以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
以下、本開示の実施の形態に係る照明制御装置、照明制御システム及び照明制御方法について説明する。
(実施の形態1)
[構成]
図1は、実施の形態1に係る照明制御装置10を含む照明装置1を示すブロック図である。
図1に示すように、照明装置1は、ユーザの体内時計を調節して生体リズムを整える光を発する装置である。照明装置1は、例えば、卓上に配置される浴光装置、光施療装置といった装置である。照明装置1は、1の筐体又は複数の装置からなる照明制御システムであってもよい。照明装置1は、照明制御システムの一例である。
生体リズムを整える光は、例えば青色光がある。青色光には、日中に青色を含む光を浴びると、生体リズムを改善する効果があることが知られている。特に、日中に所定の光量以上の青色の光を浴びると、生体ホルモンであるメラトニンの分泌量が増加したり、1日での分泌量の変化(位相)において、位相が前進したりする効果があることが知られている。このため、この青色光を眼に入射させることで、生体リズムの改善を行うことが望ましい。
照明装置1は、発光モジュール110と、光検出部120と、照明制御装置10とを備える。
発光モジュール110は、人の生体リズムを整える効果のある光を発する装置である。人の生体リズムを整える効果のある光とは、本実施の形態では、青色光を多く含んだ光、青色光と白色光とを含む光である。本実施の形態では、青色光あるいは白色光だけを発することもでき、青色光と白色光とを同時に発することもできる。発光モジュール110は、光源の一例である。
なお、ここでいう青色光とは、厳密な意味で青色を意味しているのではなく、通常、青色と見える光を意味し、例えば430nmから495nmまでの波長を有する光である。また、ここでいう白色光とは、厳密な意味で白色を意味しているのではなく、通常、白色と見える光を意味し、可視光線の各色の光(例えば、青色光(430〜495nm)、緑色光(495〜570nm)、赤色光(620〜750nm)等の光)が略均一に混ざった光である。
発光モジュール110は、基板と、基板に実装された複数のLED素子とを有する。
基板は、複数のLED素子を実装するためのプリント配線基板であり、略矩形状に形成されている。基板としては、例えば、樹脂をベースとする樹脂基板、金属をベースとするメタルベース基板、セラミックからなるセラミック基板等を用いることができる。
複数のLED素子は、基板に実装されている。例えば、複数のLED素子は、基板に面状(行列状)に配置された、複数のLED素子である。例えば、複数のLED素子はそれぞれ、基板に等間隔で配置されている。LED素子は、光源の一例であってもよい。
複数のLED素子は、LED(Light Emitting Diode)素子で構成されている。複数のLED素子は、白色光、青色光、及び赤色光を発することが可能である。本実施の形態では、例えば、LED素子は、青色光、緑色光及び赤色光を発光するRGBタイプのLED素子である。なお、LED素子は、SMD(Surface Mount Device)型のLED素子であってもよいし、COB(Chip On Board)型のLED素子であってもよい。LED素子は、RGB3色に限られず、RGBW4色であってもよいし、BW2色(青白2色)であってもよい。
また、図示しないが、基板には、照明制御装置10からの制御信号を伝送するための配線である信号線及び電源部からの電力を供給するための配線である電力線が設けられている。例えば、信号線及び電力線は、複数のLED素子のそれぞれを直列に接続する。複数のLED素子のそれぞれは、電力線を介して電源部から電力の供給を受け、信号線からの制御信号に基づいて所定の光を発する。
光検出部120は、照明装置1の周囲の光量を検出することができるセンサである。光検出部120は、例えば照度センサ等である。光検出部120は、周囲の光量を検出したセンサ値を照明制御装置10に出力する。
照明制御装置10は、光検出部120が検出した周囲の光量に応じて発光モジュール110を制御する。照明制御装置10は、制御部20と、入力部30とを有する。
