JP6937236B2 - 自律移動体の運用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自律移動体の運用方法に関する。
自律した移動を行い得る自律移動体として、例えば特許文献1、2等に見られる如き倒立振子型車両が従来より知られている。この種の倒立振子型車両は、その全体重心を、倒立振子の質点の如くバランス状態に保つように移動し得る車両であり、周囲のセンシング情報等を使用することで、自律した移動を行うことが可能である。
ここで、倒立振子型車両(以降、単に車両ということがある)の全体重心のバランス状態というのは、より詳しくは、全体重心に作用する重力と、該全体重心に作用する慣性力(遠心力等)と、車両が路面から受ける路面反力とにより車両に発生するモーメント(水平軸周り方向のモーメント)がゼロもしくはほぼゼロとなるように、動力学的な釣合がとれた状態を意味する。
この場合、例えば、車両の停車時、又は一定速度での定常的な直進走行時におけるバランス状態は、全体重心が、車両の接地部の直上もしくはほぼ直上に位置する状態となる。一方、車両の旋回時におけるバランス状態は、慣性力たる遠心力により車両に発生するモーメントと重力により車両に発生するモーメントとが打ち消し合うように、全体重心が車両の接地部の直上から、旋回中心側にずれた状態となる。
なお、自律移動体としては、上記の如き車両に限らず、電動式の車椅子、電動カート等も従来より知られている。
特開2014−198500号公報 特開2014−198503号公報
上記車両の如き自律移動体は、例えば、各種イベント会場、公共施設等における簡易な移動手段として活用し得る。この場合、利用者が、車両の利用を希望した場合に、その利用希望者が快適に配車サービスを受け得ることが望まれる。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、自律移動体の利用を希望する利用者への配車サービスを適切に行うことができる方法を提供することを目的とする。
本発明の自律移動体の運用方法は、上記の目的を達成するために、路面上を全方向に移動可能な第1移動動作部を有する移動手段としての自律移動体の利用を希望する利用希望者の位置情報に基づいて、該利用希望者に利用対象の自律移動体を近づけるように該自律移動体の移動を行う第1ステップと、
前記利用希望者の識別情報に基づいて、前記利用対象の自律移動体の周辺から前記利用希望者を特定する第2ステップと、
前記利用希望者を特定できた場合である第1の場合と、特定できなかった場合である第2の場合とで、前記利用対象の自律移動体に互いに異なる数の動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれ行わせる第3ステップとを備え
前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を、前記利用希望者の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含み、
前記利用希望者の隣に並んでいる他者が存在する場合における前記搭乗用位置は、前記利用希望者の周囲のうち、前記他者との間に前記利用希望者が存在するように決定された位置であり、
前記第2の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体が、前記利用希望者を未だ特定できていないことを示す動作を含むことを特徴とする。
ここで、前記利用対象の自律移動体で行われる動作の数とは、自律移動体が実行し得る動作のうち実際に実行させる動作の数であり、例えば、第1〜第3タイプの動作が実行可能であり、第1タイプの動作、第2タイプの動作、第3タイプの動作を1回ずつ実行した場合には、動作の数は3個となり、第1タイプの動作、第2タイプの動作、第3タイプの動作を2回ずつ実行した場合には、動作の数は6個となる。すなわち、実行する動作タイプの数(種類数)が同じであっても、動作の数が異なることがある。また、第1タイプの動作及び第2タイプの動作を1回ずつ実行した場合と、第1タイプの動作及び第3タイプの動作を1回ずつ実行した場合と、第2タイプの動作及び第3タイプの動作を1回ずつ実行した場合とは、実行する動作のタイプは異なるが、動作の数は同じである。さらに、第1タイプの動作、第2タイプの動作の順で実行した場合と、第2タイプの動作、第1タイプの動作の順で実行した場合とは、実行する動作の順番は異なるが、動作の数は同じである。
本発明によれば、前記第2ステップにおいて、前記利用希望者を特定できた場合(前記第1の場合)には、その場合に対応する数での前記利用対象の自律移動体(以降、単に、利用対象移動体ということがある)の動作(第1の場合用の動作)が行われる。
これにより、該利用対象移動体が、利用希望者に配車された自律移動体であることを該利用希望者にアピールすることができる。ひいては、利用希望者は、自身に対して利用対象移動体が配車されたことを容易に認識して、該利用対象移動体の利用を速やかに開始することができる。
また、前記第2ステップにおいて、前記利用希望者を特定できなかった場合(前記第2の場合)には、その場合に対応する数での前記利用対象移動体の動作(第2の場合用の動作)が行われる。
これにより、利用対象移動体の周辺に存在する利用希望者は、該利用対象移動体の存在を認識することが可能となると共に、利用対象移動体側が、自身を未だ特定できていないことを、認識することができる。ひいては、利用希望者は、自身が、当該利用対象移動体の配車対象の利用者であることを利用対象移動体側に認識させるための行動を速やかにとることができる。
従って、第1発明によれば、自律移動体の利用を希望する利用者への配車サービスを適切に行うことができる。
上記第1発明では、前記自律移動体は、前記第1移動動作部の後方に設けられ、前記自律移動体の旋回もしくは方向転換を円滑に行い得るようにするための路面上を全方向に移動可能な第2移動動作部を有し、前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を前記利用希望者の正面側に移動させた状態での該自律移動体の傾動及び旋回の少なくとも一方の動作を含み、前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を前記利用希望者の正面側に移動させた状態で該自律移動体を該利用希望者に向かって傾動させる動作を含むことが好ましい(第2発明)。
これによれば、前記利用希望者の正面側での利用対象移動体の傾動及び旋回の少なくとも一方の動作という、利用対象移動体の単純な移動動作と異なる動作が行われることで、前記利用希望者に、該利用対象移動体が、自身に配車された自律移動体であることを認識させることの効果を高めることができる。
これによれば、利用対象移動体が、利用希望者の正面側で、該利用希望者に対してお辞儀をするような傾動動作が行われるので、利用希望者に対して配車された利用対象移動体を該利用希望者に認識させることの効果をより一層高めることができると共に、利用希望者が、該利用対象移動体を心地よく認識することができる。
上記第1〜第3発明では、前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を、前記利用希望者の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含むことが好ましい(第4発明)。
なお、「搭乗用位置」というのは、より詳しくは、その位置の自律移動体に利用希望者が搭乗することが可能となる位置であると共に、前記利用希望者の周囲で、該利用希望者に接近した位置を意味する。
かかる第4発明によれば、前記利用希望者は、自身がさほど移動せずとも、前記搭乗用位置に移動した自律移動体に速やかに搭乗することが可能となる。
なお、第4発明を第2発明又は第3発明と組み合わせる場合には、第2発明又は第3発明における動作の実行後に、第4発明に動作を自律移動体に実行させることが好ましい。
上記第4発明では、前記搭乗用位置としては、例えば、前記利用希望者の正面、背面及び側面のいずれかの位置を採用し得る(第5発明)。
上記第4発明又は第5発明では、前記搭乗用位置は、前記利用希望者の周囲のうち、該周囲の他の位置よりも相対的に空きスペースが広い位置であることが好ましい(第6発明)。
ここで、上記空きスペースというのは、前記利用希望者が、前記利用対象の自律移動体への搭乗動作時に、他の物体との干渉等の阻害要因を生じることなく、該搭乗動作を行うことが可能な空間を意味する。
かかる第6発明によれば、前記利用希望者は、前記搭乗用位置に移動した自律移動体に容易に搭乗することが可能となる。
上記第4〜第6発明では、前記利用希望者の隣に並んでいる他者が存在する場合における前記搭乗用位置は、前記利用希望者の周囲のうち、前記他者との間に前記利用希望者が存在するように決定された位置であることが好ましい(第7発明)。
これによれば、前記利用希望者は、隣に並んでいる他者に干渉することなく、自律移動体に速やかに搭乗することが可能となる。
上記第4〜第7発明では、前記第1の場合に、前記利用対象の自律移動体を、前記利用希望者の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作は、前記利用希望者の視線又は顔の正面又は体の正面が前記利用対象の自律移動体に向けられていることを必要条件として実行される動作であることが好ましい(第8発明)。
これによれば、前記利用希望者が、利用対象の自律移動体の存在を認識しているか、もしくは認識している可能性が高い状態で、該自律移動体を前記搭乗用位置に移動させるので、利用希望者が自身への自律移動体の接近に対して違和感を覚えたりするのを防止することが可能となる。
上記第1〜第8発明では、前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を、前記利用希望者に対する該自律移動体の向きを所定の向きに向けた状態で該利用希望者の周囲に停止させる動作を含むことが好ましい(第9発明)。
これによれば、利用対象の自律移動体が、その向きを、前記利用希望者に対して所定の向きに向けた状態で該利用希望者の周囲に停止するため、該利用希望者は、自律移動体に搭乗し得る状態になったことを認識し易くなる。
なお、第9発明を前記第4〜第8発明と組み合わせる場合には、前記利用対象の自律移動体を、前記利用希望者に対する該自律移動体の向きを所定の向きに向けた状態で該利用希望者の周囲に停止させる位置は、前記搭乗用位置であることが好ましい。
上記第9発明では、前記所定の向きは、前記利用希望者の搭乗用の所定の向きであることが好ましい(第10発明)。
これによれば、利用希望者は、自律移動体が搭乗しやすい向きに向いた状態で該自律移動体への搭乗を行うことが可能となる。
上記第1〜第10発明では、前記第1の場合に、前記利用対象の自律移動体の到着を示す報知を前記利用希望者に対して行う第4ステップをさらに備えてもよい(第11発明)。
これによれば、上記報知によって、利用希望者に対して配車された利用対象移動体を該利用希望者に認識させることの効果をより一層高めることができる。
なお、第4ステップの実行タイミングは、第1の動作の実行前、実行中及び実行後のいずれのタイミングでもよい。
上記第1〜第11発明では、前記第2の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体の所定の動作を繰り返す動作であることが好ましい(第12発明)。
これによれば、利用対象移動体の周辺に存在する利用希望者に、自身を特定できていない利用対象移動体が存在することを容易に認識することができる。
上記第12発明では、前記第2の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を時計周り方向及び反時計周り方向に交互に旋回させる動作であることが好ましい(第13発明)。
これによれば、前記利用希望者を特定できなかった場合の利用対象移動体の動作は、人がきょろきょろする動作に類似した動作となるので、利用対象移動体の周辺に存在する利用希望者に、自身を特定できていない利用対象移動体が存在することを認識させることの効果を高めることができる。
上記第1〜第13発明では、前記第2の場合に、前記利用対象の自律移動体が前記利用希望者を探している旨の報知を行う第5ステップをさらに備えることが好ましい(第14発明)。
これによれば、利用対象移動体の周辺に存在する利用希望者に、自身を特定できていない利用対象移動体が存在することを認識させることの効果をより一層高めることができる。
なお、第5ステップの実行タイミングは、第2の動作の実行前、実行中及び実行後のいずれのタイミングでもよい。
上記第1〜第14発明では、前記第1の場合用の動作の実行前に、前記利用希望者の視線が、前記利用対象の自律移動体に向けられているか否かを判断する第6ステップと、該第6ステップの判断結果が否定的である場合に、前記利用対象の自律移動体に対する前記利用希望者の注意を喚起する動作を該自律移動体に実行させ、又は、前記利用希望者の注意を喚起する報知を行う第7ステップとをさらに備えることが好ましい(第15発明)。
これによれば、前記第1の場合の動作の実行前に、利用希望者が利用対象移動体に気づいていない場合であっても、前記第7ステップの処理により、利用対象移動体の存在を利用希望者に高い確実性で認識させることができる。
そして、このように利用希望者が利用対象移動体の存在を認識した状態で、該利用対象移動体の前記第1の場合用の動作が行われる。その結果、利用希望者に対して利用対象移動体が配車されたことを該利用希望者に認識させることの効果をより一層高めることができる。
上記第1〜第15発明では、前記第2ステップで前記利用希望者が特定された後に、当該特定された利用希望者が正しい利用希望者でないことが判明した場合に、前記利用希望者の特定を誤った旨を示す動作を前記利用対象の自律移動体に実行させ、又は前記利用希望者の特定を誤った旨を示す報知を行う第8ステップをさらに備えることが好ましい(第16発明)。
これによれば、誤って利用希望者と特定されてしまった他者に、不快感を及ぼしたり、あるいは、当該他者が利用対象移動体を利用できるものと勘違いしてしまうのを防止できる。
なお、第8ステップの実行タイミングは、前記第1の場合用の動作の実行前及び実行後のいずれのタイミングでもよい。
上記第1〜第16発明では、前記第1の場合に、前記第2ステップでの前記利用希望者の特定結果の確度の高低を判断し、該確度が低い場合には、高い場合よりも、前記利用対象の自律移動体を前記利用希望者によりゆっくり近づけながら、前記特定された利用希望者が正しい利用希望者であるか否かを判断する第9ステップをさらに備え、該第9ステップの判断結果が肯定的であることを必要条件として、前記利用対象の自律移動体の前記第1の場合用の動作を実行させることが好ましい(第17発明)。
これによれば、前記第2ステップでの前記利用希望者の特定結果の確度が低い場合に、前記第9ステップを行うことで、利用希望者が正しい利用希望者であるか否かを高い信頼性で判断することが可能となると共に、利用希望者でない者に対して前記第1の場合用の動作を実行してしまうのを極力防止できる。
