JP6938486B2 - 変動する湾曲部及び先細部を伴う外科用ステープラ用エンドエフェクタ - Google Patents

変動する湾曲部及び先細部を伴う外科用ステープラ用エンドエフェクタ Download PDF

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Description

切開創をより小さくすることで、術後の回復時間及び合併症を低減させ得ることから、一部の状況では、従来の開腹外科用装置よりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、様々な形で組織と係合して診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、及び、超音波振動、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達装置など)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含むことがある。かかるシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸線を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置付けを行うことを容易とする。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸線に対して選択的に関節動作させるか又は別の形で撓ませることを可能にする、1つ又は2つ以上の関節ジョイント又は機構を含めることによって更に容易に行うことができる。
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。かかるステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを駆動することによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。あくまで例示の外科用ステープラが以下に開示されている。すなわち、1989年2月21日に発行された「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」と題する米国特許第4,805,823号、1995年5月16日に発行された「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第5,415,334号、1995年11月14日に発行された「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,465,895号、1997年1月28日に発行された「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,597,107号、1997年5月27日に発行された「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,632,432号、1997年10月7日に発行された「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,673,840号、1998年1月6日に発行された「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,704,534号、1998年9月29日に発行された「Surgical Clamping Mechanism」と題する米国特許第5,814,055号、2005年12月27日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E−Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第6,978,921号、2006年2月21日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題する米国特許第7,000,818号、2006年12月5日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題する米国特許第7,143,923号、2007年12月4日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi−Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題する米国特許第7,303,108号、2008年5月6日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題する米国特許第7,367,485号、2008年6月3日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号、2008年6月3日に発行された「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two−Piece E−Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第7,380,696号、2008年7月29日に発行された「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する米国特許第7,404,508号、2008年10月14日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する米国特許第7,434,715号、2010年5月25日に発行された「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題する米国特許第7,721,930号、2013年4月2日に発行された「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題する米国特許第8,408,439号、及び2013年6月4日に発行された「Motor−Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する米国特許第8,453,914号である。上に引用した米国特許のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
上述した外科用ステープラは、内視鏡手術において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラは、開口処置及び/又は他の非内視鏡手術でも使用することができることを理解されたい。ほんの一例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることもできる。かかる手術では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除するのに先立ってステープラによって切断して閉鎖することができる。外科用ステープラを他の様々な状況及び手術で使用できることは言うまでもない。
開胸術に特に適し得る又は開胸術によって使用され得る外科用ステープラの例が、2015年7月29日に出願された「Surgical Staple Cartridge with Compression Feature at Knife Slot」と題する米国特許出願第14/810,786号、2014年8月28日に公開された「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許出願公開第2014/0243801号、2014年8月28日に公開された「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2014/0239041号、2014年8月28日に公開された「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2014/0239042号、2014年8月28日に公開された「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2014/0239036号、2014年8月28日に公開された「Surgical Instrument with Articulation Lock having a Detenting Binary Spring」と題する米国特許出願公開第2014/0239040号、2014年8月28日に公開された「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2014/0239043号、2014年8月28日に公開された「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許出願公開第2014/0239037号、2014年8月28日に公開された「Surgical Instrument with Multi−Diameter Shaft」と題する米国特許公開第2014/0239038号、及び2014年8月28日に公開された「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許出願公開第2014/0239044号に開示されている。以上に引用した米国特許出願のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
例えば、経皮的に体腔内に挿入可能な縫合器が特許文献1に開示されている。
[特許文献1]
特開平6−30945号公報
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者(ら)以前には、添付の請求項に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
本明細書に組み込まれると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
例示的な関節動作外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。 図1の器具の側面図を示す。 エンドエフェクタが閉鎖構成にある、図1の器具のエンドエフェクタの斜視図を示す。 エンドエフェクタが開放構成にある、図3のエンドエフェクタの斜視図を示す。 図3のエンドエフェクタの分解斜視図を示す。 図4の線6−6に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの端面断面図を示す。 発射ビームが近位位置にある、図4の線7−7に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの側面断面図を示す。 発射ビームが遠位位置にある、図4の線7−7に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの側面断面図を示す。 組織に位置付けられ、組織内で1回作動された後の、図3のエンドエフェクタの斜視図を示す。 関節運動する外科用ステープル留め器具の別の実施例の側面図を示す。 エンドエフェクタが開放構成にある、図9の器具のエンドエフェクタの斜視図を示す。 図10のエンドエフェクタの下側ジョーの上面図を示す。 図10のエンドエフェクタの上側ジョーの底面図を示す。 図11の下側ジョーの分解斜視図を示す。 図11の下側ジョーの上面図を示す。 肝組織を通って延在する血管を有する肝臓の略図を示す。 図15Aの肝組織を切断した、図10のエンドエフェクタの略図を示す。 図15Aの切断された肝組織から露出された、図15Bの血管の略図を示す。 図15Cの露出された血管をステープル留めする、図10のエンドエフェクタの略図を示す。 露出された及びステープル留めされた図15Dの血管の略図を示す。 肝組織の一部分及びそこから切除された血管を有する、図15Aの肝臓の略図を示す。
