JP6944466B2 - オキシステロールを分離及び検出するための方法 - Google Patents

オキシステロールを分離及び検出するための方法 Download PDF

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Description

[0001]様々な生物学的物質が、骨折治癒及び脊髄障害などの骨障害の外科的処置を含む医学用途において骨成長を促進するために一般的に使用されている。脊椎固定術(spine fusion)は、変性円板疾患や腰椎及び頸椎を冒す関節炎に対処するため、整形外科医及び神経外科医により実施されることが多い。歴史的には、通常、患者の腸骨稜から採取される自家骨移植が椎骨レベル(vertebral level)間の固定(fusion)を増強するために使用されてきた。
[0002]骨原性(骨形成性)で脊椎固定を促進するために一般的に使用される一つのタンパク質は、組換えヒト骨形成タンパク質−2(rhBMP−2)である。その使用は、単一レベル前方経路腰椎椎体間固定術に関しては米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。rhBMP−2の使用はこのときから著しく増大し、その使用の適応は腰椎後方固定術ならびに頸椎固定術を含むまでに拡大している。
[0003]オキシステロールは、循環中ならびにヒト及び動物の組織中に存在するコレステロールの酸素化誘導体の一大ファミリーを形成する。オキシステロールは、アテローム性動脈硬化病変部に存在することが見出されており、細胞分化、炎症、アポトーシス、及びステロイド産生といった様々な生理的過程に役割を果たしている。一部の天然オキシステロールは堅牢な骨原性を有しており、骨成長に使用できる。最も強力な骨原性天然オキシステロールである20(S)−ヒドロキシコレステロールは、骨芽細胞及び脂肪細胞に分化できる多能性間葉細胞に適用すると、骨原性であると同時に抗脂肪生成性でもある。
[0004]一つのそのようなオキシステロールは、Oxy133、すなわち(3S,5S,6S,8R,9S,10R,13S,14S,17S) 17−((S)−2−ヒドロキシオクタン−2−イル)−10,13−ジメチルヘキサデカヒドロ−lH−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,6−ジオールであり、下記構造:
Figure 0006944466
を示す。
[0005]Oxy133は、哺乳動物の骨成長を促進する合成小分子である。現在、オキシステロールのクラスの化合物は、ガスクロマトグラフィー(GC)と誘導体化を用いて分析されている。これは、サンプルの加熱を必要とする時間のかかる工程で、規制機関には好まれていない。現在利用可能な、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と組み合わされる工業検出技術は、頑健性がないか又は関連不純物及び分解の存在下でOxy133を検出するのに十分な感度がない。
[0006]Oxy133分子は発色団を欠くので、クロマトグラフィーを不十分なものにする。さらに、親化合物に密接に関連する既知不純物は、蒸発光散乱(ELS)、屈折率(RI)、及び質量分析(MS)などの技術による検出が困難である。
[0007]純度の評価は、OXY133の安全性及び有効性を確保するために必要であり、多くの場合、HPLC/UV法を適用することによって達成されている。HPLCと組み合わされる標準的な工業検出技術は、頑健性がないか又は関連不純物及び分解の存在下でOXY133を検出するのに十分な感度がない。
[0008]OXY133が一水和物形の場合、Oxy133一水和物の分析は、分離、定量及び同定を必要とする関連不純物、例えばジアステレオマーの存在のために、困難なことが多い。既知不純物は親化合物に密接に関連しているので、蒸発光散乱(ELS)、屈折率(RI)、及び質量分析(MS)などの技術による検出が困難である。
[0009]そこで、これらの検出技術の欠点を克服し、ICH品質管理ガイドラインをバリデートするために必要な分析法開発(AMD)段階中のクリティカルパス(critical-path)活動の一部として、OXY133生成物を含有するサンプル中の含量及び純度を決定するための信頼性のある分析法を提供することが求められている。サンプル中の発色団の存在に依存しないOXY133のサンプル中の純度を決定するための方法は有益であろう。不揮発性の分析対象物又は残留物を検出できる方法も有益であろう。
[0010]一部の態様において、OXY133のサンプルの純度を決定するためのアッセイ法を提供する。該方法は、OXY133、OXY133不純物及び移動揮発相を含むHPLC溶出液を用意し;前記HPLC溶出液から液滴のエアゾールを生成させ;前記液滴を乾燥させてOXY133の残留粒子を得;前記OXY133残留粒子を、残留粒子のそれぞれにサイズ依存性の電荷を印加するイオン流と接触させて、OXY133の荷電残留粒子の量に比例したレベルを有する電気信号を生成させ;そして前記電気信号を測定して、サンプル中のOXY133の純度を決定することを含む。いくつかの態様において、OXY133はOXY133一水和物を含む。
[0011]様々な側面において、本開示のアッセイ法は、OXY133一水和物を、ジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2又はその他のOXY133一水和物の不純物、例えばOXY133一水和物の合成に使用されるC2746ジオールから分離するために使用できる。様々な態様において、本開示のアッセイ法は、組成物の全重量を基にして約0.03%〜約0.05%w/w又はw/vのOXY133一水和物の不純物を検出できる。本開示のアッセイ法を用いて達成できるOXY133ピークとD1ジアステレオマーの分離度は≧0.8でありうる。多くの態様において、OXY133一水和物の検出限界は約0.01%又は1ngである。さらに、本開示のアッセイ法を用いて達成できるOXY133一水和物の純度は少なくとも96.9%である。
[0012]様々なその他の態様において、サンプルからOXY133一水和物を分離するための方法を提供する。該方法は、OXY133一水和物参照標準を用意し;OXY133一水和物参照標準と等しい濃度を有するサンプルを用意し;参照標準中のOXY133一水和物の量をHPLC−CADによって決定し;サンプル中のOXY133一水和物の量をHPLC−CADによって決定し;そしてサンプル中のOXY133一水和物の量を参照標準中のOXY133一水和物の量と比較することを含む。一部の態様において、本開示の方法では、参照標準濃度は少なくとも500μg/mLの量で存在する。他の側面において、サンプルは、アセトニトリル:テトラヒドロフラン 1:1 体積/体積の溶液中に調製される。さらに他の側面において、サンプルは、100%水又は100%メタノールであるHPLC−CADからの移動相を含む。
[0013]一部の態様において、ステロールのサンプル中の純度を決定するための方法を提供する。該方法は、有機金属化合物をプレグネノロン又は酢酸プレグネノロンと反応させてステロールを形成させることによって、式:
Figure 0006944466
[式中、Rは少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族又は環状置換基を含む]を有するステロール、又はその薬学的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を製造し;前記ステロールをHPLCに付して、ステロール、ステロールの不純物及び揮発性移動相を含む溶出液を得;前記HPLC溶出液をCAD検出器に入れてステロールの純度を決定することを含む。様々な態様において、ステロールはOXY133であり、他の態様においてステロールはOXY133一水和物である。
[0014]一部の態様において、オキシステロールのサンプル中の純度を決定するための方法を提供する。該方法は、式:
Figure 0006944466
を有するジオールをボラン及び過酸化水素と反応させて、式:
Figure 0006944466
を有するオキシステロール又はその薬学的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を形成させることによってステロールを製造し[式中、Rは少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族又は環状置換基を含み、Rは少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族又は環状置換基を含む];オキシステロールをHPLCに付して、オキシステロール、オキシステロールの不純物及び揮発性移動相を含む溶出液を得;前記HPLC溶出液をCAD検出器に入れてオキシステロールの純度を決定することを含む。様々な態様において、オキシステロールはOXY133一水和物である。
[0015]一部の態様において、オキシステロールのサンプル中の純度を決定するための方法を提供する。該方法は、式:
Figure 0006944466
を有するジオールをボラン化合物と反応させて、式:
Figure 0006944466
を有するオキシステロール又はその薬学的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を形成させることによってオキシステロールを製造し[式中、Rは少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族又は環状置換基を含み、Rは少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族又は環状置換基を含む];前記オキシステロールをHPLCに付して、オキシステロール、オキシステロールの不純物及び揮発性移動相を含む溶出液を得;前記HPLC溶出液をCAD検出器に入れてオキシステロールの純度を決定することを含む。様々な態様において、オキシステロールはOXY133一水和物である。
[0016]一部の態様において、オキシステロールのサンプル中の純度を決定するための方法を提供する。該方法は、式:
Figure 0006944466
を有するジオールをボラン、過酸化水素及びテトラヒドロフランと反応させて、式:
Figure 0006944466
を有するオキシステロール又はその薬学的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を形成させ[式中、Rは少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族又は環状置換基を含み、Rは少なくとも1個の炭素原子を有する脂肪族又は環状置換基を含む];前記オキシステロールをHPLCに付して、オキシステロール、オキシステロールの不純物及び揮発性移動相を含む溶出液を得;前記HPLC溶出液をCAD検出器に入れてオキシステロールの純度を決定することを含む。様々な態様において、オキシステロールはOXY133一水和物である。
[0017]様々な態様の追加の特徴及び利点は、一部は以下の説明の中で示され、一部は記載から明らかになるか、又は様々な態様に実施によって学ぶことができる。様々な態様の目的及びその他の利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲において特に指摘された構成要素及び組合せにより実現及び達成されるであろう。
[0018]態様のその他の側面、特徴、利益及び利点は、一部は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付図面に関して明白になるであろう。
[0019]図1は、本開示の一態様に示されている通り、酢酸プレグネノロンを含む出発反応物を用いてOxy133を合成するための段階的反応を示す。プレグネノロンを有機金属化合物と反応させて、2個のヒドロキシル基を有するステロール又はジオールを製造する。次にそのステロール又はジオールをボラン及び過酸化水素と反応させ、精製してOxy133を製造する。 [0020]図2は、単離され精製されたOxy133から得られたH NMRデータのグラフ図を示す。 [0021]図3は、Oxy133から得られた13C NMRデータのグラフ図を示す。 [0022]図4は、Oxy133から得られた赤外分光データのグラフ図を示す。 [0023]図5は、Oxy133から得られた質量分析データのグラフ図を示す。 [0024]図6は、Oxy133を合成するための中間ステロール又はジオールから得られたH NMRデータのグラフ図を示す。 [0025]図7は、Oxy133を合成するための中間ステロール又はジオールから得られた13C NMRデータのグラフ図を示す。 [0026]図8は、荷電化粒子検出器(CAD)の動作機構を示す態様のブロック図である。 [0027]図9は、リニアフォトダイオードアレイ検出器(PDA)トレース、195nmにおける紫外線(UV)チャンネル、質量分析トータルイオンクロマトグラフィー(MS TIC)及びMS抽出質量対電荷比(m/z)257.2264のグラフ図を示す。 [0028]図10は、OXY133の0.50μg/mLから61μg/mLまでの直線性を示すグラフ図である。 [0029]図11は、500μg/mLのOXY133一水和物参照標準のクロマトグラムのグラフ図を示す。 [0030]図12は、HPLC/CAD法によって生成したOXY133の純度プロフィールを示す。
[0031]図面は正確な縮尺で描かれていないことは理解されるはずである。さらに、図面中の物体間の関係も正確な縮尺とは限らず、実際、サイズに関しては、逆転した関係を有することもある。図面は、示された各物体の構造に対する理解及び明確性をもたらすことを目的としているので、一部の特徴は、構造の特定の特徴を示すために誇張されていることもある。
[0032]本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、別途記載のない限り、成分の量、材料のパーセンテージ又は割合、反応条件、ならびに本明細書及び特許請求の範囲で使用されているその他の数値を表すすべての数字は、すべての場合において、“約”という用語によって修飾されていると理解されるものとする。従って、それに反することが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示されている数値パラメーターは、本願が得ようとしている所望の性質に応じて変動しうる近似値である。少なくとも、そして特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするのではなく、各数値パラメーターは、少なくとも、報告されている有効数字の桁数を考慮し、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
[0033]本願の広い範囲を示す数値範囲及び数値パラメーターは近似値ではあるが、特定の実施例中に示されている数値はできる限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定に見出される標準偏差に必然的に由来する一定の誤差を本質的に含有している。さらに、本明細書中に開示されたすべての範囲は、その中に包含されるありとあらゆる部分範囲も包含すると理解されるべきである。例えば、“1〜10”の範囲は、最小値1と最大値10の間(それらを含む)のありとあらゆる部分範囲、すなわち、1以上の最小値及び10以下の最大値を有するありとあらゆる部分範囲、例えば5.5〜10を含む。
定義
[0034]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されている単数形の“a”、“an”、及び“the”は、一つの指示対象に明示的かつ明白に限定されていない限り、複数の指示対象も含むことに注意する。従って、例えば、“アルカノールアミン”と言う場合、1つ、2つ、3つ又はそれ以上のアルカノールアミンを含む。
[0035]本明細書中で使用されている“生物活性薬”という用語は、一般的に、患者の生理を変更する何らかの物質を意味する。本明細書においては、“生物活性薬”という用語は、“治療薬”、“治療上有効量”、及び“医薬品有効成分”、“API”又は“薬物”という用語と互換的に使用されうる。特に明記しない限り、“薬物”製剤は二つ以上の治療薬を含むことができ、治療薬の例示的組合せは二つ以上の薬物の組合せを含むことは理解されるであろう。“薬物”という用語は、粗混合物中のものであれ又は精製もしくは単離されたものであれ、“API”も意味する。
