添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
図1〜図9を参照して、本実施の形態を説明する。先ず、図1及び図2を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態の超音波診断装置100の外観図である。図2は、超音波診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る超音波診断装置100は、病院などの医療機関で使用され、患者の生体などの被検体を診断する装置である。図1及び図2に示すように、超音波診断装置100は、超音波診断装置本体1と、超音波探触子2と、を備える。超音波探触子2は、図示しない被検体に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体で反射した超音波の反射波(反射超音波(散乱超音波を含む))を受信する。超音波診断装置本体1は、超音波探触子2とケーブル3を介して接続され、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して送信超音波を送信させるとともに、超音波探触子2にて受信した被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。
超音波探触子2は、圧電素子からなる振動子2aを備えており、この振動子2aは、例えば、方位方向に一次元アレイ状に複数配列されている。本実施の形態では、例えば、192個の振動子2aを備えた超音波探触子2を用いている。なお、振動子2aは、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子2aの個数は、任意に設定することができる。また、本実施の形態では、超音波探触子2について、リニア走査方式の電子スキャンプローブを採用したが、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用してもよく、また、リニア走査方式、セクター走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。
また、超音波探触子2は、複数の振動子2aが一列に配列された超音波送信のための送信開口O1を有する。超音波探触子2は、制御部18の制御に従い、送信開口O1内の任意の位置及び数の振動子2aを駆動して超音波を出力可能である。
なお、超音波診断装置本体1と超音波探触子2との通信は、ケーブル3を介する有線通信に代えて、UWB(Ultra Wide Band)などの無線通信により行うこととしてもよい。
図2に示すように、超音波診断装置本体1は、例えば、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、音線信号生成部14と、信号処理部15と、表示制御部としての画像処理変換部16と、表示部17と、制御部18と、記憶部19と、を備える。
操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報などのデータの入力などを行うための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボードなどを備えており、操作信号を制御部18に出力する。
送信部12は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2にケーブル3を介して電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。より具体的には、送信部12は、例えば、クロック発生回路、パルス発生回路、電圧及びデューティー設定部、遅延回路(いずれも図示略)を備える。
クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。パルス発生回路は、例えば、5値(+HV/+MV/0/−MV/−HV)の電圧を切り替えて出力することにより、矩形波によるパルス信号を発生させることができる。電圧及びデューティー設定部は、パルス発生回路から出力されるパルス信号の電圧及びデューティー比を設定する。すなわち、パルス発生回路は、デューティー設定部によって設定された電圧及びデューティー比に従ったパルス波形によるパルス信号を出力する。電圧及びデューティー比は、所定の周波数の成分を有する駆動信号となるように設定可能である。遅延回路は、駆動信号の送信タイミングを振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。
以上のように構成された送信部12は、制御部18の制御に従って、駆動信号を供給する複数の振動子2aを、超音波の送受信毎に所定数ずらしながら順次切り替え、出力の選択された複数の振動子2aに対して駆動信号を供給することによりスキャンを行う。
また、送信部12は、少なくとも、うなりモード、B(Brightness)モードの駆動信号を生成し、実施態様によって必要に応じ連続波ドプラモードの駆動信号を生成する。うなりモードは、被検体内にうなりを発生させる超音波又はうなり発生時との比較のためうなりを発生させない超音波を送受信するモードである。うなりとは、周波数(振動数)がわずかに異なる2つの波が干渉して、振幅がゆっくり周期的に変わる合成波を生ずる現象をいう。実施態様によって必要に応じて用いられる連続波ドプラモードは、超音波の送信、受信を別々の振動子2aに分けて機能させ、一方向に連続して超音波を送受信し、受信信号を周波数解析することにより被検体の血流、組織などの動き(速度)を検出するモードである。Bモードは、被検体の断層構造を輝度により表したBモード画像を生成するモードである。
