以下、本発明の一実施形態及びその変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
「ガスタービンの実施形態」
本発明に係るガスタービンの実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のガスタービン1は、外気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成する圧縮機10と、燃料供給源からの燃料Fを圧縮空気Acom中で燃焼させて燃焼ガスGを生成する燃焼器20と、燃焼ガスGにより駆動するタービン30と、を備えている。
圧縮機10は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ11と、この圧縮機ロータ11を覆う筒状の圧縮機車室15とを有する。なお、以下では、軸線Arが延びている方向を軸方向Daとする。また、軸方向Daの一方側を軸方向上流側Dau、この軸方向Daの他方側を軸方向下流側Dadとする。軸線Arに対する径方向を単に径方向Drとする。また、この径方向Drで軸線Arから遠ざかる側を径方向外側Droとし、この径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Driとする。
圧縮機車室15の上流側は、開口が形成されている。この開口は、圧縮機10が外部から外気Aを取り込む空気取込口15iを成す。圧縮機車室15の径方向内側Driには、複数の静翼列16が固定されている。複数の静翼列16は、軸方向Daに間隔をあけて並んでいる。複数の静翼列16は、いずれも、軸線Arに対する周方向Dcに並んでいる複数の静翼17で構成されている。圧縮機ロータ11は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びているロータ軸12と、このロータ軸12の外周に固定されている複数の動翼列13と、を有する。各動翼列13は、いずれかの静翼列16の軸方向上流側Dauに配置されている。複数の動翼列13は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼14で構成されている。
タービン30は、圧縮機10の軸方向下流側Dadに配置されている。このタービン30は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ31と、このタービンロータ31を覆う筒状のタービン車室41とを有する。タービン車室41の径方向内側Driには、複数の静翼列46が固定されている。複数の静翼列46は、軸方向Daに間隔をあけて並んでいる。複数の静翼列46は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼47で構成されている。タービンロータ31は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びているロータ軸32と、このロータ軸32の外周に固定されている複数の動翼列33と、を有する。各動翼列33は、いずれかの静翼列46の軸方向下流側Dadに配置されている。複数の動翼列33は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼34で構成されている。
本実施形態のガスタービン1は、さらに、中間車室5と、排気室6と、を備えている。中間車室5は、軸方向Daで圧縮機車室15とタービン車室41との間に配置されている。排気室6は、タービン車室41の軸方向下流側Dadに配置されている。圧縮機車室15、中間車室5、タービン車室41、排気室6は、互いに連結されてガスタービン車室3を構成する。圧縮機ロータ11とタービンロータ31とは、同一の軸線Arを中心として一体回転する。圧縮機ロータ11とタービンロータ31とは、ガスタービンロータ2を構成する。このガスタービンロータ2は、軸方向Daの両端のそれぞれで軸受により支持されている。このガスタービンロータ2には、例えば、発電機9のロータが接続されている。
燃焼器20は、中間車室5に固定されている。この燃焼器20には、この燃焼器20に燃料Fを供給する燃料ライン25が接続されている。燃料ライン25には、燃料流量を調節する燃料調節弁26が設けられている。
タービン車室41は、図2に示すように、複数の分割環42と、複数の遮熱環43と、翼環44と、車室本体45と、を有する。分割環42は、動翼列33の径方向外側Droに位置して、動翼列33と径方向Drで対向する。翼環44は、軸線Arを中心として環状を成し、複数の分割環42の径方向外側Droに位置する。遮熱環43は、径方向Drで、分割環42及び静翼47と翼環44との間に位置し、分割環42及び静翼47と翼環44とを接続する。よって、分割環42及び静翼47は、遮熱環43を介して、翼環44により径方向外側Droから支持されている。車室本体45は、軸線Arを中心として環状を成し、翼環44の径方向外側Droに位置する。車室本体45は、径方向外側Droから翼環44を支持する。車室本体45の軸方向上流側Dauには、中間車室5が接続されている。また、車室本体45の軸方向下流側Dadには、排気室6が接続されている。
ロータ軸32の径方向外側Droとタービン車室41の径方向内側Driとの間の環状の空間は、燃焼器20からの燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路49を成す。ロータ軸32には、冷却空気が通る冷却空気通路が形成されている。この冷却空気通路を通った冷却空気は、動翼34内に導入されて、この動翼34の冷却に利用される。タービン車室41には、冷却空気が通る冷却空気通路が形成されている。この冷却空気通路を通った冷却空気は、静翼47内及び分割環42内に導入されて、静翼47及び分割環42の冷却に利用される。なお、静翼列46によっては、中間車室5内の空気が、冷却空気として、車室の冷却空気通路を経ずにこの静翼列46を構成する静翼47に供給される場合もある。
「静翼の実施形態及び各種変形例」
以下、本発明に係る静翼の実施形態及び各種変形例について、図3〜図15を参照して説明する。なお、以下で説明する静翼は、いずれも、上記「ガスタービンの実施形態」で説明した静翼の具体例である。
図3に示すように、本実施形態の静翼50は、径方向Drに延びる翼体51と、翼体51の径方向内側Driに形成されている内側シュラウド60iと、翼体51の径方向外側Droに形成されている外側シュラウド60oと、を有する。翼体51は、燃焼ガスGが通る燃焼ガス流路49(図2参照)内に配置されている。内側シュラウド60iは、環状の燃焼ガス流路49の径方向内側Driの縁を画定する。また、外側シュラウド60oは、環状の燃焼ガス流路49の径方向外側Droの縁を画定する。よって、内側シュラウド60i及び外側シュラウド60oは、いずれも、燃焼ガス流路49の一部を画定する流路形成板である。
翼体51は、図3〜図5に示すように、翼形を成す。この翼体51は、軸方向上流側Dauの端部が前縁部52を成し、軸方向下流側Dadの端部が後縁部53を成す。この翼体51の表面で、周方向Dcを向く面のうち、凸状の面が背側面54(=負圧面)を成し、凹状の面が腹側面55(=正圧面)を成す。なお、以下の説明の都合上、周方向Dcで翼体51の腹側(=正圧面側)を周方向腹側Dcp、翼体51の背側(=負圧面側)を周方向背側Dcnとする。
流路形成板である内側シュラウド60iは、図3〜図5に示すように、内側シュラウド本体61iと、周壁65iと、を有する。内側シュラウド本体61iは、軸方向上流側Dauの端面である前端面62fと、軸方向下流側Dadの端面である後端面62bと、周方向Dcで互いに相反する側を向いている一対の周方向端面63と、径方向外側Droを向くガスパス面64pと、径方向内側Driを向く反ガスパス面64iと、が形成されている。一対の周方向端面63のうち、周方向腹側Dcpの端面は腹側端面63pを成し、周方向背側Dcnの端面は背側端面63nを成す。前端面62fと後端面62bとは、ほぼ平行である。また、腹側端面63pと背側端面63nとは、ほぼ平行である。よって、内側シュラウド本体61iは、径方向Drから見た場合、図5に示すように、平行四辺形状を成している。
周壁65iは、内側シュラウド本体61iの反ガスパス面64iから径方向内側Dri(反流路側)に突出している。この周壁65iは、内側シュラウド本体61iの端面に沿って設けられている。周壁65iは、軸方向Daで互いに対向する前壁65f及び後壁65bと、周方向Dcで互いに対向する一対の側壁65p,65nと、を有する。一対の側壁65p,65nのうち、周方向腹側Dcpの側壁は腹側壁65pを成し、周方向背側Dcnの側壁は背側壁65nを成す。前壁65f及び後壁65bは、いずれも、内側シュラウド本体61iに対して、一対の側壁65p,65nよりも径方向内側Driに突出している。内側シュラウド60iには、内側シュラウド本体61iと周壁65iとにより、径方向外側Droに向かって凹む凹部66(図4及び図5参照)が形成されている。なお、腹側壁65pの周方向腹側Dcpの面と内側シュラウド本体61iの周方向腹側Dcpの面とは面一である。また、背側壁65nの周方向背側Dcnの面と内側シュラウド本体61iの周方向背側Dcnの面とは面一である。後壁65bは、内側シュラウド本体61iの後端面62bに沿って形成されているものの、後端面62bよりも軸方向上流側Dau側に形成されている。このため、シュラウド本体61iの反ガスパス面64iのうち、後壁65bを基準にして軸方向上流側Dauの面は、前述の凹部66の底面を形成する。また、シュラウド本体61iの反ガスパス面64iのうち、後壁65bを基準にして軸方向下流側Dadの面は、前述の凹部66の底面を形成せず、外側反ガスパス面64ioを成す。内側シュラウド60iの外側反ガスパス面64ioは、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づくように形成されている。ここで、反流路側とは、径方向Drで燃焼ガス流路49又はガスパス面64pから遠ざかる方向を言い、流路側とは、径方向Drで燃焼ガス流路49又はガスパス面64pに近づく方向を言う。従って、内側シュラウド60iの場合は、流路側は径方向外側Droに一致し、反流路側は径方向内側Driに一致する。また、外側シュラウド60oの場合は、流路側は径方向内側Driに一致し、反流路側は径方向外側Droに一致する。
複数の静翼列46のうち、いずれかの静翼列46を構成する静翼50には、内側シュラウド60iの一対の側壁65p,65nから径方向内側Driに突出したリテーナ85が設けられている。このリテーナ85は、軸方向Daにおいて前壁65fと後壁65bとの間に位置し、腹側端面63pから背側端面63nにかけて形成されている。リテーナ85の腹側端面は、内側シュラウド本体61iの腹側端面63pと面一である。また、図示されていないが、リテーナ85の背側端面は、内側シュラウド本体61iの背側端面63nと面一である。このリテーナ85は、ガスタービン車室3に固定されている内側カバー8の下流側の径方向外側端8a(図4参照)に接し、静翼50の径方向内側Driの部分を内側カバー8の径方向外側端8aに支持させるための役目を担う。このリテーナ85には、軸方向Daに貫通する開口86(以下、リテーナ開口86とする)が形成されている。このリテーナ開口86で形成される空間は、内側シュラウド60iの凹部66で形成される空間とつながっている。
静翼50は、図4に示すように、さらに、インピンジ板81を備える。また、リテーナ85が設けられている静翼50は、インピンジ板81及び封止板83、を備える。インピンジ板81は、内側シュラウド60iの凹部66内の空間を径方向内側Driの領域である外側キャビティ66aと径方向外側Droの領域である内側キャビティ67とに仕切る。このインピンジ板81には、径方向Drに貫通する複数の貫通孔82が形成されている。静翼50の径方向内側Driに存在する冷却空気Acの一部は、このインピンジ板81の貫通孔82を経て、内側キャビティ67内に流入する。この際、冷却空気Acは、凹部66の底面に衝突して、この底面をインピンジ冷却する。封止板83は、凹部66の開口のうち、リテーナ85よりも軸方向下流側Dadの部分を塞ぐ。この封止板83は、リテーナ85よりも下流側Dadであって、インピンジ板81よりも径方向内側Driに位置している。
流路形成板である外側シュラウド60oは、図3、図4及び図6に示すように、外側シュラウド本体61oと、周壁65oと、を有する。外側シュラウド本体61oも、内側シュラウド本体61iと同様、前端面62fと、後端面62bと、一対の周方向端面63と、ガスパス面64pと、反ガスパス面64iと、が形成されている。一対の周方向端面63のうち、周方向腹側Dcpの端面は腹側端面63pを成し、周方向背側Dcnの端面は背側端面63nを成す。外側シュラウド本体61oも、内側シュラウド本体61iと同様、径方向Drから見た場合、平行四辺形状を成している。なお、内側シュラウド本体61iのガスパス面64pは、径方向外側Droを向くが、外側シュラウド本体61oのガスパス面64pは、径方向内側Driを向く。
