JP6766694B2 - 固形バイオマス燃料の製造方法、ハラール肥料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パーム椰子農園における木質廃棄物の再利用による固形バイオマス燃料の製造方法、およびこれを用いたハラール肥料の製造方法に関するものである。
椰子(Arecales Bromhead)は、単子葉植物ヤシ科に属する植物であり、熱帯地方を中心に約3300種以上存在している。こうした椰子のうち、主に椰子油の生産を目的として栽培されている種として、パーム椰子(アブラヤシ:Elaeis)がある。パーム椰子は、ヤシ科アブラヤシ属に分類される植物の総称であり、中米および南米の熱帯域原産のアメリカアブラヤシ(Elaeis oleifera)と、西アフリカ原産のギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)の2種が知られている。また、栽培品種の中にはギニアアブラヤシとアメリカアブラヤシとの交配品種も存在する。
パーム椰子は、生鮮果房(FFB:Fresh Fruit Bunch)の果肉とパーム椰子核とからそれぞれ油脂を採取でき、こうした油脂の生産を目的として栽培が行われている。パーム椰子は、単位面積当たりで得られる油脂の量が植物中でも極めて多く、商業作物として、特にインドネシア、マレーシアを中心に大規模な栽培(プランテーション農業)が行われている。
今日産業的に大規模栽培されたパーム椰子から収穫された果実は、石鹸や食用植物油の生産に使われている。生鮮果房(FFB)の果実うち果肉(中果皮)からはパーム油が、また、中心部のパーム椰子核からはパーム核油がそれぞれ得られる。パーム油とパーム核油の品質は異なっており、パーム油は主に調理用、パーム核油は主に加工食品用としての用途が多いが、近年では、こうしたパーム油やパーム核油をバイオマス燃料としてディーゼル燃料の代替品として用いられつつある。
こうした、バイオマス燃料の原料として、近年では、パーム椰子のパーム油やパーム核油を採取した際に副産物として得られるパーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shell)が用いられている。特に最近では、バイオマス原料となる間伐材の供給が不足する傾向にあり、パーム椰子殻(PKS)の使用量が増加傾向にある。
パーム椰子からパーム油やパーム核油を採取するパーム油産業においては、上述のパーム椰子殻(PKS)以外にも、空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)、パーム古木(OPT:Oil Palm Trunk)、パーム枝葉(OPF:Oil Palm Frond)等が副産物として発生する。また、パーム枝葉(OPF)を有効利用する際に、油分などの有機物を含むパーム椰子排水(POME:Paim Oil Mill Effuent)が多量に生じる。
ここで、空果房(EFB)においては、パーム椰子の生鮮果房(FFB:Fresh Fruit Bunch)から果実を採取する際に蒸煮することから、このときの蒸気によって空果房(EFB)の水分量は65%以上となるため、燃焼用の燃料としては適していない。このため、空果房(EFB)のほとんどは農園に戻され廃棄されるが、一部はパーム繊維(Fiber)、パーム椰子殻(PKS)と一緒にボイラーで燃焼させ、その燃焼灰を肥料として利用されている。
また、パーム椰子樹木は、樹齢が20〜25年程度となると経済性が低くなるため切り倒されて、新しい木に植え替えが行われる。このとき、パーム古木(OPT)が発生することになる。ここで、このパーム古木(OPT)の発生量は、パーム椰子殻(PKS)の約3倍である。上述のパーム古木(OPT)においては、組織が脆弱であるため通常の木材加工には適しておらず、最外層の一部が合板材として利用されるのみであった。また、パーム椰子の樹齢によって発生することから、供給量が年次によってばらつくおそれがあった。
なお、最近では、例えば特許文献1〜3に開示されているように、パーム古木(OPT)に対して搾汁を行い、得られた樹液に含まれる糖分からバイオエタノールや乳酸を製造する技術が提案されている。
ところで、パーム枝葉(OPF)は、パーム椰子の果房を収穫する際に伐採されるものであり、一つの果房を採取する際に2本のパーム枝葉が伐採される。このパーム枝葉(OPF)は、組織が脆弱で、かつ、水分量も約77%と多いことから、使用用途がなく、現状では、農園に放置されている。現地の農園では、パーム椰子の果房を狙う野ネズミ対策として、野ネズミを退治する蛇の棲み処として利用されている。
しかしながら、このパーム枝葉(OPF)は、その発生量がパーム椰子殻(PKS)の約10倍であり、パーム枝葉(OPF)を有効利用することが求められている。また、パーム椰子は、熱帯雨林地方で栽培されていることから、パーム枝葉(OPF)は年間を通して安定して供給可能であるため、バイオマス燃料として利用することで大きな効果を得ることが可能となる。
特許第4065960号公報 特許第4418871号公報 特許第4665257号公報
上述したように、パーム枝葉(OPF)を有効利用するために、例えば、パーム枝葉(OPF)を原料として固形バイオ燃料などを製造する際には、搾汁工程において糖分をサトウキビ並みに含んだ搾汁液が得られ、また、パーム椰子からパーム油やパーム核油を採取する工程において、粗パーム油を水で洗浄した後に油水分離を行った際に、分離水である多量のパーム椰子排水(POME:Paim Oil Mill Effuent)が生じる。
従来、こうしたパーム椰子を利用した産業は、例えばインドネシアやマレーシアが主体であり、パーム椰子の処理によって生じるパーム椰子排水(POME)は、ラグーンと呼ばれる広大な処理池から河川等に排出されている。こうしたパーム椰子排水(POME)による河川放流水の水質汚染問題が顕在化しつつある。ラグーンの維持管理は広大なラグーンの下層に堆積する汚泥処理対策が重要課題となっている。
パーム椰子の処理に伴い発生するパーム椰子排水(POME)は多くの油分を含むため、これらを有効利用することが望まれている。
又、POMEからは、膨大なメタン(温室効果ガス)が発生しているが、大部分のパーム油搾油工場では、これらはエネルギー源として使われる事無く、大気中にそのまま放出されている。例えば、メタン(CH)の地球温暖化係数は25と高く、地球温暖化の原因にもなっている。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、パーム油搾油工程で生じるパーム椰子排水(POME)を有効利用した固形バイオマス燃料の製造方法及びハラール肥料の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の固形バイオマス燃料の製造方法は、パーム農園およびパーム搾油工場に隣接して設置された未利用バイオマス資源化工場において行われる固形バイオマス燃料の製造方法であって、パーム椰子樹木から果房および該果房の周囲に生えるパーム枝葉をそれぞれ分離、収穫する収穫工程と、前記パーム枝葉を搾汁し、搾汁液および第1固形残渣に分離する搾汁工程と、前記搾汁液を用いてバイオ燃料または食品原料のうち少なくとも1つを製造する加工品製造工程と、前記第1固形残渣の圧縮成形体からなり半炭化処理が施された含水率が12%以下の燃料用ペレットを製造する燃料用ペレット製造工程と、前記搾汁液を用いて、前記燃料用ペレット製造工程のエネルギー源となる第1稼働用エネルギーを生成する第1エネルギー生成工程と、前記果房から果実を脱果させ、該果実および脱果後の空果房に分離する脱果工程と、前記果実を搾油し、粗パーム油および第2固形残渣に分離する第1搾油工程と、前記脱果工程で得られた前記空果房と、前記第1搾油工程で得られた前記第2固形残渣であるパーム椰子殻およびパーム繊維とから第2稼働用エネルギーを生成する第2エネルギー生成工程と、を備え、前記搾汁工程では、前記パーム枝葉として、パーム葉が生える葉部および該葉部よりも果房側を成す葉柄のうち、葉柄を用い、前記葉部は、前記パーム椰子樹木の周囲に敷設することを特徴とする。