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の種々の実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが考えられる。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が示される正確な配置に限定されない点が理解される。
本発明の特定の例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明には、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なる、かつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
I.例示的な外科用ステープラ
図1は、例示的な外科用ステープル留め及び切断器具(10)を表し、この器具は、ハンドル組立体(20)と、シャフト組立体(30)と、エンドエフェクタ(40)と、を含む。エンドエフェクタ(40)及びシャフト組立体(30)の遠位部分は、外科的処置を行うために、図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている。単なる例示として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又はその他の部位に、かかるトロカールを挿入してもよい。一部の状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、エンドエフェクタ(40)及びシャフト組立体の遠位部分(30)を、開胸術又は他の種類の切開によって直接挿入することができる。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル組立体(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(40)は、より近位にあるハンドル組立体(20)に対して遠位にある。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的な用語が、図面に対して使用されている点も更に認識されるであろう。しかしながら、外科器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
A.例示的なハンドル組立体及びシャフト組立体
図1〜2に示すように、本例のハンドル組立体(20)は、ピストルグリップ(22)、閉鎖トリガー(24)、及び発射トリガー(26)を含む。各トリガー(24、26)は、以下により詳細に記載されるように、ピストル把持部(22)に向かって、及びそれから離れるように選択的に枢動可能である。ハンドル組立体(20)は、アンビル解放ボタン(25)と、発射ビーム反転スイッチ(27)と、取り外し可能な電池パック(28)と、を更に含んでいる。これらの構成要素についても、以下でより詳細に説明する。勿論、ハンドル組立体(20)は、上記したもののいずれかに加えて又はその代わりに様々な他の構成要素、特徴、及び動作性を有することができる。ハンドル組立体(20)の他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。
図1〜図3に示すように、本例のシャフト組立体(30)は、外側閉鎖管(32)、関節運動部(34)、及び閉鎖用リング(36)を備え、それは、更にエンドエフェクタ(40)に連結する。閉鎖チューブ(32)はシャフト組立体(30)の長さに沿って延在する。閉鎖リング(36)は、関節運動部(34)の遠位に位置付けられている。閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)は、ハンドル組立体(20)に対して長手方向に並進するように構成されている。閉鎖チューブ(32)の長手方向並進運動は、関節運動部(34)を介して閉鎖リング(36)に伝達される。閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)を長手方向に並進するのに使用できる例示の機構は、以下により詳細に記載される。
関節運動部(34)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)から所望の角度(α)で横方向へ離れるように、閉鎖リング(36)とエンドエフェクタ(40)を横方向に偏向させるよう動作可能である。エンドエフェクタ(40)は、そのようにして、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達するか又は組織に近付くことができる。一部の形態においては、関節運動部(34)は、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(40)を偏向させることができる。その他の一部の形態では、関節運動部(34)により、2つ以上の平面に沿ってエンドエフェクタを撓ませることができる。本例では、関節運動は、シャフト組立体(30)の近位端に位置する関節運動制御ノブ(35)によって制御される。ノブ(35)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)に対して垂直な軸線を中心として回転可能である。閉鎖用リング(36)及びエンドエフェクタ(40)は、ノブ(35)の回転に反応してシャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)に垂直な軸線の周りを枢動する。ほんの一例として、ノブ(35)が時計回りに回転すると、関節運動部(34)において閉鎖用リング(36)及びエンドエフェクタ(40)が対応して時計回りに枢動する。関節運動部(34)は、関節運動部(34)が真っ直ぐな構成であるか、又は関節運動構成であるかにかかわらず、閉鎖管(32)が閉鎖用リング(36)まで長手方向に並進するのを伝達するように構成されている。
一部の形態では、関節動作部(34)及び/又は関節動作制御ノブ(35)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許出願公開第2014/0243801号の教示の少なくとも一部に従って、構成され、作動可能である。関節動作部(34)は、また、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年6月25日出願の「Articulation Drive Features for Surgical Stapler」という名称の米国特許出願第14/314,125号、及び/又は以下の種々の教示に従って構成され、作動可能であってもよい。関節運動部(34)及び関節動作ノブ(35)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
図1〜2に示すように、本例のシャフト組立体(30)は、回転ノブ(31)を更に含む。回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して、全シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)を回転するように動作可能である。一部の形態では、回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)の角度位置を選択的に係止するように動作可能である。例えば、回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)がシャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)の周りをハンドル組立体(20)に対して回転可能である第1の長手方向位置と、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)がシャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して回転できない第2の長手方向位置との間で並進可能である。当然のことながら、シャフト組立体(30)は、上記したもののいずれかに加えて又はその代わりに様々な他の構成要素、特徴、及び動作性を有することができる。単に例として、シャフト組立体(30)の少なくとも一部は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日公開の「Surgical Instrument with Multi−Diameter Shaft」という名称の米国特許出願公開第2014/0239038号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成されてもよい。シャフト組立体(30)の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
B.例示的なエンドエフェクタ
図3〜図5にも示されているように、本例のエンドエフェクタ(40)は、下側ジョー(50)及び枢動可能なアンビル(60)を含む。アンビル(60)は、下側ジョー(50)の対応する湾曲スロット(54)に位置付けられている一対の一体的な、外側に延在するピン(66)を含む。アンビル(60)は、開放位置(図2及び4に示す)と閉鎖位置(図1、3、及び7A〜7Bに示す)との間で、下側ジョー(50)に向かって、及びそれから離れるように、枢動可能である。「枢動可能」という用語(及び「枢動」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸線を中心とした枢動運動を必要とすると理解されるべきではない。例えば、本例において、アンビル(60)は、ピン(66)により画定される軸線を中心に枢動し、このピンは、アンビル(60)が下側ジョー(50)に向かって動くと、下側ジョー(50)の湾曲スロット(54)に沿って摺動する。かかる形態では、枢動軸線がスロット(54)によって画定された経路に沿って並進する一方で、アンビル(60)はその軸線を中心として同時に枢動する。追加的にあるいは代替的に、まず枢動軸線がスロット(54)に沿って摺動し、次いで枢動軸線がスロット(54)に沿ってある一定の距離を摺動した後に、アンビル(60)が枢動軸線を中心として枢動してもよい。そのような摺動/並進枢動運動は、「枢動」、「枢動する」「枢動の」、「枢動可能な」、「枢動している」などの用語内に包含されることを理解されたい。当然のことながら、一部の形態は、固定されたままである、かつスロット又はチャネルなどの内側を並進しない、軸線を中心としたアンビル(60)の枢動運動を提供してもよい。
