JP6950936B2 - 長距離量子通信用量子もつれ光源 - Google Patents

長距離量子通信用量子もつれ光源 Download PDF

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Description

本発明は、長距離量子通信用量子もつれ光源に関する。
量子通信とは、光子を用いた通信技術である。量子通信は、インターネット通信や独自のネットワークを用いた通信に用いられる、乱数ビット列である暗号鍵の効率的な生成や、クラウド量子計算への応用が可能である。現在の通信において用いられる暗号化技術は、暗号解読に膨大な計算が必要であるため実質的に解読不可能という意味において安全性を有している。一方、量子通信を用いた暗号化技術は完全な情報セキュリティを保証する。
量子通信では、ネットワークを構成する離れたノード間において量子状態が通信される。ノード間は、光ファイバーなどのチャンネルを用いて接続される。チャネンルを伝搬する光子の吸収及び偏光の解消が起こる確率は、光ファイバーの長さに応じて指数関数的に増大してしまう。ネットワークを構成する離れたノード間において量子通信を実現するために、ノードを接続するチャンネルの長さが長くなるにつれてエラーが起こる確率が増大することが課題となっていた。量子通信の実用化を目指し、任意の長距離に渡りエラーに耐え得るもつれ対を生成する方法が提案されている(非特許文献1)。
H.−J.Briegel,W.Dur,J.I.Cirac,and P.Zoller、"Quantum Repeaters:The Role of Imperfect Local Operations in Quantum Communication"、PHYSICAL REVIEW LETTERS、The American Physical Society、1998年12月28日、Volume 81、Number 26、p.5932‐5935
しかしながら、量子通信を実用化するためには、通信波長帯において、量子メモリーの吸収波長帯から要求される狭いスペクトル線幅をもつもつれ光子対を発生させることが求められている。非特許文献1に記載のもつれ光子対の生成方法では、通信波長帯において量子メモリーの吸収波長帯から要求される狭いスペクトル線幅をもつもつれ光子対を生成することまでは考慮されておらず、量子通信の実用化に課題を残している。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、通信波長帯において狭いスペクトル線幅をもつもつれ光子対を発生させることができる長距離量子通信用量子もつれ光源を提供する。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、量子通信に用いられる量子もつれ光源であって、前記量子通信の伝送路である光ファイバーの減衰特性に応じた1.5マイクロメートルから1.55マイクロメートルの波長をもつもつれ光子対を発生させる非線形結晶と、前記もつれ光子対を所定の平均周回数以上周回させ、周回させた前記もつれ光子対を出射させる共振器とを備える長距離量子通信用量子もつれ光源である。
また、本発明の一態様は、上記の長距離量子通信用量子もつれ光源において、前記所定の平均周回数は、前記量子もつれ光源が出射させる前記もつれ光子対を吸収する量子メモリーの吸収波長帯に基づく狭線幅に基づく。
また、本発明の一態様は、上記の長距離量子通信用量子もつれ光源において、前記共振器は、前記もつれ光子対が周回する経路が交差する光路を有する。
また、本発明の一態様は、上記の長距離量子通信用量子もつれ光源において、前記非線形結晶に入射させる入射光を発生させる入射光源をさらに備え、前記入射光源は、第1の波長をもつ光を発生させる励起レーザと、前記第1の波長を吸収波長帯に含む気体が封入された気体セルとを備える。
また、本発明の一態様は、上記の長距離量子通信用量子もつれ光源において、前記気体セルに用いられる前記気体とは、アセチレンである。
本発明によれば、通信波長帯において狭いスペクトル線幅をもつもつれ光子対を発生させることができる。
