JP6949080B2 - 基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム - Google Patents

基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム Download PDF

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Description

本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラムに関するものである。
半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、加熱装置を用いて処理室内の基板を加熱し、基板の表面に成膜された薄膜中の組成や結晶構造を変化させたり、成膜された薄膜内の結晶欠陥等を修復したりするアニール処理に代表される改質処理がある。近年の半導体デバイスにおいては、微細化、高集積化が著しくなっており、これに伴い、高いアスペクト比を有するパターンが形成された高密度の基板への改質処理が求められている。このような高密度基板への改質処理方法として例えば特許文献1に見るような電磁波を用いた熱処理方法が検討されている。
国際公開第2017/149663号
ボートに、処理対象としてのウエハと、ウエハの温度を維持(保温)するための断熱板(サセプタ)が、所定の間隔でウエハを挟み込むようにウエハの上下にそれぞれ保持されている。単結晶シリコンを材料とした基板でサセプタを形成した場合、昇温中にサセプタの面内温度の状態によりサセプタに反りが発生しサセプタ端部がウエハと接触しウエハダメージが発生する可能性がある。
本開示の目的は、サセプタの反りを抑制することが可能となる技術を提供することにある。
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、基板に電磁波を供給する電磁波供給部と、少なくとも1つの基板と基板のエッジに対する電磁波の吸収を抑制する少なくもと1つのサセプタとを保持する基板保持部と、を備え、サセプタは、等方的な熱伝導率を有し、縦一方向で凝固した柱状の結晶組織を有する多結晶シリコンである技術が提供される。
本開示によれば、サセプタの反りを抑制することが可能なる。
本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成を処理炉の位置で示した縦断面図である。 本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成を示した横断面図である。 本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の処理炉部分を縦断面図で示した概略構成図である。 本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成を冷却室の位置で示した縦断面図である。 (A)ウエハを冷却室へ搬送する方法について模式的に示した図である。(B)冷却が完了したウエハを冷却室から搬出する方法について模式的に示した図である。 本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図である。 本開示の実施形態における基板処理工程のフローを示す図である。 (A)昇温前におけるサセプタの状態を説明するためのX−Y面の模式図である。(B)昇温前におけるサセプタの状態を説明するためのY−Z面の模式図である。 (A)昇温中における比較例のサセプタの反りを説明するためのX−Y面の模式図である。(B)昇温中における比較例のサセプタの反りを説明するためのY−Z面の模式図である。 (A)昇温中における実施形態のサセプタの変形を説明するためのX−Y面の模式図である。(B)昇温中における実施形態のサセプタの変形を説明するためのY−Z面の模式図である。
以下、本開示の実施形態について図1から7を参照しながら説明する。
(1)基板処理装置の構成
実施形態における基板処理装置100は、1枚または複数枚のウエハに各種の熱処理を施す枚葉式熱処理装置として構成されており、後述する電磁波を用いたアニール処理(改質処理)を行う装置として説明を行う。本実施形態における基板処理装置100では、基板としてのウエハ200を内部に収容した収納容器(キャリア)としてFOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドと称する)110が使用される。ポッド110は、ウエハ200を種々の基板処理装置間を搬送する為の搬送容器としても用いられる。
図1および図2に示すように、基板処理装置100は、ウエハ200を搬送する搬送室203を内部に有する搬送筐体202と、搬送筐体202の側壁に設けられ、ウエハ200を処理する処理室201−1、201−2をそれぞれ内部に有する後述する処理容器としてのケース102−1、102−2を備えている。また、処理室201−1、201−2の間には、後述する冷却室204を形成する冷却ケース109が設けられている。
搬送筐体202の前側である図1の向かって右側(図2の向かって下側)には、ポッド110の蓋を開閉し、ウエハ200を搬送室203に搬入・搬出するための、ポッド開閉機構としてのロードポートユニット(LP)106が配置されている。ロードポートユニット106は、筐体106aと、ステージ106bと、オープナ106cとを備え、ステージ106bは、ポッド110を載置し、搬送室203の筐体前方に形成された基板搬入搬出口134にポッド110を近接させるように構成され、オープナ106cによってポッド110に設けられている図示しない蓋を開閉させる。また、ロードポートユニット106は、ポッド110内部をNガス等のパージガスでパージする可能な機能を有していてもよい。また、搬送筐体202は、搬送室203内をNなどのパージガスを循環させるための後述するパージガス循環構造を有している。
