JP6937428B2 - ハイドロゲル - Google Patents

ハイドロゲル Download PDF

Info

Publication number
JP6937428B2
JP6937428B2 JP2020509980A JP2020509980A JP6937428B2 JP 6937428 B2 JP6937428 B2 JP 6937428B2 JP 2020509980 A JP2020509980 A JP 2020509980A JP 2020509980 A JP2020509980 A JP 2020509980A JP 6937428 B2 JP6937428 B2 JP 6937428B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
hydrogel
weight
water
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020509980A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019188818A1 (ja
Inventor
諒 飯塚
諒 飯塚
一希 加藤
一希 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Kasei Co Ltd filed Critical Sekisui Kasei Co Ltd
Publication of JPWO2019188818A1 publication Critical patent/JPWO2019188818A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6937428B2 publication Critical patent/JP6937428B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/24Detecting, measuring or recording bioelectric or biomagnetic signals of the body or parts thereof
    • A61B5/25Bioelectric electrodes therefor
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N1/00Electrotherapy; Circuits therefor
    • A61N1/02Details
    • A61N1/04Electrodes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/18Layered products comprising a layer of synthetic resin characterised by the use of special additives
    • B32B27/24Layered products comprising a layer of synthetic resin characterised by the use of special additives using solvents or swelling agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/30Adhesives in the form of films or foils characterised by the adhesive composition
    • C09J7/38Pressure-sensitive adhesives [PSA]