図5に最もわかりやすく示されるように、本例の下側ジョー(50)は、ステープルカートリッジ(70)を受け入れるように構成されているチャネル(52)を画定する。ステープルカートリッジ(70)はチャネル(52)に挿入することができ、エンドエフェクタ(40)を作動し、その後、ステープルカートリッジ(70)を取り外し、別のステープルカートリッジ(70)と交換することができる。したがって、下側ジョー(50)は、エンドエフェクタ(40)を作動するためのアンビル(60)と位置合わせされてステープルカートリッジ(70)を解放可能に保持する。一部の形態では、下側ジョー(50)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許出願公開第2014/0239044号の教示の少なくとも一部に従って構成されている。下側ジョー(50)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。
図4〜図6に最もよく示されるように、本例のステープルカートリッジ(70)はカートリッジ本体(71)と、カートリッジ本体(71)の下面に固着されたトレー(76)を備えている。カートリッジ本体(71)の上面は、アンビル(60)が閉鎖位置にあるときに、組織を圧縮できるデッキ(73)を呈する。カートリッジ本体(71)は、長手方向に延在するチャネル(72)及び複数のステープルポケット(74)を更に画定する。ステープル(77)は、各ステープルポケット(74)内に位置付けられている。ステープルドライバ(75)はまた、各ステープルポケット(74)内で、対応するステープル(77)の下に、かつトレー(76)の上に位置付けられている。以下でより詳細に説明されるように、ステープルドライバ(75)はステープルポケット(74)内で上向きに並進運動するよう動作可能であり、これによりステープル(77)をステープルポケット(74)を通って上向きに駆動させ、アンビル(60)と係合させる。ステープルドライバ(75)は、楔形スレッド(78)により上向きに駆動され、この楔形スレッドはカートリッジ本体(71)とトレー(76)との間に捕捉されており、これがカートリッジ本体(71)を通って長手方向に並進運動する。楔形スレッド(78)は、一対の傾斜した角度のカム表面(79)を含み、それらは、ステープルドライバ(75)と係合し、それによって、楔形スレッド(78)がカートリッジ(70)を通って長手方向に並進するにつれてステープルドライバ(75)を上向きに駆動するように構成されている。例えば、楔形スレッド(78)が図7Aに示すように近位位置にあるときに、ステープルドライバ(75)は下方位置にあり、ステープル(77)はステープルポケット(74)内に位置する。図7Bに示すように、ナイフ部材(80)の並進運動によって楔状スレッド(78)が遠位位置に駆動されると、楔状スレッド(78)がステープルドライバ(75)を上向きに駆動し、これによりステープル(77)をステープルポケット(74)から排出させ、ステープル形成ポケット(64)内へと駆動する。よって、楔形スレッド(78)が水平寸法に沿って並進すると、ステープルドライバ(75)は垂直寸法に沿って並進する。
ステープルカートリッジ(70)を多様な方法で変更できることを理解されたい。例えば、本例のステープルカートリッジ(70)は、チャネル(72)の一方の側に、長手方向に延在する2列のステープルポケット(74)を含み、チャネル(72)の他方の側に別の組の長手方向に延在する2列のステープルポケット(74)を含む。しかし、他の一部の形態では、ステープルカートリッジ(70)は、チャネル(72)の両側において3つ、1つ、又は他の数のステープルポケット(74)を含む。一部の形態では、ステープルカートリッジ(70)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2014/0239042号の教示の少なくとも一部に従って、構成され、作動可能である。追加的にあるいは代替的に、ステープルカートリッジ(70)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許出願公開第2014/0239044号の教示の少なくとも一部に従って、構成され、作動可能であってもよい。ステープルカートリッジ(70)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。
図4で最もよくわかるように、本例のアンビル(60)は、長手方向に延在するチャネル(62)と、複数のステープル成形ポケット(64)とを備えている。チャネル(62)は、アンビル(60)が閉鎖位置にあるときに、ステープルカートリッジ(70)のチャネル(72)と整列するように構成されている。ステープル成形ポケット(64)はそれぞれアンビル(60)が閉鎖位置にあるときに、ステープルカートリッジ(70)の対応するステープルポケット(74)の上に置かれるように位置付けられている。ステープル成形ポケット(64)は、ステープル(77)が組織を通してアンビル(60)の中に駆動されるときに、ステープル(77)の脚部を変形させるように構成されている。特に、ステープル成形ポケット(64)は、成形されたステープル(77)を組織内で固定するためにステープル(77)の脚部を曲げるように構成されている。アンビル(60)は、2014年8月28日に公開された「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2014/0239042号の教示の少なくとも一部、2014年8月28日公開の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2014/0239036号の教示のうちの少なくとも一部、及び/又はその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日公開の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許出願公開第2014/0239037号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成されてもよい。アンビル(60)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。
本例では、ナイフ部材(80)は、エンドエフェクタ(40)を通して並進するように構成されている。図5及び7A〜7Bで最もよくわかるように、ナイフ部材(80)は発射ビーム(82)の遠位端に固定されており、この発射ビームは、シャフト組立体(30)の一部分を通って延在する。図4及び図6で最もよくわかるように、ナイフ部材(80)は、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(70)のチャネル(62、72)内に位置付けられている。ナイフ部材(80)は、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位方向に並進するにつれて、アンビル(60)とステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)との間で圧縮されている組織を切断するように構成されている、遠位側に示された切断縁部(84)を含む。上記に述べたように、かつ図7A〜図7Bに示すように、ナイフ部材(80)はまた、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位に並進するにつれて楔形スレッド(78)を遠位に駆動し、それによってステープル(77)が組織を通してアンビル(60)に対して駆動され、形成される。ナイフ部材(80)をエンドエフェクタ(40)を通して遠位に駆動するのに使用できる様々な機構については、以下に詳細に記載する。
一部の形態では、エンドエフェクタ(40)は、ステープルカートリッジ(70)が下側ジョー(50)に挿入されていないときに、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位側に前進するのを防止するように構成されているロックアウト機構を含む。追加的にあるいは代替的に、エンドエフェクタ(40)は、1回作動された後のステープルカートリッジ(70)(例えば、全てのステープル(77)がそこから配備された)が下側ジョー(50)に挿入されているときに、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位側に前進するのを防止するように構成されているロックアウト機構を含む。ほんの一例として、そのようなロックアウト機構は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月28日に公開された「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2014/0239041号の教示の少なくとも一部、及び/又は開示内容が参照することによって本明細書によって組み込まれる、2014年6月25日に出願された「Method of Using Lockout Features for Surgical Staple cartridge」と題する米国特許出願第14/314,108号の教示の少なくとも一部に従って構成されてもよい。ロックアウト機構が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。あるいは、エンドエフェクタ(40)は単に、そのようなロックアウト機構を省略してもよい。
C.例示的なアンビル作動
本例において、アンビル(60)は、閉鎖用リング(36)をエンドエフェクタ(40)に対して遠位側に前進させることによって、下側ジョー(50)に向かって駆動される。閉鎖用リング(36)は、カム作用を介してアンビル(60)と協働し、エンドエフェクタ(40)に対する閉鎖用リング(36)の遠位への並進に反応してアンビル(60)を下側ジョー(50)に向かって駆動する。同様に、閉鎖用リング(36)は、アンビル(60)と協働し、エンドエフェクタ(40)に対する閉鎖用リング(36)の近位側への並進に反応してアンビル(60)を下側ジョー(50)から離れて開放することができる。ほんの一例として、閉鎖リング(36)とアンビル(60)は、開示内容が参照することによって本明細書によって組み込まれる、2014年8月28日公開された「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2014/0239036号の教示のうちの少なくとも一部に従って、及び/又は開示内容が参照することによって本明細書によって組み込まれる、2014年6月25日に出願された「Jaw Opening Feature for Surgical Stapler」と題する米国特許出願第14/314,108号の教示の少なくとも一部に従って、相互作用してもよい。エンドエフェクタ(40)に対して閉鎖用リング(36)を長手方向に並進するのに使用できる例示の機構は、以下により詳細に記載される。