搬送筐体202の後側である図1の向かって左側(図2の向かって上側)には、処理室201−1、201−2を開閉するゲートバルブ(GV)205−1、205−2がそれぞれ配置されている。搬送室203には、ウエハ200を移載する基板移載機構である基板移載ロボット、基板搬送部としての移載機125が設置されている。移載機125は、ウエハ200を載置する載置部としてのツィーザ(アーム)125a−1、125a―2と、ツィーザ125a−1、125a―2のそれぞれを水平方向に回転または直動可能な移載装置125bと、移載装置125bを昇降させる移載装置エレベータ125cとで構成されている。ツィーザ125a−1、125a−2、移載装置125b、移載装置エレベータ125cの連続動作により、後述するボート(基板保持部)217、冷却室204やポッド110にウエハ200を装填(チャージング)または脱装(ディスチャージング)することを可能な構成としている。以降、ケース102−1、102−2、処理室201−1、201−2、ツィーザ125a−1および125a−2のそれぞれは、特に区別して説明する必要が無い場合には、単にケース102、処理室201、ツィーザ125aとして記載する。
ツィーザ125a−1は、通常のアルミ材質であって、低温および常温のウエハの搬送に用いられる。ツィーザ125a−2は、耐熱性が高く、熱伝導率の悪いアルミや石英部材等の材質であって、高温および常温のウエハの搬送に用いられる。つまり、ツィーザ125a−1は低温用の基板搬送部であり、ツィーザ125a−2は高温用の基板搬送部である。高温用のツィーザ125a−2は、例えば、100°C以上、より好ましくは、200°C以上の耐熱性を有する様に構成するのが良い。低温用のツィーザ125a−1には、マッピングセンサを設置することが出来る。低温用のツィーザ125a−1にマッピングセンサを設けることにより、ロードポートユニット106内のウエハ200の枚数の確認、処理室201内のウエハ200の枚数の確認、冷却室204内のウエハ200の枚数の確認を行うことが可能になる。
本実施形態において、ツィーザ125a−1を低温用ツィーザとし、ツィーザ125a−2は高温用ツィーザとして説明を行うが、これに限定されない。ツィーザ125a−1を耐熱性が高く、熱伝導率の悪いアルミや石英部材等の材質で構成し、高温および常温のウエハの搬送に用い、ツィーザ125a−2を、通常のアルミ材質で構成し、低温および常温のウエハの搬送に用いても良い。また、ツィーザ125a−1、125a−2の両方を、耐熱性が高く、熱伝導率の悪いアルミや石英部材等の材質で構成しても良い。
(処理炉)
図1の破線で囲まれた領域Aには、図3に示すような基板処理構造を有する処理炉が構成される。図2に示すように、本実施形態においては処理炉が複数設けられているが、処理炉の構成は同一である為、一つの構成を説明するに留め、他方の処理炉構成の説明は省略する。
図3に示すように、処理炉は、金属などの電磁波を反射する材料で構成されるキャビティ(処理容器)としてのケース102を有している。また、金属材料で構成されたキャップフランジ(閉塞板)104が、図示を省略したシール部材としてのOリングを介してケース102の上端を閉塞するように構成する。主にケース102とキャップフランジ104の内側空間をシリコンウエハ等の基板を処理する処理室201として構成している。ケース102の内部に電磁波を透過させる石英製の図示しない反応管を設置してもよく、反応管内部が処理室となるように処理容器を構成してもよい。また、キャップフランジ104を設けずに、天井が閉塞したケース102を用いて処理室201を構成するようにしてもよい。
処理室201内には載置台210が設けられており、載置台210の上面には、基板としてのウエハ200を保持する基板保持部としてのボート217が載置されている。ボート217には、処理対象であるウエハ200と、ウエハ200を挟み込むようにウエハ200の垂直方向上下に載置されたサセプタ103a、103bが所定の間隔で保持されている。このサセプタ103a、103bは、例えば、結晶方位を持たず等方的な熱伝導率を持つ縦一方向(ウエハ200と垂直な方向)で凝固した柱状の結晶組織の多結晶シリコンを材料としたシリコンプレート(Si板)で構成され、ウエハ200の上下に配置することにより、ウエハ200のエッジに対する電界強度が集中することを抑制する。すなわち、サセプタは、ウエハのエッジに対する電磁波の吸収を抑制するものである。また、サセプタ103a、103bの発熱量はウエハ200の発熱量よりも大きいので、ウエハ200の上下に発熱体があることになり、保温性(断熱性)が大きく、ウエハ内温度のバラツキが小さくなる。また、サセプタ103a、103bの上面及び下面に、断熱板としての石英プレート101a、101bが所定の間隔で保持されるようにしても良い。本実施形態において、石英プレート101aと101bのそれぞれ、サセプタ103aと103bのそれぞれは同一の部品で構成されており、以後、特に区別して説明する必要が無い場合には、石英プレート101、サセプタ103と称して説明する。
処理容器としてのケース102は、例えば横断面が円形であり、平らな密閉容器として構成されている。また、下部容器としての搬送筐体202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料、または、石英などにより構成されている。なお、ケース102に囲まれた空間を処理空間としての処理室201又は反応エリア201と称し、搬送筐体202に囲まれた空間を搬送空間としての搬送室又は搬送エリア203と称する場合もある。なお、処理室201と搬送室203は、本実施例のように水平方向に隣接させて構成することに限らず、垂直方向に隣接させ、所定の構造を有する基板保持具を昇降させる構成としてもよい。
