JP6939276B2 - バイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法 - Google Patents

バイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パーム椰子産業における未利用廃棄物のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法に関するものである。
パーム椰子は、生鮮果房(FFB:Fresh Fruit Bunch)の果肉とパーム椰子核とからそれぞれ油脂を採取でき、こうした油脂の生産を目的として栽培が行われている。パーム椰子は、単位面積当たりで得られる油脂の量が植物中でも極めて多く、商業作物として、特にインドネシアやマレーシアを中心に大規模な栽培(プランテーション農業)が行われている。
今日産業的に大規模栽培されたパーム椰子から収穫された果実は、石鹸や食用植物油の生産に使われている。生鮮果房(FFB)の果実うち果肉(中果皮)からはパーム油が、また、中心部のパーム椰子核からはパーム核油がそれぞれ得られる。パーム油とパーム核油の品質は異なっており、パーム油は主に調理用、パーム核油は主に加工食品用としての用途が多いが、近年では、こうしたパーム油やパーム核油をバイオマス燃料としてディーゼル燃料の代替品として用いられつつある。
バイオマス燃料として、近年では、パーム椰子のパーム油やパーム核油を採取した際に副産物として得られるパーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shell)が用いられている。特に最近では、バイオマス原料となる間伐材の供給が不足する傾向にあり、パーム椰子殻(PKS)の使用量が増加傾向にある。
パーム椰子からパーム油やパーム核油を採取するパーム油産業においては、上述のパーム椰子殻(PKS)以外にも、空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)、パーム古木(OPT:Oil Palm Trunk)、パーム枝葉(OPF:Oil Palm Frond)等が副産物として発生する。また、生鮮果房(FFB:Fresh Fruit Bunch)の果実より搾油する際に、油分などの有機物を含むパーム椰子排水(POME:Paim Oil Mill Effuent)が多量に生じる。
ここで、空果房(EFB)は、パーム椰子の生鮮果房(FFB:Fresh Fruit Bunch)から果実を採取する際に蒸煮することから、このときの蒸気によって空果房(EFB)の水分量は65%以上となるため、燃焼用の燃料としては適していない。このため、空果房(EFB)のほとんどは農園に戻され廃棄されるが、一部はパーム繊維(Fiber)、パーム椰子殻(PKS)と一緒にボイラで燃焼させ、その燃焼灰を肥料として利用されている。
このようなパーム油産業は、世界的にみて、マレーシアおよびインドネシア(以下、生産国と称することがある)の2か国だけで地球上の全生産量の85%強を占めている。パーム油の生産工程から多量に排出される上述したパーム椰子排水(POME)は、生産国においてはその殆どがオープンラグーンで処理されており、地球温暖化ガス(メタンを含むバイオガス)の大気放散、及び水質汚染の面で課題があり、EU等からも生産国に対して改善を求められている。
このため、例えばマレーシア政府は、パーム油産業を持続可能な環境配慮型の産業に転換すべく、パーム油生産工場に対して「BOD20mg/L以下」という厳しい排水基準値を適用する方向であり、バイオガス発電した電力の買取価格を優遇するFeed−inTariff(FiT)制度も導入している。
パーム油生産工場において、パーム椰子排水(POME)を発酵システムにより処理し、得られたバイオガスを燃料として発電したエネルギー利用も幾つかのパーム油生産工場において始まっている。例えば、温室効果ガス削減効果としては、パーム油生産工場一ヶ所当たり22600t/日のCO削減ができ、排水処理能力向上による環境負荷低減については、パーム油生産工場1ヶ所当たりBOD18.4t/年が削減される。
但し、通常のパーム油生産工場では基本的にエネルギーが余っており、ガス発電したとしても、売電に必要な高圧線網が整備されているパーム油生産工場はごく限られ、パーム油生産工場の事業主が、水質規制対策を単なるコストアップとしてではなく、投資回収できる設備投資として捉えるまでには至っていない。
一方、こうしたパーム油生産工場などで生じた余剰エネルギーなど、再生可能エネルギーの分野において、最も急を要する責務の1つが、太陽や風力のような出力が時間変動するエネルギー資源から得られた電力の貯蔵に関する問題を解消することである。一例として、PTG(Power to Gas)技術のコンセプトは、非常に前途有望な取り組みとして発展してきた。世界中に多数のプロジェクトがあり、それらのいくつかはパイロット段階を終了し、商業運転へと向かっている。
こうしたPTG技術の原理は極めて単純であり、再生可能エネルギーからの電力は、電気的に水を水素と酸素に分解するために使用される。そして、得られた水素は、電気に変えることも燃料として直接使用することもできる。電力の水素への転換には、ある程度のエネルギー損失があるが、1つの目的のためには有効である。再生可能エネルギーからの電力をエネルギーの豊富な水素として貯蔵できることであり、必要に応じて炭素によってメタンガスを得ることも可能である。ある程度までの輸送と貯蔵には、既存のガスインフラが利用可能である。
例えば、世界で最も大きな6メガワットの最大生産能力を持つメタン化施設は、ドイツ北部のWerlteにおいて運転が行われている。この施設では、自動車メーカーのAudi社が、水ではなく年間11万トンのスラリーと食品廃棄物をメタンに転換することを支援している。メタン化プロセスに必要なエネルギーには、北海の洋上風力発電所で発生する過剰電力が使用される。この施設では、有機物を約3分の2のメタンと3分の1のCOから構成されるバイオガスに転換する。その後、複数のプロセスを経て得られたバイオガスからCOを吸着する活性炭中を通過させてCOが除去される。次の段階では、COは低い圧力で脱着され、メタン化施設に送られる。そして、「CO+4H→CH+2HO」のプロセスが実行される。
一方、再生可能エネルギーの分野において、炭化水素産生藻類に炭化水素などの油脂を産生させ、藻類産生油(グリーンオイル)を得る方法が行われつつある。藻類とは、陸上生活を行わない酸素発生型光合成生物である。酸素発生型の光合成を行う最初の生物は30億年近く前に出現し、シアノバクテリアに類似したものであったと考えられている。
シアノバクテリアはラン藻とも呼ばれるが、核を持たない原核生物(バクテリアの仲間)である。その後、真核生物(核を持つ生物)の細胞内に取り込まれたシアノバクテリアのひとつが、今日の葉緑体の起源となった。この最初の真核光合成生物(一次植物)の複数の子孫は、さらに別の真核生物によって取りこまれ、複数の光合成生物(二次植物)が誕生した。すなわち、藻類とは、起源が全く異なる光合成生物の総称であり、原核生物(シアノバクテリア)と多系統の真核生物(紅藻、褐藻、緑藻など)を含んでいる。
一方において、藻類は、光合成を行うこと、水生生物であることなど、共通の性質を有している。藻類には単細胞性のものが多く(以下、単細胞性藻類を微細藻類と称する)、それらの中には増殖速度が速く培養が容易なものも多い。これらの性質をもつ藻類としては、シアノバクテリアあるいは緑藻の属するものが多く、バイオ燃料生産との関連で研究されている。
微細藻類は以下のことが理由となって、バイオ燃料として大きく注目されるようになったものと考えられる。(1)単位時間・単位面積あたりのバイオマス生産性が、高等植物の数倍から数十倍になるものがいる。(2)増殖速度が速いものがいる。(3)油脂含量あるいはデンプン蓄積量が高いものがいる。(4)培養が比較的容易である。(5)耕地として適さない土地および水域を利用して藻類を培養できる。すなわち、食糧生産と競合しないパーム産業由来の、バイオ燃料として生産出来る。
こうした項目をだけを考慮すると極めて良好なバイオ燃料と考えられるが、実際には微細藻類によって生産されたグリーンオイルは生産コストが高く、現状技術で軽油を生産すると、1リットルあたりの単価が1,000円近くになってしまう。
微細藻類からのバイオ燃料生産が高コストな理由としては、培養から燃料生産までの一連の工程すべてにおいて、安価な大規模生産に対応できる技術が未熟だからと言える。例えば、微細藻類の培養について考えてみると、これまで微細藻類の大量培養技術は、生体内化学物質 が生体の特定の生理的調節機能に対して作用する性質を持つ、生理活性物質など付加価値の高い物質の商業生産を対象として開発されてきた。
その1つである「垂直パネル型」培養装置では、垂直に立てた微細藻類培養パネルの側面から蛍光灯などで微細藻類に向けて光を照射することにより、高い増殖速度かつ高密度での微細藻類バイオマス生産が可能となる。しかし、培養装置の運転に要するエネルギー消費が多いことから、廉価なバイオ燃料生産への転用は困難である。バイオ燃料生産のためには、野外開放系での、高効率・低コストな培養技術の開発が必要である。
また、微細藻類を培養した後バイオマスを回収するために、藻体(固形分)と培地(液体部分)とを効率良く分離する必要がある。培養液は不透明な深緑色で、一見すると高濃度のバイオマスが存在するだろうと思われるが、実際には、培養液の99.5%が液体部分である。この培養液から藻体を分離するために、遠心分離、凝集剤による沈降分離、膜分離などが従来から行われている。この中で、遠心分離は、多大な電力を消費して運転コストがかかる。膜分離は近年注目を集めているが、目詰まりや劣化の問題がある。恐らく、凝集剤を使用して一旦濃縮した後、脱水処理にて回収する方法が、コスト面から最も有利と思われるが、無害な凝集剤を見つけるのが困難である。
一方、次世代のバイオ燃料の可能性が提起されており、以下のとおりである。
(1)最近のバイオ燃料の生産増加は、従来の農産物の仕向け先であった食料供給との競合を招いていると指摘されている。食料との競合問題を解決するため、糖質の多い農産物を発酵させてバイオ燃料を製造するという「第一世代バイオ技術」から脱却し、ワラ等の食料を競合しないセルロース系原料を用い、その製造技術も発酵のみならず、新たな酵素を触媒として活用する全く新しい化学技術によってバイオ燃料を製造する「第二世代バイオ技術」の早期商業化が必要である。
バイオ燃料向けと食料向けとの競合が加速化し、食料用の仕向け量が減少すると、国際農産物価格が上昇するだけでなく、開発途上国等の食料輸入国において、食糧不足が発生することも考えられるなど、各国の食料安全保障に多大な影響を及ぼすという問題である。