本発明の固形バイオマス燃料の製造方法によれば、従来は有効利用されていなかったパーム枝葉(OPF)、あるいはパーム古木(OPT)、空果房(EFB)、椰子殻(PKS)を用いて、固形バイオマス燃料を製造することで、パーム椰子の樹木全体を有効に利用することができる。
特に、パーム枝葉(OPF)は、パーム椰子の果房を収穫する際に多量に伐採されるので、供給量が多く、かつ、年間を通して供給量が安定しており、固形バイオマス燃料の原料として安定供給することが可能となる。また、従来は有効利用されていなかったパーム枝葉(OPF)を固形バイオマス燃料として利用することが可能となる。
また、本発明は、前記粗パーム油に加水して懸濁させた後、油水分離してパーム油と分離水とを得る油水分離工程と、前記油水分離工程で得られた分離水から第3稼働用エネルギーを生成する第3エネルギー生成工程を更に備えたことを特徴とする。
固形バイオマス燃料の製造に必要なエネルギー源として、油水分離工程で得られた分離水であるパーム椰子排水(POME)を利用した第3稼働用エネルギーを用いることで、未利用バイオマスエネルギーの有効利用を図り、低コストで固形バイオマス燃料の製造を可能にする。
また、こうした未利用バイオマスエネルギーPOME処理設備のラグーンから発生している膨大な温暖化ガスであるメタンを回収しエネルギー化する事で安価に製造可能となった第3稼働用エネルギーを使用し、河川放流水を浄化する事、未利用バイオマス固形炭化物により、放流水の色素 フミン酸を吸着する事等々、大気及び水質の環境保全に適合したパーム椰子農園の持続的な運営に寄与する。
また、本発明は、前記発酵工程の前工程として、前記搾汁液を濃縮する濃縮工程を更に備えたことを特徴とする。
また、本発明は、前記搾汁工程の前工程として、パーム古木を粉砕する第1破砕工程を更に備えたことを特徴とする。
パーム古木を、例えば50mm〜150mm程度に破砕することによって、搾汁を効率的に行うことができる。
また、本発明の燃料用ペレット製造工程は、前記第1固形残渣を破砕してパーム枝葉破砕物を得る第2破砕工程と、前記パーム枝葉破砕物の水分調整をする乾燥工程と、半炭化処理する半炭化処理工程と、半炭化処理されたパーム枝葉破砕物をペレット成形機の投入寸法に調整する粉砕工程と、粉砕後の半炭化処理されたパーム枝葉破砕物にリグニンを添加して前記ペレット成形機で投入圧縮成形してペレット化する圧縮成形工程と、を備えていることを特徴とする。
前記ペレット成形工程に先立って、予め前記パーム枝葉破砕物を半炭化処理するか、または、前記ペレット成形工程の後に、前記ペレットを半炭化処理するかは、どちらも選べる。半炭化後にペレット化する場合は、半炭化物をペレット製造に適する寸法に粉砕する 粉砕工程と、ペレット製造に半炭化時に揮発したリグニンを添加するパーム由来リグニン添加過程を備えている。
また、本発明は、前記搾汁工程には、前記パーム枝葉に加えて、更に前記パーム椰子樹木の樹幹が更に供給されることを特徴とする。
また、本発明は、前記燃料用ペレット製造工程には、前記第1固形残渣に加えて前記脱果工程からの空果房が更に供給されることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1エネルギー生成工程は、前記搾汁液の発酵によってメタンガスまたはバイオエタノールを生成する過程を含むことを特徴とする。
また、本発明は、前記第2エネルギー生成工程は、前記第1稼働用エネルギーおよび前記第3稼働用エネルギーを利用することを特徴とする。
また、本発明は、前記第3エネルギー生成工程は、前記分離水からメタンガスまたはバイオエタノールを生成する過程を含むことを特徴とする。
本発明のハラール肥料の製造方法は、前記各項記載の固形バイオマス燃料の製造方法を用いたハラール肥料の製造方法であって、前記分離水を原料とした前記第3エネルギー生成工程で生じた汚泥、または前記空果房の焼却灰、あるいは前記汚泥と前記焼却灰との混合物を原料として用い、前記第1稼働用エネルギー、前記第2稼働用エネルギー、前記第3稼働用エネルギーのうち少なくとも1つによってハラール肥料を製造することを特徴とする。
本発明のハラール肥料の製造方法によれば、沈殿汚泥を用いて、窒素肥料とリン酸肥料の原料(ハラール肥料)を得ることができる。また、空果房の燃焼灰より、カリウム肥料の原料(ハラール肥料)を得ることができる。これらハラール肥料は、イスラム法に則ったハラールに基づく肥料である。
本発明によれば、パーム枝葉(OPF)をバイオマス燃料として有効利用する為に、第2稼働用エネルギーの利用と、未利用バイオマス資源であるPOMEを有効利用する事による、メタンガスによる温暖化防止と、POME処理排水による、水質汚染を防止することが可能な固形バイオマス燃料の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、分離水を原料とした第3エネルギー生成工程で生じた汚泥、または空果房の焼却灰、あるいは汚泥と焼却灰との混合物を原料として用い、第1稼働用エネルギー、第2稼働用エネルギー、第3稼働用エネルギーのうち少なくとも1つによって、イスラム法に則ったハラール肥料を製造することができる。
本発明の固形バイオマス燃料の製造方法及びハラール肥料の製造手順を模式的に示した概略説明図である。 本発明の固形バイオマス燃料の製造方法及びハラール肥料の製造方法を段階的に示したフローチャートである。 パーム椰子の各構成部位を示す説明図である。 パーム椰子のパーム枝葉を示す模式図である。 パーム椰子の果実の断面を示す模式図である。 固形バイオマス燃料である燃料用ペレットの一例を示す模式図である。
まず始めに、本発明の技術的背景について説明する。
バイオマスは植物に由来する有機物であり、その育成過程において大気のCOを吸収しながら成長するため、これらを燃焼させても追加的なCOを排出しないカーボンニュートラルという特徴がある。一般的に、従来のバイオマス資源である木質ペレット(ホワイトペレット)の欠点は、(1)石炭と比較すると発熱量が低い、(2)粉砕性が悪い為、石炭混焼率が最大で3wt%程度に過ぎない、(3)自然発熱しやすい、(4)親水性で、吸湿により湿潤すると形状劣化し、含水率が不安定、といったことが挙げられる。特に、日本国内での利用を考えると、海外バイオマス資源の安定供給(資源確保、ロジスティック)に不確実性がある。また、バイオマス燃料の持続可能性の不確実性がある。
そこで 木質バイオマス資源に対して、上述した欠点を克服するための技術が、本発明で述べる半炭化技術となる。半炭化ペレット化(ブラックペレット)の特徴として、(1)発熱量が大きい、(2)解砕性、および混焼性に優れる、(3)疎水性により取扱い性が向上する、(4)自然発熱も炭化温度によってほぼ無くすことができる、などの優れた特徴がある。但し、半炭化ペレット(ブラックペレット)の製造には、高い素材コストに加えて、製造コスト(エネルギーコスト、設備コスト、人件費コスト等)と搬送コストが発生し、販売単価(熱量/kg)が上昇する為、従来は経済的に成り立たっておらず、産業レベルでの実例は殆ど見られなかった。
特に日本国内ではバイオマス資源量が少なく、製造コストも高くなるため、従来は半炭化ペレット(ブラックペレット)を製造するメリットを見出すことは難しいのが現状であった。