図1、図2および図3に示すように、搬送筐体202の側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入搬出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入搬出口206を介して処理室201と搬送室203との間を移動する。ゲートバルブ205または基板搬入搬出口206の周辺には、後述する電磁波の漏洩対策として、使用される電磁波の1/4波長の長さを有するチョーク構造が設けられている。
ケース102の側面には、後に詳述する加熱装置としての電磁波供給部が設置されており、電磁波供給部から供給されたマイクロ波等の電磁波が処理室201に導入されてウエハ200等を加熱し、ウエハ200を処理する。
載置台210は回転軸としてのシャフト255によって支持される。シャフト255は、処理室201の底部を貫通しており、更には処理室201の外部で回転動作を行う駆動機構267に接続されている。駆動機構267を作動させてシャフト255及び載置台210を回転させることにより、ボート217上に載置されるウエハ200を回転させることが可能となっている。なお、シャフト255下端部の周囲はベローズ212により覆われており、処理室201および搬送エリア203内は気密に保持されている。
ここで、載置台210は基板搬入搬出口206の高さに応じて、駆動機構267によって、ウエハ200の搬送時にはウエハ200がウエハ搬送位置となるよう上昇または下降し、ウエハ200の処理時にはウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇または下降するよう構成されていてもよい。
処理室201の下方であって、載置台210の外周側には、処理室201の雰囲気を排気する排気部が設けられている。図3に示すように、排気部には排気口221が設けられている。排気口221には排気管231が接続されており、排気管231には、処理室201内の圧力に応じて弁開度を制御するAPCバルブなどの圧力調整器244、真空ポンプ246が順に直列に接続されている。
ここで、圧力調整器244は、処理室201内の圧力情報、後述する圧力センサ245からのフィードバック信号を受信して排気量を調整することができるものであればAPCバルブに限らず、通常の開閉バルブと圧力調整弁を併用するように構成されていてもよい。
主に、排気口221、排気管231、圧力調整器244により排気部(排気系または排気ラインとも称する)が構成される。なお、載置台210を囲むように排気口を設け、ウエハ200の全周からガスを排気可能に構成してもよい。また、排気部の構成に、真空ポンプ246を加えるようにしてもよい。
キャップフランジ104には、不活性ガス、原料ガス、反応ガスなどの各種基板処理のための処理ガスを処理室201内に供給するためのガス供給管232が設けられている。このガス供給管232には、上流から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241、および、開閉弁であるバルブ243が設けられている。ガス供給管232の上流側には、例えば不活性ガスである窒素(N)ガス源が接続され、MFC241、バルブ243を介して処理室201内へ供給される。基板処理の際に複数種類のガスを使用する場合には、ガス供給管232のバルブ243よりも下流側に、上流側から順に流量制御器であるMFCおよび開閉弁であるバルブが設けられたガス供給管が接続された構成を用いることで複数種類のガスを供給することができる。ガス種毎にMFC、バルブが設けられたガス供給管を設置してもよい。
主に、ガス供給管232、MFC241、バルブ243によりガス供給系(ガス供給部)が構成される。ガス供給系に不活性ガスを流す場合には、不活性ガス供給系とも称する。不活性ガスとしては、Nガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
キャップフランジ104には、非接触式の温度測定装置として温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づき後述するマイクロ波発振器655の出力を調整することで、基板を加熱し、基板温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、例えばIR(Infrared Radiation)センサなどの放射温度計で構成されている。温度センサ263は、石英プレート101aの表面温度、または、ウエハ200の表面温度を測定するように設置される。上述した発熱体としてのサセプタが設けられている場合にはサセプタの表面温度を測定するように構成してもよい。なお、本実施形態においてウエハ200の温度(ウエハ温度)と記載した場合は、後述する温度変換データによって変換されたウエハ温度、すなわち、推測されたウエハ温度のことを意味する場合と、温度センサ263によって直接ウエハ200の温度を測定して取得した温度を意味する場合と、それらの両方を意味する場合を指すものとして説明する。
温度センサ263によって石英プレート101またはサセプタ103と、ウエハ200のそれぞれに対し、温度変化の推移を予め取得しておくことで石英プレート101またはサセプタ103と、ウエハ200の温度の相関関係を示した温度変換データを記憶装置121cまたは外部記憶装置123に記憶させてもよい。このように予め温度変換データを作成することによって、ウエハ200の温度は、石英プレート101の温度のみを測定することで、ウエハ200の温度を推測可能とし、推測されたウエハ200の温度を基に、マイクロ波発振器655の出力、すなわち加熱装置の制御を行うことが可能となる。
なお、基板の温度を測定する手段として、上述した放射温度計に限らず、熱電対を用いて温度測定を行ってもよいし、熱電対と非接触式温度計を併用して温度測定を行ってもよい。ただし、熱電対を用いて温度測定を行った場合、熱電対をウエハ200の近傍に配置して温度測定を行う必要がある。すなわち、処理室201内に熱電対を配置する必要があるため、後述するマイクロ波発振器から供給されたマイクロ波によって熱電対自体が加熱されてしまうので正確に測温することができない。したがって、非接触式温度計を温度センサ263として用いることが好ましい。
