以下、本願が開示する端末装置、基地局装置、無線通信システム及び無線通信方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る基地局装置100の構成を示すブロック図である。図1に示す基地局装置100は、無線部110、プロセッサ120、メモリ130及びネットワークインタフェース(以下「ネットワークI/F」と略記する)140を有する。
無線部110は、アンテナに接続されており、プロセッサ120から出力される送信信号に対して無線送信処理を施して、アンテナから無線送信する。また、無線部110は、アンテナを介して受信された受信信号に対して無線受信処理を施して、プロセッサ120へ出力する。無線部110は、基地局装置100が属する無線通信システムが占有するライセンスバンドの信号を送受信可能であるとともに、複数の無線通信システムが共有するアンライセンスバンドの信号を送受信可能である。
プロセッサ120は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital Signal Processor)などを備え、無線部110、メモリ130及びネットワークI/F140を統括制御する。また、プロセッサ120は、アンライセンスバンドにおけるランダムアクセス処理を実行する。具体的には、プロセッサ120は、ランダムアクセス処理部(以下「RA処理部」と略記する)121、ランダムアクセスリソース(以下「RAリソース」と略記する)情報生成部122及びLBT処理部123を有する。
RA処理部121は、所定の周期でアンライセンスバンドにおけるランダムアクセスを実行することを決定し、RAリソース情報生成部122に対して、RAリソース情報の送信を指示する。なお、所定の周期は、例えば基地局装置100に接続されている端末装置の数などに基づいて決定される。また、RAリソース情報の送信タイミングは、LBT処理に応じた準周期的な送信タイミングであっても良い。準周期的な送信タイミングとは、例えばRAリソース情報を送信するためのウインドウを周期的に設け、ウインドウ内におけるLBT処理の結果、送信可能となる送信タイミングを指す。このような準周期的な送信タイミングに従う場合には、RAリソース情報の実際の送信タイミングは、必ずしも完全に周期的になっていなくても良い。周期の長さやウインドウの長さに関する情報は、例えばRRCシグナリングで報知されたり、RAリソース情報と同時に送信されたりしても良い。
RA処理部121は、RAリソース情報によって指定されたRAリソースを用いて端末装置から送信されたプリアンブルを取得し、端末装置から基地局装置100へ向かう上り回線の送信を許可する端末装置を決定する。さらに、RA処理部121は、送信を許可する端末装置を示すランダムアクセスレスポンス(以下「RAレスポンス」と略記する)を無線部110を介して送信する。このとき、RA処理部121は、送信を許可する端末装置からのプリアンブル受信タイミングに基づいて、この端末装置からの送信タイミングを調整するタイミングアドバンスを実行する。すなわち、RA処理部121は、端末装置からの伝搬遅延に相当する分だけ送信タイミングを早めるように指示するタイミングアドバンスコマンド(以下「TAコマンド」という)をRAレスポンスに含めて送信する。
RAリソース情報生成部122は、RA処理部121からの指示に従って、RAリソースを特定するためのRAリソース情報を生成する。具体的には、RAリソース情報生成部122は、RAリソース情報を含む下り回線のサブフレームを基準とした、端末装置からのプリアンブルの送信を受け付けるタイミングと、アンライセンスバンドのうちプリアンブルの送信に用いられる周波数とを示すRAリソース情報を生成する。また、RAリソース情報生成部122は、複数のタイミングでプリアンブルの送信を受け付けるために、RAリソースが繰り返される回数とそれぞれのRAリソースの時間間隔とを示すRAリソース情報を生成しても良い。
ここで、RAリソースは、時間と周波数から構成され端末装置がプリアンブルの送信に用いるリソースである。したがって、例えば図2に示すように、RAリソースR1、R2及びR3は、RAリソース情報151を送信するサブフレームの先頭の時刻t0を基準としたタイミングでアンライセンスバンド内の周波数に配置される。図2においては、時刻t0から時間t1後にRAリソースR1が配置され、RAリソースR1からそれぞれ時間t2の間隔を空けてRAリソースR2及びR3が配置される。このため、RAリソース情報151は、時間t1及びt2の情報やRAリソースR1、R2及びR3の周波数の情報などを含む。なお、各RAリソースR1、R2及びR3の時間長は、例えば1サブフレーム長などであっても良い。
LBT処理部123は、RAリソース情報生成部122によってRAリソース情報が生成されると、LBT処理を実行してアンライセンスバンドの空き状況を確認する。すなわち、LBT処理部123は、アンライセンスバンドに対する受信処理を実行し、受信電力が所定の閾値以下であるか否かを判定する。そして、LBT処理部123は、受信電力が所定の閾値以下である期間が所定時間以上継続すると、アンライセンスバンドが空いていると判断し、RAリソース情報を下り回線のサブフレームにおいて送信する。すなわち、LBT処理部123は、RAリソース情報を含むリソース特定信号を送信する。なお、LBT処理部123は、基地局装置100が属する無線通信システムによって既にアンライセンスバンドが使用中である場合には、LBTを実行することなくRAリソース情報を含むリソース特定信号を送信しても良い。
メモリ130は、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などを備え、プロセッサ120による処理に用いられる情報を記憶する。
ネットワークI/F140は、上位ネットワークや他の基地局装置と有線接続されるインタフェースである。
図3は、実施の形態1に係る端末装置200の構成を示すブロック図である。図3に示す端末装置200は、無線部210、プロセッサ220、メモリ230及びディスプレイ240を有する。
