この発明に係る眼科システムの実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献に記載された技術や任意の公知技術を、実施形態に援用することが可能である。
実施形態に係る眼科システムは、撮影プロトコルを作成するための機能と、作成された撮影プロトコルを管理する機能と、管理されている撮影プロトコルを眼科撮影装置に提供する機能とを有する。典型的な実施形態において、撮影プロトコルには、撮影条件及び撮影手順が含まれる。眼科システムにより管理される撮影プロトコルは、本システムを用いて作成された撮影プロトコルに限定されない。例えば、眼科システムは、本システムの外部から入力された撮影プロトコルや、予め設けられた撮影プロトコルを管理することが可能である。
実施形態に適用可能な眼科撮影装置は任意である。典型的な実施形態において、眼科撮影装置は、OCT、眼底カメラ、SLO、スリットランプ顕微鏡、手術用顕微鏡等のいずれか1つ、又は2以上の組み合わせであってよい。また、眼科撮影装置は、眼科測定装置としての機能を備えていてもよい。眼科測定装置としては、眼屈折検査装置、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザなどがある。
以下に例示的に説明する実施形態では、OCT機能と眼底カメラ機能とを備えた眼科撮影装置が適用される。この明細書において、OCTによって取得された情報(信号)をOCT情報(OCT信号)と呼ぶことがある。特に、OCTによって取得される画像をOCT画像と呼ぶことがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。
以下の実施形態では、波長可変光源とバランスドフォトダイオードが搭載された、いわゆるスウェプトソース(Swept Source)OCTが適用される。しかし、スウェプトソース以外のタイプ、例えばスペクトラルドメイン(Spectral Domain)OCTやインファス(En−face)OCTを適用することも可能である。
スペクトラルドメインOCTとは、低コヒーレンス光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検物からの測定光の戻り光を参照光と干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル分布を分光器で検出し、検出されたスペクトル分布にフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。また、インファスOCTとは、所定のビーム径を有する光を被測定物体に照射し、その反射光と参照光とを重ね合わせて得られる干渉光の成分を解析することにより、光の進行方向に直交する断面を画像化する手法である。なお、インファスOCTは、フルフィールド(Full−Field)OCTとも呼ばれる。
以下、眼科撮影装置に搭載された光学系の光軸方向をz方向(前後方向)とし、光学系の光軸に直交する水平方向をx方向(左右方向)とし、光学系の光軸に直交する垂直方向をy方向(上下方向)とする。
〈構成〉
実施形態に係る眼科システムの例を図1に示す。眼科システム1000は、管理装置2000と、1以上のコンピュータ3000と、1以上の眼科撮影装置4000とを含む。管理装置2000は、1以上の情報処理装置を含む。眼科システム1000に含まれるコンピュータ3000の台数は任意である。同様に、眼科システム1000に含まれる眼科撮影装置4000の台数は任意である。
管理装置2000とコンピュータ3000とは、通信回線を介して相互にデータ通信が可能である。同様に、管理装置2000と眼科撮影装置4000とは、通信回線を介して相互にデータ通信が可能である。データ通信は、直接的又は間接的であってよい。通信回線の方式は任意であり、典型的には、ワイドエリアネットワーク(WAN)及びローカルエリアネットワーク(LAN)の一方又は双方が含まれていてよい。
〈管理装置2000〉
管理装置2000は、コンピュータ3000を用いた撮影プロトコルの作成の管理と、撮影プロトコルの管理と、眼科撮影装置4000に対する撮影プロトコルの提供の管理とを実行する。管理装置2000は、プロセッサ、記憶装置、通信インターフェイス等を含む。
この明細書において、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を含む。
プロセッサは、例えば、記憶装置(記憶回路)に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。換言すると、プロセッサ、記憶装置、通信インターフェイス等のハードウェアと、汎用ソフトウェア、専用ソフトウェア等のソフトウェアとの協働によって、実施形態に係る機能が実現される。
管理装置2000は、制御部2010と、条件記憶部2020と、プロトコル作成部2030と、プロトコル記憶部2040と、通信部2050とを含む。
〈制御部2010〉
制御部2010は、管理装置2000の各部を制御する。制御部2010は、プロセッサを含む。制御部2010が実行する処理については後述する。
〈条件記憶部2020〉
条件記憶部2020は、複数の撮影条件項目のそれぞれについて2以上の条件が記録された撮影条件情報を記憶する。条件記憶部2020は記憶装置を含む。撮影条件項目とは、眼科撮影装置4000の撮影条件の種別である。撮影条件とは、被検眼の撮影を行うために設定される条件である。撮影条件情報は事前に作成されて条件記憶部2020に格納される。
撮影条件項目は、眼科撮影装置4000の種別(モダリティ)に応じて事前に設定される。モダリティがOCTである場合、撮影条件項目は、例えば、OCTスキャンに関する項目(スキャン条件項目)を含む。
スキャン条件項目の典型的な例として、スキャンパターンに関する項目(スキャンパターン項目)と、スキャンエリアのサイズに関する項目(スキャンサイズ項目)とがある。
スキャンパターン項目に対応する条件の典型的な選択肢として、ラインスキャン、ラスタースキャン(3次元スキャン)、サークルスキャン、同心円スキャン、ラジアルスキャン、クロススキャン、マルチクロススキャンなどがある。ラインスキャンは、直線状の軌跡に沿ったスキャンパターンである。ラスタースキャンは、互いに平行に配列された複数のラインスキャンからなるスキャンパターンである。サークルスキャンは、円形状の軌跡に沿ったスキャンパターンである。同心円スキャンは、同心状に配列された複数のサークルスキャンからなるスキャンパターンである。ラジアルスキャンは、放射状に配列された複数のラインスキャンからなるスキャンパターンである。クロススキャンは、互いに直交に配列された2つのラインスキャンからなるスキャンパターンである。マルチクロススキャンは、互いに直交する2つのラインスキャン群(例えば、各群は、互いに平行な5本のラインを含む)からなるスキャンパターンである。
スキャンサイズ項目に対応する条件は、例えば、スキャンパターンに応じて設けられる。ラインスキャンのスキャンサイズは、例えば、直線状の軌跡の長さである。ラスタースキャンのスキャンサイズは、例えば、それを構成する複数のラインスキャンにより定義される輪郭(外縁)のサイズである。輪郭が矩形である場合、この矩形の横方向の長さと縦方向の長さとによって当該ラスタースキャンのサイズが定義される。他の例では、輪郭により囲まれる領域の面積によって当該ラスタースキャンのサイズが定義される。サークルスキャンでは、例えば、円形状の軌跡の半径若しくは直径、又は、当該軌跡により囲まれる領域の面積が適用される。同心円スキャンでは、例えば、最も外側に位置するサークルスキャンのサイズが適用される。ラジアルスキャンでは、例えば、それに含まれるラインスキャンの長さ、又は、それに含まれる複数のラインスキャンの端点を結んで形成される円若しくは多角形のサイズが適用される。クロススキャン及びマルチクロススキャンでは、例えば、それに含まれるラインスキャンの長さが適用される。
なお、スキャンパターン項目はこれらに限定されない。例えば、スキャンパターン項目は、スキャンラインの密度に関する項目(スキャン密度項目)、スキャンの反復回数に関する項目(スキャン回数項目)、スキャンの反復周波数に関する項目(スキャン周波数項目)等を含んでもよい。
OCTを含む任意の眼科モダリティについて、撮影条件項目は、左眼又は右眼を被検眼として指定するための被検眼指定項目を含んでよい。
眼科撮影装置4000は、2以上のモダリティの組み合わせであってもよい。例えば、詳細は後述するが、OCT機能と正面撮影機能とを有する眼科撮影装置がある。正面撮影機能とは、前眼部、眼底等を正面側から撮影して画像(正面画像)を取得する機能である。正面撮影機能の典型的な例として、眼底カメラ機能、SLO機能などがある。
〈プロトコル作成部2030〉
プロトコル作成部2030は、コンピュータ3000を用いて入力された情報に基づいて撮影プロトコルを作成する。プロトコル作成部2030はプロセッサを含む。前述したように、撮影プロトコルは、撮影条件及び撮影手順を含む。
この実施形態では、撮影条件情報に記録された撮影条件項目及び条件がコンピュータ3000に提供される。コンピュータ3000は、提供された情報が提示された画面(グラフィカルユーザインターフェイス)を表示する。コンピュータ3000のユーザは、この画面を用いて撮影条件項目を指定することができ、更に、指定された撮影条件項目に対応する選択肢(条件)のいずれかを指定することができる。
この要領で、ユーザは2以上の条件を指定することができる。ここで、2以上の条件は、同じ撮影条件項目に対応する同じ条件又は異なる条件を含んでもよい(その例は後述される)。撮影条件項目及び条件の指定に加え、ユーザは、指定された2以上の条件の順序(手順)を指定することができる。
コンピュータ3000を用いて行われた指定操作の結果は、管理装置2000に送られる。プロトコル作成部2030は、コンピュータ3000から送られた指定結果に基づいて撮影プロトコルを作成する。例えば、2以上の条件及びそれらの順序が指定された場合、プロトコル作成部2030は、これら条件が当該順序で配列された撮影プロトコルを作成する。
