以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。各図において同一の符号は、特に言及が無い限り同一又は相当部分を示すものとし、説明の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。また、説明の便宜上、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成についての重複説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の第1の実施形態による電源装置1を示す概略構成図である。電源装置1は、直流電源4により入力電圧Vinの直流電力が入力され、出力電圧Voutの直流電力を出力するものであり、正極側の入力端子5aと、負極側の入力端子5bと、正極側の出力端子6aと、負極側の出力端子6bと、を有する。電源装置1は、電圧調整部2と、電源部3と、を備える。なお本実施形態では、電源装置1は、入力側においては入力端子5b側が接地され、出力側においては出力端子6b側が接地されるものとするが、これに限定されるものではない。
電圧調整部2は、静電容量が等しい2つのコンデンサ10a、10bと、電圧調整回路20と、を備える。2つのコンデンサ10a、10bは、入力端子5aと入力端子5bとの間に直列に接続される。説明の便宜上、コンデンサ10aは、一端が直流電源4の高圧側に接続されるとともに他端がコンデンサ10bに接続され、コンデンサ10bは、一端が直流電源4の低圧側に接続されるとともに他端がコンデンサ10aに接続されるものとする。また、コンデンサ10aの両電極間における電圧をV1、コンデンサ10bの両電極間における電圧をV2とする。
電圧調整回路20は、入力端子5aと、入力端子5bと、2つのコンデンサの接続点とが接続され、V1とV2の電圧に差異が生じた場合に電流を検出することが可能な電流検出器26を備える。電圧調整回路20は、2つのコンデンサ10a、10bのそれぞれに印加される電圧が等しくなるように調整するために、電流検出器26により検出された電流の大きさ及び方向に基づいて、電源部3に信号を伝送するように構成される。
電源部3は、2つの電源モジュール30a、30bを備える。電源モジュール30aは、入力側がコンデンサ10aの両端に接続され、出力側が出力端子6a、6bに接続される。同様に、電源モジュール30bは、入力側がコンデンサ10bの両端に接続され、出力側が出力端子6a、6bに接続される。このように、電源モジュール30a、30bのそれぞれは、入力側はコンデンサのそれぞれの両端に接続されるが、出力側は出力端子6a、6bに対してそれぞれ並列に接続される。出力端子6a、6bには、電気機器等の負荷が接続される。
電源モジュール30aは、コンデンサ10aを介して入力される直流電力の入力電圧V1を変換して、直流電圧Vo1の直流電力を出力する。同様に、電源モジュール30bは、コンデンサ10bを介して入力される直流電力の入力電圧V2を変換して、直流電圧Vo2の直流電力を出力する。電源モジュールの30a、30bのそれぞれは、電圧調整回路20が備える電流検出器26からの信号に基づいて出力電圧Vo1、Vo2をそれぞれ制御する。電源部3は、出力された直流電圧Vo1、Vo2の直流電力を合成することにより、出力端子6a、6b間に出力電圧Voutの直流電力を出力する。
図2は、本発明の第1の実施形態による電圧調整回路20を示す概略構成図である。電圧調整回路20は、第1の抵抗器21と、第2の抵抗器22と、第3の抵抗器23と、第4の抵抗器24と、調整用スイッチング素子25と、電流検出器26と、を備える。
第1の抵抗器21及び第2の抵抗器22は、コンデンサ10aの両端に直列に接続される。第1の抵抗器21は、コンデンサ10aの高圧側端子(高圧側の電極)に接続され、第2の抵抗器22は、コンデンサ10aの低圧側端子(低圧側の電極)、すなわちコンデンサ10aとコンデンサ10bの接続点に接続される。第3の抵抗器23は、一端がコンデンサ10aの高圧側端子に接続され、他端が調整用スイッチング素子25を介して第4の抵抗器24と接続される。第4の抵抗器24は、一端がコンデンサ10bの低圧側端子に接続される。第1の抵抗器21の抵抗値R1は、第3の抵抗器23の抵抗値R3と等しく、第1の抵抗器21の抵抗値R1及び第2の抵抗器22の抵抗値R2の和は、第4の抵抗器24の抵抗値R4と等しい。
調整用スイッチング素子25は、一端がコンデンサ10aとコンデンサ10bとの接続点に接続され、該一端に所定以上の電圧が印加されると、第3の抵抗器23から第4の抵抗器24へ電流が流れるように構成される。
