本発明者らは、ホログラムで複雑な動きを表現するべく検討した。その結果、一方向の動きを表現するホログラムとは異なり、逆方向の動きを同時に表現するホログラムは、これを観察した場合に、目の疲労が激しく、また、動きを正確に認識できないことがあることを見出した。
そこで、本発明は、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能とする技術を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、互いに隣り合った第1及び第2ホログラム領域を含んだ表示体であって、前記第1ホログラム領域には、複数の第1凸部又は凹部を含んだレリーフ型の第1回折格子が設けられ、前記第1回折格子において、前記複数の第1凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離の少なくとも一方は、長さ3mm当たり3以上の段階で変化しており、長さ3mm当たりの前記複数の第1凸部又は凹部の配列方向の変化は10°乃至45°の範囲内にあるか、又は、長さ3mm当たりの前記複数の第1凸部又は凹部の中心間距離の変化は100nm乃至400nmの範囲内にあり、前記第1回折格子は、前記表示体に対する照明方向及び前記表示体の観察方向を一定としたまま、前記表示体の傾き角を変化させる観察条件下で、前記第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分が移動するように構成され、前記第2ホログラム領域には、複数の第2凸部又は凹部を含んだレリーフ型の第2回折格子が設けられ、前記第2回折格子において、前記複数の第2凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離の少なくとも一方は、長さ3mm当たり3以上の段階で変化しており、長さ3mm当たりの前記複数の第2凸部又は凹部の配列方向の変化は10°乃至45°の範囲内にあるか、又は、長さ3mm当たりの前記複数の第2凸部又は凹部の中心間距離の変化は100nm乃至400nmの範囲内にあり、前記第2回折格子は、前記観察条件下で、前記第2ホログラム領域において、第2回折光を表示する部分が、前記第1ホログラム領域において前記第1回折光を表示する部分が移動する方向とは逆方向へ移動するように構成された表示体が提供される。
ここで、第1及び第2ホログラム領域が「互いに隣り合った」状態は、第1及び第2ホログラム領域が互いに接している状態と、第1及び第2ホログラム領域が互いから離間した状態とを含意している。
この表示体を上記観察条件下で観察した場合、第1回折光を表示する部分及び第2回折光を表示する部分は滑らかに移動する。また、この表示体を上記観察条件下で観察した場合、傾き角の変化に応じた、第1回折光を表示する部分及び第2回折光を表示する部分の移動距離は、これら部分の動きを同時に認識するうえで十分に大きく、観察者がそれら部分に視線を追従させるうえで十分に小さい。従って、この表示体は、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。
また、この表示体は、以下に説明する理由により、偽造され難い。
長さ3mm当たりの凸部又は凹部の配列方向又は中心間距離の変化が過剰に大きい場合、途中の段階で表示される画像を認識し難い。それ故、この場合、最初の段階で表示される画像と最後の段階で表示される画像とに基づいて、真正品が表示する画像との違いが分かり難い画像を表示する偽造品を製造することが可能となる。そのような偽造品は、詳細な分析をしない限り、偽造品であることを確認できない可能性がある。
上記の表示体では、長さ3mm当たりの凸部又は凹部の配列方向又は中心間距離の変化が適度である。それ故、この表示体が表示する画像は、上記の方法で製造した偽造品が表示する画像から容易に区別をすることができる。即ち、この表示体は、上記の方法で製造した偽造品から容易に区別をすることができる。
しかも、この表示体では、第1及び第2回折格子は、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分が移動する方向と第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分が移動する方向とが逆方向になるように構成されている。このような画像を表示する表示体は、その表示画像から構造を特定することは困難である。
従って、この表示体は偽造され難い。
本発明の他の側面によると、前記第1及び第2ホログラム領域は、短軸の長さが3cmであり、長軸の長さが5cmである楕円によって囲まれた範囲内で配列している上記側面に係る表示体が提供される。
人間の目については、視野のうち視力などの視機能が優れている中心領域(以下、弁別視野という)は、視野角が約5°以内の範囲に相当していると言われている。商品券等に貼り付けたホログラムが表示する画像は、一般的には、目をホログラムから約20cm乃至約30cm離して観察する。この距離が約20cmであるとすると、弁別視野は、直径が約2cm弱の円形領域となる。また、この距離が約30cmであるとすると、弁別視野は、直径が約3cm弱の円形領域となる。人間の視界は横長である。それ故、ホログラムの光学効果を高い視機能で視認できる範囲は、好ましくは、短軸の長さが3cmであり、長軸の長さが5cmである楕円によって囲まれた範囲内、より好ましくは、直径が3cmの円によって囲まれた範囲内、更に好ましくは、短軸の長さが2cmであり、長軸の長さが3cmである楕円によって囲まれた範囲内、最も好ましくは、直径が2cmの円によって囲まれた範囲内である。
この表示体では、上記のように狭い範囲内で第1及び第2ホログラム領域が配列しているため、それらが表現する逆方向の動きを同時に視認することが容易である。これとは逆に、第1及び第2ホログラム領域の互いからの距離が大きい場合、それらが表現する逆方向の動きを同時に視認することは困難である。なお、第1及び第2ホログラム領域が表現する逆方向の動きを同時に視認するには、焦点の位置を一定にしたまま、表示体をその主面に垂直な軸の周りで回転させるか、又は、焦点の位置を一定に維持しつつ、表示体の主面が両目を結ぶ線に対して平行な状態に維持されるように表示体を傾ければよい。
本発明の更に他の側面によると、前記第1ホログラム領域は、3以上の第1サブ領域を含み、前記3以上の第1サブ領域の各々において、前記複数の第1凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離は一定であり、前記3以上の第1サブ領域は、前記複数の第1凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離の少なくとも一方が異なっており、前記第2ホログラム領域は、3以上の第2サブ領域を含み、前記3以上の第2サブ領域の各々において、前記複数の第2凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離は一定であり、前記3以上の第2サブ領域は、前記複数の第2凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離の少なくとも一方が異なっている上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この表示体では、例えば、第1回折格子は、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分が第1サブ領域の配列方向に沿って移動するように構成され、第2回折格子は、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分が第2サブ領域の配列方向に沿って移動するように構成される。第1及び第2ホログラム領域をそれぞれ第1及び第2サブ領域で構成した場合、それらの設計が容易である。
本発明の更に他の側面によると、前記3以上の第1サブ領域は入れ子状に配列しており、前記3以上の第2サブ領域は入れ子状に配列している上記側面に係る表示体が提供される。
この表示体では、例えば、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ移動し、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ移動する。或いは、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ移動し、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ移動する。このように、この表示体では、第1及び第2ホログラム領域の組み合わせは、目立った変化をする画像を表示する。
また、目の疲労が激しく、また、動きを正確に認識できないという問題は、上記の変化をする画像を観察した場合に特に生じ易い。従って、この表示体では、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能とするという効果の意義が特に大きい。
なお、3以上の第1サブ領域は、同心であってもよく、偏心していてもよい。また、3以上の第2サブ領域も、同心であってもよく、偏心していてもよい。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記3以上の第1サブ領域は一列に配列しており、前記3以上の第2サブ領域は一列に配列している上記側面に係る表示体が提供される。
この表示体では、例えば、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分と、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分とは、例えば、直線的に且つ逆方向へ移動する。従って、この表示体でも、第1及び第2ホログラム領域の組み合わせは、目立った変化をする画像を表示する。
なお、「一列に配列」は、直線状の配列だけでなく、円弧状などの曲線状の配列も含意している。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記3以上の第1サブ領域の配列方向と、前記3以上の第2サブ領域の配列方向とは、前記第1及び第2ホログラム領域の配列方向と等しい上記側面に係る表示体が提供される。
この表示体では、例えば、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分と、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分とは、互いに対して近づくように移動する。或いは、この表示体では、例えば、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分と、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分とは、互いから遠ざかるように移動する。このように、この表示体でも、第1及び第2ホログラム領域の組み合わせは、目立った変化をする画像を表示する。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記3以上の第1サブ領域は第1方向に配列し、前記3以上の第2サブ領域は前記第1方向に配列し、前記第1及び第2ホログラム領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列している上記側面に係る表示体が提供される。
