JP6942340B2 - 磁場誘導装置 - Google Patents

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本発明は、体内に注入された磁性複合体を患部へ誘導する磁場誘導装置に関する。
人体の関節に含まれる軟骨が、その近傍に位置する骨の表層とともにはがれることにより軟骨損傷が生じることが知られている。このような軟骨損傷は、離断性骨軟骨炎と呼ばれている。
軟骨及び骨の表層がはがれた患部に軟骨及び骨を再生させるための方法として、軟骨及び骨を再生させる機能を有する細胞と磁性粒子とを複合化した磁性複合体を患部近傍に注射器などを用いて注入し、磁力を利用して、磁性複合体を患部へ誘導する方法が知られている。軟骨を再生させる機能を有する細胞の一例としては、骨髄間葉系幹細胞が挙げられる。磁性粒子を構成する磁性体の一例としては、マグネタイトが挙げられる。マグネタイトの微粒子は、造影剤などにも含まれている。なお、磁力を利用して、磁性複合体を患部へ誘導する方法は、磁気ターゲティングとも呼ばれる。
特許文献1には、磁気ターゲティングに利用可能な磁気誘導装置が記載されている。特許文献1の図1に図示された磁気誘導装置は、ソレノイドコイルと、円環状の外形を有するケーシングとを備えている。ソレノイドコイルは、磁場を発生する磁場発生源であり、ケーシングは、ソレノイドコイルを収納する筐体である。
磁気ターゲティングの手法を用いた軟骨及び骨の再生では、磁性複合体を患部へ誘導するために、体内に注入された磁性複合体に対して、磁性複合体を移動させることができる程度の磁場を作用させる必要がある。磁性複合体を移動させることができるか否かの磁場の閾値は、例えば0.1T程度である。したがって、磁気誘導装置は、体内の磁性複合体を注入された部位と、軟骨がはがれた患部とを含むある程度広い領域に対して、例えば0.1Tを上回る磁場を印加できるように設計されている。
特開2007−151605号公報(2007年6月21日公開)
ところで、磁気ターゲティングの手法を用いた軟骨及び骨の再生では、磁気ターゲティングの実施前に注射器を用いて磁性複合体を患部近傍に注入したり、磁気ターゲティングの実施前、実施中、及び実施後の少なくとも何れか1つのタイミングにおいて内視鏡を用いて患部近傍を観察したりする場合がある。
特許文献1に記載の磁気誘導装置では、特許文献1の図7に図示されているように、ケーシングの内径がケーシングに挿入されている患部である関節(特許文献1の図7では膝)の外径と比較して十分に大きく設計されている。このように、関節とケーシングとの間には十分なスペースが確保されている場合には、関節をケーシングに挿入した状態のままでも、患部近傍に注射器を刺したり内視鏡を挿入したりすることができる。
ただし、ケーシングの内径を大きく設計すればするほど、(1)ソレノイドコイルの内径も大きくなるため、上述した閾値を上回る磁場を発生するために要する電流値が大きくなり、それによって発熱量が大きくなるため熱害が発生する、(2)磁気誘導装置のサイズが大きくなり重量も重くなる、(3)製造コスト及び運用コストが嵩む、といった弊害が生じる。
一方、ケーシングの内径を関節の外径に近づけるように設計した場合、上述した弊害を避けることができる反面、関節とケーシングとの間に十分なスペースを確保することができなくなる。そのため、関節をケーシングに挿入した状態のままでは、患部近傍に注射器を刺したり内視鏡を挿入したりすることができなくなる。
本発明は上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ケーシングの内径を過剰に大きくすることなく、ケーシングの内側空間に挿入した状態の患部近傍に対して注射器を刺したり内視鏡を挿入したりすることが可能な磁気誘導装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る磁場誘導装置は、患部の近傍に注入された磁性複合体を上記患部に向かって誘導する磁場誘導装置であって、上記患部をその内側空間に収容する、環状の第1のケーシング及び環状の第2のケーシングと、上記第1のケーシングの内側壁に巻き付けられた導線からなる第1のソレノイドコイルと、上記第2のケーシングの内側壁に巻き付けられた導線からなる第2のソレノイドコイルと、を備え、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの各々は、上記第1のケーシングの上記内側空間と上記第2のケーシングの上記内側空間とが連通するように配置されており、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとは、離間している、又は、離間可能な状態に構成されている。
上記の構成によれば、本磁場誘導装置は、磁場発生源として少なくとも上記第1のソレノイドコイル及び上記第2のソレノイドコイルを備えており、上記第1のソレノイドコイル及び上記第2のソレノイドコイルの各々を収容する上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとは、離間している、又は、離間可能な状態に構成されている。すなわち、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間には、空間が形成されている(又は、空間を形成し得る)。したがって、上記第1のケーシングの上記内側空間、及び、上記第2のケーシングの上記内側空間に上記患部を挿入したままの状態であっても、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間に形成された空間を利用することにより、ケーシングの内側空間に挿入した状態の上記患部の近傍に対して注射器を刺したり内視鏡を挿入したりすることができる。
また、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間に空間が設けられていることにより、空間が設けられていない場合と比較して、磁場が形成される区間の長さをより長くすることができる。したがって、本磁場誘導装置は、副次的な効果として、磁性複合体を移動させる距離を伸ばすことができる。