また、温度センサ263は、キャップフランジ104に設けることに限らず、載置台210に設けるようにしてもよい。また、温度センサ263は、キャップフランジ104や載置台210に直接設置するだけでなく、キャップフランジ104や載置台210に設けられた測定窓からの放射光を鏡等で反射させて間接的に測定するように構成されてもよい。さらに、温度センサ263は1つ設置することに限らず、複数設置するようにしてもよい。
ケース102の側壁には電磁波導入ポート653−1、653−2が設置されている。電磁波導入ポート653−1、653−2のそれぞれには処理室201内に電磁波(マイクロ波)を供給するための導波管654−1、654−2のそれぞれの一端が接続されている。導波管654−1、654−2それぞれの他端には処理室201内に電磁波を供給して加熱する加熱源としてのマイクロ波発振器(電磁波源)655−1、655−2が接続されている。マイクロ波発振器655−1、655−2はマイクロ波などの電磁波を導波管654−1、654−2にそれぞれ供給する。また、マイクロ波発振器655−1、655−2は、マグネトロンやクライストロンなどが用いられる。以降、電磁波導入ポート653−1、653−2、導波管654−1、654−2、マイクロ波発振器655−1、655−2は、特にそれぞれを区別して説明する必要のない場合には、電磁波導入ポート653、導波管654、マイクロ波発振器655と記載して説明する。
マイクロ波発振器655によって生じる電磁波の周波数は、好ましくは13.56MHz以上24.125GHz以下の周波数範囲となるように制御される。さらに好適には、2.45GHzまたは5.8GHzの周波数となるように制御されることが好ましい。ここで、マイクロ波発振器655−1、655−2のそれぞれの周波数は同一の周波数としてもよいし、異なる周波数で設置されてもよい。
また、本実施形態において、マイクロ波発振器655は、ケース102の側面に2つ配置されるように記載されているが、これに限らず、1つ以上設けられていればよく、また、ケース102の対向する側面等の異なる側面に設けられるように配置してもよい。主に、マイクロ波発振器655―1、655−2、導波管654−1、654−2および電磁波導入ポート653−1、653−2によって加熱装置としての電磁波供給部(電磁波供給装置、マイクロ波供給部、マイクロ波供給装置とも称する)が構成される。
マイクロ波発振器655−1、655−2のそれぞれには後述するコントローラ121が接続されている。コントローラ121には処理室201内に収容される石英プレート101aまたは101b、若しくはウエハ200の温度を測定する温度センサ263が接続されている。温度センサ263は、上述した方法によって石英プレート101、またはウエハ200の温度を測定してコントローラ121に送信し、コントローラ121によってマイクロ波発振器655−1、655−2の出力を制御し、ウエハ200の加熱を制御する。なお、加熱装置による加熱制御の方法としては、マイクロ波発振器655へ入力する電圧を制御することでウエハ200の加熱を制御する方法と、マイクロ波発振器655の電源をONとする時間とOFFとする時間の比率を変更することでウエハ200の加熱を制御する方法などを用いることができる。
ここで、マイクロ波発振器655−1、655−2は、コントローラ121から送信される同一の制御信号によって制御される。しかし、これに限らず、マイクロ波発振器655−1、655−2それぞれにコントローラ121から個別の制御信号を送信することでマイクロ波発振器655−1、655−2が個々に制御されるように構成してもよい。
(冷却室)
図2および図4に示すように、搬送室203の側方であって、処理室201−1、201−2の間に処理室201−1、201−2から略等距離となる位置、具体的には、処理室201−1、201−2の基板搬入搬出口206からの搬送距離が略同一距離となるように、所定の基板処理を実施したウエハ200を冷却する冷却領域としての冷却室(冷却エリア、冷却部とも称する)204が冷却ケース109によって形成されている。冷却室204の内部には、基板保持具としてのボート217と同様の構造を有するウエハ冷却用載置具(クーリングステージとも称する、以下、CSと記載する)108が設けられている。CS108は、後述する図5に示すように、複数のウエハ保持溝107a〜107dによって複数枚のウエハ200を垂直多段に水平保持することが可能なように構成されている。また、冷却ケース109には、ガス供給配管(冷却室用ガス供給配管)404を介して冷却室204内の雰囲気をパージするパージガス(冷却室用パージガス)としての不活性ガスを予め定められた第1のガス流量で供給する、冷却室用パージガス供給部としてのガス供給ノズル(冷却室用ガス供給ノズル)401が設置される。ガス供給ノズル401は、ノズル端部が開口された開口ノズルであってもよく、好ましくは、CS108側に面するノズル側壁に複数のガス供給口が設けられた多孔ノズルを用いることが好ましい。また、ガス供給ノズル401は複数設けられていてもよい。なお、ガス供給ノズル401から供給されるパージガスは、CS108に載置される処理後のウエハ200を冷却する冷却ガスとして用いてもよい。
冷却室204は、図2に示すように、処理室201−1および処理室201−2の間に設けるのが好ましい。これにより、処理室201−1と冷却室204の移動距離(移動時間)と処理室201−2と冷却室204の移動距離とを同じにすることができ、タクトタイムを同じにすることがきできる。また、処理室201−1と処理室201−2の間に冷却室204を設けることで、搬送スループットを向上させることができる。
冷却室204の内部に設けられるCS108は、図5に示すように、4枚のウエハ200を保持可能である。つまり、CS108は、処理室201−1または201−2で加熱されるウエハ200の枚数(2枚)の少なくとも2倍のウエハ200(4枚)を冷却できる構成とされている。
