以下、各実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
実施の形態1に係る歯科用機器は、口腔内の歯列の三次元形状を取得するための三次元スキャナ(口腔内スキャナ)である。しかし、本発明に係る歯科用機器は、口腔内用の三次元スキャナに限定されるものではなく、口腔内用の2Dハンディカメラ等の撮像装置であってもよい。また、本発明に係る歯科用機器は、根管治療器、または、LED光重合器等の非撮像装置であってもよい。すなわち、本発明に係る歯科用機器は、歯科の診療、予防、および健診の何れかのために、口腔内に差し込まれて使用される歯科用機器であればよい。
図1は、実施の形態1における三次元スキャナ100と周辺機器とを示す図である。三次元スキャナ100は、周辺機器である表示部50を備えた画像処理装置53および電源部52とケーブル51でつながっている。
三次元スキャナ100は、筐体10を備えている。筐体10の形状は、柱状である。ユーザは、筐体10の一部を上(紙面の上)または下(紙面の下)から保持し、三次元スキャナ100の先端を口腔内に差し込んで対象物99の形状を計測する。対象物99とは、口腔内の歯牙である。筐体10には、ユーザの操作を受け付ける受付部20が設けられている。ユーザの操作には、所定期間における単発操作(例えば、シングルクリック操作、タッチ操作、1目盛り回転等)、および、所定期間における複数操作が含まれる。複数操作には、所定期間において単発操作を繰り返し複数回行う操作(例えば、ダブルクリック操作、スワイプ操作、複数目盛り回転等)と、所定期間において1回の単発操作の状態を継続する操作(例えば、長押し操作、ホールド操作等)との何れかが含まれる。単発操作は複数操作と比較してユーザによる操作が単純な単純操作であり、複数操作は単発操作と比較してユーザによる操作が複雑な複雑操作である。
図1では、受付部20は筐体10から突出した単一のボタンであるが、単一の静電容量式のタッチパネルでもよいし、単一のダイヤルでもよい。受付部20がボタンである場合には、シングルクリック操作、ダブルクリック操作、または長押し操作を受け付ける。受付部20が静電容量式のタッチパネルである場合には、受付部20は、タッチ操作、スワイプ操作、またはホールド操作を受け付ける。受付部20がダイヤルである場合には、受付部20は、1目盛り回転、または複数目盛り回転を受け付ける。また、受付部20はボタンと静電容量式のタッチパネルとを組み合わせたものでもよいし、ボタンとダイヤルとを組み合わせたものでもよい。
表示部50は、対象物99の三次元形状の結果を表示するための表示装置である。また、表示部50は、後述の撮像部30(図2参照)の設定情報や、患者情報、スキャナの起動状態、取扱説明書、ヘルプ画面等のその他の情報を表示するための表示装置としても利用することができる。表示部50には、据え置き式の液晶ディスプレイ、ヘッドマウント式やメガネ式のウェアラブルディスプレイ等が適用できる。また、表示部50は複数あってもよく、三次元形状の計測結果やその他の情報が、複数の表示部50上に同時表示あるいは分割表示されてもよい。画像処理装置53は、三次元スキャナ100が取得した三次元計測データを合成して歯列弓の画像を生成する。
電源部52は、三次元スキャナ100および表示部50を駆動するための電力を供給するための装置である。電源部52は、図1に示すように三次元スキャナ100の外部に設けられていても、三次元スキャナ100の内部に設けられていてもよい。また、電源部52は、三次元スキャナ100、表示部50のそれぞれに個別に給電できるように複数設けられてもよい。
図2は、実施の形態1における三次元スキャナ100の機能を示すブロック図である。三次元スキャナ100は、受付部20、撮像部30、および制御部35を備えている。
受付部20は、図1で説明した通りである。撮像部30は、対象物99にパターンを投影し、投影したパターンを撮像する。撮像部30は、投影パターンや光学センサの焦点の位置を変化させる構成を含み、光学的な手法を用いて三次元形状を取得する。制御部35は、受付部20で受け付けた操作に基づいて、撮像部30の制御を行う。制御部35は、CPU(Central Processing Unit)36、ROM(Read Only Memory)37、RAM(Random Access Memory)38等から構成される。CPU36は、ROM37に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAM38に展開し、展開されたプログラムに従って、撮像部30の動作を制御する。
制御部35は、受付部20で受け付けたユーザ操作に基づいて、撮像部30の動作を制御する。受付部20で受け付け可能なユーザ操作には、シングルクリック操作およびダブルクリック操作の2種類がある。ここで、図3を参照して、制御部35におけるユーザ操作別の制御内容について説明する。図3は、実施の形態1における制御部35の制御テーブルを示す図である。
図3で示すように、受付部20でユーザのシングルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は、待機モードとスキャンモードとの切り替えを行う。これにより、待機モード中にユーザが受付部20をシングルクリック操作するとスキャン動作が開始し、スキャンモード中にユーザが受付部20をシングルクリック操作するとスキャン動作が停止する。
受付部20でユーザのダブルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は、歯列画像のタイプ(以下、「歯列のタイプ」と称す)を変更する。歯列のタイプには、上顎歯列弓、下顎歯列弓、または噛合状態(バイト)の3種類があり、ユーザは口腔内の歯牙を撮像するにあたり、歯牙がいずれのタイプの歯列のものであるかを指定する必要がある。
ここで、その必要性について説明する。三次元スキャナ100は、対象物99に対するユーザの走査に伴って連続して取得した三次元計測データを画像処理装置53へ随時送信する。画像処理装置53は、画像生成アプリケーションが起動された状態において、三次元スキャナ100から受信する複数の三次元計測データに含まれる三次元位置情報に基づいて複数の画像を合成する画像合成処理を行う。画像合成処理においては、歯列のタイプ毎に所定のフォルダに格納されている三次元計測データに基づいて、歯列のタイプ毎に画像が合成されるので、予め、ユーザによって歯列のタイプが指定されている必要がある。従来は、ユーザが歯列のタイプを指定するためには、表示部50に表示されている歯列のタイプをマウスでクリック、もしくは、タッチする必要があった。これに対し、実施の形態1においては、制御部35は、受付部20でダブルクリック操作を受け付ける毎に歯列のタイプを下顎歯列弓、上顎歯列弓、噛合状態(バイト)の順に切り替えていく。これにより、ユーザは、1つの受付部20をシングルクリック操作するだけで、待機モードとスキャンモードとの切り替えを行えるとともに、ダブルクリック操作するだけで、歯列のタイプを変更することができる。
図4は、実施の形態1における制御部35による処理を示すフローチャートである。当該処理は、制御部35による図3に示す制御の処理であり、CPU36がROM37に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