上記第1〜第17発明では、前記第1の場合に、前記利用希望者の存在位置が、前記利用対象の自律移動体への搭乗に適した場所であるか否かを判断する第10ステップと、該第10ステップの判断結果が否定的である場合に、前記利用希望者を、前記利用対象の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用対象の自律移動体を動作させ、又は前記利用希望者を、前記利用対象の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用希望者に対する報知を行う第11ステップとをさらに備えることが好ましい(第18発明)。
これによれば、利用希望者は、利用対象移動体への搭乗に適した位置で、利用対象移動体に搭乗することが可能となる。ひいては、利用希望者は、利用対象移動体への搭乗を容易に行うことが可能となる。
なお、第11ステップの実行タイミングは、前記第1の場合用の動作の実行前及び実行後のいずれのタイミングでもよい。
上記第1〜第18発明では、前記第1ステップでは、前記利用希望者の中心視野領域内の地点を到達目標地点として、前記利用対象の自律移動体を該到達目標地点に移動させることが好ましい(第19発明)。
これによれば、利用希望者は、自身に配車された利用対象移動体が到着した場合に、該利用対象移動体を容易に視認することができる。従って、利用対象移動体が配車されたことを該利用希望者に認識させることの効果をより一層高めることができる。
上記第19発明では、前記第1ステップでは、前記利用対象の自律移動体を、出発地点から前記到達目標地点までの該自律移動体の移動所要時間を最短化するように、前記到達目標地点が設定され得る(第20発明)。
これによれば、利用希望者の中心視野領域への利用対象移動体の移動を極力速やかに行うことができる。
上記第1〜第20発明では、前記第2ステップで特定された利用希望者が、前記利用対象の自律移動体の利用を開始する前に、該利用希望者以外の者が、該自律移動体を利用しようとしていることが推定される場合に、該利用希望者以外の者による該自律移動体の利用を拒絶するように該自律移動体を動作させ、又は、該利用希望者以外の者による該自律移動体の利用を拒絶する旨の報知を行う第12ステップをさらに備えることが好ましい(第21発明)。
これによれば、利用希望者の周辺への利用対象移動体の移動途中等、利用希望者への利用対象移動体の配車の完了前に、利用希望者以外の者により利用対象移動体が利用されてしまうのを防止することができる。
上記第21発明では、前記自律移動体の搭乗部は、人を正常に搭乗させ得る搭乗許容状態と、正常に搭乗することが不能となる搭乗不能状態とに選択的に動作し得るように構成され得る。この場合、前記第12ステップでは、前記利用対象の自律移動体の搭乗部を、前記搭乗不能状態に動作させることが好ましい(第22発明)。
これによれば、利用希望者以外の者に、利用対象移動体を利用できないものであることを認識させることの効果を高めることができる。
上記第1〜第21発明では、前記自律移動体の搭乗部が、人を正常に搭乗させ得る搭乗許容状態と、正常に搭乗することが不能となる搭乗不能状態とに選択的に動作し得るように構成されている場合には、少なくとも前記第2ステップで前記利用希望者が特定されるまでは、前記利用対象の自律移動体の搭乗部を、前記搭乗不能状態に維持し、前記利用希望者が特定された後に、前記利用対象の自律移動体の搭乗部を搭乗許容状態に動作させるという態様を採用することもできる(第23発明)。
これよれば、少なくとも前記第2ステップで前記利用希望者が特定されるまでは、前記利用対象移動体の搭乗部が搭乗不能状態に維持されているので、利用希望者以外の者は、該利用対象移動体が利用できないものであることを容易に認識することができる。ひいては、該利用対象移動体が利用希望者以外の者に利用されてしまうのを防止できる。
上記第1〜第23発明では、前記自律移動体の利用可能エリアに、複数の利用可能な自律移動体を配置する第Aステップをさらに備えており、前記第1ステップで前記利用希望者に近づける前記利用対象の自律移動体は、前記複数の利用可能な自律移動体のうち、前記利用希望者に最も近い自律移動体、又は前記利用希望者から所定距離内に存在する自律移動体、又は前記利用希望者の周辺位置まで最も短時間で移動させ得る自律移動体、又は前記利用希望者の周辺位置まで所定時間以下の時間内で移動させ得る自律移動体であることが好ましい(第24発明)。
これによれば、前記利用希望者に利用対象移動体を近づけることを、できるだけ速やかに行うことが可能となる。
上記第24発明では、前記第Aステップでは、前記利用可能エリアのうち、人の密集度合の観測値又は予測値が低いエリアよりも高いエリアに、より多くの利用可能な自律移動体が存在するように該自律移動体が配置されることが好ましい(第25発明)。
これによれば、人の密集度合の観測値又は予測値が相対的に高いエリアには、より多くの利用可能な自律移動体が配置されるので、当該エリアでの利用希望者が多くなっても、各利用希望者に、できるだけ速やかに利用対象移動体を配車することが可能となる。
また、上記第24発明では、前記第Aステップでは、前記利用可能エリアに存在する各人の疲労度合の高低又は各人の移動の負担度合の高低を推定し、前記利用可能エリアのうち、前記疲労度合又は前記負担度合が高いと推定された人の人数が、少ないエリアよりも多いエリアに、より多くの利用可能な自律移動体が存在するように該自律移動体が配置されるという態様を採用することもできる(第26発明)。
これによれば、疲労度合又は移動の負担度合が相対的に高い人の人数が多いエリアには、より多くの利用可能な自律移動体が配置されるので、疲労度合又は移動の負担度合が相対的に高い人が自律移動体の利用を希望した場合に、疲労度合又は移動の負担度合が相対的に高い人にできるだけ速やかに利用対象移動体を配車することが可能となる。
上記第1〜第26発明では、前記利用希望者が、前記利用対象の自律移動体から離脱した後、該利用希望者が該利用対象の自律移動体の周囲の所定範囲の領域から逸脱したことが検知されてから、該利用対象の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることが好ましい(第27発明)。
あるいは、前記利用希望者が、前記利用対象の自律移動体から離脱した後、該利用希望者が所定の動作を行ったことが検知されてから、該利用対象の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることが好ましい(第28発明)。
あるいは、前記利用希望者が、前記利用対象の自律移動体から離脱した後、該利用希望者が移動を開始したことが検知されてから、該利用対象の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることが好ましい(第29発明)。
これらの発明によれば、前記利用希望者が自律移動体の利用を終了したとみなし得る状況になってから、該自律移動体の移動を開始することができる。なお、第27〜第28発明は、相互に組み合わせることも可能である。
本発明の実施形態における一例の自律移動体としての倒立振子型車両の側面図。 実施形態の倒立振子型車両の動作制御に係る構成を示すブロック図。 利用可能な倒立振子型車両の配置状態の例と、該倒立振子型車両の配車に関する統括管理装置とを示す図。 利用可能な倒立振子型車両を利用希望者に配車する場合の処理(第1実施形態)を示すフローチャート。 利用可能な倒立振子型車両を利用希望者に配車する場合の処理(第2実施形態)を示すフローチャート。 利用可能な倒立振子型車両を利用希望者に配車する場合の処理(第3実施形態)を示すフローチャート。 利用可能な倒立振子型車両を利用希望者に配車する場合の処理(第4実施形態)を示すフローチャート。 利用可能な倒立振子型車両を利用希望者に配車する場合の処理(第5実施形態)を示すフローチャート。 利用可能な倒立振子型車両を利用希望者に配車する場合の処理(第6実施形態)を説明するための図。 利用可能な倒立振子型車両を利用希望者に配車する場合の処理(第7実施形態)を示すフローチャート。 本発明の第7実施形態又は第8実施形態での倒立振子型車両の例を示す図。 本発明の第9実施形態での利用可能な倒立振子型車両の配置状態の例と、該倒立振子型車両の配車に関する統括管理装置とを示す図。 図13A及び図13Bは、本発明の第10実施形態での倒立振子型車両の動作を説明するための図。 本発明の第11実施形態での倒立振子型車両の動作を説明するための図。 本発明の自律移動体の他の例としての電動カートを例示する図。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図4を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本実施形態における自律移動体の構成を説明する。
図1に示すように本実施形態の自律移動体は、例えば倒立振子型車両1である。この倒立振子型車両1(以降、単に車両1ということがある)は、基体2と、路面上を移動可能な第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4と、車両1の利用者が搭乗する乗員搭乗部5とを備える。
第1の移動動作部3は、車両1の主たる移動動作部であり、路面上を全方向(任意の方向)に移動し得るように構成されている。一例として、第1の移動動作部3は、円環状の芯体6(以下、環状芯体6という)と、この環状芯体6の円周方向(軸心周り方向)に等角度間隔で並ぶようにして該環状芯体6に外挿された複数の円環状のローラ7とを備える。なお、図1では、一部のローラ7だけが代表的に図示されている。
各ローラ7は、環状芯体6の軸心周りに該環状芯体6と一体に回転可能とされていると共に、各ローラ7の配置位置での環状芯体6の横断面の中心軸(環状芯体6の軸心を中心とする円周の接線方向の軸)周りに回転可能とされている。
かかる構造の第1の移動動作部3は、その下部のローラ7を、車両1の移動環境の床面、地面等の路面に接地させた状態で、環状芯体6をその軸心周りに回転駆動することと、各ローラ7をその軸心周りに回転駆動することとの一方又は両方を行うことで、路面上を全方向に移動することが可能である。
以降の説明では、図1に示す如く、環状芯体6の軸心が水平になるように第1の移動動作部3を路面に接地させた状態での環状芯体6の軸心方向(図1では紙面に垂直な方向)をY軸方向、Y軸方向に直交する水平軸方向をX軸方向、鉛直方向をZ軸方向とする。また、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向をそれぞれ、車両1の前後方向、左右方向、上下方向(高さ方向)とする。そして、X軸、Y軸、Z軸の正方向を、それぞれ車両1の前方向、左方向、上方向とする。
第1の移動動作部3は、その環状芯体6が基体2に対して相対回転し得るように基体2に組み付けられている。本実施形態では、基体2は、路面に接地させた第1の移動動作部3の下部を除く部分を覆うように設けられている。そして、第1の移動動作部3の環状芯体6が、その軸心周りに、基体2に対して相対回転し得るように基体2に軸支されている。
このため、第1の移動動作部3の接地状態では、基体2は、第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心を支点として、Y軸周り方向(ピッチ方向)に傾動可能である。さらに、基体2は、第1の移動動作部3の接地部(下部)を支点として、第1の移動動作部3と共に、X軸周り方向(ロール方向)に傾動可能である。
基体2の内部には、第1の移動動作部3を移動させる駆動力を発生する第1のアクチュエータ装置8が搭載されている。この第1のアクチュエータ装置8は、環状芯体6を回転駆動するアクチュエータ8aと、各ローラ7を回転駆動するアクチュエータ8bとから構成される。これらのアクチュエータ8a,8bは、例えば電動モータ、油圧アクチュエータ等により構成される。
そして、アクチュエータ8a,8bは、それぞれ、図示を省略する動力伝達機構を介して環状芯体6、各ローラ7に回転駆動力を付与する。該動力伝達機構は、公知の構造のものでよい。
基体2には、乗員搭乗部5が組み付けられている。本実施形態では、乗員搭乗部5は、車両1の利用者が着座するシートにより構成されており、基体2と一体に傾動し得るように基体2の上端部に固定されている。そして、車両1の利用者は、その前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向に向けた姿勢で、乗員搭乗部5に着座することが可能となっている。
基体2には、さらに乗員搭乗部5に着座した利用者がその足を載せる足載せ部9が組み付けられている。該足載せ部9は、基体2の左右の両側部の下部に各々突設されている。
第2の移動動作部4は、車両1の旋回もしくは方向転換を円滑に行い得るようにするための補助的な移動動作部であり、路面上を全方向(任意の方向)に移動し得るように構成されている。この第2の移動動作部4は、本実施形態では、例えばオムニホイールにより構成されている。第2の移動動作部4としてのオムニホイールは、同軸心の一対の環状芯体(図示省略)と、各環状芯体に、回転軸心を該環状芯体の円周方向に向けて回転自在に外挿された複数の樽状のローラ13とを備える公知の構造のものである。
この場合、第2の移動動作部4は、その一対の環状芯体の軸心をX軸方向(前後方向)に向けて第1の移動動作部3の後方に配置され、ローラ13を介して路面に接地される。
なお、上記一対の環状芯体の一方側のローラ13と、他方側のローラ13とは、該環状芯体の周方向に位相をずらして配置されており、該一対の環状芯体の回転時に、該一対の環状芯体の一方側のローラ13と、他方側のローラ13とのうちのいずれか一方が路面に接地するようになっている。
かかる構成の第2の移動動作部4は、基体2又は第1の移動動作部3に連結されている。より詳しくは、第2の移動動作部4は、オムニホイール(一対の環状芯体及び複数のローラ13の全体)の上部側の部分を覆う筐体14を備える。そして、筐体14に、オムニホイールの一対の環状芯体がその軸心周りに回転し得るように軸支されている。
さらに、筐体14から基体2側に延設されたアーム15が、前記第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心周りに所定の角度範囲で揺動し得るように、基体2に軸支され、又は環状芯体6の軸心部に軸支されている。
これにより、第2の移動動作部4が、環状芯体6の軸心周りに、基体2に対して揺動し得るように、アーム15を介して基体2又は第1の移動動作部3に連結されている。このため、第1の移動動作部3と第2の移動動作部4との両方を接地させたまま、乗員搭乗部5及び基体2をY軸周り方向(ピッチ方向)に傾動させることが可能となっている。
また、第2の移動動作部4は、第1の移動動作部3及び基体2と共に、X軸周り方向(ロール方向)に傾動することが可能である。
なお、第2の移動動作部4は、路面に押し付けられるようにバネにより付勢されていてもよい。
上記の如く構成された第2の移動動作部4は、その一対の環状芯体の回転と、ローラ13の回転とのうちの一方又は両方を行なうことで、第1の移動動作部3と同様に、路面上を全方向に(任意の方向に)移動することが可能となっている。