[0036]“生分解性(biodegradable)”という用語は、ヒト体内で、酵素の作用により、加水分解作用により、及び/又はその他の類似の機序により、時間と共に分解する化合物又は成分を含む。様々な態様において、“生分解性”は、成分が体内で非毒性の成分に分解され、その成分が細胞(例えば骨細胞)に浸透して欠損を修復できることを含む。“生体浸食性(bioerodible)”とは、化合物又は成分が、少なくとも一部は、周辺組織中に見出される物質、流体との接触により、又は細胞作用により、時間と共に浸食される又は分解することを意味する。“生体吸収性(bioabsorbable)”とは、化合物又は成分が、例えば細胞又は組織によりヒト体内で分解され、吸収されることを意味する。“生体適合性”とは、化合物又は成分が、標的組織部位で実質的な組織刺激又は壊死を引き起こさない、及び/又は発がん性でないことを意味する。
[0037]本明細書中で使用されている“アルキル”という用語は、親アルカン、アルケン又はアルキンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された、飽和又は不飽和の、分枝、直鎖、又は環状一価炭化水素基のことを言う。典型的なアルキル基は、メチル;エチル類、例えばエタニル、エテニル、エチニル;プロピル類、例えばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル、シクロプロパ−2−エン−1−イル、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イルなど;ブチル類、例えばブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イルなどであるが、これらに限定されない。特定の飽和レベルが意図される場合、以下に定義のような“アルケニル”及び/又は“アルキニル”という用語体系が使用される。一部の態様において、アルキル基は(C1−C40)アルキルである。一部の態様において、アルキル基は(C1−C6)アルキルである。
[0038]本明細書中で使用されている“アルカニル”という用語は、親アルカンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された、飽和の、分枝、直鎖、又は環状アルキル基のことを言う。典型的なアルカニル基は、メタニル;エテニル;プロパニル類、例えばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなど;ブタニル類、例えばブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなどであるが、これらに限定されない。一部の態様において、アルカニル基は(C1−C40)アルカニルである。一部の態様において、アルカニル基は(C1−C6)アルカニルである。
[0039]本明細書中で使用されている“アルケニル”という用語は、親アルケンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された、少なくとも一つの炭素炭素二重結合を有する、不飽和の、分枝、直鎖、又は環状アルキル基のことを言う。該基は二重結合に関してシス又はトランス配置のいずれかを取りうる。典型的なアルケニル基は、エテニル;プロペニル類、例えばプロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、プロパ−2−エン−2−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル;シクロプロパ−2−エン−1−イル;ブテニル類、例えばブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなどであるが、これらに限定されない。一部の態様において、アルケニル基は(C2−C40)アルケニルである。一部の態様において、アルケニル基は(C2−C6)アルケニルである。
[0040]本明細書中で使用されている“アルキニル”という用語は、親アルキンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された、少なくとも一つの炭素炭素三重結合を有する、不飽和の、分枝、直鎖、又は環状アルキル基のことを言う。典型的なアルキニル基は、エチニル;プロピニル類、例えばプロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イルなど;ブチニル類、例えばブタ−1−イン−1−イル、ブタ−3−イン−1−イルなどであるが、これらに限定されない。一部の態様において、アルキニル基は(C2−C40)アルキニルである。一部の態様において、アルキニル基は(C2−C6)アルキニルである。
[0041]本明細書中で使用されている“アルキルジイル”という用語は、親アルカン、アルケン又はアルキンの2個の異なる炭素原子のそれぞれから1個の水素原子を除去することによって、又は親アルカン、アルケン又はアルキンの単一炭素原子から2個の水素原子を除去することによって誘導された、飽和又は不飽和の、分枝、直鎖又は環状二価炭化水素基のことを言う。2つの一価基中心又は二価基中心の各結合価は、同じ又は異なる原子と結合を形成できる。典型的なアルキルジイルは、メタンジイル;エチルジイル類、例えばエタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル;プロピルジイル類、例えばプロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロパ−1−エン−1,1−ジイル、プロパ−1−エン−1,2−ジイル、プロパ−2−エン−1,2−ジイル、プロパ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロパ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロパ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロパ−2−エン−1,1−ジイル、プロパ−1−イン−1,3−ジイルなど;ブチルジイル類、例えばブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,1−ジイル、ブタ−1−エン−1,2−ジイル、ブタ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロパ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,3−ジイル、シクロブタ−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイルなどであるが、これらに限定されない。特定の飽和レベルが意図される場合、アルカニルジイル、アルケニルジイル及び/又はアルキニルジイルという用語体系が使用される。一部の態様において、アルキルジイル基は(C1−C40)アルキルジイルである。一部の態様において、アルキルジイル基は(C1−C6)アルキルジイルである。また、基中心が末端炭素にある飽和非環式アルカンジイル基も想定されている。例えば、メタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ)などである(以下に定義のアルキレノとも呼ばれる)。
[0042]本明細書中で使用されている“アルキレノ”という用語は、直鎖の親アルカン、アルケン又はアルキンの2個の末端炭素原子のそれぞれから1個の水素原子を除去することによって誘導された、2つの末端一価基中心を有する直鎖アルキルジイル基のことを言う。典型的なアルキレノ基は、メタノ;エチレノ類、例えばエタノ、エテノ、エチノ;プロピレノ類、例えばプロパノ、プロパ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロパ[1]イノなど;ブチレノ類、例えばブタノ、ブタ[1]エノ、ブタ[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブタ[1]イノ、ブタ[2]イノ、ブタ[1,3]ジイノなどであるが、これらに限定されない。特定の飽和レベルが意図される場合、アルカノ、アルケノ及び/又はアルキノという用語体系が使用される。一部の態様において、アルキレノ基は(C1−C40)アルキレノである。一部の態様において、アルキレノ基は(C1−C6)アルキレノである。
[0043]本明細書中で使用されている“ヘテロアルキル”、“ヘテロアルカニル”、“ヘテロアルケニル”、“ヘテロアルキニル”、“ヘテロアルキルジイル”及び“ヘテロアルキレノ”という用語は、それぞれ、1個又は複数個の炭素原子がそれぞれ独立に同じ又は異なるヘテロ原子基で置換されたアルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アルキルジイル及びアルキレノ基のことを言う。これらの基に含めることができる典型的なヘテロ原子基は、−O−、−S−、−O−O−、−S−S−、−O−S−、−NR’、=N−N=、−N-=N−、−N(O)N−、−N=N−NR’−、−PH−、−P(O)2−、−O−P(O)2−、−SH2−、−S(O)2−などであるが、これらに限定されない。式中、各R’は、独立に、水素、本明細書中に定義のアルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル又はヘテロアリール−ヘテロアリールである。
[0044]本明細書中で使用されている“アリール”という用語は、親芳香環系の単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された一価芳香族炭化水素基のことを言う。典型的なアリール基は、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキシレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンから誘導された基などであるが、これらに限定されない。一部の態様において、アリール基は(C5−C14)アリール又は(C5−C10)アリールである。一部の好適なアリールはフェニル及びナフチルである。
[0045]本明細書中で使用されている“アリールジイル”という用語は、親芳香環系の2個の異なる炭素原子のそれぞれから1個の水素原子を除去することによって、又は親芳香環系の単一炭素原子から2個の水素原子を除去することによって誘導された二価芳香族炭化水素基のことを言う。2つの一価基中心又は二価中心の各結合価は、同じ又は異なる原子と結合を形成できる。典型的なアリールジイル基は、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキシレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどから誘導された二価の基であるが、これらに限定されない。一部の態様において、アリールジイル基は(C5−C14)アリールジイル又は(C5−C10)アリールジイルである。例えば、一部の好適なアリールジイル基は、ベンゼン及びナフタレンから誘導された二価基、特にフェナ−1,4−ジイル、ナフタ−2,6−ジイル及びナフタ−2,7−ジイルである。
[0046]本明細書中で使用されている“アリーレノ”という用語は、親芳香環系の2個の隣接炭素原子のそれぞれから1個の水素原子を除去することによって誘導された、2つの隣接一価基中心を有する二価架橋基のことを言う。アリーレノ架橋基、例えばベンゼノを親芳香環系、例えばベンゼンに結合させると、縮合芳香環系、例えばナフタレンが得られる。この架橋は、得られる縮合環系へのその結合と一致する最大数の非累積二重結合を有すると推定される。炭素原子の二重計数を回避するために、アリーレノ置換基が代替置換基を含む構造上の2個の隣接置換基が一緒になることによって形成される場合、アリーレノ架橋の炭素原子は、構造の架橋炭素原子を代替する。一例として、下記構造:
Figure 0006944466
を考えてみる。
[0047]式中、Rは、単独の場合は水素であるか、又はRと一緒になった場合は(C5−C14)アリーレノであり;Rは、単独の場合は水素であるか、又はRと一緒になった場合は(C5−C14)アリーレノである。
[0048]R及びRがそれぞれ水素の場合、得られる化合物はベンゼンである。RとRが一緒になってC6アリーレノ(ベンゼノ)の場合、得られる化合物はナフタレンである。RとRが一緒になってC10アリーレノ(ナフタレノ)の場合、得られる化合物はアントラセン又はフェナントレンである。典型的なアリーレノ基は、アセアントリレノ、アセナフチレノ、アセフェナントリレノ、アントラセノ、アズレノ、ベンゼノ(ベンゾ)、クリセノ、コロネノ、フルオランテノ、フルオレノ、ヘキサセノ、ヘキサフェノ、ヘキシレノ、as−インダセノ、s−インダセノ、インデノ、ナフタレン(ナフト)、オクタセノ、オクタフェノ、オクタレノ、オバレノ、ペンタ−2,4−ジエノ、ペンタセノ、ペンタレノ、ペンタフェノ、ペリレノ、フェナレノ、フェナントレノ、ピセノ、プレイアデノ、ピレノ、ピラントレノ、ルビセノ、トリフェニレノ、トリナフタレノなどであるが、これらに限定されない。特定の連結が意図される場合、関与する(アリーレノ架橋の)架橋炭素原子は角括弧内に示される。例えば、[1,2]ベンゼノ([1,2]ベンゾ)、[1,2]ナフタレノ、[2,3]ナフタレノなどである。従って、上記の例において、RとRが一緒になって[2,3]ナフタレノの場合、得られる化合物はアントラセンである。RとRが一緒になって[1,2]ナフタレノの場合、得られる化合物はフェナントレンである。好適な態様において、アリーレノ基は(C5−C14)であり、(C5−C10)がさらに好適である。
[0049]本明細書中で使用されている“アリールアリール”という用語は、2個以上の同一又は同一でない親芳香環系が単結合によって直接結合されている環系の単一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された一価炭化水素基のことを言う。そのような直接環結合の数は、関与する親芳香環系の数より一つ少ない。典型的なアリールアリール基は、ビフェニル、トリフェニル、フェニル−ナフチル、ビナフチル、ビフェニル−ナフチルなどであるが、これらに限定されない。アリールアリール基を構成する炭素原子の数が特定される場合、その数は各親芳香環を構成する炭素原子の数のことである。例えば、(C1−C14)アリールアリールは、各芳香環が5〜14個の炭素を含むアリールアリール基、例えばビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、フェニルナフチルなどである。一部の場合において、アリールアリール基の各親芳香環系は、独立に、(C5−C14)芳香族又は(C1−C10)芳香族である。いくつかの好適なのは、すべての親芳香環系が同一であるアリールアリール基、例えば、ビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、トリナフチルなどである。
[0050]本明細書中で使用されている“ビアリール”という用語は、単結合によって直接一緒に結合されている2個の同一親芳香族系を有するアリールアリール基のことを言う。典型的なビアリール基は、ビフェニル、ビナフチル、ビアントラシル(bianthracyl)などであるが、これらに限定されない。一部の場合において、芳香環系は(C5−C14)芳香環又は(C5−C10)芳香環である。一つの好適なビアリール基はビフェニルである。