また、本発明の一態様に係る磁場誘導装置は、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整する間隔調整機構を更に備えている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記間隔調整機構を適宜調整することによって、上記第1のケーシングの上記内側空間、及び、上記第2のケーシングの上記内側空間に形成される磁場のプロファイルを調整することができる。例えば、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を大きくした場合は、当該間隔が小さい場合と比較して、磁場が形成される区間の長さをより長くすることができる。また、当該間隔を小さくした場合は、当該間隔が大きい場合と比較して、より強い磁場を発生させることができる。このように、本磁場誘導装置は、磁気ターゲティングを実施する場合に形成される磁場の自由度を高めることができる。
また、本発明の一態様に係る磁場誘導装置において、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの各々は、上記第1のソレノイドコイルの中心軸と上記第2のソレノイドコイルの中心軸とが一致するように配置されており、上記間隔調整機構は、上記第1のソレノイドコイルの上記中心軸に沿って上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの少なくとも何れか一方を並進させることによって、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記間隔調整機構を用いて上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整する場合であっても、上記第1のソレノイドコイルの中心軸及び上記第2のソレノイドコイルの中心軸の位置は、変化しない。したがって、上記第1のケーシングの上記内側空間及び上記第2のケーシングの上記内側空間に挿入した上記患部を動かすことなく、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整することができる。また、磁場のプロファイルを大きく変化させることなく、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整することができる。
また、本発明の一態様に係る磁場誘導装置において、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔が最小になるように上記間隔調整機構を調整した状態において、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの各々は、上記第1のソレノイドコイルの中心軸と上記第2のソレノイドコイルの中心軸とが一致するように配置されており、上記間隔調整機構は、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの外縁上に設定された所定の軸、又は、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの外縁よりも外側に設定された所定の軸を回転軸として、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの少なくとも何れか一方を回転させることによって、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整する、ように構成されていてもよい。
上記の構成によれば、上記間隔調整機構を用いて上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整することによって、上記第1のソレノイドコイルの中心軸と上記第2のソレノイドコイルの中心軸とのなす角を調整することができる。したがって、上記第1のケーシングの上記内側空間及び上記第2のケーシングの上記内側空間に挿入した上記患部が関節に含まれる場合に、関節を任意の角度に曲げた状態の上記患部近傍に対して注射器を刺したり内視鏡を挿入したりすることができる。
また、本発明の一態様に係る磁場誘導装置は、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングのうち少なくとも何れか一方に配置された1又は複数のレーザ光源を更に備え、当該1又は複数のレーザ光源の各々が発するレーザ光が上記第1のケーシングの上記内側空間又は上記第2のケーシングの上記内側空間に含まれる所定の位置を指し示すように、上記1又は複数のレーザ光源の各々は、配置されている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記患部を上記第1のケーシングの上記内側空間及び上記第2のケーシングの上記内側空間に挿入する場合における上記患部の位置を定めるガイドとして、上記複数のレーザ光源の各々が発するレーザ光を用いることができる。したがって、上記患部を所定の位置にセットすることが容易になる。
また、本発明の一態様に係る磁場誘導装置において、上記所定の位置は、上記第1のソレノイドコイルの中心軸上、又は、上記第2のソレノイドコイルの中心軸上に設定されている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記患部を磁場が強い位置にセットすることが容易になる。
本発明の一態様に係る磁場誘導装置によれば、ケーシングの内径を過剰に大きくすることなく、ケーシングの内側空間に挿入した状態の上記患部の近傍に対して注射器を刺したり内視鏡を挿入したりすることが可能な磁気誘導装置を提供することができる。
