の構成例を示す図である。表示装置2は、表示部21と、遮光部22aとを備える。表示部21は、観察者9からみて、遮光部22aの後方に、所定の距離を有して遮光部22aに平行に配置される。直交座標であるXYZ座標が図12に示すように定義されている。XZ面は床に平行な面であり、Y軸は床に垂直な方向である。X軸は、表示部21のおもて面に平行な方向である。Z軸は、X軸とY軸とに垂直であり、観察者9が表示部21のおもて面を見る向きを正の向きとする。以下、XYZ座標を用いた説明においてX軸、Y軸,Z軸の方向は上記記載の方向とする。
表示装置2は、運動視差を再現する。
表示部21は、複数の画像を同時に表示させる表示板である。表示部21は、例えば、フラットパネルディスプレイなどの表示板である。表示部21は、例えば、RGBの3原色の光によって画像を表示する。表示部21は、表示部21のおもて面(すなわち、遮光部22aに近い側の面)に画像を表示する。
遮光部22aは、光学バリアである。遮光部22aは、表示部21の前面に配置され、表示部21が発する光の一部を遮る。
図13は、第2の実施形態における表示部21の正面図である。表示部21は、単位画素211を備える。表示部21は、XY平面内で二次元的に配列された単位画素111を備える。
単位画素211は、一般的に画素といわれ、例えば液晶などにより透過率を制御する光変調素子や有機ELなどの発光体等を備えることにより、微小な領域から発せられる光の量を制御する単位構造である。単位画素211は、例えば、正方形の形状である。単位画素211は、例えば3x3の9つの副画素を備える。単位画素211の9つの副画素は、3つの赤サブ単位画素2111rと、3つの緑サブ単位画素2111gと、3つの青サブ単位画素2111bとを備える。赤サブ単位画素2111rは、RGBの3原色のうち赤色の光を発する正方形の形状の副画素である。緑サブ単位画素2111gは、RGBの3原色のうち緑色の光を発する正方形の形状の副画素である。青サブ単位画素2111bは、RGBの3原色のうち青色の光を発する正方形の形状の副画素である。以下、赤サブ単位画素2111rと、緑サブ単位画素2111gと、青サブ単位画素2111bとを互いに区別しない場合、サブ単位画素2111という。単位画素211の一辺の長さは所定の長さW1である。長さW1は、観察者9と表示装置2との距離が、表示装置2の想定された使い方における観察者9と表示装置2との適切な距離を保っている場合において、観察者9によるサブ単位画素2111の個別認識が困難である程度には十分短い長さである。
図13において、サブ単位画素2111を表す図形中に記載されたRやGやB等の文字の意味は、図2に記載のRやGやB等の文字の意味と同様である。単位画素211は、赤サブ単位画素2111rと、緑サブ単位画素2111gと、青サブ単位画素2111bとを、隣接する副画素が互いに異なる色を発する副画素であるように、横(X軸)方向と縦(Y軸)方向とにそれぞれ2つおきに配置する。ここで隣接とは、X軸方向及びY軸方向に関して隣同士であることを意味しており、Q軸方向に関して隣同士である状態を意味しない。この配置により、単位画素211内のサブ単位画素2111からなるすべての行および列について、各原色のサブ単位画素2111が1個ずつ存在することになる。
図14は、第2の実施形態における遮光部22aの正面図である。遮光部22aは、開口部222aを備える。開口部222aは、例えば、正方形の形状であり、単位画素211と同じ形状である。開口部222aの一辺の長さは所定の長さW2である。W2はW1と略同一の長さである。より好ましくは、W1よりわずかに短く、W1と異なる長さであるとよい。例えば、W2の長さのW1の長さに対する比は、遮光部22aと観察者9との間の距離の、表示部21と観察者9との間の距離に対する比と同じ値である。
開口部222aは、遮蔽板に開けられた開口であり、所定の光を透過させる。開口部222aは、遮光部22aの後面に位置する単位画素211が発するRGBの光を透過させる。
図15は、表示装置2における表示画像のブレンドを説明する説明図である。図15(A)は、説明に使用する表示部21を表す。表示部21は、単位画素211−1と、単位画素211−2と、単位画素211−3と、単位画素211−4とを有する。単位画素211−1は赤色と青色と緑色との光強度がそれぞれ、R0と、B0と、G0とであるサブ単位画素2111を有する。単位画素211−2は赤色と青色と緑色との光強度がそれぞれ、R1と、B1と、G1とであるサブ単位画素2111を有する。単位画素211−3は赤色と青色と緑色との光強度がそれぞれ、R2と、B2と、G2とであるサブ単位画素2111を有する。単位画素211−4は赤色と青色と緑色との光強度がそれぞれ、R3と、B3と、G3とであるサブ単位画素2111を有する。
図15(B)は、表示部21を使用した場合において、図4(B)と同様に視点位置が変化した場合における、ブレンド比の変化を表す。すなわち、図15(B)は、図4(B)において、表示部11の代わりに表示部21を用いた場合における、ブレンド比の変化を表す。X座標が線分P0P2内に存在するサブ単位画素2111が発する光を観測していた視点位置P−1の観察者9は、P−1とP−3の間にある視点位置に移動することによって、X軸座標P1とP3の間の位置を自己のX座標とするサブ単位画素2111が発する光を観測することになる。その視点位置の移動の間の、ブレンド比の変化は連続であり、リニアブレンディングが実現される。
図15(C)は、観察者9の視点位置がY軸方向で変化するにつれて、観察者9が観測する光を発するサブ単位画素2111が、Y軸方向の別の座標に存在するサブ単位画素2111へと変化する場合のブレンド比の変化を表す。例えば、観察者9は、赤色については、視点位置のY軸正方向への移動に伴い、最初は光強度がR0である光のみを観測するが、徐々にR0とR2がブレンドされた光を観測するようになり、最終的には、光強度がR2である光を観測するようになる。
表示装置2においては、Y軸方向にもRGBの色のサブ単位画素2111が存在するため、Y軸方向の視点位置の変化に対してもリニアブレンディングが実現される。
図15(D)は、視点位置の変化がQ軸方向に変化する場合における、ブレンド比の変化を表す。ここでQ軸とは画素の対角線方向を表す。Q軸方向の変化では、赤色の光はリニアブレンディングであるが、緑色については、光強度がG0と、G1と、G2と、G3との4種類の光のブレンディングとなるため、リニアブレンディングは実現されない。また、青色についても、光強度が、B0と、B1と、B2と、B3との4種類の光のブレンディングとなるため、リニアブレンディングは実現されない。しかし、観察者9の観測する光を発するサブ単位画素2111の面積の和が一定であるため、視点位置の変化にともなう観察者9の観測する輝度の揺らぎと色づきは生じない。
このように構成された第2の実施形態の表示装置2では、X軸方向とY軸方向とに規則的に一部の画素を透過する開口部を有するために、床に平行な面内での視点位置の移動と、床に垂直な方向の視点位置の移動とに対して、連続的な運動視差の実現を可能とする。
[複数の指向性画像の表示方法]
次に図16を用いて、本実施形態において、表示部21に複数の指向性画像を表示させる表示方法を説明する。
図16は、表示部21における単位画素211の配置と表示画像の関係の説明図である。図16において、単位画素211を表す図形の中に表示された数字「00」「01」「10」「11」は、指向性画像を識別する番号を表す。同じ番号を有する単位画素211を、表示部21に配置されている並び順のままに隣接させて再配置すると、上記番号で識別されるひとつの指向性画像が形成される。すなわち、ひとつの単位画素211は、上記番号で識別される画像のひとつの画素である。
隣接する単位画素211が表示する画像は、例えば、図16に番号00と、番号10と、番号01と、番号11とで示されるように、それぞれ異なる画像である。
なお、ここでは遮光部が2次元格子の場合に複数の指向性画像を表示部21に表示する方法について説明したが、第1の実施形態のように1次元格子の場合であっても同様に複数の指向性画像を表示することが可能であることは言うまでもない。
[指向性画像のデータ生成方法]
