JP6943834B2 - シリコーン系腸管ct造影材料 - Google Patents

シリコーン系腸管ct造影材料 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、35 USC119(e)の下で、あらゆる目的のため、全体として参照により本明細書に組み込まれる2013年8月16日に出願された米国仮特許出願第61/866,806号の利益を主張する。
[0002] コンピューター断層撮影(CT)は、緊急の外傷トリアージ、腹部疼痛の評価、および炎症性または虚血性腸管の評価などの多くの普遍的な臨床計画の評価のための他の全ての診断試験を凌駕している。CT撮像のための造影材料の開発は、特に内臓がよりあわされた構造を示す腹部および骨盤において医学的撮像を大幅に改革した。CT用の造影材料の価値が証明されているにも関わらず、実質的に改善された臨床用薬剤は過去20年の間、導入されていない。市販のCT造影材料は全て、ヨウ素(血管内もしくは腸内)またはバリウム(腸内のみ)に基づくものである。
[0003] 現行の臨床用CT造影材料の基本的な限界は、それらが相互に、または金属片、石灰化、手術用ステープルラインまたはインプラントなどの他の放射線不透過構造体との識別ができないことである。個々の物質の既知の80:140kVpのCT数比に基づいて、撮像したボクセルを物質弁別することができる、現在広まりつつある臨床技術である二重エネルギーCT(DECT)または多重エネルギーCTにおいても、ヨウ素系およびバリウム系造影材料は、その80:140kVpのCT数比が実質的に同一であるため、相互に容易に識別することができない。この制限によって臨床的な混乱および遅延が生じる。例えば、経口バリウム造影剤と静脈内ヨウ素造影剤で強調したCTスキャンが腹膜内への造影剤の漏出を示した場合、その漏出が、それぞれ臨床的な緊急事態であるが、全く異なる管理を必要とするものである出血(ヨウ素)、腸管穿孔(バリウム)、または尿道の損傷(排泄されたヨウ素)のいずれによるものか曖昧なことがある。そのような曖昧さは、混乱、遅延、および医療過誤をもたらす。曖昧さを解決するために、時間の損失および治療の機会の減少を犠牲にしてスキャンを繰り返すことができる。CTスキャンの繰り返しは、放射線量を追加することにもなる。CT放射線量についての公衆の関心の増大により、CT線量の低減に焦点を当てた2011年のNIHのサミットが行われた。多重エネルギーまたはスペクトル撮像が可能なCTスキャナーが開発されているが、改善された能力をもってしても、これらの新規なCT技術はバリウム系の従来の造影材料からヨード系のものを容易に識別することはできそうにない。
[0004] 広範囲の疾患における腸管外の液体の集積、腸管穿孔、および集塊を検知するために、CT撮像時に明るいシグナルで腸管腔をマーキングする、「ポジティブ」腸管CT造影剤が高い価値を有することには、議論の余地がない。腸管と似た腫瘍、膿瘍、および血腫は、CTの解釈における周知の診断上の陥穽である。「ポジティブ」腸管造影剤の価値にも関わらず、明るい腸管造影材料は逆説的に、1)造影材料の漏出が血管の出血によるものか、腸管腔に由来するものかが不明確であり得る外傷;2)強調されない腸管壁が明るい管腔内腸管造影材料によって不明瞭になり得る腸管の虚血および梗塞;3)IV造影剤による腸管壁の超強調が活動性疾患の最も信頼できる特徴である、腸管の炎症、4)腸管または強調している腫瘍へのヨード造影剤の溢出が腸管造影剤の存在によって遮蔽される腸管出血;および5)腸管造影剤が3次元の再構成を制限するCT血管造影など、疾患の中でも最も重篤なものについての静脈内造影CTによる知見を不明瞭にしてしまう。
[0005] 現行の腸管CT造影材料のさらなる限界は、毒性および合併症である。バリウム系の薬剤は、漏出部位において、重篤な、致命的にもなり得る腹膜炎を惹起し、または感染症を悪化させることがあり、部分的な腸閉塞を完全な腸閉塞に転化することがある。ヨード剤は不注意に吸引すると重篤で致命的でさえある肺炎を惹起し、生命を脅かすアレルギー型反応を惹起することもあり、この心配のため、以前に反応を起こしたことがある患者の1%までにその使用が制限されている。これは、部分的にはいくつかの臨床CT剤の浸透圧が高いことに関連し得る。さらに、これらの薬剤のいくつかは褐色であり、味が悪い。いくらかの患者(1〜3%まで)はヨード造影材料に反応する。
[0006] 水またはヨウ素もしくはバリウムを含まないソルビトールもしくはメチルセルロースなどの非吸収性炭水化物を含む液体などの「ニュートラル」腸管CT造影材料は、CTシグナル中で水または軟組織と類似し、CT撮像において−10〜60Hounsfield単位のCT数を有する。これらの薬剤は、腸管腔を拡大し、静脈内造影材料が、さもなければ「ポジティブ」腸管造影材料によって不明瞭にされ得る腸管壁の相対的に高いか、または低い血管分布を鮮明に示すのを可能にするために一般的に用いられる。これらの薬剤からのシグナルは天然の軟組織または水のシグナルと類似するため、それらは、腸管漏出、管腔外での液体集積、腹腔内膿瘍、または血腫について「ポジティブ」腸管造影剤ほど診断を自信のあるものにすることができない。
[0007] 「ネガティブ」腸管造影剤は、一般的には用いられていないが、−20Hounsfield単位未満のCT数を有する。ピーナッツ油または植物油などの炭化水素油は「ネガティブ」腸管造影材料を提供するために用いられ、これは静脈内造影剤と共に与えた場合、腸管壁および腸管壁強調の優れた描写を提供することができるが、「ネガティブ」造影剤は良好に許容されない。さらに、「ネガティブ」および「ニュートラル」造影剤は、それぞれ、天然の液体または脂肪と類似し、したがって、腸または血管の外部の液体集積は、シグナルが造影材料と液体または脂肪を表すかどうかに関して曖昧であるため、「ネガティブ」および「ニュートラル」造影材料は、腸管漏出または管腔外液体集積、膿瘍、または血腫を描写するのにポジティブ腸管造影材料ほど有用ではない。
[0008] 二重エネルギーCTおよびスペクトルCTは、1つはより高い全体エネルギーを有し、1つはより低い全体エネルギーを有する、2つの異なるエネルギーのX線スペクトルを用いた対象の同時的またはほぼ同時的な撮像を可能にする。個々の材料は、低エネルギー対高エネルギーX線スペクトルでのX線減衰のユニークな比を示し、したがって、低対高X線エネルギースペクトル減衰の差異を用いて、CT撮像において個々の材料間を識別することができる。X線スペクトルは、典型的には、X線管電位設定により決定される。例えば、管電位を80kVpに設定すると、低エネルギーX線スペクトルを生成し、140kVpに設定すると高エネルギーX線スペクトルを生成する。80:140kVpのCT数比は、材料の濃度とは無関係に、任意の個々の材料について固定される。したがって、X線管電位が80および140kVpに設定される二重エネルギーCTでの2つの材料の撮像は、その公知の特徴的な80:140kVpのCT数比に基づいて2つの材料の識別を可能にする。物質弁別を、CT画像の再構成の前に検出器により得られたか、または再構成されたCT画像から取得することができるCT投影データに対して実施することができる。
[0009] また、現在の二重エネルギーおよびスペクトルCT画像を、CTスキャン画像が、40〜140keVから選択されるエネルギーなどの、任意の所与のX線エネルギーの単色X線を用いて得られたかのように見えるものをシミュレートする画像である、仮想単色画像として再構成することもできる。これらの仮想単色画像において、ヨードおよびバリウム造影材料は、低いkeV設定(40〜70keV)では高度に「ポジティブ」であるように見え、高いkeV設定(140keV)では、ヨードおよびバリウム造影材料のシグナルが水または軟組織の標準ベースライン(約−10〜50Hounsfield単位)まで減少するようにシグナルを徐々に低下させる。換言すれば、バリウムおよびヨウ素は、低いkeVでは「ポジティブ」造影剤として働き、高いkeVでは「ニュートラル」造影剤として働くことができる。しかしながら、ヨードおよびバリウム剤は、依然として相互に識別することができない。
[0010] 「ポジティブ」、「ニュートラル」および「ネガティブ」造影剤として同時に働くことができる腸管CT造影材料は存在しないか、または以前には報告されていない。
[0011] CT診断を、画像後処理によって「ネガティブ」造影媒体に変換することもできる腸管「ポジティブ」造影媒体の使用により改善することができるいくつかの臨床計画が一般に存在する。例えば、腸虚血疑いにおいて、「ニュートラル」または「ネガティブ」腸造影剤は、それぞれ、炎症または虚血を検出するために腸管壁の超強調または低強調を発見するのに役立ち得る。この同じ計画において、「ポジティブ」造影剤は、腸管穿孔、膿瘍、および瘻孔の同定を可能にする。「ポジティブ」と「ネガティブ」の両方であり得る腸管剤を用いない場合、任意の利用可能なCTプロトコールにより、ある特定の知見は強調されるが、他の重要な知見は不明瞭になり得ることを知っている撮像する医師は、複数の薬剤の中から選択しなければならず、したがって、CTスキャンは次善的である。
[0012] タングステンまたはタンタルなどの重金属に基づくものなどの、開発においてヨード剤およびバリウム剤または他の薬剤と同時に使用できるが、これらと識別できる安全な臨床用腸管造影材料の開発は、外傷患者および数百万人の広範な疾患の米国人の二重エネルギーCT撮像を直ちにかつ劇的に変化させるであろう。複数の体内コンパートメントに注入して、二重エネルギー、スペクトル、または多重エネルギーCT検査によって同時に検査し、迅速かつ確信できる診断のためのそれぞれのシステムの時宜を得た高解像度の完全に同時登録できる解剖学的画像を得ることができ、外傷、浸潤性腫瘍、手術の合併症、および炎症性疾患による多臓器損傷を迅速かつ正確に評価することができるように臨床医の能力を変容することになる。
[0013] 解釈する医師の制御下で「ポジティブ」、「ニュートラル」または「ネガティブ」造影材料として見えるようにデジタル的に操作することができる安全な臨床用腸管CT造影材料の開発は、強力な診断能力を提供し、当て推量およびプロトコールの過誤ならびに診断過誤を排除する。過誤の減少は、より迅速な診断および追加の精密検査の必要性の減少をもたらす。医師は、所与の臨床計画について「ニュートラル」または「ネガティブ」対「ポジティブ」腸管造影材料を与える利益と欠点とを比較検討する必要はもはやない。
[0014] CT撮像と共に用いるために試験された非ヨード材料としては、タングステン、タンタル、ビスマス、金、ガドリニウム、イットリウムなどのランタニドその他の広範囲の高原子番号(Z)の元素が挙げられる(Yu S, Watson A. Metal-Based X-ray Contrast Media. Chem Rev. 1999; 99(9):2353-2378およびMongan J, Rathnayake S, Fu Y, Wang R, Jones EF, Gao DW, Yeh BM. In vivo Differentiation of Complementary Contrast Media at Dual-Energy CT. Radiology. 2012;265(1): 267-272)。高Z元素は、低Z元素よりもモルあたり多くのX線を減弱させる。30未満の原子番号を有する低原子番号の元素に基づく材料は、CTまたはDECT造影強調用途についての注目または研究上の興味を受けてこなかった。
[0015] 画像の質および有用性に関しては、ヨード腸管造影材料は文脈による以外にはDECTによって血管内ヨード剤と容易には識別できない。バリウム腸管造影材料は文脈による以外にはDECTによって血管内ヨード剤と容易には識別できない。腸管から周囲組織へのバリウムの溢出はアジュバントとして作用し、感染および膿瘍を実質的に悪化させる。溢出したバリウムは炎症を悪化させ、組織の肉芽形成を惹起することがある。バリウムはしばしば粗い不均一なパターンで凝集し(腸管壁をコーティングし)、それにより撮像人工物を惹起し、または腸管の外観を分かりにくくする。管内に侵入したバリウム(損傷を受けた腸管から漏出し、血流中に入ったバリウム)は、肺または肝臓に微小血栓を惹起し、長く留まることがある。バリウムの懸濁液は容易に分離し、摂取の直前に振盪する必要があることが多い。バリウム剤は口の中およびその周りに、および衣服の上に白いチョーク状の残留物を残す。
[0016] 腸管壁の強調/非強調のCT撮像のための静脈内造影剤に干渉しない経口/腸管造影剤は、腹部のCT撮像へのアプローチにおいてフレームシフトを惹起し、DECTによる腹部撮像を劇的に改善することになる。二重エネルギーCTは比較的新しい技術であり、実用的なDECTスキャナーが利用可能になってから5年も経っていない。現在のところ、大部分の放射線科医は、腸管を他の腹腔内構造物(遊離の液体、小胞状の集積物、卵巣、腫瘍など)と識別するための日常の腹骨盤CTスキャンに腸管造影剤を用いている。しかしながら、ポジティブ腸管造影剤は腸管壁の血管強調/非強調を不明瞭にし、それにより腸管の炎症、腫瘍、虚血、およびその他の病変の評価のためのCTの有効性を低下させている。また、溢出した造影材料はそれが腸管からか、血管からか、またはその両方から来たのか、不明瞭であることがある。現在のところ、ヨウ素系またはバリウム系造影材料を補完できる実現可能な造影材料は入手できない。
[0017] 本発明は、ヒトへの使用に適した腸管CT(またはDECT)造影材料としてシリコーンポリマー系化合物を含有する安全かつ有効な製剤を提供することによって、これらのおよびその他の既存の課題を解決する。例示的な実施形態においては、シリコーンポリマーは、油(または他の水と混和しない液体)であり、製剤は水中油型エマルジョンである。様々な実施形態において、本発明は、いずれかの型の腸管造影媒体の陥穽のない、CTによる「ポジティブ」および「ネガティブ」腸管造影剤の利点を提供する。「ポジティブ」腸管造影剤の利点としては、腸管漏出の優れた同定、膿瘍などの管腔外集積物の検出、腹骨盤内腫瘍および集塊の検出、腸内通過時間の評価、腸閉塞の転移点の同定、腸管壁の肥厚化の優れた評価が挙げられる。「ポジティブ」腸管造影剤の陥穽としては、ヨードまたはバリウム造影材料の毒性(下記参照)または、血管内造影材料が同時に投与された場合の、腸管壁の虚血もしくは腸管の炎症の決定的に重要な発見の不明瞭性、腹骨盤の血管構造の不明瞭性、CT血管造影の3D再構成の阻害、溢出した造影材料の起源に関する曖昧性、および現に起こっている管腔内消化管出血の不明瞭性が挙げられる。「ネガティブ」および「ニュートラル」腸管造影材料の利点としては、腸管壁の超強調または低強調の優れた評価;管腔内集塊の強調の優れた評価;CT血管造影の三次元再構成との非干渉;およびCTスカウト画像上での「ネガティブ」剤のより低いX線減弱に起因する自動露出制御を用いてCTスキャンを取得する場合のより低用量の放射線量が挙げられる。「ネガティブ」腸管造影剤の陥穽としては、腸管漏出もしくは管腔外への液体集積物、膿瘍、または血腫を検出する能力の低下が挙げられる。
[0018] 低原子番号の原子を含有する薬剤の使用は、より高い原子番号の原子を含有する薬剤の使用に勝る多くの利点がある:1)単位コストがはるかに低い;2)毒性がはるかに低い;3)低原子番号の原子を含有する多くの薬剤が既に食品または市販薬に用いられている。低原子番号の原子を含有する薬剤は、日常のCT用に高原子番号の薬剤を置き替えることができる。
[0019] CT用の腸管薬剤は、いくつかの理由により一般に注射用薬剤より安全性が高い:1)腸管造影に必要な用量および濃度は血管内薬剤よりも実質的に低い。腹部CTスキャン用の典型的な静脈内ヨード剤の投与は、ヨウ素350mg/mL造影剤150mL(ヨウ素用量52g)を必要とする。典型的な経口用量は僅かヨウ素10mg/mL造影剤800mL(全ヨウ素用量8g)である。2)腸管壁を通して血管系に吸収される造影材料の量は極めて少ない。3)腸管造影材料に関する粘度および浸透圧の懸念は最小限である。4)全ての血管内薬剤に見られる腎毒性は腸管薬剤には考えにくい。5)腸管では血管内造影剤投与よりもアナフィラキシーおよび免疫反応が起こる可能性が極めて低い。
