JP6936633B2 - 繊維用基材 - Google Patents
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Description
漏出が問題になる具体例として、人工腎臓用中空糸膜が挙げられる。人工腎臓用中空糸の原料としてはポリスルホン系高分子が膜素材として広範に利用されている。ポリスルホン系高分子は、疎水性高分子であるため、そのままでは血中の疎水性たんぱくが付着しやすく、血液との適合性を欠く。よって、従来、血液との適合性を向上させるために、親水性のポリビニルピロリドン(以下、PVPと略す)と共に製糸し、親水性を向上させることで、血液との適合性を向上させている方法が報告されている(特許文献1)。
本発明は、環状化合物を含む繊維用基材を提供する。より詳しくは、簡便に製造でき、血液適合性に優れ、中空糸膜からの低分子成分の溶出が極めて少ない人工腎臓用中空糸膜を提供する。
一般式(1)で表される2価の基、一般式(2)で表される2価の基及び一般式(3)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を構成単位とし、前記構成単位を環状に結合してなる環状化合物であって、関係式(I)を満たす繊維用基材;該組成物から得られる繊維及びその製造方法;該繊維を含む生体適合材料。
−[(Y1−A1)n1−Y2−R1−X1]− (1)
−[(Y3−A2)n2−Y4−R2−Y5−(A3−Y6)n3−X2]− (2)
−[(Y7−A4)n4−Y8−Zm−X3−R3−X4]− (3)
[一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子がハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基又はフェノキシ基で置換されていても良い炭素数2〜21の2価の炭化水素基であり;X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基であり;Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基であり;A1、A2、A3及びA4は、それぞれ独立に、水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数2〜8の2価の炭化水素基であり;Zは、それぞれ独立に、一般式(1)で表される2価の基又は一般式(2)で表される2価の基であり;n1、n2、n3、n4及びmは、それぞれ独立の正数であり;複数ある場合のR1〜R3、A1〜A4、X1〜X4、Y1〜Y8、Z、n1〜n4及びmは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
−NR4− (4)
[一般式(4)中、R4は、水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。]
関係式(I)
1≦p+q+r≦2000
[関係式(I)において、pは、前記環状化合物(A)1モルを構成する全ての一般式(1)で表される2価の基における各n1を合計した値であり;qは、前記環状化合物(A)1モルを構成する全ての一般式(2)で表される2価の基における各n2と各n3とを合計した値であり;rは、前記環状化合物(A)1モルを構成する全ての一般式(3)で表される2価の基における各n4を合計した値である。]
炭素数4〜21のシクロアルキレン基(シクロブチレン基、シクロペンチレン基、2−メチルシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、1,3−ジメチルシクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、1−エチルシクロペンチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基、シクロトリデレン基、シクロテトラデシレン基、シクロペンタデシレン基、シクロヘキサデシレン基、シクロヘプタデシレン基、シクロオクタデシレン基、シクロノナデシレン基、シクロエイコシレン基、ノルボルニレン基、ジシクロペンチレン基、イソプロピリデンジシクロヘキシレン基及びシクロヘキサンジメチレン基等)等が挙げられる。
一般式(4)中、R4は、水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。
炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の飽和炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、デシル、ドデシル基等)、1価の脂環式飽和炭化水素基(シクロヘキシル基)、芳香脂肪族炭化水素基(ベンジル基等)及び1価の芳香族炭化水素基(フェニル基等)等が挙げられる。
また、n1、n2、n3及びn4は、関係式(I)を満たす。
関係式(I)
1≦p+q+r≦2000 (I)
なお、環状化合物(A)が、一般式(3)で表される2価の基を構成単位として有し、かつ、Zが一般式(1)で表される基である場合、このZにおけるn1も合計してpの値を求める。
また、qは、環状化合物(A)1モルを構成する全ての一般式(2)で表される2価の基における各n2と各n3とを合計したモル数である。