送信部12は、うなりモードにおいて、うなり生成用の駆動信号として、任意の送信中心周波数f[MHz]の送信超音波を生成させる成分を含む駆動信号を生成して出力する。このとき、超音波探触子2は、送信中心周波数fの送信超音波が生成されて出力される。本実施の形態では、送信超音波でうなりを発生させるため、送信部12で、周波数(f+α)[MHz]の成分を含む駆動信号及び周波数(f−α)[MHz]の成分を含む駆動信号が生成される。増減周波数α[kHz]は、周波数(f+α),(f−α)の差分の差周波数2αがわずかな値となる周波数である。周波数(f+α)の送信超音波と、周波数(f−α)の送信超音波とが干渉することにより、差周波数2αの送信超音波の合成波が発生する。この差周波数2αの送信超音波の合成波と、被検体の組織などとの共振を検出することを目的とする。また、送信部12は、うなりモードにおいて、共振の検出に連続波ドプラではなく、うなりの生成有無によるエコー強度の差を用いる実施態様において、うなりを生成させない駆動信号として、周波数(f+α)の送信超音波を生成させる成分を含む駆動信号又は周波数(f−α)の送信超音波を生成させる成分を含む駆動信号が生成される。また、うなりを生成させない駆動信号の生成とその送受信は、上述のように周波数(f+α)と周波数(f−α)の2回行ってうなりの生成を検出する基準信号強度値を得る方法の他に、周波数fの駆動信号生成とその送受信の1回のみ行い、基準信号強度値を得る方法でもよい。これらは測定対象部位の減衰特性や必要な検出精度に応じて適宜選択される。
受信部13は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号の受信信号を受信する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路を備える。増幅器は、受信信号を、振動子2a毎に対応した個別経路毎に、予め設定された所定の増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をアナログ−デジタル変換(A/D変換)するための回路である。
音線信号生成部14は、制御部18の制御に従って、受信部13からの受信信号に対して包絡線検波処理や対数増幅などを実施し、音線データを生成する。音線信号生成部14は、整相加算部14aと、包絡線検波部14bとを備える。整相加算部14aは、制御部18の制御に従って、受信部13でA/D変換された受信信号に対して、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。包絡線検波部14bは、制御部18の制御に従って、整相加算部14aで生成された音線データに対して、包絡線検波処理や対数増幅などを実施する回路である。
信号処理部15は、制御部18の制御に従って、音線信号生成部14からの音線データを信号処理する。信号処理部15は、うなり共振検知部15aと、うなり共振記憶部15bと、うなり共振解析部15cと、Bモード画像生成部15dと、を有する。
うなり共振検知部15aは、うなりの検出にエコー強度の比較を用いる態様においては、制御部18の制御に従って、うなりモード時に、音線信号生成部14からうなり生成用の送信超音波(駆動信号)に対応する音線データの信号強度Iを検知し、(当該送信超音波の周波数の)検知した信号強度Iをうなり共振記憶部15bに記憶する。具体的には、うなり共振検知部15aは、うなりを発生した場合(周波数(f+α)及び周波数(f−α)の送信超音波を送信した場合)に、うなり発生時の周波数(周波数(f±α)とする)の音線データの信号強度I(f±α)を検知し、うなりを発生しない場合(周波数(f+α)又は周波数(f−α)の送信超音波を送信した場合)に、うなりを発生しない周波数の音線データの信号強度I(f+α)又はI(f−α)を検知する。
また、うなり共振検知部15aは、うなりの検出に連続波ドプラを用いる態様においては、制御部18の制御に従って、連続波ドプラモード時に、音線信号生成部14から連続波ドプラ用の送信超音波(駆動信号)に対応する音線データを周波数解析して被検体の組織などの速度(ドプラ速度(速度0に対する速度差))を検知する。
うなり共振記憶部15bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーであり、うなり共振検知部15aから入力された周波数の信号強度Iなどを記憶する。
うなり共振解析部15cは、うなりの検出にエコー強度の比較を用いる態様においては、制御部18の制御に従って、うなりモード時に、うなり共振記憶部15bに記憶された複数の周波数の信号強度Iを読み出して比較演算し、差周波数2αにおける指標値を決定する。より具体的には、うなり共振解析部15cは、音線データの信号強度I(f+α)及び信号強度I(f−α)から演算された基準信号強度値(例えば、2つの信号強度I(f+α)及びI(f−α)の相加平均値や、2つの信号強度I(f+α)及びI(f−α)の2点を通る指数関数上の当該2点の間の値)と、信号強度I(f±α)との差分値を算出して指標値とする。さらに、うなり共振解析部15cは、算出した差周波数2αの指標値がノイズに起因するばらつき閾値以上であるか否かを判定し、指標値がばらつき閾値以上である場合に、差周波数2αにおけるうなりによる差分検出(共振検出)を決定し、指標値がばらつき閾値未満である場合に、差分不検出を決定してその差分検出情報を生成する。
また、うなり共振解析部15cは、うなりの検出に連続波ドプラを用いる態様においては、制御部18の制御に従って、連続波ドプラモード時に、うなり共振検知部15aから入力されるドプラ速度がノイズに起因するばらつき閾値以上であるか否かを判定し、指標値がばらつき閾値以上である場合に、差周波数2αにおけるうなりによる差分検出(共振検出)を決定し、指標値がばらつき閾値未満である場合に、差分不検出を決定してその差分検出情報を生成する。
