本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の平面図である。図2は、図1のII−II’線に沿う断面図である。図1に示すように、本実施形態の表示装置1は、画像を表示させるための表示領域Adと、表示領域Adの外側に設けられた額縁領域Gdと、表示領域Adの一部と重なる指紋検出領域Fdとを有する。本実施形態において、指紋検出領域Fdは、表示領域Adの短辺に沿った矩形状の領域であり、カバー部材101に接触又は近接する指等の表面の凹凸を検出するための領域である。
図2に示すように、本実施形態の表示装置1は、カバー部材101と、指紋センサ部10と、表示パネル30とを含む。カバー部材101は、第1面101aと、第1面101aと反対側の第2面101bとを有する板状の部材である。カバー部材101の第1面101aは、接触又は近接する指等の表面の凹凸を検出するための検出面であり、かつ、表示領域Adを透過した表示パネル30の画像を観察者が視認するための表示面である。カバー部材101の第2面101b側に、指紋センサ部10及び表示パネル30が設けられる。カバー部材101は指紋センサ部10及び表示パネル30を保護するための部材であり、指紋センサ部10及び表示パネル30を覆って設けられる。カバー部材101は、例えばガラス基板、又は樹脂基板である。
なお、カバー部材101、表示パネル30ともに平面視で長方形状である場合に限られず、円形状、長円形状、或いは、これらの外形形状の一部を欠落させた異形状の構成であってもよい。また、例えば、カバー部材101が円形状であり、表示パネル30が正多角形状等である場合のように、カバー部材101と表示パネル30との外形形状が異なっていてもよい。カバー部材101は、平板状のみならず、例えば表示領域Adが曲面で構成され、或いは額縁領域Gdが表示パネル30側に湾曲する等、曲面を有する曲面ディスプレイも採用可能である。
図1及び図2に示すように、額縁領域Gdにおいて、カバー部材101の第2面101bに加飾層110が設けられている。加飾層110は、カバー部材101よりも光の透過率が小さい着色層であり、額縁領域Gdに重畳して設けられる配線や回路等が観察者に視認されることを抑制することができる。図2に示す例では、加飾層110は第2面101bに設けられているが、第1面101aに設けられていてもよい。また、加飾層110は、単層に限定されず、複数の層を重ねた構成であってもよい。
指紋センサ部10は、カバー部材101の第1面101aに接触又は近接する指等の表面の凹凸を検出するための検出部である。図2に示すように、指紋センサ部10は、カバー部材101と表示パネル30との間に設けられ、第1面101aに対して垂直な方向から見たときに、指紋検出領域Fdと、額縁領域Gdの一部に重なっている。指紋センサ部10には、額縁領域Gdにおいてフレキシブル基板76が接続され、フレキシブル基板76に指紋センサ部10の検出動作を制御するための検出用IC18が実装される。
指紋センサ部10の一方の面10aは、接着層71を介してカバー部材101の第2面101bと貼り合わされ、他方の面10bは、接着層72を介して、表示パネル30の偏光板35と貼り合わされる。指紋センサ部10の側面10cは、表示領域Adと重なる位置に設けられる。後述するように、接着層71及び接着層72に透光性を有する液状の接着剤を用いることにより、指紋センサ部10の一方の面10a、他方の面10b及び側面10cが接着層71、接着層72と密着して、樹脂層の中に埋め込まれた状態となる。このため、接着層71及び接着層72と、指紋センサ部10との間に気泡が発生することを抑制することができる。なお、図2等では、接着層71と接着層72とを各層に分けて示しているが、接着層71及び接着層72に同じ材料を用いた場合、接着層71と接着層72とが一体化して境界が視認されない構成となる。つまり、1層の樹脂層の中に指紋センサ部10が埋め込まれた構成であってもよい。
図3は、指紋センサ部の概略断面構造を表す断面図である。図3に示すように、指紋センサ部10は、センサ基材21と、配線層22と、第1検出電極25と、シールド電極26とを有する。センサ基材21は、ポリイミド樹脂等のフィルム状の基材である。又は、センサ基材21は、ガラス基板であってもよい。
配線層22は、センサ基材21の上に設けられ、後述する第1スイッチング素子Trや、ゲート線GCL、信号線SGL等の各種配線を含む。第1検出電極25は配線層22の上側に設けられる。第1検出電極25は、指紋センサ部10の検出電極であり、接触又は近接する指の表面の凹凸による容量変化に応じた検出信号Vdetを出力する。第1検出電極25からの検出信号Vdetは、配線層22を介して、フレキシブル基板76に実装された検出用IC18に出力される。シールド電極26は、第1検出電極25と配線層22との間に設けられる。シールド電極26は、第1検出電極25のシールド電極であり、第1検出電極25に対しカバー部材101と反対側において、指等の外部物体の存在による容量変化や、電磁ノイズ等の影響を抑制する。
シールド電極26と第1検出電極25との間に絶縁層56が設けられる。また、第1検出電極25の上には絶縁層57が設けられる。絶縁層57が図2に示す接着層71と接して、指紋センサ部10がカバー部材101に接着される。つまり、カバー部材101の検出面である第1面101a側から、第1検出電極25、シールド電極26、配線層22、センサ基材21の順に積層される。第1検出電極25、シールド電極26及び配線層22の詳細な構成については、後述する。
第1検出電極25及びシールド電極26は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電材料を用いることができる。また、センサ基材21も透光性を有する材料が用いられる。指紋センサ部10は、透光性を有するセンサであり、表示領域Adの一部、又は全面に設けられた場合であっても、表示パネル30の画像の品質の低下を抑制することができる。
図2に示すように、表示パネル30は、画素基板30Aと、対向基板30Bと、画素基板30Aの下側に設けられた偏光板34と、対向基板30Bの上側に設けられた偏光板35とを有する。画素基板30Aにフレキシブル基板75を介して、表示パネル30の表示動作を制御するための表示用IC19が接続されている。本実施形態において、表示パネル30は、表示機能層として液晶表示素子が用いられる液晶パネルである。これに限定されず、表示パネル30は、例えば、有機EL表示パネルであってもよい。なお、検出用IC18及び表示用IC19は、モジュール外部の制御基板に備えられていてもよい。又は、検出用IC18は指紋センサ部10のセンサ基材21に備えられていてもよく、表示用IC19は画素基板30Aの第1基板31(図4参照)に備えられていてもよい。
図4は、表示パネルの概略断面構造を表す断面図である。画素基板30Aは、第1基板31と、画素電極32と、共通電極33とを含む。共通電極33は、第1基板31の上に設けられる。画素電極32は、絶縁層38を介して共通電極33の上側に設けられ、平面視でマトリクス状に複数配置される。画素電極32は、表示パネル30の各画素Pixを構成する副画素に対応して設けられ、表示動作を行うための画素信号が供給される。また、共通電極33は、直流の表示用駆動信号が供給され、複数の画素電極32に対する共通電極として機能する。
本実施形態において、第1基板31に対して、共通電極33、絶縁層38、画素電極32は、この順で積層されている。第1基板31の下側には、接着層を介して偏光板34が設けられる。第1基板31には、表示用のスイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)が配置される(図4では省略する)。画素電極32及び共通電極33は、例えば、ITO等の透光性を有する導電性材料が用いられる。
なお、複数の画素電極32の配列は、第1方向及び該第1方向に直交する第2方向に沿って配列されるマトリクス状の配列のみならず、隣り合う画素電極32どうしが第1方向又は第2方向にずれて配置される構成を採用することもできる。また、隣り合う画素電極32の大きさの違いから、第1方向に配列される画素列を構成する1つの画素電極32に対し、当該画素電極の一側に2又は3の複数の画素電極32が配列される構成も採用可能である。
対向基板30Bは、第2基板36と、この第2基板36の一方の面に形成されたカラーフィルタ37とを含む。カラーフィルタ37は、第1基板31と垂直な方向において、液晶層6と対向する。さらに、第2基板36の上には、接着層を介して偏光板35が設けられている。なお、カラーフィルタ37は第1基板31上に配置されてもよい。本実施形態において、第1基板31及び第2基板36は、例えば、ガラス基板又は樹脂基板である。
第1基板31と第2基板36との間に液晶層6が設けられる。液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、FFS(Fringe Field Switching:フリンジフィールドスイッチング)を含むIPS(In−Plane Switching:インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶が用いられる。なお、図4に示す液晶層6と画素基板30Aとの間、及び液晶層6と対向基板30Bとの間には、それぞれ配向膜が配設されてもよい。