制御部20は、発光モジュール110に供給する電力を制御する。具体的には、制御部20は、周囲の光量に応じて、発光モジュール110が発する光の出力の初期出力値と、初期出力値から初期出力値よりも大きい目標出力値に到達するまでの所要時間とを決定し、初期出力値から目標出力値に所要時間をかけて到達させるように、発光モジュール110に与える電力を制御する。つまり制御部20は、発光モジュール110が最初に発する光の光量を示す初期出力値と、目標出力値に到達するまでの所要時間とを決定することで、発光モジュール110が発する光の出力を調節する。ここでいう初期出力値及び目標出力値は、明るさ(lx)を例示しているが、光束(lm)、放射エネルギー(W)等であってもよい。
図2は、ブライトネスと対象物輝度との関係を順応輝度で示す図である。図2は、「武内徹二(1997)明るさの知覚,照明学会誌,81(1),493−499」で示されている。図2では、順応輝度が0(cd/m2)、3(cd/m2)、30(cd/m2)、300(cd/m2)、1000(cd/m2)、3000(cd/m2)のグラフを示している。
図2の対象物輝度が102であるときの各々の順応輝度とブライトネスとの関係を図3で示す。図3は、順応輝度とブライトネスとの関係を示す図である。図3では、ブライトネスの軸の正負が逆方向となる底が10の対数関数を示した。図3で示すように、順応輝度が上昇するとともにブライトネスが減少していることが判る。このことから、発光モジュール110が発する光の出力と所要時間との関係を導く。
図4は、発光モジュール110が発する光の出力と所要時間との関係を示す図である。図4に示すように、制御部20は、発光モジュール110が発する光の出力を時間の経過とともに増加させるように制御する。つまり、制御部20は、発光モジュール110に与える電力を時間の経過とともに増加させるように制御する。
制御部20は、周囲の光量が第1光量である場合の初期出力値よりも、周囲の光量が第1光量よりも大きい第2光量である場合の初期出力値の方を大きくする。つまり制御部20は、照明装置1の周囲の明るさに応じて初期出力値を決定する。一例を挙げると、制御部20は、周囲が暗ければ周囲の明るさに合うように初期出力値を低くし、周囲が明るければ周囲の明るさに合うように初期出力値を高くする。なぜなら、例えば、照明装置1が明るく、照明装置1の周囲が暗ければ、明暗差が大きくなる。明暗差が大きくなると、人は、照明装置1の光を必要以上に眩しく感じる傾向がある。このため、照明装置1が発する光の明るさを周囲の明るさに合うように初期出力値を決定する。なお、人は、所定時間が経過すれば、その明るさに慣れる傾向があるため、照明装置1を明るくしても必要以上に眩しいと感じ難くなる。
初期出力値は、照明装置1の周囲の明るさに依存して決定される値であり、0をも含む。初期出力値は、照明装置1の周囲の環境に対してユーザが眩しさを感じない又は感じ難い値に設定している。
初期出力値の設定方法について具体的に説明する。
図5は、観察者と照明装置との位置関係を示す図である。
図5に示すように、不快グレアの程度に影響をおよぼす照明装置の輝度、照明装置の大きさ、照明装置の位置、天井面及び壁面等といった照明装置の発光面の背景となる周辺の明るさを変数とした計算式によって、不快グレアの程度を精度よく評価する方式であるグレアインデックス方式が知られている。これは、例えば、下記のURL「http://www2.panasonic.biz/es/lighting/plam/knowledge/document/0105.htmlsha−puanchor_8」に記載されている。
ここでは、不快グレアを統一した方式である評価値UGR(Unified Glare Rating)を考慮する。UGRは、背景輝度Lb(cd/m2)、照明装置の発光面の輝度L(cd/m2)、照明装置の発光面の大きさω(sr)、後述するポジションインデックスρから式(1)により算出される。
ここで、背景輝度Lbは通常、観察者の眼の位置での間接照度Ei(lx)から式(2)により計算される。観察者は、本実施の形態ではユーザである。
照明装置の発光面の輝度Lは、照明装置の観察者方向の光度I(cd)と投影面積Ap(m2)から式(3)により求められる。
照明装置の大きさは、立体角ωで表現されるため、下記の式(4)により、照明装置の投影面積Ap(m2)と観察者から照明装置までの距離r(m)から算出される。