この表示体では、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分が移動する方向と、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分が移動する方向とが逆方向であることが分かり易い。即ち、この表示体でも、第1及び第2ホログラム領域の組み合わせは、目立った変化をする画像を表示する。
本発明の更に他の側面によると、前記3以上の第1サブ領域のうち、1つを間に挟んで隣り合った2つの距離は、10μm乃至20μmの範囲内にあり、前記3以上の第2サブ領域のうち、1つを間に挟んで隣り合った2つの距離は、10μm乃至20μmの範囲内にある上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この構造は、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分及び第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分の移動を、滑らか且つ連続したものとするうえで特に適している。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記3以上の第1サブ領域のうち、1つを間に挟んで隣り合った2つの距離は、0.1mm乃至15mmの範囲内にあり、前記3以上の第2サブ領域のうち、1つを間に挟んで隣り合った2つの距離は、0.1mm乃至15mmの範囲内にある上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この構造は、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分及び第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分の移動を、段階的なものとするうえで適している。
本発明の更に他の側面によると、前記3以上の第1サブ領域は、それぞれ、前記3以上の第2サブ領域と等しい形状を有している上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この表示体では、3以上の第1サブ領域と3以上の第2サブ領域とが異なる形状を有していることに起因して、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分が移動する方向と、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分が移動する方向とが逆方向であることへの認識が妨げられることがない。
本発明の更に他の側面によると、前記第1回折格子は、前記観察条件において、前記傾き角と前記第1回折光を表示する部分の移動距離とが非線形的な第1関係になるように構成され、前記第2回折格子は、前記観察条件において、前記傾き角と前記第2回折光を表示する部分の移動距離とが非線形的な第2関係になるように構成された上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
ここで、「前記傾き角と前記第1回折光を表示する部分の移動距離とが非線形的な第1関係」にあるという特徴は、例えば、複数の第1凸部又は凹部の配列方向の単位長さ当たりの変化が、第1回折光を表示する部分の移動方向に沿って変動している構造、複数の第1凸部又は凹部の中心間距離の単位長さ当たりの変化が、第1回折光を表示する部分の移動方向に沿って変動している構造、第1回折光を表示する部分の移動方向における第1サブ領域の寸法が、第1サブ領域間で異なっている構造、又は、それらの組み合わせによって達成される。
また、「前記傾き角と前記第2回折光を表示する部分の移動距離とが非線形的な第2関係」にあるという特徴は、例えば、複数の第2凸部又は凹部の配列方向の単位長さ当たりの変化が、第2回折光を表示する部分の移動方向に沿って変動している構造、複数の第2凸部又は凹部の中心間距離の単位長さ当たりの変化が、第2回折光を表示する部分の移動方向に沿って変動している構造、第2回折光を表示する部分の移動方向における第2サブ領域の寸法が、第2サブ領域間で異なっている構造、又は、それらの組み合わせによって達成される。
この表示体では、上記の傾き角を一定の速度で変化させた場合に、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分及び第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分は、一定の速度で移動せずに、加速、減速又は加減速する。このように、この表示体でも、第1及び第2ホログラム領域の組み合わせは、目立った変化をする画像を表示する。
本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2関係は互いに等しい上記側面に係る表示体が提供される。
この表示体では、第1及び第2関係が互いに異なることに起因して、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分及び第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分の加減速への認識が妨げられることがない。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2関係は互いに異なる上記側面に係る表示体が提供される。
この表示体では、第1及び第2関係の相違が、観察者に特別な印象を与える。即ち、この表示体でも、第1及び第2ホログラム領域の組み合わせは、目立った変化をする画像を表示する。
本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2ホログラム領域を各々が含んだ複数の表示領域を含んだ上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この表示体では、複数の表示領域の組み合わせは、目立った変化をする画像を表示し得る。
本発明の更に他の側面によると、前記複数の表示領域の一方が含んでいる前記第1及び第2ホログラム領域は、それぞれ、前記複数の表示領域の他方が含んでいる前記第2及び第1ホログラム領域と等しい形状を有している上記側面に係る表示体が提供される。
この表示体では、例えば、複数の表示領域の1つが表示する画像の変化と複数の表示領域の他の1つが表示する画像の変化との相違を認識し易い。
本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2ホログラム領域は同じ形状を有している上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この表示体では、第1及び第2ホログラム領域が異なる形状を有していることに起因して、第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分が移動する方向と、第2ホログラム領域において第2回折光を表示する部分が移動する方向とが逆方向であることへの認識が妨げられることがない。
本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2ホログラム領域は1以上の文字に対応した形状を有している上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
文字は、情報を表示するために利用される。それ故、観察者は、多くの場合、図形と比較して、文字をより注意深く観察する。従って、第1及び第2ホログラム領域の組み合わせが奏する上記効果は、それらで1以上の文字を表示させた場合に特に顕著である。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2ホログラム領域は図形に対応した形状を有している上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
図形の形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、三乃至六角形等の多角形、及びの1以上である。
本発明の更に他の側面によると、前記第1ホログラム領域の輪郭と、前記第1ホログラム領域において前記第1回折光を表示する前記部分の輪郭とは相似形の関係にある上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記第1ホログラム領域の輪郭と、前記第1ホログラム領域において前記第1回折光を表示する前記部分の輪郭とは相似形の関係にない上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第2ホログラム領域の輪郭と、前記第2ホログラム領域において前記第2回折光を表示する前記部分の輪郭とは相似形の関係にある上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記第2ホログラム領域の輪郭と、前記第2ホログラム領域において前記第2回折光を表示する前記部分の輪郭とは相似形の関係にない上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2ホログラム領域は互いから離間し、それらの距離は、5cm以下、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは3mm以下である上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第1回折格子において、前記複数の第1凸部又は凹部は、一方向に各々が延び、他の方向に配列した複数の稜又は溝である上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記第1回折格子において、前記複数の第1凸部又は凹部は、二方向に配列してクロスグレーティングを構成している上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第2回折格子において、前記複数の第2凸部又は凹部は、一方向に各々が延び、他の方向に配列した複数の稜又は溝である上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
或いは、本発明の更に他の側面によると、前記第2回折格子において、前記複数の第2凸部又は凹部は、二方向に配列してクロスグレーティングを構成している上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
一例によれば、前記第1回折格子において、前記複数の第1凸部又は凹部は、一方向に各々が延び、他の方向に配列した複数の稜又は溝であり、前記第2回折格子において、前記複数の第2凸部又は凹部は、一方向に各々が延び、他の方向に配列した複数の稜又は溝である。他の例によれば、前記第1回折格子において、前記複数の第1凸部又は凹部は、二方向に配列してクロスグレーティングを構成し、前記第2回折格子において、前記複数の第2凸部又は凹部は、二方向に配列してクロスグレーティングを構成している。
本発明の更に他の側面によると、前記複数の第1凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は、500nm乃至1800nmの範囲内に、好ましくは600nm乃至1550nmの範囲内にあり、前記複数の第2凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は、500nm乃至1800nmの範囲内に、好ましくは600nm乃至1550nmの範囲内にある上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、表面にレリーフ構造を有するレリーフ構造形成層と、前記表面を被覆した反射層とを具備し、前記第1及び第2ホログラム領域は、前記反射層の表面又は前記レリーフ構造形成層と前記反射層との界面に設けられた上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