また、うなり共振解析部15cは、制御部18の制御に従って、必要に応じてうなり共振検知部15aから入力される関心領域Xの各位置の指標値の合致度をカラーマッピングして合致度画像データを生成する。
Bモード画像生成部15dは、制御部18の制御に従って、Bモード時に、音線信号生成部14から入力されたBモードの音線データに、ゲインの調整などを行って輝度変換することにより、Bモード画像データを生成する。すなわち、Bモード画像データは、受信信号の強さを輝度によって表した超音波画像データである。
画像処理変換部16は、制御部18の制御に従って、うなり共振の解析結果に応じた表示情報を生成して表示部17に表示する。画像処理変換部16は、表示画像合成部16aと、共振指標表示制御部16bと、DSC(Digital Scan Converter)16cと、を備える。
表示画像合成部16aは、制御部18の制御に従って、うなり共振解析部15cから入力された合致度画像データと、Bモード画像生成部15dから入力されるBモード画像データと、を合成して合成画像データを生成する。
共振指標表示制御部16bは、制御部18の制御に従って、うなり共振解析部15cから入力される指標値、指標値の合致度又は指標値若しくはドプラ速度の判定結果を表示部17に表示させる。DSC16cは、制御部18の制御に従って、表示画像合成部16a、Bモード画像生成部15dから入力された超音波画像データ(合致度画像データ、Bモード画像データ)に座標変換などの処理を行い表示用の画像信号に変換し、表示部17に出力する。
表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイなどの表示装置が適用可能である。表示部17は、共振指標表示制御部16b又はDSC16cから出力された画像信号に従って表示画面上に超音波画像データなどの情報の表示を行う。
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えて構成され、ROMに記憶されているシステムプログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波診断装置100の各部の動作を集中制御する。ROMは、半導体などの不揮発メモリーなどにより構成され、超音波診断装置100に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、各種データなどを記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。特に、ROMには、後述する第1の共振検出処理を実行させるための第1の共振検出プログラム、第2の共振検出処理を実行させるための第2の共振検出プログラム、第3の共振検出処理を実行させるための第3の共振検出プログラムが記憶されているものとする。
記憶部19は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量記録媒体によって構成されており、超音波画像データや、後述するうなりの指標値及び周波数の2軸の曲線の基準となる組織の種類ごとの曲線パターンを示す指標値基準情報などを記憶する。
超音波診断装置100が備える各部について、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能は、集積回路などのハードウェア回路として実現することができる。集積回路とは、例えばLSI(Large Scale Integration)であり、LSIは集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサーで実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。また、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能をソフトウェアにより実行するようにしてもよい。この場合、このソフトウェアは一つ又はそれ以上のROMなどの記憶媒体、光ディスク、又はハードディスクなどに記憶されており、このソフトウェアが演算処理器により実行される。
つぎに、図3(a)〜図4(c)を参照して、超音波によるうなりの発生を説明する。図3(a)は、超音波を送信する振動子2aのパターンIを示す図である。図3(b)は、超音波を送信する振動子2aのパターンIIを示す図である。図4(a)は、周波数(f+α)の超音波送信を示す図である。図4(b)は、周波数(f−α)の超音波送信を示す図である。図4(c)は、周波数(f+α),(f−α)の超音波送信を示す図である。
超音波探触子2は、複数の振動子2aのうち超音波を送信する振動子を選択することが可能である。また、うなりを発生させるためには、周波数がわずかに異なる2つの超音波を送信することを要する。
このため、うなり発生に関する超音波送信のパターンは、例えば、図3(a)に示すように、超音波探触子2の送信開口O1を左右の中心位置で空き領域なく分けられた左右の開口領域Oa,Obの振動子2aにより、互いに周波数が異なる送信超音波Ua,Ubを送信するパターン(パターンIとする)とする。開口領域Oa,Obからそれぞれ送信された送信超音波Ua,Ubは、深度によらず常に接しており、焦点距離で集束する。
うなり発生に関する別の超音波送信のパターンは、図3(b)に示すように、超音波探触子2の送信開口O1に左右の中央部分に空き領域を設け、左右の端部の開口領域Oa,Obの振動子2aにより、互いに周波数が異なる送信超音波Ua,Ubを送信するパターン(パターンIIとする)とする。開口領域Oa,Obからそれぞれ送信された送信超音波Ua,Ubは、焦点距離で接し集束する。