次に図17を用いて、本実施形態の表示装置2が表示する指向性画像データを生成する画像生成システム83を説明する。図17は、指向性画像データを生成する画像生成システム83の構成例を示す図である。画像生成システム83は、被写体81と、第一の撮像器82−1と、第二の撮像器82−2と、第三の撮像器82−3と、第四の撮像器82−4とを備える。
被写体81は、例えば人の顔などの、画像データの元となる撮影対象物である。
撮像器は、カメラなどの撮像装置である。撮像器は、複数の異なる方向から被写体81を撮影し、被写体81の指向性画像データを生成する。撮像器は、複数台用意されて、複数の異なる方向にそれぞれ配置されることで、複数の指向性画像データを生成してもよい。
図17(A)は、画像生成システム83をX軸負の方向からみた図である。第一の撮像器82−1と第二の撮像器82−2との光軸は平行であり、床に平行(すなわち、被写体81の表面に対して垂直)である。図17(B)は画像生成システム83をZ軸の負の方向から見た図である。第一の撮像器82−1と、第二の撮像器82−2と、第三の撮像器82−3と、第四の撮像器82−4とは、それぞれ、その中心が同一のXY面内に存在して、正方形の頂点に位置するように、互いに所定の距離を隔てて配置される。
第三の撮像器82−3と第四の撮像器82−4との光軸も第一の撮像器82−1と、第二の撮像器82−2との光軸と平行である。
第一の撮像器82−1は、例えば、図16に示されている番号11の画像の指向性画像データを生成する。
第二の撮像器82−2は、例えば、図16に示されている番号10の画像の指向性画像データを生成する。
第三の撮像器82−3は、例えば、図16に示されている番号01の画像の指向性画像データを生成する。
第四の撮像器82−4は、例えば、図16に示されている番号00の画像の指向性画像データを生成する。
データは、被写体の画像の中心奥行付近で互いの視差が0になるようにXおよびY方向にシフトすることで、あらかじめ位置合わせを行う。
前述した第一の撮像器82−1と、第二の撮像器82−2と、第三の撮像器82−3と、第四の撮像器82−4との間の所定の距離とは、生成される指向性画像間の視差が角度にして5分以内であるような距離である。
なお、指向性画像間の視差を小さくするために、第一の撮像器82−1と、第二の撮像器82−2と、第三の撮像器82−3と、第四の撮像器82−4から見た被写体81の後方には、無地の布などを配置してもよい。
また、第一の撮像器82−1と、第二の撮像器82−2と、第三の撮像器82−3と、第四の撮像器82−4とのレンズは、被写体以外の遠景をぼかして高周波成分を減らすことにより視差に対する許容範囲を大きくするために、被写界深度の浅いレンズを使用してもよい。
ここで、本発明の各実施例の構成によりリニアブレンディングが実現される原理を図18を用いて説明する。図18は、二つの画像の加重平均と輪郭位置の関係を示す図である。隣接視点間での画像のずれの幅(視差量)が3〜5arcmin程度の小さい値となるように撮影された画像が、本発明の表示装置により表示された場合には、加重比が0〜1となる場合において、輪郭位置は直線的かつ連続的に変化する。そのため、視点位置にあった適切な輪郭位置の画像が生成される。このことは、本実施形態の表示装置2を用いた場合には、隣接視点間での画像のずれの幅(視差量)が3〜5arcmin程度の小さい値となるように撮影された指向性画像が、表示板と光学バリアとによってリニアブレンディングが実現されるように表示されることで、観察者9が、忠実に中間視点の画像を知覚することを意味する。
尚、空間周波数の高周波成分が少ない画像の場合には、ずれの幅が10arcmin程度でも中間視点の画像は知覚される。
また、輪郭位置とは、画像Aの輪郭上の着目している点と画像Bの輪郭上の着目している点に対応する点を結ぶ直線を考えた時、ブレンドされた画像の輪郭のその直線上での知覚位置、である。
図15に示される表示部21を備える場合には、観察者9の視点位置P−1から視点位置P−3までの移動及びY軸に沿った移動については、図15(B)及び図15(C)に示されるようにリニアブレンディングが実現されているため、中間視点の画像が忠実に知覚される。
表示装置2を用いた場合における、視点位置のQ軸方向への移動については、図15(D)に示されるように、赤色については、リニアブレンディングが実現されているため、中間視点の画像が忠実に知覚される。図15において、光強度がR0と、B0と、G0との光が表す画像を以下、画像0aという。図15において、光強度がR1と、B1と、G1との光が表す画像を以下、画像1aという。図15において、光強度がR2と、B2と、G2との光が表す画像を以下、画像2aという。図15において、光強度がR3と、B3と、G3との光が表す画像を以下、画像3aという。視点位置のQ軸方向への移動によって、観察者9は、画像0aから画像3aまでの画像の移り変わりを知覚する。この際、画像1aと画像2aとのブレンディングされた画像は、図17(B)に表される撮像装置の配置における、配置の中心(すなわち、正方形状の配置における正方形の中心)に設置された撮像装置が撮像した指向性画像である。そのため、画像1aと画像2aとのブレンディングされた画像は画像0aから画像3aの移り変わりにおける中間視点の画像である。したがって、視点位置のQ軸方向への移動についてもリニアブレンディングは実現されている。
なお、第一の撮像器82−1と、第二の撮像器82−2と、第三の撮像器82−3と、第四の撮像器82−4との光軸は平行でなくてもよい。例えば、撮影した指向性画像に対して台形補正を行うことを前提として、特定の収束点に向けて内向きであってもよい。
なお、表示部11と、表示部21とは、ひとつの画素にひとつの副画素であって、時分割でRGBの色を変えるフィールドシーケンシャルカラー表示方式の表示板であってもよい。また、表示部11と、表示部21とは、ひとつの画素にひとつの副画素であって、色が積層されている表示装置であってもよい。
また、表示装置1と表示装置2とは、RGBの3原色による画像の表示に限らず、モノクロによる画像の表示や、4原色や、赤と、緑と、青と、白となどを用いるサブピクセル構成でもよい。
なお、表示装置2において、3x3の画素を新たに一つの画素として使用してもよい。この場合、遮光部22の作成が容易となる。また、第1の実施形態と同じく、表示部21が備える単位画素211は、必ずしも正方形でなくてもよい。
なお、遮光部12(遮光部12a、遮光部12b、遮光部12c及び遮光部12d)又は遮光部22aとして、液晶パネル等の透過率を表示面における位置によって変えることができる光学デバイス(以下「透過率可変デバイス」という。)を用いても良い。透過率可変デバイスの透過率は時間で変化する。この場合、表示部11及び表示部21の画像も透過率可変デバイスの透過率の変化に同期して変化することで、透過率可変デバイスの遮光部分を透過する光線を表示する事が可能となり、高解像度化が可能となる。
なお、液晶パネルのようにバックライトのような光源からの光を画素毎に透過率を制御して表示する表示装置を表示部として用いる場合には、バックライトの前面に遮光部を設け、所定の間隔をあけ液晶パネルを設置する構成でもよい。この構成でも同等の光線の制限効果を得ることができ、同等のリニアブレンディング表示を行うことができる。
以上のように、表示装置2は、画像を表示する表示面を有する表示部21と、光の一部を遮る遮光部22aとを、互いに離して備える。遮光部22aは、光を透過させる複数の開口部222aを有する。開口部222aの形状及び大きさは、表示面に配列された複数の単位画素211のうちの一つ又は複数の単位画素211の形状及び大きさと略同等である。画像の光は、開口部222a及び単位画素211を透過した光である。
これによって、表示装置2は、小型であり、連続的な運動視差を表現することが可能である。表示装置2は、投射光学系の歪みを除去することが可能である。このため、表示装置2は、正確なリニアブレンディングを実現することが可能である。
以下、発光部の前面に遮光部を備え、さらに遮光部の前面に表示部を備える構成について、その詳細を第3の実施形態及び第4の実施形態として説明する。
(第3の実施形態)
