以下に本発明を実施するための形態1について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
最初に、プリフォーム供給装置から供給されたプリフォームをボトルに成形する温度まで加熱する加熱部、加熱されたプリフォームを殺菌する殺菌部、殺菌されたプリフォームに殺菌された内容物を高圧で充填することで、プリフォームをボトルに成形し、同時に内容物を充填する成形充填部、及び内容物が充填されたボトルを密封する密封部を備える実施の形態1に係る無菌充填機の概要を図1により説明し、さらに無菌充填機および無菌充填方法の詳細を図面により説明する。この実施の形態1によれば、殺菌されたプリフォームに成形と同時に内容物を充填することが可能であり、従来に比べ少ない工程でボトルに内容物が充填された無菌製品を得ることができる。
(実施の形態1に係る無菌充填機の概要)
図1に示すように、本実施形態に係る無菌充填機は、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置3、プリフォーム1をボトル2に成形する温度に加熱する加熱部14、加熱されたプリフォーム1を殺菌する殺菌部6、プリフォーム1をボトル2に成形すると同時に殺菌された内容物を充填する成形充填部21、内容物が充填されたボトル2を殺菌されたキャップ35により密封する密封部26を備えている。さらに、密封されたボトル2が排出コンベヤ31に載置され、非無菌ゾーンに排出される排出部30を備える。
加熱部14は加熱部チャンバー18、殺菌部6は殺菌部チャンバー5、成形充填部21は成形充填部チャンバー22、密封部26及び排出部30は密封部チャンバー27により各々遮蔽されている。加熱部14は殺菌部6の上流にあり、非無菌エリアであるためチャンバーにより遮蔽されなくても構わない。成形充填部21及び密封部26は単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。殺菌部6におけるプリフォーム1の殺菌手段によっては、殺菌部チャンバー5内に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物やオゾンが発生する。これらが加熱部14に流入しないように、殺菌部6は殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物やオゾンを無害化する排ガス処理装置32を通して排気ブロワ33により排気される。
殺菌部チャンバー5、成形充填部チャンバー22及び密封部チャンバー27の少なくとも成形充填部チャンバー22及び密封部チャンバーには殺菌装置が設けられ、無菌充填機の運転開始前に、各チャンバー内は殺菌される。プリフォーム1を殺菌することで殺菌部チャンバー5内は殺菌されることもあり、無菌充填機の運転前に殺菌しなくても構わない。加熱部14は殺菌部6の上流に設けられており、加熱部チャンバー18内は殺菌しなくても構わない。
殺菌装置は、殺菌剤吹き付けノズルとこれらに殺菌剤を供給する殺菌剤供給装置を備える。殺菌剤吹き付けノズルは、例えば一流体スプレーまたは殺菌剤を圧縮エアと混合して噴霧する二流体スプレーである。殺菌剤吹き付けノズルは、殺菌剤を各チャンバー内の全域に付着するように配置される。吹き付けられた殺菌剤により、各チャンバー内が殺菌される。殺菌剤が吹き付けられた後に各チャンバー内には常温又は加熱された無菌エアが吹き付けられ、各チャンバー内に残存する殺菌剤を活性化させ、さらに除去する。無菌エアの吹き付け前に無菌水を各チャンバー内に吹き付けることにより殺菌剤を洗い流しても構わない。また、成形充填部チャンバー22及び密封部チャンバー27内は内容物が飛散していることもあるため、殺菌前に洗浄されることが好ましい。
少なくとも、成形充填部チャンバー22及び密封部チャンバー27には無菌エア供給装
置が設けられ、各チャンバー内が殺菌された後に、除菌フィルタにより無菌化された無菌エアが各チャンバー内に供給され、各チャンバーの内部が陽圧に保持される。加熱部チャンバー18や殺菌部チャンバー5に無菌エア供給装置を設けても構わない。各チャンバー内が無菌エアにより陽圧に保持されることにより、無菌充填機内の無菌性が維持される。各チャンバー内を陽圧に保持する圧力は、成形充填部チャンバー22内が最も高く、密封部チャンバー27は成形充填部チャンバー22よりも低く設定される。殺菌部チャンバー5は排気されるために、大気圧とほぼ同一の圧力に保持される。殺菌部チャンバー5は無菌エア供給装置を備えず成形充填部チャンバー22内の無菌エアが流入するだけでも構わない。また、殺菌部チャンバー5以外の各チャンバーにも排気装置を設け、無菌エア供給装置と併用して、各チャンバー内を適正な圧力に保持しても構わない。成形充填部21及び密封部26が単一のチャンバーにより遮蔽されている場合は、無菌エア供給装置、排気装置は単一のチャンバーに1個設けることでも構わない。
(実施の形態1に係る無菌充填機及び無菌充填方法の詳細)
図2に示すプリフォーム1が、図1に示すプリフォーム供給装置3から、プリフォーム搬送コンベヤ4により所望の速度で連続的に加熱部14に搬送される。
本発明の実施の形態におけるプリフォーム1は試験管状の有底筒状体であり図2に示す。プリフォーム1は図11に示すボトル2と同様な口部1aがその成形当初に付与される。この口部1aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジが形成される。また、プリフォーム1には口部1aの下部に搬送のためのサポートリング1bが形成される。プリフォーム1又はボトル2はこのサポートリング1bを介してグリッパ34により把持され、無菌充填機内を走行する。プリフォーム1は射出成形、圧縮成形等によって成形される。プリフォーム1の材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなり、これらの樹脂単体又は混合物であっても構わないし、リサイクルされた熱可塑性樹脂を含んでも構わない。また、バリア性を付与するために、エチレン−ビニルアルコール共重合体、メタキシリレンジアミンのような芳香族アミンをモノマーとするポリアミド等の熱可塑性樹脂を層として、又は混合物として含んでも構わない。
図1に示すように、プリフォーム1はプリフォーム供給装置3から、プリフォーム搬送コンベヤ4により加熱炉搬送ホイール11に供給される。加熱炉搬送ホイール11に供給されたプリフォーム1は、図2に示すように加熱炉搬送ホイール11に設けられたグリッパ34によりサポートリング1bを把持される。その後、図3に示すように、グリッパ34から解放され、プリフォーム1の口部1aにスピンドル48が挿入され、加熱炉19に搬送される。加熱炉19に搬送されたプリフォーム1は、図3に示すように、赤外線ヒーター15又はその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。赤外線ヒーター15の反対側にリフレクター16が設けられ、赤外線ヒーター15により輻射される熱をリフレクター16により反射させることで、プリフォーム1は効率的に加熱される。加熱されるプリフォーム1の温度は、90℃から130℃であると好適である。なお、プリフォーム1の口部1aの温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