ポジションインデックスρは、観察者から見たときの照明装置の位置によって決まる指数である。この値を求める方法を図5の照明空間を例に説明する。図5に示すように、観察者と照明装置との位置関係を、視野の中心から照明装置までの高さ方向の距離H、視野の中心から照明装置までの横方向の距離L、観察者から注視点までの距離Rで表す。次に、これらH、L、Rから、L/R、H/Rを求める。そして、これら求めたL/R、H/Rからポジションインデックスρを、予め定められたポジションインデックス算出表から読み取る。UGRの値と不快グレアの程度とは、一定の関係があるため、その関係を基に評価する。
JIS屋内作業場の照明基準(JIS Z9125:2007)では、UGR値を超えないことが望ましいとしている。つまり、UGR値を超えると、ユーザは、眩しさを不快に感じてしまう。このJIS屋内作業場の照明基準では、例えば、本実施の形態の照明装置を食堂及び休憩室で利用されることを想定した場合に、UGR値は22とされている。
これらのことから、H、L、R等から、観察者の目の位置での間接(背景)照度が350、500、650、800lxの場合のUGRが22となる、照明装置の観察者の位置での照度を、図6で示した。図6は、間接照度に対するUGRを示す図である。
図6に示すように、視野の中心から照明装置までの高さ方向の距離H=1とし、視野の中心から照明装置までの横方向の距離Lを0.5とし、観察者から注視点までの距離Rを2として、H/R、L/R、及びポジションインデックスρを算出した。
図6の結果より、後述する図8の(d)において、発光モジュール110の明るさが時間の経過とともに階段状の変化率が増加する場合において、間接照度が例えば350lxの場合では、UGRが22となる照明装置の観察者位置での照度が900lxと算出された。このため、初期出力値を照明装置の観察者位置での照度が900lx以下にすれば、不快なまぶしさは生じないと考えられる。これらの計算を行うことで、初期出力値を、照明装置の周囲の環境に対してユーザが眩しさを感じない又は感じ難い値に設定することができる。
図7は、所要時間tと環境照度Eとの関係を示す図である。所要時間tは縦軸であり、環境照度Eは横軸である。
図7の(a)は明るさ増加に伴い所要時間Eが低下する段状であり、図7の(b)は明るさ増加に伴い所要時間Eが低下する反比例曲線状であり、図7の(c)は明るさ増加に伴い所要時間Eが低下する階段状であり、図7の(d)は明るさ増加に伴い所要時間Eが次第に低下する直線状である。
制御部20は、周囲の光量が第1光量である場合の所要時間よりも、周囲の光量が第2光量である場合の所要時間の方を短くする。つまり制御部20は、周囲の光量が第1光量である場合に第2光量の場合よりも所要時間を長くし、周囲の光量が第2光量である場合に第1光量の場合よりも所要時間を短くする。
図7の(a)〜(d)で示すように、所要時間tと環境照度Eとの関係は、いずれの関数も非増加関数で示される。なお、所要時間tと環境照度Eとの関係は、図7の(a)〜(d)で示される関数に限定されない。
図8は、発光モジュール110が発する光の明るさg(t)と所要時間tとの関係を示す図である。環境照度Eは縦軸であり、所要時間tは横軸である。
図8の(a)は時間の経過に伴い発光モジュール110が発する光の明るさg(t)が増加する直線状であり、図8の(b)は時間の経過に伴い発光モジュール110が発する光の明るさg(t)が指数関数的に増加する曲線状であり、図8の(c)は時間の経過に伴い発光モジュール110が発する光の明るさg(t)が増加する複数の直線からなり、図8の(d)は時間の経過に伴い発光モジュール110が発する光の明るさg(t)が増加する階段状である。
なお、図8の(c)は、g(t)が増加する複数の直線は、明るさの増加と時間の経過とともに直線の傾きも増加している。図8の(d)でも、g(t)が増加する階段状を形成している複数の段部は、明るさの増加と時間の経過とともに明るさの増加量が増えている。