なお、環状化合物(A)が、一般式(3)で表される2価の基を構成単位として有し、かつ、Zが一般式(2)で表される基である場合、このZにおけるn2及びn3も合計してqの値を求める。
また、rは、環状化合物(A)1モルを構成する全ての一般式(3)で表される2価の基における各n4を合計したモル数である。
なお、上記の合計数について、環状化合物(A)が一般式(3)で表される2価の基を構成単位として有し、かつ、mが0でなく、即ち一般式(3)中に、一般式(1)で表される2価の基及び/又は一般式(2)で表される2価の基を有している場合、その数も合計して計算する。
本発明の環状化合物(A)として好ましいものとしては、具体的に、一般式(1)において、Y1及びY2が酸素、A1がエチレン、プロピレン、クロロプロピレン又はフェニルエチレンであり、R1がトリメチレン、ペンタメチレン、テトラデカメチレン又はビニレンであり、X1がスルホニル基である2価の基の両末端を結合した環状化合物が挙げられる。
また、一般式(2)において、Y3、Y4、Y5及びY6が酸素であり、A2A3がプロピレン、エチレン、クロロプロピレン又はフェニルエチレンであり、R2がエチレン、プロピレン又はビニレンであり、X2がカルボニルである2価の基の両末端を結合した環状化合物等が挙げられる。
また、一般式(3)において、Y7及びY8が酸素であり、A4がプロピレン、エチレン、クロロプロピレン又はフェニルエチレンであり、R3がエチレン、プロピレン又はビニレンであり、mは0であり、X2及びX3がカルボニルである2価の基の両末端を結合した環状化合物等が挙げられる。
また、一般式(3)中のmの値は、環状化合物(D)として、後述の一般式(7)で表される化合物(D3)を使用し、更に環状化合物(D)として、後述の一般式(5)で表される化合物(D1)及び/又は後述の一般式(6)で表される化合物(D2)を併用することによって調整できる。
なお、環状化合物(A)のn1〜n4の値及びmの値は、Polym. Chem., 2014, 5, 6905.に記載のMALDI−TOF MSにより分析し、確認することが出来る。
環状化合物(A)のMnはアルキレン化合物の付加モル数を調整すること等によって、上記の好ましい範囲にすることができる。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
例えば、環状化合物(C)としてγ−ブチロラクトンを用い、環状化合物(D)としてエチレンオキシドを用いた場合は、一般式(1)において、Y1が酸素原子であり、A1がエチレン基であり、Y2が酸素原子であり、R1がトリメチレン基であり、X1がカルボニル基である化学式で表される構成単位、即ち、
−[(OCH2CH2)nOC3H6CO]−
で表される2価の基の両末端を直接結合してなる環状化合物が生成する。
例えば、環状化合物(C)としてγ−ブチロラクトンを用い、環状化合物(D)としてエチレンオキシドを用いた場合は、上記の通り、
−[(OCH2CH2)nOC3H6CO]−
で表される2価の基の両末端を直接結合してなる環状化合物が生成する。
そして、この環状化合物2分子が上記の開裂反応及び挿入付加反応し、この2価の基を一分子中に2個有する環状化合物が生成する反応、また、この環状化合物3分子が反応し、この2価の基を一分子中に3個有する環状化合物が生成する反応等も生じる。
また、一般式(5)で表される化合物(C1)、一般式(6)で表される化合物(C2)及び一般式(7)で表される化合物(C3)を併用することで、上記の環状化合物(A)同士の開環反応及び挿入付加反応を経て、一般式(1)で表される2価の基、一般式(2)で表される2価の基及び一般式(3)で表される2価の基を構成単位とする環状化合物(A)を得ることができる。
反応性の観点から、β−ラクトン(β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン等)、γ−ラクトン(γ−ブチロラクトン等)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトン等)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトン等)、テトロン酸、大環状ラクトン(15−ペンタデカノラクトン)及び芳香族ラクトン(3,4−ジヒドロクマリン)が挙げられ、特に好ましくはγ−ラクトン(γ−ブチロラクトン等)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトン等)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトン等)が好ましい。
反応性の観点から、β−ラクタム(β−プロピオラクタム、β−ブチロラクタム等)、γ−ラクタム(γ−ブチロラクタム等)、δ−ラクタム(δ−バレロラクタム等)、ε−ラクタム(ε−カプロラクタム等)、長鎖アルキル基を有するラクタム(γ−エナントラクタム、γ−ウンデカノラクタム、γ−ドデカラクタム及びδ−ドデカノラクタム等)、N位に置換基を有するラクタム(N−メチル−γ−ブチロラクタム、N−アリル−γ−ブチロラクタム、N−ビニル−γ−ブチロラクタム、N−プロパギル−γ−ブチロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−アリル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−プロパギル−ε−カプロラクタム)γ−クロトノラクタム、α−メチレン−γ−ブチロラクタム、γ−メチレン−γ−ブチロラクタムが好ましい。また、副生物低減の観点からN位に置換基を有するラクタム(N−メチル−γ−ブチロラクタム、N−アリル−γ−ブチロラクタム、N−ビニル−γ−ブチロラクタム、N−プロパギル−γ−ブチロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−アリル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−プロパギル−ε−カプロラクタム)γ−クロトノラクタムが好ましい。