上記に述べたように、ハンドル組立体(20)は、ピストル把持部(22)及び閉鎖トリガー(24)を含む。また、上記したように、アンビル(60)は、閉鎖用リング(36)の遠位前進に反応して下側ジョー(50)に向かって閉鎖される。本例において、閉鎖トリガー(24)は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)を遠位側に駆動させるように、ピストル把持部(22)に向かって枢動可能である。本明細書の教示を考慮することで、ピストル把持部(22)に向かう閉鎖トリガー(24)の枢軸運動を、ハンドル組立体(20)に対する閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)の遠位への並進に変換するのに使用され得る様々な好適な構成要素が、当業者には明らかであろう。閉鎖トリガー(24)は、アンビル(60)が、下側ジョー(50)に対して完全な閉鎖位置になるような完全な枢動状態に達するときに、ハンドル組立体(20)のロック機構は、閉鎖トリガー(24)及び閉鎖管(32)の位置を係止し、それによってアンビル(60)を下側ジョー(50)に対して完全な閉鎖位置に係止する。これらの係止機構は、アンビル解放ボタン(25)の作動によって解放される。アンビル解放ボタン(25)は、ピストル把持部(22)をつかむオペレータの手の親指で作動されるように構成され、位置付けられている。言い換えると、オペレータは、ピストル把持部(22)を片手でつかみ、閉鎖トリガー(24)を同じ手の1本又は2本以上の指で作動し、その後、同じ手によるピストル把持部(22)のつかみを解放する必要なく、アンビル解放ボタン(25)を同じ手の親指で作動することができる。本明細書の教示を考慮することで、アンビル(60)の作動に使用できる他の好適な機構が当業者に明らかとなるであろう。
D.発射ビームの例示的作動
本発明の例では、器具(10)は、発射ビーム(82)の電動制御を提供する。特に、器具(10)は、発射トリガー(26)のピストル把持部(22)に向かう枢動に応答して発射ビーム(82)を遠位に駆動するように構成された、電動構成要素を備えている。一部の形態では、モーター(図示せず)がピストル把持部(22)内に含まれ、電池パック(28)から電力を受信する。このモーターは、モーターの駆動シャフトの回転運動を、発射ビーム(82)の線形移動に変換する伝送組立体(図示せず)に連結される。一部のこのような形態では、アンビル(60)が下側ジョー(50)に対して完全閉鎖位置にあるときに、発射ビーム(82)は遠位に前進しかできない。図7A〜7Bを参照して上述されるように、発射ビーム(82)が遠位に前進して組織を切断し、ステープル(77)を駆動した後、発射ビーム(82)用の駆動組立体は、自動的に反転し、発射ビーム(82)を近位に後退位置に戻すように駆動できる(例えば、図7Bに示される位置から図7Aに示される位置まで戻す)。あるいは、オペレータは、発射ビーム(82)用の駆動組立体を反転して発射ビーム(82)を近位位置に後退できる、発射ビーム反転スイッチ(27)を作動してよい。本例のハンドル組立体(20)は、機械的脱出をもたらすように操作可能であり、オペレータが手動で発射ビーム(82)を近位に後退させることを可能にする(例えば、発射ビーム(82)が遠位位置にある間に電力損失した場合など)、脱出機構(21)を更に備えている。
あくまで一例として、発射ビーム(82)の電動化作動をもたらすように操作可能な機構は、2012年7月3日に発行された「Motor−Driven Surgical Instrument」と題する米国特許第8,210,411号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうち少なくとも一部に従って、構成され、操作することができる。別の単なる例示例として、発射ビーム(82)の電動化作動をもたらすように操作可能な機構は、2013年6月4日に発行された「Motor−Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する米国特許第8,453,914号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうち少なくとも一部に従って、構成され、操作することができる。更に別の単なる例示例として、発射ビーム(82)の電動化作動をもたらすように操作可能な機構は、2014年3月26日に出願された「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」と題する米国特許出願第14/226,142号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうち少なくとも一部に従って、構成され、操作することができる。
発射ビーム(82)の電動化をもたらすために使用できるその他好適な構成要素、特徴部、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。また、他の形態において、発射ビーム(82)のマニュアル駆動が提供され、モーターが省かれてもよいことも理解されたい。あくまで一例として、発射ビーム(82)は、本明細書で引用されるその他の参照文献の教示のうち少なくとも一部に従って手動で作動することができる。
図8は、組織(90)を通じた1回のストロークを通して作動されたエンドエフェクタ(40)を示している。示されるように、切断縁部(84)(図8では不明瞭)は、組織(90)を切断したが、ステープルドライバ(75)は、切断縁部(84)が作り出した切断線の各側で、組織(90)を通してステープル(77)の2本の交互の列を駆動した。この例では、全てのステープル(77)が切断線と略平行に向いているが、ステープル(77)は、任意の好適な向きで位置付けされ得る点を理解されたい。本例では、第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(40)をトロカールから引き抜き、使用済みのステープルカートリッジ(70)を新しいステープルカートリッジ(70)と交換し、その後、エンドエフェクタ(40)を再びトロカールを通じて挿入して、ステープル留めする部位に到達させて更なる切断及びステープル留めを行う。所望の量の切断及びステープル(77)が与えられるまで、このプロセスを繰り返すことができる。トロカールを通じた挿入及び抜脱を助けるためにはアンビル(60)を閉鎖する必要があり、ステープルカートリッジ(70)の交換を助けるためにはアンビル(60)を開放する必要がある。
各作動ストロークの間に、ステープル(77)が組織に貫通して駆動されるのと略同時に、切断縁部(84)が組織を切断することができる点を理解されたい。本例において、切断縁部(84)は、ステープル(77)の駆動動作よりもごくわずかに遅れて進むため、ステープル(77)は、切断縁部(84)が組織の同じ領域を通過する直前に組織を通して駆動されるが、この順序を逆にすることができる点、又は、切断縁部(84)が隣接するステープルと直接的に一緒に動いてもよい点を理解されたい。図8は、2層(92、94)の組織(90)で作動しているエンドエフェクタ(40)を示しているが、エンドエフェクタ(40)は、1層の組織(90)、又は2層(92、94)を超える組織を通じて作動され得る点を理解されたい。また、切断縁部(84)が形成する切断線に隣接するステープル(77)の成形及び位置付けにより、切断線において組織を実質的にシールすることができ、これにより、切断線での出血及び/又は他の体液の漏出を低減又は防止することができる点も理解されたい。更にまた、図8は、2つの概ね平坦で並置した組織の平面層(92、94)において作動されているエンドエフェクタ(40)を示すが、エンドエフェクタ(40)は、環状構造、例えば血管、消化管のセクションなどにわたって作動され得ることを理解されたい。図8は、したがって、エンドエフェクタ(40)についての意図された使用におけるなんらかの制限を示すものとして見られるべきではない。器具(10)を使用することができる様々な適当な状況及び手術は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。
器具(10)の任意の他の構成要素又は機構は、本明細書に引用される様々な参照文献のうちいずれかに従って構成され、動作可能であることも理解されたい。器具(10)に行うことができる更なる例示的な改変例について以下により詳細に記載する。以下の教示を器具(10)に組み込むことができる様々な適当な方法が当業者には明らかであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用された参考文献の様々な教示と組み合わせることができる様々な好適な方法が当業者には明らかであろう。また、以下の教示は、本明細書に引用される参考文献に教示される器具(10)又は装置に限定されない点も理解されたい。以下の教示は、外科用ステープラとして分類されない器具を含む他の様々な種類の器具に容易に応用することができる。以下の教示を適用することができる他の様々な適当な装置及び状況は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。
II.例示的代替ステープル留めエンドエフェクタ
上記の外科用器具(10)が患者内の組織をステープル留めし及びそれを切断するために使用され得るエンドエフェクタ(40)の一例を提供する一方、人体が、患者の体全体にわたる領域にアクセスすることが時々難しく異なって位置する様々な組織から成ることを認識されるであろう。例えば、肝臓は、肝臓全体を通る血管又は導管を含む組織を含む。肝臓が腫瘍を含む設定では、腫瘍を含有する肝臓の一部分を切除することが望ましい場合がある。切除は、解剖学的(例えば、肝臓の右側若しくは左側(その側の葉を含む)の切除)又は非解剖学的(例えば、肝組織の単なる単一の葉又はくさび状のものの切除)であり得る。この切除は、以下の少なくとも3種類のステップを伴う。(第1のステップ:血管又は導管の周囲の組織(例えば、肝実質)を解剖することによって、血管又は導管を分離又は見せる;第2のステップ:その血管又は導管を結紮する;第3のステップ:結紮された血管又は導管を切断する。)
肝臓切除の1つのそのような方法は、肝組織を圧搾することによって、圧縮アクションにより組織を解剖するためにケリー式鉗子が使用される既知のケリー鉗子方法を含む。しかしながら、処置は、そのような様々な組織及び血管又は導管を人体内に入れる多くの器具を必要とする場合があり、それによって、組織の状態を評価することに関連する時間及び複雑度が増加し、器具を選択及び/又は変更して、切除を行う場合がある。したがって、組織を圧搾することによって、組織を切断するように構成される一対の圧搾表面(214,216)を有するエンドエフェクタ(212)を伴う外科用器具(210)を提供する一方で、また、隣接ステップカートリッジ(218)を提供し、組織を通る1つ以上の血管又は導管を選択的に結紮することが望ましい場合がある。それによって、単一の外科用器具(210)は、オペレータが組織をより速く評価することと、更なる組織解剖並びに/又は血管及び導管の結紮を続けることとを可能にするであろう。
