以下、実施形態に係る電気錠制御システム、電気錠制御装置、鍵装置、プログラム及び電気錠システムについて、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計などに応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
(1)構成
実施形態1に係る電気錠システム20は、建物(例えば戸建て住宅や集合住宅の各住戸など)の開口部を開閉する開閉部材を電動で施錠又は解錠するためのシステムである。開閉部材は、例えば、玄関ドア若しくは勝手口ドアなどのドア、又は掃き出し窓などの窓である。本実施形態では、開閉部材は、玄関ドアである。開閉部材は、開き戸であってもよいし、引き戸であってもよい。
本実施形態の電気錠システム20は、図1に示すように、電気錠制御システム2と、開閉部材に取り付けられる電気錠1と、を備えている。電気錠制御システム2は、開閉部材に取り付けられる電気錠制御装置3と、ユーザ(例えば住人)が所持する1又は複数(図1では1つ)の携帯端末4(鍵装置)と、を備えている。1又は複数の携帯端末4は、電気錠制御装置3に予め登録されている。1又は複数の携帯端末4は、電波を媒体として、電気錠制御装置3と無線通信を行う。無線通信には、高周波(RF:Radio Frequency)又はマイクロ波が用いられる。
電気錠1は、デッドボルトと、モータと、駆動回路とを有している。モータは、モータの駆動力をデッドボルトに伝達することで、デッドボルトを施錠位置と解錠位置との間で移動させる。施錠位置は、デッドボルトの少なくとも一部が開閉部材(ドア)の側面から突出して、ドア枠のボルト穴に挿入される位置である。解錠位置は、デッドボルトの全体が開閉部材の側面より内側に収まる位置である。駆動回路は、電気錠制御装置3の後述の錠側制御部31から施錠信号Sig5が入力されると、モータを駆動してデッドボルトを施錠位置に移動させ、開閉部材を施錠する。また、駆動回路は、錠側制御部31から解錠信号Sig6が入力されると、モータを駆動してデッドボルトを解錠位置に移動させ、開閉部材を解錠する。
電気錠制御装置3は、認証部30と、錠側制御部31と、錠側通信部32と、計測部33と、判定部34と、を有している。
電気錠制御装置3は、プロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータ(マイクロコンピュータ)を含む。メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより、電気錠制御装置3としての機能が実現される。
電気錠制御装置3は、鍵情報を1又は複数の携帯端末4と共有している。鍵情報は、電気錠制御装置3と1又は複数の携帯端末4との通信の暗号化及び復号に使用される情報である。
認証部30は、1又は複数の携帯端末4に予め割り当てられた、携帯端末4ごとに固有の識別情報と、上述の鍵情報とに基づいて、1又は複数の携帯端末4の認証を行う。つまり、認証部30は、各携帯端末4を区別し、また、携帯端末4が開閉部材を施錠・解錠する権限を正当に有しているか否かを、携帯端末4ごとに判断する。識別情報は、電気錠制御装置3に各携帯端末4を登録する際に各携帯端末4に割り当てられる。識別情報及び鍵情報は、各携帯端末4から電気錠制御装置3に送信される後述の応答信号Sig2(図2参照)に含まれている。これにより、電気錠制御システム2が携帯端末4を複数備えている場合であっても、電気錠制御装置3は、複数の携帯端末4と個別に通信することができる。実施形態1において、以下では、携帯端末4は1つであるとして説明する。
錠側制御部31は、携帯端末4から送信される後述の指令信号Sig4(図2参照)に基づいて、電気錠1を制御して電気錠1に開閉部材を施錠又は解錠させる。より詳細には、錠側制御部31は、電気錠1に施錠信号Sig5又は解錠信号Sig6を送信することにより、電気錠1に開閉部材を施錠又は解錠させる。
錠側通信部32は、複数(本実施形態では2つ)のアンテナANT1、ANT2と、切替回路320とを有している。複数のアンテナANT1、ANT2はそれぞれ、例えば、ダイポールアンテナ又は八木・宇田アンテナである。複数のアンテナANT1、ANT2は、電路321により錠側制御部31から給電される。
切替回路320は、電路321のアンテナANT1、ANT2側の端に電気的に接続されている。切替回路320は、具体的には、リレー回路である。切替回路320の接点は、例えばc接点である。切替回路320は、錠側制御部31に接続された電路321と複数のアンテナANT1、ANT2との電気的な接続を、錠側制御部31の制御により切り替える。すなわち、切替回路320の接点が切り替わることにより、アンテナANT1とアンテナANT2とが択一的に給電される。
これにより、複数のアンテナANT1、ANT2のうち、信号を送信及び受信するアンテナである使用アンテナが、アンテナANT1からアンテナANT2へ、又は、アンテナANT2からアンテナANT1へ切り替わる。すなわち、複数のアンテナANT1、ANT2は、アンテナ選択方式によるダイバーシティアンテナとして機能する。なお、切替回路320の接点は、c接点に限定されず、a接点であっても、b接点であってもよい。
錠側通信部32は、携帯端末4の後述の鍵側通信部42と無線通信を行う。無線通信の規格は、例えばBluetooth(登録商標)又はZigBee(登録商標)が利用される。錠側通信部32は、錠側制御部31からの指令に従って、ビーコン信号Sig1(図2参照)を間欠的に(例えば1秒間隔で)送信する。また、錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1に応答して携帯端末4から送信される応答信号Sig2を受信する。
携帯端末4は、鍵側制御部41と、鍵側通信部42と、指令制限部43と、鍵側操作部49と、を有している。
携帯端末4は、プロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータ(マイクロコンピュータ)を含む。メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより、携帯端末4としての機能が実現される。携帯端末4は、スマートフォンなどの携帯電話である。ただし、携帯端末4は携帯電話に限らず、例えばPDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型端末又はIC(Integrated Circuit)タグなどであってもよい。
鍵側通信部42は、1又は複数のアンテナを有している。鍵側通信部42は、錠側通信部32と無線通信を行う。無線通信の規格は、例えばBluetooth(登録商標)又はZigBee(登録商標)が利用される。鍵側通信部42は、錠側通信部32から間欠的に送信されるビーコン信号Sig1を受信する。鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信すると、鍵側制御部41からの指令に従って、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する。
電気錠制御装置3の計測部33は、錠側通信部32で受信された応答信号Sig2(計測信号)の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を計測する。
判定部34は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて、所定のエリアに携帯端末4が存在するか否かを判定する。所定のエリアは、開閉部材に取り付けられた錠側通信部32の付近に広がっている。判定部34は例えば、コンパレータである。判定部34は、具体的には、応答信号Sig2の受信強度を閾値と比較することにより、所定のエリアに携帯端末4が存在するか否かを判定する。閾値は、所定の値であり、電気錠制御装置3のメモリに記憶されている。所定のエリアは、予め決められている。例えば、ユーザが電気錠制御装置3を操作して所定のエリアの広さを設定すると、閾値が変更されることにより、所定のエリアが改めて決められる。
また、所定のエリアに携帯端末4が存在すると判定部34が判定した場合に、錠側通信部32は、錠側制御部31からの指令に従って、鍵側通信部42にエリア信号Sig3(図2参照)を送信する。
鍵側操作部49は、例えば、携帯端末4のタッチパネルである。鍵側操作部49は、ユーザによる所定の操作を受け付ける。所定の操作とは、鍵側操作部49(タッチパネル)へのタップ操作又はフリック操作などである。所定の操作は、開閉部材を施錠させるための操作であってもよいし、開閉部材を解錠させるための操作であってもよい。
鍵側通信部42が錠側通信部32からエリア信号Sig3を受信してから、鍵側操作部49に所定の操作がされると、鍵側通信部42は、錠側通信部32に指令信号Sig4を送信する。
指令制限部43は、鍵側通信部42が錠側通信部32に指令信号Sig4を送信することを制限する。より詳細には、指令制限部43は、鍵側通信部42がエリア信号Sig3を受信した場合にのみ、鍵側通信部42の状態を、指令信号Sig4を送信できる状態にする。
(2)動作の詳細
次に、本実施形態の電気錠システム20の動作の詳細について、図2のシーケンス図を参照して説明する。
電気錠制御装置3の使用アンテナは、切替回路320により、一定の切替周期でアンテナANT1とアンテナANT2とに交互に切り替えられる。ただし、図2では使用アンテナが切り替えられるステップを図示していない。
錠側通信部32は、錠側制御部31からの指令に従って、ビーコン信号Sig1を間欠的に(例えば1秒間隔で)送信する(ステップS1)。ただし、図2及び図2以外のシーケンス図(図4、6、9〜12)では、間欠的に送信されるビーコン信号Sig1のうち、一部のタイミングで送信されるビーコン信号Sig1のみを図示している。
ステップS2では、携帯端末4がビーコン信号Sig1を受信可能なエリアの外にあるときは、鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信できない。携帯端末4がビーコン信号Sig1を受信可能なエリアは、上述の所定のエリアを含み、上述の所定のエリアよりも広いエリアである。
錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1の送信(ステップS1)を繰り返す。携帯端末4がビーコン信号Sig1を受信可能なエリアに移動し、ステップS2で鍵側通信部42がビーコン信号Sig1の受信に成功すると、鍵側通信部42は、鍵側制御部41からの指令に従って、応答信号Sig2を送信する(ステップS3)。