無線部210は、アンテナに接続されており、アンテナを介して受信された受信信号に対して無線受信処理を施して、プロセッサ220へ出力する。また、無線部210は、プロセッサ220から出力される送信信号に対して無線送信処理を施して、アンテナから無線送信する。無線部210は、端末装置200が属する無線通信システムが占有するライセンスバンドの信号を送受信可能であるとともに、複数の無線通信システムが共有するアンライセンスバンドの信号を送受信可能である。
プロセッサ220は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備え、無線部210、メモリ230及びディスプレイ240を統括制御する。また、プロセッサ220は、アンライセンスバンドにおけるランダムアクセス処理を実行する。具体的には、プロセッサ220は、RAリソース情報取得部221、プリアンブル送信制御部222、LBT処理部223、送信遅延保持部224、RAレスポンス取得部225及び上りタイミング制御部226を有する。
RAリソース情報取得部221は、例えばアンライセンスバンドの上り回線を利用して送信するデータが発生した場合に、無線部210によって受信されたアンライセンスバンドの信号からRAリソース情報を取得する。すなわち、RAリソース情報取得部221は、基地局装置100から所定の周期で送信されるRAリソース情報を取得する。RAリソース情報には、RAリソース情報を含む下り回線のサブフレームを基準としたRAリソースのタイミングまでの時間と、アンライセンスバンドのうちRAリソースとして用いられる周波数とが示されている。
プリアンブル送信制御部222は、RAリソース情報取得部221によって取得されたRAリソース情報に従って、ランダムアクセスのためのプリアンブルの送信を制御する。具体的には、プリアンブル送信制御部222は、例えばRRCシグナリングによって報知されているプリアンブルの候補からランダムに1つのプリアンブルを選択する。そして、プリアンブル送信制御部222は、選択したプリアンブルをRAリソース情報によって示されるRAリソースを用いて送信するように、LBT処理部223へ指示する。
LBT処理部223は、アンライセンスバンドを用いた信号の送信に先立って、アンライセンスバンドに対する受信処理を実行し、他の無線通信システムがアンライセンスバンドを使用中であるか否かを判断する。すなわち、LBT処理部223は、アンライセンスバンドにおける受信電力が所定の閾値以上である場合には、アンライセンスバンドが他の無線通信システムによって使用中であるビジー状態と判断する。一方、LBT処理部223は、アンライセンスバンドにおける受信電力が所定の閾値未満である場合には、アンライセンスバンドが他の無線通信システムによって使用されていないアイドル状態と判断する。そして、LBT処理部223は、アイドル状態が所定時間継続すると、アンライセンスバンドを用いた信号の送信を開始する。
LBT処理部223は、プリアンブル送信制御部222からプリアンブルの送信を指示されると、アンライセンスバンドがビジー状態であるかアイドル状態であるかを判断する。そして、LBT処理部223は、アイドル状態が所定時間継続すると、プリアンブル送信制御部222から指示されたプリアンブルを無線部210を介して送信する。このとき、LBT処理部223は、RAリソース情報によって示されるRAリソースの先頭から実際にプリアンブルが送信されるまでの送信遅延を送信遅延保持部224へ通知する。すなわち、LBT処理部223は、アンライセンスバンドのアイドル状態が所定時間継続し、プリアンブルの送信が可能になるまでの送信遅延を送信遅延保持部224へ通知する。
具体的には、例えば図4に示すように、RAリソース情報によって示されるRAリソース251の先頭から時間Tbだけビジー状態が継続した後、時間Tiだけアイドル状態が継続し、その後プリアンブル252が送信されたものとする。この場合、時間Tbと時間Tiとの合計が送信遅延として送信遅延保持部224へ通知される。また、RAリソース情報に最大許容遅延τの情報が含まれている場合は、LBT処理部223は、送信遅延が最大許容遅延τ以下である場合にのみプリアンブル252を送信する。換言すれば、LBT処理部223は、最大許容遅延τを超えてもプリアンブルの送信が可能にならない場合は、プリアンブルの送信を中止する。ここで、最大許容遅延τは、RAリソース251の時間長とプリアンブル252の時間長とに加えて、サブフレーム間の干渉を抑制するためのガードピリオド長と基地局装置100のタイミング調整能力となどを考慮して決定されている。
図3に戻って、送信遅延保持部224は、RAリソースの先頭のタイミングからLBT処理部223によって実際にプリアンブルが送信されるまでの送信遅延を保持する。すなわち、送信遅延保持部224は、LBT処理によって発生したプリアンブル送信までの送信遅延を保持する。
RAレスポンス取得部225は、プリアンブルの送信が完了した後、無線部210によって受信されたアンライセンスバンドの信号からRAレスポンスを取得する。すなわち、RAレスポンス取得部225は、プリアンブルを受信した基地局装置100がいずれかの端末装置に対して上り回線の送信を許可するためのRAレスポンスを取得する。
上りタイミング制御部226は、RAレスポンス取得部225によってRAレスポンスを参照して、端末装置200による送信が許可されたか否かを判断し、送信が許可された場合には、送信データを送信するタイミングを制御する。具体的には、上りタイミング制御部226は、RAレスポンスに含まれるタイミングアドバンスコマンド(TAコマンド)を取得し、TAコマンドによって指定される送信タイミングよりも送信遅延保持部224によって保持された送信遅延だけ後のタイミングで送信データを送信する。