本発明の第1の実施形態に係る通信システムの一例を示す概念図である。 本実施形態に係る量子もつれ光源の実施形態の一例を示す図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る量子通信システムS1の一例を示す図である。量子通信システムS1は、ノードA1と、中継器Bと、ノードA2とを備える。ノードA1とノードA2とは、中継器Bを介して量子通信を行う。ノードA1と中継器Bとは光ファイバーF1を通じて接続され、中継器BとノードA2とは光ファイバーF2を通じて接続されている。
ノードA1に備えられた量子もつれ光源A11は、通信波長帯である1.5マイクロメートルの波長をもつもつれ光子対を発生させる。量子もつれ光源A11が発生させたもつれ光子対の一方である光LT1−1は、波長変換素子A12により量子メモリーA13のメモリー物質の吸収波長帯の波長をもつ光LT1−3へと変換される。光LT1−3は、量子メモリーA13のメモリー物質に吸収され保存される。
ノードA2に備えられた量子もつれ光源A21は、通信波長帯である1.5マイクロメートルの波長をもつもつれ光子対を発生させる。量子もつれ光源A21が発生させたもつれ光子対の一方である光LT2−1は、波長変換素子A22により量子メモリーA23のメモリー物質の吸収波長帯の波長をもつ光LT2−3へと変換される。光LT2−3は、量子メモリーA23のメモリー物質に吸収され保存される。
量子もつれ光源A11が発生させたもつれ光子対のうち光LT1−1でない方である光LT1−2は、光ファイバーF1を通じて光LT1−2として中継器Bへと伝送される。量子もつれ光源A21が発生させたもつれ光子対のうち光LT2−1でない方である光LT2−2は、光ファイバーF2を通じて光LT2−2として中継器Bへと伝送される。中継器Bへと伝送されたもつれ光子である光LT1−2は、中継器Bに備えられた波長変換素子B1によりメモリー物質の吸収波長帯の波長をもつ光LT1−4へと変換される。波長変換素子B1により波長を変換されたもつれ光子は、量子メモリーB2のメモリー物質に吸収され保存される。中継器Bへと伝送されたもつれ光子である光LT2−2は、中継器Bに備えられた波長変換素子B4によりメモリー物質の吸収波長帯の波長をもつ光LT2−4へと変換される。波長変換素子B4により波長を変換されたもつれ光子は、量子メモリーB3のメモリー物質に吸収され保存される。
ノードA1とノードA2とは、中継器Bによる中継を介して量子もつれを新たに共有し、互いの状態が完全に相関し、暗号化プロトコルを用いれば互いに共通のビット情報を生成することができる。
従来、量子通信は数百キロメートル以下の短距離の通信においてのみ実証されてきた。量子通信の実用化に向けて、数百キロメートル以上の長距離における量子通信を実現する技術が求められている。また、量子通信の実用化に向けて、通信速度の高速化が求められている。量子通信の長距離化及び高速化の課題を解決するために、量子通信において送信機と受信機とを中継する量子中継技術の開発が求められている。
しかしながら、量子中継技術は理論的な提案がなされているのみであり、実証されていなかった。量子中継技術の実証を困難にしていたのは、中継に必要な量子光源や量子メモリーが非効率であったり、量子光源や量子メモリーが効率的に接続されていなかったりしたためである。つまり、量子中継技術を実証するために、量子光源及び量子メモリーの効率化と、量子光源と量子メモリーとの効率的な接続が必要とされている。
量子中継技術を実証するために量子中継技術として、多重化量子メモリー中継技術の導入や、量子光源として狭線幅2光子源(2光子コム)の導入についての技術が知られている。
多重化量子メモリー中継技術では、光ファイバー伝送において、異なる波長の光は多重される(波長分割多重)。ここで、異なる波長の光を多重するとは、異なる波長の光を同時に送信することである。また異なる時刻の光を多重することも可能であり時分割多重と呼ばれる。多重化量子メモリー中継技術では、これら方式により光が多重されている分だけ、通信速度を高速化することができる。また、多重化量子メモリー中継技術では、中継により遠距離において量子もつれを共有するため、長距離の伝送が可能となる。
量子光源として2光子コムの導入する技術では、2光子コムを用いることにより、多重化量子メモリーが光子の吸収を行うために必要となる条件を満たす、通信波長帯に波長をもつ2個の光子が得られる。ここで、多重化量子メモリーが光子の吸収を行うために必要となる条件とは、光子が多重化量子メモリーを構成する物質の吸収波長帯に含まれるだけの狭いスペクトル線幅をもつことである。また、通信波長帯とは、光ファイバーによる長距離の伝送に適した波長帯であり、1.55マイクロメートル付近の波長を指す。