プリフォーム1は図3に示すように、口部1aにスピンドル48が挿入され、回転しながら、加熱炉19内を搬送される。スピンドル48は無端チェーン12に一定間隔で設けられている。無端チェーン12はプーリ13a及び13bにより回転する。スピンドル48に代えてマンドレルをプリフォーム1に挿入することによって、プリフォーム1を倒立状態で回転させつつ搬送することも可能である。
加熱されたプリフォーム1は、スピンドル48から解放され、グリッパ34に把持され
て、ホイール9を経て殺菌部6の殺菌ホイール7に搬送される。
殺菌部6に搬送されたプリフォーム1は、多数のグリッパ34が一定ピッチで設けられた殺菌ホイール7に搬送され、ここで殺菌される。プリフォーム1を殺菌する殺菌工程は、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の接触、電子線の照射、紫外線を含む光の照射、過熱蒸気の接触のいずれか1又は2以上により行われる。殺菌ホイール7には殺菌工程を行うための殺菌手段8が設けられる。プリフォーム1は、加熱部14において成形温度まで加熱されており、殺菌効果は常温時よりも高い。
プリフォーム1への殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の接触とは、殺菌剤をガス化し、冷えることでガスが液化したミスト又はこれらの混合物を図4に示すように、プリフォーム1に吹き付けることである。
ガス若しくはミスト又はこれらの混合物としてプリフォーム1に吹き付ける殺菌剤とは、少なくとも過酸化水素を含有することが好ましい。その含有量は0.5質量%〜65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。さらに好適なのは0.5質量%〜40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易であり、過酸化水素が低濃度となるために殺菌後の殺菌剤の残留量を低減できる。また、殺菌剤は水を含んでいるが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、グリコールエーテル類等の1種又は2種以上を含んでも構わない。さらに、殺菌剤は過酢酸、酢酸等の有機酸、硝酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、オゾン等殺菌効果を有する化合物、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、リン酸化合物等の添加剤を含んでも構わない。
プリフォーム1に吹き付ける殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、図5に示す殺菌剤ガス生成器36により得られる。殺菌剤ガス生成器36は、殺菌剤を滴状にして供給する二流体スプレーノズルである殺菌剤供給部37と、この殺菌剤供給部37から供給された殺菌剤を分解温度以下に加熱して気化させる気化部38とを備える。殺菌剤供給部37は、殺菌剤供給路37a及び圧縮空気供給路37bからそれぞれ殺菌剤と圧縮空気を導入して、殺菌剤を気化部38内に噴霧するようになっている。気化部38は、内外壁間にヒーター38aを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた殺菌剤を加熱して気化させる。気化した殺菌剤のガスは殺菌剤ガス吹き付けノズル39から気化部38外に噴出する。ヒーター38aに換えて誘電加熱や過熱水蒸気により気化部38を加熱しても構わない。
殺菌剤供給部37の運転条件としては、例えば圧縮空気の圧力は0.05MPa〜0.6MPaの範囲で調整される。このとき、圧縮空気の供給量は50L/min.〜300L/min.が適当である。また、殺菌剤は重力落下であっても圧力を加えられても構わないし、殺菌剤の供給量は自由に設定することができ、例えば殺菌剤は殺菌剤供給路37aに、1g/min.〜100g/min.の範囲で供給される。また、気化部38の内表面は120℃から450℃に加熱されることで噴霧された殺菌剤がガス化する。
殺菌剤のガスは、図4に示すように殺菌剤ガス吹き付けノズル39からプリフォーム1に吹き付けられる。殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス吹き付けノズル39内で二手に分かれて流れ、その一方のノズル39aからプリフォーム1の内部に向かって吹き付けられ、他方のノズル39bからプリフォーム1の外面に向かって吹き付けられる。殺菌剤のガスは、殺菌剤ガス吹き付けノズル39から出た後、ガス状態のままで、若しくはミストとなって
又はこれらの混合物となって、プリフォーム1の内部に流入し、あるいはプリフォーム1の外面に接触する。
プリフォーム1の内部に向かって吹き付けられる殺菌剤のガス若しくはミスト又は混合物は、プリフォーム1内に流入した後、プリフォーム1の口部1aから溢れ出るが、この溢れ出た殺菌剤のガス等の流れは傘状部材40に衝突し、傘状部材40の内面に案内されて、プリフォーム1の外面へと向かって流れを変え、プリフォーム1の外面に接触する。傘状部材40に環状溝40aが設けられると、溢れ出た殺菌剤のガス等はプリフォーム1の外面に沿って流れる。
殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の吹き付け量は任意であるが、吹き付け量は、殺菌剤ガス生成器36に供給される殺菌剤の量と吹き付け時間により決まる。殺菌剤ガス生成器36は複数備えても構わない。吹き付け量はプリフォーム1の大きさによっても変動する。殺菌剤ガス吹き付けノズル39から噴出する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物をホットエアにより希釈してプリフォーム1に吹き付けても構わない。
殺菌剤を過酸化水素水とした場合、過酸化水素水のガス等の吹き付け量は以下の通りとなる。殺菌剤ガス吹き付けノズル39からプリフォーム1に吹き付けられる過酸化水素水のガス等により、プリフォーム1に付着する過酸化水素の量は、過酸化水素を35質量%含む過酸化水素水に換算して、0.0035μL/cm2〜0.35μL/cm2が好ましい。また、プリフォーム1に吹き付けられる過酸化水素水のガス等の過酸化水素濃度は、2mg/L〜20mg/Lが好ましく、より好ましくは5mg/L〜10mg/Lである。
殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が吹き付けられたプリフォーム1は、除菌されたエアにより無菌エアリンスされることが好ましい。プリフォーム1に無菌エアを吹き付けるノズルはプリフォーム1の口部1aに対向させて設けても、プリフォーム1の搬送速度に追従するノズルをプリフォーム1の内部に挿入させても構わない。無菌エアリンスには、プリフォーム1に吹き付けられた殺菌剤を活性化することと、プリフォーム1の内部に吹き付けられた殺菌剤と、内部に存在する異物やほこりを排除するという効果がある。無菌エアリンスするエアは常温でも加熱されても構わない。加熱される方が殺菌剤の活性化には効果がある。また、無菌エアリンスはプリフォーム1を正立させて行っても、倒立させて行っても構わない。異物を排除するには倒立させる方が効果がある。さらに、異物を排除するためには、倒立させたプリフォーム1の口部1aの近傍を吸引することが好ましい。吹き付けられるエアの量は0.04L/プリフォーム〜400L/プリフォームが好ましい。
殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物をプリフォーム1に吹き付ける殺菌方法においては、吹き付け工程及びその後の無菌エアリンス工程において殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が発生するため、殺菌部チャンバー5内を排気する必要がある。排気されたエアは排ガス処理装置32により無害化されて排出される。
本発明の実施の形態に係るプリフォーム1への電子線の照射とは、図6に示すように電子線照射装置42a、42b及び42cにより、搬送されるプリフォーム1の内外面に電子線を照射することである。電子線には殺菌作用があり、プリフォーム1の表面に付着している菌等は電子線の照射により殺菌される。図6はプリフォーム1の三方向から電子線を照射しているが、プリフォーム1の内外面に電子線が照射されるのであればどのような方法でも構わない。例えば、プリフォーム1を回転させれば電子線照射装置42bは不要となる。また、プリフォーム1の口部1aの上方に反射ミラーを設けて、電子線照射装置
42aから照射される電子線をプリフォーム1の口部1aの上部からプリフォーム1の内部に導入しても構わない。さらに、プリフォーム1の内部に棒状の電子線照射装置を挿入してプリフォーム1の内面に電子線を照射しても構わない。
電子線照射装置42a、42b、42cはどのような構造でも構わない。例えば、走査型やモノフィラメント型があり、出力は100kV〜500kVの低出力タイプが扱い易く好ましい。
プリフォーム1に電子線を照射する前にプリフォーム1の内外面に付着している異物を除去することが好ましい。プリフォーム1の表面に異物が付着している場合、その部分に電子線が照射されないため、殺菌不良を起こす可能性があるためである。プリフォーム1から異物を除去するためには、プリフォーム1を加熱する前に正立又は倒立させてエアを吹き付ける、又は水を吹き付けることにより行う。水を吹き付けた場合は、さらにこれを除去する必要があるため、エアの吹き付けが好ましい。エアの吹き付け前に、プリフォーム1にイオン化エアを吹き付ける等を行い、除電することが好ましい。さらに、プリフォーム1の口部1aの近傍に吸引ノズルを設け、異物を吸引して無菌充填機の外部に排除することが好ましい。プリフォーム1の異物除去の工程は加熱部14外のプリフォーム搬送コンベヤ4で行うことが好ましく、異物を除去した後、プリフォーム1は加熱部14に搬送される。
電子線は酸素をオゾンに変化させるため、電子線照射を行う雰囲気に酸素が存在するとオゾンが発生する。発生するオゾンを除去するために、殺菌部チャンバー5内は排気される必要がある。電子線照射を行う雰囲気を窒素等により置換することでオゾンの発生を抑制することができる。
本発明の実施の形態に係るプリフォーム1への紫外線を含む光の照射とは、図7に示すように光照射ランプ43から発する紫外線を含む光をプリフォーム1の内外面に照射することである。光照射ランプ43に対するプリフォーム1の反対側には、照射される光を反射してプリフォーム1に向ける光反射板44を設けることが好ましい。
照射される光に含まれる紫外線は、100nm〜380nmの波長を有する電磁波の1種である。照射される光はこの波長のいずれかを含むが、特にUV−Cと称せられる100nm〜280nmの波長の紫外線が殺菌には効果的である。さらに、もっとも殺菌効果を有するのは253.7nmの波長の紫外線であり、これを含むことが最適である。
100nm〜380nmの波長の紫外線を発する光照射ランプ43は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンフラッシュランプ等である。特に、内部にキセノンガスを封入したキセノンフラッシュランプから発する光(波長:100〜950nm)の殺菌効果が高いため、光照射ランプ43はキセノンフラッシュランプであることが好ましい。
紫外線を含む光の照射による殺菌効果は、光の単位面積当たりの照射量と照射時間に比例する。しかし、キセノンフラッシュランプによる光は、低圧水銀ランプや高圧水銀ランプにより発する光に比べ、殺菌効果が高いことから、短時間の照射で十分に殺菌を行うことができ、光の照射によるプリフォーム1の口部1aの温度上昇を避けることができる。
光照射ランプ43は、プリフォーム1の内外面全域に紫外線を含む光が照射されるなら個数は問わない。図7に示すように外面、内面に紫外線を含む光を照射するために多数設けることもある。しかし、プリフォーム1を回転させればプリフォーム1の側面に照射する光照射ランプ43は1列としても構わない。プリフォーム1の内面に紫外線を含む光を照射するには、プリフォーム1の口部1aに対向して光照射ランプ43を設け、口部1aの開口部を通して
紫外線を含む光をプリフォーム1の内面に照射することが好ましい。また、光反射板44を口部1aに向けてドーム状に設け、光照射ランプ43から発する紫外線を含む光を効率的にプリフォーム1の内面に照射することが好ましい。プリフォーム1の内面に紫外線を含む光を照射するために、棒状の光照射ランプをプリフォーム1の内部に挿入して、プリフォーム1の内面に紫外線を含む光を照射しても構わない。なお、光照射ランプ43の形状は、丸型、棒状、U字形など、どのようなものでも構わない。
図7に示す光反射板44は、光照射ランプ43から発する紫外線を含む光を効率的にプリフォーム1に照射する目的がある。したがって、光照射ランプ43のプリフォーム1に対して反対側に設けられる。光反射板44は平面でも、曲面でも、複数の面の組み合わせでも、どのような形状でも構わない。光反射板44の構成は紫外線を含む光を反射することができればどのようなものでも構わない。例えば、合成樹脂、金属、ガラスからなり、その表面を平滑にしたものであったり、さらに平滑にするために、コーティング、金属などのメッキ、金属や金属酸化物などの蒸着加工を行ったり、これらを組み合わせたものであっても構わない。
プリフォーム1に紫外線を含む光を照射する前に、プリフォーム1の内外面に付着している異物を除去することが好ましい。プリフォーム1の表面に異物が付着している場合、その部分に紫外線を含む光が照射されないため、殺菌不良を起こす可能性があるためである。プリフォーム1から異物を除去するためには、プリフォーム1を加熱する前に正立又は倒立させてエアを吹き付ける、又は水を吹き付けることにより行う。水を吹き付けた場合はこれを除去する必要があるため、エアの吹き付けが好ましい。エアの吹き付け前に、プリフォーム1にイオン化エアを吹き付ける等を行い、除電することが好ましい。さらに、プリフォーム1の口部1aの近傍に吸引ノズルを設け、異物を吸引して無菌充填機の外部に排除することが好ましい。プリフォーム1の異物除去の工程は、加熱部14外のプリフォーム搬送コンベヤ4で行うことが好ましく、異物を除去した後、プリフォーム1は加熱部14内に搬送される。
紫外線を含む光は酸素をオゾンに変化させるため、紫外線を含む光の照射を行う雰囲気に酸素が存在する場合、オゾンが発生する。発生するオゾンを除去するために、殺菌部チャンバー5内は排気される必要がある。紫外線を含む光の照射を行う雰囲気を窒素等により置換することでオゾンの発生を抑制することができる。
本発明の実施の形態に係るプリフォーム1への過熱蒸気の接触とは、図8に示すように、過熱蒸気発生装置45から発生する過熱蒸気を過熱蒸気吹き付けノズル46及び過熱蒸気吹き付けスリット47からプリフォーム1の内外面に過熱蒸気を吹き付けることである。過熱蒸気の熱によりプリフォーム1の表面に付着する菌等を殺菌する。