第2の移動動作部4の筐体14には、第2の移動動作部4を駆動するアクチュエータ17が取り付けられている。本実施形態では、アクチュエータ17は、第2の移動動作部4の一対の環状芯体を回転駆動するように該一対の環状芯体に連結されている。該アクチュエータ17は、例えば電動モータ、油圧アクチュエータ等により構成され得る。
従って、本実施形態では、アクチュエータ17により第2の移動動作部4の一対の環状芯体を回転駆動することで、第2の移動動作部4をY軸方向に移動させることが可能となっている。一方、第2の移動動作部4のX軸方向での移動(ローラ13の回転)は、第1の移動動作部3のX軸方向での移動に追従して従動的に行なわれるようになっている。
以上が本実施形態における車両1の機構的な構成である。
補足すると、路面上を全方向に移動し得る第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4、並びにそれらの駆動系は、上記のものに限らず、種々様々な構造のものを採用し得る。例えば、第1の移動動作部3及びその駆動系の構造として、PCT国際公開公報WO/2008/132778、あるいは、PCT国際公開公報WO/2008/132779にて本願出願人が提案した構造のものを採用してもよい。また、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4は、互いに同じ構造のものであってもよい。
図1での図示は省略したが、本実施形態の車両1には、該車両1の動作制御のための構成要素として、図2に示すように、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成された制御装置21と、車両1の動作状態もしくは外界状態等を観測するための各種センサと、後述する統括管理装置30、あるいは他車両1、あるいは車両1の利用者が所持する図示しない携帯端末機(スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット端末等。以降、ユーザ端末機という)と制御装置21との間の無線通信を行うための通信装置27と、各種報知を行うための報知ランプ28とが搭載されている。
上記センサには、例えば、鉛直方向に対する乗員搭乗部5の傾斜角度(=基体2の傾斜角度)を計測するための傾斜センサ22、車両1のヨー方向(Z軸周り方向)の角速度を計測するためのヨーレートセンサ23、車両1の周辺環境に存在する物体(人、移動物体、設置物等)を認識するための外界認識センサとしてのカメラ24、車両1への利用者の搭乗の有無を検知するための搭乗検知センサ25、車両1の自己位置を検出するための位置センサ26等が含まれる。これらのセンサの出力(検出データ)が制御装置21に入力される。
上記外界認識センサとしては、カメラ24の代わりに、又はカメラ24に加えて、例えば、レーザ・レンジ・ファインダー等の測距センサ、あるいは、レーダ装置等も使用し得る。
また、傾斜センサ22は、例えば加速度センサ及びジャイロセンサ(角速度センサ)の組により構成され得る。この場合、傾斜センサ22は、その構成要素のセンサとして、ヨーレートセンサ23を含み得る。
また、搭乗検知センサ25としては、例えば乗員搭乗部5又は足載せ部9に作用する荷重を検出する荷重センサ等を使用し得る。また、位置センサ26としては、例えばGPSセンサ等を使用し得る。
報知ランプ28は、複数の発光色(例えば、青、黄、赤)の光を出力し得るように、発光ダイオード等の発光素子により構成され、出力する光を車両1の外部から視認し得るように、基体2に取付られている。
制御装置21は、実装されるハードウェア構成又はプログラム(ソフトウェア構成)により実現される機能として、前記アクチュエータ8a,8b,17の動作制御(ひいては、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動制御)を行う機能と、報知ランプ28の発光を制御する機能とを有するように構成されている。
この場合、前記アクチュエータ8a,8b,17の動作制御に関して制御装置21が実行する制御処理は、車両1に利用者が搭乗していない状態での動作モード(以降、非搭乗動作モードという)の制御処理と、車両1に利用者が搭乗している状態での動作モード(以降、搭乗動作モードという)の制御処理とに大別される。
これらの動作モードでの制御処理の概要を以下に説明しておく。
搭乗動作モードでは、制御装置21は、例えば、乗員(乗員搭乗部5に着座した利用者)の体重移動(重心の移動)、あるいは、乗員のユーザ端末機の操作等による車両1の動作指令に応じて、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する。
この場合、車両1の全体重心のバランス状態を確保しつつ、車両1が所要の移動速度で移動もしくは旋回するように第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動が制御される。なお、搭乗動作モードでの車両1の全体重心は、より詳しくは、車両1と、乗員とを合わせた全体の重心を意味する。また、全体重心のバランス状態は、全体重心に作用する重力と、該全体重心に作用する慣性力(遠心力等)と、車両1が路面から受ける路面反力とにより車両に発生するモーメント(水平軸周り方向のモーメント)がゼロもしくはほぼゼロとなるように、動力学的な釣合がとれた状態を意味する。
搭乗モードにおける制御装置21の具体的な制御処理は、例えば次のように行われる。すなわち、制御装置21は、所定の制御処理周期で、例えば、次式(1a),(1b)により、第1の移動動作部3のX軸方向の並進加速度の目標値DVw1_cmd_x及びY軸方向の並進加速度の目標値DVw1_cmd_yを決定し、これらの目標値を積分してなる並進移動速度(目標値)を実現するように、アクチュエータ8a,8bを制御することで、第1の移動動作部3の移動を制御する。
DVw1_cmd_x=Kvb_x・(Vb_cmd_x−Vb_act_x)
+Kth_y・(θb_cmd_y−θb_act_y)
−Kw_y・ωb_act_y ……(1a)
DVw1_cmd_y=Kvb_y・(Vb_cmd_y−Vb_act_y)
+Kth_x・(θb_cmd_x−θb_act_x)
−Kw_x・ωb_act_x ……(1b)
ここで、式(1a)の右辺におけるVb_cmd_xは、車両1の全体重心のX軸方向の並進移動速度の目標値、Vb_act_xは、車両1の全体重心のX軸方向の実際の並進移動速度、θb_cmd_yは、乗員搭乗部5(又は基体2)のY軸周り方向(ピッチ方向)の傾斜角度の目標値、θb_act_yは、乗員搭乗部5(又は基体2)のY軸周り方向(ピッチ方向)の実際の傾斜角度、ωb_act_yは、乗員搭乗部5(又は基体2)のY軸周り方向(ピッチ方向)の実際の傾斜角度の時間的変化率(傾斜角速度)、Kvb_x,Kth_y,Kw_yは、それぞれ所定値のゲイン(フィードバックゲイン)である。
また、式(1b)の右辺におけるVb_cmd_yは、車両1の全体重心のY軸方向の並進移動速度の目標値、Vb_act_yは、車両1の全体重心のY軸方向の実際の並進移動速度、θb_cmd_xは、乗員搭乗部5(又は基体2)のX軸周り方向(ロール方向)の傾斜角度の目標値、θb_act_xは、乗員搭乗部5(又は基体2)のX軸周り方向(ロール方向)の実際の傾斜角度、ωb_act_xは、乗員搭乗部5(又は基体2)のX軸周り方向(ロール方向)の実際の傾斜角度の時間的変化率(傾斜角速度)、Kvb_y,Kth_x,Kw_xは、それぞれ所定値のゲイン(フィードバックゲイン)である。
この場合、実際の傾斜角度θb_act_x,θb_act_y及びその時間的変化率(傾斜角速度)ωb_act_x,ωb_act_yの値としては、傾斜センサ22の出力により示される計測値を使用し得る。
また、全体重心の実際の並進移動速度Vb_act_x,Vb_act_yの値としては、例えば、次式(2a),(2b)により算出される推定値を使用し得る。
Vb_act_x=Vw1_act_x+h・ωb_act_x ……(2a)
Vb_act_y=Vw1_act_y+h・ωb_act_y ……(2b)
なお、Vw1_act_xは第1の移動動作部3のX軸方向の実際の並進移動速度、Vw1_act_yは第1の移動動作部3のY軸方向の実際の並進移動速度、hは全体重心の高さ(設定値)である。Vw1_act_x,Vw1_act_yの値としては、適宜のセンサよる計測値を使用し得る。あるいは、Vw1_act_x,Vw1_act_yの擬似的な推定値として、制御装置21の前回の制御処理周期で決定した並進速度の目標値(DVw1_cmd_x,DVw1_cmd_yのそれぞれの積分値)を使用することも可能である。
また、式(1a),(1b)における全体重心の並進移動速度の目標値Vb_cmd_x,Vb_cmd_yとしては、例えば、乗員の重心の移動量(乗員搭乗部5に対する相対的な移動量)の推定値に応じて決定した値、あるいは、乗員がユーザ端末機の操作等に応じて設定した指令値、あるいは、これらの合成値を使用し得る。
また、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_yとしては、全体重心の並進移動速度Vb_act_x,Vb_act_yが目標値に整定した状態で、全体重心のバランス状態を確保し得る傾斜角度の値を使用し得る。
この場合、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_yは、車両1の直進走行時には、全体重心が第1の移動動作部3の接地部の直上(もしくはほぼ直上)となる状態での乗員搭乗部5(又は基体2)の傾斜角度であり、車両1の旋回走行時には、全体重心に作用する遠心力によって車両1に発生するモーメントと、全体重心に作用する重力によって車両1に発生するモーメントとが釣り合う状態での乗員搭乗部5(又は基体2)の傾斜角度である。
なお、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_yは、一時的に、全体重心のバランス状態を確保し得る傾斜角度の値からずらした値に設定することも可能である。
また、制御装置21は、搭乗動作モードにおいて、例えば、次式(3)により、車両1の第2の移動動作部4のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw2_cmd_yを決定し、この目標値を実現するように、アクチュエータ17を制御することで、第2の移動動作部4の移動を制御する。
Vw2_cmd_y=Vw1_cmd_y−L・ωcmd_z ……(3)
ここで、式(3)の右辺におけるVw1_cmd_yは、前記式(1b)により算出される第1の移動動作部3のY軸方向の並進加速度の目標値DVw1_cmd_yを積分してなる並進移動速度(目標値)、ωcmd_zは、車両1のZ軸周り方向(ヨー方向)の角速度の目標値、Lは、第1の移動動作部3の接地部と第2の移動動作部4の接地部との間の既定の距離である。
上記式(3)により、第2の移動動作部4のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw2_cmd_yは、第1の移動動作部3のY軸方向の並進移動速度との速度差によって、車両1のヨー方向の角速度の目標値ωcmd_zを実現するように決定される。
この場合、角速度の目標値ωcmd_zとしては、例えば、Y軸方向での乗員の重心の移動量の推定値に応じて決定した値、あるいは、Y軸方向での全体重心の並進移動速度の目標値もしくは検出値に応じて決定した値、あるいは、Y軸方向での第1の移動動作部3の並進移動速度の目標値もしくは検出値に応じて決定した値、あるいは、乗員が携帯端末機の操作等に応じて設定した指令値等を使用し得る。
なお、角速度の目標値ωcmd_zは、車両1の旋回中心が、第1の移動動作部3の接地部に存在し、もしくは、該第1の移動動作部3の接地部と第2の移動動作部4の接地部との間に存在するように設定することが好ましい。そして、第1の移動動作部3のX軸方向の並進移動速度の目標値又は検出値が小さいほど、車両1の旋回中心が、第1の移動動作部3の接地部に近づくように、角速度の目標値ωcmd_zを設定することが好ましい。
補足すると、ωcmd_z=0の場合には、式(3)により算出される第2の移動動作部4のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw2_cmd_yは、第1の移動動作部3のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw1_cmd_yに一致する。従って、ωcmd_z=0の場合、すなわち、車両1の直進走行時には、第2の移動動作部4は、第1の移動動作部3と同じ並進移動速度で移動するように制御される。
搭乗動作モードでは、以上の如く、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動制御が行われる。
一方、非搭乗動作モードでは、制御装置21は、例えば、後述する統括管理装置30から与えられる動作指令に応じて、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する。より詳しくは、車両1が、統括管理装置30から与えられる動作指令に応じた所要の移動速度で並進移動もしくは旋回し、あるいは、乗員搭乗部5及び基体2が所要の傾動動作を行うように第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動が制御される。
この場合、制御装置21は、非搭乗動作モードにおいて、前記式(1a),(1b),(2a),(2b)と同様の式により、第1の移動動作部3の並進加速度の目標値DVw1_cmd_x,DVw1_cmd_yを決定し、これらの目標値を積分してなる並進移動速度(目標値)を実現するように、アクチュエータ8a,8bを制御する。
また、制御装置21は、前記式(3)と同様の式により、第2の移動動作部4のY軸方向の並進移動速度の目標値Vw2_cmd_yを決定し、この目標値を実現するように、アクチュエータ17を制御する。
ただし、非搭乗動作モードでの車両1の全体重心は、車両1単体の全体重心である。また、非搭乗動作モードでは、前記式(1a),(1b),(2a),(2b)の演算で使用するゲインKvb_x,Kth_y,Kw_y,Kvb_y,Kth_x,Kw_xの設定値、全体重心の高さhの設定値は、非搭乗動作モード用の設定値であり、一般には搭乗動作モードでの値と異なる。
また、前記式(1a),(1b)の演算で使用する全体重心の並進移動速度の目標値Vb_cmd_x,Vb_cmd_y、及び、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_y、並びに、前記式(3)の演算で使用するヨー方向の角速度の目標値ωcmd_zは、統括管理装置30から与えられる動作指令に応じて決定される。
なお、傾斜角度の目標値θb_cmd_x,θb_cmd_yは、車両1の定常的な移動時(並進移動時もしくは旋回時)、あるいは定常的な停車時には、非搭乗動作モードでの全体重心のバランス状態を確保し得る値に設定される。
非搭乗動作モードでは、以上の如く、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動制御が行われる。
