JP6934348B2 - 破風部材及び軒先構造 - Google Patents

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本発明は破風部材に関する。また、本発明は建物の軒先構造に関する。
建物の軒先には破風板及び鼻隠し(以下、本発明ではこれらをまとめて「破風部材」という。)といった耐風性能、耐火性能及び壁面保護等を目的とした板材が設置される。破風部材の固定方法は、垂木端面の手前側に破風部材を配置した上で、破風部材の屋外側表面から垂木端面にビスや釘等を打込んで固定する方法が多い。また、専用部材を用いて破風部材と垂木を固定する方法も知られている。(特許文献1、2)
また、一般に、屋根面から流れ落ちる雨水を受けるための軒樋が軒先に沿って敷設されている。軒樋は、垂木や破風部材に固定された軒樋用吊り具によって支持される。(特許文献3)
特開2017−89284号公報 特開2013−221359号公報 特開平7−269050号公報
このように、破風部材表面から垂木端面にビスや釘等を打込んで固定する方法においては、破風部材が例えば3000mm以上の長尺物である為、垂木端面が破風部材に隠れる。また、垂木の上面側に野地板及び屋根材が敷設されると垂木の位置を上方から確認することもできない。このため、垂木の位置、つまりはビスや釘等を打込む位置を破風部材の屋外側表面から認識し難い。
また、専用部材を用いて破風部材と垂木を固定する方法においては、専用部材を用いるコスト、手間がかかり、場合によっては破風部材の厚さや材質の制限を受ける。
また、軒樋用吊り具を破風部材へ固定する場合には、ビスや釘等の固定用部材が固定効果を発揮できる破風部材の材質、厚さが必要となる。軒樋用吊り具を垂木へ固定する場合には、破風部材があると垂木の位置が視認できない為、破風部材を介して垂木へ固定することは困難である。従って、実際上、軒樋用吊り具を垂木へ確実に固定することができるのは、破風部材がない場合に限られる。
近年、住宅デザインの多様化に伴い、破風部材が破損しやすい材質であったり、破風部材が窯業系の材質などであったりする場合も増えている。このような場合、軒樋用吊り具を固定するビスや釘等が抜けやすいと、雨、雪又は風などの影響で軒樋用吊り具が破風部材から脱落するおそれがある。従って、軒樋用吊り具は破風部材を介して垂木に確実に固定されることが望ましい。
本発明の目的は、上記問題に着目してなされたもので、垂木の端面が隠蔽されたとしても容易に垂木に固定できる破風部材を提供することを課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討したところ、垂木の端面が破風部材によって隠蔽されたとしても、その位置が分かるように破風部材に指標を設けることが有効であることを見出した。本発明は当該知見に基づき完成したものであり、以下に例示される。
本発明は一側面において、屋外側表面に垂木端面の位置を示す指標を有する破風部材である。
本発明に係る破風部材は一実施形態において、軒樋が取り付けられる位置に配置される。
本発明に係る破風部材は別の一実施形態において、前記指標が破風部材の高さ方向の幅の半分より高い位置のみに形成される。
本発明に係る破風部材は更に別の一実施形態において、前記指標が垂木端面の水平方向の幅の両端の位置を示す。
本発明に係る破風部材は更に別の一実施形態において、前記指標が垂木端面の高さ方向の幅の下端の位置を示す。
本発明に係る破風部材は更に別の一実施形態において、前記指標が印字、凹凸、切欠き及び穴よりなる群から選択される一つ以上によって示される。
本発明は別の一側面において、垂木と、該垂木の屋外側端面に隣接して固定された本発明に係る破風部材と、破風部材を貫通し、垂木内部で破風部材を固定する効果が発現している第一固定用部材と、を備えた軒先構造である。
本発明に係る軒先構造は一実施形態において、破風部材の屋外側表面に固定された軒樋用吊り具と、破風部材を貫通し、垂木内部で軒樋用吊り具を固定する効果が発現している第二固定用部材と、を更に備える。