レリーフ構造形成層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は紫外線若しくは電子線硬化性樹脂を使用する。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂又はビニル樹脂を使用する。熱硬化性樹脂としては、例えば、反応性水酸基を有するアクリルポリオール若しくはポリエステルポリオールにポリイソシアネートを架橋剤として添加して架橋させたウレタン樹脂、メラミン樹脂又はフェノール樹脂を使用する。紫外線又は電子線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリル、エポキシメタクリル、ウレタンアクリレート又はウレタンメタクリレートを使用する。
レリーフ構造形成層は、例えば、以下の方法より形成することができる。例えば、熱可塑性樹脂層に、レリーフ構造が設けられた原版を、熱を印加しながら押し当て、その後、熱可塑性樹脂層から原版を取り除く。或いは、紫外線硬化性樹脂からなる塗膜を形成し、これに原版を押し当てながら紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、その後、塗膜から原版を取り除く。或いは、熱硬化性樹脂からなる塗膜を形成し、これに原版を押し当てながら加熱して熱硬化性樹脂を硬化させ、その後、塗膜から原版を取り除く。
光反射層としては、例えば、アルミニウム、銀、金、及びそれらの合金などの金属材料からなる金属層を使用することができる。或いは、反射層として、レリーフ構造形成層とは屈折率が異なる誘電体層を使用してもよい。或いは、光反射層として、隣り合うもの同士の屈折率が異なる誘電体層の積層体、即ち、誘電体多層膜を使用してもよい。なお、誘電体多層膜が含む誘電体層のうち、レリーフ構造形成層と接触しているものの屈折率は、レリーフ構造形成層の屈折率とは異なっていることが望ましい。反射層は、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法により形成することができる。
表示体には、例えば、上記の構造を採用することができる。なお、反射層は省略することができる。この場合、第1及び第2ホログラム領域は、レリーフ構造形成層の上記表面に設けられる。
本発明の更に他の側面によると、印刷層を更に含んだ上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記印刷層は、前記第1及び第2ホログラム領域の少なくとも一方と部分的に重なり合うように設けられた上記側面に係る表示体が提供される。
この場合、印刷層には、例えば、有色のインキを使用する。印刷層の色に特に制限はないが、印刷層の少なくとも一部は、これと重なり合った第1又は第2ホログラム領域が表示する第1又は第2回折光とほぼ同じ色であってもよい。この場合、上記の観察条件下では、第1又は第2ホログラム領域が第1又は第2回折光を表示する部分は移動するのに対し、印刷層がこれと同じ色を表示する部分は移動しない。即ち、この場合、より複雑な表示が可能である。
或いは、この場合、印刷層の少なくとも一部には、第1又は第2ホログラム領域とほぼ同様の色変化をするカラーシフトインキを用いてもよい。印刷層のうち、第1ホログラム領域と部分的に重なり合った部分に、第1ホログラム領域とほぼ同様の色変化をするカラーシフトインキを使用すると、印刷層が第1ホログラム領域と重なり合った部分を含んでいることを悟られ難い。同様に、印刷層のうち、第2ホログラム領域と部分的に重なり合った部分に、第2ホログラム領域とほぼ同様の色変化をするカラーシフトインキを使用すると、印刷層が第2ホログラム領域と重なり合った部分を含んでいることを悟られ難い。従って、そのような印刷層を設けると、印刷層の有無を確認することにより、真正品と偽造品とを判別することができる。
本発明の更に他の側面によると、レリーフ構造が設けられていない領域、並びに、前記第1ホログラム領域HR1及び前記第2ホログラム領域HR2とは異なるレリーフ構造が設けられた領域の少なくとも一方を更に含んだ上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記第1ホログラム領域と前記第2ホログラム領域とは、前記表示体を観察した観察者が、部分的に重なり合った図形を認識するように画像を表示する上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この表示体では、第1ホログラム領域と第2ホログラム領域とは、表示体を観察した観察者が、部分的に重なり合った図形を認識するように画像を表示する。それ故、観察者は逆方向の動きを認識し易い。
なお、この表示体では、「部分的に重なり合った図形」に代えて、「部分的に重なり合った文字」又は「部分的に重なり合った図形及び文字」としてもよい。
本発明の更に他の側面によると、前記第1ホログラム領域の一部と前記第2ホログラム領域の一部とは重なり合った上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この表示体では、第1ホログラム領域と第2ホログラム領域とは、表示体を観察した観察者が、部分的に重なり合った図形等を認識するように画像を表示する。それ故、観察者は逆方向の動きを認識し易い。
更に、この表示体では、第1ホログラム領域と第2ホログラム領域とは部分的に重なり合っている。この重複領域は、第1ホログラム領域による画像の表示と、第2ホログラム領域による画像の表示との双方に関与する。このような構造は、偽像が困難である。それ故、この表示体は、更に偽造され難い。
本発明の更に他の側面によると、前記第1ホログラム領域及び前記第2ホログラム領域は、複数の画素を、互いに交差する2つの方向へ規則的に配列させた構造を有し、前記複数の画素は、前記第1ホログラム領域において配列した複数の第1画素と、前記第2ホログラム領域において配列した複数の第2画素とを含んだ上記側面の何れかに係る表示体が提供される。
この構造を採用すると、複雑な画像を表示する表示体を容易に設計できる。
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る表示体を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した支持体とを具備した転写箔が提供される。
なお、一例によれば、転写材層は、互いに隣接した転写部及び非転写部を含んでいる。転写部は、転写材層のうち、物品へ転写される部分であって、上記の表示体を含んでいる。非転写部は、転写材層のうち、物品へ転写されずに残留する部分である。非転写部は、転写部と同様の層構成を有している。
支持体は、例えば樹脂フィルム又はシートである。支持体は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱性に優れた材料からなる。支持体の転写材層を支持している主面には、例えばフッ素樹脂又はシリコーン樹脂を含んだ離型層が設けられていてもよい。
本発明の更に他の側面によると、前記転写材層は、前記表示体と前記支持体との間に介在した剥離保護層を更に含んだ上記側面に係る転写箔が提供される。
剥離保護層は、転写部の支持体からの剥離を容易にするとともに、剥離した転写部、即ち、表示体の表面を損傷及び劣化から保護する役割を果たす。剥離保護層は、例えば、光透過性を有している。剥離保護層は、例えば樹脂からなる。
本発明の更に他の側面によると、前記転写材層を被覆した接着層を更に具備した転写箔が提供される。
接着層は、例えば熱可塑性樹脂からなる。
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る表示体と、前記表示体の一方の主面に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
粘着層は、感圧接着剤などの粘着剤からなる。粘着剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、又は、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコーン系若しくはポリイソブチル系粘着剤を使用する。
粘着剤は、添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン及びビニルモノマーなどの凝集成分;不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー及びアクリルニトリルなどの改質成分;重合開始剤;可塑剤;硬化剤;硬化促進剤;酸化防止;又はそれらの2つ以上を含んだ混合物を使用する。
本発明の更に他の側面によると、上記側面の何れかに係る表示体と、前記表示体を支持した物品とを具備したラベル付き物品が提供される。
物品は、どのような方法で表示体を支持していてもよい。例えば、表示体は、物品の表面に貼り付けられていてもよく、物品内に埋め込まれていてもよい。
本発明の更に他の側面によると、前記物品は、プラスチック、金属、紙、又はそれらの複合体から上記側面に係るラベル付き物品が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記物品は紙を含み、前記表示体は前記紙に漉き込まれ、前記紙は前記表示体の位置で開口している上記側面の何れかに係るラベル付き物品が提供される。
本発明の更に他の側面によると、前記ラベル付き物品は、紙幣、有価証券、証明書類、クレジットカード、パスポート及びID(identification)カードなどの個人認証媒体、内容物を包装した包装体である上記側面の何れかに係るラベル付き物品が提供される。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す表示体のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1の表示体が含んでいる第1ホログラム領域の中央部を拡大して示す平面図である。図4は、図1の表示体が含んでいる第1ホログラム領域の周縁部を拡大して示す平面図である。図5は、図1の表示体が含んでいる第2ホログラム領域の中央部を拡大して示す平面図である。図6は、図1の表示体が含んでいる第2ホログラム領域の周縁部を拡大して示す平面図である。
図1及び図2に示す表示体1は、図2に示すように、レリーフ構造形成層11と反射層12とを含んでいる。この表示体1は、レリーフ構造形成層11側が観察者と向き合う前面であり、反射層12側が背面であってもよい。或いは、この表示体1は、反射層12側が観察者と向き合う前面であり、レリーフ構造形成層11側が背面であってもよい。
この表示体1は、図1に示すように、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2を含んでいる。第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2の各々の形状は、四角形である。第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2は互いに隣り合っている。