(2)次世代バイオ燃料の商業的利用への様々な課題として、一般的に第二世代バイオ燃料は、化石燃料の代替となることで温室効果ガスの排出が抑制されることは当然であり、また、その原料が非可食部分であるため、直接的に食料との競合を回避できることが最大の利点とされているが、以下の課題が指摘されている。
(2−1)第二世代バイオ燃料向けの非食用農産物を生産するため、新たな耕地を開墾せずに食用向け農作物の耕地を転用する場合には、結果的に食料との競合を生じさせることになる。
(2−2)農産物全体を畑から回収することで土壌に還元される葉茎等の有機物が減り、土壌の劣化と侵食の影響を受けやすくなり、耕地の生産性が低下することから、化学肥料の使用を増やさざるを得なくなる。
(2−3)さらに問題なのは、現在、第二世代バイオ燃料の実証実験が進められているが、商業ベースの利用に向けては革新的な研究結果が必要とされる段階にある。
これら諸課題をクリアしてもなお、第二世代バイオ燃料の利用のためには、大規模生産施設や原料の効率的収集と輸送コストの低減等、まだまだ大きな課題が残る。
(3)グリーンオイルとは、微細藻類が体内に蓄積する「油類」を抽出して作るパーム油などと似た性質を持つ「中性脂質」とよばれるオイルである。グリーンオイルには他のバイオ燃料と比べ、2つの利点がある。1つ目は、藻類は耕作不敵地でも育成でき、食料農業と競合しないことである。2つ目は育成速度の速さから新たな原料として期待されることである。グリーンオイルを作るにはまず、オイルを蓄積する性質の藻類を培養する。
一定期間育て、増殖した藻を回収したら有機溶剤で体の中のオイルを抽出する。有機溶剤を蒸発させて残ったものが粗油である。この粗油を精製すると、燃料や工業原料としての活用が可能となる。課題として、効率よく行おうとすると、藻類の培養やオイルの抽出、溶剤の蒸発などに電力を始めとするエネルギーを大量に消費する。つまりCO削減を目指して化石燃料に代わる燃料を作ろうとしているのに、かえってCOを発生してしまうという矛盾した状況を生み出してしまう。
また、藻の培養には大量の水資源を必要とする。淡水由来の藻を利用した場合、飲料水や農業用水、工業用水などと水資源を奪い合いとなってしまう。現在、安定生産や生産コストの低減などの課題がある。また、藻類は食物連鎖の底辺に位置し、プランクトンなどの上位の生物に食べられる宿命にある。屋外培養は捕食されるリスクは高い。コスト削減は、安全生産ができることが前提となる。
こうした藻類の育成にパーム油産業排出されるパーム椰子排水(POME)を利用することが検討されている。こうしたパーム椰子排水(POME)の排出に関して、例えば、マレーシアでは、パームオイル工場において、パーム椰子を原料としてパームオイルが盛んに生産されている。このようなパームオイル工場にあっては、パームオイルの生産に伴って有機排水であるパーム椰子排水(POME)が発生するため、このオープンラグーンパーム椰子排水システムによる排水処理を施してから放流している。
パーム椰子排水は温度が70〜80℃と高いため、このパーム椰子排水を冷却池で40°C程度まで冷却し、この冷却池からのパーム椰子排水を混合池で後段の嫌気池から返送した微生物と混合する。この混合池からのパーム椰子排水を、深い嫌気池で主に嫌気性の生物処理を行い、この嫌気池からのパーム椰子排水を浅い好気池で主に好気性の生物処理を行い、これら一連の池での処理に際してメタンガスを放出させる。そして、一連の処理が行われたら、沈殿池(バッファ池)に導入し上澄みを処理水として後段に排水するものである。
しかし、何れの従来技術にあっても、BOD(Biological Oxygen Demand:生物学的酸素要求量)成分及びSS(Suspended Solid:懸濁固形物)成分を十分に低減できないという課題がある。特に、好気性の生物処理によりBOD成分の低減は十分ではなく、SS成分の低減も十分ではない。特に、マレーシアにあっては、パームオイル工場の排水基準が、現在、BOD成分:100mg/L未満、SS成分:400mg/L未満とされているが、今後、さらに厳しい基準値(例えば、BOD成分:20mg/L未満、SS成分:200mg/L未満)とされることが予想され、このような基準を、既存設備で満たすのは困難である。
特許第4065960号公報 特許第4418871号公報 特許第4665257号公報
上述した従来のバイオエネルギーは、以下のような課題がある。
(1)パーム椰子農園におけるラグーンから多量の地球温暖化ガス(メタンを含むバイオガス)が大気に放散されている。
MPOB(Malaysia Palm Oil Board)は、2013年パームオイル業界に対し追加認定基準を設定した。一つのパームオイル工場新設のための許可申請時、及び既存のパームオイル工場において生産能力増強予定のある場合に、共にメタンガスの排出をなくす、または吸収するための設備導入することである。
(2)パーム椰子農園におけるラグーンからの処理水の排水による水質汚染がある。
例えば、マレーシアにおける公共水域への排出基準を表1に示す。
Figure 0006939276
マレーシア政府は、パーム産業からの排水基準を、2020年から環境局(DOE : Department of Environment)排水基準(BOD20mg/L)とする意向で、既存 パームオイル工場では対応する事となる。
(3)従来のパーム椰子油工場では基本的にエネルギーが余っており、ガス発電を行ったとしても、売電に必要な高圧線網が整備されているパーム椰子油工場はごく限られている。
(4)パーム油産業を持続可能な環境配慮型の産業に転換させる必要性がある。
(5)水質規制対策が単なるコストアップとなっている状況がある。
(6)現在、藻類によるバイオ燃料製造は、現実には、燃料の生産コストが高く、現状技術で軽油を生産すると、1リットルあたりの単価が既存の燃料油に比べて極めて高コストである。
(7)藻類によるバイオ燃料製造においては、安価な大規模生産に対応できる技術が未だに開発されていない。
(8)藻類によるバイオ燃料製造は、装置運転に要するエネルギー消費が多いことから、廉価なバイオ燃料生産への転用が困難であり、バイオ燃料生産のためには、野外開放系での高効率・低コストな培養技術の開発が望まれている。
(9)藻類によるバイオ燃料製造は、培養液から藻体を分離するために、遠心分離、凝集剤による沈降分離、膜分離などが従来から行われている。この中で、特に遠心分離は、多大な電力を消費して運転コストがかかり、藻類によるバイオ燃料製造のコスト上昇を招いている。
(10)藻類による次世代バイオ燃料向けの非食用農産物を生産するため、新たな耕地を開墾せずに食用向け農作物の耕地を転用する場合には、結果的に食料との競合を生じさせるという課題がある。
(11)藻類による次世代バイオ燃料を生産するため、農産物全体を畑から回収することで土壌に還元される葉茎等の有機物が減り、土壌の劣化と侵食の影響を受けやすくなり、耕地の生産性が低下することから、化学肥料の使用を増やさざるを得なくなる。
(12)藻類による次世代バイオ燃料の実証実験が進められているが、商業ベースの利用に向けては更なる技術開発が必要とされている。
(13)藻類による次世代バイオ燃料は、大規模生産施設や原料の効率的収集、および輸送コストの低減が未だに実現していない。
(14)藻類による次世代バイオ燃料は、効率よく生産を行おうとすると、藻類の培養や油の抽出、溶剤の蒸発などに電力を始めとするエネルギーを大量に消費してしまう。
(15)藻類による次世代バイオ燃料の生産は、藻類の培養には大量の水資源を必要とするため、淡水由来の藻類を利用した場合、飲料水、農業用水、工業用水などの水資源が減少する懸念がある。
(16)藻類による次世代バイオ燃料の生産にあたって、藻類は食物連鎖の底辺に位置し、プランクトンなどの上位の生物に食べられるため、コストの安い屋外培養は藻類が捕食される懸念がある。
(17)パーム油生産工場からのパーム椰子排水(POME)は、従来からBOD成分(生物学的酸素要求量)及びSS成分(懸濁固形物)を十分に低減できない。特に、好気性の生物処理によりBOD成分の低減は十分ではなく、SS成分の低減も十分ではないという課題がある。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、パーム椰子油の生産に伴って生じたパーム椰子排水(POME)を用いて、炭化水素産生藻類から藻類産生油を効率的に、かつ低コストに製造することが可能なバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法を提供することを目的とする。
パーム椰子排水(POME)の処理について、例えば後述する日本のメーカー(株式会社クボタ)の膜型メタン発酵システムと膜を利用した排水処理設備を併設すれば、厳格化される排水処理基準値をクリアする事が可能となる。よって既存の広大なオープンラグーンによる排水処理は不要となり、使用しなくなったオープンラグーンでの藻類産生油という、新たな利用方法が生まれる事となる。
課題を解決するために、本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法は、パーム椰子樹木からパーム椰子を収穫して部位ごとに分ける分別プロセスと、前記分別プロセスで分けられた前記パーム椰子の果房からパーム油を生産するパーム油生産プロセスと、前記パーム椰子から燃料用ペレットの原料となるバイオマス半炭化物を製造する半炭化プロセスと、前記パーム油生産プロセスで生じたパーム椰子排水および炭化水素産生藻類から藻類産生油を製造する藻類産生油製造プロセスと、を有し、前記分別プロセスは、前記パーム椰子樹木から前記果房および該果房の周囲に生えるパーム枝葉をそれぞれ分離、収穫する収穫工程を備え、前記半炭化プロセスは、前記パーム枝葉を搾汁し、搾汁液および第1固形残渣に分離する搾汁工程と、前記第1固形残渣を半炭化させバイオマス半炭化物を得る半炭化工程と、前記バイオマス半炭化物を圧縮成形してペレット化して固形バイオマス燃料を得る圧縮成形工程と、前記搾汁液を発酵させ、バイオエタノールを製造するバイオエタノール製造工程と、を備え、前記パーム油生産プロセスは、前記果房から果実を脱果させ、該果実および脱果後の空果房に分離する脱果工程と、前記果実を搾油し、粗パーム油および第2固形残渣に分離する搾油工程と、前記粗パーム油に加水して懸濁させた後、油水分離してパーム油と前記パーム椰子排水とを得る油水分離工程と、を備え、前記藻類産生油製造プロセスは、前記炭化水素産生藻類に炭化水素からなる藻類産生油を産生させる藻類育成工程と、前記炭化水素産生藻類に産生させた前記藻類産生油を分離する藻類産生油分離工程と、を備え、前記藻類産生油製造プロセスは、前記パーム油生産プロセスで生じた排出物を用いて生成した再生エネルギーを前記炭化水素産生藻類の育成エネルギー源として用いることを特徴とする。