まず、制御部35は、受付部20でシングルクリック操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS1)。受付部20でシングルクリック操作を受け付けた場合には(ステップS1でYES)、制御部35は、待機モードとスキャンモードとの切り替えを行い(ステップS2)、図4に示す処理を終了する。一方、受付部20でシングルクリック操作を受け付けていない場合には(ステップS1でNO)、制御部35は、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、制御部35は、受付部20でダブルクリック操作を受け付けたか否かを判定する。受付部20でダブルクリック操作を受け付けた場合には(ステップS3でYES)、制御部35は、歯列のタイプを変更し(ステップS4)、図4に示す処理を終了する。一方、受付部20でダブルクリック操作を受け付けていない場合には(ステップS3でNO)、制御部35は、ステップS1へ移行する。
このように、実施の形態1における三次元スキャナ100は、ユーザが保持する保持部を有する筐体10と、筐体10に設けられユーザの操作を受け付ける受付部20と、受付部20で受け付けた操作に基づいて所定の動作をする撮像部30の制御を行う制御部35とを備える。制御部35は、受付部20でシングルクリック操作を受け付けると、待機モードとスキャンモードとの切り替えを行い、受付部20でダブルクリック操作を受け付けると、従来においてはマウスや表示部50等の周辺機器を操作して行っていた、歯列タイプの変更を実行する。
これにより、実施の形態1においては、ユーザは、待機モードとスキャンモードとの切り替えに使用される受付部20をダブルクリック操作することで、歯列タイプの変更を行うことができる。すなわち、ユーザに歯科用機器から手を離させること無く、歯列タイプの変更操作を行わせることができるので、感染が防止され、衛生的である。
また、実施の形態1においては、ユーザは歯列タイプの変更を行う際にマウスや表示部50等の周辺機器に触れる必要がないので、周辺機器に触れる時用のディスポーザブルな手袋やカバーを用意する必要もない。ゆえに、低コスト、かつ、省資源につながる。また、歯列タイプの変更を行う際にディスポーザブルな手袋やカバーを着用する手間も省けるので、ユーザビリティが向上するとともに、ユーザの作業効率も向上する。
また、実施の形態1においては、ユーザは、待機モードとスキャンモードとの切り替えに使用される受付部20に対し、待機モードとスキャンモードとの切り替え操作(例えば、シングルクリック操作等)以外の操作(例えば、ダブルクリック操作等)を行うことで、歯列のタイプを変更することができる。すなわち、少ない数の受付部20で、待機モードとスキャンモードとの切り替え以外の制御が可能となるので、低コストにつながるとともに、ユーザビリティも向上する。
また、実施の形態1においては、口腔内の歯牙を撮像する際に必ず発生する歯列のタイプの切り替えを、ユーザの手元で素早く行えるので、撮像時間の短縮につながり、ユーザの作業効率が向上するとともに、患者の負担も軽減される。
また、実施の形態1においては、受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容は、スキャンモードと待機モードとの切り替え、および、歯列のタイプの変更であったが、これらに限られない。受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容は、解像度の変更、カラーモードとモノクロモードとの切り替え、スナップショットへの変更、三次元形状の確認、スキャンした画像の巻き戻し、スキャンした画像の削除、上顎の画像データと下顎の画像データとの入れ替え、または支台歯の選択等であってもよい。ここで、解像度の変更とは、二次元画像の場合にはX,Y座標中の画像データの密度を上げることであるが、三次元画像の場合には更にZ座標中の画像データの密度を上げることである。
制御部35は、受付部20に対するユーザ操作が単純操作である場合には、スキャンモードと待機モードとの切り替えを行い、受付部20に対するユーザ操作が複雑操作である場合には、少なくとも、三次元計測によって取得するデータ量の変更(例えば、解像度の変更、カラーモードとモノクロモードとの切り替え等)、三次元計測によって取得したデータに基づいて生成された画像の画質の変更(例えば、低画質と高画質との切り替え等)、三次元計測の実行形式の変更(例えば、歯列タイプの変更等)、および、三次元計測中の対象物99の画像生成(例えば、スナップショットの取得等)の何れかを実行するのであればよい。
また、受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容を、ユーザが任意に選択して設定できるようにしてもよい。
以下に、実施の形態1における三次元スキャナ100のスキャン操作の一例を紹介する。ここでは、ユーザは、下顎歯列弓、上顎歯列弓、噛合状態(バイト)の順に歯牙をスキャンしていくものとする。
第1ステップ:ユーザがスキャンソフトを起動すると、今からスキャンする歯列のタイプとして下顎歯列弓が選択される。
第2ステップ:ユーザは、三次元スキャナ100の電源をONにし、手袋を装着した上で、オートクレーブ(滅菌処理)されたチップを三次元スキャナ100に装着する。
第3ステップ:ユーザは、三次元スキャナ100を手に取り、患者の口の中に挿入する。ユーザは、今からスキャンする下顎歯列弓にチップを向ける。
第4ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、下顎歯列弓のスキャンを開始する(ステップS2)。
第5ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。
第6ステップ:下顎歯列弓のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS2)。
第7ステップ:ユーザは、受付部20をダブルクリックして、歯列のタイプを上顎歯列弓に切り替える(ステップS4)。なお、第6ステップにおいて、下顎歯列弓のスキャンが完了した場合に、スキャンを停止させることなく、受付部20をダブルクリックして、歯列のタイプを上顎歯列弓に切り替えてもよい。
第8ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、上顎歯列弓のスキャンを開始する(ステップS2)。
第9ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。
第10ステップ:上顎歯列弓のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS2)。
第11ステップ:ユーザは、受付部20をダブルクリックして、歯列のタイプを噛合状態(バイト)に切り替える(ステップS4)。なお、第10ステップにおいて、上顎歯列弓のスキャンが完了した場合に、スキャンを停止させることなく、受付部20をダブルクリックして、歯列のタイプを噛合状態(バイト)に切り替えてもよい。
第12ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、噛合状態(バイト)のスキャンを開始する(ステップS2)。
第13ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。
第14ステップ:噛合状態(バイト)のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS2)。