以下では、本実施形態に係る量子もつれ光源A11について詳しく説明する。量子もつれ光源A21の構成は量子もつれ光源A11と同様である。
図2は、本実施形態に係る量子もつれ光源A11の実施形態の一例を示す図である。量子もつれ光源A11は、入射光源1と、ボウタイ型共振器2とを備える。
入射光源1は、励起レーザ10と、波長変換素子11と、安定化気体セル12と、プローブ光生成用反射鏡13と、光検出器14とを備える。
励起レーザ10は、通信波長帯の波長の光LT1を出力する。光LT1の波長は、1.5マイクロメートルである。通信波長帯である波長1.5マイクロメートルの付近には、多くの原子や分子の吸収波長が存在する。励起レーザ10は、外部共振器型の半導体レーザである。
励起レーザ10が発生させた光LT1は、第1ビームスプリッターSP1に入射する。光LT1の一部は、第1ビームスプリッターSP1を透過し光LT11として出射する。光LT1の一部は、第1ビームスプリッターSP1において反射され光LT12として出射する。
光LT12は、第2ビームスプリッターSP2に入射する。光LT12に一部は、第2ビームスプリッターSP2を透過し光LT121として出射する。光LT12の一部は、第2ビームスプリッターSP2において反射され光LT122として出射する。光LT122は、ボウタイ型共振器に入射する。
光LT121は、安定化気体セル12に入射する。安定化気体セル12に入射した光LT121は、励起光として一部が安定化気体セル12の気体セルに吸収され、安定化気体セル12の気体セルに吸収されなかった一部が励起光LT123として安定化気体セル12から出射する。
安定化気体セル12は、励起レーザ10が出力する光LT1の波長の狭線幅を所定の値以下にして安定化させるために備えられる。ここで、所定の値とは周波数にして数メガヘルツである。
安定化気体セル12には、一例としてアセチレンガスが封入される。アセチレンは、通信波長帯である波長1.5マイクロメートルの付近に豊富な数の吸収線スペクトルをもつ。つまり、安定化気体セル12には、通信波長帯である波長1.5マイクロメートルの波長を吸収波長帯に含む気体が封入されている。安定化気体セル12に入射する励起光である光LT121の波長が、アセチレンの吸収線スペクトルの中心に一致する場合、波長の狭線幅において光LT121の吸収が飽和し、光LT121が安定化気体セル12のアセチレンに吸収される割合が減少する。
なお、安定化気体セル12の気体セルに封入される気体は、シアンガスでもよい。
安定化気体セル12から出射した励起光LT123は、プローブ光生成用反射鏡13において反射され、プローブ光LT124として安定化気体セル12に入射する。安定化気体セル12に入射したプローブ光LT124は、安定化気体セル12の気体セルに吸収されなかった一部が、プローブ光LT13として安定化気体セル12から出射される。
光検出器14は、安定化気体セル12から出射するプローブ光LT13を検出する。光検出器14は、プローブ光LT13を検出すると、信号SG1を生成し励起レーザ10に出力する。
励起レーザ10が出力する光LT1の波長が、アセチレンの吸収線スペクトルの中心に一致する場合、光LT121が安定化気体セル12のアセチレンに吸収される割合が減少する。光検出器14は、光LT121が安定化気体セル12のアセチレンに吸収される割合に基づいて信号SG1を生成する。光検出器14は、光LT121が安定化気体セル12のアセチレンに吸収される割合が減少する吸収線スペクトルの中心において信号SG1の電圧をゼロとし、吸収線スペクトルの中心からずれる場合において信号SG1の電圧を正または負の値とする。励起レーザ10は、信号SG1の割合の変化をモニタし、信号SG1の電圧の値がゼロとなるように、励起レーザ10が出力する光LT1の波長を調整する。励起レーザ10は、通信波長帯である波長1.5マイクロメートル付近において、光LT1の波長を、周波数にして数メガヘルツ程度の幅にまで安定化させる。
第1ビームスプリッターSP1を透過した光LT11は、波長変換素子11に入射する。波長変換素子11は、光LT11の波長を、通信波長帯である波長1.5マイクロメートルから750ナノメートルへと変換する。
