以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の又は対応する構成要素には、同一の又は対応する符号を付して、重複する説明を省略する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る衝撃試験装置1の斜視図である。図1は衝撃試験装置1を正面側から見た図であり、図2は背面側から見た図である。また、図3及び図4は、それぞれ衝撃試験装置1の左側面図及び背面図である。
以下の説明において、図1中に座標で示すように、図1における左上から右下へ向かう方向をX軸方向、左下から右上へ向かう方向をY軸方向、下から上へ向かう方向をZ軸方向と定義する。X軸方向及びY軸方向は互いに直交する水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。また、X正方向を前方、X負方向を後方、Y軸正方向を右方、Y軸負方向を左方と呼ぶ。
衝撃試験装置1は、包装貨物等の供試品S(図5)に対して、包装設計等が適切なものであるかどうかを評価するために、次の3種類の試験を行うことが可能な装置である。
(1)落下試験
(2)垂直衝撃試験
(3)水平衝撃試験
落下試験は、供試品Sを所定の高さから所定の姿勢で自由落下させて、落下面に衝突させる試験である。また、垂直衝撃試験は供試品Sに鉛直方向の所定の衝撃(加速度)を与える試験であり、水平衝撃試験は供試品Sに水平方向の所定の衝撃を与える試験である。
衝撃試験装置1を使用した垂直及び水平衝撃試験では、従来の衝撃試験のように供試品S等を衝撃板に衝突させるのではなく、供試品Sが載せられる走行部30の駆動を制御する(具体的には、走行部30を所定の加速度波形に従って加速させる)ことにより供試品Sに与えられる衝撃が発生する。
図1〜4には、落下試験用にセットアップされた衝撃試験装置1が示されている。また、図5には垂直衝撃試験時の衝撃試験装置1が示され、図6には水平衝撃試験時の衝撃試験装置1が示されている。衝撃試験装置1は、試験の種類に応じて、セットアップ(装置設定)が変更される。
衝撃試験装置1は、固定部10、軌道部20、走行部30及び支柱支持部40(図6)を備えている。軌道部20は、細長い構成部であり、Y軸方向に延びる回転軸(旋回軸)を中心に、長さ方向を垂直に立てた垂直位置(図1−4)と水平に倒した水平位置(図6)との間で、旋回可能に固定部10に連結されている。また、走行部30は、軌道部20の正面(後述するレール52が取り付けられた面)に、軌道部20の長さ方向にスライド(すなわち直線走行)可能に連結されている。軌道部20が垂直位置に配置されているとき、走行部30は鉛直方向に走行可能となり、軌道部20が水平位置に配置されているとき、走行部30は水平方向に走行可能となる。
落下試験(図1〜4)及び垂直衝撃試験(図5)においては、軌道部20を垂直に立てた状態(垂直位置)で試験が行われ、水平落下試験(図6)においては、軌道部20を水平に倒した状態(水平位置)で試験が行われる。
なお、軌道部20の向きについては、図1に示す落下試験のセットアップにおいてX軸正方向を向く側(走行部30が取り付けられる側)を正面、X軸負方向を向く側を背面、Y軸正方向を向く側を右側面(右側)、Y軸負方向を向く側を左側面(左側)、Z軸正方向を向く側を先端側、Z軸負方向を向く側を後端側と呼ぶ。
また、衝撃試験装置1は、軌道部20と走行部30とをスライド可能に連結する一対のリニアガイド50(50R、50L)、走行部30に駆動力を伝達する左右一対のベルト機構60(60R、60L)、各ベルト機構60(60R、60L)をそれぞれ駆動する左右一対のベルト駆動部70(70R、70L)及び軌道部20のフレーム(以下「軌道フレーム20F」という。)を旋回させる旋回駆動部80(図7)を備えている。
リニアガイド50は、転がり案内機構であり、軌道フレーム20Fに取り付けられたレール52と、走行部30に取り付けられた4個のキャリッジ54と、レール52とキャリッジ54との間に介在する図示されていない転動体(ボール又はローラー)を備えている。キャリッジ54は、転動体を介してレール52上を低摩擦で走行することができる。
リニアガイド50の転動体には、一般的なステンレス鋼等の鋼材の他に、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア等のセラミックス材料を使用してもよい。窒化ケイ素等のセラミックス製の転動体を使用することにより、高速駆動時の焼き付きが抑制される。
固定部10は、固定フレーム10Fと複数の衝撃ブロック19を備えている。固定フレーム10Fは、ベースプレート12と、衝撃ブロック19を支持するブロック支持フレーム14を備えている。ブロック支持フレーム14は、ベースプレート12上に固定されている。