第15ステップ:スキャンソフト上で、下顎歯列弓をスキャンしたデータ、上顎歯列弓をスキャンしたデータ、および噛合状態(バイト)をスキャンしたデータが合成された後、ユーザは三次元スキャナ100をクレードルに戻す。
第16ステップ:ユーザは電源ボタンを3秒以上長押しして、三次元スキャナ100の電源をOFFにする。
上記ステップの後、ユーザは、スキャンによって得られた歯牙の三次元形状をSTL(Standard Triangulated Language)データに変換する。変換されたSTLデータは、補綴物を作成する場合、三次元歯列弓のデータを電子カルテで管理する場合、または、齲等の疾患を画像診断する場合等に使用される。
[実施の形態2]
実施の形態1においては、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かに関わらず、受付部20で受け付けた操作に応じて、異なる制御を実行した。これに対し、実施の形態2においては、制御部は、受付部で受け付けた操作に加え、現在のモードがスキャンモードであるか否かに応じて、異なる制御を実行する。なお、実施の形態2における三次元スキャナの構成は実施の形態1における三次元スキャナ100の構成と同様であることから、以下においては、同一符号を付し、説明は省略する。
図5は、実施の形態2における制御部35の制御テーブルを示す図である。三次元スキャナ100には、待機モードとスキャンモードとがある。待機モードとは、口腔内の歯牙を撮像不可能なモードであり、スキャンモードへ移行可能なモードである。これに対し、スキャンモードは、口腔内の歯牙を撮像可能なモードである。スキャンモードにおいて、撮像部30は、複数の歯牙の画像を連続的に撮像し、当該画像に基づいて歯列画像を生成する。
待機モード中に受付部20でユーザのシングルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は待機モードをスキャンモードへ切り替える。一方、スキャンモード中に受付部20でユーザのシングルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35はスキャンモードを待機モードへ切り替える。これにより、ユーザは、受付部20をシングルクリック操作するだけで、待機モードとスキャンモードとを切り替えることができる。
待機モード中に受付部20でユーザのダブルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は歯列のタイプを変更する。具体的には、制御部35は、待機モード中に受付部20でダブルクリック操作を受け付ける毎に歯列のタイプを下顎歯列弓、上顎歯列弓、噛合状態(バイト)の順に切り替えていく。これにより、ユーザは、待機モード中に受付部20をダブルクリック操作するだけで、歯列のタイプを変更することができる。
スキャンモード中に受付部20でユーザのダブルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は、撮像形式のうち解像度を変更する。解像度には、標準と高解像度とがあり、ユーザは必要に応じて切り替えながら、口腔内の歯牙を撮像する。従来は、ユーザが、表示部50に表示されている解像度をマウスでクリック、もしくは、タッチすることにより、解像度を変更していた。これに対し、実施の形態2においては、制御部35は、スキャンモード中に受付部20でダブルクリック操作を受け付けると解像度を変更する。これにより、ユーザは、スキャンモード中に受付部20をダブルクリック操作するだけで、解像度を変更することができる。なお、解像度は標準と高解像度との2種類に限られず、3種類以上あってもよい。また、解像度の変更とは、二次元画像の場合にはX,Y座標中の画像データの密度を上げることであるが、三次元画像の場合には更にZ座標中の画像データの密度を上げることである。
図6は、実施の形態2における制御部35による処理を示すフローチャートである。当該処理は、制御部35による図5に示す制御の処理であり、CPU36がROM37に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
まず、制御部35は、受付部20でシングルクリック操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS11)。受付部20でシングルクリック操作を受け付けた場合には(ステップS11でYES)、制御部35は、ステップS12へ移行する。一方、受付部20でシングルクリック操作を受け付けていない場合には(ステップS11でNO)、制御部35は、ステップS15へ移行する。
ステップS12では、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かを判定する。現在のモードがスキャンモードである場合には(ステップS12でYES)、制御部35は、待機モードへ切り替え(ステップS13)、図6に示す処理を終了する。一方、現在のモードがスキャンモードではない場合、すなわち、現在のモードが待機モードである場合には(ステップS12でNO)、制御部35は、スキャンモードへ切り替え(ステップS14)、ステップS11へ移行する。
ステップS15では、制御部35は、受付部20でダブルクリック操作を受け付けたか否かを判定する。受付部20でダブルクリック操作を受け付けた場合には(ステップS15でYES)、制御部35は、ステップS16へ移行する。一方、受付部20でダブルクリック操作を受け付けていない場合には(ステップS15でNO)、制御部35は、ステップS11へ移行する。
ステップS16では、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かを判定する。現在のモードがスキャンモードである場合には(ステップS16でYES)、制御部35は、解像度を変更し(ステップS17)、ステップS11へ移行する。一方、現在のモードがスキャンモードではない場合、すなわち、現在のモードが待機モードである場合には(ステップS16でNO)、制御部35は、歯列のタイプを変更し(ステップS18)、図6に示す処理を終了する。
このように、実施の形態2における三次元スキャナ100は、ユーザが保持する保持部を有する筐体10と、筐体10に設けられユーザの操作を受け付ける受付部20と、受付部20で受け付けた操作に基づいて所定の動作をする撮像部30の制御を行う制御部35とを備える。制御部35は、受付部20でシングルクリック操作を受け付けると、スキャンモードと待機モードとの切り替えを行い、受付部20でダブルクリック操作を受け付けると、従来においてはマウスや表示部50等の周辺機器を操作して行っていた、歯列タイプの変更や撮像形式の変更等を実行する。一例として、制御部35は、待機モード中にダブルクリック操作を受け付けた場合には、歯列のタイプを変更し、スキャンモード中にダブルクリック操作を受け付けた場合には、解像度を変更する。
これにより、実施の形態2においては、ユーザは、スキャンモードと待機モードとの切り替えに使用される受付部20をダブルクリック操作することで、歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行うことができる。すなわち、ユーザに歯科用機器から手を離させること無く、歯列タイプの変更操作や撮像形式の変更操作を行わせることができるので、感染が防止され、衛生的である。