本発明によれば、垂木の端面が隠蔽されたとしても、破風部材の屋外側表面に垂木の端面の位置を示す指標が設けられているので、破風部材を容易に垂木に固定することができる。また、本発明によれば、破風部材の材質及び厚さに関係なく、軒樋用吊り具を垂木に確実に取り付けることができるという利点も得られる。
つまり、本発明によれば垂木に破風部材を配置した後でも垂木の位置、すなわちビスや釘等を打込む位置を容易に認識でき、垂木と破風部材の専用固定具を用いずとも、容易に破風部材を垂木に固定できる。また、破風部材を取り付けた後でも垂木端面の位置を破風部材に設けられた指標を目印にして認識できる為、軒樋用吊り具を固定するビスや釘等の固定用部材は破風部材を貫通し、垂木に固定効果を発揮することができるように容易に施工可能である。ついては、破風部材の材質及び厚さを含めた設計自由度を高めることができ、更にはコストダウンにも貢献できる。従来は外表面を構成する破風部材が薄い場合のほか、金属製や窯業系の材質の場合には、下地として厚みのある木製の破風部材を必要としていたところ、そのような下地が不要となるため、工事の簡略化及び施工費用の低減を図ることが可能となる。
本発明に係る破風部材の第一実施例の概略図であり、垂木の端面の位置を示す指標の例が示されている。 本発明に係る破風部材の第二実施例の概略図であり、垂木の端面の水平方向の幅の両端の位置を示す指標の例が示されている。 本発明に係る破風部材の第三実施例の概略図であり、垂木の端面の水平方向の幅の両端及び高さ方向の幅の下端の位置を示す指標の例が示されている。 本発明に係る破風部材の第四実施例の概略図であり、垂木の端面の水平方向の幅の両端及び高さ方向の幅の下端の位置を示す指標の例が示されている。 本発明に係る軒先構造の一実施例の概略断面が示されている。 従来の軒先構造の一実施例の概略断面が示されている。
以下に発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳しく説明する。
<1.破風部材>
図1には本発明に係る破風部材1の第一実施例の概略図が示されている。破風部材1は、屋外側表面に垂木2の端面の位置を示す指標を有する。本実施例においては、垂木2の端面の位置を示す指標として、水平方向に一定間隔で設けられた目盛り線11が、破風部材1の屋外側表面の上部に設けられている。垂木2は例えば455mm又は303mmというような一定の間隔で配置される為、一定間隔の目盛り線を有することにより、垂木2の位置を特定できる。特に目盛り線11の場合には複数の垂木2の設置間隔に対応することができる。例えば同一の破風部材において303mm間隔、455mm間隔といった異なる垂木の設置間隔に対応できるように、目盛り線の長さを垂木の設置間隔に応じて変えるなど表示態様を変更することが更に好ましい。
従来、垂木の位置を示す指標がない場合には、野地板、屋根材、及び破風部材を設置した後では破風部材に垂木が隠れる為、破風部材の屋外側表面から垂木の位置を認識できず、破風部材の下方からの目視確認や触手確認、又は、破風部材の表面を叩いて音による確認などにより、垂木端面の位置を推定する必要があった。破風部材は垂木端面にビスや釘等を用いて固定する為、垂木端面の位置が特定できないと、固定が困難となる。これに対して、本実施例に係る破風部材は、垂木の端面の位置を示す指標を有するため、野地板、屋根材、及び破風部材を設置した後でも、破風部材の屋外側表面から垂木の位置を容易に認識できる。
本発明に係る破風部材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば破損強度、耐熱性に優れる木製、金属製が好ましい。
また、破風部材の構成例として、下地として厚みのある木製の破風部材を垂木に固定した後、その木製破風部材の屋外側表面に金属製や窯業系を固定する、つまり、複数の破風部材を積層することがある。複数の破風部材を積層する場合、どのような厚さ、材質の破風部材の組合せでも対応できるよう、積層する全ての破風部材の屋外側表面に垂木端面の位置を示す指標を有することが好ましい。
