JP6937055B1 - 非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法 - Google Patents

非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6937055B1
JP6937055B1 JP2020100158A JP2020100158A JP6937055B1 JP 6937055 B1 JP6937055 B1 JP 6937055B1 JP 2020100158 A JP2020100158 A JP 2020100158A JP 2020100158 A JP2020100158 A JP 2020100158A JP 6937055 B1 JP6937055 B1 JP 6937055B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
blood component
measuring device
sound wave
component concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020100158A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021194038A (ja
Inventor
石津谷 徹
徹 石津谷
清隆 山藤
清隆 山藤
Original Assignee
シースター株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by シースター株式会社 filed Critical シースター株式会社
Priority to JP2020100158A priority Critical patent/JP6937055B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6937055B1 publication Critical patent/JP6937055B1/ja
Publication of JP2021194038A publication Critical patent/JP2021194038A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)

Abstract

【課題】簡易な構成で、採血を行わずに精度よく血中成分の濃度を測定可能な非侵襲血中成分濃度測定装置の提供。【解決手段】生体の血中成分の濃度を測定する非侵襲血中成分濃度測定装置Hであって、脈動する生体の検査部位に対して入射光を照射する発光素子111と、検査部位を透過した透過光を受光する受光素子112と、検査部位に対して入射音波を発射する第1音波発信器113aと、検査部位の表面で反射された反射音波を受信する第1音波受信器114aと、血中成分の濃度を算出するMPU21aと、を備え、MPU21aは、受光素子112で測定される透過光の脈動による信号強度変化量ΔVと、入射音波及び反射音波によって測定される脈動による検査部位の体積変化量ΔAと、に基づいて血中成分の濃度を算出する。【選択図】図3

Description

本発明は、非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法に係り、特に、光と音波を利用した非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法に関する。
生体の血管を流れる血液に含まれるヘモグロビンなど、血中成分の濃度は、採血を行って血液を生体外に取り出して分析することで正確に測定することが可能である。しかし、採血による血中成分の濃度測定方法では、注射針を刺す時に痛みが生じてしまう。また、生体外に取り出した血液を分析装置で分析する場合、血中成分濃度を知るまでには、時間がかかってしまう。
以上のように、採血を伴う血中成分の濃度測定は、簡単ではなく、必用な装置も高価であった。そこで、採血を行うことなく非侵襲で簡単に血中成分の濃度を測定可能な装置が切望されてきた。
非侵襲で血中の酸素飽和度を測定する装置として、パルスオキシメータが知られている。パルスオキシメータは、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの赤色光と赤外光とに対する吸光度の違いを利用してヘモグロビンの酸素飽和度を測定する装置であるが、ヘモグロビン濃度の絶対値を正確に測定することはできなかった。
特許文献1には、第1波長の第1検査光及び第2波長の第2検査光を強度変調した第1入射光及び第2入射光を生体内の動脈に向けて入射する光入射手段と、生体外から出た第1波長の第1検出光及び第2波長の第2検出光を検出する検出手段と、第1検出光及び第2検出光に基づいてヘモグロビンの酸素飽和度を算出するとともに第1検査光又は第2検査光の動脈拡張時と動脈収縮時との位相変化に基づいて動脈拡張時と動脈収縮時との光路長の変化を算出し、酸素飽和度及び光路長の変化に基づいてヘモグロビンの濃度を算出する処理手段とを備えた、動脈血中のヘモグロビンを光学的に測定する血液測定装置が記載されている。
特開2004−194908号公報
特許文献1に記載の血液測定装置では、異なる波長の複数の光源や、多くの素子を複雑に組み合わせる必要があり、装置本体のサイズが大きく高価なものとなっていた。つまり、従来のパルスオキシメータの測定原理や測定装置では、精度が十分ではなかったり、装置が大掛かりなものとなったりする等の課題があり、一般家庭にも普及するような非侵襲血中成分濃度測定装置が求められていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で、採血を行わずに精度よく血中成分の濃度を測定可能な非侵襲血中成分濃度測定装置を提供することにある。
前記課題は、本発明の非侵襲血中成分濃度測定装置によれば、生体の血中成分の濃度を測定する非侵襲血中成分濃度測定装置であって、脈動する前記生体の検査部位に対して入射光を照射する発光手段と、前記検査部位を透過した透過光を受光する受光手段と、前記検査部位に対して入射音波を発射する発信手段と、前記検査部位の表面で反射された反射音波を受信する受信手段と、前記血中成分の濃度を算出する処理手段と、を備え、前記処理手段は、前記受光手段で測定される前記透過光の前記脈動による信号強度変化量ΔVと、前記入射音波及び前記反射音波によって測定される前記脈動による前記検査部位の体積変化量ΔAと、に基づいて前記血中成分の濃度を算出することにより解決される。
上記のように構成された本発明の非侵襲血中成分濃度測定装置では、複数波長の光源や、照射する光の波長のスキャン、複雑な計算が不要であり、LED、フォトセンサ、圧電素子等の低コストな素子を簡易な構成で組み合わせることで、一般家庭にも普及するような、小型、軽量、低コスト、高精度な非侵襲血中成分濃度測定装置を構築することが可能となる。
また、上記の構成において、前記入射光は、略平行光であるとよい。