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Electrotherapy Devices (AREA)
  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、ハイドロゲルに関する。特に、生体に貼付して用いる医療用電極におけるハイドロゲルに関する。
自動体外式除細動器(AED)の電極もしくは電気メスの対極板として、また、心電図の測定や、低周波・中周波等の電気刺激を用いて治療を行う際に用いる医療用電極においては、生体に貼付する部分にハイドロゲルの粘着材(医療用電極ハイドロゲル)が用いられている。このハイドロゲルは、導電材料から構成される電極エレメントと皮膚表面との間に配置され、導電材料としては、カーボンや各種金属、Ag−AgCl(銀/塩化銀)等が使用されている。
特に、対極板として用いる医療用電極では、電極にカーボンや銀シート(Ag−AgCl等の印刷物)を用いると、電気容量が不十分であり使用に耐えられない。一方、アルミニウムから構成される電極は、電気メスの高電流体のアースとして使用可能であるが、長期保管や加熱保管によってアルミニウムが腐食し、電極面積が低下し、一部の導通性が低下することがあった。腐食の大きな要因の一つとして、ハイドロゲルに含まれる電解質(塩化物イオン)がある。
これに対し、特許文献1には、導電性ゲルと、電極用素子と、生体用電極と外部機器とを電気的に接続するためのケーブルとを含む、生体用電極において、前記電極用素子が、X線を透過し、導電性ゲルに対して耐食性を有するAl合金を用いて形成された薄膜である生体用電極が開示されている。
特開2013−192818号公報
上記特許文献1の生体用電極(医療用電極)では、アルミニウムにMn等の成分を添加し、合金とすることで腐食性を低減しているが、電極の単価が高く、生産ロットが大きいため、安価に作製することが困難である。
また、医療用電極の長い保存期間を確保するために、電極エレメントの酸化による腐食を考慮して、電極エレメントを厚くすることも試みられているが、電極エレメントを厚くすると医療用電極の柔軟性が低下し、皮膚との接触性が悪化する。その場合、AED用途では除細動時に火傷等の問題を生ずることが懸念される。また、対極板用途においても、電熱面積が低下し、同様に火傷の危険性が高まることが懸念される。
そこで本発明は、電極エレメントとの接着性に優れ、皮膚表面に対しては最適な粘着力を有しつつ、電極エレメントとして使用されるアルミニウムやスズ等の腐食対象物への腐食耐性があるハイドロゲルを提供することを目的とする。
本発明者らは、電極エレメント側に塩化物イオンを含まない無機塩、皮膚側へは塩化物イオンを含む無機塩を含有させた複数のゲルを作製し、それらのゲルを積層させることによって上記課題が解決できることを見出し、発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)A層とB層との積層構造を有するハイドロゲルであって、
前記A層には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質が含まれ、前記A層における塩化物イオン濃度が前記水に対して2.0重量%以下であり、
前記B層には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質が含まれ、
pHが3〜7である、前記ハイドロゲル。
(2)前記A層における電解質の添加量が、20℃における水への溶解度に対して60〜100重量%である前記(1)に記載のハイドロゲル。
(3)前記A層におけるモノマー由来成分と前記B層におけるモノマー由来成分とが同一の化合物である前記(1)又は(2)に記載のハイドロゲル。
(4)モノマー由来成分が、(メタ)アクリル系モノマーを含む前記(3)に記載のハイドロゲル。
(5)前記保湿剤が、多価アルコールである前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のハイドロゲル。
(6)前記A層のアルミニウムに対する粘着力が、2.5N/20mm以上であり、前記B層のベークライト板に対する粘着力が、1.0〜9.0N/20mmである前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のハイドロゲル。
(7)SUS板との積層体について測定した周波数1kHzでのインピーダンスが20〜500Ωであり、周波数10Hzでのインピーダンスが200〜600Ωである前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のハイドロゲル。
(8)積層構造を有するハイドロゲルの面内方向に沿って、中間基材が埋め込まれる前記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のハイドロゲル。
(9)導電材料から構成される電極エレメントと皮膚表面との間に配置して用いられる医療用電極ハイドロゲルであって、前記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のハイドロゲルからなり、前記A層が、前記電極エレメントに接触する層であり、前記B層が、前記皮膚表面に接触する層である、前記医療用電極ハイドロゲル。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2018−068906号の開示内容を包含する。
本発明のハイドロゲルは、塩化物イオンを含まないか少量のみ含むA層と、B層との積層構造を採用し、pHを特定範囲内に制御したことにより、全体のインピーダンスを良好な範囲に維持しつつ、ハイドロゲル中の成分による電極エレメントへの腐食アタックを抑制することができる。したがって、経時による安定性に優れた高い電極性能を有する医療用電極を安価に供給することができる。
本発明に係るハイドロゲルを用いた医療用電極の一実施形態の断面を模式的に示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1に、本発明に係るハイドロゲルを用いた医療用電極の一実施形態の断面を示す。この実施形態におけるハイドロゲル1は、A層10とB層20とを積層して構成される。次に、A層10及びB層20のそれぞれの組成について説明する。
A層10には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質が含まれている。そして、A層10における塩化物イオン濃度が水に対して2.0重量%以下であることを特徴とする。
(モノマー由来成分)
A層で使用されるモノマー由来成分は、重合により架橋部位を含む水溶性高分子の状態で含まれている。水溶性高分子は、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとの共重合体により得ることができる。例えば、水溶性の(メタ)アクリル系モノマーと2以上のアルケニル基を有する架橋性モノマーとの共重合体を用いることができる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル変成(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマーを例示できる。また、N−ビニルアミド等の水溶性のモノマーを例示することができる。
また、2以上のアルケニル基を有する架橋性モノマーとしては、多官能アクリレート、多官能アクリルアミド等の架橋性モノマーを例示することができる。
この架橋された水溶性高分子によって、水溶性高分子のマトリックスを構成することができる。すなわち、モノマー由来成分から構成される架橋された水溶性高分子、水、保湿剤及び電解質が含まれる組成物であって、前記の水、保湿剤及び電解質がこの水溶性高分子のマトリックス内に含まれるハイドロゲルを得ることができる。
水溶性高分子を構成するモノマー由来成分としての非架橋性モノマーの具体例をさらに詳述すると、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の非電解質系アクリルアミド誘導体、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)及び/又はその塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAA)塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)塩酸塩等の電解質系アクリルアミド誘導体、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スルホプロピルメタクリレート(SPM)及び/又はその塩、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(QDM)等の電解質系アクリル誘導体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の非電解質系アクリル誘導体が挙げられる。
架橋性モノマーの具体例としては、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」は、それぞれ、「アクリル及びメタクリル」、「アクリレート及びメタクリレート」を意味する。
A層中における架橋された水溶性高分子の含有量は、非架橋性モノマーと架橋性モノマーを含む配合液を調製する際、当該非架橋性モノマーと当該架橋性モノマーが均一に溶解していれば、特に限定されるものではない。しかし、前記架橋された水溶性高分子は、好ましくは、得られるゲル体のゲル強度を維持し、保型性、加工性を高めるために、A層全量に対して15重量%以上であり、18重量%以上であることがさらに好ましい。
また、架橋された水溶性高分子のマトリックスを形成するためには、非架橋性モノマーを用いるが、当該非架橋性モノマーは、主として水溶性であり、水への溶解度が十分高く、特に、常温で液体のモノマーの場合は任意の割合で水と溶解するモノマーが好ましい。反面、A層を構成する組成物には、水とモノマー以外にも保湿剤や、電解質、必要に応じて、重合開始剤等の添加剤も溶解させる必要がある場合があり、この場合は、架橋された水溶性高分子の濃度は、A層全量に対して35重量%以下に設定することが好ましく、30重量%以下に設定することがさらに好ましい。
前記架橋性モノマーのA層全量に対する含有量は、前記非架橋性モノマーあるいは当該架橋性モノマーの分子量や化学的、物理的特性に応じて適宜設定するべきであるが、得られるゲル体の保型性を高めるためには0.01重量%以上に設定することが好ましく、0.05重量%以上に設定することがさらに好ましい。逆に、保型性を損なわない程度に柔軟性を有している方が、粘着材として使用する際の初期タックが得やすいことから、1.0重量%以下に設定することが好ましく、0.6重量%以下に設定することがさらに好ましい。
上述のように、前記非架橋性モノマーはマトリックスの大部分を占めるため、水溶性が高い方が好ましい。例えば溶解度においては少なくとも20(g/100mL−H2O)以上であることが好ましく、さらに好ましくは50(g/100mL−H2O)以上であり、最も好ましくは65(g/100mL−H2O)以上である。
前記架橋性モノマーは、マトリックスの一部を構成するため、必ずしも水溶性のものを使用しなくてもマトリックス全体の親水性が損なわれることはない。水溶性が低い架橋性モノマーを前記配合液に溶解させる方法としては、例えば架橋性モノマーが液体の場合は非架橋性モノマーに溶解させる方法があり、非架橋性モノマー以外に多価アルコール等の保湿剤に溶解して添加する方法もある。
(保湿剤)
A層には、保湿性、可塑性を向上させるために保湿剤を含有させる。保湿剤としては、多価アルコールを用いることが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変成体等が使用可能である。なお、保湿剤としては、常温(好ましくは氷点下10℃以上で)で液状、詳細には、ゲル体を実際に使用する温度領域(例えば室内で使用する場合は20℃前後)で液状の多価アルコールを使用することが好ましい。
A層には、水が含まれるため、保湿剤無くしては短時間で水分が蒸発及び/又は乾燥しやすく、可塑性が損なわれるとともに粘着性、特に初期タック力が著しく低下しやすい。また、本発明のハイドロゲルを、医療用電極に用いる場合に、水分が蒸発すると、電極のインピーダンスが高くなり、さらに電極が特定のインピーダンスを超えた場合には使用不可能になる。したがって、保湿剤は、A層に添加することにより、水分が一定以上蒸発するのを防止すると同時に、当該保湿剤が常温で液状であれば、保湿剤自体が可塑剤としての機能をも有する。