第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2は、楕円Fによって囲まれた範囲内で配列している。ここでは、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2は、X方向に配列している。なお、楕円Fは、弁別視野に相当する。また、Y方向は、X方向に対して垂直な方向である。
第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2の各々には、図2に示すレリーフ型の回折格子DGが設けられている。具体的には、レリーフ構造形成層11の一方の主面にレリーフ構造が設けられており、レリーフ構造形成層11と反射層12との界面又は反射層12の表面がレリーフ型の回折格子DGを構成している。
回折格子DGは、規則的に配列した複数の凸部又は凹部PRを含んでいる。ここでは、凸部又は凹部PRは、図3乃至図6に示すように、長さ方向と交差する方向に配列した直線状の溝又は稜である。
第1ホログラム領域HR1では、その全域で、回折格子DGを構成している凸部又は凹部PR、即ち、第1凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は一定である。
凸部又は凹部PRの長さ方向は、第1ホログラム領域HR1の中央部P11では、図3に示すようにX方向に対して平行である。また、第1ホログラム領域HR1において、その中央部P11から離れた位置では、凸部又は凹部PRの長さ方向は、X方向に対して反時計回りに傾いている。この傾き角は、中央部P11からの距離に応じて徐々に大きくなっている。
具体的には、第1凸部又は凹部PRの配列方向は、長さ3mm当たり3以上の段階で変化しており、長さ3mm当たりの第1凸部又は凹部PRの配列方向の変化は10°乃至45°の範囲内にある。また、周縁部P12では、図4に示すように、凸部又は凹部PRの長さ方向は、X向に対して反時計回りに約45°傾いている。
第2ホログラム領域HR2では、その全域で、回折格子DGを構成している凸部又は凹部PR、即ち、第2凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は一定である。第1凸部又は凹部の中心間距離と第2凸部又は凹部の中心間距離とは、異なっていてもよい。ここでは、一例として、第1凸部又は凹部と第2凸部又は凹部とは、同じ中心間距離で配列していることとする。
凸部又は凹部PRの長さ方向は、第2ホログラム領域HR2の中央部P21では、図5に示すように、X方向に対して反時計回りに約45°傾いている。そして、第2ホログラム領域HR2では、この傾き角は、中央部P21からの距離に応じて徐々に小さくなっている。
具体的には、第2凸部又は凹部PRの配列方向は、長さ3mm当たり3以上の段階で変化しており、長さ3mm当たりの第2凸部又は凹部PRの配列方向の変化は10°乃至45°の範囲内にある。また、周縁部P22では、図6に示すように、凸部又は凹部PRの長さ方向は、X向に対して平行である。
第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2には、他の構造を採用することも可能である。
図7は、図1の表示体において、第1ホログラム領域の中央部に採用可能な構造の他の例を概略的に示す平面図である。図8は、図1の表示体において、第1ホログラム領域の周縁部に採用可能な構造の他の例を概略的に示す平面図である。図9は、図1の表示体において、第2ホログラム領域の中央部に採用可能な構造の他の例を概略的に示す平面図である。図10は、図1の表示体において、第2ホログラム領域の周縁部に採用可能な構造の他の例を概略的に示す平面図である。
図7乃至図10に示す例では、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2の全域で、凸部又は凹部PRの長さ方向は、X方向に対して平行である。但し、凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)は、第1ホログラム領域HR1では、図7及び図8に示すように、中央部P11からの距離に応じて徐々に小さくなっている。そして、第2ホログラム領域HR2では、凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)は、図9及び図10に示すように、中央部P21からの距離に応じて徐々に大きくなっている。
具体的には、第1凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)は、長さ3mm当たり3以上の段階で変化しており、長さ3mm当たりの第1凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)の変化は100nm乃至400nmの範囲内にある。また、第2凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)は、長さ3mm当たり3以上の段階で変化しており、長さ3mm当たりの第2凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)の変化は100nm乃至400nmの範囲内にある。そして、第1ホログラム領域HR1の中央部P11における凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)は、第2ホログラム領域HR2の周縁部P22における凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)と等しく、第1ホログラム領域HR1の周縁部P12における凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)は、第2ホログラム領域HR2の中央部P21における凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)と等しい。
次に、上述した表示体1が表示する画像について説明する。
図11は、図1の表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。図12は、図1の表示体が他の条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
表示体1に対する照明方向及び表示体1の観察方向を一定としたまま、表示体1の傾き角を変化させる観察条件を想定する。ここでは、一例として、観察者の両目を結ぶ線とX方向とが平行に維持したまま、表示体1を傾けることとする。
この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動する。例えば、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2が表示する画像は、図11に示す状態から図12に示す状態へ滑らかに変化する。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動する。例えば、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2が表示する画像は、図12に示す状態から図11に示す状態へ滑らかに変化する。
即ち、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分と、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分とは、逆方向へ移動する。なお、一例によれば、第1及び第2回折光は互いに等しい。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。図14は、図13の表示体が他の条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図13及び図14に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1において、凸部又は凹部PRの長さ方向の傾き角は図の上方から下方へ向けて徐々に大きくなっているか、又は、凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は図の上方から下方へ向けて徐々に小さくなっている。また、この表示体1では、第2ホログラム領域HR2において、凸部又は凹部PRの長さ方向の傾き角は図の上方から下方へ向けて徐々に小さくなっているか、又は、凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は図の上方から下方へ向けて徐々に大きくなっている。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は上方から下方へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は下方から上方へ滑らかに移動する。例えば、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2が表示する画像は、図13に示す状態から図14に示す状態へ滑らかに変化する。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は下方から上方へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は上方から下方へ滑らかに移動する。例えば、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2が表示する画像は、図14に示す状態から図13に示す状態へ滑らかに変化する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図15は、本発明の第3実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。図16は、図15の表示体が他の条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図15及び図16に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1は円環形であり、第2ホログラム領域HR2は円形である。第1ホログラム領域HR1は、第2ホログラム領域HR2を取り囲んでいる。第1ホログラム領域HR1は、その内周全体にわたり、第2ホログラム領域HR2と接している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動する。例えば、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2が表示する画像は、図15に示す状態から図16に示す状態へ滑らかに変化する。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動する。例えば、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2が表示する画像は、図16に示す状態から図15に示す状態へ滑らかに変化する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図17は、本発明の第4実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。図18は、図17の表示体が他の条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図17及び図18に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1は、複数の第1ホログラム領域HR1と複数の第2ホログラム領域HR2とを含んでいる。第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2の各々の形状は、六角形である。