錠側通信部32が鍵側通信部42からの応答信号Sig2を受信すると、認証部30は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、携帯端末4の認証を行う(ステップS4)。以下の説明において、認証部30が携帯端末4を「正当と判断する」とは、認証部30が携帯端末4を認証した結果、開閉部材を施錠又は解錠する権限を携帯端末4が有していると認証部30が判断することである。
認証部30が携帯端末4を認証した結果、携帯端末4を正当と判断しない場合、計測部33は、応答信号Sig2(計測信号)の錠側通信部32での受信強度を計測しない。認証部30が携帯端末4を認証し正当と判断すると、計測部33は、応答信号Sig2(計測信号)の錠側通信部32での受信強度を計測する(ステップS5)。さらに、判定部34は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて、所定のエリアに携帯端末4が存在するか否かを判定する(ステップS6)。所定のエリアに携帯端末4が存在しないと判定部34が判定した場合は、錠側通信部32は、鍵側通信部42にエリア信号Sig3を送信しない。エリア信号Sig3は、所定のエリアに携帯端末4が存在することを示す信号である。
ステップS5で計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて、ステップS6において、所定のエリアに携帯端末4が存在すると判定部34が判定した場合は、錠側通信部32は、鍵側通信部42にエリア信号Sig3を送信する(ステップS7)。
このように、錠側通信部32は、所定のエリアに携帯端末4が存在しないと判定部34が判定した場合はエリア信号Sig3を送信せず、所定のエリアに携帯端末4が存在すると判定部34が判定した場合はエリア信号Sig3を送信する。すなわち、電気錠制御装置3(錠側通信部32)は、判定部34の判定結果によって異なる処理をする。
鍵側通信部42がエリア信号Sig3を受信すると、指令制限部43は、鍵側通信部42の状態を、指令信号Sig4を送信できない状態から送信できる状態に切り替える(ステップS8)。その後、ユーザが鍵側操作部49に所定の操作を行うと(ステップS9)、鍵側通信部42は、鍵側制御部41からの指令に従って、錠側通信部32に指令信号Sig4を送信する(ステップS10)。つまり、鍵側通信部42がエリア信号Sig3を受信するまでは、携帯端末4への所定の操作は無効になっており、携帯端末4に所定の操作がされても鍵側通信部42は指令信号Sig4を送信しない。
錠側通信部32が指令信号Sig4を受信すると、錠側制御部31は、電気錠1に施錠信号Sig5又は解錠信号Sig6を送信することにより、電気錠1を制御して電気錠1に開閉部材を施錠又は解錠させる(ステップS11:図1参照)。つまり、ステップS9でされた所定の操作が、開閉部材5を施錠させるための操作である場合は、錠側制御部31は、施錠信号Sig5を送信する。ステップS9でされた所定の操作が、開閉部材5を解錠させるための操作である場合は、錠側制御部31は、解錠信号Sig6を送信する。
ところで、錠側通信部32において、ビーコン信号Sig1及びエリア信号Sig3は、ダイバーシティアンテナとして機能する複数のアンテナANT1、ANT2により送信される。応答信号Sig2及び指令信号Sig4は、複数のアンテナANT1、ANT2により受信される。特に、ダイバーシティアンテナとして機能する複数のアンテナANT1、ANT2が応答信号Sig2を受信するので、錠側通信部32では、アンテナを1つのみ用いる場合と比較して、応答信号Sig2の受信強度のばらつきが低減される。つまり、ダイバーシティアンテナを用いることで、錠側通信部32では、応答信号Sig2の受信強度がフェージングなどによりばらつく可能性が低減される。すなわち、電気錠システム20では、フェージングを低減できるので、電気錠制御装置3又は携帯端末4の周辺に電波を反射する物があっても、応答信号Sig2の受信強度の計測部33での計測精度が低下する可能性を低減できる。
また、上述した通り、電気錠制御装置3は、計測部33を有している。携帯端末4のみが計測部を有しており、携帯端末4の計測部で信号(例えば、ビーコン信号Sig1)の受信強度を計測すると、携帯端末4ごとに計測精度が異なる場合には、携帯端末4ごとに計測結果がばらついてしまう。例えば、携帯端末4は、機種ごとに信号の計測精度、分解能及びダイナミックレンジが異なる場合がある。これに対して、本実施形態の電気錠システム20では、電気錠制御装置3が計測部33を有しているので、携帯端末4のみが計測部を有しているときと比較して、信号の受信強度をより精度良く計測できる。互いに機種が異なる複数の携帯端末4は、信号の計測精度よりも信号の送信強度の方がばらつきが小さいことがあるので、本実施形態のように、携帯端末4を計測信号(応答信号Sig2)の送信側とすることが好ましい。
上述した通り、電気錠制御装置3及び携帯端末4は、それぞれコンピュータを含む。すなわち、本開示における電気錠システム20の実行主体は、複数のコンピュータを含んでいる。コンピュータは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電気錠システム20の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ(磁気ディスク)などの非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
(実施形態1の変形例1)
次に、実施形態1の変形例1について、図3、4を参照して説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1と同様の動作については、説明を省略する。
図3に示すように、本変形例の電気錠システム20A及び電気錠制御システム2Aは、判定部34Aが電気錠制御装置3Aではなく携帯端末4Aに備えられている点で、実施形態1の電気錠システム20及び電気錠制御システム2とは異なる。
図4は、本変形例の電気錠システム20Aの動作シーケンス図である。ステップS12〜S16は、実施形態1のステップS1〜S5と同じである。
ステップS16において計測部33が応答信号Sig2の受信強度を計測すると、錠側通信部32は、鍵側通信部42に受信強度信号Sig7を送信する(ステップS17)。受信強度信号Sig7は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度を示す信号である。
携帯端末4Aの判定部34Aは、受信強度信号Sig7に基づいて、所定のエリアに携帯端末4Aが存在するか否かを判定する(ステップS18)。所定のエリアに携帯端末4Aが存在しないと判定部34Aが判定した場合は、指令制限部43は、鍵側通信部42の状態を、指令信号Sig4を送信できない状態のまま切り替えない。所定のエリアに携帯端末4Aが存在すると判定部34Aが判定した場合は、指令制限部43は、鍵側通信部42の状態を、指令信号Sig4を送信できない状態から送信できる状態に切り替える(ステップS19)。その後、鍵側操作部49に所定の操作がされると(ステップS20)、鍵側通信部42は、鍵側制御部41からの指令に従って、錠側通信部32に指令信号Sig4を送信する(ステップS21)。
錠側通信部32が指令信号Sig4を受信すると、錠側制御部31は、電気錠1に施錠信号Sig5又は解錠信号Sig6を送信することにより、電気錠1を制御して電気錠1に開閉部材を施錠又は解錠させる(ステップS22:図3参照)。
以上説明したように、本変形例に係る電気錠システム20Aでは、携帯端末4Aが判定部34Aを有する。判定部34Aが電気錠制御装置3Aにおいて判定を行わなくてもよい分、電気錠制御装置3Aの処理量を抑制でき、電気錠制御装置3Aでの電力消費量を低減できる。また、携帯端末4Aがスマートフォンなどであって、判定部34Aとして用いることが可能なコンパレータなどをそもそも具備している場合には、電気錠制御装置3Aに判定部34Aを設けなくてもよい分、電気錠制御システム2Aのコストを低減することができる。
(実施形態1の変形例2)
次に、実施形態1の変形例2について、図5、6を参照して説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1と同様の動作については、説明を省略する。
図5に示すように、本変形例の電気錠システム20B及び電気錠制御システム2Bにおいて、電気錠制御装置3Bは、錠側操作部39を更に有している。本変形例では、携帯端末4Bは指令制限部43(図1参照)及び鍵側操作部49(図1参照)を有していなくてもよい。
錠側操作部39は、例えば、開閉部材5(図7参照)の引手51(図7参照)に設けられる。錠側操作部39は、タッチパネルである。錠側操作部39は、ユーザによる第一操作を受け付ける。第一操作とは、錠側操作部39(タッチパネル)へのタッチ操作である。錠側操作部39に第一操作がされると、錠側制御部31は、電気錠1の駆動回路に施錠信号Sig5又は解錠信号Sig6を送信して、電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させる。第一操作は、開閉部材5を施錠させるための操作であってもよいし、開閉部材5を解錠させるための操作であってもよい。なお、錠側操作部39は、開閉部材5が設けられている建物の壁面又は開閉部材5に取り付けられていてもよい。
錠側制御部31は、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態と、第一操作を受け付けない状態とに切り替える。より詳細には、錠側制御部31は、所定のエリアに携帯端末4Bが存在しないと判定部34が判定した場合にのみ、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態にする。
図6は、本変形例の電気錠システム20Bの動作シーケンス図である。ステップS23〜S28は、実施形態1のステップS1〜S6と同じである。
ステップS28において、所定のエリアに携帯端末4Bが存在すると判定部34が判定した場合は、錠側制御部31は、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態にする(ステップS29)。その後、錠側操作部39に第一操作がされると(ステップS30)、錠側制御部31は、電気錠1に施錠信号Sig5又は解錠信号Sig6を送信することにより、電気錠1を制御して電気錠1に開閉部材5(図7参照)を施錠又は解錠させる(ステップS31:図5参照)。