[0020] さらに、本発明の非ヨード、非バリウムの腸管薬剤によって、臨床CTに用いた場合に、二重エネルギーまたはスペクトルCTによって容易に相互識別することができる、腸管造影材料および別々の血管内またはその他の体内コンパートメント造影材料を同時に投与できるという利点が提供される。薬剤は体内に同時に存在する場合に撮像されるように投与されるので、一実施形態においては、コントラストが強調された領域の画像が本質的に完全に同時登録され、評価のために得られる情報は、それぞれの造影材料を別々に送達し、撮像し、個別のCTスキャンを行った場合よりも多く、より正確である。さらに、1つの例示的な実施形態においては、放射線量は2つの個別のスキャンが送達する場合の約半分である。様々な実施形態においては、本発明の造影媒体および製剤によってCTスキャンの繰り返しが容易になり、以前に送達された異なる材料に基づく経口造影剤によって惹起される曖昧さが低減される。
[0021] 本発明の製剤および方法はまた、繰り返し/フォローアップのスキャンの必要性を低減することにより、放射線量を低減できるという利点を提供する。
[0022] 例示的な実施形態においては、本発明は、2.5超の非常に高い80:140kVpのCT数比のため、他の任意の以前に記載された造影材料よりも良好に、ヨードまたはバリウム造影材料と、軟組織または水との両方から、二重エネルギーCTで分離することができる薬剤を提供する。
[0023] 例示的な実施形態においては、本発明は、本発明の非常に高い80:140kVpのCT数比(2.5超)のため、他の任意の以前に記載された造影材料よりも良好に、重金属系造影材料から二重エネルギーCTで分離することができる造影材料を提供する。重金属系造影材料としては、開発中であり、一般に、1.3未満の80:140kVpのCT数比を有するW、Ta、Yb、Bi、およびAu系の薬剤が挙げられる。
[0024] 例示的な実施形態においては、本発明は、腸管造影媒体製剤である水中油エマルジョンを提供する。例示的な製剤は、本質的に水に不溶性の油滴および/または6〜52の範囲内の原子番号を有する複数の原子から作られる材料の固体粒子を含む腸管造影媒体を含む。材料は、例示的な実施形態においては、液滴および/または粒子は乳化剤の助けを借りて均一に懸濁される薬学的に許容されるビヒクル中で乳化される。例示的な実施形態においては、X線減弱に最も寄与する原子はケイ素であり、材料はケイ素系ポリマーである。
[0025] 例示的な実施形態においては、本発明は、消化器系および膣もしくは膀胱などの天然の、または人工膀胱などの手術によって作出された、またはチューブ、カテーテル、パウチ、リザバー、もしくはポンプなどの人工の医療用デバイスであってよい、他の体腔に送達することもできる造影媒体製剤を提供する。
[0026] 本発明のさらなる例示の利点、対象および実施形態は、以下の記述によって説明される。
[0027]1〜100の範囲の原子番号を有する個々の原子の80:140kVpのCT数比のコンピューターシミュレーションの図である。このシミュレーションは、臨床用CTスキャナーの予想されたCT X線管出力スペクトルおよび個々の元素のNational Institute of Standards and TechnologyのX線減弱係数に基づくものであった。このシミュレーションは、従来のヨウ素系およびバリウム系CT造影剤(それぞれ、IおよびBa)が約1.7の高い80:140kVpのCT数比を有すること、骨などのカルシウムに基づく材料が1.4をわずかに超える中間の80:140kVpのCT数比を有すること、ならびにシリカ(SiO)が約1.27の中間の80:140kVpのCT数比を有することを正確に予測する。しかしながら、このモデルは、任意の単純な材料が2.5超か、またはさらには1.8超の非常に高い80:140kVpのCT数比を有することを予測しなかった。そのようなものとして、ケイ素系ポリマー、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)がそのような高い80:140kVpのCT数比(2.6〜2.8)を有するという知見は、はじめは予測されていなかった。 [0028]ケイ素系ポリマーエマルジョンおよびケイ素系ポリマーがin vitroで「ネガティブ」と「ポジティブ」の両方の造影を提供することを示す図である。水ならびに純粋なケイ素系ポリマー油(SiO)中の1%のTween−20乳化剤(SiE)を含むシリカ(SiO)、ガドリニウムキレート(Gd)、イオヘキソール(I)および75%のケイ素系ポリマーエマルジョンのバイアルを二重エネルギーCTを用いて撮像し、40keV、70keV、および140keV(行)で仮想単色画像として再構成した。SiOおよびGdは40〜140keVのCT数においてシグナルをわずかに失う。イオヘキソールヨード造影は、40〜140keVで実質的なシグナルを失う。SiEおよびSiOは、40〜140keVで多くのシグナル喪失を示し、また、それらが140keVでの水のものよりもさらに低いネガティブCT数を示す点で非常に稀である。これらの薬剤のCT数を、図8に示す。 [0029]ケイ素系ポリマーが、静脈内造影材料との同時的撮像を可能にして、仮想単色CT画像再構成で単一のDECTスキャンにおいて対象の同時的な「ポジティブ」、「ニュートラル」および「ネガティブ」腸管造影撮像を提供することを示す図である。単純な仮想単色40keV(左)、70keV(中央)、および90keV(右)の画像としての画像再構成と共に、二重エネルギーCTでケイ素系ポリマーの腸管造影材料および血管内イオヘキソールヨード造影材料を用いて撮像されたラット。血管内造影材料は、40〜90keVの画像間でいくらかのシグナルを失うが、90keVの画像上でも依然として明るいシグナル(矢印)として見える。ケイ素系ポリマーの腸管造影材料(矢頭)は、40keVの画像上では顕著に明るく、70keVの画像上ではニュートラルシグナル(筋肉および水と同様)であり、90keVの画像上ではネガティブシグナル(水よりもはるかに暗い)である。ヨード血管造影材料による腸管壁強調は、依然として、90keVの画像上では明るいシグナルとして明確に見える。2つの造影材料のこの鮮明な識別は、2つの適切に補完的な造影剤(例えば、腸管ケイ素系ポリマーおよび静脈内ヨード剤)の組み合わせた使用、および2つの薬剤間を識別するための異なるkeV設定の使用を支援する。あるいは、より標準的な、2つ、3つ、または複数の物質弁別法を用いて、造影材料を識別することができる(図6を参照されたい)。 [0030]ケイ素系ポリマーエマルジョンが、単一DECTスキャンにおいて腸管の同時的な「ポジティブ」および「ネガティブ」腸管造影撮像を提供するための静脈内造影材料を用いた同時的撮像を可能にすることを示す図である。単純な仮想単色40keV(左)および90keV(右)画像としての画像再構成と共に、二重エネルギーCTでケイ素系ポリマーエマルジョンの腸管造影材料および血管内イオヘキソールヨード造影材料を用いて撮像されたウサギ。血管内造影材料は40〜90keVの画像間でいくらかのシグナルを失うが、90keVの画像上でも明るいシグナル(矢頭)として依然として見える。ケイ素系ポリマーエマルジョンの腸管造影材料(矢印)は、40keVの画像上で顕著に明るいが、90keVの画像上ではネガティブシグナル(水よりも暗い)である。血管造影材料による腸管壁強調は、腸管腔が暗い90keVの画像上では明確に見える。バリウムおよびヨウ素をDECTまたは従来のCTで識別することができないため、従来のヨードまたはバリウム腸管造影材料および従来のヨード血管内造影剤を用いて撮像された従来のCTまたはDECTスキャンを用いた場合には、腸管腔の明るさをモジュレートする能力は不可能である。 [0031]非血管内造影剤で強調されたCTにおいて、ケイ素系ポリマーエマルジョンが単一DECTスキャンにおける腸管の同時的な「ポジティブ」、「ニュートラル」および「ネガティブ」腸管造影撮像を提供することを示す図である。この検査では、静脈内造影剤は投与されなかった。単純な仮想単色40keV(左)、70keV(中央)および140keV(右)の画像としての画像再構成と共に、二重エネルギーCTで腸管ケイ素系ポリマーエマルジョンを用いて撮像されたウサギ。ケイ素系ポリマーエマルジョンの腸管造影材料(矢印)を、keV設定の動的調整によって、読者により望まれる通り、明るいポジティブシグナル(40keV)の画像、ニュートラルシグナル(70keV)、もしくは非常に暗いシグナル(140keV)または任意の灰色の影として表示されるように選択することができる。最良でも水および軟組織と比較したシグナル強度においてポジティブまたはニュートラルであると示すことしかできない従来のヨードまたはバリウム腸管造影材料を用いて撮像した従来のCTまたはDECTスキャンを用いた場合、腸管腔の明るさをモジュレートするこの能力は不可能である。 [0032]ケイ素系ポリマーとイオヘキソール造影材料とを識別するためのデジタル3物質弁別と共に、ケイ素系ポリマー腸管造影材料および血管内イオヘキソールを用いて二重エネルギーCTで撮像されたウサギを示す図である。40keVの仮想単色画像は、腸管腔造影と識別できない腸管壁を示す(矢印、左の画像)。ヨウ素マップ画像(中央)は、ケイ素系ポリマー造影をデジタル除去した腸管壁を明確に示す。同様に、ケイ素系ポリマーのマップ画像(右)は、ヨード造影材料をデジタル除去した場合、腸管腔を明確に示す(矢印)。血管(矢頭)はヨウ素マップ画像(中央)上で鮮明に描写され、腸管造影は物質弁別によってデジタル的に差し引かれ、これらの血管は40keV画像(左)と比較してより容易に認められる。 [0033]ケイ素系ポリマー、およびケイ素系ポリマーエマルジョンを、CTファントム中で撮像した図である。ケイ素系ポリマーエマルジョンは、2.70〜2.77の非常に高く、一貫した80:140kVpのCT数比値を示し、1.77〜1.80の100:140kVpのCT数比値を示す。これらの値は、約1.7〜1.76の80:140kVpのCT数比を示すヨード剤またはバリウムに基づく薬剤のものよりもはるかに高い。ケイ素系ポリマーは、Fisher Scientific(シリコーン油、カタログ番号S159)またはSigma−Aldrichからのものであり、フッ素化ケイ素系ポリマーはDow Corning(フルオロシリコーン油、カタログ番号FS-1265)からのものであった。注記:製剤に関する全てのパーセント数は、イソプロピルアルコール70%(v/v%)を除いて、重量/重量パーセンテージ(w/w%)である。 [0034]ガドリニウムキレート希釈溶液、イオヘキソール溶液、二酸化ケイ素懸濁液、純粋ケイ素系ポリマー油、およびケイ素系ポリマー油の75%エマルジョンを含む製剤の二重エネルギーCTスキャンに由来する仮想単色画像から誘導されたHounsfield Unit(HU)でのCT数を示す図である。ケイ素系ポリマーは、Fisher Scientific(カタログ番号S159)から得られたものであった。40keVで、ケイ素系ポリマーおよびケイ素系ポリマーエマルジョンは、300HU超の高CT数を示し、「ポジティブ造影」と考えられた。140keVで、ケイ素系ポリマーおよびケイ素系ポリマーエマルジョンは、−20HUよりも低い負のCT数を示し、「ネガティブ造影」と考えられた。水(常に0HU+/−20HU)および軟組織は、−10HU〜60HUの範囲にあり、この範囲の物質は造影において「ニュートラル」と呼ばれる。ヨード造影剤であるイオヘキソールは、それぞれ、仮想単色CT画像の低範囲および高範囲でポジティブ造影およびニュートラル造影を達成するが、それは「ネガティブ」造影材料の範囲内にある値を達成しないことに留意されたい。ヒト脂肪およびオリーブ/キャノーラ油に関する値を、比較のために示す。代表的な対応する画像を、図2に示す。 [0035]水中油エマルジョン粒子/液滴のスキームを示す図である。 [0036]化粧品、食品または製薬業界において一般的に用いられる界面活性剤および乳化剤の一覧を、本発明の製剤における使用の乳化剤の例として参照する。親水性−親油性バランス(HLB)値は、界面活性剤分子と水(または油)との親和性を評価するための物理化学的パラメータである:HLB値が高いほど、界面活性剤分子の親水性が高くなり、親油性が低くなる。一般に、HLB値は0〜20の範囲である。様々な実施形態においては、約9〜約18のHLBを有する界面活性剤が、乳化の間にケイ素系ポリマーの油中水(O/W)型エマルジョンを形成するのに好ましい。注記:例示的な安定な水中油(o/w)型エマルジョンは、9〜18のHLB値を有する乳化剤を用いて調製される。 [0037]シェル硬化型ポリシロキサンエマルジョンを示す図である。乳化剤分子の親水性領域の近くに、架橋基を導入することができる。第1に、ケイ素系ポリマー油の乳化を、そのような架橋性界面活性剤の存在下、水中で行う;次に、第2の工程、すなわち、油の微小液滴の表面上での多くのそのような基(例えば、チオール基)の粒子内架橋を適用する。この架橋は、「硬化型」シェルを提供することによってエマルジョン粒子をさらに安定化することができる。 [0038]非GLP試験における、Swiss−Websterマウスにおけるバリウム2.1%w/v、100%PDMS(Sigma Aldrichからのシリコーン油350cst)、または75%PDMSエマルジョン(0.25%Tween 20を用いて蒸留水中で乳化されたSigma Aldrichからのシリコーン油350cst)の高用量胃内強制投与を示す図である。各データ点は、3匹のマウスの平均である。合計19日にわたって観察された1日目および2日目に4X用量の後のマウス(左グラフ)において、または14日間にわたって2X日用量を与えられ、合計17日にわたって観察されたマウス(右グラフ)について、明らかな毒性は見られなかった。各コホート内で、対照マウス(硫酸バリウム2.1%w/v)と比較して、シリコーン油またはシリコーン油エマルジョンを受けたマウスの増殖曲線軌跡に有意差は見られなかった。犠牲にした時点で全てのマウスにおいて肉眼的な内臓損傷は見られなかった。 [0039]シリコーン系造影材料が、General Electric(GE)およびSiemens CTスキャナー上でスキャンした場合、類似するCT数および80:140kVpのCT数比を示すことを示す図である。CT数を、市販の臨床用二重エネルギーCTスキャナー上、80、100、120、および140kVpのCT管電位で測定した。General Electricについては、スキャナーは750HDであった。Siemensについては、スキャナーはSomatom Definitionであった。Readi−Cat(商標)造影材料は、水性懸濁液中に2.1%w/vの硫酸バリウムを含有する。シリコーン油は、Sigma Aldrichからの350cstである。70%w/wシリコーン油乳濁液は、0.25%Tween−20を用いて蒸留水中で調製される。 [0040]シリコーン油およびその水性(水中油)エマルジョンが、シリコーン油の基本的粘度(cStで測定)に関係なく、2.4またはそれ以上の顕著に高く、一貫した80:140kVpのCT数比を示すことを示す図である。架橋シリコーンラバー、フルオロシリコーン油、および二酸化シリコーンは、より低い80:140kVpのCT数比を示すが、より高いCT数を示す。 [0041]図13および図14に対する選択された対応するCT画像を示す図である。希釈されたヨード造影材料(イオヘキソール、5mg I/mL)、100%の350cstシリコーン油(Sigma Aldrich)、水中のSigma Aldrich 350cSt油のシリコーン油75%エマルジョン、および水のバイアルを、80、100、120、および140kVpのX線管設定でスキャンした。ヨード造影材料は、より低い設定でよりも高いkVpのX線管設定で低強度シグナル(より低いCT数)を示す。シリコーン油およびシリコーン油エマルジョンは、低いkVpのX線管設定でよりも高い設定でシグナルのさらにより実質的な喪失を示す。水は、kVpのX線管設定を変化させてもCT数を変化させない。ヨード造影材料を用いた場合に見られるものと比較した、kVpのX線管設定の増加としてのシリコーン油のCT数における実質的により高い相対的減少により、二重エネルギーCTはシリコーン系造影材料からヨード造影材料を識別することができる。水および軟組織は様々なkVp設定で相対CT数を変化させないため、ヨード造影材料とシリコーン系造影材料の両方を、水および軟組織から識別することができる。
I.序論