図19は、第3の実施形態の表示装置3の構成の具体例を示す図である。直交座標であるXYZ座標は図1と同様に定義されている。Z軸は、X軸とY軸とに垂直であり、観察者9が表示部31のおもて面(正面)を見る向きを正の向きとする。図19の表示装置3は、表示部31及び発光部32を備える。表示部31は、観察者9からみて、発光部32の前方に、所定の距離を有して平行に配置される。そして、発光部32は、光源と遮光部を備える構成である。遮光部は、光源の前方(観察者側)に光源と所定の距離を有して配置されてもよいし、光源と遮光部を一体形成したものでも良い。詳しい構成については後述する。
表示部31は、観察者9に対して所定の距離だけ離れた場所にあり、観察者9からみて発光部32の前方に配置される。表示部31は、例えば液晶パネルであり、所定の色表現に応じてその色表現の原色の光の透過率を制御する。表示部31は、その透過させた光の色と量とによって、その光を観測した観察者9に画像を知覚させる。所定の色表現は、例えば、RGB(Red Green Blue)による表現である。なお、表示部31は、画像を表示する機能部の一例である。
以下、簡単のため、所定の色表現がRGBである場合を例に説明を行う。なお、本実施形態における「単位画素」とは、所定の色表現における各原色の光の透過率を制御することで、観察者9が知覚する画像の1画素の色を表現するように光の量を制御するデバイスを意味する。
表示部31は、XY平面内に二次元格子状に配列された複数の単位画素を備える。単位画素は、RGBの各原色の光の透過率を制御することで観察者9が観測する光の色と量とを制御する。単位画素は、本実施形態における赤サブ単位画素、緑サブ単位画素及び青サブ単位画素を備える。本実施形態における赤サブ単位画素は、RGBの原色のうちの赤色の光を透過させる、単位画素の副画素である。本実施形態における緑サブ単位画素は、RGBの原色のうちの緑色の光を透過させる、単位画素の副画素である。本実施形態における青サブ単位画素は、RGBの原色のうちの青色の光を透過させる、単位画素の副画素である。以下、本実施形態における赤サブ単位画素、緑サブ単位画素及び青サブ単位画素を区別しない場合、本実施形態におけるサブ単位画素という。
サブ単位画素は、長手方向がX軸に平行であり短手方向がY軸に平行である。サブ単位画素は、透過させる光の強度によって、表示装置3が表示する画像の色の濃度を表現する。サブ単位画素は、光の透過率を変化させて、表示装置3が表示する画像に使用される各原色の濃度を変化させる。サブ単位画素は、表示装置3が表示する画像に使用される各原色の濃度を、例えば、256諧調で表現してもよい。
また、以下、本実施形態において「画素列」とは、複数のサブ単位画素を一軸方向に配置したサブ単位画素の集合を意味する。
図20は、第3の実施形態の表示部31を正面からみた具体的な構成図である。図20の例では、表示部31は、単位画素の具体例として、単位画素311を備える。単位画素311は、例えば、正面からみた形状が正方形である。単位画素311は、赤サブ単位画素、緑サブ単位画素及び青サブ単位画素として、それぞれ赤サブ単位画素3111r、緑サブ単位画素3111g及び青サブ単位画素3111bを備える。赤サブ単位画素3111r、緑サブ単位画素3111g及び青サブ単位画素3111bは全て同じ形及び大きさである。単位画素311は、Y軸正方向に向かって順番に、赤サブ単位画素3111r、緑サブ単位画素3111g及び青サブ単位画素3111bを備える。以下、赤サブ単位画素3111r、緑サブ単位画素3111g及び青サブ単位画素3111bをそれぞれ区別しない場合、サブ単位画素3111という。なお、図中のサブ単位画素を表す図形の内側に記載された文字R、G、B、Rr、Gr及びBrは、それぞれ、そのサブ単位画素が透過させる色に対する、そのサブ単位画素の透過率を表す。例えば、赤サブ単位画素3111rは、赤色の光を透過率Rで透過させる。なお、図20では単位画素311の右隣の単位画素のみが、他の単位画素の透過率とは異なるように記載されているが、これは以降の説明で説明するために一例として記載したものであり、必ず他の単位画素の透過率が全て同じでなければならないというものではない。
単位画素311の長手方向の長さ(X軸方向の長さ)は、表示装置3の想定される使用目的に応じて決定される所定の長さXM1である。長さXM1は、観察者9と表示装置3との距離が、表示装置3の想定された使い方における観察者9と表示装置3との適切な距離である場合に、観察者9が単位画素311を個別に認識することが困難である程度には十分短い長さである。
図19の説明に戻る。発光部32は、前述したように、光源及び遮光部を備える。光源の前方に所定の距離を有して遮光部を配置してもよいし、光源と遮光部を一体形成しても良い。
発光部32は観察者9からみて、表示部31の後面に配置される。発光部32の表面は、複数の発光領域及び非発光領域を有する。発光領域は、例えば、遮光部が有する開口である。光源が発する光のうち、開口を通過する光は発光部32の前面から放射される。非発光領域は、例えば、遮光部の非開口部である。光源が発する光のうち非開口部に照射される光は、遮光部によって遮光され、発光部32の前面から放射されない。
発光部32は、発光領域の形状及び配置によって表示部31に入射する光線を選択する。発光部32の複数の発光領域は互いに同じ形状である。また発光部32の複数の非発光領域は互いに同じ形状である。
発光部32は、例えば、発光領域及び非発光領域を一軸方向に交互に有してもよいし、二軸方向に交互に有してもよい。
また発光部32の光源と遮光部は別の部材で構成してもよいし、一体形成してもよい。光源と遮光部を別の部材で構成する場合は、光源の前方に所定の距離を有して遮光部を配置する。この場合の遮光部は、第1の実施形態の遮光部12aと同じく、開口部を有する遮光板(以下「光学バリア」という。)である。
上記と同等の機能を、有機ELディスプレイのような1つのデバイスで実現しても良い。
以下、第3の実施形態の表示装置3の発光部32の発光領域及び非発光領域が一軸方向に交互である場合について説明する。発光領域及び非発光領域の周期方向の長さは、同じ長さであってもよいし、互いに異なる長さであってもよい。周期方向の長さは、例えば発光領域と非発光領域とがX軸方向に交互であるとした場合に、発光領域と非発光領域とのX軸方向の長さを意味する。周期方向の長さは、例えば発光領域と非発光領域とがY軸方向に交互であるとした場合に、発光領域と非発光領域とのY軸方向の長さを意味する。
図21では、発光領域及び非発光領域を一軸方向に交互に有する発光部32の具体例として発光部32aを説明する。
図21は、第3の実施形態の発光部32aを正面からみた具体的な構成図である。図21の例では、発光部32aは、非発光領域及び発光領域の具体例として、それぞれ非発光領域321a及び発光領域322aを備える。非発光領域321a及び発光領域322aは隣接し、X軸方向に交互に配置される。非発光領域321a及び発光領域322aは、前述の床に垂直な方向(すなわちY軸方向)に連続である。非発光領域321a及び発光領域322aの短手方向の長さはXM2である。
このことから、観察者9は、正面から表示部31を観測した場合に、表示部31のX軸方向にひとつおきの画素列の画素のみに発光領域322aが発する光が照射された状態で、光が照射された画素列による表示画像を観測する。
なお、非発光領域321aと発光領域322aとは、発光機能に関して周期的に入れ替わってもよい。すなわち、非発光領域321aは、時間の経過に応じて発光領域となってもよい。非発光領域321aが発光機能に関して発光領域となった場合、発光領域322aは、発光機能に関して非発光領域となってもよい。すなわち、遮光部は、遮光部における発光領域及び非発光領域の分布を時刻に応じて変更してもよい。例えば、遮光部と発光部を一体化した機能を有機ELディスプレイ等で実現する場合にはこのような形で実現可能である。
非発光領域321aと発光領域322aとのX軸方向の長さXM2は、サブ単位画素3111のX軸方向の長さXM1と略同等であって、より好ましくは長さXM1以上である。
次に図22を用いて、第3の実施形態の表示装置3における表示画像のブレンドを説明する。
図22は、第3の実施形態の表示装置3における表示画像のブレンドを説明する説明図である。図22(A)は、図20と同様の図であり、表示部31が単位画素311−1及び311−2を備えることを表す。図22(A)は、単位画素311−1が、赤色の光に対する透過率がR0の赤サブ単位画素と、緑色の光に対する透過率がG0の緑サブ単位画素と、青色の光に対する透過率がB0の青サブ単位画素とを備えることを表す。図22(A)は、単位画素311−2が、赤色の光に対する透過率がRrの赤サブ単位画素と、緑色の光に対する透過率がGrの緑サブ単位画素と、青色の光に対する透過率がBrの青サブ単位画素とを備えることを表す。