反応性の観点からはコハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、3,3−ジエチルコハク酸イミド、マレイン酸イミド、N−メチルマレイン酸イミド、フタル酸イミド、N−メチルフタル酸イミドが好ましい。
また、副生物低減の観点から、N−メチルコハク酸イミド、N−メチル−3,3−ジエチルコハク酸イミド、N−メチルマレイン酸イミド、N−メチルフタル酸イミド、N−メチルトリメリット酸イミド、N−メチルグルタル酸イミド、3、N−メチル−3,5−ジメチルグルタル酸イミド、N−メチル−3,3−テトラメチレングルタル酸イミド、3−アザビシクロ[3,1,1]ヘプタン−2,4−ジノン及びN−メチル3−アザビシクロ[3,1,1]ヘプタン−2,4−ジノン等が好ましい。
例えば、一般式(5)で表される化合物は、R4で表される基の片末端に、X5で表される基と水酸基とが結合した1価の基(例えばX5がカルボニル基の場合はカルボキシ基)を結合させ、R4で表される基の反対側の末端に、Y9で表される基と水素原子とが結合した1価の基(例えばY9基が酸素原子の場合は、水酸基)を結合させた化合物を用い、X5で表される基と水酸基とが結合した1価の基、及びY9で表される基と水素原子とが結合した1価の基を分子内縮合することで、得ることができる。
分子内脱水してラクトン等を合成する方法としては、公知の方法で加熱脱水する方法、J.S.Nimitz,R.H.Wollemberg,Terahedron Lett.1978,19,3523に記載方法、及びリパーゼ等の酵素を用いる方法の公知の合成方法を用いることができる。
炭素数4〜22のモノヒドロキシモノカルボン酸としては、炭素数4〜22の直鎖ヒドロキシカルボン酸(3−ヒドロキシプロパン酸、4−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシペンタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸及び4−ヒドロキシ−2−ブテン酸等)及び炭素数3〜22の分岐ヒドロキシカルボン酸(3−ヒドロキシブタン酸、5−ヒドロキシトリデカン酸、2−メチレン−4−ヒドロキシ酪酸、4−フェニル−4−ヒドロキシ酪酸、2,2−ジメチル−4−ヒドロキシ酪酸、4−ヘキシル−4−ヒドロキシ酪酸及び4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブテン酸等)等が挙げられる。
炭素数2〜8の環状エーテルは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数2〜8の環状チオエーテルは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数2〜8の環状イミンは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
反応工程で用いる触媒としては、金属(ホウ素、錫、ニッケル、亜鉛及びアルミニウム等)のハロゲン化物、無機酸(硫酸及びリン酸等)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)の水酸化物、アミン化合物(ジエチルアミン及びトリエチルアミン等)、ホスファゼン、複合金属シアン化物錯体触媒(特開2005−53952号公報及び特開2016−6203号公報等に記載された亜鉛ヘキサシアノコバルテート等の2種類の金属を分子内に含有する金属錯体触媒等)、特開2000−354763号公報に記載された酸化物複合体、AlとMgとの複合酸化物(E1)及び層状複水酸化物並びにその焼成物等を用いて行うことができる。
これらの内、反応効率の観点から好ましいのは、AlとMgとの複合酸化物(E1)の焼成物及びAlとMgを有する層状複水酸化物(E2)の焼成物である。
〔aMgO・Al2 O3 ・bH2O〕 (8)
〔MgsAltOu〕 (9)
一般式(9)において、s、t及びuは、それぞれ独立の正数である。
反応性の観点から、s/tは0.1以上0.9未満であることが好ましい。
複合酸化物(E1)としては、2.5MgO・Al2 O3 ・bH2O及びMg0.7Al0.3O1.15等が挙げられ、それぞれキョーワード300[協和化学工業(株)製]及びキョーワード2000[協和化学工業(株)製]等として市場から入手することができる。
〔Mg1−cAlc(OH)2 〕c+ 〔CO3c/2 ・dH2 O〕c− (10)
これらの内、反応性の観点から好ましいのは複合酸化物(E1)であり、更に好ましいのは2.5MgO・Al2O3・nH2O(nは正数)及びMg0.7Al0.3O1.15である。
なお、(E1)又は(E2)の焼成物は以降、触媒(E’)と記載する。