本発明では、こうした半炭化ペレット(ブラックペレット)に係る経済性、産業化困難性等の諸問題を解決する。
半炭化ペレットの産業化の要件として、(A)バイオマス資源の安定確保(資源確保とロジスティック)、(B)バイオマス資源由来製品の経済的生産の持続性、(C)バイオマス資源由来製品製造に関する技術的課題の解決、(D)パーム油産業立地地域及び相手国とのWin−Winの関係構築、などが挙げられる。
(A)バイオマス資源の安定確保としては、新規の未利用バイオマス資源化工場を、大規模なパーム油産業が存在する代表例であるマレーシア、インドネシアの既存パーム油搾油工場に隣接または同一場所に設置する事により、既存パーム油産業と協業することにより、種々のバイオマス資源を安定的に入手可能にすることができる。
一例として、マレーシアにおけるパーム油産業のバイオマス資源量を例示する。
EFB≒7百万トン/年、OPF≒25百万トン/年(Petioleのみ)、OPT≒20百万トン/年、PKS≒5百万トン/年、Fiber≒8百万トン/年、POME≒64百万トン/年。参考までに、インドネシアには、マレーシアの約1.3倍量のバイオマス資源があるとされている。
これらバイオマス資源の内、既存のパーム油搾油工場では、PKSとFiberのみが利用されており、それ以外の部位は現状では有効利用されていない。そこで、資源確保の意味で、バイオマス資源であるEFB、OPF(含む搾汁液)、OPT(含む搾汁液)、PKS、Fiber、POMEの利用を行う。特に、PKS、Fiberに関しては、高付加価値化が可能である。また、季節変動によるこれらバイオマス資源の入荷の安定性については、四季の無いマレーシア、インドネシアにおいては、雨期による若干の入荷量変動はあるが、極めて安定的にパーム由来バイオマス資源が発生するため、安定してバイオマス資源を入手することができる。
また、現地のパーム油産業との協業により、既存のFFB入荷及び製品出荷のロジスティックがそのままOPFの入荷、新規の未利用バイオマス資源化工場で生産された製品群の出荷に利用することができ、OPTは現地植替え業者による入荷が可能である。更に、立地上、既存パーム油搾油工場から、EFB、PKS、Fiber、POMEの横持ちが極めて容易であり、経済性が高い。
(B)バイオマス資源由来製品の経済的生産の持続性としては、資源価格と、ロジスティック費用、製造費用等は、パーム油産業がある現地の既存パーム油搾油工場との協業により達成できる。
素材コストは、例えばマレーシア、インドネシアのパーム油産業において、EFB、OPF、OPT、POMEは、現状では廃棄物、処理困難物、環境汚染対象物であり、素材コストとしてほぼ無価値となっている。
PKS、Fiberは、パーム油搾油工場内ボイラー燃料として熱利用されているが、EFB等の未利用バイオマスを代替燃焼利用する事により、それらは外販燃料としての価値が新たに生まれる。
エネルギーコストは、既存のパーム油産業と協業する最も重要なポイントであり、上述した素材コストとしてほぼ無価値なEFB、OPF、OPT、POMEと、余剰が見込まれるPKS、Fiberをエネルギー資源として利用することによって、大きな低減効果が得られる。例えば、(1)EFB(既存パーム油搾油工場の廃棄物):脱水技術+低温燃焼技術により熱エネルギーを回収する。(2)OPF、OPTからの搾汁液(新規の未利用バイオマス資源化工場からの産物):発酵によってメタンガス、エタノールに変換し、熱エネルギー、発電用燃料として使用する。(3)POME(既存パーム油搾油工場の廃液、環境汚染対象物):バイオマスガス抽出技術によりメタンガス変換し、熱エネルギー、発電用燃料として使用する。
PKS、Fiber(余剰が見込まれる産物):副産物として得られるPKS、Fiberは、既存パーム油搾油工場に於いては燃料として使用しきれない場合、余剰物として廃棄物処理する必要が生じる。PKSは近年、外販燃料として定着してきたが、Fiberは使い切りを基本としている。よって、既存パーム油搾油工場の燃焼ボイラーは、高燃焼効率ボイラーでは無く、より余剰物を沢山燃焼処理出来る事を基本としたボイラー設備が主流となっている。
現状の燃焼効率ボイラーから高燃焼効率型を導入する事により、PKS、Fiberは余剰分が増加する事となり、有価物として外販可能となる。
ハラールは、イスラム法で許された項目をいう。端的にはイスラム法上で食べることが許されている食材や料理を指す。日本語に訳すと、「やってもやらなくてもかまわないもの(許可)」という意味となる。反対に、口にすることを禁止されている物をハラームと言い、この語は「やってはならないもの(禁止)」という意味でハーレムと同じ語源である。イスラム法の下では豚肉を食べることは禁じられているが、その他の食品でも加工や調理に関して一定の作法が要求される。この作法が遵守された食品がハラールとされる。なお、ハラールとハラームの中間に疑わしいものシュブハという概念がある。シュブハな食品はできるだけ食べることを避けることとされている。
基本的に魚、植物は有毒でなければすべてハラールで、キノコ、天然鉱物、物質、飲料はすべて有害でない限りハラールとなる。ただし、同じ家畜・水産物・植物でも、自然な状態の餌や肥料を与えられているものは「ハラール」で、イスラム法で不浄とされる餌を与えられた物は、「ハラーム」になる。
POME処理設備である、第3エネルギー生成工程で発生する汚泥の取出しは、タンクのバルブを開けば回収できるので、極めて安易である。従来、汚泥に関心が払われないのは、汚泥を必要としないからである。汚泥は微生物の塊なので、窒素やリン酸に富んでいる。また、空果房(EFB)は特にカリウムが豊富である。空果房(EFB)の焼却灰はアッシュカリウムとして、市場性がある。しかもパーム油搾油工場では油が搾られているだけで、それ以外の有機物は入って来ない。また、パーム油の収率を高い値で一定にするために生鮮果房(FFB)は厳選され、農家も買ってもらえるもの以外持ち込まない。つまり、原料も製品もずっと同じである。
上記の原料、製造方法から、ここで製造する肥料は、植物のハラームの条件である、(1)遺伝子組み換えをした植物、(2)人間に有毒なもの、(3)人間に不快感を与えるもの、(4)無農薬野菜であっても、イスラム法で不浄とされる肥料を用いて栽培されたものの内、イスラム法で不浄とされるもの、即ち、死肉、血液、遺伝子組み換えの物質、豚由来成分のものには当たらず、極めて安定的に明確に証明が可能なハラール対応肥料となる。
用地費用については、既存パーム油搾油工場の設置状況が、おおよそ10km四方のパーム農園の中心にあり、この広大な敷地の為、工場用地費用としては、例えば、マレーシア、インドネシアでは、例えば日本と比較すると極めて低価格である。
人件費については、現地のパーム油産業との協業によって 従業員、管理人員等の一元管理が可能となり、更に、新規の未利用バイオマス資源化工場は、日本からの技術導入により必要最小限の人数となるので、工場生産コストに占める人件費は少なくなる。
エネルギーは前述のように余剰バイオマス資源により自己生産出来、水資源は熱帯雨林地方である為、豊富にある。
ストック費用については、前述したようにバイオマス資源が極めて安定的に入手可能であるため、広大ストックヤードや保管施設を必要とせず、保管設備費は相当に安価となる。
ロジスティックに関する費用については、現地のパーム油産業との協業により、既存のFFB入荷及び輸出まで含めた製品出荷のロジスティックが、そのままOPFの入荷、新規の未利用バイオマス資源化工場で生産された製品群の出荷に利用出来るので、相対的に安価となる。また、マレーシアやインドネシアなどの現地のパーム油産業は、地方であっても道路に関するインフラは確立しており、協業によるメリットは大きくなる。
バラ物出荷の港湾設備も、両国から出荷しているPKS出荷設備、インドネシアでは 石炭出荷設備の利用ができる。
