JP6935284B2 - ホールスラスタ - Google Patents

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    • F03H1/0062Electrostatic ion thrusters grid-less with an applied magnetic field
    • F03H1/0075Electrostatic ion thrusters grid-less with an applied magnetic field with an annular channel; Hall-effect thrusters with closed electron drift

Description

本発明は、宇宙機の軌道制御や姿勢制御に使用されるホールスラスタに関する。
イオンエンジンやホールスラスタなどの静電加速型推進器は電気推進器の一種であり、プラズマ中のイオンを電気的に排出することで推力を得ている。電気推進器は、酸化剤や推進剤の燃焼を利用する化学推進器と比べて小型化が容易であり、高い推進効率(エネルギー変換効率)と高い比推力(低燃費)が得られることが知られている。そのため、宇宙空間での宇宙機の軌道制御や姿勢制御に適した推進器として注目されている(特許文献1参照)。
電気推進器が発生するプラズマの挙動は、電気推進器の耐久性や動作安定性に直接影響する。これに関連して非特許文献1は、ホールスラスタにおけるプラズマの噴出口付近の後方カバーをアルミナ(絶縁体)で構成した場合と、当該後方カバーをグラファイト(導電体)で構成してホールスラスタの筐体(本体)と同電位にした場合のそれぞれにおいて、陽極及び陰極を含む電気系統を電気的に浮遊させた(即ち接地電位から絶縁させた)状態で、(1)ホールスラスタの筐体(本体)を接地させたとき、(2)ホールスラスタの筐体も電気的に浮遊させたとき、(3)ホールスラスタの筐体を陰極電位に設定したとき、の推力の変化を報告している。
特開2009−85206号公報
Peter Y. Peterson,et al., "NASA's HERMeS Hall Thruster Electrical Configuration Characterization", 52nd AIAA/SAE/ASEE Joint Propulsion Conference, AIAA Propulsion and Energy Forum, (AIAA 2016-5027)
宇宙機は宇宙空間において数年以上稼働することが要求される。従って、有限の推進剤を効率良く利用することは推進器の開発における恒久的な課題の1つである。本発明もこの課題に鑑みて成されたものであり、推進効率を向上させることが可能なホールスラスタを提供することを目的とする。
本発明の一態様はホールスラスタであって、同心の内周壁及び外周壁によって画成され、閉鎖端と開口端とを含む環状チャネルと、前記環状チャネルの前記閉鎖端に位置する陽極と、前記環状チャネルに電子を供給する陰極と、前記環状チャネルの前記閉鎖端に連通する推進ガスの供給路と、前記外周壁よりも径方向外方に配置された外部磁極、前記内周壁よりも径方向内方に配置された内部磁極、および前記環状チャネルの前記閉鎖端側において前記外部磁極と前記内部磁極との間を磁気的に結合するヨークにより形成された磁気回路と、前記環状チャネルの前記開口端側に位置する前記外部磁極と前記内部磁極の各端面を覆い、且つ、電気的に絶縁されている導電性のカバーと、前記磁気回路に対して負電位となる電圧を前記カバーに印加する電源とを備えることを要旨とする。
前記カバーの素材は黒鉛を含んでもよい。
絶縁部材が、前記カバーと前記内部磁極の前記端面との間、及び、前記カバーと前記外部磁極の前記端面との間に設けられてもよい。
本発明によれば、推進効率を向上させることが可能なホールスラスタを提供することができる。
本発明の実施形態に係るホールスラスタの断面図と電気系統を示す図である。 本発明の実施形態に係るホールスラスタにおける開口端周辺の構造を示す拡大断面図であり、(a)は当該構造の第1例、(b)は当該構造の第2例を示す。 本発明の実施形態に係るカバー、並びに、環状チャネルの内周壁及び外周壁を説明するための図である。 本発明の実施形態に係るカバーを用いたホールスラスタと、当該カバーの代替物として絶縁体を用いたホールスラスタの試験結果を示すグラフであり、(a)は推力の比較結果、(b)は放電電流の比較結果を示す。 本発明の実施形態に係る電気系統の変形例を示す図である。