補足すると、搭乗動作モード等における車両1のより詳細な動作制御の手法としては、例えば前記特許文献1等に本願出願人が提案した手法等を採用し得る。ただし、搭乗動作モード及び非搭乗動作モードにおける車両1の動作制御の手法は、上記の手法に限らず、他の手法であってもよい。車両1の動作制御の手法は、車両1の全体重心のバランス状態を確保し得るように、車両1を移動させることができる手法であれば、どのような手法であってもよい。
次に、本実施形態における車両1の運用方法を具体的に説明する。
本実施形態では、以上説明した車両1は、例えば、各種イベント会場、あるいは、公共施設等の利用可能エリアにおいて、利用者が、移動手段として利用し得る車両1として活用される。
この場合、利用可能エリアには、複数の車両1が備えられる。そして、利用されていない状態の各車両1(以降、利用可能車両1という)の配車等が、統括管理装置30により管理される。
統括管理装置30は、CPU等を含む1つ以上の電子回路ユニット、あるいは、1つ以上のコンピュータ、あるいは、これらの組み合わせにより構成される。そして、統括管理装置30は、各車両1の制御装置21、あるいは、利用者のユーザ端末機と、適宜、通信を行うことが可能である。
この統括管理装置30は、利用可能エリアにおける各利用可能車両1の配置エリアを、適宜決定し、その配置エリアに各利用可能車両1を移動させるように、各利用可能車両1に動作指令を与える。
この場合、統括管理装置30は、例えば、利用可能エリアにあらかじめ設置された監視カメラ(図示省略)、あるいは、各車両1に搭載されたカメラ24の撮像画像を取得し、該撮像画像に基づいて、利用可能エリアの各所における人の密集度合(単位面積当たりの人数)を適宜、検知する。そして、統括管理装置30は、検知した密集度合(観測値)に応じて、利用可能エリアにおける利用可能車両1の配置を決定する。
具体的には、統括管理装置30は、図3に示すように、人の密集度合が相対的に低いエリアよりも、該密集度合が相対的に高いエリアに、より多くの利用可能車両1を配置するように、各利用可能車両1の配置エリアを決定する。
なお、例えば、利用可能エリアの各所における人の密集度合の経時変化を、あらかじめ収集した統計データ等に基づいて予測し、その予測に基づいて、各利用可能車両1の配置エリアを決定することも可能である。例えば、ある時間帯に特定のエリアにおける人の密集度合が高くなることが予測される場合に、その時間帯又はその近辺の時間帯に、該特定のエリアに配置される利用可能車両1の台数を、他のエリアよりも多くするように、各利用可能車両1の配置エリアを決定してもよい。
統括管理装置30は、各利用可能車両1の制御装置21に、上記の如く決定した配置エリアへの移動を指示する動作指令を送信する。このとき、各利用可能車両1の制御装置21は、受信した動作指令により指定された配置エリアまで利用可能車両1を移動させるように、非搭乗動作モードでの制御処理により、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動制御を行う。
この場合、各利用可能車両1の移動経路、該移動経路上での利用可能車両1の全体重心の移動速度の目標値、及び該移動経路上での利用可能車両1のヨー方向の角速度の目標値は、例えば、利用可能エリアに設置された監視カメラの撮像画像、もしくは各利用可能車両1のカメラ24の撮像画像等に基づいて、統括管理装置30又は各利用可能車両1の制御装置21の処理により、あるいは、統括管理装置30及び各利用可能車両1の制御装置21の協働処理により決定される。
利用可能エリアでの利用可能車両1の配置は上記の如く行われる。このように利用可能車両1を利用可能エリア内で配置する処理が、本発明における第Aステップの処理に相当する。
次に、利用者が、車両1の利用を希望した場合の車両1の配車に関して説明する。
本実施形態では、統括管理装置30には、利用可能エリアで車両1を利用し得る利用者又はそのユーザ端末機に関する情報(以降、利用者情報という)があらかじめ登録されている。
この利用者情報には、利用者の氏名もしくはメールアドレス等の情報の他、車両1の制御装置21が該利用者を識別するために用いる識別情報が含まれている。該識別情報としては、例えば、利用者の撮像画像、利用者の歩行等の運動パターン情報、利用者の音声情報、利用者のユーザ端末機から送信し得る識別コード等を使用し得る。
そして、統括管理装置30に登録された利用者が、利用可能エリアで車両1を利用しようとする場合には、図4のフローチャートに示す如く、該利用者への車両1の配車が行われる。
図4を参照して、車両1を利用しようとする利用者(以降、利用希望者という)は、自身のユーザ端末機にあらかじめインストールされたアプリケーションを起動することで、該ユーザ端末機と統括管理装置30との通信を行い、車両1の利用開始時における利用希望者の位置情報(車両1の利用開始場所を示す情報)、利用開始希望時刻を示す情報等を含む利用希望情報を、ユーザ端末機から統括管理装置30に送信する(STEP1)。
なお、上記利用開始場所は、利用開始希望時刻での利用希望者の存在地点の周辺領域(詳しくは、利用開始希望時刻での利用希望者の存在地点から所定距離内の領域)である。
上記利用希望情報を受信した統括管理装置30は、該利用希望情報により示される利用開始希望時刻の直前の時刻において、複数の利用可能車両1のなかから、利用希望者に配車すべき1つの車両1(以降、利用対象車両1という)を選定し、該利用対象車両1の制御装置21に対して、利用開始場所に向かって移動すべき旨を示す動作指令を、利用希望者の識別情報と共に送信する(STEP2)。
この場合、利用可能エリア内の利用可能車両1のうち、例えば、利用希望情報に含まれる位置情報により示される利用希望者の存在地点(利用開始希望時刻での存在地点)から最も近い位置に存する利用可能車両1、あるいは、該利用希望者の存在地点から所定の距離内に存する利用可能車両1が、上記利用対象車両1として選定される。
あるいは、例えば、各利用可能車両1を出発地点(現在位置)から利用開始場所に設定した到達目標地点に移動させるのに要する移動所要時間を推定し、該移動所要時間の推定値が最短(もしくはほぼ最短)となる利用可能車両1、あるいは、該移動所要時間の推定値が所定時間以下となる利用可能車両1を、上記利用対象車両1として選定することも可能である。
この場合、上記移動所要時間は、例えば、利用可能エリアに設置された監視カメラの撮像画像、もしくは利用可能エリア内の各車両1のカメラ24の撮像画像等から認識される環境情報(障害物の存在情報等)を用いて推定し得る。
上記動作指令及び識別情報を受信した利用対象車両1の制御装置21は、該利用対象車両1を、指示された利用開始場所に近づけていく(ひいては、利用希望者に近づけていく)ように、非搭乗動作モードの制御処理により利用対象車両1の第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する(STEP3)。
この場合、利用対象車両1の移動経路、該移動経路上での利用対象車両1の全体重心の移動速度の目標値、及び該移動経路上での利用対象車両1のヨー方向の角速度の目標値を規定する移動計画は、例えば、利用可能エリアに設置された監視カメラの撮像画像、もしくは利用可能エリア内の各車両1のカメラ24の撮像画像等に基づいて、統括管理装置30又は各利用可能車両1の制御装置21の処理により、あるいは、統括管理装置30及び各利用可能車両1の制御装置21の協働処理により決定される。
上記移動計画は、例えば、利用対象車両1を、出発地点から利用開始場所に設定した到達目標地点まで、撮像画像等から認識される障害物(人、他の車両1、設置物等)との接触を回避しながら移動させ得るように、公知の経路生成手法により決定される。
この場合、上記移動計画は、利用対象車両1の出発地点から到達目標地点までの移動所要時間を最短(もしくはほぼ最短)にし得るように決定することが好ましい。例えば、移動計画の複数の候補を暫定的に生成し、それらの候補のうち、利用対象車両1の移動所要時間が最短となる候補を移動計画として決定し得る。
なお、利用対象車両1の移動計画は、該利用対象車両1の移動中に、適宜更新され得る。
また、STEP3では、利用対象車両1の制御装置21は、利用対象車両1の移動制御と並行して、利用対象車両1の周辺から利用希望者を特定する処理を実行する。この特定処理では、利用対象車両1の制御装置21は、例えば、該利用対象車両1のカメラ24の撮像画像と、統括管理装置30から与えられた識別情報としての利用希望者の撮像画像もくしは運動パターン情報とに基づいて、利用対象車両1の周辺から、当該識別情報に適合する利用希望者及びその存在位置を特定する。
この場合、利用希望者を特定するまでの期間において、利用対象車両1のカメラ24により該利用対象車両1の周辺を幅広く撮像するために、利用対象車両1の移動時に、随時、該利用対象車両1をヨー方向に旋回させるようにしてもよい。当該旋回動作は、利用対象車両1の第1の移動動作部3の接地部の位置をほぼ一定に維持した状態での旋回動作(方向転換動作)、あるいは、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を行いながらの旋回動作のいずれの旋回動作であってもよい。
なお、利用対象車両1の制御装置21が、例えば音声認識機能を有する場合には、利用希望者の識別情報としての音声情報に適合する音声の発生方向を特定することで、利用希望者の存在方向を特定することも可能である。また、利用希望者の識別情報に、該利用希望者のユーザ端末機から送信される識別コードが含まれる場合には、例えば、該識別コードの発信方向を特定することで、利用希望者の存在方向を特定することも可能である。
補足すると、上記STEP3の処理のうち、利用対象車両1を移動させる処理が、本発明における第1ステップの処理に相当し、利用希望者を特定する処理が、本発明における第2ステップに相当する。
なお、STEP3の処理の実行中に、利用対象車両1の制御装置21、又は統括管理装置30から、利用対象車両1の現在位置、利用開始場所への到達予定時刻等の情報を利用希望者のユーザ端末機に送信し、当該情報を利用希望者が、自身のユーザ端末機で随時確認できるようにしてもよい。
利用対象車両1の制御装置21は、STEP3の処理を実行しながら、利用希望者を特定できたか否かを判断する(STEP4)。
そして、利用対象車両1の制御装置21は、利用希望者を特定できた場合(STEP4の判断結果が肯定的となった場合)には、利用対象車両1に所定の第1動作(詳細は後述)を行わせるように、利用対象車両1の第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する(STEP5)。
なお、第1動作が行われた後は、利用対象車両1に利用希望者が搭乗し、該利用対象車両1の利用が開始される。
また、利用開始場所の近辺(利用開始場所から所定距離内の位置)まで利用対象車両1を移動させても利用希望者を特定できなかった場合、あるいは、利用対象車両1の移動開始時から所定時間が経過しても利用希望者を特定できなかった場合には、STEP4の判断結果が否定的となる。
この場合には、利用対象車両1の制御装置21は、利用対象車両1に前記第1動作と異なる所定の第2動作(詳細は後述)を行わせるように、利用対象車両1の第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動を制御する(STEP6)。
そして、利用対象車両1の第2動作と並行して、あるいは、第2動作の実行後に、利用希望者を特定する処理が、STEP3の場合と同様にSTEP7で行われる。さらに、利用希望者を特定できたか否かが判断される(STEP8)。
このSTEP8の判断結果が否定的である場合(利用希望者を特定できなかった場合)には、STEP6で利用対象車両1の第2動作が再び行われ、もしくは、継続される。
また、STEP8の判断結果が肯定的となった場合(利用希望者を特定できた場合)には、STEP5で利用対象車両1の第1動作が行われる。
以上の如く、利用希望者に対する利用対象車両1の配車に関する処理が行われる。なお、上記STEP5,6の処理は、本発明における第3ステップに相当する。また、STEP4又は8の判断結果が肯定的になる場合が、本発明における第1の場合に相当し、STEP4又は8の判断結果が否定的になる場合が、本発明における第2の場合に相当する。そして、第1動作及び第2動作が、それぞれ、本発明における第1の場合用の動作、第2の場合用の動作に相当する。
本実施形態では、上記第1動作及び第2動作は、利用対象車両1の動作の数が互いに異なる動作である。
ここで、利用対象車両1で行われる動作の数とは、車両1が実行し得る動作のうち実行した動作の数であり、例えば、第1〜第3タイプの動作が実行可能であり、第1タイプの動作、第2タイプの動作、第3タイプの動作を1回ずつ実行した場合には、動作の数は3個となり、第1タイプの動作、第2タイプの動作、第3タイプの動作を2回ずつ実行した場合には、動作の数は6個となる。すなわち、実行する動作タイプの数が同じであっても、動作の数が異なることがある。
また、第1タイプの動作及び第2タイプの動作を1回ずつ実行した場合と、第1タイプの動作及び第3タイプの動作を1回ずつ実行した場合と、第2タイプの動作及び第3タイプの動作を1回ずつ実行した場合とは、実行する動作のタイプは異なるが、動作の数は同じである。さらに、第1タイプの動作、第2タイプの動作の順で実行した場合と、第2タイプの動作、第1タイプの動作の順で実行した場合とは、実行する動作の順番はことなるが、動作の数は同じである。なお、第1動作及び第2動作のいずれかは、動作の数が1個であってもよい。
この場合、第1動作及び第2動作の少なくとも1つは、車両1の複数の基本動作を複合させた動作として実現し得る。
上記基本動作としては、例えば、車両1の傾動動作(基体2及び乗員搭乗部5が傾動する動作)、車両1の並進移動動作(第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4が同一方向に並進移動する動作)、車両1の旋回動作(第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の向きがヨー方向に変化する動作)、及び車両1の移動停止動作(第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の空間的な位置が一定もしくはほぼ一定に維持される動作)が挙げられる。
なお、車両1の傾動動作は、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の移動により実現し得る動作である。従って、車両1の傾動動作は、車両1の並進移動動作又は旋回動作との複合動作である。
また、車両1の旋回動作は、第1の移動動作部3の接地部の位置を一定もしくはほぼ一定に保ちつつ、車両1の旋回(方向転換)を行う動作(以降、自転旋回動作という)と、曲率を有する経路上で第1の移動動作部3の移動を行いながら、車両1の旋回走行を行う動作(以降、公転旋回動作という)とを含む。