また、冷却室204には、冷却室用パージガスを排気するための排気口405と、ガス排気量を調節するための冷却室用排気バルブとしての開閉バルブ(またはAPCバルブ)406、冷却室用排気配管としての排気配管407が設けられている。開閉バルブ406の後段の排気配管407には、冷却室204内の雰囲気を積極的に排気するための図示しない冷却室用真空ポンプを設けるようにしてもよい。排気配管407は、後述する搬送室203内の雰囲気を循環させるためのパージガス循環構造に接続されて循環するようにしても良い。
また、冷却ケース109には冷却室204内の圧力を検知する冷却室用圧力センサ(冷却室用圧力計)408が設けられており、搬送室用圧力センサ(搬送室用圧力計)180によって検知された搬送室内の圧力と冷却室204内の差圧を一定にするように、後述するコントローラ121によって、冷却室用MFCとしてのMFC403、冷却室用バルブとしてのバルブ402が制御されてパージガスの供給または供給停止が実施され、また、開閉バルブ405と冷却室用真空ポンプが制御されてパージガスの排気または排気停止が制御される。これらの制御によって、冷却室204内の圧力制御、およびCS108に載置されたウエハ200の温度制御が行われる。なお、主にガス供給ノズル401、バルブ402、MFC403、ガス供給配管404によって冷却室用ガス供給系(第1のガス供給部)が構成され、また、主に排気口405、開閉バルブ406、排気配管407によって冷却室用ガス排気系(冷却室用ガス排気部)が構成される。冷却室用ガス排気系には冷却室用真空ポンプを含めるようにしてもよい。また、冷却室204内には、CS108に載置されたウエハ200の温度を測定するための図示しない温度センサを設けていてもよい。ここで、ウエハ保持溝107a〜107dのそれぞれは、特に区別して説明する必要が無い場合には、単にウエハ保持溝107として記載する。
(制御装置)
図6に示すように、制御部(制御装置、制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、アニール(改質)処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単にレシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
I/Oポート121dは、上述の移載機125、MFC241、バルブ243、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、駆動機構267、マイクロ波発振器655等に接続されている。
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、移載機による基板の移載動作、MFC241による各種ガスの流量調整動作、バルブ243の開閉動作、圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくマイクロ波発振器655の出力調整動作、駆動機構267による載置台210(またはボート217)の回転および回転速度調節動作、または、昇降動作等を制御するように構成されている。
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置100の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、基板上に形成されたシリコン含有膜としてのアモルファスシリコン膜の改質(結晶化)方法の一例について図7に示した処理フローに沿って説明する。以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。また、上述した処理炉構造と同様に本実施例における基板処理工程においても、処理内容、すなわちレシピについては複数設けられた処理炉において同一レシピを使用する為、一方の処理炉を使用した基板処理工程について説明するに留め、他方の処理炉を用いた基板処理工程の説明は省略する。
ここで、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」や「半導体基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
(基板取出し工程(S801))
図1に示されるように、移載機125はロードポートユニット106によって開口されたポッド110から処理対象となるウエハ200を所定枚数取り出し、ツィーザ125a−1、125a―2の両方にウエハ200を載置する。つまり、低温用のツィーザ125a−1、高温用のツィーザ125a−2に2枚のウエハを載置して、2枚のウエハをポッド110から取り出す。
(基板搬入工程(S802))
図1及び3に示されるように、ツィーザ125a−1、125a―2の両方に載置されたウエハ200はゲートバルブ205の開閉動作によって所定の処理室201に搬入(ボートローディング)される。つまり、低温用のツィーザ125a−1、高温用のツィーザ125a−2に載置された2枚のウエハを、処理室201に搬入する。
(炉内圧力・温度調整工程(S803))
処理室201内へのボート217の搬入が完了したら、処理室201内が所定の圧力(例えば10〜102000Pa)となるよう処理室201内の雰囲気を制御する。具体的には、真空ポンプ246により排気しつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて圧力調整器244の弁開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力とする。また、同時に予備加熱として電磁波供給部を制御し、所定の温度まで加熱を行うように制御してもよい(S803)。電磁波供給部によって、所定の基板処理温度まで昇温させる場合、ウエハ200が変形・破損しないように、後述する改質工程の出力よりも小さな出力で昇温を行うことが好ましい。なお、大気圧下で基板処理を行う場合、炉内圧力調整を行わず、炉内の温度調整のみを行った後、後述する不活性ガス供給工程S804へ移行するように制御してもよい。