図22(A)において、点P5と点P7とが表すX座標は単位画素311−1の両端のX座標である。点P5は点P7よりもX軸上の負の側にある。また、点P7と点P9とが表すX座標は、単位画素311−2の両端のX座標である。点P7の方が点P9よりも、X軸上の負の側にある。点P6と点P8とが表すX座標は、それぞれ単位画素311−1と311−2との中心のX座標である。
「以下、視点位置の違いによって、観察者9が観測する画像が変わることを説明する。発光領域322aは、非発光領域321aは、Y軸方向に並進対称であるため、観察される画像は視点位置のY軸方向の座標には依存しない。そこで、図22(B)はXZ面についてのみ説明する。また、簡単のため、表示部31に表示される画像を構成するの画素のうち、Y軸方向の範囲が単位画素311−1のY軸方向下端から上端の範囲にある単位画素311−1と311−2について説明する。
図22(B)は、視点位置に依存して、発光部32aが発する光の視点位置への届き方が変わることを説明する図である。図22(B)では、図の見易さのため、XM1の長さとXM2の長さの違いを顕著にしてある。視点位置は、実施形態1における視点位置と同様に、観察者9の立ち位置である。立ち位置の座標は観察者9の片目の位置で表されるものとする。尚、片目の場合には、片目の虹彩の中心を立ち位置とする。立ち位置は、XZ平面(床に平行な面)内で変化するだけでなく、観察者9が台座に上ったり、目を上下に動かすなどすることで、立ち位置は床に垂直な方向に対しても変化する。図22(B)においては、XZ平面で立ち位置が変わる場合を想定している。
図22(B)において、光線33a−1と光線33a−2とは、それぞれ発光領域322aから発せられる光の光線のうち発光領域322aのX方向の左及び右の端から発せられ、視点位置P−4に達する光線を表す。なお、X方向の左の端とは、X方向の右の端にくらべて、X軸方向負の側にある箇所であり、X方向の右の端とは、X方向の左の端にくらべて、X軸方向正の側にある箇所である。
視点位置P−5にいる観察者9は、表示部31を透過した光のうち、光線33a−1及び光線33a−2によって囲まれる空間を、視点位置P−5に向けて伝搬する光を観測する。光線33a−1及び光線33a−2は、それぞれ、表示部31のおもて面において、図22(A)の点P5及び点P7のX座標を自身のX座標とする箇所を通過する。
すなわち、視点位置P−5である観察者9は、単位画素311−1を透過した光のみを観測する。
図22(B)において、光線33a―3及び光線33a−4は、それぞれ発光領域322aから発せられる光の光線のうち発光領域322aのX方向の左及び右の端から発せられ、視点位置P−6に達する光線を表す。
視点位置P−6にいる観察者9は、表示部31を透過した光のうち、光線33a―3及び光線33a−4によって囲まれる空間を、視点位置P−6に向けて伝搬する光を観測する。光線33a―3及び光線33a−4は、それぞれ、表示部31のおもて面において、図22(A)の点P6及び点P8のX座標を自身のX座標とする箇所を通過する。
すなわち、視点位置P−6である観察者9は、単位画素311−1の右半分を透過した光と単位画素311−2の左半分を透過した光のみを観測する。単位画素311−1の右半分とは、単位画素311−1の一部分であって、X座標の値が点P6のX座標の値と、点P7のX座標の値との間にある単位画素311−1の一部分である。単位画素311−2の左半分とは、単位画素311−2の一部分であって、X座標の値が点P7のX座標の値と、点P8のX座標の値との間にある単位画素311−2の一部分である。
図22(B)において、光線33a−5及び光線33a−6は、それぞれ発光領域322aから発せられる光の光線のうち発光領域322aのX方向の左及び右の端から発せられ、視点位置P−7に達する光線を表す。
視点位置P−7にいる観察者9は、表示部31を透過した光のうち、光線33a−5及び光線33a−6によって囲まれる空間を、視点位置P−7に向けて伝搬する光を観測する。光線33a−5及び光線33a−6は、それぞれ、表示部31のおもて面において、図22(A)の点P7及び点P9のX座標を自身のX座標とする箇所を通過する。
すなわち、視点位置P−7である観察者9は、単位画素311−2を透過した光のみを観測する。
換言すれば、図22(B)において、光線33a−5と光線33a−6とは、それぞれ表示部31から発せられる光の光線のうち発光部32aの発光領域322aの左右の端を通過する光線を表す。視点位置P−7にいる観察者9は、表示部31から発せられた光のうち、光線33a−5と光線33a−6によって囲まれる領域に存在する光を観測する。視点位置P−7と、前述の発光領域322aの左右の端とを結ぶ直線が表示部31のおもて面と交わる点をそれぞれ、点P7と点P9とする。点P7と点P9を結ぶ線分上に存在する単位画素311から発せられた光のみが、視点位置P−7にいる観察者9によって観測される。
このように、視点位置P−5の観察者9が観測する光は、単位画素311−1を透過した光である。一方、視点位置P−6の観察者9が観測する光は、単位画素311−1の右半分を透過した光と単位画素311−2の左半分を透過した光である。また、視点位置P−7の観察者9が観測する光は、単位画素311−2を透過した光である。
このように、視点位置の違いによって、観察者9が観測する光は変わる。両目は同じ位置にはないので、左及び右の目は視点位置が異なる。そのため、その違いが両眼の視差となり観察者9は、実施形態の表示装置3によって立体を知覚することができる。
図22(C)は、図22(B)において、視点位置P−5にいる観察者9が視点位置P−5から視点位置P−7まで移動した場合に、観察者9が知覚する画像の混合の様子を表す。視点位置がP−5の時には、図22(A)に示される単位画素311−1を透過した光を観察者9は観測する。そのため、視点位置がP−5の観察者9は、光透過率がR0の赤サブ単位画素3111r−1を透過した赤色の光と、光透過率がG0の緑サブ単位画素3111g−1を透過した緑色の光と、光透過率がB0の青サブ単位画素3111b−1を透過した青色の光とを観測する。観察者9が視点位置P−7に移動するにつれて、観察者9が知覚する光透過率がR0の赤サブ単位画素3111r−1を透過した赤色の光と、光透過率がG0の緑サブ単位画素3111g−1を透過した緑色の光と、光透過率がB0の青サブ単位画素3111b−1を透過した青色の光が弱くなり、観察者9は、光透過率がRrの赤サブ単位画素3111r−2を透過した赤色の光と、光透過率がGrの緑サブ単位画素3111g−2を透過した緑色の光と、光透過率がBrの青サブ単位画素3111b−2を透過した青色の光とを強く観測する。この変化は、図22(C)に示されるように、連続的におこる。このように、観察者9の観測する光が、連続的に変化することをブレンディングという。また、この連続的な変化における光の混合比を、以下、ブレンド比という。また、図22(C)が表すように、ブレンド比の変化は視点位置の変化に対して線形におこるため、リニアブレンディングという。
このように構成された第3の実施形態の表示装置3は、発光領域及び非発光領域を一軸方向に交互に有する発光部32aを備えるために、水平面内での視点位置の移動にともなう画像のリニアブレンディングによる連続的な運動視差の実現を可能とする。
なお、表示部31が備える単位画素311の副画素は、必ずしも長手方向が水平方向でなくてもよい。例えば、単位画素311は、長手方向が垂直方向に一致する副画素を2つ以上有し、それら副画素の色の変化が垂直方向に一致している単位画素であってもよい。