制御部20は、発光モジュール110が発する光の出力の変化量を時間の経過とともに増加させる。より具体的には、制御部20は、発光モジュール110が発する光の出力の変化量を、指数関数を用いて時間の経過とともに増加させる。つまり制御部20は、発光モジュール110が発する光の出力の変化量を、非減少関数に応じて増加させる。例えば、図8の(c)を例示すると、制御部20が指数関数を用いる場合、指数関数が示す明るさの関数において、0からa1までの第1の領域と、第1の領域よりも明るいa1からa2までの第2の領域とに分割する。第1の領域では、関数が示す明るさの増減が緩やかなため、発光モジュール110が点灯する時間である第1の所要時間は長くなる。第2の領域では、関数が示す明るさの増減が、第1の領域に比べて急なため、第2の所要時間は短くなる。第2の領域は、第1の領域の先に存在する領域、つまり発光モジュール110が点灯してから第1の所要時間が経過後の領域である。第2の領域で発光モジュール110が点灯する時間は、第2の所要時間である。このため、第1の所要時間に第2の所要時間を加算した時間が所要時間となる。
図8の(a)〜(d)で示すように、発光モジュール110が発する光の明るさg(t)と所要時間tとの関係は、いずれの関数も非減少関数で示される。なお、発光モジュール110が発する光の明るさg(t)と所要時間tとの関係は、図8の(a)〜(d)で示される関数に限定されない。
このような照明装置1において、初期出力値と所要時間とが決定される例を説明する。
図9は、照明装置1が発する光の明るさと時刻との関係を示す図である。
図9に示すように、例えば、周囲の光の明るさを352lxとして、時刻6時55分を基準とし、目標出力値を2445lxとし、図8のように直線の非減少関数を用いる。制御部20は、この条件から、初期出力値を352lxと算出し、目標出力値までの所要時間を5分と算出する。この場合に、周囲の明るさが0lxの場合、制御部20は、点灯開示時刻を、6時55分よりも1分早い時刻である6時54分と算出する。つまり所要時間は、6分となる。また、周囲の明るさが1000lxの場合、制御部20は、点灯開示時刻を、6時55分よりも1分30秒遅い6時56分30秒と算出する。
図1に示すように、制御部20は、センサ値が示す周囲の明るさEが閾値E1よりも小さいか否かを判断する。これは、照明装置1の周囲が、明るい環境であるか暗い環境であるかを判断することで、照明装置1の周囲の環境に応じた初期出力値を決定するために行う。
周囲の明るさEが閾値E1よりも小さいと制御部20が判断した場合、制御部20は、初期出力値から目標出力値までに出力を上げる際に掛かる所要時間T1aを算出する。一方、周囲の明るさEが閾値E1以上であると制御部20が判断した場合、制御部20は、所要時間T1aよりも短い時間である、初期出力値から目標出力値までに出力を上げる際に掛かる所要時間T2aを算出する。つまり、照明装置1の周囲の明るさが暗い場合、制御部20は、初期出力値から目標出力値までに出力を上げる際に掛かる所要時間を長くする。一方、照明装置1の周囲の明るさが明るいと制御部20が判断した場合、制御部20は、初期出力値から目標出力値までに出力を上げる際に掛かる所要時間を短くする。
また、制御部20は、明るさ(照度)とユーザが照明装置1を使用する使用可能時間との積分値pが必要受光量Q以上であるか否かを判断する。例えば、高齢者のサーカディアンリズムの調整に必要な1日の必要受光量Qは、5000lx・hourとされている(A Wirz−Justice et al(2013) Chronotherapeutics for Affective Disorders, KARGER)。このことから、積分値pが必要受光量Q以上となれば、1日に必要な受光量を満たしているため、制御部20は、所要時間T1a、又は所要時間T2aで発光モジュール110に与える電力を制御する。また、積分値pが必要受光量Q未満となれば、1日に必要な受光量を満たしていないため、制御部20は、所要時間T1aよりも短い時間である所要時間T1b、又は所要時間T2aよりも短い時間である所要時間T2bで、発光モジュール110に与える電力を制御する。なお、ユーザが照明装置1を使用する使用可能時間は、ユーザが受光する時間である。また、所要時間T2bは、所要時間T1bよりも長い場合もあれば、短い場合もあれば、同一になる場合もある。
図9に示すように例を挙げて説明すると、照明装置1の周囲の明るさが0lxの場合において6時54分から時間taまでの斜線で示す領域を必要受光量Qとし、ユーザが照明装置1を使用する時間である使用可能時間t0とし、関数をg(t)とする。必要受光量Qは、時刻と明るさの積分値、つまり斜線の領域の面積で示される。この場合の関係式を式(5)で示す。