[0042] 二重エネルギーおよびスペクトルCTは、現代のスキャナーの標準的な性能である。現行の二重エネルギー技術により、1つのX線スペクトルを生成するために一方のX線管電位を80kVpに設定した後、第2のX線スペクトルを生成するために他方のX線管電位を140kVpに設定することにより生成されるものなど、2種以上の異なるエネルギースペクトルのX線で患者を同時に撮像することが可能である。あるいは、X線管電位を、低いkVp設定と高いkVp設定の間で急速に変化させることができる。これらの管電位からのX線エネルギースペクトルを、高KvpのX線ビーム上でのスズフィルターの使用などにより、低または高kVpのX線ビームを選択的にフィルタリングすることによってさらに改変して、より良いスペクトル分離を達成することができる。二重エネルギーおよびスペクトルCT撮像は、X線スペクトルの異なる部分におけるX線の減弱を定量するサンドイッチ検出器または光子計数などの他の方法を用いて獲得することもできる。体内の材料は、その高管電位と低管電位のCT数比(例えば、80:140kVpのCT数比)の差異に基づいて識別される。この差異は材料中の原子の原子番号に関連している。臨床用CTスキャナーについてのCT数比のシミュレーションは、ヨウ素およびバリウムが、Hounsfield単位として測定されるCT数と共に、現行の臨床用スキャナーについて予測される最大値に近い、約1.7の高い80:140kVpのCT数比を示すことを示している。より大きく異なる比を有する材料は、DECTによってより明確に識別され、したがって、ヨウ素およびバリウムは、80:140kVpのCT数比が約1.0である水または大部分の軟組織と極めてよく識別することができる。中間の80:140kVpのCT数比(1.25〜1.45)を有する材料は、3物質弁別アルゴリズムの使用により、水または大部分の軟組織ならびにヨードまたはバリウム造影材料の両方からある程度識別することができる。造影材料に組み込んでヨウ素およびバリウムと識別することができる最良の元素は、1.0に近い低い比(高原子番号、例えば、71〜83に対応する、または低原子番号、例えば、3〜20にも対応する)を有すると考えられた。そのような造影材料の対を、単純な2物質弁別アルゴリズムにより分離することができるが、これらの低い80:140kVpのCT数比の物質は、3物質または多物質弁別アルゴリズムを用いた場合であっても、水および軟組織から容易に分離することができない。
[0043] 二重エネルギーまたはスペクトルCTによって撮像される材料は、各材料の低エネルギーと高エネルギーX線スペクトルCT数比(例えば、80:140kVpのCT数比)によってデジタル分離することができる。デジタル分離(「物質弁別」)を、投影データ(CT画像の再構成前の検出器からのデータ)上で実施するか、またはCT画像上で実施することができる。デジタル分離のための最も単純な方法は2物質分別であり、ここではそれぞれのボクセルからのシグナルは、低エネルギー対高エネルギーX線スペクトルのCT数比に基づいて1つの材料または別の材料に比例的に割り付けられる。この方法によって、1つの材料に割り付けられたシグナルを表す画像と、他の材料に割り付けられたシグナルを表す他の画像の2つの画像が生成される。3つの材料の低エネルギー対高エネルギーX線スペクトルのCT数比および3つの材料の分画密度の合計が1.0であるという仮定に基づき、ややより複雑な3物質弁別法を用いて3つの材料を分離することができる。3物質弁別または2物質弁別を反復適用することによって多物質弁別が得られ、3つ以上の材料のCTシグナルへの寄与について解くことができる。これらの方法は全て、対象物が全て物質弁別法で仮定した材料からなっていると仮定して、種々の単色X線CT撮像において撮像された対象物がどのように見えるかを表す外挿された画像である、仮想単色CT画像を生成するためにも用いることができる。弁別法を、画像上(例えば、80および140kVpのCT画像上)で、またはCT画像に再構成させる前に、事後処理およびフィルタリングを用いて、もしくは用いずに、X線検出器により受信したデータである投射空間CTデータ上で実施することができる。
[0044] いくつかの高原子番号元素は、1.0に近い80:140kVpのCT数比を有し、したがって、材料弁別アルゴリズムによって二重エネルギーCTにおいてヨウ素およびバリウム造影材料と容易に識別される。そのような高原子番号元素としては、最も毒性が低い重原子である、タンタル(Ta、Z=73)、タングステン(W、Z=74)、ビスマス(Bi、Z=83)、イットリウム(Yb、Z=70)および金(Au、Z=79)が挙げられる。そのような造影材料の80:140kVpのCT数比は水および軟組織と非常に類似しているため、いずれのCTスキャナー販売業者から入手できる市販のヨウ素対軟組織密度の物質弁別により、コントラストに特化したソフトウェアの最適化をしなくても、ヨウ素とこれらの薬剤との極めて良好な、ないし優れた分離が得られる。これらの薬剤から得られるシグナルは、2物質弁別分離において、常にではなくても多くの場合に「水/軟組織」密度マップに見られるが、ヨウ素マップには見られない。これらの高Z薬剤の否定的側面は、1)その全体的な高コスト、地球上での比較的限られた入手可能性、および患者の安全性に関する懸念;2)80:140kVpのCT数比または高Z薬剤が軟組織または水のものと類似するため、二重エネルギーまたはスペクトルCTにおいてこれらの薬剤を軟組織または水と容易に識別できないこと;ならびに3)kVp設定または単色keV画像再構成に関係なく、「ポジティブ」シグナル造影材料として見える実質的な量のこれらの薬剤を含有する製剤をもたらす、軟組織のものと比較したその高いX線減弱係数である。
[0045] 低Z番号の元素は、CTまたはX線造影材料のためのリポーター原子として広く調査されていなかった。特に、ケイ素系ポリマーは、腸管CTまたはX線造影材料のX線減弱性成分として以前に記載されていなかった。本発明は、腸管造影剤のための安全かつ有効な材料として役立ち得るケイ素系ポリマーの安全な製剤を提供する。これらの材料は、単純な2物質弁別を用いて、従来の市販のヨードおよびバリウム系造影材料と容易に識別される。さらに、これらの材料のいくつかは、2.5超の80:140kVpのCT数比を有し、したがって、3物質および多物質弁別を用いることにより、水および軟組織ならびにヨード/バリウム系造影材料と識別することもできる。潜在的には、CT技術におけるさらなる進歩は、異なるX線エネルギースペクトルにおいて異なるX線吸収比を有する材料間を識別するより高い能力を可能にするであろう。
[0046] 医療用診断撮像について、造影材料のX線減弱係数、したがって、固定された濃度におけるCT減弱数は、材料の実効原子番号と共に指数的に増加する(R. C. Murty, Effective atomic numbers of heterogeneous materials, Nature. 1965; 207, 398-399)。材料の実効原子番号は、撮像の際の材料のX線減弱に最も寄与する材料中の原子であるリポーター原子に依存する。歴史的には、ヨウ素(Z=53)またはバリウム(Z=56)等の高原子番号のリポーター原子のみが、水または軟組織よりも実質的に大きなCT数を有する造影材料である「ポジティブ」造影材料のためのリポーター原子として用いられてきた。高濃度の低原子番号材料はポジティブ造影材料としてのCTにおける使用について記載されていなかった。さらに、画像再構成技術に依存して「ポジティブ」と「ネガティブ」の両方のシグナルを提供するCTまたはX線造影は記載されていない。本発明により初めて、二重エネルギーおよびスペクトルCTを含むX線およびCT撮像のためのケイ素系ポリマーに基づく、有効かつ低コストの腸管造影媒体、およびこの媒体の製剤が提供される。この造影材料は、画像再構成技術に依存して、「ポジティブ」と「ネガティブ」の両方のシグナルを提供することができる。
[0047] いくつかのケイ素系ポリマーの非常に高い80:140kVpのCT数比は、従来のヨードまたはバリウム造影剤のものと大きく異なるだけでなく、軟組織とも大きく異なり、3物質または多物質弁別アルゴリズムの使用により、従来の造影剤と軟組織の両方からのこの新しい型の造影材料のデジタル分離を可能にする。
II.定義
[0048] 別途定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、一般に本発明が属する分野の当業者によって普遍的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で用いられる命名法ならびに有機化学、医薬製剤、および医学撮像における実験室的手順は、当業界で周知であり、一般に用いられるものである。
[0049] 本明細書で用いられる冠詞、1つの(「a」および「an」)は、その冠詞の文法的対象の1または1超(すなわち、少なくとも1)を指す。例として、「1つの元素」は、1つの元素または1つ超の元素を意味する。ヨウ素、バリウムまたは52より大きいZを有する他の原子を含む造影剤は、例示的な「高Z」材料である。
[0050] 「高Z」材料または「低Z」材料という指定は、リポーター原子の原子番号と、現行のCTおよびX線撮像のために入手可能な臨床用造影剤において最も普遍的に用いられているリポーター原子であるヨウ素(Z=53)およびバリウム(Z=56)の原子番号との比較に基づく。
[0051] 「同時的」投与とは、対象に対して実施される医療用撮像手順と共に造影剤を使用することを指す。当業者であれば理解されるように、対象への造影剤の同時的投与は、造影剤が対象の医学的画像中で眼に見えるような医療用撮像手順の実施の間またはその前の投与を含む。
[0052] 「疾患」は、動物が恒常性を維持できない動物の健康状態であり、その疾患が改善しなければその動物の健康が悪化し続ける状態である。
[0053] 本発明の腸管造影媒体を患者に投与する文脈において本明細書で用いられる「半減期」または「t1/2」という用語は、患者における薬物の腸管内濃度が半減するために必要な時間と定義される。多重クリアランス機構、再分布、および当業界で周知の他の機構に応じて、造影媒体に関連する2つ以上の半減期があってよい。「半減期」のさらなる説明は、Pharmaceutical Biotechnology(1997, DFA CrommelinおよびRD Sindelar編、Harwood Publishers, Amsterdam, 101-120頁)に見られる。腸管造影媒体を患者に投与する文脈において本明細書で用いられる用語「滞留時間」は、腸管造影媒体が投与後に患者の体内に滞留する平均時間として定義される。
[0054] 本明細書においては、「薬学的に許容される担体」は、コンジュゲートと組み合わせたときにコンジュゲート活性の活性を保持し、対象の免疫系と反応しない任意の材料を含む。例としては、限定されるものではないが、リン酸緩衝食塩溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、および様々な型の湿潤剤などの、任意の標準的な医薬担体が挙げられる。その他の担体としては、無菌溶液も挙げられる。典型的には、これらの担体はデンプン、ミルク、砂糖、ソルビトール、メチルセルロース、ある種の粘土、ゼラチン、ステアリン酸もしくはその塩、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、タルク、植物の脂肪もしくは油、ガム、グリコールなどの賦形剤、またはその他の公知の賦形剤を含有する。また、そのような担体は、香味剤、テクスチュア、および着色剤または他の成分を含んでもよい。そのような担体を含む組成物は、周知の従来の方法によって製剤化される。
[0055] 本明細書で用いられる場合、「投与すること」は、対象への、経口投与、坐薬としての投与、局所的接触、直腸内、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内、鼻腔内もしくは皮下投与、髄腔内投与、または外科的に作出されたパウチもしくは外科的に配置されたカテーテルもしくはデバイス、または遅延放出デバイス、例えば、ミニ浸透圧ポンプの埋め込みを意味する。
[0056] 本明細書で用いられる場合、「腸管造影媒体」という用語は、少なくとも1つのX線吸収物質および任意選択により、それ自体他の成分、例えば、風味遮蔽剤、抗酸化剤、湿潤剤、乳化剤などを含んでもよい少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、乾燥した、または懸濁していない成分もしくは成分の混合物を意味すると理解される。続いて、懸濁していない混合物を懸濁媒体中で溶解、乳化、または懸濁して、本発明の腸管造影媒体製剤を形成させることができる。本明細書で用いられる場合、「懸濁媒体」および「薬学的に許容される賦形剤」などの用語は、その中に腸管造影媒体の成分が乳化または懸濁される媒体を指す。
[0057] 本明細書で用いられる「腸管造影媒体製剤」は、別途記述しない限り、少なくとも1つの腸管造影媒体を含み、媒体を懸濁する少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、または含まない、本明細書に記載される腸管造影媒体を、例えば、粉末、エマルジョンまたはマッシュの形態で、対象に投与するために使用する前に、薬学的に許容されるビヒクルに溶解、乳化、または懸濁することによって調製される、対象に投与するための薬学的に許容される液体またはペースト状の製剤を意味する。好ましくは、懸濁媒体は水である。
[0058] 本明細書で用いられる「コーティング」および「コーティングされた」という用語は、酸性または中性または塩基性のpH値を有する環境の中で生体適合性であるコーティングを含むと理解される。例示的なコーティングは、本発明の製剤の別の成分、例えば、液体ケイ素系ポリマーを封入する、硬化型(架橋型)界面活性剤または普遍的に用いられる界面活性剤(例えば、Tween 20)である。
[0059] 本明細書で用いられる「粒子」(単数および複数)という用語は、結晶、ビーズ(平滑、円形または球状の粒子)、ペレット、球体、および顆粒などの、約1nm超である任意の形状の自由流動性物質を指す。
[0060] 用語「液滴」とは、水中油エマルジョン中の水と混和しない液体の形態を指す。
[0061] 本明細書で用いられる「風味遮蔽」という用語は、不愉快な風味を有する本発明の腸管造影媒体を含み、口に入れやすいように処理された、および/または腸管造影媒体を口の中では実質的に放出しないが、例えば、胃内または腸管内で放出する、任意の製剤もしくは粒子、または経口医薬組成物を指す。
[0062] 本明細書で用いられる場合、「不愉快な、および/または苦い風味」は、大部分のヒト患者が、摂取後に、含まれる腸管造影媒体が不愉快な、および/または苦い、および/または極めて苦い風味を有していると判断することを意味する。
[0063] 現行の臨床用CTスキャナーは、撮像のために種々のX線スペクトルを発生させることができる。エネルギースペクトルは主として機械のスキャナー管電位(kVp)の設定に依存し、典型的には、80〜140kVpの範囲であるが、それより高く、または低く設定してもよい。これらのkVpの設定によって、CTスキャナーはエネルギーのスペクトルを有するX線を発生し、最大エネルギーのX線は管電位の設定が80kVpのとき80keV、140kVpのとき140keVである。X線スペクトルは、例えば、X線を金属フィルター、例えば、アルミニウム、銅、またはスズに通すことによって変調することができる。既知の材料を通過する任意の所与の単色X線エネルギーについて、X線減弱の程度は、Beer−Lambertの法則によって定義され、a)原子の密度、b)X線が材料を通過する距離、およびc)その特定のX線エネルギーにおける特定の原子または材料についてのX線減弱係数に比例する。所与のスキャナーについての任意の所与のkVpの設定においてX線スペクトルは比較的一定であるため、任意の所与の材料について、Hounsfield Unit(HU)により測定された場合、80kVpと140kVpにおけるX線減弱の比を決定することができる。一般に、アルミニウムまたは銅のフィルターを用いる標準的なCTスキャナーで撮像した場合、ヨウ素とバリウムの80:140kVpのCT数比は約1.7〜1.8であるが、140kVpでの撮像にスズフィルターを用いた場合には、実質的により大きな80:140kVpのCT減弱比が得られる(A. N. Primak, J. C. Ramirez Giraldo, X. Liu, L. Yu, and C. H. McCollough. Improved dual-energy material discrimination for dual-source CT by means of additional spectral filtration. Med. Phys. 36(4),1359-1369頁. April 2009)。CTにおける任意の所与のX線スペクトルについて水のCT数はHounsfield単位で0と定義されているため、定義により水の80:140kVpのCT数比は1.0である。周期表の元素は、約0.9〜1.8の範囲の80:140kVpのCT数比を有する。より広く分散した80:140kVpのCT数比を有する材料は、二重エネルギーまたはスペクトルCTにおいてより容易に識別される。二重エネルギーCTを得るための他の方法としては異なる管電位設定の使用(例えば、80kVpよりもむしろ100kVpまたは70kVp)が挙げられる。二重または多重エネルギーCTを得るための代替の方法としては、X線スペクトルを改変してエネルギースペクトルをより大きく分離させることができ(例えば、X線管を設定する高いkVpにスズフィルターを適用することによって)、または他の方法を利用して異なるエネルギーのX線の吸収量を定量することができる(例えば、X線検出器の上層が低エネルギーのX線をブロックし、それにより下層を照射するX線のスペクトルをモジュレートするサンドイッチ検出器;光子計数検出器)。これらの他の方法は、ヨード系材料とバリウム系材料を識別するにはまだ限定的であり、大きく異なる原子番号を有する原子を含む材料ではより良く識別することができる。