そして、車両1の傾動動作、並進移動動作及び旋回動作のそれぞれは、例えば、該動作の動作方向(傾動方向、並進移動方向、旋回方向(時計周り方向又は反時計周り方向))、動作速度(傾動速度、並進移動速度、旋回速度(ヨー方向の角速度))、動作量(傾動量、並進移動量、旋回角度(ヨー方向の回転角度))、あるいは、該動作の継続時間の区分によって、さらに複数の基本動作に分類し得る。
なお、上記公転旋回動作は、例えば、旋回中心の位置(利用希望者に対する相対的な位置)、あるいは、旋回半径(もしくは移動経路の曲率)の区分によって、さらに複数の基本動作に分類することも可能である。
また、車両1の移動停止動作は、その継続時間、あるいは、移動停止時における第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の位置もしくは向き(利用希望者に対する相対的な位置もしくは向き)の区分によって、さらに複数の基本動作に分類することが可能である。
前記第1動作及び第2動作は、それぞれ、上記の如く分類し得る複数の基本動作を組み合わせた動作として、種々様々のパターンで設定し得る。
本実施形態では、利用対象車両1の制御装置21が、利用希望者を特定できた場合に、利用対象車両1に実行させる第1動作は、例えば、利用希望者が、歓迎されているように感じることができ、あるいは、利用対象車両1に好感を持つことができように設定されている。
かかる第1動作としては、例えば、次のような動作を採用し得る。すなわち、第1動作では、利用対象車両1は、まず、1個目の動作として、利用対象車両1を利用希望者の正面側で、該利用希望者から所定の距離の位置まで該利用希望者に接近するように並進移動動作及び旋回動作(公転旋回動作)の一方の移動動作を行った後、2個目の動作として、移動を停止する(移動停止動作を行う)。なお、並進移動動作及び旋回動作(公転旋回動作)の両方の移動動作を行ってもよく、この場合、第1動作で行う動作の数は1個増加する。
なお、第1動作の初期における利用対象車両1の上記の移動動作は、前記STEP3での利用対象車両1の移動時に行ってもよい。この場合には、利用対象車両1の上記の移動動作を第1動作の初期に行う必要はない。
さらに、3個目の動作として、利用対象車両1が移動停止後に自転旋回動作を行うことで、該利用対象車両1の前方(X軸の正方向)が、利用希望者に向けられる。これにより、利用希望者と利用対象車両1とが互いに向き合う状態が実現される。
なお、利用希望者への利用対象車両1の接近中に、該利用対象車両1の前方(X軸の正方向)を利用希望者に向けるように、該利用対象車両1の移動を行ってもよい。この場合には、利用対象車両1の移動停止後の自転旋回動作は不要であり、第1動作で行う動作の数は1個減少する。
次いで、利用対象車両1は、4個目の動作として、基体2及び乗員搭乗部5を、前傾側に所定の傾斜角度だけ一時的に傾動させ、さらに元の傾斜位置(車両1の全体重心のバランス状態を確保し得る位置)に戻すという傾動動作を所定回数(1回もしくは複数回)、実行する。かかる傾動動作は、人のお辞儀動作に類似する動作である。このため、この傾動動作によって、利用希望者は、利用対象車両1から歓迎の挨拶を受けたように感じることができる。
次いで、利用対象車両1は、5個目の動作として、その前方(X軸の正方向)を、利用希望者の前方又は斜め前方に向けるように、旋回動作(自転旋回動作又は公転旋回動作)を実行する。なお、この場合、利用希望者に対する利用対象車両1の相対位置を調整するために、利用対象車両1の旋回動作と併せて、並進移動動作を実行するようにしてもよい。
かかる動作によって、利用希望者は、利用対象車両1が利用希望者の乗車を積極的に待ち受けているように感じることができる。
以上の一連の動作が、第1動作の一例であり、動作の数は5個となる。なお、利用希望者のユーザ端末機から統括管理装置30に送信する利用希望情報に、例えば、利用希望者の行先を示す情報が含まれているような場合には、第1動作のうちの最後の旋回動作で、利用対象車両1の前方を利用希望者の行先の方向に向けるようにしてもよい。
また、第1動作は、利用対象車両1に対する利用希望者の好感度を高めるために、例えば、利用希望者の正面側で、利用対象車両1の乗員搭乗部5及び基体2を一時的に左右に(ロール方向に)交互に傾動させる動作、あるいは、利用対象車両1を一時的に、円軌道、8の字状軌道等の所定の軌道パターンで移動させる動作、あるいは、犬、猫等の小動物の動作に類似する動作等、遊戯性を有する動作を含んでいてもよい。この場合、第1動作で行う動作の数は増加する。
また、利用希望者を特定できた場合には、利用対象車両1に第1動作を実行させることに加えて、該第1動作の実行開始前、又は実行中、又は実行後に、例えば利用対象車両1の報知ランプ28を、所定色で発光させることにより、利用希望者に利用対象車両1の到着を認識させる報知を視覚的に行うようにしてもよい。かかる報知は、本発明における第4ステップでの報知に相当する。この場合の発光色は、利用希望者が歓迎されていると感じ易い色、もしくは利用対象車両1が喜んでいるように見える色(例えば黄色)を採用することが好ましい。
また、利用対象車両1の動作の終了間際に、報知ランプ28の発光色を特定の色又はパターンを変化させ、該利用対象車両1が「停止する」ことを周囲に対して報知してもよい。
なお、利用希望者を特定できた場合に、報知ランプ28の発光とは別の態様で、利用希望者に利用対象車両1の到着を認識させる報知を行ってもよい。例えば、当該報知を、利用対象車両1に備えられた表示器もしくはプロジェクター等により視覚的に行ったり、あるいは、利用対象車両1に備えられたスピーカから、音声もしくは音楽等により聴覚的に行うことも可能である。また、当該報知を、例えば利用希望者のユーザ端末機を介して行うことも可能である。
次に、利用対象車両1の制御装置21が、利用希望者を特定できなかった場合に、利用対象車両1に実行させる第2動作は、本実施形態では、第1動作と動作の数が相違すると共に、例えば、利用対象車両1の周囲に存在する利用希望者が、利用対象車両1が利用希望者を探しているように感じることができるように設定されている。
かかる第2動作としては、例えば、次のような動作を採用し得る。すなわち、第2動作では、利用対象車両1は、1個目の動作として、移動を停止した後、2個目の動作として、ヨー方向での時計周り方向及び反時計周り方向に、交互に所定の回転角度ずつ、自転旋回動作を行うことを連続的に、もしくは間欠的に繰り返す。
かかる動作が、第2動作の一例であり、動作の数は2個となる。このような第2動作は、人がきょろきょろする動作に類似する動作である。このため、利用希望者が、利用対象車両1の近くに居る場合には、該利用希望者は、利用対象車両1の上記第2動作によって、利用対象車両1が自分を探していることを認識することができる。ひいては、利用希望者は、自分が利用しようとする利用対象車両1に積極的に近寄っていくことができる。その結果、利用対象車両1の制御装置21は、最終的に、利用希望者を特定できるようになる。
なお、利用希望者が、利用対象車両1を認識できた場合に、該利用希望者のユーザ端末機を操作することで、自分が利用希望者である旨を利用対象車両1の制御装置21に認識させるための情報信号を、該ユーザ端末機から利用対象車両1の制御装置21に送信するようにしてよい。
また、第2動作は、上記と異なる動作であってもよい。例えば、第2動作は、2個目の動作(ヨー方向での時計周り方向及び反時計周り方向に、交互に所定の回転角度ずつ、自転旋回動作を行う)に代えて、又は加えて、利用対象車両1の乗員搭乗部5及び基体2を、左右に(ロール方向に)交互に、所定角度ずつ、傾動させる動作等、利用対象車両1が悩んでいるように見える動作を行うようにしてもよい。あるいは、第2動作は、2個目の動作に代えて、又は加えて、利用対象車両1を比較的小さな領域内で、ランダムな軌道で移動させる動作等、利用対象車両1がうろうろしているように見える動作を行うようにしてもよい。第2動作として、2個目の動作に加えて上記動作を行う場合には、第2動作で行う動作の数は1個増加して3個となる。
また、利用希望者を特定できなかった場合には、利用対象車両1に第2動作を実行させることに加えて、該第2動作の実行開始前、又は実行中、又は実行後に、例えば利用対象車両1の報知ランプ28を、利用希望者を特定できた場合と異なる所定色で発光させることにより、利用希望者を探している旨を表す報知を行うようにしてもよい。かかる報知は、本発明における第5ステップでの報知に相当する。この場合の発光色は、利用対象車両1が困っているように利用希望者が認識しやすい色(例えば赤色)を採用することが好ましい。
なお、利用希望者を特定できなかった場合に、報知ランプ28の発光とは別の態様で、利用希望者を探している旨を表す報知を行ってもよい。例えば、当該報知を、利用対象車両1に備えられた表示器もしくはプロジェクター等により視覚的に行ったり、あるいは、利用対象車両1に備えられたスピーカから、音声もしくは音楽等により聴覚的に行うことも可能である。また、当該報知を、例えば利用希望者のユーザ端末機を介して行うことも可能である。
本実施形態では、以上説明したように、利用希望者への配車が行われる。この場合、利用対象車両1の制御装置21が利用希望者を特定できた場合に、利用対象車両1が前記第1動作を実行することで、利用希望者は、利用対象車両1が自身に配車されたことを容易に認識し得ると共に、心地よく利用対象車両1の利用を開始することができる。
さらに、利用対象車両1の第1動作に加えて、報知ランプ28の発光等により、利用対象車両1の到着を利用希望者に認識させる報知を行う場合には、利用対象車両1が配車されたことを利用希望者に認識させることの効果をより一層高めることができる。
また、利用対象車両1の制御装置21が利用希望者を特定できなかった場合に、利用対象車両1が、第1動作と動作の数が相違する第2動作を実行することで、利用希望者は、利用対象車両1が、自分を探していることを容易に認識することができる。ひいては、利用希望者は、自身が利用し得る利用対象車両1の存在を認識し、該利用対象車両1の制御装置21が、自身を認識し得るように該利用対象車両1に近づく等の行動を適切にとることができる。
さらに、利用対象車両1の第2動作に加えて、報知ランプ28の発光等により、利用希望者を探している旨の報知を行う場合には、利用対象車両1が利用希望者を探している旨を該利用希望者に認識させることの効果をより一層高めることができる。
また、利用可能車両1が前記した如く、人の密集度合に応じて利用可能領域内の各所に配置されるため、ある配置エリアでの利用希望者が比較的多い場合あっても、該利用希望者に速やかに、利用対象車両1を配車することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図5を参照して説明する。本実施形態では、利用希望者を特定できた場合に、利用対象車両1による前記第1動作の実行前に、利用希望者が利用対象車両1を認識しているか否かを確認し、利用希望者が利用対象車両1を認識していないことが推定される場合に、利用対象車両1に対する利用希望者の注意を喚起するための利用対象車両1の動作と報知とを行う。
具体的には、図5のフローチャートを参照して、利用対象車両1の制御装置21は、前記STEP4又は8の判断結果が肯定的になった場合(利用希望者を特定できた場合)に、利用対象車両1のカメラ24の撮像画像に基づいて、利用希望者の視線が、利用対象車両1に向けられているか否を判断する処理をSTEP9で実行する。このSTEP9は、本発明における第6ステップに相当する。
なお、STEP9の判断処理では、利用対象車両1のカメラ24による撮像画像に加えて、利用可能エリアに設置された監視カメラの撮像画像、あるいは他車両1のカメラ24の撮像画像を用いてもよい。
STEP9の判断結果が否定的である場合には、利用希望者が、利用対象車両1の存在を認識していない可能性がある。そこで、STEP9の判断結果が否定的である場合には、利用対象車両1の制御装置21は、STEP10において、利用対象車両1に対する利用希望者の注意を喚起するための所定の注意喚起動作を実行させると共に、当該注意喚起のための所定の注意喚起報知を利用希望者に対して行う。このSTEP10は、本発明における第7ステップに相当する。
この場合、注意喚起動作としては、例えば次のような動作を採用し得る。すなわち、利用希望者が停止している場合には、例えば、利用希望者の周囲で利用対象車両1の旋回動作(自転旋回動作又は交点旋回動作)を行うように、利用対象車両1が制御される。また、利用希望者が移動している場合には、利用希望者の側方で、利用対象車両1のY軸方向を利用希望者の移動方向に向けた状態で、該利用対象車両1を利用希望者に併走させるように、利用対象車両1が制御される。
また、注意喚起報知としては、例えば、利用対象車両1の前記報知ランプ28を点滅させる等の視覚的な報知を採用し得る。
利用対象車両1の制御装置21は、上記の如くSTEP10の制御処理を実行した後、STEP9からの処理を再び実行する。そして、STEP9の判断結果が肯定的である場合には、利用対象車両1の制御装置21は、前記STEP5で利用対象車両1に前記第1動作を実行させる。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。本実施形態では、上記のように、利用希望者が利用対象車両1を認識していないことが推定される場合に、利用対象車両1の注意喚起動作と、注意喚起報知とを行うことで、利用希望者に、該利用対象車両1の存在を容易に認識させることができる。そして、利用希望者に対する注意喚起を行った上で、前記第1動作が実行されるので、利用対象車両1に対する利用希望者の好感度又は親近感をより一層高めることができる。
なお、STEP10では、利用対象車両1の注意喚起動作と注意喚起報知とのうちの一方を省略してもよい。また、注意喚起動作は、利用対象車両1に対する利用希望者の注意を喚起し得る動作であれば、上記と異なる動作であってもよい。また、注意喚起報知としては、視覚的な報知に限らず、音声又は音楽等による聴覚的な報知を採用してもよい。さらに、利用希望者のユーザ端末機を介して注意喚起報知を行うことも可能である。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図6を参照して説明する。本実施形態では、利用希望者を特定した後に、該利用希望者が正しい利用希望者でないことが判明した場合に、利用対象車両1に所要の動作及び報知を行わせる。
具体的には、図6のフローチャートを参照して、利用対象車両1の制御装置21は、前記STEP5で利用対象車両1に第1動作を実行させた後(又は該第1動作と並行して)、特定済の利用希望者が正しいか否かの判断処理をSTEP11で実行する。
この判断処理では、制御装置21は、例えば、利用対象車両1のカメラ24、あるいは、利用可能エリア内の監視カメラによって、特定済の利用希望者の撮像画像を改めて取得し、該撮像画像に基づいて、特定済の利用希望者が本来の識別情報に適合する利用希望者であるか否かを判断する。
なお、この場合、撮像画像以外の情報、例えば特定済の利用希望者の音声情報、あるいは、特定済の利用希望者のユーザ端末機から送信される識別コード、あるいは、特定済の利用希望者の利用対象車両1に対する行為の形態等に基づいてSTEP11の判断処理を実行してもよい。