周壁65oは、軸方向Daで互いに対向する前壁65f及び後壁65bと、周方向Dcで互いに対向する一対の側壁65p,65nと、を有する。一対の側壁65p,65nのうち、周方向腹側Dcpの側壁は腹側壁65pを成し、周方向背側Dcnの側壁は背側壁65nを成す。前壁65f及び後壁65bは、いずれも、外側シュラウド本体61oに対して、一対の側壁65p,65nよりも径方向外側Droに突出しており、フック部を成す。フック部を成す前壁65f及び後壁65bは、静翼50をタービン車室41の内周側に取り付ける役目を担う。具体的に、フック部を成す前壁65f及び後壁65bは、タービン車室41の一部を構成する遮熱環43(図2参照)に取り付けられる。外側シュラウド60oには、外側シュラウド本体61oと周壁65oとにより、径方向内側Driに向かって凹む凹部66が形成されている。なお、腹側壁65pの周方向腹側Dcpの面と外側シュラウド本体61oの周方向腹側Dcpの面とは面一である。また、背側壁65nの周方向背側Dcnの面と外側シュラウド本体61oの周方向背側Dcnの面とは面一である。後壁65bは、外側シュラウド本体61oの後端面62bに沿って形成されているものの、後端面62bよりも軸方向上流側Dau側に形成されている。このため、外側シュラウド本体61oの反ガスパス面64iのうち、後壁65bを基準にして軸方向上流側Dauの面は、前述の凹部66の底面を形成する。また、外側シュラウド本体61oの反ガスパス面64iのうち、後壁65bを基準にして軸方向下流側Dadの面は、前述の凹部66の底面を形成せず、外側反ガスパス面64ioを成す。この外側シュラウド60oの外側反ガスパス面64ioは、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づくように形成されている。
静翼50は、図4に示すように、さらに、外側シュラウド60oの凹部66内の空間を径方向外側Droの領域と径方向内側Driの領域である内側キャビティ67とに仕切るインピンジ板81を備えている。このインピンジ板81には、径方向Drに貫通する複数の貫通孔82が形成されている。静翼50の径方向外側Droに存在する冷却空気Acの一部は、このインピンジ板81の貫通孔82を経て、内側キャビティ67内に流入する。
翼体51、外側シュラウド60o及び内側シュラウド60iには、図3及び図4に示すように、径方向Drに延びる複数の翼空気通路75が形成されている。各翼空気通路75は、いずれも、外側シュラウド60oから、翼体51を経て、内側シュラウド60iにまで連なって形成されている。複数の翼空気通路75は、翼体51の翼型中心線に沿って並んでいる。隣接する二つの翼空気通路75の一部は、径方向外側Droの部分、又は径方向内側Driの部分で互いに連通している。また、複数の翼空気通路75のうち、いずれかは、径方向外側Droで開口している。
ここで、本実施形態では、複数の翼空気通路75が四つある例を挙げている。四つの翼空気通路75のうち、最も軸方向上流側Dauの翼空気通路75は第一翼空気通路75aである。以下、第二翼空気通路75b、第三翼空気通路75c、第四翼空気通路75dが、この順で第一翼空気通路75aを基準にして軸方向下流側Dadに並んでいる。第二翼空気通路75bは、径方向内側Driの部分で、第三翼空気通路75cの径方向内側Driの部分と連通している。また、第三翼空気通路75cは、径方向外側Droの部分で、第四翼空気通路75dの径方向外側Droの部分と連通している。
第一翼空気通路75a及び第二翼空気通路75bの径方向外側Droの端は、外側シュラウド60oのインピンジ板81から径方向外側Droに突出している。第一翼空気通路75a及び第二翼空気通路75bの径方向外側Droの端は、外側シュラウド60oの反ガスパス面64iで開口している。よって、第一翼空気通路75a及び第二翼空気通路75bは、外側シュラウド60oの凹部66内の空間と連通している。第一翼空気通路75a及び第二翼空気通路75bには、この開口から冷却空気Acが流入する。第三翼空気通路75c及び第四翼空気通路75dの径方向外側Droの端は、閉じている。第一翼空気通路75a、第二翼空気通路75b、第三翼空気通路75c及び第四翼空気通路75dの径方向内側Driの端は、閉じている。
翼体51の前縁部52及び後縁部53には、翼空気通路75から燃焼ガス流路49へ貫通する複数の翼面噴出通路76が形成されている。翼体51は、翼空気通路75内を冷却空気Acが流れる過程で冷却される。また、翼空気通路75に流入した冷却空気Acは、この翼面噴出通路76から燃焼ガス流路49内に流出する。このため、翼体51の前縁部52及び後縁部53は、冷却空気Acが翼面噴出通路76から流出する過程で冷却される。さらに、翼面噴出通路76から燃焼ガス流路49に流出した冷却空気Acの一部は、翼体51の表面を部分的に覆ってフィルム冷却空気としての役目も果たす。
図5に示すように、内側シュラウド60iの腹側壁65pには、腹側端面63pに沿って軸方向Da成分を有する方向に延びる腹側通路78pが形成されている。また、背側壁65nにも、背側端面63nに沿って軸方向Da成分を有する方向に延びる背側通路78nが形成されている。腹側通路78p及び背側通路78nは、いずれも、その軸方向上流側Dauの端で内側キャビティ67に連通している。内側シュラウド本体61iには、後端面62bに沿って周方向Dcに延びる後側通路90iが形成されている。後側通路(第一側通路)90iにおける周方向腹側Dcpの端部は、腹側通路(第二側通路)78pの軸方向下流側Dadの端部と連通している。また、後側通路(第一側通路)90iにおける周方向背側Dcnの端部は、背側通路(第三側通路)78nの軸方向下流側Dadの端部と連通している。軸方向Daにおける後側通路90iの位置は、翼体51の後縁部53よりも軸方向下流側Dadで、後壁65bが形成されている領域と重なる(図4参照)。後側通路90iには、複数の後端面噴出通路71が連通している。複数の後端面噴出通路71は、いずれも、後側通路90iから軸方向下流側Dadに延びて、内側シュラウド本体61iの後端面62bで開口している。よって、複数の後端面噴出通路71を通った空気は、この開口を経て、燃焼ガス流路49中に流出する。複数の後端面噴出通路71は、周方向Dcに並んでいる。
図6に示すように、外側シュラウド60oの腹側壁65pにも、内側シュラウド60iの腹側壁65pと同様、腹側端面63pに沿って軸方向Da成分を有する方向に延びる腹側通路78pが形成されている。また、外側シュラウド60oの背側壁65nにも、内側シュラウド60iの背側壁65nと同様、背側端面63nに沿って軸方向Da成分を有する方向に延びる背側通路78nが形成されている。腹側通路78p及び背側通路78nは、いずれも、その軸方向上流側Dauの端で内側キャビティ67に連通している。外側シュラウド本体61oには、後端面62bに沿って周方向Dcに延びる後側通路90oが形成されている。後側通路(第一側通路)90oにおける周方向腹側Dcpの端部は、腹側通路(第二側通路)78pの軸方向下流側Dadの端部と連通している。また、後側通路(第一側通路)90oにおける周方向背側Dcnの端部は、背側通路(第三側通路)78nの軸方向下流側Dadの端部と連通している。軸方向Daにおける後側通路90oの位置は、後壁65bが形成されている領域と重なる(図4参照)。後側通路90oには、複数の後端面噴出通路71が連通している。複数の後端面噴出通路71は、いずれも、後側通路90oから軸方向下流側Dadに延びて、外側シュラウド本体61oの後端面62bで開口している。よって、複数の後端面噴出通路71を通った空気は、この開口を経て、燃焼ガス流路49中に流出する。複数の後端面噴出通路71は、周方向Dcに並んでいる。
図7に示すように、内側シュラウド60iにおける後側通路90iの断面形状は、不等四角形状を成している。このため、この後側通路90iは、第一形成面91、第二形成面92、第三形成面93、第四形成面94を含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90iの通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面91に含まれる辺、第二形成面92に含まれる辺、第三形成面93に含まれる辺、第四形成面94に含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、第一形成面91、第二形成面92、第三形成面93、第四形成面94は、いずれも周方向Dcの延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。第一形成面91は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、軸方向下流側Dad(端面側)に向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる方向に延びている。言い換えると、第一形成面91は、反流路側を向き、第一端面である後端面62bに近づく側である端面側に向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる方向に延びている。第二形成面92は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、第一形成面91の軸方向上流側Dau(反端面側)の端から軸方向上流側Dau(反端面側)に延びている。言い換えると、第二形成面92は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、第一形成面91におけるガスパス面64pに最も近い端から、第一端面である後端面62bに対して遠ざかる側である反端面側に延びている。この第二形成面92は、ガスパス面64pと実質的に平行である。第四形成面94は、第二形成面92の軸方向上流側Dauの端から径方向内側Driに延びている。この第四形成面94は、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。第三形成面93は、径方向外側Droを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づく方向に延びている。第三形成面93の軸方向上流側Dauの端は、第四形成面94の径方向内側Driの端につながっている。また、第三形成面93の軸方向下流側Dadの端は、第一形成面91の軸方向下流側Dadの端につながっている。この第三形成面93は、外側反ガスパス面64ioと実質的に平行である。
複数の後端面噴出通路71は、いずれも、第一形成面91で開口している。後側通路90iには、腹側通路78p及び背側通路78nから冷却空気Acが流入する。冷却空気Acは、この後側通路90iを流れる過程で、内側シュラウド本体61iの軸方向下流側Dadの部分を対流冷却する。後側通路90iに流入した冷却空気Acは、後端面噴出通路71に流入する。冷却空気Acは、この後端面噴出通路71を流れる過程で、内側シュラウド本体61iの軸方向下流側Dadの部分を対流冷却する。冷却空気Acは、後端面62bの開口から流出する。後側通路90iの通路断面積は、後端面噴出通路71の通路断面積より大きい。この理由は、後側通路90iを流れる冷却空気Acの流速を抑えることで、冷却空気Acが後側通路90iを流れる過程での圧力損失を抑えるためである。従って、単位通路断面積当たりにおいて、後端面噴出通路71を流れる冷却空気Acによる対流冷却の効果は、後側通路90iを流れる冷却空気Acによる対流冷却の効果よりも高い。なお、通路断面積とは、通路の長手方向に対する垂直な断面での通路面積のことである。
後端面噴出通路71の軸方向上流側Dauの端は、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91で開口している。このため、後端面噴出通路71の軸方向上流側Dauの端は、後側通路90iの通路断面中で最も軸方向下流側Dadに位置する部分よりも軸方向上流側Dauの位置で開口することになる。この結果、本実施形態では、冷却効果の高い後端面噴出通路71の通路長が長くなる。また、本実施形態では、径方向Drから見て、後側通路90iと後端面噴出通路71とが重なり合う部分が存在する。言い換えると、本実施形態では、軸方向Daで、後側通路90iと後端面噴出通路71とが重なり合う部分が存在する。従って、本実施形態では、後側通路90iと後端面噴出通路71とが重なり合う部分で、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pを二重冷却することができる。さらに、本実施形態では、冷却効率の高い後端面噴出通路71の全通路長に渡って、ガスパス面64pを冷却することができる。後述する図14の(C)に示す第三比較例では、径方向Drから見て、後端面噴出通路71における軸方向上流側Dauの一部が後側通路90iiと重なる。この後端面噴出流路71は、後側通路90iiの通路断面の最も軸方向下流側Dadに位置する部分より軸方向上流側Dauの形成面mで開口している。しかしながら、この形成面mは、ガスパス面64p側、つまり流路側を向いている。このため、この後端面噴出流路71の流路側に後側通路90iiの一部が存在することになる。従って、第三比較例では、後端面噴出流路71の全通路長に渡って、ガスパス面64pを効果的に冷却しているとは言えない。一方、本実施形態では、上述のように、冷却効率の高い後端面噴出通路71の全通路長に渡ってガスパス面64pを効果的に冷却している。すなわち、本実施形態では、冷却効率の高い後端面噴出通路71がその全通路長に渡ってガスパス面64pの冷却に十分に寄与している。よって、本実施形態では、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。