未利用バイオマス原料側の横持ち費用については、既存のパーム油搾油工場との間で、EFB、PKS、Fiber、POMEの横持ち自動搬送設備が設置可能であり、設置後は大きな横持ち費用は発生しない。
そして、多様性のあるバイオマス製品及びエネルギーを創出することができる。既存パーム油搾油工場とパーム農園から供給されるバイオマス資源で、新たに得られる産物としては、(1)EFB:自家用ボイラー燃料,半炭化燃料,カリウム肥料、(2)OPF:OPF半炭化燃料,OPF炭化燃料・コークスブリケット、(3)OPT:OPT半炭化燃料,OPT炭化燃料・コークスブリケット、(4)PKS:PKS半炭化燃料(ペレット、単純半炭化)、(5)Fiber:Fiber固形燃料、他バイオマス資源混合燃料利用、(6)POME:メタンガス利用(自家消費電力発電,売電,メタンガス製造)、チッソ・リン酸肥料(7)搾汁液:メタンガス生産利用,エタノール製造,糖分類、などが挙げられる。
また、既存のパーム油搾油工場との協業による、ユーティリティのバックアップ化、及び、作業員の管理、防犯の共同化等のメリットがあり、特に 既存のパーム油搾油工場の環境管理は、協業によって飛躍的な向上が見込まれる。更には、比較的軽作業である、OPF回収・工場品質管理等々の、パーム農園の従業員家族の雇用を創出できる。
パーム農園の製造原価の内、農園用の化学肥料費用が50%以上という報告もあり、これをパーム農園由来の天然肥料に替え、安価に提供出来れば、農園経営にも貢献でき、環境保全にも有益となりえる。
(C)バイオマス資源由来製品製造に関する技術的課題としては、日本の政府機関及び民間、現地国(マレーシア・インドネシア)の大学を含む研究機関でコア技術開発が進んでおり、本発明ではそれら技術を、例えば、マレーシア・インドネシアにおけるパーム油産業のバイオマス資源の有効利用に適用可能な、固形バイオマス燃料及びハラール肥料の製造方法として提案する。
(D)パーム油産業立地地域及び相手国とのWin−Winの関係構築としては、現地既存パーム油搾油工場に隣接または同一場所に設置することで解決することができる。(1)協業体制により、既存のパーム油産業における廃棄物、処理困難物、環境汚染対象物を、新規の未利用バイオマス資源化工場でバイオマス資源として有効活用することが可能である。社会問題化しているPOME浄化による環境保全が、そのまま新規の未利用バイオマス資源化工場で可能となる。よって、既存パーム油産業のコスト削減、回収費用及び売却費用も見込まれ、収入増加に繋がる。(2)パーム椰子農園従事者に対し、電気・熱源供給、及びOPF回収等の作業による新たな収入源を供与することができる。(3)新規の未利用バイオマス資源化工場自体は省人化工場であるが、受入・出荷・操業管理等々の雇用が期待され、現地協業企業及び地域活性化が見込まれる。(4)相手国及び日本でのバイオマス資源活用によって「カーボンニュートラル」な成果物が得られる。(5)ハラール肥料を製造する事により、パーム農園の収益向上、環境保全、イスラム法で植物を栽培している農家に対する、安全な肥料提供を図れる。
新規の未利用バイオマス資源化工場は、既存パーム油搾油工場に隣接または同一場所に設置する事を想定しているが、産業規模の拡大範囲は、比較的搬送可能なOPF、OPT、EFBに関して、例えば、片道50km程度を輸送範囲とすると、約20箇所の工場の所掌農園面積から回収可能となる。一例としてマレーシアでは、1つの新規の未利用バイオマス資源化工場当たり、OPF:116万トン/年の回収が見込まれる。
特に、本発明の重要な構成であるPMOEの処理に関して、現状はPOMEが処理される広大な処理池(ラグーン)からは、自然な嫌気状態によって、強い温室効果ガスであるメタンが膨大に発生しているが、ほとんどのパーム油搾油工場では、これらはエネルギー源として使われる事無く、大気中に放出されている。パーム油産業がラグーンを設置する理由は広大なプランテーションのほんの一部を、それも掘るだけで設備ができる安易性による。今回想定しているバイオガスタンクを備えたPOME処理の方が、設備費が高くなる可能性もある。しかし、前述したラグーン方式の場合、嫌気や好気の処理に伴い汚泥が発生し、これをラグーン底から取り除く必要がある。広大なラグーンから例え年に一度であっても、広大な面積であることから、処理コストは決して安価ではない。
一方、ガスタンクを備えたPOME処理の場合、汚泥の取出しはタンクのバルブを開けば回収できるので、極めて安易である。従来、汚泥に関心が払われないのは、汚泥を必要としないからである。汚泥は微生物の塊なので、窒素やリン酸に富んでいる。また、空果房(EFB)は特にカリウムが豊富である。空果房(EFB)の焼却灰はアッシュカリウムとして、市場性がある。しかもパーム油搾油工場では油が搾られているだけで、それ以外の有機物は入って来ない。また、パーム油の収率を高い値で一定にするために生鮮果房(FFB)は厳選され、農家も買ってもらえるもの以外持ち込まない。つまり、原料も製品もずっと同じである。
しかも、パーム油搾油工場では主に水以外の原料は加わらない。つまり、汚泥の質が極めて整っているといえる。つまり、生ごみや下水処理汚泥のような原料の品質が安定に出来ないものと違い、POME汚泥とEFBは極めて質が整っていると考えられる。したがって、これらの原料から作られた有機肥料は品質が安定した、あるいは、品質が保証された製品が可能である。この肥料はイスラム法のハラール肥料としての価値を持つ。有機肥料産業というパーム油産業とは異なる産業を、ここに付加することにより、経済合理性においてラグーンではなく、近代的なバイオガスタンクが選択されることになる。パーム油搾油工場でPOMEによるバイオマス発電を行った場合、パーム油搾油工場の必要電力を賄うことが可能になる。POMEからのバイオガスで蒸気製造も可能であるが、蒸気は、これも未利用バイオマス資源のEFBをボイラー燃料として製造する方が、肥料製造の面からも利点がある。これにより、従来、パーム油搾油工場で使用している膨大なパームバイオマス(Fiber、PKS)はすべてフリーとなる。
以下、図面を参照して、上述した技術的背景や課題を解決するための本発明の一実施形態の固形バイオマス燃料の製造方法及びハラール肥料の製造方法について説明する。以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、固形バイオマス燃料の製造手順及びハラール肥料の製造手順を模式的に示した概略説明図である。
また、図2は、固形バイオマス燃料の製造方法及びハラール肥料の製造方法を段階的に示したフローチャートである。
なお、本実施形態では、固形バイオマス燃料の製造方法の一例として、ペレット状の固形バイオマス燃料である燃料用ペレットの製造方法を例示する。また、本実施形態では、ハラール肥料の製造方法の一例として、上述した燃料用ペレットの製造方法の過程で得られる汚泥、あるいは空果房の焼却灰を用いたハラール肥料の製造方法を例示する。
パーム椰子を原料とする固形バイオマス燃料生産プロセス及びハラール肥料製造プロセス10は、大別して、収穫、分別プロセス11と、燃料用ペレット生産プロセス12と、パーム油生産プロセス13とハラール対応肥料製造プロセス14に分けられる。なお、燃料用ペレット生産プロセス12およびパーム油生産プロセス13及びハラール対応肥料製造プロセス14を行う施設は、物理的に近接ないし一体の施設とすることが好ましい。
パーム椰子は、赤道を中心に北緯17度〜南緯20度の範囲、年間雨量1500〜2000mm、最低気温22〜24℃、最高気温29〜30℃、日照時間5時間/日以上の高温多湿な気候が栽培に好ましい環境であり、東南アジアやアフリカ、中南米が栽培適地とされている。