また、表示部31が備える単位画素311は、必ずしも正方形でなくてもよい。図20及び図22(A)は、表示部31が、現在一般的に流通しているディスプレイを90°回転させて使用した場合を例として示している。一般に流通しているディスプレイとは、画素(本実施形態における単位画素311)が正方形で、副画素の垂直方向が長手方向となっているディスプレイである。しかし、表示部11は、縦長の形状に構成した画素を有するディスプレイであってもよい。縦長の形状とは、長方形の形状であって、図20及び図22(A)において、Y軸方向を長手方向とする形状である。すなわち、単位画素311は縦長の長方形であり、Y軸方向に異なる色のサブ単位画素3111に分割され、サブ単位画素3111のX軸方向の幅が単位画素311のX軸方向の幅に等しい構成である。画素をこのように構成することで、水平方向の画素密度を向上させることができ、実施形態の表示装置3で生じる水平方向の解像度の減少を補うことができる。
(変形例)
第3の実施形態の表示装置3は、発光領域及び非発光領域を一軸方向に交互に有する発光部32として、発光部32aに代えて、図23に示す発光部32bを備えてもよい。発光部32bは、非発光領域の短手方向の長さが発光領域の短手方向の長さよりも長い点で、発光部32aと異なる。すなわち、発光部32bは、発光領域及び非発光領域を一軸方向に交互に有し、それらの周期方向の長さが異なる発光部32の具体例である。
以下、発光部32aと同様の機能を持つものに対しては、図21と同じ符号を付すことによって説明を省略する。
図23は、発光部32bを正面からみた具体例を示す構成図である。発光部32bは、非発光領域321aに代えて、非発光領域321bを備える点で発光部32aと異なる。
非発光領域321bの幅の長さ(周期方向の長さ)XM3は、発光領域322aの幅の長さよりも長い。すなわち、非発光領域321bの幅の長さXM3は、XM2よりも長い。なお、一般的にXM3はXM2の整数倍である。
以下、図24及び図25によって、実施形態の表示装置3の非発光領域の幅と、観察者9がリニアブレンディングされた光を観測可能な空間の広さ(以下「視域」という。)との関係について説明する。
図24は、発光部32bによるブレンディングを説明する説明図である。図24には、表示部31が備える複数の単位画素311のうち6つの単位画素が示されている。図24において、それらの6つの単位画素をそれぞれ、X軸の負方向に向かって順番に、単位画素311−X、単位画素311−A、単位画素311−B、単位画素311−C、単位画素311−D及び単位画素311−Yとして互いに区別する。
図24には、発光部32bの発光領域322aから発せられた8つの光線33b−1〜33b−8が示されている。光線33b−1は、発光領域322aのX軸方向の正方向の端である点P10が発した光で、単位画素311−AのX軸方向の正方向の端を透過する光の軌跡を表す。光線33b−2は、発光領域322aのX軸方向の負方向の端である点P11が発した光で、単位画素311−AのX軸方向の負方向の端を透過する光の軌跡を表す。光線33b−3は、発光領域322aのX軸方向の正方向の端である点P10が発した光で、単位画素311−BのX軸方向の正方向の端を透過する光の軌跡を表す。光線33b−4は、発光領域322aのX軸方向の負方向の端である点P11が発した光で、単位画素311−BのX軸方向の負方向の端を透過する光の軌跡を表す。光線33b−5は、発光領域322aのX軸方向の正方向の端である点P10が発した光で、単位画素311−CのX軸方向の正方向の端を透過する光の軌跡を表す。光線33b−6は、発光領域322aのX軸方向の負方向の端である点P11が発した光で、単位画素311−CのX軸方向の負方向の端を透過する光の軌跡を表す。光線33b−7は、発光領域322aのX軸方向の正方向の端である点P10が発した光で、単位画素311−DのX軸方向の正方向の端を透過する光の軌跡を表す。光線33b−8は、発光領域322aのX軸方向の負方向の端である点P11が発した光で、単位画素311−DのX軸方向の負方向の端を透過する光の軌跡を表す。
光線33b−1と光線33b−2とが交わる点(以下「視点位置P−8」という。)にいる観察者9は、単位画素311−Aを通過した光を観測する。光線33b−3と光線33b−4とが交わる点(以下「視点位置P−9」という。)にいる観察者9は、単位画素311−Bを通過した光を観測する。光線33b−5と光線33b−6とが交わる点(以下「視点位置P−10」という。)にいる観察者9は、単位画素311−Cを通過した光を観測する。光線33b−7と光線33b−8とが交わる点(以下「視点位置P−11」という。)にいる観察者9は、単位画素311−Dを通過した光を観測する。
視点位置P−8から視点位置P−9まで移動する観察者9は、単位画素311−A及びBが発する光のリニアブレンディングを観測する。視点位置P−9から視点位置P−10まで移動する観察者9は、単位画素311−B及びCが発する光のリニアブレンディングを観測する。視点位置P−10から視点位置P−11まで移動する観察者9は、単位画素311−C及びDが発する光のリニアブレンディングを観測する。
このように、変形例の発光部32bを備えた実施形態の表示装置3に向き合う観察者9は、視点位置P−8から視点位置P−11まで移動することで、ひとつの発光領域322aが発した光によって実現された、4つの単位画素311を透過する光による連続的なリニアブレンディングを観測する。
図25は、発光部32bの発光領域の分布と視域の広さの関係についての説明図である。図25には、発光領域322aから発せられる光線の代表として、光線33a−1と、光線33a−2と、光線33a−3との3つの光線が太線の矢印によって示されている。
光線33a−1と、光線33a−3とは、それぞれ表示部31が備える画素Bと、画素Cとを透過する光である。すなわち、光線33a−1は、画素Bを透過する光が100%であるようなブレンド比の光であり、光線33a−3は、画素Cを透過する光が100%であるようなブレンド比の光である。光線33a−2は、画素Bを透過する光と画素Cを透過する光のブレンド比が50%:50%の光である。光線33a−1と光線33a−3とで囲まれる領域に視点位置が来た場合、画素Bを透過する光と画素Cが発する光のリニアブレンディングが実現された光を観察者9は知覚する。発光部32aによって、観察者9は、2つの画素を透過する光のリニアブレンディングをひとつの発光領域が発する光により知覚する。なお、画素A及び画素Dは、隣接する発光領域の表示に使用するため、ここで着目している範囲の拡大には寄与できない。
すなわち、発光領域の分布が密である発光部32aと比べ、発光領域の間隔を広げた発光部32bを用いることにより、視域を拡大することができる。
第3の実施形態の表示装置3の発光部32は、発光領域及び非発光領域を二軸方向に交互に有してもよい。以下、発光領域及び非発光領域を二軸方向に交互に有する発光部32の具体例として、発光部32cを説明する。
図26は、変形例の発光部32cを正面からみた具体的な構成図である。発光部32cは、非発光領域321a及び発光領域322aに代えて、非発光領域321c及び発光領域322cを備える点で発光部32aと異なる。
非発光領域321c及び発光領域322cは、それぞれ非発光領域321a及び発光領域322aと形状の点において異なる。非発光領域321c及び発光領域322cは、XY面内で正方形であり、互いに市松模様をなすように配置されている。
非発光領域321c及び発光領域322cの一辺の長さは表示部31の単位画素311の幅が表す長さと同じXM2である。非発光領域321c及び発光領域322cは、非発光領域321a及び発光領域322aの形状と比較して空間配置の均一性が高い。そのため、観察者9が光源の文様を知覚しにくく、体感的な画質の向上を可能とする。
第3の実施形態の表示装置3は、発光領域及び非発光領域を一軸方向に交互に有する発光部32として、発光部32aに代えて、図27に示す発光部32dを備えてもよい。発光部32dは、発光領域及び非発光領域のX軸方向の長さXM4が単位画素311のX軸方向の長さXM1より長い点で発光部32aと異なる。
図27は、変形例の表示装置3の発光部32dを正面からみた具体的な構成図である。発光部32dは、非発光領域321d及び発光領域322dを備える。非発光領域321d及び発光領域322dの幅(X軸方向の長さ)XM4は、表示部31の単位画素311の幅の長さXM1と略同一の長さであるが、より好ましくは、XM1よりわずかに長く、XM1と異なる長さであるとよい。例えば、XM4の長さのXM1の長さに対する比は、発光部32と観察者9との間の距離の、表示部31と観察者9との間の距離に対する比と同じ値である。