後端面噴出通路71の通路長を長くすると共に、後端面噴出通路71の全通路長に渡ってガスパス面64pの冷却に寄与するためには、以上のように、後側通路90iを形成する通路形成面の一つとして、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91を形成する必要がある。さらに、この第一形成面91で後端面噴出通路71を開口させる必要がある。
よって、後側通路90iの断面形状は、以上の必要条件を満たしていれば、不等四角形状を成していなくてもよい。以下、後側通路の各種断面形状について、図8〜図13を用いて説明する。
まず、図8を参照して、後側通路の第一変形例について説明する。
本変形例の後側通路90iaの断面形状は、ほぼ等脚台形形状を成している。このため、この後側通路90iaは、第一形成面91a、第三形成面93a、第四形成面94a、第五形成面95aを含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90iaの通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面91aに含まれる辺、第三形成面93aに含まれる辺、第四形成面94aに含まれる辺、第五形成面95aに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、第一形成面91a、第三形成面93a、第四形成面94a、第五形成面95aは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。本変形例の第一形成面91aは、上記実施形態の第一形成面91と同様に、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる。第四形成面94aは、軸方向下流側Dadを向き、第一形成面91aの軸方向上流側Dauの端から径方向内側Driに広がる。この第四形成面94aは、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。第三形成面93aは、上記実施形態の第三形成面93と同様に、径方向外側Droを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づく。この第三形成面93aは、外側反ガスパス面64ioと実質的に平行である。第三形成面93aの軸方向上流側Dauの端は、第四形成面94aの径方向内側Driの端につながっている。第五形成面95aは、軸方向上流側Dauを向き、第三形成面93aの軸方向下流側Dadの端から径方向外側Droに広がる。第五形成面95aは、第四形成面94aと実質的に平行である。第五形成面95aの径方向外側Droの端は、第一形成面91aの軸方向下流側Dadの端につながっている。すなわち、本変形例では、第一形成面91aと第四形成面94aとが直接つながり、上記実施形態のように、第一形成面91と第四形成面94との間に第二形成面92が存在しない。一方で、本変形例では、上記実施形態と異なり、第三形成面93aと第一形成面91aとの間に第五形成面95aが存在する。
本変形例でも、後端面噴出通路71は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91aで開口している。従って、本変形例でも、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。
図9を参照して、後側通路の第二変形例について説明する。
本変形例の後側通路90ibの断面形状は、ほぼ台形形状を成している。このため、この後側通路90ibは、第一形成面91b、第四形成面94b、第五形成面95b、第六形成面96bを含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90ibの通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面91bに含まれる辺、第四形成面94bに含まれる辺、第五形成面95bに含まれる辺、第六形成面96bに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、第一形成面91b、第四形成面94b、第五形成面95b、第六形成面96bは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。本変形例の第一形成面91bは、上記実施形態の第一形成面91と同様に、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる。第四形成面94bは、軸方向下流側Dadを向き、第一形成面91bの軸方向上流側Dauの端から径方向内側Driに広がる。この第四形成面94bは、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。第六形成面96bは、径方向外側Droを向き、ガスパス面64pと実質的に平行である。第六形成面96bの軸方向上流側Dauの端は、第四形成面94bの径方向内側Driの端につながっている。第五形成面95bは、軸方向上流側Dauを向き、第六形成面96bの軸方向下流側Dadの端から径方向外側Droに広がる。第五形成面95bは、第四形成面94bと実質的に平行である。第五形成面95bの径方向外側Droの端は、第一形成面91bの軸方向下流側Dadの端につながっている。
本変形例でも、後端面噴出通路71は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91bで開口している。従って、本変形例でも、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。
ところで、後側通路90ibを形成する通路形成面と、この後側通路90ibの外側に存在する面との間の距離に関して、流路形成板としての強度や、流路形成板を製造する過程での製造容易性等から、許容距離Dが定められている。このため、後側通路90ibの通路形成面は、後側通路90ibの外側に存在する面からこの許容距離D以上離れていることが求められる。一方、後側通路90ibの通路断面積は、冷却空気Acが後側通路90ibを流れる過程での圧力損失を抑えるために、大きくすることが求められる。そこで、上記実施形態及び第一変形例における後側通路90i,90iaでは、後壁65bの面であって凹部66に面する内面に対して第四形成面94,94aを実質的に平行にすると共に、外側反ガスパス面64ioに対して第三形成面93,93aを実質的に平行にしている。この結果、上記実施形態及び第一変形例では、後側通路90iの通路形成面を後側通路90iの外側に存在する面から許容距離D以上離しつつも、後側通路90iの通路断面積を大きくすることができる。
本変形例では、後壁65bの面であって凹部66に面する内面に対して第四形成面94bが実質的に平行であるが、外側反ガスパス面64ioに最も近い第六形成面96bがこの外側反ガスパス面64ioに対して平行ではない。このため、外側反ガスパス面64ioから第六形成面96bの軸方向下流側Dadの端の位置を許容距離Dにすると、この第六形成面96bの他の部分が外側反ガスパス面64ioから必要以上に離れ、後側通路90ibの通路断面積が小さくなる。よって、上記実施形態及び第一変形例の方が、本変形例よりも、後側通路の通路断面積を大きくするという観点で優れている。
図10を参照して、後側通路の第三変形例について説明する。
本変形例の後側通路90icの断面形状は、ほぼ正三角形状を成している。
このため、この後側通路90icは、第一形成面91c、第三形成面93c、第四形成面94cを含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90icの通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面91cに含まれる辺、第三形成面93cに含まれる辺、第四形成面94cに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、第一形成面91c、第三形成面93c、第四形成面94cは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。本変形例の第一形成面91cは、上記実施形態の第一形成面91と同様に、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる。第四形成面94cは、軸方向下流側Dadを向き、第一形成面91cの軸方向上流側Dauの端から径方向内側Driに広がる。この第四形成面94cは、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。第三形成面93cは、上記実施形態の第三形成面93と同様に、径方向外側Droを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づく。この第三形成面93cは、外側反ガスパス面64ioと実質的に平行である。第三形成面93cの軸方向上流側Dauの端は、第四形成面94cの径方向内側Driの端につながっている。この第三形成面93cの軸方向下流側Dadの端は、第一形成面91cの軸方向下流側Dadの端につながっている。すなわち、本変形例では、第一形成面91cと第四形成面94cとが直接つながり、上記実施形態のように、第一形成面91と第四形成面94との間に第二形成面92が存在しない。
本変形例でも、後端面噴出通路71は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91cで開口している。従って、本変形例でも、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。よって、後側通路の断面形状は、以上のように四角形状である必要なく、三角形状であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
ところで、本変形例では、第一形成面91cと第四形成面94cとにより形成される角、第四形成面94cと第三形成面93cとにより形成される角、第三形成面93cと第一形成面91cとにより形成される角は、いずれも鋭角である。このように、隣り合う形成面により形成される角が鋭角であると、この角の近傍に冷却空気Acの偏流が生じて、後側通路90icの通路断面内で、冷却空気Acの流れに速度分布が生ずる。すなわち、後側通路90icの通路断面内で、後端面噴出通路71の開口近傍では、冷却空気Acの流速が大きく、後側通路90icの通路断面内で第一形成面91に沿って冷却空気Acの流れに速度分布が生ずるため、後側通路90icから後端面噴出通路71へ流入する冷却空気Acの流量が上記実施形態よりも抑制される。このため、隣り合う形成面により形成される角が複数ある場合でも、鋭角になる角の数量をできるかぎり少なくすることが好ましい。
図11を参照して、後側通路の第四変形例について説明する。