上記の構成では、検査部位の体積変化量を円柱に近似して精度よく計算することが可能となる。
また、上記の構成において、前記受光手段の受光部の面積は、前記略平行光の光束の面積より広いとよい。
上記の構成では、光検出を行う受光部の表面積が、略平行光の光束の面積よりも広いことで、透過光を漏らすことなく、適切に検出することが可能となる。
また、上記の構成において、前記入射光は、非連続光であるとよい。
上記の構成では、受光手段において透過光の検出を行う際に、非連続光、例えば、パルス光を用いることで、暗電流成分を除去することが可能となる。
また、上記の構成において、前記入射光は、非可視光であるとよい。
上記の構成では、赤外光などの非可視光を用いると、散乱や環境光の影響を受けにくいため、血中成分による光吸収を適切に測定することが可能となる。
また、上記の構成において、前記受光手段は、前記透過光を選択的に透過する光遮蔽手段を備えているとよい。
上記の構成では、ノイズとなる波長の光をカットすることで、透過光を適切に受光素子の受光部で検出することが可能となる。
また、上記の構成において、前記発信手段と前記受信手段は、前記発光手段の側に設けられた第1発信手段及び第1受信手段と、前記受光手段の側に設けられた第2発信手段及び第2受信手段と、を備えているとよい。
上記の構成では、検査部位を挟んだ両側のそれぞれで脈動による検査部位の位置変化を測定して体積変化量を算出するため、測定の精度が向上する。
また、上記の構成において、前記発信手段が備える発振素子は、前記受信手段が備える受信素子と同一の素子であるとよい。
上記の構成では、発振素子と受信素子を同一の圧電素子とすることで、必要になる素子の数を減らすことが可能となる。
また、上記の構成において、前記入射音波は、超音波であるとよい。
上記の構成では、ノイズとなる環境音による影響が抑制される。
また、上記の構成において、前記検査部位において、動脈が最も拡張した時を動脈拡張時Tとし、前記動脈が最も収縮した時を動脈収縮時Tとしたときに、前記発光手段は、少なくとも前記動脈拡張時T及び前記動脈収縮時Tにおいて前記検査部位に対して前記入射光を照射し、前記発信手段は、少なくとも前記動脈拡張時T及び前記動脈収縮時Tにおいて前記検査部位に対して前記入射音波を発射し、前記処理手段は、前記動脈拡張時Tと前記動脈収縮時Tにおける前記信号強度変化量ΔVを、前記動脈拡張時Tと前記動脈収縮時Tにおける前記体積変化量ΔAで割った値と、採血によって得られた前記血中成分の濃度とから基準となる換算定数kを算出して記憶手段に記憶させ、前記記憶手段に記憶された前記換算定数kを用いて前記血中成分の濃度を算出するとよい。
上記の構成では、既知の換算定数kを用いて血中成分の濃度を算出するため、濃度測定の精度が高くなる。
また、前記課題は、本発明の非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法によれば、生体の血中成分の濃度を測定する非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法であって、脈動する前記生体の検査部位に対して入射光を照射する発光工程と、前記検査部位を透過した透過光を受光する受光工程と、前記検査部位に対して入射音波を発射する発振工程と、前記検査部位の表面で反射された反射音波を受信する受信工程と、前記血中成分の濃度を算出する処理工程と、を行い、前記処理工程では、前記受光工程で測定される前記透過光の前記脈動による信号強度変化量ΔVと、前記入射音波及び前記反射音波によって測定される前記脈動による前記検査部位の体積変化量ΔAと、に基づいて前記血中成分の濃度を算出することにより解決される。
本発明の非侵襲血中成分濃度測定装置は、従来技術とは、技術的思想及び測定原理自体が異なっており、複数波長の光源や、照射する光の波長のスキャン、複雑な計算が不要であるという利点を有している。
また、本発明の非侵襲血中成分濃度測定装置によれば、発光素子としてLED、受光素子としてフォトセンサ、音波発振器や音波受信器として圧電素子を用いることが可能である。したがって、低コストである素子を簡易な構成で組み合わせることで、一般家庭にも普及するような、小型、軽量、低コスト、高精度な非侵襲血中成分濃度測定装置を構築することが可能である。
血中成分の中でも、ヘモグロビンの濃度測定は、健康・医療分野において重要である。小型、軽量、低コスト、高精度な本発明の非侵襲血中成分濃度測定装置によれば、アスリート・登山者等の貧血(スポーツ貧血)の防止、妊娠中や産後の女性等の体調維持管理、潰瘍・癌・消化管からの出血などの早期発見、頭痛・慢性疲労・動悸・むくみ・抜け毛・寒気・吐き気・食欲不振・肩こり等の予防、鉄欠乏性貧血・巨赤芽球性貧血・白血病・再生不良性貧血・老人性貧血等の早期発見などが可能となる。
発光素子と受光素子の間の光束(略平行光)を示す模式図である。 脈動による動脈血の光吸収の変化を示す模式図である。(左)動脈が最も収縮した時、(右)動脈が最も拡張した時。 脈動による指の表面の位置変化を音波で測定する態様を示す模式図である。 受光素子からの出力電圧(信号強度)の時間変化を示す模式図である。 測定装置の第1部材に指を載置した状態を示す外観図である。 測定装置の第1部材の正面図である。 測定装置の第1部材の側面図である。 測定装置の第2部材の外観図である。 測定装置の第2部材の後面図である。 測定装置の第2部材の側面図である。 測定装置の第2部材の下面図である。 第2部材が備えるピンの外観図である。 第2部材が備えるピンの上面図である。 測定装置の使い方を示す説明図である。 測定装置の使い方を示す説明図である。 第1部材が備えるピン受容穴の上面図である。 第1部材のピン受容穴に、第2部材のピンが係合した状態の模式図である。 第1部材の側面に係合する第3部材を示す模式図である。 本実施形態の変形例に係る測定装置の外観図である。 本実施形態の変形例に係る測定装置が備える第2板部の内面の拡大図である。
以下、図1乃至図12を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度の測定原理について説明する。本実施形態に係る非侵襲血中成分濃度測定装置として、非侵襲ヘモグロビン濃度測定装置を例に挙げて説明することとするが、対象となる血中成分はヘモグロビン(以下、適宜「Hb」と略す)に限定されるものではない。また、検査対象として人を例として説明するが、検査対象となるのは人に限定されるものではなく、人以外の哺乳動物(非ヒト哺乳動物)も対象となる。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
[1.測定原理について]
(1−1.測定原理の主要ポイント)
まず、図1乃至図4を参照して、本実施形態に係る非侵襲血中成分濃度測定装置が採用する非侵襲血中成分濃度の測定原理について説明をする。
以下に詳述するように、Hb濃度CHb(単位は、[g/dL])を算出するためには、「一定量の血液の体積」と、該体積中の「Hb濃度に相当する値(CHb’)」との両方を測定する必要がある。「一定量の血液の体積」として、動脈が最も拡張して動脈血流が略最大(略ピーク)になった時(動脈拡張時T)と、動脈が最も収縮して動脈血流が略最小(略ボトム)になった時(動脈収縮時T)との差(ΔA)を選択すると好適である。