そして、STEP11の判断結果が否定的である場合には、利用対象車両1の制御装置21は、利用対象車両1の制御装置21は、STEP12において、利用希望者の特定を誤った旨の動作を利用対象車両1に実行させると共に、利用希望者の特定を誤った旨の報知を行う。このSTEP12は、本発明における第8ステップに相当する。
利用希望者の特定を誤った旨の動作としては、誤って特定して者に対して、利用対象車両1が謝っているように見える動作、例えば、利用対象車両1の前傾動作等を採用し得る。また、利用希望者の特定を誤った旨の報知としては、例えば、利用対象車両1の報知ランプ28を、悲しみを表現する所定色(例えば青色)で発光させる等の視覚的な報知を採用し得る。
利用対象車両1の制御装置21は、上記の如くSTEP12の制御処理を実行した後、前記STEP7からの処理を実行する。すなわち、利用希望者を特定する処理が改めて実行される。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同様である。かかる本実施形態によれば、利用希望者の特定を誤った場合に、誤って特定した者に不快感を及ぼしたり、誤って特定した者が、当該利用対象車両1を利用できるものと勘違いしてしまうのを防止できる。
なお、STEP12では、利用対象車両1の動作と報知とのうちの一方を省略してもよい。また、利用希望者の特定を誤った旨の動作は、上記と異なる動作であってもよい。また、利用希望者の特定を誤った旨の報知は、視覚的な報知に限らず、音声又は音楽等による聴覚的な報知を採用してもよい。
また、STEP5で利用対象車両1に第1動作を実行させる前に、前記第2実施形態と同様に、STEP9,10の処理を実行してもよい。さらにこの場合、STEP9の判断結果が肯定的となった場合に、特定された利用希望者が正しいか否かを判断し、当該判断結果が否定的である場合に、前記STEP12と同じ処理を実行してもよい。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図7を参照して説明する。本実施形態では、利用希望者を特定できた場合に、その特定の確度(確からしさの度合)を判断し、該確度が相対的に低いと判断される場合には、利用対象車両1を、特定した利用希望者にゆっくり近づけるようにしつつ、利用希望者の特定を再度実行する。
具体的には、図7のフローチャートを参照して、利用対象車両1の制御装置21は、前記STEP4又は8の判断結果が肯定的になった場合(利用希望者を特定できた場合)に、利用希望者の特定結果の確度が十分に高いか否かを判断する処理をSTEP13で実行する。
ここで、例えば、特定した利用希望者の周囲(該利用希望者から所定距離内の周囲)に存在する他者の人数が比較的多い場合には、正しい利用希望者と異なる者が誤って利用希望者として特定される可能性が高まり易い。そこで、STEP13では、利用対象車両1の制御装置21は、特定した利用希望者の周囲の他者の人数に応じて、上記確度を複数段階に区分して決定し、該確度が所定の閾値以上に高いか否かを判断する。この場合、特定した利用希望者の周囲の他者の人数が多いほど、上記確度は、低い値に決定される。
なお、上記確度は、利用希望者の周囲の他者の人数以外の要因(利用希望者の特定に影響を及ぼし得る要因)、例えば利用対象車両1のカメラ24等により撮像した利用希望者の姿勢、該利用希望者の周囲の物体の配置状態、該利用希望者の周囲の明るさ等を考慮して決定することも可能である。
STEP13の判断結果が肯定的である場合には、利用希望者の特定の確度が十分に高いとみなし得る。この場合には、STEP5において、前記第1実施形態と同様に利用対象車両1の第1動作が行われる。
また、STEP13の判断結果が否定的である場合には、特定した利用希望者が誤っている可能性がある。
この場合には、利用対象車両1の制御装置21は、該利用対象車両1を、一時的に停車させた後、当初の移動計画よりも遅い速度で(ゆっくりと)、特定済の利用希望者に接近させる(STEP14)と共に、これと並行して、特定済の利用希望者が正しいか否かを判断する処理を実行する(STEP15)。なお、STEP13〜15の処理は、本発明における第9ステップに相当する。
このSTEP15の判断処理は、前記第3実施形態におけるSTEP11の判断処理と同様に行うことができる。
STEP15の判断結果が肯定的である場合には、STEP5において、前記第1実施形態と同様に利用対象車両1の第1動作が行われる。従って、利用希望者の特定結果の確度が低い場合には、STEP15の判断結果が肯定的になることを必要条件として、利用対象車両1の第1動作が実行される。
また、STEP15の判断結果が否定的である場合には、利用対象車両1の制御装置21は、前記STEP7からの処理を実行する。すなわち、利用希望者を特定する処理が改めて実行される。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1実施形態と同様である。かかる本実施形態によれば、倒立振子型車両1の第1動作の実行前における利用希望者の特定の信頼性を高めることができる。
なお、STEP5で利用対象車両1に第1動作を実行させる前に、前記第2実施形態と同様に、前記STEP9,10の処理を実行してもよい。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を図8を参照して説明する。本実施形態では、利用希望者を特定した後に、利用希望者の存在位置が利用対象車両1への搭乗に適した位置であるか否かを判断し、当該搭乗に適さない位置である場合には、当該搭乗に適した位置に利用希望者を誘導する。
具体的には、図8のフローチャートを参照して、利用対象車両1の制御装置21は、前記STEP5で利用対象車両1に第1動作を実行させた後(又は第1動作の実行中に)、利用希望者の現在の存在位置が、利用対象車両1への搭乗に適した位置であるか否かを判断する処理をSTEP16で実行する。このSTEP16は、本発明における第10ステップに相当する。
この判断処理では、例えば、利用対象車両1のカメラ24の撮像画像、又は利用可能エリア内に設置された監視カメラの撮像画像に基づいて、利用希望者の周辺に、当該搭乗に適した十分な空きスペースが在るか否か判断され、当該空きスペースが在る場合に、利用希望者の現在の存在位置が、利用対象車両1への搭乗に適した位置であると判断される。
また、利用希望者の周辺に比較的多くの他者もしくは他車両1が存在したり、あるいは、該周辺に種々の設置物もしくは展示物が存在する場合等、利用希望者の周辺に十分な空きスペースが無い場合には、利用希望者の現在の存在位置が、利用対象車両1への搭乗に適した位置でないと判断される。
なお、STEP16の判断処理では、撮像画像以外の情報、例えば、統括管理装置30等にあらかじめ記憶保持された地図データ、あるいは、利用可能エリア内の各利用者のユーザ端末機との通信により得られる各利用者の位置情報、あるいは、利用可能エリア内の各車両1の位置情報等を使用してもよい。
STEP16の判断結果が肯定的である場合には、図8のフローチャートの処理は終了する。
一方、STEP16の判断結果が否定的である場合には、利用対象車両1の制御装置21は、次に、STEP17において、上記撮像画像等に基づいて、利用希望者の周辺から、利用対象車両1への搭乗に適した位置(以降、搭乗適正位置という)を決定する。この場合、例えば、周辺の空きスペースが比較的広く、且つ、平坦な箇所に搭乗適正位置が決定される。
さらに、STEP18において、制御装置21は、利用希望者を搭乗適正位置に誘導する誘導処理を実行する。この誘導処理では、制御装置21は、例えば、利用対象車両1の報知ランプ28を点滅させながら、該利用対象車両1に利用希望者を追従させるように、該利用対象車両1を移動させることで、利用希望者を搭乗適正位置に誘導する。このSTEP18の処理は、STEP17の処理と併せて、本発明における第11ステップに相当する。
なお、利用対象車両1に備えられた表示器もしくはプロジェクター等により、搭乗適正位置を利用希望者に視覚的に提示したり、あるいは、音声案内を用いて聴覚的に利用希望者を搭乗適正位置に誘導してもよい。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、利用希望者は、利用対象車両1に搭乗し易い場所で、該利用対象車両1の利用を開始することができる。このため、利用希望者は、より一層快適に、利用対象車両1を利用することができる。
なお、前記STEP18で利用希望者を搭乗適正位置に誘導する前に、前記第2実施形態で説明したSTEP9,10の処理を実行し、利用希望者の視線を利用対象車両1に向けさせた状態で、STEP18の処理を実行してもよい。
また、STEP5で利用対象車両1に第1動作を実行させる前に、STEP16〜18の処理を実行してもよい。そして、利用希望者の存在位置が搭乗に適した位置でない場合に、該利用希望者を搭乗適正位置に誘導した上で、STEP5で利用対象車両1に第1動作を実行させるようにしてもよい。
また、前記第2〜第4実施形態において、利用対象車両1に第1動作を実行させる前又は実行させた後に、STEP16〜18の処理を実行してもよい。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態を図9を参照して説明する。本実施形態では、前記STEP3において、利用対象車両1を利用希望者の中心視野領域に移動させる。
この場合、本実施形態では、統括管理装置30は、利用希望者のユーザ端末機との通信によって、該利用希望者の位置情報を逐次取得することで、該利用希望者の移動方向を特定する。
あるいは、統括管理装置30は、例えば、車両1の利用可能エリア内に設置された監視カメラ、もしくは利用可能エリア内に配置された各車両1のカメラ24の撮像画像から、利用希望者を認識できる場合には、該撮像画像に基づいて、利用希望者の移動方向を推定する。
そして、統括管理装置30は、利用希望者の推定した移動方向に基づいて、利用開始時刻もしくはその近辺の時刻での利用希望者の中心視野領域を推定し、その中心視野領域内に、利用対象車両1の到達目標地点を設定する。
この場合、到達目標地点は、例えば図9の点P1で示すように、利用開始時刻もしくはその近辺の時刻での利用希望者の中心視野領域内のうち、該利用希望者からの距離が所定値以下となる領域(所謂、パーソナル領域)から逸脱した位置で、利用希望者の視線中心線上の位置に設定される。ここで、上記パーソナル領域は、その領域内に他の物体等が近づくと、人が不快感を感じやすい領域(人を中心とする円形領域)であり、一般的には、人からの距離が、例えば70cm以下となる領域をパーソナル領域として採用し得る。
なお、到達目標地点は、利用希望者の視線中心線上の位置でなくてもよい。例えば、利用希望者の中心視野領域から上記パーソナル領域を除いた領域内で、利用対象車両1の現在位置(到達目標地点の設定時における位置)からの距離が最短となる位置(例えば図9の点P2の位置)、あるいは、利用対象車両1の現在位置から該到達目標地点までの利用対象車両1の移動所要時間の推定値が最短となる位置等を到達目標地点として設定し得る。
補足すると、利用希望者が移動しておらず、且つ、利用希望者の撮像画像を取得できていない状況等、利用希望者の向きを推定できない状況では、例えば、利用開始時刻もしくはその近辺の時刻での利用希望者の位置の近辺のうち、利用対象車両1への搭乗に適すると推定される任意の位置を到達目標地点として設定し得る。
本実施形態では、前記STEP3において、上記の如く設定した到達目標地点に向かって利用対象車両1が移動される。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1〜第5実施形態のいずれかの実施形態と同じである。かかる本実施形態では、上記の如く設定される到達目標地点に利用対象車両1が移動されるため、利用希望者は、利用対象車両1の到着を視覚的に認識しやすくなる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態を説明する。本実施形態では、利用対象車両1を利用開始場所に移動させている途中等、利用希望者が自身に配車される利用対象車両1の利用を開始する前に、利用希望者以外の者が、該利用対象車両1を利用しようとした場合に、それを拒絶する処理を実行する。
例えば、利用希望者が未だ特定されていない状況で、利用対象車両1の制御装置21は、図10のフローチャートに示す如く制御処理を実行する。具体的には、利用対象車両1の制御装置21は、STEP21において、利用希望者以外の者が利用対象車両1を利用しようとしているか否かを逐次判断する。
この場合、例えば、利用可能エリア内の設置された監視カメラの撮像画像、利用対象車両1のカメラ24の撮像画像、もしくは利用対象車両1の周辺の他車両1の撮像画像、あるいは、利用対象車両1の乗員搭乗部5もしくは基体2に対する外力の検知等に基づいて、STEP21の判断処理が行われる。
そして、STEP21の判断結果が肯定的になった場合には、利用対象車両1の制御装置21は、STEP22において、該利用対象車両1の利用を拒絶する動作を該利用対象車両1に実行させると共に、当該拒絶を示す報知を行う。このSTEP22は、本発明における第12ステップに相当する。
利用対象車両1の利用を拒絶する動作としては、例えば、該利用対象車両1を利用しようとしている者から、該利用対象車両1を遠ざけるように、該利用対象車両1を移動させる動作を採用し得る。
あるいは、例えば、利用対象車両1を左右に所定角度ずつ傾動させる(ロール方向に傾動させる)ことを繰り返す動作、時計周り方向及び反時計周り方向の自転旋回動作を所定角度ずつ、交互に繰り返す動作を、利用対象車両1の利用を拒絶する動作として採用し得る。
また、例えば、図11に示す如く、乗員搭乗部5(シート)が、ほぼ水平姿勢となる通常の姿勢状態(乗員搭乗部5に人が正常に搭乗し得る姿勢状態)から、起立した姿勢状態(乗員搭乗部5に人が搭乗することができない姿勢状態)に電動モータ等により揺動し得るように、各車両1が構成されていてもよい。この場合には、STEP22において、利用対象車両1の乗員搭乗部5を起立させる動作を、利用対象車両1の利用を拒絶する動作として実行してもよい。
なお、乗員搭乗部5(シート)が、ほぼ水平姿勢となる通常の姿勢状態は、本発明における搭乗許容状態に相当し、乗員搭乗部5(シート)が、起立した姿勢状態は、本発明における搭乗不能状態に相当する。
利用対象車両1の利用を拒絶する旨を示す報知としては、例えば、利用対象車両1の報知ランプ28を、所定色(例えば赤色)で発光させる等の視覚的な報知を採用し得る。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1〜第6実施形態のいずれかの実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、利用対象車両1が、利用希望者以外の者に誤って利用されてしまうのを効果的に防止できる。
なお、STEP22では、利用対象車両1の動作と報知とのうちの一方を省略してもよい。また、利用対象車両1の利用を拒絶する動作は、上記と異なる動作であってもよい。また、利用対象車両1の利用を拒絶する旨の報知は、視覚的な報知に限らず、音声又は音楽等による聴覚的な報知を採用してもよい。