本変形例によれば、ユーザは、錠側操作部39への第一操作により、開閉部材5(図7参照)を施錠又は解錠することができる。
なお、錠側操作部39は、例えば、開閉部材5(図7参照)、開閉部材5の引手51(図7参照)又は開閉部材5の周囲に設けられた釦であってもよい。つまり、第一操作とは、釦である錠側操作部39への操作であってもよい。あるいは、錠側操作部39は、非接触でユーザを検知する人感センサであってもよい。つまり、操作には、ユーザが錠側操作部39に近づく行為が含まれ、第一操作とは、ユーザが錠側操作部39に近づく行為(操作)であってもよい。
(実施形態1の変形例3)
次に、実施形態1の変形例3について説明する。基本構成は実施形態1の変形例1と同じなので、図3を参照して説明する。なお、実施形態1の変形例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1の変形例1と同様の動作については、説明を省略する。図3では図示していないが、本変形例の電気錠制御装置3Aは、実施形態1の変形例2の錠側操作部39(図5参照)を更に有している。
計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて、所定のエリアに携帯端末4Aが存在すると判定部34Aが判定した場合は、鍵側通信部42は、錠側通信部32に所定の操作許可信号を送信する。所定のエリアに携帯端末4Aが存在しないと判定部34Aが判定した場合は、鍵側通信部42は、操作許可信号を送信しない。
錠側通信部32が操作許可信号を受信すると、錠側制御部31は、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態にする。その後、錠側操作部39に第一操作がされると、錠側制御部31は、電気錠1に施錠信号Sig5又は解錠信号Sig6を送信することにより、電気錠1を制御して電気錠1に開閉部材を施錠又は解錠させる。
本変形例によれば、電気錠制御装置3Aが判定部34を有しておらず、携帯端末4Aが判定部34Aを有している場合であっても、錠側制御部31は、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態にすることができる。
(実施形態1のその他の変形例)
以下、実施形態1のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよいし、上述の変形例1〜3と適宜組み合わせて実現されてもよい。
電気錠制御装置3は、錠側操作部39を更に有していてもよい。所定のエリアに携帯端末4が存在すると判定部34が判定した場合に、錠側操作部39への第一操作により開閉部材を施錠又は解錠することと、鍵側操作部49への所定の操作(第二操作)により開閉部材を施錠又は解錠することと、の両方が可能になってもよい。
また、鍵側操作部49は、例えば、携帯端末4の釦であってもよい。つまり、所定の操作(第二操作)とは、釦である鍵側操作部49への操作であってもよい。
また、複数のアンテナANT1、ANT2のうち信号を送信又は受信するアンテナである使用アンテナを切替回路320で切り替えるのではなく、常に両方のアンテナを用いて信号を送信又は受信してもよい。すなわち、複数のアンテナANT1、ANT2をダイバーシティアンテナとして機能させるための方式は、複数のアンテナANT1、ANT2を切り替える方式(アンテナ選択方式)に限定されない。例えば、合成器、分配器及び、複数の信号の位相を一致させるための移相器などを用いて、等利得合成法(Equal Gain Combining)又は最大比合成法(Maximum Ratio Combining)でダイバーシティアンテナを構成してもよい。
また、複数のアンテナANT1、ANT2にダイバーシティを適用する方式は、例えば、空間ダイバーシティ、偏波ダイバーシティ、角度ダイバーシティ、周波数ダイバーシティ又は時間ダイバーシティのいずれでもよいし、これらの方式を組み合わせて用いてもよい。
また、切替回路320は、リレー回路に限定されず、スイッチ又はマルチプレクサなどであってもよい。
また、アンテナの数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
また、錠側通信部32において、信号を送信するときと、信号を受信するときとで、異なるアンテナを用いてもよい。このとき、錠側通信部32は、ダイバーシティアンテナとして機能する複数のアンテナとは別のアンテナを更に備えていてもよい。ダイバーシティアンテナとして機能する複数のアンテナは、少なくとも計測信号(例えば、応答信号Sig2)を送信又は受信すればよい。
また、電気錠制御装置3は、構成要素の一部が分散して設けられていてもよい。例えば、電気錠制御装置3は、認証部30、錠側制御部31、錠側通信部32及び計測部33を含む第一ユニットと、判定部34を含む第二ユニットとに分散されていてもよい。また、判定部34を含む第二ユニットは、電気通信回線を通じて第一ユニットと接続されるサーバなどのコンピュータに備えられていてもよい。
また、電気錠制御装置3が計測部33を有していてもよいし、携帯端末4が計測部33を有していてもよい。また、電気錠制御装置3と携帯端末4との各々が計測部33を有していてもよい。携帯端末4が計測部33を有しているとき、計測部33は、例えば、鍵側通信部42でのビーコン信号Sig1の受信強度を計測すればよい。あるいは、錠側通信部32が応答信号Sig2を受信したときに、錠側通信部32がビーコン信号Sig1とは別の所定の信号を送信するように構成し、計測部33は、鍵側通信部42での当該所定の信号の受信強度を計測してもよい。
また、電気錠制御装置3が判定部34を有していてもよいし、携帯端末4が判定部34を有していてもよい。また、電気錠制御装置3と携帯端末4との各々が判定部34を有していてもよい。
携帯端末4が有する計測部で計測信号(鍵側通信部42が受信したビーコン信号Sig1)の受信強度を計測し、携帯端末4が有する計測部が計測した計測信号の受信強度を示す信号を電気錠制御装置3に送信し、電気錠制御装置3が有する判定部34により、所定のエリアに携帯端末4が存在するか否かを判定してもよい。
また、電気錠制御装置3の計測部33で応答信号Sig2の受信強度を計測し、かつ、携帯端末4の計測部でビーコン信号Sig1の受信強度を計測してもよい。
判定部34は、応答信号Sig2の受信強度とビーコン信号Sig1の受信強度との両方に基づいて、所定のエリアに携帯端末4が存在するか否かを判定してもよい。例えば、応答信号Sig2の受信強度がある一定の閾値以上であり、かつ、ビーコン信号Sig1の受信強度が所定の閾値以上であるときに、判定部34は、所定のエリアに携帯端末4が存在すると判断してもよい。
また、認証部30は、識別情報及び鍵情報に基づいて携帯端末4の認証を行うのではなく、鍵情報のみに基づいて携帯端末4の認証を行ってもよい。
また、本実施形態では、錠側制御部31が複数のアンテナANT1、ANT2に給電するが、複数のアンテナANT1、ANT2に給電するための構成を錠側制御部31とは別に設けてもよい。
(実施形態1及び実施形態1の変形例のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る電気錠制御システム2は、鍵装置(携帯端末4)と、電気錠制御装置3と、を備える。鍵装置は、無線通信を行う鍵側通信部42を有する。電気錠制御装置3は、鍵側通信部42と無線通信を行う錠側通信部32と、錠側制御部31と、を有する。錠側制御部31は、建物の開口部を開閉する開閉部材を電気錠1に施錠又は解錠させる。電気錠制御装置3と鍵装置とのうち少なくとも一方は、計測部33を有する。計測部33は、鍵側通信部42と錠側通信部32とのうち一方から送信され他方で受信される計測信号(例えば応答信号Sig2)の受信強度を計測する。電気錠制御システム2は、判定部34を更に備える。判定部34は、計測部33が計測した計測信号の受信強度に基づいて、予め決められた所定のエリアに鍵装置が存在するか否かを判定する。電気錠制御装置3と鍵装置とのうち少なくとも一方は、判定部34の判定結果によって異なる処理をする。錠側通信部32は、複数のアンテナANT1、ANT2を含む。複数のアンテナANT1、ANT2は、少なくとも計測信号を送信又は受信するダイバーシティアンテナとして機能する。
上記の構成によれば、電気錠制御システム2において、計測部33は、錠側通信部32と鍵側通信部42とのうち一方から送信され他方で受信される計測信号(例えば、応答信号Sig2)の受信強度を計測する。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置(携帯端末4)が存在するか否かを判定する。ここで、錠側通信部32は、複数のアンテナANT1、ANT2を含み、複数のアンテナANT1、ANT2は、少なくとも計測信号を送信又は受信するダイバーシティアンテナとして機能する。錠側通信部32がアンテナを1つのみ含む場合と比較して、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を送信する場合は計測信号の送信性能が安定し、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を受信する場合は計測信号の受信性能が安定する。したがって、計測部33は、計測信号の受信強度をより精度良く計測できる。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置が存在するか否かをより精度良く判定できる。
また、本実施形態に係る電気錠制御システム2において、錠側通信部32は、複数のアンテナANT1、ANT2に電気的に接続される切替回路320を更に含むことが好ましい。切替回路320は、複数のアンテナANT1、ANT2のうち少なくとも計測信号(例えば、応答信号Sig2)を送信又は受信する1つのアンテナである使用アンテナを複数のアンテナANT1、ANT2のうち別のアンテナに切り替える。
複数のアンテナANT1、ANT2を同時に用いて信号を送信及び受信する場合には、合成器、分配器及び、複数の信号の位相を一致させるための移相器などを用いる必要がある。これに対して、上記の構成では、切替回路320により使用アンテナを切り替えるので、合成器、分配器及び移相器などを用いなくてもよいという利点がある。これにより、合成器、分配器及び移相器などを用いる場合と比較して、例えば、合成器で信号を合成するための演算を省略することで、電気錠制御装置3での演算量を低減することができる。
また、本実施形態に係る電気錠制御システム2において、電気錠制御装置3は、計測部33を有することが好ましい。