本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法によれば、従来は有効利用されていなかったパーム枝葉(OPF)、あるいはパーム古木(OPT)、空果房(EFB)、単純焼却していたパーム椰子殻(PKS)、パーム繊維(Fiber)を用いてメタンやバイオエタノールを製造し、また、余剰エネルギーを利用して水蒸気や電力を生成し、これら再生可能エネルギーを用いて炭化水素産生藻類を育成し、育成した炭化水素産生藻類から藻類産生油を分離するので、新規に外部から原料やエネルギー供給することなく、低コストに藻類産生油(グリーンオイル)を得ることが可能になる。従来は製造コストの面から課題の多かった藻類産生油(グリーンオイル)の生産コストを低減できることで、藻類産生油(グリーンオイル)の産業レベルでの普及に寄与する。
また、本発明は、前記藻類産生油製造プロセスは、前記藻類産生油分離工程で排出される脱油後の前記炭化水素産生藻類を含む排液を活性炭によって脱色させる活性炭処理工程を更に備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記搾油工程で得られた前記第2固形残渣であるパーム椰子殻およびパーム繊維から、水蒸気と、電力ないし熱エネルギーとを生成するエネルギー生成工程を更に備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記エネルギー生成工程で生成された電力ないし熱エネルギーを、前記藻類産生油製造プロセスの稼働エネルギーとして供給することを特徴とする。
また、本発明は、前記バイオエタノールをガス化させる第1ガス化工程と、前記油水分離工程で得られた前記パーム椰子排水から発酵によってメタンを製造するメタン製造工程と、前記第1ガス化工程で得られたバイオエタノールガス、前記メタン製造工程で得られたメタン、および前記エネルギー生成工程で得られた水蒸気から、水蒸気改質法によって水素を生成させる水蒸気改質水素生成工程と、を含む水素生成プロセスを更に備えたことを特徴とする。
また、本発明は、褐炭を乾燥する褐炭乾燥工程と、乾燥後の前記褐炭を粉砕して粉状褐炭を得る褐炭粉砕工程と、前記粉状褐炭および前記バイオマス半炭化物を混合して混合体を得る混合工程と、前記混合体を圧縮成形し、固形状のバイオマス改質炭を得る圧縮成形工程と、を含むバイオマス改質炭製造プロセスを更に備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記パーム枝葉として、パーム葉が生える葉部および該葉部よりも果房側を成す葉柄のうち、葉柄を用いることを特徴とする。
また、本発明は、前記搾汁工程には、前記パーム枝葉に加えて、更に前記パーム椰子樹木の樹幹が供給されることを特徴とする。
本発明では、大量の水資源を必要とするグリーンオイル生産において、パーム産業自体の必須条件である降水量と、パーム産業由来未利用バイオマス資源の存在が、藻類産生油とパーム産業の共存を条件とするベストマッチな藻類産生油の製造方法を提供できる。
また、既存のオープンラグーンによるパーム椰子排水(POME)処理に、高度嫌好気排液処理工程を導入することにより、規制強化される排水処理基準を順守する事を前提にし、その処理水と、不要になる旧オープンラグーンを活用した藻類産生油の製造方法を提供できる。
本発明によれば、パーム椰子油の生産に伴って生じたパーム椰子排水(POME)を用いて、炭化水素産生藻類から藻類産生油を効率的に、かつ低コストに製造することが可能なバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法を提供することができる。
本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法の概要を示したブロック図である。 本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法を模式的に示した概略説明図である。 本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法を段階的に示したフローチャートである。 本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法を段階的に示したフローチャートである。 パーム椰子の各構成部位を示す説明図である。 パーム椰子のパーム枝葉を示す模式図である。 パーム椰子の果実の断面を示す模式図である。 マレーシア(クアラルンプール)における月毎の平均気温と降水量とを示すグラフである。パーム椰子の果実の断面を示す模式図である。
まず始めに、本発明の技術的背景、諸課題の解決方法について説明する。
(1)前提条件:
a)原材料(パーム椰子排水(POME)、搾汁液、褐炭)を入手可能であること。
b)エネルギー(電気、蒸気、熱エネルギー)を入手可能であること。これについては、エネルギーコストは未利用のパーム椰子由来バイオマスが主体であり、極めて安価に入手可能である。
c)低品位炭とパーム産業の両方が大量に存在すること。例えば、インドネシアが挙げられる。
(2)既存パーム産業との共生の確立:
ここでは、独立したエネルギー会社と既存パーム搾油工場、パーム農園が共生可能であることが特徴となる。
(3)工程の概念:
再生エネルギー、即ち自然の活動によってエネルギー源が絶えず再生され、半永久的に供給され継続して利用できるエネルギーは、パーム椰子産業中に半永久的に大量に存在する。石炭が同地域で入手できる環境があれば、低品位炭(主に褐炭)に関しても 環境負荷の少ない改質炭・液体燃料等が 同時に安定的に製造可能となる。
(4)発明の実施に必要な技術的要素:
基本的な各技術要素は、製造エネルギーコストを考慮しなければ、ほとんどが確立されており、この製造エネルギーコストが、本発明において解決可能である。
(5)本発明はパーム由来のバイオマス資源を全て利用したプロセスであり、全てでカーボンニュートラルが達成可能である。そして、電力、蒸気、熱エネルギー、バイオエタノール、水素、半炭化ペレット、食糧原料など、多様なものを生産可能である。
(6)標準的なバーム油搾油工場から出るバイオマスエネルギーは7MW程度で、パーム油搾油工場で使用するエネルギーは約1MW、即ち、約6MWが新エネルギー工場のインプットとなる。そして、例えば近隣25km圏内のパーム油搾油工場とパーム椰子農園から、EFB、PKS、OPT、OPF等を入手すると、おおよそ4MW×20=80MW と6MWの合計86MWがエネルギー会社の入手可能なエネルギーになる。
(7)本発明の実施を想定するマレーシア、インドネシアにおいては、1.安価な安定的なバイオマス原料の存在、2.安価で安定的に供給可能なバイオマス燃料の存在、3.既に確立した技術の存在(エネルギーコストに問題がある安定的な技術を含む)、4.広大な用地確保が低価格で可能、5.雨量が多い地域である事による水の確保が容易、6.特にインドネシアでは豊富な埋蔵量の褐炭が存在する、などの限定的な条件下で好適な発明である。
(8)発明を実現する個別的技術要素:
a)バイオガス回収技術:IKE社「ICリアクター技術」、クボタ「MBR技術」、富士化工業「UASB技術」などがある。
b)排水処理技術:クボタ「MBR技術」、他、日本国内の排水処理技術が多数ある。
c)余剰エネルギーの利用:OPF半炭化ペレット製造、バイオエタノール製造などが挙げられる。
d)持続可能な環境配慮型の産業に転換:本願発明で実現できる。
e)水質規制対策によるコストアップの解決:排水処理の最終工程にEFBなどパーム椰子バイオマス由来の活性炭を使用し、排水色対策及び、高度規制値の対応でのコスト対策を実現可能。更に、残渣活性炭を肥料化若しくは燃料化できる。
f)藻類によるバイオ燃料製造の高コストの解決:エネルギーの自家消費などでコストダウンできる。
g)安価な大規模生産に対応できる技術:既存の広大なラグーンを転用とエネルギー自家消費で解決可能である。
h)野外開放系での高効率、低コストな藻類の培養技術:既存の広大なオープンラグーンを転用とエネルギー自家消費で解決可能である。
i)遠心分離による多大な電力消費:エネルギーの自家消費などでコストダウンが可能になる。
j)新たな耕地を開墾せずに食用向け農作物の耕地を転用する際の食料生産との競合問題:既存の広大なオープンラグーンを転用する事で解決可能である。
k)土壌の劣化と侵食の影響:旧オープンラグーン跡地を利用する藻類によるバイオ燃料製造であればこうした課題は回避できる。
l)商業ベースの利用に向けた革新的な技術の必要性:藻類によるバイオ燃料製造技術は実用段階にあり、現状はコストがネックとなっているが、上記各項に挙げたコストについてはほぼ解決可能である。
m)大規模生産施設や原料の効率的収集と輸送コストの低減の課題:既存の広大なラグーンを転用とエネルギー自家消費(輸送用エネルギー)で解決可能である。
n)藻類の培養、オイルの抽出、溶剤の蒸発等に必要な大量のエネルギー消費の課題:エネルギーの自家消費などによって低原価化を実現できる。CO発生に関しては、バイオマス由来エネルギーを使用するため、カーボンニュートラルが実現できる。
o)藻類の培養に大量の水資源が必要となる課題:オイルパーム産業は、多湿地帯であり、水資源は豊富で、かつ低コストに調達可能である。
p)BOD成分(生物学的酸素要求量)及びSS成分(懸濁固形物)を十分に低減できない。特に、既存好気性の生物処理によりBOD成分の低減は十分ではなく、SS成分の低減も十分ではないという課題;日本での排水処理技術およびEFBなどバーム椰子バイオマス由来の活性炭を使用し、排水色対策及び、高度規制値の対応でのコスト対策で対応可能となる。
以下、図面を参照して、上述した背景や課題を解決するための本発明の一実施形態のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法について説明する。以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、以下の説明において、油産生藻類と言った場合、細胞内に脂質(炭化水素)を多く含んだ藻を指し、具体例としては、ボトリオコッカス(Botryococcus braunii)、シュードコリシスティス(Pseudochoricystis ellipsoidea)、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)、イカダモ(Scenedesmus, Desmodesmus)などが挙げられる。これら油産生藻類の細胞を破壊し、脂質を取り出して化学反応させれば藻類産生油(グリーンオイル)が得られる。
また、以下の説明において、褐炭と言った場合、石炭化度の低い(例えば、炭素含有量70wt%以下)の低品位炭を指し、これよりも石炭化度の高い亜瀝青炭、瀝青炭、無煙炭を除いた石炭を全て含む。
まず最初に図1を参照して、本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法の概要を説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法の概要を示したブロック図である。