図2には本発明に係る破風部材の第二実施例の概略図が示されている。第二実施例においては、垂木2の端面の位置を示す指標として、破風部材1の屋外側表面の上部に切欠き12が設けられている。切欠き12は、垂木2の端面の水平方向の幅の両端の位置を示すことができる。垂木2の端面の水平方向の幅の両端の位置を示すことにより、垂木2に破風部材1、更には軒樋用吊り具を固定するビスや釘等の打付け可能範囲が更に明確になる。
図3には本発明に係る破風部材の第三実施例の概略図が示されている。第三実施例においては、垂木2の端面の位置を示す指標として、第一実施例と同様の目盛り線11に加えて、破風部材1の屋外側表面の高さ方向の幅の半分より高い位置に水平方向に延びた直線状の目印13が設けられている。目印13は、垂木2の端面の高さ方向の幅の下端の位置を示すことができる。第三実施例によれば、垂木2の端面の水平方向の幅の両端及び高さ方向の幅の下端の位置を認識することが可能となる。これにより、垂木2に破風部材1、更には軒樋用吊り具を固定するビスや釘等の打付け可能範囲が更に明確になる。
図4には本発明に係る破風部材の第四実施例の概略図が示されている。第四実施例においては、垂木2の端面の位置を示す指標として、破風部材1の屋外側表面の上部に高さ方向に延びた直線状の目印14aが設けられている。目印14aは、垂木2の端面の水平方向の幅の両端の位置を示すことができる。また、第四実施例においては、垂木2の端面の位置を示す指標として、破風部材1の屋外側表面の高さ方向の幅の半分より高い位置に水平方向に延びた直線状の目印14bが設けられている。目印14bは、垂木2の端面の高さ方向の幅の下端の位置を示すことができる。垂木2の端面の水平方向の幅の両端及び高さ方向の下端の位置を示すことにより、垂木2に破風部材1、更には軒樋用吊り具を固定するビスや釘等の打付け可能範囲が更に明確になる。
なお、指標の表示例として、図1に示す第一実施例では目盛り線、図2に示す第二実施例では切欠き、図3に示す第三実施例では目盛り線と水平方向に延びた直線状の目印、図4に示す第四実施例では水平方向及び高さ方向に延びた直線状の目印としているが、表示方法はこれらに限られるものではない。破風部材の屋外側表面から視認でき、垂木端面の位置を示す指標として機能しさえすればその表示方法はどのような表示方法でも良い。例示的には、プリンター等の電子機器により、又は、スタンプ若しくは筆記用具を利用して人間により、破風部材の屋外側表面に表示された記号、文字、模様、図形が挙げられる。これらの指標は一種のみで構成してもよいし、二種以上を組み合わせて構成してもよい。これらの指標は、顔料又は染料を使用して破風部材の屋外側表面に印刷、押印又は手書きすることで印字、印影又は手書き物として二次元的に形成できる他、工具を用いて凹凸、切欠き、穴などの立体構造を破風部材の屋外側表面に設けることで三次元的に形成できる。または、二次元的指標と三次元的指標を組み合わせてもよい。指標の大きさは視認できる大きさであれば特に限定されるものではない。
破風部材は垂木端面に固定され、垂木の端面を隠す機能をもつ部材であるが、特に本発明では軒樋又は軒樋吊り具が取り付けられる位置に配置される破風部材に効果を発揮する。
また、指標の位置は破風部材の屋外側表面から視認することができれば、いずれの位置、大きさでも本発明の効果を発揮できるものであるが、破風部材の高さ方向の幅の半分より高い位置のみに形成されることが好ましい。垂木は破風部材の上部に位置するものである為、下部に、または上部から下部にかけての位置に指標が形成される必要性はない。また、破風部材の下部に指標が形成されている場合には、工事完了後の状態で指標が容易に視認できる為、見栄えが悪いという問題がある。上部のみに指標を形成することにより目立たなくなり、雨樋の工事完了後には、指標は雨樋に隠れる為、表面側からは見えず、美観を損なうことはない。