第1基板31の下方には、図示しない照明部(バックライト)が設けられる。照明部は、例えばLED等の光源を有しており、光源からの光を第1基板31に向けて射出する。照明部からの光は、画素基板30Aを通過して、その位置の液晶の状態により光が遮られて射出しない部分と射出する部分とが切り換えられることで、表示面(第1面101a)に画像が表示される。
図2に示すように、表示パネル30は、指紋検出領域Fdにおいて偏光板35の上に設けられた接着層72を介して指紋センサ部10と貼り合わされる。また、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、表示パネル30は、指紋センサ部10を介さず、接着層71、接着層72を介して、カバー部材101と貼り合わされる。
図2に示すように、指紋センサ部10は、カバー部材101の第2面101bと垂直な方向において、表示パネル30よりもカバー部材101に近い位置に配置される。このように指紋センサ部10は、カバー部材101側に設けられているので、例えば、表示パネル30と一体に指紋検出用の検出電極を設けた場合に比べ、検出電極である第1検出電極25と、検出面である第1面101aとの距離を小さくすることができる。したがって、本実施形態の表示装置1によれば、検出性能を向上させることができる。
次に指紋センサ部10の詳細な構成について説明する。図5は、指紋センサ部を含む指紋検出装置の一構成例を示すブロック図である。図5に示すように、指紋検出装置100は、指紋センサ部10と、検出制御部11と、ゲートドライバ12と、第1検出電極ドライバ14と、検出部40とを備える。
指紋センサ部10は、後述するように、ゲートドライバ12から供給される走査信号Vscanに従って、1検出ラインずつ順次走査して検出を行う。指紋センサ部10は、自己静電容量方式の検出原理に基づいて、接触又は近接する指表面の凹凸を検出することで、指紋の形状を検出する。
検出制御部11は、ゲートドライバ12、第1検出電極ドライバ14、検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらが互いに同期して動作するように制御する回路である。ゲートドライバ12は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、指紋センサ部10の検出駆動の対象となる複数の第1検出電極25を含む第1検出電極ブロック25Aを順次選択する。第1検出電極ドライバ14は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、指紋センサ部10の検出駆動の対象となる第1検出電極25に駆動信号Vfを供給する。
検出部40は、検出制御部11から供給される制御信号と、指紋センサ部10から供給される検出信号Vdetに基づいて、細かいピッチでタッチの有無を検出する回路である。検出部40は、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、合成部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、合成部46とが同期して動作するように制御する。
検出信号Vdetは、指紋センサ部10から検出部40の検出信号増幅部42に供給される。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、駆動信号Vfに同期したタイミングで、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をそれぞれサンプリングしてデジタル信号に変換する。
信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、指紋センサ部10に対するタッチの有無を検出する論理回路である。信号処理部44は、指による検出信号の差分の信号(絶対値|ΔV|)を取り出す処理を行う。信号処理部44は、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較し、この絶対値|ΔV|がしきい値電圧未満であれば、外部近接物体が非接触状態であると判断する。一方、信号処理部44は、絶対値|ΔV|がしきい値電圧以上であれば、外部近接物体の接触状態と判断する。このようにして、検出部40はタッチ検出が可能となる。
座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチが検出されたときに、その検出座標を求める論理回路である。座標抽出部45は、検出座標を合成部46に出力する。合成部46は、指紋センサ部10から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、接触又は近接する物体の形状を示す二次元情報を生成する。合成部46は、二次元情報を検出部40の出力Voutとして出力する。又は、合成部46は、二次元情報に基づいた画像を生成し、画像情報を出力Voutとしてもよい。
上述した検出用IC18(図2参照)は、図5に示す検出部40として機能する。検出部40の機能の一部は、表示用IC19に含まれていてもよく、外部のMPU(Micro−processing unit)の機能として設けられてもよい。
上述のとおり、指紋センサ部10は、静電容量型のタッチ検出の基本原理に基づいて動作する。次に、図6及び図7を参照して、本実施形態の指紋センサ部の自己静電容量方式によるタッチ検出の基本原理について説明する。図6は、自己静電容量方式のタッチ検出の基本原理を説明するための説明図である。図7は、自己静電容量方式のタッチ検出の駆動信号及び検出信号の波形の一例を表す図である。なお、図6は、検出回路を併せて示している。
指が接触又は近接していない状態において、検出電極E1に所定の周波数(例えば数kHz〜数百kHz程度)の交流矩形波Sgが印加される。検出電極E1は、静電容量C1を有しており、静電容量C1に応じた電流が流れる。電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動(実線の波形V4(図7参照))に変換する。
次に、図6に示すように、指が接触又は近接した状態において、指と検出電極E1との間の静電容量C2が、検出電極E1の静電容量C1に加わる。したがって、検出電極E1に交流矩形波Sgが印加されると、静電容量C1及び静電容量C2に応じた電流が流れる。図7に示すように、電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動(点線の波形V5)に変換する。そして、波形V4と波形V5との差分の絶対値|ΔV|に基づいて、外部近接物体の有無(タッチの有無)を測定することができる。
具体的には、図7において、時刻T01のタイミングで交流矩形波Sgは電圧V0に相当する電圧レベルを上昇させる。このときスイッチSW1はオンとなりスイッチSW2はオフとなるため検出電極E1の電位も電圧V0に上昇する。次に時刻T11のタイミングの前にスイッチSW1をオフとする。このとき検出電極E1はフローティング状態であるが、検出電極E1の静電容量C1(またはC1+C2、図6参照)によって、検出電極E1の電位はV0が維持される。更に、時刻T11のタイミングの前に電圧検出器DETのリセット動作が行われる。
続いて、時刻T11のタイミングでスイッチSW2をオンさせると、検出電極E1の静電容量C1(またはC1+C2)に蓄積されていた電荷が電圧検出器DET内の容量C3に移動するため、電圧検出器DETの出力が上昇する(図7の検出信号Vdet参照)。電圧検出器DETの出力(検出信号Vdet)は、検出電極E1に指等が近接していないときは、実線で示す波形V4となり、Vdet=C1×V0/C3となる。指等の影響による静電容量が付加されたときは、点線で示す波形V5となり、Vdet=(C1+C2)×V0/C3となる。
その後、時刻T31のタイミングでスイッチSW2をオフさせ、スイッチSW1及びスイッチSW3をオンさせることにより、検出電極E1の電位を交流矩形波Sgと同電位のローレベルにするとともに電圧検出器DETをリセットさせる。以上の動作を所定の周波数(例えば数kHz〜数百kHz程度)で繰り返す。
図8は、第1の実施形態に係る指紋センサ部の、第1検出電極、シールド電極、ゲート線及び信号線の全体構成を模式的に示す平面図である。図9は、第1検出電極及び各配線の構成を拡大して示す平面図である。
図8に示すように、指紋センサ部10のセンサ基材21は、カバー部材101の第1面101a(図2参照)に対して垂直な方向から見たときに、表示領域Adの一部である指紋検出領域Fdと、額縁領域Gdの一部に重畳して設けられている。センサ基材21の、フレキシブル基板76が接続された側と反対側の端部21cは、表示領域Adの短辺に沿った方向に延びて、額縁領域Gd、表示領域Ad及び額縁領域Gdに重なる。センサ基材21は、表示領域Adの短辺に沿った方向に長辺を有する矩形状であるが、これに限定されず、適宜変更してもよい。
なお、カバー部材101は、指紋センサ部10よりも上側に設けられているが、図8では図面を見やすくするために、カバー部材101及び加飾層110を一点鎖線で示している。図8に示すように、加飾層110は、カバー部材101の外周に対して間隔を有して設けられているが、これに限られず、カバー部材101の外周に一致する位置まで設けられていてもよい。
第1検出電極25は、表示領域Adの一部の指紋検出領域Fdにおいて、行列状に複数配置されている。第1検出電極25は、それぞれ菱形形状であり、菱形形状の各辺同士が対向するように配置される。図8では、図面を見やすくするために、一部の第1検出電極25のみ示しているが、第1検出電極25は指紋検出領域Fdの全体に設けられていてもよい。