仮に鍵装置(携帯端末4)のみが計測部を有しており、鍵装置の計測部で計測信号(例えば、ビーコン信号Sig1)の受信強度を計測すると、鍵装置ごとに計測精度が異なる場合には、鍵装置ごとに計測結果がばらついてしまう。これに対して、上記の構成によれば、電気錠制御装置3が計測部33を有するので、鍵装置のみが計測部を有しているときと比較して、計測信号(例えば、応答信号Sig2)の受信強度をより精度良く計測できる。
また、本実施形態に係る電気錠制御システム2において、電気錠制御装置3は、判定部34を有することが更に好ましい。所定のエリアに鍵装置(携帯端末4)が存在すると判定部34が判定した場合に、錠側通信部32は、鍵側通信部42にエリア信号Sig3を送信することが好ましい。所定のエリアに鍵装置が存在しないと判定部34が判定した場合に、錠側通信部32は、鍵側通信部42にエリア信号Sig3を送信しないことが好ましい。鍵装置は、指令制限部43を更に有することが好ましい。指令制限部43は、鍵側通信部42が錠側通信部32に指令信号Sig4を送信することを制限する。錠側通信部32は、指令信号Sig4を受信すると、電気錠1に開閉部材を施錠又は解錠させる。指令制限部43は、鍵側通信部42がエリア信号Sig3を受信したときに、鍵側通信部42の状態を、指令信号Sig4を送信できない状態から送信できる状態に切り替える。
上記の構成によれば、電気錠制御装置3が判定部34を有するので、判定部34が鍵装置(携帯端末4)において判定を行わなくてもよい分、鍵装置の処理量を抑制でき、鍵装置での電力消費量を低減できる。また、所定のエリアに鍵装置が存在すると判定部34が判定した場合のみ、錠側通信部32は、鍵側通信部42にエリア信号Sig3を送信する。所定のエリアに鍵装置が存在しない場合には、錠側通信部32は、鍵側通信部42にエリア信号Sig3を送信しないので、鍵側通信部42での電力消費量を低減できる。
また、本実施形態に係る電気錠制御装置3は、電気錠制御システム2に用いられる。電気錠制御装置3は、錠側通信部32と、錠側制御部31と、を有する。
上記の構成によれば、電気錠制御システム2において、計測部33は、錠側通信部32と鍵側通信部42とのうち一方から送信され他方で受信される計測信号(例えば、応答信号Sig2)の受信強度を計測する。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置(携帯端末4)が存在するか否かを判定する。ここで、錠側通信部32は、複数のアンテナANT1、ANT2を含み、複数のアンテナANT1、ANT2は、少なくとも計測信号を送信又は受信するダイバーシティアンテナとして機能する。錠側通信部32がアンテナを1つのみ含む場合と比較して、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を送信する場合は計測信号の送信性能が安定し、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を受信する場合は計測信号の受信性能が安定する。したがって、計測部33は、計測信号の受信強度をより精度良く計測できる。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置が存在するか否かをより精度良く判定できる。
また、本実施形態に係る鍵装置(携帯端末4)は、電気錠制御システム2に用いられる。鍵装置は、鍵側通信部42を有する。
上記の構成によれば、電気錠制御システム2において、計測部33は、錠側通信部32と鍵側通信部42とのうち一方から送信され他方で受信される計測信号(例えば、応答信号Sig2)の受信強度を計測する。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置(携帯端末4)が存在するか否かを判定する。ここで、錠側通信部32は、複数のアンテナANT1、ANT2を含み、複数のアンテナANT1、ANT2は、少なくとも計測信号を送信又は受信するダイバーシティアンテナとして機能する。錠側通信部32がアンテナを1つのみ含む場合と比較して、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を送信する場合は計測信号の送信性能が安定し、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を受信する場合は計測信号の受信性能が安定する。したがって、計測部33は、計測信号の受信強度をより精度良く計測できる。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置が存在するか否かをより精度良く判定できる。
また、本実施形態に係るプログラムは、携帯端末4を鍵装置として機能させるための制御処理を、携帯端末4のコンピュータに実行させる。
上記の構成によれば、鍵装置(携帯端末4)を用いる電気錠制御システム2において、計測部33は、錠側通信部32と鍵側通信部42とのうち一方から送信され他方で受信される計測信号(例えば、応答信号Sig2)の受信強度を計測する。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置(携帯端末4)が存在するか否かを判定する。ここで、錠側通信部32は、複数のアンテナANT1、ANT2を含み、複数のアンテナANT1、ANT2は、少なくとも計測信号を送信又は受信するダイバーシティアンテナとして機能する。錠側通信部32がアンテナを1つのみ含む場合と比較して、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を送信する場合は計測信号の送信性能が安定し、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を受信する場合は計測信号の受信性能が安定する。したがって、計測部33は、計測信号の受信強度をより精度良く計測できる。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置が存在するか否かをより精度良く判定できる。
また、本実施形態に係る電気錠システム20は、電気錠制御システム2と、電気錠1と、を備える。
上記の構成によれば、電気錠制御システム2において、計測部33は、錠側通信部32と鍵側通信部42とのうち一方から送信され他方で受信される計測信号(例えば、応答信号Sig2)の受信強度を計測する。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置(携帯端末4)が存在するか否かを判定する。ここで、錠側通信部32は、複数のアンテナANT1、ANT2を含み、複数のアンテナANT1、ANT2は、少なくとも計測信号を送信又は受信するダイバーシティアンテナとして機能する。錠側通信部32がアンテナを1つのみ含む場合と比較して、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を送信する場合は計測信号の送信性能が安定し、複数のアンテナANT1、ANT2が計測信号を受信する場合は計測信号の受信性能が安定する。したがって、計測部33は、計測信号の受信強度をより精度良く計測できる。判定部34は、計測信号の受信強度に基づいて、所定のエリアに鍵装置が存在するか否かをより精度良く判定できる。
(実施形態2)
次に、実施形態2について、図1、7を参照して説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1と同様の動作については、説明を省略する。図1では図示していないが、本実施形態の電気錠制御装置3は、実施形態1の変形例2の錠側操作部39(図5、7参照)を更に有している。
図7に示すように、本実施形態では、携帯端末4が存在するか否かが判定部34で判定される所定のエリアは、複数(図示例では2つ)設けられている。すなわち、所定のエリアとして第一エリアAR1と、第二エリアAR2とが設けられている。
第一エリアAR1及び第二エリアAR2は、建物の開口部50を開閉する開閉部材5(ドア)の周りのエリアである。開閉部材5には、錠側通信部32が取り付けられている。水平面に平行な面上で、第一エリアAR1及び第二エリアAR2は、長軸の一端が錠側通信部32に向かい合う楕円状である。水平面に平行な面上で、第二エリアAR2は、第一エリアAR1よりも広いエリアである。第二エリアの長軸方向の長さは、例えば数m程度である。水平面に平行な面上で、第一エリアAR1の中心C1から開閉部材5までの距離L1は、第二エリアAR2の中心C2から開閉部材5までの距離L2よりも小さい。第二エリアAR2は、第一エリアAR1の少なくとも一部を含む。本実施形態では、第二エリアAR2は、第一エリアAR1の全体を含む。
判定部34は、第一エリアAR1及び第二エリアAR2のうち、携帯端末4が存在するエリアを、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて判定する。より詳細には、判定部34は、応答信号Sig2の受信強度が第一の閾値以上であれば、携帯端末4が第一エリアAR1に存在すると判定する。また、判定部34は、応答信号Sig2の受信強度が第二の閾値以上であれば、携帯端末4が第二エリアAR2に存在すると判定する。第一の閾値は、第二の閾値よりも大きい値である。第一の閾値は、例えば−70dBmであり、第二の閾値は、例えば−100dBmである。
電気錠制御装置3及び携帯端末4のうち少なくとも一方は、第一エリアAR1に携帯端末4が存在すると判定部34で判定された場合と、第二エリアAR2に携帯端末4が存在すると判定部34で判定された場合とで、異なる処理をする。異なる処理とは、電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させるための処理である。
より詳細には、携帯端末4が第一エリアAR1に存在すると判定部34で判定された場合は、錠側操作部39に第一操作がされると、錠側制御部31は、電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させる。第一操作については、実施形態1の変形例2で既に述べたので、説明を省略する。
携帯端末4が第二エリアAR2に存在すると判定部34で判定された場合は、鍵側操作部49に第二操作がされると、錠側制御部31は、電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させる。第二操作については、実施形態1で既に述べたので、説明を省略する。