本実施の形態では、パターンI,IIのように、2つの開口領域からの送信超音波が焦点
距離で集束する場合を、「(送信超音波が焦点距離で)集束する」と定義する。また、パターンIIのように、2つの開口領域からの送信超音波が焦点距離のみで接し集束する場合
を、「(送信超音波が)交差する」と定義する。つまり、「集束する」は、「交差せずに集束する」と、「交差する」と、を含むものとする。
対象物に対してうなりを発生させずに送信超音波を送信する場合、例えば、図4(a)に示すように、パターンIIで、超音波探触子2の開口領域Oa,Obの双方から周波数(f+α)の送信超音波を、対象物OBに焦点距離を合わせて送信する。また、図4(b)に示すように、パターンIIで、超音波探触子2の開口領域Oa,Obの双方から周波数(f−α)の送信超音波を、対象物OBに焦点距離を合わせて送信する。
対象物に対してうなりを発生させるように送信超音波を送信する場合、例えば、図4(c)に示すように、パターンIIで、超音波探触子2の開口領域Oaから周波数(f+α)の送信超音波を、対象物OBに焦点距離を合わせて(交差させるように)送信し、開口領域Obから周波数(f−α)の送信超音波を、対象物OBに焦点距離を合わせて送信する。なお、開口領域Obから周波数(f+α)の送信超音波を送信し、開口領域Oaから周波数(f−α)の送信超音波を送信してもよい。また、パターンIについての超音波送信もパターンIIと同様である。
つぎに、図5〜図8を参照して、超音波診断装置100の動作を説明する。図5は、第1の共振検出処理を示すフローチャートである。図6は、関心領域合致度算出処理を示すフローチャートである。図7は、第2の共振検出処理を示すフローチャートである。図8は、第3の共振検出処理を示すフローチャートである。
図5及び図6を参照して、超音波診断装置100で実行される第1の共振検出処理を説明する。第1の共振検出処理は、関心領域(ROI:Region Of Interest)Xの1点におけるうなりによる共振の度合いを示す指標値、若しくは探索指定条件に対応する指標値基準情報と指標値との合致度、又は関心領域Xの全面における合致度を表示する処理である。
予め、超音波診断装置100が病院などの診察室に設けられ、診察室にユーザー(検査者(医師、技師など))と患者とが入室しているものとする。超音波診断装置100において、例えば、操作入力部11を介してユーザーから第1の共振検出処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、制御部18は、ROMに記憶された第1の共振検出プログラムに従い、第1の共振検出処理を実行する。ユーザーは、被検体のうなりによる共振を検出する対象の部位に超音波探触子2を当てる。
図5に示すように、先ず、制御部18は、うなりの増減周波数α[kHz]を初期値としてのα1に設定する(ステップS11)。設定される複数の増減周波数α[kHz]は、α1,α2,…,αn(nは任意の自然数)が予め用意されているものとする。
そして、制御部18は、うなりモードとして、設定中の増減周波数αを用いて、超音波探触子2の送信開口O1の異なる開口領域Oa,Obの双方から、周波数(f+α)[MHz]の送信超音波を送信させ関心領域Xの1点(例えば、操作入力部11を介してユーザーに入力される関心領域X内の任意の位置や、予め設定された関心領域Xの中心位置などの所定位置)に集束させる駆動信号を送信部12に生成させ、超音波探触子2から送信超音波を送信させる(ステップS12)。そして、制御部18は、ステップS11で送信された送信超音波に対応する反射超音波が超音波探触子2で受信され、受信部13、音線信号生成部14に受信信号の音線データを生成させ、うなり共振検知部15aに、生成された音線データの信号強度I(f+α)を検知させ、うなり共振記憶部15bに記憶させる(ステップS13)。
そして、制御部18は、設定中の増減周波数αを用いて、超音波探触子2の送信開口O1の異なる開口領域Oa,Obの双方から、周波数(f−α)[MHz]の送信超音波を送信させ関心領域Xの1点に集束させる駆動信号を送信部12に生成させ、超音波探触子2から送信超音波を送信させる(ステップS14)。そして、制御部18は、ステップS14で送信された送信超音波に対応する反射超音波が超音波探触子2で受信され、受信部13、音線信号生成部14に受信信号の音線データを生成させ、うなり共振検知部15aに、生成された音線データの信号強度I(f−α)を検知させ、うなり共振記憶部15bに記憶させる(ステップS15)。
そして、制御部18は、設定中の増減周波数αを用いて、超音波探触子2の送信開口O1の一方の開口領域Oaから、周波数(f+α)[MHz]の送信超音波を送信させ、他方の開口領域Obから、周波数(f−α)[MHz]の送信超音波を送信させ関心領域Xの1点に交差させる駆動信号(例えば、パターンII)を送信部12に生成させ、超音波探触子2から送信超音波を送信させる(ステップS16)。そして、制御部18は、ステップS16で送信された送信超音波に対応する反射超音波が超音波探触子2で受信され、受信部13、音線信号生成部14に受信信号の音線データを生成させ、うなり共振検知部15aに、生成された音線データの信号強度I(f±α)を検知させ、うなり共振記憶部15bに記憶させる(ステップS17)。