A層内における保湿剤の濃度は、保湿性、可塑性を維持し、優れた安定性を発現するために、A層全量に対して35重量%以上であることが好ましく、さらに、40重量%以上であることがより好ましい。また、この保湿剤の量は、得られるゲル体の腰強度、粘着力を確保する意味において、一定以上の樹脂固形分の含有量を確保するため、A層全量に対して70重量%以下であることが好ましく、65重量%以下であることがより好ましい。
(水)
A層に含まれる水の濃度は、後述する粘着性を有する水不溶性高分子等を安定的に分散させるために、配合液中に13重量%以上、つまりA層全量に対して13重量%以上であることが好ましく、18重量%以上であることがさらに好ましい。また、蒸発、乾燥によるゲル物性の変動を抑え、ゲル物性を安定化するためにはA層全量に対して40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下に設定することがさらに好ましい。例えば、保湿剤としてグリセリンを使用する場合、相対湿度がおおむね50%〜70%の範囲で、自重の約20〜約40重量%の水分を保持する性質(保湿性)を有している。さらに、発明者らが各種保湿剤を含有するハイドロゲルを作製し、相対湿度60%での保湿性を求めた結果、例えばグリセリンの保湿性は約30重量%であり、乳酸ナトリウムでは約80重量%であった。
以上のように、保湿剤の保湿性は相対湿度に依存し、保湿剤を使用したハイドロゲルの保湿性も同じく相対湿度に依存する。保湿力の異なる保湿剤を組み合わせて使用することにより、一定湿度におけるゲルの保湿性を制御することは可能であるが、相対湿度依存性は保湿剤固有の性質であるため実質制御不可能である。以上より、理想的には保湿性が低い保湿剤(さらに理想的には常温で液体であること)を高濃度で使用し、ゲルの設計上の含水率を低く設定することで、ゲルの保湿性の相対湿度依存性を見かけ上低くすることは可能であるが、A層では、粘着性を有する水不溶性高分子等を安定的に分散させるため、上記の濃度以上の水分量を保持することが好ましい。
(電解質)
A層には、電解質が含有される。これにより、A層を構成するゲル材に導電性が付与される。上記電解質としては特に限定されず、例えば、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属;ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属;その他の金属ハロゲン化物等が挙げられる。また、上記電解質として、各種金属の、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、燐酸塩も好適に用いられる。また、上記電解質として、アンモニウム塩、各種錯塩等の無機塩類;酢酸、安息香酸、乳酸等の一価有機カルボン酸の塩;酒石酸等の多価有機カルボン酸の塩;フタル酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩;スルホン酸、アミノ酸等の有機酸の金属塩;有機アンモニウム塩等も好適である。これらの電解質は、いずれか一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ただし、A層における塩化物イオン濃度が、A層に含まれる水に対して2.0重量%以下であることを要する。好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。これにより、医療用電極において、A層に接触する電極エレメントとして使用されるアルミニウムやスズの腐食を抑制することができる。塩化物イオン濃度を水に対して2.0重量%以下とするため、電解質として、塩化物イオンを含まない塩類を用いることが好ましく、具体例として、ナトリウム等のアルカリ金属の硫酸塩、炭酸塩等、マグネシウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。特に好ましくは、硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウムである。しかし、塩化ナトリウム等の、塩化物イオンを含む塩類がA層において排除されるものではなく、塩化物イオン濃度が2.0重量%以下である範囲内で、必要に応じて上記硫酸塩等とともに含有することができる。
A層における電解質の添加量は、電解質の種類によっても異なるが、A層の全量に対して、0.05〜10重量%であることが好ましく、2〜6重量%であることがより好ましい。また、電解質の添加量は、20℃における水への溶解度(A層中の水に溶解する電解質の限界量)に対して60〜100重量%であることが好ましい。より好ましくは80〜100重量%である。電解質の含有量が少な過ぎると、インピーダンスが高くなり、導電性が損なわれる。また、電解質の含有量が増えるに従ってインピーダンスは低下するが、電解質の含有量が多過ぎると、溶解するのに必要な水の量が多くなり好ましくない。
なお、本発明における電解質の20℃における水への溶解度はそれぞれ、硫酸ナトリウムが19.5(g/100mL−HO)、硫酸マグネシウムが33.7(g/100mL−HO)、塩化ナトリウムが35.89(g/100mL−HO)である。
(水不溶性高分子)
A層には、必要に応じて、粘着性を有する水不溶性高分子を添加することができる。粘着性を有する水不溶性高分子としては、(メタ)アクリルエステル、酢酸ビニル、マレイン酸エステル等の疎水性モノマーの単独又は複数を重合させたものが挙げられる。具体的には、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、マレイン酸ジオクチル等の疎水性モノマーの単独もしくは共重合体である。前記以外にエチレン、プロピレン、ブチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の疎水性モノマーのいずれか一つ、又は、複数がさらに共重合されていても良い。また、シリコーン粘着剤や天然ゴム系や合成ゴム系の粘着剤を使用することも可能である。これらの中で、アクリルエステル共重合体は改良が重ねられており、高粘着であることから好適に使用される。
粘着性を有する水不溶性高分子をA層中に分散させるためには、前記高分子を乳化分散させたエマルジョンを使用することが好ましい。通常、前記エマルジョンの固形分は30〜60重量%であり、残りの大部分は水である。例えば、アクリルエステル系共重合樹脂のエマルジョンとして、昭和高分子株式会社製の商品名「ポリゾールPSA SE−1730」、日信化学工業株式会社の商品名「ビニブランADH−1048」等が好適に用いられる。
A層における、粘着性を有する水不溶性高分子の含有量は、最終製品に期待する効果に応じて調節すれば良いが、電極エレメントに対する良好な粘着力を得るためには、A層全量に対して3重量%以上添加することが好ましい。より好ましくは5重量%以上であり、特に好ましくは8重量%以上である。添加量は多くても差し支えないが、添加量が多過ぎても、粘着力は一定値以上向上せず、また、医療用電極ハイドロゲルとして用いる場合にハイドロゲルの導電性も低下するため、これらのバランスを考慮して、A層全量に対して20重量%以下であることが好ましい。より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは13重量%以下である。
さらに、粘着性を有する水不溶性高分子は、前記疎水性モノマーと、親水性モノマーの共重合体であることが好ましい。疎水性モノマーに対して親水性モノマーを共重合することで、水に不溶性の高分子の分散安定性が高くなり、分散剤や界面活性剤等の添加を少なくできる利点がある。
粘着性を有する水不溶性高分子が、疎水性モノマーと親水性モノマーの共重合体である場合、当該共重合体における親水性モノマーの共重合比率が0.1重量%以上の場合に分散安定化の効果を発現する。また、当該共重合比率が5重量%より多い場合は前記高分子の生成が困難になることが特開2002−80809号公報、特開2003−336024号公報、及び特開2003−335805号公報に記載されている。したがって、前記水不溶性高分子として、疎水性モノマーと親水性モノマーの共重合体であって当該親水性モノマーの共重合比率が0.1〜5重量%である共重合体を用いることが好ましい。
前記親水性モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)及び/又はその塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAA)塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)塩酸塩、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スルホプロピルメタクリレート(SPM)及び/又はその塩、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(QDM)等の水溶性モノマーが挙げられる。これらの中で、少なくとも1種のカルボキシル基を含有する水溶性モノマーを含むことが望ましく、特に、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩は汎用モノマーであり、好適に使用され、中でもアクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。
(両親媒性高分子)
本実施形態に係るハイドロゲルにおけるA層には、必要に応じて、両親媒性高分子を含有させ、導電材料から構成される電極エレメントに対して良好な付着性を付与することができる。また、両親媒性高分子を含有し、粘着性を有する水不溶性高分子も含むことにより、前記水不溶性高分子の分散安定性が良好になる。特に、A層を形成する配合液の調製時に前記水不溶性高分子の分散安定性が良好になるために、より均一で品質安定性が高い良好なハイドロゲルのA層を得ることができる。
本発明において、両親媒性とは、少なくとも有機溶媒と水の混合溶媒に溶解し、好ましくは、水と、極性有機溶媒の双方に溶解可能であることを意味する。有機溶媒と水の混合溶媒の例としては、エタノール/水=60/40の混合溶媒が挙げられる。したがって、前記両親媒性高分子は、室温下において、エタノール/水=60/40の混合溶媒に対しても溶解する高分子が該当する。
本実施形態においては、両親媒性高分子として、ケン化度50〜98%のポリビニルアルコールを用いることができる。ケン化度が50%未満であるか、又は98%を超えると、水溶化が不可能ではないが困難になり、製造時のハンドリング性が低下する。なお、ポリビニルアルコールのケン化度については、ケン化度98%以上を完全ケン化と呼び、98%〜80%程度を部分ケン化と呼び、それ以下を低ケン化と呼ぶ。部分ケン化に関しては、より詳細に区別する場合は、ケン化度95%前後のものを中間ケン化と呼び、概ね95%〜80%程度のものを部分ケン化と呼ぶ場合もある。また、ケン化度とは、以下の式で算出される百分率である。
ケン化度=ポリビニルアルコールユニット/
(酢酸ビニルユニット+ポリビニルアルコールユニット)×100
※ 各ユニットの物質量(モル数)を上式に代入して計算する。
ケン化度50〜98%のポリビニルアルコールの具体例として、日本酢ビポバール株式会社の商品名「JポバールJMR−10M」(ケン化度65%)、日本合成化学工業株式会社の商品名「ゴーセファイマーLW−300」(ケン化度53〜60%)、電気化学工業株式会社の商品名「デンカポバールMP−10」(ケン化度70%)、日本酢ビポバール株式会社の商品名「JポバールVP−18」(ケン化度88%)等が挙げられる。
また、両親媒性高分子として、ポリアクリル酸又はその塩等の水溶性高分子を含有させても良い。このような水溶性高分子の例として、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、構成単位にN−アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマー等を挙げることができる。これらは、いずれかを単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。アクリル酸とメタクリル酸との共重合体は、アクリル酸とメタクリル酸との共重合比(モル比)が9:1〜1:9であることが好ましい。
