JP6935442B2 - 火災報知システム - Google Patents
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Description
以下、実施形態の火災報知システムについて説明する。
図1は、第1の実施形態の火災報知システムの一例を示す図である。第1の実施形態の火災報知システム1は、燃焼ガス検出センサ10と、第1のケミカルセンサ20と、コントローラ30と、警報器40とを備える。コントローラ30は、閾値制御部31aと、比較部32とを備える。
燃焼ガス検出センサ10は、燃焼ガスを検出すると、コントローラ30の比較部32に検出信号を出力する。ここで、燃焼ガスは、物質が燃焼して発生する、気体中に浮遊している粒子、例えばススや金属などの粒子を示す。このような燃焼ガスは、第1のガスを含み得る。第1のガスは、火災の際に発生する可能性が低い燃焼ガスの粒子をいう。
第1のケミカルセンサ20は、第1のガスを検出すると、コントローラ30の閾値制御部31aに検出信号を出力する。閾値制御部31aは、閾値を比較部32に出力する。コントローラ30の比較部32は、燃焼ガス検出センサ10からの検出信号と、閾値制御部31aからの閾値とに基づいて、警報器40に作動信号を出力するか、あるいは出力しない。警報器40は、コントローラ30の比較部32からの作動信号に基づいて作動する。
(S1):火災報知システム1の設置空間に燃焼ガスが発生すると、燃焼ガスは燃焼ガス検出センサ10のフィルタ15を通って検出領域内に侵入する。(S2):発光素子11の点灯時において、照射光13が検出領域内の燃焼ガス17によって散乱する。(S3):受光素子12は散乱光18を受光する。受光素子12で受光された散乱光18の強度は、検出領域に侵入した燃焼ガス17の量に相関し、燃焼ガスの量が多いほど、受光される散乱光18の強度が増大する。(S4)検出された散乱光18の強度は、コントローラ30の比較部32に検出信号として出力される。
光電式分離型の燃焼ガス検出センサは、例えば、空間内に光ビームを放出する送光部と、当該送光部と対向して配置された受光部とを備える。この空間は、送光部と受光部の間に位置する空間をいう。空間内で送光部から光ビームを受光部に向けて放出し、空間内に火災に伴って燃焼ガスが発生した時に、光ビームの強度が燃焼ガスにより減衰する。光ビームの強度の減衰は、燃焼ガスの量に相関し、燃焼ガス量が多いほど、光ビームの強度の減衰度合いが大きくなり、その検出信号を第1の実施形態の同様に利用する。
イオン化式の燃焼ガス検出センサは、例えば、α線により空気を電離してイオンを発生し、イオン発生空間に燃焼ガスが侵入すると、電離したイオンに燃焼ガスが吸着してイオン量が低下する。このため、イオン発生空間の電流値を燃焼ガスの侵入前後で測定してイオン電流値の変化を検出し、その検出信号を第1の実施形態と同様に利用する。
なお、第1のケミカルセンサ20は、第1の受容体27が液膜28によって濡れている状態を維持するために、液膜28として吸湿性を有するイオン液体を備えていてもよい。第1の受容体27が液膜28によって濡れている状態は、第1の受容体27が液膜28によって覆われている状態を示す。
また、第1の受容体27が感応膜22に接続されている状態は、第1の受容体27が感応膜22に化学結合により接続している状態であってもよく、感応膜22の表面22a上に配置されている状態であってもよい。
基板21は、例えば、矩形の板状である。基板21は、例えば、シリコン、ガラス、セラミックス、高分子材料又は金属等から形成されている。基板21の大きさは、限定されるものではないが、例えば、1〜10mm×1〜10mm×0.1〜0.5mm(幅×長さ×厚さ)である。
また、第1の受容体27は、第1のガス29と結合するものであればよく、例えば、抗体や核酸アプタマであってもよく、分子インプリントのような人工物であってもよい。第1の受容体27が、分子インプリントのような人工物である場合、当該第1の受容体27は、乾燥によって変性又は損傷し難い。
(S1):火災報知システム1の設置空間に第1のガス29が発生すると、当該液膜に接触する。第1のガス29は、液膜28に接触し、さらに液膜28に入り込む(図6の(a)、(b))。その後、第1のガス29は第1の受容体27に結合する(図6の(c))。一方、他のガス61(夾雑物、又は第2のガス)は、第1の受容体27に結合しない(図6の(d))。第1のガス29と第1の受容体27との結合(図6の(c))によって感応膜22の物性が変化する。ここで、物性とは、例えば感応膜の電気抵抗等である。