過熱蒸気とは、水から生成される200℃〜500℃の大気圧よりも高い、0.1MPa〜0.3MPaの圧力の蒸気である。過熱蒸気発生装置45の通水パイプをヒーターや誘導コイルにより加熱し、過熱蒸気を発生させる。発生した過熱蒸気は過熱蒸気吹き付けノズル46から噴出してプリフォーム1の内面に吹き付けられる。また、過熱蒸気発生装置45で発生した過熱蒸気を過熱蒸気吹き付けスリット47に導入し、プリフォーム1の外面に過熱蒸気を吹き付ける。
過熱蒸気発生装置45に供給される水は、過酸化水素のような殺菌作用のある化合物を添加しても構わない。例えば、水に1質量%〜5質量%の過酸化水素を添加することで殺菌効果は向上する。
プリフォーム1を回転させることで、外面への過熱蒸気の吹き付けは効率的に行われる
。また、過熱蒸気吹き付けノズル46をプリフォーム1に内部に挿入してプリフォーム1の内面に過熱蒸気を吹き付けても構わない。短時間の吹き付けにより殺菌されるので、口部1aが変形したり、プリフォーム1を形成する樹脂が過度に加熱されることはない。また、蒸気のドレインがプリフォーム1の内部に残留することもなく、ドレイン除去することなく成形充填部21にプリフォーム1を搬送することができる。
上記のように、プリフォーム1は殺菌部6において、殺菌ホイール7に設けられた殺菌手段8により、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の接触、電子線の照射、紫外線を含む光の照射、過熱蒸気の接触のいずれか1又は2以上の方法により殺菌される。殺菌手段8は殺菌ホイール7の回りに設けられるが、殺菌ホイール7以外に1又は2以上のホイールを設け、複数のホイールに殺菌手段を設けても構わない。
殺菌部チャンバー5内は無菌充填機の運転前に、過酸化水素水等の殺菌剤を殺菌部チャンバー5内に噴霧する等の手段により殺菌されても構わない。そのために、殺菌部チャンバー5内の壁面には、殺菌剤の吹き付けノズルが設けられる。また、殺菌部チャンバー5に接する無菌エア供給装置の除菌フィルタの殺菌部チャンバー5側の面を殺菌するために同様の殺菌剤の吹き付けノズルを設けても構わない。
殺菌部6で殺菌されたプリフォーム1はサポートリング1bを把持されて、ホイール10を経て成形充填部21の成形充填ホイール20に搬送される。
成形充填部21は、図9に示すように、金型23、ブローノズル49、バルブブロック50、延伸ロッド51及び加圧装置55を備える。また、成形充填部21を駆動させるための駆動部62を備える。成形充填部21は、プリフォーム1及びボトル2の無菌性を確保するために、運転前に洗浄及び殺菌され、稼働時に無菌性が維持されなければならない。駆動部62は図示しないが、モーター、油圧装置、動作伝達手段、エアシリンダーなどを備える。駆動部62の装備は潤滑剤を必要として汚れが蓄積されるため、無菌性を保持することは困難である。
図9に示すように、成形充填部21の無菌性を確保するために、成形充填部21は成形充填部チャンバー22により遮蔽される。成形充填部21は、成形充填部チャンバー22内を運転前に洗浄及び殺菌するための洗浄装置及び殺菌装置を備えている。また、図9に示すように、成形充填部チャンバー22は、成形充填部21を保持し、成形充填部21を駆動部62と隔離する可動部63と、成形充填部21を外部から遮蔽する固定部64からなる。可動部63は二重管65を中心軸として回転する。可動部63に保持される成形充填部21も回転し、回転に伴ってプリフォーム1はボトル2に成形されると同時に内容物が充填される。
ホイール10から、金型23が閉じることでプリフォーム1は成形充填ホイール20に受け渡される。その後、ブローノズル49がプリフォーム1の口部1aに接合され、延伸ロッド51がブローノズル49に設けられた孔に誘導されてプリフォーム1内に挿入され、プリフォーム1の底面を金型23の底面に接触するまで、延伸ロッド51はプリフォーム1を長手方向に延伸する。その後、延伸ロッド51は上昇し、同時にバルブブロック50の電磁弁の動作により中圧内容物P1、高圧内容物P2が順次プリフォーム1に送り込まれ、プリフォーム1が横方向に延伸され、金型形状のボトル2に成形され、同時に内容物が充填される。
高圧内容物P2はプリフォーム1が金型23の形状のボトルに成形されるまで充填されなければならない。したがって、口部1a下端まで高圧内容物P2は充填される。口部1a上端近傍まで充填されると、成形充填されたボトル2の搬送時に、内容物がボトル2か
ら横溢するおそれがある。高圧内容物P2の充填量は口部1a下端付近までに制御されなければならない。中圧内容物P1の圧力とは1MPa〜2.5MPaであり、高圧内容物P2の圧力とは2.5MPa〜4MPaの圧力である。中圧内容物P1及び高圧内容物P2は図9に示すように、図示しない殺菌装置により殺菌された内容物を加圧装置55により加圧することにより得られる。加圧装置55は例えば、多連式の高圧プランジャーポンプである。
成形されたボトル2は金型23が開き、ホイール24のグリッパ34に把持されて、成形充填部チャンバー22から、密封部28内のホイール25に搬送される。プリフォーム1のボトル2への成形及び同時に行われる充填は、成形充填部チャンバー22の可動部63と可動部63に保持される成形充填部21の回転に伴う金型23の開閉、延伸ロッド51の下降及び上昇、プリフォーム1内への中圧内容物P1及び高圧内容物P2の充填を繰り返すことで行われる。
図9に示すように、成形充填部チャンバー22内は、無菌充填機の稼働時は無菌雰囲気に保持される。駆動部62は非無菌雰囲気に設けられる。無菌雰囲気と非無菌雰囲気とは、可動部63の下部に設けられる液体シール装置66により可動部63の下部がシールされることにより隔離される。液体は水等の液体であれば構わないが、過酢酸(液体に含まれる濃度として100ppm以上、3000ppm以下が好ましい。)や過酸化水素(液体に1質量%以上、36質量%以下含まれることが好ましい。)のような殺菌剤を含む液体が好ましい。液体シール装置66の液体に浸漬される可動部63の端面は、液体シール装置66の底部と接触しないように設けられる。液体は、液体シール装置66に浸漬される可動部63の端部両面に通じている。したがって、成形充填部チャンバー22内が無菌エアの供給により陽圧になっている場合、液体シール装置66の非無菌雰囲気側の液体の液面高さは、無菌雰囲気側の液体の液面よりも高くなっている。
図9に示すように、プリフォーム1をボトル2に成形し、同時に充填するために必要な中圧内容物P1及び高圧内容物P2は成形充填部21の上部から2重管65内に設けられる配管により供給される。2重管65と固定部64はロータリージョイント67により接合されている。中圧内容物P1と高圧内容物P2は無菌雰囲気内を通過する2重管65内の配管から非無菌雰囲気にある高圧内容物供給マニホールド68に導入される。高圧内容物供給マニホールド68から中圧内容物P1及び高圧内容物P2が可動部63に保持されるバルブブロック50に供給されるため、高圧内容物供給マニホールド68は回転可能となっている。
成形充填部チャンバー22内は無菌充填機の運転前に洗浄される。そのために成形充填部チャンバー22には洗浄装置が設けられる。洗浄装置とは、図9に示すように、成形充填部チャンバー22の固定部64に設けられる吹き付けノズル56及び吹き付けノズル56に洗浄剤を供給する洗浄剤供給装置である。吹き付けノズル56は、1流体または洗浄剤を圧縮エアと混合して噴霧する二流体スプレーが使用され、成形充填部チャンバー22の内部及び内面を殺菌する前、又は同時に洗浄剤を吹き付けノズル56から成形充填部チャンバー22内へ吹き付ける。その後、水または無菌水を吹き付けノズル56から成形充填部チャンバー22内に吹き付けて、洗浄剤を洗い流す。