本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法10は、パーム椰子樹木からパーム椰子を収穫して部位ごとに分ける分別プロセス11と、分別プロセス11で分けられたパーム椰子の果房からパーム油を生産するパーム油生産プロセス13と、パーム椰子のリサイクル原料から燃料用ペレットの原料となるバイオマス半炭化物を製造する半炭化プロセス12と、パーム油生産プロセスで生じたパーム椰子排水および油産生藻類から藻類産生油を製造する藻類産生油製造プロセス14と、を有する。
収穫、分別プロセス11では、パーム農園で栽培されたパーム椰子の生鮮果房(FFB)を収穫する。また、パーム椰子の生鮮果房(FFB)を収穫する際に、パーム枝葉(OPF:リサイクル原料)が得られる。
パーム油生産プロセス13では、収穫した生鮮果房(FFB)からパーム油やパーム核油を搾油する。こうしたパーム油生産プロセス13では、パーム油を生成する際に行う油水分離による排出物であるパーム椰子排水(POME)や、生鮮果房(FFB)の脱果後の空果房(排出物)や、パーム油の搾油後に排出されるパーム椰子殻(排出物)やパーム繊維(排出物)が排出される。
半炭化プロセス12では、生鮮果房(FFB)を収穫時に得られた未利用バイオマス資源であるパーム枝葉(OPF)を搾汁した後、搾汁残渣を半炭化させバイオマス半炭化物を得る。また、この半炭化プロセス12では、パーム枝葉(OPF)の搾汁によって生じた搾汁液を発酵させて、副産物であるバイオエタノールを生成する。
藻類産生油製造プロセス14では、パーム油生産プロセス13で生じたパーム椰子排水(POME)を高度好嫌気処理を行った後、この処理水を用いて油産生藻類の育成を行う。そして、油産生藻類が十分に藻類産生油を生成したら、藻類産生油を分離する。
こうした油産生藻類の育成には水温を適切に保つ必要がある。本発明では、油産生藻類の育成に、パーム油生産プロセス13の排出物である空果房、パーム椰子殻、パーム繊維などを用いて、燃焼などによって生成した熱エネルギーや電力などの再生エネルギーを用いる。また、藻類産生油を分離にもこうした再生エネルギーを用いる。
一方、藻類産生油製造プロセス14のパーム椰子排水(POME)の高度好嫌気処理で生じたメタンや、半炭化プロセス12の副産物であるバイオエタノールなどを用いて、水蒸気改質によって水素ガスを生成することができる。
本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法10によれば、パーム油生産プロセス13で生じたパーム椰子排水(POME)を高度好嫌気処理した処理水を用いて油産生藻類の育成を行い、また、育成のためのエネルギー源として、パーム油生産プロセス13の排出物から得られた再生エネルギーを用いることにより、極めて低コストに藻類産生油をを得ることができる。また、パーム油生産プロセス13で生じたパーム椰子排水(POME)を油産生藻類の育成に用いることで、河川などへの排水の放出による水質汚染を防止し、規制強化される排水処理基準を順守する事を前提にし、その処理水と、不要になる旧オープンラグーンを有効に活用することができる。また、パーム油生産プロセス13に伴い排出される空果房、パーム椰子殻、パーム繊維などの排出物を、コストを掛けずに処理することができ、排出物を低減して環境保全を図ることが可能になる。
図2は、図1に示すバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法をより詳細に示した概略説明図である。また、図3、図4は、本発明の一実施形態であるバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法を段階的に示したフローチャートである。
パーム産業由来の未利用バイオマス資源を原料とし、再生可能エネルギーを利用した藻類産生油の製造方法10は、大別して、パーム椰子の収穫、分別プロセス11と、半炭化プロセス12と、パーム油生産プロセス13と、バイオマス改質炭製造プロセス14と、水蒸気改質水素生成プロセス15および水電解水素生成プロセス16を含む水素製造プロセス17と、炭化水素産生藻類から藻類産生油を製造する藻類産生油製造プロセス18と、を備えている。
なお、これら各プロセスを行う施設は、物理的に近接ないし一体の施設とすることが輸送効率上好ましい。また、バイオマス改質炭製造プロセス14や水素製造プロセス17は、必須の構成ではなく、低品位炭である褐炭がパーム椰子農園の近傍で入手可能な場合などにおいて、好ましく行うことができるプロセスである。
パーム椰子は、赤道を中心に北緯17度〜南緯20度の範囲、年間雨量1500〜2000mm、最低気温22〜24℃、最高気温29〜30℃、日照時間5時間/日以上の高温多湿な気候が栽培に好ましい環境であり、東南アジアやアフリカ、中南米が栽培適地とされている。
プランテーションで栽培されるアブラヤシは、種子から発芽したのち、1年〜1年半程度、鉢で育てられた後、整地された土地に約140〜150本/ha程度の密度で植え付けられる。植え付け後、3年で葉の付け根に最初の花房が現れ、やがて全ての葉の付け根に花房がついていく。花房には、雄花房と雌花房があり、雄花は黄色で小さく、現れてから3〜4日で花粉をつくる。雌花も黄色い花で、10〜12個でひとつの花序をつくり、この花序が集まって花房になっている。花粉の飛ぶ距離はあまり長くないため、虫を媒介とした受粉などが行われる。
受粉後、約150日で果実が成熟する。収穫は、発芽から3年〜4年半から始まり、8〜15年の木がもっともよく収穫できる。1本のパーム椰子からは年間で約11個の生鮮果房(FFB)が収穫可能であり、この収穫の際に2本のパーム枝葉(OPF)が伐採される。そして、約18年を過ぎると収穫量が減りはじめるため、通常は20〜25年ほどで伐採され、植え替えが行われる。
図5は、パーム椰子の各構成部位を示す模式図である。
図5に示すように、パーム椰子1は、地面から立ち上がる樹幹2と、この樹幹2から枝分かれして延びるパーム枝葉(OPF)3と、パーム枝葉(OPF)3の付け根部分に生じる、多数の果実4を実らせた果房(生鮮果房)5とを有している。
図6は、パーム椰子のパーム枝葉(OPF)を示す模式図である。
パーム枝葉(OPF)3は、パーム葉が生える葉部(Rachis)6およびこの葉部6よりも果房5側を成す葉柄(Petiole)7とからなる。
図7はパーム椰子の果実の断面を示す模式図である。
果実4は、外果皮4Aと、パーム油を含む果肉(中果皮)4Bと、内果皮に包まれ、パーム核油を含むパーム椰子核4Cとからなる。
収穫、分別プロセス(収穫工程S1)11では、パーム農園で栽培されたパーム椰子の生鮮果房(FFB)を収穫する。また、パーム椰子の生鮮果房(FFB)を収穫する際には、生鮮果房(FFB)の周囲に生えているパーム枝葉(OPF)を伐採する必要がある。なお、1つの生鮮果房(FFB)を収穫する際には、2本のパーム枝葉(OPF)が伐採されることになる。
収穫、分別プロセス11で得られたパーム枝葉(OPF)は、更に、パーム葉が生える葉部(Rachis)およびこの葉部よりも生鮮果房(FFB)側を成す葉柄(Petiole)に切り分けられる。そして、以下の半炭化プロセス12では、パーム枝葉(OPF)として、葉柄(Petiole)が用いられる。もちろん、葉部も含めて半炭化プロセス12に用いることも可能である。なお、パーム枝葉(OPF)3において、葉柄7と葉部6との重量比はおよそ50:50である。こうしたパーム枝葉(OPF)3の葉柄7は、樹幹2に繋がる付け根(基部)から中央部分にかけて、澱粉含量がとりわけ高いのが特徴となっている。
一方、切り分けられた葉部(Rachis)6は、パーム椰子農園の育成中のパーム椰子の周辺に敷設される。こうした多数の葉が付いた葉部(Rachis)をパーム椰子の周辺に置くことによって、パーム椰子の果房を狙う野ネズミを捕食する蛇類の棲み処を確保し、パーム椰子の鼠害を防止する。
以上の収穫、分別プロセス(収穫工程S1)11によって、生鮮果房(FFB)、およびパーム枝葉(OPF)の葉柄7が得られる。また、例えば、20年以上経過したパーム椰子1も伐採され、パーム古木(OPT)および残ったパーム枝葉(OPF)として回収される。
パーム古木(OPT)の樹幹は、大量の樹液を含んでおり、その樹液の含量は中心部分ほど高い傾向があるが、平均して約65%〜85%程度である。このパーム古木(OPT)は、グルコース、フラクトース、スクロースが非常に多い優良な糖液である。パーム古木(OPT)の樹齢などによって若干の差異はあるが、伐採直後の全糖量はおおよそ7〜10%程度である。同一樹幹でみればその上下における糖含量の分布では、最下部では2割程度低いが、中間部から最上部までほぼ同程度である。
なお、パーム古木(OPT)は、伐採後に一定期間貯蔵することによって、糖含量が大きく増加するという、熟成現象ともいえる変化があることも知られている。例えば、伐採直後の樹液含量は65%〜85%で貯蔵期間中ほとんど変化しないが、一方で糖含量は最大15%近くまで上昇することが知られている。一例としてサトウキビの搾汁液の糖含量が約16%であることを考慮すると、適当な熟成期間を経ることによって、パーム古木(OPT)がサトウキビに相当する糖含量を持つ原料になる可能性がある。このため、伐採後のパーム古木(OPT)を一定期間貯蔵して糖含量を増加させることも好ましい。
収穫、分別プロセス(収穫工程S1)11を経た生鮮果房(FFB)はパーム油生産プロセス13に、またパーム枝葉(OPF)は半炭化プロセス12にそれぞれ送られる。
まず、半炭化プロセス12について説明する。半炭化プロセス12では、パーム枝葉(OPF)の葉柄7を洗浄する。洗浄には水を用いる。なお、こうした葉柄7の洗浄に用いた洗浄排水は、沈殿などの工程を行って再生水として循環利用することが好ましい。
次に、洗浄した葉柄7を脱水ないし乾燥させる。葉柄7の乾燥は、例えば、天日干しによって行うことが好ましい。また、温風等による乾燥機を用いて乾燥することもできる。また、脱水機を用いて脱水することもできる。
収穫工程S1でのハンドリング上、0.5〜1m程度におおまかに切断されたパーム枝葉(OPF)の葉柄7は、そのまま、後述する搾汁工程S3に送られるが、葉柄7とともに、収穫、分別プロセス(収穫工程S1)11で回収されたパーム古木(OPT)も破砕する事(第1破砕工程S2)により用いることができる。こうしたパーム古木(OPT)も葉柄7と共に用いることで、樹木としては強度不足で活用することが困難であったパーム古木(OPT)を有効に活用できる。
次に、第1破砕工程S2で破砕されたパーム古木(OPT)および葉柄7から搾汁し、得られた搾汁液と第1固形残渣(葉柄7およびパーム古木(OPT)の破砕物(例えば、50mm程度の塊状物)から樹液を搾り取ったもの)とを分離する(搾汁工程S3)。葉柄7やパーム古木(OPT)の破砕物を搾汁する際には、例えば、サトウキビの搾汁などに用いるローラープレス式の搾汁機を用いることができる。