第1ホログラム領域HR1は、Y方向に各々が延び、X方向へ配列した2つの列を形成している。各列において、第1ホログラム領域HR1は、一組の対辺がX方向に対して平行になるように配向している。
また、第2ホログラム領域HR2も、Y方向に各々が延び、X方向へ配列した2つの列を形成している。各列において、第2ホログラム領域HR2は、一組の対辺がX方向に対して平行になるように配向している。
第1ホログラム領域HR1の列と第2ホログラム領域HR2の列とは、X方向に交互に配列している。Y方向における第1ホログラム領域HR1の列の位置と、Y方向における第2ホログラム領域HR2の列の位置とは、第1ホログラム領域HR1又は第2ホログラム領域HR2のY方向における寸法の半分だけずれている。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、各第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動し、各第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動する。例えば、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2が表示する画像は、図17に示す状態から図18に示す状態へ滑らかに変化する。
或いは、この観察条件下では、各第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動し、各第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動する。例えば、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2が表示する画像は、図18に示す状態から図17に示す状態へ滑らかに変化する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図19は、本発明の第5実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図19に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1は、領域R3を更に含んでいる。領域R3は、例えば、レリーフ構造が設けられていないか、又は、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2とは異なるレリーフ構造が設けられたこと以外は、第1ホログラム領域HR1又は第2ホログラム領域HR2と同様の構造を有している。
また、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1は、第1サブ領域SR11乃至SR16を含み、第2ホログラム領域HR2は、第2サブ領域SR21乃至SR26を含んでいる。
第1サブ領域SR11は円形状を有しており、第1サブ領域SR12乃至SR16は円環形状を有している。第1サブ領域SR11乃至SR16は、入れ子状に且つ同心に配列している。
第2サブ領域SR21は円形状を有しており、第2サブ領域SR22乃至SR26は円環形状を有している。第2サブ領域SR21乃至SR26は、入れ子状に且つ同心に配列している。
第1サブ領域SR11乃至SR16の各々において、回折格子DGを構成している凸部又は凹部PRの配列方向及び中心間距離(ピッチ)は一定である。また、第2サブ領域SR21乃至SR26の各々においても、回折格子DGを構成している凸部又は凹部PRの配列方向及び中心間距離(ピッチ)は一定である。
第1サブ領域SR11乃至SR16では、回折格子DGを構成している凸部又は凹部PR、即ち、第1凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は一定である。凸部又は凹部PRの長さ方向は、第1サブ領域SR11では、X方向に対して反時計回りに例えば約45°傾いている。第1サブ領域SR12乃至SR16では、この傾き角は、第1サブ領域SR11からの距離に応じて小さくなっている。そして、第1サブ領域SR16では、凸部又は凹部PRの長さ方向は、例えば、X方向に対して平行である。
第2サブ領域SR21乃至SR26では、回折格子DGを構成している凸部又は凹部PR、即ち、第2凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は一定である。第1凸部又は凹部の中心間距離と第2凸部又は凹部の中心間距離とは、異なっていてもよい。ここでは、一例として、第1凸部又は凹部と第2凸部又は凹部とは、同じ中心間距離で配列していることとする。
凸部又は凹部PRの長さ方向は、第2サブ領域SR21では、例えば、X方向に対して平行である。第2サブ領域SR22乃至SR26では、凸部又は凹部PRの長さ方向は、例えば、X方向に対して反時計回りに傾いている。第2サブ領域SR22乃至SR26では、この傾き角は、第2サブ領域SR21からの距離に応じて大きくなっている。そして、第2サブ領域SR26では、凸部又は凹部PRの長さ方向は、X向に対して反時計回りに例えば約45°傾いている。
或いは、第1サブ領域SR11乃至SR16では、回折格子DGを構成している凸部又は凹部PR、即ち、第1凸部又は凹部の長さ方向は、X方向に対して平行である。また、第2サブ領域SR21乃至SR26でも、回折格子DGを構成している凸部又は凹部PR、即ち、第2凸部又は凹部の長さ方向は、X方向に対して平行である。但し、第1ホログラム領域HR1では、凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)は、第1サブ領域SR11から第1サブ領域SR16へ順次大きくなっている。そして、第2ホログラム領域HR2では、凸部又は凹部PRの中心間距離(ピッチ)は、第2サブ領域SR21から第2サブ領域SR26へ順次小さくなっている。
図示していないが、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1も、第1ホログラム領域HR1は多数の第1サブ領域を含み、第2ホログラム領域HR2は多数の第2サブ領域を含んでいる。但し、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1では、各第1サブ領域を間に挟んで隣り合った2つの第1サブ領域間の距離は10μm乃至20μmの範囲内にあり、各第2サブ領域を間に挟んで隣り合った2つの第2サブ領域間の距離は10μm乃至20μmの範囲内にある。
これに対し、図19に示す表示体では、第1サブ領域SR11乃至SR16は、それらの各々を間に挟んで隣り合った2つの距離が0.1mm乃至15mmの範囲内にあり、第2サブ領域SR21乃至SR26は、それらの各々を間に挟んで隣り合った2つの距離が0.1mm乃至15mmの範囲内にある。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ段階的に移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ段階的に移動する。或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ段階的に移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ段階的に移動する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図20は、本発明の第6実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図20に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図19を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、第1サブ領域SR11乃至SR16の配列は偏心している。また、第2サブ領域SR21乃至SR26の配列も、第1サブ領域SR11乃至SR16の配列と同様に偏心している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、外側から内側へ段階的に移動するとともに、その重心の位置を、図において左斜め上方へと移動させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、内側から外側へ段階的に移動するとともに、その重心の位置を、図において右斜め下方へと移動させる。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、内側から外側へ段階的に移動するとともに、その重心の位置を、図において右斜め下方へと移動させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、外側から内側へ段階的に移動するとともに、その重心の位置を、図において左斜め上方へと移動させる。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
図21は、本発明の第7実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図21に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1は、領域R3を更に含んでいる。領域R3は、例えば、レリーフ構造が設けられていないか、又は、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2とは異なるレリーフ構造が設けられたこと以外は、第1ホログラム領域HR1又は第2ホログラム領域HR2と同様の構造を有している。
また、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2は、星形状を有している。第1ホログラム領域HR1は、入れ子状に且つ同心に配列した多数の第1サブ領域を含んでいる。これら第1サブ領域の輪郭は、第1ホログラム領域HR1の輪郭と相似形の関係にある。また、第2ホログラム領域HR2は、入れ子状に且つ同心に配列した多数の第2サブ領域を含んでいる。これら第2サブ領域の輪郭は、第2ホログラム領域HR2の輪郭と相似形の関係にある。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、星形状を維持したまま、外側から内側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、星形状を維持したまま、内側から外側へ滑らかに移動する。或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、星形状を維持したまま、内側から外側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、星形状を維持したまま、外側から内側へ滑らかに移動する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