[0064] 仮想単色CT画像は、所与の単色X線エネルギーでの画像の個々のボクセルのX線吸収が見積もり値である二重エネルギーまたはスペクトルCTデータから得られる画像再構成である。仮想単色CT画像を達成するための1つの方法は、撮像された対象物が完全にヨウ素および水などの2つの材料から構成されると仮定し、二重エネルギーまたはスペクトルCTデータに基づいて2つの物質弁別を実施して、画像のそれぞれのボクセルに対するヨウ素および水に起因する相対X線減弱を決定することである。次いで、仮想単色CT画像は、National Institutes of Standards and Technologyに見出すことができるものなどの、ヨウ素および水に関する対応する参照X線減弱係数を用いることにより任意の単色X線エネルギーについて外挿し戻して、画像のそれぞれのボクセルについて対応するX線エネルギーにおけるCT数を決定することができる。この様式で、仮想単色画像は、40keV、140keV、200keVなどの様々な範囲のkeV、またはその間の任意の値またはその他について得られる。同様に、3物質および多物質弁別を用いて、仮想単色CT画像を外挿し戻すことができる。
[0065] 置換基が左から右に向かって書かれるその従来の化学式によって特定される場合、その構造は任意選択により、構造を右から向かって書く結果、化学的に同一の置換基も包含し、例えば、−CHO−は、任意選択により、−OCH−と記載することも意図される。
[0066] 用語「アルキル」は、それ自体で、または別の置換基の一部として、別途記述しない限り、完全飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和であってもよい、直鎖もしくは分枝鎖、または環式炭化水素ラジカル、またはその組合せを意味し、指定の炭素原子数を有する、二価、三価および多価ラジカルを含んでもよい(すなわち、C〜C10は、1〜10個の炭素を意味する)。飽和炭化水素ラジカルの例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの相同体および異性体などの基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、限定されるものではないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびにより高次の相同体および異性体が挙げられる。用語「アルキル」は、別途記述しない限り、任意選択により、「ヘテロアルキル」などの、以下でより詳細に定義されるアルキルの誘導体を含むことも意味する。炭化水素基に限定されるアルキル基は、「ホモアルキル」と呼ばれる。例示的なアルキル基としては、モノ不飽和C9〜10、オレオイル鎖または二不飽和C9〜1012〜13リノエイル鎖が挙げられる。
[0067] 用語「アルキレン」は、それ自体で、または別の置換基の一部として、限定されるものではないが、−CHCHCHCH−により例示されるような、アルカンから誘導される二価ラジカルを意味し、「ヘテロアルキレン」と以下に記載される基をさらに含む。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有するこれらの基が本発明において好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に、8個以下の炭素原子を有する、短鎖アルキルまたはアルキレン基である。
[0068] 用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は、その従来の意味で用いられ、それぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して、分子の残りの部分に結合したアルキル基を指す。
[0069] 用語「アリールオキシ」および「ヘテロアリールオキシ」は、その従来の意味で用いられ、酸素原子を介して分子の残りの部分に結合したアリールまたはヘテロアリール基を指す。
[0070] 用語「ヘテロアルキル」は、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、別途記述しない限り、記述された数の炭素原子と、O、N、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とからなる、安定な直鎖もしくは分枝鎖、または環式炭化水素ラジカル、またはその組合せを意味し、ここで、窒素および硫黄原子は、任意選択により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意選択により四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、NおよびSおよびSiを、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはアルキル基が分子の残りの部分に結合した位置に置くことができる。例としては、限定されるものではないが、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられる。例えば、−CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CHなど、最大2個のヘテロ原子が連続してもよい。同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、それ自体で、または別の置換基の一部として、限定されるものではないが、−CH−CH−S−CH−CH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−により例示されるように、ヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子は、鎖の末端の一方または両方を占有してもよい(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基について、連結基の向きは、連結基の式が書かれる方向によって含まれない。例えば、式−COR’−は、−C(O)OR’と−OC(O)R’の両方を表す。
[0071] 用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、別途記述しない限り、それぞれ、環式型の「アルキル」および「ヘテロアルキル」を表す。さらに、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残りの部分に結合する位置を占有することができる。シクロアルキルの例としては、限定されるものではないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。さらなる例示的なシクロアルキル基としては、ステロイド、例えば、コレステロールおよびその誘導体が挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、限定されるものではないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられる。
[0072] 用語「ハロ」または「ハロゲン」は、それ自体で、または別の置換基の一部として、別途記述しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語「ハロ(C〜C)アルキル」は、限定されるものではないが、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−シクロブチル、3−ブロモプロピルなどを含むことを意味する。
[0073] 用語「アリール」は、別途記述しない限り、一緒に融合されるか、または共有的に連結される、単一の環または複数の環(好ましくは、1〜3個の環)であってもよいポリ不飽和の芳香族置換基を意味する。用語「ヘテロアリール」とは、N、O、P、S、SiおよびBから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有するアリール置換基(または環)を指し、ここで、窒素および硫黄原子は任意選択により酸化され、窒素原子は任意選択により四級化される。例示的なヘテロアリール基は、6員のアジン、例えば、ピリジニル、ジアジニルおよびトリアジニルである。ヘテロアリール基を、ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合することができる。アリールおよびヘテロアリール基の非限定例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記のアリールおよびヘテロアリール環系のそれぞれの置換基は、以下に記載される許容される置換基の群から選択される。
[0074] 簡潔性のために、他の用語と組み合わせて用いられる場合の用語「アリール」(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)は、上記で定義されたアリール、ヘテロアリールおよびヘテロアレン環を含む。かくして、用語「アリールアルキル」は、アリール基が、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)により置き換えられたアルキル基を含むアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)に結合したラジカルを含むことを意味する。
[0075] 上記の用語のそれぞれ(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)は、任意選択により、置換型と非置換型の両方の示された種を含むことを意味する。これらの種のための例示的な置換基を、以下に提供する。
[0076] アルキルおよびヘテロアルキルラジカルのための置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれることが多い基を含む)は、一般に、「アルキル基置換基」と呼ばれ、それらは、限定されるものではないが、0〜(2m’+1)(式中、m’はそのようなラジカルの炭素原子の総数である)の範囲の数の、H、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CNおよびNOから選択される様々な基の1つまたは複数であってよい。R’、R’’、R’’’およびR’’’’はそれぞれ、好ましくは独立に水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、例えば、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、置換もしくは非置換アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が2個以上のR基を含む場合、それぞれのR基は、2個以上のこれらの基が存在する場合、それぞれ、R’、R’’、R’’’およびR’’’’基であるように独立に選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に結合する場合、それらを窒素原子と組み合わせて、5、6または7員環を形成させることができる。例えば、−NR’R’’は、限定されるものではないが、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むことを意味する。置換基に関する上記の考察から、当業者であれば、用語「アルキル」がハロアルキル(例えば、−CFおよび−CHCF)およびアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)などの、水素基以外の基に結合した炭素原子などの基を含むことを意味することを理解されよう。これらの用語は、例示的な「置換アルキル」および「置換ヘテロアルキル」部分の成分である、例示的な「アルキル基置換基」と考えられる基を包含する。
[0077] アルキルラジカルについて記載される置換基と同様、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロアレン基のための置換基は、一般に、「アリール基置換基」と呼ばれる。この置換基は、例えば、0から芳香環系上の開いた価数の総数までの範囲の数の、限定されるものではないが、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CNおよび−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C〜C)アルコキシ、およびフルオロ(C〜C)アルキルを含む、炭素またはヘテロ原子(例えば、P、N、O、S、Si、もしくはB)を介してヘテロアリールまたはヘテロアレン核に結合した基から選択される。上記名称の基はそれぞれ、直接に、またはヘテロ原子(例えば、P、N、O、S、Si、もしくはB)を介して、ヘテロアレンまたはヘテロアリール核に結合し、ここで、R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、好ましくは、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから独立に選択される。本発明の化合物が1つ超のR基を含む場合、例えば、R基のそれぞれは、これらの基の1つ超が存在する場合にそれぞれR’、R’’、R’’’およびR’’’’基であるとして独立に選択される。
[0078] アリール、ヘテロアレンまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2つの置換基を、任意選択により、式−T−C(O)−(CRR’)−U−(式中、TおよびUは独立に−NR、−O−、−CRR’−または一重結合であり、qは0〜3の整数である)の置換基と置き換えることができる。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2つの置換基を、任意選択により、式−A−(CH−B−(式中、AおよびBは独立に−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−または一重結合であり、rは1〜4の整数である)の置換基と置き換えることができる。そのように形成された新しい環の一重結合の1つを、任意選択により二重結合と置き換えることができる。あるいは、アリール、ヘテロアレンまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2つの置換基を、任意選択により式−(CRR’)−X−(CR’’R’’’)−(式中、sおよびdは独立に0〜3の整数であり、Xは−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である)の置換基と置き換えることができる。置換基R、R’、R’’およびR’’’は、好ましくは、水素または置換もしくは非置換(C〜C)アルキルから独立に選択される。これらの用語は、例示的な「置換アリール」、「置換ヘテロアレン」および「置換ヘテロアリール」部分の成分である、例示的な「アリール基置換基」と考えられる基を包含する。