(不活性ガス供給工程(S804))
炉内圧力・温度調整工程S803によって処理室201内の圧力と温度を所定の値に制御すると、駆動機構267は、シャフト255を回転させ、載置台210上のボート217を介してウエハ200を回転させる。このとき、窒素ガス等の不活性ガスがガス供給管232を介して供給される(S804)。さらにこのとき、処理室201内の圧力は10Pa以上102000Pa以下の範囲となる所定の値であって、例えば101300Pa以上101650Pa以下となるように調整される。なお、シャフトは基板搬入工程S402時、すなわち、ウエハ200を処理室201内に搬入完了後に回転させてもよい。
(改質工程(S805))
処理室201内を所定の圧力となるように維持すると、マイクロ波発振器655は上述した各部を介して処理室201内にマイクロ波を供給する。処理室201内にマイクロ波が供給されることによって、ウエハ200が100℃以上、1000℃以下の温度、好適には400℃以上、900℃以下の温度となるように加熱し、さらに好適には、500℃以上、700℃以下の温度となるように加熱する。このような温度で基板処理することによって、ウエハ200が効率よくマイクロ波を吸収する温度下での基板処理となり、改質処理の速度向上が可能となる。換言すると、ウエハ200の温度を100℃よりも低い温度、または1000℃よりも高い温度下で処理してしまうと、ウエハ200の表面が変質してしまい、マイクロ波を吸収し難くなってしまうためにウエハ200を加熱し難くなってしまうこととなる。このため、上述した温度帯で基板処理を行うことが望まれる。
マイクロ波による加熱方式にて加熱を行う本実施形態では、処理室201に定在波が発生し、ウエハ200(サセプタ103が載置されている場合はサセプタ103もウエハ200と同様に)上に、局所的に加熱されてしまう加熱集中領域(ホットスポット)とそれ以外の加熱されない領域(非加熱領域)が生じ、ウエハ200(サセプタ103が載置されている場合はサセプタ103もウエハ200と同様に)が変形することを抑制するため、電磁波供給部の電源のON/OFFを制御することでウエハ200にホットスポットが生じることを抑制している。このとき、電磁波供給部の供給電力を低出力とすることで、ホットスポットの影響が小さくなるように制御することにより、ウエハ200の変形を抑制することも可能である。ただしこの場合、ウエハ200やサセプタ103に照射されるエネルギーが小さくなるため、昇温温度も小さくなり、加熱時間を長くする必要がある。
ここで、上述したように温度センサ263は非接触式の温度センサであり、測定対象であるウエハ200(サセプタ103もウエハ200と同様に)に変形、位置ズレや破損が生じると、温度センサがモニタするウエハ200の位置や、ウエハ200に対する測定角度が変化するため、測定値(モニタ値)が不正確となり、測定温度が急激に変化してしまうこととなる。本実施形態では、このような測定対象の変形や破損に伴って放射温度計の測定温度が急激に変化することを電磁波供給部のON/OFFを行うトリガとして利用している。
以上のようにマイクロ波発振器655を制御することによって、ウエハ200を加熱し、ウエハ200表面上に形成されているアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜へと改質(結晶化)させる(S805)。すなわち、ウエハ200を均一に改質することが可能となる。なお、ウエハ200の測定温度が上述した閾値を超えて高くまたは低くなった場合、マイクロ波発振器655をOFFとするのではなく、マイクロ波発振器655の出力を低くするように制御することでウエハ200の温度が所定の範囲の温度となるようにしてもよい。この場合、ウエハ200の温度が所定の範囲の温度に戻るとマイクロ波発振器655の出力を高くするように制御される。
予め設定された処理時間が経過すると、ボート217の回転、ガスの供給、マイクロ波の供給および排気管の排気が停止する。
(基板搬出工程(S806))
処理室201内の圧力を大気圧復帰させた後、ゲートバルブ205を開放し処理室201と搬送室203とを空間的に連通させる。その後、ボート217に載置されている加熱(処理)後の1枚のウエハ200を移載機125の高温用のツィーザ125a−2によって、搬送室203に搬出する(S806)。
(基板冷却工程(S807))
高温用のツィーザ125a−2によって搬出された加熱(処理)後の1枚のウエハ200は、移載装置125b、移載装置エレベータ125cの連続動作により、冷却室204まで移動され、高温用のツィーザ125a−2によって、CS108に載置される。具体的には、図5(A)に示すように、高温用のツィーザ125a−2に保持された改質工程S805後のウエハ200aが、CS108に設けられたウエハ保持溝107bに移送され、所定時間載置されることでウエハ200aが冷却される(S807)。このとき、図5(B)に示すように既に先行してCS108に冷却されていた冷却済ウエハ200bが載置されている場合には、改質工程S805完了後のウエハ200aをウエハ保持溝107bに載置後の高温用のツィーザ125a−2および、低温用のツィーザ125a−1が2枚の冷却済ウエハ200bをロードポート、すなわちポッド110に搬送する。
処理室201内のボート217上で2枚のウエハ200が一括して加熱(処理)される場合、基板搬出工程(S806)および基板冷却工程(S807)が連続して複数回(この例では、2回)実施されることで、2枚の高温のウエハ200aが、高温用のツィーザ125a−2により、1枚ずつ、CS108に載置される。この時、CS108に2枚の冷却済ウエハ200bが載置されている場合、2枚の冷却済ウエハ200bは高温用のツィーザ125a−2および低温用のツィーザ125a−1により、CS108から、ポッド110へ搬出される。これにより、高温用のツィーザ125a−2が高温のウエハ200aを保持する時間を短くできるので、移載機125への熱負荷を軽減することが出来る。また、ウエハ200を冷却する時間も長くできる。