図22は、本発明の第8実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図22に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図21を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、第1サブ領域の配列は偏心している。また、第2サブ領域の配列も、第1サブ領域の配列と同様に偏心している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、星形状を維持したまま、外側から内側へ滑らかに移動するとともに、その重心の位置を、図において左斜め上方へと移動させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、星形状を維持したまま、内側から外側へ滑らかに移動するとともに、その重心の位置を、図において右斜め下方へと移動させる。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、星形状を維持したまま、内側から外側へ滑らかに移動するとともに、その重心の位置を、図において右斜め下方へと移動させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、星形状を維持したまま、外側から内側へ滑らかに移動するとともに、その重心の位置を、図において左斜め上方へと移動させる。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
図23は、本発明の第9実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図22に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図21を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、第1サブ領域のうち、中心に位置しているものは円形である。そして、他の第1サブ領域の輪郭は、より内側に位置しているものはより円形に近い形状を有し、より外側に位置しているものはより星形に近い形状を有している。
また、この表示体では、第2サブ領域のうち、中心に位置しているものは円形である。そして、他の第2サブ領域の輪郭は、より内側に位置しているものはより円形に近い形状を有し、より外側に位置しているものはより星形に近い形状を有している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、外側から内側へ滑らかに移動するとともに、その形状を、円形から星形へと変化させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、内側から外側へ滑らかに移動するとともに、その形状を、星形から円形へと変化させる。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、内側から外側へ滑らかに移動するとともに、その形状を、星形から円形へと変化させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、外側から内側へ滑らかに移動するとともに、その形状を、円形から星形へと変化させる。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第10実施形態について説明する。
図24は、本発明の第10実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図24に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図23を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、第1サブ領域の配列は偏心している。また、第2サブ領域の配列も、第1サブ領域の配列と同様に偏心している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、外側から内側へ滑らかに移動するとともに、その重心の位置を、図において左斜め上方へと移動させ、その形状を円形から星形へと変化させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、内側から外側へ滑らかに移動するとともに、その重心の位置を、図において右斜め下方へと移動させ、その形状を星形から円形へと変化させる。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、内側から外側へ滑らかに移動するとともに、その重心の位置を、図において右斜め下方へと移動させ、その形状を星形から円形へと変化させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、外側から内側へ滑らかに移動するとともに、その重心の位置を、図において左斜め上方へと移動させ、その形状を円形から星形へと変化させる。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第11実施形態について説明する。
図25は、本発明の第11実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図25に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図19を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、図19に示す第1ホログラム領域HR1に、これとほぼ等しい寸法を有する星形状のパターンを同心に重ねたときに、図19に示す第1ホログラム領域HR1のうち、この星形状のパターンと重なり合う部分のみで、第1ホログラム領域HR1を構成している。また、この表示体1では、図19に示す第2ホログラム領域HR2に、これとほぼ等しい寸法を有する星形状のパターンを同心に重ねたときに、図19に示す第2ホログラム領域HR2のうち、この星形状のパターンと重なり合う部分のみで、第2ホログラム領域HR2を構成している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ段階的に移動するとともに、その形状を、部分的に欠落した円環形から、円環形、円形へと変化させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ段階的に移動するとともに、その形状を、円形から、円環形、部分的に欠落した円環形へと変化させる。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ段階的に移動するとともに、その形状を、円形から、円環形、部分的に欠落した円環形へと変化させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ段階的に移動するとともに、その形状を、部分的に欠落した円環形から、円環形、円形へと変化させる。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第12実施形態について説明する。
図26は、本発明の第12実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図26に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図25を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、第1サブ領域SR11乃至SR16の配列は偏心している。また、第2サブ領域SR21乃至SR26の配列も、第1サブ領域SR11乃至SR16の配列と同様に偏心している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ段階的に移動するとともに、その重心の位置を、図において左斜め上方へと移動させ、その形状を、部分的に欠落した円環形から、部分的に欠落した円形へと変化させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ段階的に移動するとともに、その重心の位置を、図において右斜め下方へと移動させ、その形状を、部分的に欠落した円形から、部分的に欠落した円環形へと変化させる。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ段階的に移動するとともに、その重心の位置を、図において右斜め下方へと移動させ、その形状を、部分的に欠落した円形から、部分的に欠落した円環形へと変化させる。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ段階的に移動するとともに、その重心の位置を、図において左斜め上方へと移動させ、その形状を、部分的に欠落した円環形から、部分的に欠落した円形へと変化させる。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第13実施形態について説明する。
図27は、本発明の第13実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図27に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図19を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1を、第1サブ領域SR10乃至SR17で構成している。また、この表示体1では、第2ホログラム領域HR2を、第2サブ領域SR20乃至SR27で構成している。即ち、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2の各々を構成するサブ領域の数を増やしている。そして、この表示体1では、第1サブ領域SR10乃至SR17はX方向に配列し、第2サブ領域SR20乃至SR27もX方向に配列している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、図において、右側から左側へ段階的に移動する。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、図において、左側から右側へ段階的に移動する。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は、図において、左側から右側へ段階的に移動する。また、この場合、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は、図において、右側から左側へ段階的に移動する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第14実施形態について説明する。
図28は、本発明の第14実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図28に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1は、表示領域R1及びR2と、領域R3とを含んでいる。
表示領域R1は、円形状を有している。表示領域R1では、X方向に各々が延びた波形の第1ホログラム領域HR1と、X方向に各々が延びた波形の第2ホログラム領域HR2とが、Y方向へ交互に配列している。