TAコマンドは、基地局装置100におけるプリアンブルの受信タイミングに基づく端末装置200の送信タイミングを指定する。しかしながら、基地局装置100におけるプリアンブルの受信タイミングは、端末装置200と基地局装置100の間の伝搬遅延のみではなく、LBT処理部223によるLBT処理の送信遅延の分も遅延する。したがって、TAコマンドに従った送信タイミングで送信データを送信すると、LBT処理の送信遅延の分だけ過剰に早いタイミングで送信データを送信することになる。そこで、上りタイミング制御部226は、TAコマンドによって指定される送信タイミングよりも送信遅延保持部224によって保持された送信遅延の分だけ送信タイミングを遅らせる。
メモリ230は、例えばRAM又はROMなどを備え、プロセッサ220による処理に用いられる情報を記憶する。
ディスプレイ240は、例えば液晶パネルなどを備え、プロセッサ220の指示に従って種々の情報を表示する。ディスプレイ240は、例えばライセンスバンドを使用する通信中であるのかアンライセンスバンドを使用する通信中であるのかを示す通信種別などを表示しても良い。
次いで、上記のように構成された基地局装置100及び端末装置200による無線通信処理について、図5に示すシーケンス図を参照しながら説明する。図5は、端末装置200がアンライセンスバンドの上り回線を利用してデータを送信する場合の無線通信処理を示す。したがって、以下の説明における基地局装置100及び端末装置200間の無線通信は、特に注記しないかぎり、アンライセンスバンドを用いて行われる。
基地局装置100のRA処理部121からの指示により、RAリソース情報生成部122によって生成されたRAリソース情報が周期的に送信される(ステップS101)。上り回線で送信すべき送信データが発生した端末装置200は、RAリソース情報を受信し、RAリソース情報取得部221によってRAリソース情報が取得される。そして、プリアンブル送信制御部222によって、あらかじめ報知されたプリアンブルの候補の中からランダムでプリアンブルが決定される(ステップS102)。決定されたプリアンブルは、LBT処理部223へ通知され、LBT処理部223によってRAリソース情報が示すRAリソースを用いたプリアンブルの送信が実行される(ステップS103)。すなわち、RAリソースのタイミングにおいて、RAリソースの周波数が用いられてプリアンブルが送信される。RAリソースのタイミングは、RAリソース情報を含む下り回線のサブフレームの先頭を基準としたタイミングである。
RAリソースを用いたプリアンブルの送信に際しては、LBT処理部223によって、LBT処理が実行され、アンライセンスバンドのアイドル状態が所定時間継続した場合にプリアンブルが送信される。このため、プリアンブルが実際に送信されるタイミングは、RAリソースの先頭よりも後のタイミングとなる。そこで、RAリソースの先頭から実際にプリアンブルが送信されるまでの送信遅延がLBT処理部223から送信遅延保持部224へ通知されて保持される(ステップS104)。
端末装置200から送信されたプリアンブルは、基地局装置100によって受信され、RA処理部121によって、プリアンブルを送信した端末装置の中から送信を許可する端末装置が選択される。そして、RA処理部121によって、送信を許可する端末装置を示すRAレスポンスが送信される(ステップS105)。このRAレスポンスには、伝搬遅延に相当する分だけ送信タイミングを早めるように指示するTAコマンドが含まれている。また、ここでは端末装置200からの送信を許可する旨のRAレスポンスが送信されたものとする。
基地局装置100から送信されたRAレスポンスは、端末装置200によって受信され、RAレスポンス取得部225によって取得される。そして、上りタイミング制御部226によって、端末装置200からの送信が許可されたことがRAレスポンスに基づいて確認されると、送信データを送信するタイミングが調整される(ステップS106)。具体的には、RAレスポンスに含まれるTAコマンドが示す送信タイミングよりも送信遅延保持部224によって保持された送信遅延だけ遅いタイミングに送信タイミングが設定される。そして、この送信タイミングで送信データが送信される(ステップS107)。
このように、RAリソース情報を含む下り回線のサブフレームを基準としたタイミングのRAリソースを用いてプリアンブルが送信されるため、RAリソースが周期的に配置されなくてもランダムアクセスを実行することが可能となる。また、プリアンブル送信時にLBT処理によって発生する送信遅延を考慮して送信データの送信タイミングが調整されるため、タイミングアドバンスによって過剰に送信タイミングが早められることがない。
次に、ランダムアクセス時の端末装置200の処理について、図6に示すフロー図を参照しながら説明する。
例えばアンライセンスバンドの上り回線を利用して送信するデータの発生などのランダムアクセスのトリガ(以下「RAトリガ」という)が生じると(ステップS201)、RAリソース情報取得部221によって、RAリソース情報が取得される(ステップS202)。RAトリガとしては、上述した上り回線のスケジューリングの要求以外にも、例えばハンドオーバによる新たな基地局装置との無線通信の開始や、タイミングアドバンスの調整の要求などがある。
RAリソース情報取得部221によって取得されるRAリソース情報には、RAリソース情報を含む下り回線のサブフレームを基準としたRAリソースのタイミングと、RAリソースの周波数とが含まれている。また、RAリソース情報には、RAリソースの先頭からプリアンブルの送信を開始するまでに許容される最大許容遅延や、複数のRAリソース間の時間間隔などが含まれていても良い。
RAリソース情報が取得された後、プリアンブル送信制御部222によって、プリアンブルの候補の中からランダムで1つのプリアンブルが決定される(ステップS203)。プリアンブルの候補は、例えばRRCシグナリングなどによってあらかじめ基地局装置100から報知されている。決定されたプリアンブルは、LBT処理部223へ通知され、RAリソースを用いたプリアンブルの送信が指示される。