金型23の内部が開放されるエリアは限定されるために、金型23の内部を洗浄するために、吹き付けノズル56は金型23が開いているエリア(ホイール10とホイール24の短距離間)に数多く設けることが望ましく、金型23を60rpm以下の速度で回転させながら洗浄剤を吹き付ける。比較的低速で回転する金型23に洗浄剤を吹き付けることにより、金型23の内面の洗浄効果が向上するためである。洗浄により成形充填部チャンバー22の内部に存在する金型23、ブローノズル49、延伸ロッドチャンバー52、バルブブロック50等の外面及び成形充填部チャンバー22の内面が洗浄される。洗浄剤の吹き付け圧は少なくとも0.05MPa以上、好ましくは0.2MPa以上である。
図9に示すように、延伸ロッド51は延伸ロッド保持材53により保持されている。延伸ロッド51の上昇又は下降の動作は、延伸ロッド保持材53を動作させることによって行う。延伸ロッド保持材53は、延伸ロッド保持材動作軸54の動きにより上下に動作する。延伸ロッド保持材53は、延伸ロッド保持材動作軸54をサーボモーターにより回転させたり、延伸ロッド保持材動作軸54を空気圧シリンダーに結合させたりすることにより動作させる。しかし、空気圧シリンダーによる場合は、シリンダー内に殺菌剤のガスを導入する等して、シリンダー内を殺菌したり、圧力を発生させる空気を除菌フィルタを通して無菌化する必要がある。また、空気圧シリンダー外を出入りする軸をベローズで保護しても構わない。延伸ロッド51を延伸ロッド保持材53に直接保持させず、磁性体を使用して上昇及び下降させても構わない。
延伸ロッド51はブローノズル49に挿入されるが、延伸ロッド51の外周部分から内容物がプリフォーム1に充填されるため、延伸ロッド51は内容物と接触する。延伸ロッド51に付着した内容物が成形充填部チャンバー22内に飛散するのを防止するために、延伸ロッド51、延伸ロッド保持材53及び延伸ロッド保持材動作軸54は、延伸ロッドチャンバー52により遮蔽される。よって、延伸ロッド51、延伸ロッド保持材53及び延伸ロッド保持材動作軸54の洗浄は、延伸ロッドチャンバー52内に設けられる吹き付けノズル56により洗浄剤を延伸ロッド51、延伸ロッドを駆動させる延伸ロッド保持材53および延伸ロッド保持材動作軸54に吹き付けることにより行われる。延伸ロッドチャンバー52は例えば円筒形であるが、延伸ロッド51、延伸ロッド保持材53及び延伸ロッド保持材動作軸54を遮蔽することができれば、どのような形状でも構わない。
延伸ロッド51がブローノズル49に挿入されていると、挿入されている部分が洗浄されない。そこで、延伸ロッド51を洗浄する際には、延伸ロッド51はブローノズル49に非挿入の状態で行われる。このため、延伸ロッド51はブローノズル49から非挿入の位置まで上昇するように、延伸ロッド保持材53及び延伸ロッド保持材動作軸54を含む駆動装置が設けられている。図9はプリフォーム1の口部を上としているが、プリフォーム1は倒立させても構わない。この場合、延伸ロッド51は下方に移動することで、ブローノズル49から非挿入とされる。
洗浄剤は、酸性化合物若しくは塩基性化合物を含む水である。水は加熱や濾過により無菌化した水又は純水、イオン交換水、蒸留水又は水道水であっても構わない。酸性化合物とは、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸又は酢酸、蟻酸、オクタン酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、グルコン酸等の有機酸である。また塩基性化合物とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物、又はエタノールアミン、ジエチルアミン等の有機塩基性化合物である。この他に、有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸等の金属イオン封鎖剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等の非イオン界面活性剤、クメンスルホン酸ナチリウム等の可溶化剤、ポリアクリル酸などの酸系高分子又はこれらの金属塩、腐食抑制剤、防腐剤、酸化防止剤、分散剤、消泡剤などを含んでも構わない。また、これらの洗浄用液体を50℃以上に加温すると殺菌作用も有するため、これらをチャンバー内を殺菌するための殺菌剤として使用しても構わない。
成形充填部チャンバー22の内部及び内面を洗浄した後、又は同時に成形充填部チャンバー22の内部及び内面は殺菌される。吹き付けノズル56から、殺菌剤が成形充填部チャンバー22内に吹き付けられる。そのために、成形充填部チャンバー22には殺菌装置が設けられる。殺菌装置とは、図9に示すように、成形充填部チャンバー22の固定部64に設けられる吹き付けノズル56及び吹き付けノズル56に殺菌剤を供給する殺菌剤供給装置である。吹き付けノズル56は、洗浄剤を吹き付けるノズルと兼用しても別個に設けても構わない。また、吹き付けノズル56は、殺菌剤を成形充填部チャンバー22内の全域に付着するように配置される。吹き付けられた殺菌剤により、成形充填部チャンバー22内が殺菌される。
金型23の内部が開放されるエリアは限定されるために、金型23の内部を殺菌するために、吹き付けノズル56は金型は開いているエリア(ホイール10とホイール24の短距離間)に数多く設けることが望ましく、金型23を60rpm以下の速度で回転させながら殺菌剤を吹き付ける。殺菌により成形充填部22の内部に存在する金型23、ブローノズル49、延伸ロッドチャンバー52及びバルブブロック49等及び成形充填部チャンバー22の内面が殺菌される。また殺菌剤の吹き付け圧は少なくとも0.05MPa以上、好ましくは0.2MPa以上である。
延伸ロッド51、延伸ロッド保持材53、延伸ロッド保持材動作軸54及び延伸ロッドチャンバー52内は、延伸ロッドチャンバー52内に設けられる吹き付けノズル56から吹き付けられる殺菌剤により殺菌される。この場合も延伸ロッド51はブローノズル49に非挿入の状態で行われる。
殺菌剤はプリフォーム1を殺菌するために使用される、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物と同様のものが使用できる。また液状の殺菌剤でも構わない。液状の殺菌剤としては、過酢酸を含むことが好ましく、過酢酸、過酸化水素、酢酸及び水からなる平衡過酸化物組成物がより好ましい。過酢酸の濃度は500mg/L〜4,000mg/Lが好ましい。500mg/L未満では殺菌力が不十分であり、4,000mg/Lを超えると過酢酸の濃度が高いために、無菌充填機で使用するパッキン等の部材を劣化させる可能性がある。この他に過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、オゾン等の殺菌成分を含む殺菌剤を液状の殺菌剤として使用しても構わない。また、液状の殺菌剤は水を含んでなるが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、グリコールエーテル類等の1種又は2種以上を含んでも構わない。さらに、硝酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、リン酸化合物等の添加剤を含んでも構わない。殺菌剤の吹き付けは、異なる殺菌剤を複数回吹き付けても構わない。また、液状の殺菌剤は加熱されることにより、殺菌力は向上する。