ここで、プロトコル作成部2030は、コンピュータ3000から送られた指定結果に加えて他の情報を参照することができる。例えば、プロトコル作成部2030は、コンピュータ3000を用いて指定された2以上の条件及びそれらの順序に、所定の準備的動作(アライメント、フォーカシング等)、及び/又は、所定の事後的処理(画像処理、解析等)を加えることによって、撮影プロトコルを作成することができる。
〈プロトコル記憶部2040〉
プロトコル記憶部2040は、プロトコル作成部2030により作成された撮影プロトコルを記憶する。なお、プロトコル記憶部2040は、眼科システム1000に外部から入力された撮影プロトコル、及び/又は、予め設けられた撮影プロトコルを記憶してもよい。プロトコル記憶部2040は記憶装置を含む。
〈通信部2050〉
通信部2050は、制御部2010の制御の下に、外部装置との間でデータ通信を行う。このデータ通信の形態は任意である。通信部2050は、通信形態に応じた通信インターフェイスを含む。
〈コンピュータ3000〉
コンピュータ3000は、撮影プロトコルを作成するための情報入力に使用される。コンピュータ3000は、制御部3010と、ユーザインターフェイス部(UI部)3020と、通信部3030とを含む。
〈制御部3010〉
制御部3010は、コンピュータ3000の各部を制御する。制御部3010は、プロセッサを含む。制御部3010が実行する処理については後述する。
〈ユーザインターフェイス部3020〉
ユーザインターフェイス部3020は、ユーザとコンピュータ3000との間で情報をやりとりするためのインターフェイスを含む。ユーザインターフェイス部3020は、情報を出力する機能と、情報を入力するための機能とを含む。情報を出力する機能は、例えば、表示装置、音声出力装置等により実現される。情報を入力するための機能は、例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、操作パネル等により実現される。ユーザインターフェイス部3020は、タッチパネル、ペンタブレット等を含んでよい。ユーザインターフェイス部3020は、制御部3010の制御の下に動作する。
〈通信部3030〉
通信部3030は、制御部3010の制御の下に、外部装置との間でデータ通信を行う。このデータ通信の形態は任意である。通信部3030は、通信形態に応じた通信インターフェイスを含む。
ユーザの指示を受けると、制御部3010は、撮影プロトコルを作成のためのグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を表示するようにユーザインターフェイス部3020(表示装置)を制御する。更に、制御部3010は、撮影条件情報の送信要求を管理装置2000に送るように通信部3030を制御する。管理装置2000は、送信要求に応じて撮影条件情報をコンピュータ3000に送る。コンピュータ3000の通信部3030は、撮影条件情報を受信する。制御部3010は、撮影条件情報をグラフィカルユーザインターフェイス上に提示する。
なお、撮影条件情報はコンピュータ3000に予め記憶されていてもよい。この場合、例えば制御部3010内の記憶装置に撮影条件情報が記憶される。或いは、コンピュータ3000がアクセス可能な記憶装置に撮影条件情報を記憶することができる。例えば、コンピュータ3000が設置された施設内のサーバーが撮影条件情報を記憶し、コンピュータ3000が撮影条件情報の提供を受けるように構成することができる。
制御部3010は、撮影条件情報に記録された撮影条件項目及び条件をグラフィカルユーザインターフェイス上に提示する。コンピュータ3000のユーザは、ユーザインターフェイス部3020を用いて撮影条件項目を選択し、選択された撮影条件項目に対応する選択肢(条件)のいずれかを指定する。この実施形態では、ユーザは2以上の条件を指定し、且つ、これら条件の順序(手順)を指定する。
制御部3010は、ユーザインターフェイス部3020(グラフィカルユーザインターフェイス等)を用いて入力された情報を管理装置2000に送信するように通信部3030を制御する。管理装置2000は、コンピュータ3000から送られた情報に基づいて撮影プロトコルを作成する。
〈眼科撮影装置4000〉
眼科撮影装置4000は、制御部4010と、撮影部4020と、ユーザインターフェイス部(UI部)4030と、通信部4040とを含む。
〈制御部4010〉
制御部4010は、眼科撮影装置4000の各部を制御する。制御部4010は、プロセッサを含む。制御部4010が実行する処理については後述する。
〈撮影部4020〉
撮影部4020は、被検眼を撮影して画像を取得する。典型的には、撮影部4020は、被検眼に光を投射する機能と、投射された光の戻り光を検出する機能と、戻り光の検出結果から画像を形成する機能とを含む。撮影部4020の例については後述する。
〈ユーザインターフェイス部4030〉
ユーザインターフェイス部4030は、ユーザと眼科撮影装置4000との間で情報をやりとりするためのインターフェイスを含む。ユーザインターフェイス部4030は、情報を出力する機能と、情報を入力するための機能とを含む。情報を出力する機能は、例えば、表示装置、音声出力装置等により実現される。情報を入力するための機能は、例えば、ジョイスティック、ボタン、ノブ、操作パネル等により実現される。ユーザインターフェイス部4030は、タッチパネル等を含んでよい。ユーザインターフェイス部4030は、制御部4010の制御の下に動作する。
〈通信部4040〉
通信部4040は、制御部4010の制御の下に、外部装置との間でデータ通信を行う。このデータ通信の形態は任意である。通信部4040は、通信形態に応じた通信インターフェイスを含む。
〈眼科撮影装置4000の例〉
眼科撮影装置4000の例を図2〜図4に示す。本例の眼科撮影装置は、OCT機能と眼底カメラ機能とを備える。
図2に示すように、本例の眼科撮影装置は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、例えば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。なお、被検眼Eの前眼部に光学系のピントが合っている場合、眼底カメラユニット2は前眼部の観察画像を取得することができる。撮影画像は、例えば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、または近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、例えばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30とが設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38。)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの測定光を被検眼E(眼底Ef又は前眼部)に導くとともに、被検眼Eを経由した測定光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11は、例えばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。なお、観察光源として発光ダイオード(LED)を用いることも可能である。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、例えば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15は、例えばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー39Aにて反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、例えば従来の眼底カメラと同様の画像を取得するための位置がある。このような画像には、眼底Efの黄斑部を中心とする画像や、視神経乳頭を中心とする画像や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー39Aを透過する。ハーフミラー39Aを透過した光は、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。なお、この実施形態では、後述のようにOCT情報を用いてオートアライメントを実行することができるので、アライメント指標を用いたオートアライメントが可能なことは必須な事項ではない。ただし、OCT情報を用いたオートアライメントが成功しなかったときにアライメント指標を用いたオートアライメントを行えるように構成することが可能である。また、OCT情報を用いたオートアライメントとアライメント指標を用いたオートアライメントとを選択的に使用できるように構成してもよい。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過する。二孔絞り64を通過した光は、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21により反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して撮影合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT計測用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、光スキャナ42と、OCT合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
光路長変更部41は、図2に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路(測定光の光路)の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整や、OCT画像に描出される部位の移動などに利用される。光路長変更部41は、例えばコーナーキューブと、これを移動する移動機構(後述の移動機構41A)とを含む。
光スキャナ42は、OCT計測用の光路を通過する光(測定光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Ef又は前眼部を測定光LSで走査することができる。光スキャナ42は、例えば、測定光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含む。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