そして、制御部18は、うなり共振解析部15cに、うなり共振記憶部15bに記憶された信号強度I(f+α),I(f−α),I(f±α)を用いて、信号強度I(f+α),I(f−α)から演算された基準信号強度値と、強度I(f±α)との差分値を算出させ、算出された差分値を差周波数2α[kHz]の指標値として決定させる(ステップS18)。そして、制御部18は、増減周波数α[kHz]の設定値を全て設定したか否かを判別する(ステップS19)。増減周波数α[kHz]の設定値を全て設定していない場合(ステップS19;NO)、制御部18は、増減周波数α[kHz]を未設定の次の設定値に変更し(ステップS20)、ステップS12に移行する。
増減周波数α[kHz]の設定値を全て設定した場合(ステップS19;YES)、制御部18は、ステップS18で得られた各差周波数2αの指標値を、差周波数2αと指標値との2軸にプロットさせてグラフとしての指標値情報を生成させる(ステップS21)。指標値情報は、各差周波数2αの指標値が連続的な値をとれる情報とするが、例えば、指標値を段階的に表した情報とする構成としてもよい。指標値情報は、被検体の組織の種類に応じて、分布のパターンが異なる。
そして、制御部18は、操作入力部11を介して、ユーザーから任意の指定探索条件の入力を受け付け、指定探索条件が入力されたか否かを判別する(ステップS22)。指定探索条件とは、指標値情報がどの組織の種類に対応しているかを検出するため、記憶部19に記憶されている組織の種類ごとの指標値基準情報を指定するための情報であり、例えば、組織の種類や、指標値基準情報の識別番号である。
指定探索条件が入力されていない場合(ステップS22;NO)、制御部18は、共振指標表示制御部16bに、ステップS21で生成された指標値情報を表示部17に表示させ(ステップS23)、第1の共振検出処理を終了する。
指定探索条件が入力された場合(ステップS22;YES)、制御部18は、ステップS22で入力された指定探索条件に対応する指標値基準情報を記憶部19から読み出し、うなり共振解析部15cに、読み出した指標値基準情報とステップS21で生成された指標値情報との合致度(例えば、曲線のマッチング率[%])を算出させる(ステップS24)。そして、制御部18は、操作入力部11を介して、ユーザーから合致度を関心領域Xの全面で表した合致度画像の画像表示要求と、合致度画像の表示条件との入力を受け付け、画像表示要求及び表示条件が入力されたか否かを判別する(ステップS25)。表示条件とは、後述する合致度画像の表示条件の情報として、合致度画像をBモード画像に並列又は重畳する表示方式などの情報である。
画像表示要求及び表示条件が入力されていない場合(ステップS25;NO)、制御部18は、共振指標表示制御部16bに、ステップS21で生成された指標値情報とステップS24で算出された合致度とを表示部17に表示させ(ステップS26)、第1の共振検出処理を終了する。
画像表示要求及び表示条件が入力された場合(ステップS25;YES)、制御部18は、関心領域合致度算出処理を実行する(ステップS27)。ここで、図6を参照して、ステップS27の関心領域合致度算出処理を説明する。
図6に示すように、先ず、制御部18は、関心領域Xの初期位置(画素)を選択する(ステップS31)。ステップS32〜S41は、図5のステップS11〜S20と同様である。ただし、ステップS33,S35,S37では、選択中の位置に集束又は交差するように送信超音波が送信される。
増減周波数α[kHz]の設定値を全て設定した場合(ステップS40;YES)、制御部18は、図5のステップS21と同様に、ステップS39で得られた各差周波数2αの指標値を、差周波数2αと指標値との2軸にプロットさせて指標値情報を生成させ、ステップS24と同様に、ステップS22で入力された指定探索条件に対応する指標値基準情報を記憶部19から読み出し、うなり共振解析部15cに、読み出した指標値基準情報と生成された指標値情報との合致度を算出させる(ステップS42)。
そして、制御部18は、関心領域Xの全ての位置を選択したか否かを判別する(ステップS43)。関心領域Xの全ての位置を選択していない場合(ステップS43;NO)、制御部18は、関心領域Xの未選択の次の位置を選択し(ステップS44)、ステップS32に移行する。関心領域Xの全ての位置を選択した場合(ステップS43;YES)、関心領域合致度算出処理を終了する。
図5に戻り、ステップS27の後、制御部18は、うなり共振解析部15cに、ステップS27で得られた関心領域Xの各位置の合致度を示す合致度画像データを生成させる(ステップS28)。ステップS28では、例えば、合致度の高さに応じた色が予め設定されており、関心領域Xの各位置の合致度の高さに応じたカラーマッピングが施されて合致度画像データが生成される。
そして、制御部18は、送信部12、受信部13、音線信号生成部14及びBモード画像生成部15dを制御して、Bモードの駆動信号を生成させて超音波探触子2からの受信信号に応じたBモード画像データを生成させ、表示画像合成部16aに、ステップS25で入力された表示方式で、生成されたBモード画像データに、ステップS28で生成された合致度画像データを合成させ合成画像データを生成させ、DSC16cに、生成された合成画像データに座標変換などを施して表示部17に表示させ(ステップS29)、第1の共振検出処理を終了する。
ついで、図7を参照して、超音波診断装置100で実行される第2の共振検出処理を説明する。第2の共振検出処理は、連続波ドプラ法を用いて、関心領域Xの1点におけるうなりによる共振の有無を示す差分検出情報を生成して表示する処理である。
第1の共振検出処理と同様に、超音波診断装置100において、例えば、操作入力部11を介してユーザーから第2の共振検出処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、制御部18は、ROMに記憶された第2の共振検出プログラムに従い、第2の共振検出処理を実行する。