シールド電極26は、第1検出電極25と重畳して、指紋検出領域Fdの全体に連続して設けられている。すなわち、第1検出電極25は、シールド電極26と比較して小さい面積を有しており、1つのシールド電極26に対して多数の第1検出電極25が配列される。なお、図8では、1つのシールド電極26が指紋検出領域Fdに設けられているが、複数のシールド電極26を設けてもよく、例えばマトリクス状に複数のシールド電極26を配列してもよい。
図8及び図9に示すように、複数のゲート線GCL及び複数の信号線SGLがシールド電極26と重畳して設けられている。ゲート線GCLは、表示領域Adの長辺に沿った方向に対して傾斜して延在する。信号線SGLは、表示領域Adの長辺に沿った方向に対して、ゲート線GCLとは反対方向に傾斜して延在する。信号線SGLとゲート線GCLとが互いに交差してメッシュ状に配置される。信号線SGLとゲート線GCLとで囲まれた領域にそれぞれ、菱形状の第1検出電極25が設けられる。第1検出電極25は、4辺の長さが等しい菱形形状であるが、これに限定されず、例えば平行四辺形状、矩形状或いは正方形状等であってもよい。
図8に示すように、額縁領域Gdにおいて、センサ基材21には上述したゲートドライバ12、第1検出電極ドライバ14等の駆動回路を含む回路部15A、15B、15Cが形成されている。ゲートドライバ12は、走査信号Vscanを生成する走査信号生成部や、ゲート線GCLを選択するゲートスキャナ等を含む。また、第1検出電極ドライバ14は、検出用の駆動信号Vfを生成する駆動信号生成部や、信号線SGLを選択するマルチプレクサ等の選択回路を含む。
回路部15Aは、額縁領域Gdの短辺、すなわち、フレキシブル基板76が接続されている側の額縁領域Gdに重なる位置に設けられ、額縁領域Gdの短辺側に延びる信号線SGL及びゲート線GCLと接続されている。回路部15Bは、額縁領域Gdの長辺の一方に設けられ、回路部15Cは、額縁領域Gdの長辺の他方に設けられる。回路部15B、15Cは、それぞれ額縁領域Gdの長辺側に延びる信号線SGL及びゲート線GCLと接続されている。
回路部15B、15Cは、それぞれ配線L1、L2を介して回路部15Aと電気的に接続されている。回路部15A、15B、15Cは、フレキシブル基板76と電気的に接続され、検出用IC18からの制御信号により動作する。回路部15A、15B、15Cによって、指紋検出領域Fdの複数の第1検出電極25が、順次選択されて駆動される。
このように、回路部15A、15B、15Cと第1検出電極25とが同じセンサ基材21に設けられているので、回路部15A、15B、15Cと第1検出電極25とを接続する各種配線の長さを短くすることができる。このため、多数の第1検出電極25についての検出動作の応答性が向上し、検出性能を向上させることができる。
図9に示すように、信号線SGLとゲート線GCLとの交差部にそれぞれ第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxが設けられる。第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxは第1検出電極25に対応する位置にそれぞれ設けられる。第1スイッチング素子Trは、信号線SGLと第1検出電極25との間の接続と遮断とを切り替え可能となっている。第2スイッチング素子Trxは、第1検出電極25とシールド電極26との間の接続と遮断とを切り替え可能となっている。
第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。第2スイッチング素子Trxは、第1スイッチング素子Trと逆のスイッチング動作を行う。この例では、pチャネルのMOS型TFTで構成される。第1スイッチング素子Trと第2スイッチング素子Trxとに同じ走査信号が供給され、例えば走査信号が高レベルのとき、第1スイッチング素子Trがオン(開)、第2スイッチング素子Trxがオフ(閉)となる。走査信号が低レベルのとき、第1スイッチング素子Trがオフ(閉)、第2スイッチング素子Trxがオン(開)となる。
図8に示すように、ゲート線GCLはセンサ基材21に設けられたゲートドライバ12に接続される。ゲートドライバ12は、図9に示す複数のゲート線GCL(n)、GCL(n+1)、…GCL(n+4)を順次選択し、選択されたゲート線GCL(n)、GCL(n+1)、…GCL(n+4)に対して走査信号Vscanを順次供給する。第1スイッチング素子Trは、走査信号Vscanによりオンとオフとが切り換えられる。ゲート線GCLに沿って配列された複数の第1検出電極25が、検出対象の第1検出電極ブロック25Aとして選択され、第1検出電極ブロック25Aの各第1検出電極25に対応する第1スイッチング素子Trに高レベルの走査信号Vscanが供給される。
信号線SGLは、センサ基材21に設けられた第1検出電極ドライバ14に接続される。第1検出電極ドライバ14は、複数の信号線SGL(m)、SGL(m+1)、…SGL(m+4)を順次選択し、選択された信号線SGL(m)、SGL(m+1)、…SGL(m+4)に駆動信号Vfを供給する。これにより、検出対象となる第1検出電極ブロック25Aの各第1検出電極25に、信号線SGL及び第1スイッチング素子Trを介して駆動信号Vfが供給される。各第1検出電極25は、駆動信号Vfが供給されると、静電容量変化に応じた信号を、信号線SGLを介して上述した検出用IC18に出力する。これにより、接触又は近接する指の指紋を検出することができる。第1検出電極25は、上述した自己静電容量方式のタッチ検出の基本原理における検出電極E1に対応する。
図9に示すように、シールド電極26には、コンタクトホールH1を介して導電性配線51が接続されている。本実施形態では、1つのシールド電極26に対して1本の導電性配線51が接続されている。導電性配線51は、指紋検出領域Fdから額縁領域Gdまで引き出され、回路部15Aに接続される。回路部15Aは、導電性配線51にガード信号Vsglを供給する。ガード信号Vsglは、駆動信号Vfと同期した同一の波形を有する電圧信号であり、駆動信号Vfが供給されたときの、第1検出電極25とシールド電極26との間の容量変化を抑制するための電圧信号である。導電性配線51を介してシールド電極26に、第1検出電極25に供給される駆動信号Vfと同じ波形であるガード信号Vsglが同期して供給されることで、第1検出電極25と対向するシールド電極26が、第1検出電極25と同じ電位で振られることとなる。これによって、駆動信号Vfが供給されたときの、第1検出電極25とシールド電極26との間の寄生容量が低減される。したがって、指紋センサ部10の検出感度の低下を抑制することができる。
図9では、シールド電極26の中央部が、導電性配線51と接続されているが、シールド電極26の端部が導電性配線51と接続されていてもよい。また、1本の導電性配線51の複数箇所がシールド電極26と複数設けられていてもよく、1つのシールド電極26に対して複数本の導電性配線51が設けられ、複数箇所で接続されていてもよい。
また、第1検出電極25は、第2スイッチング素子Trxを介してシールド電極26と接続可能となっている。複数の第1検出電極25のうち、検出対象の第1検出電極ブロック25Aとして選択されていない第1検出電極25は、第1スイッチング素子Trがオフ(閉)、第2スイッチング素子Trxがオン(開)となる。このため、第1検出電極ブロック25A(n)の周囲の第1検出電極25に対し、シールド電極26を介してガード信号Vsglが供給される。したがって、検出対象として選択された第1検出電極ブロック25A(n)の周囲の電極も、第1検出電極ブロック25A(n)の第1検出電極25と同じ電位で振られることとなる。これによって第1検出電極ブロック25A(n)の各第1検出電極25と、検出対象として選択されていない第1検出電極25との間の寄生容量が低減される。したがって、指紋センサ部10の検出感度の低下を抑制することができる。
ゲート線GCL、信号線SGL及び導電性配線51は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料で形成される。また、導電性配線51は、これらの金属材料を1以上用いて、複数積層した積層体としてもよい。また、反射率を抑えるために、ゲート線GCL、信号線SGL及び導電性配線51の最表面に黒色化処理を行うことも好ましい。
図9に示すように、導電性配線51は、信号線SGLと重畳して設けられ、信号線SGLの延在方向と同じ方向に延在する。このため、信号線SGLが視認されることを抑制できる。また、導電性配線51、信号線SGL及びゲート線GCLは、表示領域Adの長辺に沿った方向に対して傾斜して設けられる。つまり、導電性配線51、信号線SGL及びゲート線GCLは、後述する表示パネル30の画素Pixの配列方向に対して傾斜することとなるため、モアレの発生が抑制される。
次に、指紋センサ部10の検出動作の一例について説明する。図10は、第1の実施形態に係る指紋センサ部のタイミング波形図である。図10に示すように、検出期間Pt1、Pt2、Pt3…が時分割で配置される。検出期間Pt1では、n番目のゲート線GCL(n)が選択され、走査信号Vscanがオン(高レベル)になる。n番目のゲート線GCL(n)に接続された第1スイッチング素子Trは、走査信号Vscanが供給されてオン(開)となる。これによりゲート線GCL(n)に対応する第1検出電極ブロック25A(n)の各第1検出電極25に、信号線SGL(n)を介して駆動信号Vfが供給される。