搾汁液と第1固形残渣との分離は、遠心分離や濾過分離などの分離方法によって行うことができる。分離された搾汁液は、例えば黄濁色の液体を成し、多量の糖成分を含有している。こうした搾汁液を用いて、バイオ燃料であるバイオエタノールや食品原料を製造する(バイオエタノール製造工程S4)。また、このバイオエタノール製造工程S4において、搾汁液の糖成分を用いて食品原料を製造することもできる。
バイオエタノール製造工程S4は、例えば、濃縮工程S4A,発酵工程S4B,および精製工程S4Cを備えている。濃縮工程S4Aでは、搾汁液を効率的に発酵可能な程度まで濃縮を行う。濃縮工程S4Aは、例えば、搾汁液の遠心分離や、加熱による水分の減少などによって行うことができる。
発酵工程S4Bでは、発酵によって搾汁液に含まれる糖成分をメタンガスやバイオエタノールにする。例えば、アルコール発酵 (Ethanol Fermentation)によって、糖成分(グルコース、フラクトース、ショ糖)を分解して、エタノール(バイオエタノール)および二酸化炭素を生成させる。
精製工程S4Cでは、バイオエタノールや糖成分を精製して不純物を除去し、より純度の高いバイオエタノールを得る。また、発酵によって生じた糖成分を食品原料とすることもできる。このようなバイオエタノール製造工程S4で得られたバイオエタノールは、後述する水蒸気改質水素生成プロセス15において、水素生成原料の1つとして用いられる。
前工程である搾汁工程S3で生じる搾汁液は比較的多量であり、そのまま排出すれば水質汚染等の懸念があるが、搾汁液の発酵、精製によってバイオエタノールや糖成分(食品原料)を製造することによって、搾汁液の有効利用を図るとともに、搾汁液による水質汚染を防止することができる。現状、パーム古木(OPT)は農地に於いて破砕若しくは切倒されたまま腐敗し、パーム枝葉(OPF)もFFB収穫時に2本切落され、その場に放置されるため、腐敗し、環境汚染源となっている。
一方、前述した搾汁工程S3で得られた、第1固形残渣である圧搾された圧搾ケーキは、破砕によってパーム枝葉破砕物が形成される(第2破砕工程S5)。第1固形残渣の圧搾ケーキは、例えば、ロータリー刃を備えた破砕機によって破砕されればよい。これによって得られるパーム枝葉破砕物は、例えば本実施形態においては、寸法が例えば50mm以下程度範囲の破砕物である。搾汁工程S3の前段に破砕工程を設ける事も搾汁方式により選択する。
なお、第2破砕工程S5において、後述するパーム油生産プロセス13における果実を脱果させた後の破砕した空果房(EFB)、および果実を搾油後のパーム椰子殻(PKS)を、パーム枝葉破砕物に加えることができる。なお、以下の説明では、こうした空果房粉状物やパーム椰子殻粉状物を加えたものも含めてパーム枝葉粉状物と述べる。
後述する、乾燥工程S6A、半炭化工程S6Bによる半炭化の利点の1つとして、破砕動力の低減が挙げられる。パーム枝葉(OPF)、パーム古木(OPT)組織が脆弱な為、半炭化工程S6B前のある程度の破砕は動力負荷が少ないが、空果房(EFB)の破砕動力負荷に関しては 半炭化工程S6B前の破砕動力負荷が大きい。このため、空果房(EFB)に関しては、半炭化工程S6B前の第2破砕工程S5で例えば50mm〜150mm程度に破砕後、水分調整のための乾燥工程S6A、半炭化工程S6Bを行ってから15mm以下程度に粉砕することで動力負荷が低減し、経済的には好ましい。
次に、第2破砕工程S5で得られたパーム枝葉破砕物を用いて、後述するバイオマス改質炭の原料となるバイオマス半炭化物やこれを用いた燃料用ペレットを製造する(燃料用ペレット製造工程S6)。燃料用ペレット製造工程S6は、乾燥工程S6A、半炭化工程S6B、粉砕工程S6C、圧縮成形工程S6D とを含む。半炭化工程S6Bでは、第2破砕工程S5で得られたパーム枝葉破砕物を半炭化炉によって半炭化処理(トレファイド)を施す。パーム枝葉破砕後の水分調整した乾燥物を例えば300℃以下、酸素10%未満の雰囲気で半炭化処理することで、発熱量を2〜3割向上させるとともに、耐水性を高めることができる。
第2破砕工程S5での産物は、パーム枝葉(OPF)、パーム古木(OPT)の場合は、含水率は40%前後、空果房(EFB)の場合は50%前後と多い。このため、乾燥工程S6Aから半炭化工程S6Bまでを1回で行うか、これらの工程を2段階にするかは、設備によって異なるが、乾燥工程S6A後において通常、含水率は10〜13%程度、その後の半炭化工程S6Bにおいて含水率12%以下、好ましくは5%前後(その後、吸湿によって8〜10%)とする。
水分調整のための乾燥設備は、例えばベルト乾燥機、あるいは回転式の熱処理炉がある。次工程である半炭化工程投入材料の水分量を一定にする事は、次工程である半炭化処理に重要な点で、出口含水率を13%程度以下で安定した含水率にする事が求められる。
半炭化処理を行うための半炭化処理装置は、例えば、回転式の熱処理炉であればよい。こうした回転式の熱処理炉を用いて、パーム枝葉粉状物を例えば200℃〜350℃程度に加熱し、5分〜90分間保持することによって、含水率を0%〜12%程度にする。
半炭化処理(トレファイド)に用いる熱処理炉の稼働に必要なエネルギー源としては、パーム椰子殻(PKS)やパーム繊維(Fiber)を用いた後述するエネルギー生成工程S16によって得られた電力、蒸気及び熱エネルギーなどを用いることができる。
以上のような半炭化工程S6Bによって、第1固形残渣から半炭化処理(トレファイド)されたバイオマス半炭化物が得られる。このバイオマス半炭化物は、後述するバイオマス改質炭の製造原料として用いられる。また、このバイオマス半炭化物は、次に述べる燃料用ペレットの原料としても用いることができる。
バイオマス半炭化物を燃料用ペレットの製造に用いる場合、半炭化処理されたパーム枝葉破砕物であるバイオマス半炭化物に対して、パーム由来のリグニンを添加した後、圧縮成形してペレット化する(圧縮成形工程S6D)。圧縮成形工程S6Dでは、例えば、ダイス押出式のペレット成形装置を用いることができる。こうした圧縮成形工程S6Dにおいても、例えばペレット成形装置の駆動源として、空果房(EFB)やパーム椰子殻(PKS)やパーム繊維(Fiber)などを用いた後述するエネルギー生成工程S16によって得られた再生可能エネルギーである、電力、蒸気及び熱エネルギーなどを用いることができる。
なお、圧縮成形工程S6Dにおいて、投入材料中のリグニン量がペレットの成形度合に関係するが、リグニン量を調整する場合、パーム由来のリグニンが利用できる。また、ペレット成形前の材料寸法は、成形するペレット径により、粉砕による寸法調整が必要となる。また、上述した実施形態では、燃料用ペレット製造工程S6において、半炭化工程S6Bの後、圧縮成形工程S6Dを行っているが、圧縮成形工程S6Dを行ってから、半炭化工程S6Bを行うこともできる。この場合、圧縮成形工程S6Dへの投入原料寸法は、成形するペレット径により決まる。
通常、木質の場合 ペレット成形機投入物の前処理粉砕所要エネルギーは、半炭化による脆化の為、半炭化度合いが進むほど粉砕エネルギーは低減する。このため、半炭化工程S6Bの後、圧縮成形工程S6Dを行うことが好ましい。
一方、パーム枝葉(OPF)、あるいはパーム古木(OPT)は、組織が脆弱な為、粉砕所要エネルギーは少ない。このため、圧縮成形工程S6Dを行ってから、半炭化工程S6Bを行うことも好ましい。また、空果房(EFB)組織が非脆弱であり、半炭化工程S6Bの後、粉砕工程S6Cを経過し、圧縮成形工程S6Dを行うことが好ましい。
以上のような工程を経て固形バイオマス燃料である燃料用ペレットが得られる。
なお、本実施形態においては、半炭化工程S6Bを行った後に圧縮成形工程S6Dを実施しているが、こうした工程は、逆の順番で行うこともできる。 即ち、第2破砕工程S5で得られたパーム枝葉破砕物を圧縮成形工程S6Dによってペレット化した後、このペレットを、熱処理炉等を用いた半炭化工程S6Bによって半炭化しバイオマス半炭化物を得る。そして、このバイオマス半炭化物を用いて、燃料用ペレットを製造することもできる。
燃料用ペレットは、半炭化処理を行ったパーム枝葉粉状物をペレット化したものである。燃料用ペレットは、例えば概略円柱形状をなしており、直径が4mm〜20mm、長さが5mm〜100mmの範囲内とされている。また、その嵩比重が0.65以上0.85以下の範囲内とされている。
半炭化工程S6Bを経たバイオマス半炭化物は、ペレット形状のみならず、石炭コークス代替燃料のバイオコークスブリケット、例えば直径が50〜150mm、長さが(直径)×1〜5の範囲内の製品にも成形可能である。
そして、燃料用ペレットは、脱水処理や半炭化処理によって水分及び揮発成分も低減はするが、燃料用ペレットにおける含水率は12%以下の範囲内に調整されており、熱量が20kJ/kg以上24kJ/kg以下の範囲内とされている。
さらに、燃料用ペレット20においては、JIS M 8801で規定されているハードグローブ粉砕性指数(HGI)が22以上50以下の範囲内とされている。なお、参考例として、微粉炭ボイラ における運用下限値は、HGI=40以上とされている。
また、燃料用ペレットは、半炭化処理によって表面が疎水性を有しており、耐水性が向上されており、水に浸漬しても、容易に崩壊せずに形状が維持されることになる。
一方、上述した搾汁工程S3、および燃料用ペレット製造工程S6でそれぞれ生じたパーム椰子由来の搾汁液(OPT・OPF−Juice)を集約して、バイオエタノール製造工程S4に用いて濃縮し、発酵、精製を行うことができる。
半炭化プロセス12を構成する各工程で生じた、椰子由来の糖成分を含んでいる搾汁液を集めてバイオエタノール製造工程S4に用いることにより、農園に廃棄し、腐敗し、メタンガス放出していたパーム枝葉(OPF)、パーム古木(OPT)が バイオマス資源として有効利用が出来る。
エネルギー生成工程S16は、脱果工程S11で生じた脱果後の空果房(EFB)やパーム繊維(Fiber)、および椰子核分離工程S14で分離されたパーム椰子殻(PKS)を燃焼等によって熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーを用いて水を加熱して水蒸気(高温蒸気)や電力など生成する。こうしたエネルギー生成工程S16で得られた熱エネルギーや水蒸気(高温蒸気)は、後述する水蒸気改質水素生成プロセス15に、また、電力は水蒸気改質水素生成プロセス15や水電解水素生成プロセス16に用いることができる。
また、エネルギー生成工程S16で得られた熱エネルギーや電力は、後述するバイオマス改質炭製造プロセス14である各工程(褐炭乾燥工程S21、褐炭粉砕工程S22、混合工程S23、圧縮成型工程S24)の動作エネルギー源として使用することもできる。
次に、パーム油生産プロセス13について説明する。