図3を参照しつつOCTユニット100の構成の一例を説明する。OCTユニット100には、被検眼EのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。当該領域は、被検眼E(例えば角膜)を含む被検眼Eの周辺領域であってよい。この光学系は、従来のスウェプトソースOCTと同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、波長可変光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出するように構成された干渉光学系である。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す干渉信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
なお、スペクトラルドメインOCTが適用される場合には、低コヒーレンス光源と分光器とが用いられる。一般に、OCTユニット100は、OCTのタイプに応じた公知の構成を有する。
光源ユニット101は、一般的なスウェプトソースOCTと同様に、出射光の波長を掃引可能な波長可変光源を含む。波長可変光源は、共振器を含むレーザー光源を含む。光源ユニット101は、例えば、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。偏波コントローラ103は、例えばループ状にされた光ファイバ102に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ102内を導かれる光L0の偏光状態を調整する。
偏波コントローラ103により偏光状態が調整された光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束となる。平行光束となった参照光LRは、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、コーナーキューブ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長(光学距離)と測定光LSの光路長とを合わせるための遅延手段として作用する。分散補償部材113は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
コーナーキューブ114は、コリメータ111により平行光束となった参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。コーナーキューブ114に入射する参照光LRの光路と、コーナーキューブ114から出射する参照光LRの光路とは平行である。また、コーナーキューブ114は、参照光LRの入射光路及び出射光路に沿う方向に移動可能とされている。この移動により参照光LRの光路の長さが変更される。
なお、本例では、測定光LSの光路(測定光路、測定アーム)の長さを変更するための光路長変更部41と、参照光LRの光路(参照光路、参照アーム)の長さを変更するためのコーナーキューブ114の双方が設けられているが、これらのいずれか一方のみが設けられた構成を適用することができる。また、これら以外の光学部材を用いて、測定光路長と参照光路長との間の差を変化させてもよい。
コーナーキューブ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換されて光ファイバ117に入射する。光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれて参照光LRの偏光状態が調整される。
偏波コントローラ118は、例えば、偏波コントローラ103と同様の構成を有する。偏波コントローラ118により偏光状態が調整された参照光LRは、光ファイバ119によりアッテネータ120に導かれて、演算制御ユニット200の制御の下で光量が調整される。アッテネータ120により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ121によりファイバカプラ122に導かれる。
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。平行光束とされた測定光LSは、光路長変更部41、光スキャナ42、OCT合焦レンズ43、ミラー44及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に導かれる。ダイクロイックミラー46に導かれてきた測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに照射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱(及び反射)される。このような後方散乱光を含む測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、所定の分岐比(例えば1:1)で、測定光LSと参照光LRとの干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバカプラ122から出射した一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123及び124により検出器125に導かれる。
検出器125は、例えば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器125は、その検出結果(干渉信号)をDAQ(Data Acquisition System)130に送る。
DAQ130には、光源ユニット101からクロックKCが供給される。クロックKCは、光源ユニット101において、設定された波長範囲(波長掃引幅)内で波長可変光源により掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニット101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐することにより得られた2つの分岐光の一方を光学的に遅延させた後、これらの合成光を検出した結果に基づいてクロックKCを生成する。DAQ130は、クロックKCに基づき、検出器125の検出結果をサンプリングする。DAQ130は、サンプリングされた検出器125の検出結果を演算制御ユニット200に送る。
なお、計測範囲(撮影範囲)が変更された場合に対応するために、サンプリングタイミングを変更する機能を設けることができる。また、DAQ130は、クロックKCを用いることなく検出器125の検出結果を取得するようにしてもよい。
演算制御ユニット200は、例えば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器125により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、演算制御ユニット200は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することができる。
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、検出器125から入力される干渉信号を解析して被検眼EのOCT画像を形成したり、被検眼Eの眼内距離を算出したりする。OCT画像を形成するための演算処理や眼内距離を算出するための処理は、従来のスウェプトソースOCTと同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。例えば演算制御ユニット200は、被検眼EのOCT画像や眼内距離の算出結果などを表示装置3に表示させる。
演算制御ユニット200は、例えば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含む。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、本例の眼科撮影装置を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、例えばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
眼科撮影装置の制御系(処理系)の構成について図4を参照しつつ説明する。なお、図4においては、眼科撮影装置のいくつかの構成要素が省略されている。
演算制御ユニット200は、制御部210と、画像形成部220と、データ処理部230とを含む。制御部210は、例えば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含む。制御部210は、主制御部211と記憶部212とを含む。
主制御部211は前述の各種制御を行う。例えば、主制御部211は、眼底カメラユニット2の移動機構31A、41A及び43A、CCDイメージセンサ35及び38、LCD39、並びに、光スキャナ42を制御する。また、主制御部211は、OCTユニット100の光源ユニット101、参照駆動部114A、検出器125、及びDAQ130を制御する。
移動機構31Aは、撮影光学系30の光軸に沿って撮影合焦レンズ31を移動する。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。移動機構41Aは、光路長変更部41を構成するコーナーキューブを測定光LSの光路に沿って移動する。それにより、測定アームの光路長が変更される。移動機構43Aは、測定光LSの光路に沿ってOCT合焦レンズ43を移動する。それにより、測定アームの合焦位置が変更される。
参照駆動部114Aは、参照アームに設けられたコーナーキューブ114を移動する。それにより、参照アームの光路長が変更される。