検出期間Pt1において、シールド電極26にガード信号Vsglが供給される。また、選択されていないゲート線GCL(n+1)、GCL(n+2)では、走査信号Vscanがオフ(低レベル)になる。このため、ゲート線GCL(n+1)、GCL(n+2)に接続された第2スイッチング素子Trxはオン(開)となる。選択されていない第1検出電極ブロック25A(n+1)、25A(n+2)…に対して、シールド電極26を介してガード信号Vsglが供給される。これによって、第1検出電極25とシールド電極26との寄生容量、及び第1検出電極ブロック25A(n)の各第1検出電極25と、第1検出電極ブロック25A(n)の周囲の第1検出電極25との間の寄生容量が低減される。したがって、指紋センサ部10の検出感度の低下を抑制することができる。
次に、検出期間Pt2では、n+1番目のゲート線GCL(n+1)が選択され、走査信号Vscanがオン(高レベル)になる。n+1番目のゲート線GCL(n+1)に接続された第1スイッチング素子Trは、走査信号Vscanが供給されてオン(開)となる。これによりゲート線GCL(n+1)に対応する第1検出電極ブロック25A(n+1)の各第1検出電極25に、信号線SGL(n+1)を介して駆動信号Vfが供給される。検出期間Pt2において、シールド電極26及び選択されていない第1検出電極ブロック25A(n)、25A(n+2)に対して、ガード信号Vsglが供給される。
検出期間Pt3では、n+2番目のゲート線GCL(n+2)が選択され、走査信号Vscanがオン(高レベル)になる。n+2番目のゲート線GCL(n+2)に接続された第1スイッチング素子Trは、走査信号Vscanが供給されてオン(開)となる。これによりゲート線GCL(n+2)に対応する第1検出電極ブロック25A(n+2)の各第1検出電極25に、信号線SGL(n+2)を介して駆動信号Vfが供給される。検出期間Pt3において、シールド電極26及び選択されていない第1検出電極ブロック25A(n)、25A(n+1)に対して、ガード信号Vsglが供給される。
これを繰り返すことにより、指紋検出領域Fdにおいて、指が接触又は近接した位置の第1検出電極25から、上述した自己静電容量方式の検出原理に基づいて検出信号Vdetが検出部40(図1参照)に出力される。このようにして、指紋センサ部10により指紋の検出動作が行われる。
次に第1検出電極25、シールド電極26、第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxの構成について説明する。図11は、第1検出電極及びスイッチング素子の構成を説明するための平面図である。図12は、図11のXII−XII’線に沿う断面図である。
図11に示すように、隣り合う第1検出電極25の辺同士が離隔して対向しており、第1検出電極25の間にゲート線GCL及び信号線SGLが交差して設けられる。ゲート線GCLと信号線SGLとの交差部の近傍において、第1検出電極25は、コンタクトホールH4を介して第1スイッチング素子Trのドレイン電極63と接続されている。なお、図12では、図面を見やすくするためにシールド電極26を省略して示しているが、上述したように、シールド電極26は、複数の第1検出電極25、ゲート線GCL及び信号線SGLと重畳して配置されている。
図11及び図12に示すように、第1スイッチング素子Trは、半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を含む。また、第2スイッチング素子Trxは、半導体層65、ソース電極66、ドレイン電極67及びゲート電極68を含む。なお、この例では、第2スイッチング素子Trxのドレイン電極67は、第1スイッチング素子Trのドレイン電極63と共通の電極が用いられる。
図12に示すように、センサ基材21はフィルム基材21bと、フィルム基材21bの上に設けられた樹脂層21aとを含む。センサ基材21の樹脂層21a上に、ゲート電極64及びゲート電極68(ゲート線GCL)が設けられている。ゲート電極64及びゲート電極68(ゲート線GCL)の上側に絶縁層58aを介して半導体層61及び半導体層65が設けられている。半導体層61及び半導体層65の上側に絶縁層58bを介してドレイン電極63、ドレイン電極67、ソース電極62(信号線SGL)及びソース電極66が設けられる。ドレイン電極63、ドレイン電極67、ソース電極62(信号線SGL)及びソース電極66の上側に平坦化層59を介して導電性配線51が設けられる。導電性配線51の上側に絶縁層58cを介してシールド電極26が設けられる。上述のようにシールド電極26の上側に絶縁層56が設けられ、絶縁層56の上に第1検出電極25が設けられる。
図12に示すように、第2スイッチング素子Trxは第1スイッチング素子Trと同層に設けられている。これに限られず、第2スイッチング素子Trxは第1スイッチング素子Trと異なる層に設けられていてもよい。
図11及び図12に示すように、第1スイッチング素子Trにおいて、半導体層61は、コンタクトホールH3を介してドレイン電極63に接続される。半導体層61は、平面視でゲート線GCLと交差している。ゲート線GCLにおいて半導体層61と重畳する部分がゲート電極64として機能する。半導体層61は、信号線SGLと平行な方向に延在して、信号線SGLと重畳する位置に屈曲する。半導体層61は、コンタクトホールH2を介して信号線SGLと電気的に接続される。ここで、信号線SGLにおいて、半導体層61と重畳する部分がソース電極62として機能する。このようにして、信号線SGLと第1スイッチング素子Tr及びゲート線GCLと第1スイッチング素子Trが電気的に接続される。なお、図11では、半導体層61は、ゲート線GCLと交差する部分が1箇所であるが、ゲート線GCLと2回交差するように屈曲していてもよい。
第2スイッチング素子Trxにおいて、半導体層65は、コンタクトホールH9を介してドレイン電極67に接続される。ドレイン電極67はコンタクトホールH4を介して第1検出電極25と接続される。半導体層65は、信号線SGLと平行な方向に延在して平面視でゲート線GCLと交差する。ゲート線GCLにおいて半導体層65と重畳する部分がゲート電極68として機能する。図11に示すように、第2スイッチング素子Trxのゲート電極68は、ゲート線GCLから分岐して設けられており、第1スイッチング素子Trのゲート電極64と電気的に接続されている。つまり、第1スイッチング素子Trと第2スイッチング素子Trxとは、ゲート線GCLを共有する。半導体層65は、コンタクトホールH10を介してソース電極66と接続され、ソース電極66は、コンタクトホールH11を介してシールド電極26と接続される。このようにして、第1検出電極25と第2スイッチング素子Trx、及びシールド電極26と第2スイッチング素子Trxが電気的に接続される。
半導体層61、65の材料としては、ポリシリコンや酸化物半導体などの公知の材料を用いることができる。例えばTAOS(Transparent Amorphous Oxide Semiconductor、透明アモルファス酸化物半導体)を用いることができる。
図11に示すように、導電性配線51には、タブ部51aが接続されている。タブ部51aは、信号線SGLとゲート線GCLとの交差部の近傍に設けられ、導電性配線51の延在方向と交差する方向に突出している。タブ部51aは、信号線SGLと重畳しない位置に設けられ、コンタクトホールH1を介してシールド電極26(図11では省略して示す)と電気的に接続される。このようにして、シールド電極26と導電性配線51とが電気的に接続される。
このような構成により、第1検出電極25は、第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子Trx、シールド電極26及び各配線よりもカバー部材101の検出面である第1面101a側に配置されるので、検出対象となる指と第1検出電極25との距離が短くなり、良好な検出感度が得られる。また、第1検出電極25と、第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子Trx及び各配線との間にシールド電極26が設けられているので、各配線の電圧変動による第1検出電極25の容量変化を抑制することができる。
次に、指紋センサ部10とフレキシブル基板76との接続構造について説明する。図13は、第1の実施形態に係る指紋センサ部とフレキシブル基板との接続構造の一例を模式的に示す断面図である。図3に示す例では、センサ基材21の上面側にフレキシブル基板76が接続されているが、これに限定されない。
図13に示すように、センサ基材21に設けられた回路部15から配線L3が引き出されている。なお、図13において、回路部15は、上述したゲートドライバ12、第1検出電極ドライバ14等の駆動回路を含む回路部を模式的に示す。配線L3の端子部78は、スルーホールTHを介してセンサ基材21の下面に設けられたフレキシブル基板76と電気的に接続される。このような構成により、回路部15や配線L3が設けられた面に対し反対側の面にフレキシブル基板76を接続することが可能である。したがって、図13に示す例では、フレキシブル基板76の接続位置や、配線L3の引き回しの自由度を大きくすることができる。
図14は、第1の実施形態に係る指紋センサ部とフレキシブル基板との接続構造の他の例を模式的に示す断面図である。図15は、第1の実施形態に係る指紋センサ部とフレキシブル基板との接続構造の他の例を模式的に示す斜視図である。図14に示すように、センサ基材21Aは、例えば薄板のガラス基板や樹脂フィルム基材が用いられる。センサ基材21Aの上面に回路部15から引き出された配線L3と端子部78が設けられる。センサ基材21Aの下面にフレキシブル基板76が設けられる。配線L3は、導電体81を介してフレキシブル基板76と電気的に接続される。