圧搾表面(214,216)を伴う肝組織(例えば、肝実質)を解剖することと、関連の血管又は導管(例えば、門脈、肝静脈枝、肝動脈枝、肝外血管等)を結紮するステープルを使用することの文脈において、外科用器具(210)が下記に説明される。いくつかの場合(例えば、肝静脈枝及び肝動脈枝等の場合)、オペレータが圧搾表面(214,216)を伴う肝組織を圧搾するとき、ステープルによってシールされる血管又は導管が露出される。他のいくつかの場合(例えば、門脈及び肝外血管等の場合)、ステープルによってシールされる血管又は導管は、オペレータが圧搾表面(214,216)を圧搾する肝組織から分離される。外科用器具(210)及び処置方法の以下の説明が肝臓切除に関連して提供されるが、外科用器具(210)が同様の特徴を伴う人体内のいずれかの組織を処置するように代替的に構成され得ることを認識されるであろう。また、下記に記載する特徴部は、上記に説明された外科用器具(10)に容易に組み込まれ得ることを理解されたい。そのため、同じ数字は、より詳細に上記に説明された同じ特徴部を示す。
以下の例では、エンドエフェクタ(212)は、横向きの方向に間隔がある少なくとも2つの列のステープル(ある列のステープルは別の列のステープルと同じ高さを有する)を適用する。一部の形態では、エンドエフェクタ(212)は、横向きの方向に間隔がある少なくとも2つの列のステープル(ある列のステープルは別の列のステープルと異なる高さを有する)を適用するために修正される。
A.湾曲エンドエフェクタを伴う例示的ステープル留め器具
図9〜図12は、上側圧搾表面(214)、下側圧搾表面(216)、及びステープルカートリッジ(218)を有するエンドエフェクタ(212)を伴う、外科用器具(210)を示す。外科用器具(210)は、また、上記により詳細に説明された、ハンドル組立体(20)及びシャフト組立体(30)を含む。下記に別に説明されるものを除いて、エンドエフェクタ(212)は、ハンドル組立体(20)及びシャフト組立体(30)と連結して、エンドエフェクタ(40)と同様に構成され、操作することができる(図1参照)。
本例のエンドエフェクタ(212)は、下側ジョー(220)及び上側ジョー(222)を更に含む。それらの間で組織を受け入れるために、上側ジョー(222)は、アンビル(224)を形成し、下側ジョー(220)に対して枢動可能に取り付けられている。より具体的には、アンビル(224)は、(例えば、ピストル把持部(22)に向かうように、かつ離れるようにトリガー(24)の枢動移動に応答して、)開放位置と閉鎖位置との間で下側ジョー(220)に向かうように及び離れるように枢動可能である。例えば、本例において、アンビル(224)は、ピン(図示しない)により画定される軸線を中心に枢動し、このピンは、アンビル(224)が下側ジョー(220)に向かって動くと、下側ジョー(220)の湾曲スロット(図示しない)に沿って摺動する。そのような形態では、枢動軸線がスロット(図示しない)によって画定された経路に沿って並進する一方で、アンビル(224)はその軸線を中心として同時に枢動する。追加的にあるいは代替的に、まず枢動軸線がスロット(図示しない)に沿って摺動し、次いで枢動軸線がスロット(図示しない)に沿ってある一定の距離を摺動した後に、アンビル(224)が枢動軸線を中心として枢動してもよい。あるいは、一部の形態は、固定されたままである、かつスロット又はチャネル等の内部を並進しない、軸線を中心としたアンビル(224)の枢動運動を提供してもよい。
図10及び図11に最もわかりやすく示されるように、本例の下側ジョー(220)は、ステープルカートリッジ(218)を受け入れるように構成されるチャネル(226)を画定する。ステープルカートリッジ(218)はチャネル(226)に挿入することができ、エンドエフェクタ(212)を作動することができ、その後、ステープルカートリッジ(218)を取り外し、別のステープルカートリッジ(218)と交換することができる。したがって、下側ジョー(220)は、エンドエフェクタ(212)を作動するためのアンビル(224)と位置合わせされてステープルカートリッジ(218)を解放可能に保持する。いくつかの代替形態では、ステープルカートリッジ(218)の構成要素は、エンドエフェクタ(212)が1回のみ使用され得るように、下側ジョー(220)に完全に組み込まれてもよい。下側ジョー(220)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。
エンドエフェクタ(212)は、概して、外科手術中の組織へのアクセス改善のために成形される。より具体的には、エンドエフェクタ(212)は、閉鎖リング(36)から突出し及び弓形部分(230)まで延在する直線部分(228)を有する。一例の弓形部分(230)は、直線部分(228)に対して右(上から見ると)に、横向きの方向に曲がる。しかしながら、弓形部分(230)は、あるいは、直線部分(228)に対して左(上から見ると)に、横向きの方向に曲がってもよいことを認識されるであろう。いずれかの場合、下側ジョー(220)及び上側ジョー(222)は、図11〜図13に示されるような直線部分(228)及び弓形部分(230)を画定する。追加的に、エンドエフェクタが組織内部の更なるアクセスのためにエンドエフェクタ(212)の遠位先端(232)に向かって横向きの方向の寸法において狭くなるように、下側ジョー(220)及び上側ジョー(222)は先細りになる。したがって、エンドエフェクタ(212)の横方向幅に沿った中心線(233)は、その直線部分(228)及び弓形部分(230)に続いて、エンドエフェクタ(212)に沿って長手方向に延在する。
ステープルカートリッジ(218)は、更に直線部分(228)及び弓形部分(230)を画定することによって及びエンドエフェクタ(212)を先細にすることによって、下側ジョー(220)及び上側ジョー(222)の形状に適応する。そのため、本例のステープルカートリッジ(218)は、カートリッジ本体(234)と、カートリッジ本体(234)の下面に固着されたトレー(図示しない)とを備えている。カートリッジ本体(234)の上面は、アンビル(224)が閉鎖位置にあるとき、組織を圧縮できるデッキ(238)を提示する。一部の形態では、下側圧搾表面(216)は、ステープルカートリッジ(218)に沿って位置付けられている。しかしながら、下側圧搾表面(216)並びに協働する上側圧搾表面(214)が、代わりに、圧縮によって組織を切断するために、エンドエフェクタ(212)に沿って位置付けられてもよいことを認識されるであろう。
カートリッジ本体(234)は、更に、デッキ(238)の中心線(233)に沿った所定のパターンに従って、複数のステープルポケット(242a,242b,242c)を画定する。より具体的には、ステープルカートリッジ(218)は、長手方向に延在する2列のステープルポケット(242a,242b,242c)を含み、そのステープルポケットの2列は、中心線(233)の左側に左列と、中心線(233)の右側に右列とを伴う。
複数のステープル(244a,244b,244c)の1つは、各ステープルポケット(242a,242b,242c)内に位置付けられている。ステープルポケット(242a,242b,242c)の左列及び右列は、複数のステープル(244a,244b,244c)を組織内部に設置し及び結紮の改善のためにステープル間の開口部を抑制するために、中心線(233)に横向きの方向で重なるように構成される。言い換えると、本例の均一な重なりに隣接するステープルポケット(242a,242b,242c)間で、均一な間隔(G1)(図14参照)が維持される。本明細書に使用されるような用語「重ねる」は、少なくとも1方向で別のものと重なる一方の特徴部を含むことが意図される。したがって、ある特徴は、別の特徴からオフセットされ得、更に、これらの特徴が少なくとも1つの平面(横方向を含む横断面等)内で重なる場合において本明細書に説明されるように重なり得る。下記に更に詳細に説明されるように、弓形部分(230)に適応するために、例示的カートリッジ本体(234)がステープル(244a,244b,244c)を伴う様々なステープルポケット(242a,242b,242c)を含む一方で、ステープル(218)の構成が多くの方法で変わり得る。ステープルカートリッジ(218)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。
図12に最もわかりやすく示されるように、本例のアンビル(224)は、複数のステープル成形ポケット(246a,246b,246c)を有する。各ステープル成形ポケット(246a,246b,246c)は、アンビル(224)が閉鎖位置にあるとき、ステープルカートリッジ(218)の対応するステープルポケット(242a,242b,242c)上に置かれるように位置付けられている。ステープル成形ポケット(246a,246b,246c)は、ステープル(244a,244b,244c)が組織を通してアンビル(224)の中に駆動されるとき、ステープル(244a,244b,244c)の各脚部(248)を変形させるように構成される。特に、ステープル成形ポケット(246a,246b,246c)は、成形されたステープル(244a,244b,244c)を組織内で固定するためにステープル(244a,244b,244c)の脚部(248)を曲げるように構成される。アンビル(224)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるであろう。
図13に示されるように、ステープルカートリッジ(218)は、ステープルポケット(242a,242b,242c)内に、対応するステープル(244a,244b,244c)のセットの下部に、及びトレー(図示しない)の上方に位置付けられる、ステープル列ドライバ(252)及び交差ステープルドライバ(254)を含む。以下でより詳細に説明されるように、ステープルドライバ(252,254)はステープルポケット(242a,242b,242c)内に上向きに並進するように動作可能であり、これによりステープル(244a,244b,244c)を、ステープルポケット(242a,242b,242c)を通って上向きに駆動させ、アンビル(224)と係合させる。ステープルドライバ(252,254)は、楔形スレッド(256)を遠位に並進させることにより上向きに駆動され、この楔形スレッドはカートリッジ本体(234)とトレー(図示しない)との間に捕捉されて、これが、一対のカムスロット(257)に沿ってカートリッジ本体(234)を通って長手方向に並進する。楔形スレッド(256)は、先端カム表面(260)、中間カム表面(262)、及び後端カム表面(264)を有するカムランプ(258)を含む。ほんの一例として、先端カム表面(260)は水平面に対して約45度の角度であってもよく、中間カム表面(262)は水平面に対して約22度の角度であってもよい。あるいは、その他の任意の好適な角度を用いてもよい。カムランプ(258)は、概して、ステープルドライバ(252,254)に係合されるように構成されており、これにより、楔形スレッド(256)が、ステープルカートリッジ(218)を通って長手方向に近位スレッド位置から遠位スレッド位置まで並進するとき、ステープルドライバ(252,254)を上向きに駆動させる。例えば、楔形スレッド(256)が近位スレッド位置にあるとき、ステープルドライバ(252,254)は下方位置にあり、ステープル(244a,244b,244c)は、デッキ(238)の下方のステープルポケット(442)内に位置する。