アクリル酸とメタクリル酸との共重合体は、例えば、ラジカル重合、レドックス反応、光照射等の方法により製造することができる。このようなアクリル酸とメタクリル酸との共重合体として、東亞合成社製のジュリマーAC−20H、AC−20L(商品名)や、日本触媒社製FL−200(商品名)等の市販品を使用することもできる。
構成単位にN−アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、配合液の調製のし易さや、得られるハイドロゲルが最適な粘着力を発揮するために、700万以下であることが好ましい。また、凝集性のあるゲルを得るために50万以上であることが好ましい。
構成単位にN−アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマーは、他のポリマーとの共重合体であっても良い。市販されている上記共重合体として、例えば、アクリル酸とN−アルキルスルホン酸アクリルアミドとの共重合体が挙げられる。具体的には、アクリル酸とアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸との共重合体(東亞合成社製アロンビスAH−305(商品名))等を用いることができる。
構成単位にN−アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマーが他のポリマーとの共重合体である場合、その共重合比(モル比)は、N−アルキルスルホン酸アクリルアミドを含むポリマー:他のポリマー=2:8〜8:2であることが好ましく、2:8〜5:5であることがより好ましい。
A層における前記両親媒性高分子の添加量は、添加による配合液の分散安定性向上の効果を得るためには、A層全量に対して0.05重量%以上添加することが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。添加量が多過ぎると、配合液の粘度が上昇するために配合液の調製時に混入した気泡が抜けるのに時間がかかったり、電解質の添加が多い場合には水不溶性高分子が凝集しやすくなる傾向がある。したがって、前記両親媒性高分子の添加量は、A層全量に対して5.0重量%以下であり、好ましくは4.0重量%以下である。分散安定性向上のためには、この程度の添加量で効果は十分に得られる。
(pH調製剤)
A層は、少なくともモノマー由来成分を構成するモノマー、水、保湿剤及び電解質、必要に応じて用いる水不溶性高分子及び両親媒性高分子、並びに重合開始剤を含む配合液を加熱又は光照射することにより重合反応させて得ることができる。得られたA層のpHは3〜7の範囲内とする。もともと、水溶性のアクリルエステルやアクリルアミド誘導体は、モノマーであれポリマーであれ、アルカリ性の水溶液中で保管すると、エステル基やアミド基の加水分解が進行する。逆に、pHが酸性に傾き過ぎても同様に加水分解が進行する。したがって、pHを3〜7に調整することにより、アクリルモノマーの加水分解を抑制することが可能となり、配合液の保管性とともに、ゲル生成後の長期保存安定性も向上する。
A層には、ハイドロゲルのpHを3〜7に調整するため、必要に応じて、pH調整剤を添加することができる。pH調整剤として、一定量の鉱酸や有機酸を配合液に添加することにより、pHを3〜7に調整することが可能である。この場合、多官能の鉱酸及び/又は有機酸を使用することが好ましい。さらには、酸とその塩を混合して用いると、pH緩衝性が発現し、よりpHを安定化させることが可能となるため好ましい。
鉱酸としては、硫酸、リン酸、炭酸等が挙げられる。また、有機酸としては、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸等の多官能カルボン酸が挙げられる。pH調整剤である前記鉱酸、前記有機酸、及びこれらの塩について、配合液における添加量は、特に限定されるものではなく、pH調整剤の能力に応じて適宜設定することができる。
(重合開始剤)
前記配合液は、光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤は、紫外線や可視光線で開裂し、ラジカルを発生するものが好適であり、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタール、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン等が挙げられる。より具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:ダロキュア1173、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(製品名:イルガキュア184、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア2959、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(製品名:イルガキュア907、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:イルガキュア369、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア127、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。これらは、単独又は複数を組み合わせて使用することが可能である。
光重合開始剤の添加量は、重合反応を十分に行い、残存モノマーを低減するためには、ゲル化前配合液100重量%中、0.01重量%以上であることが好ましく、光重合開始剤の反応残による変色(黄変)や臭気を防ぐため1.0重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜0.5重量%である。
(界面活性剤)
A層を形成する際、前記配合液に界面活性剤を添加することができる。界面活性剤により、水不溶性高分子や両親媒性高分子の塩析による凝集傾向を低減させることが可能となる。特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル基を有する界面活性剤が好ましい。これら界面活性剤の添加による効果を得るためには、前記配合液に対して0.1重量%以上の添加が好ましく、また、粘着性や他の性能への影響を考慮した場合、前記配合液に対して2.0重量%以下の添加が好ましい。界面活性剤の添加方法は特に限定されない。
(過酸化物)
さらに、必要に応じて、前記配合液に少なくとも0.003重量%の過酸化物を添加することにより、重合後のゲルの黄変を防止することが可能である。なお、前記配合液に0.3重量%以上添加しても、黄変防止効果に大差が生じないばかりか、ゲル中に残留する過酸化物が多くなり、医療用電極として使用した場合に、電極エレメントを構成する導電材料を腐食させる危険性が高い。ゲルに残留した過酸化物は、ゲル生成後一定期間熟成することにより減少する。熟成とは一定の温度条件でゲルを静置して過酸化物等の分解を促進することを指す。過酸化物の分解を促進するためには、熟成の温度を30℃以上に設定することが好ましい。また、熟成の温度が高過ぎると、ゲルマトリックス等が分解、劣化する危険性があり、ゲルに貼付する保護フィルム等の収縮が発生し、皺が入ったり、変形したりする危険性もあるため60℃以下に設定することが好ましい。熟成の温度として最も好ましいのは35〜45℃である。
過酸化物として、過酸化水素、過炭酸ソーダ、過ホウ酸ナトリウム、過酢酸、二酸化塩素等が挙げられる。これらの過酸化物は、水で10%以下まで希釈してから前記配合液に添加することが好ましい。また、一旦、前記配合液に添加したら、その配合液は24時間以内に使用するべきである。これらの過酸化物を添加してから長期間経過すると、重合反応が開始し、意図せぬところでゲルを生成する可能性がある。
続いて、A層10と積層させるB層20の組成について説明する。B層には、A層と同様に、少なくともモノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質が含まれる。B層におけるモノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質の内容、並びにそれらの添加量は、A層の場合と同様である。ただし、B層では、電解質に関して、塩化物イオン濃度を水に対して2.0重量%以下とするA層のような制限はなく、塩化ナトリウム等の塩化物イオンを含む塩類であっても2.0重量%を超えて配合することができる。これにより、A層及びB層を積層させたハイドロゲル全体におけるインピーダンスが調整され、医療用電極として使用することができる。
B層において、モノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質以外の成分、例えば、必要に応じて添加する水不溶性高分子、両親媒性高分子、pH調整剤、界面活性剤、過酸化物等については、A層の場合と同様である。
A層10及びB層20を含むハイドロゲル1全体のpHは3〜7の範囲内が好ましく、4〜7であることが特に好ましい。もともと、水溶性のアクリルエステルやアクリルアミド誘導体は、モノマーであれポリマーであれ、アルカリ性の水溶液中で保管すると、エステル基やアミド基の加水分解が進行する。逆に、pHが酸性に傾き過ぎても同様に加水分解が進行する。したがって、pHを3〜7に調整することにより、アクリルモノマーの加水分解を抑制することが可能となり、ゲル生成後の長期保存安定性も向上する。また、ハイドロゲル1全体のpHを3〜7に調整することにより、電極エレメント等の腐食発生の防止や皮膚に対する刺激(痛み、赤み発生等)の低下にも繋がる。
A層10及びB層20を含むハイドロゲル1全体のインピーダンスの最適範囲は、医療用電極の種類によって異なり特に限定されるものではないが、好ましくは、SUS板との積層体について測定した周波数1kHzでのインピーダンスが20〜500Ωであり、周波数10Hzでのインピーダンスが200〜600Ωである。上記範囲内とすることにより、医療用電極として使用する場合に発生するノイズを低減することができる。
ここで、周波数1kHz又は10Hzでのインピーダンスの具体的な測定法は次のとおりである。まず、測定対象のハイドロゲルにSUS板を貼着したものを2組用意し、互いのゲル部を接触させた試験片を用意する。そして、この試験片に、入力電圧10V、抵抗1MΩ、1kHzないし10Hzの電流10μAを印加したとき、SUS板間にかかる電圧をオシロスコープで読み取り、以下の式(オームの法則)によりインピーダンスを求めることができる。
|Z|=E/I
(|Z|はハイドロゲルのインピーダンス値(Ω)、Eはオシロスコープで読み取った電圧値(V)、Iは試験片に印加した電流である。)
また、A層におけるモノマー由来成分とB層におけるモノマー由来成分は、異なる化合物であっても同一の化合物であっても良いが、同一であることが好ましい。これにより、A層とB層の組成が類似し、層間の密着性を一層向上させることができる。
本実施形態に係るハイドロゲルにおいて、A層及びB層に含有される水の含有量は、例えば、所定の重量のA層又はB層の試料を取り出し、該試料を乾燥させて乾燥重量を測定して、初期重量と乾燥重量との差を算出して決定する方法、また、カールフィッシャー水分測定装置を用いて容量滴定法又は電量滴定法等により決定することができる。
また、本実施形態に係るハイドロゲルにおいて、A層及びB層に含有される保湿剤の含有量は、限定するものではないが、例えば、溶媒抽出法、液体クロマトグラフィー(LC)等の手段を用いて定量することができる。
本実施形態のハイドロゲル1は、A層10側については、塩化物イオン濃度が水に対して2.0重量%以下であることにより、アルミニウム等の腐食を抑制することができる。この特徴を生かし、本実施形態のハイドロゲル1は、図1に示すように、導電材料から構成される電極エレメント30にA層10を密着させ、医療用電極ハイドロゲルとして利用することができる。図1において、B層20にはさらに離型処理を施したポリエチレンテレフタレート等の保護フィルム40が積層され、使用する際には、この保護フィルム40を剥がし、B層20側を皮膚に貼付して使用される。
電極30は、表面基材50である樹脂フィルム上にAg、Ag/AgCl等の金属やカーボン等を含む導電性インクを印刷コーティングして、導電層を形成するか、又は、表面基材50である樹脂フィルム上に金属箔(アルミニウム、ステンレス、Ag、スズ等)、もしくはカーボン等を練り込んだ導電性フィルムをラミネートして導電層を形成することにより得ることができる。