図1に示すように、衝撃ブロック19は、テーブル状の構成要素であり、水平に配置された矩形状の衝撃板191と、衝撃板191の四隅からそれぞれ下方に延びる4本の脚192を備えている。脚192の下端は、溶接により、ブロック支持フレーム14に一体に固定されている。衝撃板191の上面は、落下試験において供試品Sが衝突する落下面となる。衝撃ブロック19(特に、落下面が形成される衝撃板191)は、ステンレス鋼等の堅固な材料により形成されている。本実施形態の衝撃試験装置1は、12個の衝撃ブロック19を備えている。12個の衝撃ブロック19は、X軸方向に3列、Y軸方向に4列に、一定の間隔(隙間)を空けて格子点状に配列されている。落下面を構成する12個の衝撃ブロック19の衝撃板191の上面は、同一平面上に配置されている。
図7は、固定部10の下部を示した図である。図7においては、説明の便宜のため、ブロック支持フレーム14及び衝撃ブロック19の図示が省略されている。固定部10の下部には、一対のベルト駆動部70(70R、70L)と旋回駆動部80が配置されている。旋回駆動部80は、衝撃ブロック19の下方に配置され、固定フレーム10Fによって囲まれている。
各ベルト駆動部70は、サーボモータ72及びサーボアンプ74(図13)を備えている。なお、ベルト駆動部70は、サーボモータ72から出力される動力の回転速度を減速する減速機を備えていてもよい。
サーボモータ72は、最大で350N・mに及ぶトルクを発生し、回転部(回転子及びシャフト)の慣性モーメントが10−2kg・m2以下に抑えられた、定格出力37kWの大出力超低慣性サーボモータである。なお、必要な衝撃(加速度)の大きさに応じて、サーボモータ72の容量を増減してもよい。また、必要な衝撃の大きさによっては、慣性モーメントが0.2kg・m2程度の一般的なサーボモータを使用することもできる。
旋回駆動部80は、モーター81と、モーター81から出力される動力の回転速度を減速させるギアボックス82と、ギアボックス82の出力軸82sと結合した駆動プーリー83と、軌道フレーム20Fの軸部28(図7)と結合した従動プーリー86と、駆動プーリー83と従動プーリー86に張り渡された歯付ベルト84を備えている。
固定フレーム10Fは、各サーボモータ72を支持する一対のモーター支持フレーム16と、旋回駆動部80のモーター81及びギアボックス82を支持する駆動部支持フレーム17と、軌道フレーム20Fを旋回可能に支持する軸受部18を備えている。モーター支持フレーム16、駆動部支持フレーム17及び軸受部18は、それぞれベースプレート12に固定されている。
モーター支持フレーム16は、サーボモータ72の負荷側ブラケット72Aを支持する負荷側ブラケット支持部16Aと、反力側ブラケット72Bを支持する反力側ブラケット支持部16Bを含む。負荷側ブラケット72Aには、サーボモータ72の軸72sの一端側を回転可能に支持する軸受が取り付けられている。また、反力側ブラケット72Bには、軸72sの他端側を回転可能に支持する軸受が取り付けられている。モーター支持フレーム16によりサーボモータ72の負荷側ブラケット72A及び反力側ブラケット72Bの両方を支持することにより、サーボモータ72の軸72sのふらつきが抑制され、より高い精度の駆動制御が可能になっている。
図8は軌道部20の後端側の部分を示した正面図であり、図9は軌道部20の後端部の分解図である。また、図10は、軸受部18及びその周辺の断面図である。なお、図8においては、説明の便宜のため、軌道部20(軌道フレーム20F、リニアガイド50及びベルト機構60)並びに旋回駆動部80の従動プーリー86のみが図示されている。
軌道フレーム20Fは、左右に並べて配置された一対のレール支持部22(22R、22L)と、レール支持部22Rと22Lの先端部同士を連結する先端連結部24(図4)と、レール支持部22Rと22Lの中間部同士を連結する3つの中間連結部25と、各レール支持部22(22R、22L)の後端部に取り付けられた左右一対のスペーサー26(26R、26L)と、各スペーサー26(26R、26L)に取り付けられた左右一対の駆動板27(27R、27L)と、駆動板27Rと27Lを連結する軸部28とを有している。
レール支持部22、スペーサー26及び駆動板27は、それぞれ細長い部材であり、互いに平行に配置されている。具体的には、スペーサー26は、レール支持部22の後端部及び駆動板27の先端部の間に挟まれて、溶接等によりレール支持部22と駆動板27とを一体的に連結する。なお、スペーサー26は、後述する歯付ベルト62よりも、幅(Y軸方向寸法)が広くなっている。スペーサー26を使用することにより、駆動板27を歯付ベルト62(及び後述する駆動プーリー64)よりもY軸方向内側に配置させることができる。
レール支持部22R、22Lは、角柱状の部材であり、その正面には、略全長に渡って、リニアガイド50R、50Lのレール52がそれぞれ取り付けられている。
先端連結部24及び3つの中間連結部25は、レール支持部22R、22Lの長さ方向において等間隔に配置され、一対のレール支持部22R及び22Lを梯子状に連結している。
軸部28は、円柱状の部材であり、その両端が駆動板27R、27Lの後端部にボルト29によって固定されている。