楔形スレッド(256)は、並進部材(266)によって遠位に駆動される。ほんの一例として、並進部材(266)は、トリガー(26)を作動させることによって、遠位に並進してもよい。したがって、並進部材(266)は、上記に説明された発射ビーム(82)に同様の様式で動作してもよいが、並進部材(266)は、切断縁部(84)がなく、別の方法で組織を切断できない。並進部材(266)によって楔状スレッド(256)が遠位スレッド位置に駆動されると、楔状スレッド(256)がステープルドライバ(252,254)を上向きに駆動することにより、ステープル(244a,244b,244c)をステープルポケット(242a,242b,242c)から、ステープル形成ポケット(246a,246b,246c)内へと駆動する。したがって、楔形スレッド(256)が水平面に沿って並進すると、ステープルドライバ(252,254)は各垂直面に沿って並進する。
1.エンドエフェクタの直線部分及び弓形部分の例
直線部分(228)及び弓形部分(230)を伴うエンドエフェクタ(212)は、治療中、患者内の組織へのより大きなアクセスを提供するように構成される。図13及び図14は、より詳細に下側ジョー(220)を示す。下側ジョー(220)は、中心線(233)に沿って、長手方向に延在する4つの異なる部分、順に、下側ジョー(220)の近位端部からの部分(270)と、直線部分(228)と、弓形部分(230)と、ステープルカートリッジ(218)の遠位先端までの部分(232)とを有する。したがって、下側ジョー(220)内のチャネル(226)は、ステープルカートリッジ(218)を受け入れ及びこれらの部分(270,228,230,232)をまとめて画定するように構成されている。
本例の下側ジョー(220)は、図14に示されるように、ステープルカートリッジ(218)の当接部(272,274)と下側ジョー(220)の対応する当接部(276,278)との間のチャネル(226)内部にステープルカートリッジ(218)を収容する。したがって、チャネル(226)は、ステープルカートリッジ(218)を効率的に支え、ステープルカートリッジ(218)の当接部(272,274)は、ステープルカートリッジ(218)を水平面内で固定するために、下側ジョー(220)の対応する当接部(276,278)によって捕捉される。下側ジョー(220)及びステープルカートリッジ(218)は、また、ステープルカートリッジ(218)を垂直面内に解放可能に固定するための対応する戻り止め(図示しない)が提供されている。チャネル(226)がステープルカートリッジ(218)を受け入れるので、下側ジョー(222)の外側幅(W1,W2,W3)は、下側ジョー(222)の周囲壁によって画定される。対照的に、ステープルカートリッジ(218)の遠位先端(232)は、下側ジョー(222)を越えて遠位に突出し、ひいては、使用時、下側ジョー(220)の外側幅(W4)を画定する。しかしながら、ステープルカートリッジ(218)と下側ジョー(220)との間の配置は、どちらかの特徴が下記に説明される特定の寸法を画定し得るように、変わる場合があることを認識されるであろう。したがって、本明細書の教示を考慮することで、幅(W1,W2,W3,W4)を伴うエンドエフェクタ(212)の他の好適な構成が、当業者に明らかとなるであろう。
近位端部分(270)は、幅(W1,W2,W3,W4)のうちの略最大幅部である近位幅(W1)を画定している。この理由として、近位端部分(270)が、それぞれ、ステープルカートリッジ(218)及び下側ジョー(222)の当接部(274,278)を含むためである。エンドエフェクタ(212)は、近位端部分(270)から、直線幅(W2)を画定する直線部分(228)まで狭くなる。一例では、直線幅(W2)は、直線部分(228)全体にわたって中心線(233)に沿って略一定である。直線部分(228)は、弓形部分(230)まで遠位に延在する。
本例の弓形部分(230)は、図14に示されるように、弓形部分幅は可変であるが平均弓形部分幅(W3)を有するように、直線部分(228)から遠位先端(232)に向かって連続して下向きに先細りになっている。したがって、弓形部分(230)は曲がり、組織内部のアクセスの改善のために先細りになっている。対応する当接部(276,278)の遠位端に適応するために、弓形部分(230)の遠位端が遠位先端(232)よりも狭くなる一方、上記に述べられたように、遠位幅(W4)は、概して、幅(W1、W2、W3)よりも狭くなる。遠位先端(232)が弓形部分(228)から遠位に延在し及び略曲線的であることにより、遠位先端(232)は、遠位先端(232)と接触する組織を必ずしも突き刺すことなく、切開することなく、又は引き裂くことなく、組織の間に入り込ませ及び組織を分離するために使用されてもよい。上記のこれらの特徴の多くが下側ジョー(216)に関して具体的に説明される一方、対応する近位端部分(270)、直線部分(228)、弓形部分(230)、及び遠位先端(232)は、また、上側ジョー(212)にも含まれることを認識されるであろう(図13参照)。
2.組織切除の例示的方法
図15A〜図15Fは、エンドエフェクタ(212)を使用して肝実質組織(310)等の組織を切除し、組織内の血管又は導管(316)を結紮する一例を示す。上記に述べたように、血管又は導管(316)は、肝静脈又は肝動脈を含んでもよい。また、本方法は、更に、門脈及び肝外血管等の他の組織を結紮するためのエンドエフェクタ(212)の使用を含み得ることを理解されたい。
図15Bに示されるように、オペレータは、血管又は導管(316)を含む組織(310)が下側ジョー(220)と上側ジョー(222)との間に位置するようにエンドエフェクタ(212)を位置付ける。次に、オペレータは、上側ジョー(222)の上側圧搾表面(214)と下側ジョー(220)の下側圧搾表面(216)との間でそれぞれ組織(310)を圧縮し、所定の圧搾圧力を組織(310)に伝える。ほんの一例として、ジョー(220、222)は、トリガー(24)をピストル把持部(22)に向かって枢動させることによって、この様式で作動することができる。ジョー(220、222)は、必ずしも完全閉鎖構成に作動させる必要はないことを理解されたい。いくつかの場合、オペレータは、オペレータが血管又は導管(316)を好ましくない方法で損傷させずに、組織(310)を適切に圧搾する所望の間隔をジョー(220、222)の間で得たかどうかを、トリガー(24)及びピストル把持部(22)を通した触覚フィードバックに頼って判定してもよい。追加的にあるいは代替的に、オペレータは、視覚フィードバックに頼ってもよい。
いずれかの場合、ジョー(220、222)によってかけられる圧搾圧力が、組織(310)を効率的に切断し、次に、オペレータは、エンドエフェクタ(212)を組織(310)から取り外し、いずれかの血管又は導管(316)が存在するかどうかを視認する。図15Cに示されるように、組織(310)の切断部の間に延在する血管又は導管(316)は無傷で露出したままの状態である。
いくつかの場合、オペレータは、血管又は導管(316)を無傷のままの状態にさせ得る。しかしながら、本例では、オペレータは、図15D及び図15Eに示されるように、血管又は導管(316)を結紮し、組織(310)の切断部の切除を完了させる。結紮は、上記により詳細に説明されたように、血管又は導管(316)内部の重なるステープル(244a,244b,244c)の少なくとも一部の配置を含む。したがって、同じエンドエフェクタ(212)は、肝臓の組織(310)を圧搾し(及びそれによって切断し)、また、組織(310)内の血管又は導管(316)を結紮するために使用され得ることを理解されたい。本例では、血管又は導管(316)の結紮後、オペレータは、エンドエフェクタ(212)を肝組織(310)から取り外し、血管又は導管(316)を、組織を切開することに関する技術分野で既知の別の外科用器具(例えば、従来式ブレード又はハサミ等)(図示しない)で切断する。それによって、オペレータは、図15Fに示されるような、組織(310)の右部と、血管又は導管(316)の対応する部分との切除を完了する。適用されるステープル(244a)は、血管又は導管(316)の切断された端(318)をシールする。
上記に説明されたように、オペレータは、図15Cに示されるような血管(316)を視認するために、エンドエフェクタ(212)を取り外す。あるいは、オペレータは、図15Bに示されるように、所定の圧搾圧力(又は上記に述べたような触覚及び/若しくは視覚フィードバックに基づいて決定されたもの)をかけてもよく、その直後に、エンドエフェクタ内に残っている血管又は導管(316)等のいずれかの組織を切断又は結紮してもよい。したがって、そのような組織を視認する必要はないが、オペレータは、1つ以上の肝臓切除手術で望まれるそのような視認を満足し得る。上記に説明された切除は、単なる例証にすぎず、肝組織に限定されるものではないことが認識されるであろう。あるいは、エンドエフェクタ(212)での組織切除は、患者内の他の組織でユーザによって望まれるように行われてもよい。
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点においても提示され得るいずれの請求項の適用範囲をも制限することを目的としたものではない点が理解されるべきである。一切の放棄を意図するものではない。以下の実施例は単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると企図される。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してもよいことも企図される。したがって、本発明者によって、又は本発明者の利益となる継承者によって、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも必須なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる特徴は、特許性に関連するいずれかの理由によって追加されたものとして見なされるべきではない。
(実施例1)
患者の組織を処置するための外科用器具であって、(a)シャフト組立体と、(b)ジョーの中心線に沿ってシャフト組立体から延在するエンドエフェクタであって、(i)アンビルに接して押圧される複数のステープルを形成するように構成されるアンビルを有する、第1のジョーと、(ii)第2のジョーと、を備え、第1及び第2のジョーは開放構成と閉鎖構成との間で移行するように構成されており、第1のジョー及び第2のジョーは、エンドエフェクタの直線部分及びエンドエフェクタの弓形部分を画定し、弓形部分が直線部分から遠位に延在することにより、エンドエフェクタの弓形部分は、治療のために、患者内の組織へのアクセスを提供するように構成されている、エンドエフェクタと、を備えている、外科用器具。
(実施例2)
直線部分は、中心線に略垂直である近位横方向幅を画定し、弓形部分は、中心線に略垂直である遠位横方向幅を画定し、エンドエフェクタが、直線部分から弓形部分に向かって内向きに先細りになることにより、遠位横方向幅は近位横方向幅よりも狭くなっている、実施例1に記載の外科用器具。
(実施例3)
弓形部分の遠位横方向幅は、直線部分から中心線に沿って遠位に中心線に向かって内向きに先細りになっている、実施例2に記載の外科用器具。