図7に示すように、ステップS51,S52は、図5の第1の共振検出処理のステップS11,S16と同様である。ただし、ステップS52では、送信超音波の送信方法として、パターンI,IIが用いられ、送信超音波が関心領域Xの1点で集束される送信が行われる。そして、制御部18は、超音波探触子2から連続波ドプラの送信超音波を関心領域Xの1点へ送信させるための駆動信号を送信部12に生成させ、超音波探触子2から送信超音波を送信させる(ステップS53)。そして、制御部18は、ステップS53で送信された送信超音波に対応する反射超音波が超音波探触子2で受信され、受信部13、音線信号生成部14に受信信号の音線データを生成させ、うなり共振検知部15aに、生成された音線データを周波数解析させてドプラ速度を生成させ、うなり共振解析部15cに、生成されたドプラ速度が所定のばらつき閾値以上であるか否かを判定させ、判定結果に応じて差周波数2αにおける差分(共振)検出/不検出を示す差分検出情報を決定(生成)させる(ステップS54)。
ステップS55,S56は、図5のステップS19,S20と同様である。増減周波数α[kHz]の設定値を全て設定した場合(ステップS55;YES)、制御部18は、ステップS54で得られた各差周波数2αの差分検出情報を表示部17に表示させ(ステップS57)、第2の共振検出処理を終了する。ステップS57では、例えば、差周波数2α及び差分検出情報(検出/不検出)の2軸に差分検出情報をプロットしたグラフが生成されて表示される。
ついで、図8を参照して、超音波診断装置100で実行される第3の共振検出処理を説明する。第3の共振検出処理は、第1の共振検出処理と同様な受信信号の信号強度の比較により、関心領域Xの1点におけるうなりによる共振の有無を示す差分検出情報を生成して表示する処理である。
第1の共振検出処理と同様に、超音波診断装置100において、例えば、操作入力部11を介してユーザーから第3の共振検出処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、制御部18は、ROMに記憶された第3の共振検出プログラムに従い、第2の共振検出処理を実行する。
図8に示すように、ステップS61〜S67は、図5の第1の共振検出処理のステップS11,S16,S17,S12〜S15と同様である。そして、制御部18は、うなり共振解析部15cに、うなり共振記憶部15bに記憶された信号強度I(f+α),I(f−α),I(f±α)を用いて、信号強度I(f+α),I(f−α)から演算された基準信号強度値と、信号強度I(f±α)との差分値を算出させ、算出された差分値が所定のばらつき閾値以上であるか否かを判定させ、判定結果に応じて差周波数2αにおける差分(共振)検出/不検出を示す差分検出情報を決定(生成)させる(ステップS68)。
ステップS69,S70は、図5のステップS19,S20と同様である。増減周波数α[kHz]の設定値を全て設定した場合(ステップS69;YES)、制御部18は、ステップS68で得られた各差周波数2αの差分検出情報を表示部17に表示させ(ステップS71)、第3の共振検出処理を終了する。ステップS71では、例えば、差周波数2α及び差分検出情報(検出/不検出)の2軸に差分検出情報をプロットしたグラフが生成されて表示される。
つぎに、図9を参照して、本実施の形態の具体的な実施例及び比較例を説明する。図9は、ファントムP1の構成を示す図である。
本実施の形態の実施例及び比較例として、超音波診断装置100を用いて、対象物としての図9に示すファントムP1について共振の検出を行った。
次表Iに示すように、ゼラチンを溶解した40℃の水溶液に、直径0.5[mm]、1[mm]、2[mm]、4[mm]のポリメチルメタクリレート製の真球状樹脂ビーズ及び直径2[mm]のシリコーンゴム製の真球状粒子を各々分散し、各分散液を各混合比率[%]で混合した後に冷却・ゲル化して図9に示した直径10[mm]の円筒状の円筒状領域A,B,C,D,E,Fを30[mm]の深さに有する直方体のファントムP1を作製した。なお、ファントムP1の円筒状領域A,B,C,D,E,F以外の周囲領域は、樹脂ビーズを含まない周囲領域Gとした。
こうして得られたファントムP1に対し、円筒状領域の短軸が断面となるように、−6dB送受信感度周波数帯域が3〜10[MHz]のリニアの超音波探触子2を当てて、次表IIの内容に従って超音波の送受信を行い、比較例1、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4のそれぞれでうなりによる共振発生の解析を行った。
<比較例1>
比較例1では、超音波診断装置を用い、送信超音波の送信方法を、図2(a)に示すパターンIとした。また、超音波診断装置で、図7に示す第2の共振検出処理を実行した。ただし、増減周波数α=0に固定し、ステップS55,S56の増減周波数αの設定値変更を行っていない。また、送信中心周波数fを3.5[MHz]とし、円筒状領域A〜Eがある30[mm]の深さに送信超音波の送信焦点(関心領域Xの1点)を合わせて、対象領域として円筒状領域A〜E、周囲領域Gに順次焦点を合わせた。
<実施例1>
実施例1では、超音波診断装置100を用い、送信超音波の送信方法を、図2(a)に示すパターンIとした。また、超音波診断装置100で、図7に示す第2の共振検出処理を実行した。また、送信中心周波数fを3.5[MHz]とし、増減周波数αを、500、250、125、62.5[KHz]の4つの周波数に順次変更して設定した。また、円筒状領域A〜E及び周囲領域Gがある30[mm]の深さに送信超音波の送信焦点(関心領域Xの1点)を合わせて、対象領域として円筒状領域A〜E、周囲領域Gに順次焦点を合わせた。
