JP6936720B2 - 地下管路充填工法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1においては、地下水で満たされた地下管路の限定区間の両端を第1の充填材を用いて閉塞した後、限定区間内に第2の充填材を中詰め充填する技術が開示されている。
また、特許文献2においても同様に、水のある地下管路に所定間隔で第1充填材を充填して隔壁を形成した後、この隔壁間に第2充填材を充填して地下管路を閉塞する技術が開示されている。
このため、全体の工程が煩雑化するのはもちろんのこと、地上に住宅や公共施設等の建物が密に存在している地域においては、多数の縦孔を穿設したり、その近傍に充填用の装置類を設置すること自体が困難となる。
もちろん、廃坑の埋め戻しのように陥没防止のみが目的であれば、セメント系の材料で固めてしまえば一件落着となるが、施工地域の事情によっては埋め戻し後にも透水性を確保する必要性がある。
例えば、谷底に形成された集落など、地下水の集まりやすい地域の場合、老朽化した排水管を埋め戻して陥没を防止すると同時に、それまでの排水性を維持することが求められる。
この結果、地表から地下管路に向けて多数の縦孔を形成することなく、少なくとも2箇所の縦孔によって比較的長い距離を埋め戻すことが可能となる。
充填材中の粗粒材は、次第に不分離性材料と分離して沈降し、本来の透水性及び密度が回復されるため、地下管路の排水性を維持できると共に、長期に亘って体積変化が生じることもない。
地下管路内に水流を形成することにより、充填材の到達距離をさらに伸ばすことが可能となる。
また、投入孔から分離促進剤を投入することにより、粗粒材を任意のタイミングで強制的に沈降させることが可能となる。
まず、図1に示すように、地中に埋設された地下管路10に向けて、地表12から投入孔14を形成する。
同様に、地表12から地下管路10に向けて揚水孔16を形成する。
地下管路10内は、地下水で満たされている。
投入孔14と揚水孔16との間の距離は、300m以上にまで広げることができる。
この間仕切り材は、砂や礫、またはこれらの混合物よりなる粗粒材に、不分離性材料を混合したものよりなり、不分離性材料が個々の粗粒材の周囲をカエルの卵状に包み込むことにより、流動性と水中不分離性を備えている。
この不分離性材料としては、例えばアニオン性芳香族化合物を主成分とした水溶液と、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドを主成分とした水溶液を混合したものよりなる。
この時点で用いる間仕切り材としては、不分離性材料の濃度を比較的低く設定したもの(例えば間仕切り材中の水に対する3重量%未満)が用いられているため、比較的短時間で水と混合して不分離性材料が分離し、砂等の粗粒材がその場に沈降する。
また、地下管路10内には、間仕切り24a, 24bによって両端が閉塞された状態となっている。
これに対し、地下管路10の閉鎖区間は、間仕切り24a, 24bの残留部分によって堰き止められたままとなっている。
この状態で送水ポンプ30及び揚水ポンプ34を稼動させると、投入孔14から補助水が地下管路10の閉塞区間内に供給されると同時に、揚水孔16から地下管路10内の水が地上に汲み上げられることとなり、図中の矢印が示すように、地下管路10の閉鎖区間に投入孔14から揚水孔16に向かう水流が形成される。
この充填材は、粗粒材と、不分離性材料、水及び微細な気泡を混練したものよりなるが、不分離性材料の濃度が上記よりも高めに設定されているため(例えば充填材中の水に対する4重量%以上5重量%未満)、間仕切り24a, 24bを形成した際の間仕切り材に比べて、セルフレベリング性と水中不分離性が高められている。
このため、充填材は地下管路10内の水流にも後押しされる形で地下管路10内に広がって行き、揚水孔16の近傍まで到達する。
この分離促進剤は、例えば非イオン性界面活性剤よりなり、上記水流に乗って地下管路10内を移動し、地下管路10の内面に堆積した充填材の不分離性材料を強制的に分離させる。
分離によって生じた液体は、水流によって揚水孔16に運ばれ、揚水管36を介して地上に汲み上げられる。
この充填材も上記と同様、粗粒材、不分離性材料、水及び微細な気泡を混合したものよりなるが、不分離性材料の濃度が前回よりも高めに設定されているため(例えば充填材中の水に対する5重量%以上6重量%未満)、より高い水中不分離性を備えている。
このため、地下管路10内の水流にも後押しされる形で、地下管路10内のより遠くにまで到達することができる。
この結果、充填材中の粗粒材等がその場で沈降して透水性を回復し、第2の粗粒材層42が形成される。
因みに、第3の粗粒材層44を形成する際に用いる不分離性材料の濃度は、例えば充填材中の水に対する6重量%以上7重量%未満に設定されると共に、第4の粗粒材層46を形成する際に用いる不分離性材料の濃度は、例えば充填材中の水に対する7重量%以上8重量%未満に設定される。
ただし、空洞内に水流がある以上、図7(a)に示すように、水の通り道としての僅かな未充填領域48が、地下管路10の断面頂部に残されることとなる。
