JP6937428B2 - ハイドロゲル - Google Patents
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Description
前記A層には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質が含まれ、前記A層における塩化物イオン濃度が前記水に対して2.0重量%以下であり、
前記B層には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質が含まれ、
pHが3〜7である、前記ハイドロゲル。
(2)前記A層における電解質の添加量が、20℃における水への溶解度に対して60〜100重量%である前記(1)に記載のハイドロゲル。
(3)前記A層におけるモノマー由来成分と前記B層におけるモノマー由来成分とが同一の化合物である前記(1)又は(2)に記載のハイドロゲル。
(4)モノマー由来成分が、(メタ)アクリル系モノマーを含む前記(3)に記載のハイドロゲル。
(5)前記保湿剤が、多価アルコールである前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のハイドロゲル。
(6)前記A層のアルミニウムに対する粘着力が、2.5N/20mm以上であり、前記B層のベークライト板に対する粘着力が、1.0〜9.0N/20mmである前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のハイドロゲル。
(7)SUS板との積層体について測定した周波数1kHzでのインピーダンスが20〜500Ωであり、周波数10Hzでのインピーダンスが200〜600Ωである前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のハイドロゲル。
(8)積層構造を有するハイドロゲルの面内方向に沿って、中間基材が埋め込まれる前記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のハイドロゲル。
(9)導電材料から構成される電極エレメントと皮膚表面との間に配置して用いられる医療用電極ハイドロゲルであって、前記(1)〜(8)のいずれか一つに記載のハイドロゲルからなり、前記A層が、前記電極エレメントに接触する層であり、前記B層が、前記皮膚表面に接触する層である、前記医療用電極ハイドロゲル。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2018−068906号の開示内容を包含する。
図1に、本発明に係るハイドロゲルを用いた医療用電極の一実施形態の断面を示す。この実施形態におけるハイドロゲル1は、A層10とB層20とを積層して構成される。次に、A層10及びB層20のそれぞれの組成について説明する。
A層で使用されるモノマー由来成分は、重合により架橋部位を含む水溶性高分子の状態で含まれている。水溶性高分子は、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとの共重合体により得ることができる。例えば、水溶性の(メタ)アクリル系モノマーと2以上のアルケニル基を有する架橋性モノマーとの共重合体を用いることができる。
A層には、保湿性、可塑性を向上させるために保湿剤を含有させる。保湿剤としては、多価アルコールを用いることが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変成体等が使用可能である。なお、保湿剤としては、常温(好ましくは氷点下10℃以上で)で液状、詳細には、ゲル体を実際に使用する温度領域(例えば室内で使用する場合は20℃前後)で液状の多価アルコールを使用することが好ましい。
A層に含まれる水の濃度は、後述する粘着性を有する水不溶性高分子等を安定的に分散させるために、配合液中に13重量%以上、つまりA層全量に対して13重量%以上であることが好ましく、18重量%以上であることがさらに好ましい。また、蒸発、乾燥によるゲル物性の変動を抑え、ゲル物性を安定化するためにはA層全量に対して40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下に設定することがさらに好ましい。例えば、保湿剤としてグリセリンを使用する場合、相対湿度がおおむね50%〜70%の範囲で、自重の約20〜約40重量%の水分を保持する性質(保湿性)を有している。さらに、発明者らが各種保湿剤を含有するハイドロゲルを作製し、相対湿度60%での保湿性を求めた結果、例えばグリセリンの保湿性は約30重量%であり、乳酸ナトリウムでは約80重量%であった。
A層には、電解質が含有される。これにより、A層を構成するゲル材に導電性が付与される。上記電解質としては特に限定されず、例えば、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属;ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属;その他の金属ハロゲン化物等が挙げられる。また、上記電解質として、各種金属の、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、燐酸塩も好適に用いられる。また、上記電解質として、アンモニウム塩、各種錯塩等の無機塩類;酢酸、安息香酸、乳酸等の一価有機カルボン酸の塩;酒石酸等の多価有機カルボン酸の塩;フタル酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩;スルホン酸、アミノ酸等の有機酸の金属塩;有機アンモニウム塩等も好適である。これらの電解質は、いずれか一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明における電解質の20℃における水への溶解度はそれぞれ、硫酸ナトリウムが19.5(g/100mL−H2O)、硫酸マグネシウムが33.7(g/100mL−H2O)、塩化ナトリウムが35.89(g/100mL−H2O)である。