以下に詳述するように、本実施形態に係るHb濃度CHbの測定では、「一定量の血液の体積」を、略円柱の体積(ΔA)として求める。ここで、円柱の高さ(d)は、音波を利用して値を得る。また、円柱の断面積は、検査対象に照射されて、検査対象を透過する略円柱の光束の断面積(S)から得る。そして、得られた断面積(S)と、高さ(d)との積から、略円柱の体積(ΔA=S×d)が求められる。光束の断面積(S)は、カメラなどの撮像手段を用いて測定することができる。
また、本実施形態に係るHb濃度(CHb)の測定において、「Hb濃度に相当する値(CHb’)」は、光を利用して測定される動脈拡張時Tと動脈収縮時Tとの透過光量または吸収光量の差(ΔV)と、採血によって得られたHb濃度の実測値CHb−real(単位は、[g/dL])とから、後述する演算式を用いて求められる。
(1−2.「Hb濃度に相当する値」の光による測定)
まず、「一定量の血液の体積(ΔA)」中の「Hb濃度に相当する値(CHb’)」を知るために、光を利用する。より具体的には、例えば、人差し指Fの第1関節と第2関節の間付近に、皮膚に対して略垂直に、光源である発光素子1からの入射光を照射する。指Fの中に侵入した光は、一部が散乱され、一部が吸収されるが、残りは透過するような波長や強度の光(Hbの場合、波長は、600nm付近(例えば、590〜610nm)〜1300nm付近(例えば、1200〜1300nm))を利用する。
LEDなどの発光素子1から発せられる入射光の波長は、測定対象の血中成分、具体的には本実施形態におけるHbによって吸収される波長であることが必要となる。600nm付近より短波長の可視光を用いる場合、生体で吸収されて透過光を検出することが困難であり、散乱や環境光の影響も大きいため、入射光として非可視光を用いることが好ましい。指Fなどの検査部位に入射光を照射する場合、良好に生体を透過するため非可視光として波長が800nm付近以上の近赤外光を用いることが好適である。なお、入射光の波長の上限値は、生体内の水の吸収が支配的となる波長領域よりも短波長、例えば、1200〜1300nm以下とすると好適である。
また、発光素子1から発せられる入射光の強度は、検査部位(被検部)である指Fを透過することも必要条件となる。また、透過光の強度は、血液の脈動(動脈血流の脈動)に応じ、略周期的に変動することが必要条件である。
発光素子1から発せられる入射光の光束Lは、光が吸収された部分の体積を精度良く計算できるように、略平行光であることが好ましい(図1)。後述するように、脈動による動脈血の体積の変化量(ΔA)を円柱に換算して測定するために、発光素子1と受光素子2の間に、不図示のレンズを配置して、平行光を作成するようにすると好適である。
発光素子1から発せられる入射光は、連続光ではなく、パルス光(非連続光)とする。発光素子1からの入射光を、少なくとも1回、動脈が拡張した時(好ましくは動脈が最も拡張して動脈血流が略最大になった時)に、検査部位に対して照射し、フォトセンサである受光素子2の出力電圧VONを得る。さらに、発光素子1からの入射光を、少なくとも1回、動脈が収縮した時(好ましくは動脈が最も収縮して動脈血流が略最小になった時)に照射し、受光素子2の出力電圧VOFFを得る。
動脈が拡張した時と収縮した時における受光素子2からの出力電圧の差ΔV(=VOFF−VON)は、動脈が拡張した時と収縮した時との、動脈血の体積の変化量(ΔA)に対応する。出力電圧の差ΔVは、動脈血中のHb濃度CHbにも依存する。例えば、動脈血の体積の変化量(ΔA)は等しいが、Hb濃度CHbが濃い人と、薄い人とを比べると、動脈が拡張した時と収縮した時の受光素子2からの出力電圧の差は、Hb濃度CHbが濃い人の値の方が、Hb濃度(CHb)が薄い人に比べて、大きくなる。
なお、出力電圧の差ΔV=VOFF−VONは、出力電圧Vのトップ(VOFF)とボトム(VON)を引き算していることで、静脈血(Ab)、組織(Ac)による光吸収成分、散乱成分、ノイズ成分を除去することができる。
すなわち、動脈が拡張した時(VON)と収縮した時(VOFF)に測定される受光素子2からの出力電圧の差(ΔV)は、動脈が拡張した時と収縮した時の動脈血の体積の変化量(ΔA)と、「Hb濃度に相当する値(CHb’)」との積(ΔA×CHb’)に相当する(つまり、ΔV=ΔA×CHb’)。
ここで、検査部位(被検部)における吸収光量は、動脈の脈動によって変化する。図2は、脈動による動脈血の光吸収の変化を示す模式図であり、生体内の動脈血(Aa)、静脈血(Ab)、組織(Ac)による光吸収(A)を模式的に示している。組織による光吸光(Ac)及び静脈血による光吸光(Ab)は、脈動に依存することなく一定である。なお、組織は、骨や肉、皮膚や血管など動脈血や静脈血以外を含むものであり、組織(Ac)は、組織による吸収以外に、散乱成分を一部含んでいる。
動脈は、脈動に応じて収縮と拡張とを繰り返し、動脈の収縮時には光路長が短く、血液量の減少により吸光度が小さくなる。また、動脈の拡張時には光路長が長くなり、血液量の増加により吸光度が大きくなる。したがって、動脈血による光吸収は、動脈の脈動に応じて、Aa(動脈が最も収縮した時:動脈収縮時T)とAa+ΔA(動脈が最も拡張した時:動脈拡張時T)の間で変化する。
測定対象の血中成分であるヘモグロビンは静脈を流れる静脈血や動脈を流れる動脈血に含まれている。動脈の脈動を利用して、動脈の収縮時と拡張時の受光素子2からの出力電圧の差ΔVをとることで、静脈血(Ab)や組織(Ac)による光吸収を除外して、動脈血(Aa)の光吸収のうち、動脈血の体積の変化量(ΔA)に相当する部分を得ることが可能である。
透過光を受光する受光素子2の受光部は、略平行光の光束L(透過光)の全てを受光するように構成されていると好適である。具体的には、受光素子2の受光部の面積が、略平行光の光束Lの面積Sより広いと、透過光を漏らすことなく、適切に検出することが可能となる。
なお、受光素子2は、集光レンズなどの集光手段によって略平行光の光束L(透過光)の全てを受光するように構成されていてもよい。また、受光素子2の手前に、透過光を選択的に透過させ、他の波長の光を遮蔽する光学フィルタなどの光遮蔽手段を備えていると好適である。
なお、発光素子1は、所定の周波数で入射光を発するようにパルス発光させるのが好適である(後述する図4では100Hzでパルス発光している)。また、受光素子2は、光源である発光素子1が発光する周波数の少なくとも2倍の周波数で透過光を受光することにより、ノイズ除去を行うと、より好適である。
発光素子1をパルス発光させる場合、測定を行う部屋の照明の影響を除去することが可能である。例えば、発光素子1(LED)の発光周波数を100Hzの矩形波にした場合、発光素子1は、5ms点灯、5ms消灯、を繰り返す。これを、1〜2秒間の間繰り返し、受光素子2の出力電圧を観測し続けると、受光素子2の出力電圧には、1〜2秒間に1〜2回VOFF(動脈がOFF、最も収縮した時の状態)の時のピークが現れ、1〜2回VON(脈がON、最も拡張した時の状態)のボトムが現れることになる。毎回の5ms点灯時の受光素子2の出力電圧から、5ms消灯時の受光素子2の出力電圧を引けば、概ね部屋の照明の影響は除去可能となる。