閾値制御部31aは、第1のケミカルセンサ20からの検出信号が入力され、かつ燃焼ガス検出センサ10からの検出信号が入力される比較部32に設定した閾値を出力する。閾値は、燃焼ガス検出センサ10による検出が前述したように散乱光の強度であるため、散乱光の強度に相関した閾値が予め設定される。閾値の設定にあたって、燃焼ガス検出センサ10による散乱光の強度は燃焼ガスによって増大することを考慮に入れる。このようなことから閾値制御部31aは、第1のガスに加えて煙を考慮に入れた基準閾値を設定し、第1のケミカルセンサ20で第1のガスを検出し、その検出信号が閾値制御部31aに入力された時、基準閾値よりも高い閾値になるように制御する。ここで、コントローラ30の閾値制御部31aの動作について下記表1に示す。
一方、第1の実施形態の火災報知システム1は、このような燃焼ガス検出センサ10と、第1のケミカルセンサ20と、コントローラ30と、警報器40とを含み、ビル、工場、家屋等の建物内に設置される。第1の実施形態の火災報知システム1は、第1のケミカルセンサ20が、第1のガス29を検出すると、その検出信号をコントローラ30の閾値制御部31aに出力する。第1のケミカルセンサ20の検出信号が入力された閾値制御部31aは、設定された基準閾値よりも高い閾値になるように制御し、その高い閾値を比較部32に出力する。この比較部32は、燃焼ガス検出センサ10からの検出信号が入力され、高い閾値と比較する。このとき、検出信号と比較される閾値は基準閾値に比べて十分に高い値であるため、燃焼ガス検出センサ10からの検出信号は、当該閾値を超えることがない。その結果、比較部32から警報器40へのその作動信号が出力されず、第1のガスによる警報器40の誤作動を低減させることができる。
図9は、第2の実施形態の火災報知システムの一例を示す図である。第2の実施形態の火災報知システム2は、燃焼ガス検出センサ10と、第1のケミカルセンサ20と、コントローラ30と、警報器40とを備える。コントローラ30は、制御部33aと、比較部34とを備える。図9において、図1と同様なものは同符号を付して説明を省略する。
図10は、第3の実施形態の火災報知システムの一例を示す図である。第3の実施形態の火災報知システム3は、燃焼ガス検出センサ10と、第1のケミカルセンサ20と、コントローラ30と、警報器40と、第2のケミカルセンサ50とを備える。コントローラ30は、閾値制御部31bと、比較部32とを備える。図10において、図1と同様なものは同符号を付して説明を省略する。
第2のケミカルセンサ50は、第2のガスを検出すると、コントローラ30の閾値制御部31bに検出信号を出力する。ここで、第2のガスは、火災の際に発生する可能性が高い燃焼ガスの粒子をいう。上述した燃焼ガスは、この第2のガスを含み得る。コントローラ30の比較部32は、燃焼ガス検出センサ10からの検出信号と、閾値制御部31bからの閾値とに基づいて、警報器40に作動信号を出力するか、あるいは出力しない。警報器40は、コントローラ30の比較部32からの作動信号に基づいて作動する。
また、第2の受容体57は、第2のガス59と結合するものであればよく、例えば、抗体や核酸アプタマであってもよく、分子インプリントのような人工物であってもよい。第2の受容体57が、分子インプリントのような人工物である場合、当該第2の受容体57は、乾燥によって変性又は損傷し難い。
当該芳香族化合物は、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトフェノン、ベンジルアルコール、4−エチル−メトキシフェノール、2−メトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、ナフタレン等である。
当該脂肪族化合物は、例えば、イソペンタン、ペンタン、1−ペンテン、プロパン、ヘキサン等である。
当該アルデヒド化合物は、例えば、プロピオンアルデヒド、フルフリルアルデヒド、N−ブチルアルデヒド、N−バレルアルデヒド、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンアルデヒド等である。
(S1):火災報知システム2の設置空間に第2のガス59が発生すると、当該液膜に接触する。第2のガス59は、液膜28に接触し、さらに液膜28に入り込む(図13の(a)、(b))。その後、第2のガス59は第2の受容体57に結合する(図13の(c))。一方、他のガス63(夾雑物、又は第1のガス)は、第2の受容体57に結合しない(図13の(d))。第2のガスと第2の受容体57との結合(図13の(c))によって感応膜22の物性が変化する。ここで、物性とは、例えば感応膜の電気抵抗等である。