以下、図28〜図30によって、表示装置3によって表示される画像を所定の箇所にいる観察者9が動くことなく知覚する場合において、観察者9が画像を知覚するために最も適した箇所(以下「最適視点位置」という。)の説明を行う。以下、図28〜図30においては、説明の簡単のため、表示装置3が画像Aと画像Bとの二つの画像を表示する装置であるとし、画像Aと画像Bとは、表示部31の単位画素にひとつおきに表示されるものとする。また、最も適する箇所とは、表示装置3が表示し、観察者9が知覚する画像(以下「合成画像」という。)に関して、合成画像を形成する画像Aと画像Bとの混合比が合成画像の画素によらずに同じであると観察者9によって知覚される箇所である。
図28は、発光部32dを備える変形例の表示装置3が表示する画像Aを観察者9が知覚する場合に、画像を知覚するための最適視点位置が視点位置P−13であることを示す。
なお、図28において、点線は、発光部32dの発光領域322dから発せられた光線を表す。
前述したように、非発光領域321d及び発光領域322dの幅(X軸方向の長さ)は、表示部31の単位画素311の幅(X軸方向の長さ)と異なる。そのため、非発光領域321d及び発光領域322dの幅(X軸方向の長さ)が、表示部31の単位画素311の幅や視点位置等に基づいた適切な長さである場合に、1つの発光領域322dから発せられた光が1つおき1つの単位画素311のみを透過して視点位置P−13に到達する状況が実現されうる。
この場合、視点位置P−13にいる観察者9は、1つの画像Aのみを知覚する。言い換えれば、その観察者9は、表示部31が有する単位画素311であって、画像Aの表示を行う全ての単位画素311を透過した光を観測する。そのため、観察者9は、画像Aと画像Bとの混合比に関して、画像Aの割合が100%である合成画像を視点位置P−13において知覚する。
図29は、発光部32dを備える変形例の表示装置3が表示する画像A及びBが半分ずつ合成された画像(以下「画像AB」という。)を観察者9が知覚する場合に、最適視点位置が視点位置P−14であることを示す。図29においても、点線は、発光部32dの発光領域322dから発せられた光線を表す。
図28における説明と同様に、非発光領域321d及び発光領域322dの幅(X軸方向の長さ)が、表示部31の単位画素311の幅や視点位置等に基づいた適切な長さである場合に、次の状況が実現される。
すなわち、図29において、各発光領域322dのX軸正方向の端から発せられた光は、画像Aを表示する単位画素311の中心を通ってP−14に達し、各発光領域322dのX軸負方向の端から発せられた光は、画像Bを表示する単位画素311の中心を通って視点位置P−14に到達する状況が実現される。
この場合、各発光領域322dから発せられた光は、各発光領域322dの両端から発せられて視点位置P−14に達する光の軌跡によって囲まれる空間領域を、発光領域322dの発光位置から視点位置P−14に向かって伝搬する。そのため、各発光領域322dから発せられて視点位置P−14に到達する光は、その半分が画像Aを表示する単位画素311を透過した光であり、残りの半分が画像Bを表示する単位画素311を透過した光である。
このため、観察者9は、混合比として、画像A及び画像Bの割合が50%:50%である合成画像を視点位置P−14において知覚する。
換言すれば、図29は、画像ABを観察者9が知覚する場合に、最適視点位置が視点位置P−14であることを示す。すなわち、図29は、第3の実施形態の第3の変形例における発光部32dを備えた表示装置3による画像ABを観察者が知覚する場合の最適視距離を示す図である。図29においても、点線は、発光部32dの発光領域322dから発せられた光線を表す。
図30は、発光部32aを備える実施形態の表示装置3が表示する画像ABを観察者9が知覚する場合に、画像ABを知覚するための最適視点位置が無限遠であることを示す。図30において、画像Aを表示する単位画素311の中心のX座標と、画像Bを表示する単位画素311の中心のX座標とは、それぞれ、発光領域322aのX軸方向正の端のX座標と、X軸方向負の端のX座標と同じである。なお、本実施形態における無限遠とは、表示装置3の大きさ等と比較して、非常に長い距離を意味する。
前述したように、発光部32aのX軸方向の幅XM2は、表示部31の単位画素311のX軸方向の幅XM1XM1と略同一である。そのため、図30において、各発光領域322aのX軸正方向の両端から発せられた光で、画像Aを表示するする単位画素311の中心を透過する光の軌跡と、画像Bを表示するする単位画素311の中心を透過する光の軌跡とは平行である。さらに、これらの光の軌跡は、領域間でも平行である。
そのため、各発光領域322aからZ軸負の方向に向かって発せられた光は、表示部31から見て無限遠にある所定の位置において交差する。
この場合、各発光領域322aから発せられた光は、各発光領域322aの端から発せられて無限遠に達する光の軌跡によって囲まれる空間領域を、発光領域322aの発光位置から無限遠に存在する視点位置に向かって伝搬する。そのため、各発光領域322aから発せられて無限遠に存在する視点位置に到達する光は、その半分が画像Aを表示する単位画素311を透過した光であり、残りの半分が画像Bを表示する単位画素311を透過した光である。
このため、観察者9は、混合比として、画像A及び画像Bの割合が50%:50%である合成画像を無限遠にある視点位置において知覚する。なお、最適視点位置と表示部31との距離を、最適視距離という。
図28〜図30によって示したように、変形例の表示装置3は、発光領域と非発光領域の大きさが所定の表示部の単位画素311のX軸方向の幅よりも長い発光部32を備えるため、最適視点位置を、表示部31から見て、有限の範囲内にすることができ、近距離での使用に適する。
このように構成された第3の実施形態の表示装置3は、隣接する単位画素に異なる画像を表示する表示部31と、一つ又は複数の発光領域を備えた発光部32とを備えるため、画像のリニアブレンディングによる連続的な運動視差の実現を可能とする。
なお、光源及び遮光部は必ずしも一体形成された構成である必要はなく、個別に構成されてもよい。
なお、発光部32は、必ずしも光源及び遮光部を備える必要はなく、例えば、発光ダイオード等の発光素子を備える発光領域と、発光素子を備えないために発光しない非発光領域とを有してもよい。
以上のように、表示装置3は、画像を表示する表示面を有する表示部31と、非発光領域321aを有する発光部32a(遮光部、面格子)とを、互いに離して備える。発光部32aは、光を透過させる複数の発光領域322aを有する。発光領域322aの形状及び大きさは、表示面に配列された複数の単位画素311のうちの一つ又は複数の単位画素311の形状及び大きさと略同等である。画像の光は、発光領域322a及び単位画素311を透過した光である。
これによって、表示装置3は、小型であり、連続的な運動視差を表現することが可能である。表示装置3は、投射光学系の歪みを除去することが可能である。このため、表示装置3は、正確なリニアブレンディングを実現することが可能である。
表示装置3は、光を発する発光部32を、表示部31の背面側(z軸の正方向)に備える。遮光部としての表示部31は、表示部31の位置を基準として、発光部32の光が発光部32から伝搬する方向に備えられる。表示部31は、発光部32と一体形成された構成として備えられてもよい。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、観察方向に表示部から所定距離だけ離れた位置に表示装置が発光部を備える点が、第2の実施形態と相違する。
第4の実施形態の表示装置4は、表示部31に代えて、表示部41を備える点、発光部32に代えて、発光部42aを備える点で第3の実施形態の表示装置3と異なる。
図31は、第4の実施形態の表示装置4の構成の具体例を示す図である。直交座標であるXYZ座標は図1と同様に定義されている。Z軸は、X軸とY軸とに垂直であり、観察者9が表示部41のおもて面(正面)を見る向きを正の向きとする。表示装置4は、表示部41及び発光部42aを備える。図31の発光部42aは、光源及び遮光部を一体形成された構成として備える。