また、実施の形態2においては、ユーザは歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行う際にマウスや表示部50等の周辺機器に触れる必要がないので、周辺機器に触れる時用のディスポーザブルな手袋やカバーを用意する必要もない。ゆえに、低コスト、かつ、省資源につながる。また、歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行う際にディスポーザブルな手袋やカバーを着用する手間も省けるので、ユーザビリティが向上するとともに、ユーザの作業効率も向上する。
また、実施の形態2においては、待機モードとスキャンモードとの切り替えに使用される受付部20に対するユーザによる操作(例えば、ダブルクリック操作等)と、現在のモードがスキャンモードであるか否かとを組み合わせることで、最大で2つの異なる制御(例えば、歯列のタイプの変更、解像度の変更等)を実行することができる。すなわち、少ない数の受付部20で様々な制御が可能となるので、低コストにつながるとともに、ユーザビリティも向上する。
また、実施の形態2においては、口腔内の歯牙を撮像する際に必ず発生する歯列のタイプの切り替えを、ユーザの手元で素早く行えるので、撮像時間の短縮につながり、ユーザの作業効率が向上するとともに、患者の負担も軽減される。
なお、実施の形態2においては、筐体10に設けられる受付部20は一つのみであったが、複数設けられてもよい。例えば、筐体10に、スキャンモードと待機モードとの切り替えに使用される受付部と、歯列タイプの変更や撮像形式の変更に使用される受付部とが設けられてもよい。但し、コスト、および、ユーザビリティを考慮すると、受付部20の数は少ない方が望ましい。
また、実施の形態2においては、受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容は、スキャンモードと待機モードとの切り替え、歯列のタイプの変更、および解像度の変更であったが、これらに限られない。受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容は、カラーモードとモノクロモードとの切り替え、スナップショットへの変更、三次元形状の確認、スキャンした画像の巻き戻し、スキャンした画像の削除、上顎の画像データと下顎の画像データとの入れ替え、または支台歯の選択等であってもよい。さらに、受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容を、ユーザが任意に選択して設定できるようにしてもよい。
以下に、実施の形態2における三次元スキャナ100のスキャン操作の一例を紹介する。ここでは、ユーザは、下顎歯列弓、上顎歯列弓、噛合状態(バイト)の順に歯牙をスキャンしていくものとする。
第1ステップ:ユーザがスキャンソフトを起動すると、今からスキャンする歯列のタイプとして下顎歯列弓が選択される。
第2ステップ:ユーザは、三次元スキャナ100の電源をONにし、手袋を装着した上で、オートクレーブ(滅菌処理)されたチップを三次元スキャナ100に装着する。
第3ステップ:ユーザは、三次元スキャナ100を手に取り、患者の口の中に挿入する。ユーザは、今からスキャンする下顎歯列弓にチップを向ける。
第4ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、下顎歯列弓のスキャンを開始する(ステップS14)。
第5ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。ユーザは、スキャン中に受付部20をダブルクリックすることで、解像度を変更することができる(ステップS17)。
第6ステップ:下顎歯列弓のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS13)。
第7ステップ:ユーザは、受付部20をダブルクリックして、歯列のタイプを上顎歯列弓に切り替える(ステップS18)。
第8ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、上顎歯列弓のスキャンを開始する(ステップS14)。
第9ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。ユーザは、スキャン中に受付部20をダブルクリックすることで、解像度を変更することができる(ステップS17)。
第10ステップ:上顎歯列弓のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS13)。
第11ステップ:ユーザは、受付部20をダブルクリックして、歯列のタイプを噛合状態(バイト)に切り替える(ステップS18)。
第12ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、噛合状態(バイト)のスキャンを開始する(ステップS14)。
第13ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。ユーザは、スキャン中に受付部20をダブルクリックすることで、解像度を変更することができる(ステップS17)。
第14ステップ:噛合状態(バイト)のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS13)。
第15ステップ:スキャンソフト上で、下顎歯列弓をスキャンしたデータ、上顎歯列弓をスキャンしたデータ、および噛合状態(バイト)をスキャンしたデータが合成された後、ユーザは三次元スキャナ100をクレードルに戻す。
第16ステップ:ユーザは電源ボタンを3秒以上長押しして、三次元スキャナ100の電源をOFFにする。
上記ステップの後、ユーザは、スキャンによって得られた歯牙の三次元形状をSTL(Standard Triangulated Language)データに変換する。変換されたSTLデータは、補綴物を作成する場合、三次元歯列弓のデータを電子カルテで管理する場合、または、齲等の疾患を画像診断する場合等に使用される。
[実施の形態3]
実施の形態1においては、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かに関わらず、受付部20で受け付けた操作に応じて、異なる制御を実行した。また、実施の形態1においては、受付部20で受け付け可能なユーザ操作は、シングルクリック操作およびダブルクリック操作の2種類のみであった。これに対し、実施の形態3においては、制御部は、受付部で受け付けた操作に加え、現在のモードがスキャンモードであるか否かに応じて、異なる制御を実行する。また、実施の形態3においては、受付部で受け付け可能なユーザ操作は、シングルクリック操作、ダブルクリック操作、および長押し操作の3種類である。なお、実施の形態3における三次元スキャナの構成は実施の形態1における三次元スキャナ100の構成と同様であることから、以下においては、同一符号を付し、説明は省略する。
図7は、実施の形態3における制御部35の制御テーブルを示す図である。三次元スキャナ100には、待機モードとスキャンモードとがある。待機モードとは、口腔内の歯牙を撮像不可能なモードである。これに対し、スキャンモードは、口腔内の歯牙を撮像可能なモードである。スキャンモードにおいて、撮像部30は、複数の歯牙の画像を連続的に撮像し、当該画像に基づいて歯列画像を生成する。また、受付部20で受け付け可能なユーザ操作は、シングルクリック操作、ダブルクリック操作、および長押し操作の3種類である。