この場合では、1日の必要受光量が足りている状態である。
また、別の例を挙げて説明すると、照明装置1の周囲の明るさが0lxの場合において6時54分から時間taまでの斜線で示す領域を必要受光量Qとし、ユーザが照明装置1を使用する時間である使用可能時間t1とする。この場合の関係式を式(6)で示す。
この場合では、1日の必要受光量が足りていない状態である。
このことから、ユーザが照明装置1を使用する使用可能時間が長い場合、制御部20は、所要時間T1b、T2bに対して長い所要時間T1a、T2aを算出する。ユーザが照明装置1を使用する使用可能時間が短い場合、制御部20は、所要時間T1a、T2aに対して短い所要時間T1b、T2bを算出する。このように、ユーザが1日に必要な受光量を満たすように、制御部20は、所要時間を調節する。
入力部30は、ユーザの操作によって、ユーザが当該照明制御装置10を使用する使用可能時間を入力することが可能である。入力部30は、入力された使用可能時間を、制御部20に出力するインターフェイスであり、例えば、押下式のボタン、タッチパネル等の表示部等である。なお、入力部30は、照明制御装置10に設けられていなくてもよく、照明装置1に設けられているだけでもよい。また、入力部30は、照明装置1と無線通信可能な、スマートフォン等の入力端末であってもよい。
[動作]
次に、照明制御装置10、照明装置1及び照明制御方法の動作について、図10を用いて説明する。
図10は、実施の形態1に係る照明装置1の動作を示すフロー図である。
図10に示すように、まず、ユーザは、自身が照明装置1を使用する使用可能時間を入力する(S1)。使用可能時間の入力は、入力部30から入力してもよい。また、他の入力部が制御部20に接続され、他の入力部を介して入力してもよい。
次に、照明装置1の光検出部120は、照明装置1の周囲の明るさを検知してセンサ値を生成し、センサ値を照明制御装置10の制御部20に出力する。制御部20は、センサ値を取得すると、センサ値に応じて初期出力値を決定する(S2)。
次に、制御部20は、センサ値が示す照明装置1の周囲の明るさEが閾値E1よりも小さいか否かを判断する(S3)。
照明装置1の周囲の明るさEが閾値E1よりも小さいと制御部20が判断した場合(S3でYes)、制御部20は、初期出力値から目標出力値までに出力を上げる際に掛かる所要時間T1aを算出する(S4)。所要時間T1aの算出は、図5及び図6を用いて説明した内容に基づいて算出する。
次に、制御部20は、受光量の積分値pが必要受光量Q以上であるか否かを判断する(S5)。
積分値pが必要受光量Q以上であると制御部20が判断した場合(S5でYes)、制御部20は、所要時間T1aで発光モジュール110に与える電力を制御する(S6)。具体的には、制御部20は、初期出力値から目標出力値まで所要時間T1aをかけて到達するように、発光モジュール110に与える電力を制御する。そして、この処理は終了する。
一方、積分値pが必要受光量Q未満であると制御部20が判断した場合(S5でNo)、制御部20は、所要時間T1bで発光モジュール110に与える電力を制御する(S7)。具体的には、制御部20は、初期出力値から目標出力値まで所要時間T1bをかけて到達するように、発光モジュール110に与える電力を制御する。所要時間T1bは、所要時間T1aを補正した値であり、所要時間T1aよりも小さい値である。所要時間T1bが所要時間T1aよりも小さい理由は、積分値pが必要受光量Q以下であれば、人のサーカディアンリズムの調整に必要な1日の必要受光量Qが足りていない状況である。このため、所要時間T1bを所要時間T1aよりも小さくすることで、必要受光量Qの積分値pを増加させる。そして、この処理は終了する。
一方、周囲の明るさEが閾値E1以上であると制御部20が判断した場合(S3でNo)、制御部20は、初期出力値から目標出力値までに出力を上げる際に掛かる所要時間T2aを算出する(S11)。
次に、制御部20は、受光量の積分値pが必要受光量Q以上であるか否かを判断する(S12)。
積分値pが必要受光量Q以上であると制御部20が判断した場合(S12でYes)、制御部20は、所要時間T2aで発光モジュール110に与える電力を制御する(S13)。具体的には、制御部20は、初期出力値から目標出力値まで所要時間T2aをかけて到達するように、発光モジュール110に与える電力を制御する。そしてこの処理を終了する。