プランテーションで栽培されるアブラヤシは、種子から発芽したのち、1年〜1年半程度、鉢で育てられた後、整地された土地に約140〜150本/ha程度の密度で植え付けられる。植え付け後、3年で葉の付け根に最初の花房が現れ、やがて全ての葉の付け根に花房がついていく。花房には、雄花房と雌花房があり、雄花は黄色で小さく、現れてから3〜4日で花粉をつくる。雌花も黄色い花で、10〜12個でひとつの花序をつくり、この花序が集まって花房になっている。花粉の飛ぶ距離はあまり長くないため、虫を媒介とした受粉などが行われる。
受粉後、約150日で果実が成熟する。収穫は、発芽から3年〜4年半から始まり、8〜15年の木がもっともよく収穫できる。1本のパーム椰子からは年間で約11個の生鮮果房(FFB)が収穫可能であり、この収穫の際に2本のパーム枝葉(OPF)が伐採される。そして、約18年を過ぎると収穫量が減りはじめるため、通常は20〜25年ほどで伐採され、植え替えが行われる。
図3は、パーム椰子の各構成部位を示す模式図である。
図3に示すように、パーム椰子1は、地面から立ち上がる樹幹2と、この樹幹2から枝分かれして延びるパーム枝葉(OPF)3と、パーム枝葉(OPF)3の付け根部分に生じる、多数の果実4を実らせた果房(生鮮果房)5とを有している。
図4は、パーム椰子のパーム枝葉(OPF)を示す模式図である。
パーム枝葉(OPF)3は、パーム葉が生える葉部(Rachis)6およびこの葉部6よりも果房5側を成す葉柄(Petiole)7とからなる。
図5はパーム椰子の果実の断面を示す模式図である。
果実4は、外果皮4Aと、パーム油を含む果肉(中果皮)4Bと、内果皮に包まれ、パーム核油を含むパーム椰子核4Cとからなる。
収穫、分別プロセス(収穫工程S1)11では、パーム農園で栽培されたパーム椰子の生鮮果房(FFB)を収穫する。また、パーム椰子の生鮮果房(FFB)を収穫する際には、生鮮果房(FFB)の周囲に生えているパーム枝葉(OPF)を伐採する必要がある。なお、1つの生鮮果房(FFB)を収穫する際には、2本のパーム枝葉(OPF)が伐採されることになる。
収穫、分別プロセス11で得られたパーム枝葉(OPF)は、更に、パーム葉が生える葉部(Rachis)およびこの葉部よりも生鮮果房(FFB)側を成す葉柄(Petiole)に切り分けられる。そして、以下の燃料用ペレット生産プロセス12では、パーム枝葉(OPF)として、葉柄(Petiole)が用いられる。もちろん、葉部12も含めて燃料用ペレット生産プロセス12に用いることも可能である。なお、パーム枝葉(OPF)3において、葉柄7と葉部6との重量比はおよそ50:50である。こうしたパーム枝葉(OPF)3の葉柄7は、樹幹2に繋がる付け根(基部)から中央部分にかけて、澱粉含量がとりわけ高いのが特徴となっている。
一方、切り分けられた葉部(Rachis)6は、パーム椰子農園の育成中のパーム椰子の周辺に敷設される。こうした多数の葉が付いた葉部(Rachis)をパーム椰子の周辺に置くことによって、パーム椰子の果房を狙う野ネズミを捕食する蛇類の棲み処を確保し、パーム椰子の鼠害を防止する。
以上の収穫、分別プロセス(収穫工程S1)11によって、生鮮果房(FFB)、およびパーム枝葉(OPF)の葉柄7が得られる。また、例えば、25年以上経過したパーム椰子1も伐採され、パーム古木(OPT)および残ったパーム枝葉(OPF)として回収される。
パーム古木(OPT)の樹幹は、大量の樹液を含んでおり、その樹液の含量は中心部分ほど高い傾向があるが、平均して約65%〜85%程度である。このパーム古木(OPT)は、グルコース、フラクトース、スクロースが非常に多い優良な糖液である。パーム古木(OPT)の樹齢などによって若干の差異はあるが、伐採直後の全糖量はおおよそ7〜10%程度である。同一樹幹でみればその上下における糖含量の分布では、最下部では2割程度低いが、中間部から最上部までほぼ同程度である。
なお、パーム古木(OPT)は、伐採後に一定期間貯蔵することによって、糖含量が大きく増加するという、熟成現象ともいえる変化があることも知られている。例えば、伐採直後の樹液含量は65%〜85%で貯蔵期間中ほとんど変化しないが、一方で糖含量は最大15%近くまで上昇することが知られている。一例としてサトウキビの搾汁液の糖含量が約16%であることを考慮すると、適当な熟成期間を経ることによって、パーム古木(OPT)がサトウキビに相当する糖含量を持つ原料になる可能性がある。このため、伐採後のパーム古木(OPT)を一定期間貯蔵して糖含量を増加させることも好ましい。
分別プロセス(収穫工程S1)11を経た生鮮果房(FFB)はパーム油生産プロセス13に、またパーム枝葉(OPF)は燃料用ペレット生産プロセス12にそれぞれ送られる。
まず、燃料用ペレット生産プロセス12について説明する。燃料用ペレット生産プロセス12では、パーム枝葉(OPF)の葉柄7を洗浄する。洗浄には水を用いる。なお、こうした葉柄7の洗浄に用いた洗浄排水は、沈殿などの工程を行って再生水として循環利用することが好ましい。
次に、洗浄した葉柄7を脱水ないし乾燥させる。葉柄7の乾燥は、例えば、天日干しによって行うことが好ましい。また、温風等による乾燥機を用いて乾燥することもできる。また、脱水機を用いて脱水することもできる。
収穫工程S1でのハンドリング上、1m程度におおまかに切断されたパーム枝葉(OPF)の葉柄7は、そのまま、後述する搾汁工程S3に送られるが、葉柄7とともに、分別プロセス(収穫工程S1)11で回収されたパーム古木(OPT)も破砕する事(第1破砕工程S2)により用いることができる。こうしたパーム古木(OPT)も葉柄7と共に用いることで、樹木としては強度不足で活用することが困難であったパーム古木(OPT)を有効に活用できる。
次に、第1破砕工程S2で破砕されたパーム古木(OPT)および葉柄7から搾汁し、得られた搾汁液と第1固形残渣(葉柄7およびパーム古木(OPT)の破砕物(例えば、50mm程度の塊状物)から樹液を搾り取ったもの)とを分離する(搾汁工程S3)。葉柄7やパーム古木(OPT)の破砕物を搾汁する際には、例えば、サトウキビの搾汁などに用いるローラープレス式の搾汁機を用いることができる。
搾汁液と第1固形残渣との分離は、遠心分離や濾過分離などの分離方法によって行うことができる。分離された搾汁液は、例えば黄濁色の液体を成し、多量の糖成分を含有している。こうした搾汁液を用いて、バイオ燃料や食品原料を製造する(加工品製造工程S4)。
加工品製造工程S4は、例えば、濃縮工程S4A,発酵工程S4B,および精製工程S4Cを備えている。濃縮工程S4Aでは、搾汁液を効率的に発酵可能な程度まで濃縮を行う。濃縮工程S4Aは、例えば、搾汁液の遠心分離や、加熱による水分の減少などによって行うことができる。
発酵工程S4Bでは、発酵によって搾汁液に含まれる糖成分をメタンガスやバイオエタノールにする。例えば、アルコール発酵 (Ethanol Fermentation)によって、糖成分(グルコース、フラクトース、ショ糖)を分解して、エタノール(バイオエタノール)および二酸化炭素を生成させる。
精製工程S4Cでは、バイオエタノールや糖成分を精製して不純物を除去し、より純度の高いバイオエタノールや糖成分(食品原料)を得る。
前工程である搾汁工程S3で生じる搾汁液は比較的多量であり、そのまま排出すれば水質汚染等の懸念があるが、搾汁液の発酵、精製によってバイオエタノールや糖成分(食品原料)を製造することによって、搾汁液の有効利用を図るとともに、搾汁液による水質汚染を防止することができる。
一方、前述した搾汁工程S3で得られた、第1固形残渣である圧搾された圧搾ケーキは、破砕によってパーム枝葉破砕物が形成される(第2破砕工程S5)。第1固形残渣の圧搾ケーキは、例えば、ロータリー刃を備えた破砕機によって破砕されればよい。これによって得られるパーム枝葉破砕物は、例えば本実施形態においては、寸法が例えば50mm〜150mm程度範囲の破砕物である。