[0079] 本明細書で用いられる用語「アシル」は、カルボニル残基C(O)Rを含有する置換基を記述する。Rのための例示的な種としては、H、ハロゲン、置換または非置換アルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクロアルキルが挙げられる。
[0080] 本明細書で用いられる用語「融合環系」は、それぞれの環が別の環と共通する少なくとも2個の原子を有する、少なくとも2つの環を意味する。「融合環系」は、芳香環ならびに非芳香環を含んでもよい。「融合環系」の例は、ナフタレン、インドール、キノリン、クロメンなどである。
[0081] 本明細書で用いられる用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、リン(P)、硫黄(S)およびケイ素(Si)およびホウ素(B)、ならびにハロゲン化物(F、Cl、BrまたはI)を含む。
[0082] 記号「R」は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクロアルキル基から選択される置換基を表す一般的な省略形である。
III.実施形態
A.組成物
[0083] 様々な実施形態において、本発明は、市場にある市販のCT造影材料と容易に識別することができるか、またはかくして文献中にさらに記載された非ヨード腸管/非血管CT造影材料を提供する。これらのケイ素ポリマー系材料は、従来のヨード/バリウムCT造影材料および重金属に基づく造影材料と異なるkVp設定において顕著に異なる相対X線減弱を有する。新しいケイ素ポリマー系造影材料は、二重エネルギーCTにおいて従来のヨードおよびバリウムCT造影材料ならびに軟組織および水と容易に識別され、これらの薬剤は、二重エネルギー/スペクトルCT画像が得られた場合、市販の、または「自家製」の二重エネルギーCT(DECT)/スペクトルCTソフトウェアにより識別することができる。40keVなどの、低エネルギー仮想単色CT画像において、材料は「ポジティブ」造影シグナルを示し、100〜140keVなどの高エネルギー仮想単色CT画像においては、材料は「ネガティブ」造影シグナルを示し得る。かくして、本発明の薬剤により、1つまたは複数の以下の利益:
1)腸管または非血管構造を不透明化して、CTにおいてこれらの構造を不透明化された血管構造と識別することができること;
2)浸出した造影材料の起源を、起源が血管または非血管であるものとして容易に識別することができること;
3)血管および非血管構造のコントラストが強調されたCT画像を同時に/ほぼ同時に取得し、それによって、これらの構造のさらなる差異を完全に同時登録することができること;ならびに
4)腸管/非血管構造を、静脈内造影剤からのこれらの構造(腸管壁、膀胱壁、他の壁構造)の壁面強調の評価を阻害することなく、CTのための造影剤を用いて不透明化することができること
を有する広範囲の改善されたCT適用への初めてのアクセスが可能になる。
[0084] 様々な実施形態において、本発明は、油または他の水と混和しない液体、ゲル、ゴム、および樹脂の形態のケイ素系ポリマーに基づく腸管造影材料を提供する。様々な実施形態において、ケイ素含有油を、2.1超の80対140kVpでの非常に高い比のCT減弱を有するように選択することができ、これは、フッ素または重原子などの油中に組み込まれる他の異なる原子の相対数に応じて、2.7よりもさらに高くてもよいか、または1.38よりも低い比であってもよい。
[0085] 本発明の薬剤の利益は、薬剤の新しい特性の結果である。CTスキャンにおいては、従来のCT造影材料は全て同じに見える。それらは全て、存在する場合、X線減弱の増大を惹起し(ポジティブ造影)、文脈による場合を除いて識別できない。二重エネルギーCTを用いた場合、材料が80対140kVpなどでの異なる管電位で顕著に異なるCT減弱比を有する場合、それらを識別することができる。例えば、ヨードまたはバリウム系CT造影材料のCT減弱比は、1.7〜1.8の80:140kVpのCT数比を有する。コンピューターシミュレーションにおいて、リポーター原子として高(z=70〜82)または低(z<20)原子番号を有する原子を含む造影剤は1.35未満の80:140kVpのCT数比を有し得るため、そのような薬剤は理論的にはヨウ素系またはバリウム系(それぞれ、z=53および56)造影剤と相補的であることが示された。顕著には、水の80:140kVpのCT数比は、定義により1.0である。シミュレーションにおいて、ヨウ素系およびバリウム系造影材料は、周期表上の元素の最も高い理論的80:140kVpのCT数比を有していた。任意の薬剤がヨードまたはバリウム系薬剤よりも実質的に高い80:140kVpのCT数比を有し得ることは予測されなかった。図1。
[0086] かくして、in vitroでの実験により、1.8よりも実質的に高い、および2.7以上の80:140kVpのCT数比を有する材料が存在するか、またはこれを作出することができることが示されたのは実際に驚くべきことである。DECTを用いて撮像された混合溶液中、顕著に異なる80:140kVpのCT数比を有する2つの造影材料の濃度は、互いにより類似する80:140kVpのCT数比を有する造影剤よりもはるかにより正確に定量される。ヨウ素系およびバリウム系薬剤の濃度は、その80:140kVpのCT数比がほぼ同一であるため、高精度で定量することができない。本発明のポリシロキサン系造影材料は、軟組織、水、および文献中に以前に記載された任意の化合物のヨード/バリウム造影材料と比較して、80:140kVpのCT数比におけるはるかに最大の差異を提供する。換言すれば、これらの薬剤は、任意の他の実験的薬剤または従来通り入手可能な薬剤よりも、他の造影剤および軟組織と容易に識別可能である。また、これらのケイ素ポリマー系薬剤は、最小限の毒性であり、許容される毒性のものであることが公知である。
[0087] かくして、例示的な実施形態において、本発明は、対象の腹部に対して実施される医学的撮像手順の前またはそれと同時に、対象に経口送達するために製剤化される腸管造影媒体製剤を提供する。例示的な製剤は、少なくとも1つのケイ素系ポリマーのエマルジョンまたは懸濁液、水性成分、ならびに乳化剤および/または封入剤を含む腸管造影媒体を含む。乳化剤は、薬学的に許容される水性ビヒクルである水性成分を含む水中油エマルジョン中に少なくとも1つのケイ素系ポリマーを維持する。別の例示的な製剤は、水性成分を含まない少なくとも1つの液体ケイ素系ポリマーを含む腸管造影媒体を含む。
[0088] 例示的な実施形態において、本発明は、他の現在入手可能な造影材料と容易に識別される腸管造影媒体、およびその製剤を提供する。本発明は、腸管造影媒体製剤に対する参照により例示される。例示的な製剤は、少なくとも1つのケイ素系ポリマーのエマルジョンまたは懸濁液、水性成分、ならびに乳化剤および/または封入剤を含む腸管造影媒体を含む。乳化剤は、薬学的に許容される水性ビヒクルである水性成分を含む油水懸濁液またはエマルジョン中に少なくとも1つのケイ素系ポリマーを維持する(図7)。様々な実施形態においては、粒子を、腸内投与を必要とする対象への製剤のそのような投与と適合する材料でコーティングする。
[0089] 例示的な実施形態において、ケイ素系ポリマーは、線状ポリシロキサンにより代表される油である。本発明の組成物において有用な例示的なケイ素系ポリマーは、式:
Figure 0006943834
(式中、RおよびRは、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリール部分から独立に選択される)
を有する。様々な実施形態において、RおよびRの一方または両方は、置換または非置換アルキル、例えば、C〜C30アルキルである。ここで、下付き記号「x」は、含ケイ素ポリマーに関する重合度を指す。
[0090] 例示的な実施形態においては、RおよびRは、1〜30個の炭素を有する置換もしくは非置換一価炭化水素基、またはヒドロキシル基、またはシロキシル基から独立に選択される。非置換一価炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、およびオクタデシルなどのアルキル基;シクロペンチル、およびシクロヘキシルなどのシクロアルキル基;フェニルなどのアリール基;ならびに2−フェニルエチル、および2−フェニルプロピルなどのアラルキル基が挙げられる。置換一価炭化水素基は、炭化水素基を官能基で置換することにより得られるものである。官能基の例としては、ハロゲン、エポキシ、アミノ、メルカプト、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、脂肪酸エステル、カルボキシル、ヒドロキシル、アルコキシ、およびポリ(アルキレンオキシド)が挙げられる。それらのうち、メチル、エチル、プロピル、および/またはフェニルが好ましく、モルで50%以上のアルキル基が特に好ましい。
[0091] シロキサンの分子構造は、直鎖だけでなく、分枝構造をも有してもよく、好ましくは、直鎖構造を有する。本発明において有用な有機ポリシロキサンを、当業者には公知の方法によって調製することができる。特定例としては、限定されるものではないが、ポリ有機シロキサン、またはジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、メチル水素シリコーン、アルキルアラルキル改変シリコーン、フッ素改変シリコーン、アミノ改変シリコーン、アミノ改変ポリエーテル改変シリコーン、およびアミド改変シリコーンなどの「シリコーン」が挙げられる。
[0092] さらに有用なケイ素系ポリマーとしては、限定されるものではないが、高分枝ポリシロキサン、任意選択により1つまたは複数の型の置換基を含む2つ以上のポリシロキサンのコポリマー、任意選択により1つまたは複数の型の置換基を含む、ポリシロキサンと別のポリマーとの間のコポリマー、1つ超のポリシロキサンまたは1つのポリシロキサンと別のポリマー(例えば、シリコーンゴム、シリコーン樹脂など)とのブレンド、およびシェル硬化型ポリシロキサンが挙げられる。ここで、他のポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリカーボネート、ポリアルキレングリコール、およびポリウレタンが挙げられる。
[0093] 本発明において有用なケイ素系ポリマーの特定例としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ポリオキシエチレン/メチルポリシロキサンコポリマー、架橋メチルポリシロキサン、および架橋メチルフェニルポリシロキサンなどのポリシロキサン;ポリエーテル改変シリコーン、脂肪酸改変シリコーン、アクリル酸改変シリコーン、フッ素改変シリコーン、アミノ改変シリコーン、およびアルキル改変シリコーンなどの改変シリコーン;デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、およびメチルシクロポリシロキサンなどの環状シリコーンなどが挙げられる。
[0094] 1つまたは2つ以上のケイ素系ポリマーを一緒に用いることができる。
[0095] 例示的な化合物および例示的なそのエマルジョンは、図7に記載される。
[0096] ケイ素系ポリマーは、変化する粘度の油としての直鎖状のもの、またはゲルもしくは樹脂もしくはゴムとしての架橋されたものであってもよく、また、油状態から誘導されるエマルジョンの形態であってもよい。エマルジョンは、好ましくは、周囲温度またはそれより低い温度での保存に対して安定である。この文脈における「安定」とは、エマルジョンが、エマルジョンの製造と、撮像試験における対象へのその投与との間に異なる相としてその成分に有意に分離しないことを指す。
[0097] 任意の有用な界面活性剤または界面活性剤の組合せを、本発明の製剤中で用いることができる。本発明において有用な例示的な界面活性剤は、図10に記載される。様々な実施形態において、界面活性剤は、硬化させる、すなわち、架橋させて、製剤の別の成分、例えば、ケイ素系ポリマーの周囲に外殻を形成させる。図11。
[0098] ケイ素系ポリマーは、当業者には公知である。本質的に任意のケイ素系ポリマーは、本発明の方法において有用である。X線を吸収するか、または減弱させるその能力および顕著に高い80:140kVpのCT数比について選択される好ましいポリマーは、撮像実験にとって有用な用量で本質的に非毒性的であり、生理的条件に対して安定であり、撮像手順の後に対象により容易に排除される。
[0099] 本発明の製剤において有用な例示的なケイ素系ポリマーは、実質的に任意の分子量のものであってもよい。例えば、約0.4kd〜約1,000kd、例えば、約1.5kd〜約500kd、例えば、約2kd〜約100kd、例えば、約1.5kd〜約70kdの分子量の範囲内にあるポリマーが、本発明において有用である。
[00100] 様々な実施形態において、重合度(DP)は、約5〜約14000、またはより好ましくは、約20〜約1000である。
[00101] 本発明の製剤において有用な例示的なケイ素系ポリマーとしては、水の比重と類似する比重(例えば、約0.9〜約1.1)を有するケイ素系ポリマーが挙げられる。
[00102] 様々な実施形態において、ケイ素系ポリマーは、室温(25℃)で約0.5cSt〜約10,000,000cStの粘度を有する。様々な実施形態において、ケイ素系ポリマーは、室温で約5cSt〜約100,000cSt、例えば、約5cSt〜約200cStの粘度を有する。様々な実施形態において、ケイ素系ポリマーは、室温で約200cSt〜約600cStの粘度を有する。様々な実施形態において、ケイ素系ポリマーは、室温で約600cSt〜1200cStの粘度を有する。様々な実施形態において、ケイ素系ポリマーは、室温で約1200cSt〜約100,000cStの粘度を有する。
[00103] 本発明の例示的な腸管造影媒体製剤は、室温および/または体温で液体である1つまたは複数のケイ素系ポリマー(例えば、フルオロシリコーンポリマー、分枝状ケイ素系ポリマー、ケイ素系ポリマーゲル、およびケイ素系ポリマー固体)を含む。
[00104] 例示的な実施形態においては、造影媒体は、ポリマーが乳化または懸濁される薬学的に許容されるビヒクル中で製剤化される。
[00105] 様々な実施形態において、ポリマー、例えば、ケイ素系ポリマーは、前記製剤の重量の約10%(w/w%)〜100%(w/w)、好ましくは、50〜90%(w/w%)を占める。
[00106] 様々な実施形態において、ケイ素系ポリマーは硬化される。硬化型シリコーンは当業界で公知である。例示的な実施形態において、ケイ素系ポリマーは、付加硬化を受けることができるベース材料を含む。付加硬化の例示的な形態としては、低温硬化(すなわち、それらが室温で硬化する)および自己硬化系が挙げられる。様々な実施形態において、硬化は、有機水素ポリシロキサン(有機基、およびSi−H結合を有するポリシロキサン)の、多原子架橋基、一般に不飽和架橋器、および好ましくは(場合により置換された)アルケニル基、特に、ビニル基またはアリル基を含むポリシロキサンへの変換である、ヒドロシリル化により生じる触媒付加反応である。
[00107] 例示的な実施形態において、硬化型シリコーンは、硬化しないケイ素系ポリマーの周囲に外殻を形成する。
[00108] 様々な実施形態において、本発明の腸管造影媒体は、任意選択により水溶性ポリマーを含むコーティングを含む。当業者であれば認識されるように、本発明における適用にとって好適な水溶性ポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エステル)ポリマー、多糖、タンパク質、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニル)ポリマー、ポリ(エチレンイミン)ポリマー、ポリ(アクリル酸)ポリマー、ポリ(シロキサン)ポリマー、PAMAMデンドリマーおよび他のデンドリマー、およびその組合せ、ならびに本明細書で考察される水溶性ポリマーが挙げられる。
[00109] それらが硬化型ケイ素系ポリマー、水溶性ポリマーまたはその他であろうとなかろうと、本発明の造影媒体中に組み込まれるコーティングポリマーは、実質的に任意の分子量のものであってよい。例えば、約0.4kd〜約1,000kd、例えば、約1.5kd〜約500kd、例えば、約2kd〜約100kd、例えば、約3kd〜約70kdの分子量の範囲内のポリマーが、本発明において有用である。