一方、積分値pが必要受光量Q未満であると制御部20が判断した場合(S12でNo)、制御部20は、所要時間T2bで発光モジュール110に与える電力を制御する(S14)。具体的には、制御部20は、初期出力値から目標出力値まで所要時間T2bをかけて到達するように、発光モジュール110に与える電力を制御する。そしてこの処理を終了する。所要時間T2bは、所要時間T2aを補正した値であり、所要時間T2aよりも小さい値である。所要時間T2bが所要時間T2aよりも小さい理由も、所要時間T1bが所要時間T1aよりも小さい理由と同様である。
[作用効果]
次に、本実施の形態における照明制御装置10、照明装置1及び照明制御方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る照明制御装置10は、光検出部120が検出した周囲の光量に応じて発光モジュール110を制御する照明制御装置10である。照明制御装置10は、周囲の光量に応じて、発光モジュール110が発する光の出力の初期出力値と、初期出力値から初期出力値よりも大きい目標出力値に到達するまでの所要時間とを決定し、初期出力値から目標出力値に所要時間をかけて到達させるように、発光モジュール110に与える電力を制御する制御部20を備える。また、制御部20は、周囲の光量が第1光量である場合の初期出力値よりも、周囲の光量が第1光量よりも大きい第2光量である場合の初期出力値の方を大きくする。そして、制御部20は、周囲の光量が第1光量である場合の所要時間よりも、周囲の光量が第2光量である場合の所要時間の方を短くする。
これによれば、制御部20は、照明装置1の周囲の光量に応じて、初期出力値と所要時間とを決定する。また、制御部20は、初期出力値から目標出力値に所要時間をかけて到達させるように、発光モジュール110に与える電力を制御する。このように、照明装置1の発光モジュール110から出射する光は、点灯時から時間の経過とともに次第に増加して目標の明るさに到達する。このため、周囲の光量に応じて照明装置1が点灯するため、ユーザは、照明装置1が点灯時に眩しいと感じ難くなる。また、点灯してから所要時間をかけて照明装置1が発する光の光量が増加するため、ユーザは、照明装置1は発した光を直接見ても、その明るさに慣れることができる。
したがって、ユーザが光による施療をする場合に、眩しさを抑制することができる。
また、本実施の形態に係る照明制御システムは、光を発する発光モジュール110と、周囲の光量を検出する光検出部120と、照明制御装置10とを備える。
また、本実施の形態に係る照明制御方法は、検出した周囲の光量に応じて発光モジュール110を制御する照明制御方法である。照明制御方法は、周囲の光量に応じて、発光モジュール110が発する光の出力の初期出力値と、初期出力値から初期出力値よりも大きい目標出力値に到達するまでの所要時間とを決定し、初期出力値から目標出力値に所要時間をかけて到達させるように、発光モジュール110に与える電力を制御することと、周囲の光量が第1光量である場合の初期出力値よりも、周囲の光量が第1光量よりも大きい第2光量である場合の初期出力値の方を大きくすることと、周囲の光量が第1光量である場合の所要時間よりも、周囲の光量が第2光量である場合の所要時間の方を短くすることとを含む。
これらの場合においても、上述と同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態に係る照明制御装置10において、制御部20は、発光モジュール110が発する光の出力の変化量を時間の経過とともに増加させる。
これによれば、制御部20が発光モジュール110に与える電力の制御を行う時間が長くなり難くなる。このため、所要時間の間でも可能な限りユーザが多くの光を浴びることができるため、ユーザの施療時間が長くなり難くなる。
また、本実施の形態に係る照明制御装置10において、制御部20は、発光モジュール110が発する光の出力の変化量を、指数関数を用いて時間の経過とともに増加させる。