パーム油生産プロセス13では、生鮮果房(FFB)を洗浄した後、生鮮果房(FFB)を蒸煮して、果実と空果房(EFB)に分離する(脱果工程S11)。パーム椰子は、果実の中に油分を分解するリパーゼ酵素を含んでいるため、収穫した瞬間から、このリパーゼ酵素が活性化される。このため、生鮮果房(FFB)の収穫後は24時間以内に熱を加え、リパーゼ酵素を不活性化させる必要がある。
こうした生鮮果房(FFB)を蒸煮の目的は、油を分解する酵素を不活性化(失活)させることである。こうした不活性化のためには、例えば、回転式の蒸煮プロセスでは、75分から90分にわたって、最高温度140℃(圧力 +2気圧)をピークに2,3回圧力をスイングする操作がなされる。また、蒸煮することで、果房から果実が離脱しやすくなり、また果実を柔軟にして、パーム油生産プロセス13での搾油を容易にする。果房から果実を離脱させるには、例えば、脱果機などを用いて果房を叩き、果房の茎と果実に分離する。
この後、分離した果実から効率よく搾油するため、果実を蒸気で95℃から100℃に加熱しながら約30分程度攪拌し、スラリー状にする(消化)。
こうした脱果工程S11において、前述したエネルギー生成工程S16で得られた蒸気を用いて、生鮮果房(FFB)を蒸煮することができる。脱果工程S11は、パーム油生産プロセス13の中でもっとも蒸気使用量が大きい。
また、この脱果工程S11で生じた脱果後の空果房(EFB)は、ある程度の脱水後、前述した半炭化プロセス12における第2破砕工程S5に導入し、パーム枝葉粉状物の一部として燃料用ペレットの製造原料に用いることで、腐敗による温暖化ガス発生量の削減、有効利用を図ることができる。また、脱果後の空果房(EFB)は、パーム古木の第1破砕工程S2を使用して破砕することも可能である。
次に、脱果工程S11においてスラリー状にした果実を搾油する(第1搾油工程S12)。例えば、第1搾油工程S12では、スクリュー式の搾油機を用いて、圧力によって粗パーム油およびパーム椰子核を含む繊維質である第2固形残渣に分離する。
次に、第1搾油工程S12で得られた粗パーム油に対して加水し、例えば約85℃程度に加熱して静置した後、比重差による油水分離を行ってパーム油と第2パーム椰子排水(POME)とを得る(油水分離工程S13)。なお、加水後に更に遠心分離器によって繊維や水分などを取り除くことで、迅速に油水分離を行うこともできる。
こうした油水分離工程S13で分離されたパーム椰子排水(POME)は、油水分離によっても水層に溶存している椰子由来の油脂を完全には分離除去できず、椰子由来の油脂を一定量含んでいる。このパーム椰子排水(POME)を後述する藻類産生油製造プロセス18の原料として用いる。
藻類産生油製造プロセス(メタン製造工程)18は、油水分離工程S13で分離されたパーム椰子排水(POME)に残留している油分、糖成分を、例えばメタン細菌などによって発酵させメタンにする。こうして藻類産生油製造プロセス18で得られたメタンは、後述する水蒸気改質水素生成プロセス15において、水素生成原料の1つとして用いられる。
このように、パーム油生産プロセス13を構成する油水分離工程S13で生じた、椰子由来の油脂を含むパーム椰子排水(POME)を用いて、藻類産生油製造プロセス18によってメタンを生成することによって、従来、問題となっていたパーム椰子排水(POME)の外部への排出による水質汚染を防止するとともに、こうしたパーム椰子排水(POME)を有効に再利用することが可能になる。
なお、未利用バイオマス資源であるパーム椰子排水(POME)から藻類産生油製造プロセス18によって生成されたメタンは、後述する水蒸気改質水素生成プロセス15以外にも、メタンガスによるバイオマス発電および燃焼エネルギーが得られ、自家消費エネルギーとして使用する事も、有価物として売却する事も出来る。
第1搾油工程S12で生じた、椰子由来の油脂を含んでいるパーム椰子排水(POME)処理場ラグーンから発生していた膨大な温暖化ガスであるメタンを回収することで、自家消費エネルギーに加え、メタンガス利用による温暖化防止と、POME処理排水による、水質汚染を防止することが可能になる。更に河川放流水の浄化、未利用バイオマス固形炭化物により、放流水の色素、フミン酸を吸着する事等々、大気及び水質の環境保全に適合したパーム椰子農園の持続的な運営が出来る。
一方、第2固形残渣には、パーム椰子核が含まれており、第2固形残渣を乾燥、粉砕後、パーム椰子核とパーム椰子殻(PKS)とを分離する(椰子核分離工程S14)。こうした分離は、例えば、空気流によって行うことができる。そして、分離されたパーム椰子核を搾油してパーム核油を得る(第2搾油工程S15)。
一方、椰子核分離工程S14で分離されたパーム椰子殻(PKS)の一部は、そのままで市場性を有した有価物燃料として売却されるが、含水率が一定ではなく乾燥する事例もある。但し、その後の吸湿、並びに乾燥コストが増加する等の問題がある。本実施形態では、パーム枝葉(OPF)由来の燃料用ペレット製造工程S6にパーム椰子殻(PKS)を添加若しくは、単独で製造すればよく、製造コストは現状の乾燥製品に比べても安価で、尚且つ疎水性のある極めて石炭に近いパーム椰子殻(PKS)由来の半炭化物であるバイオマス半炭化物にすることができる。
また、エネルギー生成工程S16で得られた蒸気は、脱果工程S11で生鮮果房(FFB)を蒸すための飽和蒸気として用いることができる。また、電力は、燃料用ペレット製造工程S6における半炭化工程S6Bでの熱処理炉の駆動力として用いたり圧縮成形工程S6Dでのペレット成形装置の動力源、および後述するバイオマス改質炭製造プロセス14である各工程(褐炭乾燥工程S21、褐炭粉砕工程S22、混合工程S23、圧縮成型工程S24)の動作エネルギー源として用いることができる。
また、この椰子核分離工程S14で分離されたパーム椰子殻(PKS)の他の一部は、前述した半炭化プロセス12における第2破砕工程S5に導入し、パーム枝葉破砕物の一部として半炭化工程S6Bを経てバイオマス半炭化物にして、後述するバイオマス改質炭製造プロセス14である混合工程S23に送られ、バイオマス改質炭の製造に用いることができる。これにより、未利用廃棄物の削減、有効利用を図ることができる。これらはパーム繊維(Fiber)、空果房(EFB)もまた同様である。
次に、バイオマス改質炭製造プロセス14について説明する。
バイオマス改質炭製造プロセス14では、原料として褐炭を用いる。こうした褐炭は、前述した技術的背景でも説明したように、例えば、インドネシアなどにおいて多く産出する石炭化度の低い(例えば、炭素含有量70wt%以下)の低品位炭である。以下のバイオマス改質炭製造プロセス14は、前述した半炭化プロセス12やパーム油生産プロセス13などを実施するパーム椰子産業の近傍に存在する炭鉱から得られる褐炭を用いることが好ましい。これにより、褐炭の輸送コストや褐炭の乾燥に伴う発火性の官能基による自然発火を抑制できる。低品位炭の改質技術は脱水改質技術の開発を中心に、発熱量の改善や自然発火性への対策が進められ、既に実用化段階にあり、商業化の計画も進められているが、多くの技術が経済的理由から商業化に至っていない。
褐炭は通常暗褐色から帯褐色を呈する。より高品位な瀝青炭に比べ暗炭が多く、水分、腐植酸、酸素に富む。灰分の(ミネラル)の割合は産炭地によって様々である。水分が重量の半分以上(多い場合は66%)を占めるのが特徴である。これは褐炭の細孔容積が大きい(隙間が多い)ため、水分が浸み込みやすいからである。まず、こうした水分を効率的かつ安全に蒸発させることで褐炭を乾燥させる(褐炭乾燥工程S21)。なお、採掘された褐炭が大きな塊状である場合、褐炭破砕工程によって、所定の大きさになるまで褐炭を予め破砕しておくことが好ましい。
褐炭乾燥工程S21では、褐炭に含まれる発火性の官能基が水分の蒸発によって自然発火することを防止しつつ、褐炭の水分量を低減させる。具体的には、褐炭の乾燥に間接加熱方式を用いる。熱源としては飽和スチームを用いる。こうした褐炭乾燥工程S21消費する熱量を減らすため、乾燥機からの復水に熱回収ユニットで排熱をさらに回収し、スチーム発生ユニットに戻す構成が好ましい。例えば、空気、または窒素ガスを乾燥機に送り込み、水分蒸発速度を調整する。乾燥機の出口ガスはスチーム、空気(または窒素)、褐炭の微粉を含んでおり、大気に放出する前にバグフィルタを使用し褐炭の微粉を除去する。
次に、褐炭乾燥工程S21で乾燥させた褐炭を粉砕して、所定サイズの微粉末状の粉状褐炭を製造する(褐炭粉砕工程S22)。粉砕によって得られる粉状褐炭の粒子径分布と水分は、後工程で得られるバイオマス改質炭の品質に大きく影響するため、制御には細心の注意を払って行う。燃焼性ガスやイナートガスを循環させ、粉砕雰囲気の酸素濃度を制御することによって粉砕、乾燥による発火を抑制し、安全性を向上させる。
この褐炭乾燥工程S21で得られた粉状褐炭は、一部がバイオマス改質炭の製造に用いられ、また残りの一部は後述する水蒸気改質水素生成プロセス15による水素製造に用いられる。
次に、褐炭粉砕工程S22を経て得られた粉状褐炭と、半炭化プロセス12の半炭化工程S6Bにおいてパーム枝葉(OPF)やパーム古木(OPT)を原料として得られたバイオマス半炭化物とを混合して混合体を得る(混合工程S23)。
この混合工程S23では、粉体用の混合装置(ミキサー)を用いて、粉状褐炭と粉砕したバイオマス半炭化物とを、所定の混合比率で混合する。本実施形態では、粉状褐炭とバイオマス半炭化物とを、重量比50:50で混合した混合体を形成している。
次に、混合工程S23で得られた粉状褐炭とバイオマス半炭化物との混合体を圧縮成形し、ブリケット状のバイオマス改質炭を得る(圧縮成型工程S24)。圧縮成型工程S24では、例えばブリケットマシンを使用して圧縮成形する。ブリケットの形状・サイズ、ロール回転数、ロール支持圧力を最適設定することにより、バインダーを使用せず、高強度、高密度のブリケット状のバイオマス改質炭が製造でき、同時に電力消費を抑えることができる。
これら一連のバイオマス改質炭製造プロセス14では、搾汁工程S3で得られた搾汁液から生成した第1稼働用エネルギー、空果房(EFB)やパーム椰子殻(PKS)やパーム繊維(Fiber)から得られた第2稼働用エネルギー、およびパーム椰子排水(POME)から得られた第3稼働用エネルギーを、各工程(褐炭乾燥工程S21、褐炭粉砕工程S22、混合工程S23、圧縮成型工程S24)の動作エネルギー源として用いることができる。これによって、外部から新たなエネルギー(電力、蒸気等)を追加することなく、低コストにバイオマス改質炭を製造することができる。
次に、水蒸気改質水素生成プロセス15について説明する。
水蒸気改質水素生成プロセス15は、バイオエタノール製造工程S4で得られたバイオエタノールをガス化させる第1ガス化工程S31と、褐炭粉砕工程S22を経て得られた粉状褐炭から炭化水素ガスを発生させる第2ガス化工程S32と、水蒸気改質工程S33とを備えている。