<2.軒先構造>
図5に、本発明に係る軒先構造の一実施例の概略断面を示す。本軒先構造は、垂木2と、該垂木2の屋外側端面21に隣接して固定された本発明に係る破風部材1と、破風部材1を貫通し、垂木2の内部で破風部材1を固定する効果が発現している固定用部材8とを備える。軒先には軒樋6を設置することができる。この場合、軒樋用吊り具5が破風部材1の屋外側表面に固定され、軒樋6は軒樋用吊り具5に支持される。
本発明に係る破風部材1は、軒樋用吊り具5を破風部材1の屋外側表面に固定する場合においても有利である。破風部材1の材質及び厚さに関係なく軒樋用吊り具5を強固に固定するには、ビスや釘等の軒樋用吊り具5の固定用部材7を破風部材1を貫通させて垂木2の内部まで到達させることが望ましい。この点、本発明に係る破風部材1によれば、破風部材1によって垂木2の屋外側端面21が隠蔽されたとしても、破風部材1の屋外側表面に形成された指標により垂木2の屋外側端面21の位置を認識できる。このため、軒樋用吊り具5の固定用部材7が破風部材1を貫通し、垂木2の内部で軒樋用吊り具5を固定する効果を発揮するように施工することが容易となる。ついては、破風部材の材質及び厚さを含めた設計自由度を高めることができ、更にはコストダウンにも貢献できる。
なお、破風部材1を固定する固定用部材8と、軒樋用吊り具5を固定する固定用部材7は同一でもよいが、予め破風部材1を垂木2に固定した後に、軒樋用吊り具5を破風部材1に固定するほうが工事しやすいことから、破風部材1を固定する固定用部材8を用いて先に破風部材1を垂木2に固定しておくことが好ましい。
図6に従来の軒先構造の一実施例の概略断面を示す。破風部材1を有する軒先に軒樋用吊り具5を固定する場合には、軒樋用吊り具5を取り付ける為のビス等の固定用部材7は破風部材1に打ち込み、破風部材1にビスや釘等の固定用部材7の固定効果を発揮する。よって、破風部材1はビス等の固定用部材7の固定効果を発揮できる材質、厚さが必要である。
これに対し、図5に示す本発明に係る軒先構造によれば、破風部材1を設置した後でも垂木2の屋外側端面21の位置がわかる為、軒樋用吊り具5を取り付ける為のビス等の固定用部材7は破風部材1を介して垂木2の屋外側端面21に容易に取り付けることができる。垂木2に軒樋用吊り具5の固定効果を発揮することにより、破風部材1が薄くても、また破損しやすい材質でも軒樋用吊り具5は十分な固定効果を発揮できる。
1・・・破風部材
11・・・目盛り線
12・・・切欠き
13・・・水平方向に延びた直線状の目印
14a・・・高さ方向に延びた直線状の目印
14b・・・水平方向に延びた直線状の目印
2・・・垂木
21・・・端面
3・・・野地板
4・・・屋根材
5・・・軒樋用吊り具
6・・・軒樋
7・・・軒樋用吊り具の固定用部材
8・・・破風部材の固定用部材

Claims (7)

  1. 屋外側表面に垂木端面の水平方向の幅の両端の位置を示す指標を有する破風部材。
  2. 軒樋が取り付けられる位置に配置される請求項1に記載の破風部材。
  3. 前記指標が破風部材の高さ方向の幅の半分より高い位置のみに形成される請求項1又は請求項2に記載の破風部材。
  4. 前記指標が垂木端面の高さ方向の幅の下端の位置を示す請求項1〜の何れか一項に記載の破風部材。
  5. 前記指標が印字、凹凸、切欠き及び穴よりなる群から選択される一つ以上によって示される請求項1〜の何れか一項に記載の破風部材。
  6. 垂木と、該垂木の屋外側端面に隣接して固定された請求項1〜の何れか一項に記載の破風部材と、破風部材を貫通し、垂木内部で破風部材を固定する効果が発現している第一固定用部材と、を備えた軒先構造。
  7. 破風部材の屋外側表面に固定された軒樋用吊り具と、破風部材を貫通し、垂木内部で軒樋用吊り具を固定する効果が発現している第二固定用部材と、を更に備えた請求項に記載の軒先構造。
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