(a)は、本発明の第1の実施形態に係る磁場誘導装置の斜視図である。(b)及び(c)は、(a)に示した磁場誘導装置の縦断面図である。 (a)は、本発明の第2の実施形態に係る磁場誘導装置の斜視図である。(b)及び(c)は、(a)に示した磁場誘導装置の縦断面図である。 (a)は、本発明の第1〜第4の実施例及び本発明の参考例を模式的に示した縦断面図及び平面図である。(b)は、本発明の第1〜第4の実施例の内側空間内における磁束密度分布を示すグラフである。 (a)〜(c)は、本発明の参考例の内側空間内における磁束密度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。 (a)は、本発明の参考例の内側空間内における磁束密度分布の測定結果を示すグラフである。(b)は、本発明の参考例の内側空間内における磁束密度の電流依存性を示すグラフである。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る磁場誘導装置について、図1を参照して説明する。図1の(a)は、本実施形態に係る磁場誘導装置1の斜視図である。図1の(b)及び(c)は、磁場誘導装置1の縦断面図である。なお、本願明細書において縦断面図とは、後述するソレノイドコイルの中心軸を含む断面における断面図を意味する。また、横断面図とは、上記ソレノイドコイルの中心軸に交わる断面における断面図を意味する。図1の(b)は、後述するケーシング12とケーシング22とが離間した状態の磁場誘導装置1を示す。図1の(c)は、ケーシング12とケーシング22とが接触した状態の磁場誘導装置1を示す。
図1に図示する座標系は、鉛直方向に沿う方向をy軸方向と定め、後述するソレノイドコイル13,23の中心軸に沿う方向をz軸方向と定め、y軸方向及びz軸方向とともに右手系の直交座標系を形成するようにx軸方向を定めている。より詳しくは、鉛直方向上向きの方向をy軸正方向と定め、第2のモジュール21から第1のモジュール11へ向かう向きをz軸正方向と定め、後述するスタンド35から後述するスタンド34へ向かう向きをx軸正方向と定めている。なお、本実施形態においては、後述するソレノイドコイル13,23の中心軸が床3の表面に沿うように第1のモジュール11及び第2のモジュール21の向きを定めている。すなわち、床3の表面は、zx平面に沿っている。
なお、本実施形態において、ケーシング12及びソレノイドコイル13の各々の中心軸と、ケーシング22及びソレノイドコイル23の各々の中心軸とは、一致している。本実施形態では、ケーシング12、ソレノイドコイル13、ケーシング22、及びソレノイドコイル23の各々の中心軸をまとめて中心軸Cと呼ぶ(図1の(a)参照)。
図1の(a)に示すように、磁場誘導装置1は、第1のモジュール11と、第2のモジュール21と、ガイド棒31〜33と、スタンド34,35と、支持軸36,37とを備えている。
(第1のモジュール11)
図1の(b)及び(c)に示すように、第1のモジュール11は、ケーシング12と、ソレノイドコイル13と、スリーブ14と、レーザダイオード(LD)16a〜16cとを備えている。ケーシング12及びソレノイドコイル13は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の第1のケーシング及び第1のソレノイドコイルである。
スリーブ14は、両端(z軸正方向側及びz軸負方向側の端部)が開放され、その横断面における断面形状が角丸長方形である筒状部材である。角丸長方形は、長方形の4つの角を丸めた形状であり、オーバル型ともいえる。スリーブ14の側壁により囲まれた空間は、ケーシング12の内側空間15を構成する。スリーブ14は、内側空間15と後述する内側空間25に対して、患部2aを含む足2を挿入することができるようにその内径(長軸方向の長さ及び短軸方向の長さ)が定められている。
なお、本実施形態においては、足2を内側空間15,25に挿入するものとして説明している。しかし、内側空間15,25に挿入する体の部位は、足2に限定されるものではなく、体の如何なる部位であってもよい。スリーブ14の内径は、内側空間15,25に挿入する体の部位のサイズに応じて適宜定めることができる。
スリーブ14は、図1の(a)に示した状態において、その横断面における長軸がx軸方向に沿い、その横断面における短軸がy軸方向に沿うように配置されている。
スリーブ14は、熱伝導率が低く、強度が高い材料により構成されていることが好ましい。本実施形態において、スリーブ14は、断熱性を持った強化プラスチック製である。熱伝導率が低い材料を用いることによって、スリーブ14は、するソレノイドコイル13において発生する熱が後述する足2に伝わりにくくすることができる。また、強度が高い材料を用いることによって、足2の重さが第1のモジュール11に掛かるような場合であっても、その重さに耐え、ケーシング12及びソレノイドコイル13が変形することを防止することができる。
ケーシング12は、ソレノイドコイル13を収容する環状の筐体であり、スリーブ14の外側を取り囲み、且つ、スリーブ14と同軸になるように構成されている。ケーシング12は、その横断面における断面形状が角丸長方形形である筒状部材である。また、ケーシング12は、その横断面における長軸がx軸方向に沿い、その横断面における短軸がy軸方向に沿うように配置されている。これらの点において、ケーシング12は、スリーブ14と同様である。本実施形態において、ケーシング12は、強化プラスチック製である。
ケーシング12の内側には、図1の(b)及び(c)に示すように、縦断面における断面形状が長方形である空間が形成されている。この空間内には、ソレノイドコイル13が収容されている。ソレノイドコイル13は、ケーシング12の内側壁に対して導線(本実施形態では銅線)を巻き付けることによって構成されている。ソレノイドコイル13は、図1に図示しない電流源から電流を供給されることによって、電磁石として機能し、磁場を発生する。すなわち、ソレノイドコイル13は、磁場発生源である。なお、図1の(b)及び(c)においては、ソレノイドコイル13を構成する導線の一部のみを図示し、その他の導線の図示を省略している。
スリーブ14の内壁には、LD16a〜16cが取り付けられている。LD16a〜16cは、それぞれ、スリーブ14の内壁のうち、y軸正方向側の端部(天頂部)、x軸正方向側の端部、及びx軸負方向側の端部に取り付けられている。LD16a〜16cの各々の光軸は、それぞれが発するレーザ光が中心軸C上において交わるように設定されている。LD16a〜16cの各々が発するレーザ光が交わる中心軸C上のある点は、特許請求の範囲に記載の所定の位置の一例である。
このように構成された第1のモジュール11は、支持軸36を用いて、スタンド34に対して回転可能に取り付けられており、且つ、支持軸37を用いて、スタンド35に対して回転可能に取り付けられている。本実施形態において、スタンド34,35は、yz平面に沿うように配置されており、支持軸36,37は、x軸に沿い、互いに同軸になるように配置されている。したがって、第1のモジュール11は、支持軸36,37を回転軸として、回転することができる。