溶剤としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジグリム、トリグリム、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、四塩化炭素、N−メチルピロリドン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、O−ジクロロベンゼン及びクロロホルム等が挙げられる。
溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの内、環状化合物(C)及び環状化合物(D)等との混和性、高沸点並びに留去のしやすさの観点から、トルエン及びキシレンが好ましい。
アルコキシル化反応工程に用いる溶剤の重量は、反応速度等の観点から、環状化合物(C)と環状化合物(D)と触媒との合計重量に対して、0〜99重量%が好ましく、更に好ましくは0〜90重量%である。
また、上記の温度とする時間は、1〜200時間が好ましい。
反応装置としては撹拌装置及び加熱装置の付属した混合容器(スターラー付きフラスコ及びオートクレーブ等)等の公知の反応装置を用いることができる。
上記の精製工程により、特定の構造を有する環状化合物(A)のみを抽出することができる。
本発明の高分子化合物(B)は市販のものを入手してもよく、公知の方法によって製造しても良い。また、高分子化合物(B)は公知の方法に従い複数の高分子を互いに化学結合および/または物理的に結合させることよって製造してもよい。
高分子化合物(B)の数平均分子量は、以下のGPCを用いて以下の条件で測定することができる。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
ポリウレタンの場合は、ポリイソシアネートとポリオールとの重縮合反応;ポリエステルの場合は、ポリカルボン酸とポリオールとの重縮合反応;ポリポリアクリル酸の場合は、アクリル酸及び/又はアクリル酸エステルのラジカル重合反応;ポリシロキサンの場合は、アルコキシシランの加水分解重縮合反応;ポリエーテルの場合は、活性水素基を有する化合物(アルコール、カルボン酸及びアミン等)へのアルキレンオキサイド付加反応等の公知の方法を用いて製造することができる。
架橋剤(F)としては、2官能以上の反応性置換基をもつ化合物であれば特に制限はなく、グリセリン、ポリイソシアネート化合物、ジアクリレート化合物等が挙げられる。
また、上記の結合は、ポリウレタン及びポリエステル等、主鎖に上記結合を有する高分子化合物(B)を選択することで導入することができる。
好ましい溶剤としてはトルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジグリム、トリグリム、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、水、四塩化炭素、N−メチルピロリドン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、ジメチルアセトアミド及びクロロホルム等が挙げられる。
複合体は、環状化合物(A)と高分子化合物(B)が共存していればよく、積層のような分離構造、ミクロ相分離、および完全相溶した複合体、(B)が(A)を貫通した複合体等が挙げられる。環状化合物(A)の溶出を防ぐ観点から、単一または複数の高分子化合物(B)が環状化合物(A)を貫通した状態であることが好ましく、複合体の高分子化合物(B)のポリマー鎖1本あたりに貫通された環状化合物(A)の数に限定はない。
環状化合物(A)と高分子化合物(B)との複合化の方法としては、環状化合物(A)と高分子化合物(B)を混合する方法や環状化合物(A)の存在下で高分子化合物(B)を製造する方法が挙げられる。
高分子化合物(B)が環状化合物(A)を貫通した複合体を製造する観点から、環状化合物(A)の存在下で高分子化合物(B)を製造することが好ましく、(B)は、カチオン重合、ラジカル重合、ウレタン化反応による重合によって得られることが更に好ましく、高分子化合物(B)としては、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ポリビニルアルコール、ポリN−イソプロピルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリトニトリル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアリレート、ポリアミドイミド、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリウレタンが好ましい。
粉末X線回折の測定においては、既知のロタキサンが示す回折ピークと比較の比較をすることで、ロタキサン生成の有無、即ち、環状化合物(A)の環成分を軸成分である高分子化合物(B)が貫通したか否かを確認することができ、NMRスペクトルにより、高分子化合物(B)1分子に対して貫通する環状化合物(A)の数を算出することができる。
本発明の繊維用基材は、環状化合物(A)を糸に固定し、溶出などを防ぐ観点から、製糸工程で用いることが好ましく、更に好ましくは、紡糸工程で使用することである。
さらに、製糸工程には紡糸と呼ばれる工程があり、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸、及び乾湿式紡糸に分けられ、いずれの工程も本発明の繊維用基材をもちいることができる。溶融紡糸をおこなう場合は、環状化合物(A)の分解を抑制する観点から、300℃以下でおこなうことが好ましい。