また、乗員搭乗部5の搭乗不能状態は、上記と異なる状態であってもよい。例えば、乗員搭乗部5の上面に突起物を出没させ得るように該乗員搭乗部5を構成した場合には、前記STEP21の判断結果が肯定的になった場合に、当該突起物を乗員搭乗部5に突出せるようにしてもよい。
補足すると、乗員搭乗部5が図11に示した如く構成されている場合(より一般的には、搭乗不能状態に動作し得るように構成されている場合)には、少なくとも利用希望者が特定されるまでは、利用対象車両1の乗員搭乗部5を搭乗不能状態に維持しておき、利用希望者が特定された後に、利用対象車両1の乗員搭乗部5を通常状態(搭乗許容状態)に動作させるようにしてもよい。
このようにした場合には、乗員搭乗部5を搭乗不能状態に動作されている状況では、図10の処理を省略してよい。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態を図11を参照して説明する。前記第7実施形態では、図11に示した車両1に関して、利用希望者以外の者が利用対象車両1を利用しようとした場合に、乗員搭乗部5を前記した如く起立した姿勢状態(搭乗不能状態)に動作させる態様を説明した。
これに対して本実施形態では、利用希望者への利用対象車両1の配車処理において、該利用対象車両1の制御装置21は、少なくとも利用希望者が特定されるまでは、利用対象車両1の乗員搭乗部5を、図11の二点鎖線で示す如く、起立した姿勢状態(搭乗不能状態)に維持しておく。
そして、利用対象車両1の制御装置21は、利用希望者を特定した後に、利用対象車両1の乗員搭乗部5を、図11の実線で示す通常状態(搭乗許容状態)に動作させる。
なお、乗員搭乗部5を、通常状態(搭乗許容状態)に動作させるのは、第1動作の実行前、実行中、及び実行後のいずれのタイミングでもよい。
本実施形態では、以上説明した事項以外は、第1〜第7実施形態のいずれかの実施形態と同様である。かかる本実施形態によれば、少なくとも利用希望者が特定されるまでは、利用対象車両1の乗員搭乗部5が起立した姿勢状態(搭乗不能状態)に維持されるので、該利用対象車両1が利用できない状態の車両1であることを該利用対象車両1の周囲の任意の人に認識させることができる。
このため、前記第7実施形態で説明した処理を行わずとも、利用希望者が利用対象車両1の利用を開始する前に、利用希望者以外の他者が、該利用対象車両1を利用しようとするのを防止することができる。
なお、第7実施形態の場合と同様に、乗員搭乗部5の搭乗不能状態は、図11に示した態様と異なる状態であってもよい。
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態を図12を参照して説明する。利用可能エリアにおいて、利用可能車両1を各所に配置する態様は、前記第1実施形態で説明した態様に限られない。本実施形態では、例えば、利用可能エリア内の各人の疲労度合あるいは移動の負担度合を推定し、該疲労度合又は負担度合を考慮した態様で、利用可能車両1の配置を行う。
具体的には、統括管理装置30は、例えば、利用可能エリア内の各人のユーザ端末機との通信を行うことで、各人の位置情報を逐次取得し、該位置情報の時系列に基づいて、各人の移動距離及び移動速度の一方又は両方を把握する。
そして、統括管理装置30は、各人の移動距離又は移動速度に基づいて、各人の疲労度合又は移動の負担度合の高低を判断する。例えば、移動距離が所定値を超えた人の疲労度合を高いと判断し、移動距離が所定値以下の人の疲労度合を低いと判断する。あるいは、移動速度が所定値よりも速い人は、移動の負担度合が低いと判断し、移動速度が所定値よりも遅い人は、移動の負担度合が高いと判断する。
なお、例えば移動距離と移動速度との両方を総合的に反映させて、各人の疲労度合又は移動の負担度合の高低を判断するようにしてもよい。
また、利用可能エリア内の監視カメラもしくは各車両1のカメラ24の撮像画像を基に、各人の疲労度合又は移動の負担度合の高低を判断することも可能である。例えば、撮像画像に写っている人の顔の画像等から、該人の疲労度合の高低を判断してもよい。あるいは、撮像画像に写っている人が所持する荷物の画像、該人の歩き方のパターン、該人の座り方のパターン、荷物を所持する人の腕の動かし方のパターン等から、該人の移動の負担度合の高低を判断してもよい。
統括管理装置30は、利用可能エリア内の各人の疲労度合又は移動の負担度合の高低を上記の如く判断した後、疲労度合又は移動の負担度合が高いと判断された人の分布に応じて、利用可能車両1の配置を決定する。
具体的には、統括管理装置30は、図12に示す如く、疲労度合又は移動の負担度合が高いと判断された人の人数が相対的に少ないエリアよりも、疲労度合又は移動の負担度合が高いと判断された人の人数が相対的に多いエリアに、より多くの利用可能車両1を配置するように、各利用可能車両1の配置エリアを決定する。
そして、統括管理装置30は、各利用可能車両1の制御装置21に、上記の如く決定した配置エリアへの移動を指示する動作指令を送信する。このとき、第1実施形態に関して説明した場合と同様に、各利用可能車両1が指示された配置エリアに移動する。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1〜8実施形態のいずれかの実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、利用希望者の疲労度合又は移動の負担度合が高い場合、該利用希望者の周辺に存在する利用可能車両1が多くなるので、該利用希望者に効率よく利用対象車両1を配車することができる。
[第10実施形態]
次に、本発明の第10実施形態を図13A及び図13Bを参照して説明する。本実施形態では、利用希望者を特定できた場合の第1動作は、利用希望者が利用対象車両1に搭乗する直前の最後の動作として、以下に説明する動作(以降、搭乗直前動作という)を含む。
この搭乗直前動作は、例えば、第1実施形態又は第2実施形態又は第4実施形態におけるSTEP5での動作に続いて実行される。あるいは、搭乗直前動作は、例えば第3実施形態におけるSTEP11の判断結果が肯定的である場合に実行される。あるいは、搭乗直前動作は、第5実施形態におけるSTEP16の判断結果が肯定的である場合に、もしくは、STEP18で利用希望者を搭乗適正位置に誘導した後に実行される。
利用対象車両1の制御装置21は、あらかじめ実装されたプログラムにより、あるいは、統括管理装置30から与えられる指令に応じて、次のように利用対象車両1に搭乗直前動作を実行させる。
すなわち、制御装置21は、利用希望者の周囲のうちの、該利用希望者に近接した位置(例えば利用希望者のパーソナル領域の境界付近で、該利用希望者から所定距離の位置)に、利用希望者に利用対象車両1への搭乗行為を行わせるための搭乗用位置を決定する。
この場合、搭乗用位置は、例えば、利用希望者の周囲の複数の候補位置から選定される。例えば、図13Aに示す如く、利用希望者の正面位置PF、左側方位置PL、右側方位置PR及び背面位置PBが搭乗用位置の候補位置とされ、これらの候補位置PF,PL,PR,PBから搭乗用位置が選定される。
この選定処理では、図13Aに示す如く、例えば、候補位置PF,PL,PR,PBのうち、周囲の空きスペース(各候補位置から一定の距離内の領域での空きスペース)が他の候補位置よりも相対的に広いものとなっている候補位置(図13Aでは、候補位置PL)が搭乗用位置として選定される。
この場合、各候補位置の周囲の空きスペースの大小は、例えば、該候補位置から一定の距離内の領域のうち、利用対象車両1への搭乗行為の妨げとなる障害物が存在しない部分の面積に基づいて評価される(当該面積が大きいほど、空きスペースが大きいと評価する)。この評価は、例えば利用対象車両1のカメラ24、あるいは利用対象車両1の周辺の監視カメラ、あるいは他車両1のカメラ24の撮像画像を用いて行われる。
また、本実施形態では、例えば図13Bに示す如く、利用希望者の隣に並んでいる他者が存在する場合には、利用希望者の周囲の複数の候補位置PF,PL,PR,PBのうち、他者との間に利用希望者が存在することとなる位置(利用希望者を挟んで、他者と反対側の位置)にあるか、もしくはその位置に最も近い候補位置が優先的に搭乗用位置として選定される。
例えば、図13Bに示す如く、利用希望者の左側に他者が存在する場合おいて、利用希望者の正面側の候補位置PF、右側の候補位置PR、及び背面側の候補位置PBのそれぞれの周囲の空きスペースが互いに同程度である場合には、右側の候補位置PRが搭乗用位置として選定される。
なお、他者と反対側の候補位置(図13Bでは右側の候補位置PR)の周囲の空きスペースが、他者の存在位置近辺の候補位置を除く他の候補位置(図13Bでは正面側の候補位置PF又は背面側の候補位置PB)の周囲の空きスペースよりも、ある程度以上、小さい場合には、当該他の候補位置を、搭乗用位置として選定することが望ましい。
利用対象車両1の制御装置21は、上記のように搭乗用位置を選定した後、図13A又は図13Bの一点鎖線の矢印で例示する如く、利用対象車両1を、選定した搭乗用位置まで移動させ、該搭乗用位置にて停車させる。この場合、制御装置21は、該搭乗用位置では、利用対象車両1の向きが、利用希望者に対して所定の向きに向くように該利用対象車両1を動作させる。
上記所定の向きは、利用希望者が、搭乗用位置に停車した利用対象車両1にスムーズに搭乗しやすい向き(搭乗用の向き)である。本実施形態では、例えば、利用対象車両1は、搭乗用位置において、該利用対象車両1の正面前方を利用希望者に向けた状態で停車される。
このようにすることで、利用希望者は、搭乗用位置に停車した利用対象車両1の側方や後方に移動することを必要とせずに、速やかに利用対象車両1に搭乗することが可能である。例えば、利用希望者は、その背中を利用対象車両1に向けるように転回した上で、自身の背後の利用対象車両1の乗員搭乗部5(シート)を、自身の股下に配置させるように動かすことで、容易に利用対象車両1に搭乗することができる。
本実施形態では、以上の如く、利用対象車両1を選定した搭乗用位置まで移動させ、該搭乗用位置で利用対象車両1の正面前方を利用希望者に向けた状態で停車させる動作が前記搭乗直前動作である。
このような搭乗直線動作を利用対象車両1に実行させることで、該利用対象車両1は、空きスペースが広く、また、他者が存在しない搭乗用位置で、該利用対象車両1への搭乗を行い易い搭乗用の向きに向いた状態で停車する。このため、その後、利用希望者は、容易、且つ速やかに利用対象車両1に搭乗することができる。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1〜第9実施形態のいずれかと同じでよい。
なお、本実施形態において、利用対象車両1を、選定した搭乗用位置に移動させるときに、利用希望者の視線又は顔の正面又は体の正面が利用対象車両1に向けられていることを必要条件として、利用対象車両1の搭乗用位置への移動を開始するようにしてもよい。この場合、利用希望者の視線又は顔の正面又は体の正面が利用対象車両1に向けられているか否かの判断は、例えば、利用可能車両1のカメラ24、あるいは、利用可能車両1の周辺の監視カメラの撮像画像を用いて行われる。
上記の如く、利用希望者の視線又は顔の正面又は体の正面が利用対象車両1に向けられていることを必要条件として、利用対象車両1の搭乗用位置への移動を開始することで、利用希望者が利用対象車両1を認識しているか、もしくは認識している可能性が高い状態で、該利用対象車両1の搭乗用位置への移動が行われる。このため、利用希望者に違和感を及ぼすことなく、利用対象車両1を利用希望者に接近させることができる。
[第11実施形態]
次に、本発明の第11実施形態を図14を参照して説明する。本実施形態では、利用希望者が利用対象車両1に搭乗した後(該利用対象車両1を利用した後)に、利用対象車両1を以下に説明する如く動作させる。
すなわち、本実施形態では、利用対象車両1の制御装置21は、利用希望者が利用対象車両1の利用を終了して、該利用対象車両1から降車した後(図14の矢印Y1)した後、該利用希望者が、利用対象車両1から離れるように移動し(図14の矢印Y2)、且つ、利用希望者から所定距離内の領域(例えばパーソナル領域)から利用対象車両1が逸脱したことが検知された場合に、利用対象車両1の移動(図14の矢印Y3)を開始する。
ここで、利用希望者の移動の検知、並びに、利用希望者と利用対象車両1との間の距離の検知は、例えば利用対象車両1のカメラ24、あるいは利用対象車両1の周辺の監視カメラ、あるいは他車両1のカメラ24の撮像画像を用いて行われる。
また、利用対象車両1の移動は、例えば、前記統括管理装置30から利用対象車両1の制御装置21に与えられる目標地点等の指令に基づいて行われる。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1〜第10実施形態のいずれかと同じでよい。
本実施形態では、上記のように、利用希望者が利用対象車両1から降車(離脱)した後の利用対象車両1の移動を行うことで、利用希望者による利用対象車両1の利用が確かに終了したとみなし得る状況になってから、利用対象車両1を移動させることができる。
なお、例えば、利用希望者が、利用対象車両1から離れるように移動しことが検知されるという条件と、利用希望者から所定距離内の領域から利用対象車両1が逸脱したことが検知されるという条件とのいずれかの条件が成立した場合に、利用対象車両1の移動を開始してもよい。
また、例えば降車後の利用希望者を、利用対象車両1のカメラ24、あるいは利用対象車両1の周辺の監視カメラ、あるいは他車両1のカメラ24の撮像画像により監視し、該利用希望者が所定の動作(例えば、利用対象車両1に対して手を振る等の動作)を行ったことが検知された場合に、利用対象車両1の移動を開始してもよい。
[他の実施形態]
以下に他の実施形態をいくつか例示する。以上説明した各実施形態では、本発明の自律移動体の一例として、図1又は図11に示した構成の倒立振子型車両1を例にとって説明したが、本発明の適用対象の自律移動体は、他の構成の移動体であってもよい。例えば、自律移動体の一例としての倒立振子型車両は、第2の移動動作部4を備えない車両であってもよい。あるいは、倒立振子型車両は、例えば、人が起立した姿勢で搭乗し得るように構成された車両であってもよい。
あるいは、倒立振子型車両は、例えば、路面上を全方向に移動可能な移動動作部と、これが組み付けられた基体とが傾動せず、乗員搭乗部が、該基体に対して傾動し得るように取り付けられた構成の車両であってもよい。
あるいは、倒立振子型車両は、乗員搭乗部に加えて、もしくは、乗員搭乗部の代わりに、荷物搭載部を有し、該荷物搭載部に利用者の荷物を搭載した状態で、利用者のユーザ端末機から与えられる指示に応じて、あるいは、利用者の移動に追従して、移動し得るように構成されていてもよい。
さらに、本発明の自律移動体は、倒立振子型車両に限らず、例えば、図15に例示する如き、一人乗りの電動カート50であってもよく、あるいは、公知の構造の電動式の車椅子であってもよい。自律移動体が、図15に例示する如き電動カート50である場合、該電動カート50のシート50a(乗員搭乗部)は、上下方向の軸心周りに回転可能であり、その回転状態で、電動カート50の側方からシート50aに着座し得るようになっている。このため、前記第10実施形態で説明した搭乗用位置での電動カート50の搭乗用の向きとしては、該電動カート50の側面が、利用希望者に向くような向きであることが望ましい。