本実施形態では、調整用スイッチング素子25は、NPN型のトランジスタ25により構成される。トランジスタ25のベースは、コンデンサ10aとコンデンサ10bとの接続点に接続される。トランジスタ25のコレクタは、第3の抵抗器23の他端、すなわち第3の抵抗器23の下流側に接続される。トランジスタ25のエミッタは、第4の抵抗器24の他端、すなわち第4の抵抗器24の上流側に接続される。
電流検出器26は、一端が第1の抵抗器21及び第2の抵抗器22の接続点である第1の接続点Aに接続され、他端が第3の抵抗器23及びトランジスタ25のコレクタの接続点である第2の接続点Bに接続される。第1の接続点Aと第2の接続点Bに電位差が生じた場合、電流検出器26に電流が流れる。このとき、電流検出器26は、検出された電流の大きさ及び方向に基づいて、電源モジュール30a、30bのいずれかに信号を伝送するように構成される。
本実施形態では、電流検出器26は、2つのフォトカプラ26により構成される。フォトカプラ26は、第1のフォトカプラ26a及び第2のフォトカプラ26bを備える。各フォトカプラ26は、発光素子及び受光素子を備え、入力された電気信号を発光素子により光に変換し、その光で受光素子を導通することにより信号を伝達する。したがって、発光素子と受光素子は、電気的に絶縁される。好ましくは、発光素子は発光ダイオードであり、受光素子はフォトトランジスタである。本実施形態では、各フォトカプラ26a、26bが発光ダイオード及びフォトトランジスタを備えるものとする。
第1のフォトカプラ26aの第1の発光ダイオードD1は、アノードが第2の接続点Bに接続され、カソードが第1の接続点Aに接続され、第1のフォトカプラ26aの第1のフォトトランジスタPT1は、電源モジュール30bに含まれる。第1の発光ダイオードD1は、第2の接続点Bから第1の接続点Aへ流れる電流に応じた光量で発光し、第1のフォトトランジスタPT1は、第1の発光ダイオードD1からの光に応じた電流を流す。したがって、第1のフォトトランジスタPT1で発生する電流は、第1の発光ダイオードD1に流れる電流に対応するものであり、第2の接続点Bが第1の接続点Aより大きい場合の2つの接続点の電圧差を表すものである。第1の発光ダイオードD1に流れる電流と、第1のフォトトランジスタPT1が発生する電流との関係は、フォトカプラ26aの特性により決定される。
第2のフォトカプラ26bの第2の発光ダイオードD2は、アノードが第1の接続点Aに接続され、カソードが第2の接続点Bに接続され、第2のフォトカプラ26bの第2のフォトトランジスタPT2は、電源モジュール30aに含まれる。第2の発光ダイオードD2は、第1の接続点Aから第2の接続点Bへ流れる電流に応じた光量で発光し、第2のフォトトランジスタPT2は、第2の発光ダイオードD2からの光に応じた電流を流す。したがって、第2のフォトトランジスタPT2で発生する電流は、第2の発光ダイオードD2に流れる電流に対応するものであり、第1の接続点Aが第2の接続点Bより大きい場合の2つの接続点の電圧差を表すものである。第2の発光ダイオードD2に流れる電流と、第2のフォトトランジスタPT2が発生する電流との関係は、フォトカプラ26bの特性により決定される。
図3は、本発明の第1の実施形態による電源部3を示す概略構成図である。電源部3は、電源モジュール30a及び電源モジュール30bを備える。
電源モジュール30aは、トランス31aと、駆動用スイッチング素子32aと、駆動用スイッチング素子32aのスイッチングを制御するスイッチング制御回路33aと、を備える。電源モジュール30aは、コンデンサ10aの両端にそれぞれ接続される正極側(高圧側)の入力端子34a及び負極側(低圧側)の入力端子35aと、出力端子6a、6bにそれぞれ接続される正極側の出力端子36a及び負極側の出力端子37aとを備える。入力電圧V1の直流電力は、入力端子間34a、35a間に入力され、出力電圧Vo1の直流電力は、出力端子36a、37a間に出力される。入力端子35aは、コンデンサ10aとコンデンサ10bの接続点に接続される。
トランス31aは、入力側の1次コイル及び出力側の2次コイルを有する。トランス31aの1次コイル及び駆動用スイッチング素子32aは、入力端子34a及び入力端子35aの間に直列に接続される。トランス31aの2次コイルには、整流回路を構成するダイオード38aと、平滑回路を構成するコンデンサ39aが接続される。コンデンサ39aの両端は、それぞれ出力端子36a及び出力端子37aに接続される。
駆動用スイッチング素子32aは、一端がスイッチング制御回路33aに接続され、該一端に所定以上の電圧が印加されると、トランス31aの1次コイルから入力端子35a側へ電流が流れるように構成される。