図10に示すように、軸受部18は、台座181と、台座181に支持された一対の軸受182を備えている。台座181の上部にはX軸方向に延びる溝181gが形成されている。また、溝181gによって2つに分岐された台座181の上部には、それぞれY軸方向に貫通する貫通穴181hが同心に(すなわち中心線を共有するように)形成され、各貫通穴181hに軸受182が嵌め込まれている。軌道フレーム20Fの軸部28は、一対の軸受182を介して、台座181により回転可能に支持されている。
図9に示すように、従動プーリー86は、プーリー取付部材85(締結継手)を介して、軌道フレーム20Fの軸部28に取り付けられている。プーリー取付部材85は、従動プーリー86の中空部に嵌め込まれる円筒状の部材であり、プーリー取付部材85の中空部には軸部28が嵌め込まれる。プーリー取付部材85は、付属のボルトを締めることにより、外径が広がると共に内径が狭まり、それにより軸部28と従動プーリー86とを一体に連結するように構成されている。
また、プーリー取付部材85の外周面にはスプラインが形成されていて、これと噛み合うスプラインが従動プーリー86の内周面に形成されている。この構成により、ギアボックス82から出力される動力が軌道フレーム20Fに確実に伝達されるように、従動プーリー86がプーリー取付部材85を介して軌道フレーム20Fの軸部28と強固に結合している。旋回駆動部80によって、従動プーリー86と結合した軸部28が回転駆動されると、軸部28の中心線(旋回軸)を中心に軌道フレーム20Fが旋回される。
走行部30は、図1に示す落下試験用のセットアップにおいて、垂直に立てられた平板状の支持プレート32(テーブル)と、支持プレート32の下端部から略水平に延びる支持フレーム34を備えている。支持プレート32の背面には、各リニアガイド50R、50Lのキャリッジ54が取り付けられている。また、支持プレート32には、水平衝撃試験や垂直衝撃試験の際に供試品Sを走行部30に固定するための複数のねじ穴が設けられている。
また、図5及び図6に示すように、水平及び垂直衝撃試験用のセットアップにおいて、走行部30には支持プレート36(テーブル)が設けられる。支持プレート36は、支持フレーム34に取り付けられる。支持プレート36にも、供試品Sを走行部30に固定するための複数のねじ穴が設けられている。
支持フレーム34には、走行部30の走行方向から見たときに、各衝撃ブロック19に対応する位置に、支持フレーム34を貫通する12個の矩形の貫通穴34aが形成されている。落下試験において、走行部30が降下したときに、衝撃ブロック19の衝撃板191が支持フレーム34の貫通穴34aを通過できるよう、貫通穴34aは衝撃板191の上面よりも大きく形成されている。落下試験においては、支持フレーム34は、衝撃ブロック19の衝撃板191よりも低い位置まで降下するため、衝撃板191が支持フレーム34の貫通穴34aを通過し、自由落下する供試品Sが支持フレーム34から突き出た衝撃板191に衝突する。
図4に示すように、各ベルト機構60(60R、60L)は、歯付ベルト62(巻掛け媒介節)、駆動プーリー64、従動プーリー66、4つのガイドローラー68及び2つのベルトクランプ69を備えている。各ベルト機構60R、60Lは、それぞれ対応するベルト駆動部70R、70Lによって駆動される。
各ベルト機構60R、60Lの駆動プーリー64は、対応するベルト駆動部70R、70Lのサーボモータ72の軸72sに取り付けられている。各駆動プーリー64は、軸部28と同心に配置されている。従動プーリー66は、軌道フレーム20F(先端連結部24)の先端に取り付けられている。歯付ベルト62は、駆動プーリー64と従動プーリー66に張り渡され、軌道フレーム20Fの周りを循環可能に装着されている。
ガイドローラー68は、軌道フレーム20Fの背面に取り付けられている。具体的には、ガイドローラー68は、先端連結部24の後端部及び各中間連結部25に取り付けられている。歯付ベルト62は、軌道フレーム20Fとガイドローラー68との間に通されている。歯付ベルト62は、ガイドローラー68によって低摩擦でガイドされるため、高速で駆動されたときでも、所定の軌道を安定して循環することができる。
図11は、歯付ベルト62の構造を示した図である。歯付ベルト62は、高強度・高弾性率の基材樹脂から形成された本体部621と、高強度・高弾性率繊維の束である複数の心線622を有している。複数の心線622は、歯付ベルト62の幅方向に略等間隔に並べられている。また、各心線622は、歯付ベルト62の長手方向に弛みなく張られた状態で、本体部621に埋め込まれている。
歯付ベルト62の内周面(図11における下面)には、噛み合い伝動のための歯面621tが形成されている。歯面621tの表面は、耐摩耗性に優れた高強度ポリアミド系繊維等から形成された歯布623によって被覆されている。また、歯付ベルト62の外周面には、可撓性を高めるための幅方向に延びる複数の溝621gが長手方向に等間隔で形成されている。