また、自律移動体が、電動式の車椅子である場合には、前記第10実施形態で説明した搭乗用位置での車椅子の搭乗用の向きとしては、該車椅子の正面前方が利用希望者に向くような向きであることが望ましい。
また、動作の数が互いに相違する前記第1動作及び第2動作は、前記した形態の動作に限られない。例えば、第1動作及び第2動作は、第2動作での動作の数が、第1動作での動作の数より多くてもよい。例えば、第1動作が、移動動作、停止動作、自転旋回動作、傾動動作の4個の動作を行い、第2動作が、停止動作、自転旋回動作、移動動作、自転旋回動作、移動動作、自転旋回動作の6個の動作を行うようにしてもよい。この場合の第2動作は、移動動作及び自転旋回動作を交互に繰り返し行うことで、利用対象車両1(自律移動体)が利用希望者を特定できずに探しているように見える動作となる。
また、第1動作及び第2動作は、例えば、それぞれの動作を組成する基本動作の種類が互いに同一で、且つ、該基本動作の実行回数が、互いに異なる形態の動作であってもよい。例えば、第1動作が、利用希望者の正面側で、ヨー方向における時計周り方向及び反時計周り方向の旋回を交互に行うことを1回だけ行う動作、第2動作が時計周り方向及び反時計周り方向の旋回を交互に行うことを所定回数、繰り返す動作であってもよい。
さらに、前記実施形態では、停止動作を1個の動作として動作の数をカウントしているが、停止動作を1個の動作として動作の数をカウントしないようにしてもよい。
また、前記実施形態では、利用可能エリアに前記した如く複数の利用可能車両1(自律移動体)を配置するようにしたが、利用可能エリアにおける利用可能車両1(自律移動体)の配置形態は、他の形態であってもよい。例えば、利用可能エリアに複数の利用可能車両1(自律移動体)を均一もしくはほぼ均一に分布させるように該利用可能車両1(自律移動体)を配置してもよい。また、例えば、複数の利用可能車両1(自律移動体)を、利用希望者からの要求があるまで、利用可能エリア内の所定の駐車領域に配置しておくようにしてもよい。
また、車両1(自律移動体)の制御装置21により実行される前述の種々の演算処理のうちの少なくとも一部が統括管理装置30により実行されてもよい。これとは逆に、統括管理装置30により実行される前述の種々の演算処理のうちの少なくとも一部が1つ以上の車両1(自律移動体)の制御装置21により実行されてもよい。さらに、車両1(自律移動体)の制御装置21及び統括管理装置30によりそれぞれ実行される前述の種々の演算処理のうちの少なくとも一部が、1つ以上の車両1(自律移動体)の制御装置21と統括管理装置30とが連携する協働処理により実行されてもよい。
1…倒立振子型車両(自律移動体)、50…電動カート(自律移動体)。

Claims (26)

  1. 路面上を全方向に移動可能な第1移動動作部を有する移動手段としての自律移動体の利用を希望する利用希望者の位置情報に基づいて、該利用希望者に利用対象の自律移動体を近づけるように該自律移動体の移動を行う第1ステップと、
    前記利用希望者の識別情報に基づいて、前記利用対象の自律移動体の周辺から前記利用希望者を特定する第2ステップと、
    前記利用希望者を特定できた場合である第1の場合と、特定できなかった場合である第2の場合とで、前記利用対象の自律移動体に互いに異なる数の動作である第1の場合用の動作と第2の場合用の動作とをそれぞれ行わせる第3ステップとを備え
    前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を、前記利用希望者の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作を含み、
    前記利用希望者の隣に並んでいる他者が存在する場合における前記搭乗用位置は、前記利用希望者の周囲のうち、前記他者との間に前記利用希望者が存在するように決定された位置であり、
    前記第2の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体が、前記利用希望者を未だ特定できていないことを示す動作を含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
  2. 請求項1記載の自律移動体の運用方法において、
    前記自律移動体は、前記第1移動動作部の後方に設けられ、前記自律移動体の旋回もしくは方向転換を円滑に行い得るようにするための路面上を全方向に移動可能な第2移動動作部を有し、
    前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を前記利用希望者の正面側に移動させた状態での該自律移動体の傾動及び旋回の少なくとも一方の動作を含み、
    前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を前記利用希望者の正面側に移動させた状態で該自律移動体を該利用希望者に向かって傾動させる動作を含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
  3. 請求項1又は2記載の自律移動体の運用方法において、
    前記搭乗用位置は、前記利用希望者の正面、背面及び側面のいずれかの位置であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記搭乗用位置は、前記利用希望者の周囲のうち、該周囲の他の位置よりも相対的に空きスペースが広い位置であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第1の場合に、前記利用対象の自律移動体を、前記利用希望者の周囲の搭乗用位置まで移動させる動作は、前記利用希望者の視線又は顔の正面又は体の正面が前記利用対象の自律移動体に向けられていることを必要条件として実行される動作であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第1の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を、前記利用希望者に対する該自律移動体の向きを所定の向きに向けた状態で該利用希望者の周囲に停止させる動作を含むことを特徴とする自律移動体の運用方法。
  7. 請求項6記載の自律移動体の運用方法において、
    前記所定の向きは、前記利用希望者の搭乗用の所定の向きであることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第1の場合に、前記利用対象の自律移動体の到着を示す報知を前記利用希望者に対して行う第4ステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第2の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体の所定の動作を繰り返す動作であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  10. 請求項9記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第2の場合用の動作は、前記利用対象の自律移動体を時計周り方向及び反時計周り方向に交互に旋回させる動作であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第2の場合に、前記利用対象の自律移動体が前記利用希望者を探している旨の報知を行う第5ステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第1の場合用の動作の実行前に、前記利用希望者の視線が、前記利用対象の自律移動体に向けられているか否かを判断する第6ステップと、該第6ステップの判断結果が否定的である場合に、前記利用対象の自律移動体に対する前記利用希望者の注意を喚起する動作を該自律移動体に実行させ、又は、前記利用希望者の注意を喚起する報知を行う第7ステップとをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第2ステップで前記利用希望者が特定された後に、当該特定された利用希望者が正しい利用希望者でないことが判明した場合に、前記利用希望者の特定を誤った旨を示す動作を前記利用対象の自律移動体に実行させ、又は前記利用希望者の特定を誤った旨を示す報知を行う第8ステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第1の場合に、前記第2ステップでの前記利用希望者の特定結果の確度の高低を判断し、該確度が低い場合には、高い場合よりも、前記利用対象の自律移動体を前記利用希望者によりゆっくり近づけながら、前記特定された利用希望者が正しい利用希望者であるか否かを判断する第9ステップをさらに備え、該第9ステップの判断結果が肯定的であることを必要条件として、前記利用対象の自律移動体の前記第1の場合用の動作を実行させることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第1の場合に、前記利用希望者の存在位置が、前記利用対象の自律移動体への搭乗に適した場所であるか否かを判断する第10ステップと、該第10ステップの判断結果が否定的である場合に、前記利用希望者を、前記利用対象の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用対象の自律移動体を動作させ、又は前記利用希望者を、前記利用対象の自律移動体への搭乗に適した位置に誘導するように該利用希望者に対する報知を行う第11ステップとをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第1ステップでは、前記利用希望者の中心視野領域内の地点を到達目標地点として、前記利用対象の自律移動体を該到達目標地点に移動させることを特徴とするに自律移動体の運用方法。
  17. 請求項16記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第1ステップでは、前記利用対象の自律移動体を、出発地点から前記到達目標地点までの該自律移動体の移動所要時間を最短化するように、前記到達目標地点が設定されることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第2ステップで特定された利用希望者が、前記利用対象の自律移動体の利用を開始する前に、該利用希望者以外の者が、該自律移動体を利用しようとしていることが推定される場合に、該利用希望者以外の者による該自律移動体の利用を拒絶するように該自律移動体を動作させ、又は、該利用希望者以外の者による該自律移動体の利用を拒絶する旨の報知を行う第12ステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  19. 請求項18記載の自律移動体の運用方法において、
    前記自律移動体の搭乗部は、人を正常に搭乗させ得る搭乗許容状態と、正常に搭乗することが不能となる搭乗不能状態とに選択的に動作し得るように構成されており、
    前記第12ステップでは、前記利用対象の自律移動体の搭乗部を、前記搭乗不能状態に動作させることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  20. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記自律移動体の搭乗部は、人を正常に搭乗させ得る搭乗許容状態と、正常に搭乗することが不能となる搭乗不能状態とに選択的に動作し得るように構成されており、
    少なくとも前記第2ステップで前記利用希望者が特定されるまでは、前記利用対象の自律移動体の搭乗部を、前記搭乗不能状態に維持し、前記利用希望者が特定された後に、前記利用対象の自律移動体の搭乗部を搭乗許容状態に動作させることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記自律移動体の利用可能エリアに、複数の利用可能な自律移動体を配置する第Aステップをさらに備えており、前記第1ステップで前記利用希望者に近づける前記利用対象の自律移動体は、前記複数の利用可能な自律移動体のうち、前記利用希望者に最も近い自律移動体、又は前記利用希望者から所定距離内に存在する自律移動体、又は前記利用希望者の周辺位置まで最も短時間で移動させ得る自律移動体、又は前記利用希望者の周辺位置まで所定時間以下の時間内で移動させ得る自律移動体であることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  22. 請求項21記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第Aステップでは、前記利用可能エリアのうち、人の密集度合の観測値又は予測値が低いエリアよりも高いエリアに、より多くの利用可能な自律移動体が存在するように該自律移動体が配置されることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  23. 請求項21記載の自律移動体の運用方法において、
    前記第Aステップでは、前記利用可能エリアに存在する各人の疲労度合の高低又は各人の移動の負担度合の高低を推定し、前記利用可能エリアのうち、前記疲労度合又は前記負担度合が高いと推定された人の人数が、少ないエリアよりも多いエリアに、より多くの利用可能な自律移動体が存在するように該自律移動体が配置されることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  24. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記利用希望者が、前記利用対象の自律移動体から離脱した後、該利用希望者が該利用対象の自律移動体の周囲の所定範囲の領域から逸脱したことが検知されてから、該利用対象の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  25. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記利用希望者が、前記利用対象の自律移動体から離脱した後、該利用希望者が所定の動作を行ったことが検知されてから、該利用対象の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
  26. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の自律移動体の運用方法において、
    前記利用希望者が、前記利用対象の自律移動体から離脱した後、該利用希望者が移動を開始したことが検知されてから、該利用対象の自律移動体の移動を開始させる第Bステップをさらに備えることを特徴とする自律移動体の運用方法。
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