なお、第2破砕工程S5において、後述するパーム油生産プロセス13における果実を脱果させた後の破砕した空果房(EFB)、および果実を搾油後のパーム椰子殻(PKS)を、パーム枝葉破砕物に加えることができる。なお、以下の説明では、こうした空果房粉状物やパーム椰子殻粉状物を加えたものも含めてパーム枝葉粉状物と述べる。
後述する、乾燥工程S6A、半炭化工程S6Bによる半炭化の利点の1つとして、破砕動力の低減が挙げられる。パーム枝葉(OPF)、パーム古木(OPT)組織が脆弱な為、半炭化工程S6B前のある程度の破砕は動力負荷が少ないが、空果房(EFB)の破砕動力負荷に関しては 半炭化工程S6B前の破砕動力負荷が大きい。このため、空果房(EFB)に関しては、半炭化工程S6B前の第2破砕工程S5で例えば50mm〜150mm程度に破砕後、水分調整のための乾燥工程S6A、半炭化工程S6Bを行ってから15mm以下程度に粉砕することが動力負荷が低減し、経済的には好ましい。
次に、第2破砕工程S5で得られたパーム枝葉破砕物を用いて、固形バイオマス燃料である燃料用ペレットを製造する(燃料用ペレット製造工程S6)。燃料用ペレット製造工程S6は、乾燥工程S6A、半炭化工程S6B、粉砕工程S6C、圧縮成形工程S6Dとを含む。半炭化工程S6Bでは、第2破砕工程S5で得られたパーム枝葉破砕物を半炭化炉によって半炭化処理(トレファイド)を施す。パーム枝葉破砕後の水分調整した乾燥物を例えば300℃以下、酸素10%未満の雰囲気で半炭化処理することで、発熱量を2〜3割向上させるとともに、耐水性を高めることができる。
第2破砕工程S5での産物は、パーム枝葉(OPF)、パーム古木(OPT)の場合は、含水率は40%前後、空果房(EFB)の場合は50%前後と多い。このため、乾燥工程S6Aから半炭化工程S6Bまでを1回で行うか、これらの工程を2段階にするかは、設備によって異なるが、乾燥工程S6A後において通常、含水率は10〜13%程度、その後の半炭化工程S6Bにおいて含水率12%以下、好ましくは5%前後(その後、吸湿によって8〜10%)とする。
水分調整のための乾燥設備は、例えばベルト乾燥機、あるいは回転式の熱処理炉がある。次工程である半炭化工程投入材料の水分量を一定にする事は、次工程である半炭化処理に重要な点で、出口含水率を10〜13%程度にする事が求められる。
半炭化処理を行うための半炭化処理装置は、例えば、回転式の熱処理炉であればよい。こうした回転式の熱処理炉を用いて、パーム枝葉粉状物を例えば200℃〜350℃程度に加熱し、5分〜90分間保持することによって、含水率を0%〜12%程度にする。
半炭化処理(トレファイド)に用いる熱処理炉の稼働に必要なエネルギー源として、後述する油水分離工程S13で生じた分離水(POME)を利用した第3エネルギー生成工程S17で得られた電力や蒸気及び熱ガスなどの第3稼働用エネルギーを用いる。更に、後述するパーム油生産プロセス13における第1稼働用エネルギー及び第2稼働用エネルギーを乾燥装置および熱分解装置に供給することも好ましい。
次に、半炭化処理されたパーム枝葉破砕物に対してパーム由来のリグニンを添加した後、圧縮成形してペレット化する(圧縮成形工程S6D)。圧縮成形工程S6Dでは、例えば、ダイス押出式のペレット成形装置を用いることができる。こうした圧縮成形工程S6Dにおいても、例えばペレット成形装置の駆動源として、後述する第1搾油工程S12由来の油水分離工程S13で生じた分離水(POME)を利用した第3エネルギー生成工程S17で得られた電力や蒸気及び熱ガスなどの第3稼働用エネルギー、および後述するパーム油生産プロセス13における第2稼働用エネルギー、OPFの搾汁工程S3で得られた搾汁液から生成された第1稼働用エネルギーをも用いることができる。
なお、圧縮成形工程S6Dにおいて、投入材料中のリグニン量がペレットの成形度合に関係するが、リグニン量を調整する場合、パーム由来のリグニンが利用できる。また、ペレット成形前の材料寸法は、成形するペレット径により、粉砕による寸法調整が必要となる。また、上述した実施形態では、燃料用ペレット製造工程S6において、半炭化工程S6Bの後、圧縮成形工程S6Dを行っているが、圧縮成形工程S6Dを行ってから、半炭化工程S6Bを行うこともできる。この場合、圧縮成形工程S6Dへの投入原料寸法は、成形するペレット径により決まる。
通常、木質の場合 ペレット成形機投入物の前処理粉砕所要エネルギーは、半炭化による脆化の為、半炭化度合いが進むほど粉砕エネルギーは低減する。このため、半炭化工程S6Bの後、圧縮成形工程S6Dを行うことが好ましい。
一方、パーム枝葉(OPF)、あるいはパーム古木(OPT)は、組織が脆弱な為、粉砕所要エネルギーは少ない。このため、圧縮成形工程S6Dを行ってから、半炭化工程S6Bを行うことも好ましい。また、空果房(EFB)組織が非脆弱であり、半炭化工程S6Bの後、粉砕工程S6Cを経過し、圧縮成形工程S6Dを行うことが好ましい。
以上のような工程を経て固形バイオマス燃料である燃料用ペレットが得られる。
なお、本実施形態においては、半炭化工程S6Bを行った後に圧縮成形工程S6Dを実施しているが、こうした工程は、逆の順番で行うこともできる。即ち、第2破砕工程S5で得られたパーム枝葉破砕物を圧縮成形工程S6Dによってペレット化した後、このペレットを熱処理炉等を用いた半炭化工程S6Bによって半炭化し、燃料用ペレットを得ることもできる。
本実施形態の固形バイオマス燃料の製造方法によって得られる燃料用ペレットは、半炭化処理を行ったパーム枝葉粉状物をペレット化したものである。図6に示すように、燃料用ペレット20は、例えば概略円柱形状をなしており、直径D:4mm〜20mm、長さL:5mm〜100mmの範囲内とされている。また、その嵩比重が0.65以上0.85以下の範囲内とされている。
半炭化工程S6Bを経たパーム枝葉破砕物は、ペレット形状のみならず、石炭コークス代替燃料のバイオコークスブリケット、例えば直径が50〜150mm、長さが(直径)×1〜5の範囲内の製品にも成形可能である。
そして、本実施形態の固形バイオマス燃料の製造方法によって得られる燃料用ペレット20は、脱水処理や半炭化処理によって水分及び揮発成分も低減はするが、燃料用ペレット20における含水率は12%以下の範囲内に調整されており、熱量が20kJ/kg以上24kJ/kg以下の範囲内とされている。
さらに、本実施形態の固形バイオマス燃料の製造方法によって得られる燃料用ペレット20においては、JIS M 8801で規定されているハードグローブ粉砕性指数(HGI)が22以上50以下の範囲内とされている。なお、参考例として、微粉炭ボイラにおける運用下限値は、HGI=40以上とされている。
また、本実施形態の固形バイオマス燃料の製造方法によって得られる燃料用ペレット20においては、半炭化処理によって燃料用ペレット20の表面は疎水性を有しており、耐水性が向上されている。すなわち、本実施形態の固形バイオマス燃料の製造方法によって得られる燃料用ペレット20を水に浸漬しても、容易に崩壊せずに形状が維持されることになる。
一方、上述した搾汁工程S3、加工品製造工程S4、および前記燃料用ペレット製造工程と6でそれぞれ生じたパーム椰子由来の搾汁液(OPT・OPF−Juice)を集約して、第1エネルギー生成工程S7によって、第1稼働用エネルギーを生成する。第1エネルギー生成工程S7では、上述した各工程で生じた搾汁液を濃縮し、発酵、精製を行う。
パーム椰子由来の搾汁液(OPT・OPF−Juice)は糖成分を含んでいる。この搾汁液を濃縮して効率的に発酵が可能な濃度にした後、アルコール発酵 (Ethanol Fermentation)によって、糖成分(グルコース、フラクトース、ショ糖)を分解して、エタノール(バイオエタノール)および二酸化炭素を生成させる。