図15に示すように、導電体81は、センサ基材21Aの端子部78を覆うとともに、センサ基材21Aの上面21Aa、側面21Ab及びフレキシブル基板76の上面76aに連続して設けられ、配線76Bの端子部76Aに接続されている。これにより、センサ基材21Aの配線L3と、フレキシブル基板76の配線76Bとが導電体81を介して電気的に接続される。図14及び図15に示す構成により、回路部15や配線L3が設けられた面に対し反対側の面にフレキシブル基板76を接続することが可能である。
導電体81は、例えば導電性の液状組成物又は粘性組成物をディスペンサー等により吐出することにより形成される。導電体81としては例えば銀ペーストなどの導電ペーストが挙げられる。この際、導電ペーストを適切な粘度に調整することで、センサ基材21Aとフレキシブル基板76とで形成される段差部において、断線を抑制して連続して導電体81を設けることができる。
以上説明したように、本実施形態の表示装置1は、表示領域Adに画像を表示させる液晶層6(表示機能層)を含む表示パネル30と、第1面101aと、第1面101aの反対側の第2面101bとを有し、表示パネル30と対向するカバー部材101と、センサ基材21に設けられ、カバー部材101の第1面101aに接触又は近接する指表面の凹凸を検出するための複数の第1検出電極25と、複数の第1検出電極25と対向して設けられ、第1検出電極25との間の容量変化を抑制するためのシールド電極26と、第1検出電極25にそれぞれ対応して設けられた第1スイッチング素子Trと、を含み、表示領域Adであって、かつカバー部材101と表示パネル30との間に設けられた指紋センサ部10と、を有する。
これによれば、指紋センサ部10は、表示パネル30よりもカバー部材101側に設けられているので、例えば、表示パネル30と一体に指紋検出用の検出電極を設けた場合に比べ、検出電極である第1検出電極25と、検出面である第1面101aとの距離を小さくすることができる。したがって、本実施形態の表示装置1によれば、検出性能を向上させることができる。また、指紋センサ部10は、自己静電容量方式の検出原理に基づいて、接触又は近接する指等の凹凸を検出するので、相互静電容量方式に比較して、第1検出電極25に駆動信号Vfが供給されたときの、カバー部材101の第1面101aに対して垂直な方向における電界の強度を高めることができる。このため、本実施形態の表示装置1は、指紋センサ部10の第1検出電極25の面積を小さくして検出の解像度を高めるとともに、良好な検出感度が得られる。
さらに第1検出電極25と対向するシールド電極26が設けられているので、第1検出電極25の、カバー部材101とは反対側における容量変化を抑制することができる。したがって、本実施形態の表示装置1は、指紋センサ部10の検出感度の低下を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図16は、第2の実施形態に係る表示装置を表す模式平面図である。図16に示すように、本実施形態の表示装置1Aにおいて、指紋センサ部10Aは、表示領域Adの短辺の中央部に配置される。表示領域Adの短辺の両端側、言い換えると表示領域Adの隅部には、指紋センサ部10Aは設けられていない。表示領域Adの短辺に沿った方向において指紋センサ部10Aに隣り合う領域には、表示パネル30とカバー部材101とを貼り合わせる接着層71及び接着層72(図16では図示しない)が設けられる。
本実施形態において、指紋検出領域Fdは、表示領域Adと重なる領域であり、かつ、表示領域Adの短辺の中央部から、面内方向中央部に突出する矩形状の領域である。センサ基材21は、指紋検出領域Fd及び額縁領域Gdに連続して設けられている。
第1検出電極25、シールド電極26、ゲート線GCL、信号線SGL等の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、第1検出電極25に駆動信号Vfが供給され、第1検出電極25の容量変化に応じた検出信号Vdetが出力される。検出部40(図1参照)は、第1検出電極25から出力される検出信号Vdetにより、指紋検出領域Fdに接触又は近接する指等の表面の凹凸を検出することができる。
本実施形態では、指紋センサ部10Aの第1検出電極25は、表示領域Adの短辺の中央部にのみ設けられているので、ゲートドライバ12、第1検出電極ドライバ14を含む回路部15は、額縁領域Gdの短辺の中央部にのみ配置される。ゲート線GCL及び信号線SGLは、額縁領域Gdの短辺に引き出されて回路部15に接続される。ゲートドライバ12、第1検出電極ドライバ14等の駆動回路と、第1検出電極25とが、同じセンサ基材21に設けられているので、検出動作の応答性が向上し、検出性能を向上させることができる。また、第1の実施形態に比べて、指紋検出領域Fdの面積が小さいので、検出に要する時間を短縮することができ、検出部40での演算処理の負担を低減することができる。
指紋センサ部10Aは、透光性を有する指紋検出部であり、表示パネル30と接着層72(図2参照)を介して設けられた構成であるため、表示パネル30の偏光板35等の各部材や、各電極の配置等による制約が少なく、指紋センサ部10の大きさや配置の自由度を高めることができる。よって、図16に示すように、指紋検出領域Fdを小さくして表示領域Adの一部のみに設ける場合であっても、指紋検出領域Fdに対応させて指紋センサ部10Aを配置させることが容易である。
なお、図16に示すように、指紋検出領域Fdよりもさらに小さい範囲の指紋検出領域FdAを指紋の検出を行うための検出領域とすることができる。この場合、指紋検出領域FdAに第1検出電極25、ゲート線GCL及び信号線SGLが設けられる。指紋検出領域FdAよりも外側の領域は、第1検出電極25が設けられていない、又は、検出電極として機能しないダミー電極を設けてもよい。指紋検出領域FdAに設けられたゲート線GCL及び信号線SGLは、指紋検出領域FdAよりも外側の領域まで引き出されるため、センサ基材21の、指紋検出領域FdAよりも外側の領域にダミー配線を設けることが好ましい。ダミー配線としてゲート線GCL及び信号線SGLと同じ材料を用い、ダミー配線を同じゲート線GCL及び信号線SGLと同じピッチで配列することにより、センサ基材21の全体に各配線が配列され、ゲート線GCL及び信号線SGLが設けられた部分と、ダミー配線が設けられた部分との光の透過率の差が低減されるので、視認性を向上させることができる。
図17は、第2の実施形態の変形例に係る表示装置の指紋センサ部を表す模式平面図である。本変形例の表示装置1Bにおいて、図16に示した例と同様に、指紋検出領域Fdは、表示領域Adと重なる領域であり、かつ、表示領域Adの短辺の中央部から、面内方向中央部に突出する矩形状の領域である。指紋センサ部10Bのセンサ基材21は、表示領域Adの短辺に沿った方向において、指紋検出領域Fdよりも外側に、額縁領域Gdの長辺と重なる位置まで延びている。
図17に示すように、指紋検出領域Fdに第1検出電極25が設けられ、表示領域Adの短辺に沿った方向において、指紋検出領域Fdと隣り合ってダミー領域Dd1、Dd2が設けられている。ダミー領域Dd1、Dd2において、センサ基材21には、ゲート線GCLの延在方向と平行方向に延びるダミー配線DL1と、信号線SGLの延在方向と平行方向に延びるダミー配線DL2とが設けられている。ダミー配線DL1、DL2は、それぞれ、ゲート線GCL、信号線SGLと同じ材料が用いられ、ゲート線GCL、信号線SGLの配列ピッチと等しいピッチで配列される。
ダミー領域Dd1のダミー配線DL1、DL2は、スリットSL1により、指紋検出領域Fdのゲート線GCL及び信号線SGLと電気的に分離されている。また、ダミー領域Dd2のダミー配線DL1、DL2は、スリットSL2により、指紋検出領域Fdのゲート線GCL及び信号線SGLと電気的に分離されている。ダミー配線DL1、DL2は、回路部15のゲートドライバ12及び第1検出電極ドライバ14と接続されておらず、検出動作に用いられない配線である。
このような構成により、指紋検出領域Fdを表示領域Adの一部にのみ設けた場合であっても、指紋検出領域Fdとダミー領域Dd1、Dd2との光の透過率の差を低減することができるため、表示画像の視認性を向上させることができる。
なお、図17では、ダミー領域Dd1、Dd2は、表示領域Adの一部に設けられているが、これに限定されず、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重畳しない領域の全体に設けられていてもよい。また、図17では図示していないが、ダミー領域Dd1、Dd2に検出電極として機能しないダミー電極を設け、このダミー電極を第1検出電極25と同様の形状及び配列としてもよい。さらに、シールド電極26と同層に、ダミー領域Dd1の全体に連続してダミー電極を設けてもよく、ダミー領域Dd2の全体に連続してダミー電極を設けてもよい。
(第3の実施形態)
図18は、第3の実施形態に係る表示装置を表す模式平面図である。図19は、図18のXIX−XIX’線に沿う断面図である。図18及び図19に示すように、本実施形態の表示装置1Cにおいて、指紋センサ部10Cは表示領域Adの全面に設けられている。すなわち、表示領域Adの全面が、指紋検出領域Fdとなる。