この結果、充填材は水に浮くようになり、地下管路10の内面または粗粒材層に接触しないため摩擦も少なくなり、水流に乗って未充填領域48を埋め尽くすことが可能となる。
この場合の不分離性材料の濃度は、例えば充填材中の水に対する8重量%以上に設定される。
この際、地下管路10内には分離促進剤を流すだけの隙間は残されていないが、未充填領域48の下に充填された第4の粗粒材層46を伝って分離促進剤が拡散するため、未充填領域48内の充填材を沈降させることができる。
(1) 不分離性材料の水に対する薬液濃度
この濃度が高いほど、粗粒材の水中不分離性が高まり、その分、水流によって遠くまで運搬可能となる。
複数回に亘って充填材を供給する場合には、上記したように、順次、不分離性材料の対水濃度を高めることが望ましい。
この比重が小さくなるほど、水流によって流されやすくなり、充填材の到達距離を伸ばすことが可能となる。特に、充填材の比重が1を下回ると水に浮くようになり、より遠くまで到達させることができる。
比重の調整は、微細な気泡の充填材への混入量を調整することによって実現される。
一般論としては、地下管路10内に形成された水流の速度が速くなるほど、充填材の到達距離が伸びるといえる。
ただし、充填材の吐出量と補助水の送水量との差が一定以上になると、合流地点及び管内下流部分で流れに乱れが発生し、充填材の表面が浸食されて粗粒材と不分離性材料との分離が促進されてしまうため、到達距離が却って短くなるという現象が生じる。
実験によれば、充填材の吐出量を16リットル/分とし、補助水の送水量を10リットル/分とした場合に、好適な結果が得られた。
同じ量の粗粒材を送る場合であっても、粗粒材に対する不分離性材料の比率を下げることによって到達距離を比較的短くでき、同比率を上げることによって到達距離を比較的長くすることができる。
なお、投入孔14と揚水孔16との間の距離が比較的に短い場合には、水流による後押しの力を借りることなく、そのセルフレベリング性のみによって、充填材を投入孔14から揚水孔16まで到達させることもできる。
すなわち、地下管路10がY字型に分岐している場合、あるいはそれ以上に複雑に分岐しているような場合には、複数の投入孔14が設けられたり、複数の揚水孔16が設けられたりすることもある。
12 地表
14 投入孔
16 揚水孔
20 充填用配管
22 タンク
24a 間仕切り
24b 間仕切り
26 噴射ロッド
28 高圧ポンプ
30 送水ポンプ
32 送水管
34 揚水ポンプ
36 揚水管
40 第1の粗粒材層
42 第2の粗粒材層
44 第3の粗粒材層
46 第4の粗粒材層
48 未充填領域
50 第5の粗粒材層
Claims (8)
- 地表のある地点から地下管路に向けて、当該地下管路に連通する投入孔及び揚水孔を形成する第1の工程と、
上記揚水孔から粗粒材で構成する間仕切り材を投入し、地下管路の一端を間仕切りで閉塞する第2の工程と、
上記投入孔から、粗粒材に不分離性材料と微細な気泡を混合することによってセルフレベリング性及び水中不分離性を付与した充填材を上記地下管路に投入し、上記揚水孔側に広げる第3の工程からなり、
この第3の工程を必要回数繰り返すことにより、上記地下管路内を充填材で満たすことを特徴とする地下管路充填工法。 - 所定量の充填材を投入した時点で、上記投入孔から分離促進剤を投入し、地下管路内に堆積した充填材中の不分離性材料を強制的に分離することにより、粗粒材を沈降させることを特徴とする請求項1に記載の地下管路充填工法。
- 上記揚水孔に揚水管を挿入し、地下管路内の水を地上に汲み出すことにより、地下管路内に上記投入孔から揚水孔に向かう水流を形成することを特徴とする請求項1、2の何れかに記載の地下管路充填工法。
- 上記投入孔に送水管を挿入し、地上から上記地下管路に補助水を供給することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の地下管路充填工法。
- 上記投入孔から上記間仕切り材を投入し、上記地下管路の他端を間仕切りで閉塞する工程を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の地下管路充填工法。
- 上記第3の工程を繰り返す際に、充填材に含まれる不分離性材料の濃度を段階的に高めることによって充填材の水中不分離性を調整し、上記地下管路内における充填材の到達距離を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の地下管路充填工法。
- 上記充填材に含まれる微細な気泡の混入量を調整することによって充填材の比重を加減し、上記地下管路内における充填材の到達距離を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の地下管路充填工法。
- 上記地下管路内を閉塞する間仕切りを高圧噴流により切削して流路を確保することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の地下管路充填工法。
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