(1−3.体積の変化量ΔVの音波による測定)
次に、動脈が拡張した時と収縮した時との、動脈血の体積の変化量(ΔA)を、音波を利用して測定する。人体のうち、脈動がある部分(例えば、指先など)においては、その断面は、極めて微小ではあるが、広がったり狭くなったりしている。例えば、指を横から見た場合、ある任意の箇所における、指の上側の表面と下側の表面との長さは、脈動に応じ、長くなったり短くなったりしている(図3)。
図3では、音波を用いた脈動による指Fの表面の位置の変化を示す模式図であり、動脈が最も拡張して動脈血流が略最大になった時(動脈拡張時T)の指FONを二点鎖線で示し、動脈が最も収縮して動脈血流が略最小になった時(動脈収縮時T)の指FOFFを実線で示している。
そこで、指Fの表面から少し離れた場所に音波発振器3(発信手段)と音波受信器4(受信手段)を配置し、指Fの表面に向けて(連続ではない)入射音波を発射(発振)する。空気中を伝搬した入射音波は、人体の皮膚により、殆どが反射されるので、反射音波は音波受信器4(受信手段)に届いて受信される。
このとき、音波受信器4で反射音波が受信された時間は、音波発振器3から入射音波が発射された時間から、少し遅れた時間となる。一般に、音波が空中を伝搬する速度、つまり、音速cの値は分かっているので(15℃でc=340.5m/秒)、遅れた時間と音速cとの積から、音波発振器3から音波受信器4までの距離が計算できる。このとき、音波の経路の間には、上下に動く指Fの皮膚表面がある。
測定に用いる音波(入射音波)は特に限定されるものではないが、10kHz以上、環境音(ノイズ)による影響を考慮すると、可聴音ではなく15kHz以上、好ましくは20kHz以上、更には、20kHz〜数十MHz(例えば、20MHz)の超音波を用いると良い。
図3に示すように、指Fの一方側に第1音波発振器3a及び第1音波受信器4aを配置し、指Fの他方側に第2音波発振器3b及び第2音波受信器4bを配置すると好適である。
動脈拡張時Tの指FONに対して第1音波発振器3aから発射された音波が指FONの表面で反射されて第1音波受信器4aに到達するまでの時間TON−aとし、動脈収縮時Tの指FOFFに対して第1音波発振器3aから発射された音波が指FOFFの表面(上面)で反射されて第1音波受信器4aに到達するまでの時間TOFF−aとする。
同様に、動脈拡張時Tの指FONに対して第2音波発振器3bから発射された音波が指FONの表面で反射されて第2音波受信器4bに到達するまでの時間TON−bとし、動脈収縮時Tの指FOFFに対して第2音波発振器3bから発射された音波が指FOFFの表面(下面)で反射されて第2音波受信器4bに到達するまでの時間TOFF−bとする。
反射を利用して音波発振器3や音波受信器4から指Fの表面までの距離dを測定する場合、音波は距離dの2倍の距離を進むことになる。つまり、距離d={(TOFF−a−TON−a)/2+(TOFF−b−TON−b)/2}×音速cで算出することができる。この距離dは、脈動により動脈が膨らんだ量に相当し、図2における略円柱の高さdに等しい。
以下、音波発振器3と動脈収縮時Tの指FOFFの皮膚との間を4mm離した場合を想定して検討をする。動脈拡張時Tの指FONの表面が、動脈収縮時Tの指FOFFと比較して上側と下側でそれぞれ1μmだけ位置変化すると仮定し、計算を簡単にするために音速を400mm/msと概算した。
音波発振器3から発射された入射音波が、動脈収縮時Tの指FOFFの皮膚で反射されて、音波受信器4で受信される場合、4mm×2=8mmを音波が進む所要時間は、8mm÷400mm/ms=0.02ms=20μsとなる。以上のように、音波は光に比べて速度が遅いため、動脈が脈動することで、測定可能な相当の時間差が生じることになる。
動脈拡張時Tに指FONの表面が、上側と下側で合計2μm=0.002mm位置変化すると、0.002mm÷400mm/ms=0.005μs=5ns音波が進む所要時間が短くなる。つまり、動脈収縮時Tと動脈拡張時Tで、音波の伝搬時間差は、20.000μsから5nsだけ短くなる。具体的には、動脈拡張時Tの音波が進む所要時間は、20.000μs−5ns=19.995μsとなる。
図4は、受光素子2からの出力電圧(信号強度)の時間変化を示す模式図である。動脈の脈動は、1秒間に約1回、つまり約1Hzの周波数で振動する。音波の発射は、少なくとも1回、動脈が拡張した時(好ましくは動脈が最も拡張して動脈血流が略最大になった時、動脈拡張時T)に入射音波を発射し、得られた距離から皮膚表面の位置を知ることができる。さらに、少なくとも1回、動脈が収縮した時(好ましくは動脈が最も収縮して動脈血流が略最小になった時、動脈収縮時T)に入射音波を発射し、得られた距離から皮膚表面の位置を知ることができる。
2つの異なるタイミングにおける測定結果の差から、皮膚表面の位置の変動(長さd)を知ることができる。なお、動脈が拡張した時の入射音波の発射、および、動脈が収縮した時の入射音波の発射は、上述した、任意の体積中のHb濃度(CHb)に相当する値を測定する際の、動脈が拡張した時の入射光の照射、および、動脈が収縮した時の入射光の照射にそれぞれ同期させるようにする。具体的には、受光素子2の出力電圧Vの周期に合わせて(VONとVOFF)、同じタイミングとなるように音波発振器3から入射音波を発射する(図4)。
本実施形態では、光速略平行光を検査部位(被検部)に対して照射しているので、その光束Lの断面積(S)は、イメージセンサなどで簡単に測定することができる。結果として、上述の皮膚表面の位置の変動(長さd)と、光束Lの断面積(S)との積(d×S)から、動脈が拡張した時と、動脈が収縮した時との、動脈血の体積の変化量(ΔA)を知ることができる。
なお、音波発振器3と音波受信器4とは、例えば、圧電(ピエゾ)素子を用いれば良い。今日では、非常に小さい圧電素子が市場に出回っており、簡単に入手できる。音波発振器3と音波受信器4は、図3に示したように、発光素子1の側と受光素子2の側のそれぞれに一対ずつあると好適であるが、音波発振器3と音波受信器4は、少なくとも一対あればよい。音波発振器3と音波受信器4が1つずつである場合、上述の距離d=(TOFF−TON)×音速cで距離dを計算することができる。
また、音波発振器3(発振素子)と音波受信器4(受信素子)を同一の素子(単一の素子)とすることも可能である。具体的には、発振素子と受信素子を兼用する超音波発振受信素子として、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電素子を用いることができる。PZT素子などの圧電素子は、加えられた力を電圧に変換し、かつ、加えられた電圧を振動に変換するため、超音波発振受信素子として利用可能である。
(1−4.Hb濃度の算出)