図18に示すように、表示領域Adの全面に第1検出電極25が配列され、かつ、複数の第1検出電極25と対向して表示領域Adの全面にシールド電極26が設けられる。センサ基材21は、表示領域Adの全面と対向するとともに、額縁領域Gdの短辺及び長辺に重畳して設けられている。センサ基材21には、額縁領域Gdの短辺において、ゲートドライバ12と第1検出電極ドライバ14とを含む回路部15Aが設けられ、額縁領域Gdの長辺に沿って回路部15B、15Cが設けられている。額縁領域Gdの短辺側に延びるゲート線GCL及び信号線SGLが回路部15Aに接続される。また、額縁領域Gdの長辺側に延びるゲート線GCL及び信号線SGLが回路部15B、15Cに接続される。
このような構成により、自己静電容量方式の基本原理に基づいて、第1検出電極25の容量変化に応じた検出信号Vdetから、表示領域Adの全面において、接触又は近接する指等の凹凸を検出することができる。なお、後述するように、第1検出電極25により、接触又は近接する指等の外部物体の位置を検出することも可能である。したがって、第1検出電極25により、近接又は接触する指等の位置を検出し、その検出された位置において細かいピッチで指紋検出動作を実行してもよい。
図19に示すように、表示パネル30の偏光板35の全面を覆って指紋センサ部10Cが設けられている。指紋センサ部10Cと表示パネル30の偏光板35とは接着層72を介して貼り合わされており、指紋センサ部10Cとカバー部材101とは接着層71を介して貼り合わされている。
このように、指紋センサ部10Cは表示領域Adの全面に対向して設けられているので、表示領域Adの全面において光の透過率の差が抑制され、視認性を向上させることができる。また、指紋センサ部10Cの外周は、額縁領域Gdと重なる位置に配置される。このため、例えばセンサ基材21の外周部分において接着層71、72とセンサ基材21との間に気泡が生じた場合であっても、加飾層110により遮蔽されるので、この気泡が視認されることが抑制できる。
(第4の実施形態)
図20は、第4の実施形態に係る表示装置の画素の配列と、第1検出電極の配列の関係を説明するための説明図である。表示領域Adにおいて、表示パネル30の複数の画素Pixが第1方向Dx(行方向)及び第2方向Dy(列方向)に沿った方向にそれぞれ複数配列されている。なお、図20では一部の画素Pixのみ示している。
画素Pixはそれぞれ、赤色のカラーフィルタ37Rに対応する副画素と、緑色のカラーフィルタ37Gに対応する副画素と、青色のカラーフィルタ37Bに対応する副画素とを一組として構成されている。なお、画素Pixは、他の色の組み合わせであってもよく、また、4色以上の組み合わせであってもよい。図20に示すように、第1方向Dxにおいて、画素Pixが繰り返し配列されるピッチを配列ピッチPpとする。また、第2方向Dyにおいて、画素Pixが繰り返し配列される配列方向に沿った方向を画素配列方向PLとする。
本実施形態の表示装置1Dにおいて、指紋センサ部10Dの第1検出電極25aはそれぞれ正方形状であり、マトリクス状に複数配列されている。図20に示すように、第1検出電極25aは画素配列方向PLに対して傾斜して設けられている。ここで、第1検出電極25aの一辺と画素配列方向PLとがなす角度を角度θ1とする。本実施形態において角度θ1は、27°以上、38°以下の範囲であることが好ましい。この場合、信号線SGLは画素配列方向PLに対して、角度θ1を有して傾斜する。ゲート線GCLは、信号線SGLと直交し、画素配列方向PLに対して角度(90°−θ1)を有して傾斜する。
このように、ゲート線GCL及び信号線SGLが、画素Pixの画素配列方向PLに対して傾斜して設けられているので、ゲート線GCLと信号線SGLとの交差部Lxの配列が、第1方向Dx(行方向)における画素Pixの配列及び第2方向Dy(列方向)における画素Pixの配列に対してずれるものとなる。この結果、モアレの発生を抑制することができる。角度θ1を、27°以上、38°以下の範囲とすることで、モアレの発生をより効果的に抑制することができる。
本実施形態において、第1検出電極25aのそれぞれに対応して上述した第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxが設けられている。なお、図20において、説明を簡単にするために第2スイッチング素子Trxを省略して示しており、以下の説明において、第2スイッチング素子Trxを省略して説明するが、図9及び図11と同様に、ゲート線GCLと信号線SGLとの交差部Lxの近傍に第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trxが設けられている。
ゲート線GCLと信号線SGLとで囲まれた領域において、第1スイッチング素子Trが設けられた箇所は、第1スイッチング素子Trが設けられていない箇所に比べて光の透過率が小さくなる。このため、第1スイッチング素子Trが繰り返し配列される配列方向と、画素Pixの画素配列方向PLとの関係によってモアレが発生する可能性がある。また、第1スイッチング素子Trが繰り返し配列される配列ピッチと、画素Pixの配列ピッチPpとの関係によってモアレが発生する可能性がある。
図20に示すように、第1検出電極25aの対角線方向において、第1スイッチング素子Trが繰り返し配列される方向を、それぞれ配列方向Lxa及び配列方向Lxbとする。言い換えると、第1スイッチング素子Trの配列方向Lxa及び配列方向Lxbは、交差部Lxの配列方向と沿った方向である。
上述のように第1検出電極25aは画素配列方向PLに対して角度θ1を有して傾斜して設けられているので、第1スイッチング素子Trの配列方向Lxa及び配列方向Lxbは、それぞれ画素Pixの画素配列方向PLに対して傾斜している。このため、第1スイッチング素子Trの配列方向Lxa及び配列方向Lxbと、画素Pixの画素配列方向PLによるモアレの発生を抑制することができる。
図20に示すように、1本の信号線SGLに沿って配列された第1スイッチング素子Trにおいて、第1方向Dxにおける第1スイッチング素子Trの配列ピッチを配列ピッチPxとする。また、1本のゲート線GCLに沿って配列された第1スイッチング素子Trにおいて、第2方向Dyにおける第1スイッチング素子Trの配列ピッチを配列ピッチPyとする。
本実施形態において、第1スイッチング素子Trの配列ピッチPx及び配列ピッチPyは、それぞれ画素Pixの配列ピッチPpの半整数倍±0.1倍となっている。すなわち、配列ピッチPx及び配列ピッチPyは、Px、Py=Pp×((n+1/2)±0.1)、ただしn=1、2、3…の関係を満たす。具体的には、第1スイッチング素子Trの配列ピッチPx及び配列ピッチPyは、画素Pixの配列ピッチPpの1.4倍、1.6倍、2.4倍、2.6倍…とすることが好ましい。
このように、本実施形態の表示装置1Dは、第1スイッチング素子Trの配列ピッチPx及び配列ピッチPyを、画素Pixの配列ピッチPpに対してずれたピッチとすることで、モアレの発生を抑制することができる。
(第5の実施形態)
図21は、第5の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を部分的に示す断面図である。図22は、第5の実施形態の指紋センサ部の概略断面構造を示す断面図である。第1の実施形態では、図2及び図3に示すように、カバー部材101の検出面である第1面101a側から、第1検出電極25、シールド電極26、配線層22、センサ基材21の順に積層されるが、これに限定されない。例えば、センサ基材21をカバー部材101側に配置することも可能である。
図21に示すように、本実施形態の表示装置1Eにおいて、カバー部材101の第2面101bに、接着層71を介して指紋センサ部10Eのセンサ基材21が貼り合わされている。本実施形態では、カバー部材101に対し、センサ基材21、第1検出電極25、配線層22、シールド電極26の順に積層されている。図21では図示を省略しているが、指紋センサ部10Eは、表示パネル30の偏光板35(図2参照)と接着層72を介して貼り合わされている。本実施形態では、シールド電極26が、絶縁層57及び接着層72(図示しない)を介して偏光板35と対向する。
図22に示すように、センサ基材21から、下側に設けられる表示パネル30(図示しない)に向かって、第1検出電極25、導電性配線51、第1スイッチング素子Tr及び第2スイッチング素子Trx、シールド電極26の順に積層されている。センサ基材21の下側に第1検出電極25が設けられる。第1検出電極25の下側に絶縁層56を介して導電性配線51が設けられる。導電性配線51の下側に絶縁層58fを介してゲート線GCL(ゲート電極64及びゲート電極68)が設けられる。ゲート線GCLの下側に絶縁層58eを介して半導体層61及び半導体層65が設けられる。半導体層61及び半導体層65の下側に絶縁層58dを介して、ソース電極62(信号線SGL)、ドレイン電極63、ドレイン電極67及びソース電極66が設けられる。ソース電極62(信号線SGL)、ドレイン電極63、ドレイン電極67及びソース電極66の下側に平坦化層59を介してシールド電極26が設けられる。シールド電極26を覆って絶縁層57が設けられ、絶縁層57が接着層72を介して表示パネル30の偏光板35と貼り合わされる。
導電性配線51とシールド電極26とは、コンタクトホールH5を介して接続される。第1スイッチング素子Trにおいて、第1検出電極25は、コンタクトホールH8を介してドレイン電極63と接続される。ドレイン電極63は、コンタクトホールH7を介して半導体層61の一端側と接続される。半導体層61の他端側はコンタクトホールH6を介してソース電極62と接続される。このようにして、第1検出電極25と第1スイッチング素子Trとが接続される。