これによれば、例えば指数関数の第1の領域では、関数が示す明るさの増減が緩やかなため、第1の所要時間は長くなる。このため、発光モジュール110が点灯してから第1の所要時間が経過するまでの間に、発光モジュール110が発する光は、緩やかに明るくなる。このため、ユーザは、緩やかに明るくなることで、明るさに目が慣れる。
また、例えば指数関数の第2の領域では、関数が示す明るさの増加率が、第1の領域に比べて急なため、所要時間は短くなる。第2の領域は、第1の領域を通過したその先に存在するため、ある程度明るさに目が慣れた状態となっている。つまり、点灯してから第1の所要時間が経過しているため、発光モジュール110が発する光が急に明るくなっても、ユーザは、照明装置1は発した光を直接見ても、眩しく感じ難くなる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る照明制御装置10、照明装置1及び照明制御方法について説明する。
[構成]
実施の形態1では、制御部20が本実施の形態に相当する第1モードを有していたが、本実施の形態では、制御部20は、第1モードの他に、さらに第2モードを有する点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態の照明制御装置10、照明装置1の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図1に示すように、制御部20は、第1モードと、第2モードとを有する。
第1モードは、光検出部120が検出した照明装置1の周囲の光量に応じて、初期出力値、及び所要時間を決定する。第1モードでは、制御部20が光検出部120からセンサ値を所得することで、取得したセンサ値に基づいて、制御部20が初期出力値、及び所要時間を算出する。
第2モードは、初期出力値、所要時間、及び使用可能時間が選択的に、ユーザの操作によって入力部30を介して入力された値に決定する。第2モードでは、入力部30から入力された選択肢に応じて、初期出力値から目標出力値に所要時間をかけて到達させるように、制御部20が発光モジュール110に与える電力を制御する。
第1モードと第2モードとの切り替えは、ユーザが入力部30に表示されたモード切替の画面を操作することで切り替える。なお、第1モードと第2モードとが同時に動作していてもよい。この場合、制御部20は、例えば、第1モードで決定された初期出力値、及び所要時間よりも第2モードで入力された初期出力値、及び所要時間を優先してもよい。
入力部30は、ユーザの操作によって、初期出力値、所要時間、及び使用可能時間の少なくとも一方を入力することが可能である。入力部30は、入力された初期出力値、所要時間、及び使用可能時間を、制御部20に出力するインターフェイスである。
入力部30は、第2モードの場合に、周囲の明るさを複数の段階に分けた選択肢から、選択された選択肢を入力することが可能である。周囲の明るさを複数の段階に分けた選択肢は、例えば、「明るい」、「普通」、「暗い」という明るさを3段階に分けた選択肢でもよく、眩しさの苦手レベルが高いほど苦手とする1から5までの5段階とした選択肢でもよい。この場合に、例えば苦手レベルが高いほど所要時間を長くするなどの補正を制御部20が行ってもよい。なお、選択肢は、3つに限定されず、選択肢の内容もこれらに限定されない。入力部30は、入力された選択肢を、制御部20に出力する。
[動作]
次に、照明制御装置10、照明装置1及び照明制御方法の動作について、図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態2に係る照明装置1の動作を示すフロー図である。図11では、ユーザが周囲の明るさを複数の段階に分けた選択肢から選択して、周囲の明るさを決定する場合の処理である。
図11に示すように、制御部20は、入力部30に複数の選択肢を表示させる(S101)。つまり、入力部30には、周囲の明るさを複数の段階に分けた選択肢が表示されている。
次に、ユーザは、複数の選択肢から1を選択する(S102)。制御部20は、選択された明るさを周囲の明るさと決定ずる。これにより、ユーザが入力した初期出力値が決定される。以下、ステップS1以降は図10と同様であるため以降の説明を省略する。