携帯端末4が第一エリアAR1と第二エリアAR2とに同時に存在すると判定部34で判定された場合は、錠側操作部39への第一操作と、鍵側操作部49への第二操作との少なくとも一方により、電気錠1が施錠又は解錠される。
なお、判定部34は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度が計測部33の最小分解能以上であることをもって、携帯端末4が第二エリアAR2に存在すると判定することもできる。つまり、判定部34は、第二エリアAR2に携帯端末4が存在するか否かを判定するために、第二の閾値を用いなくてもよい。ただし、携帯端末4が第二エリアAR2に存在するとき、鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信したり応答信号Sig2を送信したりすることで電力を消費する。したがって、第二エリアAR2を不必要に広くしないために、判定部34は、応答信号Sig2の受信強度が第二の閾値以上である場合にのみ、携帯端末4が第二エリアAR2に存在すると判定することが好ましい。
また、所定のエリアの数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
(実施形態2のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る電気錠制御システム2において、判定部34は、各々が所定のエリアとして予め決められている第一エリアAR1及び第二エリアAR2のうち、鍵装置(携帯端末4)が存在するエリアを、計測部33が計測した計測信号(応答信号Sig2)の受信強度に基づいて判定する。第二エリアAR2は、第一エリアAR1よりも広く、第一エリアAR1の少なくとも一部を含む。鍵装置が第一エリアAR1又は第二エリアAR2に存在するとき、鍵側通信部42と錠側通信部32との間で無線通信可能である。電気錠制御装置3及び鍵装置のうち少なくとも一方は、第一エリアAR1に鍵装置が存在すると判定部34で判定された場合と、第二エリアAR2に鍵装置が存在すると判定部34で判定された場合とで、異なる処理をする。
上記の構成によれば、判定部34は、第一エリアAR1及び第二エリアAR2のうち鍵装置(携帯端末4)が存在するエリアを判定する。電気錠制御装置3及び鍵装置のうち少なくとも一方は、第一エリアAR1に鍵装置が存在すると判定部34で判定された場合と、第二エリアAR2に鍵装置が存在すると判定部34で判定された場合とで、異なる処理をする。したがって、電気錠制御装置3及び鍵装置は、第一エリアAR1に鍵装置が存在すると判定部34で判定された場合と第二エリアAR2に鍵装置が存在すると判定部34で判定された場合とで同じ処理をするときと比較して、より多様な処理を行うことができる。
また、本実施形態に係る電気錠制御システム2において、電気錠制御装置3は、錠側操作部39を更に有することが好ましい。錠側操作部39は、電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させるための第一操作を受け付ける。鍵装置(携帯端末4)は、鍵側操作部49を更に有することが好ましい。鍵側操作部49は、電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させるための第二操作を受け付ける。鍵装置が第一エリアAR1に存在すると判定部34で判定され、かつ、錠側操作部39に第一操作がされると、錠側制御部31は電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させる。鍵装置が第一エリアAR1に存在せず第二エリアAR2に存在すると判定部34で判定され、かつ、鍵側操作部49に第二操作がされると、鍵側通信部42は電気錠制御装置3に指令信号Sig4を送信し、錠側通信部32は、指令信号Sig4を受信すると、電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させる。
上記の構成によれば、鍵装置(携帯端末4)が第一エリアAR1に存在するときは、電気錠制御装置3が有する錠側操作部39への第一操作で電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させることができる。したがって、ユーザは開閉部材5を施錠又は解錠する際に鍵装置を手に取る必要がなく、利便性が向上する。一方で、鍵装置が第一エリアAR1に存在せず、第一エリアAR1よりも広い第二エリアAR2に存在するときは、鍵装置が有する鍵側操作部49への第二操作で電気錠1に開閉部材5を施錠又は解錠させることができる。したがって、鍵装置が開閉部材5から離れていても開閉部材5を施錠又は解錠させることができ、利便性が向上する。
(実施形態3)
次に、実施形態3について、図8、9を参照して説明する。なお、実施形態1の変形例2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1の変形例2と同様の動作については、説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態の電気錠システム20C及び電気錠制御システム2Cは、携帯端末4Cが期間制限部44を更に有する点で、実施形態1の変形例2の電気錠システム20B及び電気錠制御システム2Bとは異なる。期間制限部44は、鍵側通信部42が錠側通信部32に応答信号Sig2を送信してよい期間を、応答周期T2ごとに訪れる応答期間P2に制限する。
図9に示すように、シーケンスの最初の時点では、錠側通信部32の使用アンテナは、アンテナANT1となっている(ステップS32)。使用アンテナは、切替回路320により、一定の切替周期T1でアンテナANT1とアンテナANT2とに交互に切り替えられる(ステップS33、S34)。切替周期T1は、例えば、数十〜数百ミリ秒である。
錠側通信部32は、錠側制御部31からの指令に従って、ビーコン信号Sig1を間欠的に(例えば1秒間隔で)送信する(ステップS35)。鍵側通信部42が応答期間P2にビーコン信号Sig1を受信すると(ステップS36)、鍵側通信部42は、鍵側制御部41からの指令に従って、応答信号Sig2を送信する(ステップS37)。応答期間P2の値は、例えば、携帯端末4Cのメモリに予め記憶されている。鍵側通信部42は、応答期間P2以外の期間に錠側通信部32へ応答信号Sig2を送信しないように、期間制限部44により制御されている。
錠側通信部32が鍵側通信部42からの応答信号Sig2を受信すると、認証部30は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、携帯端末4Cを認証する。認証部30が携帯端末4Cを正当と判断すると(ステップS38)、錠側制御部31は、錠側通信部32がビーコン信号Sig1を送信する周期を変更する。例えば、錠側制御部31は、錠側通信部32がビーコン信号Sig1を送信する周期を、1秒から変更して切替周期T1以下の値(例えば20ミリ秒)にする。
認証部30が携帯端末4Cを認証し正当と判断すると、計測部33は、応答信号Sig2(計測信号)の錠側通信部32での受信強度を計測する(ステップS39)。さらに、判定部34は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて、所定のエリアに携帯端末4Cが存在するか否かを判定する。所定のエリアに携帯端末4Cが存在しないと判定部34が判定した場合(ステップS40)は、錠側制御部31は、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態にしない。
ステップS32で使用アンテナがアンテナANT1に切り替えられてから、切替周期T1が経過すると、使用アンテナがアンテナANT2に切り替えられる(ステップS33)。使用アンテナがアンテナANT2に切り替えられてからも、錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1を間欠的に送信し続ける(ステップS41)。鍵側通信部42が応答期間P2にビーコン信号Sig1を受信すると(ステップS42)、鍵側通信部42は、鍵側制御部41からの指令に従って、応答信号Sig2を送信する(ステップS43)。
認証部30は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、携帯端末4Cを認証する。認証部30が携帯端末4Cを正当と判断すると(ステップS44)、計測部33は、応答信号Sig2の錠側通信部32での受信強度を計測する(ステップS45)。計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて、所定のエリアに携帯端末4Cが存在すると判定部34が判定した場合(ステップS46)は、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態にする(ステップS47)。なお、図7の動作例では、ステップS46とステップS47との間のタイミングで、使用アンテナがアンテナANT1に切り替わるが(ステップS34)、もちろん、使用アンテナがステップS46とステップS47との間のタイミングで切り替わることは必須ではない。
ステップS47の後、錠側操作部39に第一操作がされると(ステップS48)、錠側制御部31は、電気錠1に施錠信号Sig5又は解錠信号Sig6を送信することにより、電気錠1を制御して電気錠1に開閉部材を施錠又は解錠させる(ステップS49:図8参照)。
ここで、応答期間P2は応答周期T2ごとに訪れ、応答周期T2は、使用アンテナの切替周期T1以下である。したがって、鍵側通信部42でビーコン信号Sig1を受信できる位置に携帯端末4Cがあるとき、鍵側通信部42は、切替周期T1の間に少なくとも1度は、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する。これにより、錠側通信部32は、使用アンテナがアンテナANT2からアンテナANT1に切り替わってからアンテナANT2に切り替わるまでの間(ステップS32からステップS33までの間)に、少なくとも1回は応答信号Sig2を受信することができる。また、錠側通信部32は、使用アンテナがアンテナANT1からアンテナANT2に切り替わってからアンテナANT2に切り替わるまでの間(ステップS33からステップS34までの間)に、少なくとも1回は応答信号Sig2を受信することができる。したがって、ステップS32からステップS34までの間に、アンテナANT1、ANT2の両方が応答信号Sig2を受信することができる。すなわち、複数のアンテナANT1、ANT2をダイバーシティアンテナとしてより確実に機能させることができる。