波長変換素子11は、一例として周期的分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN:Periodically poled lithium niobate)である。周期的分極反転ニオブ酸リチウムは、高い非線形性を有する光学結晶であり、第二高調波発生(SHG:Second Harmonic Generation)により、入射した光LT11の波長の半分の波長をもつ光LT2を発生させる。つまり、波長変換素子11は、750ナノメートルの波長をもつ光LT2を発生させる。
波長変換素子11が発生させた光LT2はボウタイ型共振器2へと入射する。
入射光源1は、750ナノメートルの波長をもつ光LT2を生成するが、波長の線幅を狭くするためには、外部共振器付き半導体レーザー(通信波長帯である1.5マイクロメートルの波長の光)を用いる。入射光源1は、通信波長帯である1.5マイクロメートルの波長において安定化気体セル12を用いて励起レーザ10が生成する光の波長を安定化する。入射光源1は、1.5マイクロメートルにおいて、生成する光の波長の安定化をした後に、波長の安定化をした光を、波長変換素子11により750ナノメートルの波長の光へと変換する。
750ナノメートルの波長では、安定化気体セルに封入すべき気体として750ナノメートルの波長を吸収波長帯に含む適切な気体が知られていない。一方、入射光源1では、通信波長帯である1.5マイクロメートルの波長を吸収波長帯に含むアセチレンガスを安定化気体セル12に封入し、光の波長の安定化するために用いることができる。
ボウタイ型共振器2は、第1球面鏡20と、非線形結晶21と、第2球面鏡22と、第1平面鏡23と、第2平面鏡24と、積層ピエゾ素子25と、バンドパスフィルター26と、集光レンズ27とを備える。ボウタイ型共振器2は、非線形結晶21が発生させたもつれ光子対を所定の周回長以上周回させ、通信波長帯である1.5マイクロメートルの波長の狭線幅もつれ光子対を出射させる大型の共振器である。ここで所定の周回長とは、一例として60センチである。
集光レンズ27は、入射する光LT2を集光し光LT20とし、第1球面鏡20に入射させる。
第1球面鏡20は、入射する光LT20を集光しLT21とする。光LT21は、非線形結晶21に入射する。第1球面鏡20により、非線形結晶21には集光された光LT21が入射する。第1球面鏡20は、第2平面鏡24により反射されたもつれ光子対EP4をもつれ光子対EP5として反射する。
第2球面鏡22は、非線形結晶21が発生させたもつれ光子対EP1をもつれ光子対EP2として反射する。第2球面鏡22は、非線形結晶21を透過した光LT22を、透過または反射する。光LT22の波長はボウタイ型共振器を構成する鏡に高い透過率を示すため、光LT22が第2球面鏡22により反射される割合は小さく、光LT22は減衰する。
第1球面鏡20及び第2球面鏡22は、球面の反射面を有する。
第1平面鏡23は、第2球面鏡22が反射したもつれ光子対EP2をもつれ光子対EP3として反射する。
第2平面鏡24は、第1平面鏡23が反射したもつれ光子対EP3をもつれ光子対EP4として反射する。第2平面鏡24に入射するもつれ光子対EP3の中には、もつれ光子対EP6として出射するものがある。
第1平面鏡23及び第2平面鏡24は、平面の反射面を有する。
第1球面鏡20、第2球面鏡22、及び第1平面鏡23の反射率は、1.5マイクロメートルの光に対して99.9パーセント以上である。第2平面鏡24の反射率は、1.5マイクロメートルの光に対して95パーセント以上である。
積層ピエゾ素子25は、第1平面鏡23の位置を調整する。ボウタイ型共振器2にはLT122が入射し、入射したLT122の反射もしくは透過光をみることにより、積層ピエゾ素子25の制御に用いられる。光LT122の波長は1.5マイクロメートルであり、励起レーザ10により安定化気体セル12を用いて波長の安定度は周波数にして数メガヘルツ以下にまで狭められている。積層ピエゾ素子25は、光LT122の波長1.5マイクロメートルに、ボウタイ型共振器2を周回するもつれ光子対が共振するように第1平面鏡23の位置を調整する。
積層ピエゾ素子25は、電圧が印加されることにより厚みが変化する。積層ピエゾ素子25には、第1平面鏡23が張り付けられており、積層ピエゾ素子25の厚みが変化することにより第1平面鏡23の位置が調整される。
非線形結晶21は、入射した光LT21の一部からもつれ光子対EP1を生成する。もつれ光子対EP1の波長は、光LT21の波長750ナノメートルの2倍である1.5マイクロメートルである。