待機モード中に受付部20でユーザのシングルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は待機モードをスキャンモードへ切り替える。一方、スキャンモード中に受付部20でユーザのシングルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35はスキャンモードを待機モードへ切り替える。これにより、ユーザは、受付部20をシングルクリック操作するだけで、スキャンモードと待機モードとを切り替えることができる。
待機モード中に受付部20でユーザのダブルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は、撮像形式のうち色モードを切り替える。色モードには、カラーモードとモノクロモードとがあり、ユーザは必要に応じて切り替えながら、口腔内の歯牙を撮像する。従来は、ユーザが、表示部50に表示されている色モードをマウスでクリック、もしくは、タッチすることにより、色モードを変更していた。これに対し、実施の形態3においては、制御部35は、待機モード中に受付部20でダブルクリック操作を受け付けると、カラーモードとモノクロモードとを切り替える。これにより、ユーザは、待機モード中に受付部20をダブルクリック操作するだけで、色モードを変更することができる。
スキャンモード中に受付部20でユーザのダブルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は、撮像形式のうち解像度を変更する。これにより、ユーザは、スキャンモード中に受付部20をダブルクリック操作するだけで、解像度を変更することができる。なお、解像度の変更とは、二次元画像の場合にはX,Y座標中の画像データの密度を上げることであるが、三次元画像の場合には更にZ座標中の画像データの密度を上げることである。
待機モード中に受付部20でユーザの長押し操作を受け付けた場合には、制御部35は歯列のタイプを変更する。具体的には、制御部35は、待機モード中に受付部20で長押し操作を受け付ける毎に歯列のタイプを下顎歯列弓、上顎歯列弓、噛合状態(バイト)の順に切り替えていく。これにより、ユーザは、待機モード中に受付部20を長押し操作するだけで、歯列のタイプを変更することができる。
スキャンモード中に受付部20でユーザの長押し操作を受け付けた場合には、制御部35は、撮像形式をスナップショットへ変更する。ユーザは、必要に応じて、スキャンの途中で口腔内の歯牙のスナップショットを撮影することがある。従来は、ユーザが、表示部50に表示されているスナップショットのアイコンをマウスでクリック、もしくは、タッチすることにより、スナップショットへ変更していた。これに対し、実施の形態3においては、制御部35は、スキャンモード中に受付部20で長押し操作を受け付けるとスナップショットに切り替え、撮影する。これにより、ユーザは、スキャンモード中に受付部20を長押し操作するだけで、スナップショットへの変更および撮影が可能となる。
図8は、実施の形態3における制御部35による処理を示すフローチャートである。当該処理は、制御部35による図7に示す制御の処理であり、CPU36がROM37に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
まず、制御部35は、受付部20でシングルクリック操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS21)。受付部20でシングルクリック操作を受け付けた場合には(ステップS21でYES)、制御部35は、ステップS22へ移行する。一方、受付部20でシングルクリック操作を受け付けていない場合には(ステップS21でNO)、制御部35は、ステップS25へ移行する。
ステップS22では、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かを判定する。現在のモードがスキャンモードである場合には(ステップS22でYES)、制御部35は、待機モードへ切り替え(ステップS23)、図8に示す処理を終了する。一方、現在のモードがスキャンモードではない場合、すなわち、現在のモードが待機モードである場合には(ステップS22でNO)、制御部35は、スキャンモードへ切り替え(ステップS24)、ステップS21へ移行する。
ステップS25では、制御部35は、受付部20でダブルクリック操作を受け付けたか否かを判定する。受付部20でダブルクリック操作を受け付けた場合には(ステップS25でYES)、制御部35は、ステップS26へ移行する。一方、受付部20でダブルクリック操作を受け付けていない場合には(ステップS25でNO)、制御部35は、ステップS29へ移行する。
ステップS26では、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かを判定する。現在のモードがスキャンモードである場合には(ステップS26でYES)、制御部35は、解像度を変更し(ステップS27)、ステップS21へ移行する。一方、現在のモードがスキャンモードではない場合、すなわち、現在のモードが待機モードである場合には(ステップS26でNO)、制御部35は、カラーモードとモノクロモードとを切り替え(ステップS28)、図8に示す処理を終了する。
ステップS29では、制御部35は、受付部20で長押し操作を受け付けたか否かを判定する。受付部20で長押し操作を受け付けた場合には(ステップS29でYES)、制御部35は、ステップS30へ移行する。一方、受付部20で長押し操作を受け付けていない場合には(ステップS29でNO)、制御部35は、ステップS21へ移行する。
ステップS30では、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かを判定する。現在のモードがスキャンモードである場合には(ステップS30でYES)、制御部35は、スナップショットへ変更し(ステップS31)、ステップS21へ移行する。一方、現在のモードがスキャンモードではない場合、すなわち、現在のモードが待機モードである場合には(ステップS30でNO)、制御部35は、歯列のタイプを変更し(ステップS32)、図8に示す処理を終了する。
このように、実施の形態3における三次元スキャナ100は、ユーザが保持する保持部を有する筐体10と、筐体10に設けられユーザの操作を受け付ける受付部20と、受付部20で受け付けた操作に基づいて所定の動作をする撮像部30の制御を行う制御部35とを備える。制御部35は、受付部20でシングルクリック操作を受け付けると、スキャンモードと待機モードとの切り替えを行い、受付部20でダブルクリック操作または長押し操作を受け付けると、従来においてはマウスや表示部50等の周辺機器を操作して行っていた、歯列タイプの変更や撮像形式の変更等を実行する。一例として、制御部35は、待機モード中にダブルクリック操作を受け付けた場合には、カラーモードとモノクロモードとを切り替え、スキャンモード中にダブルクリック操作を受け付けた場合には、解像度を変更する。また、制御部35は、待機モード中に長押し操作を受け付けた場合には、歯列のタイプを変更し、スキャンモード中に長押し操作を受け付けた場合には、スナップショットへ変更する。
これにより、実施の形態3においては、ユーザは、スキャンモードと待機モードとの切り替えに使用される受付部20を操作(例えば、ダブルクリック操作、長押し操作等)することで、歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行うことができる。すなわち、ユーザに歯科用機器から手を離させること無く、歯列タイプの変更操作や撮像形式の変更操作を行わせることができるので、感染が防止され、衛生的である。