この指示を受け、LBT処理部223によって、RAリソースのタイミングにおいてアンライセンスバンドが空いているか否かを判断するLBT処理が実行される(ステップS204)。すなわち、アンライセンスバンドに対する受信処理が実行され、受信電力が所定の閾値以上であるか否かが判定される。この判定の結果、受信電力が所定の閾値以上である場合には、他の無線通信システムによってアンライセンスバンドが使用されているビジー状態であり、アンライセンスバンドが空いていないと判断される(ステップS204No)。この場合には、RAリソースの先頭からの経過時間がRAリソース情報によって示される最大許容遅延内であるか否かが判定される(ステップS205)。そして、最大許容遅延を超えている場合には(ステップS205No)、今回のRAリソースを用いたプリアンブルの送信は中止され、次回以降のRAリソースのタイミングで再度LBT処理が実行される。
一方、RAリソースの先頭からの経過時間が最大許容遅延内である場合には(ステップS205Yes)、引き続きLBT処理が継続され、アンライセンスバンドがビジー状態であるかアイドル状態であるか判定される。そして、アンライセンスバンドの受信電力が所定の閾値未満となるアイドル状態が所定時間継続すると、アンライセンスバンドが空いていると判断される(ステップS204Yes)。この場合には、プリアンブル送信制御部222によって決定されたプリアンブルがRAリソースの周波数を用いて送信される(ステップS206)。ここでは、RAリソースの先頭のタイミングから最大許容遅延を超えることなくプリアンブル送信が開始されているため、プリアンブル送信は、RAリソースの時間内に完了する。
プリアンブルの送信と同時に、プリアンブル送信が開始されるまでに要したLBT処理による送信遅延が送信遅延保持部224によって保持される(ステップS207)。この送信遅延は、端末装置200から基地局装置100までの距離に応じた伝搬遅延とは異なるため、タイミングアドバンスによって調整される時間から差し引かれる。
プリアンブルの送信後、基地局装置100においては、プリアンブルを送信した端末装置の中から送信を許可する端末装置が選択される。そして、選択された端末装置を通知するとともにTAコマンドを含むRAレスポンスが基地局装置100から送信される。RAレスポンスは、端末装置200の無線部210によって受信され(ステップS208)、RAレスポンス取得部225によって取得される。取得されたRAレスポンスは、上りタイミング制御部226によって参照され、端末装置200による送信が許可されたか否かが判断される(ステップS209)。
端末装置200以外の他の端末装置による送信が許可されている場合には(ステップS209No)、端末装置200は、再度RAリソース情報を取得して、上述した処理を繰り返す。一方、端末装置200による送信が許可されている場合には(ステップS209Yes)、上りタイミング制御部226によって、送信遅延保持部224によって保持されている送信遅延が取得される。そして、上りタイミング制御部226によって、RAレスポンスに含まれるTAコマンドによって指定される送信タイミングよりも送信遅延だけ遅いタイミングが送信タイミングに設定される(ステップS210)。これにより、伝搬遅延とは無関係のLBT処理による送信遅延の影響を排除した送信タイミングを設定することができ、正確なタイミングアドバンスが可能となる。
そして、上りタイミング制御部226によって、設定された送信タイミングで送信データが送信され(ステップS211)、ランダムアクセス処理が完了する。
以上のように、本実施の形態によれば、プリアンブルを送信するためのRAリソースの時刻と周波数がRAリソース情報によって通知され、RAリソースはRAリソース情報を含む下り回線のサブフレームを基準とした時刻に配置される。このため、RAリソースが周期的に配置されなくても、端末装置がプリアンブルを送信することができ、複数の無線通信システムによって共有されるアンライセンスバンドにおけるランダムアクセスを実現することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2の特徴は、ランダムアクセス開始の契機となるRAトリガに応じて、プリアンブル送信の遅延を許容するか否かを決定する点である。
実施の形態2に係る基地局装置及び端末装置の構成は、実施の形態1に係る基地局装置100(図1)及び端末装置200(図3)と同様であるため、その説明を省略する。実施の形態2においては、ランダムアクセス時の端末装置の処理が実施の形態1とは異なる。
図7は、実施の形態2に係る端末装置のランダムアクセス処理を示すフロー図である。図7において、図6と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
例えばアンライセンスバンドの上り回線を利用して送信するデータの発生などのRAトリガが生じると(ステップS201)、RAリソース情報取得部221によって、RAリソース情報が取得される(ステップS202)。RAトリガとしては、上述した上り回線のスケジューリングの要求以外にも、例えばハンドオーバによる新たな基地局装置との無線通信の開始や、タイミングアドバンスの調整の要求などがある。
RAリソース情報が取得された後、プリアンブル送信制御部222によって、RAトリガごとのプリアンブルの候補の中からランダムで1つのプリアンブルが決定される(ステップS301)。すなわち、本実施の形態においては、RAトリガによってプリアンブルの候補が異なる。例えば、RAトリガがタイミングアドバンスの調整の要求である場合には、識別番号1〜16のプリアンブルがプリアンブルの候補として用いられ、RAトリガが上り回線のスケジューリングの要求である場合には、識別番号17〜64のプリアンブルがプリアンブルの候補として用いられる。これらのプリアンブルの候補の種別は、例えばRRCシグナリングなどによってあらかじめ基地局装置から報知されている。そして、プリアンブル送信制御部222によってプリアンブルが決定される際には、RAトリガに応じたプリアンブルの候補の中から1つのプリアンブルが選択される。