そして、こうしたバイオエタノールを用いて、発電や水の加熱によって電力や高圧蒸気などの第1稼働用エネルギーを生成する(第1エネルギー生成工程S7)。ここで得られた電力や高圧蒸気などの第1稼働用エネルギーのうち、例えば、例えば、電力は、燃料用ペレット製造工程S6における半炭化工程S6Bでの熱処理炉の駆動力として用いたり、圧縮成形工程S6Dでのペレット成形装置の動力源として用いることができる。
燃料用ペレット生産プロセス12を構成する各工程で生じた、椰子由来の糖成分を含んでいる搾汁液を集めて、第1エネルギー生成工程S7によって電力や高圧蒸気などの第1稼働用エネルギーを生成する。これにより、農園に廃棄し、腐敗し、メタンガス放出していたパーム枝葉(OPF)、パーム古木(OPT)が バイオマス資源として有効利用が出来る。
第2エネルギー生成工程S16は、未利用バイオマス資源である、既存パーム油搾油工場のエネルギー源としていたパーム椰子殻(PKS)、パーム繊維(Fiber)、及び未、空果房(EFB)から、電力や蒸気及び熱ガスなどの第2稼働用エネルギーを生成する。こうした第2稼働用エネルギーは、自家消費エネルギーとして使用する事も、有価物として売却する事も出来る。
なお、第1稼働用エネルギー、第2稼働用エネルギー、および第3稼働用エネルギーは、後述するハラール肥料の製造方法におけるハラール肥料製造プロセス14にも使用され、乾燥熱源、搬送動力等に利用される。
次に、パーム油生産プロセス13について説明する。
パーム油生産プロセス13では、生鮮果房(FFB)を洗浄した後、生鮮果房(FFB)を蒸煮して、果実と空果房(EFB)に分離する(脱果工程S11)。例えば、約3kg/cm程度の飽和蒸気で約1時間ほど生鮮果房(FFB)を蒸す。パーム椰子は、果実の中に油分を分解するリパーゼ酵素を含んでいるため、収穫した瞬間から、このリパーゼ酵素が活性化される。このため、生鮮果房(FFB)の収穫後は24時間以内に熱を加え、リパーゼ酵素を不活性化させる必要がある。
こうした生鮮果房(FFB)を蒸煮の目的は、油を分解する酵素を不活性化(失活)させることである。こうした不活性化のためには55℃以上での処理が必要である。また、蒸煮することで、果房から果実が離脱しやすくなり、また果実を柔軟にして、パーム油生産プロセス13での搾油を容易にする。果房から果実を離脱させるには、例えば、脱果機などを用いて果房を叩き、果房の茎と果実に分離する。
この後、分離した果実から効率よく搾油するため、果実を蒸気で95℃から100℃に加熱しながら約30分程度攪拌し、スラリー状にする(消化)。
こうした脱果工程S11において、前述した燃料用ペレット生産プロセス12で生成した、第1エネルギー生成工程S7で得られた蒸気(第1稼働用エネルギー)や、後述する第2エネルギー生成工程S16で得られた蒸気(第2稼働用エネルギー)、後述する油水分離工程S13で得られた分離水(POME)を用いて第3エネルギー生成工程S17で得られた蒸気(第3稼働用エネルギー)を用いて、生鮮果房(FFB)を蒸煮することができる。こうした脱果工程S11は、パーム油生産プロセス13の中でもっとも蒸気使用量が大きい。
また、この脱果工程S11で生じた脱果後の空果房(EFB)は、ある程度の脱水後、前述した燃料用ペレット生産プロセス12における第2破砕工程S5に導入し、パーム枝葉粉状物の一部として燃料用ペレットの製造原料に用いることで、木質廃棄物の削減、有効利用を図ることができる。また、脱果後の空果房(EFB)は、パーム古木の第1破砕工程S2を使用して破砕することも可能である。
次に、脱果工程S11においてスラリー状にした果実を搾油する(第1搾油工程S12)。例えば、第1搾油工程S12では、スクリュー式の搾油機を用いて、圧力によって粗パーム油およびパーム椰子核を含む繊維質である第2固形残渣に分離する。
次に、第1搾油工程S12で得られた粗パーム油に対して加水し、例えば約85℃程度に加熱して静置した後、比重差による油水分離を行ってパーム油と第2パーム椰子排水(POME)とを得る(油水分離工程S13)。なお、加水後に更に遠心分離器によって繊維や水分などを取り除くことで、迅速に油水分離を行うこともできる。
こうした油水分離工程S13で分離された分離水(POME)は、油水分離によっても水層に溶存している椰子由来の油脂を完全には分離除去できず、椰子由来の油脂を一定量含んでいる。この分離水(POME)を燃料用ペレット生産プロセス12における第3エネルギー生成工程S17の原料として用いる。
このように、パーム油生産プロセス13を構成する油水分離工程S13で生じた、椰子由来の油脂を含む分離水(POME)を用いて、第3エネルギー生成工程S17によって電力や蒸気及び熱ガスなどの第3稼働用エネルギーを生成することによって、従来、問題となっていたパーム椰子由来の排水(POME)の外部への排出による水質汚染を防止するとともに、こうした排水(POME)を有効に再利用することが可能になる。
未利用バイオマス資源である分離水(POME)から第3エネルギー生成工程S17で、メタンガスによるバイオマス発電および燃焼エネルギーが得られ、自家消費エネルギーとして、使用する事も、有価物として売却する事も出来る。
第1搾油工程S12で生じた、椰子由来の油脂を含んでいる分離水(POME)処理場ラグーンから発生していた膨大な温暖化ガスであるメタンを回収し出来、エネルギー化 により第3エネルギー生成工程S17によって電力や高圧蒸気などの第3稼働用エネルギーを生成することによって、自家消費エネルギーに加え、メタンガス利用による温暖化防止と、POME処理排水による、水質汚染を防止することが可能になる。更に河川放流水の浄化、未利用バイオマス固形炭化物により、放流水の色素、フミン酸を吸着する事等々、大気及び水質の環境保全に適合したパーム椰子農園の持続的な運営が出来る。
一方、第2固形残渣には、パーム椰子核が含まれており、第2固形残渣を乾燥、粉砕後、パーム椰子核とパーム椰子殻(PKS)とを分離する(椰子核分離工程S14)。こうした分離は、例えば、空気流によって行うことができる。そして、分離されたパーム椰子核を搾油してパーム核油を得る(第2搾油工程S15)。
一方、椰子核分離工程S14で分離されたパーム椰子殻(PKS)の一部は、そのままで市場性を有した有価物燃料として売却されるが、含水率が一定ではなく乾燥する事例もある。但し、その後の吸湿、並びに乾燥コストが増加する等の問題がある。本発明では、パーム枝葉(OPF)由来の燃料用ペレット製造工程S6にパーム椰子殻(PKS)を添加若しくは、単独で製造すればよく、製造コストは現状の乾燥製品に比べても安価で、尚且つ疎水性のある極めて石炭に近いパーム椰子殻(PKS)由来の半炭化ペレットとなる。
次に、得られたバイオエタノールやバイオガスを燃料として、発電や水の加熱によって電力や蒸気などの第2稼働用エネルギーを生成する(第2エネルギー生成工程S16)。ここで得られた電力や蒸気などの第2稼働用エネルギーのうち、例えば、蒸気は、脱果工程S11で生鮮果房(FFB)を蒸すための飽和蒸気として用いることができる。また、第2稼働用エネルギーのうち、例えば、電力は、燃料用ペレット製造工程S6における半炭化工程S6Bでの熱処理炉の駆動力として用いたり、圧縮成形工程S6Dでのペレット成形装置の動力源として用いることができる。
また、この椰子核分離工程S14で分離されたパーム椰子殻(PKS)の他の一部は、前述した燃料用ペレット生産プロセス12における第2破砕工程S5に導入し、パーム枝葉破砕物の一部として燃料用ペレットの製造原料に用いることで、木質廃棄物の削減、有効利用を図ることができる。これらはパーム繊維(Fiber)、空果房(EFB)もまた同様である。