さらに、第2のケミカルセンサ50は、図15に示すように、第1のケミカルセンサ20とともに燃焼ガス検出センサ10内に配置されていることがさらに好ましい。第2のケミカルセンサ50を第1のケミカルセンサ20とともに燃焼ガス検出センサ10内に配置することにより、一体型の火災報知システム2として、ビル、工場、家屋内の所望の位置に取り付けることが可能になる。
閾値制御部31bは、第1のケミカルセンサ20及び第2のケミカルセンサ50からの検出信号がそれぞれ入力され、かつ燃焼ガス検出センサ10からの検出信号が入力される比較部32に設定した閾値を出力する。閾値は、燃焼ガス検出センサ10による検出が前述したように散乱光の強度であるため、散乱光の強度に相関した閾値が予め設定される。閾値の設定にあたって、燃焼ガス検出センサ10による散乱光の強度は燃焼ガスのみならず、第2のガスによっても増大することを考慮に入れる。このようなことから閾値制御部31bは、燃焼ガス及び第2のガスを考慮に入れた基準閾値を設定し、第1のケミカルセンサ20で第1のガスを検出し、その検出信号が閾値制御部31bに入力された時、基準閾値よりも高い閾値になるように制御する。
また、閾値制御部31bは、第2のケミカルセンサ50で第2のガスを検出し、その検出信号が閾値制御部31bに入力された時、基準閾値よりも低い閾値になるように制御する。
さらに、閾値制御部31bは、第1のケミカルセンサ20で第1のガスを検出し、かつ第2のケミカルセンサ50で第2のガスを検出し、その検出信号がそれぞれ閾値制御部31bに入力された時、基準閾値を維持するように制御する。ここで、コントローラ30の閾値制御部31bの動作について下記表2に示す。
図17は、第4の実施形態の火災報知システムの一例を示す図である。第4の実施形態の火災報知システム4は、燃焼ガス検出センサ10と、第1のケミカルセンサ20と、コントローラ30と、警報器40と、第2のケミカルセンサ50とを備える。コントローラ30は、制御部33bと、比較部34とを備える。図17において、図1、8と同様なものは同符号を付して説明を省略する。
また、制御部33bは、第2のケミカルセンサ50からの検出信号が入力され、燃焼ガス検出センサ10の受光素子12に受光感度を増加させる信号を出力する。このようなことから制御部33aは、第2のケミカルセンサ50で第2のガスを検出し、その検出信号が燃焼ガス検出センサ10に入力された時、燃焼ガス検出センサ10の受光素子12に受光感度を増加させるように制御する。
さらに、制御部33bは、第1のケミカルセンサ20からの検出信号と第2のケミカルセンサ50からの検出信号がそれぞれ入力されると、燃焼ガス検出センサ10の受光素子12に受光感度を低下又は増加させる信号を出力しない。このようなことから制御部33aは、第2のケミカルセンサ50で第2のガスを検出し、その検出信号が燃焼ガス検出センサ10に入力された時、燃焼ガス検出センサ10の受光素子12に受光感度を維持するように制御する。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
燃焼ガス検出センサと、
第1のガスを検出する第1のケミカルセンサと、
前記燃焼ガス検出センサ及び前記第1のケミカルセンサの検出信号に基づいて作動する警報器と
を備える火災報知システム。
[2]
前記燃焼ガス検出センサ及び前記第1のケミカルセンサからそれぞれの検出信号が入力され、かつ前記警報器にその作動信号を出力するコントローラをさらに備える[1]に記載の火災報知システム。
[3]
燃焼ガス検出センサと、
第1のガスを検出する第1のケミカルセンサと、
第2のガスを検出する第2のケミカルセンサと、
前記燃焼ガス検出センサ、前記第1のケミカルセンサ、及び前記第2のケミカルセンサの検出信号に基づいて作動する警報器と、を備える火災報知システム。
[4]
前記燃焼ガス検出センサ、前記第1のケミカルセンサ、及び前記第2のケミカルセンサからそれぞれの検出信号が入力され、かつ前記警報器にその作動信号を出力するコントローラをさらに備える[3]に記載の火災報知システム。
[5]
前記コントローラは、前記第1のケミカルセンサが第1のガスを検出し、その検出信号が入力されたときに、前記コントローラに設定された基準閾値を上げるように制御する[2]又は[4]に記載の火災報知システム。
[6]
前記コントローラは、前記第2のケミカルセンサが第2のガスを検出し、その検出信号が入力されたときに、前記コントローラに設定された基準閾値を下げるように制御する[4]に記載の火災報知システム。
[7]
前記コントローラは、前記第1のケミカルセンサが第1のガスを検出し、その検出信号が入力され、かつ前記第2のケミカルセンサが第2のガスを検出し、その検出信号が入力されたときに、前記コントローラに設定された基準閾値を維持する[4]に記載の火災報知システム。
[8]
前記第1のガスは、タンパク質の分解生成物、煙草の燃焼成分、又は殺虫・殺菌のための燻煙剤成分である[1]〜[7]のいずれか1つに記載の火災報知システム。