[00110] 例示的な実施形態においては、コーティングは、約3kd未満、約2kd未満または約1.5kd未満の分子量を有する有機分子を含む。例示的な実施形態においては、コーティングは、有機酸(またはアルコール、アミン)およびその誘導体または類似体、オリゴ糖ならびにその組合せから選択されるメンバーである、約3kd未満、約2kd未満または約1.5kd未満の分子量を有する有機分子を含む。
[00111] 例示的な実施形態においては、コーティングはタンパク質、例えば、アルブミンである。
[00112] 本発明の製剤の懸濁相は、任意の有用なサイズの液滴または粒子を含んでもよい。液滴および/または粒子のための例示的な特定のサイズは、それぞれ単一の直径値および全評価項目にわたってより大きい範囲内のそれぞれの直径範囲を包含する、約1nm〜約500ミクロン、例えば、1nm〜約500ミクロン、例えば、1ミクロン〜約100ミクロンを含む;様々な実施形態においては、液滴および/または粒子は約50ミクロン超である。さらなる有用な液滴および/または粒子のサイズとしては、例えば、約5ミクロン〜約50ミクロン、例えば、約30ミクロン〜約50ミクロンが挙げられる。エマルジョン粒子のサイズを、界面活性剤/油のモル比、乳化時の温度、乳化工程の期間および強度を変化させることにより調整することができる。
[00113] エマルジョンはポリシロキサン油から誘導される主に標的とされる製剤であるが、本発明の製剤は任意の型の懸濁液、コロイド、エマルジョン、または溶液、例えば、水性溶液の形態を取ってもよい。本発明の製剤がビヒクルとの混合物である場合、製剤は懸濁液、コロイド、エマルジョン、ヒドロゲルおよびその組合せから選択される形態にある。本発明の製剤は、単一の腸管造影媒体または2つ以上の腸管造影媒体を含んでもよい。媒体は、任意の有用な濃度の尺度に従って類似する濃度で存在してもよい。例示的な実施形態は、造影媒体中に異なる濃度の1つまたは複数の元素を含む。かくして、様々な実施形態において、前記製剤の重量の約10%(w/w、重量パーセントとして表される、例えば、約100グラムの全造影剤製剤中に含有される約10グラムの造影剤化合物)〜100%(w/w)が、前記液滴および/または粒子である。例示的な実施形態においては、製剤は、液滴および/または粒子の約50%(w/w)〜約90%(w/w)を含む。
[00114] 例示的な実施形態においては、本発明は、少なくとも約30%、例えば、少なくとも約50%の前記ケイ素系ポリマーを含む製剤を提供する。
[00115] 本発明の製剤は、薬学的に許容されるビヒクル中に懸濁された本発明の液滴および/または粒子の集団を含む。ビヒクルは、他の任意の有用な成分を含む。例えば、いくつかの実施形態においては、ビヒクルは水性媒体を含み、それは製剤に第2の特性を付与する、例えば、腸管中での前記製剤の脱水を遅延させる、香味を提供する、懸濁液を安定化させる、懸濁液の流動性を増強する、懸濁液を濃縮する、pH緩衝を提供する、およびその組合せを提供するための添加剤をさらに含む。
[00116] 本発明の製剤は、分子的かつ機能的に異なり、両特徴によって認識され得る。例えば、一実施形態においては、腸管造影媒体は、約2.5以上の80:140kVpのCT数比値を有する。この比に関して例示的な有用な値を有する製剤としては、約2.5〜約2.9、例えば、約2.5〜約2.8、例えば、約2.6〜約2.9の80:140kVpのCT数比を有するものが挙げられる。当業者であれば、この比の値は、本発明の任意の造影媒体について容易に決定できる。
[00117] 様々な実施形態において、本発明の製剤は、二重エネルギーまたはスペクトルCTスキャナー上で撮像される。様々な実施形態においては、本発明の製剤を撮像するために用いられる二重エネルギーまたはスペクトルCTスキャナーは、低および高kVp撮像のための異なるフィルター、例えば、金属フィルター、例えば、低kVp撮像のためのアルミニウムまたは銅フィルターおよび高kVp撮像のためのスズフィルターを用いる。そのような選択的なフィルターの使用により、低および高kVpのX線撮像ビームのより高いスペクトル分離が可能になり、従来のヨードまたはバリウム造影材料ならびに水および軟組織からの本発明の製剤の優れた物質弁別分離が可能になる。
[00118] 例示的な実施形態において、本発明は、腸管造影媒体が約2.1超の80:140kVpのCT数比を有する、腸管造影媒体製剤を提供する。例示的な実施形態において、本発明は、腸管造影媒体が約1.5〜2.1の80:140kVpのCT数比を有する、腸管造影媒体製剤を提供する。例示的な実施形態において、本発明は、腸管造影媒体が約1.5未満の80:140kVpのCT数比を有する、腸管造影媒体製剤を提供する。
[00119] 例示的な実施形態において、本発明の製剤は、第1の造影媒体とは異なる第2の造影媒体を含む。第2の造影媒体は、薬学的に許容されるビヒクル中で可溶性または不溶性であってもよい。第2の造影媒体が粒子状の薬剤である場合、第2の造影媒体は、粒子コア中に異なる原子を含んでもよく、異なるコーティングは、第1の造影媒体と比較して、異なる直径などのものである。第2の造影媒体はまた、ヨード系、Ba系、Gd系、Bi系、W系、Mg系、Ta系、Yb系、または他のSi系造影媒体のうちの1つまたは複数であってもよい。
[00120] 例示的な実施形態において、第2の造影媒体成分は、限定されるものではないが、Lipiodolなどの例と類似するヨード油である。
[00121] 例示的な実施形態において、第2の造影媒体は、Mg系媒体、例えば、Mg(OH)である。
[00122] 単回用量投与のために設計された製剤も本発明の範囲内にある。これらの単位用量形式は、それらが投与される対象中で検出可能なコントラストを提供するのに十分な量の本発明の製剤を含有する。例示的な実施形態において、単位用量製剤は、診断的に意味のある様式で、単位用量が投与された対象の診断画像を強調するための十分な造影媒体を保持する容器を含む。この容器は、バイアル、輸液バッグまたは他の任意の適切な容器であってもよい。造影媒体は、予め製剤化された液体、濃縮液、または粉末の形態であってもよい。例示的な実施形態においては、対象の体重は約70kgである。例示的な実施形態において、画像は、対象の腹部、対象の骨盤、またはその組合せを介して得られる。
[00123] 様々な実施形態においては、単位用量製剤は、ヒト成人用量あたり約800〜約1200mLの造影剤を含み、約300〜約600mLのサイズなどのより小さい容器に分割することができる。例示的な実施形態において、腸管造影媒体製剤は、約50〜約100mLの単位用量製剤である。例示的な実施形態においては、腸管造影媒体製剤は、約100mL〜約800mLの単位用量製剤である。
[00124] 本明細書に記載の製剤はいずれも、任意の様々な経路による投与のために製剤化および使用することができる。例示的な投与経路としては、経口、直腸、膣内、血管内、髄腔内、膀胱内、カテーテル内などが挙げられる。
[00125] 高濃度の低原子番号材料は、ポジティブ造影材料としてのCTにおける使用について記載されていない。例示的な実施形態においては、製剤中の低Z造影材料は、高濃度であり、X線減弱性元素の原子(「キー原子」または「リポーター原子」)を単位として、例えば、約100〜約900mg/g、例えば、約150〜約500mg/g、例えば、約200〜約300mg/gである。例示的な実施形態においては、腸管造影媒体の低原子番号材料は、製剤の約30%(w/w)〜100%(w/w)、例えば、約50%(w/w)〜約90%(w/w)を占める。本明細書における濃度は、X線減弱(吸収/散乱)の大部分の共有に寄与する造影材料中のキー元素のものを指すが、通常は分子内の最も高い原子番号を有する元素のものである必要はない。X線減弱は、X線スペクトルに関する個々の原子のX線減弱係数と、撮像するX線スペクトル中のX線エネルギーの範囲にわたって合計された造影剤製剤中の原子の濃度との積の関数である。
[00126] 様々な実施形態において、本発明は、単位用量製剤である造影媒体製剤を提供し、それはケイ素系ポリマー約40g超を含有する。例示的な実施形態においては、腸管造影媒体製剤は、単位用量製剤であり、それは、ケイ素系ポリマー約300g超を含有する。
[00127] 低Z材料は、医療用CTに用いられるX線をヨウ素、バリウム、ガドリニウム、またはその他の原子などの高Z材料ほどには減弱しないので、CTにおいて高Z材料と同様に強いX線減弱を得るためには、より高いモル濃度の低Z材料が必要である。かくして、例示的な実施形態において、本発明は、既知の腸管造影媒体製剤中の高Z元素の濃度よりも高い濃度の低Z元素を有する腸管造影剤の製剤を提供する。
[00128] 撮像のための造影材料は、広範囲の患者および疾患状態に対して極めて安全でなければならない。患者が疾患を有していても比較的健康であっても、傷害および毒性のリスクが少ない撮像の研究から、全ての患者が大きな恩恵を受けることになる。例示的な実施形態において、本発明は良好な安全マージンを与え、従来のヨードおよびバリウム造影剤のLD50に匹敵する、LD50が約25g/kg超の腸管造影媒体を提供する。
[00129] 様々な実施形態において、本発明の造影媒体および好ましくはその製剤は、広いpH範囲(例えば、約1.5〜約9)にわたって化学的安定性を示す。胃は腸の内容物を1.5という低いpHに曝し、胆汁および小腸は腸の内容物を9までの高いpHに曝すことがある。物理化学的安定性は安全性の重要な要素であり、反応または有害事象のリスクを最小化する助けになる。消化管の中で材料の過剰な溶解もしくは分解が起こり、または分解生成物に毒性がある可能性があれば、有害反応が起こり得る。
[00130] 様々な実施形態において、本発明は、対象領域内でのCTにおける可視化のために十分に高いままであるケイ素系ポリマーの濃度を用いて撮像実験を完了することができる十分に長いt1/2を有する造影媒体および造影媒体の製剤を提供する。様々な実施形態において、本発明は、投与されたケイ素系ポリマーエマルジョン製剤の本質的に全てが、対象の身体によって脱安定化または変化される前に対象の身体から除去されるのに合理的に短いものでもあるin vivoでの滞留時間を有する造影媒体および製剤を提供する。様々な実施形態において、含ケイ素ポリマーは、優れた生体適合性を有する生物学的に不活性な材料である。
[00131] 様々な実施形態において、製剤の腸内通過時間は、正常な対象において12時間未満である。例示的な実施形態において、腸内通過時間を早めるために、製剤にはソルビトール、ポリエチレングリコールまたはその両方が含まれる。
[00132] 例示的な実施形態において、本発明は、生物学的に不活性であり、投与されたケイ素系ポリマーの大部分が、対象の身体によって変化される前に消化管により除去され、溶解したまたは変化した部分が尿道から排泄されるようにゆっくりと水中に溶解する造影媒体を提供する。
[00133] 例示的な実施形態において、本発明は、ケイ素系ポリマーコアを有する液滴または粒子を有する腸管造影媒体を提供する。様々な実施形態において、コアはコーティングされる。コアを、本明細書で考察されるポリマーまたは小分子でコーティングすることができる。好ましい実施形態において、基礎となるコアは、本質的には非毒性的である。
[00134] 例示的な実施形態において、本発明の製剤には現行の均一な分散液/製剤に伴うリスクがない。例えば、現行のバリウム系製剤を用いる現行の方法においては、不均一な分散液は、異常な知見と見誤る、または異常な知見を覆い隠す可能性がある撮像人工物を惹起することがある。バリウム造影剤は、凝集するか、または腸の粘膜をコーティングする傾向があり、これらはCTにおいて撮像人工物を惹起することがある。
[00135] 本発明の医薬製剤は、任意選択により、賦形剤ならびに1つまたは複数の甘味剤、香味剤および/または苦いもしくは不愉快な風味を遮蔽する追加的矯味剤、懸濁化剤、流動促進剤、抗酸化剤、保存剤およびその他の従来の賦形剤などのその他の成分を必要に応じて含んでよい。
[00136] 本発明の懸濁液は、任意選択により、1つまたは複数の抗酸化剤、必要に応じて、矯味剤、甘味剤、流動促進剤、懸濁化剤、および保存剤を含んでよい。
[00137] 認識されるように、上記の任意選択の成分を、本発明の粉末製剤、および/または本発明の経口エマルジョンもしくは懸濁液に添加することができる。
[00138] 本明細書における使用に好適な抗酸化剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、システイン塩酸塩、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、EDTAなどの本目的に適した当業界で公知の任意の従来の薬剤が挙げられ、メタ重亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸ナトリウムが好ましい。
[00139] 抗酸化剤は、当業者には明らかなように製剤を酸化から保護する量で使用できる。
[00140] 本発明の製剤における使用のための甘味剤は、本目的のため当業界で公知の任意の従来の薬剤であってよく、スクロース、フルクトース、デキストロース、キシリトール、ソルビトール、またはマニトールなどの天然の甘味剤、ならびにアスパルテーム、アセサルフェーム、スクラロース(sucrolose)などの人工甘味剤の任意の適合する甘味剤の群から選択され得る。キシリトールおよびアスパルテームが好ましい甘味剤である。
[00141] また、風味をさらに改善するために香味剤および香味改良剤または矯味剤を用いてもよく、これらは本目的のため当業界で公知の任意の従来の薬剤であってよく、限定されるものではないが、オレンジ香味、アプリコット香味、チョコレート香味、メープル香味、マシュマロ香味、バニラ香味、リコリス香味、オレンジバニラ香味、クレームドミント香味、ミント香味、チェリー香味、チェリーバニラ香味、ベリーミックス香味、パッションフルーツ香味、マンダリンオレンジ香味、バブルガム香味、トロピカルパンチ香味、ブドウのジュースコンパウンド、ブドウ香味、人工ブドウ香味、ブドウバブルガム香味、ツッティフルッティ香味、およびそれらの組合せが挙げられる。
[00142] 懸濁化剤は、本目的のため当業界で公知の任意の都合のよい薬剤であってよく、キサンタンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギネート、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムから選択することができ、カルボキシメチルセルロースナトリウム(「NaCMC」)が好ましい。懸濁化剤は、粉末製剤の約0〜約20重量%、および経口懸濁液の約0〜約10重量%の範囲の量で用いることができる。
[00143] 保存剤は、本目的のため当業界で公知の任意の都合のよい薬剤であってよく、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムなどの、薬物活性と適合する任意の化合物からなる群から選択することができ、メチルパラベンが好ましい。
[00144] 本発明はまた、臨床および/または研究の設定における使用のためのキットを提供する。例示的なキットは、(a)本発明の腸管造影媒体を含有する第1のバイアル;(b)乳化剤を含有する第2のバイアル;ならびに(c)エマルジョンとして腸管造影媒体を使用する、および/または処方するための指示書を含む。様々な実施形態において、キットは、第2の造影媒体を含有する別のバイアル;ならびに臨床または研究の設定において第1および第2の腸管造影媒体を投与する、および/または処方するための指示書をさらに含む。
[00145] 第2のバイアルに含まれる造影媒体は、薬学的に許容されるビヒクルに可溶または不溶であり得る。第2の造影媒体が粒子状薬剤である場合、第2の造影媒体は第1の造影媒体に対して、粒子のコアに異なる原子を含み、異なるコーティングを有し、異なる直径のものなどであり得る。第2の造影媒体は、ヨード系、Ba系、Gd系、W系、Bi系またはTa系造影媒体の1つまたは複数であってもよい。
[00146] 様々な実施形態において、造影媒体は、シロキサンポリマーの活性化された粒子を含む。本発明のコーティングされた造影媒体を形成させるのに有用な活性化された粒子は、本明細書で考察される。その考察は、例示の明確性のため、活性化された後、改変基(例えば、水溶性ポリマー)で改変された(「コーティングされた」)粒子の調製に着目する。特に、考察は、ポリ(エチレングリコール)部分を含む改変された糖の調製に着目する。当業者であれば、本明細書に記載の方法が活性化された粒子およびそのポリマーコンジュゲートの調製に広く適用可能であり、したがって、この考察が本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではないことを認識されよう。