決定されたプリアンブルは、LBT処理部223へ通知され、RAリソースを用いたプリアンブルの送信が指示される。この指示を受け、LBT処理部223によって、RAリソースのタイミングにおいてアンライセンスバンドが空いているか否かを判断するLBT処理が実行される(ステップS204)。この結果、他の無線通信システムによってアンライセンスバンドが使用されているビジー状態であり、アンライセンスバンドが空いていないと判断された場合には(ステップS204No)、RAトリガがタイミングアドバンスの調整の要求であるか否かが判定される(ステップS302)。
ここで、タイミングアドバンスの調整のためにランダムアクセスが実行される場合には、プリアンブルが基地局装置へ受信されるまでの伝搬遅延に応じて、基地局装置からTAコマンドを含むRAレスポンスが送信される。したがって、端末装置からプリアンブルが送信されるタイミングは、LBT処理による送信遅延を含まずに、RAリソースのタイミングから確定されることが好ましい。すなわち、プリアンブルを受信する基地局装置は、LBT処理による送信遅延と伝搬遅延とを区別しないため、プリアンブルが送信されるまでの送信遅延は、基地局装置において既知であることが好ましい。
そこで、アンライセンスバンドが空いておらず、RAトリガがタイミングアドバンスの調整の要求である場合には(ステップS302Yes)、今回のRAリソースを用いたプリアンブルの送信は中止され、次回以降のRAリソースのタイミングで再度LBT処理が実行される。これにより、RAトリガがタイミングアドバンスの調整の要求である場合には、LBT処理による不確定な送信遅延が発生することがない。結果として、基地局装置は、端末装置から送信されるプリアンブルの伝搬遅延を正確に推定することができ、適切な送信タイミングを指定するTAコマンドをRAレスポンスに含めることができる。
一方、ステップS302の判定の結果、RAトリガがタイミングアドバンスの調整の要求ではない場合は(ステップS302No)、RAリソースの先頭からの経過時間がRAリソース情報によって示される最大許容遅延内であるか否かが判定される(ステップS205)。そして、最大許容遅延を超えている場合には(ステップS205No)、今回のRAリソースを用いたプリアンブルの送信は中止され、次回以降のRAリソースのタイミングで再度LBT処理が実行される。
また、RAリソースの先頭からの経過時間が最大許容遅延内である場合には(ステップS205Yes)、引き続きLBT処理が継続され、アンライセンスバンドがビジー状態であるかアイドル状態であるか判定される。そして、アンライセンスバンドの受信電力が所定の閾値未満となるアイドル状態が所定時間継続すると、アンライセンスバンドが空いていると判断される(ステップS204Yes)。この場合には、プリアンブル送信制御部222によって決定されたプリアンブルがRAリソースの周波数を用いて送信される(ステップS206)。
プリアンブルの送信と同時に、プリアンブル送信が開始されるまでに要したLBT処理による送信遅延が送信遅延保持部224によって保持される(ステップS207)。そして、基地局装置においては、プリアンブルを送信した端末装置の中から送信を許可する端末装置が選択され、選択された端末装置を通知するとともにTAコマンドを含むRAレスポンスが送信される。RAレスポンスは、無線部210によって受信され(ステップS208)、RAレスポンス取得部225によって取得される。取得されたRAレスポンスは、上りタイミング制御部226によって参照され、自端末装置による送信が許可されたか否かが判断される(ステップS209)。
自端末装置以外の他の端末装置による送信が許可されている場合には(ステップS209No)、再度RAリソース情報が取得され、上述した処理が繰り返される。一方、自端末装置による送信が許可されている場合には(ステップS209Yes)、上りタイミング制御部226によって、送信遅延保持部224によって保持されている送信遅延が取得され、送信タイミングが調整される(ステップS210)。そして、上りタイミング制御部226によって、調整された送信タイミングで送信データが送信され(ステップS211)、ランダムアクセス処理が完了する。
以上のように、本実施の形態によれば、RAトリガがタイミングアドバンスの調整の要求である場合には、端末装置からプリアンブルが送信される際のLBT処理による送信遅延を許容せず、他のRAトリガについては、最大許容遅延までの送信遅延を許容する。このため、タイミングアドバンスの調整のためにランダムアクセスが実行される場合、基地局装置においてプリアンブルの伝搬遅延を正確に推定することができ、適切な送信タイミングを指定するTAコマンドをRAレスポンスに含めることができる。
(実施の形態3)
実施の形態3の特徴は、プリアンブルの送信後、所定時間が経過してもRAレスポンスが受信されない場合に、次回以降は周波数方向に複数のRAリソースを用いてプリアンブルを送信する点である。
実施の形態3に係る基地局装置及び端末装置の構成は、実施の形態1に係る基地局装置100(図1)及び端末装置200(図3)と同様であるため、その説明を省略する。実施の形態3においては、RAリソースの配置が実施の形態1とは異なる。
図8は、実施の形態3に係るRAリソースの配置の具体例である。図8に示すように、RAリソースR11、R12、R21、R22、R31及びR32は、RAリソース情報301を送信するサブフレームの先頭の時刻t0を基準としたタイミングでアンライセンスバンド内の周波数に配置される。図8においては、時刻t0から時間t1後にRAリソースR11及びR12が配置され、RAリソースR11、R12からそれぞれ時間t2の間隔を空けてRAリソースR21、R22及びRAリソースR31、R32が配置される。また、RAリソースR11、R12は、同一時間の異なる周波数に配置される。同様に、RAリソースR21、R22も同一時間の異なる周波数に配置され、RAリソースR31、R32も同一時間の異なる周波数に配置される。
このように、周波数方向に複数のRAリソースを配置することにより、例えば周波数当たりの送信電力の上限が規定されている場合に、複数のRAリソースによって同一のプリアンブルを送信し、規定を遵守しつつプリアンブルの送信電力を上昇させることができる。結果として、プリアンブルを基地局装置に確実に受信させることができる。