応答周期T2は例えば、切替周期T1に等しい。応答期間P2は、応答周期T2よりも短い期間である。応答期間P2は例えば、電気錠制御装置3Cに登録された携帯端末4Cの数で応答周期T2を除した長さである。
(実施形態3のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る電気錠制御システム2Cにおいて、錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1を送信する。鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信すると錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する。鍵装置(携帯端末4C)は、鍵側通信部42が錠側通信部32に応答信号Sig2を送信してよい期間を、応答周期T2ごとに訪れる応答期間P2に制限する期間制限部44を更に有する。切替回路320は、一定の切替周期T1で使用アンテナを複数のアンテナANT1、ANT2のうち別のアンテナに切り替える。応答周期T2は切替周期T1以下である。
上記の構成によれば、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してよい応答期間P2が訪れる応答周期T2は、使用アンテナの切替周期T1以下である。したがって、鍵側通信部42でビーコン信号Sig1を受信できる位置に鍵装置(携帯端末4C)があるとき、鍵側通信部42は、切替周期T1の間に少なくとも1度は、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する。これにより、錠側通信部32は、ある時点で使用アンテナであるアンテナと、その後に使用アンテナとなる1又は複数のアンテナとを、時分割で確実に使用アンテナとして用いて、鍵側通信部42からの応答信号Sig2を受信することができる。
(実施形態4)
次に、実施形態4について、図8、10を参照して説明する。なお、実施形態1の変形例2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1の変形例2と同様の動作については、説明を省略する。
電気錠制御システム2Cは、携帯端末4Cを複数(本実施形態では2つ)備えている(図10参照)。以下の説明では、2つの携帯端末4Cを区別する際には、一方の携帯端末4Cを第一の携帯端末4Cと称し、他方の携帯端末4Cを第二の携帯端末4Cと称する。錠側制御部31は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、複数の携帯端末4Cの認証を行う。識別情報は、携帯端末4Cごとに固有の情報である。これにより、電気錠制御装置3Cは、複数の携帯端末4Cと個別に通信することができる。
図8に示すように、本実施形態の電気錠システム20C及び電気錠制御システム2Cは、各携帯端末4Cが期間制限部44を更に有する点で、実施形態1の変形例2とは異なる。第一の携帯端末4Cの期間制限部44は、鍵側通信部42が錠側通信部32に応答信号Sig2を送信してよい期間を、応答周期T4ごとに訪れる応答期間P4に制限する。第二の携帯端末4Cの期間制限部44は、鍵側通信部42が錠側通信部32に応答信号Sig2を送信してよい期間を、応答周期T5ごとに訪れる応答期間P5に制限する。
また、図10に示すように、錠側通信部32は、第一の携帯端末4Cから応答信号Sig2を受信すると、錠側制御部31からの指令に従って、返答信号Sig8を送信する。第一の携帯端末4Cの期間制限部44は、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t4以内に鍵側通信部42が返答信号Sig8を受信しなかった場合に、応答周期T4を変更する。錠側通信部32は、第二の携帯端末4Cから応答信号Sig2を受信すると、錠側制御部31からの指令に従って、返答信号Sig9を送信する。第二の携帯端末4Cの期間制限部44は、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t5以内に鍵側通信部42が返答信号Sig9を受信しなかった場合に、応答周期T5を変更する。以下、より詳細に説明する。
錠側通信部32は、錠側制御部31からの指令に従って、ビーコン信号Sig1を間欠的に(例えば1秒間隔で)送信する(ステップS50)。各携帯端末4Cは、鍵側通信部42でビーコン信号Sig1を受信する。各携帯端末4Cにおいて、鍵側通信部42は、応答期間にビーコン信号Sig1を受信すると(ステップS51、S52)、鍵側制御部41からの指令に従って、応答信号Sig2を送信する(ステップS53、S54)。応答期間は、第一の携帯端末4CではP4、第二の携帯端末4CではP5である。応答期間P4、P5は、例えば、各携帯端末4Cのメモリに予め記憶されている。鍵側通信部42は、応答期間P4(又はP5)以外の期間に錠側通信部32へ応答信号Sig2を送信しないように、期間制限部44により制御されている。
錠側通信部32は、応答信号Sig2を受信すると、返答信号Sig8(又はSig9)を送信する(ステップS68、S69参照)。より詳細には、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、認証部30が第一の携帯端末4Cを認証し正当と判断すると、錠側通信部32は、第一の携帯端末4Cの識別情報を含む返答信号Sig8を第一の携帯端末4Cに送信する。また、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、認証部30が第二の携帯端末4Cを認証し正当と判断すると、錠側通信部32は、第二の携帯端末4Cの識別情報を含む返答信号Sig9を第二の携帯端末4Cに送信する。
このように、錠側通信部32は、2つの携帯端末4Cのうち一方から応答信号Sig2を受信すると、当該携帯端末4Cの識別情報を含む返答信号Sig8(又はSig9)を鍵側通信部42に送信する。
錠側通信部32は、2つの携帯端末4Cからの応答信号Sig2を受信するタイミングが同時である又は互いに近いタイミングであると、応答信号Sig2の受信に失敗する場合がある(ステップS55)。錠側通信部32は、第一の携帯端末4Cからの応答信号Sig2の受信に失敗すると、返答信号Sig8を送信しない(ステップS56)。また、錠側通信部32は、第二の携帯端末4Cからの応答信号Sig2の受信に失敗すると、返答信号Sig9を送信しない(ステップS57)。
第一の携帯端末4Cでは、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t4以内に鍵側通信部42が返答信号Sig8を受信しなかった場合に、期間制限部44は、応答周期T4を応答周期Tc4に変更する(ステップS58)。所定の時間t4は、例えば、応答期間P4に等しい。
第二の携帯端末4Cでは、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t5以内に鍵側通信部42が返答信号Sig9を受信しなかった場合に、期間制限部44は、応答周期T5を応答周期Tc5に変更する(ステップS59)。所定の時間t5は、例えば、応答期間P5に等しい。
変更前の応答周期から変更後の応答周期を引いた値は、複数の携帯端末4Cの各々で異なる。第一の携帯端末4Cでは、変更前の応答周期T4から変更後の応答周期Tc4を引いた値ΔT4は、例えば−10ミリ秒である。第二の携帯端末4Cでは、変更前の応答周期T5から変更後の応答周期Tc5を引いた値ΔT5は、例えば+20ミリ秒である。
値ΔT4(又はΔT5)は、携帯端末4Cが電気錠制御装置3Cに登録される際に、携帯端末4Cごとに異なる値が電気錠制御装置3Cにより決定され、携帯端末4Cのメモリに記憶される。なお、値ΔT4(又はΔT5)は、例えば、携帯端末4Cの処理によりランダムに決定されてもよい。
第一の携帯端末4Cでは、変更後の応答周期Tc4ごとに応答期間P4が訪れる。鍵側通信部42は、応答期間P4にビーコン信号Sig1を受信する(ステップS60)と、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する(ステップS61)。鍵側通信部42は、応答期間P4以外の期間にビーコン信号Sig1を受信しても(ステップS62)、応答信号Sig2を送信しない。
第二の携帯端末4Cでは、変更後の応答周期Tc5ごとに応答期間P5が訪れる。鍵側通信部42は、応答期間P5にビーコン信号Sig1を受信する(ステップS64)と、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する(ステップS65)。鍵側通信部42は、応答期間P5以外の期間にビーコン信号Sig1を受信しても(ステップS63)、応答信号Sig2を送信しない。
応答周期T4、T5が応答周期Tc4、Tc5へ変更されたことにより、錠側通信部32が2つの携帯端末4Cからの応答信号Sig2を受信するタイミングは、携帯端末4Cごとに異なっている。したがって、錠側通信部32は、2つの携帯端末4Cからの応答信号Sig2の受信に成功し、認証部30は、携帯端末4Cを認証する(ステップS66、S67)。認証部30が第一の携帯端末4Cを正当と判断すると、錠側通信部32は第一の携帯端末4Cに返答信号Sig8を送信し(ステップS68)、計測部33は、応答信号Sig2の受信強度を計測する(ステップS70)。認証部30が第二の携帯端末4Cを正当と判断すると、錠側通信部32は第二の携帯端末4Cに返答信号Sig9を送信し(ステップS69)、計測部33は、応答信号Sig2の受信強度を計測する(ステップS71)。
ステップS70、S71以降の動作は、実施形態1の変形例2と同様であるから、図10では図示を省略している。すなわち、ステップS70(又はステップS71)の後、判定部34は、計測部33が計測した第一の携帯端末4C(又は第二の携帯端末4C)からの応答信号Sig2の受信強度に基づいて、所定のエリアに第一の携帯端末4C(又は第二の携帯端末4C)が存在するか否かを判定する。所定のエリアに第一の携帯端末4C(又は第二の携帯端末4C)が存在すると判定部34が判定した場合は、錠側制御部31は、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態にする。その後、錠側操作部39に第一操作がされると、錠側制御部31は、電気錠1に施錠信号Sig5又は解錠信号Sig6を送信することにより、電気錠1を制御して電気錠1に開閉部材を施錠又は解錠させる。