また、実施の形態3においては、ユーザは歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行う際にマウスや表示部50等の周辺機器に触れる必要がないので、周辺機器に触れる時用のディスポーザブルな手袋やカバーを用意する必要もない。ゆえに、低コスト、かつ、省資源につながる。また、歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行う際にディスポーザブルな手袋やカバーを着用する手間も省けるので、ユーザビリティが向上するとともに、ユーザの作業効率も向上する。
また、実施の形態3においては、待機モードとスキャンモードとの切り替えに使用される受付部20に対するユーザによる操作(例えば、ダブルクリック操作、長押し操作等)と、現在のモードがスキャンモードであるか否かとを組み合わせることで、最大で4つの異なる制御(例えば、歯列のタイプの変更、解像度の変更、カラーモードとモノクロモードとの切り替え、スナップショットへの変更等)を実行することができる。すなわち、少ない数の受付部20で様々な制御が可能となるので、低コストにつながるとともに、ユーザビリティも向上する。
また、実施の形態3においては、口腔内の歯牙を撮像する際に必ず発生する歯列のタイプの切り替えを、ユーザの手元で素早く行えるので、撮像時間の短縮につながり、ユーザの作業効率が向上するとともに、患者の負担も軽減される。
なお、実施の形態3においては、筐体10に設けられる受付部20は一つのみであったが、複数設けられてもよい。例えば、筐体10に、スキャンモードと待機モードとの切り替えに使用される受付部と、歯列タイプの変更や撮像形式の変更に使用される受付部とが設けられてもよい。但し、コスト、および、ユーザビリティを考慮すると、受付部20の数は少ない方が望ましい。
また、実施の形態3においては、受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容は、スキャンモードと待機モードとの切り替え、歯列のタイプの変更、解像度の変更、カラーモードとモノクロモードとの切り替え、およびスナップショットへの変更であったが、これらに限られない。受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容は、三次元形状の確認、スキャンした画像の巻き戻し、スキャンした画像の削除、上顎の画像データと下顎の画像データとの入れ替え、または支台歯の選択等であってもよい。さらに、受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容を、ユーザが任意に選択して設定できるようにしてもよい。
以下に、実施の形態3における三次元スキャナ100のスキャン操作の一例を紹介する。ここでは、ユーザは、下顎歯列弓、上顎歯列弓、噛合状態(バイト)の順に歯牙をスキャンしていくものとする。
第1ステップ:ユーザがスキャンソフトを起動すると、今からスキャンする歯列のタイプとして下顎歯列弓が選択される。
第2ステップ:ユーザは、三次元スキャナ100の電源をONにし、手袋を装着した上で、オートクレーブ(滅菌処理)されたチップを三次元スキャナ100に装着する。
第3ステップ:ユーザは、三次元スキャナ100を手に取り、患者の口の中に挿入する。ユーザは、今からスキャンする下顎歯列弓にチップを向ける。
第4ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、下顎歯列弓のスキャンを開始する(ステップS24)。
第5ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。ユーザは、スキャン中に受付部20をダブルクリックすることで、解像度を変更することができる(ステップS27)。また、ユーザは、スキャン中に受付部20を長押しすることで、スナップショットへ変更し、撮影することができる(S31)。
第6ステップ:下顎歯列弓のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS23)。
第7ステップ:ユーザは、受付部20を長押しして、歯列のタイプを上顎歯列弓に切り替える(ステップS32)。
第8ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、上顎歯列弓のスキャンを開始する(ステップS24)。
第9ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。ユーザは、スキャン中に受付部20をダブルクリックすることで、解像度を変更することができる(ステップS27)。また、ユーザは、スキャン中に受付部20を長押しすることで、スナップショットへ変更し、撮影することができる(S31)。
第10ステップ:上顎歯列弓のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS23)。
第11ステップ:ユーザは、受付部20を長押しして、歯列のタイプを噛合状態(バイト)に切り替える(ステップS32)。
第12ステップ:ユーザは、受付部20をシングルクリックして、噛合状態(バイト)のスキャンを開始する(ステップS24)。
第13ステップ:ユーザは、歯列に沿って三次元スキャナ100を動かし、歯牙をスキャンしていく。ユーザは、表示部50に表示されるマルチビューを見ながら、必要な領域をくまなくスキャンしていく。ユーザは、スキャン中に受付部20をダブルクリックすることで、解像度を変更することができる(ステップS27)。また、ユーザは、スキャン中に受付部20を長押しすることで、スナップショットへ変更し、撮影することができる(S31)。
第14ステップ:噛合状態(バイト)のスキャンが完了すると、ユーザは、受付部20をシングルクリックして、スキャンを停止する(ステップS23)。
第15ステップ:スキャンソフト上で、下顎歯列弓をスキャンしたデータ、上顎歯列弓をスキャンしたデータ、および噛合状態(バイト)をスキャンしたデータが合成された後、ユーザは三次元スキャナ100をクレードルに戻す。
第16ステップ:ユーザは電源ボタンを3秒以上長押しして、三次元スキャナ100の電源をOFFにする。
上記ステップの後、ユーザは、スキャンによって得られた歯牙の三次元形状をSTL(Standard Triangulated Language)データに変換する。変換されたSTLデータは、補綴物を作成する場合、三次元歯列弓のデータを電子カルテで管理する場合、または、齲等の疾患を画像診断する場合等に使用される。
[実施の形態4]
実施の形態3においては、制御部35は、受付部20で長押し操作を受け付ける毎に歯列のタイプを切り替えていった。これに対し、実施の形態4においては、制御部は、受付部で長押し操作を受け付けたことと、三次元スキャナの動きとに基づいて、歯列のタイプを切り替えていく。
図9は、実施の形態4における三次元スキャナ100Aの機能を示すブロック図である。三次元スキャナ100Aは、その動きを検知するモーションセンサー40を備えている点で、実施の形態3における三次元スキャナ100の構成と異なっている。一方で、三次元スキャナ100Aの構成のうちモーションセンサー40を除く構成については実施の形態3における三次元スキャナ100の構成と同様であることから、以下においては、同一符号を付し、説明は省略する。また、実施の形態4における制御部35の制御テーブルは、実施の形態3における制御部35の制御テーブルと同様であることから、説明は省略する。