また、ステップS57で差分(共振)が検出された場合には、送信超音波の送信焦点を前後に10[mm]変化させて同様の検出判定を行い、その深度が特定できる場合、すなわち送信焦点が30[mm]の場合にのみ差分が検出されて、前後に送信焦点を変化させた場合に、差分が検出されないか否かを示す差分発生深度特定を測定した。
<実施例2>
実施例2では、超音波診断装置100を用い、送信超音波の送信方法を、図2(b)に示すパターンIIとした。その他の条件は、実施例1の条件と同様である。
<実施例3>
実施例3では、超音波診断装置100を用い、送信超音波の送信方法を、図2(a)に示すパターンIとした。また、超音波診断装置100で、図8に示す第3の共振検出処理を実行した。その他の条件は、実施例1の条件と同様である。
<実施例4>
実施例4では、超音波診断装置100を用い、送信超音波の送信方法を、図2(b)に示すパターンIIとした。また、超音波診断装置100で、図8に示す第3の共振検出処理を実行した。その他の条件は、実施例1の条件と同様である。
上記の比較例1と、実施例1〜4とについて、測定条件及び測定結果を次表IIにまとめた。
比較例1については、円筒状領域A〜E、周囲領域Gの各領域に対して、送信超音波としてバースト波を送波し、第2の共振検出処理に従って連続波ドプラ法による差分(共振)の検出を試みたものの、いずれの領域についても差分を検出することができなかった。
実施例1については、円筒状領域A〜E、周囲領域Gの各領域に対してうなり波が生成するよう送信超音波としてバースト波の送波を行い、第2の共振検出処理に従って、直後に連続波ドプラ法による共振の検出を行った。すると、単体の樹脂ビーズ領域からなる円筒状領域A,B,C,Dについて、樹脂ビーズの振動と思われる差分が、樹脂ビーズの直径ごとに異なる差周波数2αで検出された。しかしながら、シリコーンゴム粒子を用いた円筒状領域Eや複数の樹脂ビーズで構成された円筒状領域Fではいずれの差周波数2αでも検出できなかった。
また、差分発生深度特定(不可)に示されるように、円筒状領域A,B,C,Dについて、20[mm]、40[mm]と送信焦点を変化させて同様の第2の共振検出処理を行った場合でも、同様に差分(共振)が検出されてしまい、30mm深度領域で差分が生じていることを特定できなかった。
実施例2について、送信超音波の送信方法をパターンIからパターンIIへ変更した以外は、実施例1と同様にして、うなり周波数での差分(共振)検出を行い、実施例1と同様の結果を得た。加えて、差分発生深度特定(可)に示されるように、送信焦点を20[mm]、40[mm]と変化させた場合には差分が検出されず、30mmのときのみ差分が検出されたため、差分(共振)を生じている領域が30mm深度領域であることを特定することが可能となった。
実施例3について、第3の共振検出処理に従い、うなり波を生成する送信超音波の第1送信の後に、周波数(f+α)と周波数(f−α)との2回の送信超音波の第2送信、第3送信を行い、信号強度I(f+α)、I(f−α)からf[MHz]の参照エコー信号強度としての基準信号強度値を算出し、うなり波を生成する第1送信の信号強度I(f±α)と比較することにより差分(共振)の検出を行った。この方法では、実施例1,2で検出できた円筒状領域A,B,C,Dに加え、検出できていなかった円筒状領域E,Fについても差分の検出が可能となった。しかしながら、差分発生深度特定(不可)に示されるように、送信焦点を20[mm]、40[mm]と変化させて同様の差分検出を行った場合でも、同様に差分が検出されてしまい、30mm深度領域で差分が生じていることを特定できなかった。
実施例4について、送信超音波の送信方法をパターンIからパターンIIへ変更した以外は実施例3と同様にして、うなり周波数での差分(共振)検出を行い、実施例1と同様の結果を得た。加えて、差分発生深度特定(可)に示されるように、送信焦点を20[mm]、40[mm]と変化させた場合には差分が検出されず、30mmのときのみ差分が検出されたため、差分(共振)を生じている領域が30mm深度領域であることを特定することが可能となった。なお、周囲領域Gについては粒子状の構造物を含まない均質媒質であるため、いずれの実施例、比較例においても共振は検出されなかった。
以上、本実施の形態によれば、超音波診断装置100は、駆動信号を生成し、超音波探触子2に、生成した駆動信号を出力する送信部と、送信中心周波数f及び増減周波数αを用いて、周波数(f+α)の超音波と周波数(f−α)の周波数の超音波とを集束するよう同時に送信させる第1の駆動信号を送信部12に生成させる制御部18と、超音波探触子2から第1の駆動信号の超音波に対応する第1の受信信号を取得する受信部13と、第1の受信信号から被検体の共振挙動を示す差周波数2αの共振情報(指標値情報、合致度、合致度画像データ、差分検出情報)を生成する信号処理部15と、を備える。
このため、差周波数2αの共振情報により、組織構造などに起因する共振挙動を定量化でき、新たな組織性状などについての診断情報などを得ることができる。なお、共振情報を穿刺針の抽出用の情報として利用することもできる。
また、超音波送信のパターンIIにおいて、制御部18は、周波数(f+α)の超音波と周波数(f−α)の周波数の超音波とを所定の位置で交差するよう同時に送信させる第1の駆動信号を送信部12に生成させる。このため、実施例2、実施例4に示すように、うなりの共振を発生する位置を明確にでき、かつうなりの共振を発生する位置を自在に制御できる。