(実施例4)
エンドエフェクタは、遠位先端を備え、弓形部分は、直線部分から遠位先端まで中心線に向かって内向きに先細りになっている、実施例3に記載の外科用器具。
(実施例5)
第2のジョー内部で受け入れられるステープルカートリッジを更に備え、ステープルカートリッジは、(i)アンビルに面するデッキと、(ii)デッキを通るように形成される複数のステープル開口と、(iii)複数のステープル開口内部でそれぞれ位置付けられる複数のステープルと、を備えている、実施例1〜4のいずれか1つ以上の例に記載の外科用器具。
(実施例6)
複数のステープル開口は、ステープル開口の第1の列及びステープル開口の第2の列を備え、ステープル開口の第1の列及び第2の列は、中心線の各側に位置付けられ、直線部分及び弓形部分のそれぞれにおけるデッキ上に形成されている、実施例5に記載の外科用器具。
(実施例7)
ステープル開口の第1の列は、ステープル開口の外側列を備え、ステープル開口の第2の列はステープル開口の内側列を備え、ステープル開口の外側列は、弓形部分の中心線から半径方向外向きに位置付けられ、ステープル開口の内側列は、弓形部分の中心線から半径方向内向きに位置付けられている、実施例6に記載の外科用器具。
(実施例8)
ステープル開口の外側列は、複数のステープル開口の間に複数の外側間隔を画定し、ステープル開口の内側列は、複数のステープル開口の間に複数の内側間隔を画定し、内側間隔及び外側間隔は、同等の伸長度を有する、実施例7に記載の外科用器具。
(実施例9)
複数のステープル開口は、ステープル開口の外側列と内側列との間に延在する少なくとも1つのステープル開口を更に備え、少なくとも1つのステープル開口は、中心線をまたぐ、実施例6〜8のいずれか1つ以上の例に記載の外科用器具。
(実施例10)
中心線をまたぐ少なくとも1つのステープル開口は、デッキ内の最遠位ステープル開口である、実施例9に記載の外科用器具。
(実施例11)
ステープルカートリッジは、近位スレッド位置から遠位スレッド位置までデッキに接近して摺動するように構成された楔形スレッドを更に備え、近位スレッド位置は、エンドエフェクタの直線部分にあり、遠位スレッド位置は、エンドエフェクタの弓形部分にある、実施例5〜10のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
(実施例12)
ステープルカートリッジは、デッキの下方に位置付けられたスロットを更に備え、スロットは、直線部分及び弓形部分のそれぞれを少なくとも部分的に通り中心線に沿って延在する、実施例11に記載の外科用器具。
(実施例13)
ステープルカートリッジは、第1のドライバ及び第2のドライバを有するドライバ組立体を更に備え、第1のドライバは複数のステープルの第1のステープルを受け入れ、第2のドライバは複数のステープルの第2のステープルを受け入れ、ドライバ組立体は、遠位スレッド位置に向かって摺動する楔形スレッドによって係合されるように、かつ第1のジョーに向かって押されるように構成され、それにより、第1の第2のステープルを組織内で形成するためのアンビルに向かって押す、実施例12に記載の外科用器具。
(実施例14)
楔形スレッドは、カムランプを備え、カムランプは、スロット内部の中心線上に位置付けられ、ドライバ組立体に係合し、かつ第1のジョーに向かってドライバ組立体を押すように構成されている、実施例13に記載の外科用器具。
(実施例15)
第1のジョーは、中心線に略平行に延在する第1の圧搾表面を備え、第1の圧搾表面は、第1の圧搾表面に接する組織を受け入れるように構成され、第2のジョーは中心線に略平行に延在する第2の圧搾表面を備え、第2の圧搾表面は、第2の圧搾表面に接する組織を受け入れるように構成され、第1及び第2の圧搾表面は、第1の圧搾表面と第2の圧搾表面との間の組織を、第1及び第2の圧搾表面に沿って組織を切断するように構成された圧搾圧力で、圧縮するように構成されている、実施例1〜14のいずれか1つ以上に記載の外科用器具。
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現要素、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適切な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
参照により本明細書に援用されると言及されたいかなる特許、刊行物、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、援用された内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されたその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に援用されることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に援用されるいかなる矛盾する記載にも優先するものとする。参照により本明細書に援用されるものとするが、現行の定義、見解、又は本開示に記載されたその他の開示内容と矛盾する、任意の文献、又はそれらの部分は、援用文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ援用されるものとする。
上述の装置の変形形態は、医療専門家によって行われる従来の治療及び処置での用途だけでなく、ロボット支援された治療及び処置での用途も有することができる。あくまでも一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示が、以下の特許文献などのうちの任意のものの様々な教示と容易に組み合わされ得ることを認めるであろう。その特許文献などとは、その開示が参照により本明細書に組み込まれている1998年8月11日に発行された「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1998年10月6日に発行された「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題する米国特許第5,817,084号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1999年3月2日に発行された「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題する米国特許第5,878,193号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2001年5月15日に発行された「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題する米国特許第6,231,565号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日に発行された「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題する米国特許第6,783,524号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2002年4月2日に発行された「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題する米国特許第6,364,888号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2009年4月28日に発行された「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題する米国特許第7,524,320号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2010年4月6日に発行された「Platform Link Wrist Mechanism」と題する米国特許第7,691,098号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月5日に発行された「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題する米国特許第7,806,891号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年1月10日に公開された「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題する米国特許出願公開第2013/0012957号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Robotically−Controlled Surgical Instrument with Force−Feedback Capabilities」とする米国特許出願公開第2012/0199630号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年5月31日に公開された「Shiftable Drive Interface for Robotically−Controlled Surgical Tool」と題する米国特許出願公開第2012/0132450号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Surgical Stapling Instruments with Cam−Driven Staple Deployment Arrangements」と題する米国特許出願公開第2012/0199633号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Robotically−Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題する米国特許出願公開第2012/0199631号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Robotically−Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題する米国特許出願公開第2012/0199632号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Robotically−Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許出願公開第2012/0203247号、2012年8月23日に公開された「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許出願公開第2012/0211546号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている2012年6月7日に公開された「Robotically−Controlled Cable−Based Surgical End Effectors」と題する米国特許出願公開第2012/0138660号、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている2012年8月16日に公開の名称を「Robotically−Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」とする米国特許出願公開第2012/0205421号である。