本変形例の後側通路90idの断面形状は、不等六角形状を成している。この後側通路90idは、第一形成面91d、第二形成面92d、第三形成面93d、第四形成面94d、第五形成面95d、第六形成面96dを含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90idの通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面91cに含まれる辺、第二形成面92dに含まれる辺、第三形成面93dに含まれる辺、第四形成面94cに含まれる辺、第五形成面95dに含まれる辺、第六形成面96dに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、第一形成面91d、第二形成面92d、第三形成面93d、第四形成面94d、第五形成面95d、第六形成面96dは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。本変形例の第一形成面91dは、上記実施形態の第一形成面91と同様に、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる。第二形成面92dは、径方向内側Driを向き、第一形成面91dの軸方向上流側Dauの端から軸方向上流側Dauに広がっている。この第二形成面92dは、ガスパス面64pと実質的に平行である。第四形成面94dは、軸方向下流側Dadを向き、第二形成面92dの軸方向上流側Dauの端から径方向内側Driに広がる。この第四形成面94dは、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。第六形成面96dは、径方向外側Droを向き、ガスパス面64p及び第二形成面92dと実質的に平行である。第六形成面96dの軸方向上流側Dauの端は、第四形成面94dの径方向内側Driの端につながっている。第三形成面93dは、径方向外側Droを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づく。第三形成面93dの軸方向上流側Dauの端は、第六形成面96dの軸方向下流側Dadの端につながっている。第五形成面95dは、軸方向上流側Dauを向き、第三形成面93dの軸方向下流側Dadの端から径方向外側Droに広がる。この第五形成面95dは、第四形成面94dと実質的に平行である。第五形成面95dの径方向外側Droの端は、第一形成面91dの軸方向下流側Dadの端につながっている。
本変形例でも、後端面噴出通路71は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91dで開口している。従って、本変形例でも、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。よって、後側通路の断面形状は、以上のように四角形状である必要なく、四角形よりも辺の数が多い多角形状であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
本変形例も、上記実施形態及び第一変形例と同様、後壁65bの面であって凹部66に面する内面に対して第四形成面94dが実質的に平行であると共に、外側反ガスパス面64ioに対して第三形成面93dが実質的に平行である。このため、本変形例でも、後側通路90idの通路形成面を後側通路90idの外側に存在する面から許容距離D以上離しつつも、後側通路90idの通路断面積を大きくすることができる。また、本変形例では、隣り合う形成面により形成される角のいずれもが鈍角になる。このため、本変形例では、隣り合う形成面により形成される角が鋭角であることに起因した冷却空気Acの偏流の問題が生じない。つまり、本変形例では、冷却空気Acが後側通路90idを流れる過程での、後側通路90idから後端面噴出通路71へ流入する冷却空気Acの流量の減少を抑えることができる。
図12を参照して、後側通路の第五変形例について説明する。
本変形例の後側通路90ieは、上記実施形態と同様、第一形成面91e、第二形成面92e、第三形成面93e、第四形成面94eを含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90ieの通路断面を形成する複数の辺のうち、第二形成面92eに含まれる辺、第三形成面93eに含まれる辺、第四形成面94eに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、第二形成面92e、第三形成面93e、第四形成面94eは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。但し、本変形例の第一形成面91eは、上記実施形態の第一形成面91と同様に、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかるものの、後側通路90ieの通路断面を形成する辺のうち、第一形成面91eに含まれ辺は、後側通路90ieの内側から外側に向かって凸の滑らかの曲線である。なお、第一形成面91eも、他の形成面92e,93e,94eと同様、周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。また、本変形例においても、第二形成面92eは、ガスパス面64pと実質的に平行である。
本変形例でも、後端面噴出通路71は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91eで開口している。従って、本変形例でも、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。よって、後側通路90ieを形成する通路形成面のうち、後端面噴出通路71が開口する第一形成面91eは、曲面であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
図13を参照して、後側通路の第六変形例について説明する。
本変形例の後側通路90ifは、第一形成面91f、第四形成面94f、第三形成面93fを含む複数の通路形成面で画定される。本変形例の第一形成面91fも、第五変形例の第一形成面91eと同様に、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかるものの、後側通路90ifの内側から外側に向かって凸の滑らかの曲面である。第四形成面94fは、軸方向下流側Dadを向き、第一形成面91fの軸方向下流側Dadの端から径方向内側Driに広がっている。この第四形成面94fは、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行な平面である。第三形成面93fは、上記実施形態の第三形成面93と同様、径方向外側Dro向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づくものの、後側通路90ifの内側から外側に向かって凸の滑らかな曲面である。第一形成面91fと第三形成面93fとは、滑らかに連続している。よって、第一形成面91fと第三形成面93fとは、一つの形成面を構成している。よって、本変形例では、後側通路90ifの通路断面を形成する複数の辺のうち、第四形成面94fを除く残りの形成面91f,93fに含まれる辺の全てが曲線である。
本変形例でも、後端面噴出通路71は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91fで開口している。従って、本変形例でも、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。よって、後側通路90ifの通路断面を形成する複数の辺のうち、一の形成面に含まれる辺が直線で、残りの形成面に含まれる辺の全てが曲線であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、図14を参照して、後側通路の比較例について説明する。
まず、図14の(A)を参照して、第一比較例の後側通路について説明する。
第一比較例の後側通路90igの断面形状は、ほぼ正方形又は長方形形状を成している。このため、この後側通路90igは、形成面a、形成面b、形成面c、形成面dから成る四つの通路形成面で画定される。この後側通路90igの通路断面を形成する複数の辺のうち、形成面aに含まれる辺、形成面bに含まれる辺、形成面cに含まれる辺、形成面dに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、形成面a、形成面b、形成面c、形成面dは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。形成面aは、径方向内側Driを向き、ガスパス面64pと実質的に平行である。形成面bは、形成面aの軸方向上流側Dauの端から径方向内側Driに広がっている。形成面bは、形成面aに対して実質的に垂直で、且つ後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。形成面cは、径方向外側Droを向き、形成面bの径方向内側Driの端から軸方向下流側Dadに広がっている。この形成面cは、形成面bに対して実質的に垂直で且つガスパス面64p及び形成面aと実質的に平行である。形成面dは、形成面cの軸方向下流側Dadの端から径方向外側Droに広がっている。この形成面dの径方向外側Droの端は、形成面aの軸方向下流側Dadの端につながっている。この形成面dは、形成面a及び形成面cに対して実質的に垂直で、形成面bと実質的に平行である。
第一比較例の後側通路90igを画定する複数の通路形成面には、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる形成面が含まれていない。この第一比較例では、後端面噴出通路71が形成面dで開口している。このため、第一比較例では、後端面噴出通路71の軸方向上流側Dauの端が、後側通路90igを形成する通路形成面上で、最も軸方向下流側Dadの部分で開口していることになる。この結果、第一比較例では、冷却効果の高い後端面噴出通路71の通路長が、上記実施形態や上記各変形例より短くなる。また、第一比較例では、径方向Drから見て、後側通路90igと後端面噴出通路71とが重なり合う部分が存在しない。従って、第一比較例では、上記実施形態や上記各変形例のように、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができない。
次に、図14の(B)を参照して、第二比較例の後側通路について説明する。
第二比較例の後側通路90ihの断面形状は、二つの長方形が交差した形状を成している。このため、この後側通路90ihは、形成面e、形成面f、形成面g、形成面h、形成面i、形成面jから成る六つの通路形成面で画定される。この後側通路90ihの通路断面を形成する複数の辺のうち、形成面eに含まれる辺、形成面fに含まれる辺、形成面gに含まれる辺、形成面hに含まれる辺、形成面iに含まれる辺、形成面jに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。形成面e、形成面f、形成面g、形成面h、形成面i、形成面jは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。形成面eは、径方向内側Driを向き、ガスパス面64pと実質的に平行である。形成面fは、形成面eの軸方向上流側Dauの端から径方向内側Driに広がる。この形成面fは、形成面eに対して実質的に垂直で且つ後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。形成面gは、径方向外側Droを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づく。形成面gの軸方向上流側Dauの端は、形成面fの径方向内側Driの端につながっている。形成面hは、形成面gの軸方向下流側Dadの端から径方向外側Dro広がっている。この形成面hは、形成面gに対して実質的に垂直である。形成面iは、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づく。この形成面iは、形成面gと実質的に平行である。形成面iの軸方向下流側Dadの端は、形成面hの径方向外側Droの端につながっている。形成面jは、形成面iの軸方向上流側Dauの端から径方向外側Droに広がり、形成面fと実質的に平行である。この形成面jの径方向外側Droの端は、形成面eの軸方向下流側Dadの端につながっている。
第二比較例では、後側通路90ihの最も軸方向下流側Dadの部分よりも軸方向上流側Dauに位置する形成面jで後端面噴出通路71が開口している。よって、第二比較例では、冷却効果の高い後端面噴出通路71の通路長を、上記実施形態や上記各変形例と同様に長くすることができる。しかも、第二比較例では、径方向Drから見て、後側通路90ihと後端面噴出通路71とが重なり合う部分が存在する。しかしながら、第二比較例では、径方向内側Driを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる形成面を有していない。さらに、第二比較例では、上記実施形態のように、互いに隣り合う形成面で形成される各角の内角は、いずれも180°以下なっておらず、形成面iと形成面jとで形成される角の内角は、180°よりも大きい。ここで、内角とは、互いに隣り合う形成面のつくる角のうち、通路の内部側の角である。このように、互いに隣り合う形成面で形成される内角が180°より大きい場合、この角の頂点が通路内側に突出することになる。この結果、後側通路90ihの通路断面積が小さくなり、冷却空気Acが後側通路90ihを流れる過程での圧力損失が増加する。