以上の様に、高温用のツィーザ125a−2を設け、処理室201内の加熱(処理)後の高温のウエハ200aを、処理室201内で、例えば、100°C以下になるまで冷却することなく、比較的高温のまま、高温用のツィーザ125a−2を用いて、冷却室204内のCS108へ移動させる。
(基板収容工程(S808))
基板冷却工程S807によって冷却されたウエハ200は、低温用のツィーザ125a−1および高温用のツィーザ125a−2によって、冷却された2枚のウエハを、冷却室204から取り出し、所定のポッド110に搬送する。このようにウエハの1枚搬送(冷却室204への搬入)と2枚搬送(冷却室204からの搬送)とを組み合わせることで、ウエハ200の搬送時間を高速化することができる。
以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が改質処理され、次の基板処理工程に移行することとなる。また、ウエハ200をボート217に2枚載置させることで基板処理を行うように構成して説明したが、これに限らず、処理室201−1、201−2のそれぞれに設置されているボート217に1枚ずつ載置させて同一の処理を行うようにしてもよいし、スワップ処理を行うことで、ウエハ200を2枚ずつ、処理室201−1、201−2にて処理するようにしてもよい。このとき、処理室201−1、201−2のそれぞれで行われる基板処理の回数が一致するようにウエハ200の搬送先を制御してもよい。このように制御することで各処理室201−1、201−2における基板処理の実施回数が一定となり、メンテナンスなどの保守作業を効率よく行うことが可能となる。例えば、前回ウエハ200を搬送した処理室が処理室201−1である場合、次のウエハ200の搬送先は処理室201−2とするように制御することで各処理室201−1、201−2における基板処理の実施回数を制御することができる。
本実施形態のサセプタの効果について図8〜10を用いて説明する。
図8(A)および図8(B)に示すように、ボート217には、処理対象であるウエハ200と、ウエハ200を挟み込むようにウエハ200の垂直方向上下に載置されたサセプタ103a、103bが所定の間隔で保持されている。サセプタ103a、103bおよびウエハ200のそれぞれはボート217の載置部217a,217b,217cにより3点で保持されている。
図9(A)および図9(B)に示すように、3点で保持するボート構成でサセプタ103a、103bに単結晶シリコンを用いた場合には、例えば昇温中にサセプタ103bの面内に温度分布が発生すると、サセプタ103bは結晶方位の特性により異方的な熱伝導率を持っていることからサセプタ103bがポテトチップス状に反ることがある。このため、サセプタ103bとウエハ200がC点で接触してウエハ200及びサセプタ103bを損傷させてしまう場合がある。サセプタ103bを3点保持している為、ポテトチップス状にサセプタ103bが反った場合には、凸または凹状にセプタ103bが反った場合と比較しサセプタ103bのエッジ部でウエハ200に接近し、接触によるダメージが発生する可能性がある。サセプタ103aもサセプタ103bと同様に、ポテトチップス状に反る(凹凸を含む形状に歪む)場合がある。この場合は、サセプタ103aのエッジ部で石英プレート101aに接近し、接触によるダメージが発生する可能性がある。
本実施形態では、単結晶シリコンのような結晶方位を持たず等方的な熱伝導率を持つ縦一方向で凝固した柱状の結晶組織の多結晶シリコンを材料としたサセプタ103bを用いている。サセプタ103bは、シリコンとしてのマイクロ波吸収特性は維持したまま、ポテトチップス状の反りを防止することができる。さらに、図10(A)および図10(B)に示すように、サセプタ103bを3点で保持するボート構成の場合、温度分布によりY方向の変位量が同一の変形が発生したとしても、縦位置方向で凝固した柱状の結晶組織により、等方的な特性なので、周方向で変形したとしても、サセプタの反りが抑制されるので、ウエハ200とサセプタ103bのエッジ部の距離を少なく保つことが可能となり、サセプタ103bのウエハ200への接触が回避されてウエハ200およびサセプタ103bのダメージの発生を防止することができる。また、等方的な熱伝導率を有することでサセプタの機能の一つである面内の熱分布の均一性が向上し結果、ウエハの面内温度分布の向上に寄与することが期待できる。また、サセプタの反り量が減るので、マイクロ波のパワーを増加させることが可能となる。これにより、従来よりも昇温時間を早くすることができ、スループットの向上に繋がる。また、サセプタの反りが抑制されるので、従来よりも、サセプタと基板との間隔を狭くすることが可能となる。間隔が狭くなるので、基板への熱伝導効率が上がる。
本実施形態では、サセプタ103aはサセプタ103bと同じ材料で構成する例を説明したが、サセプタ103aは単結晶シリコンを材料とするシリコンプレート(Si板)や炭化シリコンプレート(SiC板)であってもよい。また、2枚のウエハ200をサセプタ103a、103bで上下に挟み込んでいるが、1枚以上のウエハ200をサセプタ103a、103bで上下に挟み込んでもよい。また、1枚以上のウエハ200にサセプタ103aまたはサセプタ103bのいずれかを所定の間隔で配置するようにしてもよい。
以上説明した実施形態の構成は、適宜変更して用いることができ、その効果も得ることができる。例えば、上述の説明では、シリコンを主成分とする膜として、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に改質する処理について記載したが、これに限らず、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)のうち、少なくとも1つ以上を含むガスを供給させて、ウエハ200の表面に形成された膜を改質しても良い。例えば、ウエハ200に、高誘電体膜としてのハフニウム酸化膜(HfxOy膜)が形成されている場合に、酸素を含むガスを供給しながらマイクロ波を供給して加熱させることによって、ハフニウム酸化膜中の欠損した酸素を補充し、高誘電体膜の特性を向上させることができる。