[0051]本明細書中で使用されている“アリールアルキル”という用語は、炭素原子、典型的には末端炭素原子又はsp2炭素原子に結合されている水素原子の1個がアリール基で置換されている非環式アルキル基のことを言う。典型的なアリールアルキル基は、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどであるが、これらに限定されない。特定のアルキル部分が意図される場合、アリールアルカニル、アリールアルケニル及び/又はアリールアルキニルという用語体系が使用される。一部の態様において、アリールアルキル基は(C6−C40)アリールアルキル、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル又はアルキニル部分が(C1−C26)であり、アリール部分が(C5−C14)である。一部の好適な態様において、アリールアルキル基は(C6−C13)、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル又はアルキニル部分が(C1−C3)であり、アリール部分が(C5−C10)である。
[0052]本明細書中で使用されている“ヘテロアリール”という用語は、親ヘテロ芳香環系の単一原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された一価ヘテロ芳香族基のことを言う。典型的なヘテロアリール基は、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから誘導された基を含むが、これらに限定されない。一部の態様において、ヘテロアリール基は5〜14員ヘテロアリールで、5〜10員ヘテロアリールが特に好適である。一部の好適なヘテロアリール基は、いずれの環ヘテロ原子も窒素である親ヘテロ芳香環系、例えば、イミダゾール、インドール、インダゾール、イソインドール、ナフチリジン、プテリジン、イソキノリン、フタラジン、プリン、ピラゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリジン、ピロール、キナゾリン、キノリンなどから誘導されたものである。
[0053]“ヘテロアリールジイル”という用語は、親ヘテロ芳香環系の2個の異なる原子のそれぞれから1個の水素原子を除去することによって、又は親ヘテロ芳香環系の単一原子から2個の水素原子を除去することによって誘導された二価ヘテロ芳香族基のことを言う。2つの一価基中心又は単一の二価中心の各結合価は、同じ又は異なる原子と結合を形成できる。典型的なヘテロアリールジイル基は、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから誘導された二価の基を含むが、これらに限定されない。一部の態様において、ヘテロアリールジイル基は5〜14員ヘテロアリールジイル又は5〜10員ヘテロアリールジイルである。一部の好適なヘテロアリールジイル基は、いずれの環ヘテロ原子も窒素である親ヘテロ芳香環系、例えば、イミダゾール、インドール、インダゾール、イソインドール、ナフチリジン、プテリジン、イソキノリン、フタラジン、プリン、ピラゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリジン、ピロール、キナゾリン、キノリンなどから誘導された二価の基である。
[0054]本明細書中で使用されている“ヘテロアリーレノ”という用語は、親ヘテロ芳香環系の2個の隣接原子のそれぞれから1個の水素原子を除去することによって誘導された、2つの隣接一価基中心を有する二価架橋基のことを言う。ヘテロアリーレノ架橋基、例えばピリジノを親芳香環系、例えばベンゼンに結合させると、縮合ヘテロ芳香環系、例えばキノリンが得られる。この架橋は、得られる縮合環系へのその結合と一致する最大数の非累積二重結合を有すると推定される。環原子の二重計数を回避するために、ヘテロアリーレノ置換基が、代替置換基を含む構造上の2個の隣接置換基が一緒になることによって形成される場合、ヘテロアリーレノ架橋の環原子は、構造の架橋環原子を代替する。一例として、下記構造:
Figure 0006944466
[式中、Rは、単独の場合は水素であるか、又はRと一緒になった場合は5〜14員のヘテロアリーレノであり;Rは、単独の場合は水素であるか、又はRと一緒になった場合は5〜14員のヘテロアリーレノである]を考えてみる。
[0055]R及びRがそれぞれ水素の場合、得られる化合物はベンゼンである。RとRが一緒になって6員のヘテロアリーレノ(ピリジノ)の場合、得られる化合物はイソキノリン、キノリン又はキノリジンである。RとRが一緒になって10員のヘテロアリーレノ(例えばイソキノリン)の場合、得られる化合物は、例えばアクリジン又はフェナントリジンである。典型的なヘテロアリーレノ基は、アクリジノ、カルバゾロ、β−カルボリノ、クロメノ、シンノリノ、フラン、イミダゾロ、インダゾレノ、インドレノ、インドリジノ、イソベンゾフラノ、イソクロメノ、イソインドレノ、イソキノリノ、イソチアゾレノ、イソオキサゾレノ、ナフチリジノ、オキサジアゾレノ、オキサゾレノ、ペリミジノ、フェナントリジノ、フェナントロリノ、フェナジノ、フタラジノ、プテリジノ、プリノ、ピラノ、ピラジノ、ピラゾレノ、ピリダジノ、ピリジノ、ピリミジノ、ピロレノ、ピロリジノ、キナゾリノ、キノリノ、キノリジノ、キノキサリノ、テトラゾレノ、チアジアゾレノ、チアゾレノ、チオフェノ、トリアゾレノ、キサンテノなどであるが、これらに限定されない。特定の連結が意図される場合、関与する(ヘテロアリーレノ架橋の)架橋原子は角括弧内に示される。例えば、[1,2]ピリジノ、[2,3]ピリジノ、[3,4]ピリジノなどである。従って、上記の例において、RとRが一緒になって[1,2]ピリジノの場合、得られる化合物はキノリジンである。RとRが一緒になって[2,3]ピリジノの場合、得られる化合物はキノリンである。RとRが一緒になって[3,4]ピリジノの場合、得られる化合物はイソキノリンである。好適な態様において、ヘテロアリーレノ基は5〜14員ヘテロアリーレノ又は5〜10員ヘテロアリーレノである。一部の好適なヘテロアリーレノ基は、いずれの環ヘテロ原子も窒素である親ヘテロ芳香環系から誘導されたもの、例えば、イミダゾロ、インドロ、インダゾロ、イソインドロ、ナフチリジノ、プテリジノ、イソキノリノ、フタラジノ、プリノ、ピラゾロ、ピラジノ、ピリダジノ、ピリジノ、ピロロ、キナゾリノ、キノリノなどである。
[0056]本明細書中で使用されている“ヘテロアリール−ヘテロアリール”という用語は、2個以上の同一又は同一でない親ヘテロ芳香環系が単結合によって直接結合されている環系の単一原子から1個の水素原子を除去することによって誘導された一価ヘテロ芳香族基のことを言う。そのような直接環結合の数は、関与する親ヘテロ芳香環系の数より一つ少ない。典型的なヘテロアリール−ヘテロアリール基は、ビピリジル、トリピリジル、ピリジルプリニル、ビプリニルなどであるが、これらに限定されない。環原子の数が特定される場合、その数は各親ヘテロ芳香環系を構成する原子の数のことである。例えば、5〜14員のヘテロアリール−ヘテロアリールは、各親ヘテロ芳香環系が5〜14個の原子を含むヘテロアリール−ヘテロアリール基、例えばビピリジル、トリピリジルなどである。一部の態様において、各親ヘテロ芳香環系は、独立に、5〜14員のヘテロ芳香族、さらに好ましくは5〜10員のヘテロ芳香族である。また好適なのは、すべての親ヘテロ芳香環系が同一であるヘテロアリール−ヘテロアリール基である。一部の好適なヘテロアリール−ヘテロアリール基は、各ヘテロアリール基が、いずれの環ヘテロ原子も窒素である親ヘテロ芳香環系、例えば、イミダゾール、インドール、インダゾール、イソインドール、ナフチリジン、プテリジン、イソキノリン、フタラジン、プリン、ピラゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリジン、ピロール、キナゾリン、キノリンなどから誘導されたものである。
[0057]本明細書中で使用されている“ビヘテロアリール”という用語は、単結合によって直接一緒に結合されている2個の同一親ヘテロ芳香環系を有するヘテロアリール−ヘテロアリール基のことを言う。典型的なビヘテロアリール基は、ビピリジル、ビプリニル、ビキノリニルなどであるが、これらに限定されない。一部の態様において、ヘテロ芳香環系は5〜14員ヘテロ芳香環又は5〜10ヘテロ芳香環である。一部の好適なビヘテロアリール基は、ヘテロアリール基が、いずれの環ヘテロ原子も窒素である親ヘテロ芳香環系から誘導されたもの、例えば、ビイミダゾリル、ビインドリル、ビインダゾリル、ビイソインドリル、ビナフチリジニル、ビプテリジニル、ビイソキノリニル、ビフタラジニル、ビプリニル、ビピラゾリル、ビピラジニル、ビピリダジニル、ビピリジニル、ビピロリル、ビキナゾリニル、ビキノリニルなどである。
[0058]本明細書中で使用されている“ヘテロアリールアルキル”という用語は、炭素原子、典型的には末端炭素原子又はsp2炭素原子に結合されている水素原子の1個がヘテロアリール基で置換されている非環式アルキル基のことを言う。特定のアルキル部分が意図される場合、ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニル及び/又はヘテロアリールアルキニルという用語体系が使用される。一部の態様において、ヘテロアリールアルキル基は6〜20員ヘテロアリールアルキル、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニル又はアルキニル部分が1〜6員であり、ヘテロアリール部分が5〜14員ヘテロアリールである。一部の好適な態様において、ヘテロアリールアルキルは6〜13員ヘテロアリールアルキル、例えば、アルカニル、アルケニル又はアルキニル部分が1〜3員であり、ヘテロアリール部分が5〜10員ヘテロアリールである。
[0059]本明細書中で使用されている“置換された”という用語は、1個又は複数個の水素原子がそれぞれ独立に同じ又は異なる置換基で置換されている基のことを言う。典型的な置換基は、−X、−R、−O−、=O、−OR、−O−OR、−SR、−S−、=S、−NRR、=NR、ペルハロ(C1−C6)アルキル、−CX3、−CF3、−CN、−OCN、−SCN、−NCO、−NCS、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)2O−、−S(O)2OH、−S(O)2R、−C(O)R、−C(O)X、−C(S)R、−C(S)X、−C(O)OR、−C(O)O−、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NRR、−C(S)NRR及び−C(NR)NRR[式中、各Xは、独立にハロゲン(例えば−F又は−Cl)であり、各Rは、独立に、水素、アルキル、アルカニル、アルケニル、アルカニル、アリール、アリールアルキル、アリールアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル又はヘテロアリール−ヘテロアリール(本明細書中に定義の通り)である]などであるが、これらに限定されない。何らかの特定基を置換する実際の置換基は、置換される基が何であるか(identity)による。
[0060]本明細書中で使用されている“溶媒和物”という用語は、開示化合物の一つ又は複数の分子と溶媒の一つ又は複数の分子を含む集合体(aggregate)のことを言う。溶媒和物を形成する溶媒の例は、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンなどであるが、これらに限定されない。“水和物”という用語は、溶媒分子が水である集合体又は複合体のことを言う。溶媒は、例えば水などの無機溶媒でもよく、その場合は溶媒和物は水和物でありうる。あるいは、溶媒はエタノールなどの有機溶媒でもよい。従って、本開示の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含む水和物として、ならびにそれに対応する溶媒和物形として存在しうる。開示化合物は真の溶媒和物のこともあるが、他の場合においては、開示化合物は単に外来(adventitious)水を保持しているだけか又は水+何らかの外来溶媒との混合物のこともある。
[0061]本明細書中で使用されている“オキシステロール”という用語は、酸化コレステロールの一つ又は複数の形態を包含することを意味する。本明細書中に記載のオキシステロールは、WO 2013169399 A1(引用によってその全文を本明細書に援用する)に記載されているように、単独で又は集合的に患者の骨成長に対して活性である。
[0062]オキシステロール、ステロール又はジオールは薬学的に許容可能な塩でもよい。可能性ある薬学的に許容可能な塩のいくつかの例は、化合物の毒性を実質的に増大しない塩形成(salt-forming)酸及び塩基、例えば、マグネシウム、カリウム及びアンモニウムなどのアルカリ金属の塩、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸などの鉱酸の塩、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸などの有機酸の塩などである。
[0063]オキシステロール、ステロール又はジオールの薬学的に許容可能な塩は、無機又は有機塩基、無機又は有機酸及び脂肪酸を含む薬学的に許容可能な非毒性の塩基又は酸から製造される塩を含む。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を含む。薬学的に許容可能な有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一、第二、及び第三アミン、置換アミン(天然置換アミンを含む)、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂の塩、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を含む。本願の化合物が塩基性の場合、塩は無機及び有機酸を含む薬学的に許容可能な非毒性酸から製造できる。そのような酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などである。脂肪酸塩も使用できる。例えば、2個より多い炭素、8個より多い炭素、又は16個より多い炭素を有する脂肪酸塩、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸などの塩である。
[0064]一部の態様において、オキシステロール、ステロール、又はジオールの溶解度を下げて制御放出デポー効果の獲得の一助とするために、オキシステロール、ステロール、又はジオールは、遊離塩基として利用されるか又は比較的低溶解度の塩にして利用される。例えば、本願では、脂肪酸塩などの不溶性塩が利用できる。代表的な脂肪酸塩は、オレイン酸、リノール酸などの塩、又は8〜20個の炭素の溶解度を有する脂肪酸塩、例えばパルメエート(palmeate)又はステアリン酸塩などである。
[0065]用語“溶媒和物”は、溶質、例えば化合物又はその薬学的に許容可能な塩の一つ又は複数の分子と、溶媒の一つ又は複数の分子とによって形成される複合体又は集合体である。そのような溶媒和物は、実質的に固定された溶質と溶媒のモル比を有する結晶性固体でありうる。適切な溶媒は、例えば、水、エタノールなどである。
[0066]本明細書中で使用されている“生物活性”組成物又は“医薬”組成物という用語は、互換的に使用されうる。どちらの用語も、対象に投与できる組成物を意味する。生物活性組成物又は医薬組成物は、本明細書においては、現開示の“医薬組成物”又は“生物活性組成物”と呼ばれることもある。時に、“Oxy133の投与”という語句は、本明細書においては、この化合物を対象に投与する文脈中で使用される(例えば、対象を化合物と接触させる、化合物を注射する、薬物デポーで化合物を投与するなど)。そのように使用される化合物は、一般的に、Oxy133を含む医薬組成物又は生物活性組成物の形態でありうることは理解されるはずである。
[0067]用語“OXY133生成物”は、OXY133、OXY133一水和物のほか、そのジアステレオマー、D1及びD2を含む。
[0068]用語“不純物”は、本明細書においては、ジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2又はその他のOXY133一水和物の不純物、例えばOXY133一水和物の合成に使用されるC2746ジオール、又はそれらの任意の組合せを含むOXY133又はOXY133一水和物の不純物のことを言う。