A層には、必要に応じて、粘着性を有する水不溶性高分子を添加することができる。粘着性を有する水不溶性高分子としては、(メタ)アクリルエステル、酢酸ビニル、マレイン酸エステル等の疎水性モノマーの単独又は複数を重合させたものが挙げられる。具体的には、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、マレイン酸ジオクチル等の疎水性モノマーの単独もしくは共重合体である。前記以外にエチレン、プロピレン、ブチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の疎水性モノマーのいずれか一つ、又は、複数がさらに共重合されていても良い。また、シリコーン粘着剤や天然ゴム系や合成ゴム系の粘着剤を使用することも可能である。これらの中で、アクリルエステル共重合体は改良が重ねられており、高粘着であることから好適に使用される。
本実施形態に係るハイドロゲルにおけるA層には、必要に応じて、両親媒性高分子を含有させ、導電材料から構成される電極エレメントに対して良好な付着性を付与することができる。また、両親媒性高分子を含有し、粘着性を有する水不溶性高分子も含むことにより、前記水不溶性高分子の分散安定性が良好になる。特に、A層を形成する配合液の調製時に前記水不溶性高分子の分散安定性が良好になるために、より均一で品質安定性が高い良好なハイドロゲルのA層を得ることができる。
ケン化度=ポリビニルアルコールユニット/
(酢酸ビニルユニット+ポリビニルアルコールユニット)×100
※ 各ユニットの物質量(モル数)を上式に代入して計算する。
A層は、少なくともモノマー由来成分を構成するモノマー、水、保湿剤及び電解質、必要に応じて用いる水不溶性高分子及び両親媒性高分子、並びに重合開始剤を含む配合液を加熱又は光照射することにより重合反応させて得ることができる。得られたA層のpHは3〜7の範囲内とする。もともと、水溶性のアクリルエステルやアクリルアミド誘導体は、モノマーであれポリマーであれ、アルカリ性の水溶液中で保管すると、エステル基やアミド基の加水分解が進行する。逆に、pHが酸性に傾き過ぎても同様に加水分解が進行する。したがって、pHを3〜7に調整することにより、アクリルモノマーの加水分解を抑制することが可能となり、配合液の保管性とともに、ゲル生成後の長期保存安定性も向上する。
前記配合液は、光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤は、紫外線や可視光線で開裂し、ラジカルを発生するものが好適であり、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタール、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン等が挙げられる。より具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:ダロキュア1173、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(製品名:イルガキュア184、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア2959、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(製品名:イルガキュア907、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:イルガキュア369、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア127、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。これらは、単独又は複数を組み合わせて使用することが可能である。
A層を形成する際、前記配合液に界面活性剤を添加することができる。界面活性剤により、水不溶性高分子や両親媒性高分子の塩析による凝集傾向を低減させることが可能となる。特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル基を有する界面活性剤が好ましい。これら界面活性剤の添加による効果を得るためには、前記配合液に対して0.1重量%以上の添加が好ましく、また、粘着性や他の性能への影響を考慮した場合、前記配合液に対して2.0重量%以下の添加が好ましい。界面活性剤の添加方法は特に限定されない。
さらに、必要に応じて、前記配合液に少なくとも0.003重量%の過酸化物を添加することにより、重合後のゲルの黄変を防止することが可能である。なお、前記配合液に0.3重量%以上添加しても、黄変防止効果に大差が生じないばかりか、ゲル中に残留する過酸化物が多くなり、医療用電極として使用した場合に、電極エレメントを構成する導電材料を腐食させる危険性が高い。ゲルに残留した過酸化物は、ゲル生成後一定期間熟成することにより減少する。熟成とは一定の温度条件でゲルを静置して過酸化物等の分解を促進することを指す。過酸化物の分解を促進するためには、熟成の温度を30℃以上に設定することが好ましい。また、熟成の温度が高過ぎると、ゲルマトリックス等が分解、劣化する危険性があり、ゲルに貼付する保護フィルム等の収縮が発生し、皺が入ったり、変形したりする危険性もあるため60℃以下に設定することが好ましい。熟成の温度として最も好ましいのは35〜45℃である。
|Z|=E/I
(|Z|はハイドロゲルのインピーダンス値(Ω)、Eはオシロスコープで読み取った電圧値(V)、Iは試験片に印加した電流である。)
・A層の配合液調製
撹拌・混合容器を使用して、表1に示すとおり、非架橋性モノマーとしてアクリルアミド、架橋性モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを合わせて19.96重量%、イオン交換水17.93重量%を混合し、撹拌して均一に溶解させた後に、保湿剤としてグリセリンを57.69重量%添加し、前記と同様に均一になるまで撹拌した。次に、電解質として硫酸ナトリウムを2.80重量%、塩化ナトリウムを0.61重量%、その他添加剤としてクエン酸、安息香酸Na、光重合開始剤、界面活性剤を合わせて0.31重量%添加し、完全溶解するまで撹拌した。最後に、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H、東亜合成社製)を0.70重量%添加し、均一になるまで攪拌し、透明な配合液を得た。