表示領域R2は、円形状を有している。表示領域R2では、X方向に各々が延びた波形の第1ホログラム領域HR1と、X方向に各々が延びた波形の第2ホログラム領域HR2とが、Y方向へ交互に配列している。
表示領域R2が含んでいる第1ホログラム領域HR1の形状及びその表示領域R2における相対的な位置は、表示領域R1が含んでいる第2ホログラム領域HR2の形状及びその表示領域R1における相対的な位置と等しい。また、表示領域R2が含んでいる第2ホログラム領域HR2の形状及びその表示領域R2における相対的な位置は、表示領域R1が含んでいる第1ホログラム領域HR1の形状及びその表示領域R1における相対的な位置と等しい。
また、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1において、凸部又は凹部PRの長さ方向の傾き角は図の左側から右側へ向けて徐々に大きくなっているか、又は、凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は図の左側から右側へ向けて徐々に小さくなっている。また、この表示体1では、第2ホログラム領域HR2において、凸部又は凹部PRの長さ方向の傾き角は図の右側から左側へ向けて徐々に小さくなっているか、又は、凸部又は凹部の中心間距離(ピッチ)は図の右側から左側へ向けて徐々に大きくなっている。
領域R3は、例えば、レリーフ構造が設けられていないか、又は、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2とは異なるレリーフ構造が設けられたこと以外は、第1ホログラム領域HR1又は第2ホログラム領域HR2と同様の構造を有している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は左側から右側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は右側から左側へ滑らかに移動する。また、この場合、表示領域R1が表示する画像と、表示領域R2が表示する画像とは、逆方向に変化するように見える。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は右側から左側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は左側から右側へ滑らかに移動する。また、この場合、表示領域R1が表示する画像と、表示領域R2が表示する画像とは、逆方向に変化するように見える。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第15実施形態について説明する。
図29は、本発明の第15実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図29に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1は、X方向の寸法が約1cm乃至約3cmの範囲内にあり、Y方向の寸法が約7cm乃至約10cmの範囲内にある。
この表示体1は、領域R3と、表示領域R4乃至R6とを含んでいる。
領域R3は、例えば、レリーフ構造が設けられていないか、又は、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2とは異なるレリーフ構造が設けられたこと以外は、第1ホログラム領域HR1又は第2ホログラム領域HR2と同様の構造を有している。
表示領域R4は、扇形である。表示領域R4は、X方向の寸法が約1.5cm乃至約2cmの範囲内にあり、Y方向の寸法が約2cm乃至約3cmの範囲内にある。
表示領域R4は、第1ホログラム領域HR1a及びHR1bと、第2ホログラム領域HR2a及びHR2bとを含んでいる。
第1ホログラム領域HR1a及びHR1bの各々は、略台形であり、台形の高さ方向に配列した複数の第1サブ領域を含んでいる。これら第1サブ領域は、図19を参照しながら説明した第1サブ領域SR11乃至SR16と同様の構造を有している。
第2ホログラム領域HR2a及びHR2bの各々は、略台形であり、台形の高さ方向に配列した複数の第2サブ領域を含んでいる。これら第2サブ領域は、図19を参照しながら説明した第2サブ領域SR21乃至SR26と同様の構造を有している。
第1ホログラム領域HR1aは、台形の高さが、Y方向に対して反時計回りに大きく傾くように配向している。第2ホログラム領域HR2aは、台形の高さが、Y方向に対して反時計回りに小さく傾くように配向している。
第1ホログラム領域HR1bは、台形の高さが、Y方向に対して時計回りに大きく傾くように配向している。第2ホログラム領域HR2bは、台形の高さが、Y方向に対して時計回りに小さく傾くように配向している。
表示領域R5は、領域R5a及びR5bを含んでいる。領域R5a及びR5bの各々は、亀の形状を有している。領域R5a及びR5bは、短軸が約2cmであり、長軸が約3cmであり、長軸がY方向に対して時計回りに傾いた楕円形の領域内で配列している。
領域R5aのうち、亀の甲羅に相当する部分は、図1乃至図12を参照しながら説明した第1ホログラム領域HR1を複数配列させた構造を有している。また、領域R5bのうち、亀の甲羅に相当する部分は、図1乃至図12を参照しながら説明した第2ホログラム領域HR2を複数配列させた構造を有している。
表示領域R6は、領域R6a及びR6bを含んでいる。領域R6a及びR6bは、それぞれ、数字「3」及び「0」の形状を有している。領域R6a及びR6bは、短軸が約2cmであり、長軸が約3cmであり、長軸がX方向に対して平行な楕円形の領域内で配列している。
領域R6aは、図1乃至図12を参照しながら説明した第2ホログラム領域HR2と同様の構造を有している。また、領域R5bは、図1乃至図12を参照しながら説明した第1ホログラム領域HR1と同様の構造を有している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1a及びHR1bにおいて第1回折光を表示する部分は、台形の上底側から下底側へ段階的に移動し、第2ホログラム領域HR2a及びHR2bにおいて第2回折光を表示する部分は、台形の下底側から上底側へ段階的に移動する。また、この場合、領域R5aの亀の甲羅に相当する部分及び領域R6bが含んでいる第1ホログラム領域HR1では、第1回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動し、領域R5bの亀の甲羅に相当する部分及び領域R6aが含んでいる第2ホログラム領域HR2では、第2回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動する。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1a及びHR1bにおいて第1回折光を表示する部分は、台形の下底側から上底側へ段階的に移動し、第2ホログラム領域HR2a及びHR2bにおいて第2回折光を表示する部分は、台形の上底側から下底側へ段階的に移動する。また、この場合、領域R5aの亀の甲羅に相当する部分及び領域R6bが含んでいる第1ホログラム領域HR1では、第1回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動し、領域R5bの亀の甲羅に相当する部分及び領域R6aが含んでいる第2ホログラム領域HR2では、第2回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第16実施形態について説明する。
図30は、本発明の第16実施形態に係る表示体が或る条件下で画像を表示している様子を概略的に示す平面図である。
図30に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1は、X方向の寸法が約1cm乃至約3cmの範囲内にあり、Y方向の寸法が約7cm乃至約10cmの範囲内にある。
また、この表示体1は、第1ホログラム領域HR1を複数含み、第2ホログラム領域HR2を複数含んでいる。第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2の形状は菱形であり、それらは、Y方向へ交互に配列している。第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2の各々は、X方向の寸法が約3cmであり、Y方向の寸法が約2cmである。
更に、この表示体1は、領域R3を更に含んでいる。領域R3は、例えば、レリーフ構造が設けられていないか、又は、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2とは異なるレリーフ構造が設けられたこと以外は、第1ホログラム領域HR1又は第2ホログラム領域HR2と同様の構造を有している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動する。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
次に、本発明の第17実施形態について説明する。
図31は、本発明の第17実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図である。
図31に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1は、領域R3を更に含んでいる。領域R3は、例えば、レリーフ構造が設けられていないか、又は、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2とは異なるレリーフ構造が設けられたこと以外は、第1ホログラム領域HR1又は第2ホログラム領域HR2と同様の構造を有している。
また、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1と第2ホログラム領域HR2とは、表示体1を観察した観察者が、部分的に重なり合った図形、ここでは花を認識するように画像を表示する。ここでは、具体的には、第1ホログラム領域HR1は、花の全体に対応した形状を有している。他方、第2ホログラム領域HR2は、第1ホログラム領域HR1が表示する花と重なり合った部分が欠落した花に対応した形状を有している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動する。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
更に、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1と第2ホログラム領域HR2とは、表示体1を観察した観察者が、部分的に重なり合った図形を認識するように画像を表示する。それ故、観察者は逆方向の動きを認識し易い。
次に、本発明の第18実施形態について説明する。
図32は、本発明の第18実施形態に係る表示体を概略的に示す平面図である。図33は、図32に示す表示体の一部を拡大して示す平面図である。
図32及び図33に示す表示体1は、以下の構成を採用したこと以外は、図1乃至図12を参照しながら説明した表示体1と同様である。
即ち、この表示体1は、領域R3を更に含んでいる。領域R3は、例えば、レリーフ構造が設けられていないか、又は、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2とは異なるレリーフ構造が設けられたこと以外は、第1ホログラム領域HR1又は第2ホログラム領域HR2と同様の構造を有している。