[0069]“治療上有効量”又は“有効量”とは、投与された場合に、オキシステロール(例えばOxy133)、ステロール、ジオールが生物活性の変化、例えば骨成長の増強などをもたらすような量である。患者に投与される用量は、様々な要因、例えば、投与される薬物の薬物動態特性、投与経路、患者の状態及び特徴(性別、年齢、体重、健康、サイズなど)、及び症状の程度、併用療法、治療の頻度及び所望の効果に応じて、単回投与のこともあれば複数回投与のこともある。一部の態様において、製剤は即時放出用として設計される。他の態様において、製剤は持続放出用として設計される。他の態様において、製剤は、一つ又は複数の即時放出表面と一つ又は複数の持続放出表面を含む。
[0070]“デポー”は、カプセル、マイクロスフェア、マイクロ粒子、マイクロカプセル、マイクロファイバー粒子、ナノスフェア、ナノ粒子、コーティング、マトリックス、ウェハース、ピル、ペレット、エマルション、リポソーム、ミセル、ゲル、又はその他の医薬送達組成物又はそれらの組合せなどであるが、これらに限定されない。デポー用の適切な材料は、理想的には、薬学的に許容可能な生分解性及び/又は何らかの生体吸収性材料で、好ましくはFDA承認又はGRAS材料である。これらの材料は、ポリマー性でも非ポリマー性でも、合成でも天然でも、又はそれらの組合せでもよい。
[0071]本明細書中で利用されている“移植可能な”という用語は、哺乳動物体内への留置成功の可能性を保持している生体適合性デバイス(例えば薬物デポー)のことを言う。本明細書中で利用されている“移植可能なデバイス”という表現及び同様の意味の表現は、手術、注射、又はその他の適切な手段によって移植可能で、その主機能はその物理的存在又は機械的性質のいずれかを通じて達成される物体のことを言う。
[0072]“局所”送達は、一つ又は複数の薬物が、組織内、例えば、骨空洞内、又はそれにごく近接して(例えば約0.1cm以内、又は好ましくは約10cm以内)配置される送達を含む。例えば、薬物デポーから局所送達される薬物の用量は、経口用量又は注射用量より例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%又は99.999%少なくなりうる。
[0073]“哺乳動物”という用語は、分類学上のクラス“哺乳類”の生物のことを言い、ヒト、その他の霊長類、例えば、チンパンジー、類人猿、オランウータン及びサル、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ウマなどを含むが、これらに限定されない。
[0074]オキシステロールは、骨原性、骨伝導性及び/又は骨誘導性などの一つ又は複数の機序により、新しい骨組織の内部成長を増強又は加速できる“骨原性”でありうる。
[0075]Oxy133を含むオキシステロールを効率的及び安全に合成するための新規組成物及び方法を提供する。Oxy133を効率的及び安全に生成できる方法及び組成物も提供する。
[0076]以下のセクション見出しは制限されるべきでなく、他のセクション見出しと交換することも可能である。
オキシステロール
[0077]本開示は、骨原性オキシステロール(例えばOxy133)、ステロール、又はジオール及びインビトロにおけるその骨形成分化促進能力を含む。Oxy133は特に有効な骨原性物質である。様々な用途において、Oxy133は、局所的な骨形成刺激から利益を得る状態、例えば、脊椎固定術、骨折修復、骨再生/組織用途、顎の骨密度増大(歯科インプラントのため)、骨粗鬆症などの治療に有用である。Oxy133の一つの特別な利点は、その他の骨原性オキシステロールと比べた場合に、非常に容易な合成及び固定までの改良された時間を提供することである。Oxy133は、骨成長のための同化治療薬として働くことができる小分子であるだけでなく、様々なその他の状態の治療にも有用な物質である。
[0078]出願開示の一側面は、式:
Figure 0006944466
を有するOxy133と称される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物である。Oxy133は、Oxy133又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物と、薬学的に許容可能な担体とを含む生物活性組成物又は医薬組成物として使用できる。
[0079]開示の別の側面は、細胞又は組織においてヘッジホッグ(Hh)経路媒介応答を誘導(刺激、増強)するための方法であり、該方法は、細胞又は組織を治療上有効量のOxy133と接触させることを含む。細胞又は組織は、体外(in vitro)でも、又は哺乳動物などの対象の体内でもよい。ヘッジホッグ(Hh)経路媒介応答は、骨芽細胞分化、骨の形態形成、及び/又は骨増殖の刺激;発毛及び/又は軟骨形成の刺激;新生血管形成(neovasculogenesis)、例えば血管新生(angiogenesis)の刺激(それによって虚血組織への血液供給が増強される);又は脂肪細胞分化、脂肪細胞の形態形成、及び/又は脂肪細胞増殖の阻害;又は神経新生を起こす前駆細胞の刺激を含む。Hh媒介応答は、再生医療に使用するための様々な種類の組織のいずれの再生も含みうる。開示の別の側面は、骨障害、骨減少症、骨粗鬆症、又は骨折を有する対象の治療法であり、該方法は、Oxy133を含む有効量の生物活性組成物又は医薬組成物を対象に投与することを含む。対象は、例えば、骨量を増大させ、骨粗鬆症の症状を改善し、アテローム性動脈硬化症を低減、排除、予防又は治療するなどのために、生物活性組成物又は医薬組成物を、治療上有効な用量で、有効な剤形で、選択された間隔で投与されうる。対象は、骨粗鬆症の症状を改善するために生物活性組成物又は医薬組成物を、治療上有効な用量で、有効な剤形で、選択された間隔で投与されうる。一部の態様において、Oxy133を含む組成物は、標的手術領域で細胞の骨芽細胞分化を誘導するために間葉幹細胞を含んでいてもよい。
[0080]様々な側面において、Oxy133は、局所投与により、細胞、組織又は器官に投与できる。例えば、Oxy133は、クリームなどを用いて局所適用することも、又は細胞、組織もしくは器官に注射するか又は別の方法で直接導入することも、又は本明細書において検討されている薬物デポーなどの適切な医療デバイスを用いて導入することもできる。
[0081]一部の態様において、Oxy133、ステロール、又はジオールの用量は、およそ10pg/日〜およそ80mg/日である。Oxy133、ステロール、又はジオールの更なる用量は、およそ2.4ng/日〜およそ50mg/日;およそ50ng/日〜およそ2.5mg/日;およそ250ng/日〜およそ250mcg/日;およそ250ng/日〜およそ50mcg/日;およそ250ng/日〜およそ25mcg/日;およそ250ng/日〜およそ1mcg/日;およそ300ng/日〜およそ750ng/日又はおよそ0.50mcg/日〜およそ500ng/日などである。様々な態様において、用量は、約0.01〜およそ10mcg/日又はおよそ1ng/日〜約120mcg/日でありうる。
[0082]化合物Oxy133、ステロール、又はジオールのほかに、開示の他の態様は、Oxy133中に存在する任意の立体中心におけるありとあらゆる個別の立体異性体、例えばジアステレオマー、ラセミ体、エナンチオマー、及び化合物のその他の異性体も包含する。開示の態様において、Oxy133、ステロール、オキシステロール、ジオールは、化合物のすべての多形、溶媒和物又は水和物、例えば水和物及び有機溶媒と形成される溶媒和物を含みうる。
[0083]塩を作る能力は化合物の酸性度又は塩基性度に依存する。化合物の適切な塩は、酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、及び2−アセトキシ安息香酸を用いて製造される塩;サッカリンを用いて製造される塩;アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム及びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム及びマグネシウム塩;及び有機又は無機リガンドを用いて形成される塩、例えば第四級アンモニウム塩などであるが、これらに限定されない。更なる適切な塩は、化合物の酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオネート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩などであるが、これらに限定されない。
[0084]様々な態様において、Oxy133、ステロール、又はジオールは一つ又は複数の生物学的機能を含む。すなわち、Oxy133、ステロール、又はジオールは、間葉幹細胞又は骨髄間質細胞と接触すると、生物学的応答を誘導できる。例えば、Oxy133、ステロール、又はジオールは骨芽細胞分化を刺激できる。一部の態様において、Oxy133、ステロール、又はジオールを含む生物活性組成物は、哺乳動物細胞、例えばインビトロの細胞又はヒトもしくは動物体内の細胞に投与されると、一つ又は複数の生物学的機能を含みうる。例えば、そのような生物活性組成物は、骨芽細胞分化を刺激できる。一部の態様において、そのような生物学的機能は、ヘッジホッグ経路の刺激によって生じうる。
中間ジオールの製造法
[0085]一部の態様において、現開示は、以下に示すように、Oxy133の製造に使用される中間ジオールの製造法を提供する。該ジオールも骨成長の促進のために使用できる。Oxy133を製造するための従来の合成法は、効率が悪く、大規模製造には適していなかった。Oxy133の立体異性体の中には、他の立体異性体より最適性に劣るものもある。開示の方法は、立体選択的であり、以下に示すジオールの特定の異性体を高収率で製造する。このジオールは、最適に効果的なOxy133の異性体を製造することが示されている。
Figure 0006944466
[0086]開示されているのは、中間ジオールを合成するための反応の複数の態様である。合成されるジオールは、(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−17−[(S)−2−ヒドロキシオクタン−イル]−2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オールのIUPAC名を持つ。一般的に、ジオールの合成法は、以下に示すように、プレグネノロン、酢酸プレグネノロン又はプレグネノロン誘導体を有機金属試薬と反応させて、C17位のアルキル化を促進することを含む。
Figure 0006944466
[0087]一態様において、上記スキーム1に示されているように、酢酸プレグネノロン(式1)は、有機金属試薬によってアルキル化され、式2として上に示されている中間ジオールを合成できる。一部の態様において、酢酸プレグネノロンは、酢酸プレグネノロン分子上のC17位のアルキル化を促進するためにグリニャール試薬と反応させる。一部の態様において、n−ヘキシルマグネシウムクロリドが有機金属試薬として使用される。
Figure 0006944466
[0088]一部の態様において、上記スキーム2に示されているように、プレグネノロンをn−ヘキシルマグネシウムクロリドのようなグリニャール試薬と反応させてプレグネノロン分子のC17位のアルキル化を促進し、式2として示されている中間ジオールを形成させる。
[0088]中間ジオール(式2)又は(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−17−[(S)−2−ヒドロキシオクタン−イル]−2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オールの合成法は立体選択的であり、高収率のジオールを製造する。例えば、一部の態様において、ジオールの所望立体異性体の収率は約60%〜約70%である。一部の態様において、ジオールの所望立体異性体の収率は約50%〜約60%である。しかしながら、パーセント収率はこれらの数値より高いことも又は低いこともありうることは想定されている。例えば、上に示されている式2のパーセント収率は、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%でありうる。一部の態様において、パーセント収率は95%より高いこともある。
[0090]様々な態様において、アルキル化反応は、テトラヒドロフランなどの極性有機溶媒中で実施される。しかしながら、反応は、様々な極性有機溶媒中で実施することができる。例えば、反応は、ジエチルエーテル、エチルエーテル、ジメチルエーテルなどの中で実施できる。
[0091]一部の態様においては、プレグネノロン又は酢酸プレグネノロンが出発反応物として使用される。しかしながら、他の態様においては、酢酸プレグネノロンの誘導体が使用されることもある。例えば、本開示において使用できる化合物のその他の具体例は、硫酸プレグネノロン、リン酸プレグネノロン、ギ酸プレグネノロン、プレグネノロンヘミオキサレート、プレグネノロンヘミマロネート、プレグネノロンヘミグルタレート、20−オキソプレグン(oxopregn)−5−エン−3β−イルカルボキシメチルエーテル、3β−ヒドロキシプレグン−5−エン−20−オンスルフェート、3−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ(norpregna)−1,3,5(10)−トリエン−20−オン、3−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ−1,3,5(10),6,8−ペンタエン−20−オン、17α−イソプレグネノロンスルフェート、17−アセトキシプレグネノロンスルフェート、21−ヒドロキシプレグネノロンスルフェート、20β−アセトキシ−3β−ヒドロキシプレグン−5−エン−スルフェート、硫酸プレグネノロン 20−エチレンケタール、硫酸プレグネノロン 20−カルボキシメチルオキシム、20−デオキシプレグネノロンスルフェート、21−アセトキシ−17−ヒドロキシプレグネノロンスルフェート、17−プロピルオキシプレグネノロンスルフェート、17−ブチルオキシプレグネノロンスルフェート、硫酸プレグネノロンの21−チオールエステル、ピリジニウム、イミダゾリウム、6−メチルプレグネノロンスルフェート、6,16α−ジメチルプレグネノロンスルフェート、3β−ヒドロキシ−6−メチルプレグナ−5,16−ジエン−20−オンスルフェート、3β−ヒドロキシ−6,16−ジメチルプレグナ−5,16−ジエン−20−オンスルフェート、3jβ−ヒドロキシプレグナ−5,16−ジエン−20−オンスルフェート、ジオスゲニン(diosgenin)スルフェート、3β−ヒドロキシアンドロスト(hydroxyandrost)−5−エン−17β−カルボン酸メチルエステルスルフェート、3α ヒドロキシ−5β−プレグナン−20−オンホルメート、3α−ヒドロキシ−5β−プレグナン−20−オンヘミオキサレート、3α−ヒドロキシ−5β−プレグナン−20−オンヘミマロネート、3α−ヒドロキシ−5β−プレグナン−20−オンヘミスクシネート、3α−ヒドロキシ−5β−プレグナン−20−オンヘミグルタレート、エストラジオール−3−ホルメート、エストラジオール−3−ヘミオキサレート、エストラジオール−3−ヘミマロネート、エストラジオール−3−ヘミスクシネート、エストラジオール−3−ヘミグルタレート、エストラジオール−17−メチルエーテル、エストラジオール−17−ホルメート、エストラジオール−17−ヘミオキサレート、エストラジオール−17−ヘミマロネート、エストラジオール−17−ヘミスクシネート、エストラジオール−17−ヘミグルタレート、エストラジオール−3−メチルエーテル、17−デオキシエストロン、及び17β−ヒドロキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イルカルボキシメチルエーテルなどである。
[0092]一部の態様において、有機金属試薬は、n−ヘキシルマグネシウムクロリドを含む。しかしながら、一部の態様において、アルキル化反応は、例えばn−ヘキシルリチウムのようなアルキルリチウムを使用して実施されてもよい。様々な態様において、有機金属試薬は、ハロゲン化アルキルを含む。例えば、有機金属試薬は、下記式:
R−Mg−X