また、第1、第3の共振検出処理において、制御部18は、基準信号強度値に対応する超音波として、周波数(f+α)の超音波と周波数(f−α)の超音波との2つを送信させる第2の駆動信号を送信部12に生成させる。受信部13は、超音波探触子2から第2の駆動信号の超音波に対応する第2の受信信号を取得する。信号処理部15は、第1の受信信号の信号強度値と第2の受信信号の基準信号強度値(信号強度I(f+α),I(f−α)から演算された基準信号強度値)との差分値(指標値)を差周波数2αの共振情報として算出する。このため、差周波数2αの共振情報により、周波数依存減衰を正確に得ることができ、組織構造などに起因する共振挙動を正確に定量化でき、新たな組織性状などについての診断情報などを正確に得ることができる。
また、第1の共振検出処理において、信号処理部15は、信号強度の差分値が所定のばらつき閾値以上であるか否かを判定し、当該判定結果を共振情報とする。このため、ノイズによる誤差を除き、組織構造などに起因する共振の発生をより正確に判定できる。
また、第1、第2、第3の共振検出処理において、制御部18は、増減周波数αを複数の設定値に変更しつつ第1、第2(第3)の駆動信号を生成する。信号処理部15は、各差周波数2αの第1、第2(第3)の受信信号から各増減周波数αの共振情報を生成する。このため、複数の差周波数2αにわたる共振情報を得ることができる。
また、第1の共振検出処理において、信号処理部15は、各増減周波数αの信号強度の差分値(指標値情報)と、所定の組織の種類に対応して設定された周波数に対する信号強度の差分値を示す指標値基準情報との合致度を共振情報として算出する。このため、うなりの送信超音波の集束部分が、所定の組織の種類に合致するかを定量的に認識できる。
また、第1の共振検出処理において、信号処理部15は、関心領域の各位置の第1の駆動信号を送信部12に生成させる。信号処理部15は、関心領域の各位置の合致度を示す合致度画像データを共振情報として生成する。このため、関心領域の各位置が、所定の組織の種類に合致するかを定量的に認識できる。
また、第2の共振検出処理において、制御部18は、第1の駆動信号の出力後に、連続波ドプラ法の第3の駆動信号を送信部12に生成及び出力させる。受信部13は、超音波探触子2から第3の駆動信号の超音波に対応する第3の受信信号を取得する。信号処理部15は、第3の受信信号を周波数解析してドプラスペクトル情報としてのドプラ速度を生成し、当該ドプラ速度が所定のばらつき閾値以上であるか否かを判定し、判定結果を差周波数2αの共振情報とする。このため、組織構造などに起因する共振挙動を正確に定量化でき、新たな組織性状などについての診断情報などを正確に得ることができる。なお、ドプラ速度を差周波数2αの共振情報とする構成としてもよい。
また、画像処理変換部16は、生成された差周波数2αの共振情報を表示部17に表示させる。このため、ユーザーが、差周波数2αの共振情報を目視により認識できる。
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る好適な超音波診断装置及び共振情報取得方法の一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、超音波診断装置100において、上記実施の形態の第1の共振検出処理、第2の共振検出処理、第3の共振検出処理の少なくとも2つを適宜組み合わせた共振検出処理が実行される構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、第1の共振検出処理において、関心領域の各位置について、信号強度I(f±α)と信号強度I(f+α)及びI(f−α)から演算された基準信号強度値との差分値(指標値)の指標値情報と指標値基準情報との合致度を示す合致度画像データを生成及び表示する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、第1の共振検出処理において、関心領域の各位置で任意の差周波数2αについて、信号強度I(f±α)と信号強度I(f+α)及びI(f−α)から演算された基準信号強度値との差分値(指標値)を示す指標値画像データを生成及び表示する構成としてもよい。
また、上記実施の形態において、第1、第3の共振検出処理において、制御部18が、周波数(f+α)の超音波と周波数(f−α)の超音波との2つを送信させる第2の駆動信号を送信部12に生成させ、信号処理部15が、第1の受信信号の信号強度と第2の受信信号の信号強度(信号強度I(f+α),I(f−α)から演算された基準信号強度値)との差分値(指標値)を差周波数2αの共振情報として算出する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、制御部18が、周波数(f+α)の超音波と周波数(f−α)の超音波とのいずれか1つを送信させる第2の駆動信号を送信部12に生成させ、信号処理部15が、第1の受信信号の信号強度と第2の受信信号の信号強度(基準信号強度値としての信号強度I(f+α)又はI(f−α))との差分値(指標値)を差周波数2αの共振情報として算出する構成としてもよい。この構成によれば、差周波数2αの共振情報により、超音波の送受信回数を低減でき、組織構造などに起因する共振挙動を容易に定量化でき、新たな組織性状などについての診断情報などを容易に得ることができる。
また、第1の共振検出処理のステップS27〜S29において、静止画の合致度画像及びBモード画像を合成した静止画の合成画像を表示する構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の共振検出処理において、ステップS27〜S29を繰り返し実行することにより、動画の合致度画像及びライブのBモード画像を合成した動画の合成画像を表示する構成としてもよい。
また、以上の実施の形態における超音波診断装置100を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。