また、スリーブ14には、3本のガイド棒31〜33が中心軸Cに沿うように固定(例えば圧入)されている。より詳しくは、(1)ガイド棒31は、スリーブ14の天頂部に固定されており、(2)ガイド棒32は、スリーブ14のx軸正方向側且つy軸負方向側である部分に固定されており、(3)ガイド棒33は、スリーブ14のx軸負方向側且つy軸負方向側である部分に固定されている。
ガイド棒31〜33は、後述する第2のモジュール21のスリーブ24に設けられたガイド孔(例えば図1の(b)に記載のガイド孔241)とともに間隔調整機構を構成する。間隔調整機構については、第2のモジュール21のモジュールを説明したあとに言及する。
(第2のモジュール21)
図1の(b)及び(c)に示すように、第2のモジュール21は、ケーシング22と、ソレノイドコイル23と、スリーブ24とを備えている。ケーシング22及びソレノイドコイル23は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の第2のケーシング及び第2のソレノイドコイルである。
第2のモジュール21のケーシング22、ソレノイドコイル23、及びスリーブ24は、それぞれ、第1のモジュール11のケーシング12、ソレノイドコイル13、及びスリーブ14に対応する部材である。したがって、ここでは、第2のモジュール21の構成のうち第1のモジュール11と異なる構成についてのみ説明し、第1のモジュール11と共通する構成についての説明を省略する。
互いに環状であるケーシング12及びソレノイドコイル13の各々の中心軸と、ケーシング22及びソレノイドコイル23の各々の中心軸とが一致するように(同軸になるように)第1のモジュール11と第2のモジュール21とを配置した場合に、スリーブ24のうちガイド棒31に対応する位置には、ガイド棒31を収容可能なガイド孔241が設けられている(図1の(b)参照)。同様に、スリーブ24のうちガイド棒31,32に対応する位置には、図1の(b)に図示しないものの、ガイド棒31,32を収容可能なガイド孔が設けられている。
これらのガイド孔の各々がガイド棒31〜33の各々を収容するように第2のモジュール21を配置することによって、磁場誘導装置1は、ケーシング12とケーシング22との間隔Lを調整することができる。すなわち、磁場誘導装置1は、ケーシング12とケーシング22とを離間させたり、接触させたりすることができる。
なお、磁場誘導装置1が備える間隔調整機構は、中心軸Cに沿ってケーシング12及びケーシング22の少なくとも何れか一方(本実施形態ではケーシング22)を並進させることによって、間隔Lを調整するように構成されている。
(磁場誘導装置1の効果)
上述したように、磁場誘導装置1は、各々の中心軸が同軸となるように配置されたソレノイドコイル13とソレノイドコイル23とを備えている。また、ケーシング12及びケーシング22の各々は、内側空間15と内側空間25とが連通するように配置されている。このように構成されたソレノイドコイル13,23は、図1に図示しない電流源から電流を供給されることによって、電磁石として機能し、内側空間15,25に均一で強い磁場を発生することができる。なお、本願明細書における強い磁場とは、磁束密度が0.1T以上である磁場を指す。磁束密度が0.1Tを上回ることによって、後述する磁性複合体を患部2aに向かって誘導することができる。すなわち、0.1Tという磁束密度は、磁気ターゲティングを実施する場合の閾値といえる。
なお、0.1Tは、磁気ターゲティングを実施する場合の閾値の一例である。この閾値は、磁性複合体に含まれる磁性粒子を構成する磁性体(例えばマグネタイト)の磁気特性などに応じて変化する。ソレノイドコイル13,23の各設計パラメータや、ソレノイドコイル13,23に供給される電流量などは、上述した磁性体の種類などに応じて最適化することができる。
このように構成された磁場誘導装置1は、磁気ターゲティングの手法を用いた軟骨及び骨の再生に利用可能である。特に、磁場誘導装置1は、間隔調整機構を有し、ケーシング12とケーシング22とを離間させることができる。したがって、内側空間15及び内側空間25に患部2aを挿入したままの状態であっても、離間したケーシング12とケーシング22との間に形成された空間を利用することにより、内側空間15,25に挿入した状態の患部2aの近傍に対して注射器4を刺したり内視鏡(図1に不図示)を挿入したりすることができる。
したがって、磁場誘導装置1は、ソレノイドコイルの内径を患部2aの外径よりも過剰に大きく設計することにより生じ得る以下の弊害を避けつつ、患部2aを内側空間15,25に挿入した状態のまま、患部2aの近傍に注射器4を刺したり内視鏡を挿入したりすることができる。
(弊害1)ソレノイドコイルの内径が大きくなることに起因して、上述した閾値を上回る磁場を発生するために必要となる電流値が大きくなり、それによって発熱量が大きくなるため熱害が発生する。
(弊害2)磁気誘導装置のサイズが大きくなり重量も重くなる。
(弊害3)磁気誘導装置の製造コスト及び運用コストが嵩む。
このように、ケーシング12とケーシング22との間に形成された空間から注射器4を患部2aの近傍に刺すことができることによって、患部2aの近傍に磁性複合体を注入することができる。そのうえで、磁気ターゲティングの手法を用いることによって、磁性複合体を患部2aの軟骨損傷が生じている部位に対して磁性複合体をただちに堆積させることができる。なお、磁場誘導装置1は、ケーシング12とケーシング22とを離間させた状態及び接触させた状態の何れの状態であっても、磁気ターゲティングを実施することができる。
また、内視鏡は、モニター51とともに内視鏡システム5を構成する。ケーシング12とケーシング22との間に形成された空間から、内視鏡を患部2aの近傍に挿入可能なことによって、磁気ターゲティングの実施前、実施中、及び実施後の少なくとも何れか1つのタイミングにおいて内視鏡を用いて患部近傍を観察することができる。したがって、磁気ターゲティングを用いて磁性複合体を患部2aに堆積させる場合の確度を高めることができる。
また、ケーシング12とケーシング22との間に空間が設けられていることにより、空間が設けられていない場合と比較して、磁場が形成される区間の長さ(z軸方向に沿った長さ)をより長くすることができる。したがって、磁場誘導装置1は、副次的な効果として、磁性複合体を移動させる距離を伸ばすことができる。すなわち、患部2aの近傍に注入された磁性複合体をより遠くまで移動させることができる。