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分するように設計されることができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。いずれか又は両方の場合において、変形形態は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部材又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置のいくつかの変更例は、再調整用の施設で、又は手術の直前にオペレータによって、その後の使用のために再組み立てされてもよい。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を使用できる点を認識するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
あくまで一例として、本明細書に記載される変形形態は、手術の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖及び密封された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置くことができる。放射線は、装置の表面及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器中で保管することができる。デバイスはまた、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、技術分野で既知の任意の別の技術を用いて滅菌され得る。
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記で論じた実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
〔実施の態様〕
(1) 患者の組織を処置するための外科用器具であって、
(a)シャフト組立体と、
(b)ジョー中心線に沿って前記シャフト組立体から延在するエンドエフェクタであって、
(i)アンビルに接して押圧される複数のステープルを形成するように構成される前記アンビルを有する第1のジョーと、
(ii)第2のジョーと、を備え、前記第1及び前記第2のジョーが開放構成と閉鎖構成との間で移行するように構成され、
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記エンドエフェクタの直線部分及び前記エンドエフェクタの弓形部分を画定し、前記弓形部分が前記直線部分から遠位に延在することにより、前記エンドエフェクタの前記弓形部分は、治療のために、患者内の組織へのアクセスを提供するように構成されている、エンドエフェクタと、
を備える、外科用器具。
(2) 前記直線部分は、前記中心線に略垂直である近位横方向幅を画定し、前記弓形部分は前記中心線に略垂直である遠位横方向幅を画定し、前記エンドエフェクタが前記直線部分から前記弓形部分に向かって内向きに先細りになることにより、前記遠位横方向幅は前記近位横方向幅よりも狭くなっている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記弓形部分の前記遠位横方向幅は、前記直線部分から前記中心線に沿って遠位に前記中心線に向かって内向きに先細りになっている、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記エンドエフェクタは、遠位先端を備え、前記弓形部分は、前記直線部分から前記遠位先端まで前記中心線に向かって内向きに先細りになっている、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記第2のジョー内部で受け入れられるステープルカートリッジを更に備え、前記ステープルカートリッジは、
(i)前記アンビルに面するデッキと、
(ii)前記デッキを通るように形成される複数のステープル開口と、
(iii)前記複数のステープル開口内部にそれぞれ位置付けられる複数のステープルと、
を備えている、実施態様1に記載の外科用器具。
(6) 前記複数のステープル開口は、ステープル開口の第1の列及びステープル開口の第2の列を備え、前記ステープル開口の第1の列及び第2の列は、中心線の各側に位置付けられ、前記直線部分及び前記弓形部分のそれぞれの前記デッキに形成されている、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記ステープル開口の第1の列は、ステープル開口の外側列を備え、前記ステープル開口の第2の列は、ステープル開口の内側列を備え、前記ステープル開口の外側列は、前記弓形部分内の前記中心線から半径方向外向きに位置付けられ、前記ステープル開口の内側列は、前記弓形部分内の前記中心線から半径方向内向きに位置付けられている、実施態様6に記載の外科用器具。
(8) 前記ステープル開口の外側列は、前記複数のステープル開口の間の複数の外側間隔を画定し、前記ステープル開口の内側列は、前記複数のステープル開口の間の複数の内側間隔を画定し、前記内側間隔及び外側間隔は、同等の伸長度を有する、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 前記複数のステープル開口は、前記ステープル開口の第1の列と第2の列との間に延在する少なくとも1つのステープル開口を更に含み、前記少なくとも1つのステープル開口は、前記中心線をまたぐ、実施態様6に記載の外科用器具。
(10) 前記中心線をまたぐ前記少なくとも1つのステープル開口は、前記デッキにおける最遠位ステープル開口である、実施態様9に記載の外科用器具。
(11) 前記ステープルカートリッジは、近位スレッド位置から遠位スレッド位置まで前記デッキに接近して摺動するように構成されている楔形スレッドを更に備え、前記近位スレッド位置は、前記エンドエフェクタの前記直線部分にあり、前記遠位スレッド位置は、前記エンドエフェクタの前記弓形部分にある、実施態様5に記載の外科用器具。
(12) 前記ステープルカートリッジは、前記デッキの下方に位置付けられたスロットを更に備え、前記スロットは、前記直線部分及び前記弓形部分のそれぞれを少なくとも部分的に通り前記中心線に沿って延在する、実施態様11に記載の外科用器具。
(13) 前記ステープルカートリッジは、第1のドライバ及び第2のドライバを有するドライバ組立体を更に備え、前記第1のドライバは、前記複数のステープルの第1のステープルを受け入れ、前記第2のドライバは、前記複数のステープルの第2のステープルを受け入れ、前記ドライバ組立体は、前記遠位スレッド位置に向かって摺動する前記楔形スレッドによって係合されるように、かつ前記第1のジョーに向かって押されるように構成され、それにより、前記第1及び第2のステープルを組織内での形成のために前記アンビルに向かって押す、実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記楔形スレッドは、カムランプを備え、前記カムランプは、前記スロット内部の前記中心線上に位置付けられ、前記ドライバ組立体に係合し、かつ前記第1のジョーに向かって前記ドライバ組立体を押すように構成されている、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記第1のジョーは前記中心線に略平行に延在する第1の圧搾表面を備え、前記第1の圧搾表面は前記第1の圧搾表面に接する組織を受け入れるように構成され、前記第2のジョーは、前記中心線に略平行に延在する第2の圧搾表面を備え、前記第2の圧搾表面は、前記第2の圧搾表面に接する組織を受け入れるように構成され、前記第1及び第2の圧搾表面は、前記第1の圧搾表面と前記第2の圧搾表面との間の組織を、前記第1及び第2の圧搾表面に沿って前記組織を切断するように構成される圧搾圧力で、圧縮するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。

Claims (4)

  1. 患者の組織を処置するための外科用器具であって、
    (a)シャフト組立体と、
    (b)ジョー中心線に沿って前記シャフト組立体から延在するエンドエフェクタであって、
    (i)複数のステープル形成ポケットを備えるアンビルを有する第1のジョーであって、前記複数のステープル形成ポケットがそれぞれ、前記アンビルに接して押圧される複数のステープルを形成するように構成されている、第1のジョーと、
    (ii)第2のジョーと、を備え、前記第1及び前記第2のジョーが開放構成と閉鎖構成との間で移行するように構成され、
    前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記エンドエフェクタの直線部分及び前記エンドエフェクタの弓形部分を画定し、前記弓形部分が前記直線部分から遠位に延在することにより、前記エンドエフェクタの前記弓形部分は、治療のために、患者内の肝臓の組織へのアクセスを提供するように構成されている、エンドエフェクタと、
    を備え、前記複数のステープル形成ポケットは、第1のステープル形成ポケットの列と第2のステープル形成ポケットの列とを含み、前記第1ステープル形成ポケットの列は、前記直線部分及び前記弓形部分のそれぞれの前記ジョー中心線の一方側に位置付けられており、前記第2のステープル形成ポケットの列は、前記直線部分及び前記弓形部分のそれぞれの前記ジョー中心線の他方側に位置付けられており、前記アンビルは、前記第1のステープル形成ポケットの列と前記第2のステープル形成ポケットの列との間に他のステープル形成ポケットの列、及び長手方向に延在するチャネルを備えず、前記アンビルは更に、前記第1のステープル形成ポケットの列と前記第2のステープル形成ポケットの列との間に横方向に連続した平坦な表面を含み、前記連続した平坦な表面は、前記第1及び第2のステープル形成ポケットの列のうちの少なくとも一方の長さに沿って長手方向に延びる、外科用器具。
  2. 前記直線部分は、前記ジョー中心線に略垂直である近位横方向幅を画定し、前記弓形部分は前記ジョー中心線に略垂直である遠位横方向幅を画定し、前記エンドエフェクタが前記直線部分から前記弓形部分に向かって内向きに先細りになることにより、前記遠位横方向幅は前記近位横方向幅よりも狭くなっている、請求項1に記載の外科用器具。
  3. 前記弓形部分の前記遠位横方向幅は、前記直線部分から前記ジョー中心線に沿って遠位に前記ジョー中心線に向かって内向きに先細りになっている、請求項2に記載の外科用器具。
  4. 前記エンドエフェクタは、遠位先端を備え、前記弓形部分は、前記直線部分から前記遠位先端まで前記ジョー中心線に向かって内向きに先細りになっている、請求項3に記載の外科用器具。
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