本発明の実施形態に係るホールスラスタについて添付図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1は本実施形態に係るホールスラスタ10を示す概略構成図である。図2は本実施形態に係るホールスラスタ10における開口端周辺の構造を示す拡大断面図であり、(a)は当該構造の第1例、(b)は当該構造の第2例を示す。図3は本実施形態に係るカバー、並びに、環状チャネルの内周壁及び外周壁を説明するための図である。
本実施形態に係るホールスラスタ10は、推進ガスのプラズマを発生し、電場によってプラズマ中のイオンを排出することで推力を得る推進器である。図1に示すように、ホールスラスタ10は、環状チャネル11と、陽極14と、陰極15と、推進ガスの供給路16と、磁気回路17と、カバー21とを備えている。なお、ホールスラスタ10の構成部材は、カバー21を除き、周知のものを採用できる。
説明の便宜上、ホールスラスタ10の推進方向における前方を環状チャネル11の閉鎖端11a側と称し、ホールスラスタ10の推進方向における後方(即ち、プラズマの排出方向)を、環状チャネル11の開口端11b側と称することがある。また、ホールスラスタ10は概ね軸対称な形状を有するため、説明の便宜上、ホールスラスタ10の対称軸として軸Zを規定し、軸Zに直交し且つ軸Zを起点とする径方向を定義する。
環状チャネル11は、軸Zを中心とする同心の内周壁12及び外周壁13によって画成される推進ガス及びそのプラズマの流路である。内周壁12及び外周壁13は何れも軸Zを中心とする筒状の構造を含み、軸Zに沿って延伸している。
軸Zに沿った環状チャネル11の長さ(奥行、深さ)は、イオンのサイクロトロン半径よりも短く、且つ、電子のサイクロトロン半径よりも長い値に設定される。また、軸Zに沿った環状チャネル11の長さは、径方向における環状チャネル11の長さ(幅)よりも十分に長い。また、環状チャネル11を画成する内周壁12及び外周壁13は、窒化ホウ素(BN)などのセラミックスによって形成される。つまり、本実施形態のホールスラスタ10は、所謂マグネティックレイヤー型のホールスラスタである。
内周壁12及び外周壁13はホールスラスタ10の前方(環状チャネル11の上流側)で接続しており、環状チャネル11を封じる閉鎖端11aを形成する。また、内周壁12及び外周壁13はホールスラスタ10の後方(環状チャネル11の下流側)で、環状チャネル11の開口端(開口)11bを形成し、開口端11bは推進ガス及びそのプラズマの排出口として機能する。なお、図2(a)に示すように、環状チャネル11の開口端11bにおける、内周壁12の端部12a及び外周壁13の端部13aは、軸Zに沿って単純に延伸していてもよい。また、図2(b)に示すように、内周壁12の端部12aが、ホールスラスタ10の後方に向かうに連れてZ軸に近づくように(即ち径方向内方に)傾斜(湾曲)し、且つ、外周壁13の端部13aが、ホールスラスタ10の後方に向かうに連れてZ軸から離れるように(即ち径方向外方に)傾斜(湾曲)していてもよい。
陽極14は、環状チャネル11内に設けられ、環状チャネル11の閉鎖端11aに位置する。陽極14は、環状チャネル11を介する陰極15との間にイオンの加速電場を発生させる。陽極14において環状チャネル11の閉鎖端11aを臨む表面には、推進ガスの供給路16が開口している。
陰極15は、環状チャネル11に電子を供給し、プラズマを中和する。陰極15は例えばホローカソードであり、周知の構成のものでよい。陰極15は、環状チャネル11の開口端11bから排出されるプラズマを中和する。陰極15には陰極回路31が接続される。陰極回路31は、電子放出部材(LaBなど)の加熱電源や電子の引出電源などで構成される。
陽極14と陰極15との間には加速回路32が直列に接続する。加速回路32は電源等で構成され、環状チャネル11を介した陽極14と陰極15との間に、ホールスラスタの前方から後方に向かうイオンの加速電場を形成する。