スイッチング制御回路33aは、駆動用スイッチング素子32aをオンオフ制御して、トランス31aの1次コイルに流れる電流を断続的に変化させることにより、トランス31aの2次コイルに電流を発生させる。出力電圧Vo1を安定させるために、スイッチング制御回路33aは、例えば所望の出力電圧と実際の出力電圧Vo1を比較するフィードバックループ(図示せず)に接続され、公知のフィードバック制御により駆動用スイッチング素子32aのスイッチングを制御する。
本実施形態では、駆動用スイッチング素子32aは、nチャネル型MOSFET32aにより構成される。MOSFET32aのゲートは、スイッチング制御回路33aに接続される。MOSFET32aのドレインは、トランス31aの1次コイルに接続される。MOSFET32aのソースは、入力端子35aに接続される。
トランス31aの2次コイルに発生した電流は、整流回路として機能するダイオード38aで整流され、平滑回路として機能するコンデンサ39aで平滑化される。電源モジュール30aは、出力端子36a、37a間に、コンデンサ39aの両端の電圧に対応する直流電圧Vo1の直流電力を出力する。
好適な1つの例では、スイッチング制御回路33aは、駆動用スイッチング素子32aをPWM制御して、出力電圧Vo1を調整する。スイッチング制御回路33aは、PWM信号のパルス幅(デューティ比)を決定するために、上記の公知のフィードバック制御を行うとともに、該制御に追加して以下の制御を行う。スイッチング制御回路33aは、第2のフォトトランジスタPT2のコレクタに接続され、第2のフォトトランジスタPT2に電流が流れると、電源モジュール30aの出力電圧Vo1をより低く又は高くするように駆動用スイッチング素子32aを制御する。好適な1つの例では、第2のフォトトランジスタPT2に所定以上の電流が流れるとき、スイッチング制御回路33aは、駆動用スイッチング素子32aのオフ時間を長く(デューティ比を小さく)するように制御し、結果として出力電圧Vo1は低下する。
電源モジュール30bは、トランス31bと、駆動用スイッチング素子32bと、駆動用スイッチング素子32bのスイッチングを制御するスイッチング制御回路33bと、を備える。電源モジュール30bは、コンデンサ10bの両端にそれぞれ接続される正極側(高圧側)の入力端子34b及び負極側(低圧側)の入力端子35bと、出力端子6a、6bにそれぞれ接続される正極側の出力端子36b及び負極側の出力端子37bとを備える。入力電圧V2の直流電力は、入力端子間34b、35b間に入力され、出力電圧Vo2の直流電力は、出力端子36b、37b間に出力される。入力端子34bは、コンデンサ10aとコンデンサ10bの接続点に接続される。
トランス31bは、入力側の1次コイル及び出力側の2次コイルを有する。トランス31bの1次コイル及び駆動用スイッチング素子32bは、入力端子34b及び入力端子35bの間に直列に接続される。トランス31bの2次コイルには、整流回路を構成するダイオード38bと、平滑回路を構成するコンデンサ39bが接続される。コンデンサ39bの両端は、それぞれ出力端子36b及び出力端子37bに接続される。
駆動用スイッチング素子32bは、一端がスイッチング制御回路33bに接続され、該一端に所定以上の電圧が印加されると、トランス31bの1次コイルから入力端子35b側へ電流が流れるように構成される。
スイッチング制御回路33bは、駆動用スイッチング素子32bをオンオフ制御して、トランス31bの1次コイルに流れる電流を断続的に変化させることにより、トランス31bの2次コイルに電流を発生させる。出力電圧Vo2を安定させるために、スイッチング制御回路33bは、例えば所望の出力電圧と実際の出力電圧Vo2を比較するフィードバックループ(図示せず)に接続され、公知のフィードバック制御により駆動用スイッチング素子32bのスイッチングを制御する。
本実施形態では、駆動用スイッチング素子32bは、nチャネル型MOSFET32bにより構成される。MOSFET32bのゲートは、スイッチング制御回路33bに接続される。MOSFET32bのドレインは、トランス31bの1次コイルに接続される。MOSFET32bのソースは、入力端子35bに接続される。
トランス31bの2次コイルに発生した電流は、整流回路として機能するダイオード38bで整流され、平滑回路として機能するコンデンサ39bで平滑化される。電源モジュール30bは、出力端子36b、37b間に、コンデンサ39bの両端の電圧に対応する直流電圧Vo2の直流電力を出力する。