表面基材50としての樹脂フィルムの厚みは5μm〜150μm程度が良い。前記樹脂フィルムの材質は、特に制限されないが、印刷に適した合成紙(ポリプロピレンに無機フィラーを添加したもの)、PET、OPPフィルム等が好ましい。また、外観を向上させるために、表面基材50における電極30とは逆の面に対して、化粧印刷を施したり、又は柔軟性を損なわない程度に、紙、不織布、発泡体(ポリエチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリウレタン等の軟質の発泡シート)、ポリウレタン等のフィルムもしくはシートがラミネートされていても良い。
医療用電極等のハイドロゲルとして使用することを考慮すると、A層及びB層のそれぞれの具体的な粘着力は、A層のアルミニウムに対する粘着力が、2.5N/20mm以上であり、B層のベークライト板に対する粘着力が、1.0〜9.0N/20mmであることが好ましい。より好ましくは、A層のアルミニウムに対する粘着力が7〜15N/20mm、B層のベークライト板に対する粘着力が1.5〜8N/20mmである。この範囲内であれば、電極30及び皮膚表面に対する粘着力として最適である。
なお、本発明において、アルミニウムに対する粘着力とは、次のようにして測定する。まず、ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、測定対象のA層の側にアルミニウムフィルム(PET/アルミニウム(1N30)のラミネート品(東タイ社製;9μm))を貼り付けて、2kgの圧着ローラーを1往復させ、1日間常温で静置し、その後、ハイドロゲルにおけるアルミニウムフィルムを貼り付けた側とは逆の面に、無機フィラーをコーティングした合成紙を貼り付け、試験片を作製する。続いて、アルミニウムフィルム側の面を両面テープを用いてSUSに接着し、合成紙の付いたハイドロゲル端部をアルミニウムフィルムから剥がし、レオメーター(サン科学社製、CR−500DX)を用い、JIS−Z0237:2009に準じて測定条件を角度90度、速度300mm/分として、測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、3試験(計15点)の値の平均値をもって、アルミニウムに対する粘着力とする。なお、測定は、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で行うものとする。
また、ベークライト板に対する粘着力は、以下のようにして測定する。すなわち、ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、測定対象のB層(A層について測定する場合はA層)の側にベークライト板を貼り付けて、2kgの圧着ローラーを1往復させて試験片を作製し、レオメーター(サン科学社製、CR−500DX)を用い、JIS−Z0237:2009に準じて測定条件を角度90度、速度300mm/分として、測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、3試験(計15点)の値の平均値をもって、ベークライト板に対する粘着力とする。測定は、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で行うものとする。
A層10及びB層20のそれぞれの厚さは、用途等を考慮して適宜設定することができる。具体的には、A層の厚さは0.2〜1.2mm、B層の厚さは0.2〜1.2mm、A層とB層の厚さの比は、1:6〜6:1とすることが好ましく、1:3〜3:1であることがより好ましい。
また、図1に示すように、ハイドロゲル1には、必要に応じて、ハイドロゲル1の面内方向に沿って中間基材60を埋め込むことができる。これら中間基材60は、ゲルの補強、裁断時の保形性を改善するために用いられる。例えば、ハイドロゲル1を加工用の中間素材として流通させる場合、これら中間基材は、末端の加工業者での取り扱いを容易にするために必要である。中間基材としては、不織布又は織布が好ましく用いられる。不織布及び織布の材質は、セルロース、絹、麻等の天然繊維やポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、又は、それらの混紡が使用可能である。
また、中間基材として、半透膜も好適に用いられる。この半透膜はセロハン、酢酸セルロース等によって構成され、織布又は不織布に比べて水や保湿剤を通過させ難いため、A層及びB層のそれぞれの製造時における組成をより長期間にわたり保持することができる。
中間基材の厚みは、厚過ぎると液の浸透性が悪くなり、導通性に悪影響を及ぼす場合があり、逆に薄過ぎると目付が小さ過ぎる場合と同様にハイドロゲルの補強等を図ることができなくなる可能性があるため、これらを考慮して適宜設定される。好ましくは、0.02〜2.0mmの範囲内である。また、0.02〜0.5mmであることがより好ましく、0.03〜0.3mmであることが特に好ましい。
また、本発明におけるハイドロゲルの全厚みは、0.4〜2.4mmであることが好ましく、0.6〜1.5mmであることがより好ましく、0.7〜1.0mmであることが特に好ましい。なお、ハイドロゲルの厚さは、マイクロメーター等の測定により決定することができる。
ハイドロゲル1を製造するには、A層及びB層のそれぞれについて、必要な成分を含む配合液を調製し、それらの配合液を順次、加熱又は光照射により重合して積層させることにより行うことができる。
A層の配合液の場合、一例として、あらかじめ水に溶解させた両親媒性高分子を、必要に応じてさらに水で希釈して均一に攪拌した溶液に、水不溶性高分子のエマルジョンを添加し、均一分散させる。次に、保湿剤を投入し、均一に分散するまで攪拌する。これを〔液1〕とする。
そして、〔液1〕にモノマーを投入し攪拌する。モノマーの種類によっては、溶解時に吸熱又は発熱する場合があるので、吸熱する場合は加温し、発熱する場合は冷却することが好ましい。加温又は冷却する場合、〔液1〕の温度が10℃〜50℃の範囲になるように設定することが好ましく、20℃〜40℃であることがより好ましい。温度が低過ぎると、モノマー自体の溶解に、特に固体のモノマーの場合には時間がかかるとともに、モノマー以外の添加成分の溶解にも時間を要する。添加する成分によっては、温度が低過ぎると溶解しない場合もある。また、極端に温度が低下すると、エマルジョンやその他の高分子成分が凝集する場合もある。また、温度が高過ぎると、同じくエマルジョンの分散不良が生じたり、反応性が高い成分が含まれる場合は、反応開始又は暴走したり、さらに、配合液中の揮発成分が蒸発し、設計通りの配合液が得られない場合もある。
電解質は、モノマーを投入する工程の次に添加することが好ましい。電解質を投入すると、塩析によりエマルジョンやその他の高分子成分が凝集する場合もあるが、先にモノマーを溶解することにより凝集を抑制する効果が得られる。これは、モノマー自体が界面活性剤的な働きをしているものと推察されるが詳しい機構は不明である。
次に、上記以外の必要成分と、重合開始剤を添加し、全ての成分が完全に溶解するまで攪拌、混合することにより、配合液が得られる。
B層の配合液についても、上記A層の配合液と同様にして調製することができる。なお、A層及びB層の配合液の調製手順は、上記の手順に限定されるものではない。
各配合液の保管については、添加するエマルジョンやその他の成分が安定であれば特に制限されないが、0℃〜50℃の範囲で保管するのが好ましく、20℃〜40℃の範囲で保管することがさらに好ましい。
ハイドロゲル1の製造方法としては、A層及びB層の組成、中間基材の材質、厚み等によって細かい条件が異なり、特に限定されるものではない。例えば、中間基材を埋め込む場合には、中間基材に一定以上のテンションをかけた状態で中間基材を空中で保持し、その中間基材の上側及び下側に、モノマー配合液を流し込み、光照射等により重合してシート状とする方法、表面が平滑なシート状のA層及びB層のゲル材をそれぞれ作製した後、一定以上のテンションをかけた状態で保持している中間基材をこれらのゲル材で挟持し、複合化する方法、あるいは、表面が平滑なシート状のA層を作製し、このA層の上に、必要に応じて、一定以上のテンションをかけた状態で中間基材を載置し、その中間基材の上にB層のモノマー配合液を流し込み、光照射等によりさらに重合させる方法等を適宜採用することができる。また、ハイドロゲルをロール状に供給して、前述の製造プロセスを連続して行うこともできる。
樹脂フィルム等(ベースフィルム)の上に通常はB層の配合液をまず滴下し、その上面に離型処理した樹脂フィルム等(トップフィルム)を被せて液を押し広げ、一定の厚みに制御した状態で熱又は光(紫外線)照射により当該配合液を重合架橋させて一定の厚みのゲル体を得る。ベースフィルムは、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、紙又は樹脂フィルムをラミネートした紙等を使用することができる。
ベースフィルムを保護フィルム40として利用する場合は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、紙又は樹脂フィルムをラミネートした紙等の表面に離型処理を施したものが好適に用いられる。特に、二軸延伸したPETフィルムや、OPP等が好ましい。離型処理の方法としては、シリコーンコーティングが挙げられる、特に、熱又は紫外線で架橋、硬化反応させる焼き付け型のシリコーンコーティングが好ましい。
トップフィルムとしては、基本的にベースフィルムと同じ材質のものを使用することが可能であるが、光照射によりゲル生成する場合は、光を遮蔽しない材質を選択する必要がある。
ゲルを連続的に重合架橋させた後、生成したB層の上に、必要に応じて中間基材を載せ、その上にA層の配合液を滴下し、B層の場合と同様にさらにトップフィルムを被せて液を押し広げ、熱又は光照射を行って重合架橋させ、A層とB層の積層構造からなるハイドロゲルを得ることができる。
また、配合液には、必要に応じて防腐剤、殺菌剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、安定剤、香料、着色剤等や、抗炎症剤、ビタミン剤、美白剤その他の薬効成分を適宜添加しても良い。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
・A層の配合液調製
撹拌・混合容器を使用して、表1に示すとおり、非架橋性モノマーとしてアクリルアミド、架橋性モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを合わせて19.96重量%、イオン交換水17.93重量%を混合し、撹拌して均一に溶解させた後に、保湿剤としてグリセリンを57.69重量%添加し、前記と同様に均一になるまで撹拌した。次に、電解質として硫酸ナトリウムを2.80重量%、塩化ナトリウムを0.61重量%、その他添加剤としてクエン酸、安息香酸Na、光重合開始剤、界面活性剤を合わせて0.31重量%添加し、完全溶解するまで撹拌した。最後に、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H、東亜合成社製)を0.70重量%添加し、均一になるまで攪拌し、透明な配合液を得た。
・B層の配合液調整
撹拌・混合容器を使用して、表1に示すとおり、非架橋性モノマーとしてアクリルアミド、架橋性モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを合わせて20.13重量%、イオン交換水18.08重量%を混合し、撹拌して均一に溶解させた後に、保湿剤としてグリセリンを58.19重量%添加し、前記と同様に均一になるまで撹拌した。次に、電解質として硫酸ナトリウムを0.70重量%、塩化ナトリウムを1.89重量%、その他添加剤としてクエン酸、安息香酸Na、光開始剤、界面活性剤を合わせて0.31重量%添加し、完全溶解するまで撹拌した。最後に、両親媒性高分子として、ジュリマーAC−20H(東亜合成社製)を0.70重量%添加し、均一になるまで攪拌し、透明な配合液を得た。
・ハイドロゲルの製造