図10は、実施の形態4における歯列のタイプを変更する場合のユーザ操作を示す図である。図10では、現在、選択されている歯列のタイプが上顎歯列弓である場合に、ユーザが、待機モード中に受付部20を長押し操作しながら三次元スキャナ100Aを傾けると、歯列のタイプが切り替わる様子を示している。具体的には、待機モード中に、ユーザが受付部20を長押し操作しながら三次元スキャナ100Aを起立状態から左に傾けると歯列のタイプが下顎歯列弓に切り替わり、ユーザが受付部20を長押し操作しながら三次元スキャナ100Aを起立状態から右に傾けると歯列のタイプが噛合状態(バイト)に切り替わる。
現在、選択されている歯列のタイプが下顎歯列弓である場合には、待機モード中に、ユーザが受付部20を長押し操作しながら三次元スキャナ100Aを起立状態から左に傾けると歯列のタイプが噛合状態(バイト)に切り替わり、ユーザが受付部20を長押し操作しながら三次元スキャナ100Aを起立状態から右に傾けると歯列のタイプが上顎歯列弓に切り替わる。
現在、選択されている歯列のタイプが噛合状態(バイト)である場合には、待機モード中に、ユーザが受付部20を長押し操作しながら三次元スキャナ100Aを起立状態から左に傾けると歯列のタイプが上顎歯列弓に切り替わり、ユーザが受付部20を長押し操作しながら三次元スキャナ100Aを起立状態から右に傾けると歯列のタイプが下顎歯列弓に切り替わる。
図11は、実施の形態4における制御部35による処理を示すフローチャートである。当該処理は、制御部35による図10に示す制御の処理であり、CPU36がROM37に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
まず、制御部35は、待機モード中に受付部20で長押し操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS41)。制御部35は、待機モード中に受付部20で長押し操作を受け付けるまでステップS41の処理を繰り返し、待機モード中に受付部20で長押し操作を受け付けた場合には(ステップS41でYES)、歯列のタイプを変更する(ステップS42)。
次いで、制御部35は、三次元スキャナ100Aが起立状態から右に傾いたか否かを判定する(ステップS43)。制御部35は、モーションセンサー40による検知結果を基に、三次元スキャナ100Aが起立状態から右に傾いたか否かを判定する。三次元スキャナ100Aが起立状態から右に傾いた場合には(ステップS43でYES)、次の歯列のタイプに変更し(ステップS44)、図11に示す処理を終了する。一方、三次元スキャナ100Aが起立状態から右に傾いていない場合には(ステップS43でNO)、制御部35は、三次元スキャナ100Aが起立状態から左に傾いたか否かを判定する(ステップS45)。制御部35は、モーションセンサー40による検知結果を基に、三次元スキャナ100Aが起立状態から左に傾いたか否かを判定する。
三次元スキャナ100Aが起立状態から左に傾いた場合には(ステップS45でYES)、制御部35は、前の歯列のタイプに変更し(ステップS46)、図11に示す処理を終了する。一方、三次元スキャナ100Aが起立状態から左に傾いていない場合には(ステップS45でNO)、制御部35は、歯列のタイプを変更することなく、図11に示す処理を終了する。なお、三次元スキャナ100Aは起立状態で無くてもよく床面に対し水平な状態でもよい。三次元スキャナ100Aが床面に対し水平な状態にある場合には、口腔内を撮像している場合と混同しないようにするために、口腔内ではありえない傾き、例えば、三次元スキャナ100Aの傾きが水平から45度以上であることを判定閾値として用いることができる。
このように、実施の形態4における三次元スキャナ100Aは、実施の形態3における三次元スキャナ100の構成に加え、その動きを検知するモーションセンサー40をさらに備えている。待機モード中に、長押し操作されながら三次元スキャナ100Aが傾けられると、制御部35は、歯列のタイプを傾いた方向に基づいて、前の歯列のタイプ、または、後の歯列のタイプに切り替える。これにより、ユーザの1回の操作で移行したい歯列のタイプに切り替えることができる。したがって、実施の形態4における三次元スキャナ100Aは、実施の形態3における三次元スキャナ100が有する効果に加え、ユーザビリティが向上するという効果を有する。
[実施の形態5]
実施の形態1〜実施の形態4においては、制御部35の制御テーブルは1つで固定であった。これに対し、実施の形態5においては、制御部の制御テーブルを複数設けて、当該制御テーブルを切り替えることができる。実施の形態5においては、三次元スキャナが起立状態にある時の制御テーブルと、三次元スキャナが傾いている時の制御テーブルとがある。なお、実施の形態5における三次元スキャナの構成は実施の形態4における三次元スキャナ100Aの構成と同様であることから、以下においては、同一符号を付し、説明は省略する。
図12は、実施の形態5におけるユーザによる操作を示す図である。図13は、実施の形態5における制御部35の制御テーブルを示す図である。ユーザが、受付部20を長押し操作している際に、三次元スキャナ100Aが起立状態にある場合には、制御部35は、図13(A)に示す制御テーブルに基づいて、撮像部30を制御する。一方、ユーザが、受付部20を長押し操作している際に、三次元スキャナ100Aが傾いている状態にある場合には、制御部35は、図13(B)に示す制御テーブルに基づいて、撮像部30を制御する。
図13(A),(B)を参照して、三次元スキャナ100Aが傾いているか否かに関わらず、待機モード中に受付部20でユーザのシングルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35は待機モードをスキャンモードへ切り替える。これにより、スキャン動作が開始する。一方、三次元スキャナ100Aが傾いているか否かに関わらず、スキャンモード中に受付部20でユーザのシングルクリック操作を受け付けた場合には、制御部35はスキャンモードを待機モードへ切り替える。これにより、スキャン動作が停止する。このように、ユーザは、三次元スキャナ100Aが傾いているか否かに関わらず、受付部20をシングルクリック操作するだけで、待機モードとスキャンモードとを切り替えることができる。
図13(A)を参照して、三次元スキャナ100Aが起立状態にあり、かつ、待機モードである場合に受付部20でユーザの長押し操作を受け付けると、制御部35は歯列のタイプを変更する。一方、三次元スキャナ100Aが起立状態にあり、かつ、スキャンモードである場合に受付部20でユーザの長押し操作を受け付けると、制御部35は、解像度を変更する。なお、解像度の変更とは、二次元画像の場合にはX,Y座標中の画像データの密度を上げることであるが、三次元画像の場合には更にZ座標中の画像データの密度を上げることである。
図13(B)を参照して、三次元スキャナ100Aが傾いている状態にあり、かつ、待機モードである場合に受付部20でユーザの長押し操作を受け付けると、制御部35はカラーモードとモノクロモードとを切り替える。一方、三次元スキャナ100Aが傾いている状態にあり、かつ、スキャンモードである場合に受付部20でユーザの長押し操作を受け付けると、制御部35は、撮像形式をスナップショットへ切り替える。
図14は、実施の形態5における制御部35による処理を示すフローチャートである。当該処理は、制御部35による図13に示す制御の処理であり、CPU36がROM37に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