第2スイッチング素子Trxにおいて、半導体層65は、コンタクトホールH12を介してドレイン電極67に接続される。ドレイン電極67はコンタクトホールH8を介して第1検出電極25と接続される。半導体層65は、コンタクトホールH13を介してソース電極66と接続され、ソース電極66は、コンタクトホールH14を介してシールド電極26と接続される。このようにして、第1検出電極25と第2スイッチング素子Trx、及びシールド電極26と第2スイッチング素子Trxが電気的に接続される。
本実施形態においても、導電性配線51を介してガード信号Vsglがシールド電極26に供給される。また、第2スイッチング素子Trxを設けることにより、検出対象として選択されていない第1検出電極25に対して、シールド電極26を介してガード信号Vsglが供給される。これにより、第1検出電極25とシールド電極26との寄生容量、及び検出対象として選択された第1検出電極25と、その周囲の選択されていない第1検出電極25との間の寄生容量が低減される。
本実施形態において、センサ基材21をカバー部材101の検出面である第1面101a側に配置した場合であっても、第1検出電極25は、第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子Trx、ゲート線GCL、信号線SGLに対して第1面101a側に配置される。したがって、接触又は近接する指等と、第1検出電極25との間に、第1スイッチング素子Trや各種配線が介在しないので、検出性能の低下を抑制できる。
(製造方法)
次に、カバー部材101と、指紋センサ部10と、表示パネル30との貼り合わせ方法について説明する。図23は、表示装置の製造工程の一例を説明するための説明図である。図23(A)は、カバー部材101への接着層の塗布工程を説明するための説明図である。図23(A)に示すように、カバー部材101の第2面101bに、接着層71を塗布する。接着層71は、表示領域Adの全面と、額縁領域Gdのうち、指紋センサ部10が重なる領域である重畳領域GdAに塗布される。接着層71は、例えば、液状のUV硬化型樹脂である、光学透明樹脂(OCR:Optical Clear Resin)を用いることができる。図23に示す例では、接着層71は、塗布された後、UV硬化前において、一定の形状を維持できる程度の粘度に調整されている。
図23(B)は、カバー部材101へ指紋センサ部10を貼り合わせる工程を説明するための説明図である。図23(B)に示すように、指紋検出領域Fdと重畳領域GdAにおいて指紋センサ部10をカバー部材101に貼り合わせる。このとき、接着層71は液状であり、指紋センサ部10は、指紋センサ部10の一方の面10aが接着層71に埋め込まれ、指紋センサ部10の他方の面10bが、接着層71の表面71aと一致するように貼り合わされる。
図23(C)は、接着層の塗布工程を説明するための説明図である。図23(C)に示すように、接着層71及び指紋センサ部10を覆って、接着層72が塗布される。接着層72は、表示領域Adの全面に設けられる。接着層72は、例えば、接着層71と同じ光学透明樹脂(OCR)が用いられる。
図23(D)は、表示パネル30を貼り合わせる工程を説明するための説明図である。図23(D)に示すように、接着層72に表示パネル30が貼り合わされる。その後、紫外線照射により接着層71及び接着層72が硬化され、カバー部材101と、指紋センサ部10と、表示パネル30とが貼り合わされる。このようにして表示装置1が製造される。
図2等では、接着層71と接着層72とを異なる層に分けて示しているが、上述したように、接着層71及び接着層72として同じ光学透明樹脂(OCR)を用いた場合、図23(D)に示すように接着層71と接着層72とは一体化され、境界は視認されないものとなる。
指紋センサ部10を表示領域Adの一部に配置する構成の場合、指紋センサ部10のセンサ基材21等の端部21c(図8参照)が表示領域Adに設けられるので、指紋センサ部10の周囲に気泡が発生すると観察者によって気泡が視認される可能性がある。本実施形態では、接着層71及び接着層72として、液状の接着剤を用いることにより、指紋センサ部10の一方の面10a、他方の面10b及び側面10cが液状の接着剤と密着した状態で、接着剤が硬化され、指紋センサ部10は樹脂層の中に埋め込まれた状態となる。このため、接着層71及び接着層72と、指紋センサ部10との間に気泡が発生することを抑制することができる。
図23各図では、接着層71及び接着層72を表示領域Adの全面に塗布する工程を示したが、これに限定されない。例えば、接着層71及び接着層72を表示領域Adの複数箇所に塗布して、指紋センサ部10及び表示パネル30を貼り合わせる際に、接着層71及び接着層72の流動性により、表示領域Adの全面に押し広げるようにしてもよい。また図23に示す製造方法はあくまで一例であり、各部材を貼り合わせる順番等は適宜変更することができる。
(第6の実施形態)
図24は、第6の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を示す断面図である。図24に示す表示装置1Fにおいて、カバー部材101Aとして薄型のガラス基板が用いられる。カバー部材101Aの厚さt1は、例えば0.5mm以下、より好ましくは、0.3mm以下である。これにより、カバー部材101Aの第1面101Aaと、第1検出電極25(図24では省略して示す)との距離が小さくなり、良好な検出感度を得ることができる。
なお、本実施形態では、カバー部材101Aに薄型のガラス基板を用いているため、図23に示す貼り合わせ工程において、カバー部材101Aが破損する可能性がある。この場合、表示パネル30の上に接着層72を塗布し、接着層72に埋め込むように指紋センサ部10を貼り合わる。その後、接着層72及び指紋センサ部10を覆って接着層71を塗布してカバー部材101Aを貼り合わせてもよい。
(第7の実施形態)
図25は、第7の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を示す断面図である。本実施形態の表示装置1Gにおいて、カバー部材101Bに凹部102が設けられている。凹部102は、カバー部材101Bの第2面101Bbから第1面101Ba側に凹んでおり、少なくとも指紋センサ部10と重なる部分に設けられる。凹部102の平面形状は、指紋センサ部10の外形よりも大きくなっており、凹部102の内部に指紋センサ部10が設けられる。凹部102の内部に接着層71が塗布され、接着層71に埋め込まれるように指紋センサ部10が凹部102の上面101Bcと貼り合わされる。カバー部材101Bの第1面101Baは、平坦な面になっている。
接着層72は、凹部102に設けられた接着層71及び指紋センサ部10の一部を覆うとともに、凹部102が設けられていない部分のカバー部材101Bに設けられる。表示パネル30は、凹部102が設けられた部分において、接着層71及び接着層72を介してカバー部材101Bと貼り合わされ、凹部102が設けられていない部分において、接着層72を介してカバー部材101Bと貼り合わされる。
本実施形態では、凹部102が設けられた部分においてカバー部材101Bの厚さが薄くなっており、この凹部102に指紋センサ部10が設けられている。凹部102が設けられた部分のカバー部材101Bの厚さt3は、凹部102が設けられていない部分のカバー部材101Bの厚さt2に対し、例えば1/2以下の厚さとすることができる。凹部102が設けられた部分のカバー部材101Bの厚さt3は、例えば0.5mm以下、より好ましくは、0.3mm以下である。
このような構成により、カバー部材101Bの第1面101Baと、第1検出電極25(図24では省略して示す)との距離が小さくなり、良好な検出感度を得ることができる。また、凹部102が形成されていない部分においてカバー部材101Bを厚くすることができるので、カバー部材101Bの強度を維持しつつ、検出感度を向上させることができる。
また、接着層71及び接着層72として上述の光学透明樹脂を用いることで、凹部102の内部に接着層71及び接着層72を容易に設けることができ、凹部102の上面101Bc及び側面101Bdと、接着層71とを密着させて、気泡の発生を抑制できる。
(第8の実施形態)
図26は、第8の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を示す断面図である。本実施形態の表示装置1Hにおいて、カバー部材101Cと対向して支持基板101Dが設けられている。指紋センサ部10は、カバー部材101Cの第1面101Caと垂直な方向において、カバー部材101Cと支持基板101Dとの間に配置される。指紋センサ部10は、接着層71を介してカバー部材101Cの第2面101Cbと貼り合わされる。また、指紋センサ部10は、接着層72を介して支持基板101Dの第1面101Daと貼り合わされる。支持基板101Dの第2面101Dbに、接着層73を介して表示パネル30が貼り合わされる。
カバー部材101Cの厚さt4は、支持基板101Dの厚さt5と異なる厚さであってもよく、同じ厚さとしてもよい。本実施形態において、支持基板101Dが設けられているので、カバー部材101Cの厚さt4を、例えば0.5mm以下に薄くした場合であっても、いわゆる合わせガラス状にカバー部材101Cと支持基板101Dとが形成されることとなり、結果としてカバー部材101Cの強度を維持することができる。したがって、本実施形態の表示装置1Hは、カバー部材101Cの強度を維持しつつ、指紋センサ部10の検出感度を向上させることができる。