光学系駆動部1Aは、装置光学系を3次元的(x方向、y方向、及びz方向)に移動する。光学系駆動部1Aは、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、例えば、OCT画像、眼底像、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、本例の眼科撮影装置を動作させるためのコンピュータプログラムやデータが記憶されている。
画像形成部220は、DAQ130から入力された信号に基づいて被検眼Eの断層像を形成する。この処理には、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。このような処理により形成される画像は、複数のAラインにおける反射強度プロファイルに対応するデータセットである。
データ処理部230は、被検眼Eの画像に対して各種のデータ処理(画像処理等)や解析処理を施す。例えば、データ処理部230は、輝度補正や分散補正等の画像補正を実行する。また、データ処理部230は、ボリュームデータ(ボクセルデータ)の形成、レンダリング等を実行する。
データ処理部230は、例えば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含む。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムが格納される。
ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含む。表示部241は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネル等を含んでもよい。操作部242は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含む。操作部242は、装置の筐体や外部に設けられたボタンやキーを含んでもよい。
〈動作〉
眼科システム1000の動作について説明する。
〈動作例1〉
コンピュータ3000を用いて撮影プロトコルを作成するための、眼科システム1000の動作の例を図5に示す。
(S1:撮影プロトコルの作成を開始)
まず、撮影プロトコルを新たに作成したい者が、撮影プロトコルの作成を開始するための操作をコンピュータ3000に対して行う。この操作は、ユーザインターフェイス部3020を用いて行われる。
この操作は、例えば、撮影プロトコルを作成するためのアプリケーションソフトウェアを起動させる操作である。或いは、この操作は、例えば、所定のアプリケーションソフトウェアに設けられたソフトウェアキー(撮影プロトコル作成開始ボタン等)に対する操作である。
(S2:作成要求を送信)
ステップS1の操作が行われると、制御部3010は、コンピュータ3000を用いた撮影プロトコルの作成を要求するための信号(作成要求信号)を生成して通信部3030に送る。通信部3030は、この作成要求信号を管理装置2000に送信する。
作成要求信号は、例えば、コンピュータ3000の識別情報(装置ID、アドレス情報等)、又は、ユーザの識別情報(ユーザID)を含む。
管理装置2000が、既定の種別毎に撮影プロトコルを管理し、且つ、撮影プロトコルの種別毎に撮影条件情報を管理している場合、ステップS1においてユーザは撮影プロトコルの種別を指定することができる。例えば、対象となる疾患名、眼の部位、被検者の属性(年齢、性別等)、撮影目的(健康診断、検診、診断等)等を、撮影プロトコルの種別として指定することができる。この場合、作成要求信号は、指定された撮影プロトコル種別を含む。
(S3:撮影条件情報を送信)
管理装置2000の通信部2050は、コンピュータ3000から送信された作成要求信号を受信して制御部2010に送る。作成要求信号を受けると、制御部2010は、条件記憶部2020に記憶された撮影条件情報(のいずれか)を読み出し、通信部2050に送る。通信部2050は、この撮影条件情報をコンピュータ3000に送信する。
作成要求信号が撮影プロトコル種別を含む場合、制御部2010は、この撮影プロトコル種別に対応する撮影条件情報を条件記憶部2020から検索し、通信部2050に送る。通信部2050は、検索された撮影条件情報をコンピュータ3000に送信する。
(S4:条件項目・条件を表示)
コンピュータ3000の通信部3030は、管理装置2000から送信された撮影条件情報を受信して制御部3010に送る。制御部3010は、この撮影条件情報に記録された撮影条件項目及び条件を、ユーザインターフェイス部3020に表示された所定の画面上に提示する。
コンピュータ3000に表示される画面の例を図6に示す。画面300は、撮影プロトコル提示領域310と、撮影条件提示部320とを有する。
撮影プロトコル提示部310には、ユーザにより作成される撮影プロトコル(撮影条件及びその順序)が提示される。撮影プロトコル提示部310には、ユーザにより選択された撮影条件がそれぞれ提示される、順序付けられた複数の枠が設けられている。
撮影条件提示部320には、撮影条件情報に基づく各種撮影条件が提示される。本例の撮影条件提示部320には、被検眼指定条件提示部321と、3次元スキャン条件提示部322と、2次元スキャン条件提示部323と、スキャン方向条件提示部324とが設けられている。
被検眼指定条件提示部321には、左眼又は右眼を被検眼として指定するための被検眼指定項目に含まれる撮影条件群が、選択可能なソフトウェアキー群として提示されている。本例の被検眼指定条件提示部321には、「右眼移動」キーと、「左眼移動」キーとが設けられている。「右眼移動」キーは、右眼を被検眼に指定するためにクリックされる。換言すると、「右眼移動」キーは、光学系を右眼側に移動する動作を眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。同様に、「左眼移動」キーは、左眼を被検眼に指定するために、つまり、光学系を左眼側に移動する動作を眼科撮影装置4000に実行させるために、クリックされる。
3次元スキャン条件提示部322には、OCTで3次元スキャンを行うための撮影条件群が、選択可能なソフトウェアキー群として提示されている。本例の3次元スキャン条件提示部322には、「3D 3×3mm」キーと、「3D 6×6mm」キーと、「3D 9×9mm」キーとが設けられている。「3D 3×3mm」キーは、眼底Efの表面上の横3mm×縦3mmの正方形領域に対するOCTスキャンを眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。「3D 6×6mm」キーは、眼底Efの表面上の横6mm×縦6mmの正方形領域に対するOCTスキャンを眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。「3D 9×9mm」キーは、眼底Efの表面上の横9mm×縦9mmの正方形領域に対するOCTスキャンを眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。ここで、横方向及び縦方向は、例えば、それぞれx方向及びy方向である。
2次元スキャン条件提示部323には、OCTで2次元スキャンを行うための撮影条件群が、選択可能なソフトウェアキー群として提示されている。本例の2次元スキャン条件提示部323には、「2D 3mm」キーと、「2D 6mm」キーと、「2D 9mm」キーとが設けられている。「2D 3mm」キーは、眼底Efの表面において長さ3mmのラインに対するOCTスキャンを眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。「2D 6mm」キーは、眼底Efの表面において長さ6mmのラインに対するOCTスキャンを眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。「2D 9mm」キーは、眼底Efの表面において長さ9mmのラインに対するOCTスキャンを眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。
スキャン方向条件提示部324には、ラインスキャンの向きを指定するための撮影条件群が、選択可能なソフトウェアキー群として提示されている。本例のスキャン方向条件提示部324には、「横スキャン」キーと、「縦スキャン」キーとが設けられている。「横スキャン」キーは、横方向(x方向)に延びるラインに対するOCTスキャンを眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。「縦スキャン」キーは、縦方向(y方向)に延びるラインに対するOCTスキャンを眼科撮影装置4000に実行させるためにクリックされる。
図6に示すグラフィカルユーザインターフェイスは単なる例示であり、ソフトウェアキーの提示態様や、提示される撮影条件項目の種別や、提示される撮影条件の種別などは、本例に限定されない。
(S5:撮影条件を指定)
ユーザは、コンピュータ3000に表示された画面を用いて撮影条件及びその順序を指定する。
画面300が表示された場合における撮影条件及び順序の指定の例を説明する。ユーザは、まず、撮影プロトコル提示部310における第1枠をクリックする。次に、ユーザは、この第1枠に入力する撮影条件に対応するソフトウェアキーを撮影条件提示部320から選択してクリックする。本例では、第1枠と「右眼移動」キーとがクリックされたとする。これにより、図7に示すように、文字列「右眼移動」が第1枠内に表示される。
次に、ユーザは、撮影プロトコル提示部310における第2枠をクリックし、更に、3次元スキャン条件提示部322における「3D 3×3mm」キーをクリックする。これにより、文字列「3D 3×3mm Scan」が第2枠内に表示される。
次に、ユーザは、撮影プロトコル提示部310における第3枠をクリックし、2次元スキャン条件提示部323における「2D 6mm」キーをクリックし、更に、スキャン方向条件提示部324における「縦スキャン」キーをクリックする。これにより、文字列「2D 縦 6mm Scan」が第3枠内に表示される。
次に、ユーザは、撮影プロトコル提示部310における第4枠をクリックし、更に、被検眼指定条件提示部321における「左眼移動」キーをクリックする。これにより、文字列「左眼移動」が第4枠内に表示される。
図7に示す例では、上記した撮影条件及び順序に加え、文字列「3D 3×3mm Scan」が第5枠内に表示され、文字列「2D 縦 6mm Scan」が第6枠内に表示されている。
(S6:操作終了?)