上述した内容を整理すると、光と音波を用いて測定して得られた値は、(1−2)において測定された、動脈血の体積の変化量(ΔA)と、Hb濃度に相当する値(CHb’)との積(ΔA×CHb’)、(1−3)において測定された、動脈血の体積の変化量(ΔA)である。
したがって、上記、(ΔA×CHb’)の値を(ΔA)の値で割ると、得られる商は、「Hb濃度に相当する値(CHb’)」となる。しかし、ここで得られた数値、つまり、「Hb濃度に相当する値(CHb’)」は、単位が、濃度の単位[g/dL]にはなっていない。そこで、採血を行い、実際のHb濃度の値(CHb−real:単位は、[g/dL])を測定しておく。このとき、(ΔA×CHb’)の値を(ΔA)の値で割って得られる商の数値であるCHb’は、CHb’×換算定数k=CHb(ヘモグロビン濃度:単位は、[g/dL])を満たす。
そこで先ず、ある任意の被検者を対象として、上述した方法で「Hb濃度に相当する値(CHb’)」を得ておき、採血によって実際のHb濃度の値(CHb−real:単位は、[g/dL])を得る。そして、換算定数kを、k=CHb−real/CHb’を演算して求める。
この換算定数kとして、事前に測定された複数の被験者の平均値を利用することや、使用者が健康診断を受診した際に得られるヘモグロビン濃度の実測値CHb−realを利用することも可能である。測定されるHb濃度に相当する値(CHb’)に対する換算定数kを関数として装置に記憶しておいて、関数から求められる換算定数kを近似して用いてもよい。
それ以降の被検者については、上述した方法で「Hb濃度に相当する値(CHb’)」を得れば、その値に最初の被験者における測定結果から得られた換算定数kを乗じることで、Hb濃度CHb:単位は、[g/dL]を得ることができる(つまり、CHb’×換算定数k=CHb[g/dL])。
(1−5.測定原理の利点)
以上のように、本実施形態に係る非侵襲血中成分濃度の測定原理は、従来技術とは、技術的思想及び測定原理自体が異なっており、複数波長の光源や、照射する光の波長のスキャン、複雑な計算が不要であるという利点を有している。
本実施形態に係る非侵襲血中成分濃度の測定原理によれば、発光素子1としてLED、受光素子2としてフォトセンサ、音波発振器3や音波受信器4として圧電素子を用いることが可能である。したがって、低コストである素子を簡易な構成で組み合わせることで、小型、軽量、低コスト、高精度な非侵襲血中成分濃度測定装置を構築することが可能である。
(1−6.血中成分について)
上述の非侵襲血中成分濃度の測定原理において、対象となる血中成分はHbに限定されるものではなく、動脈血に含まれる成分であり、対象となる成分の(血液中に含まれる割合)×(所定の波長における吸収係数)が、対象とならない成分よりも、十分に、例えば、3桁〜4桁も大きければ、相応の精度で濃度測定を行うことができる。このとき、対象となる血中成分の吸収係数の波長依存性を考慮して、適切な波長の入射光を選択すればよい。
本実施形態に係る非侵襲血中成分濃度測定装置が対象とするヘモグロビン以外の血中成分として、例えば、グルコース(血糖値)、C反応性蛋白(CRP値)チトクローム類、フラビン、カロチン、GOT(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)、GPT(アラニンアミノ基転移酵素)、その他の疫病検査物質、DNA、RNA、蛋白質またはNADが例示されるが、これらの成分に限定されるものではない。
<非侵襲血中成分濃度測定装置H>
上述の非侵襲血中成分濃度の測定原理を採用した本実施形態に係る非侵襲血中成分濃度測定装置Hの一実施形態を図5A乃至図10を参照して説明する。非侵襲血中成分濃度測定装置Hは、第1部材10と、該第1部材10に接続される第2部材20とを主要な構成要素として備えている。
以下、本明細書における方向を示す用語に関し、図5Aのように各方向を定義する。具体的には、以下の説明中、「前後方向」とは、非侵襲血中成分濃度測定装置Hの使用者から見たときの前後方向を意味し、指先を前方とする。「左右方向」とは、非侵襲血中成分濃度測定装置Hの使用者から見たときの左右方向と一致し、指の幅方向である。また、「上下方向」とは、非侵襲血中成分濃度測定装置Hの使用者から見たときの上下方向と一致し、指の腹を下方とする。
(第1部材10)
第1部材10(下部ホルダ)は、検査部位となる指Fを載置する部材であり、左右方向の第1側壁10a及び第2側壁10b、前後方向の前壁10c及び後壁10dで周囲を囲まれた、底壁10eを有する箱型の部材である(図5A乃至図5C)。
第1側壁10aは、発光素子11(発光手段)と、該発光素子11の両側に配置された第1音波発信器13a(発信手段)及び第1音波受信器14a(受信手段)を備えている。発光素子11と、第1音波発信器13a及び第1音波受信器14aは、図5Aに示されるように、パイプ部材の内側に設けても良いが、第1側壁10aの内面が指Fの側面に接触しないのであれば、パイプ部材を省略することも可能である。
第2側壁10bは、受光素子12(受光手段)と、該受光素子12の両側に配置された第2音波発信器13b(発信手段)及び第2音波受信器14b(受信手段)を備えている。
前壁10cには、指Fを安定して支持するために下方に向かって窪んだ載置凹部15aが形成されている。同様に、後壁10dには、指Fを安定して支持するために下方に向かって窪んだ載置凹部15bが形成されている。
第1部材10の四方の隅には、下方に向かってピン受容穴16が1つずつ形成されている。ピン受容穴16には、後述する第2部材20のピン26が挿入される。ピン受容穴16の構成の詳細は、図9Aを参照して後述する。
(第2部材20)
第2部材20(上蓋)は、第1部材10に接続され、第1部材10に載置された指Fを上方から押さえる部材である。第2部材20は、天板21と、該天板21の上面に配置された表示操作パネル22(表示操作手段)及び電源スイッチ23と、指Fを上方から押さえる押さえ板24と、押さえ板24を下方へと付勢するバネ25と、第1部材10と機械的及び電気的に接続するためのピン26と、を備えている(図6A乃至図6D)。
天板21には、MPU21a(処理手段)及びメモリ21b(記憶手段)、不図示のバッテリーや回路基板が収納されている。MPU21aは、一般的なマイクロプロセッサ(Micro Processing Unit)であり、非侵襲血中成分濃度測定装置Hの各構成要素を制御する処理手段(制御部、制御装置)としての役割を果たす。MPU21aは、上述の非侵襲血中成分濃度の測定原理(測定方法)を実行するために、各構成要素を制御したり、得られた測定値から演算を行う処理手段である。
記憶手段(記憶装置)としてのメモリ21bには、非侵襲血中成分濃度測定装置Hを駆動して血中成分の濃度測定を行うためのプログラムや、上述した換算定数kの値を記憶している。なお、メモリ21bに記憶されている換算定数kの値は、表示操作パネル22を操作して、書き換えることも可能である。