また、磁場誘導装置1は、間隔調整機構を有していることによって、間隔Lを適宜調整することができる。したがって、内側空間15,25に形成される磁場のプロファイルを調整することができる。例えば、間隔Lを大きくした場合は、間隔Lが小さい場合と比較して、磁場が形成される区間の長さをより長くすることができる。また、間隔Lを小さくした場合は、間隔Lが大きい場合と比較して、より強い磁場を発生させることができる。このように、磁場誘導装置1は、磁気ターゲティングを実施する場合に形成される磁場の自由度を高めることができる。
また、磁場誘導装置1は、中心軸Cに沿ってケーシング22を並進させることによって間隔Lを調整する間隔調整機構を備えている。
この構成によれば、間隔Lを調整する場合であっても、ソレノイドコイル13の中心軸及びソレノイドコイル23の中心軸の位置は、変化しない。したがって、患部2aを動かすことなく、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整することができる。また、磁場のプロファイルを大きく変化させることなく、間隔Lを調整することができる。
また、磁場誘導装置1は、特許請求の範囲に記載の1又は複数のレーザ光源の一態様であるLD16a〜16cを備えている。LD16a〜16cの各々が発するレーザ光は、内側空間15,25に含まれる所定の位置を指し示す。
この構成によれば、患部2aを内側空間15,25に挿入する場合の位置を定めるガイドとして、LD16a〜16cの各々が発するレーザ光を用いることができる。したがって、患部2aを所定の位置にセットすることが容易になる。
また、磁場誘導装置1において、LD16a〜16cの各々が発するレーザ光の光軸は、中心軸Cと交わるように設定されている。すなわち、LD16a〜16cの各々が発するレーザ光は、中心軸C上のある点を指し示す。
この構成によれば、患部2aを磁場が強い位置にセットすることが容易になる。
(磁場誘導装置1の変形例)
本実施形態において、ケーシング12、スリーブ14、ケーシング22、及びスリーブ24の横断面の形状は、角丸長方形であるものとして説明した。しかし、当該横断面の形状は、角丸長方形に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、及び長円形であってもよいし、正方形及び長方形であってもよい。
横断面の形状が長方形で長軸と短軸とを有する形状であった場合、その長軸がx軸に沿うようにケーシング12,22を配置することによって、内側空間15,25に挿入した患部2aと、中心軸Cとの相対角を容易に調整することができる。したがって、患部2aの近傍において、磁性複合体を移動させる方向を容易に適宜調整することができる。
また、本実施形態においては、ソレノイドコイル13,23を構成する導線の線材として、常伝導体である銅を採用した。しかし、線材は、銅以外の常伝導体により構成されていてもよいし、超伝導体により構成されていてもよい。超伝導体としては、例えばBi系の高温超伝導体などを採用することができる。
本実施形態において、磁場誘導装置1は、間隔調整機構を備えている。しかし、本発明の一態様に係る磁場誘導装置においては、ケーシング12とケーシング22とが離間した状態で固定されている構成であってもよい。すなわち、本発明の一態様に係る磁場誘導装置においては、間隔調整機構を省略し、間隔Lが所定の値に固定されている構成を採用してもよい。
また、ソレノイドコイル13及びソレノイドコイル23の設計パラメータは、所望の磁場のプロファイルに応じて、互いに異なっていてもよい。
また、磁場誘導装置1は、2つのソレノイドコイル13,23を備えている。しかし、本発明の一態様に係る磁場誘導装置は、3つ以上のソレノイドコイルを備えていてもよい。3つ以上のソレノイドコイルを備えている場合、何れか1つのソレノイドコイル(第1のソレノイドコイル)を収容するケーシング(第1のケーシング)と、別のソレノイドコイル(第2のソレノイドコイル)を収容するケーシング(第2のケーシング)とが少なくとも離間していればよい。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る磁場誘導装置について、図2を参照して説明する。図2の(a)は、本実施形態に係る磁場誘導装置101の斜視図である。図2の(b)及び(c)は、磁場誘導装置101の縦断面図である。図2の(b)は、後述するケーシング112とケーシング122とが離間した状態の磁場誘導装置101を示す。図1の(c)は、ケーシング112とケーシング122とが接触した状態の磁場誘導装置101を示す。なお、図2に図示する座標系は、図1に図示した座標系と同様に定めている。
図2の(a)に示すように、磁場誘導装置101は、第1のモジュール111と、第2のモジュール121と、ヒンジ131と、スタンド134,135と、支持軸136,137とを備えている。
図2の(b)及び(c)に示すように、第1のモジュール111は、ケーシング112と、ソレノイドコイル113と、スリーブ114と、レーザダイオード(LD)116a〜116hとを備えている。ケーシング112及びソレノイドコイル113は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の第1のケーシング及び第1のソレノイドコイルである。また、内側空間115は、特許請求の範囲に記載の第1のケーシングの内側空間である。
また、第2のモジュール121は、ケーシング122と、ソレノイドコイル123と、スリーブ124と、LD126とを備えている。ケーシング122及びソレノイドコイル123は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の第2のケーシング及び第2のソレノイドコイルである。また、内側空間125は、特許請求の範囲に記載の第2のケーシングの内側空間である。