吹き付けノズル56から殺菌剤を吹き付けた後に、吹き付けノズル56を使用するか又は別に設けるノズルにより、成形充填部チャンバー22の全域に無菌水が吹き付けられる。当該無菌水により、成形充填部チャンバー22内に残存する殺菌剤が洗い流される。無菌水は121℃以上で4分以上加熱されたり、除菌フィルタを通すことで無菌化された水が使用される。成形充填部チャンバー22内に吹き付けられる無菌水は60℃〜100℃に加熱されることが好ましい。
成形充填部チャンバー22内に無菌水が吹き付けられた後、成形充填部チャンバー22内に無菌エアが吹き付けられる。無菌エアは、成形充填部チャンバー22内に残存する無菌水を気化させて除去させる。無菌エアを成形充填部チャンバー22内に吹き付けるため、図9に示すように、成形充填部チャンバー22の固定部64の上部に無菌エア供給装置57が設けられる。無菌エア供給装置57はブロワ58及び除菌フィルタ59を備える。また、無菌エアを加熱する場合もあり、ブロワ58と除菌フィルタ59の間に無菌エア加熱装置60を設けると好ましい。
ブロワ58によるエアが加熱装置60により加熱され、除菌フィルタ59により除菌された後に、無菌ホットエアとなって成形充填部チャンバー22内に吹き付けられる。無菌エアは加熱されなくても構わないが、加熱されることで、無菌水の除去が速やかに行われる。無菌充填機の稼働時に、成形充填部チャンバー22内の無菌性を維持するために成形充填部チャンバー22に無菌エアを供給する場合、無菌エアを必ずしも加熱する必要はない。
成形充填部チャンバー22内の殺菌は、例えば以下のような手順で行う。塩基性化合物である水酸ナトリウムを含む洗浄剤を成形充填部チャンバー22内に吹き付けた後、無菌水を吹き付けて洗浄剤を洗い流し、過酢酸を含む殺菌剤を成形充填部チャンバー22内に吹き付け、さらに無菌水を吹き付けて殺菌剤を洗い流し、その後、プリフォーム1の殺菌に使用するのと同様の過酸化水素水のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を成形充填部チャンバー22内に吹き付け、無菌加熱エアを供給して成形充填部チャンバー22内を乾燥させることで殺菌を完了する。
過酸化水素水のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を吹き付ける場合、ブローノズル49内部の流路を洗浄又は殺菌することにより、成形充填部チャンバー22内に露出している、ブローノズル49及びバルブブロック50の外面温度が、60℃以上になっていて、且つ濃度5mg/L以上の過酸化水素ガス若しくはミスト又はこれらの混合物に暴露されると、これらの部位の外面は好適に殺菌される。
無菌充填機の運転前の殺菌において、吹き付けノズル56により、殺菌剤が吹き付けられることにより、除菌フィルタ59の内面側も殺菌される。
除菌フィルタ59を通った無菌エアは、成形充填部チャンバー22内に吹き付けられ、成形充填部チャンバー22に設けられた排気装置61により排気されても構わない。また、無菌エアは成形充填部チャンバー22から殺菌部チャンバー5へと流入し、殺菌部チャンバー18に設けられた排気ブロワに33より排気されても構わない。
成形充填部チャンバー22内に殺菌剤が吹き付けられることで、成形充填部チャンバー22内に露出している部材は殺菌される。しかし、露出していない、ブローノズル49及びバルブブロック50の中圧内容物P1及び高圧内容物P2の配管内は洗浄及び殺菌されない。そのため、無菌充填機を運転する前に、配管内の洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)を行う。
CIPは、図10に示すように、ブローノズル49の先端にカップ状の閉塞装置69を取り付けて行う。洗浄剤タンク70を設け、洗浄剤タンク70内の洗浄剤は洗浄剤供給ポンプ71により圧送され、必要に応じて加温装置72により洗浄剤は加温され、加圧装置55を経て、バルブブロック50からブローノズル49、延伸ロッド51へ洗浄剤は送液される。ブローノズル49の先端に装着されたカップ状の閉塞装置69によりブローノズル49から吐出される洗浄剤は受けられ、バルブブロック50内の通路を経由して、高圧内容物供給マニホールド68に流入し、駆動部62の中心に設けられた管体内部の配管により、駆動部62の下部のロータリージョイント73を経て、洗浄剤タンク70に還る。この循環路内に洗浄剤を循環させることでCIPが行われる。内容物と接する部位が全て洗浄できるのであれば、循環経路の順番は適宜変更しても構わない。
洗浄剤は、成形充填部チャンバー22内の洗浄に使用される洗浄剤と同様のものが使用される。洗浄剤は50℃以上に加温されることで殺菌作用を有する洗浄剤もあり、加温装置72により加温されても構わない。
SIPは図10に示すように、過熱蒸気供給装置74により加圧装置55に過熱蒸気を供給することで行う。加圧装置55に供給された過熱蒸気は、高圧内容物供給マニホールド68、バルブブロック50を経て、ブローノズル49、延伸ロッド51に供給される。さらに、ブローノズル49により吐出される過熱蒸気は、ブローノズル49の先端に装着されたカップ状閉塞装置69によりを受けられ、駆動部62の下部から排出される。過熱蒸気の熱によりSIPは行われる。過熱蒸気は121℃以上で供給される。
またSIPは温水により行っても構わない。温水によるSIPは、図10に示すように無菌水タンク75から無菌水供給ポンプ76により加熱された無菌水が圧送されることにより行われる。圧送される無菌水は加温装置72により、70℃〜100℃に加熱され、加圧装置55を経て、バルブブロック50からブローノズル49へ送液される。ブローノズル49の先端に装着されたカップ状の閉塞装置69によりブローノズル49から吐出される無菌水は受けられ、バルブブロック50内の通路を経由して、高圧内容物供給マニホールド68に流入し、駆動部62の中心に設けられれた管体内部の配管により、駆動部62の下部のロータリージョイント73を経て、無菌水タンク75に還る。この循環路内に温水を循環させることでSIPが行われる。加温装置72は洗浄剤の加熱装置とは別に設けても構わない。製品液と接する部位が全て殺菌できるのであれば、循環経路の順番は適宜変更しても構わない。
内容物が充填されたボトル2は、図1に示すホイール24を経て密封部26に搬送される。密封部26のに設けられた密封ホイール25に、ボトル2は搬送され、図に示すようにキャップ殺菌装置28により殺菌されたキャップ35が、密封ホイール25に供給され、図11に示す密封工程のように、キャップ35が図示しないキャッパーにより、ボトル2の口部1aに巻き締められ、ボトル2は密封される。
密封されたボトル2は、密封ホイール25のグリッパ34から排出部30の排出ホイール29のグリッパ34に受け渡される。排出ホイール29に受け渡されたボトル2は排出コンベヤ31に載置される。排出コンベヤ31に載置されたボトル2は密封部チャンバー27内から無菌充填機の外部に排出される。
密封部チャンバー27内は無菌充填機運転前に、成形充填部チャンバー22と同様に、洗浄剤の吹き付けによる洗浄、無菌水の吹き付けによる洗浄剤の洗い流し、殺菌剤の吹き付けによる殺菌、無菌水の吹き付けによる殺菌剤の洗い流し、無菌エアの吹き付けによる無菌水の除去等の操作が行われる。さらに無菌充填機の稼働中は、密封部チャンバー27に備えられる無菌エア供給装置により供給される無菌エアにより、密封部チャンバー27内の圧力が陽圧に保持されることにより、密封部チャンバー27内の無菌性が維持される。密封部チャンバー27内の圧力を適正に保持するために、密封部チャンバー27に排気装置を設けても構わない。