好適な1つの例では、スイッチング制御回路33bは、駆動用スイッチング素子32bをPWM制御して、出力電圧Vo2を調整する。スイッチング制御回路33bは、PWM信号のパルス幅(デューティ比)を決定するために、上記の公知のフィードバック制御を行うとともに、該制御に追加して以下の制御を行う。スイッチング制御回路33bは、第1のフォトトランジスタPT1のコレクタに接続され、第1のフォトトランジスタPT1に電流が流れると、電源モジュール30bの出力電圧Vo2をより低く又は高くするように駆動用スイッチング素子32bを制御する。好適な1つの例では、第1のフォトトランジスタPT1に所定以上の電流が流れるとき、スイッチング制御回路33bは、駆動用スイッチング素子32bのオフ時間を長く(デューティ比を小さく)するように制御し、結果として出力電圧Vo2は低下する。
電源部3は、上記のように出力される直流電圧Vo1、Vo2の直流電力を合成することにより、出力端子6a、6b間に出力電圧Voutの直流電力を出力する。
なお、電源部モジュール10a、10bの変圧の構成は上記に限定されないが、本実施形態で示すような絶縁型のDC−DCコンバータであることが好ましい。また、ダイオード38a、38bで表された整流回路、コンデンサ39a、39bで表された平滑回路は1つの例示であって、公知の整流回路、平滑回路を適用することができる。
次に本実施形態の電源装置1の動作について説明する。
その前に、従来の電源装置の問題点を説明する。2つの電源モジュール30a、30bの入力側を直流電源4に対して直列に接続して電源装置1を動作させようとするとき、入力電圧V1とV2が等しくなるように動作させることが好ましい。しかしながら、2つの電源モジュール30a、30b間の出力電圧Vo1、Vo2のばらつきや効率のばらつきにより、2つの電源モジュール30a、30bの入力電流Iin1、Iin2に差が生じ、入力電圧V1、V2間に差が生じる。2つの電源モジュール30a、30bは、いったん入力電圧V1、V2間に差が生じると、特に制御を行わない限り、その差が広がるような動作をしてしまい、1つの電源モジュール30a又は30bに直流電源4の入力電圧Vinが印加されてしまうという問題がある。この問題は、スイッチング制御回路33a、33bによる上記の公知のフィードバック制御のみでは解決するのは難しい。本実施形態の電源装置1は、以下のように動作することにより、上記問題を解決する。
まず電圧調整回路20を考慮しない場合の電源部3の動作について説明する。入力端子5a、5b間に直流電源4の電圧Vinが印加されると、コンデンサ10a、10bに電流が流れ、コンデンサ10a、10bは充電される。電源モジュール30aの入力端子34a、35a間には、コンデンサ10aの両端の電圧に対応する入力電圧V1が印加され、電源モジュール30bの入力端子34b、35b間には、コンデンサ10bの両端の電圧に対応する入力電圧V2が印加される。
駆動用スイッチング素子32aが導通するとき、電源モジュール30aは、入力端子34a、35a間に入力電圧V1が印加されると、入力端子34a→トランス31aの1次コイル→駆動用スイッチング素子32a→入力端子35aの経路で電流Iin1が流れる。電源モジュール30aを動作させると、スイッチング制御回路33aが駆動用スイッチング素子32aをPWM制御することにより、駆動用スイッチング素子32aはオンオフ動作し、電流Iin1がスイッチングされる。駆動用スイッチング素子32aがオンの場合、トランス31aの1次コイルに電流が流れ、トランス31aのコア(図示せず)は磁化されてエネルギーが蓄積される。駆動用スイッチング素子32aがオフの場合、トランス31aのコアに蓄積されたエネルギーが開放されて、トランス31aの2次コイルからダイオード38aの方向へ電流Iout1が流れる。
このように、スイッチング制御回路33aは、スイッチング素子32aをオンオフ制御して、トランス31aの1次コイルに流れる電流Iin1を断続的に変化させることにより、トランス31aの2次コイルに電流Iout1を発生させる。電流Iout1は、ダイオード38aにより整流され、コンデンサ39aにより平滑化されて直流電流となり、出力端子36a、37aから出力される。出力端子36a、37a間の出力電圧Vo1は、コンデンサ39aの両端の電圧に対応する直流電圧である。
同様にして、スイッチング制御回路33bは、スイッチング素子32bをオンオフ制御して、トランス31bの1次コイルに流れる電流Iin2を断続的に変化させることにより、トランス31bの2次コイルに電流Iout2を発生させる。電流Iout2は、ダイオード38bにより整流され、コンデンサ39bにより平滑化されて直流電流となり、出力端子36b、37bから出力される。出力端子36b、37b間の出力電圧Vo2は、コンデンサ39bの両端の電圧に対応する直流電圧である。