[00147] 一般に、粒子および改変基は反応性基の使用によって一緒に連結され、これらは典型的には連結プロセスによって新規な有機官能基または非反応性化学種に転換される。本発明を実施するために有用な反応性基および反応の種類は、一般にバイオコンジュゲート化学の技術分野において周知のものである。粒子を活性化するために利用可能な現在好ましい反応の種類は、比較的穏和な条件下で進行するものである。これらは、限定されるものではないが、求核置換(例えば、アミンおよびアルコールとアシルハライド、活性エステルとの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)、ならびに炭素−炭素および炭素−ヘテロ原子多重結合への付加(例えば、Michael反応、Diels-Alder付加)を含む。これらの、およびその他の有用な反応は、例えば、SmithおよびMarch、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY、第5版、John Wiley & Sons、New York、2001;Hermanson、BIOCONJUGATE TECHNIQUES、Academic Press、San Diego、1996;およびFeeneyら、MODIFICATION OF PROTEINS;Advances in Chemistry Series、198巻、American Chemical Society、Washington,D.C.、1982で考察されている。
[00148] 活性化された粒子または改変基から吊り下がった有用な反応性官能基としては、限定されるものではないが、
(a)カルボキシル基およびその様々な誘導体、例えば、限定されるものではないが、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、酸ハライド、アシルイミダゾール、チオエステル、p−ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニルおよび芳香族エステル;
(b)例えば、エステル、エーテル、アルデヒドなどに転換できるヒドロキシル基;
(c)ハライドが後で例えば、アミン、カルボキシレートアニオン、チオールアニオン、カルバニオン、またはアルコキシドイオンなどの求核基に置き換えられ、それによりハロゲン原子の官能基における新たな基の共有結合をもたらすことができる、ハロアルキル基;
(d)例えば、マレイミド基などの、Diels−Alder反応に関与することができる、ジエノフィル基;
(e)例えば、イミン、ヒドラゾン、セミカルバゾンもしくはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成によって、またはGrignard付加もしくはアルキルリチウム付加などの機構によって、その後の誘導体化が可能である、アルデヒドまたはケトン基;
(f)引き続いてアミンと反応させ、例えば、スルホンアミドを形成するためのスルホニルハライド基;
(g)例えば、ジスルフィドに転換し、またはアルキルおよびアシルハライドと反応させることができるチオール基;
(h)例えば、アシル化、アルキル化または酸化することができる、アミンまたはスルフヒドリル基;
(i)例えば、環化付加、アシル化、Michael付加などを受けることができる、アルケン;ならびに
(j)例えば、アミンおよびヒドロキシル化合物と反応させることができる、エポキシド;
が挙げられる。
[00149] 反応性官能基は、保護基の存在によって反応に関与することから保護することができる。特定の官能基をどのように保護して、これが選択された反応条件の組に干渉しないようにするかについて、当業者は理解している。有用な保護基の例については、例えば、Greeneら、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、John Wiley & Sons、New York、1991を参照されたい。
[00150] 改変され、コーティングされた粒子への例示的な経路を、図9に示す。
[00151] 1つまたは複数の改変基を粒子に結合させるためのポリ(エチレングリコール)(PEG)の反応性誘導体(またはその他のポリマーもしくはコーティング)の使用は、本発明の範囲内にある。本発明は、反応性ポリ(エチレングリコール)アナログの同一性によって限定されない。ポリ(エチレングリコール)の多くの活性化誘導体が市販され、また文献にある。本発明において有用な基質を調製するための適切な活性化PEG誘導体を選択し、必要に応じて合成することは当業者の能力の十分な範囲内にある。Abuchowskiら、Cancer Biochem.Biophys.、7:175−186(1984);Abuchowskiら、J. Biol.Chem.、252:3582−3586(1977);Jacksonら、Anal.Biochem.、165:114−127(1987);Koideら、Biochem Biophys.Res.Commun.、111:659−667(1983))、トレシレート(Nilssonら、Methods Enzymol., 104: 56-69(1984); Delgadoら、Biotechnol. Appl. Biochem., 12: 119-128(1990))、N−ヒドロキシスクシンイミド由来活性エステル(Buckmannら、Makromol. Chem., 182: 1379-1384(1981); Joppichら、Makromol. Chem., 180: 1381-1384(1979); Abuchowskiら、Cancer Biochem. Biophys., 7: 175-186(1984); Katreら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 84: 1487-1491(1987); Kitamuraら、Cancer Res., 51: 4310-4315(1991); Boccuら、Z. Naturforsch., 38C: 94-99(1983)、カーボネート(Zalipsky ら、POLY(ETHYLENE GLYCOL)CHEMISTRY: BIOTECHNICAL AND BIOMEDICAL APPLICATIONS, Harris編、Plenum Press, New York, 1992, 347-370頁; Zalipskyら、Biotechnol. Appl. Biochem., 15: 100-114(1992); Veroneseら、Appl. Biochem. Biotech., 11: 141-152(1985))、イミダゾリルフォーメート(Beauchampら、Anal. Biochem., 131: 25-33(1983); Bergerら、Blood, 71: 1641-1647(1988))、4−ジチオピリジン(Woghirenら、Bioconjugate Chem., 4: 314-318(1993))、イソシアネート(Byunら、ASAIO Journal, M649-M-653(1992))およびエポキシド(Noishikiらに発行された米国特許第4,806,595号(1989)を参照されたい。その他の連結基としては、アミノ基と活性化PEGとの間のウレタン結合が挙げられる。Veroneseら、Appl.Biochem.Biotechnol.、11:141−152(1985)を参照されたい。
[00152] 本発明の粒子コーティングは、1つまたは複数のポリマーを含んでもよい。ポリマーによる薬物送達システムは、当業界で公知である。例えば、Dunnら編、POLYMERIC DRUGS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS、ACS Symposium Series、469巻、American Chemical Society、Washington,D.C.1991を参照されたい。当業者であれば、実質的に任意の公知の水不溶性ポリマーが本発明の造影媒体に適用可能であることを認識されよう。
[00153] 代表的なポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリホスファジン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、プルロニクスおよびポリビニルフェノールならびにそれらのコポリマーが挙げられる。
[00154] 本発明の造影媒体において有用な合成的に改変される天然ポリマーとしては、限定されるものではないが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、およびニトロセルロースが挙げられる。合成的に改変される天然ポリマーの幅広い種類の中の好ましいメンバーとしては、限定されるものではないが、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、セルローススルフェートナトリウム塩、ならびにアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのポリマーならびにアルギン酸が挙げられる。
[00155] 本明細書で考察されたこれらの、およびその他のポリマーは、Sigma Chemical Co.(St. Louis, MO.)、Polysciences(Warrenton, PA.)、Aldrich(Milwaukee, WI.)、Fluka(Ronkonkoma, NY)およびBioRad(Richmond, CA)などの販売業者から容易に入手でき、またはその他にこれらの業者から入手したモノマーから標準的な技術を用いて合成することができる。
[00156] 様々な実施形態において、粒子または液滴は、1つまたは複数の生分解性または生体吸収性ポリマーによってコーティングされる。本発明の粒子または液滴において有用な代表的な生分解性ポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリラクチド、ポリグリコリドおよびそれらのコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、それらのブレンドおよびコポリマーが挙げられる。
[00157] 本発明の目的のため、用語「生体吸収性分子」は、身体によって代謝され、または分解されて、吸収され、および/または正常な排泄経路を通って除去されることが可能な領域を含む。そのような代謝生成物または分解生成物は、好ましくは身体にとって実質的に非毒性的である。
[00158] 生体吸収性領域は、コポリマー組成物が全体として水溶性にならない限り、疎水性または親水性であってよい。かくして、生体吸収性領域は、ポリマーが全体として水不溶性のままであるということを優先して選択される。したがって、相対的な特性、すなわち、含まれる官能基の種類、および生体吸収性領域と親水性領域の相対的な割合は、有用な生体吸収性組成物が水不溶性のままであることを保証するように選択される。
[00159] 例示的な吸収性ポリマーとしては、例えば、ポリ(α−ヒドロキシ−カルボン酸)/ポリ(オキシアルキレン)の合成的に製造された吸収性ブロックコポリマーが挙げられる(Cohnら,米国特許第4,826,945号参照)。これらのコポリマーは非架橋で水溶性であり、したがって、身体は分解したブロックコポリマー組成物を排出することができる。Younesら、J Biomed.Mater.Res.21:1301−1316(1987);およびCohnら、J Biomed.Mater.Res.22:993−1009(1988)を参照されたい。
[00160] 現在のところ好ましい生体吸収性ポリマーとしては、ポリ(エステル)、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミド)、ポリ(エステル−アミド)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ(チオエステル)、多糖およびそれらの混合物から選択される1つまたは複数の成分が挙げられる。さらにより好ましくは、生体吸収性ポリマーは、ポリ(ヒドロキシ)酸成分を含む。ポリ(ヒドロキシ)酸の中で、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロン酸、ポリ酪酸、ポリ吉草酸ならびにそれらのコポリマーおよび混合物が好ましい。
[00161] 様々な実施形態においては、腸管造影媒体製剤は、口腔ケア製剤中に見出されるケイ素系ポリマーの量を含有しない、および/または口腔ケア製剤として有用なものではない。様々な実施形態においては、腸管造影媒体製剤は、鼓腸を防止するための製剤中に見出されるケイ素系ポリマーの量を含有しない、および/または鼓腸を防止するための製剤として有用なものではない。様々な実施形態においては、製剤は、口腔ケアまたは鼓腸の防止のための製剤中に含まれるものよりも少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%または少なくとも100%多いケイ素系ポリマーを含む。様々な実施形態においては、ケイ素系ポリマーは、固体粒子上に吸着されない。
B.方法
[00162] 本発明はまた、本発明の製剤を用いて、本発明の製剤が投与される対象から臨床的に意義のあるCT画像を獲得し、強調する方法を提供する。かくして、例示的な実施形態において、本発明はコントラストが強調された対象のCT投影データを獲得した後、CT画像に再構成する方法を提供する。この方法は、前記本発明の腸管造影媒体製剤の診断的有効量を対象に投与する工程と、対象のCT投影データを獲得した後、CT画像に再構成する工程とを含む。様々な実施形態において、腸管造影媒体は、DECT撮像実験における前記画像で2.0超の80:140kVpのCT数比を有する。
[00163] 例示的な実施形態において、本発明は、本発明の造影媒体がその中に分布する対象の領域を通してコントラストが強調された対象のCT画像を提供する。
[00164] 本発明の画像、および本発明の方法によって獲得された画像は、本発明の造影媒体を用いる。画像は対象の身体の任意の部分を通して取得される。例示的な方法において、画像は対象の腹部および/または骨盤を介するものである。
[00165] 本発明はまた、CT投影データ、CT画像、またはその両方を後処理して、本発明の造影媒体によって生成されたCTシグナルを、軟組織、体液、または別の造影媒体によって生成されたCTシグナルからデジタル分離する方法を提供する。様々な実施形態において、本発明の造影材料によって生成されたCTシグナルを、別の造影媒体または体組織によって生成されたCTシグナルから分離するために、2物質弁別、3物質弁別もしくは多物質弁別、または仮想単色画像およびそれらの組合せが用いられる。本発明の例示的な実施形態において、物質弁別画像の後処理によって、本発明の造影材料からのCTシグナルが強調されるか、または他の造影材料もしくは体組織によって生成されたCTシグナルから差し引かれた新たなCT画像が生成される。本発明の例示的な実施形態において、物質弁別画像の後処理によって、本発明の造影剤以外の造影材料からのCTシグナルが強調されるか、または本発明の造影材料もしくは体組織によって生成されたCTシグナルから差し引かれた新たなCT画像が生成される。
[00166] 本発明の造影媒体および製剤の利点の1つは、任意の所望の経路を通る1つまたは複数のさらなる造影剤の投与との適合性である。様々な実施形態において、本方法は腸管造影媒体と異なる第2の造影媒体を対象に投与する工程をさらに含む。様々な実施形態において、第2の造影媒体は血管内投与、腸管内投与、肛門投与ならびに天然である(例えば、膣、膀胱)、傷害により惹起された(例えば、瘻孔、膿瘍、洞管)、外科的に作出された(例えば、人工膀胱、回腸嚢)、または人工である(例えば、カテーテル、リザバー、チューブ、もしくはポンプなどの医療用デバイス)、様々な体腔への投与から選択される経路を通して投与される。複数の造影材料を、異なる体内コンパートメントに投与することができる。例示的な実施形態において、第2の造影媒体はヨウ素系またはバリウム系媒体であり、第3の造影媒体はタンタル、ビスマス、イットリウム、ガドリニウム、またはタングステン系造影媒体である。