得られたB層の配合液を、シリコーンコーティングされたPETフィルム上に滴下し、一定のクリアランスを通過させることで、液を均一に押し広げ、厚さが0.5mmになるように固定した。これにメタルハライドランプを使用してエネルギー量500mJ/cmで紫外線照射を行うことにより、厚さ0.5mmのB層を得た。得られたB層に、中間基材(ナイロンメッシュ)を載せて、その上にA層の配合液を滴下し、その上から同じくシリコーンコーティングされたPETフィルムを被せて、液を均一に押し広げ、厚さが0.5mmになるように固定した。これにメタルハライドランプを使用してエネルギー量3000mJ/cm(B層に対しては合計3500mJ/cm)の赤外線照射を行い、全厚み1.0mmのハイドロゲルを得た。
(実施例2)
A層及びB層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実施例3)
A層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。
B層に関しては、最後に、水不溶性高分子としてアクリルエステル系共重合樹脂のエマルジョン(固形分50重量%、商品名「ポリゾールPSA SE−1730」、昭和高分子株式会社製)を22.86重量%(固形分11.43重量%、水11.43重量%)、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H)に替えてケン化度が65%のポリビニルアルコールを0.19重量%添加し、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして調製し、乳白色の配合液を得た。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実施例4)
A層及びB層の各成分の重量%を表1に示すように変更し、さらに、B層に関して、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H)に替えてケン化度が88%のポリビニルアルコールを2.87重量%添加した以外は実施例1と同様にしてA層及びB層の配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実施例5)
A層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。
B層に関しては、両親媒性高分子として、アクリル酸−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸共重合体(アロンビスAH−305X、東亞合成社製)を1.09重量%添加し、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして調製し、ハイドロゲルを製造した。
(実施例6)
A層及びB層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実施例7)
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、さらに、水不溶性高分子としてアクリルエステル系共重合樹脂のエマルジョン(ポリゾールPSA SE−1730)を固形分が配合液中11.09重量%になるように添加し、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H)に替えてケン化度が88%のポリビニルアルコールを0.18重量%添加した以外は実施例1と同様にして配合液を調製した。B層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実施例8)
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして配合液を調製した。B層については、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H)に替えてケン化度が65%のポリビニルアルコールを3.07重量%添加し、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は実施例7と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実施例9)
A層及びB層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実施例10)
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。B層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、硫酸ナトリウムを添加しない以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実施例11)
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、硫酸ナトリウムに替えて硫酸マグネシウムを4.80重量%添加した以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。B層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、硫酸ナトリウムに替えて硫酸マグネシウムを1.23重量%添加した以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(実較例12)
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。B層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、硫酸ナトリウムを添加しない以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(比較例1〜6)
A層及びB層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
(粘着力評価方法)
得られた実施例1〜12及び比較例1〜6のハイドロゲルについて、ベークライト板、アルミニウム及び皮膚に対するA層及びB層のそれぞれの粘着力を測定した。それぞれの粘着力の評価方法は次のとおりである。
・粘着力評価(ベークライト板)
ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面にベークライト板を貼り付けて、2kgの圧着ローラーを1往復して圧着し試験片とした。測定にはレオメーター(サン科学社製、CR−500DX)を用い、JIS−Z0237;2009に準じて、測定条件は、角度90度、速度300mm/分で行った。測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、3試験(計15点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルのA層又はB層のベークライト板に対する粘着力とした。測定環境としては、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で実施した。
・粘着力評価(皮膚)
ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面に測定時の持ち手を作るために無機フィラーをコーティングした合成紙を貼り付け、試験片とした。その後、被験者5名(20代〜50代の男女)を、貼付15分前に温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下の測定室に入室させた。上記試験片を各被験者の前腕内側のなるべく体毛の少ない部分に貼付し、その状態で30分間維持した。測定にはレオメーター(サン科学社製、CR−500DX)を用い、測定条件は、角度180度、速度1000mm/分で行った。測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、2試験(計10点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルのB層の皮膚に対する粘着力とした。
・粘着力評価(アルミニウム)
ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面にアルミニウムフィルム(PET/アルミニウム(1N30)のラミネート品(東タイ社製;9μm))を貼り付けて、2kgの圧着ローラーを1往復して圧着し後、1日間常温で静置した。その後、もう一方のゲル面に、測定時の持ち手を作るために無機フィラーをコーティングした合成紙を貼り付け、試験片とした。アルミニウムフィルム側の面は両面テープを用いて、SUSに接着した。そして、無機フィラーをコーティングした合成紙のついたゲル端部をアルミニウムフィルムから剥がし、測定にはレオメーター(サン科学社製、CR−500DX)を用い、JIS−Z0237;2009に準じて、測定条件は、角度90度、速度300mm/分で行った。測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、3試験(計15点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルA層のアルミニウムに対する粘着力とした。測定環境としては、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で実施した。
(水素イオン濃度評価方法)
ハイドロゲルを20×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面にイオン交換水を1滴滴下し、その上にpH試験紙(Whatman社製)を静置した。1分後の色の変化度合いを目視で判断した。
(インピーダンス評価方法)
ハイドロゲルを20×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面(A層)を25×10mmのSUS304(厚み2mm)に貼付け、もう1つ同じものを作製し、それぞれもう一方のPETフィルムを剥がして現れたゲル面(B層)同士を貼り合わせ試験片とした。この試験片に入力電圧10V、抵抗1MΩ、1kHz及び10Hzの電流を印加したとき、SUS板間にかかる電圧をオシロスコープ(Tektronix社製;TDS3014)で読み取り、以下の式(オームの法則)によりインピーダンス値を求めた。
|Z|=E/I
|Z|はインピーダンス値(Ω)であり、Eはオシロスコープで読み取った電圧値(V)であり、Iは電極に印加した電流10(μA)である。
(アルミニウムの腐食性評価方法)
ハイドロゲルを100×250mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面(A層)をPET/アルミニウム(1N30)のラミネート品(東タイ社製;9μm)に貼付し、50℃で10日間オーブンに保管し、アルミニウムに発生しているピンホールの個数を目視により確認した。表1中、ピンホールが観測されなかったものを○、ピンホールが1個観測されたものを△、複数個のピンホールが観測されたものを×としている。
(配合液の溶解性評価方法)
配合液を調製した際の外観を目視により確認し、均一に溶解しているものを○、不溶な成分が観察されたものを×とした。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 0006937428
Figure 0006937428
Figure 0006937428
表1に示すように、A層における塩化物イオン濃度が水に対して2.0重量%以下であり、pHが3〜7の範囲内である実施例1〜12のハイドロゲルは、電極エレメントとしてのアルミニウム及び皮膚表面に対しては最適な粘着力を有しつつ、アルミニウムの腐食を防ぐことができた。また、実施例1〜12のハイドロゲルは良好なインピーダンス値を有しており、医療用電極に用いるハイドロゲルとして、導電性に優れ、ノイズを低減することができる。
これに対し、A層における塩化物イオン濃度が2.0重量%を超える比較例2〜4のハイドロゲルは、アルミニウム箔の腐食を引き起こし、医療用電極のハイドロゲルとしては不適であった。また、A層及びB層の両方、又はB層に電解質を添加しない比較例1及び6のハイドロゲルは、高いインピーダンスを有しており、医療用電極のハイドロゲルとしては測定精度が低くなる恐れがある結果であった。
1 ハイドロゲル
10 A層
20 B層
30 電極エレメント
40 保護フィルム
50 表面基材
60 中間基材
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (8)