[9]
前記第2のガスは、芳香族化合物、脂肪族化合物、又はアルデヒド化合物である[3]、[4]、[6]及び[7]のいずれか1つに記載の火災報知システム。
[10]
前記第1のケミカルセンサは、第1の感応膜と、前記第1の感応膜の表面に接続された第1の受容体とを備える[1]〜[9]のいずれか1つに記載の火災報知システム。
[11]
前記第2のケミカルセンサは、第2の感応膜と、前記第2の感応膜の表面に接続された第2の受容体とを備える[3]、[4]、[6]、[7]及び[9]のいずれか1つに記載の火災報知システム。
[12]
前記第1のケミカルセンサは、前記第1の感応膜及び前記第1の受容体上を覆うフィルタをさらに備える[10]に記載の火災報知システム。
[13]
前記第2のケミカルセンサは、前記第2の感応膜及び前記第2の受容体上を覆うフィルタをさらに備える[11]に記載の火災報知システム。
[14]
前記第1のケミカルセンサは、前記燃焼ガス検出センサ内に配置されている[1]〜[13]のいずれか1つに記載の火災報知システム。
[15]
前記第2のケミカルセンサは、前記燃焼ガス検出センサ内に配置されている[3]、[4]、[6]、[7]、[9]、[11]、及び[13]のいずれか1つに記載の火災報知システム。
[16]
前記第1及び第2のケミカルセンサは、前記燃焼ガス検出センサ内にそれぞれ配置されている[3]、[4]、[6]、[7]、[9]、[11]、[13]及び[15]のいずれか1つに記載の火災報知システム。
10…燃焼ガス検出センサ
11…発光素子
12…受光素子
13…照射光
14a…第1の遮光板
14b…第2の遮光板
15…フィルタ
16…外枠
17…燃焼ガス
18…散乱光
20…第1のケミカルセンサ
21…基板
22…感応膜
23…ソース電極
24…ドレイン電極
25…ゲート電極
25a…絶縁体層
26…壁部
27…第1の受容体
28…液膜
29…第1のガス
30…コントローラ
31a、31b…閾値制御部
32、34…比較部
33a、33b…制御部
40…警報器
50…第2のケミカルセンサ
57…第2の受容体
59…第2のガス
61、63…他のガス
Claims (10)
- 燃焼ガス検出センサと、
第1のガスを検出する第1のケミカルセンサと、
第2のガスを検出する第2のケミカルセンサと、
前記燃焼ガス検出センサ、前記第1のケミカルセンサ、及び前記第2のケミカルセンサの検出信号に基づいて作動する警報器と、
前記燃焼ガス検出センサ、前記第1のケミカルセンサ、及び前記第2のケミカルセンサからそれぞれの検出信号が入力され、かつ前記警報器にその作動信号を出力するコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記第1のケミカルセンサが第1のガスを検出し、その検出信号が入力され、かつ前記第2のケミカルセンサが第2のガスを検出し、その検出信号が入力されたときに、前記コントローラに設定された基準閾値を維持する火災報知システム。 - 前記第1のガスは、タンパク質の分解生成物、煙草の燃焼成分、又は殺虫・殺菌のための燻煙剤成分である請求項1に記載の火災報知システム。
- 前記第2のガスは、芳香族化合物、脂肪族化合物、又はアルデヒド化合物である請求項1に記載の火災報知システム。
- 前記第1のケミカルセンサは、第1の感応膜と、前記第1の感応膜の表面に接続された第1の受容体とを備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の火災報知システム。
- 前記第2のケミカルセンサは、第2の感応膜と、前記第2の感応膜の表面に接続された第2の受容体とを備える請求項1又は3に記載の火災報知システム。
- 前記第1のケミカルセンサは、前記第1の感応膜及び前記第1の受容体上を覆うフィルタをさらに備える請求項4に記載の火災報知システム。
- 前記第2のケミカルセンサは、前記第2の感応膜及び前記第2の受容体上を覆うフィルタをさらに備える請求項5に記載の火災報知システム。
- 前記第1のケミカルセンサは、前記燃焼ガス検出センサ内に配置されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の火災報知システム。
- 前記第2のケミカルセンサは、前記燃焼ガス検出センサ内に配置されている請求項1、3、5及び7のいずれか1項に記載の火災報知システム。
- 前記第1及び第2のケミカルセンサは、前記燃焼ガス検出センサ内にそれぞれ配置されている請求項1、3、5、7及び9のいずれか1項に記載の火災報知システム。
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