撮影条件及び順序の指定が完了したら、つまり、撮影プロトコルの設定が完了したら、ユーザは、入力操作を終了するための所定の操作をユーザインターフェイス3020を用いて行う。
(S7:指定結果を送信)
入力終了操作が行われたことを受けて、制御部3010は、撮影条件及びその順序の指定結果を管理装置2000に送信するように通信部3030を制御する。
(S8:撮影プロトコルを作成)
管理装置2000の通信部2050は、ステップS7でコンピュータ3000から送信された指定結果を受信する。制御部2010は、この指定結果をプロトコル作成部2030に送る。プロトコル作成部2030は、この指定結果に基づいて撮影プロトコルを作成する。作成された撮影プロトコルは制御部2010に送られる。
(S9:撮影プロトコルを記憶)
制御部2010は、ステップS8で新たに作成された撮影プロトコルをプロトコル記憶部2040に記憶する。このとき、撮影プロトコルの種別や属性や作成者(上記ユーザ)を示す情報を、撮影プロトコルとともにプロトコル記憶部2040に記憶させてもよい。以上で、図5に示す動作例は終了となる。
コンピュータ3000を用いて、既存の撮影プロトコルを変更することができる。例えば、ユーザは、所望の撮影プロトコルの識別情報をコンピュータ3000に入力する。コンピュータ3000は、入力されたプロトコル識別情報を管理装置2000に送る。管理装置2000は、このプロトコル識別情報に対応する撮影プロトコルをプロトコル記憶部2040から検索し、コンピュータ3000に送る。
コンピュータ3000は、この撮影プロトコルを表示する。例えば、図6に示す画面300の撮影プロトコル提示部310に、この撮影プロトコルに含まれる複数の撮影条件を、既定の順序で提示することができる。
ユーザは、撮影プロトコル提示部310に設けられている複数の枠のうち、変更したい撮影条件が提示されている枠をクリックする。更に、ユーザは、撮影条件提示部320に設けられた複数のソフトウェアキーのうち、指定された枠に新たに入力される撮影条件に対応するソフトウェアキーをクリックする。このような処理を繰り返し行うことで、既存を撮影プロトコルを補正・修正・編集することができる。
図6に示す画面300のグラフィカルユーザインターフェイスは、撮影条件項目の指定と条件の指定とを同時に行えるように構成されている。これに対し、撮影条件項目の指定と条件の指定とを別々に行うようなグラフィカルユーザインターフェイスを採用することも可能である。
例えば、グラフィカルユーザインターフェイスは、複数の撮影条件項目に対応するソフトウェアキー群(ボタン群、タブ群など)を備える。ユーザがこれらソフトウェアキーのいずれかをクリックすると、コンピュータ3000は、クリックされたソフトウェアキーに対応する撮影条件項目に関する複数の条件(選択肢)に対応するソフトウェアキー群(ボタン群など)を表示する。これらソフトウェアキーのいずれかをクリックすることで、当該撮影条件項目における条件を指定することができる。
〈動作例2〉
管理装置2000により管理されている撮影プロトコルを利用して撮影を行うための、眼科システム1000の動作の例を図8に示す。
(S21:撮影の開始)
まず、眼科撮影装置4000のユーザが、被検眼の撮影を開始するための操作を行う。この操作は、眼科撮影装置4000のユーザインターフェイス部4030を用いて行われる。
この操作は、例えば、眼科撮影装置4000の起動、アプリケーションソフトウェアの起動、又は、患者識別情報の入力である。或いは、この操作は、例えば、所定のアプリケーションソフトウェアに設けられたソフトウェアキー(撮影開始ボタン等)に対する操作である。
(S22:プロトコル提供要求を送信)
ステップS21の操作が行われると、制御部4010は、撮影プロトコルの提供を要求するための信号(提供要求信号)を生成して通信部4040に送る。通信部4040は、この提供要求信号を管理装置2000に送信する。
提供要求信号は、例えば、眼科撮影装置4000の識別情報(装置ID、アドレス情報等)、眼科撮影装置4000の種別(モダリティ種別)等を含む。
管理装置2000が、既定の種別毎に撮影プロトコルを管理している場合、ステップS21においてユーザは撮影プロトコルの種別を指定することができる。例えば、対象となる疾患名、眼の部位、被検者の属性(年齢、性別等)、撮影目的(健康診断、検診、診断等)等を、撮影プロトコルの種別として指定することができる。この場合、提供要求信号は、指定された撮影プロトコル種別を含む。
(S23:撮影プロトコルを検索)
管理装置2000の通信部2050は、眼科撮影装置4000から送信された提供要求信号を受信して制御部2010に送る。提供要求信号を受けると、制御部2010は、プロトコル記憶部2040に記憶された撮影プロトコル(のいずれか)を読み出す。このとき、制御部2010は、提供要求信号に含まれる情報(検索クエリ)に該当する撮影プロトコルを検索する。
(S24:撮影プロトコルを送信)
制御部2010は、ステップS23で検索された1以上の撮影プロトコルを通信部2050に送る。通信部2050は、1以上の撮影プロトコルを眼科撮影装置4000に送信する。
(S25:撮影プロトコルを表示)
眼科撮影装置4000の通信部4040は、管理装置2000から送信された1以上の撮影プロトコルを受信して制御部4010に送る。制御部4010は、1以上の撮影プロトコルを、ユーザインターフェイス部4030に表示された所定の画面上に提示する。
眼科撮影装置4000に表示される画面の例を図9に示す。画面400には、図2〜図4に示す眼科撮影装置の眼底カメラ機能により取得される観察画像410と、ライブOCT撮影により取得されるOCT動画像420とが表示される。ここで、ライブOCT撮影は、所定のスキャンパターン(典型的にはラインスキャン)を所定周波数で繰り返し実行する撮影手法である。
更に、画面400には、撮影プロトコル提示領域430が設けられている。撮影プロトコル提示領域430には、管理装置2000から送信された1以上の撮影プロトコルを表す情報が提示される。図9に示す例では、3つの撮影プロトコルを示す情報(名称等)が提示されている。ここで、撮影プロトコルを表す情報は、例えば、対象となる疾患名、対象部位、撮影目的(健康診断、検診、診断等)、作成者名、作成者の所属機関名等を含む。また、その撮影プロトコルの適用回数、適用頻度等を提示することもできる。
(S26:撮影プロトコルを選択)
ユーザは、ユーザインターフェイス4030を用いて、画面に提示された撮影プロトコルのうちから所望のものを選択する。図9に示す画面400が適用される場合、ユーザは、撮影プロトコル提示領域430に提示されている撮影プロトコルのうちの所望のものをクリックする。
(S27:撮影)
制御部4010は、ステップS26で選択された撮影プロトコルに基づいて撮影部420を制御することにより、被検眼の撮影を行う。これにより、選択された撮影プロトコルに含まれる撮影条件を、当該撮影プロトコルに定義された順序で適用しながら、被検眼を撮影することができる。以上で、図8に示す動作例は終了となる。
〈動作例3〉
管理装置2000により管理されている撮影プロトコルを利用して撮影を行うための、眼科システム1000の動作の他の例を図10に示す。
(S41〜S46)
ステップS41〜S46は、図8のステップS21〜S26と同様である。
本例では、ステップS45(撮影プロトコルを表示)において、眼科撮影装置4000の制御部4010は、例えば、図11に示す画面500をユーザインターフェイス部4030に表示させる。画面500には、管理装置2000から送信された1以上の撮影プロトコルを表す情報が提示される。図11に示す例では、3つの撮影プロトコルを示す情報(名称等)が提示されている。ここで、撮影プロトコルを表す情報は、例えば、対象となる疾患名、対象部位、撮影目的(健康診断、検診、診断等)、作成者名、作成者の所属機関名等を含んでいてもよい。また、その撮影プロトコルの適用回数、適用頻度等を提示することもできる。更に、図9に示す画面400と同様に、画面500は、眼底Efの観察画像やライブOCT画像を提示してもよい。
眼科撮影装置4000のユーザは、ユーザインターフェイス部4030を操作することで、画面500に提示されている撮影プロトコルのうちから所望のものを選択することができる(S46)。ここでは、「撮影プロトコル1」が選択されたとする。
「撮影プロトコル1」が選択されると、制御部4010は、「撮影プロトコル1」に記録された撮影条件及び順序をユーザインターフェイス部4030に表示させる。選択された撮影プロトコルに関する情報が提示される画面の例を図12に示す。
図12に示す画面600には、選択された撮影プロトコルの名称が提示される(符号605)。更に、画面600には、この撮影プロトコルに記録された撮影条件が、この撮影プロトコルに記録された順序で配列されて提示される(符号610)。これは、図6に示す画面300の撮影プロトコル提示領域310と同様である。
加えて、画面600には、各種撮影条件が提示された撮影条件提示部620が設けられている。撮影条件提示部620は、図6に示す画面300の撮影条件提示部320と同様である。また、画面600には、新たに設定された撮影プロトコルの登録を要求するときにクリックされる「新規プロトコル登録」キー630が設けられている。
(S47:プロトコルを変更するか?)