を有しうる。上記式中、Mgはマグネシウムを含み、Xは、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、又はアスタチンを含み、そしてRは、アルキル、ヘテロアルキル、アルカニル、ヘテロアルカニル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、アルキレノ、ヘテロアルキレノ、アリール、アリールジイル、アリーレノ、アリールアリール、ビアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールジイル、ヘテロアリーレノ、ヘテロアリール−ヘテロアリール、ビヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、R置換基は、(C1−C20)アルキル又はヘテロアルキル、(C−C20)アリール又はヘテロアリール、(C−C26)アリールアルキル又はヘテロアルキル及び(C−C20)アリールアルキル又はヘテロアリール−ヘテロアルキル、(C−C10)アルキルジイル又はヘテロアルキルジイル、又は(C−C10)アルキレノ又はヘテロアルキレノを含む。R置換基は、環式又は非環式でも、分枝又は非分枝でも、置換又は非置換でも、芳香族でも、飽和又は不飽和鎖でも、又はそれらの組合せでもよい。一部の態様において、R置換基は脂肪族基である。一部の態様において、R置換基は環式基である。一部の態様において、R置換基はヘキシル基である。
[0093]あるいは、有機金属試薬は、式:
R−Li
を含んでいてもよい。
[0094]上記式中、Liはリチウムを含み、そしてRは、アルキル、ヘテロアルキル、アルカニル、ヘテロアルカニル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、アルキレノ、ヘテロアルキレノ、アリール、アリールジイル、アリーレノ、アリールアリール、ビアリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールジイル、ヘテロアリーレノ、ヘテロアリール−ヘテロアリール、ビヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、R置換基は、(C−C20)アルキル又はヘテロアルキル、(C−C20)アリール又はヘテロアリール、(C−C26)アリールアルキル又はヘテロアルキル及び(C−C20)アリールアルキル又はヘテロアリール−ヘテロアルキル、(C−C10)アルキルジイル又はヘテロアルキルジイル、又は(C−C10)アルキレノ又はヘテロアルキレノを含む。R置換基は、環式又は非環式でも、分枝又は非分枝でも、置換又は非置換でも、芳香族でも、飽和又は不飽和鎖でも、又はそれらの組合せでもよい。一部の態様において、R置換基は脂肪族基である。一部の態様において、R置換基は環式基である。一部の態様において、R置換基はヘキシル基である。
[0095]一部の態様において、アルキル化反応は発熱性であるので、反応容器は、最適な反応動力学を維持するために温度制御されうる。一部の態様において、発熱反応は、溶液1ポンド(約454g)あたり約1000BTUを放出する。反応が強発熱性であるため、グリニャール試薬は、揮発性成分、例えばエーテルが反応熱によって気化しないように徐々に加えることができる。一部の態様において、反応容器は内部冷却コイルによって冷却できる。冷却コイルには、外部ガス/液体冷蔵装置によって冷却剤が供給されてもよい。一部の態様において、反応容器の内部温度は、15℃、10℃、5℃又は1℃未満に維持される。一部の態様において、反応容器は、式2の中間ジオールを形成させるアルキル化反応の間、約0℃に維持される。
[0096]様々な態様において、式2のジオールは副産物と共に合成されるので、精製することができる。例えば、得られる式2のジオールはジアステレオマー混合物の副産物でありうる。様々な態様において、式2のジオールは単離及び精製できる。すなわち、式2のジオールは、ろ過、遠心分離、蒸留(揮発性液体をそれらの相対揮発度に基づいて分離する)、結晶化、再結晶化、蒸発(不揮発性溶質から揮発性液体を除去するため)、溶媒抽出(不純物を除去するため)、溶媒中への組成物の溶解(その溶媒にはその他の成分が溶解する)、又はその他の精製法によって単離及び精製し、所望純度、例えば約95%〜約99.9%にすることができる。ジオールは、ジオールを有機及び/又は無機溶媒、例えば、THF、水、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、酢酸エチル、アセトン、n,n−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アンモニア、t−ブタノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、酢酸、又はそれらの組合せと接触させることによって精製することもできる。
[0097]様々な態様において、アルキル化工程及び精製工程は同じ反応容器内で行われる。
[0098]一部の態様において、ジオールは、塩化アンモニウム水溶液又は酢酸でクエンチングして存在するアニオンの量を低減し、反応を中和して、得られる有機層から分離される。分離された残渣は、蒸発により回収され、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製される。
[0099]ジオールは、無水物又は一水和物形でありうる。しかしながら、他の態様において、精製ジオールは他の水和物形、例えば、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などのほか、対応する溶媒和物形に結晶化されてもよい。他の態様において、精製ジオールは、共結晶又は薬学的に許容可能な塩として結晶化される。
Oxy133の製造法
[00100]一部の態様において、現開示は、以下に示すように、Oxy133の製造法を提供する。従来のOxy133の合成法は、Oxy133中間体のジアステレオマー混合物を生成するので、分離のための精製法が必要となる。中間ジオールの形成で上述したように、開示の方法は、立体選択的であり、Oxy133の特定の異性体を高収率で製造する。Oxy133の式を以下に示す。
Figure 0006944466
[00101]開示されているのは、Oxy133を合成するための反応の複数の態様である。Oxy133は、(3S,5S,6S,8R,9S,10R,13S,14S,17S)−17−((S)−2−ヒドロキシオクタン−2−イル)−10,13−ジメチルヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,6−ジオールのIUPAC名を持つ。Oxy133は、従来、以下に示すように、スケールアップには不適切な複雑な方法によって合成されていた。
Figure 0006944466
[00102]しかしながら、反応を単一の容器内で実施するには困難がある。上に示された反応は、反応工程を実施するためにより多くの試薬を必要とし(例えば保護及び脱保護のための基及び工程)、環境に悪影響を及ぼす。さらに、公知法は、高価で入手がしばしば困難な試薬を必要とする。さらに、スキーム3に示された方法は、比較的低収率であり、より多くの分解生成物、不純物を有し、多くの有毒副産物を生じる。
[00103]一般的に、本明細書中に開示されているOxy133の合成法は、以下に示す反応において、本明細書中に記載のようにして合成されたジオールをボランと反応させることを含む。
Figure 0006944466
[00104]一部の態様において、粗製及び未精製Oxy133は、スキーム4の反応で、式2を有する中間ジオールのヒドロホウ素化及び酸化反応を通じて製造される。反応に使用できるボラン化合物は、BH、B、BHS(CH(BMS)、ホスフィン及びアミンとのボラン付加物、例えばボラントリエチルアミン;RBH(式中、R=アルキル及びハロゲン化物)の形態の一置換ボラン、モノアルキルボラン(例えば、IpcBH2、モノイソピノカンフェイルボラン)、モノブロモ−及びモノクロロ−ボラン、モノクロロボランと1,4−ジオキサンの複合体、バルキーボラン(bulky borane)を含む二置換ボラン、例えばジエチルボランなどのジアルキルボラン化合物、ビス−3−メチル−2−ブチルボラン(ジシアミルボラン)、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン(9−BBN)、ジシアミルボラン(SiaBH)、ジシクロヘキシルボラン、Chx2BH、トリアルキルボラン、ジアルキルハロゲノボラン、ジメシチルボラン(CMeBH、アルケニルボラン、ピナコールボラン、又はカテコールボラン、又はそれらの組合せなどである。
[00105]手短に言えば、ヒドロホウ素化及び酸化反応は二段階反応である。ホウ素及び水素はアルケンの二重結合に付加し、アルケンと複合体を形成する。従って、反応のホウ素化段階は立体選択的であり位置選択的である。反応の酸化段階は、ホウ素の代わりにヒドロキシル置換基を提供するために塩基性の過酸化水素水を必要とする。Vollhart,KP,Schore,NE,2007,Organic Chemistry:Structure and Function,第5版,Custom Publishing Company(ニューヨーク州ニューヨーク)参照。このように、式2を有する中間ジオールをボラン及び過酸化水素と反応させて粗Oxy133を形成させる。一部の態様において、粗Oxy133を形成させる工程は、アルキル化反応と同じ反応容器内で実施される。他の態様において、粗Oxy133を形成させる工程は、アルキル化反応とは異なる反応容器内で実施される。
[00106]Oxy133を合成するヒドロホウ素化−酸化工程は、中間ジオールの形成工程と同様、立体選択的であり、高収率をもたらす。例えば、一部の態様において、粗Oxy133のパーセント収率は、これらの量より高いことも又は低いこともある。例えば、上に示されている式2のパーセント収率は、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%でありうる。一部の態様において、パーセント収率は95%より高いこともある。
[00107]様々な態様において、ヒドロホウ素化−酸化反応は、テトラヒドロフランなどの極性有機溶媒中で実施される。しかしながら、反応は、様々な極性有機溶媒中で実施することができる。例えば、反応は、ジエチルエーテル、エチルエーテル、ジメチルエーテルなどの中で実施できる。
[00108]一部の態様において、ヒドロホウ素化−酸化反応は発熱性であるので、反応容器は、最適な反応動力学を維持するために温度制御することができる。具体的には、酸化段階は極度に発熱性である。反応が強発熱性であるため、過酸化水素は、揮発性成分、例えばエーテルが反応熱のために気化しないように徐々に加えることができる。一部の態様において、反応容器は内部冷却コイルによって冷却できる。冷却コイルには、外部ガス/液体冷蔵装置によって冷却剤が供給されてもよい。一部の態様において、反応容器の内部温度は、10℃、5℃、1℃又は0℃未満に維持される。一部の態様において、反応容器は、ヒドロホウ素化−酸化反応の間、約−5℃に維持される。
[00109]一定の態様において、ジオールは、ジオールの塩、水和物、溶媒和物又は結晶形のパーセント結晶化度が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%でありうる。一部の態様において、パーセント結晶化度は実質的に100%でありうる。実質的に100%とは、ジオールの全量が当該技術分野で公知の方法を用いて測定できる限りにおいて結晶性であるように見えることを示す。従って、治療上有効量のジオールは、結晶化度が異なる量を含みうる。これらの中には、ある量の固体形の結晶化ジオールが、その後液体中に溶解、部分溶解、懸濁又は分散される場合が含まれる。
Oxy133の精製
[00110]一部の態様において、粗Oxy133は、精製の前に反応混合物から分離することができる。一部の態様において、ジクロロメタンなどの有機溶媒を粗Oxy133反応混合物に加え、得られた有機層を分離する。分離されると、粗Oxy133は半固体の粘稠塊として存在する。粗Oxy133を任意の適切な手段(例えばジクロロメタンなど)によって溶解し、メタノール−酢酸エチルなどの有機溶媒とともにシリカゲルカラムに入れ、粗Oxy133を溶媒和させる。一部の態様において、粗Oxy133は、結晶化又は再結晶化されてもよい。一部の態様において、精製Oxy133は、以下に示すように、粗Oxy133をアセトン/水の3:1混合物中で再結晶化させることにより形成される。
Figure 0006944466
[00111]上に示されているように、結晶化させると、精製Oxy133は水和物を形成する。しかしながら、それは無水物形であってもよい。一部の態様において、本明細書中に記載のOxy133のいずれかの結晶形のパーセント結晶化度はOxy133の全量に対して変動しうる。
[00112]一定の態様において、OXY133は、Oxy133の塩、水和物、溶媒和物又は結晶形のパーセント結晶化度が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%でありうる。一部の態様において、パーセント結晶化度は実質的に100%でありうる。実質的に100%とは、Oxy133の全量が当該技術分野で公知の方法を用いて測定できる限りにおいて結晶性であるように見えることを示す。従って、治療上有効量のOxy133は、結晶化度が異なる量を含みうる。これらの中には、ある量の固体形の結晶化Oxy133が、その後液体中に溶解、部分溶解、又は懸濁もしくは分散される場合が含まれる。
[00113]一態様において、精製Oxy133は一水和物として結晶化される。しかしながら、他の態様において、精製Oxy133は、他の水和物形、例えば、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などのほか、対応する溶媒和物形で結晶化されることもある。他の態様において、精製Oxy133は、共結晶又は薬学的に許容可能な塩として結晶化される。
[00114]一部の態様において、粗Oxy133を含有する反応混合物は、ヘプタンと混合することによって固化させることもできる。生成物はその後ろ過されて、塩化メチレン中に懸濁できる。一部の態様において、粗Oxy133は、懸濁液からろ過され、アセトンと水又はその他の有機もしくは無機溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、酢酸エチル、アセトン、n,n−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アンモニア、t−ブタノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、酢酸又はそれらの組合せ)を用いて結晶化できる。
[00115]様々な態様において、粗Oxy133は任意のその他の慣用手段によって単離及び精製できる。すなわち、粗Oxy133は、ろ過、遠心分離、蒸留(揮発性液体をそれらの相対揮発度に基づいて分離するため)、結晶化、再結晶化、蒸発(不揮発性溶質から揮発性液体を除去するため)、溶媒抽出(不純物を除去するため)、溶媒中への組成物の溶解(その溶媒にはその他の成分が溶解する)、又はその他の精製法によって単離及び精製し、所望純度、例えば約95%〜約99.9%にすることができる。様々な態様において、ヒドロホウ素化−酸化工程と精製工程は同じ反応容器内で実施される。様々な態様において、アルキル化工程、ヒドロホウ素化−酸化工程及び精製工程は同じ反応容器内で実施される。
[00116]中間ジオール(式2)の合成法は立体選択的であり、高収率のOxy133を製造する。例えば、一部の態様において、精製Oxy133の収率は約20%〜約99%である。一部の態様において、精製Oxy133の収率は約20%〜約80%である。一部の態様において、精製Oxy133の収率は約25%〜約70%又は約28%である。しかしながら、パーセント収率はこれらの数値より高いことも又は低いこともありうることは想定されている。
[00117]一部の態様において、精製Oxy133は、結晶化によって結晶形で形成される。すなわち、Oxy133を、液体供給ストリームから、液体供給ストリームを冷却することによって、又は反応混合物中の副産物及び未使用反応物の溶解度を低下させる沈殿剤を添加することによって分離することにより、Oxy133は結晶を形成する。一部の態様において、固体結晶は、次にろ過又は遠心分離によって残りの液体から分離される。結晶は溶媒中に再溶解された後、再結晶化されてもよく、その後ろ過又は遠心分離によって残りの液体から結晶を分離し、Oxy133の高純度サンプルを得る。一部の態様において、結晶はその後粒状化して所望の粒径にすることもできる。