密封部チャンバー27内を殺菌し、無菌性を維持するために、密封部チャンバー27内には密封部チャンバー27の内部及び内面を殺菌する殺菌装置、及び密封部チャンバー27の内部に無菌エアを供給する無菌エア供給装置が設けられる。また、密封部チャンバー27内を洗浄する洗浄装置も設けられる。殺菌装置は、密封部チャンバー27内に殺菌剤を吹き付ける吹き付けノズルとこれに殺菌剤を供給する殺菌剤供給装置を備える。また、洗浄装置は、密封部チャンバー27内に洗浄剤を吹き付ける吹き付けノズルとこれに洗浄剤を供給する洗浄剤供給装置を備える。殺菌剤及び洗浄剤は成形充填部チャンバー22内の殺菌及び洗浄に使用される殺菌剤及び洗浄剤と同様のものが使用される。
以下に本発明を実施するための形態2について図面を参照して説明する。
(実施の形態2)
最初に、プリフォーム供給装置から供給されたプリフォームを殺菌する前殺菌部、殺菌されたプリフォームをボトルに成形する温度まで加熱する加熱部、加熱されたプリフォームを殺菌する殺菌部、殺菌されたプリフォームに殺菌された内容物を高圧で充填することで、プリフォームをボトルに成形し、同時に内容物を充填する成形充填部、及び内容物が充填されたボトルを密封する密封部を備える実施の形態2に係る無菌充填機の概要を図12により説明し、さらに実施の形態1と異なる点を説明する。この実施の形態2によれば、プリフォーム加熱の前にプリフォームの殺菌を行うために、加熱後の殺菌を簡素に行うことができ、加熱されたプリフォームの温度の低下を抑えながら、プリフォームを成形と同時に内容物を充填することが可能であり、従来に比べ少ない工程でボトルに内容物が充填された無菌製品を得ることができる。
(実施の形態2に係る無菌充填機の概要)
図12に示すように、本実施形態に係る無菌充填機は、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置3、プリフォーム1を殺菌する前殺菌部77、プリフォーム1をボトル2に成形する温度に加熱する加熱部14、加熱されたプリフォーム1を殺菌する殺菌部6、プリフォーム1をボトル2に成形すると同時に殺菌された内容物を充填する成形充填部21、内容物が充填されたボトル2を殺菌されたキャップ35により密封する密封部26を備えている。さらに、密封されたボトル2が排出コンベヤ31に載置され、非無菌ゾーンに排出される排出部30を備える。
前殺菌部77は前殺菌部チャンバー78、加熱部14は加熱部チャンバー18、殺菌部6は殺菌部チャンバー5、成形充填部21は成形充填部チャンバー22、密封部26及び排出部30は密封部チャンバー27により各々遮蔽されている。加熱部14は無菌エリアではないため、遮蔽されなくても構わない。前殺菌部77におけるプリフォーム1の殺菌手段によっては、前殺菌部チャンバー78内に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物やオゾンが発生する。これらが加熱部14に流入しないように、殺菌部6と同様に、前殺菌部77は殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物やオゾンを無害化する排ガス処理装置81を通して排気ブロワ82により排気される。他のチャンバーは実施の形態1と同様である。
前殺菌部チャンバー78には殺菌装置が設けられ、無菌充填機の運転開始前に、前殺菌部チャンバー78内を殺菌しても構わない。前殺菌部チャンバー78内はプリフォーム1を殺菌することで殺菌されることもあり、無菌充填機を運転する前に殺菌しなくても構わない。殺菌装置は実施の形態1の殺菌部に設けられる殺菌装置と同様である。
(実施の形態2に係る無菌充填機及び無菌充填方法の詳細)
図2に示すプリフォーム1が、図12に示すプリフォーム供給装置3から、プリフォーム搬送コンベヤ4により所望の速度で連続的に前殺菌部77に搬送される。プリフォーム1は実施の形態1と同様である。
前殺菌部77に搬送されたプリフォーム1は、多数のグリッパ34が一定ピッチで設けられた前殺菌ホイール79に受け渡され、ここで殺菌される。プリフォーム1を殺菌する殺菌工程は、殺菌剤の接触、電子線の照射、紫外線を含む光の照射、温水の接触、過熱蒸気の接触のいずれか1又は2以上により行われる。殺菌ホイール79には殺菌工程を行うための殺菌手段80が設けられる。プリフォーム1は、殺菌される前にホットエアにより予熱されても構わない。プリフォーム1を予熱するために、殺菌ホイール79の前に予熱のためのホイールを設けても構わない。プリフォーム1を予熱することで殺菌効果が向上する。
本発明の実施の形態2に係るプリフォーム1への殺菌剤の接触とは、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を図4に示すようにプリフォーム1に吹き付ける、又は図13に示すように倒立させたプリフォーム1に液状の殺菌剤を吹き付けることによって行われる。殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物をプリフォーム1に吹き付けることは実施の形態1と同様である。
倒立させたプリフォーム1への液状の殺菌剤の吹き付けとは、図13に示すように行う。倒立したプリフォーム1のサポートリング1bをグリッパ34により把持し、上向きの殺菌剤吹き付けノズル41aにより、プリフォーム1の内面全域に液状の殺菌剤が接触するように、口部1aからプリフォーム1の内面に液状の殺菌剤を吹き付ける。また、プリフォーム1の外面には、その全域に液状の殺菌剤が接触するように、下向きの殺菌剤吹き付けノズル41bにより液状の殺菌剤をプリフォーム1の外面に吹き付ける。殺菌剤吹き付けノズル41aはプリフォーム1の口部1aに対向させて設けても、プリフォーム1の内部に挿入させるために、プリフォーム1の搬送速度に追従するノズル41aを設けても構わない。また、殺菌剤吹き付けノズル41bは複数本としても構わない。さらに、プリフォーム1の内外面に液状の殺菌剤が接触することができれば、方法はノズルにより液状の殺菌剤を吹き付けるのではなく、プリフォーム1を液状の殺菌剤に浸漬しても構わない。
液状の殺菌剤は、過酢酸を含むことが好ましく、さらに液状の殺菌剤は過酢酸、過酸化水素、酢酸及び水からなる平衡過酸化物組成物が好ましい。過酢酸の濃度は500mg/L〜4,000mg/Lが好ましい。500mg/L未満では殺菌力が不十分であり、4,000mg/Lを超えると過酢酸の濃度が高いために、無菌充填機で使用するパッキン等の部材を劣化させる可能性がある。この他に過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、オゾン等の殺菌成分を含む殺菌剤を液状の殺菌剤として使用しても構わない。また、液状の殺菌剤は水を含んでなるが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、グリコールエーテル類等の1種又は2種以上を含んでも構わない。さらに、硝酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、リン酸化合物等の添加剤を含んでも構わない。