次に、図14の(C)を参照して、第三比較例の後側通路について説明する。
第三比較例の後側通路90iiの断面形状は、三角形状を成している。このため、この後側通路90iiは、形成面k、形成面l、形成面mから成る三つの通路形成面で画定される。この後側通路90iiの通路断面を形成する複数の辺のうち、形成面kに含まれる辺、形成面lに含まれる辺、形成面mに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、形成面k、形成面l、形成面mは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。形成面kは、径方向内側Driを向き、ガスパス面64pと実質的に平行である。形成面lは、形成面kの軸方向上流側Dauの端から径方向内側Driに広がる。形成面lは、形成面kに対して実質的に垂直で且つ後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。形成面mは、径方向外側Droを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づく。形成面mの軸方向上流側Dauの端は、形成面lの径方向内側Driの端につながっている。形成面mの軸方向下流側Dadの端は、形成面kの軸方向下流側Dadの端につながっている。
第三比較例では、後端面噴出通路71が、径方向外側Droを向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pに近づく形成面mで開口している。よって、この第三比較例では、後側通路90iiの最も軸方向下流側Dadの部分よりも軸方向上流側Dauに位置する部分で後端面噴出通路71が開口していることになる。このため、第三比較例では、冷却効果の高い後端面噴出通路71の通路長を、上記実施形態や上記各変形例と同様に長くすることができる。しかも、第三比較例では、径方向Drから見て、後側通路90iiと後端面噴出通路71とが重なり合う部分が存在する。しかしながら、第三比較例では、後端面噴出通路71が径方向外側Droを向く形成面mで開口している。このため、第三比較例では、後端面噴出通路71中で後側通路90iiと重なり合う部分が後側通路90iiを基準にしてガスパス面64pとは反対側に位置することになる。よって、第三比較例では、前述したように、冷却効率の高い後端面噴出通路71の全通路長に渡ってガスパス面64pを効果的に冷却することができない。
図15を参照して、本実施形態の外側シュラウド60oにおける後側通路90oの断面形状について説明する。
本実施形態の外側シュラウド60oにおける後側通路90oの断面形状は、不等四角形状である。この後側通路90oの断面形状は、前述の内側シュラウド60iにおける後側通路90iの断面形状を径方向Drで反転させた形状と実質的に同じである。この後側通路90oは、第一形成面91g、第二形成面92g、第三形成面93g、第四形成面94gを含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90oの通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面91gに含まれる辺、第二形成面92gに含まれる辺、第三形成面93gに含まれる辺、第四形成面94gに含まれる辺は、いずれも実質的に直線である。また、第一形成面91g、第二形成面92g、第三形成面93g、第四形成面94gは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。第一形成面91gは、径方向外側Dro(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる。第二形成面92gは、径方向外側Dro(反流路側)を向き、第一形成面91gの軸方向上流側Dauの端から軸方向上流側Dauに広がっている。この第二形成面92gは、ガスパス面64pと実質的に平行である。第四形成面94gは、第二形成面92gの軸方向上流側Dauの端から径方向外側Droに広がる。この第四形成面94gは、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。第三形成面93gは、径方向内側Driを向き、外側反ガスパス面64ioと実質的に平行である。第三形成面93gの軸方向上流側Dauの端は、第四形成面94gの径方向外側Droの端につながっている。また、第三形成面93gの軸方向下流側Dadの端は、第一形成面91gの軸方向下流側Dadの端につながっている。
複数の後端面噴出通路71は、いずれも、第一形成面91gで開口している。従って、外側シュラウド60oに関しても、内側シュラウド60iと同様に、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。
外側シュラウド60oにおける後側通路90oの断面形状は、以上のように、不等四角形状を成している必要性はない。以下、外側シュラウド60oにおける後側通路の各種断面形状について、図16及び図17を用いて説明する。
まず、図16を参照して、外側シュラウド60oにおける後側通路の第一変形例について説明する。
本変形例の後側通路90ohの断面形状は、三角形状を成している。このため、この後側通路90ohは、第一形成面91h、第三形成面93h、第四形成面94hを含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90ohの通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面91hに含まれる辺、第三形成面93hに含まれる辺、第四形成面94hに含まれる辺は、いずれも、実質的に直線である。また、第一形成面91h、第三形成面93h、第四形成面94hは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。本変形例の第一形成面91hは、径方向外側Dro(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる。第四形成面94hは、第一形成面91hの軸方向上流側Dauの端から径方向外側Droに広がる。この第四形成面94hは、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と実質的に平行である。第三形成面93hは、径方向内側Driを向き、反ガスパス面64iと実質的に平行である。第三形成面93hの軸方向上流側Dauの端は、第四形成面94hの径方向外側Droの端につながっている。また、第三形成面93hの軸方向下流側Dadの端は、第一形成面91hの軸方向下流側Dadの端につながっている。
本変形例でも、後端面噴出通路71は、径方向外側Dro(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91hで開口している。従って、本変形例でも、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。よって、後側通路90ohの断面形状は、以上のように四角形状である必要なく、三角形状であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、後側通路の断面形状は、図11に示す内側シュラウド60iにおける後側通路90idのように、四角形よりも辺の数が多い多角形状であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、図17を参照して、外側シュラウド60oにおける後側通路の第二変形例について説明する。
本変形例の後側通路90oiも、第一変形例の後側通路90ohと同様、第一形成面91i、第三形成面93i、第四形成面94iを含む複数の通路形成面で画定される。この後側通路90oiの通路断面を形成する複数の辺のうち、第三形成面93iに含まれる辺、第四形成面94iに含まれる辺は、いずれも、実質的に直線である。また、第三形成面93i、第四形成面94iは、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。但し、本変形例の第一形成面91iは、第一変形例と同様に、径方向外側Dro(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかるものの、後側通路90oiの通路断面を形成する辺のうち、第一形成面91iに含まれる辺は、後側通路90oiの内側から外側に向かって凸の滑らかの曲線である。
本変形例でも、後端面噴出通路71は、径方向外側Dro(反流路側)を向き、軸方向下流側Dadに向かうに連れて次第にガスパス面64pから遠ざかる第一形成面91iで開口している。従って、本変形例でも、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。よって、後側通路90oiの通路断面を形成する辺のうち、第一形成面91iに含まれる辺が曲線であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、図13に示す内側シュラウド60iにおける後側通路90ifのように、後側通路の通路断面を形成する複数の辺のうち、一の形成面に含まれる辺が直線で、残りの形成面に含まれる辺の全てが曲線であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本実施形態の外側シュラウド60oにおける後側通路90oも、内側シュラウド60iにおける後側通路90iと同様の各種変形例が考えられる。
上記実施形態における内側シュラウド60iの第一変形例について、図18及び図19を参照して説明する。なお、図18は、本変形例の内側シュラウド60iaを径方向外側Droから見た平面図であり、図19は、図18におけるXIX−XIX線断面図である。
本変形例の内側シュラウド60iaにも、上記実施形態の内側シュラウド60iと同様に、後側通路90i及び複数の後端面噴出通路71が形成されている。
変形例の内側シュラウド60iaには、後側通路90iに連通し、ガスパス面64pで開口する複数の第一ガスパス面噴出通路72が形成されている。複数の第一ガスパス面噴出通路72は、いずれも、後側通路90iを形成する通路形成面のうち、径方向内側Dri(反流路側)を向く第二形成面92で開口している。複数の第一ガスパス面噴出通路72におけるガスパス面64pでの開口は、翼体51の後縁部53よりも軸方向下流側Dadの領域で内側シュラウド本体61iの後端面62bに沿って周方向Dcに並んでいる。
本変形例の内側シュラウド60iaには、さらに、内側キャビティ67に連通し、ガスパス面64pで開口する複数の第二ガスパス面噴出通路73が形成されている。複数の第二ガスパス面噴出通路73は、後壁65bの面であって凹部66に面する内面と、この凹部66の底面との角の近傍で開口している。また、複数の第二ガスパス面噴出通路73は、後壁65bの面であって凹部66内の内側キャビティ67(図4参照)に面する内面の底面側の部分で開口してもよいし、この凹部66の底面中であって後壁65b側の部分で開口してもよい。複数の第二ガスパス面噴出通路73におけるガスパス面64pの開口は、翼体51の後縁部53よりも軸方向下流側Dadで、且つ第一ガスパス面噴出通路72におけるガスパス面64pでの開口よりも軸方向上流側Dauの領域で、内側シュラウド本体61iの後端面62bに沿って周方向Dcに並んでいる。
複数の第一ガスパス面噴出通路72におけるガスパス面64pでの開口、及び複数の第二ガスパス面噴出通路73におけるガスパス面64pでの開口は、いずれも、ガスパス面64p中で周方向Dcにおける中領域に形成されており、ガスパス面64p中で周方向腹側Dcpの腹側領域及びガスパス面64p中で周方向背側Dcnの背側領域には、形成されていない。また、複数の第一ガスパス面噴出通路72、及び複数の第二ガスパス面噴出通路73は、いずれも、ガスパス面64pに近づくに連れて次第に軸方向下流側Dadに向くようガスパス面64pに対して傾斜している。なお、中領域、腹側領域及び背側領域の意義については、後述する。
後側通路90iを流れる冷却空気Acの一部は、複数の第一ガスパス面噴出通路72に流入する。複数の第一ガスパス面噴出通路72に流入した冷却空気Acは、燃焼ガス流路49に流出する。この際、この冷却空気Acは、ガスパス面64pに沿って流れ、このガスパス面64pをフィルム冷却する。また、内側キャビティ67内の冷却空気Acの一部は、複数の第二ガスパス面噴出通路73に流入する。複数の第二ガスパス面噴出通路73に流入した冷却空気Acは、燃焼ガス流路49に流出する。この際、この冷却空気Acは、ガスパス面64pに沿って流れ、このガスパス面64pをフィルム冷却する。