次に、電圧調整回路20及び電源部3の動作について説明する前に、電圧調整回路20を流れる電流と、入力電圧V1とV2との関係について説明する。
入力端子34a、35a間に入力電圧V1が印加され、入力端子34b、35b間に入力電圧V2が印加される場合、第1の抵抗器21に流れる電流をI1、第3の抵抗器を流れる電流をI2とする。電流I1は、入力電圧V1と、抵抗値R1及び抵抗値R2の和と、により決定される。電流I2は、入力電圧V2と、抵抗値R4と、により決定される。抵抗値R1及び抵抗値R2の和は、抵抗値R4と等しいため、電流I1、I2の値は、入力電圧V1、V2の値により決定することができる。なお本実施形態においては、トランジスタ25のベース−エミッタ間の電圧は、入力電圧V2に対して無視できるほど小さく、トランジスタ25のベース電流は、コレクタ電流やエミッタ電流に対して無視できるほど小さい場合を主に想定している。
また第1の抵抗器21での電圧降下は電流I1と抵抗値R1との積により決定することができ、第3の抵抗器23での電圧降下は電流I2と抵抗値R3との積により決定することができる。そのため、電流I1とI2の電流差、又は入力電圧V1とV2の電位差は、第1の接続点Aと第2の接続点Bの電位差に比例することとなる。
続いて、電圧調整回路20及び電源部3の動作について説明する。最初に、入力電圧V1とV2が同じである場合について説明する。
第1の抵抗器21での電圧降下と第3の抵抗器23での電圧降下は同じであるため、第1の接続点Aの電位と第2の接続点Bの電位は同じである。そのため、第1の発光ダイオードD1、第2の発光ダイオードD2のいずれにも電流が流れず、発光しないことから、第1のフォトトランジスタPT1、第2のフォトトランジスタPT2のいずれにも電流が流れない。その結果、2つのスイッチング制御回路33a、33bは、現状のPWM制御を継続する。すなわち、この場合、2つのスイッチング制御回路33a、33bは、上記の公知のフィードバック制御のみを行ってPWM信号のパルス幅を決定し、PWM制御を継続する。
次に、入力電圧V1が入力電圧V2よりも大きい場合について説明する。
電流I1と電流I2の比は、入力電圧V1と入力電圧V2の比と等しくなることから、電流I1は電流I2よりも大きくなるため、第1の抵抗器21での電圧降下は第3の抵抗器23での電圧降下よりも大きくなる。そのため、第2の接続点Bの電位は第1の接続点Aの電位よりも高くなる。これにより、第1の発光ダイオードD1に電流が流れ、第1のフォトトランジスタPT1に電流が発生する。
第1のフォトトランジスタPT1に所定以上の電流が流れると、スイッチング制御回路33bは、駆動用スイッチング素子32bのオフ時間を長くするように制御することで、出力電圧Vo2を低下させるように調整する。このような構成とすることにより、入力電圧が高い方の電源モジュール30aの出力電圧Vo1が高くなり、電源モジュール30aからの負荷への電力供給の割合が高くなることから、入力電圧V1が低下する。これにより、電源装置1は、入力電圧V1と入力電圧V2が等しくなるように調整する。
入力電圧V2が入力電圧V1よりも大きくなった場合も、上記と同様である。第2のフォトトランジスタPT2に所定以上の電流が流れると、スイッチング制御回路33aは、駆動用スイッチング素子32aのオフ時間を長くするように制御することで、出力電圧Vo1を低下させるように調整する。このような構成とすることにより、入力電圧が高い方の電源モジュール30bの出力電圧Vo2が高くなり、電源モジュール30bからの負荷への電力供給の割合が高くなることから、入力電圧V2が低下する。これにより、電源装置1は、入力電圧V1と入力電圧V2が等しくなるように調整する。
このような動作を行うことにより、2つの電源モジュールの入力電圧V1とV2のバランスを崩さないようにする。これにより、電源装置1は、2つの電源モジュール30a、30bを安定的に動作させることが可能となる。
次に本発明の第1の実施形態による電源装置1の作用効果について説明する。第1の抵抗器21及び第2の抵抗器22は、入力電圧V1が印加され、第4の抵抗器24は、実質的に入力電圧V2が印加され、第3の抵抗器23を流れる電流I2は、第4の抵抗器24を流れる電流と実質的に同じである。また第1の抵抗器21の抵抗値R1は、第3の抵抗器23の抵抗値R3と等しく、第1の抵抗器21の抵抗値R1及び第2の抵抗器22の抵抗値R2の和は、第4の抵抗器24の抵抗値R4と等しい。そして、第1の抵抗器21での電圧降下は電流I1と抵抗値R1との積により決定することができ、第3の抵抗器23での電圧降下は電流I2と抵抗値R3との積により決定することができる。