図9は、実施の形態3に係る端末装置のランダムアクセス処理を示すフロー図である。図9において、図6と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
例えばアンライセンスバンドの上り回線を利用して送信するデータの発生などのRAトリガが生じると(ステップS201)、RAリソース情報取得部221によって、RAリソース情報が取得される(ステップS202)。RAリソース情報が取得された後、プリアンブル送信制御部222によって、前回のRAリソースを用いたランダムアクセスが失敗したか否かが判定される(ステップS401)。具体的には、プリアンブル送信制御部222によって、既にRAリソースを用いてプリアンブルを送信したにも関わらず、RAレスポンスを受信しないまま今回のRAリソース情報が取得されたか否かが判定される。
この判定の結果、前回のランダムアクセスが失敗している場合には(ステップS401Yes)、今回のRAリソース情報が参照され、ランダムアクセスが失敗した際よりも使用するRAリソースを増加させることが決定される(ステップS402)。すなわち、例えば図8に示したRAリソースの配置の場合、前回のプリアンブル送信がRAリソースR11のみを使用して実行されていれば、今回のプリアンブル送信にはRAリソースR11、R12を使用すると決定される。このように、前回のランダムアクセスが失敗した場合には、今回は周波数方向に複数のRAリソースを同時に使用してプリアンブルを送信することが決定される。このため、周波数当たりの送信電力の上限が規定されている場合でも、プリアンブルの送信電力を上昇させることができ、基地局装置にプリアンブルを正しく受信させることが可能となる。結果として、基地局装置からはRAレスポンスが送信され、ランダムアクセスを成功させることができる。
前回のランダムアクセスが成功している場合(ステップS401No)や使用するRAリソースを増加させた後には、プリアンブル送信制御部222によって、プリアンブルの候補の中からランダムで1つのプリアンブルが決定される(ステップS203)。決定されたプリアンブルは、LBT処理部223へ通知され、RAリソースを用いたプリアンブルの送信が指示される。
この指示を受け、LBT処理部223によって、RAリソースのタイミングにおいてアンライセンスバンドが空いているか否かを判断するLBT処理が実行される(ステップS204)。この結果、他の無線通信システムによってアンライセンスバンドが使用されているビジー状態であり、アンライセンスバンドが空いていないと判断された場合には(ステップS204No)、RAリソースの先頭からの経過時間がRAリソース情報によって示される最大許容遅延内であるか否かが判定される(ステップS205)。そして、最大許容遅延を超えている場合には(ステップS205No)、今回のRAリソースを用いたプリアンブルの送信は中止され、次回以降のRAリソースのタイミングで再度LBT処理が実行される。
また、RAリソースの先頭からの経過時間が最大許容遅延内である場合には(ステップS205Yes)、引き続きLBT処理が継続され、アンライセンスバンドがビジー状態であるかアイドル状態であるか判定される。そして、アンライセンスバンドの受信電力が所定の閾値未満となるアイドル状態が所定時間継続すると、アンライセンスバンドが空いていると判断される(ステップS204Yes)。この場合には、プリアンブル送信制御部222によって決定されたプリアンブルがRAリソースの周波数を用いて送信される(ステップS206)。ここでは、前回のランダムアクセスが失敗したか否かによって、プリアンブルの送信に使用されるRAリソースの数が異なる。すなわち、前回のランダムアクセスが失敗している場合には、前回のランダムアクセスよりも多くのRAリソースが同時に使用されてプリアンブルが送信される。
プリアンブルの送信と同時に、プリアンブル送信が開始されるまでに要したLBT処理による送信遅延が送信遅延保持部224によって保持される(ステップS207)。そして、基地局装置においては、プリアンブルを送信した端末装置の中から送信を許可する端末装置が選択され、選択された端末装置を通知するとともにTAコマンドを含むRAレスポンスが送信される。RAレスポンスは、無線部210によって受信され(ステップS208)、RAレスポンス取得部225によって取得される。取得されたRAレスポンスは、上りタイミング制御部226によって参照され、自端末装置による送信が許可されたか否かが判断される(ステップS209)。
自端末装置以外の他の端末装置による送信が許可されている場合には(ステップS209No)、再度RAリソース情報が取得され、上述した処理が繰り返される。一方、自端末装置による送信が許可されている場合には(ステップS209Yes)、上りタイミング制御部226によって、送信遅延保持部224によって保持されている送信遅延が取得され、送信タイミングが調整される(ステップS210)。そして、上りタイミング制御部226によって、調整された送信タイミングで送信データが送信され(ステップS211)、ランダムアクセス処理が完了する。
以上のように、本実施の形態によれば、前回のランダムアクセスが失敗した場合には、前回よりも多くのRAリソースを同時に用いてプリアンブルが送信される。このため、周波数当たりの送信電力の上限が規定されている場合でも、プリアンブルの送信電力を上昇させることができ、基地局装置にプリアンブルを正しく受信させることが可能となる。結果として、基地局装置からはRAレスポンスが送信され、ランダムアクセスを成功させることができる。
(実施の形態4)
実施の形態4の特徴は、基地局装置がLBT処理を行った結果アンライセンスバンドが空いている場合にトリガ信号を送信し、端末装置がトリガ信号のタイミングを基準としたタイミングでプリアンブルを送信する点である。