また、環状化合物(A)を糸全体に均一に含有させる観点から、予め環状化合物(A)と糸の原料となる高分子化合物(B)を含有する均一溶液を調製し、紡糸できる乾式紡糸工程、湿式紡糸工程、または乾湿式紡糸で用いることが好ましい。
中空糸膜の積層構造は、公知の方法を用いて制御することができ、例えば、中空糸同士が平行、網目構造、又はランダムな方向での積層構造等が挙げられる。ろ過速度を速くする観点から、平行方向の積層構造が好ましい。中空糸を平行に束ねる方法として、紡糸溶液を凝固液に吐出後、巻き取りをおこなって束ねる方法が挙げられる。巻き取った中空糸束は、必要に応じて収束剤で固定され、切り揃えられて使用される。
人工腎臓用の中空糸において、例えば、原料にポリスルホンを選択する場合、ポリスルホンに親水性を付与する必要があることから、環状化合物(A)を構成するアルキレンオキサイドはエチレンオキサイドまたはエチレンオキサイドと他のアルキレンオキサイドとの共重合物が好ましい。
ポリスルホンと環状化合物(A)を共通の溶媒に溶解させる。溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン等が利用でき、単独で用いても複数を併用してもよい。ともに溶解する溶媒および水を添加した溶媒が挙げられる。製膜を効率よくおこなうために、ポリスルホンの含有量が10質量%以上であることが好ましい。一方、ポリスルホンの含有量が高いと、中空糸の孔径が小さくなりすぎるので20質量%以下に保つことが好ましい。環状化合物(A)の紡糸液中の含有率は、中空糸膜への導入効率の観点及び紡糸溶液の粘度の上昇を抑えるため、1〜20質量%含有される。特に好ましくは、2〜10質量%である。
また、紡糸を安定しておこなうために、紡糸溶液の粘度を7000mPa・s以下にすることが好ましい。
中空内液については特に制限はなく用途に応じで選択できる。具体的には、水または水とジメチルアセトアミドとの混合溶液が利用できる。製膜はチューブインオリフィス型の二重紡口の環状スリット口金から、紡糸溶液と紡糸溶液を凝固させるための中空内液を空中に押し出し、20〜80cm空走させた後、凝固液に浸漬させることで凝固させる。吐出線速度は50〜110m/minが好ましく、ドラフト率は0.9〜2.0であることが好ましい。凝固したのち、巻き取りをおこなう。ドラフト率とは、紡糸原液が吐出される時の吐出線速度と、中空糸膜の巻き取り速度の比であり、巻き取り速度を紡糸原液の吐出線速度で割った値である。
当該工程は、用途に応じて公知の方法でおこなうことができるが、中空糸膜からの溶出成分を取り除くこと安全性を確保するために望ましく、洗浄工程を含むことが好ましい。 洗浄用の溶媒はポリスルホンを溶解させず、糸の構造中に組み込まれていない環状化合物(A)を溶解させるものが好ましい。具体的には、ポリスルホンと環状化合物(A)の良溶媒にポリスルホンの貧溶媒を加える方法が挙げられる。良溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等が挙げられ、単独または複数種類を併用する。貧溶媒としては水、イソプロピルアルコール、エタノール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコールの単独または複数種類の混合物が挙げられるが、特に安全性及び乾燥の容易さの観点から水が好ましい。洗浄溶媒の調製濃度は、ポリスルホンを溶解させない範囲にする必要があり、良溶媒の比率を30〜95%の重量%にすることが好ましい。具体的には、ジメチルアセトアミドでは30〜60質量%、N−メチル−2−ピロリドンでは30〜60質量%、ジメチルスルホキシドでは50〜95質量%で用いることが好ましい。
なお、洗浄工程の温度は、貧溶媒に水を用いる場合、沸騰の恐れがあることから沸点以下に設定することが望ましく、0℃〜98℃で行うことが好ましい。より好ましくは30℃から98℃であり、さらに好ましくは50℃から95℃である。
また、洗浄溶媒のPHは環状化合物(A)の分解を防止する観点から2〜13の範囲にすることが好ましく、より好ましくは4〜11、さらに好ましくは6〜9である。
洗浄方法は中空糸膜を浸漬させる方法や、洗浄液を中空糸膜に振りかける方法等が挙げられ、10分〜30分洗浄を行うことが好ましい。洗浄回数は、用途に応じて選択できるが、2〜5回おこなうことが好ましい。
当該工程は、公知の方法でおこなうことができ、例えば、減圧乾燥または熱風乾燥させる方法が挙げられる。例えば、洗浄溶媒が水とジメチルホルムアミドの混合溶媒である場合、80〜130℃で減圧乾燥させることができる。好ましい乾燥時間は5〜10時間である。
なお、実施例中の部は重量部を示す。
複合酸化物の合成
「キョーワード300」〔化学式:2.5MgO・Al2 O3 ・nH2 O(nは正数)、協和化学工業(株)製〕を電気炉にて窒素気流下900℃で24時間加熱処理し、焼成物を調整した。
攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、モレキュラーシーブスを用いて脱水したγ−ブチロラクトン[東京化成工業(株)製]20部と製造例1で得られた焼成物1部を投入した。窒素通気を1時間行った後、減圧(ゲージ圧−0.1MPa)した。次いで150℃に昇温し、エチレンオキサイド50.7部を150℃にて、10時間かけて圧入した後10時間熟成した。