画面600に提示された撮影プロトコルをそのまま適用する場合(S47:No)、ユーザは所定の操作を行う。この場合、処理はステップS51に移行する。
一方、画面600に提示された撮影プロトコルを変更する場合(S47:Yes)、処理はステップS48に移行する。
(S48:撮影プロトコルを変更)
撮影プロトコルの変更は、図6に示す画面300の場合と同じ要領で実行される。例えば、図12の撮影プロトコル提示領域610に提示された撮影条件のいずれかを変更したい場合、ユーザは、この撮影条件が提示されている領域をクリックする。
所望の撮影条件がクリックされると、制御部4010は、指定された撮影条件が提示されている領域の表示態様を変更する。例えば、「撮影プロトコル1」における順序「2」の撮影条件が指定されると、制御部4010は、その提示領域の表示態様を、入力可能状態を示す表示態様に変更する(図13の符号611を参照)。
続いて、ユーザは、指定された順序「2」に新たに入力される撮影条件を、撮影条件提示部620に提示された撮影条件群のうちから選択する。例えば「3D 6×6mm」キー625がクリックされると、制御部4010は、順序「2」に対応する撮影条件を「3D 3×3mm Scan」から「3D 6×6mm Scan」に変更する(図14の符号612を参照)。
本例のように左眼と右眼の双方に同じ撮影条件が適用される場合において、一方の眼に対応する撮影条件が変更されたとき、他方の眼に対応する撮影条件を自動で変更することができる。或いは、他方の眼に対応する撮影条件を変更するか否かを事前に設定できるように構成してもよい。また、他方の眼に対応する撮影条件を変更するか否かを指示するためのダイアログボックス等を表示するように構成してもよい。
図14に示す例では、順序「2」に対応する撮影条件の変更に加え、順序「4」に対応する撮影条件「2D 9mm Scan」が新たに挿入されている(符号613を参照)。これにより、変更前の順序「4」〜「6」に対応する撮影条件は、それぞれ1つずつ順序が後ろにシフトしている。
更に、順序「6」にシフトされた撮影条件「3D 3×3mm Scan」が新たな「3D 6×6mm Scan」に変更され(符号614を参照)、且つ、順序「4」と同じ撮影条件「2D 9mm Scan」が順序「8」に新たに加えられている(符号615を参照)。
なお、左眼と右眼の一方の撮影に新たな撮影条件が加えられたとき、同じ撮影条件を他方の眼の撮影に同じ撮影条件を自動で加えることができる。或いは、他方の眼の撮影に当該撮影条件を加えるか否かを事前に設定できるように構成してもよい。また、他方の眼の撮影に当該撮影条件を加えるか否かを指示するためのダイアログボックス等を表示するように構成してもよい。
(S49:変更結果を送信)
撮影プロトコルの変更が完了したら、ユーザは、「新規プロトコル登録」キー630をクリックする。「新規プロトコル登録」キー630がクリックされると、制御部4010は、新規撮影プロトコルを登録するための画面をユーザインターフェイス部4030に表示させる。この画面の例を図15に示す。
図15に示す画面700には、眼底画像710と、スキャンパターンを示す画像(スキャンパターン画像)720とが提示されている。眼底画像710は、例えば、被検眼Eの眼底Efの画像、又は、眼底の模式図である。
図15に示すスキャンパターン画像720は、図14における順序「4」(又は順序「8」)に対応する撮影条件「2D 9mm Scan」を表している。スキャンパターン画像720が示すスキャンラインは、縦方向に対して反時計回り方向に45度傾斜している。このようなスキャンラインは、例えば、画面600に提示される、スキャンラインを回転させるためのソフトウェアキー(図示せず)を用いて設定される。或いは、スキャンラインをドラッグしてその向きを変更するように構成してもよい。
画面700に提示されるスキャンパターンは、考慮している撮影プロトコルに含まれる任意の撮影条件(スキャン条件)であってよい。例えば、ステップS48において新規に追加されたスキャン条件、及び/又は、変更されたスキャン条件を、スキャンパターン画像として提示することができる。また、考慮している撮影プロトコルに含まれるスキャン条件を、同時に、順次に、又は選択的に、提示できるように構成してもよい。
画面700には、更に、新たな撮影プロトコルの名称を入力するための入力枠730が設けられている。ユーザは、キーボード等を利用して所望の名称を入力することができる。或いは、所定のルールにしたがって、新たな撮影プロトコルの名称を自動付与するように構成してもよい。
このような画面700により、ユーザは、新たな撮影プロトコルの内容を確認したり、その名称を入力したりすることができる。この新たな撮影プロトコルを撮影プロトコルのライブラリ(データベース)に追加する場合、ユーザは、「新規登録」キー740をクリックする。「新規登録」キー740が操作されると、制御部4010は、新たな撮影プロトコルの情報(既存の撮影プロトコルの変更結果)を管理装置2000に送信するように通信部4040を制御する。
(S50:変更後の撮影プロトコルを記録)
管理装置2000の通信部2050は、眼科撮影装置4000から送信された新規撮影プロトコルの情報を受信する。制御部2010は、この新規撮影プロトコルをプロトコル記憶部2040に記憶させる。このとき、プロトコル作成部2030が前述した処理のいずれかを実行した後に、その処理結果(撮影プロトコル)をプロトコル記憶部2040に記憶するようにしてもよい。
なお、ステップS48で新たに設定された撮影プロトコルを記録することをユーザが望まない場合、ステップS49〜S50を行うことなくステップS51に移行してもよい。この場合、この新規撮影プロトコルは、今回の撮影にのみ適用される。
(S51:撮影)
制御部4010は、ステップS46で選択された撮影プロトコル又はステップS48で変更された撮影プロトコルに基づき撮影部420を制御することにより、被検眼の撮影を行う。これにより、選択又は変更された撮影プロトコルに含まれる撮影条件を、当該撮影プロトコルに定義された順序で適用しながら、被検眼を撮影することができる。以上で、図10に示す動作例は終了となる。
〈効果〉
実施形態に係る眼科システムの効果について説明する。
実施形態に係る眼科システムは、第1記憶部と、表示制御部と、指定操作部と、作成部と、第2記憶部と、ユーザインターフェイス部と、撮影部と、撮影制御部とを含む。第1記憶部と、表示制御部と、指定操作部と、作成部と、第2記憶部とは、撮影プロトコルを作成し保存するために動作する。また、ユーザインターフェイス部と、撮影部と、撮影制御部とは、撮影プロトコルに基づき被検眼を撮影するために動作する。
第1記憶部には、複数の撮影条件項目のそれぞれについて2以上の条件が記録された撮影条件情報が予め記憶される。上記実施形態に係る眼科システム1000では、管理装置2000の条件記憶部2020が第1記憶部に該当する。
表示制御部は、第1記憶部に記憶されている撮影条件情報を表示手段に表示させる。上記実施形態に係る眼科システム1000では、コンピュータ3000の制御部3010が表示制御部に該当し、ユーザインターフェイス部3020が表示手段に該当する。なお、表示手段は、眼科システムに含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
指定操作部は、第1記憶部に記憶されている複数の撮影条件項目のうちの2以上の撮影条件項目のそれぞれについて、当該撮影条件項目に対応する2以上の条件のうちから少なくとも1つの条件を指定するために用いられる。更に、指定操作部は、このようにして指定された2以上の条件の順序を指定するために用いられる。上記実施形態に係る眼科システム1000では、ユーザインターフェイス部3020が指定操作部に該当する。
作成部は、指定操作部を用いて指定された2以上の条件及び順序に基づいて撮影プロトコルを作成する。上記実施形態に係る眼科システム1000では、管理装置2000のプロトコル作成部2030が作成部に該当する。