なお、ユーザが所要時間を決定する場合は、ステップS4及びステップS11を省略する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における照明制御装置10、照明装置1及び照明制御方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る照明制御装置10は、さらに、ユーザの操作によって、初期出力値、所要時間、及びユーザが当該照明制御装置10を使用する使用可能時間の少なくとも一方を入力することが可能な入力部30を備える。また、制御部20は、光検出部120が検出した周囲の光量に応じて、初期出力値と初期出力値から目標出力値に到達するまでの所要時間とを決定する第1モードと、ユーザの操作によって入力部30を介して入力された初期出力値、所要時間、及び使用可能時間を選択的に決定する第2モードとを有する。
このように、第1モードでは、光検出部120が検出した周囲の光量に応じて、制御部20が自動的に初期出力値と所要時間とを決定する。また、第2モードでは、初期出力値、所要時間、及び使用可能時間が選択的にユーザの操作によって入力部30を介して入力された値に決定する。このため、第1モードでは自動的に初期出力値及び目標出力値を決定することができ、第2のモードではユーザの好みに応じて初期出力値、所要時間、及び使用可能時間を選択的に決定することができる。このため、この照明制御装置10を照明装置1に適応した場合に、使い勝手がよくなる。
また、本実施の形態に係る照明制御装置10において、入力部30は、さらに、第2モードの場合に、周囲の明るさを複数の段階に分けた選択肢から、選択された選択肢の入力を受付ける。そして、制御部20は、入力部30から入力された選択肢に応じて、初期出力値から目標出力値に所要時間をかけて到達させるように、発光モジュール110に与える電力を制御する。
このように、入力部30は、第2モードの場合に、周囲の明るさを複数の段階に分けた選択肢から、選択された選択肢の入力を受付ける。このため、光検出部120を用いることなくユーザの好みで照明装置1の周囲の明るさを、入力部30を介して入力することができる。また、ユーザによっては、眩しさを苦手と感じる場合もあるため、自身の好みで初期出力値、所要時間、及び使用可能時間を決定することができる。このため、この照明制御装置10を照明装置1に適応した場合に、使い勝手がよくなる。
本実施の形態における他の作用効果についても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態は、照明制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであってもよい。
また、上記実施の形態に係る照明制御装置、照明制御システム及び照明制御方法において、受光量の積分値pが必要受光量Q以下となる場合、制御部は、施療時間が足りないことをユーザにお知らせするお知らせ機能を有していてもよい。例えば、制御部は、ユーザに「施療時間を延ばしてください」と表示部に表示させてもよい。
また、上記実施の形態に係る照明制御装置、照明制御システム及び照明制御方法において、図10、図11のステップS1の処理は、図10、図11の処理の順番に限定されない。例えば、図10、図11のステップS1の処理は、ステップS4の後でもよくその前でもよい。
また、上記実施の形態に係る照明制御装置、照明制御システム及び照明制御方法において、制御部は、ステップS3、ステップS5、及びステップS21の判断を行っているが、制御部と異なる判断部がこれらの判断を行ってもよい。この場合、制御部は、発光モジュールに与える電力を制御する駆動制御回路であってもよい。
また、上記実施の形態に係る照明制御装置、照明制御システム及び照明制御方法において、ユーザの姿勢に応じたユーザの顔面照度を想定して、目標出力値を補正してもよい。具体的には、ユーザの顔面照度は机面の照度の3分の1とも言われているため、単純に目標出力値を3倍に補正してもよい。また、ユーザの姿勢は、入力部に姿勢を示す選択肢が設けられていてもよい。
また、上記実施の形態に係る照明制御装置、照明制御システム及び照明制御方法に含まれる各処理部は典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、フロー図における各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。