第1ガス化工程S31は、パーム古木(OPT)・パーム枝葉(OPF)の搾汁液を発酵させたバイオエタノール製造工程S4で得られたバイオエタノールを、例えば気化器などを通してエタノールガスにする。
第2ガス化工程S32は、褐炭粉砕工程S22で得られた粉状褐炭を加熱器によってするなどして一酸化炭素や二酸化炭素を得る。
水蒸気改質工程S33では、エネルギー生成工程S16で得られた水蒸気(高温蒸気)と、油水分離工程S13のパーム椰子排水(POME)を用いて藻類産生油製造プロセス18で生成させたメタン、第1ガス化工程S31で得られたエタノールガス、第2ガス化工程S32で得られた一酸化炭素などを水蒸気改質法によって改質し、水素を発生させる。これに水蒸気と、炭化水素(エタノール、メタノール)ガス、一酸化炭素から水素を生成する反応は以下のようなものである。
(1)CnHm+nHO→nCO+((n+m)/2)H
(2)CO+HO→CO+H
こうした水蒸気改質工程S33では、反応のための熱エネルギーとして、エネルギー生成工程S16で得られる再生可能な熱エネルギーを用いることができる。以上のような工程を経て、パーム椰子産業由来の未利用バイオマス資源や、パーム椰子農園の近傍から産出する褐炭を用いて、効率的に、かつ極めて低コストに水素を生産することができる。こうして得られた水素は輸送が容易な液化状態にして、幅広い産業の熱エネルギー源や原料ガスとして用いることができる。
次に、水電解水素生成プロセス16について説明する。
水電解水素生成プロセス16では、エネルギー生成工程S16で得られた熱エネルギーを用いて発電した電力によって、水を電気分解する電解工程S34を備えている。この電解工程S34では、パーム椰子産業由来の未利用バイオマス資源を原料として製造した再生可能エネルギーである電力を用いて水を電気分解することによって、極めて低コストに水素を生産することができる。こうして得られた水素は輸送が容易な液化状態にして、幅広い産業の熱エネルギー源や原料ガスとして用いることができる。
次に、藻類産生油製造プロセス18について説明する。
藻類産生油製造プロセス18では、油水分離工程S13で生じたパーム椰子排水(POME)を用いる。表2にこうしたパーム椰子排水(POME)の性状の一例を示す。
Figure 0006939276
まず、このパーム椰子排水(POME)の高度嫌好気排液処理を行う(高度嫌好気排液処理工程S41)。この高度嫌好気排液処理工程S41では、まず、パーム椰子排水(POME)の有機性物質を嫌気状態にして、嫌気性微生物群によって分解し低級脂肪酸の生成過程を経て、メタンと二酸化炭素に分解する(メタン発酵法)。分解によって発生したメタンガスはバイオマス燃料として有効に用いることができる。
メタン発酵法は曝気エネルギーが不要で、生成する汚泥量も少ない。メタン発酵法は、30〜38℃で処理を行う中温法が一般的であるが、50〜58℃で行う高温法も用いることができる。メタン発酵法では、温度が高い程、硝化速度が速い反面、エネルギー消費が大きい。pHの最適領域は通常中性付近であり、酸類濃度が高くpHが低下するとメタン発酵に変調をきたす場合がある。平均滞留時間は約20〜30日、有機物類の分解率は約50%程度、槽内の撹拌等の効率を高めると消化は促進される。ガス中のメタンの占める比率は約60%で2%程度の水素を含んでいる。
こうした高度嫌好気排液処理工程S41の嫌気処理にメタン発酵法を用いる場合、空果房(EFB)やパーム椰子殻(PKS)やパーム繊維(Fiber)を用いてエネルギー生成工程S16で得られた再生可能エネルギーである熱エネルギーを用いてパーム椰子排水(POME)の液温を適切に調節し、嫌気処理を行うことで、外部からのエネルギーを消費することなく処理を行うことができる。
また、高度嫌好気排液処理工程S41では、パーム椰子排水(POME)の有機性物質を好気状態にして、好気性微生物群によって有機性物質を炭酸ガスと水に分解する。好気処理の代表的なものとしては、活性汚泥法が挙げられる。活性汚泥法は、浮遊する微生物に空気を吹き込みながら有機物の分解を効率的に行うもので、大規模な下水処理や工場排水処理に広く使用されている。
パーム椰子排水(POME)を高度嫌好気排液処理工程S41によって処理した処理水は、次に炭化水素産生藻類の育成に用いられる(藻類育成工程S42)。この藻類育成工程S42では、高度嫌好気排液処理工程S41によって得られた処理水を用いて、炭化水素産生藻類を育成し、炭化水素産生藻類に炭化水素(脂質)を産生させる。
炭化水素産生藻類は、微細藻類の一群であり体内に貯蔵物質としてオイル(炭化水素)を蓄積する。炭化水素産生藻類としては、例えば、ボトリオコッカス(Botryococcus braunii)、シュードコリシスティス(Pseudochoricystis ellipsoidea)、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)、イカダモ(Scenedesmus, Desmodesmus)などが挙げられる。近年では、これら炭化水素産生藻類よりもさらにオイルの蓄積効率が高い藻類も研究されつつある。
藻類の培養と藻類バイオ燃料の生産には、a)太陽エネルギー、b)栄養塩類、c)水資源、d)適した温度、e)広大な土地、f)撹拌、g)COの供給、h)他の微生物の侵入防止、i)抽出油の改質、j)抽出残渣の処理(例えばメタン発酵)、k)投入栄養塩類の回収と再利用、などの多岐にわたる要因が絡み合っている。
本発明プロセスでは、既存パーム産業とパーム産業由来未利用バイオマス資源を利用する産業が存在する事により、ほとんどの問題は安価に安易に持続性を持って解決できる。
a)太陽エネルギー
パームオイル樹木は、赤道を中心として経度で南北15度程度の地域でしか育成しない事より、本プロセスの提案する藻類培養には、太陽エネルギーは全く問題ないレベルで供給される。
b)栄養塩類
栄養塩類とは、N(窒素)、P(リン)、Si(珪素)など、植物が正常な生活を営むのに必要な無機塩類の事で、元々、パーム由来物質のみで、他の混合物が極めて少ないPOMEであり高度嫌好気処理後の処理水には、N(窒素)、P(リン)、Si(珪素)は充分に含まれている。
c)水資源 d)適した温度
高度嫌好気処理で、BOD:20mg/L以下,COD:400mg/L前後までになる為、藻類の生成にとって 水資源として全く問題なく、且つ 追加水量についても、豊富な地下水からの水資源があり、適した温度調整も可能となっている。
一例として、マレーシア(クアラルンプール)における月毎の平均気温と降水量を図8に示す。
この図8に示すグラフの様に、パーム産業の適地であるマレーシアに於いて、比較的25℃〜28℃のほぼ一定の気温で、多雨な状況がよくわかる。
水資源については、パーム搾油工場排水を処理した安定的で管理された水資源を使用する事と、更に豊富な地下水利用で変動に対するコントロールが出来、水温に関しても本システム内で安価なエネルギーが供給されることにより、元々変動が少ない水温も、より高度な温度制御が出来る事となる。
e)広大な土地
パーム産業における、1つの搾油工場当たりの農園面積は、おおよそ平均1万haで、その搾油工場は 例えば2014年で マレーシア国内に434か所のの工場存在する。
元々広大な土地が必要なパーム産業である為、本システムに於いて土地問題の障壁は極めて少ないといえる。旧オープンラグーンの新利用形態に加え、近傍の農園用地を転用することも問題とはならない。
f)撹拌
本システムに於いて、安価で多量な再生可能エネルギーが存在する事により、撹拌に要する 動力エネルギーの供給及び経済的問題は無い、又、広大な敷地であるが、障壁となる工作物等が無い為、設置及び維持管理が安易となる。
g)COの供給
前述した、例えばバイオエタノール製造工程、水素製造工程、メタン発酵工程、エネルギー生成工程等から得られる二酸化炭素を、培養池に直接通気させ、藻類の成長促進を図れる。藻類は、光合成によって二酸化炭素を体内に取込み固定化し有機物を生産する事となる。
h)他の微生物の侵入防止、
本システムでは、パーム搾油工場排水を処理した安定的で管理された水資源を利用する事より、上流側からの他の微生物進入は少ない。 但し オープンラグーンを利用する為の他微生物進入リスクは存在する。
i)抽出油の改質
本システムに於いて、安価で多量な再生可能エネルギーが存在する事により、改質に要する熱及び動力エネルギー問題は無い。
又、改質自体も本システム内で別に行うメタン改質、エタノール改質等に合併した改質も可能となる。
j)抽出残渣の処理(例えばメタン発酵)
例えば、乾燥残渣燃料製造、植物性残渣部分のメタン発酵、等の処理方法はあるが EFB燃焼灰がカリウム肥料となる事より、残渣の窒素、リンを加えた自給できる農園用肥料製造が推奨できる。
k)投入栄養塩類の回収と再利用
本システムでは、前述したように栄養塩類は、パーム椰子排水(POME)処理水中に元々含まれている為、特に回収と再利用の必要性はない。
藻類育成工程S42では、高度嫌好気排液処理工程S41によって処理した処理水と炭化水素産生藻類とを、旧オープンラグーンを転用した培養池や、新たに導入する大型の培養容器(貯槽)を用いて、所定の藻類の培養に適した温度管理を行うことで、効率的に炭化水素産生藻類の体内にオイル(炭化水素)を蓄積させる。
こうした藻類育成工程S42においても、空果房(EFB)やパーム椰子殻(PKS)やパーム繊維(Fiber)を用いてエネルギー生成工程S16で得られた再生可能エネルギーである熱エネルギーおよび電力を用いて、炭化水素産生藻類の培養池や培養容器内の温度管理、日照管理を行うことによって、外部からのエネルギーを消費することなく炭化水素産生藻類の育成を行うことができる。
藻類育成工程S42によって、所定の基準までオイル(炭化水素)を蓄積させた炭化水素産生藻類は処理水から取り出される。そして、体内にオイル(炭化水素)を蓄積させた炭化水素産生藻類から、藻類産生油が分離される(藻類産生油分離工程S43)。この藻類産生油分離工程S43では、例えば遠心分離機を用いて、炭化水素産生藻類の体内に含まれる藻類産生油(グリーンオイル)を分離する。分離した藻類産生油(グリーンオイル)は、適切な精製工程等を経て、例えば、ディーゼルオイルの代替燃料として用いることができる。藻類から得られるバイオ燃料は化学構造上ディーゼルオイルに類似しているので、製油施設や貯蔵施設などのインフラは既存のディーゼルのものが流用できる。
表3に、各種作物、微細藻類のオイル生産量の比較例を示す。
Figure 0006939276
既存オープンラグーンは、パーム椰子排水(POME)中の有機物(BODもしくはCODで評価)含有量を低減する為に必要な水力学的滞留時間(HRT:Hydraulic Retention Time )を確保するための容積で決定される。