以上、説明したように、本発明の固形バイオマス燃料の製造方法によれば、従来は有効利用されていなかったパーム枝葉(OPF)、あるいはパーム古木(OPT)、空果房(EFB)、単純焼却していたパーム椰子殻(PKS)、パーム繊維(Fiber)を用いて、固形バイオマス燃料、例えば燃料用ペレットを製造することで、パーム椰子の樹木全体を有効に利用することができる。特に、パーム枝葉(OPF)は、パーム椰子の果房を収穫する際に多量に伐採されるので、供給量が多く、かつ、年間を通して供給量が安定しており、固形バイオマス燃料の原料として安定供給することが可能となる。また、従来は有効利用されていなかったパーム枝葉(OPF)を固形バイオマス燃料として利用することが可能となる。
そして、こうした燃料用ペレットの製造に必要なエネルギー源として、油分を多く含んだパーム椰子排水(油水分離による分離水:POME)、これを利用した電力や蒸気などの稼働用エネルギーを用いると共に、分離水(POME)から第3稼働用エネルギーを得られる事で、余剰エネルギーの有効利用を図り、低コストで燃料用ペレットなどの固形バイオマス燃料の製造を可能にする。分離水(POME)の利用は、最終排水浄化・温暖化ガス発生の発生抑制が可能なため、環境保全に適合したパーム椰子農園の持続的な運営に寄与する。
また、糖成分を多く含んだパーム椰子由来の搾汁液を発酵させてメタンガスやバイオエタノールを生成し、第1エネルギーとして、自家消費エネルギー、及び売却可能な有価物を生産出来、温室効果ガスの発生を抑制することが可能なため、環境保全に適合したパーム椰子農園の持続的な運営に寄与する。
本発明のハラール肥料の製造方法であるハラール肥料製造プロセス14は、汚泥や焼却灰を用いたハラール肥料製造工程S18を備えている。
汚泥は、油水分離工程S13で得られた分離水(POME)をラグーン処理から、効率的なタンク式発酵処理にて第3稼働用エネルギーを得る第3エネルギー生成工程S17の過程で発生する汚泥を用いる。この汚泥は前述したように、窒素およびリン酸の肥料原料が含まれている。
また、未利用バイオマスである空果房(EFB)にはカリウムが含まれ、この空果房(EFB)を焼却することによって得られた焼却灰をハラール肥料製造工程S18の肥料原料として用いる。
以上のように、固形バイオマス燃料製造とハラール肥料製造とが、他からの原料、エネルギーを調達して追加することなく自己完結する。
1 パーム椰子
2 樹幹
3 パーム枝葉(OPF)
4 果実
4A 外果皮
4B 果肉(中果皮)
4C パーム椰子核
6 葉部(Rachis)
7 葉柄(Petiole)
10 固形バイオマス燃料生産プロセス
11 収穫、分別プロセス
12 燃料用ペレット生産プロセス
13 パーム油生産プロセス
14 ハラール肥料製造プロセス

Claims (11)

  1. パーム農園およびパーム搾油工場に隣接して設置された未利用バイオマス資源化工場において行われる固形バイオマス燃料の製造方法であって、
    パーム椰子樹木から果房および該果房の周囲に生えるパーム枝葉をそれぞれ分離、収穫する収穫工程と、
    前記パーム枝葉を搾汁し、搾汁液および第1固形残渣に分離する搾汁工程と、
    前記搾汁液を用いてバイオ燃料または食品原料のうち少なくとも1つを製造する加工品製造工程と、
    前記第1固形残渣の圧縮成形体からなり半炭化処理が施された含水率が12%以下の燃料用ペレットを製造する燃料用ペレット製造工程と、
    前記搾汁液を用いて、前記燃料用ペレット製造工程のエネルギー源となる第1稼働用エネルギーを生成する第1エネルギー生成工程と、
    前記果房から果実を脱果させ、該果実および脱果後の空果房に分離する脱果工程と、
    前記果実を搾油し、粗パーム油および第2固形残渣に分離する第1搾油工程と、
    前記脱果工程で得られた前記空果房と、前記第1搾油工程で得られた前記第2固形残渣であるパーム椰子殻およびパーム繊維とから第2稼働用エネルギーを生成する第2エネルギー生成工程と、を備え
    前記搾汁工程では、前記パーム枝葉として、パーム葉が生える葉部および該葉部よりも果房側を成す葉柄のうち、葉柄を用い、前記葉部は、前記パーム椰子樹木の周囲に敷設することを特徴とする固形バイオマス燃料の製造方法。
  2. 前記粗パーム油に加水して懸濁させた後、油水分離してパーム油と分離水とを得る油水分離工程と、
    前記油水分離工程で得られた分離水から第3稼働用エネルギーを生成する第3エネルギー生成工程を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  3. 前記発酵工程の前工程として、前記搾汁液を濃縮する濃縮工程を更に備えたことを特徴とする請求項1または2記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  4. 前記搾汁工程の前工程として、パーム古木を破砕する第1破砕工程を更に備えたことを特徴とする請求項1ないしいずれか一項記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  5. 燃料用ペレット製造工程は、前記第1固形残渣を破砕してパーム枝葉破砕物を得る第2破砕工程と、前記パーム枝葉破砕物の水分調整をする乾燥工程と、半炭化処理する半炭化処理工程と、半炭化処理されたパーム枝葉破砕物をペレット成形機の投入寸法に調整する粉砕工程と、粉砕後の半炭化処理されたパーム枝葉破砕物にリグニンを添加して前記ペレット成形機で投入圧縮成形してペレット化する圧縮成形工程と、を備えていることを特徴とする請求項1ないしいずれか一項記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  6. 前記搾汁工程には、前記パーム枝葉に加えて、更に前記パーム椰子樹木の樹幹が更に供給されることを特徴とする請求項1ないしいずれか一項記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  7. 前記燃料用ペレット製造工程には、前記第1固形残渣に加えて前記脱果工程からの空果房が更に供給されることを特徴とする請求項1ないし6いずれか一項記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  8. 前記第1エネルギー生成工程は、前記搾汁液の発酵によってメタンガスまたはバイオエタノールを生成する過程を含むことを特徴とする請求項1ないしいずれか一項記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  9. 前記第2エネルギー生成工程は、前記第1稼働用エネルギーおよび前記第3稼働用エネルギーを利用することを特徴とする請求項記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  10. 前記第3エネルギー生成工程は、前記分離水からメタンガスまたはバイオエタノールを生成する過程を含むことを特徴とする請求項記載の固形バイオマス燃料の製造方法。
  11. 請求項記載の固形バイオマス燃料の製造方法を用いたハラール肥料の製造方法であって、前記分離水を原料とした前記第3エネルギー生成工程で生じた汚泥、または前記空果房の焼却灰、あるいは前記汚泥と前記焼却灰との混合物を原料として用い、前記第1稼働用エネルギー、前記第2稼働用エネルギー、前記第3稼働用エネルギーのうち少なくとも1つによってハラール肥料を製造するハラール肥料製造工程を備えたことを特徴とするハラール肥料の製造方法。
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