また、陰極15は、環状チャネル11の開口端11b近傍において、環状チャネル11よりも径方向外方、或いは、環状チャネル11よりも径方向内方に設けられる。前者の場合、陰極15は外部磁極18よりも径方向外方に位置する(図1参照)。後者の場合、陰極15は内部磁極19よりも径方向内方に位置する。この場合、内部磁極19の少なくとも後方側は管状に形成され、その中に陰極15が設置される。
推進ガスの供給路16は環状チャネル11の閉鎖端11aに連通し、環状チャネル11内に推進ガスを供給する。例えば上述のように、供給路16の開口は陽極14に形成される。なお、推進ガスには腐食性が少なく、電離しやすいガスが用いられる。このようなガスは、例えばキセノンやクリプトンなどの希ガスである。
磁気回路17は、外部磁極18と、内部磁極19と、ヨーク20とを含む。外部磁極18、内部磁極19、及びヨーク20は何れも鉄などの強磁性を有する材料を用いて形成される。
外部磁極18は、外周壁13よりも径方向外方に配置される。外部磁極18には磁場を発生するための外部コイル41が設置される。外部コイル41には電源等を含む励磁回路33が接続され、外部コイル41による磁場が制御されている。
内部磁極19は、内周壁12よりも径方向内方に配置される。内部磁極19にも磁場を発生するための内部コイル42が設置される。内部コイル42には電源等を含む励磁回路34が接続され、内部コイル42による磁場が制御されている。
ヨーク20は、環状チャネル11の閉鎖端11a側(換言すれば、ホールスラスタ10の前方側)に設けられ、外部磁極18と内部磁極19に接触し、両者を磁気的に結合する。ヨーク20は、例えば円板状に形成され、環状チャネル11よりも前方に位置する。
外部磁極18と内部磁極19は、ホールスラスタ10の前方側で、ヨーク20を介して磁気的に結合している。一方、両者は環状チャネル11の開口端11b近傍で、環状チャネル11を介して互いに離間している。従って、外部コイル41及び内部コイル42によって磁場が発生すると、その磁場はヨーク20を介して結合する一方、ホールスラスタ10の後方側で環状チャネル11に漏洩する。漏洩した磁場は軸Zを中心として概ね軸対称且つ放射状に分布し、陰極15から放出された電子にサイクロトロン運動を生じさせる。
本実施形態に係るホールスラスタ10は、その後方に磁気回路17のカバー21を備える。カバー21は、推進ガスのプラズマに曝される位置でホールスラスタ10の後方に向けて露出しており、環状チャネル11の開口端11b近傍に分布するプラズマから、外部磁極18と内部磁極19を保護する。
カバー21は、耐熱性と導電性を有する素材を用いて板状に形成される。カバー21の材料は例えば黒鉛(グラファイト)或いはその含有物である。なお、カバー21は、その内部に絶縁材等の部材を有していてもよい。即ち、カバー21は、絶縁材等の補強部材の表面に耐熱性と導電性を有する素材をコーティングすることで形成されてもよい。
図1に示すように、カバー21は環状部21aと、円状部21bとを含む。環状部21aは、環状チャネル11の開口端11b側に位置する外部磁極18の端面18aを覆う。図3に示すように、環状部21aは、外周壁13の外径に等しい直径Daの開口を有する。環状部21aは、その開口に外周壁13が挿入された状態で、外部磁極18の端面18aを覆っている。なお、環状部21aの外径は少なくとも端面18aの全面を覆う値に設定される。
カバー21の環状部21aと外部磁極18の端面18aとの間には、絶縁部材22が設けられる。絶縁部材22は、窒化ホウ素やアルミナ(Al)等の耐熱性を備える絶縁材を用いてシート状あるいは板状に形成される。
円状部21bは、シート状あるいは板状の絶縁部材23を介して、環状チャネル11の開口端11b側に位置する内部磁極19の端面19aを覆う。図3に示すように、円状部21bは、内周壁12の内径に等しい外径Dbを有する。円状部21bは、内周壁12に囲まれた状態で、内部磁極19の端面19aを覆っている。なお、陰極15が内周壁12よりも径方向内方に設置される場合、内部磁極19の中心に中空部(図示せず)を設け、陰極15は当該中空部に設置される。この場合、円状部21bには電子を通過させるための開口(図示せず)が形成される。
カバー21の円状部21bと内部磁極19の端面19aとの間には、絶縁部材23が設けられる。絶縁部材23は、窒化ホウ素やアルミナ等の耐熱性を備える絶縁材を用いてシート状あるいは板状に形成される。