磁場誘導装置101を構成する各部材の部材番号の多くは、第1の実施形態に係る磁場誘導装置1を構成する各部材の部材番号を100番台に変更することによって得られる。すなわち、磁場誘導装置101の第1のモジュール111、ケーシング112、ソレノイドコイル113、スリーブ114、内側空間115、及びLD116a〜116hは、それぞれ、磁場誘導装置1の第1のモジュール11、ケーシング12、ソレノイドコイル13、スリーブ14、内側空間15、及びLD16a〜16cに対応する。また、磁場誘導装置101の第2のモジュール121、ケーシング122、ソレノイドコイル123、スリーブ124、及び内側空間125は、それぞれ、磁場誘導装置1の第2のモジュール21、ケーシング22、ソレノイドコイル23、スリーブ24、及び内側空間25に対応する。また、磁場誘導装置101のスタンド134,135及び支持軸136,137は、それぞれ、磁場誘導装置1のスタンド34,35及び支持軸36,37に対応する。
したがって、本実施形態では、磁場誘導装置101の構成のうち磁場誘導装置1と同様に構成され、同じ機能を有する部材については、その説明を省略する。
なお、ケーシング112、ソレノイドコイル113、及びスリーブ114の各々は、同軸となるように配置されている。ケーシング112、ソレノイドコイル113、及びスリーブ114に共通の中心軸を中心軸Cとする(図2の(b)参照)。また、ケーシング122、ソレノイドコイル123、及びスリーブ124の各々は、同軸となるように配置されている。ケーシング122、ソレノイドコイル123、及びスリーブ124に共通の中心軸を中心軸Cとする(図2の(b)参照)。
(間隔調整機構)
磁場誘導装置101は、ケーシング112とケーシング122との間隔を調整する間隔調整機構として、ヒンジ131を採用している(図2の(b)及び(c)参照)。なお、ヒンジは、蝶番とも呼ばれる。
ヒンジ131は、第1の板状部材と、第2の板状部材と、第1の板状部材及び第2の板状部材を回転可能な状態に連結する棒状部材とを備えている。この棒状部材が延伸されている軸(特許請求の範囲に記載の所定の軸)を回転軸として、第1の板状部材と第2の板状部材とは、ヒンジ131が開くことによって離間し、ヒンジ131が閉じることによって接触する。なお、図2の(b)及び(c)においては、第1の板状部材及び第2の板状部材の図示を省略し、棒状部材のみを模式的に示している。
ヒンジ131は、上記回転軸がケーシング112及びケーシング122の外縁上に位置するように、第1の板状部材及び第2の板状部材がそれぞれケーシング112及びケーシング122に対して接合されている。なお、図2の(a)及び(c)に示すように、ケーシング112及びケーシング122を接触させて状態において中心軸Cと中心軸Cとが一致するように、ヒンジ131は、ケーシング112及びケーシング122に対して接合されている。この一致した中心軸のことを以下では、中心軸Cと呼ぶ。
したがって、磁場誘導装置101においては、ヒンジ131の棒状部材を回転軸として、図2の(b)に示すようにケーシング112とケーシング122とを離間させたり、図2の(c)に示すようにケーシング112とケーシング122とを接触させたりすることができる。すなわち、磁場誘導装置101は、ケーシング112とケーシング122とが離間可能な状態に構成されており、中心軸Cと中心軸Cとのなす角を調整することができる。
したがって、内側空間115及び内側空間125に挿入した患部2aが関節(本実施形態では膝)に含まれる場合であっても、関節を任意の角度に曲げた状態の患部近傍に対して注射器4を刺したり内視鏡を挿入したりすることができる。
また、磁場誘導装置1の間隔調整機構と比較して、ヒンジ131は、ケーシング112及びケーシング122の一方の側(本実施形態では鉛直方向上側)を大きく離間させることが容易である。換言すれば、ヒンジ131は、磁場誘導装置101を過剰に大きくすることなくケーシング112とケーシング122との間に広い空間を確保することができる。したがって、注射器4を刺したり内視鏡を挿入したりする作業が容易になる。
また、磁場誘導装置101は、内側空間115,125に形成される磁場のプロファイルを調整することができる。例えば、ケーシング112とケーシング122との間隔Lを大きくした場合は、間隔Lが小さい場合と比較して、磁場が形成される区間の長さをより長くすることができる。また、間隔Lを小さくした場合は、間隔Lが大きい場合と比較して、より強い磁場を発生させることができる。このように、磁場誘導装置101は、磁気ターゲティングを実施する場合に形成される磁場の自由度を高めることができる。
また、磁場誘導装置101は、(1)ヒンジ131を閉じることによって、中心軸Cに沿った磁場を患部2aに印加することもできるし、(2)ヒンジ131を開くことによって、中心軸Cと中心軸Cとを連続に繋いだ形状の磁場を患部2aに印加することもできる。磁場誘導装置101は、(1)の場合には、直線的なプロファイルを有する磁場を形成可能であり、(2)の場合には、屈曲したプロファイルを有する磁場を形成可能である。このように、磁場誘導装置101は、磁気ターゲティングを実施するために異なるプロファイルの磁場の中から最適なプロファイルの磁場を選択することができる。したがって、磁場誘導装置101は、磁性複合体を移動させる方向を制御する場合の自由度が高めることができる。
なお、本実施形態においてヒンジ131の回転軸は、ケーシング112及びケーシング122の外縁上に設定しているが、当該外縁よりも外側の任意の位置にヒンジ131の回転軸を設定することもできる。回転軸を設定する位置は、ケーシング112とケーシング122とを離間させる態様に応じて適宜設計することができる。
(LD116a〜116h及びLD126)
磁場誘導装置101は、ケーシング112に配置された1又は複数のレーザ光源であるLD116aから116hと、ケーシング122に配置された1又は複数のレーザ光源であるLD126を備えている。LD116a〜116h及びLD126の各々が発するレーザ光は、内側空間115に含まれる中心軸C上のある点を指し示している。
LD116a〜116h及びLD126の各々は、磁場誘導装置1のLD16a〜16cと同様の効果を奏する。
なお、LD116a〜116h及びLD126の各々が指し示す所定の位置は、図2の(a)に示すように1つの所定の箇所であってもよいし、複数の所定の箇所であってもよい。LD116a〜116h及びLD126の各々が複数の所定の箇所を指し示す場合の例として、(1)LD116a〜116gの各々が発するレーザ光は、中心軸Cに対して1つの所定の位置である第1の所定の位置において交わり、(2)LD116h及びLD126の各々が発するレーザ光は、それぞれ、中心軸Cに対して、上記第1の所定の位置とは異なる第2の所定の位置及び第3の所定の位置において交わる構成が挙げられる。この場合は、第1の所定の位置は、第2の所定の位置及び第3の所定の位置の中間に位置することになる。