ただし、ステップS58、S59以降に、第一の携帯端末4Cでは、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t4以内に鍵側通信部42が返答信号Sig8を受信しなかった場合に、期間制限部44は、応答周期Tc4を更に変更する。第二の携帯端末4Cでは、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t5以内に鍵側通信部42が返答信号Sig9を受信しなかった場合に、期間制限部44は、応答周期Tc5を更に変更する。
(実施形態4の変形例)
実施形態1のように、鍵側操作部49への所定の操作(第二操作)により開閉部材が施錠又は解錠される場合は、返答信号Sig8、Sig9は、判定部34での判定結果を示す信号であってもよい。すなわち、所定のエリアに携帯端末4Cが存在すると判定部34が判定した場合に、錠側通信部32は、当該携帯端末4Cがエリア内に存在することを示す返答信号(実施形態1のエリア信号Sig3に相当)を当該携帯端末4Cの鍵側通信部42に送信する。所定のエリアに携帯端末4Cが存在しないと判定部34が判定した場合に、錠側通信部32は、当該携帯端末4Cがエリア内に存在しないことを示す返答信号を当該携帯端末4Cの鍵側通信部42に送信する。期間制限部44は、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t4(又はt5)以内に鍵側通信部42が返答信号を受信しなかった場合に、応答周期T4(又はT5)を変更すればよい。携帯端末4Cがエリア内に存在することを示す返答信号を鍵側通信部42が受信したときに、指令制限部43(図1参照)は、鍵側通信部42の状態を、指令信号Sig4を送信できない状態から送信できる状態に切り替えてもよい。
あるいは、実施形態1の変形例1のように、電気錠制御装置3Cが計測部33を有していて、携帯端末4Cが判定部34Aを有している場合には、返答信号Sig8、Sig9は、受信強度信号Sig7(図4参照)を兼ねていてもよい。受信強度信号Sig7は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度を示す信号である。期間制限部44は、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t4(又はt5)以内に鍵側通信部42が返答信号を受信しなかった場合に、応答周期T4(又はT5)を変更すればよい。
また、本実施形態の鍵側通信部42は、応答期間P4(又はP5)にビーコン信号Sig1を受信すると、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する。鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信してから規定の時間(例えば、ビーコン信号Sig1の送信間隔である1秒)以内に応答期間P4(又はP5)が訪れた場合にも、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信してもよい。すなわち、鍵側通信部42は、応答期間P4(又はP5)以外の期間には、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信しなければよい。
(実施形態4のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る電気錠制御システム2Cは、鍵装置(携帯端末4C)を複数備える。錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1を送信する。鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信すると錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する。鍵装置は、期間制限部44を更に有する。期間制限部44は、鍵側通信部42が錠側通信部32に応答信号Sig2を送信してよい期間を、応答周期T4(又はT5)ごとに訪れる応答期間P4(又はP5)に制限する。錠側通信部32は、複数の鍵装置の各々の鍵側通信部42から応答信号Sig2を受信すると、当該鍵装置の識別情報を含む返答信号Sig8(又はSig9)を鍵側通信部42に送信する。複数の鍵装置の各々において、期間制限部44は、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t4(又はt5)以内に鍵側通信部42が当該鍵装置の識別情報を含む返答信号Sig8(又はSig9)を受信しなかった場合に、応答周期T4(又はT5)を変更する。変更前の応答周期T4(又はT5)から変更後の応答周期Tc4(又はTc5)を引いた値ΔT4(又はΔT5)は、複数の鍵装置の各々で異なる。
上記の構成によれば、期間制限部44は、鍵側通信部42が応答信号Sig2を送信してから所定の時間t4(又はt5)以内に鍵側通信部42が錠側通信部32から返答信号Sig8(又はSig9)を受信しなかった場合に、応答信号Sig2を送信してよい応答期間P4(又はP5)が訪れる応答周期T4(又はT5)を変更する。つまり、複数の鍵側通信部42(鍵装置:携帯端末4C)からの応答信号Sig2の錠側通信部32での受信タイミングが同じであって錠側通信部32が応答信号Sig2の受信に失敗し、錠側通信部32が返答信号Sig8(又はSig9)を送信しない場合に、鍵側通信部42は応答周期T4(又はT5)を変更する。変更前の応答周期T4(又はT5)から変更後の応答周期Tc4(又はTc5)を引いた値ΔT4(又はΔT5)は、複数の鍵装置の各々で異なる。したがって、複数の鍵装置が次に応答信号Sig2を送信するときは、複数の鍵装置からの応答信号Sig2の錠側通信部32での受信タイミングが、複数の鍵装置の各々で異なる。これにより、複数の鍵装置が錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する場合であっても、錠側通信部32は、各鍵装置からの応答信号Sig2を受信することができる。
(実施形態5)
次に、実施形態5について、図11を参照して説明する。基本構成は実施形態1の変形例2と同じなので、図5も参照して説明する。なお、実施形態1の変形例2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1の変形例2と同様の動作については、説明を省略する。
錠側通信部32は、切替回路320が使用アンテナをアンテナANT1からアンテナANT2に、又はアンテナANT1からアンテナANT2に切り替えるタイミングを示すタイミング信号を、鍵側通信部42に送信する。以下、より詳細に説明する。
図11に示すように、シーケンスの最初の時点では、錠側通信部32の使用アンテナは、アンテナANT1となっている(ステップS72)。
本実施形態では、タイミング信号は、ビーコン信号Sig1を兼ねている。すなわち、ステップS73において錠側通信部32が送信するビーコン信号Sig1には、使用アンテナを切り替えるタイミングを示す情報が含まれている。より詳細には、ビーコン信号Sig1には、現在の使用アンテナが複数のアンテナANT1、ANT2のいずれであるかを示す情報が含まれている。
実施形態1の変形例2と同様に、鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信する(ステップS74)。ステップS74で鍵側通信部42が受信したビーコン信号Sig1に示される現在の使用アンテナは、アンテナANT1である。使用アンテナがアンテナANT1であるという情報は、携帯端末4Bのメモリに記憶される(ステップS75)。鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信すると、応答信号Sig2を送信する(ステップS76)。錠側通信部32が応答信号Sig2を受信すると、認証部30は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、携帯端末4Bを認証する(ステップS77)。認証部30が携帯端末4Bを正当と判断すると、計測部33は、応答信号Sig2の受信強度を計測する(ステップS78)。判定部34は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて、所定のエリアに携帯端末4Bが存在するか否かを判定する。所定のエリアに携帯端末4Bが存在すると判定部34が判定した場合の、以後の動作は、実施形態1の変形例2のステップS29〜S31と同様である。所定のエリアに携帯端末4Bが存在しないと判定部34が判定した場合(ステップS79)は、錠側制御部31は、錠側操作部39の状態を、第一操作を受け付ける状態にしない。
錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1を間欠的に送信し続ける(ステップS80、S82)。鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信する(ステップS81、S83)。ステップS81、S83で受信したビーコン信号Sig1が示す使用アンテナは、アンテナANT1である。鍵側制御部41は、ステップS81、S83で受信したビーコン信号Sig1に示される使用アンテナの情報と、ステップS75でメモリに記憶した使用アンテナの情報とを比較する。鍵側制御部41は、両者が一致すると判断すると、鍵側通信部42に応答信号Sig2を送信させない。
ステップS72で使用アンテナがアンテナANT1に切り替えられてから、切替周期T1が経過すると、使用アンテナがアンテナANT2に切り替えられる(ステップS84)。使用アンテナがアンテナANT2に切り替えられてからも、錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1を間欠的に送信し続け(ステップS85)、鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信する(ステップS86)。ステップS86で受信されたビーコン信号Sig1が示す使用アンテナは、アンテナANT2である。鍵側制御部41は、ステップS86で受信したビーコン信号Sig1に示される使用アンテナの情報と、ステップS75でメモリに記憶した使用アンテナの情報とを比較する。鍵側制御部41は、両者が一致しないと判断すると、使用アンテナがアンテナANT2であるという情報を、携帯端末4Bのメモリに記憶させ(ステップS87)、鍵側通信部42に応答信号Sig2を送信させる(ステップS88)。