このように構成されることにより、本実施形態では、入力電圧V1とV2の差は、第1の接続点Aと第2の接続点Bの電位差により表すことができる。したがって、第1の接続点Aと第2の接続点Bを接続する2つのフォトカプラ26a、26bの発光ダイオードD1、D2を流れる電流により、入力電圧V1とV2の差に対応する電流を検出することが可能となる。また発光ダイオードD1、D2に対応するフォトトランジスタPT1、PT2を電源部3が備えるため、電圧調整回路20は、検出した入力電圧V1とV2の差に対応する電流(信号)を電源部3に、電気的に絶縁しつつ、伝送することが可能となる。これにより、電源部3は、入力電圧V1と入力電圧V2が等しくなるように、電源モジュール30a、30bの出力電圧Vo1、Vo2を制御することが可能となる。
また本実施形態では、電圧調整回路20は、従来必要であった比較回路等を含む制御回路が不要であるため、制御回路用の電源も不要であり、また比較的簡易な回路構成となるため、回路の信頼性も向上する。このように構成されることにより、より簡易な構成により、2つの電源モジュール30a、30bを安定的に動作させることが可能となる。またこれにより、必要な部品も少なくなるため、より安価に電源装置1を作成することが可能となる。
また本実施形態では、入力電圧V1とV2の差を電流で検出する。このように構成されることにより、電圧での比較ではなく、電流での比較となるため、電圧調整回路20のノイズ等による誤動作を少なくすることが可能となる。
また本実施形態による電源装置1は、最大出力が約1500Vに達する可能性がある太陽電池の出力を受けて、現状のスイッチング素子が耐圧可能な1000V以下に降圧することができる。そのため、12Vや24V等の電源モジュールを作成する際に利用することができる。
上記の作用効果は、特に言及が無い限り、他の実施形態や他の実施例においても同様である。
次に本発明の第2の実施形態による電源装置1について説明する。第2の実施形態による電源装置1は、電圧調整回路20以外においては、主として第1の実施形態による電源装置1と同じであるため、主に相違点を説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態による電圧調整回路20を示す概略構成図である。電圧調整回路20は、第1の抵抗器21と、第2の抵抗器22と、第3の抵抗器23と、第4の抵抗器24と、調整用スイッチング素子25と、電流検出器26と、を備える。
第1の抵抗器21及び第2の抵抗器22は、コンデンサ10bの両端に直列に接続される。第1の抵抗器21は、コンデンサ10bの低圧側端子(低圧側の電極)に接続され、第2の抵抗器22は、コンデンサ10bの高圧側端子(高圧側の電極)、すなわちコンデンサ10aとコンデンサ10bの接続点に接続される。第3の抵抗器23は、一端がコンデンサ10bの低圧側端子に接続され、他端が調整用スイッチング素子25を介して第4の抵抗器24と接続される。第4の抵抗器24は、一端がコンデンサ10aの高圧側端子に接続される。第1の抵抗器21の抵抗値R1は、第3の抵抗器23の抵抗値R3と等しく、第1の抵抗器21の抵抗値R1及び第2の抵抗器22の抵抗値R2の和は、第4の抵抗器24の抵抗値R4と等しい。
調整用スイッチング素子25は、一端がコンデンサ10aとコンデンサ10bとの接続点に接続され、該一端に所定以上の電圧が印加されると、第4の抵抗器24から第3の抵抗器23へ電流が流れるように構成される。
本実施形態では、調整用スイッチング素子25は、PNP型のトランジスタ25により構成される。トランジスタ25のベースは、コンデンサ10aとコンデンサ10bとの接続点に接続される。トランジスタ25のコレクタは、第3の抵抗器23の他端、すなわち第3の抵抗器23の上流側に接続される。トランジスタ25のエミッタは、第4の抵抗器24の他端、すなわち第4の抵抗器24の下流側に接続される。
電流検出器26は、一端が第1の抵抗器21及び第2の抵抗器22の接続点である第1の接続点Aに接続され、他端が第3の抵抗器23及びトランジスタ25のコレクタの接続点である第2の接続点Bに接続される。第1の接続点Aと第2の接続点Bに電位差が生じた場合、電流検出器26に電流が流れる。このとき、電流検出器26は、検出された電流の大きさ及び方向に基づいて、電源モジュール30a、30bのいずれかに信号を伝送するように構成される。
本実施形態では、電流検出器26は、2つのフォトカプラ26により構成される。第1の実施形態と同様に、フォトカプラ26は、第1のフォトカプラ26a及び第2のフォトカプラ26bを備え、各フォトカプラ26a、26bは、発光ダイオード及びフォトトランジスタを備えるものとする。