本実施形態の歯付ベルト62においては、心線622には、軽量で高強度・高弾性率の炭素繊維から形成されたカーボン心線が使用されている。カーボン心線を使用することにより、大きな加速度(張力)で駆動しても、歯付ベルト62が殆ど伸縮しないため、各ベルト駆動部70R、70Lの駆動力が走行部30に正確に伝達され、走行部30の駆動を高精度で制御することが可能になる。また、軽量なカーボン心線を使用することにより、例えばスチールワイヤやスチールコード等の金属心線を使用した場合よりも、動力伝達系の慣性を大幅に低減させることができる。そのため、同じ容量のモーターを使用して、より高い加速度で駆動することが可能になる。また、同じ加速度で駆動する場合、より低容量のモーターを使用することが可能になり、装置の小形化・軽量化や低コスト化が可能になる。
また、本実施形態の歯付ベルト62では、本体部621を形成する基材には、高強度ポリウレタンや、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(H−NBR)等の高強度・高硬度のエラストマーが使用される。このように高強度・高硬度の基材を使用することにより、駆動時の歯形の変形量が減少するため、歯形の変形に起因する歯飛びの発生が抑制され、走行部30の駆動を高精度で制御することが可能になる。また、歯付ベルト62の強度が向上するため、駆動時の歯付ベルト62の伸縮が低減し、走行部30の駆動を更に高精度で制御することが可能になる。
各歯付ベルト62は、その長さ方向の2箇所において、ベルトクランプ69(媒介節固定具)により走行部30に固定されている。また、各歯付ベルト62は、ベルトクランプ69の一つにより、ループ状に連結されている。なお、歯付ベルト62の一端を一方のベルトクランプ69により走行部30に固定し、他端を他方のベルトクランプ69により走行部30に固定してもよい。
図12は、ベルトクランプ69の分解図である。ベルトクランプ69は、走行部30に取り付けられる取付部691と、取付部691との間で歯付ベルト62を締め付けて固定するクランプ板692を備えている。
クランプ板692の幅方向中央には、歯付ベルト62の内周面に形成された歯面621tと噛み合う歯面692tが形成されている。また、取付部691の下面には、歯付ベルト62及びクランプ板692が嵌め込まれる溝691gが形成されている。
クランプ板692には、クランプ板692を取付部691にボルト止めするための複数の貫通穴692hが、歯面692tを挟んで幅方向両側に設けられている。また、取付部691には、各貫通穴692hと連絡するねじ穴691iが設けられている。クランプ板692の各貫通穴692hに通されたボルト693を取付部691の対応するねじ穴691iに嵌めることにより、クランプ板692が取付部691に取り付けられている。
取付部691の溝691gに歯付ベルト62を嵌め込み、クランプ板692を取付部691に取り付けると、歯付ベルト62が取付部691とクランプ板692との間で圧迫されて、ベルトクランプ69に固定される。このとき、歯付ベルト62の歯面621tとクランプ板692の歯面692tが噛み合っているため、歯付ベルト62に長手方向(X軸方向)の強い衝撃が与えられても、ベルトクランプ69から歯付ベルト62が滑ることなく、ベルトクランプ69により歯付ベルト62が一体に固定された走行部30が駆動される。
取付部691には、取付部691を走行部30にボルト止めするための複数の貫通穴691hが設けられている。また、走行部30には、貫通穴691hに対応する複数のねじ穴(不図示)が設けられている。取付部691は、ボルトの付け外しのみで、走行部30に容易に着脱可能になっている。例えば、供試品に合わせて専用の走行部30を用意し、供試品の種類に応じて走行部30を交換して使用することができる。
本実施形態の衝撃試験装置1は、供試品に例えば20G(196m/s2)を超える大きな加速度を与えられるように構成されている。大きな加速度を正確に伝達するためには、動力伝達系に剛性の高い部材を使用する必要がある。剛性の高い動力伝達系としては、例えば、ボールねじ機構、歯車伝動機構、チェーン伝動機構、ワイヤ伝動機構などがある。
歯車伝動機構やチェーン伝動機構を使用する場合、歯車やチェーンに大きな加速度に耐え得る強度を与える必要がある。しかし、強度を高めると、慣性が大きくなるため、より高出力のモーターが必要になる。また、モーターの高出力化は、モーター自体の慣性モーメントの増大を伴うため、更なる高出力化が必要となり、モーター等の装置の大型化やエネルギー効率の低下を招く。また、装置全体の慣性が過大になると、大加速度の発生・伝達が困難になる。歯車伝動機構やチェーン伝動機構による加速は、概ね3G(29m/s2)程度が限界となり、衝撃試験に必要な加速度(例えば10G[98m/s2]以上)で駆動することができない。また、歯車機構やチェーン機構を衝撃試験に必要な早い周速で駆動すると、焼き付きを起こす可能性がある。