腹側通路78pからの冷却空気Acは、後側通路90iの周方向腹側Dcpの端から後側通路90i内に流入する。この冷却空気Acは、後側通路90i内を周方向背側Dcnに流れる過程で、順次、複数の後端面噴出通路71に流入する。また、背側通路78nからの冷却空気Acは、後側通路90iの周方向背側Dcnの端から後側通路90i内に流入する。この冷却空気Acは、後側通路90i内を周方向腹側Dcpに流れる過程で、順次、複数の後端面噴出通路71に流入する。このため、後側通路90iにおける周方向Dcの中領域で流れる冷却空気Acの流量は、後側通路90iにおける周方向Dcの両端側で流れる冷却空気Acの流量よりも少なくなる。このように、後側通路90iにおける周方向Dcの中領域で流れる冷却空気Acの流量が少なくなると、後側通路90iにおける周方向の中領域で流れる冷却空気Acの流速は、後側通路90iにおける周方向Dcの両端側で流れる冷却空気Acの流速よりも少なくなる。従って、後側通路90iを流れる冷却空気Acと内側シュラウド本体61iとの間の熱伝達率は、後側通路90iにおける周方向Dcの中領域が後側通路90iにおける周方向Dcの両端側よりも小さくなる。しかも、後側通路90iを流れる冷却空気Acは、周方向Dcの両端側から周方向Dcの中領域に流れる過程で次第に加熱される。このため、後側通路90iを流れる冷却空気Acによる対流冷却の効果は、周方向Dcの両端側よりも周方向Dcの中領域で低くなる。
翼体51の背側面54に沿って流れる燃焼ガスGの流路長は、翼体51の腹側面55に沿って流れる燃焼ガスGの流路長よりも長い。このため、翼体51の背側面54に沿って流れる燃焼ガスGの流速は、翼体51の腹側面55に沿って流れる燃焼ガスGの流速よりも速い。また、翼体51の背側面54に沿って流れた燃焼ガスGは、その後、ガスパス面64p中の後端面62b寄りの部分で且つ周方向Dcの中領域でも、高い流速で流れる。よって、ガスパス面64p中の後端面62b寄りの部分で且つ周方向Dcの中領域では、燃焼ガスGとガスパス面64pとの間の熱伝達率が高くなり、他の部分に比べて燃焼ガスGにより加熱され易い。
以上のように、ガスパス面64p中の後端面62b寄りの部分で且つ周方向Dcの中領域では、後側通路90iを流れる冷却空気Acによる対流冷却の効果が低い上に、燃焼ガスGにより加熱され易い。
そこで、本変形例では、ガスパス面64p中の後端面62b寄りの部分で且つ周方向Dcの中領域の冷却能力を高めるため、ガスパス面64p中の後端面62b寄りの部分で且つ周方向Dcの中領域で開口する複数の第一ガスパス面噴出通路72及び複数の第二ガスパス面噴出通路73を設けている。
なお、本変形例では、複数の第一ガスパス面噴出通路72と複数の第二ガスパス面噴出通路73とを設けているが、いずれか一方のガスパス面噴出通路のみを設けてもよい。
また、本変形例では、複数の第一ガスパス面噴出通路72におけるガスパス面64pでの開口は、周方向Dcに一列に並んでいる。しかしながら、周方向Dcに並ぶ開口の列は、複数あってもよい。また、本変形例では、複数の第二ガスパス面噴出通路73におけるガスパス面64pでの開口も、周方向Dcに一列に並んでいる。しかしながら、周方向Dcに並ぶこの開口の列も、複数あってもよい。
また、本変形例では、複数の第一ガスパス面噴出通路72を後側通路90iの第二形成面92で開口させている。しかしながら、図8〜図13に示す後側通路の各種変形例で、通路形成面として第二形成面を有していないもの関しては、径方向内側Dri(反流路側)を向く形成面中であって、後端面噴出通路71における後側通路との連通位置よりも軸方向上流側Dauの位置で開口させるとよい。
また、本変形例は、内側シュラウド60iの変形例であるが、外側シュラウド60oに対しても、本変形例と同様に、複数の第一ガスパス面噴出通路72、及び/又は、複数の第二ガスパス面噴出通路73を設けてもよい。
上記実施形態における内側シュラウド60iの第二変形例について、図20を参照して説明する。なお、図20は、上記実施形態を示す図4におけるV−V線断面図に相当する断面図である。
本変形例の内側シュラウド60ibにも、上記実施形態の内側シュラウド60iと同様に、後側通路90i及び複数の後端面噴出通路71が形成されている。但し、本変形例の後側通路90iは、腹側連通路74p及び背側連通路74nにより、内側キャビティ67と連通している。
腹側連通路74pは、後壁65bの凹部66に面する面と腹側壁65pの凹部66に面する面との角の近傍で、外側キャビティ66a又は内側キャビティ67に開口している。この腹側連通路74pは、後側通路90iにおける周方向腹側Dcpの端につながっている。また、背側連通路74nは、後壁65bの凹部66に面する面と背側壁65nの凹部66に面する面との角の近傍で、外側キャビティ66a又は内側キャビティ67に開口している。この背側連通路74nは、後側通路90iにおける周方向背側Dcnの端につながっている。
本変形例のように、後側通路90iに冷却空気Acを供給する通路が上記実施形態と異なっていても、上記実施形態と同様に、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面64pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。
なお、本変形例の内側シュラウド60ibにおいても、第一変形例の内側シュラウド60iaと同様に、複数の第一ガスパス面噴出通路72、及び/又は、複数の第二ガスパス面噴出通路73を設けてもよい。また、本変形例において、外側キャビティ66aからインピンジ板81を通過して内側キャビティ67に流入した冷却空気Acの圧力が低いため、内側キャビティ67から背側連通路74n、腹側連通路74p及び後側通路90iを介して後端面噴出通路71に流入する冷却空気Acの差圧が十分に確保できず、冷却能力が不足する場合がある。その場合は、背側連通路74n又は腹側連通路74pを、内側キャビティ67より冷却空気Acの圧力が高い外側キャビティ66aの内面に接続することにより、後端面噴出通路71を流れる冷却空気Acの差圧が十分に確保できるので、冷却能力不足を解消できる。
また、本変形例は、内側シュラウド60iの変形例であるが、外側シュラウド60oに対しても、本変形例と同様に、腹側連通路74p及び背側連通路74nから後側通路90oに冷却空気Acを供給してもよい。
上記実施形態における内側シュラウド60iの第三変形例について、図21を参照して説明する。なお、図21は、上記実施形態を示す図4におけるV−V線断面図に相当する断面図である。
本変形例の内側シュラウド60icにも、上記実施形態の内側シュラウド60iと同様に、後側通路90i(第一側通路)及び複数の後端面噴出通路71が形成されている。
ここで、内側シュラウド本体61iの後端面62b中で、背側端面63nとの縁及び腹側端面63pの縁を含まない領域を中領域MPとする。また、後端面62b中で背側端面63nとの縁を含み中領域MPと周方向Dc(第一方向)で隣接する領域を背側領域NPとする。さらに、後端面62b中で腹側端面63pとの縁を含み中領域MPと周方向Dcで隣接する領域を腹側領域PPとする。各領域MP,NP,PPには、周方向Dcに並ぶ3以上の後端面噴出通路71の開口が形成されてもよい。また、複数の後端面噴出通路71の断面形状は、いずれも円形であり、内径が互いに同じであるものとする。よって、複数の端面噴出通路の濡れ縁長さsは、互いに同じである。なお、濡れ縁長さsとは、通路断面で流体に接している壁面の長さである。例えば、通路断面が円形の場合、濡れ縁長さはこの円の円周長である。
中領域MPにおける複数の後端面噴出通路71の開口の間隔は、p1である。背側領域NPにおける複数の後端面噴出通路71の開口の間隔、及び、腹側領域PPにおける複数の後端面噴出通路71の開口の間隔は、p2である。中領域MPにおける複数の後端面噴出通路71の開口の間隔p1は、背側領域NP及び腹側領域PPにおける複数の後端面噴出通路71の開口の間隔p2より小さい。
また、ここで、複数の後端面噴出通路71の開口の間隔pに対する複数の後端面噴出通路71の濡れ縁長さsの割合を開口密度(s/p)とする。この場合、中領域MPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度は、(s/p1)になる。また、腹側領域PP及び背側領域NPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度は、(s/p2)になる。よって、本変形例では、中領域MPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度(s/p1)は、腹側領域PP及び背側領域NPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度(s/p2)よりも高い。
前述したように、ガスパス面64p中の後端面62b寄りの部分で且つ周方向の中領域では、後側通路90iを流れる冷却空気Acによる対流冷却の効果が低い上に、燃焼ガスGにより加熱され易い。
そこで、本変形例では、中領域MPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度を、腹側領域PP及び背側領域NPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度よりも高くして、中領域MPにおける複数の後端面噴出通路71による冷却効果を、腹側領域PP及び背側領域NPにおける複数の後端面噴出通路71による冷却効果よりも高めている。
なお、中領域MPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度は、腹側領域PPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度と、背側領域NPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度とのうち、一方の領域の開口密度より高く、他方の領域の開口密度と同じであってもよい。
また、中領域MPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度は、この中領域MP内で変わってもよい。同様に、腹側領域PPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度も、腹側領域PP内で変わってもよく、背側領域NPにおける複数の後端面噴出通路71の開口密度も、背側領域NP内で変わってもよい。
また、本変形例では、ある領域内の開口密度を高めるため、この領域内の複数の後端面噴出通路71の開口の間隔pを、他の領域内の複数の後端面噴出通路71の開口の間隔pよりも小さくしている。しかしながら、ある領域内の開口密度を高めるため、この領域内の複数の後端面噴出通路71の濡れ縁長さsを、他の領域内の複数の後端面噴出通路71の濡れ縁長さsより長くしてもよい。
また、本変形例の内側シュラウド60icにおいても、第一変形例の内側シュラウド60iaと同様に、複数の第一ガスパス面噴出通路72、及び/又は、複数の第二ガスパス面噴出通路73を設けてもよい。また、本変形例の内側シュラウド60icにおいても、第二変形例の内側シュラウド60ibと同様に、腹側連通路74p及び背側連通路74nから後側通路90iに冷却空気Acを供給してもよい。
また、本変形例は、内側シュラウド60iの変形例であるが、外側シュラウド60oに対しても、複数の後端面噴出通路71における後端面62bでの開口密度を、本変形例と同様に、設定してもよい。
また、以上では、いずれも、後側通路90iを設けると共に、この後側通路90iに対して複数の後端面噴出通路71を連通させる場合の例である。しかしながら、例えば、腹側通路78pや背側通路78nに対して、周方向端面63で開口する複数の側端面噴出通路を連通させる場合も以上と同様にしてもよい。すなわち、腹側通路78pや背側通路78nを形成する通路形成面のうち、反流路側を向き周方向端面63に近づくに連れて次第に反ガスパス面64iから遠ざかる第一形成面で、複数の側端面噴出通路を開口させてもよい。
「動翼の実施形態」
以下、本発明に係る動翼の実施形態及び各種変形例について、図22〜図24を参照して説明する。なお、以下で説明する動翼は、いずれも、上記「ガスタービンの実施形態」で説明した動翼の具体例である。
図22に示すように、本実施形態の動翼150は、径方向Drに延びる翼体151と、翼体151の径方向内側Driに形成されているプラットフォーム160と、プラットフォーム160の径方向内側Driに形成されている翼根157と、を有している。翼体151は、燃焼ガス流路49(図2参照)内に配置されている。プラットフォーム160は、環状の燃焼ガス流路49の径方向内側Driの位置を画定する。よって、プラットフォーム160は、燃焼ガス流路49の一部を画定する流路形成板である。