2020年から厳守化される予定の、DOE排水基準(特にBOD<20mg/L)をクリアするには、HRTは約120日必要で、仮に搾油工場規模を平均的な、FFB処理能力:60tFFB/hで考察すると、ミルのパーム椰子排水(POME)は最大936m/dで、ラグーンでは、混入雨量を考慮する必要があり、およそ2倍の排水量で計算される。従って、約2000m/dの排水を120日間滞留する容量(2000m/d×120d=240000mが必要になり、仮にPONDの深さを5m均一とすると、240000m/5m=48000mの面積とる。1ha=10000mより、面積は4.8haで、表3中の微細藻類(2)で旧オープンラグーンを4.8ha流用すると、生産量は4.8×58,7000 =281,760L/年となる。
こうした藻類産生油分離工程S43においても、空果房(EFB)やパーム椰子殻(PKS)やパーム繊維(Fiber)を用いてエネルギー生成工程S16で得られた再生可能エネルギーである熱エネルギーおよび電力を用いて、藻類産生油(グリーンオイル)を分離することにより、従来は藻類産生油(グリーンオイル)の高コストの主な原因であった藻類産生油の分離に必要な大きなエネルギーを外部から供給する必要がなく藻類産生油(グリーンオイル)の低コスト化に大きく寄与する。
また、この藻類育成工程S42によって育成した藻類は、生物の食物連鎖の底辺を構成し、この藻類を動物プランクトンが食べ、それを順次、小魚・大型魚等食べる事となる。 即ち、パーム椰子排水(POME)の高度嫌好気排液処理導入により、旧オープンラグーンは藻類育成工程に加え、各種養殖池としての流用が可能で、新事業化の創設となる。
一方、この藻類産生油分離工程S43によって藻類産生油を分離した後の残渣、および高度嫌好気排液処理工程S41で生じた残渣を纏めて、発酵等のプロセスを経て残渣燃料を生産する。こうした残渣燃料としては、メタンガスや、発酵固形燃料などのバイオマス燃料が挙げられる。
藻類の分離残渣は、空果房(EFB)焼却灰+パーム椰子排水(POME)汚泥残渣による肥料に加える利用法、或いは藻には、糖質、タンパク質、脂質、ミネラルが栄養学的にバランスよく含まれており、牛をはじめとする肉用家畜の飼育用ハラール飼料としての利用法もある。
また、藻類育成工程S42で炭化水素産生藻類を取り除いた後の排液は、有機物が含まれているだけでなく、暗緑色や茶色に変色している。こうした変色した排液を河川等に放流することは河川の美観を低下させるため、パーム産業由来の未利用バイオマスを利用した、活性炭による脱色処理を行う(活性炭処理工程S44)。この活性炭処理工程S44では、藻類育成工程S42で炭化水素産生藻類を取り除いた後の排液に活性炭を投入し、無色に近い色調になるまで脱色を行う。また、活性炭によって、過剰な有機物も吸着される。こうした活性炭処理工程S44によって水質基準を満たすように調整された排水は、河川に放流される。
破瓜(吸着できなくなった状態)した活性炭は廃棄物ではなく、パーム農園の肥料として利用出来る。この破瓜した活性炭には窒素、リン酸、カリを含み、且つ、農地に戻し、すき込む事で雨水による流出を防ぐ効果・保水効果も持っている。
一般的な(1)バイオエタノール(糖質のアルコール発酵)、(2)バイオディーゼル(植物油の改質)生産に比較して、藻類によるバイオマス燃料生産は、以下の特徴がある。
(a)食料生産と競合しない。
(b)植物より単位面積あたりの生産性が高い(表3を参照)。
(c)植物栽培に適さない土地でも利用できる。
(d)CO固定への寄与率が高い。
などのの利点があり、更に本特許のパーム産業由来の未利用バイオマス資源を有効利用した藻類産生油するシステムでは、更に次の利点が挙げられる。
(e)エネルギーコスト、旧POME処理用オープンラグーン使用による培養池製造コスト、残差処理コスト、ユーティリティ整備コスト等が安価となり、総合的な藻類産生油 生産コストが大幅に低減できる。
(f)食物連鎖を利用した各種養殖業を創出できる。この養殖事業から、食用及び畜産用飼料生産が可能で ハラール食物となる。
(g)パーム由来未利用バイオマス資源を利用した、再生可能エネルギーであるカーボンニュートラル事業と、現状のバイオマス資源を放置することによる温暖化腐敗ガス、POMEから大気放出している温暖化メタンガスを防止できることより、CO削減事業となり得る。
(h)システム全ての工程エネルギー、例えば製造エネルギー、輸送エネルギーなどを再生可能エネルギーでまかなった藻由来のバイオマス燃料ができる。
表3による微細藻類(2)のオイル生産量を参考に、マレーシアでの生産量を想定すると、(a)2014年のマレーシア内搾油工場数=434工場、(b)281760L/年(平均≒60tFFB/h工場と仮定)これにより、434工場×281kL/年≒13万kL/年(マレーシアの例)となる。
以上、説明したように、本発明のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法によれば、従来は有効利用されていなかったパーム枝葉(OPF)、あるいはパーム古木(OPT)、空果房(EFB)、単純焼却していたパーム椰子殻(PKS)、パーム繊維(Fiber)パーム椰子排水(POME)を用いてメタンやバイオエタノールを製造し、また、余剰エネルギーを利用して水蒸気や電力を生成し、これら再生可能エネルギーを用いて炭化水素産生藻類を育成し、育成した炭化水素産生藻類から藻類産生油を分離するので、新規に外部から原料やエネルギー供給することなく、低コストに藻類産生油(グリーンオイル)を得ることが可能になる。従来は製造コストの面から課題の多かった藻類産生油(グリーンオイル)の生産コストを低減できることで、藻類産生油(グリーンオイル)の産業レベルでの普及に寄与する。
また、パーム椰子産業で生じる未利用物が廃棄物として排出されることなく再利用されることにより、排水の浄化・温暖化ガスの発生抑制が可能なため、環境保全に適合したパーム椰子農園の持続的な運営に寄与する。
1 パーム椰子
2 樹幹
3 パーム枝葉(OPF)
4 果実
4A 外果皮
4B 果肉(中果皮)
4C パーム椰子核
6 葉部(Rachis)
7 葉柄(Petiole)
10 バイオマス原料および褐炭利用エネルギーシステム
11 収穫、分別プロセス
12 半炭化プロセス
13 パーム油生産プロセス
14 バイオマス改質炭製造プロセス
15 水蒸気改質水素生成プロセス
16 水電解水素生成プロセス
17 水素製造プロセス
18 藻類産生油製造プロセス

Claims (8)

  1. パーム椰子樹木からパーム椰子を収穫して部位ごとに分ける分別プロセスと、前記分別プロセスで分けられた前記パーム椰子の果房からパーム油を生産するパーム油生産プロセスと、前記パーム椰子から燃料用ペレットの原料となるバイオマス半炭化物を製造する半炭化プロセスと、前記パーム油生産プロセスで生じたパーム椰子排水および炭化水素産生藻類から藻類産生油を製造する藻類産生油製造プロセスと、を有し、
    前記分別プロセスは、前記パーム椰子樹木から前記果房および該果房の周囲に生えるパーム枝葉をそれぞれ分離、収穫する収穫工程を備え、
    前記半炭化プロセスは、前記パーム枝葉を搾汁し、搾汁液および第1固形残渣に分離する搾汁工程と、前記第1固形残渣を半炭化させバイオマス半炭化物を得る半炭化工程と、前記バイオマス半炭化物を圧縮成形してペレット化して固形バイオマス燃料を得る圧縮成形工程と、前記搾汁液を発酵させ、バイオエタノールを製造するバイオエタノール製造工程と、を備え、
    前記パーム油生産プロセスは、前記果房から果実を脱果させ、該果実および脱果後の空果房に分離する脱果工程と、前記果実を搾油し、粗パーム油および第2固形残渣に分離する搾油工程と、前記粗パーム油に加水して懸濁させた後、油水分離してパーム油と前記パーム椰子排水とを得る油水分離工程と、を備え、
    前記藻類産生油製造プロセスは、前記炭化水素産生藻類に炭化水素からなる藻類産生油を産生させる藻類育成工程と、前記炭化水素産生藻類に産生させた前記藻類産生油を分離する藻類産生油分離工程と、を備え、
    前記藻類産生油製造プロセスは、前記パーム油生産プロセスで生じた排出物を用いて生成した再生エネルギーを前記炭化水素産生藻類の育成エネルギー源として用いることを特徴とするバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法。
  2. 前記藻類産生油製造プロセスは、前記藻類産生油分離工程で排出される脱油後の前記炭化水素産生藻類を含む排液を活性炭によって脱色させる活性炭処理工程を更に備えたことを特徴とする請求項記載のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法。
  3. 前記搾油工程で得られた前記第2固形残渣であるパーム椰子殻およびパーム繊維から、水蒸気と、電力ないし熱エネルギーとを生成するエネルギー生成工程を更に備えたことを特徴とする請求項または記載のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法。
  4. 前記エネルギー生成工程で生成された電力ないし熱エネルギーを、前記藻類産生油製造プロセスの稼働エネルギーとして供給することを特徴とする請求項ないしいずれか一項記載のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法。
  5. 前記バイオエタノールをガス化させる第1ガス化工程と、前記油水分離工程で得られた前記パーム椰子排水から発酵によってメタンを製造するメタン製造工程と、前記第1ガス化工程で得られたバイオエタノールガス、前記メタン製造工程で得られたメタン、および前記エネルギー生成工程で得られた水蒸気から、水蒸気改質法によって水素を生成させる水蒸気改質水素生成工程と、を含む水素生成プロセスを更に備えたことを特徴とする請求項または記載のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法。
  6. 褐炭を乾燥する褐炭乾燥工程と、乾燥後の前記褐炭を粉砕して粉状褐炭を得る褐炭粉砕工程と、前記粉状褐炭および前記バイオマス半炭化物を混合して混合体を得る混合工程と、前記混合体を圧縮成形し、固形状のバイオマス改質炭を得る圧縮成形工程と、を含むバイオマス改質炭製造プロセスを更に備えたことを特徴とする請求項ないしいずれか一項記載のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法。
  7. 前記パーム枝葉として、パーム葉が生える葉部および該葉部よりも果房側を成す葉柄のうち、葉柄を用いることを特徴とする請求項ないしいずれか一項記載のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法。
  8. 前記搾汁工程には、前記パーム枝葉に加えて、更に前記パーム椰子樹木の樹幹が供給されることを特徴とする請求項ないしいずれか一項記載のバイオマス資源を用いた藻類産生油の製造方法。
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