なお、カバー21は、外部磁極18及び内部磁極19に対して所定の間隔(隙間)を隔てて設置されてもよい。この場合、絶縁部材22、23を省略してもよい。
このように、カバー21が設置された状態でも、内周壁12の端部12a及び外周壁13の端部13aは、ホールスラスタ10の後方に露出する。なお、カバー21に覆われていない外部磁極18の他の部分及びヨーク20は、周知のカバー(図示せず)で覆われ、保護されている。
図1に示すように、外部磁極18の励磁回路33や内部磁極19の励磁回路34における一方の出力側は、ホールスラスタ10の(換言すれば主な電気回路の)コモンに接続される。磁気回路17もこのコモンに接続される。ただし、各励磁回路33、34及び磁気回路17とコモンとの接続関係は図1に示すものに限られず、各励磁回路33、34及び磁気回路17は、必ずしもコモンに接続されなくてよい。なお、コモンは、地上であればアースに接続されてもよく、真空チャンバ内で電気的に浮遊していてもよい。宇宙空間であればコモンは宇宙機の機体Bに接続していてもよく、機体Bから電気的に浮遊していてもよい。
加速回路32の正極側は陽極14に接続し、負極側は陰極15の電子放出部材に接続している。
加速回路32は、陽極14と陰極15の間に所定の加速電場を形成するだけでよい。そのため、加速回路32は、励磁回路33や励磁回路34とは電気的に接続されていない。
カバー21は、従来のホールスラスタであれば耐熱性を備える絶縁材(例えば窒化ホウ素やアルミナ等)を用いて、板状もしくは磁極にコーティングした形で形成される。もしくは、耐熱性を備える導電性部材(例えば黒鉛やモリブデン)を用いて、板状もしくは磁極にコーティングした形で磁極に対して固定されており、この場合、カバーは他の構成部材と共に上記何れかの回路或いはコモンと電気的に接続している。しかしながら、本実施形態のカバー21は導電性を有するものの、電気的には浮遊している。例えば、カバー21を除くホールスラスタ10の構成部材(構成要素)は、上記何れかの電気回路或いはコモンと電気的に接続しているが、カバー21は、当該カバー21を除くホールスラスタ10の構成部材に対して電気的に絶縁されている。従って、少なくとも、カバー21は、磁気回路17に対して電気的に絶縁されている。カバー21は、陰極15に対して電気的に絶縁されていても、絶縁されていなくてもよい。
上述の通りカバー21が電気的に浮遊しているため、プラズマが発生している間は、カバー21の電位がホールスラスタ10のコモンや磁気回路17に対して負となる。一方、陰極15から放出された電子は、加速電場によって環状チャネル11内の陽極14に進行する最中にカバー21を横切る。カバー21の電位がホールスラスタ10のコモンや磁気回路17に対して負になっているため、電子はカバー21に衝突しにくくなり(吸収されにくくなり)、陽極14或いはプラズマ中のイオンに達する確率が高まる。
図4は、カバー21を用いた場合と、カバー21の代替物として絶縁体(BN)を用いた場合のホールスラスタの試験結果を示すグラフであり、(a)は推力の比較結果、(b)は放電電流の比較結果を示す。何れのグラフにおいても横軸は放電電圧、即ち、環状チャネル11を介した陰極15と陽極14との間の電位差を示す。なお、放電電流とは、陽極14‐陰極15間の電流である。試験時の放電電圧は何れの場合も150V、300V、450Vに設定した。
何れのグラフにおいても、カバー21を用いた場合の測定結果は丸(○)で示し、絶縁体を用いた場合の測定結果を四角(□)で示す。また、図4(a)のグラフにおける縦軸は、カバー21を用いた場合で放電電圧が450Vの時の推力を基準として規格化している。一方、図4(b)のグラフにおける縦軸は、カバー21を用いた場合で放電電圧が150Vの時の放電電流を基準として規格化している。
図4(a)に示す結果から理解されるように、何れの放電電圧においても推力に変化は見られない。しかしながら、図4(b)に示す結果は、カバー21を用いた場合は、絶縁体(BN)を用いた場合に比べて、放電電流が3%ほど低いことを示している。つまり、一定の推力が得られる条件下では、カバー21を用いた場合が絶縁体(BN)を用いた場合に比べて、所望の推力を得るための消費電力が小さいことが判る。これは、少なくともカバー21を用いることで、