翼体151は、翼形を成す。この翼体151は、軸方向上流側Dauの端部が前縁部152を成し、軸方向下流側Dadの端部が後縁部153を成す。この翼体151の表面で、周方向Dcを向く面のうち、凸状の面が背側面154(=負圧面)を成し、凹状の面が腹側面155(=正圧面)を成す。なお、以下の説明の都合上、周方向Dcで翼体151の腹側(=正圧面側)を周方向腹側Dcp、翼体151の背側(=負圧面側)を周方向背側Dcnとする。この動翼150の周方向背側Dcnは、ロータ軸32の回転方向前側である。一方、静翼50の周方向背側Dcnは、ロータ軸32の回転方向後側である。なお、この動翼150の周方向背側Dcnは、周方向Dcにおいて、静翼50の周方向背側Dcnとは逆側である。
プラットフォーム160は、軸方向Da及び周方向Dcに広がる板状のプラットフォーム本体161と、プラットフォーム本体161の軸方向下流側Dadの端から軸方向下流側Dadに突出する後突出部167bと、プラットフォーム本体161の軸方向上流側Dauの端から軸方向上流側Dauに突出する前突出部167fと、を有する。
プラットフォーム本体161は、軸方向上流側Dauの端面である前端面162fと、下流側Dadの端面である後端面162bと、周方向Dcで互いに相反する側を向いている一対の周方向端面163と、径方向外側Droを向くガスパス面164pと、径方向内側Driを向く反ガスパス面164iと、が形成されている。一対の周方向端面163のうち、周方向腹側Dcpの端面は腹側端面163pを成し、周方向背側Dcnの端面は背側端面163nを成す。前端面162fと後端面162bとは、ほぼ平行である。また、腹側端面163pと背側端面163nとは、ほぼ平行である。よって、プラットフォーム本体161は、径方向Drから見た場合、図24に示すように、平行四辺形状を成している。
動翼150には、図22及び図23に示すように、径方向Drに延びる複数の翼空気通路175が形成されている。各翼空気通路175は、いずれも、翼体151、プラットフォーム160、翼根157のうち、少なくとも翼体151からプラットフォーム160にかけて連なって形成されている。複数の翼空気通路175は、翼体151の翼型中心線に沿って並んでいる。隣接する翼空気通路175の一部は、翼体151内の径方向外側Droの部分、又はプラットフォーム160の径方向内側Driの部分で互いに連通している。また、複数の翼空気通路175のうち、いずれかは、翼体151、プラットフォーム160、翼根157にかけて連なって形成されて、翼根157の径方向内側Driの端で開口している。この翼空気通路175には、ロータ軸32(図2参照)の冷却空気通路からの冷却空気Acがこの開口から流入する。
ここで、複数の翼空気通路175は、三つあるものとする。三つの翼空気通路175のうち、最も軸方向上流側Dauの翼空気通路175を第一翼空気通路175aとする。以下、第二翼空気通路175b、第三翼空気通路175cが、この順で第一翼空気通路175aを基準にして軸方向下流側Dadに並んでいるとする。第三翼空気通路175cは、翼体151、プラットフォーム160、翼根157にかけて連なって形成されて、翼根157の径方向内側Driの端で開口している。第一翼空気通路175a及び第二翼空気通路175bは、いずれも、翼体151、プラットフォーム160にかけて連なって形成されている。第二翼空気通路175bは、径方向外側Droの部分で、第三翼空気通路175cの径方向外側Droの部分と連通している。また、第二翼空気通路175bは、径方向内側Driの部分で、第一翼空気通路175aの径方向内側Driの部分と連通している。
翼体151の前縁部152及び後縁部153には、翼空気通路175から燃焼ガス流路49へ貫通する複数の翼面噴出通路176が形成されている。翼体151は、翼空気通路175内を冷却空気Acが流れる過程で冷却される。また、翼空気通路175に流入した冷却空気Acは、この翼面噴出通路176から燃焼ガス流路49内に流出する。このため、翼体151の前縁部152及び後縁部153は、冷却空気Acが翼面噴出通路176を流れる過程で冷却される。さらに、翼面噴出通路176から燃焼ガス流路49に流出した冷却空気Acの一部は、翼体151の表面を部分的に覆ってフィルム空気としての役目も果たす。
プラットフォーム本体161には、図24に示すように、腹側通路178pと、背側通路178nと、後側通路190と、複数の後端面噴出通路171とが形成されている。腹側通路178p及び背側通路178nは、いずれも、複数の翼空気通路175のうち、最も軸方向上流側Dauの第一翼空気通路175aと連通している。腹側通路178pは、第一翼空気通路175aから周方向腹側Dcpに向かって、腹側端面163p近くまで延びる周方向通路部173pと、この周方向通路部173pの周方向腹側Dcpの端から腹側端面163pに沿って軸方向Da成分を有する方向に延びる軸方向通路部174pとを有する。背側通路178nは、第一翼空気通路175aから周方向背側Dcnに向かって、背側端面163n近くまで延びる周方向通路部173nと、この周方向通路部173nの周方向背側Dcnの端から背側端面163nに沿って軸方向Da成分を有する方向に延びる軸方向通路部174nとを有する。後側通路190は、翼体151の後縁部153よりも軸方向下流側Dadで、プラットフォーム本体161の後端面162bに沿って周方向Dcに延びる。この後側通路190の周方向腹側Dcpの端は、腹側通路178pの軸方向下流側Dadの端と連通している。また、この後側通路190の周方向背側Dcnの端は、背側通路178nの軸方向下流側Dadの端と連通している。複数の後端面噴出通路171は、いずれも、後側通路190に連通している。複数の後端面噴出通路171は、いずれも、後側通路190から軸方向下流側Dadに延びて、プラットフォーム本体161の後端面162bで開口している。複数の後端面噴出通路171は、周方向Dcに並んでいる。後側通路190の通路断面積は、後端面噴出通路171の通路断面積より大きい。
後側通路190の断面形状は、基本的に、図7を用いて説明した静翼50における内側シュラウド60iの後側通路90iの断面形状と同じである。すなわち、この後側通路190の断面形状は、不等四角形状を成している。この後側通路190を画定する複数の通路形成面のうち、一の通路形成面は、径方向内側Dri(反流路側)を向き、軸方向下流側Dad(端面側)に向かうに連れて次第にガスパス面164pから遠ざかる第一形成面191(図23参照)である。複数の後端面噴出通路171は、この第一形成面191で開口している。
このため、本実施形態の動翼150においても、冷却効果の高い後端面噴出通路171の通路長が長くなる。また、本実施形態では、径方向Drから見て、後側通路190と後端面噴出通路171とが重なり合う部分が存在する。従って、本実施形態の動翼150においても、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面164pの軸方向下流側Dadの部分を効果的に冷却することができる。
本実施形態では、複数の翼空気通路175のうち、最も軸方向上流側Dauの第一翼空気通路175aに、腹側通路178p及び背側通路178nを連通させ、これら腹側通路178p及び背側通路178nに対して、後側通路190を連通させている。しかしながら、複数の翼空気通路175のうち、第二翼空気通路175b又は第三翼空気通路175cに、腹側通路及び背側通路を連通させ、これら腹側通路及び背側通路に対して、後側通路190を連通させてもよい。
本実施形態の動翼150における後側通路190の断面形状は、前述したように、図7を用いて説明した静翼50における内側シュラウド60iの後側通路90iの断面形状と同じである。但し、動翼150における後側通路190の断面形状は、図8〜図13を用いた静翼50における後側通路の断面形状と同様に、各種形状であってもよい。
また、動翼150における後側通路190に対して、図18及び図19に示す内側シュラウド60iaと同様に、第一ガスパス面噴出通路を連通させてもよい。すなわち、後側通路190に連通し、プラットフォーム160のガスパス面164pで開口する第一ガスパス面噴出通路を設けてもよい。さらに、動翼150の複数の後端面噴出通路171の開口密度を、図21に示す内側シュラウド60icと同様に、プラットフォーム本体161の後端面162b中における中領域MP、背側領域NP及び腹側領域PPで変えてよい。
また、以上では、いずれも、後側通路190を設けると共に、この後側通路190に対して複数の後端面噴出通路171を連通させる場合の例である。しかしながら、例えば、腹側通路178pや背側通路178nに対して、周方向端面で開口する複数の側端面噴出通路を連通させる場合も以上と同様にしてもよい。すなわち、腹側通路178pや背側通路178nを形成する通路形成面のうち、反流路側を向き周方向端面に近づくに連れて次第に反ガスパス面164iから遠ざかる第一形成面で、複数の側端面噴出通路を開口させてもよい。
「分割環の実施形態及び各種変形例」
以下、本発明に係る分割環の実施形態及び各種変形例について、図25〜図29を参照して説明する。なお、以下で説明する分割環は、いずれも、上記「ガスタービンの実施形態」で説明した分割環の具体例である。
図25に示すように、分割環250は、動翼34の径方向外側Droに位置して、動翼34と径方向Drで対向する。複数の分割環250は、周方向Dcに並び、軸線Arを中心として環状に構成される。この分割環250は、環状の燃焼ガス流路49の径方向外側Droの縁を画定する。よって、この分割環250は、流路形成板を成す。
分割環250は、板状の分割環本体261と、周壁265と、を有する。分割環本体261も、静翼50の内側シュラウド本体61iと同様、前端面262fと、後端面262bと、一対の周方向端面263と、ガスパス面264pと、反ガスパス面264iと、から形成されている。分割環本体261は、径方向Drから見た場合、長方形又は正方形状を成している。ここで、周方向Dcのうち、タービンロータ31の回転方向の前側を回転方向前側Dcaとし、タービンロータ31の回転方向の後側を回転方向後側Dcrとする。また、一対の周方向端面263のうち、回転方向前側Dcaの周方向端面を回転前側端面263aとし、回転方向後側Dcrの周方向端面を回転後側端面263rとする。
周壁265は、分割環本体261の反ガスパス面264iから径方向外側Droに突出している。この周壁265は、分割環本体261の端面に沿って設けられている。周壁265は、軸方向Daで互いに対向する前壁265f及び後壁265bと、周方向Dcで互いに対向する一対の側壁265a,265rと、を有する。前壁265fは、分割環本体261の前端面262fに沿って設けられている。後壁265bは、分割環本体261の後端面262bに沿って設けられている。一対の側壁265a,265rのうち、一方の側壁は、回転前側端面263aに沿って設けられている回転前側壁265aを成し、他方の側壁は、回転後側端面263rに沿って設けられている回転後側壁265rを成す。前壁265f及び後壁265bは、いずれも、分割環本体261に対して、一対の側壁265a,265rよりも径方向外側Droに突出しており、フック部を成す。このフック部は、図2を用いて説明した遮熱環43に取り付けられる。回転前側壁265aには、図27に示すように、回転方向後側Dcrに凹み、軸方向Daに延びるシール溝268が形成されている。また、回転後側壁265rには、回転方向前側Dcaに凹み、軸方向Daに延びるシール溝268が形成されている。シール溝268には、シール板269が嵌め込まれる。分割環250には、分割環本体261と周壁265とにより、径方向内側Driに向かって凹む凹部266が形成されている。
分割環250は、さらにインピンジ板281を備える。インピンジ板281は、凹部266内の空間を径方向外側Droの領域と径方向内側Driの領域である内側キャビティ267とに仕切る。このインピンジ板281には、径方向Drに貫通する複数の貫通孔282が形成されている。分割環250の径方向外側Droに存在する冷却空気Acの一部は、このインピンジ板281の貫通孔282を経て、内側キャビティ267内に流入する。
分割環本体261には、図26に示すように、前側通路240と、複数の前側連通路276と、回転前側通路290と、複数の回転前側連通路278と、複数の後端面噴出通路277と、複数の側端面噴出通路271と、が形成されている。
前側通路240は、図26及び図28に示すように、分割環本体261の前端面262fに沿って周方向Dcに延びている。複数の前側連通路276は、内側キャビティ267と前側通路240とを連通させる。複数の前側連通路276は、軸方向Daに延びている。複数の前側連通路276の軸方向上流側Dauの端は、前側通路240につながっている。また、複数の前側連通路276の軸方向下流側Dadの端は、内側キャビティ267に連通している。具体的に、複数の前側連通路276の軸方向下流側Dadの端は、前壁265fの面であって凹部266に面する内面と、この凹部266の底面との角の近傍で開口している。複数の後端面噴出通路277は、軸方向Daに延びている。複数の後端面噴出通路277の軸方向上流側Dauの端は、前側通路240に連通している。複数の後端面噴出通路277の軸方向下流側Dadの端は、分割環本体261の後端面262bで開口している。前側通路240の通路断面積は、後端面噴出通路277の通路断面積よりも大きい。