まず、制御部35は、受付部20でシングルクリック操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS51)。受付部20でシングルクリック操作を受け付けた場合には(ステップS51でYES)、制御部35は、ステップS52へ移行する。一方、受付部20でシングルクリック操作を受け付けていない場合には(ステップS51でNO)、制御部35は、ステップS55へ移行する。
ステップS52では、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かを判定する。現在のモードがスキャンモードである場合には(ステップS52でYES)、制御部35は、待機モードへ切り替え(ステップS53)、図14に示す処理を終了する。一方、現在のモードがスキャンモードではない場合、すなわち、現在のモードが待機モードである場合には(ステップS52でNO)、制御部35は、スキャンモードへ切り替え(ステップS54)、ステップS51へ移行する。
ステップS55では、制御部35は、受付部20で長押し操作を受け付けたか否かを判定する。受付部20で長押し操作を受け付けた場合には(ステップS55でYES)、制御部35は、ステップS56へ移行する。一方、受付部20で長押し操作を受け付けていない場合には(ステップS55でNO)、制御部35は、ステップS51へ移行する。
ステップS56では、制御部35は、現在のモードがスキャンモードであるか否かを判定する。現在のモードがスキャンモードである場合には(ステップS56でYES)、制御部35は、ステップS57へ移行する。一方、現在のモードがスキャンモードではない場合、すなわち、現在のモードが待機モードである場合には(ステップS56でNO)、制御部35は、ステップS60へ移行する。
ステップS57では、制御部35は、三次元スキャナ100Aが起立状態にあるか否かを判定する。三次元スキャナ100Aが起立状態にある場合には(ステップS57でYES)、制御部35は、解像度を変更し(ステップS58)、ステップS51へ移行する。一方、三次元スキャナ100Aが起立状態にない場合、すなわち、三次元スキャナ100Aが傾いている場合には(ステップS57でNO)、制御部35は、スナップショットへ変更し(ステップS59)、ステップS51へ移行する。
ステップS60では、制御部35は、三次元スキャナ100Aが起立状態にあるか否かを判定する。三次元スキャナ100Aが起立状態にある場合には(ステップS60でYES)、制御部35は、歯列のタイプを変更し(ステップS61)、図14に示す処理を終了する。一方、三次元スキャナ100Aが起立状態にない場合、すなわち、三次元スキャナ100Aが傾いている場合には(ステップS60でNO)、制御部35は、カラーモードとモノクロモードとを切り替え(ステップS62)、図14に示す処理を終了する。
このように、実施の形態5における三次元スキャナ100Aは、ユーザが保持する保持部を有する筐体10と、筐体10に設けられユーザの操作を受け付ける受付部20と、受付部20で受け付けた操作に基づいて所定の動作をする撮像部30の制御を行う制御部35と、三次元スキャナ100Aの動きを検知するモーションセンサー40とを備える。制御部35は、三次元スキャナ100Aが傾いているか否かに関わらず、受付部20でシングルクリック操作を受け付けると、スキャンモードと待機モードとを切り替える。また、制御部35は、三次元スキャナ100Aが起立状態である場合に、受付部20で長押し操作を受け付けると、待機モード中であれば歯列のタイプを変更し、スキャンモード中であれば解像度を変更する。また、制御部35は、三次元スキャナ100Aが傾いている場合に、受付部20で長押し操作を受け付けると、待機モード中であればカラーモードとモノクロモードとを切り替え、スキャンモード中であれば撮像形式をスナップショットへ変更する。
これにより、実施の形態5においては、ユーザは、待機モードとスキャンモードとの切り替えに使用される受付部20を長押し操作することと、必要に応じて三次元スキャナ100Aを傾けることとで、歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行うことができる。すなわち、マウスや表示部50等の周辺機器に触れることなく、歯列タイプの変更や撮像形式の変更が可能となるので、感染が防止され、衛生的である。
また、実施の形態5においては、ユーザは歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行う際にマウスや表示部50等の周辺機器に触れる必要がないので、周辺機器に触れる時用のディスポーザブルな手袋やカバーを用意する必要もない。ゆえに、低コスト、かつ、省資源につながる。また、歯列タイプの変更や撮像形式の変更を行う際にディスポーザブルな手袋やカバーを着用する手間も省けるので、ユーザビリティが向上するとともに、ユーザの作業効率も向上する。
また、実施の形態5においては、待機モードとスキャンモードとの切り替えに使用される受付部20に対するユーザ操作(例えば、長押し操作等)に、現在のモードがスキャンモードであるか否かと、三次元スキャナ100Aの動きとを組み合わせることで、最大で4つの異なる制御(例えば、歯列のタイプの変更、解像度の変更、カラーモードとモノクロモードとの切り替え、スナップショットへの変更等)を実行することができる。すなわち、少ない数の受付部20で様々な制御が可能となるので、低コストにつながるとともに、ユーザビリティも向上する。
また、実施の形態5においては、口腔内の歯牙を撮像する際に必ず発生する歯列のタイプの切り替えを、ユーザの手元で素早く行えるので、撮像時間の短縮につながり、ユーザの作業効率が向上するとともに、患者の負担も軽減される。
なお、実施の形態5においては、筐体10に設けられる受付部20は一つのみであったが、複数設けられてもよい。例えば、筐体10に、待機モードとスキャンモードとの切り替えに使用される受付部と、歯列タイプの変更や撮像形式の変更に使用される受付部とが設けられてもよい。但し、コスト、および、ユーザビリティを考慮すると、受付部20の数は少ない方が望ましい。
また、実施の形態5においては、受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容は、待機モードとスキャンモードとの切り替え、歯列のタイプの変更、解像度の変更、カラーモードとモノクロモードとの切り替え、スナップショットへの変更であったが、これらに限られない。受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容は、三次元形状の確認、スキャンした画像の巻き戻し、スキャンした画像の削除、上顎の画像データと下顎の画像データとの入れ替え、または支台歯の選択等であってもよい。さらに、受付部20に対するユーザ操作によって実行される制御内容を、ユーザが任意に選択して設定できるようにしてもよい。
また、実施の形態5においては、制御部35の制御テーブルは、三次元スキャナ100Aが起立状態にある時の制御テーブルと、三次元スキャナ100Aが傾いている時の制御テーブルとの2つであったが、3つ以上であってもよい。制御部35の制御テーブルが3つ以上ある場合には、例えば、三次元スキャナ100Aの傾き角度に応じて、使用される制御テーブルが異なるようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。