[00118]一部の態様において、得られたOxy133の純度は核磁気共鳴又は質量分析によって確認される。図2〜5に示されているように、1H NMR、13C NMR、赤外分光、及び質量分析は、Oxy133生成物が高純度を有している(例えば、98%〜約99.99重量%の純度を有している)ことを示していた。
[00119]一部の態様において、粗Oxy133は精製できる。その場合、精製Oxy133は溶媒中に結晶化形で形成され、次いで溶媒から取り出され、約98%〜約99.99%の純度を有する高純度Oxy133を形成する。一部の態様において、Oxy133は、精製の前又は後にろ過又は真空ろ過によって回収できる。
オキシステロールを分離及び検出するための分析法の使用
[00120]OXY133とその関連不純物は、発色団を欠く不揮発性化合物であるため、OXY133を含むサンプルの純度を決定するためのクロマトグラフィーを不十分なものにしている。OXY133の再現性のある化学合成及びOXY133生成物を特徴付けするための確立された分析法は、開発過程における重要な活動でありうる。
[00121]OXY133及びOXY133不純物を含むHPLC溶出液をさらに荷電化粒子検出器(charged aerosol detector,CAD)を用いた分析に付すことを含むOXY133の純度決定法が思いがけず見出された。この方法は、既知不純物の存在下でOXY133を、組成物の全重量を基にして少なくとも96.9%(w/w又はw/v)の純度にまで分離及び定量化できる。CADは高感度で、化学構造とは無関係に応答を提供する。
[00122]図8にCAD検出器のフローチャートと工程を示す。CADの製造業者は、例えば、Thermo ScientificTM DionexTM CoronaTM CAD検出器を含め、数社ある。液体クロマトグラフィー用途に有用なCAD検出器は、米国特許第6,568,245号に記載されており、前記特許は引用によりその全文が示されているかのごとく本明細書に組み込まれる。
[00123]一般的に、CAD検出器は、エアゾールの不揮発性残留粒子を選択的に荷電するように制御されたコロナ放電源を含む。エアゾールは最初、液体サンプル(例えばOXY133を含有する)の液滴で構成されるが、液滴の蒸発の結果、不揮発性残留粒子が得られる。選択的に荷電された残留粒子は、それぞれそのサイズに比例した電荷を帯びており、導電性フィルターに集められる。フィルターに接続された導体を流れる電流を繰り返し又は連続的に測定することにより、不揮発性物質の濃度の指標が提供される。好ましくは、エアゾールの生成に空気式ネブライザーが使用される。液体クロマトグラフィーシステムで使用される場合、検出器は、液体サンプル中のいくつかの異なる分析対象物の濃度に応じて、いくつかの分離された比較的高電流の領域をもたらしうる。
[00124]一部の態様において、CAD検出器は、OXY133含有サンプルをまずHPLCに付した後に使用できる。図8において、OXY133化合物を含むHPLC溶出液と揮発性移動相は、ネブライザー10で噴霧されて、液滴のエアゾールを形成する。ネブライザー10は、不揮発性物質を包含した液体を受け取るように配置され、液体の少なくとも一部を噴霧してキャリアガス中に浮遊した液滴で構成されるエアゾールストリームを生成するように適応されている。液滴は蒸発しやすいので、ネブライザー下流の特定位置におけるエアゾールストリームは、キャリアガス中に浮遊した不揮発性物質の残留粒子で構成される。
[00125]有用なネブライザーは、空気式ネブライザー、静電気式ネブライザー、サーモスプレー、超音波ネブライザー及びハイブリッド装置、例えば電気支援空気式ネブライザーなどである。一般的に、流入するHPLC溶出液は最初に窒素又は空気のキャリアガスで噴霧され、液滴を形成する。次にドライヤー20を通過し、そこで揮発性移動相が除去されてOXY133残留粒子又は分析対象粒子が生成する。液滴はドライヤー20を進むにつれて蒸発し、エアゾールは、液滴ではなく、溶液中にもともと溶解していた不揮発性物質の残留粒子で構成されるまでになる。次に、残留粒子のストリームは、電荷移動チャンバ30に送られ、そこで高電圧白金コロナ線32によって正に荷電された第二のガスストリームと出会う。残留粒子のストリームに移動した電荷の量は粒子サイズに関連する。正に荷電された残留粒子のストリームはさらにコレクター40に移動し、そこで残留粒子に付与された総電荷がエレクトロメーター50で測定できる。エレクトロメーターは、検出された不揮発性残留粒子又は分析対象粒子の量に正比例する信号を生成する。この信号は、次に検出セル60で処理され、保存されて、検出された分析対象物の強度の変動をクロマトグラフィーのリテンションタイムの関数として描くクロマトグラムを生成する。一部の態様において、図8に示されたCADシステムは、電荷移動チャンバの後に配置されたイオントラップ34も含む。これは負に荷電された高移動性粒子を除去する機能を果たす。
[00126]CAD法では噴霧は重要である。なぜならば、この工程で揮発性移動相を使用して液滴を次の工程に運ぶことができるからである。本願の方法に有用な揮発性移動相の例は、制限なしに、水性/有機溶媒(水/メタノール/アセトニトリル混合物)などであり、一部の態様においては、質量分析(MS)移動相要件と同様に揮発性緩衝添加剤、例えばギ酸、酢酸又はトリフルオロ酢酸、及び酢酸アンモニウムを含む。
[00127]一部の態様において、OXY133及び/又はOXY133一水和物の純度の測定は、図8には示されていないが、検出セル60に接続されたソフトウェアプログラムを用いることによって達成可能及び適切なプロセッサによって実行可能である。本開示に記載の方法に有用なソフトウェアの例は、Empower3ソフトウェアである。
[00128]国際規制機関である日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH,International Conference of Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)は、新原薬(new drug substances)に対し、報告の必要な不純物の閾値を有している。新原薬の場合、報告の必要な閾値は、2gを超える日用量を有する薬物の場合、組成物の総重量を基にして約0.03%w/w又はw/vから、2g未満の平均日用量を有する薬物の場合、組成物の総重量を基にして約0.05%w/w又はw/vまでの範囲で変動しうる。従って、医薬品有効成分(API)の品質管理における主目標は、その不純物を検出、制御及び定量するための方法を開発することである。
[00129]様々な態様において、OXY133及びOXY133関連不純物及び/又はその他の化合物を含有するHPLC溶出液のCAD分析は、ICH品質管理ガイドラインをバリデートするために必要な分析法開発(AMD)段階における既知不純物の存在下でのOXY133の分離及び定量に使用できる。OXY133の純度を決定するためのAMDの有効性を判定するために調査される性能特性は、以下でより詳細に論ぜられる通り、溶媒系、分析対象物の応答、定量下限(LOQ)、及び室内再現精度(intermediate precision)を含む。OXY133又はOXY133一水和物を含有するサンプル中のそれらの純度の測定の後、サンプルは不純物を含まない又は実質的に不純物を含まない、例えば、これらに限定されないが、約95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、又は99.9%w/w又はw/v純粋である又は不純物を含まないという決定がなされる。測定結果は記録され、例えば、技術者、クライアント、及び/又は政府機関に伝達される。一定の態様においては、コンピューターを用いて、そのような情報が、関係者、例えば技術者、クライアント、及び/又は限定されないがFDAを含む政府役人に伝達される。
溶媒系
[00130]ノイズ及びベースラインドリフトを削減するために高純度溶媒を使用した。CAD法は、噴霧を使用して移動相を除去するので、揮発性移動相を使用した。ギ酸入り又はギ酸なしの水/メタノール/アセトニトリル混合物を評価した。直線性と精度は、二つの異なる溶媒中に調製された溶液を用いて同時に実施した。直線性と精度の試験(runs)の比較を以下の表1に示す。
[00131]表1.直線性及び精度の試験の比較
Figure 0006944466
分析対象物の応答
[00132]AMD中の分析対象物の応答及び溶媒効果を決定するために、OXY133をカラムを用いずに移動相に注入することにより、フローインジェクション分析(FIA)実験を実施した。AMDシステムは、直列に配置された多数の検出器を含んでいた。提案された分析カラムを用いたHPLC/DAD/MSスキャンにより、図9に示されているように、PDAトレース、次に195nmにおけるUVチャンネル、次にMS TIC、次に抽出m/z 257.2264によって示されている通り、明白なOxy133検出プロフィールが検出された。
定量下限
[00133]Oxy133の最低検出限界(感度)を決定するために、図10に示されているように、Oxy133のCADシステム検出で得られる最低定量レベル(QL)濃度を決定するために0.50/mLから61ug/mLまでの低い方の直線性の曲線を決定した。
室内再現精度
[00134]最適化された水/メタノール移動相系と、同タイプのカラム(XBridge Phenyl、4.6×150mm、3.5μ粒径)ではあるが異なるカラムを用い、二つのHPLC−CADシステムでCAD分析の比較を実施した。それぞれのシステムは独立に、容認可能なシステム適合性結果を満たす分離度(Rs)>1.2及びRSD<2%を生じた。
HPLC/CADのためのAMD性能パラメーター
[00135]AMD中、移動相の組成によるCAD応答の変動を調べた。移動相の組成による応答の変動は何の干渉も示さず、低いレベルの直線性は容認可能な範囲内であった。OXY133のための精度、LOQ及びシステム適合性の目標をICHバリデーションガイドラインに従って評価し、要件を満たしていることが見出された。
[00136]既知不純物の存在下でOXY133を分離及び定量する方法は、C18カラム(寸法4.6×150mm、粒径3.5ミクロン、カラム温度40℃及びグラジエント流速1.0ml/分、27分間)を用いて構成されたHPLC機器上で実施した。CAD条件は、窒素流1.53ml/分、ガス圧35psi及び200pAにセットされた範囲及びネブライザー温度は切又は35℃になるように設定された。本願の方法に有用なHPLC−CADシステムのパラメーターを以下の表2及び3にまとめた。
[00137]表2.HPLCのパラメーター
Figure 0006944466
[00138]表3.CADの設定
Figure 0006944466
[00139]一部の態様において、現開示は、OXY133のサンプルの純度を決定するためのアッセイ法を提供し、該方法は、OXY133、OXY133不純物及び移動揮発相を含むHPLC溶出液を用意し;前記HPLC溶出液から液滴のエアゾールを生成させ;前記液滴を乾燥させてOXY133の残留粒子を得;前記OXY133残留粒子を、残留粒子のそれぞれにサイズ依存性の電荷を印加するイオン流と接触させて、OXY133の荷電残留粒子の量に比例したレベルを有する電気信号を生成させ;そして前記電気信号を測定して、サンプル中のOXY133の純度を決定することを含む。他の態様において、OXY133はOXY133一水和物を含む。
[00140]さらに他の態様において、本開示の方法はさらに、OXY133の荷電残留粒子をコレクターに移し、エレクトロメーターを用いて電気信号を測定することを含む。他の側面において、ネブライザーは、HPLC溶出液からの液滴のエアゾールを生成させるために利用される。
[00141]様々な側面において、本開示のアッセイ法は、OXY133一水和物を、ジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2又はその他のOXY133一水和物の不純物、例えばOXY133一水和物の合成に使用されるC2746ジオールから分離するために使用できる。様々な態様において、本開示のアッセイ法は、約0.03%〜約0.05%w/w又はw/vのOXY133一水和物の不純物を検出できる。本開示のアッセイ法を用いて達成できるOXY133ピークとD1ジアステレオマーの分離度は≧0.8でありうる。多くの態様において、OXY133一水和物の検出限界は約0.01%又は1ngである。さらに、本開示のアッセイ法を用いて達成できるOXY133一水和物の純度は少なくとも96.9%である。
[00142]他の側面において、本開示の方法のCAD検出器に有用な移動揮発相は、アセトニトリル、アセトニトリルと水の混合物、水とメタノールの混合物又は水とメタノールとアセトニトリルの混合物を含む。OXY133のサンプルの純度を決定するための方法におけるさらに他の側面において、OXY133は、回収後、例えば錠剤、カプセル、注入、デポーなどの医薬製剤に入れられる。
[00143]様々なその他の態様において、薬物サンプルからOXY133一水和物を分離するための方法を提供する。該方法は、OXY133一水和物参照標準を用意し;OXY133一水和物参照標準と等しい濃度を有する薬物サンプルを用意し;参照標準中のOXY133一水和物の量をHPLC−CADによって決定し;薬物サンプル中のOXY133一水和物の量をHPLC−CADによって決定し;そして薬物サンプル中のOXY133一水和物の量を参照標準中のOXY133一水和物の量と比較することを含む。一部の態様において、本開示の方法では、参照標準濃度はOXY133及び/又はOXY133一水和物を含有する少なくとも500μg/mLの量で存在する。他の側面において、薬物サンプルは、アセトニトリル:テトラヒドロフラン 1:1 体積/体積の溶液中に調製される。さらに他の側面において、薬物サンプルは、100%水又は100%メタノールであるHPLC−CADからの移動揮発相を含む。
[00144]他の態様において、HPLC−CADによる分離に付されるOXY133一水和物は、ジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2、C2746ジオール又はOXY133一水和物の不純物1を含む。本開示の方法によって検出される場合、OXY133又はOXY133一水和物に関連するこれらの既知化合物は、表4に示され、図11に描かれている通り、次のようなおよそのリテンションタイム及び相対リテンションタイムを示す。
[00145]表4.OXY133に関連する化合物
Figure 0006944466
[00146]様々なその他の態様において、OXY133一水和物のサンプル中の純度を決定するための方法を提供する。該方法は、式:
Figure 0006944466
を有するジオールを、ボラン、過酸化水素及びテトラヒドロフランと反応させて、式:
Figure 0006944466
を有するオキシステロール又はその薬学的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を形成させることによってオキシステロールを提供し[上記式中、R1及びR2はヘキシル基を含み、ジオールは(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−17−[(S)−2−ヒドロキシオクタン−イル]−2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オールを含み、水和物はOXY133一水和物である];一水和物をHPLCに付して、OXY133一水和物、OXY133一水和物の不純物及び揮発性移動相を含む溶出液を得;HPLC溶出液をCAD検出器に入れてOXY133一水和物の純度を決定することを含む。