  1. A層とB層との積層構造を有するハイドロゲルであって、
    前記A層には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び無機塩が含まれ、前記A層における塩化物イオン濃度が前記水に対して2.0重量%以下であり、
    前記B層には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質が含まれ、前記B層における塩化物イオン濃度が前記水に対して2.0重量%超であり、
    pHが3〜7であり、
    前記A層における無機塩の添加量が、20℃における水への溶解度に対して60〜100重量%である、前記ハイドロゲル。
  2. 前記A層におけるモノマー由来成分と前記B層におけるモノマー由来成分とが同一の化合物である請求項1に記載のハイドロゲル。
  3. モノマー由来成分が、(メタ)アクリル系モノマーを含む請求項に記載のハイドロゲル。
  4. 前記保湿剤が、多価アルコールである請求項1〜のいずれか一項に記載のハイドロゲル。
  5. 前記A層のアルミニウムに対する粘着力が、2.5N/20mm以上であり、前記B層のベークライト板に対する粘着力が、1.0〜9.0N/20mmである請求項1〜のいずれか一項に記載のハイドロゲル。
  6. SUS板との積層体について測定した周波数1kHzでのインピーダンスが20〜500Ωであり、周波数10Hzでのインピーダンスが200〜600Ωである請求項1〜のいずれか一項に記載のハイドロゲル。
  7. 積層構造を有するハイドロゲルの面内方向に沿って、中間基材が埋め込まれる請求項1〜のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
  8. 導電材料から構成される電極エレメントと皮膚表面との間に配置して用いられる医療用電極ハイドロゲルであって、請求項1〜のいずれか一項に記載のハイドロゲルからなり、前記A層が、前記電極エレメントに接触する層であり、前記B層が、前記皮膚表面に接触する層である、前記医療用電極ハイドロゲル。
JP2020509980A 2018-03-30 2019-03-22 ハイドロゲル Active JP6937428B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018068906 2018-03-30
JP2018068906 2018-03-30
PCT/JP2019/012174 WO2019188818A1 (ja) 2018-03-30 2019-03-22 ハイドロゲル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019188818A1 JPWO2019188818A1 (ja) 2021-02-12
JP6937428B2 true JP6937428B2 (ja) 2021-09-22