その後、オートクレーブから反応混合物51.4部を抜き取り、オートクレーブに製造例1で得られた焼成物1部を投入した。窒素通気を1時間行った後、減圧(ゲージ圧−0.1MPa)した。次いで150℃に昇温し、エチレンオキサイド68.6部を150℃にて、15時間かけて圧入した。その後、10時間熟成し、環状化合物(A)を含有する混合物(PA−1)を得た。
得られた混合物(PA−1)を50℃まで冷却し、キシレン100部を加えて50℃に温調したのち、濾過助剤であるラヂオライト#700(昭和化学工業(株)製)5部及びキョーワード600(協和化学工業(株)製)5部を層状に充填した吸引漏斗で濾過して触媒を濾別した。次いで、キシレンを減圧留去し、濃縮した。濃縮物にメタノール40部を加えて撹拌し、水100部を加えて再沈殿させ、デカンテーションによって沈殿物を分離し、更に沈殿物を減圧乾燥することで、環状化合物(A−1)の平均付加モル数は20であった。
得られた環状化合物(A−1)についてMALDI−TOF MSによる分析を行った結果、環状化合物(A−1)は、一般式(1)において、R1がトリメチレン基であり、R2がメチルエチレン基であり、n=20である本発明の環状化合物と、更に[R1CO(OR2)nO]で表される繰り返し単位を2個有する環状化合物と3個有する環状化合物とを含有する混合物であった。
攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、製造例2で得られた環状化合物(A−1)30部と製造例1で得られた焼成物2部を投入した。窒素通気を1時間行った後、減圧(ゲージ圧−0.1MPa)した。次いで150℃に昇温し、エチレンオキサイド54.7部を150℃にて、10時間かけて圧入した。その後、10時間熟成し、環状化合物(A)を含有する混合物(PA−2)を得た。
得られた混合物(PA−2)を50℃まで冷却し、キシレン100部を加えて50℃に温調したのち、濾過助剤であるラヂオライト#700(昭和化学工業(株)製)5部及びキョーワード600(協和化学工業(株)製)5部を層状に充填した吸引漏斗で濾過して触媒を濾別した。次いで、キシレンを減圧留去し、濃縮した。濃縮物にメタノール40部を加えて撹拌し、水100部を加えて再沈殿させ、デカンテーションによって沈殿物を分離し、更に沈殿物を減圧乾燥することで、環状化合物(A−2)の平均付加モル数は20であった。
得られた環状化合物(A−2)についてMALDI−TOF MSによる分析を行った結果、環状化合物(A−2)は、一般式(1)において、R1がトリメチレン基であり、R2がメチルエチレン基であり、n=60である本発明の環状化合物と、更に[R1CO(OR2)nO]で表される繰り返し単位を2個有する環状化合物と3個有する環状化合物とを含有する混合物であった。
攪拌装置及び温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、製造例3で得られた環状化合物(A−2)30部と製造例1で得られた焼成物2部を投入した。窒素通気を1時間行った後、減圧(ゲージ圧−0.1MPa)した。次いで150℃に昇温し、エチレンオキサイド19.3部を150℃にて、10時間かけて圧入した。その後、10時間熟成し、環状化合物(A)を含有する混合物(PA−3)を得た。
得られた混合物(PA−3)を50℃まで冷却し、キシレン100部を加えて50℃に温調したのち、濾過助剤であるラヂオライト#700(昭和化学工業(株)製)5部及びキョーワード600(協和化学工業(株)製)5部を層状に充填した吸引漏斗で濾過して触媒を濾別した。次いで、キシレンを減圧留去し、濃縮した。濃縮物にメタノール40部を加えて撹拌し、水100部を加えて再沈殿させ、デカンテーションによって沈殿物を分離し、更に沈殿物を減圧乾燥することで、環状化合物(A−3)の平均付加モル数は20であった。
得られた環状化合物(A−3)についてMALDI−TOF MSによる分析を行った結果、環状化合物(A−3)は、一般式(1)において、R1がトリメチレン基であり、R2がメチルエチレン基であり、n=100である本発明の環状化合物と、更に[R1CO(OR2)nO]で表される繰り返し単位を2個有する環状化合物と3個有する環状化合物とを含有する混合物であった。
ポリスルホン樹脂(アモコ・パフォーマンス・プロダクツ社製、P−1700)17重量部、製造例2で得られた環状化合物(A−1)12.2部をそれぞれDMAC76重量部に溶解させ、均一な繊維用基材(PA−1)を作製した。
実施例1において、環状化合物(A−1)12.2部を環状化合物(A−2)11.5部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明の繊維用基材(PA−2)を得た。
実施例1において、環状化合物(A−1)12.2部を環状化合物(A−3)11.3部に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明の繊維用基材(PA−3)を得た。
実施例1で得られた繊維用基材(PA−1)を65℃に保ったまま、15%DMACの中空内液とともにスリット幅59.5μmの環状口金から吐出し、60cm下方に設けた55℃の水中に浸漬し、70m/minの速度で巻き取った。乾燥時の中空糸膜厚を45μmに合わせるように紡糸原液の吐出量を調整したので、原液の吐出線速は49.3m/minとなり、ドラフト率は1.42であった。得られた中空糸膜束をつり下げ、85℃に加温した40重量%のDMAC水溶液を80分シャワーした。次いで、90℃で熱水洗浄した後、75℃にて11時間熱風乾燥させ、中空糸膜(M−1)を得た。