また、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1の一部と第2ホログラム領域HR2の一部とは重なり合っている。重複領域HR12は、それらが重なり合った領域である。重複領域HR12については、後で詳しく説明する。
第1ホログラム領域HR1は、表示体1を観察した観察者が、1つの画像、ここでは花を認識するように画像を表示する。また、第2ホログラム領域HR2は、表示体1を観察した観察者が、1つの画像、ここでは葉を認識するように画像を表示する。
更に、この表示体1は、第1ホログラム領域HR1及び第2ホログラム領域HR2に、複数の画素を、互いに交差する2つの方向、ここではX方向及びY方向へ規則的に配列させた構造を採用している。
これら画素は、図33に示すように、第1画素PX1と、第2画素PX2とを含んでいる。
第1画素PX1は、第1ホログラム領域HR1に位置している。第1画素PX1の各々は、第1サブ領域の1つ又はその一部を構成している。第1画素PX1の集合は、第1ホログラム領域HR1が表示する画像、ここでは花を表示するように構成されている。
第2画素PX2は、第2ホログラム領域HR2に位置している。第2画素PX2の各々は、第2サブ領域の1つ又はその一部を構成している。第2画素PX2の集合は、第2ホログラム領域HR2が表示する画像、ここでは葉を表示するように構成されている。
重複領域HR12では、第1画素PX1と第2画素PX2とが混在している。第1ホログラム領域HR1のうち、重複領域HR12以外の部分では、第1画素PX1及び第2画素PX2のうち第1画素PX1のみが配列している。第2ホログラム領域HR2のうち、重複領域HR12以外の部分では、第1画素PX1及び第2画素PX2のうち第2画素PX2のみが配列している。
この表示体1を上記の観察条件下で観察した場合、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動する。
或いは、この観察条件下では、第1ホログラム領域HR1において第1回折光を表示する部分は外側から内側へ滑らかに移動し、第2ホログラム領域HR2において第2回折光を表示する部分は内側から外側へ滑らかに移動する。
この表示体1は、上述した通り、逆方向の動きを同時に表現しながらも、目に過度な疲労を与えることがなく、また、動きを正確に認識可能である。また、この表示体1は、上述した理由により、偽造され難い。
また、第1ホログラム領域HR1と第2ホログラム領域HR2とは、表示体1を観察した観察者が、部分的に重なり合った図形を認識するように画像を表示する。それ故、観察者は逆方向の動きを認識し易い。
更に、この表示体1では、第1ホログラム領域HR1と第2ホログラム領域HR2とは部分的に重なり合っている。重複領域HR12は、第1ホログラム領域HR1による画像の表示と、第2ホログラム領域HR2による画像の表示との双方に関与する。このような構造は、偽像が困難である。それ故、この表示体1は、更に偽造され難い。
次に、本発明の一実施形態に係る転写箔について説明する。
図34は、本発明の一実施形態に係る転写箔を概略的に示す断面図である。
図34に示す転写箔2は、支持体21と転写材層22と接着層23とを含んでいる。
支持体21は、転写材層22を剥離可能に支持している。
接着層23は、転写材層22を被覆している。
転写材層22は、レリーフ構造形成層221と、反射層222と、剥離保護層223とを含んでいる。剥離保護層223、レリーフ構造形成層221、及び反射層222は、この順に、支持体21上に積層されている。
転写材層22は、互いに隣接した転写部TP1及び非転写部TP2を含んでいる。
転写部TP1は、転写材層22のうち、物品へ転写される部分であって、上記の表示体1を含んでいる。非転写部TP2は、転写材層22のうち、物品へ転写されずに残留する部分である。
次に、本発明の一実施形態に係る粘着ラベルについて説明する。
図35は、本発明の一実施形態に係る粘着ラベルを概略的に示す断面図である。
図35に示す粘着ラベル3は、基材31と表示体1と粘着層32とを含んでいる。なお、図35において、なお、参照符号4は、台紙を表している。
基材31は、例えば、透明樹脂フィルムである。基材31は、その一方の主面に、表示体1を支持している。
粘着層32は、表示体1の一方の主面に設けられている。粘着層32は、表示体1を間に挟んで基材31と向き合っている。粘着層32は、粘着ラベル3の使用直前まで、台紙4によって保護される。
次に、本発明の一実施形態に係るラベル付き物品について説明する。
図36は、本発明の一実施形態に係るラベル付き物品を概略的に示す平面図である。
図36に示すラベル付き物品5は、印刷物である。このラベル付き物品5は、表示体1と、これを支持した物品51とを含んでいる。物品51は、紙などの印刷基材と、これに設けられた印刷層を含んでいる。表示体1は、例えば、この物品51の表面に貼り付けるか又はこの物品51内に埋め込まれることにより、物品51によって支持されている。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、上述した実施形態において説明した技術は、互いに組み合わせることができる。例えば、第1乃至第16実施形態の何れか1つにおいて説明した第1ホログラム領域HR1と、他の実施形態において説明した第2ホログラム領域HR2とを組み合わせることができる。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
互いに隣り合った第1及び第2ホログラム領域を含んだ表示体であって、
前記第1ホログラム領域には、複数の第1凸部又は凹部を含んだレリーフ型の第1回折格子が設けられ、前記第1回折格子において、前記複数の第1凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離の少なくとも一方は、長さ3mm当たり3以上の段階で変化しており、長さ3mm当たりの前記複数の第1凸部又は凹部の配列方向の変化は10°乃至45°の範囲内にあるか、又は、長さ3mm当たりの前記複数の第1凸部又は凹部の中心間距離の変化は100nm乃至400nmの範囲内にあり、前記第1回折格子は、前記表示体に対する照明方向及び前記表示体の観察方向を一定としたまま、前記表示体の傾き角を変化させる観察条件下で、前記第1ホログラム領域において第1回折光を表示する部分が移動するように構成され、
前記第2ホログラム領域には、複数の第2凸部又は凹部を含んだレリーフ型の第2回折格子が設けられ、前記第2回折格子において、前記複数の第2凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離の少なくとも一方は、長さ3mm当たり3以上の段階で変化しており、長さ3mm当たりの前記複数の第2凸部又は凹部の配列方向の変化は10°乃至45°の範囲内にあるか、又は、長さ3mm当たりの前記複数の第2凸部又は凹部の中心間距離の変化は100nm乃至400nmの範囲内にあり、前記第2回折格子は、前記観察条件下で、前記第2ホログラム領域において、第2回折光を表示する部分が、前記第1ホログラム領域において前記第1回折光を表示する部分が移動する方向とは逆方向へ移動するように構成された表示体。
[2]
前記第1及び第2ホログラム領域は、短軸の長さが3cmであり、長軸の長さが5cmである楕円によって囲まれた範囲内で配列している項1に記載の表示体。
[3]
前記第1ホログラム領域は、3以上の第1サブ領域を含み、前記3以上の第1サブ領域の各々において、前記複数の第1凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離は一定であり、前記3以上の第1サブ領域は、前記複数の第1凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離の少なくとも一方が異なっており、
前記第2ホログラム領域は、3以上の第2サブ領域を含み、前記3以上の第2サブ領域の各々において、前記複数の第2凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離は一定であり、前記3以上の第2サブ領域は、前記複数の第2凸部又は凹部の配列方向及び中心間距離の少なくとも一方が異なっている項1又は2に記載の表示体。
[4]
前記3以上の第1サブ領域は入れ子状に配列しており、前記3以上の第2サブ領域は入れ子状に配列している項3に記載の表示体。
[5]
前記3以上の第1サブ領域は一列に配列しており、前記3以上の第2サブ領域は一列に配列している項3に記載の表示体。
[6]
前記3以上の第1サブ領域の配列方向と、前記3以上の第2サブ領域の配列方向とは、前記第1及び第2ホログラム領域の配列方向と等しい項3に記載の表示体。
[7]
前記3以上の第1サブ領域は第1方向に配列し、前記3以上の第2サブ領域は前記第1方向に配列し、前記第1及び第2ホログラム領域は、前記第1方向と交差する第2方向に配列している項3に記載の表示体。
[8]
前記3以上の第1サブ領域のうち、1つを間に挟んで隣り合った2つの距離は、10μm乃至20μmの範囲内にあり、前記3以上の第2サブ領域のうち、1つを間に挟んで隣り合った2つの距離は、10μm乃至20μmの範囲内にある項3乃至7の何れか1項に記載の表示体。
[9]
前記3以上の第1サブ領域のうち、1つを間に挟んで隣り合った2つの距離は、0.1mm乃至15mmの範囲内にあり、前記3以上の第2サブ領域のうち、1つを間に挟んで隣り合った2つの距離は、0.1mm乃至15mmの範囲内にある項3乃至7の何れか1項に記載の表示体。
[10]
前記3以上の第1サブ領域は、それぞれ、前記3以上の第2サブ領域と等しい形状を有している項3乃至9の何れか1項に記載の表示体。
[11]
前記第1回折格子は、前記観察条件において、前記傾き角と前記第1回折光を表示する部分の移動距離とが非線形的な第1関係になるように構成され、前記第2回折格子は、前記観察条件において、前記傾き角と前記第2回折光を表示する部分の移動距離とが非線形的な第2関係になるように構成された項1乃至10の何れか1項に記載の表示体。
[12]
前記第1及び第2関係は互いに異なる項11に記載の表示体。
[13]
前記第1及び第2ホログラム領域を各々が含んだ複数の表示領域を含んだ項1乃至12の何れか1項に記載の表示体。
[14]
前記複数の表示領域の一方が含んでいる前記第1及び第2ホログラム領域は、それぞれ、前記複数の表示領域の他方が含んでいる前記第2及び第1ホログラム領域と等しい形状を有している項13に記載の表示体。
[15]
前記第1及び第2ホログラム領域は互いに等しい形状を有している項1乃至14の何れか1項に記載の表示体。
[16]
前記第1及び第2ホログラム領域は1以上の文字に対応した形状を有している項1乃至15の何れか1項に記載の表示体。
[17]
表面にレリーフ構造を有するレリーフ構造形成層と、前記表面を被覆した反射層とを具備し、前記第1及び第2ホログラム領域は、前記反射層の表面又は前記レリーフ構造形成層と前記反射層との界面に設けられた項1乃至16の何れか1項に記載の表示体。
[18]
項1乃至17の何れか1項に記載の表示体を含んだ転写材層と、前記転写材層を剥離可能に支持した支持体とを具備した転写箔。
[19]
項1乃至17の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体の一方の主面に設けられた粘着層とを具備した粘着ラベル。
[20]
項1乃至17の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体を支持した物品とを具備したラベル付き物品。