(磁場誘導装置101の変形例)
磁場誘導装置101の変形例として、磁場誘導装置1の変形例として記載した各構成を適宜適用することができる。したがって、ここでは、磁場誘導装置101に適用可能な変形例の構成に関する説明を省略する。
〔実施例及び参考例〕
本発明の第1〜第4の実施例と、本発明の参考例とについて、図3〜図5を参照して説明する。
図3の(a)は、第1〜第4の実施例及び参考例である磁場誘導装置201を模式的に示した縦断面図及び平面図である。図3の(b)は、第1〜第4の実施例の内側空間215,225内における磁束密度分布を示すグラフである。図4の(a)〜(c)は、参考例の内側空間215,225内における磁束密度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。図4の(a)には、ソレノイドコイル213,223に2.5A以上2.9A以下の電流を供給した場合の磁束密度分布を示している。図4の(b)には、ソレノイドコイル213,223に5.5A以上5.7A以下の電流を供給した場合の磁束密度分布を示している。図4の(c)には、ソレノイドコイル213,223に8.3A以上8.6A以下の電流を供給した場合の磁束密度分布を示している。図5の(a)は、参考例の内側空間215,225内における磁束密度分布の測定結果を示すグラフである。このとき、ソレノイドコイル213,223に供給した電流は、10Aである。図5の(b)は、参考例の内側空間215,225内における磁束密度の電流依存性を示すグラフである。図5の(b)においては、シミュレーション結果を白抜きの丸で示し、測定結果を白抜きの四角で示している。
図3の(a)に示すように、第1〜第4の実施例及び参考例である磁場誘導装置201は、第1のモジュール211と第2のモジュール221とを備えている。第1のモジュール211は、第1のケーシングであるケーシング212と、第1のソレノイドコイルであるソレノイドコイル213とを含む。第2のモジュール221は、第2のケーシングであるケーシング222と、第2のソレノイドコイルである223とを含む。
磁場誘導装置201の第1のモジュール211、ケーシング212、ソレノイドコイル213、第2のモジュール221、ケーシング222、及びソレノイドコイル223は、それぞれ、磁場誘導装置1の第1のモジュール11、ケーシング12、ソレノイドコイル13、第2のモジュール21、ケーシング22、及びソレノイドコイル23に対応する。
磁場誘導装置201において、ケーシング212、ソレノイドコイル213、ケーシング222、及びソレノイドコイル223の中心軸が何れも同軸となるように、第1のモジュール211と第2のモジュール221とは配置されている。
なお、ケーシング212及びソレノイドコイル213は、磁場誘導装置1及び磁場誘導装置101の何れにも適用することができる。同様に、ケーシング222及びソレノイドコイル223は、磁場誘導装置1及び磁場誘導装置101の何れにも適用することができる。すなわち、磁場誘導装置201が間隔調整機構を採用する場合、図1に示したスライド式の間隔調整機構を採用することもできるし、図2に示した回転式の間隔調整機構を採用することもできる。
図3の(a)に図示した座標系は、図1に図示した座標系と同様に定めている。なお、図3の(a)においては、ケーシング212,222及びソレノイドコイル213,223に共通する中心軸上のうち、ケーシング222のz軸負方向側の端面の位置が原点となるように、座標系を定めている。
第1〜第4の実施例及び参考例の磁場誘導装置201は、以下に示す表1のように各設計パラメータを定められている。ここでは、ケーシング212の外径DO1及び内径DI1と、ケーシング222の外径DO2及び内径DI2と、ケーシング212,222の幅L,Lと、ソレノイドコイル213,223の中心軸に沿った方向(z軸方向)の巻数NZ1,NZ2と、ソレノイドコイル213,223の径方向(例えばy軸方向)の巻数NR1,NR2とを設計パラメータとしている。ソレノイドコイル213,223の総巻数N,Nは、巻数NZ1と巻数NR1との積及び巻数NZ2と巻数NR2との積である。なお、第1〜第4の実施例及び参考例において、ケーシング212とケーシング222との間隔Lは、共通に10mmとした。
Figure 0006942340
なお、ソレノイドコイル213,223を構成する銅線としては、直径が1mmである銅線を用いた。また、図3の(b)に示す第1〜第4の実施例の磁束密度分布を測定するときには、ソレノイドコイル213,223に2Aの電流を供給した。また、磁束密度は、ソレノイドコイル213,223の中心軸上において測定した。
第1〜第4の実施例は、互いに連通する内側空間215,225の中央において、0.017T以上0.033T未満の磁束密度を発生させることができた(図3の(b)参照)。内側空間215,225の上記中央は、中心軸上に位置する点であって、互いに離間しているケーシング212とケーシング222とから等距離にある点とも言い換えられる。
ソレノイドコイル213,223が発生する磁束密度は、供給する電流値におよそ比例することが知られている。したがって、磁気ターゲティングに用いるための閾値である0.1Tを上回る磁束密度を発生させるためには、第1の実施例であれば約8.4A、第2の実施例であれば約6.3A、第3の実施例であれば約8A、第4の実施例であれば約11.8Aの電流をソレノイドコイル213,223に供給すればよいことが分かった。
以上の結果より、ソレノイドコイル213,223において、上述した各設計パラメータを適宜設計することによって、内側空間215,225に発生する磁場の磁束密度と、磁場のプロファイルとを調整できることが分かった。したがって、磁気ターゲティングを実施する場合に求められる磁場の磁束密度及びプロファイルに応じて、適宜、ソレノイドコイル213,223を設計可能であることが分かった。
また、参考例は、Bio−Savartの法則を用いて磁束密度をシミュレーションした結果と、磁束密度の測定結果との整合性を確認するために作成した磁場誘導装置201である。参考例の設計パラメータも表1に合わせて記載している。