内側キャビティ267に流入した冷却空気Acの一部は、複数の前側連通路276を経て、前側通路240に流入する。この際、前側連通路276からの冷却空気Acが前側通路240を形成する通路形成面の一部に衝突して、この通路形成面の一部をインピンジ冷却する。冷却空気Acは、前側通路240から複数の後端面噴出通路277に流入する。冷却空気Acは、この後端面噴出通路277を流れる過程で、分割環本体261のガスパス面264pに沿った部分を対流冷却する。冷却空気Acは、後端面262bの開口から流出する。
回転前側通路290は、図26及び図27に示すように、分割環本体261の回転前側端面263aに沿って軸方向Daに延びている。複数の回転前側連通路278は、内側キャビティ267と回転前側通路290とを連通させる。複数の回転前側連通路278は、周方向Dcに延びている。複数の回転前側連通路278の回転方向前側Dcaの端は、回転前側通路290につながっている。また、複数の回転前側連通路278の回転方向後側Dcrの端は、内側キャビティ267に連通している。具体的に、複数の回転前側連通路278の回転方向後側Dcrの端は、回転前側壁265aの面であって凹部266に面する内面と、この凹部266の底面との角の近傍で開口している。複数の側端面噴出通路271は、周方向Dcに延びている。複数の側端面噴出通路271の回転方向後側Dcrの端は、回転前側通路290に連通している。複数の側端面噴出通路271の回転方向前側Dcaの端は、分割環本体261の回転前側端面263aで開口している。回転前側通路290の通路断面積は、回転前側連通路278の通路断面積及び側端面噴出通路271の通路断面積より大きい。
回転前側通路290の断面形状は、不等五角形状を成している。このため、この回転前側通路290は、第一形成面291、第二形成面292、第四形成面294、第五形成面295、第六形成面296を含む複数の通路形成面で画定される。この回転前側通路290の通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面291に含まれる辺、第二形成面292に含まれる辺、第四形成面294に含まれる辺、第五形成面295に含まれる辺、第六形成面296に含まれる辺は、いずれも、実質的に直線である。また、第一形成面291、第二形成面292、第四形成面294、第五形成面295、第六形成面296は、いずれ、軸方向Daに延びる平面である。第一形成面291は、径方向外側Dro(反流路側)を向き、第一端面である回転前側端面263aに近づく側である端面側に向かうに連れて次第にガスパス面264pから遠ざかる。第二形成面292は、第一形成面291の回転方向後側Dcrの端から回転方向後側Dcrに広がっている。この第二形成面292は、ガスパス面264pと実質的に平行である。第四形成面294は、第二形成面292の回転方向後側Dcrの端から径方向外側Droに広がっている。この第四形成面294は、回転前側壁265aの面であって凹部266に面する内面と平行である。第六形成面296は、第四形成面294の径方向外側Droの端から回転方向前側Dcaに広がる。この第六形成面296は、ガスパス面264p及び第二形成面292と実質的に平行である。第五形成面295は、第六形成面296の回転方向前側Dcaの端から径方向内側Driに広がる。この第五形成面295は、第四形成面294と実質的に平行である。第五形成面295の径方向内側Driの端は、第一形成面291の回転方向前側Dcaの端につながっている。
回転前側連通路278は、回転前側通路290を形成する通路形成面のうち、第四形成面294で開口している。側端面噴出通路271は、回転前側通路290を形成する通路形成面のうち、第一形成面291で開口している。
内側キャビティ267に流入した冷却空気Acの一部は、複数の回転前側連通路278を経て、回転前側通路290に流入する。冷却空気Acは、この回転前側通路290を流れる過程で、分割環本体261の回転前側通路290に沿った部分を冷却する。冷却空気Acは、回転前側通路290から複数の側端面噴出通路271に流入する。冷却空気Acは、この側端面噴出通路271を流れる過程で、分割環本体261のガスパス面264p中で回転方向前側Dcaの部分を対流冷却する。冷却空気Acは、分割環本体261の回転前側端面263aの開口から流出する。側端面噴出通路271を流れる冷却空気Acによる冷却の効果は、回転前側通路290を流れる冷却空気Acによる冷却の効果よりも高い。
側端面噴出通路271は、径方向外側Dro(反流路側)を向き、回転方向前側Dca(端面側)に向かうに連れて次第にガスパス面264pから遠ざかる第一形成面291で開口している。このため、本実施形態では、冷却効果の高い側端面噴出通路271の通路長が長くなる。従って、本実施形態の分割環250では、先に説明した内側シュラウド60iと同様、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面264pの回転方向前側Dcaの部分を効果的に冷却することができる。
なお、本実施形態の分割環250における回転前側通路290の断面形状は、図7〜図13に示す静翼50における後側通路90iの断面形状と同様に、各種形状であってもよい。
また、本実施形態の分割環250は、この分割環250における回転前側通路290に対して、図18及び図19に示す内側シュラウド60iaと同様に、一端が回転前側通路290に連通し、他端がガスパス面264pに開口する第一ガスパス面噴出通路を備えてもよい。
次に、図29を参照して、分割環250の変形例について説明する。
本変形例の分割環250aには、上記実施形態の分割環250と同様、前側通路240aと、複数の前側連通路276とが形成されている。本変形例の分割環250aには、さらに、複数の前端面噴出通路249が形成されている。複数の前端面噴出通路249は、軸方向Daに延びている。複数の前端面噴出通路249の軸方向下流側Dadの端は、前側通路240aに連通している。また、複数の前端面噴出通路249の軸方向上流側Dauの端は、分割環本体261の前端面262fで開口している。前側通路240aの通路断面積は、前端面噴出通路249の断面積より大きい。
本変形例の前側通路240aの断面形状は、台形状を成している。このため、この前側通路240aは、第一形成面241、第二形成面242、第四形成面244、第六形成面246を含む複数の通路形成面で画定される。この前側通路240aの通路断面を形成する複数の辺のうち、第一形成面241に含まれる辺、第二形成面242に含まれる辺、第四形成面244に含まれる辺、第六形成面246に含まれる辺は、いずれも、実質的に直線である。第一形成面241、第二形成面242、第四形成面244、第六形成面246は、いずれも周方向Dcに延び、周方向Dcに向うに連れて次第に曲がる曲面である。第一形成面241は、径方向外側Dro(反流路側)を向き、第一端面である前端面262fに近づく側である端面側に向かうに連れて次第にガスパス面264pから遠ざかる。第二形成面242は、第一形成面241の軸方向下流側Dadの端から軸方向下流側Dadに広がっている。この第二形成面242は、ガスパス面264pと実質的に平行である。第四形成面244は、第二形成面242の軸方向下流側Dadの端から径方向外側Droに広がっている。この第四形成面244は、前壁265fの面であって凹部266に面する内面と平行である。第六形成面246は、第四形成面244の径方向外側Droの端から軸方向上流側Dauに広がる。この第六形成面246は、ガスパス面264p及び第二形成面242と実質的に平行である。この第六形成面246の軸方向上流側Dauの端は、第一形成面241の軸方向上流側Dauの端につながっている。
前側連通路276は、前側通路240aを形成する通路形成面のうち、第四形成面244で開口している。後端面噴出通路277も、前側通路240aを形成する通路形成面のうち、第四形成面244で開口している。また、前端面噴出通路249は、前側通路240aを形成する通路形成面のうち、第一形成面241で開口している。
前側通路240aの流入した冷却空気Acの一部は、上記実施形態と同様に、複数の後端面噴出通路277に流入する。また、前側通路240aに流入した冷却空気Acの他の一部は、前端面噴出通路249に流入する。冷却空気Acは、この前端面噴出通路249を流れる過程で、分割環本体261のガスパス面264p中で軸方向上流側Dauの部分を対流冷却する。冷却空気Acは、分割環本体261の前端面262fの開口から流出する。
前端面噴出通路249は、径方向外側Dro(反流路側)を向き、軸方向上流側Dau(端面側)に向かうに連れて次第にガスパス面264pから遠ざかる第一形成面241で開口している。このため、本変形例では、冷却効果の高い前端面噴出通路249の通路長が長くなる。従って、本変形例の分割環250aでは、冷却空気Acの流量を増加させずに、ガスパス面264pの軸方向上流側Dauの部分を効果的に冷却することができる。
なお、本変形例の分割環250aにおける前側通路240aの断面形状は、図7〜図13に示す静翼50における後側通路90iの断面形状と同様に、各種形状であってもよい。
また、本実施形態の分割環250aは、この本変形例の分割環250aにおける前側通路240aに対して、図18及び図19に示す内側シュラウド60iaの第一変形例と同様に、一端が回転前側通路290に連通し、他端がガスパス面264pに開口する第一ガスパス面噴出通路を備えてもよい。
「流路形成板の製造方法の実施形態及び各種変形例」
以上で説明した流路形成板の製造方法について、図30に示すフローチャートに従って説明する。なお、以上で説明した流路形成板とは、静翼50における内側シュラウド60i及び外側シュラウド60o、動翼150におけるプラットフォーム160、及び分割環250である。
まず、流路形成板の外形状にあった中間品を形成する(S1:外形形成工程)。この外形形成工程(S1)では、まず、流路形成板の外形状に合った内部空間が形成されている鋳型を形成する。鋳型は、例えば、ロストワックス法で形成する。次に、鋳型内に溶融金属を流し込む。この際、中間品の内部に空間を形成する必要がある場合には、鋳型内にこの空間の形状に合った中子をセットしてから、溶融金属を流し込む。溶融金属が硬化すると中間品が出来上がる。なお、鋳型内に中子をセットした場合には、溶融金属が硬化した後、この中子を化学薬品で溶解させる。この中間品には、流路形成板の外面を成すガスパス面、反ガスパス面及び各種端面等が形成されている。
次に、中間品のガスパス面と反ガスパス面との間で、端面の一部である第一端面に沿った方向に延び、冷却空気Acが流れる第一側通路を形成する(S2:側通路形成工程)。ここで、第一端面とは、例えば、上記実施形態における内側シュラウド60iの後端面62bである。また、第一側通路とは、例えば、上記実施形態における内側シュラウド60iの後側通路90iである。この側通路形成工程(S2)では、第一側通路を形成する通路形成面の一部として、ガスパス面を基準にして反ガスパス面の側である反流路側を向き、第一端面に近づく側に向かうに連れて次第にガスパス面から遠ざかる第一形成面を形成する。
この第一側通路は、例えば、中間品に対して、放電加工や電解加工又は機械加工等を施すことにより、形成することができる。また、中間品を鋳造する際、鋳型内に、第一側通路の形状に合った中子をセットし、この中間品の鋳造過程で、第一側通路を形成することも可能である。この場合、側通路形成工程(S2)は、前述の外形形成工程(S1)中で行われることになる。なお、この側通路形成工程(S2)において、他の通路を併せて形成してもよい。
次に、中間品に、第一側通路に連通し、第一端面で開口する複数の端面噴出通路を形成する(S3:噴出通路形成工程)。ここで、端面噴出通路とは、上記実施形態における内側シュラウド60iの後端面噴出通路71である。この噴出通路形成工程(S3)では、複数の端面噴出通路の通路断面積が第一側通路の通路断面積より小さくなるよう、複数の端面噴出通路を形成する。さらに、複数の端面噴出通路を第一側通路の第一形成面で開口させる。
この端面噴出通路は、例えば、中間品に対して、放電加工や電解加工又は機械加工等を施すことにより、形成することができる。なお、この噴出通路形成工程(S3)において、他の通路を併せて形成してもよい。
次に、側通路形成工程(S2)及び噴出通路形成工程(S3)を経た中間品に対して仕上げ処理を施して、流路形成板を完成させる(S4:仕上工程)。仕上工程(S4)では、例えば、中間品の外面を機械加工等で研磨する。また、必要に応じて、中間品の外面に耐熱コーティングを施す。