第1のフォトカプラ26aの第1の発光ダイオードD1は、アノードが第2の接続点Bに接続され、カソードが第1の接続点Aに接続され、第1のフォトカプラ26aの第1のフォトトランジスタPT1は、電源モジュール30bに含まれる。第1の発光ダイオードD1は、第2の接続点Bから第1の接続点Aへ流れる電流に応じた光量で発光し、第1のフォトトランジスタPT1は、第1の発光ダイオードD1からの光に応じた電流を流す。したがって、第1のフォトトランジスタPT1で発生する電流は、第1の発光ダイオードD1に流れる電流に対応するものであり、第2の接続点Bが第1の接続点Aより大きい場合の2つの接続点の電圧差を表すものである。第1の発光ダイオードD1に流れる電流と、第1のフォトトランジスタPT1が発生する電流との関係は、フォトカプラ26aの特性により決定される。
第2のフォトカプラ26bの第2の発光ダイオードD2は、アノードが第1の接続点Aに接続され、カソードが第2の接続点Bに接続され、第2のフォトカプラ26bの第2のフォトトランジスタPT2は、電源モジュール30aに含まれる。第2の発光ダイオードD2は、第1の接続点Aから第2の接続点Bへ流れる電流に応じた光量で発光し、第2のフォトトランジスタPT2は、第2の発光ダイオードD2からの光に応じた電流を流す。したがって、第2のフォトトランジスタPT2で発生する電流は、第2の発光ダイオードD2に流れる電流に対応するものであり、第1の接続点Aが第2の接続点Bより大きい場合の2つの接続点の電圧差を表すものである。第2の発光ダイオードD2に流れる電流と、第2のフォトトランジスタPT2が発生する電流との関係は、フォトカプラ26bの特性により決定される。
次に本実施形態の電源装置1の動作について説明する。まず、電圧調整回路20を流れる電流と、入力電圧V1とV2との関係について説明する。
入力端子34a、35a間に入力電圧V1が印加され、入力端子34b、35b間に入力電圧V2が印加される場合、第1の抵抗器21に流れる電流をI1、第3の抵抗器を流れる電流をI2とする。電流I1は、入力電圧V2と、抵抗値R1及び抵抗値R2の和と、により決定される。電流I2は、入力電圧V1と、抵抗値R4と、により決定される。抵抗値R1及び抵抗値R2の和は、抵抗値R4と等しいため、電流I1、I2の値は、入力電圧V2、V1の値により決定することができる。なお本実施形態においては、トランジスタ25のベース−エミッタ間の電圧は、入力電圧V2に対して無視できるほど小さく、トランジスタ25のベース電流は、コレクタ電流やエミッタ電流に対して無視できるほど小さい場合を主に想定している。
また接続点Aの電圧は、電流I1と抵抗値R1との積により決定することができ、接続点Bの電圧は、電流I2と抵抗値R3との積により決定することができる。そのため、電流I1とI2の電流差、又は入力電圧V1とV2の電位差は、第1の接続点Aと第2の接続点Bの電位差に比例することとなる。
続いて、電圧調整回路20及び電源部3の動作について説明する。最初に、入力電圧V1とV2が同じである場合について説明する。
第1の抵抗器21での電圧降下と第3の抵抗器23での電圧降下は同じであるため、第1の接続点Aの電位と第2の接続点Bの電位は同じである。そのため、第1の発光ダイオードD1、第2の発光ダイオードD2のいずれにも電流が流れず、発光しないことから、第1のフォトトランジスタPT1、第2のフォトトランジスタPT2のいずれにも電流が流れない。その結果、2つのスイッチング制御回路33a、33bは、現状のPWM制御を継続する。すなわち、この場合、2つのスイッチング制御回路33a、33bは、上記の公知のフィードバック制御のみを行ってPWM信号のパルス幅を決定し、PWM制御を継続する。
次に、入力電圧V1が入力電圧V2よりも大きい場合について説明する。
電流I2と電流I1の比は、入力電圧V1と入力電圧V2の比と等しくなることから、電流I2は電流I1よりも大きくなるため、第3の抵抗器22での電圧降下は第1の抵抗器21での電圧降下よりも大きくなる。そのため、第2の接続点Bの電位は第1の接続点Aの電位よりも高くなる。これにより、第1の発光ダイオードD1に電流が流れ、第1のフォトトランジスタPT1に電流が発生する。
第1のフォトトランジスタPT1に所定以上の電流が流れると、スイッチング制御回路33bは、駆動用スイッチング素子32bのオフ時間を長くするように制御することで、出力電圧Vo2を低下させるように調整する。このような構成とすることにより、入力電圧が高い方の電源モジュール30aの出力電圧Vo1が高くなり、電源モジュール30aからの負荷への電力供給の割合が高くなることから、入力電圧V1が低下する。これにより、電源装置1は、入力電圧V1と入力電圧V2が等しくなるように調整する。