また、ワイヤ伝動機構(ワイヤとプーリーを使用した巻掛け伝動機構)は、比較的に低慣性ではあるが、摩擦のみによって動力が伝達されるため、大加速度で駆動した際にワイヤとプーリーとの間ですべりが発生して、運動を正確に伝達することができない。
また、自動車用タイミングベルト等の一般的な歯付ベルトでは、ガラス繊維やアラミド繊維を撚り合わせた心線が使用されている。そのため、10G(98m/s2)を超える大加速度で駆動すると、心線の剛性や強度の不足によって歯付ベルトの伸縮が増大するため、運動を正確に伝達することができない。また、一般的な歯付ベルトでは、基材にはニトリルゴムやクロロプレンゴム等の比較的に硬度の低い合成ゴムが使用されているため、歯飛びが生じ易く、運動を正確に伝達することができない。
また、駆動源としては、サーボ弁と油圧シリンダを使用するものもあるが、応答速度が不足し、200Hzを超える高い周波数で変動する衝撃波形を正確に再現することができない。また、油圧システムは、油圧装置の他に大型の油圧供給設備が必要となるため、広い設置場所を要する。更に、油圧システムには、油圧供給設備の維持・管理コストが高く、油漏れによる環境汚染の問題などもある。
本発明者は、上述した、ボールねじ機構、歯車伝動機構、チェーン伝動機構、ワイヤ伝動機構、ベルト伝動機構等の様々な種類の伝動機構について膨大な試作実験を繰り返した結果、10G(98m/s2)を超える大加速度を実現可能な唯一の構成として、超低慣性電気サーボモータと、カーボン心線と高弾性率エラストマーの基材とを複合した軽量で高強度の特殊歯付ベルトとを組み合わせた、本実施形態の駆動システムの開発に成功した。
支柱支持部40は、軌道部20が水平に倒される水平位置に配置されているときに、軌道フレーム20Fの先端側を下方から支持して、軸部28に過大な荷重が加わらないようにするための構造部である。
図6に示すように、支柱支持部40は、ベースプレート42と、ベースプレート42上に立てられた4つの支柱44を備えている。支柱44の上面には、ゴム板等の緩衝部材が取り付けられている。4つの支柱44は、衝撃試験装置1が水平衝撃試験用にセットアップされたとき(すなわち、軌道部20が水平位置に配置されているとき)に、レール支持部22Rが右側の2つの支柱44に載り、レール支持部22Lが左側の2つの支柱44に載るように配置されている。
図13は、衝撃試験装置1の制御システム1aの概略構成を示すブロック図である。制御システム1aは、装置全体の動作を制御する制御部2と、走行部30や供試品Sの加速度を計測する計測部3と、外部との入出力を行うインタフェース部4を備えている。
インタフェース部4は、例えば、ユーザーとの間で入出力を行うためのユーザーインタフェース、LAN(Local Area Network)等の各種ネットワークと接続するためのネットワークインタフェース、外部機器と接続するためのUSB(Universal Serial Bus)やGPIB(General Purpose Interface Bus)等の各種通信インタフェースの一つ以上を備えている。また、ユーザーインタフェースは、例えば、各種操作スイッチ、表示器、LCD(liquid crystal display)等の各種ディスプレイ装置、マウスやタッチパッド等の各種ポインティングデバイス、タッチスクリーン、ビデオカメラ、プリンタ、スキャナ、ブザー、スピーカ、マイクロフォン、メモリーカードリーダライタ等の各種入出力装置の一つ以上を含む。
計測部3は、走行部30に取り付けられる加速度センサー3aを備え、加速度センサー3aからの信号を増幅及びデジタル変換して計測データを生成し、制御部2へ送信する。また、計測部3には、供試品Sに取り付けられる加速度センサー3bを増設し、試験中に供試品Sに加わる衝撃を計測することもできる。
制御部2には、2台のサーボモータ72が、それぞれサーボアンプ74を介して接続されている。制御部2と各サーボアンプ74とは光ファイバによって通信可能に接続され、制御部2と各サーボアンプ74との間で高速のフィードバック制御が可能になっている。これにより、複数のサーボモータを高精度(時間軸において高分解能かつ高確度)に同期制御することが可能になっている。また、制御部には、旋回駆動部80のモーター81がドライバ81dを介して接続されている。
制御部2は、インタフェース部4を介して入力された加速度波形等の制御条件や計測部3から入力された計測データに基づいて、各ベルト駆動部70R、70Lのサーボモータ72の駆動を同期制御する。なお、本実施形態では、2つのサーボモータ72を同位相で駆動する(厳密には、左側のベルト駆動部70Lのサーボモータ72と右側のベルト駆動部70Rのサーボモータ72を逆位相〔逆回転〕で駆動する)。
上述したように、衝撃試験装置1を使用して、落下試験、垂直衝撃試験及び水平衝撃試験の3種類の試験を行うことができる。次に、各試験の内容及び手順について説明する。
(落下試験)
落下試験は、供試品Sを所定の高さから衝撃ブロック19の上に自由落下させる試験である。落下試験は、上述したように、軌道部20を垂直に立て、走行部30の支持プレート36(図5)を取り外した状態で行われる。