ホールスラスタ10の構成部材との不要な衝突が抑制され、推進ガスの電離に寄与する電子の割合が増加したことによるものと推測される。
軌道制御や姿勢制御に必要なエネルギーは、最終的には推力と時間の力積で決まるため、この力積を満たすにはホールスラスタを長時間稼働させる必要がある。本実施形態によれば、絶縁体をカバーとして用いた場合よりも稼働時の消費電力を低減することができ、軌道制御や姿勢制御を長期に亘って遂行することができる。即ち、ホールスラスタの推進効率を向上させることができる。
図5は、本実施形態に係る電気系統の変形例を示す図である。この図に示すように、本変形例では、磁気回路17とカバー21との間にバイアス電源(以下、電源)35が接続される。つまり、カバー21は、磁気回路17に対して電気的に絶縁された状態で、その電位は電源35によって調整される。なお、これ以外の構成については上述の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
電源35の正極は磁気回路17に接続し、電源35の負極はカバー21に接続する。つまり、電源35は、磁気回路17に対して負電位となる電圧(バイアス電圧)をカバー21に印加する。上述の通り、カバー21が電気的に浮遊している状態において、プラズマが発生している間は、カバー21の電位がホールスラスタ10のコモンや磁気回路17に対して負となる。電源35は、カバー21の電位を負に維持したまま、その絶対値を小さくする電圧をカバー21に印加する。換言すれば、電源35は、極性を変えることなく磁気回路17とカバー21の電位差を小さくする。
プラズマはホールスラスタ10のコモンや磁気回路17に対して正の電位となる空間に分布する。これに対して、カバー21の電位は、コモンや磁気回路17に対して負となる。また、カバー21はプラズマに近接している。従って、カバー21はプラズマ中の大量のイオンに叩かれることで(所謂スパッタリングによって)損耗しやすい。この損耗はホールスラスタ10の寿命に多大な影響を与えてしまう。
本変形例に係る電源35はこの損耗を低減させる。即ち、電源35は、磁気回路17とカバー21の電位差を小さくする。例えば、浮遊した状態のカバー21の電位が、磁気回路17に対して−30Vであったとき、電源35はこの電位を−15Vに設定する。これにより、イオンの衝突エネルギーを減少させ、カバー21の損耗を低減させることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
10…ホールスラスタ、11…環状チャネル、11a…閉鎖端、11b…開口端、12…内周壁、12a…端部、13…外周壁、13a…端部、14…陽極、15…陰極、16…供給路、17…磁気回路、18…外部磁極、18a…端面、19…内部磁極、19a…端面、20…ヨーク、21…カバー、21a…環状部、21b…円状部、22、23…絶縁部材、31…陰極回路、32…加速回路、33、34…励磁回路、35…バイアス電源、41…外部コイル、42…内部コイル、B…機体、Da…直径、Db…外径、Z…軸

Claims (3)

  1. 同心の内周壁及び外周壁によって画成され、閉鎖端と開口端とを含む環状チャネルと、
    前記環状チャネルの前記閉鎖端に位置する陽極と、
    前記環状チャネルに電子を供給する陰極と、
    前記環状チャネルの前記閉鎖端に連通する推進ガスの供給路と、
    前記外周壁よりも径方向外方に配置された外部磁極、前記内周壁よりも径方向内方に配置された内部磁極、および前記環状チャネルの前記閉鎖端側で前記外部磁極と前記内部磁極との間を磁気的に結合するヨークにより形成された磁気回路と、
    前記環状チャネルの前記開口端側に位置する前記外部磁極と前記内部磁極の各端面を覆い、且つ、前記磁気回路に対して電気的に絶縁されている導電性のカバーと
    前記磁気回路に対して負電位となる電圧を前記カバーに印加する電源と
    を備える、
    ホールスラスタ。
  2. 前記カバーの素材は黒鉛を含む、
    請求項1に記載のホールスラスタ。
  3. 前記カバーと前記内部磁極の前記端面との間、及び、前記カバーと前記外部磁極の前記端面との間に設けられる絶縁部材を更に備える、
    請求項1又は2に記載のホールスラスタ。
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