実施例4において、環状化合物(A−1)を環状化合物(A−2)に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明の中空糸膜(M−2)を得た。
実施例4において、環状化合物(A−1)を環状化合物(A−3)に変更する以外は、製造例5と同様の操作を行い、本発明の中空糸膜(M−3)を得た。
特開平11−309355の実施例1をもとに比較用の中空糸膜を作製した。
ポリスルホン樹脂(アモコ・パフォーマンス・プロダクツ社製、P−1700)17重量部、ポリビニルピロリドン(ビー・エー・エス・エフ社製、K−92)7重量部、DMAC76重量部からなる均一な紡糸原液を作成した。この紡糸原液粘度は65℃で3400mPa・sであった。この紡糸原液を65℃に保ったまま、15%DMACの中空内液とともにスリット幅59.5μmの環状口金から吐出し、60cm下方に設けた55℃の水中に浸漬し、70m/minの速度で巻き取った。乾燥時の中空糸膜厚を45μmに合わせるように紡糸原液の吐出量を調整したので、原液の吐出線速は49.3m/minとなり、ドラフト率は1.42であった。得られた中空糸膜束をつり下げ、85℃に加温した40重量%のDMAC水溶液を80分シャワーした。その後、90℃で熱水洗浄し、20%グリセリン水溶液に浸漬してグリセリンを付着させた。次いで、75℃にて11時間熱風乾燥させ、比較用の中空糸膜(HM)を得た。
(1)中空糸膜からの低分子成分溶出量
実施例1〜3で得られた中空糸膜(M−1〜M−3)、及び比較例で得られたHMを重ジメチルスルホキシド(d6)[和光純薬工業(株)製]に2%の重量%で溶解させ、内部標準としてメシチレン[和光純薬工業(株)製]を0.5重量%の割合で加えて1H−NMR測定をおこなった。
メシチレン由来のプロトン(6.6〜7.0ppm)の積分強度を100に設定し、ポリスルホン由来のプロトン(7.2〜8.0ppm)の積分強度Isを求めた。
次いで、中空糸膜(M−1〜M−3、HM)それぞれを40%エタノール水溶液(中空糸膜に対して150倍の重量)に浸漬させ、40℃で5時間抽出作業をおこない、その後、減圧乾燥して中空糸洗浄物(MW−1〜MW−3、HMW)を得た。
得られた中空糸洗浄物(MW−1〜MW−3、HMW)それぞれを重ジメチルスルホキシド(d6)[和光純薬工業(株)製]に2%の重量%で溶解させ、内部標準としてメシチレン[和光純薬工業(株)製]を0.5重量%の割合で加えて1H NMR測定をおこなった。メシチレンの芳香族プロトンを積分強度を100に設定し、ポリスルホン芳香族プロトンの積分強度Ifを求めた。
各サンプルのポリスルホン以外の低分子成分溶出率 r(%)= 100×(1−Is/If)
各サンプル(MW−1〜MW−3)のHMWからの相対溶出率r′(%)=
r(MW−1〜MW−3)/r(HMW)×100 として評価した。結果を表1に示す。
<1H−NMR測定条件>
装置 :BRUKER AVANCE III HD400[周波数:400MHz、BRUKER(株)製]
試料温度 :25℃
基準物質 :テトラメチルシラン(TMS)
積算回数 :16回
29歳男性の静脈血を1.5mL抜き取り、2.6mgEDTA−2Na(和光純薬工業(株)
製)を添加しているビオラモ遠沈管(アズワン(株)製)に直ちに移した。転倒混和を5回行い、4℃にて3000rpm、15分間遠心することで、上清部分である血漿を得た。
中空糸膜をモジュールに組み込んだ後、血漿1mLを流速0.5mL/min、37℃で2時間循環させた。ミニモジュールから中空糸を24cm切り出し、1mm長に細切しマイクロチューブ(アズワン(株)製)に入れた。1mLの1/15mol/l Phosphate Buffer Solution, pH6.8(和光純薬工業(株)製)(以下、PBSと略記)を用いて、3回洗浄した。Tween-20(片山化学社製)をPBSで0.05重量%になるように調整した(以下、PBS−Tと略記)。スキムミルク(和光純薬社製)を1wt%になるように、PBS−Tに溶解させたものを用いて、該1mm長細切り物を3回洗浄した。抗ヒトフィブリノーゲン(HPR)抗体(Rockland Immunochemicals社製)を0.1wt%スキムミルク/PBS−T溶液で1000倍に希釈して得られる溶液1mLを該マイクロチューブに添加した後、室温にて2時間チューブローテーター(アズワン(株)製)を用いて50rpmの速度で回転させた。0.1wt%スキムミルク/PBS−T溶液で該1mm長細切り物を2回洗浄した後、次いで0.1wt%のスキムミルク/PBS溶液で2回洗浄した。TMB one solution(プロメガ社製)を該マイクロチューブに1mL添加した後、ツインミキサー TM−282(アズワン社製)に該マイクロチューブをセットし、室温、100rpmで撹拌した。60分後、6NHCL(和光純薬工業(株)製)を200μL添加して、反応を停止させた。その後、96穴(96ウェル)のポリスチレンプレート(日本ベクトン・ディッキンソン社製)の1穴に該溶液150μLを移した後、xMarkマイクロプレートリーダー(BIORAD社製)で450nmの吸光度を測定した。コントロールとして比較例1を用いて、コントロールの吸光度(Ac)と実施例の吸光度(As)から、フィブリノーゲンの相対付着量を下記式により求めた。結果を表1に示す。