落下試験においては、まず、ベルト駆動部70R、70Lが駆動され、走行部30が準備位置まで移動し、準備位置において支持フレーム34の上に供試品Sが載せられる。準備位置は、衝撃ブロック19の衝撃板191が支持フレーム34の上端よりも高くならない位置に設定される。また、供試品Sを所定の姿勢で保持するための姿勢保持部材(不図示)を走行部30に設けて、姿勢保持部材の上に供試品Sを所定の姿勢で載せることもできる。
次に、ベルト駆動部70R、70Lが駆動され、衝撃ブロック19の上面(落下面)から所定の高さの落下位置まで走行部30と共に供試品Sが上昇する。落下位置において所定時間静止した後、走行部30が重力加速度よりも大きな加速度で下限位置まで降下する。このとき、供試品Sは、支持フレーム34から浮上し、重力加速度により自由落下する。なお、下限位置は、衝撃ブロック19の衝撃板191よりも支持フレーム34が低くなる位置に設定される。そのため、衝撃ブロック19の衝撃板191が支持フレーム34の貫通穴34aを突き抜けるため、供試品Sは衝撃板191に衝突する。
なお、落下試験(自由落下)時には、衝撃ブロック19に衝突するまで供試品Sを支持フレーム34から浮上した状態に保てばよく、走行部30を常に重力加速度よりも大きな加速度で降下させる必要はない。
また、供試品Sを走行部30に解除可能に固定して保持させる保持機構を設けてもよい。この場合、走行部30と共に供試品Sを例えば重力加速度以上で所定の速度まで加速させ、衝撃ブロック19に衝突する直前に保持機構を解除して、供試品Sのみを衝撃ブロック19に衝突させる。これにより、自然落下では到達できない落下速度で供試品Sを衝撃ブロック19に衝突させることが可能になる。また、保持機構による供試品Sの保持を解除する際に、走行部30を重力加速度で降下させると、供試品Sに重力以外の力が作用しないため、姿勢を保ったまま供試品Sを落下させることができる。
(垂直衝撃試験)
垂直衝撃試験は、走行部30を鉛直方向に予め設定された加速度で加速することにより、走行部30に固定された供試品Sに衝撃を与える試験である。上述した落下試験は、供試品Sを衝撃ブロック19の上に落下させることにより供試品Sに衝撃を加えるものであるが、垂直衝撃試験では、ベルト駆動部70R、70Lによって走行部30を鉛直方向に加速させることによって供試品Sに衝撃が加えられる。そのため、垂直衝撃試験により、例えば、落下試験よりも厳しい条件の(強い衝撃を加える)試験、緩やかな条件の(弱い衝撃を加える)試験、衝撃パルス作用時間の長い衝撃を与える試験、繰り返し(断続的に)衝撃を与える試験、衝撃ブロック19への衝突では再現できない衝撃波形を与える試験等、様々な条件で試験を行うことができる。
図5に示すように、垂直衝撃試験用のセットアップにおいては、支持フレーム34の上面に支持プレート36が取り付けられる。また、供試品Sは、支持プレート36の上に載せられた状態で、走行部30に固定される。また、垂直衝撃試験においては、走行部30は、衝撃ブロック19の衝撃板191よりも下方には移動しない。そのため、垂直衝撃試験において、支持プレート36及び供試品Sは、衝撃ブロック19に衝突することがない。
垂直衝撃試験においても、まず、ベルト駆動部70R、70Lが駆動され、走行部30が準備位置まで降下され、供試品Sが走行部30に取り付けられる。具体的には、供試品Sが支持プレート36の上に載せられ、支持プレート36及び32の少なくとも一方に固定される。また、供試品Sを所定の姿勢で保持するための姿勢保持部材(不図示)を走行部30に設けて、姿勢保持部材により供試品Sを所定の姿勢で保持させてもよい。
次に、ベルト駆動部70R、70Lが駆動され、開始位置まで走行部30と共に供試品Sが上昇する。開始位置は、試験に必要な走行部30の移動範囲を確保できるよう、試験条件に応じて設定される。開始位置は、例えば走行部30の可動範囲の中間位置に設定される。開始位置において所定時間静止した後、予め設定された衝撃波形に基づいてベルト駆動部70R、70Lが駆動され、走行部30及び供試品Sに所定の衝撃が与えられる。試験後、走行部30が準備位置まで降下され、供試品Sが走行部30から取り外される。
(水平衝撃試験)
水平衝撃試験は、走行部30を水平方向に予め設定された加速度で加速することにより、走行部30に固定された供試品Sに衝撃を与える試験である。水平衝撃試験は、軌道部20を水平位置に倒して、ベルト駆動部70R、70Lで走行部30を水平方向に駆動することによって行われる。
水平衝撃試験においても、まず、ベルト駆動部70R、70Lが駆動され、走行部30が準備位置まで移動され、供試品Sが走行部30に取り付けられる。具体的には、供試品Sが支持プレート32の上に載せられ、支持プレート32及び36の少なくとも一方に固定される。また、供試品Sを所定の姿勢で保持するための姿勢保持部材(不図示)を走行部30に設けて、姿勢保持部材により供試品Sを所定の姿勢で支持させた状態で、供試品Sを走行部30に取り付けてもよい。