入力電圧V2が入力電圧V1よりも大きくなった場合も、上記と同様である。第2のフォトトランジスタPT2に所定以上の電流が流れると、スイッチング制御回路33aは、駆動用スイッチング素子32aのオフ時間を長くするように制御することで、出力電圧Vo1を低下させるように調整する。このような構成とすることにより、入力電圧が高い方の電源モジュール30bの出力電圧Vo2が高くなり、電源モジュール30bからの負荷への電力供給の割合が高くなることから、入力電圧V2が低下する。これにより、電源装置1は、入力電圧V1と入力電圧V2が等しくなるように調整する。
このような動作を行うことにより、2つの電源モジュールの入力電圧V1とV2のバランスを崩さないようにする。これにより、電源装置1は、2つの電源モジュール30a、30bを安定的に動作させることが可能となる。
以下に本発明の実施形態の変形例について説明する。以下で述べる変形例は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて本発明の任意の実施形態に適用することができる。
1つの例では、直流電源4は、入力端子5a側が接地される。この場合、出力端子6a側が接地される。
1つの例では、調整用スイッチング素子25は、FETやIGBT等のデバイスにより構成される。1つの例では、駆動用スイッチング素子32a、32bは、FETやIGBT等のデバイスにより構成される。
1つの例では、第2のフォトトランジスタPT2に第1の電流値以上の電流が流れるとき、スイッチング制御回路33aは、駆動用スイッチング素子32aのデューティ比を小さくするように制御する。そして、第2のフォトトランジスタPT2に第1の電流値よりも大きい第2の電流値以上の電流が流れるとき、スイッチング制御回路33aは、駆動用スイッチング素子32aのデューティ比を更に小さくするように制御する。このように、スイッチング制御回路33aは、第2のフォトトランジスタPT2に流れる電流に応じて段階的に出力電圧Vo1を調整することもできる。段階的な調整は、上記のような2段階の構成に限定されず、任意の複数段階の構成としてもよい。なお、スイッチング制御回路33bも、同様の構成とすることができる。
1つの例では、第1の抵抗器21の抵抗値R1は、第3の抵抗器23の抵抗値R3のX倍であり、第1の抵抗器21の抵抗値R1及び第2の抵抗器22の抵抗値R2の和は、第4の抵抗器24の抵抗値R4のY倍である。このような構成としても、入力電圧V1とV2と、電流I1とI2との関係を決定可能であり、またフォトカプラ26a、26bを用いて電流が検出可能である限り、上記の実施形態と同様の動作を実現することができる。ただし、第1の抵抗器21の抵抗値R1は、第3の抵抗器23の抵抗値R3と等しく、第1の抵抗器21の抵抗値R1及び第2の抵抗器22の抵抗値R2の和は、第4の抵抗器24の抵抗値R4と等しい構成とするのが好ましい。
1つの例では、コンデンサ10aの静電容量は、コンデンサ10bの静電容量のZ倍である。このような構成としても、入力電圧V1とV2と、電流I1とI2との関係を決定可能であり、またフォトカプラ26a、26bを用いて電流が検出可能である限り、上記の実施形態と同様の動作を実現することができる。ただし、2つのコンデンサ10a、10bの静電容量は等しい構成とするのが好ましい。
1つの例では、電源装置1は、N個(Nは3以上の整数)のコンデンサ10と、N個の電源モジュール30とを備える。N個のコンデンサ10は、入力端子5aと入力端子5bとの間に、直列に接続される。電源モジュール30のそれぞれは、入力側がコンデンサ10のそれぞれの両端に接続され、出力側が出力端子6a、6bに接続される。電圧調整回路20は、N個のコンデンサ10のうちの隣接する2つのコンデンサ10のそれぞれに印加される電圧が等しくなるように調整するために、該2つのコンデンサ10の入力電圧の差に対応する電流(信号)を、該2つのコンデンサ10に対応する2つの電源モジュール30に伝送するように構成される。この場合、電源装置1は、複数の電圧調整回路20を備えることができる。
以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各実施例は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて本発明の任意の実施形態に適用することができる。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。