図10は、実施の形態4に係る基地局装置100の構成を示すブロック図である。図10において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図10に示す基地局装置100は、図1に示す基地局装置100のプロセッサ120に代えてプロセッサ410を有する。
プロセッサ410は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備え、無線部110、メモリ130及びネットワークI/F140を統括制御する。また、プロセッサ410は、アンライセンスバンドにおけるランダムアクセス処理を実行する。具体的には、プロセッサ410は、RA処理部121、RAリソース情報生成部411、LBT処理部412及び鳥が信号生成部413を有する。
RAリソース情報生成部411は、RA処理部121からの指示に従って、RAリソース情報を生成する。具体的には、RAリソース情報生成部411は、トリガ信号を受信したタイミングでプリアンブルを送信するように指示するとともに、アンライセンスバンドのうちプリアンブルの送信に用いられる周波数を示すRAリソース情報を生成する。また、RAリソース情報生成部411は、プリアンブルの送信に対応するトリガ信号の種別を指定するRAリソース情報を生成しても良い。すなわち、例えばデータの送信の契機となるトリガ信号とプリアンブルの送信の契機となるトリガ信号とのように、トリガ信号に種別が設けられる場合、RAリソース情報生成部411は、プリアンブルの送信の契機となるトリガ信号を特定するRAリソース情報を生成しても良い。
LBT処理部412は、RAリソース情報生成部411によってRAリソース情報が生成されると、LBT処理を実行してアンライセンスバンドの空き状況を確認する。すなわち、LBT処理部412は、アンライセンスバンドに対する受信処理を実行し、受信電力が所定の閾値以下であるか否かを判定する。そして、LBT処理部412は、受信電力が所定の閾値以下である期間が所定時間以上継続すると、アンライセンスバンドが空いていると判断し、RAリソース情報を下り回線のサブフレームにおいて送信する。なお、LBT処理部412は、基地局装置100が属する無線通信システムによって既にアンライセンスバンドが使用中である場合には、LBTを実行することなくRAリソース情報を送信しても良い。
また、LBT処理部412は、RAリソース情報を送信した後、トリガ信号生成部413からの指示に従って、LBT処理を実行する。そして、LBT処理部412は、アンライセンスバンドが空いていると判断した場合に、トリガ信号生成部413によって生成されたトリガ信号を送信する。すなわち、LBT処理部412は、基地局装置100が属する無線通信システムがアンライセンスバンドを占有可能であると判断した場合に、プリアンブルの送信の契機となるトリガ信号を送信する。
トリガ信号生成部413は、LBT処理部412からRAリソース情報が送信された後、トリガ信号を生成する。そして、トリガ信号生成部413は、生成したトリガ信号を送信するようにLBT処理部412へ指示する。トリガ信号は、プリアンブルの送信の契機となるため、トリガ信号の直後にRAリソースが配置される。すなわち、トリガ信号は、RAリソースを特定するリソース特定信号の1つである。トリガ信号生成部413は、例えばデータの送信の契機となるトリガ信号とプリアンブルの送信の契機となるトリガ信号とのように、種別が異なるトリガ信号を生成しても良い。また、トリガ信号生成部413は、他の信号とは別に送信される単独のトリガ信号を生成しても良く、例えば他の制御情報などと同時に送信されるトリガ信号を生成しても良い。
ここで、トリガ信号の具体例について、図11を参照しながら説明する。図11(a)は、単独のトリガ信号の例を示す図である。図11(a)に示すように、RAリソース情報501が送信された後、トリガ信号生成部413は、単独のトリガ信号502を生成する。そして、このトリガ信号502は、LBT処理部412によってアンライセンスバンドが空いていると判断された場合に送信され、トリガ信号502を基準としたタイミングにRAリソース503が配置される。トリガ信号502とRAリソース503の間の時間間隔は、例えば数μs〜数十μs程度の非常に短い時間である。このように単独で送信されるトリガ信号502としては、例えばZadoff−Chu系列やM系列などの同期信号と同様の系列を用いるのが好ましい。
一方、図11(b)は、他の制御情報などと同時に送信されるトリガ信号の例を示す図である。図11(b)に示すように、RAリソース情報501が送信された後、トリガ信号生成部413は、他の制御情報とともに符号化され変調されたトリガ信号504を生成する。そして、このトリガ信号504は、LBT処理部412によってアンライセンスバンドが空いていると判断された場合に他の制御情報とともにサブフレーム内で送信され、トリガ信号504を含む下り回線のバースト信号を基準としたタイミングにRAリソース505が配置される。トリガ信号504を含むバースト信号とRAリソース505の間の時間間隔は、例えば数μs〜数十μs程度の非常に短い時間である。
なお、図11(a)、(b)においては、RAリソース503、505が単独で配置されるものとしたが、RAリソースとして用いられない周波数によってデータや他の制御情報が同時に送信されるようにしても良い。すなわち、例えば図12に示すように、トリガ信号502の直後にRAリソース503が配置されるとともに、RAリソース503とは異なる周波数で上りのデータ511が送信されるようにしても良い。この場合には、データや他の制御情報の送信可否がトリガ信号502の種別によって示されるようにしても良く、データや他の制御情報の送信を許可するトリガ信号502の種別がRAリソース情報501によって特定されても良い。
図13は、実施の形態4に係る端末装置200の構成を示すブロック図である。図13において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図13に示す端末装置200は、図3に示す端末装置200のプロセッサ220に代えてプロセッサ420を有する。