次に、ベルト駆動部70R、70Lが駆動され、開始位置まで走行部30と共に供試品Sが移動する。開始位置において所定時間静止した後、予め設定された衝撃波形に基づいてベルト駆動部70R、70Lが駆動され、走行部30及び供試品Sに所定の衝撃が与えられる。
水平衝撃試験用のセットアップにおいては、走行部30の位置に拘わらず供試品Sの装着が可能であるため、必ずしも準備位置を設定して、供試品Sを装着する際に走行部30を準備位置まで移動させる必要はない。また、水平衝撃試験における準備位置は、落下試験や垂直衝撃試験における準備位置とは異なる位置に設定してもよい。例えば、水平衝撃試験における準備位置と開始位置を共通の位置に設定して、供試品Sの装着後に準備位置から開始位置に走行部30を移動させる手順を省いてもよい。
水平又は垂直衝撃試験において供試品Sに与えられる衝撃は、例えば、波形の種類(正弦波、正弦半波、鋸歯状波、三角波、台形波等)、持続時間及び最大加速度によって定義される。また、衝撃試験装置1を使用した水平又は垂直衝撃試験においては、ユーザーが設定した波形(ユーザー設定波形)の衝撃を供試品Sに与えることができる。ユーザー設定波形としては、例えば、落下試験や衝突試験で計測された衝撃波形、衝突のコンピュータ・シミュレーションによって予測された衝撃波形、又は、その他の任意の合成波形(ファンクションジェネレータ等により生成された波形)がある。
また、水平又は垂直衝撃試験において供試品Sに与えられる衝撃は、通常は加速度によって表されるが、変位、速度又は加加速度の波形(或いは時間の関数)によって衝撃を設定・制御することもできる。
各試験によって供試品Sに生じた変形や損傷の有無により、包装設計等が適切なものであるか否かが評価される。また、供試品S(例えば梱包された製品)に加速度ピックアップ等のセンサーを取り付けて試験を行い、試験時に供試品Sに加わった衝撃の計測結果から、包装設計等を評価することもできる。
また、供試品Sは、包装貨物に限らず、製品自体を供試品Sとして、衝撃試験装置1を使用して製品の強度の評価を行うこともできる。
以上に説明した本実施形態の衝撃試験装置1は、軌道部20を旋回させるだけで、落下試験及び垂直衝撃試験に加えて水平衝撃試験を行うことが可能になっている。従来は、試験毎に専用の試験機を用意する必要があったが、本実施形態の衝撃試験装置1を使用すれば、1台の装置で3種類の試験を行うことが可能になる。そのため、試験設備の導入や維持管理のコストが大幅に軽減する。また、試験設備の設置に必要なスペースも大幅に減らすことができる。
また、本実施形態の衝撃試験装置1においては、走行部30の駆動にベルト機構60が採用され、更に、軌道部20の旋回の中心となる軸部28と、ベルト機構60を駆動する駆動プーリー64とを同心に(すなわち、共通の回転軸を中心に回転するように)配置する構成が採用されている。この構成により、軸部28を中心に軌道部20を旋回させて軌道部20の傾きを変更しても、ベルト駆動部70の切り替え(例えば、落下試験/垂直衝撃試験用のベルト駆動部70と水平衝撃試験用のベルト駆動部70との切り替え)や移動(例えば、ベルト駆動部70を軌道部20に固定して、軌道部20と共にベルト駆動部70を移動させること)を行わずに、そのままベルト駆動部70によってベルト機構60を駆動させることが可能になっている。また、軌道部20の旋回中にベルト機構60とベルト駆動部70との接続を切り離す必要もない。
従って、軸部28(軌道部20の旋回軸)と駆動プーリー64とを同心に配置する構成を採用することにより、軌道部20の配置(垂直位置、水平位置)毎に専用のベルト駆動部70を設けたり、ベルト機構60とベルト駆動部70との連結を切り離す機構や切り替える機構を設けたりする必要が無くなり、シンプルな装置構成により3種類の試験の実施を可能にしている。また、軌道部20と共にベルト駆動部70を旋回させる(すなわち、ベルト駆動部70を軌道部20に組み込む)必要が無いため、軌道部20の重量が増えず、比較的に小容量で小型の旋回駆動部80により軌道部20を旋回させることが可能になっている。
軸部と駆動プーリーとを同心に配置する構成は、ベルト伝動機構に限らず、チェーン伝動機構やワイヤ伝動機構等の他の種類の巻掛け伝動機構にも適用することができる。また、駆動プーリーを駆動歯車に置き換えることにより、歯車伝動機構にも適用することが可能である。
しかしながら、上述したように、チェーン伝動機構や歯車伝動機構では、動力伝達機構の慣性が大きくなるため、水平衝撃試験や垂直衝撃試験において、可動部に大きな衝撃を伝達することが難しい。また、ワイヤ伝動機構や平ベルトを使用したベルト伝達機構では、巻掛け媒介節の滑りが発生するため、大きな衝撃を正確に伝達することが難しい。一般的な歯付ベルトを使用した場合は、心線の剛性や強度の不足によって歯付ベルトの伸縮が大きくなり、また、基材の硬度の不足により歯飛びが生じ易くなるため、大きな衝撃を正確に伝達することが難しい。