第2記憶部には、作成部により作成された撮影プロトコルが記憶される。上記実施形態に係る眼科システム1000では、管理装置2000のプロトコル記憶部2040が第2記憶部に該当する。
ユーザインターフェイス部は、第2記憶部に記憶された1以上の撮影プロトコルのうちのいずれかを選択するために用いられる。上記実施形態に係る眼科システム1000では、眼科撮影装置4000のユーザインターフェイス部4030がユーザインターフェイス部に該当する。
撮影部は、被検眼を撮影することにより画像を取得する。撮影対象は、例えば、前眼部、後眼部、眼の周辺部などであってよい。上記実施形態に係る眼科システム1000では、眼科撮影装置4000の撮影部4020が撮影部に該当する。
撮影制御部は、ユーザインターフェイス部を用いて選択された撮影プロトコルに基づいて撮影部を制御する。上記実施形態に係る眼科システム1000では、眼科撮影装置4000の制御部4010が撮影制御部に該当する。
このような実施形態に係る眼科システムによれば、まず、撮影プロトコルを作成するための情報をユーザに提供できるので、撮影プロトコルの作成作業を容易に行うことができる。
更に、実施形態に係る眼科システムによれば、このようにして作成された撮影プロトコルを保存し、撮影時にこれを提供することができる。眼科専門医や熟練した医師が撮影プロトコルを作成することで、適切な撮影プロトコルを容易に適用することができる。
したがって、装置や撮影に習熟した眼科医やその医療スタッフだけでなく、健康診断等の医療スタッフのように装置や撮影に不慣れなユーザであっても、適切な条件での撮影を容易に行うことが可能である。
実施形態に係る眼科システムにおいて、撮影部はOCTを実行可能であってよい。具体的には、撮影部は、OCT光学系及びOCT画像形成部を含んでよい。OCT光学系は、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、測定光で被検眼をスキャンし、被検眼からの測定光の戻り光を参照光と重ね合わせて干渉光を生成し、干渉光を検出する。上記実施形態に係る眼科システム1000では、図2に示す光学系のうち測定アームを形成する要素と、図3に示す光学系とが、OCT光学系に該当する。OCT画像形成部は、OCT光学系により取得された干渉光の検出結果に基づいて画像を形成する。上記実施形態に係る眼科システム1000では、図4に示す画像形成部220(及びDAQ130)がOCT画像形成部に該当する。
撮影部がOCTを実行可能である場合、第1記憶部に記憶される複数の撮影条件項目は、OCT光学系によるスキャンに関するスキャン条件項目を含んでいてよい。スキャン条件項目の例として、スキャンパターンに関する項目(スキャンパターン項目)と、スキャンエリアのサイズに関する項目(スキャンサイズ項目)とがある。上記実施形態では、図6に示す3次元スキャン条件提示部322と、2次元スキャン条件提示部323と、スキャン方向条件提示部324とに、これらの例が示されている。
このような実施形態によれば、撮影条件の設定が複雑なOCTに不慣れなユーザであっても、適切な条件でのOCTを容易に行うことができる。特に、適切なスキャンパターン、且つ、適切なスキャンエリアサイズで、OCTを行うことができる。
実施形態に係る眼科システムにおいて、第1記憶部に記憶される複数の撮影条件項目は、左眼又は右眼を被検眼として指定するための被検眼指定項目を含んでいてよい。上記実施形態では、図6に示す被検眼指定条件提示部321に、この例が示されている。
このような実施形態によれば、例えば、スクリーニングのように左右両眼を撮影するためのプロトコルを容易に作成することができる。
実施形態に係る眼科システムにおいて、ユーザインターフェイス部は、表示装置と操作装置とを含んでいてよい。表示装置は、第2記憶部に記憶された1以上の撮影プロトコルのリストを表示する。上記実施形態では、眼科撮影装置4000のユーザインターフェイス部4030が操作装置に該当し、図11に示す画面500にこのリストの例が示されている。操作装置は、このリストに提示された1以上の撮影プロトコルのうちのいずれかを指定するために用いられる。上記実施形態では、眼科撮影装置4000のユーザインターフェイス部4030が操作装置に該当する。
このような実施形態によれば、眼科撮影装置4000のユーザは、第2記憶部に記憶されている撮影プロトコルのうちから所望のものを容易に選択することができる。
更に、ユーザインターフェイス部の表示装置は、撮影条件情報を表示するように構成されてよい。この場合、第2記憶部に記憶された1以上の撮影プロトコルのうちのいずれかを撮影条件情報に基づき変更するために、操作装置を使用することができる。上記実施形態では、図12等に示す撮影条件提示部620に撮影条件情報が提示されている。
このような実施形態によれば、既存の撮影プロトコルを任意に変更することができるので、撮影目的、被検者の状態、被検眼の状態、ユーザの好み等に応じて、撮影プロトコルを適宜に変更して撮影を行うことができる。
上記実施形態の眼科システム1000は、管理装置2000、コンピュータ3000、及び眼科撮影装置4000を含んでいる。しかし、他の実施形態において、眼科システムは、これら全てを含んでいる必要はない。
例えば、眼科システムは、撮影プロトコルを作成するためのコンピュータ(3000)及び眼科撮影装置(4000)を含まなくてよい。この場合、眼科システムは、コンピュータとデータ通信を行うことが可能であって、第1記憶部と、送信部と、受信部と、作成部と、第2記憶部とを含む。このような眼科システムは、例えば、サーバー等の情報処理装置を含む。
第1記憶部には、複数の撮影条件項目のそれぞれについて2以上の条件が記録された撮影条件情報が予め記憶される。上記実施形態の管理装置2000の条件記憶部2020が第1記憶部に該当する。
送信部は、第1記憶部に記憶されている撮影条件情報をコンピュータに送信する。上記実施形態の管理装置2000の通信部2050が、コンピュータ3000に撮影条件情報を送信する送信部に該当する。
コンピュータのユーザは、第1記憶部に記憶されている複数の撮影条件項目のうちの2以上の撮影条件項目のそれぞれについて、当該撮影条件項目に対応する2以上の条件のうちから少なくとも1つの条件を指定することができる。更に、コンピュータのユーザは、このようにして指定された2以上の条件の順序を指定することができる。受信部は、コンピュータを用いてユーザが指定した2以上の条件及びこれらの順序を受信する。上記実施形態の通信部2050が、このような受信部に該当する。
作成部は、受信部により受信された2以上の条件及び順序に基づいて撮影プロトコルを作成する。上記実施形態の管理装置2000のプロトコル作成部2030が作成部に該当する。
第2記憶部には、作成部により作成された撮影プロトコルが記憶される。上記実施形態の管理装置2000のプロトコル記憶部2040が第2記憶部に該当する。
このような眼科システムによれば、撮影プロトコルを作成するための情報をコンピュータのユーザに提供できるので、撮影プロトコルの作成作業を容易に行うことができる。
上記実施形態に係る眼科システム1000では、コンピュータに入力された情報に基づいて管理装置2000が撮影プロトコルを作成しているが、撮影プロトコルの作成をコンピュータが行うようにしてもよい。この場合、眼科システムは、コンピュータとデータ通信を行うことが可能であって、第1記憶部と、送信部と、受信部と、第2記憶部とを含む。なお、作成部に相当する機能は、コンピュータに設けられる。このような眼科システムは、例えば、サーバー等の情報処理装置を含む。
第1記憶部には、複数の撮影条件項目のそれぞれについて2以上の条件が記録された撮影条件情報が予め記憶される。上記実施形態の管理装置2000の条件記憶部2020が第1記憶部に該当する。