表示操作パネル22は、非侵襲血中成分濃度測定装置Hの操作を行うためのタッチパネルであり、血中成分の濃度の値や各種項目を表示する表示装置としても機能する。電源スイッチ23は、非侵襲血中成分濃度測定装置Hを使用する際に電源をオンにするためのスイッチである。
押さえ板24は、天板21の下面にバネ25を介して連結されており、指Fの上面の形状に合わせて上方に向かってアーチ状に湾曲した板部材である。バネ25は、押さえ板24の四方の隅にそれぞれ配置されており、第1部材10に対して第2部材20を接続したときに、押さえ板24を下方の指Fに向けて付勢する付勢手段として機能する。
図7A及び図7Bに示されるように、ピン26は、中央付近が膨らんだ形状のプラスチック製の絶縁部26aの表面に、3本の配線電極26bが形成されている。また、ピン26は、絶縁部26aの表面から外側に向かって突出する一対のガイドウイング26cを備えている。配線電極26bは、接触抵抗が生じるように、外側に膨らむように形成されている。
検査部位を指Fとした場合に、正確に血中成分の濃度を測定するためには、脈動を妨げないように可能な限りソフトに、且つ、第1部材10内で指Fが動かないように固定することがポイントとなる。また、光や音波が照射される部位が、指Fの骨や爪を避けた位置で、且つ、皮膚表面から所定距離だけ離間することも正確な測定に必要なポイントである。
図8Aに示されるように、第1部材10の前側の載置凹部15aに第1関節を載置し、後側の載置凹部15bに第2関節を載置するように、指Fを配置する。そして、第1部材10のピン受容穴16に、第2部材20のピン26を挿入して2つの部材を係合する(図8B)。
この状態では、第1部材10の発光素子11及び受光素子12、第1音波発信器13a及び第1音波受信器14a、第2音波発信器13b及び第2音波受信器14bが、指Fの下面から所定の位置(好ましくは骨のない部分)に位置することになるため、好ましい指Fの配置が実現する。
好ましい指Fの配置を実現するために、第1部材10の載置凹部15a,15bが下方へと湾曲した一番低い部分から数mmだけ上方に光や音波に関連する各素子を配置している。そして、載置凹部15a,15bの左右方向における端部から、少しだけ隙間を開けた位置に、光や音波に関連する各素子を備える第1側壁10a及び第2側壁10bを配置している。
図8に示されるように、指Fの上面に沿うようにして押さえ板24が当接して、バネ25の付勢力で指Fを適切な位置に保持する。図9Aに示されるように、第1部材10のピン受容穴16は、ピン26の絶縁部26aを受け入れる受容部16aと、配線電極26bに対応する電極16bと、一対のガイドウイング26cに対応する一対の受けスリット16cを備えている。
図9Bに示されるように、第1部材10のピン受容穴16に、第2部材20のピン26が受容されると、受容部16aに絶縁部26aが当接して係合状態が安定化し、電極16bが配線電極26bと電気的に接続されることで第1部材10の各素子と第2部材20のMPU21aが電気的に連結される。このとき、受けスリット16cとガイドウイング26cの配置を、所定の角度となったときにのみ、係合可能に構成すると好適である。
指Fは、第2部材20の重さと、ピン26とピン受容穴16の摩擦抵抗でソフトに固定される。このとき、指Fは、柔らかいバネ25で緩やかに湾曲した押さえ板24でソフトに付勢される。このようにして、指Fの第1関節と第2関節の間の領域は、強く圧迫されることなく、脈動が十分に感知できるようになっている。
このような非侵襲血中成分濃度測定装置Hでは、脈動による指Fの左右方向の変形を観察して、上述した非侵襲血中成分濃度の測定原理で、血中成分の濃度を測定することが可能である。なお、観察する脈動による指Fの変形の方向は、左右方向に限定されず、上下方向の変形を観察しても良いことは、上述したとおりである。
なお、上記の実施形態では、指Fの第1関節と第2関節の間の領域を測定部位としたが、指Fにおける測定部位は、特に限定されるものではなく、指先と第1関節の間や、第2関節と第3関節(指Fの付け根)を測定部位としてもよい。
図10に示すように、第1部材10の左右方向の第1側壁10a及び第2側壁10bの外側から、カバー部材としての第3部材30を取り付けて、光や音波による測定に、ノイズが混入しないようにすると好適である。
<非侵襲血中成分濃度測定装置Hの制御方法>
以下、非侵襲血中成分濃度測定装置Hを用い、上述の非侵襲血中成分濃度の測定原理を採用した、非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法(つまり、非侵襲血中成分濃度測定方法)を、検査部位を指Fとした場合を例示して説明する。以下に説明する各工程は、MPU21a(処理手段)が処理を実行する。
本実施形態に係る非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法は、血中成分の濃度を測定する非侵襲血中成分濃度測定装置Hの制御方法である。使用者が指Fに非侵襲血中成分濃度測定装置Hを装着し、電源スイッチ23がオンにすると、MPU21aは以下の処理フローを開始して測定が始まる。
まず、MPU21aは、脈動する指Fに対して発光素子11(発光手段)から入射光を照射する発光工程を実行する(ステップS1)。次に、MPU21aは、指Fを透過した透過光を受光素子12(受光手段)で受光する受光工程を実行する(ステップS2)。次に、MPU21aは、指Fに対して第1音波発信器13a及び第2音波発信器13b(発信手段)から入射音波を発射する発振工程を実行する(ステップS3)。次に、MPU21aは、指Fの表面で反射された反射音波を第1音波受信器14a及び第2音波受信器14b(受信手段)で受信する受信工程を実行する(ステップS4)。そして、MPU21aは、血中成分の濃度を算出する処理工程を実行する(ステップS5)。
処理工程(ステップS5)では、受光工程で測定される透過光の脈動による信号強度変化量ΔVと、入射音波及び反射音波によって測定される脈動による前記検査部位の体積変化量ΔAと、に基づいて血中成分の濃度を算出する。
処理工程(ステップS5)では、上述の非侵襲血中成分濃度の測定原理にしたがって、血中成分の濃度を算出する。そして、MPU21aは、算出された血中成分の濃度の値を表示操作パネル22に表示して、処理フローを終了する。
<非侵襲血中成分濃度測定装置Hの変形例>
本実施形態の変形例に係る非侵襲血中成分濃度測定装置H2を図11及び図12を参照して説明する。変形例に係る非侵襲血中成分濃度測定装置H2は、検査部位を耳たぶとするものであり、センサ部100と、本体部120とを主要な構成要素として備えている。
耳たぶを検査部位とする場合、重たい測定装置を装着することは好ましくないため(強い力で耳たぶをはさむ必要があるため)、センサ部100のみを耳たぶに装着し、本体部120とケーブル118で連結する構成としている。
そこで、耳たぶを可能な限りソフトにセンサ部100で挟み、且つ、耳たぶの皮膚表面から離して、光や音波による測定を行うようにした。センサ部100は、第1板部110a及び第2板部110b(センサ板)を備えている。2つのセンサ板は、交差部110cでこうさしており、バネ110dによって、互いに近づくように付勢されている。