撹拌・混合容器を使用して、表1に示すとおり、非架橋性モノマーとしてアクリルアミド、架橋性モノマーとしてメチレンビスアクリルアミドを合わせて20.13重量%、イオン交換水18.08重量%を混合し、撹拌して均一に溶解させた後に、保湿剤としてグリセリンを58.19重量%添加し、前記と同様に均一になるまで撹拌した。次に、電解質として硫酸ナトリウムを0.70重量%、塩化ナトリウムを1.89重量%、その他添加剤としてクエン酸、安息香酸Na、光開始剤、界面活性剤を合わせて0.31重量%添加し、完全溶解するまで撹拌した。最後に、両親媒性高分子として、ジュリマーAC−20H(東亜合成社製)を0.70重量%添加し、均一になるまで攪拌し、透明な配合液を得た。
得られたB層の配合液を、シリコーンコーティングされたPETフィルム上に滴下し、一定のクリアランスを通過させることで、液を均一に押し広げ、厚さが0.5mmになるように固定した。これにメタルハライドランプを使用してエネルギー量500mJ/cm2で紫外線照射を行うことにより、厚さ0.5mmのB層を得た。得られたB層に、中間基材(ナイロンメッシュ)を載せて、その上にA層の配合液を滴下し、その上から同じくシリコーンコーティングされたPETフィルムを被せて、液を均一に押し広げ、厚さが0.5mmになるように固定した。これにメタルハライドランプを使用してエネルギー量3000mJ/cm2(B層に対しては合計3500mJ/cm2)の赤外線照射を行い、全厚み1.0mmのハイドロゲルを得た。
A層及びB層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。
B層に関しては、最後に、水不溶性高分子としてアクリルエステル系共重合樹脂のエマルジョン(固形分50重量%、商品名「ポリゾールPSA SE−1730」、昭和高分子株式会社製)を22.86重量%(固形分11.43重量%、水11.43重量%)、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H)に替えてケン化度が65%のポリビニルアルコールを0.19重量%添加し、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして調製し、乳白色の配合液を得た。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層及びB層の各成分の重量%を表1に示すように変更し、さらに、B層に関して、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H)に替えてケン化度が88%のポリビニルアルコールを2.87重量%添加した以外は実施例1と同様にしてA層及びB層の配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。
B層に関しては、両親媒性高分子として、アクリル酸−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸共重合体(アロンビスAH−305X、東亞合成社製)を1.09重量%添加し、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして調製し、ハイドロゲルを製造した。
A層及びB層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、さらに、水不溶性高分子としてアクリルエステル系共重合樹脂のエマルジョン(ポリゾールPSA SE−1730)を固形分が配合液中11.09重量%になるように添加し、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H)に替えてケン化度が88%のポリビニルアルコールを0.18重量%添加した以外は実施例1と同様にして配合液を調製した。B層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例7と同様にして配合液を調製した。B層については、両親媒性高分子として、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(ジュリマーAC−20H)に替えてケン化度が65%のポリビニルアルコールを3.07重量%添加し、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は実施例7と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層及びB層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。B層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、硫酸ナトリウムを添加しない以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、硫酸ナトリウムに替えて硫酸マグネシウムを4.80重量%添加した以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。B層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、硫酸ナトリウムに替えて硫酸マグネシウムを1.23重量%添加した以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。B層に関しては、各成分の重量%を表1に示すように変更し、硫酸ナトリウムを添加しない以外は、実施例1と同様にして配合液を調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
A層及びB層の配合液を、各成分の重量%を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に調製した。これらの各配合液を用いて、実施例1と同様にしてハイドロゲルを製造した。
得られた実施例1〜12及び比較例1〜6のハイドロゲルについて、ベークライト板、アルミニウム及び皮膚に対するA層及びB層のそれぞれの粘着力を測定した。それぞれの粘着力の評価方法は次のとおりである。
ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面にベークライト板を貼り付けて、2kgの圧着ローラーを1往復して圧着し試験片とした。測定にはレオメーター(サン科学社製、CR−500DX)を用い、JIS−Z0237;2009に準じて、測定条件は、角度90度、速度300mm/分で行った。測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、3試験(計15点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルのA層又はB層のベークライト板に対する粘着力とした。測定環境としては、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で実施した。
ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面に測定時の持ち手を作るために無機フィラーをコーティングした合成紙を貼り付け、試験片とした。その後、被験者5名(20代〜50代の男女)を、貼付15分前に温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下の測定室に入室させた。上記試験片を各被験者の前腕内側のなるべく体毛の少ない部分に貼付し、その状態で30分間維持した。測定にはレオメーター(サン科学社製、CR−500DX)を用い、測定条件は、角度180度、速度1000mm/分で行った。測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、2試験(計10点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルのB層の皮膚に対する粘着力とした。
ハイドロゲルを120mm×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面にアルミニウムフィルム(PET/アルミニウム(1N30)のラミネート品(東タイ社製;9μm))を貼り付けて、2kgの圧着ローラーを1往復して圧着し後、1日間常温で静置した。その後、もう一方のゲル面に、測定時の持ち手を作るために無機フィラーをコーティングした合成紙を貼り付け、試験片とした。アルミニウムフィルム側の面は両面テープを用いて、SUSに接着した。そして、無機フィラーをコーティングした合成紙のついたゲル端部をアルミニウムフィルムから剥がし、測定にはレオメーター(サン科学社製、CR−500DX)を用い、JIS−Z0237;2009に準じて、測定条件は、角度90度、速度300mm/分で行った。測定開始点から所定の引き剥がし時点(30、40、50、60、70mm)における応力値(N/20mm)を測定し、3試験(計15点)の値から平均値を算出し、この値をハイドロゲルA層のアルミニウムに対する粘着力とした。測定環境としては、温度23±5℃、湿度55%±10%の環境下で実施した。
ハイドロゲルを20×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面にイオン交換水を1滴滴下し、その上にpH試験紙(Whatman社製)を静置した。1分後の色の変化度合いを目視で判断した。
ハイドロゲルを20×20mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面(A層)を25×10mmのSUS304(厚み2mm)に貼付け、もう1つ同じものを作製し、それぞれもう一方のPETフィルムを剥がして現れたゲル面(B層)同士を貼り合わせ試験片とした。この試験片に入力電圧10V、抵抗1MΩ、1kHz及び10Hzの電流を印加したとき、SUS板間にかかる電圧をオシロスコープ(Tektronix社製;TDS3014)で読み取り、以下の式(オームの法則)によりインピーダンス値を求めた。
|Z|=E/I
|Z|はインピーダンス値(Ω)であり、Eはオシロスコープで読み取った電圧値(V)であり、Iは電極に印加した電流10(μA)である。
ハイドロゲルを100×250mmに切り出し、PETフィルムを剥がして現れたゲル面(A層)をPET/アルミニウム(1N30)のラミネート品(東タイ社製;9μm)に貼付し、50℃で10日間オーブンに保管し、アルミニウムに発生しているピンホールの個数を目視により確認した。表1中、ピンホールが観測されなかったものを○、ピンホールが1個観測されたものを△、複数個のピンホールが観測されたものを×としている。
配合液を調製した際の外観を目視により確認し、均一に溶解しているものを○、不溶な成分が観察されたものを×とした。
以上の評価結果を表1に示す。
10 A層
20 B層
30 電極エレメント
40 保護フィルム
50 表面基材
60 中間基材
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
Claims (8)
- A層とB層との積層構造を有するハイドロゲルであって、
前記A層には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び無機塩が含まれ、前記A層における塩化物イオン濃度が前記水に対して2.0重量%以下であり、
前記B層には、モノマー由来成分、水、保湿剤及び電解質が含まれ、前記B層における塩化物イオン濃度が前記水に対して2.0重量%超であり、
pHが3〜7であり、
前記A層における無機塩の添加量が、20℃における水への溶解度に対して60〜100重量%である、前記ハイドロゲル。 - 前記A層におけるモノマー由来成分と前記B層におけるモノマー由来成分とが同一の化合物である請求項1に記載のハイドロゲル。
- モノマー由来成分が、(メタ)アクリル系モノマーを含む請求項2に記載のハイドロゲル。
- 前記保湿剤が、多価アルコールである請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイドロゲル。
- 前記A層のアルミニウムに対する粘着力が、2.5N/20mm以上であり、前記B層のベークライト板に対する粘着力が、1.0〜9.0N/20mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイドロゲル。
- SUS板との積層体について測定した周波数1kHzでのインピーダンスが20〜500Ωであり、周波数10Hzでのインピーダンスが200〜600Ωである請求項1〜5のいずれか一項に記載のハイドロゲル。
- 積層構造を有するハイドロゲルの面内方向に沿って、中間基材が埋め込まれる請求項1〜6のいずれか1項に記載のハイドロゲル。
- 導電材料から構成される電極エレメントと皮膚表面との間に配置して用いられる医療用電極ハイドロゲルであって、請求項1〜7のいずれか一項に記載のハイドロゲルからなり、前記A層が、前記電極エレメントに接触する層であり、前記B層が、前記皮膚表面に接触する層である、前記医療用電極ハイドロゲル。
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