フィブリノーゲンの相対付着率(%)=As/Ac×100
24ウェルマルチディッシュ(カタログNo.144530, サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)をダイヤモンドカッターで18mmφの円形板に切り抜いた後、両面テープを用いて中空糸膜を固定した。固定した中空糸膜をカッターで半円筒状にそぎ切ることで、中空糸膜の内表面を露出させた。筒状に切った15mLコニカルチューブ(18mmφ、ファルコン社製)に該円形板を、中空糸膜を貼り付けた面が円筒内部にくるように取り付け、パラフィルムで隙間を埋めた。この円筒管内をPBSで洗浄後、PBSで円筒管内部を満たした。29歳男性の静脈血を1.5mL抜き取り、ヘパリン(和光純薬工業(株)
製)30μLを添加しているビオラモ遠沈管(アズワン(株)製)に直ちに移し,転倒混和を5回行った。
該円筒管内のPBSを取り除き、該血液を円筒管内に1.0ml入れた。該円筒管をチューブローテーター(アズワン(株)製)にテープで固定し、37℃、100rpmで1時間振盪させた。その後、中空糸膜を10mlのPBSで2回洗浄し、25% Glutaraldehyde Solution(和光純薬工業(株)製)を2.5wt%となるようにPBSで希釈した溶液で血液成分の固定を行い、20mlの蒸留水(大塚製薬(株)製)を用いて洗浄した。該中空糸膜を常温0.5Torrにて10時間減圧乾燥した後、フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡S800(日立社製)の試料台に両面テープを用いて固定した。その後、スパッタリングによって、Pt−Pdの薄膜を中空糸膜表面に形成させたものを下記の手順にて観察した。、倍率1500倍で試料の内表面を観察し、1視野中(4.3×103μm2)の付着血小板数を数えた。ランダムで選んだ5視野における付着血小板数の平均値を血小板付着数(個/4.3×103μm2)とした。コントロールとして比較例を用いて、コントロールの血小板付着数(Nc)と実施例の血小板付着数(Ns)から、血小板付着数の相対付着量を下記式により求めた。結果を表1に示す。
血小板の相対付着率(%)=Ns/Nc×100
Claims (6)
- 環状化合物(A)と高分子化合物(B)を含有する繊維用基材であって、環状化合物(A)が、
一般式(1)で表される2価の基を構成単位として含み、前記構成単位を環状に結合してなる環状化合物であって、
前記環状化合物は、一般式(2)で表される2価の基及び一般式(3)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を構成単位として含んでいてもよく、高分子化合物(B)がポリスルホンであり、関係式(I)を満たす繊維用基材。
−[(Y1−A1)n1−Y2−R1−X1]− (1)
−[(Y3−A2)n2−Y4−R2−Y5−(A3−Y6)n3−X2]− (2)
−[(Y7−A4)n4−Y8−Zm−X3−R3−X4]− (3)
[一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の直鎖アルキレン基又は炭素数3〜16の分岐アルキレン基であり、;X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、ホスホン酸から2個の水酸基を除いた残基、カルボニル基、スルホニル基又はチオカルボニル基であり;Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7及びY8は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、イミノ基又は一般式(4)で表される2価の基であり;A1、A2、A3及びA4は、それぞれ独立に、炭素数2〜4の直鎖アルキレン基又は炭素数3〜4の分岐アルキレン基であり;Zは、それぞれ独立に、一般式(1)で表される2価の基又は一般式(2)で表される2価の基であり;n1、n2、n3、n4及びmは、それぞれ独立の正数であり;複数ある場合のR1〜R3、A1〜A4、X1〜X4、Y1〜Y8、Z、n1〜n4及びmは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
−NR4− (4)
[一般式(4)中、R4は、水素原子がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。]
関係式(I)
1≦p+q+r≦2000
[関係式(I)において、pは、前記環状化合物(A)1モルを構成する全ての一般式(1)で表される2価の基における各n1を合計した値であり;qは、前記環状化合物(A)1モルを構成する全ての一般式(2)で表される2価の基における各n2と各n3とを合計した値であり;rは、前記環状化合物(A)1モルを構成する全ての一般式(3)で表される2価の基における各n4を合計した値である。] - 繊維が中空糸である請求項1に記載の繊維用基材。
- 請求項1または2に記載の繊維用基材を用いてなる繊維。
- 請求項1または2に記載の繊維用基材を紡糸する工程を含む繊維の製造方法。
- 請求項3に記載の繊維を含む中空糸膜。
- 人工腎臓用である請求項5に記載の中空糸膜。
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