表示部41は、観察者9に対して所定の距離だけ離れた場所にあり、観察者9からみて発光部42aの前方に配置される。表示部41は、例えば液晶パネルであり、所定の色表現に応じて、その色表現の原色の光の透過率を制御する。表示部41は、その透過させた光の色と量とによって、その光を観測した観察者9に画像を知覚させる。所定の色表現は、例えば、RGB(Red Green Blue)による表現である。なお、表示部41は、画像を表示する機能部の一例である。
以下、簡単のため、所定の色表現がRGBである場合を例に説明を行う。なお、本実施形態における「単位画素」とは、所定の色表現における各原色の光の透過率を制御することで、観察者9が知覚する画像の1画素の色を表現するように光の量を制御するデバイスを意味する。
表示部41は、XY平面内に二次元格子状に配列された複数の単位画素を備える。単位画素は、RGBの各原色の光の透過率を制御することで観察者9が観測する光の色と量とを制御する。単位画素は、本実施形態における赤サブ単位画素と、緑サブ単位画素と、青サブ単位画素とを備える。本実施形態における赤サブ単位画素は、RGBの原色のうちの赤色の光を透過させる単位画素の副画素である。本実施形態における緑サブ単位画素は、RGBの原色のうちの緑色の光を透過させる単位画素の副画素である。本実施形態における青サブ単位画素は、RGBの原色のうちの青色の光を透過させる単位画素の副画素である。以下、本実施形態における赤サブ単位画素と、緑サブ単位画素と、青サブ単位画素とを区別しない場合、サブ単位画素という。
本実施形態におけるサブ単位画素は、例えば、正方形である。サブ単位画素は、透過させる光の強度によって、表示装置4が表示する画像の色の濃度を表現する。サブ単位画素は、光の透過率を変化させて、表示装置4が表示する画像に使用される各原色の濃度を変化させる。サブ単位画素は、表示装置4が表示する画像に使用される各原色の濃度を、例えば、256諧調で表現してもよい。
図32は、第4の実施形態の表示部41を正面からみた具体的な構成図である。図32の例では、表示部41は、単位画素として、単位画素411を備える。表示部41は、XY平面内で二次元的に配列された単位画素411を備える。単位画素411は、正面からみた形状が正方形である。単位画素411は、例えば3×3の9つの副画素を備える。単位画素411は、赤サブ単位画素、青サブ単位画素及び緑サブ単位画素として、それぞれ赤サブ単位画素4111r、緑サブ単位画素4111g及び青サブ単位画素4111bを備える。赤サブ単位画素4111r、緑サブ単位画素4111g及び青サブ単位画素4111bは全て同じ大きさの正方形である。以下、赤サブ単位画素4111r、緑サブ単位画素4111g及び青サブ単位画素4111bをそれぞれ区別しない場合、サブ単位画素4111という。単位画素411は、赤サブ単位画素4111r、緑サブ単位画素4111g及び青サブ単位画素4111bをそれぞれ3つずつ、二次元格子状に備える。単位画素411は、隣接するサブ単位画素4111が互いに異なる色を透過させるサブ単位画素4111であるように、赤サブ単位画素4111r、緑サブ単位画素4111g及び青サブ単位画素4111bを備える。単位画素411は、赤サブ単位画素4111r、緑サブ単位画素4111g及び青サブ単位画素4111bを行方向(X軸方向)と列方向(Y軸方向)とにそれぞれ2つおきに備える。なお、ここで隣接とは、Q軸方向に関して隣同士である状態を意味しない。
なお、図中のサブ単位画素を表す図形の内側に記載された文字R、G及びBは、それぞれ、そのサブ単位画素が透過させる色に対する、そのサブ単位画素の透過率を表す。例えば、赤サブ単位画素4111rは、赤色の光を透過率Rで透過させる。
単位画素411の一辺の長さは、表示装置4の想定される使用目的に応じて決定される所定の長さXN1である。長さXN1は、観察者9と表示装置4との距離が、表示装置4の想定された使い方における観察者9と表示装置4との適切な距離である場合に、観察者9による単位画素411の個別認識が困難である程度には十分短い長さである。
図31の説明に戻る。発光部42aは、前述したように光源及び遮光部を一体として備える。発光部42aは観察者9からみて、表示部41の後面に配置される。発光部42aの表面は、複数の発光領域及び非発光領域を有する。発光領域は、例えば、遮光部が有する開口である。光源が発する光のうち、開口を通過する光は発光部42aの前面に向かって放射される。非発光領域は、例えば、遮光部の非開口部である。光源が発する光のうち非開口部に照射される光は、遮光部によって遮光され、発光部42aの前面に向かって放射されない。
発光部42aは、発光領域の形状及び配置によって表示部41に入射する光線を選択する。発光部42aの複数の発光領域は同じ形状である。
図33は、第4の実施形態の発光部42aを正面からみた具体的な構成図である。図33の例では、発光部42aは、非発光領域及び発光領域として、それぞれ非発光領域421a及び発光領域422aを備える。発光領域422aは、一辺の長さがXN2である正方形の形状であり、単位画素411と同じ形状である。発光領域422aは、X軸方向及びY軸方向に、長さXN2だけ隔てて周期的に配置される。XN2の長さは、単位画素411の長さXN1と略同一の長さであるものの、XN1よりわずかに短く、XN1と異なる長さである。例えば、XN2の長さのXN1の長さに対する比は、発光部42aと観察者9との間の距離の、表示部41と観察者9との間の距離に対する比と同じ値である。
図34は、第4の実施形態の表示装置4における表示画像のブレンドを説明する説明図である。図34(A)は、図32と同様の図であり、表示部41が備える単位画素411−1〜411−4とその副画素の光の透過率を表す。図34(A)は、例えば、単位画素411−1が、赤色の光に対する透過率がR0の赤サブ単位画素を3つと、緑色の光に対する透過率がG0の緑サブ単位画素を3つと、青色の光に対する透過率がB0の青サブ単位画素を3つとを備えることを表す。
図34(A)において、点P5と点P7とが表すX座標は単位画素411−1の両端のX座標である。点P5は点P7よりもX軸上の負の側にある。点P7と点P9とが表すX座標は、単位画素411−2の両端のX座標である。点P7は点P9よりもX軸上の負の側にある。点P6と点P8とが表すX座標は、それぞれ単位画素411−1と411−2との中心のX座標である。
図34(B)は、図22(B)において表示部31の代わりに表示部41を使用し、発光部32aの代わりに発光部42aを使用した場合であって、図22(B)と同様に視点位置が変化する場合に、観察者9が観測する光のブレンド比の変化を表す。
以下、図34(B)の説明において、簡単のために、観察者9が観測可能な表示部41のY軸方向の範囲を単位画素411−1のY軸方向下端から上端までとする。
図22の説明と同様に、視点位置P−5の観察者9は、X座標が図34(A)の点P5のX座標と点P7のX座標との間の単位画素411を通過する光を観測する。すなわち、視点位置P−5の観察者9は、単位画素411−1を透過する光を観測する。
視点位置P−6の観察者9は、X座標が図34(A)の点P6のX座標と点P8のX座標との間の単位画素411を通過する光を観測する。すなわち、視点位置P−6の観察者9は、単位画素411−1の右半分と、単位画素411−2の左半分とを透過する光を観測する。
単位画素411−1の右半分とは、単位画素411−1の一部分であって、X座標の値が点P6のX座標の値と、点P7のX座標の値との間にある単位画素411−1の一部分である。単位画素411−2の左半分とは、単位画素411−2の一部分であって、X座標の値が点P7のX座標の値と、点P8のX座標の値との間にある単位画素411−2の一部分である。
視点位置P−7の観察者9は、図34(A)の点P7のX座標と点P9のX座標との間の単位画素411を通過する光を観測する。すなわち、視点位置P−7の観察者9は、単位画素411−2を透過する光を観測する。
そのため、観察者9は、視点位置がP−5からP−7に変化するにつれて、光透過率がR0の赤色の光と、光透過率がG0の緑色の光と、光透過率がB0の青色の光とを観測していた状態から、光透過率がR1の赤色の光と、光透過率がG1の緑色の光と、光透過率がB1の青色の光とを観測する状態になる。
このように、観察者9が視点位置P−5から視点位置P−7まで移動する場合、その視点位置の移動の間のブレンド比の変化は連続であり、リニアブレンディングが実現される。