プロセッサ420は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備え、無線部210、メモリ230及びディスプレイ240を統括制御する。また、プロセッサ420は、アンライセンスバンドにおけるランダムアクセス処理を実行する。具体的には、プロセッサ420は、RAリソース情報取得部221、トリガ信号検出部421、プリアンブル送信制御部422、RAレスポンス取得部225及び上りタイミング制御部423を有する。
トリガ信号検出部421は、基地局装置100によって送信されるアンライセンスバンドの信号を監視し、アンライセンスバンドの信号からトリガ信号を検出する。具体的には、トリガ信号検出部421は、トリガ信号が単独で送信される場合、既知のトリガ信号の系列とアンライセンスバンドの信号との相関を算出することにより、トリガ信号を検出する。また、トリガ信号検出部421は、トリガ信号が他の制御情報などとともに送信される場合、アンライセンスバンドの信号を復調及び復号することにより、トリガ信号を検出する。
プリアンブル送信制御部422は、RAリソース情報取得部221によって取得されたRAリソース情報に従って、ランダムアクセスのためのプリアンブルの送信を制御する。具体的には、プリアンブル送信制御部422は、例えばRRCシグナリングによって報知されているプリアンブルの候補からランダムに1つのプリアンブルを選択する。そして、プリアンブル送信制御部422は、トリガ信号検出部421によってトリガ信号が検出されたタイミングを基準としたタイミング、かつ、RAリソース情報によって示された周波数に配置されたRAリソースを用いて、選択したプリアンブルを送信する。すなわち、プリアンブル送信制御部422は、トリガ信号が検出された直後に、LBT処理を実行することなくプリアンブルを送信する。
上りタイミング制御部423は、RAレスポンス取得部225によってRAレスポンスを参照して、端末装置200による送信が許可されたか否かを判断し、送信が許可された場合には、送信データを送信するタイミングを制御する。具体的には、上りタイミング制御部226は、RAレスポンスに含まれるTAコマンドを取得し、TAコマンドによって指定される送信タイミングで送信データを送信する。すなわち、本実施の形態においては、端末装置200によるLBT処理が実行されないため、プリアンブル送信の際にLBT処理による送信遅延が発生しない。このため、基地局装置100において生成されるTAコマンドは、プリアンブルの伝搬遅延のみを反映した適切な送信タイミングを指定するものとなっている。そこで、上りタイミング制御部423は、TAコマンドに従った送信タイミングで送信データを送信する。
図14は、実施の形態4に係る端末装置200のランダムアクセス処理を示すフロー図である。図14において、図6と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
例えばアンライセンスバンドの上り回線を利用して送信するデータの発生などのRAトリガが生じると(ステップS201)、RAリソース情報取得部221によって、RAリソース情報が取得される(ステップS202)。RAトリガとしては、上述した上り回線のスケジューリングの要求以外にも、例えばハンドオーバによる新たな基地局装置との無線通信の開始や、タイミングアドバンスの調整の要求などがある。
RAリソース情報が取得された後、プリアンブル送信制御部222によって、プリアンブルの候補の中からランダムで1つのプリアンブルが決定される(ステップS203)。そして、トリガ信号検出部421によって、アンライセンスバンドの信号が監視され、トリガ信号が検出されたか否かが判定される(ステップS501)。すなわち、トリガ信号検出部421によって、アンライセンスバンドの受信信号と所定の系列との相関算出や受信信号の復調及び復号などにより、トリガ信号が検出されたか否かが判定される。そして、トリガ信号が検出されるまで待機される(ステップS501No)。
トリガ信号が検出されると(ステップS501Yes)、プリアンブル送信制御部422によって、決定されたプリアンブルがRAリソースの周波数を用いて送信される(ステップS206)。すなわち、RAリソースの時間は、トリガ信号を基準としており、RAリソースの周波数はRAリソース情報によって示される。トリガ信号が検出されてからRAリソースまでの時間間隔は、例えば数μs〜数十μs程度と非常に短い時間であり、この間に他の無線通信システムによってアンライセンスバンドが占有されることはない。
基地局装置においては、プリアンブルを送信した端末装置の中から送信を許可する端末装置が選択され、選択された端末装置を通知するとともにTAコマンドを含むRAレスポンスが送信される。RAレスポンスは、無線部210によって受信され(ステップS208)、RAレスポンス取得部225によって取得される。取得されたRAレスポンスは、上りタイミング制御部423によって参照され、端末装置200による送信が許可されたか否かが判断される(ステップS209)。
端末装置200以外の他の端末装置による送信が許可されている場合には(ステップS209No)、再度RAリソース情報が取得され、上述した処理が繰り返される。一方、端末装置200による送信が許可されている場合には(ステップS209Yes)、上りタイミング制御部423によって、RAレスポンスに含まれるTAコマンドに従って送信タイミングが調整される(ステップS210)。そして、上りタイミング制御部423によって、調整された送信タイミングで送信データが送信され(ステップS211)、ランダムアクセス処理が完了する。
以上のように、本実施の形態によれば、基地局装置がRAリソース情報の送信後にLBT処理を実行してトリガ信号を送信し、端末装置は、トリガ信号の直後に配置されたRAリソースを用いてプリアンブルを送信する。このため、端末装置がLBT処理を実行する必要がなく、プリアンブルの送信に際して、LBT処理による不確定な送信遅延が発生しない。結果として、端末装置の処理負荷を削減することができるとともに、正確なタイミングアドバンスの調整をすることができる。