本実施形態の衝撃試験装置1においては、心線622に軽量で高強度・高弾性率のカーボン心線を使用し、また、本体部621の基材に高強度ポリウレタンやH−NBR等の高強度・高硬度のエラストマーを使用した軽量(低慣性)で高強度の歯付ベルト62を採用することにより、大きな衝撃を正確に伝達することを可能にしている。
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば本明細書中に例示的に明示された実施形態等の構成及び/又は本明細書中の記載から当業者に自明な実施形態等の構成を適宜組み合わせた構成も本願の実施形態に含まれる。
上記の実施形態においては、走行部30に与えられる加速度が制御されている(すなわち、加速度によって衝撃が表現されている)が、本発明はこの構成に限定されない。例えば、速度や加加速度(jerk)によって走行部30を制御してもよい。
上記の実施形態においては、走行部30の加速度が制御されるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、供試品の所定箇所に加速度センサー3aを装着し、供試品に加わる加速度(衝撃)を制御対象としてもよい。
上記の実施形態においては、直線運動案内機構としてレールと略直方体状のキャリッジから構成されるリニアガイドが使用されるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、リニアガイドに替えて又は加えて、ボールスプラインやリニアブッシュ等の転動体を使用する転がり案内機構を使用してもよい。
上記の実施形態においては、直線運動案内機構(リニアガイド)の転動体の材質に窒化ケイ素が使用されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、炭化ケイ素やジルコニア等の別の種類のセラミックス材料を使用してもよく、ステンレス鋼を使用してもよい。
上記の実施形態においては、走行部30は、左右一対のリニアガイド50R、50Lによって駆動方向のみに移動可能に支持されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、走行部30が3つ以上のリニアガイド50によって支持される構成としてもよい。リニアガイド50の数を増やすことにより、走行部30の支持の剛性が向上する。供試品Sの重量や必要な試験精度に応じて使用するリニアガイド50の数が決定される。
上記の実施形態においては、2本の歯付ベルト62が使用されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、供試品の重量や試験加速度の大きさに応じて、1本又は3本以上の歯付ベルト62を使用してもよい。
上記の実施形態においては、歯付ベルト62はエンドレスベルト(無端ベルト)であるが、本発明はこの構成に限定されない。歯付ベルト62は、長さ方向(駆動方向)に離れた2箇所でベルトクランプ69によって走行部30に固定されるため、オープンエンドベルトを使用することもできる。
上記の実施形態においては、1本の歯付ベルト62を固定する二つのベルトクランプ69が別体に形成されているが、これらを一体に形成してもよい。
上記の実施形態においては、走行部30とベルトクランプ69の取付部691が別部品として形成されているが、これらを一体に形成してもよい。例えば、テーブルの下面に歯付ベルトが嵌め込まれる溝やクランプ板をボルト止めするためのねじ穴を設けることにより、テーブルに直接歯付ベルトを固定することができる。
上記の実施形態においては、駆動源にACサーボモータが使用されているが、運動制御が可能であれば他の種類のアクチュエータ(例えば、DCサーボモータや、ステッピングモータ、インバータモータ等)を使用することもできる。また、油圧又は空圧アクチュエータを使用してもよい。
上記の実施形態においては、軌道フレーム20Fの取付部221、レール支持部222及び連結部223が、それぞれ角柱状の構造材であるが、本発明はこの構成に限定されない。取付部221は、その下面にベースブロック21上に設置するための平面を有していれば、他の形状であってもよい。レール支持部222は、その上面にレール231を取り付けるための平面を有していれば、他の形状であってもよい。また、連結部223は、取付部221とレール支持部222とを十分な強度で連結するものであれば、他の形状であってもよい。
上記の実施形態においては、軸部28が水平に配置されているが、本発明はこの構成に限定されない。軸部28は、水平面に対して斜めに配置されてもよく、また、鉛直に配置されてもよい。
上記の実施形態においては、旋回駆動部80に巻掛け伝動機構が使用されているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、従動プーリー86に替えて従動歯車を軸部28に結合させ、歯車機構を介してモーター81から従動歯車に動力を伝達させる構成としてもよい。また、上記の実施形態においては、巻掛け伝動機構の巻掛け媒介節として歯付ベルトが使用されているが、平ベルト、チェーン、ワイヤ等の他の種類の巻掛け媒介節を使用してもよい。また、軸部28をモーターの軸に直結させてもよい。