第1板部110aは耳たぶ側の面(内面)に、発光素子111(発光手段)と、該発光素子111の両側に配置された第1音波発信器113a(発信手段)及び第1音波受信器114a(受信手段)を備えている。
第2板部110bは耳たぶ側の面(内面)に、受光素子112(受光手段)と、該受光素子112の両側に配置された第2音波発信器113b(発信手段)及び第2音波受信器114b(受信手段)を備えている。
第1板部110aの耳たぶ側の面には、発光素子111、第1音波発信器113a及び第1音波受信器114aの周囲を囲むように、突起としての4つのシリコンゴム117を設けている。同様に第2板部110bの耳たぶ側の面には、受光素子112、第2音波発信器113b及び第2音波受信器114bの周囲を囲むように、突起としての4つのシリコンゴム117を設けている。
光や音波に関連する各素子の周囲にシリコンゴム117を配置することで、ソフトに耳たぶ(検査部位)を挟むとともに、第1板部110aや第2板部110bと耳たぶの皮膚表面との間に、空気層が存在するようになっている。
このように、検査部位を耳たぶとした場合に、正確に血中成分の濃度を測定することを目的として、脈動を妨げないように可能な限りソフトに、且つ、センサ部100内で耳たぶが動かないようになっている。
本体部120は、天板121に表示操作パネル122(表示操作手段)及び電源スイッチ123が設けられている。本体部120の内部には、上述した天板21と同様に、MPU121a(処理手段)及びメモリ121b(記憶手段)、不図示のバッテリーや回路基板が収納されている。
1 発光素子(発光手段)
2 受光素子(発光手段)
3 音波発信器(発信手段)
3a 第1音波発信器(発信手段)
3b 第2音波発信器(発信手段)
4 音波受信器(受信手段)
4a 第1音波受信器(受信手段)
4b 第2音波受信器(受信手段)
L 光束
光束の断面積
A 検査部位における光吸収
Aa 動脈血による光吸収
Ab 静脈血による光吸収
Ac 組織による光吸収
ΔA 脈動による動脈血による光吸収の変動
d 脈動による動脈の変動
OFF 動脈が収縮した時の受光素子からの出力電圧
ON 動脈が拡張した時の受光素子からの出力電圧
ΔV 動脈が収縮した時と動脈が拡張した時の受光素子からの出力電圧の差
OFF 動脈収縮時の指
ON 動脈拡張時の指
ON−a,TON−b 動脈拡張時に音波発振器から発射された音波が反射されて音波受信器に到達するまでの時間
OFF−a,TOFF−b 動脈収縮時に音波発振器から発射された音波が反射されて音波受信器に到達するまでの時間
H 非侵襲血中成分濃度測定装置
10 第1部材
10a 第1側壁
10b 第2側壁
10c 前壁
10d 後壁
10e 底壁
11 発光素子(発光手段)
12 受光素子(受光手段)
13a 第1音波発信器(発信手段)
13b 第2音波発信器(発信手段)
14a 第1音波受信器(受信手段)
14b 第2音波受信器(受信手段)
15a,15b 載置凹部
16 ピン受容穴
16a 受容部
16b 電極
16c 受けスリット
20 第2部材
21 天板
21a MPU(処理手段)
21b メモリ(記憶手段)
22 表示操作パネル(表示操作手段)
23 電源スイッチ
24 押さえ板
25 バネ
26 ピン
26a 絶縁部(プラスチック部)
26b 配線電極
26c ガイドウイング
30 第3部材
H2 非侵襲血中成分濃度測定装置
100 センサ部
110a 第1板部
110b 第2板部
110c 交差部
110d バネ
111 発光素子(発光手段)
112 受光素子(受光手段)
113a 第1音波発信器(発信手段)
113b 第2音波発信器(発信手段)
114a 第1音波受信器(受信手段)
114b 第2音波受信器(受信手段)
117 シリコンゴム
118 ケーブル
120 本体部
121 天板
121a MPU(処理手段)
121b メモリ(記憶手段)
122 表示操作パネル(表示操作手段)
123 電源スイッチ

Claims (11)

  1. 生体の血中成分の濃度を測定する非侵襲血中成分濃度測定装置であって、
    脈動する前記生体の検査部位に対して入射光を照射する発光手段と、
    前記検査部位を透過した透過光を受光する受光手段と、
    前記検査部位に対して入射音波を発射する発信手段と、
    前記検査部位の表面で反射された反射音波を受信する受信手段と、
    前記血中成分の濃度を算出する処理手段と、を備え、
    前記処理手段は、前記受光手段で測定される前記透過光の前記脈動による信号強度変化量ΔVと、前記入射音波及び前記反射音波によって測定される前記脈動による前記検査部位の体積変化量ΔAと、に基づいて前記血中成分の濃度を算出することを特徴とする非侵襲血中成分濃度測定装置。
  2. 前記入射光は、略平行光であることを特徴とする請求項1に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  3. 前記受光手段の受光部の面積は、前記略平行光の光束の面積より広いことを特徴とする請求項2に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  4. 前記入射光は、非連続光であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  5. 前記入射光は、非可視光であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  6. 前記受光手段は、前記透過光を選択的に透過する光遮蔽手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  7. 前記発信手段と前記受信手段は、前記発光手段の側に設けられた第1発信手段及び第1受信手段と、前記受光手段の側に設けられた第2発信手段及び第2受信手段と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  8. 前記発信手段が備える発振素子は、前記受信手段が備える受信素子と同一の素子であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  9. 前記入射音波は、超音波であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  10. 前記検査部位において、動脈が最も拡張した時を動脈拡張時Tとし、前記動脈が最も収縮した時を動脈収縮時Tとしたときに、
    前記発光手段は、少なくとも前記動脈拡張時T及び前記動脈収縮時Tにおいて前記検査部位に対して前記入射光を照射し、
    前記発信手段は、少なくとも前記動脈拡張時T及び前記動脈収縮時Tにおいて前記検査部位に対して前記入射音波を発射し、