[00167] 例示的な実施形態において、第1および第2の造影剤は、第1および第2の造影媒体の両方が分布する領域を包含する画像セットにおいて互いに識別可能である。例示的な第2の造影媒体はヨード造影媒体である。
[00168] 第2の造影媒体は薬学的に許容されるビヒクルに可溶または不溶であってよい。第2の造影媒体が粒子状薬剤である場合、第2の造影媒体は第1の造影剤に対して粒子のコアに異なる原子を含み、異なるコーティングを有し、異なる直径のものであってよい。第2の造影媒体はヨード系、Ba系、Gd系、W系、Si系、Mg系、Yb系、Bi系、またはTa系造影媒体の1つまたは複数であってもよい。
[00169] 例示的な実施形態において、第2の造影媒体はヨウ素系またはバリウム系媒体である。
[00170] 例示的な実施形態において、第2の造影媒体はシリカ系媒体である。
[00171] 以下の実施例は、本発明の例示的な実施形態を説明するために提供され、本発明の範囲を定義も限定もするものではない。
実施例1
[00172] (方法1)1パーセントの界面活性剤Tween 20(Sigma-Aldrich)水性溶液を、蒸留水4.95g中にTween−20 50mgを溶解することによって調製した。この透明な溶液(50mlの遠心管中)に、23Gの針と結合した20mlの注射筒を通して、穏やかにボルテックスしながら、ケイ素系ポリマー(25℃で50cSt、Fisher Scientific)15.0gを滴下添加した。添加の完了後、混合物を室温で3分間、激しくボルテックスし、0.25wt%のTween 20界面活性剤を含む75wt%水中油(o/w)型エマルジョンを得た(注記:非減圧調製条件では小さい気泡は避けられない)。このエマルジョンを測定して、Malvern 3000 ZetaSizer上で60μmとして平均粒径を得た。このエマルジョンを、少なくとも3ヶ月にわたって相を分離させることなく室温で安定に保存することができる。CTスキャンはその均一性を証明した(小さい気泡の存在を除く)。
[00173] (方法2)1パーセントの界面活性剤Tween−20(Sigma-Aldrich)水性溶液を、蒸留水4.95g中にTween 20 50mgを溶解することにより調製した。この透明な溶液(50mlの丸底フラスコ中)に、激しく撹拌しながらケイ素系ポリマー15.0g(50cSt、Fisher Scientific)をゆっくりと添加した。添加の完了後、混合物を室温で5分間、プローブソニケータ/ホモジェナイザを用いて超音波処理して、75wt%水中油(o/w)型エマルジョンを得た。
[00174] 注目すべきことに、同じ製剤のより大きい実験室規模の調製(1〜2リットルサイズ)を、室温で5〜30min、高速機械撹拌機(例えば、2000cpmまで)を用いて水性相(希釈したTween-20水性溶液)と油相(シリコーン油)とを激しく混合することによって、容易かつ迅速に行うことができる。
[00175] 同様に、様々な粘度(Sigma Aldrichからの350cStおよび1000cSt、Dow Corningからの100000cSt)を有するケイ素系ポリマーを用いて、エマルジョンを調製する。方法1が小規模調製の場合に選択される場合、より粘度の高い油を、より大きい針(例えば、19Gの針)を通して添加する。
実施例2
[00176] 実施例1の手順を、Triton X−100を用いて行った。
実施例3
[00177] 実施例1の手順を、Triton X−100およびフッ素化ケイ素系ポリマーFS−1265(粘度350cSt、Dow Corning)を用いて行った。
実施例4
[00178] ある範囲のケイ素系ポリマーを、CTファントム中に組み込み、撮像した。ケイ素系ポリマーは、非常に高く、一貫した80:140kVpのCT数比および100:140kVpのCT数比を示した(図7)。
実施例5
[00179] ラットにおけるin vivoでの撮像実験により、本発明のケイ素系ポリマーに基づく造影剤が、単一のDECTスキャンにおいて同時的なポジティブ、ニュートラルおよびネガティブな腸管造影を提供することが示された。図3は、40keVの仮想単色画像(左の画像、矢頭)上の明るいシグナルとしての、70keVの仮想単色画像(中央の画像、矢頭)上の水と類似するニュートラルシグナルとしての、および90keVの仮想単色画像(右の画像、矢印)上の脂肪と類似するネガティブシグナルとしての、本発明のケイ素系ポリマーに基づく造影剤を示す。3つ全ての画像上で、血管内ヨード造影材料(矢印)は、明るいシグナルのままである。これらの画像をCTスキャン投影データを用いて生成し、これを2物質弁別のために用いて仮想単色40、70および90keVのCT画像を再構成させた。
[00180] ウサギにおけるin vivoでの撮像実験により、本発明のケイ素系ポリマーに基づく造影剤が、単一のDECTスキャンにおいて同時的なポジティブ、およびニュートラルからネガティブな腸管造影を提供することが示された。図4は、40keVの仮想単色画像(左の画像、矢印)上の明るいシグナルとしての、および90keVの仮想単色画像(右の画像、矢印)上のニュートラルからネガティブシグナルとしての、本発明のケイ素系ポリマーに基づく造影剤を示す。両画像上で、血管内ヨード造影材料(矢頭)は、明るいシグナルのままである。これらの画像をCTスキャン投影データを用いて生成し、これを2物質弁別のために用いて仮想単色40および90keVのCT画像を再構成させた。
[00181] ウサギにおけるin vivoでの撮像実験により、本発明のケイ素系ポリマーに基づく造影剤が、単一のDECTスキャンにおいて同時的なポジティブ、ニュートラルおよびネガティブな腸管造影を提供することが示された。図5は、40keVの仮想単色画像(左の画像、矢印)上の明るいシグナルとしての、70keVの仮想単色画像(中央の画像、矢印)上の水と類似するニュートラルシグナルとしての、および140keVの仮想単色画像(右の画像、矢印)上の脂肪と類似するネガティブシグナルとしての、本発明のケイ素系ポリマーに基づく造影剤を示す。腸管壁はこれらの異なる仮想単色画像にわたってシグナルを実質的に変化させない。これらの画像をCTスキャン投影データを用いて生成し、これを2物質弁別のために用いて仮想単色40、70、および140keVのCT画像を再構成させた。
[00182] ウサギにおけるin vivoでの撮像実験により、本発明のケイ素系ポリマー系造影剤を、単一のDECTスキャン上で第2の血管内造影材料から単離することができることが示された。図6は、40keVの仮想単色画像上の腸管腔内の明るいシグナルとしての本発明のケイ素系ポリマーに基づく造影剤(左の画像、矢印)、および血管中の明るいシグナルとしてのヨード血管内造影剤(左画像、矢頭)を示す。3物質弁別画像は、ヨード血管内造影材料シグナルの差し引き後のケイ素系造影材料(右の画像)、およびケイ素系腸管造影材料の差し引き後のヨード造影材料(中央の画像)を示す。この例示のため、軟組織のシグナルをヨウ素およびシリコーン油の画像に付加し戻した。本実施例における3物質弁別を、3物質弁別のために80および140kVpのCT画像を用いるより良好に公開された方法よりも、40および140keVの仮想単色CT画像上で実施したところ、本発明の造影材料の多用途性が示される。
[00183] 様々な例示的な実施形態および実施例を参照して本発明を説明してきた。当業者には明白なように、本発明のその他の実施形態および変形は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって考案することができる。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような実施形態および等価の変形を含むと解釈すべきである。
[00184] 本明細書に引用されたそれぞれの、および全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。

Claims (36)

  1. 対象のコントラストが強調されたX線またはコンピューター断層撮影または二重エネルギーコンピューター断層撮影またはスペクトルコンピューター断層撮影の投影データを獲得する方法であって、
    前記対象の腹部に対して実施される医学的撮像手順の前に前記対象に経口送達するために製剤化される腸管造影媒体製剤を診断的有効量投与された前記対象の前記投影データを獲得する工程を含み、
    前記製剤は、少なくとも1つのケイ素系ポリマーのエマルジョンまたは懸濁液、水性ビヒクル成分、および薬学的に許容される水性ビヒクルである前記水性成分を含む水中油エマルジョンまたは懸濁液中に前記少なくとも1つのケイ素系ポリマーを維持する乳化剤または分散剤を含み、前記ケイ素系ポリマーが、ケイ素系ポリマー成分を含む直鎖状の、分枝状の、または架橋された構造およびケイ素系ポリマーまたはコポリマーを含むポリマーブレンド、ならびその組合せから選択されるメンバーである、腸管造影媒体を含み、
    前記製剤は、少なくとも30%重量/重量の前記ケイ素系ポリマーを含み、
    前記腸管造影媒体が2.1超の80:140kVpのCT数比を有する、方法。
  2. 前記腸管造影媒体製剤は、診断的有効量の前記腸管造影媒体を含む単位用量製剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記腸管造影媒体製剤は、成人ヒト用量あたり800mL〜1200mLの単位用量製剤である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記腸管造影媒体製剤は、50〜100mLの容量の単位用量製剤である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記腸管造影媒体製剤は、100mL〜800mLの容量の単位用量製剤である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ケイ素系ポリマーが室温または体温で液体である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記腸管造影媒体製剤は、少なくとも60%重量/重量の前記ケイ素系ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記乳化剤および分散剤が、0〜20の親水性−親油性バランス(HLB)値を有する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記乳化剤が、Tween(登録商標)界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記腸管造影媒体製剤は、口腔ケア製剤として有用ではない、請求項1に記載の方法。
  11. 前記腸管造影媒体製剤は、鼓腸を防止するのに有用ではない、請求項1に記載の方法。
  12. 前記腸管造影媒体製剤は、単位用量製剤であり、前記ケイ素系ポリマー25g超を含有する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記ケイ素系ポリマーが、エマルジョン粒子/液滴の主成分であるが、固体粒子上には吸着されない、請求項1に記載の方法。
  14. 前記製剤の重量の30%(w/w)〜100%(w/w)が前記ケイ素系ポリマーである、請求項1に記載の方法。
  15. 前記乳化剤が水溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記乳化剤が1つまたは複数のポリ(エチレングリコール)鎖を含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記薬学的に許容されるビヒクルが、添加剤、香味剤、甘味剤、増粘剤、懸濁化剤、流動剤、pH緩衝剤、緩下剤、浸透圧調整剤、およびその組合せをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記ケイ素系ポリマーが0.9〜1.1の比重を有する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記ケイ素系ポリマーが室温で0.5cSt〜200cStの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
  20. 前記ケイ素系ポリマーが室温で200cSt〜600cStの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
  21. 前記ケイ素系ポリマーが室温で600cSt〜1200cStの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
  22. 前記ケイ素系ポリマーが室温で1200cSt〜100,000cStの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
  23. 前記ケイ素系ポリマーが0.4kDa〜5kDaの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
  24. 前記ケイ素系ポリマーが5kDa〜50kDaの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
  25. 前記ケイ素系ポリマーが50kDa〜1000kDaの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
  26. 前記X線またはコンピューター断層撮影または二重エネルギーコンピューター断層撮影またはスペクトルコンピューター断層撮影の投影データが、コンピューター断層撮影画像に再構成される、請求項1に記載の方法。
  27. 前記造影剤が、X線ビームのエネルギースペクトルを改変する異なる材料または厚さ(0を含む)のX線フィルターを用いる二重エネルギーまたはスペクトルCTスキャナーを用いて撮像される、請求項1に記載の方法。
  28. 前記X線またはコンピューター断層撮影または二重エネルギーコンピューター断層撮影またはスペクトルコンピューター断層撮影の投影データが、2物質、3物質、または多物質弁別のために用いられ、CT画像に再構成される、請求項1に記載の方法。
  29. 前記コンピューター断層撮影画像が、2物質、3物質、または多物質弁別のために用いられ、さらなるCT画像を再構成する、請求項1に記載の方法。
  30. 前記コンピューター断層撮影画像が、腹部における他の材料から前記腸管造影媒体製剤を識別するために用いられる、請求項1に記載の方法。
  31. 前記画像が、前記対象の腹部および骨盤から選択される領域の画像である、請求項1に記載の方法。
  32. 前記対象は、前記腸管造影媒体と異なる第2の造影媒体をさらに投与されたものであり、前記第2の造影媒体が、経口投与、髄腔内投与、膀胱内投与、腸内投与、肛門投与、カテーテル内投与、デバイス内投与、血管内投与、瘻孔への投与、および外科的に作出されたパウチへの投与から選択される経路により投与される、請求項1に記載の方法。
  33. 前記第2の造影媒体がヨード造影媒体、Ba系、Gd系、W系、Bi系、Mg系、Yb系およびTa系造影媒体ならびにケイ素系造影媒体から選択されるメンバーである、請求項32に記載の方法。
  34. 前記腸管造影媒体と前記第2の造影媒体とが、異なるX線スペクトルにおけるそれらの相対的X線減弱に基づいて前記画像において互いに識別可能である、請求項1に記載の方法。
  35. 前記対象は、前記腸管造影剤が、
    (a)口、膣、膀胱、直腸および尿道から選択される天然の空洞;
    (b)回腸嚢、および人工膀胱から選択される外科的に作出された空間;
    (c)瘻孔、洞管、および膿瘍から選択される傷害により作出された空間;または
    (d)カテーテル、チューブ、リザバー、パウチおよびポンプから選択される医療用デバイス
    を介する送達によって投与されたものである、請求項1に記載の方法。
  36. 前記腸管造影剤が、
    (a)前記腸管造影媒体を含有する第1のバイアルまたはバイアルのセット;
    (b)第2の造影媒体を含有する第2のバイアル;および
    (c)前記第2の造影媒体を含むか、または含まない前記腸管造影媒体を製剤化するための指示書
    を含むキットから投与される前に準備される、請求項1に記載の方法。
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