認証部30は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、携帯端末4Bを認証する(ステップS89)。認証部30が携帯端末4Bを正当と判断すると、計測部33は、応答信号Sig2の受信強度を計測する(ステップS90)。判定部34は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度に基づいて、所定のエリアに携帯端末4Bが存在するか否かを判定する(ステップS91)。ステップS91以降、開閉部材が施錠又は解錠されるまでの動作は、実施形態1の変形例2のステップS29〜S31と同じであるから、説明を省略する。
ステップS87以降も、鍵側制御部41は、ビーコン信号Sig1に示される使用アンテナの情報と携帯端末4Bのメモリに記憶された使用アンテナの情報とが一致しないと判断した場合にのみ、ビーコン信号Sig1に示される使用アンテナの情報を携帯端末4Bのメモリに記憶させ、鍵側通信部42に応答信号Sig2を送信させる。
(実施形態5の変形例)
鍵側制御部41は、ビーコン信号Sig1(タイミング信号)に示される使用アンテナの情報と携帯端末4Bのメモリに記憶された使用アンテナの情報とが一致しないと判断した場合に、鍵側通信部42に、応答信号Sig2を1回ではなく複数回送信させてもよい。
また、タイミング信号は、ビーコン信号Sig1を兼ねていなくてもよい。タイミング信号は、ビーコン信号Sig1とは別途の信号であってもよい。
あるいは、実施形態1の変形例1のように、電気錠制御装置3Bが計測部33を有していて、携帯端末4Bが判定部34Aを有している場合には、タイミング信号は、受信強度信号Sig7(図4参照)を兼ねていてもよい。受信強度信号Sig7は、計測部33が計測した応答信号Sig2の受信強度を示す信号である。
また、タイミング信号は、現在の使用アンテナが複数のアンテナANT1、ANT2のいずれであるかを示す情報を含むことに限定されない。例えば、タイミング信号は、使用アンテナが次に切り替わるまでの時間を示す情報を含んでいてもよい。また、タイミング信号は、使用アンテナの切替周期T1を示す情報を更に含んでいてもよい。
(実施形態5のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る電気錠制御システム2Bにおいて、錠側通信部32は、切替回路320が使用アンテナを複数のアンテナANT1、ANT2のうち別のアンテナに切り替えるタイミングを示すタイミング信号(ビーコン信号Sig1)を、鍵側通信部42に送信する。
上記の構成によれば、錠側通信部32は、使用アンテナを切り替えるタイミングを示すタイミング信号(ビーコン信号Sig1)を、鍵側通信部42に送信する。したがって、鍵側通信部42が、ある時点で使用アンテナであるアンテナに所定の信号(例えば計測信号、すなわち応答信号Sig2)を送信してから、使用アンテナが別のアンテナに切り替わるまでの間に、同じ所定の信号を送信することを抑制できる。これにより、鍵側通信部42での電力消費量を低減できる。また、鍵側通信部42から錠側通信部32への所定の信号の送信頻度を抑制できるので、鍵装置(携帯端末4B)が複数用いられる場合であっても、錠側通信部32と複数の鍵装置の鍵側通信部42との通信が混雑することを抑制できる。
(実施形態6)
次に、実施形態6について、図5、12を参照して説明する。なお、実施形態1の変形例2と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。実施形態1の変形例2と同様の動作については、説明を省略する。
電気錠制御システム2Bは、携帯端末4Bを複数(本実施形態では2つ)備えている(図12参照)。以下の説明では、2つの携帯端末4Bを区別する際には、一方の携帯端末4Bを第一の携帯端末4Bと称し、他方の携帯端末4Bを第二の携帯端末4Bと称する。錠側制御部31は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、複数の携帯端末4Bの認証を行う。識別情報は、携帯端末4Bごとに固有の情報である。これにより、電気錠制御装置3Bは、複数の携帯端末4Bと個別に通信することができる。
鍵側通信部42は、複数の携帯端末4Bの各々に割り当てられたタイムスロットで応答信号Sig2を送信する。第一の携帯端末4Bには、第一のタイムスロットTS1が割り当てられている。第二の携帯端末4Bには、第二のタイムスロットTS2が割り当てられている。第一のタイムスロットTS1と第二のタイムスロットTS2とは、時間的に交互に割り当てられている。以下、より詳細に説明する。
間欠的に(例えば1秒間隔で)送信されるビーコン信号Sig1には、複数の携帯端末4B間で同期するための同期信号が含まれている。すなわち、各携帯端末4Bは、鍵側制御部41が同期信号を基準として時間をカウントすることにより、鍵側制御部41は、現在のタイムスロットを判断する。また、ビーコン信号Sig1には、第一の携帯端末4Bに第一のタイムスロットTS1を、第二の携帯端末4Bに第二のタイムスロットTS2を割り当てる情報が含まれている。
第一の携帯端末4Bでは、鍵側通信部42がビーコン信号Sig1を受信したときのタイムスロットが第一のタイムスロットTS1である場合にのみ、鍵側通信部42は、応答信号Sig2を送信する。第二の携帯端末4Bでは、鍵側通信部42がビーコン信号Sig1を受信したときのタイムスロットが第二のタイムスロットTS2である場合にのみ、鍵側通信部42は、応答信号Sig2を送信する。
実施形態1の変形例2と同様に、錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1を送信する(ステップS92)。各携帯端末4Bの鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信する(ステップS93、S94)。ここで、第一の携帯端末4Bの鍵側通信部42がビーコン信号Sig1を受信したとき、タイムスロットは第一のタイムスロットTS1である。したがって、第一の携帯端末4Bの鍵側通信部42は、応答信号Sig2を送信する(ステップS95)。第二の携帯端末4Bの鍵側通信部42がビーコン信号Sig1を受信したとき、タイムスロットは第二のタイムスロットTS2である。したがって、第二の携帯端末4Bの鍵側通信部42は、応答信号Sig2を送信しない。
錠側通信部32は、第一の携帯端末4Bからの応答信号Sig2を受信する。認証部30は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、第一の携帯端末4Bの認証する(ステップS96)。認証部30が第一の携帯端末4Bを正当と判断すると、計測部33は、応答信号Sig2の受信強度を計測する(ステップS97)。ステップS97以降、開閉部材が施錠又は解錠されるまでの動作は、実施形態1の変形例2のステップS28〜S31と同じであるから、説明を省略する。
錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1を間欠的に送信し続ける(ステップS98)。第一の携帯端末4Bの鍵側通信部42は、タイムスロットが第二のタイムスロットTS2であるときにビーコン信号Sig1を受信すると(ステップS99)、応答信号Sig2を送信しない。第二の携帯端末4Bの鍵側通信部42は、タイムスロットが第二のタイムスロットTS2であるときにビーコン信号Sig1を受信すると(ステップS100)、応答信号Sig2を送信する(ステップS101)。
錠側通信部32は、第二の携帯端末4Bからの応答信号Sig2を受信する。認証部30は、応答信号Sig2に含まれる識別情報及び鍵情報に基づいて、第二の携帯端末4Bを認証する(ステップS102)。認証部30が第二の携帯端末4Bを正当と判断すると、計測部33は、応答信号Sig2の受信強度を計測する(ステップS103)。ステップS103以降、開閉部材が施錠又は解錠されるまでの動作は、実施形態3のステップS28〜S31と同じであるから、説明を省略する。
以上のように、複数の携帯端末4Bは、各々に割り当てられたタイムスロットで応答信号Sig2を送信する。したがって、錠側通信部32は、複数の携帯端末4Bからの応答信号Sig2を受信するタイミングが携帯端末4Bごとに異なるので、応答信号Sig2の受信に失敗する可能性を低減することができる。
(実施形態6の変形例)
複数の携帯端末4Bが応答信号Sig2を送信するタイミングを示すタイムスロットは、各携帯端末4Bが電気錠制御装置3Bに登録されるときに、各携帯端末4Bに割り当てられてもよい。
また、本実施形態の携帯端末4Bの鍵側通信部42は、当該携帯端末4Bに割り当てられたタイムスロットのときにビーコン信号Sig1を受信すると、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する。鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信してから規定の時間(例えば、ビーコン信号Sig1の送信間隔である1秒)以内に当該携帯端末4Bに割り当てられたタイムスロットが訪れた場合にも、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信してもよい。すなわち、携帯端末4Bの鍵側通信部42は、当該携帯端末4Bに割り当てられたタイムスロット以外の期間には、錠側通信部32に応答信号Sig2を送信しなければよい。
(実施形態6のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る電気錠制御システム2Bは、鍵装置(携帯端末4B)を複数備える。錠側通信部32は、ビーコン信号Sig1を送信する。鍵側通信部42は、ビーコン信号Sig1を受信すると錠側通信部32に応答信号Sig2を送信する。鍵側通信部42は、複数の鍵装置の各々に割り当てられたタイムスロット(第一のタイムスロットTS1、第二のタイムスロットTS2)で応答信号Sig2を送信する。
上記の構成によれば、鍵側通信部42は、複数の鍵装置(携帯端末4B)の各々に割り当てられたタイムスロット(第一のタイムスロットTS1、第二のタイムスロットTS2)で応答信号Sig2を送信する。これにより、複数の鍵装置(鍵側通信部42)からの応答信号Sig2の錠側通信部32での受信タイミングは、鍵装置ごとに異なるので、錠側通信部32が応答信号Sig2の受信に失敗する可能性を低減することができる。
上述した各実施形態は、変形例も含めて、適宜組み合わせて実現されてもよい。