    前記処理手段は、前記動脈拡張時Tと前記動脈収縮時Tにおける前記信号強度変化量ΔVを、前記動脈拡張時Tと前記動脈収縮時Tにおける前記体積変化量ΔAで割った値と、採血によって得られた前記血中成分の濃度とから基準となる換算定数kを算出して記憶手段に記憶させ、前記記憶手段に記憶された前記換算定数kを用いて前記血中成分の濃度を算出することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の非侵襲血中成分濃度測定装置。
  11. 生体の血中成分の濃度を測定する非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法であって、
    脈動する前記生体の検査部位に対して入射光を照射する発光工程と、
    前記検査部位を透過した透過光を受光する受光工程と、
    前記検査部位に対して入射音波を発射する発振工程と、
    前記検査部位の表面で反射された反射音波を受信する受信工程と、
    前記血中成分の濃度を算出する処理工程と、を行い、
    前記処理工程では、前記受光工程で測定される前記透過光の前記脈動による信号強度変化量ΔVと、前記入射音波及び前記反射音波によって測定される前記脈動による前記検査部位の体積変化量ΔAと、に基づいて前記血中成分の濃度を算出することを特徴とする非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法。
JP2020100158A 2020-06-09 2020-06-09 非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法 Active JP6937055B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020100158A JP6937055B1 (ja) 2020-06-09 2020-06-09 非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020100158A JP6937055B1 (ja) 2020-06-09 2020-06-09 非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6937055B1 true JP6937055B1 (ja) 2021-09-22
JP2021194038A JP2021194038A (ja) 2021-12-27

Family

ID=78028205

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020100158A Active JP6937055B1 (ja) 2020-06-09 2020-06-09 非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6937055B1 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021194038A (ja) 2021-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101451448B1 (ko) 의료 측정 기구
JP3950173B2 (ja) 非侵入式光学血液分析用動き適合センサ
JP6597410B2 (ja) 生体情報測定装置および生体情報測定方法
CN102014737B (zh) 患者的非接触呼吸监测和用于光电容积描记术测量的光学传感器
US10188325B2 (en) Wearable, noninvasive glucose sensing methods and systems
JP3760920B2 (ja) センサ
US8277388B2 (en) Blood rheology measuring apparatus
KR101954548B1 (ko) 진단 측정 기구
US7413545B2 (en) Method of calculating circulation dynamics of a living body
US20140323879A1 (en) Systems, devices and methods for monitoring hemodynamics
US20160174854A1 (en) Blood pressure measurement device, electronic device, and blood pressure measurement method
US20150126865A1 (en) Ultrasonic probe and ultrasonic measuring device
KR20100061824A (ko) 생체전기 임피던스 측정용 의료 측정 기구
JP2006158974A (ja) 一体型生理学的信号評価装置
US20030032887A1 (en) Heartbeat synchronous information acquiring apparatus and pulse wave propagation velocity related information acquiring apparatus, blood pressure monitoring apparatus and preejection period measuring apparatus utilizing heartbeat synchronous information
JP2016146958A (ja) 血圧測定装置及び血圧測定方法
US20220039699A1 (en) Wearable, Noninvasive Monitors Of Glucose, Vital Sign Sensing, And Other Important Variables And Methods For Using Same
US20170251930A1 (en) Biological information measurement apparatus and biological information measurement method
JP3988674B2 (ja) 脈波伝播速度情報測定装置
JP6454050B1 (ja) 腋下用バイタルサイン測定器
TWI379662B (en) Diagnostic measuring device
JP6937055B1 (ja) 非侵襲血中成分濃度測定装置及び非侵襲血中成分濃度測定装置の制御方法
JP2003275184A (ja) 循環動態測定装置
JP5471736B2 (ja) 脈波測定装置および脈波の測定方法
JP6901962B2 (ja) 血糖値測定システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210803

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210823

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6937055

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150