送信部は、第1記憶部に記憶されている撮影条件情報をコンピュータに送信する。上記実施形態の管理装置2000の通信部2050が、コンピュータ3000に撮影条件情報を送信する送信部に該当する。
コンピュータのユーザは、第1記憶部に記憶されている複数の撮影条件項目のうちの2以上の撮影条件項目のそれぞれについて、当該撮影条件項目に対応する2以上の条件のうちから少なくとも1つの条件を指定することができる。更に、コンピュータのユーザは、このようにして指定された2以上の条件の順序を指定することができる。コンピュータは、ユーザが指定した2以上の条件及びこれらの順序に基づいて撮影プロトコルを作成する。受信部は、コンピュータにより作成された撮影プロトコルを受信する。上記実施形態の通信部2050が、このような受信部に該当する。
第2記憶部には、受信部により受信された撮影プロトコルが記憶される。上記実施形態の管理装置2000のプロトコル記憶部2040が第2記憶部に該当する。
このような眼科システムによれば、撮影プロトコルを作成するための情報をコンピュータのユーザに提供できるので、撮影プロトコルの作成作業を容易に行うことができる。
次に、眼科撮影装置を含まない眼科システムの実施形態について説明する。このような眼科システムは、眼科撮影装置とデータ通信を行うことが可能であって、第1記憶部と、表示制御部と、指定操作部と、作成部と、第2記憶部と、送信部とを含む。
第1記憶部には、複数の撮影条件項目のそれぞれについて2以上の条件が記録された撮影条件情報が予め記憶される。上記実施形態の管理装置2000の条件記憶部2020が第1記憶部に該当する。
表示制御部は、第1記憶部に記憶されている撮影条件情報を表示手段に表示させる。上記実施形態のコンピュータ3000の制御部3010が表示制御部に該当し、ユーザインターフェイス部3020が表示手段に該当する。なお、表示手段は、眼科システムに含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
指定操作部は、第1記憶部に記憶されている複数の撮影条件項目のうちの2以上の撮影条件項目のそれぞれについて、当該撮影条件項目に対応する2以上の条件のうちから少なくとも1つの条件を指定するために用いられる。更に、指定操作部は、このようにして指定された2以上の条件の順序を指定するために用いられる。上記実施形態のユーザインターフェイス部3020が指定操作部に該当する。
作成部は、指定操作部を用いて指定された2以上の条件及び順序に基づいて撮影プロトコルを作成する。上記実施形態の管理装置2000のプロトコル作成部2030が作成部に該当する。
第2記憶部には、作成部により作成された撮影プロトコルが記憶される。上記実施形態のプロトコル記憶部2040が第2記憶部に該当する。
送信部は、眼科撮影装置から送信された信号(提供要求信号)に基づいて、第2記憶部に記憶された1以上の撮影プロトコルのうちのいずれかを眼科撮影装置に送信する。上記実施形態の通信部2050が送信部に該当する。
このような実施形態に係る眼科システムによれば、まず、撮影プロトコルを作成するための情報をユーザに提供できるので、撮影プロトコルの作成作業を容易に行うことができる。更に、作成された撮影プロトコルを保存し、眼科撮影装置にこれを提供することができる。したがって、装置や撮影に不慣れなユーザであっても、適切な条件での撮影を容易に行うことができる。
〈変形例〉
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
例えば、撮影プロトコルの作成のために入力された情報が不適当であったり、作成された撮影プロトコルが不適当であったりする場合がある。例えば、可視光を用いた眼底撮影の後に眼底OCTを行うと、眼底撮影によって被検眼の瞳孔が縮小し(縮瞳)、後段の眼底OCTを好適に行えない可能性がある。このような不適当な撮影プロトコルが登録されることを防止するための機能を眼科システムに設けることができる。
このような眼科システムの例を図16に示す。図16に示す眼科システム1000Aは、上記実施形態に係る眼科システム1000とほぼ同様の構成を有する。眼科システム1000との相違は、この変形例の管理装置2000Aが判定部2060を備えている点である。
判定部2060は、所定の2以上の条件の組み合わせを示す情報(組み合わせ情報)、及び/又は、所定の2以上の条件の順序を示す情報(順序情報)を予め記憶している。組み合わせ情報や順序情報は、例えば、専門医や熟練した医師によって作成される。
組み合わせ情報には、単一の撮影プロトコルに含まれるべきでないと判断された2以上の条件の組み合わせが記録されている。このような組み合わせの例として、撮影の長時間化を招くおそれがある組み合わせや、被検者への負担が増大するおそれがある組み合わせがある。
順序情報には、2以上の条件の様々な順序のうち不適当であると判断された順序が記録されている。このような順序の例として、前段の撮影条件が後段の撮影条件に悪影響を与えるおそれがある順序がある。
第1の例において、判定部2060(第1判定部)は、コンピュータ3000(指定操作部)を用いて指定された2以上の条件の組み合わせが、組み合わせ情報に記録された組み合わせのいずれかに該当するか判定する。この判定処理は、例えば、コンピュータ3000を用いた条件の指定操作と並行して実行される。この場合、コンピュータ3000は、ユーザが条件を指定する度に、この指定された条件を管理装置2000Aに送り、判定部2060はリアルタイムで判定処理を実行し、判定結果がコンピュータ3000に送られる。
コンピュータ3000のユーザが指定した2以上の条件の組み合わせが、組み合わせ情報に記録された組み合わせのいずれかに該当すると判定された場合、コンピュータ3000は、例えば、警告メッセージ及び/又は警告音を出力する。
第2の例において、判定部2060(第2判定部)は、コンピュータ3000(指定操作部)を用いて指定された2以上の条件の順序が、順序情報に記録された順序のいずれかに該当するか判定する。この判定処理も、例えば、上記のようにリアルタイムで実行される。警告の出力についても同様である。
第3の例において、判定部2060(第3判定部)は、プロトコル作成部2030により作成された撮影プロトコルに含まれる2以上の条件の組み合わせが、組み合わせ情報に記録された組み合わせのいずれかに該当するか判定する。換言すると、判定部2060は、組み合わせ情報に記録された組み合わせのいずれかが、作成された撮影プロトコルに含まれるか判定する。この判定処理は、例えば、プロトコル作成部2030が撮影プロトコルを作成した直後に実行される。
作成された撮影プロトコルに含まれる2以上の条件の組み合わせが、組み合わせ情報に記録された組み合わせのいずれかに該当すると判定された場合、コンピュータ3000は、例えば、警告メッセージ及び/又は警告音を出力する。
第4の例において、判定部2060(第4判定部)は、プロトコル作成部2030により作成された撮影プロトコルに含まれる2以上の条件の順序が、順序情報に記録された順序のいずれかに該当するか判定する。換言すると、判定部2060は、順序情報に記録された順序のいずれかが、作成された撮影プロトコルに含まれるか判定する。この判定処理も、例えば、プロトコル作成部2030が撮影プロトコルを作成した直後に実行される。
このような判定部2060を設けることで、不適当な撮影プロトコルが作成されることや、不適当な撮影プロトコルが登録されることを防止することができる。
コンピュータ(3000)及び/又は眼科撮影装置(4000)を含まない眼科システムに、第1判定部、第2判定部、第3判定部、及び第4判定部のいずれかを設けることも可能である。
上記の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、例えば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。