なお、ここでは、ハフニウム酸化膜について示したが、これに限らず、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の少なくともいずれかを含む金属元素を含む酸化膜、すなわち、金属系酸化膜を改質する場合においても、好適に適用可能である。すなわち、上述の成膜シーケンスは、ウエハ200上に、TiOCN膜、TiOC膜、TiON膜、TiO膜、ZrOCN膜、ZrOC膜、ZrON膜、ZrO膜、HfOCN膜、HfOC膜、HfON膜、HfO膜、TaOCN膜、TaOC膜、TaON膜、TaO膜、NbOCN膜、NbOC膜、NbON膜、NbO膜、AlOCN膜、AlOC膜、AlON膜、AlO膜、MoOCN膜、MoOC膜、MoON膜、MoO膜、WOCN膜、WOC膜、WON膜、WO膜を改質する場合にも、好適に適用することが可能となる。
また、高誘電体膜に限らず、不純物がドーピングされたシリコンを主成分とする膜を加熱させるようにしてもよい。シリコンを主成分とする膜としては、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等のSi系酸化膜がある。不純物としては、例えば、硼素(B)、炭素(C)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)、砒素(As)などの少なくとも1つ以上を含む。
また、メタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylatePMMA)、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルフェニール樹脂などの少なくともいずれかをベースとするレジスト膜であってもよい。
また、上述では、半導体装置の製造工程の一工程について記したが、これに限らず、液晶パネルの製造工程のパターニング処理、太陽電池の製造工程のパターニング処理や、パワーデバイスの製造工程のパターニング処理などの、基板を処理する技術にも適用可能である。
なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本開示のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
更に、上述した各構成、機能、制御装置等は、それらの一部又は全部を実現するプログ
ラムを作成する例を説明したが、それらの一部又は全部を例えば集積回路で設計する等に
よりハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない。すなわち、処理部の全部また
は一部の機能は、プログラムに代え、例えば、ASIC(Application Sp
ecific Integrated Circuit)、FPGA(Field Pr
ogrammable Gate Array)などの集積回路などにより実現してもよ
い。
103a,103b:サセプタ
200:ウエハ(基板)
201:処理室
217:ボート(基板保持部)
653−1、653−2:電磁波導入ポート(電磁波供給部)
654−1、654−2:導波管(電磁波供給部)
655―1、655−2:マイクロ波発振器(電磁波供給部)

Claims (5)

  1. 基板を処理する処理室と、
    前記基板に電磁波を供給する電磁波供給部と、
    少なくとも1つの前記基板と前記基板のエッジに対する前記電磁波の吸収を抑制する少なくもと1つのサセプタとを保持する基板保持部と、を備え、
    前記サセプタは、等方的な熱伝導率を有し、縦一方向で凝固した柱状の結晶組織を有する多結晶シリコンである基板処理装置。
  2. 前記サセプタは、少なくとも1つの前記基板の上面または下面に所定の間隔で配置される請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記サセプタは、少なくとも1つの前記基板を挟み込んで前記基板の上面および下面に所定の間隔で配置される請求項1に記載の基板処理装置。
  4. 基板を処理する処理室と、前記基板に電磁波を供給する電磁波供給部と、少なくとも1つの前記基板と前記基板のエッジに対する前記電磁波の吸収を抑制する少なくもと1つのサセプタとを保持する基板保持部と、を備え、前記サセプタは、等方的な熱伝導率を有し、縦一方向で凝固した柱状の結晶組織を有する多結晶シリコンである基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する搬入工程と、
    前記基板を前記電磁波で処理する処理工程と、
    前記基板を前記処理室から搬出する搬出工程と、
    を有する半導体装置の製造方法。
  5. 基板を処理する処理室と、前記基板に電磁波を供給する電磁波供給部と、少なくとも1つの前記基板と前記基板のエッジに対する前記電磁波の吸収を抑制する少なくもと1つのサセプタとを保持する基板保持部と、を備え、前記サセプタは、等方的な熱伝導率を有し、縦一方向で凝固した柱状の結晶組織を有する多結晶シリコンである基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する搬入手順と、
    前記基板を処理する処理手順と、
    前記基板を前記処理室から搬出する搬出手順と、
    をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
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