図34(C)は、視点位置の変化がY軸方向の変化の場合における、ブレンド比の変化を表す。すなわち、図34(C)は、視点位置の変化がY軸方向の変化である場合に、観察者9が観測する光を発する単位画素411が、Y軸方向の別の座標に存在する単位画素411へと変化する場合のブレンド比の変化を表す。より具体的には、図34(C)は、観察者9が単位画素411−3を透過する光を観測している状態から、X座標及びZ座標を変えることなく、視点位置をY軸正方向に移動した場合における、観察者9が観察する赤色の光と、緑色の光と、青色の光の透過率の変化を示す。図34(C)は、観察者9は、光透過率がR2の赤色の光と、光透過率がG2の緑色の光と、光透過率がB2の青色の光の透過率とを観測する状態から、光透過率がR0の赤色の光と、光透過率がG0の緑色の光と、光透過率がB0の青色の光の透過率とを観測する状態になることを示す。
このように、表示装置4においては、Y軸方向にも全ての色のサブ単位画素4111が存在するため、Y軸方向の視点位置の変化に対してもリニアブレンディングが実現される。
図34(D)は、視点位置の変化がQ軸方向に変化する場合における、ブレンド比の変化を表す。より具体的には、図34(D)は、観察者9が単位画素411−4を透過する光を観測している状態から、視点位置をQ軸正方向に移動した場合において、観察者9が観測する光の変化を示す。視点位置のQ軸方向の変化では、赤色の光はリニアブレンディングであるが、緑色については、光強度がG0、G1、G2及びG3の4種類の光のブレンディングとなるため、リニアブレンディングは実現されない。また、青色についても、光強度が、B0、B1、B2及びB3との4種類の光のブレンディングとなるため、リニアブレンディングは実現されない。しかし、観察者9の観測する光を発する単位画素411の面積の和が一定であるため、視点位置の変化にともなう観察者9の観測する輝度の揺らぎと色づきは生じない。
このように構成された第4の実施形態の表示装置4は、X軸方向とY軸方向とに規則的に一部の光のみを透過させるサブ単位画素4111を備えるために、床に平行な面内での視点位置の移動と、床に垂直な方向の視点位置の移動とに対して、連続的な運動視差を実現することができる。
また、水平方向にのみ視差がある表示装置の場合には寝転がると左右の眼の位置が上下になるため立体感を感じることができないが、実施形態の表示装置4は、垂直方向の視差も再現できて、寝転がる観察者9にも、立体表示を見せることができる。
なお、発光部42aは、必ずしも光源及び遮光部を備える必要はなく、例えば、発光ダイオード等の発光素子を備える発光領域と、発光素子を備えないために発光しない非発光領域とを有してもよい。
[複数の指向性画像の表示方法]
次に図35を用いて、本実施形態において、表示部41に複数の指向性画像を表示させる表示方法を説明する。
図35は、表示部41における単位画素411の配置と表示画像の関係の説明図である。図35において、単位画素411を表す図形の中に表示された数字は、指向性画像を識別する番号を表す。同じ番号を有する単位画素411を、表示部41に配置されている並び順のままに隣接させて再配置すると、上記番号で識別されるひとつの指向性画像が形成される。すなわち、ひとつの単位画素411は、上記番号で識別される画像のひとつの画素である。
隣接する単位画素411が表示する画像は、例えば、図35に番号00と、番号10と、番号01と、番号11とで示されるように、それぞれ異なる画像である。
なお、ここでは遮光部が2次元格子の場合に複数の指向性画像を表示部41に表示する方法について説明したが、第3の実施形態のように1次元格子の場合であっても同様に複数の指向性画像を表示することが可能であることは言うまでもない。
[指向性画像のデータ生成方法]
第4の実施形態の表示装置4が表示する指向性画像データは、図17に示した画像生成システム83によって、図18の関係を有した画像データとして生成される。
(変形例)
表示部31及び表示部41は、必ずしもひとつの画素に複数の副画素を備える必要はなく、ひとつの画素にひとつの副画素であってもよい。
表示部31及び表示部41は、発光部32及び発光部42aが時分割で発光部32及び発光部42aのRGBの色を変えるのと同期して、表示部31及び表示部41の画素の光の透過率を制御するフィールドシーケンシャルカラー表示方式の表示処理を実行してもよい。
その場合、例えば、表示部31及び表示部41は、ひとつの画素にひとつの副画素であって、色が積層されている表示部31及び表示部41であってもよい。
表示装置3と表示装置4との画像の表示方法は、RGBの3原色による画像の表示方法に限らず、RGBW(Red Green Blue White)による色表現や、RGBY(Red Green Blue Yellow)による色表現や、白黒の2色による画像の表示方法や、4原色や、赤と、緑と、青と、白となどを用いるサブピクセル構成による画像の表示方法であってもよい。
なお、表示装置4において、副画素を二次元的に6×6個配置した単位画素や9×9個の配置した単位画素を新たに一つの単位画素として使用してもよい。また、第1の実施形態と同じく、表示部41が備える単位画素411は、必ずしも正方形でなくてもよい。
このように構成された変形例の表示装置4は、粗い発光領域を備えるため、表示装置4の作成が容易となる。
なお、第3の実施形態及び第4の実施形態の発光部32a〜32d及び発光部42aは、面発光光源の一部を遮光して実現されてもよいし、LED(Light emitting diode)のような発光素子を、32a〜32d及び発光部42aの発光領域に合わせて並べてもよい。また、LEDディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや液晶ディスプレイを光源として使用し、発光領域に合わせて使用してもよい。
なお、第3の実施形態及び第4の実施形態の表示装置3及び4は、第3の実施形態及び第4の実施形態の発光部32a〜32d及び発光部42aとして、発光輝度を場所によって変えることができるディスプレイのようなデバイスを使用してもよい。この場合、表示装置3及び4は、発光部上の場所ごとの発光輝度を変化させることで、発光領域と非発光領域とを変えることができる。すなわち、このような表示装置3及び4は、発光輝度が高い領域の発光輝度を低くすることで、非発光領域に変えることができる。より具体的には、このような表示装置3及び4においては、ある時刻t0において非発光領域であった領域が、別の時刻t1においては、発光領域であってもよい。
このような発光領域と非発光領域との変化は、時分割によって行われてもよい。さらに、その場合、このような表示装置3及び4は、時分割による発光部32a〜32d及び発光部42aの発光輝度の変化と同期して、表示装置3及び4が表示する2D画像を切換えてもよい。
このような表示装置3及び4は、非発光領域と発光領域との比が1:1でない場合には、人の目の時間分解能よりも短い時間で発光領域と非発光領域とを適宜切り替えることで、画像の高解像度化が可能である。
なお、指向性画像のデータ生成方法については、第2の実施形態と同様である。
以上のように、表示装置4は、画像を表示する表示面を有する表示部41と、非発光領域421aを有する発光部42a(遮光部、面格子)とを、互いに離して備える。発光部42aは、光を発する複数の発光領域422aを有する。発光領域422aの形状及び大きさは、表示面に配列された複数の単位画素411のうちの一つ又は複数の単位画素411の形状及び大きさと略同等である。画像の光は、発光領域422a及び単位画素411を透過した光である。
これによって、表示装置4は、小型であり、連続的な運動視差を表現することが可能である。表示装置4は、投射光学系の歪みを除去することが可能である。このため、表示装置4は、正確なリニアブレンディングを実現することが可能である。
単位画素411は、二次元格子状に配置された複数の副画素を有する。隣接する画素によって表示される複数の指向性画像の視差は、10分以下の角度である。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、2次元格子状の遮光部の表示は2x2指向性画像の場合について説明したが、遮光部の幅を拡大することにより指向性が2x2より大きくした構成でも同様の方法が適用できることは言うまでもない。