Family

ID=68061900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020509980A Active JP6937428B2 (ja) 2018-03-30 2019-03-22 ハイドロゲル

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6937428B2 (ja)
TW (1) TW201942240A (ja)
WO (1) WO2019188818A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115347190A (zh) * 2022-09-15 2022-11-15 湖北亿纬动力有限公司 一种厚电极的造孔方法及其产品和用途
WO2024070988A1 (ja) * 2022-09-29 2024-04-04 積水化成品工業株式会社 電極パッド
CN116371381A (zh) * 2023-04-28 2023-07-04 浙江大学 一种污染物响应型纳米零价铁复合功能材料及其应用

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60193442A (ja) * 1984-03-16 1985-10-01 日本光電工業株式会社 生体電位測定用シ−ト状基材
US6038464A (en) * 1998-02-09 2000-03-14 Axelgaard Manufacturing Co., Ltd. Medical electrode
US7045559B2 (en) * 2003-12-18 2006-05-16 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Electrically conductive adhesive hydrogels with solubilizer
JP6056793B2 (ja) * 2014-03-14 2017-01-11 信越半導体株式会社 両面研磨装置用キャリアの製造方法及び両面研磨方法
US11162006B2 (en) * 2014-03-28 2021-11-02 Sekisui Plastics Co., Ltd. Water-rich adherent gel, composition for manufacturing water-rich adherent gel, and electrode pad
JP2018501061A (ja) * 2014-12-22 2018-01-18 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 不連続なプライマー層を含む生体用電極
KR102196805B1 (ko) * 2016-06-27 2020-12-30 세키스이가세이힝코교가부시키가이샤 겔 시트

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019188818A1 (ja) 2019-10-03
TW201942240A (zh) 2019-11-01
JPWO2019188818A1 (ja) 2021-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102168741B1 (ko) 하이드로 겔
JP4522405B2 (ja) ゲル粘着組成物
JP5685269B2 (ja) 粘着性ハイドロゲル用組成物とその用途
JP6937428B2 (ja) ハイドロゲル
US11162006B2 (en) Water-rich adherent gel, composition for manufacturing water-rich adherent gel, and electrode pad
US11484238B2 (en) Gel sheet
WO2021059689A1 (ja) ハイドロゲル
KR20130074065A (ko) 인체측정 전극용 점착성 겔 조성물
JP2015003977A (ja) 粘着性ゲルシート、電極および粘着性ゲルシートの製造方法
JP2021104586A (ja) ハイドロゲルシート
JP2012206954A (ja) 皮脂除去ゲルシート
KR20140029714A (ko) 인체측정 전극용 점착성 겔 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210309

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210430

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210817

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210830

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6937428

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150