液状の殺菌剤は常温でも構わないが、好ましくは40℃〜80℃に加温される。加温されると殺菌剤の殺菌効果が向上する。殺菌剤吹き付けノズル41a及び41bの1本当たりの流量は、1L/min.〜15L/min.、好ましく3L/min.〜10L/min.が適当である。また、吹き付け時間は0.2秒〜5秒が適当である。プリフォーム1への液状の殺菌剤の吹き付け量は殺菌剤吹き付けノズル41a及び41bの流量と吹き付け時間によって決定されるが、プリフォーム1の表面積に対して、0.05ml/cm2〜20ml/cm2であることが好ましい。0.05ml/cm2未満では殺菌が不十分
となり、20ml/cm2を超えると過大であり、エネルギー及び殺菌剤の浪費となる。
液状の殺菌剤を接触させたプリフォーム1は、付着した殺菌剤を除去するために無菌水によりリンスされる。無菌水は水を121℃以上で4分以上加熱することや除菌フィルタを通すことによって製造される。また、無菌水は充填される内容物と同等以上の殺菌条件で処理された水であっても良い。例えば、充填される内容物がミネラルウォーターの場合、充填されるミネラルウォーターでプリフォーム1をリンスしても構わない。無菌水によるプリフォーム1のリンスは、図13に示す殺菌剤の吹き付けと同様の工程及び装置により行われる。倒立したプリフォーム1のサポートリング1bをグリッパ34により把持し、プリフォーム1の内面全域が無菌水によりリンスされるように、上向きのノズルにより口部1aからプリフォーム1の内面に無菌水を吹き付ける。また、プリフォーム1の外
面には、その全域が無菌水によりリンスされるように、下向きのノズルにより無菌水をプリフォームの外面に吹き付ける。上向きのノズルはプリフォーム1の口部1aに対向させて設けても、プリフォーム1の内部に挿入させるためにプリフォーム1の搬送速度に追従するノズルを設けても構わない。また、下向きのノズルは複数本としても構わない。
無菌水は10℃〜80℃、好ましくは30℃〜70℃に調温される。無菌水を吹き付けるノズルの1本当たりの流量は、1L/min.〜15L/min.、好ましく3L/min.〜10L/min.が適当である。また、吹き付け時間は0.1秒〜15秒が適当である。プリフォーム1への無菌水の吹き付け量は、ノズルの流量と吹き付け時間によって決定されるが、プリフォーム1の表面積に対して、0.05ml/cm2〜20ml/
cm2であることが好ましい。0.05ml/cm2未満ではリンスが不十分となり、20ml/cm2を超えると過大であり、エネルギーの浪費となる。
無菌水によりリンスされたプリフォーム1に付着した無菌水は、無菌エアをプリフォーム1の内外面に吹き付けることにより除去することが好ましい。プリフォーム1は加熱部14で成形温度に加熱されるが、無菌水が付着した部分に加熱ムラが発生し、成形されるボトル2に白化、偏肉等の成形不良を発生するおそれがあるためである。無菌エアはブロワによるエアよりも圧縮エアが好ましく、無菌エアの圧力は0.01MPa以上、好ましくは0.1〜0.6MPaである。無菌エアを吹き付けるノズル内径はφ1mm〜φ10mm、好ましくはφ2mm〜φ8mmである。
殺菌剤が過酸化水素水の場合、無菌エアリンス後のプリフォーム1に付着する過酸化水素の量は、過酸化水素を35質量%含む過酸化水素水に換算して、0.0003μL/cm2〜0.35μL/cm2の範囲が好適である。より好ましくは0.0004μL/cm2〜0.2μL/cm2である。この過酸化水素の付着量が0.0003μL/cm2以上
となることにより、十分な殺菌効果を得ることができる。また、過酸化水素の付着量が0.35μL/cm2を超えると、ボトル2への殺菌剤の残留が多くなる。
前殺菌部77における前殺菌工程の電子線の照射、紫外線を含む光の照射及び過熱蒸気の接触は、実施の形態1と同様である。
本発明の実施の形態2に係るプリフォーム1への温水の接触とは、図13に示す倒立させたプリフォーム1に液状の殺菌剤を吹き付ける工程と同様に、温水をノズルによりプリフォーム1の内外面に吹き付けることにより行う。温水の熱によりプリフォーム1の表面に付着している菌等を殺菌する。倒立したプリフォーム1のサポートリング1bをグリッパ34により把持し、プリフォーム1の内面全域が温水により殺菌されるように、口部1aから上向きのノズルによりプリフォーム1の内面に温水を吹き付ける。また、プリフォーム1の外面には、その全域が温水により殺菌されるように、下向きのノズルにより温水をプリフォーム1の外面に吹き付ける。上向きのノズルはプリフォーム1の口部1aに対向させて設けても、プリフォーム1の内部に挿入させるために、プリフォーム1の搬送速度に追従するノズルを設けても構わない。また、下向きのノズルは複数本としても構わない。
温水とは70℃〜100℃に加温された水又は無菌水である。温水を吹き付けるノズルの1本当たりの流量は、1L/min.〜15L/min.、好ましく3L/min.〜10L/min.が適当である。ノズル内径はφ1mm〜φ10mm、好ましくはφ2mm〜φ8mmである。また、吹き付け時間は0.1秒〜15秒が適当である。プリフォーム1への温水の吹き付け量は、ノズルの流量と吹き付け時間によって決定されるが、プリフォーム1の表面積に対して、0.05ml/cm2〜20ml/cm2であることが好ましい。0.05ml/cm2未満では殺菌が不十分となり、20ml/cm2を超えると過
大であり、エネルギーの浪費となる。
温水により殺菌されたプリフォーム1に付着した温水は、無菌エアをプリフォーム1の内外面に吹き付けることにより除去されることが好ましい。プリフォーム1は加熱部14で成形温度に加熱されるが、温水が付着した部分に加熱ムラが発生し、成形される容器に白化、偏肉等の成形不良が発生するおそれがあるためである。プリフォーム1は加熱後にさらに殺菌されることから、プリフォーム1に吹き付けられるエアは無菌エアでなくても構わない。
上記のように、プリフォーム1は前殺菌部77において、前殺菌ホイール79に設けられた前殺菌手段80により、殺菌剤の接触、電子線の照射、紫外線を含む光の照射、温水の接触、過熱蒸気の接触のいずれか1又は2以上の方法により殺菌される。前殺菌手段80は前殺菌ホイール79の回りに設けられるが、前殺菌ホイール79以外に1又は2以上のホイールを設け、複数のホイールに前殺菌手段80を設けても構わない。前殺菌ホイール79以外にプリフォーム供給装置3やプリフォーム搬送コンベヤ4で殺菌を行っても構わない。
前殺菌部チャンバー78内は無菌充填機の運転前に、過酸化水素水等の殺菌剤を前殺菌部チャンバー78内に噴霧する等の手段により殺菌されることもある。そのために、前殺菌部チャンバー78内の壁面には、殺菌剤の吹き付けノズルが設けられる。また、前殺菌部チャンバー78に接する無菌エア供給装置の除菌フィルタの前殺菌部チャンバー78側の面を殺菌するために、殺菌剤の吹き付けノズルを設けても構わない。
前殺菌部77で殺菌されたプリフォーム1はサポートリング1bをグリッパ34に把持されて、ホイール81を経て加熱炉搬送ホイール11に受け渡される。加熱炉搬送ホイール11に搬送されたプリフォーム1は実施の形態1と同様の工程により、加熱部14で加熱され、加熱されたプリフォーム1は殺菌部6で殺菌され、殺菌されたプリフォーム1は成形充填部21でボトルへの成形と同時に内容物が充填され、内容物が充填されたボトル2は密封部26で密封され、排出部30を経て無菌充填機の外部に排出される。
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、無菌充填機の形態として、上述したホイール式の無菌充填機ではなく、直線式の無菌充填機など本発明の要旨内において種々変更可能である。