参考例において、ソレノイドコイル213,223に供給する電流を2.5A以上8.6A以下の範囲内で変化させた場合の磁束密度をシミュレーションした。その結果、図4の(a)〜(c)に示した磁束密度分布を得た。
参考例では、ソレノイドコイル213とソレノイドコイル223との設計パラメータを異ならせた。その結果、これらの設計パラメータの違いに起因して、z軸正方向側の端部における磁場のプロファイルと、z軸負方向側の端部における磁場のプロファイルとが異なることが分かった。
また、参考例において、ソレノイドコイル213,223に供給する電流を0A以上10A以下の範囲内で変化させた場合の磁束密度をシミュレーション及び測定した。
図5の(a)を参照すれば、磁場誘導装置201は、ソレノイドコイル213,223に10Aの電流を供給することにより約180mTの磁束密度を発生することが分かった。また、図5の(b)を参照すれば、磁場誘導装置201によって得られたシミュレーション結果と測定結果とは、よく一致することが分かった。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、体内に注入された磁性複合体を誘導する磁場誘導装置として利用することができる。
1,101 磁場誘導装置
11,111 第1のモジュール
21,121 第2のモジュール
12,112 ケーシング(第1のケーシング)
22,122 ケーシング(第2のケーシング)
13,113 ソレノイドコイル(第1のソレノイドコイル)
23,123 ソレノイドコイル(第2のソレノイドコイル)
14,24,114,124 スリーブ
241 ガイド孔
15,115 内側空間(第1のケーシングの内側空間)
25,125 内側空間(第2のケーシングの内側空間)
16a〜16c,116a〜116h,126 レーザダイオード(LD)(レーザ光源)
31〜33 ガイド棒
131 ヒンジ
34,35,134,135 スタンド
36,37,136,137 支持軸

Claims (6)

  1. 軟骨損傷が生じている人体の関節の近傍に注入された磁性複合体を上記関節に向かって誘導する磁場誘導装置であって、
    上記関節をその内側空間に収容する、環状の第1のケーシング及び環状の第2のケーシングと、
    上記第1のケーシングの内側壁に巻き付けられた導線からなる第1のソレノイドコイルと、
    上記第2のケーシングの内側壁に巻き付けられた導線からなる第2のソレノイドコイルと、を備え、
    上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの各々は、上記第1のケーシングの上記内側空間と上記第2のケーシングの上記内側空間とが連通するように配置されており、
    上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとは、離間している、又は、離間可能な状態に構成されており
    上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとが離間している間隔、又は、離間可能な間隔は、注射器及び内視鏡の少なくとも何れか一方を挿入するための間隔である、
    ことを特徴とする磁場誘導装置。
  2. 上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整する間隔調整機構を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁場誘導装置。
  3. 上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの各々は、上記第1のソレノイドコイルの中心軸と上記第2のソレノイドコイルの中心軸とが一致するように配置されており、
    上記間隔調整機構は、上記第1のソレノイドコイルの上記中心軸に沿って上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの少なくとも何れか一方を並進させることによって、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の磁場誘導装置。
  4. 上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔が最小になるように上記間隔調整機構を調整した状態において、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの各々は、上記第1のソレノイドコイルの中心軸と上記第2のソレノイドコイルの中心軸とが一致するように配置されており、
    上記間隔調整機構は、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの外縁上に設定された所定の軸、又は、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの外縁よりも外側に設定された所定の軸を回転軸として、上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングの少なくとも何れか一方を回転させることによって、上記第1のケーシングと上記第2のケーシングとの間隔を調整する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の磁場誘導装置。
  5. 上記第1のケーシング及び上記第2のケーシングのうち少なくとも何れか一方に配置された1又は複数のレーザ光源を更に備え、
    当該1又は複数のレーザ光源の各々が発するレーザ光が上記第1のケーシングの上記内側空間又は上記第2のケーシングの上記内側空間に含まれる所定の位置を指し示すように、上記1又は複数のレーザ光源の各々は、配置されている、
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁場誘導装置。
  6. 上記所定の位置は、上記第1のソレノイドコイルの中心軸上、又は、上記第2のソレノイドコイルの中心軸上に設定されている、
    ことを特徴とする請求項5に記載の磁場誘導装置。
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