非線形結晶21は、一例として周期的分極反転ニオブ酸リチウムである。非線形結晶21は、パラメトリック下方変換(PDC:Parametric down Conversion)により、入射した光LT21の2倍の波長をもつもつれ光子対EP1を生成する。
入射した光LT21の一部は、非線形結晶21を光LT21として透過する。第1球面鏡20により反射されたもつれ光子対EP5は、非線形結晶21をもつれ光子対EP1として透過する。
バンドパスフィルター26は、通信波長帯である1.5マイクロメートル付近の波長をもつ光を透過させ、1.5マイクロメートル付近以外の波長をもつ光を減衰させる。第2平面鏡24を透過したもつれ光子対EP6は、バンドパスフィルター26に入射する。バンドパスフィルター26は、入射するもつれ光子対EP6を光LT1−1及び光LT1−2として透過させる。光LT1−1及び光LT1−2はもつれ光子対である。
ボウタイ型共振器2では、ボウタイ型の共振器である。つまり、ボウタイ型共振器2は、もつれ光子対が周回する経路が交差する光路を有している。ボウタイ型共振器2はボウタイ型であるため、光LT21及びもつれ光子対EP5は、第1球面鏡20から第2球面鏡22の向きへと非線形結晶21に入射する。ボウタイ型共振器2では、ファブリー・ペロー共振器などとは異なり、ビームが共振器内を周回するときに、一方向からしか非線形結晶21に入射しない。ボウタイ型共振器2では、戻り光が励起レーザ10に戻り周波数安定化を困難にすることなどを抑制することができる。
ボウタイ型共振器2では、光LT21は集光レンズ27及び第1球面鏡20により集光されるため、絞られたビームを非線形結晶21に入射することができる。
ボウタイ型共振器2では、周回長および平均周回数は、量子もつれ光源A11が出射させるもつれ光子対である光LT1−1及び光LT1−2を吸収する量子メモリーの吸収波長帯に基づく線幅に基づいて決められる。ここで、もつれ光子対である光LT1−1及び光LT1−2を吸収する量子メモリーの吸収波長帯に基づく狭線幅とは、数メガヘルツ以下である。
出射されるビーム波長の線幅は、一般に共振器内を周回するビームの寿命に反比例する。共振器内を周回するビームの寿命は、共振器の周回長に比例するため、出射されるビームの波長の線幅は、共振器の周回長に反比例する。一方、共振器の周回長を長くし過ぎると、回折によるビームの損失や、非線形結晶21を通過することによるビームの損失などのために、共振器から出射できるビームの量が減ってしまう。ボウタイ型共振器2では、光子対の周回長が例えば60センチメートルにされている。これにより、ボウタイ型共振器2は、量子メモリーの吸収波長帯に基づく狭線幅をもつもつれ光を出射することを可能にしている。
ボウタイ型共振器2は、共振器としては大型であるが、ボウタイ型共振器2ボウタイ型であるため、同じ長さの周回長をもつリング型の共振器に比べ、占有する面積が小さくて済む。
以上に説明したように、本実施形態に係る量子もつれ光源A11は、量子通信に用いられる量子もつれ光源であって、非線形結晶21と、ボウタイ型共振器2とを備える。
非線形結晶21は、量子通信の伝送路の減衰特性に応じた波長をもつもつれ光子対EP1を発生させる。
ボウタイ型共振器2は、もつれ光子対を所定の周回長以上周回させ、周回させたもつれ光子対を出射させる。
この構成により、本実施形態に係る量子もつれ光源A11は、生成したもつれ光子対のうち共振器の共振波長に合うものだけを取り出すことができるため、通信波長帯において狭いスペクトル線幅をもつもつれ光子対を発生させることができる。
また、本実施形態に係る量子もつれ光源A11では、所定の周回長および平均周回数は、量子もつれ光源A11が出射させるもつれ光子対を吸収する量子メモリーの吸収波長帯に基づく狭線幅に基づく。
この構成により、本実施形態に係る量子もつれ光源A11は、通信波長帯において、量子もつれ光源A11が出射させるもつれ光子対を吸収する量子メモリーの吸収波長帯に基づく狭線幅をもつもつれ光子対を発生させることができる。
また、本実施形態に係る量子もつれ光源A11では、共振器(ボウタイ型共振器2)は、もつれ光子対が周回する経路が交差する光路を有する。
この構成により、量子もつれ光源A11では、非線形結晶21に入射する入射光の進行方向とは逆向きに進む光がないため、入射光源1側に戻る光がボウタイ型でない共振器の場合に比べて非常に少なく、量子もつれ光源A11の動作が不安定になることを避けることができる。