[00147]様々なその他の側面において、OXY133一水和物を含む薬物サンプルを分析するためのHPLC−CADシステムの適合性を試験するための方法を提供する。該方法は、希釈剤のブランク注入を実施して、OXY133一水和物の領域において干渉のないベースラインを得;少なくとも一つの参照標準溶液を送液して≦2.0%の相対標準偏差を得;定量レベルのOXY133一水和物溶液、定量レベルの不純物1、定量レベルのC2746ジオール溶液を含む少なくとも一つの溶液を送液し;第一のブラケッティング参照標準溶液(Bracketing Reference Standard Solution)を送液し:少なくとも一つのサンプル溶液を送液し;第二のブラケッティング参照標準溶液を送液することを含む。さらにその他の側面において、参照標準及び第一及び第二のブラケッティング参照標準中のOXY133一水和物は、ジアステレオマーD1に対して≧0.8の分離度を有する。
[00148]様々な態様において、定量レベル注入は≧10の信号対ノイズ比を有する可視ピークを有する。さらに他の態様において、ブラケッティング参照標準の面積は、AMDのためのHPLC−CADシステム適合性を試験するために利用された6個の参照標準溶液の平均の±2%以内である。いくつかの態様において、不純物1及びC2746ジオールの定量レベル注入は、各化合物について0.5μg/mLの濃度で、分析対象物OXY133のピークの領域における干渉のない可視ピークを示す。システムの精度は、少なくとも各6個のサンプル注入後、参照標準を注入することにより、上記試験全体を通して実証できる。これらの標準は、ブラケッティング参照標準(BRS)として認定されている。さらに、各試験はBRS注入で終了できる。
[00149]本願のこれら及びその他の側面は、以下の実施例を検討することにより、さらに理解されるであろう。これらの実施例は、本願のある特定の態様を説明することを目的としたものであり、特許請求の範囲によって定義されているその範囲を制限することを意図したものではない。
実施例1
[00150]酢酸プレグネノロンからの製造
[00151]8.25mLのTHF中n−ヘキシルマグネシウムクロリド(2M、16.5mmol)を、激しい電磁撹拌下及び氷浴冷却下で、酢酸プレグネノロンのTHF中溶液に添加した。酢酸プレグネノロン溶液は、4.5mLのTHF中に1.79gの化合物1、酢酸プレグネノロン(5mmol)を含有していた。添加は2分間かけて行われた。添加完了後、混合物を室温で3.5時間撹拌した。その時点で混合物はゲルに変わった。次に、そのゲルを、飽和NHCl水溶液及びMTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)の混合物で砕解(digest)した。有機層を分離し、水で3回洗浄して蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、EtOAc(酢酸エチル)/石油エーテル混合物(比率70/30)を用いて分離し、化合物2、ジオールを白色固体として得た。1.29g(3.21mmol)の固体ジオールを64%の単離収率で抽出した。反応を以下のAに示す。
Figure 0006944466
[00152]CDCl中のジオールの400MHzにおけるH NMRデータを以下に示す:δ: 0.8-1.9 (40H), 1.98 (m, 1H), 2.09 (m, 1H), 2.23 (m, 1H), 2.29 (m, 1H), 3.52 (m, 1H), 5.35 (m, 1H)(図6)。図7のCDCl中のジオールの100MHzにおける13C NMRデータを以下に示す: d: 13.6, 14.1, 19.4, 20.9, 22.4, 22.6, 23.8, 24.2, 26.4, 30.0, 31.3, 31.6, 31.8, 31.9, 36.5, 37.3, 40.1, 42.3, 42.6, 44.0, 50.1, 56.9, 57.6, 71.7, 75.2, 121.6, 140.8。
[00153]生成したジオールは、(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−17−[(S)−2−ヒドロキシオクタン−イル]−2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オールのIUPAC名を持つ。
実施例2
[00154]プレグネノロンからの製造
[00155]実施例1の代わりに、上記反応スキームAの化合物2は、化合物1から化合物2への変換で利用したのと同じ手順を利用して、以下のBに示されたプレグネノロンから製造することもできる。この手順では、10gのプレグネノロンが7.05gの化合物2に変換された。これは55%の収率に相当する。
Figure 0006944466
[00156]2500mLのn−ヘキシルマグネシウムクロリド(2M、5mol)を反応器に入れ、溶液を−5℃に冷却した。酢酸プレグネノロンのTHF中溶液を反応器に、内部反応温度を1℃未満に維持する速度で投入した。プレグネノロン溶液は、8リットルのTHF中に500gのプレグネノロン(1.4mol)を含有していた。添加完了後、混合物を0℃に1時間保持した後、一晩かけて室温に温まらせた。反応混合物は固体のゼラチン状塊になった。追加のTHF2リットルを加えた後、10mlの氷酢酸を加えた。反応混合物を5℃に冷却し、350mlの氷酢酸の添加によりクエンチングし、溶液を得た。反応混合物を減圧下で濃縮し、濃厚シロップにした。化合物をジクロロメタンに溶解し、水洗し、最後に飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層を減圧下で琥珀色油になるまで濃縮した。質量回収は約800グラムであった。粗材料をそのまま次の工程に利用した。
[00157]生成したジオールは、(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−17−[(S)−2−ヒドロキシオクタン−イル]−2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オールのIUPAC名を持つ。
実施例3
[00158]粗ヘキシルジオール生成物(800グラム)を8リットルのTHFに溶解し、反応器に入れ、−5℃に冷却した。THF中ボラン−THF複合体(1M、6.3モル、4.5当量)6300mLを、内部反応温度を1℃未満に維持する速度で投入した。添加が完了したら、反応混合物を0℃で1.5時間撹拌した後、一晩かけて室温に温まらせた。反応を以下に示す。
Figure 0006944466
[00159]反応混合物を、10%水酸化ナトリウム(4750mL)と30%過酸化水素(1375mL)の混合物の添加によりクエンチングした。クエンチングは極めて発熱性であったので、完了に数時間を要した。内部温度は10℃未満に維持された。クエンチング量の添加完了後、混合物を1.5時間保冷した後、一晩かけて室温に温まらせた。次に8リットルのジクロロメタンを加えた。有機層を単離し、7リットルの新鮮水で洗浄し、減圧下で濃縮した。生成物は粘稠性の油状塊として単離されたが、放置により固化した。
[00160]生成物を4リットルのジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタン中に調製されたシリカゲルカラムに入れた。カラムを最初に25%酢酸エチルで溶離し、7−メチル−7−トリデシルアルコール副産物を溶出した。次に、カラムを10%メタノール−酢酸エチルで溶離して、Oxy133を溶媒和した。回収画分を合わせ、減圧下で濃縮してワックス状固体を得た。化合物をアセトン−水混合物(3:1)に溶解し、減圧下で濃縮して残留溶媒を除去した。得られた粗OXYxy133を次の工程で利用した。
[00161]あるいは、ヒドロホウ素化/酸化から回収された粘稠生成物は、ヘプタンと撹拌することによって固化させ、ろ過により生成物を単離することもできる。単離生成物を塩化メチレン(7.3mL塩化メチレン/g固体)中に懸濁させる。生成物をろ過により単離し、そのまま次の工程で使用した。
実施例4
Figure 0006944466
[00162]630グラムの粗Oxy133を1500mlの3:1 アセトン/水混合物に還流下で溶解し、次いで室温に冷却することによってOxy133を再結晶化させた。結晶固体を真空ろ過により回収し、乾燥させて、336gを得た。これは化合物1からの通算収率28%であった。製造されたOxy133は一水和物で、(3S,5S,6S,8R,9S,10R,13S,14S,17S)−17−((S)−2−ヒドロキシオクタン−2−イル)−10,13−ジメチルヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,6−ジオール、一水和物のIUPAC名を持つ。
[00163]CDCl中のOxy133の400MHzにおけるH NMRデータを以下に示す:δ: 0.66 (m, 1H), 0.85 (m, 10 H), 1.23 (m, 18 H), 1.47 (m, 9 H), 1.68 (m, 4 H), 1.81 (m, 1H), 1.99 (m, 1H), 2.06 (m. 1H), 2.18 (m, 1H), 3.42 (m, 1H), 3.58 (m, 1H)。CDCl中のOxy133の400MHzにおける13C NMRデータを以下に示す: d: 13.7, 14.0, 14.3, 21.2, 22.5, 22.8, 23.9, 24.4, 26.6, 30.1, 31.1, 32.1, 32.5, 33.9, 36.5, 37.5, 40.4, 41.7, 43.1, 44.3, 51.9, 53.9, 56.5, 57.9, 69.6, 71.3, 75.4。Oxy133の赤外分光データは、3342cm−1、2929cm−1、2872cm−1、2849cm−1にピークを示した。Oxy133のターボスプレー質量分析データは、438.4 m/z [M+NH]+、420.4 m/z (M-HO+NH]+、403.4 m/z [M-HO+H]+、385.4 m/z [M-2HO+H]+にピークを示した。Oxy133のH NMR、13C NMR、IR、及びMSを図2、3、4及び5にそれぞれ示す。
実施例5
[00164]酢酸プレグネノロンからの代替一容器(one-vessel)手順
[00165]100mLのn−ヘキシルマグネシウムクロリド(THF中2M、200mmol)をフラスコに入れ、−10℃に冷却した。200mlの無水THF中に20gの酢酸プレグネノロン(56mmol)を含有する溶液を、内部反応温度を−10℃未満に維持しながら滴加した。添加完了後、混合物を30分間撹拌した後、室温に温まらせた。室温で4時間後、混合物はゼラチン状の撹拌可能な塊になった。混合物を0℃に冷却し、200mLのボラン−THF複合体(THF中1M、200mmol)を、内部温度を0℃未満に維持しながら滴加した。添加が完了したら、得られた溶液を一晩かけて室温に温まらせた。
[00166]混合物を0℃に冷却し、10%NaOH(190mL)と30%H(55mL)の混合物を徐々に添加してクエンチングした。クエンチングが完了したら、混合物をMTBE(合計800mL)で抽出し、エマルションを得た。ブラインを添加し、層を分離させた。有機相を減圧下で濃縮し、透明粘稠油を得た。この油を、前に説明したプラグカラム法を利用してさらに精製した。
[00167]以下の実施例において、APIとしてのOXY133又はOXY133一水和物の様々な早期バッチ中のサンプル分析を、OXY133及びOXY133関連不純物を測定するためのアッセイ法で、HPLCとそれに続くCADによって分析した。
実施例6−HPLCのパラメーター及びCADの設定
[00168]本開示の方法に有用な、CAD検出器、自動サンプラー、カラムヒーター、及びデータ収集システムを備えた適切なHPLCシステムは、分析にEmpower3ソフトウェアを使用するESAコロナプラス荷電化粒子検出器(CAD)付きAgilent 1100 HPLCを含んでいた。一部の態様において、使用されたカラムは、Waters XBridge Phenyl、4.6mm×150mm、3.5μmであった。システム適合性の基準を満たせば同等のカラムを使用することもできた。その他の標準的な実験装置は、0.01mgまで秤量できる分析天秤、メスフラスコ及びピペットを含む実験用クラスAガラス器具及びHPLC用ネジ蓋式バイアルを含んでいた。
[00169]一部の側面において、本開示のアッセイ法に適切な試薬及び標準は、既知純度のOxy133参照標準;不純物1関連化合物標準;ジオール関連化合物標準;アセトニトリル(ACN)(HPLC級又は同等);テトラヒドロフラン(THF)(HPLC級又は同等);メタノール(MeOH)(HPLC級又は同等);及び水(HPLCで使用するのに適切な≧18メガΩの高純度)、例えばmilli−Q水などであった。同等の材料も、システム適合性要件を満たしている限り使用できた。これらの実施例で使用されたHPLC/CADシステムの設定及びグラジエントプログラムは、上記の表2及び3にまとめてある。
実施例7−移動相及び方法希釈剤の調製
[00170]本実施例では、本開示のアッセイ法に必要な移動相A、移動相B及び方法希釈剤の溶液を調製した。移動相A及び移動相BのCAD分析にギ酸は不要であった。しかしながら、LC−MSが同定又はピーク純度の分析のために必要であれば、1%ギ酸(HPLC級又は同等)を各移動相に加えねばならない。
[00171]移動相Aは、100%Milli−Q水でガラス製レザバーを全分析をカバーするのに適切な容量まで満たすことにより調製した。この調製は、周囲条件下で保存された場合、調製後1週間まで使用に適切であった。移動相Bは、100%メタノール(HPLC級以上)を用いてガラス製レザバー中に調製した。この溶液は、周囲条件での保存で3ヶ月まで適切であった。
[00172]アセトニトリル:テトラヒドロフラン 1:1 体積/体積の方法希釈剤は、標準及びサンプル調製の要件を満たすために、適切なガラス容器に等量のアセトニトリルとテトラヒドロフランを入れ、よく混合することによって調製した。この溶液は、周囲条件で保存された場合、1ヶ月まで適切であった。すべての参照溶液及びサンプル溶液は方法希釈剤中に調製された。
[00173]次の実施例で、参照標準溶液、OXY133定量レベル溶液、不純物1標準溶液及びジオール標準溶液の各標準溶液を調製した。
実施例8−OXY133定量レベル(QL)溶液の調製
[00174]最初に、Oxy133参照標準溶液(500μg/mL)を、25±0.5mgのOxy133参照標準を秤量することにより調製した。得られた溶液を50mLのメスフラスコに移し、そこで溶解し、上で調製された方法希釈剤で一定容量まで希釈し、短時間超音波処理して溶解を完了させた。Oxy133参照標準のおよその濃度は500μg/mLであった。(溶液ID:RS500)。
[00175]Oxy133QL溶液(0.5μg/mL)の調製の場合、最初にOXY133中間QL溶液を、500μg/mLの参照標準を方法希釈剤を用いて希釈し、5μg/mLの溶液を得ることによって調製した。これは、1mLのOxy133参照標準溶液をピペットで100mLのメスフラスコに入れ、これを方法希釈剤で容量まで満たし、混合して溶解を完了することによって達成された。(溶液ID:QL5)5μg/mLの中間QL(QL5)溶液を方法希釈剤を用いて希釈し、Oxy133の0.5μg/mL溶液をQL溶液として得た。特に、1.0mLのOxy133参照標準溶液と9.0mLの方法希釈剤を、PTFE内張キャップ付きガラス製培養管に入れて混合することにより、Oxy133QL溶液を形成した。(溶液ID:OQL0.5)
実施例9−不純物1標準溶液の調製
[00176]不純物1標準溶液(0.5μg/mL)を、5±0.1mgの不純物1参照標準をガラス容器に秤量し、20.0mLの方法希釈剤をピペットで同じ容器に入れ;得られた混合物を混合し、溶解を完了させることにより調製した。不純物1ストック標準のおよその濃度は250μg/mLであった。(溶液ID:Imp250)
[00177]250μg/mLの不純物1ストック標準溶液を方法希釈剤を用いて希釈し、0.5μg/mLの不純物1QL溶液を得た。0.050mLのImp250溶液を、好ましくはハミルトンシリンジ(Hamilton syringe)又はポジティブ・ディスプレイスメント・ピペット(positive displacement pipet)を用いて、約10mLの方法希釈剤を含有する25mLメスフラスコに移した。得られた混合物を方法希釈剤で容量まで満たし、混合した。(溶液ID:IQL0.5)。
実施例10−ジオール標準溶液の調製