また、本実施形態に係る量子もつれ光源A11は、非線形結晶21に入射させる入射光を発生させる入射光源1をさらに備える。入射光源1は、励起レーザ10と、気体セル(安定化気体セル12)と、波長変換素子11とを備える。
励起レーザ10は、第1の波長をもつ光を発生させる。
気体セル(安定化気体セル12)は、第1の波長を吸収波長帯に含む気体(アセチレンガス)が封入されている。
波長変換素子11は、気体セル(安定化気体セル12)を用いて波長が安定化された光の波長を第1の波長から第2の波長へと変換する。
この構成により、量子もつれ光源A11では、気体セル(安定化気体セル12)を用いて第1の波長において入射光の波長の安定化をすることができるため、非線形結晶21に入射する入射光の波長を安定化することができる。
また、本実施形態に係る量子もつれ光源A11では、気体セル(安定化気体セル12)に用いられる気体とは、アセチレンである。
この構成により、量子もつれ光源A11では、通信波長帯である1.5マイクロメートルの波長をもつ光の波長を安定化することができる。
なお、上記の本実施形態においては、量子もつれ光源A11が量子中継に用いられる場合について説明したが、量子もつれ光源A11の用途は量子中継のみに限られない。量子もつれ光源A11は、量子中継を必要としない量子通信に用いられてもよい。量子もつれ光源A11は、光ファイバーを用いた通信において、通信波長帯の波長の光を、周波数にして数メガヘルツ以下の狭線幅以下にするために用いられてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
S1…量子通信システム、A1、A2…ノード、A11、A21…量子もつれ光源、A12、B1、B4、A22…波長変換素子、A13、B2、B3、A23…量子メモリー、F1、F2…光ファイバー、1…入射光源、10…励起レーザ、11…波長変換素子、12…安定化気体セル、13…プローブ光生成用反射鏡、14…光検出器、SP1…第1ビームスプリッター、SP2…第2ビームスプリッター、2…ボウタイ型共振器、20…第1球面鏡、21…非線形結晶、22…第2球面鏡、23…第1平面鏡、24…第2平面鏡、25…積層ピエゾ素子、26…バンドパスフィルター、27…集光レンズ、LT1、LT11、LT12、LT121、LT122、LT2、LT20、LT21、LT22、LT1−1、LT1−2、LT1−3、LT1−4、LT2−1、LT2−2、LT2−3、LT2−4…光、LT123…励起光、LT13、LT124…プローブ光、SG1…信号、EP1、EP2、EP3、EP4、EP5、EP6…もつれ光子対

Claims (5)

  1. 量子通信に用いられる量子もつれ光源であって、
    前記量子通信の伝送路である光ファイバーの減衰特性に応じた1.5マイクロメートルから1.55マイクロメートルの波長をもつもつれ光子対を発生させる非線形結晶と、
    前記もつれ光子対を所定の平均周回数以上周回させ、周回させた前記もつれ光子対を出射させる共振器と
    を備える長距離量子通信用量子もつれ光源。
  2. 前記所定の平均周回数は、前記量子もつれ光源が出射させる前記もつれ光子対を吸収する量子メモリーの吸収波長帯に基づく狭線幅に基づく
    請求項1に記載の長距離量子通信用量子もつれ光源。
  3. 前記共振器は、前記もつれ光子対が周回する経路が交差する光路を有する
    請求項1または請求項2に記載の長距離量子通信用量子もつれ光源。
  4. 前記非線形結晶に入射させる入射光を発生させる入射光源をさらに備え、
    前記入射光源は、
    第1の波長をもつ光を発生させる励起レーザと、
    前記第1の波長を吸収波長帯に含む気体が封入された気体セルと、
    前記気体セルを用いて波長が安定化された前記光の波長を前記第1の波長から第2の波長へと変換する波長変換素子と、
    を備える
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の長距離量子通信用量子もつれ光源。
  5. 前記気体セルに用いられる前記気体とは、アセチレンである
    請求項4に記載の長距離量子通信用量子もつれ光源。
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