[00178]ジオール標準溶液(0.5μg/mL)の調製の場合、5±0.1mgのジオール参照標準をガラス容器に秤量し、20.0mLの方法希釈剤をピペットで同じ容器に入れ、次に得られた混合物を混合し、溶解を完了させた。ジオールストック標準のおよその濃度は250μg/mLであった。(溶液ID:Diol250)。250μg/mLのジオールストック標準溶液を方法希釈剤を用いて希釈し、0.5μg/mLのジオールQL溶液を得た。0.050mLのDiol250溶液を、好ましくはハミルトンシリンジ又はポジティブ・ディスプレイスメント・ピペットを用いて、約10mLの方法希釈剤を含有する25mLメスフラスコに移した。得られた混合物を方法希釈剤で容量まで満たし、混合した。(溶液ID:DQL0.5)。
実施例11−原薬製剤サンプルの調製
[00179]原薬製剤サンプルは、適当な量の原薬を正確にメスフラスコに秤量し、Oxy133参照標準濃度に等しい濃度にすることによって調製した。次に、方法希釈剤をメスフラスコのおよそ半量まで加えた。短時間の超音波処理を使用して原薬を溶解し、十分な量の方法希釈剤を加えて混合した。溶液の一部を分析のためにHPLCバイアルに移した。このサンプル中のAPIの量は、重量/体積ベースで記載できる。サンプル濃度は以下に示されているようにして計算された。
Figure 0006944466
この計算は、APIであるOxy133に対してのみ使用できる。関連化合物は、Oxy133と比較した面積パーセント及び/又は各サンプル注入におけるmg/mLとして報告できる。
実施例12−OXY133分析のためのHPLC/CADシステム適合性
[00180]システム適合性試験は、以下に記載のプロトコルに従って、OXY133サンプルの分析に先立ってうまく実施された。
[00181]最低でも少なくとも2回の希釈剤ブランク注入を実施して安定なベースラインを確保した。2回目の希釈剤ブランクは、Oxy133ピークの領域において干渉がなかった。有意の干渉は、Oxy133ピークのリテンションタイムにおいて信号対ノイズ(s/n)比≧10を有する任意のピークと定義された。
[00182]次に、6回の参照標準注入を実施した。参照標準溶液の6回の複製注入のピーク面積の相対標準偏差又は変動係数(%RSD、又はCV)は≦2.0%であった。
[00183]その後、実施例8〜10で調製した3個の定量レベル(QL)標準溶液、すなわちOXY133QL、不純物1QL及びジオールQLを実施した。これらの後に1個のブラケッティング参照標準、OXY133を含有する原薬の6個のサンプル溶液及び最後のブラケッティング参照標準を実施した。これらの試験を以下の表5にまとめた。
[00184]表5−注入の順序
Figure 0006944466
[00185]参照標準及びブラケッティング標準でOxy133について観察された米国薬局方(USP)分離度は、D1ジアステレオマーに対して≧0.8であった。QL注入は、USP s/n値≧10を有する可視ピークを有していた。ブラケッティング参照標準の面積は、試験開始時に注入された6個の参照標準溶液の平均の±2%以内であった。不純物1及びジオールのQL注入の場合:各注入は、各化合物とも0.5μg/mLの濃度で、分析対象物OXY133ピークの領域における干渉のない可視ピークを示した。
[00186]HPLC/CADシステムの精度は、少なくとも各6個のサンプル注入の後、参照標準を注入することにより、これらの試験全体で示された。これらの標準は、ブラケッティング参照標準(BRS)として認定されている。さらに、各試験はBRS注入で終了した。
[00187]上記OXY133溶液の標準、参照及びサンプルの濃度は以下のように計算された。
[00188]Oxy133標準濃度の計算(mg/mL)
Figure 0006944466
ここで、純度=Oxy133標準の純度
[00189]ブラケッティング参照標準の計算
Figure 0006944466
[00190]Oxy133サンプル濃度の計算(μg/mL)
Figure 0006944466
ここで、
SA=サンプルピーク面積
ST=6回の参照標準注入の平均ピーク面積
STC=標準濃度(μg/mL)
[00191]不純物(不純物1でもジオールでもない)の面積パーセント計算
Figure 0006944466
ここで、
不純物ピーク面積=不純物ピークの面積
全ピーク面積=存在する全ピークの面積の合計
100=パーセントへの換算
本発明は、下記の態様も含まれる。
態様1 OXY133のサンプル中の純度を決定するための方法であって、該方法は、
OXY133、OXY133不純物及び移動揮発相を含むHPLC溶出液を用意し;
前記HPLC溶出液から液滴のエアゾールを生成させ;
前記液滴を乾燥させてOXY133の残留粒子を得;
前記OXY133残留粒子を、残留粒子のそれぞれにサイズ依存性の電荷を印加するイオン流と接触させて、OXY133の荷電残留粒子の量に比例したレベルを有する電気信号を生成させ;そして前記電気信号を測定して、サンプル中のOXY133の純度を決定することを含む方法。
態様2 OXY133がOXY133一水和物を含む、態様1に記載の方法。
態様3 OXY133の荷電残留粒子をコレクターに移し、エレクトロメーターで電気信号を測定することをさらに含む、態様1に記載の方法。
態様4 OXY133一水和物の不純物が、OXY133不純物1、C 27 46 ジオール、OXY133一水和物のジアステレオマーD1及びジアステレオマーD2を含む、態様2に記載の方法。
態様5 HPLC溶出液からの液滴のエアゾールの生成がネブライザーによって提供される、態様3に記載の方法。
態様6 移動揮発相が、アセトニトリル、アセトニトリルと水の混合物、水とメタノールの混合物、又は水、メタノール及びアセトニトリルの混合物を含む、態様1に記載の方法。
態様7 OXY133一水和物の不純物が約0.03%〜約0.05%検出される、態様4に記載の方法。
態様8 OXY133ピークとD1ジアステレオマーの分離度が≧0.8である、態様4に記載の方法。
態様9 OXY133一水和物が約0.01%又は1ngの量で検出される、態様2に記載の方法。
態様10 OXY133一水和物が、ジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2又はその他のOXY133一水和物の不純物から分離される、態様2に記載の方法。
態様11 OXY133一水和物の純度が少なくとも96.9%である、態様2に記載の方法。
態様12 サンプル中のOXY133一水和物の量を決定するための方法であって、該方法は、
HPLC−CADで測定可能な既知量のOXY133一水和物を有するOXY133一水和物参照標準を用意し;
未知量のOXY133一水和物を有するサンプルを用意し;
サンプル中のOXY133一水和物の量をHPLC−CADによって分離し;そして
サンプル中のOXY133の量を決定する
ことを含む方法。
態様13 参照標準が少なくとも500μg/mLのOXY133一水和物を含む、態様12に記載の方法。
態様14 サンプルが、アセトニトリル:テトラヒドロフラン 1:1 体積/体積の溶液中に調製される、態様12に記載の方法。
態様15 サンプルが、水又はメタノールを含むHPLC−CADからの移動相を含む、態様12に記載の方法。
態様16 OXY133一水和物が、ジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2、C 27 46 ジオール又はOXY133一水和物の不純物1を含む、態様12に記載の方法。
態様17 OXY133一水和物のジアステレオマーD1が≧0.8の分離度で検出される、態様16に記載の方法。
態様18 OXY133一水和物のリテンションタイムが14.04分、ジアステレオマーD1が13.6分及びジアステレオマーD2が14.6分である、態様12に記載の方法。
態様19 OXY133一水和物のサンプル中の純度を決定するための方法であって、該方法は、
式:
Figure 0006944466
を有するジオールをボラン、過酸化水素及びテトラヒドロフランと反応させて、式:
Figure 0006944466
を有するオキシステロール又はその薬学的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を形成させ[式中、R 及びR はヘキシル基を含み、ジオールは(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−17−[(S)−2−ヒドロキシオクタン−イル]−2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オール(OXY133)を含み、水和物は一水和物である];
一水和物をHPLCに付して、OXY133一水和物、OXY133一水和物の不純物及び揮発性移動相を含む溶出液を得;そして
前記HPLC溶出液をCAD検出器に入れてOXY133一水和物の純度を決定することを含む方法。
態様20 OXY133が回収され、医薬製剤に入れられる、態様1に記載の方法。
[00192]当業者には、本明細書中に記載された様々な態様に対して、本明細書における教示の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が可能であることは明らかであろう。ゆえに、様々な態様は、本教示の範囲内で様々な態様のその他の修正及び変更もカバーするものとする。
10 ネブライザー
20 ドライヤー
30 電荷移動チャンバ
32 高電圧白金コロナ線
34 イオントラップ
40 コレクター
50 エレクトロメーター
60 検出セル

Claims (19)

  1. (3S,5S,6S,8R,9S,10R,13S,14S,17S) 17−((S)−2−ヒドロキシオクタン−2−イル)−10,13−ジメチルヘキサデカヒドロ−lH−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,6−ジオール(OXY133)一水和物のサンプル中の純度を決定するための方法であって、該方法は、
    前記サンプルをHPLCに付して、OXY133一水和物、OXY133一水和物不純物及び移動揮発相を含むHPLC溶出液を用意し
    前記HPLC溶出液から液滴のエアゾールを生成させ;
    前記液滴を乾燥させて、OXY133一水和物を含む残留粒子を得;
    前記残留粒子を、残留粒子のそれぞれにサイズ依存性の電荷を印加するイオン流と接触させて、荷電残留粒子の量に比例したレベルを有する電気信号を生成させ;そして前記電気信号を測定して、サンプル中のOXY133一水和物の純度を決定することを含む方法。
  2. 前記荷電残留粒子をコレクターに移し、エレクトロメーターで電気信号を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記OXY133一水和物の不純物が、OXY133不純物1、C2746ジオール、OXY133一水和物のジアステレオマーD1及びジアステレオマーD2を含み、前記OXY133一水和物が、OXY133一水和物のジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2又はその他のOXY133一水和物の不純物から分離され、ここで、OXY133不純物1のリテンションタイムが15.8分であり、OXY133一水和物のジアステレオマーD1のリテンションタイムが13.6分であり、OXY133一水和物のジアステレオマーD2のリテンションタイムが14.6分である、請求項1に記載の方法。
  4. HPLC溶出液からの液滴のエアゾールの生成がネブライザーによって提供される、請求項2に記載の方法。
  5. 移動揮発相が、アセトニトリル、アセトニトリルと水の混合物、水とメタノールの混合物、又は水、メタノール及びアセトニトリルの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
  6. サンプル中、前記OXY133一水和物の不純物がサンプルの0.03wt%〜0.05wt%の量で存在する、請求項3に記載の方法。
  7. OXY133ピークとD1ジアステレオマーの分離度が≧0.8である、請求項3に記載の方法。
  8. 前記OXY133一水和物の検出限界が0.01wt%又は1ngである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記OXY133一水和物が、OXY133一水和物のジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2又はその他のOXY133一水和物の不純物から分離され、OXY133一水和物のジアステレオマーD1のリテンションタイムが13.6分であり、OXY133一水和物のジアステレオマーD2のリテンションタイムが14.6分である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記OXY133一水和物の純度が少なくとも96.9wt%である、請求項1に記載の方法。
  11. サンプル中の(3S,5S,6S,8R,9S,10R,13S,14S,17S) 17−((S)−2−ヒドロキシオクタン−2−イル)−10,13−ジメチルヘキサデカヒドロ−lH−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,6−ジオール(OXY133)一水和物の量を決定するための方法であって、該方法は、
    HPLC−CADで測定可能な既知量のOXY133一水和物を有するOXY133一水和物参照標準を用意し;
    未知量のOXY133一水和物を有するサンプルを用意し;
    サンプル中の前記OXY133一水和物をHPLC−CADによって分離し;そして
    サンプル中のOXY133一水和物の量を決定する
    ことを含む方法。
  12. 参照標準が少なくとも500μg/mLのOXY133一水和物を含む、請求項11に記載の方法。
  13. サンプルが、アセトニトリル:テトラヒドロフラン 1:1 体積/体積の溶液中に調製される、請求項11に記載の方法。
  14. HPLC−CADの移動相が、水又はメタノールを含む、請求項11に記載の方法。
  15. OXY133一水和物が、ジアステレオマーD1、ジアステレオマーD2、C2746ジオール又はOXY133不純物1を含み、ここで、OXY133不純物1のリテンションタイムが15.8分であり、OXY133一水和物のジアステレオマーD1のリテンションタイムが13.6分であり、OXY133一水和物のジアステレオマーD2のリテンションタイムが14.6分である、請求項11に記載の方法。
  16. 前記OXY133一水和物がジアステレオマーD1に対して≧0.8の分離度を有する、請求項15に記載の方法。
  17. OXY133一水和物のリテンションタイムが14.04分、OXY133一水和物のジアステレオマーD1が13.6分及びOXY133一水和物のジアステレオマーD2が14.6分である、請求項11に記載の方法。
  18. (3S,5S,6S,8R,9S,10R,13S,14S,17S) 17−((S)−2−ヒドロキシオクタン−2−イル)−10,13−ジメチルヘキサデカヒドロ−lH−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,6−ジオール(OXY133)一水和物のサンプル中の純度を決定するための方法であって、該方法は、
    式:
    Figure 0006944466
    を有するジオールをボラン、過酸化水素及びテトラヒドロフランと反応させて、式:
    Figure 0006944466
    を有するオキシステロール水和物を形成させ[式中、R及びRはヘキシル基であり、ジオールは(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−17−[(S)−2−ヒドロキシオクタン−イル]−2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オールを含み、水和物は一水和物である];
    前記一水和物をHPLCに付して、OXY133一水和物、OXY133一水和物の不純物及び揮発性移動相を含む溶出液を得;そして
    前記HPLC溶出液をCAD検出器に入れてOXY133一水和物の純度を決定することを含む方法。
  19. 前記OXY133一水和物が回収され、医薬製剤に入れられる、請求項1に記載の方法。
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