(第9の実施形態)
図27は、第9の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を示す断面図である。本実施形態の表示装置1Iにおいて、カバー部材101Eに凹部102Aが設けられている。凹部102Aは、カバー部材101Eの第1面101Eaから第2面101Eb側に凹んでおり、少なくとも指紋検出領域Fdと重なる部分に設けられる。図27に示す例では、指紋センサ部10と重なる領域に凹部102Aが設けられている。指紋センサ部10が貼り合わされるカバー部材101Eの第2面101Ebは、平坦な面となっている。
本実施形態においても、凹部102Aが設けられた部分においてカバー部材101Eの厚さが薄くなっており、この凹部102Aと重なる位置において、カバー部材101Eの第2面101Ebに指紋センサ部10が設けられている。このため、カバー部材101Eの第1面101Eaと、第1検出電極25(図24では省略して示す)との距離が小さくなり、良好な検出感度を得ることができる。凹部102Aが設けられた部分のカバー部材101Eの厚さt7は、凹部102Aが設けられていない部分のカバー部材101Eの厚さt6に対し、例えば1/2以下とすることができる。凹部102Aが設けられた部分のカバー部材101Eの厚さt7は、例えば0.5mm以下、より好ましくは、0.3mm以下である。凹部102Aが形成されていない部分においてカバー部材101Eを厚くすることができるので、カバー部材101Eの強度を維持しつつ、検出感度を向上させることができる。
本実施形態において、検出面であるカバー部材101Eの第1面101Eaに凹部102Aが設けられているので、観察者は、指の触覚で指紋検出領域Fdを認識することができる。よって、本実施形態の表示装置1Iは良好な操作性を実現することができる。
(第10の実施形態)
図28は、第10の実施形態に係る表示装置の一構成例を示すブロック図である。図1に示すように、表示装置1Jは、検出機能付き表示部200と、指紋センサ部10と、検出制御部11Aと、表示制御部11Bと、ゲートドライバ12と、表示用ゲートドライバ12Aと、ソースドライバ13と、第1検出電極ドライバ14と、駆動電極ドライバ14Aと、検出部40と、タッチ検出部40Aとを備えている。表示装置1Jは、検出機能付き表示部200が検出機能を内蔵した表示装置である。
検出機能付き表示部200は、上述した表示パネル30と、タッチ入力を検出する検出装置であるタッチセンサ部50とを一体化した装置である。表示パネル30とタッチセンサ部50とが一体化した装置とは、例えば、表示パネル30又はタッチセンサ部50に使用される基板や電極の一部を兼用することを示す。表示パネル30は、例えば、有機EL表示パネルであってもよい。
表示制御部11Bは、外部より供給された映像信号に基づいて、表示用ゲートドライバ12A及びソースドライバ13に制御信号を供給して、主に表示動作を制御する回路である。また、表示制御部11Bは、さらに検出制御部11Aに対して制御信号を供給して、表示用ゲートドライバ12A、ソースドライバ13、及び検出制御部11Aが互いに同期して、又は同期しないで動作するように制御することができる。
表示用ゲートドライバ12Aは、表示制御部11Bから供給される制御信号に基づいて、表示用の走査信号Vscandを出力して、検出機能付き表示部200の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。
ソースドライバ13は、表示制御部11Bから供給される制御信号に基づいて、検出機能付き表示部200の、各画素Pixに画素信号Vpixを供給する回路である。表示制御部11Bは、画素信号Vpixを生成し、この画素信号Vpixをソースドライバ13に供給してもよい。
タッチセンサ部50は、静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいてタッチ検出動作を行い、接触又は近接する外部物体の位置を検出する。タッチセンサ部50は、外部物体の接触又は近接を検出した場合、検出信号VdetAをタッチ検出部40Aに出力する。
検出制御部11Aは、タッチセンサ部50における、接触又は近接する外部の物体を検出する検出動作を制御するとともに、指紋センサ部10の検出動作を制御する回路である。駆動電極ドライバ14Aは、検出制御部11Aから供給される制御信号に基づいて、検出機能付き表示部200の、後述する駆動電極33Aに検出用の駆動信号Vs又は表示用の駆動信号Vcomを供給する回路である。ゲートドライバ12は、検出制御部11Aから供給される制御信号に基づいて、上述したように、指紋センサ部10に走査信号Vscanを供給する。また、第1検出電極ドライバ14は、検出制御部11Aから供給される制御信号に基づいて、指紋センサ部10に駆動信号Vfを供給する。
タッチ検出部40Aは、検出制御部11Aから供給される制御信号と、第2検出電極TDL(図35参照)から出力される検出信号VdetAとに基づいて、タッチセンサ部50に対するタッチの有無を検出する回路である。また、タッチ検出部40Aは、タッチがある場合においてタッチ入力が行われた座標などを求める。タッチ検出部40Aは、上述した検出部40と同様に、検出信号増幅部、A/D変換部、信号処理部、座標抽出部、検出タイミング制御部等を備える。
タッチセンサ部50は、静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいて動作する。ここで、図29から図31を参照して、本実施形態の表示装置1Jの相互静電容量方式によるタッチ検出の基本原理について説明する。図29は、相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理を説明するための説明図である。図30は、相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理を説明するための等価回路の一例を示す説明図である。図31は、相互静電容量方式のタッチ検出の駆動信号及び検出信号の波形の一例を表す図である。なお、以下の説明では、指が接触又は近接する場合を説明するが、指に限られず、例えばスタイラスペン等の導体を含む物体であってもよい。
例えば、図29に示すように、容量素子C4は、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極、駆動電極E2及び検出電極E3を備えている。容量素子C4は、駆動電極E2と検出電極E3との対向面同士の間に形成される電気力線(図示しない)に加え、駆動電極E2の端部から検出電極E3の上面に向かって延びるフリンジ分の電気力線が生じる。図30に示すように、容量素子C4は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端は電圧検出器DETに接続される。電圧検出器DETは、例えば、図28に示すタッチ検出部40Aに含まれる積分回路である。
交流信号源Sから駆動電極E2(容量素子C4の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜数百kHz程度)の交流矩形波Sgが印加されると、検出電極E3(容量素子C4の他端)側に接続された電圧検出器DETを介して、図31に示すような出力波形(検出信号VdetA)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、駆動電極ドライバ14Aから入力される駆動信号Vsに相当するものである。
指が接触又は近接していない状態(非接触状態)では、容量素子C4に対する充放電に伴って、容量素子C4の容量値に応じた電流が流れる。図30に示す電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動(実線の波形V6(図31参照))に変換する。
一方、指が接触又は近接した状態(接触状態)では、図29に示すように、指によって形成される静電容量C5が、検出電極E3と接触し、又は近傍にある。これにより、駆動電極E2と検出電極E3との間にあるフリンジ分の電気力線が導体(指)により遮られる。このため、容量素子C4は、非接触状態での容量値よりも容量値の小さい容量素子として作用する。そして、図30及び図31に示すように、電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流I1の変動を電圧の変動(点線の波形V7)に変換する。
この場合、波形V7は、上述した波形V6と比べて振幅が小さくなる。これにより、波形V6と波形V7との電圧差分の絶対値|ΔV|は、指などの外部から接触又は近接する外部物体の影響に応じて変化することになる。なお、電圧検出器DETは、波形V6と波形V7との電圧差分の絶対値|ΔV|を精度よく検出するため、回路内のスイッチングにより、交流矩形波Sgの周波数に合わせて、コンデンサの充放電をリセットする期間Resetを設けた動作とすることがより好ましい。
タッチ検出部40Aは、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較し、この絶対値|ΔV|がしきい値電圧未満であれば、外部近接物体が非接触状態であると判断する。一方、タッチ検出部40Aは、絶対値|ΔV|がしきい値電圧以上であれば、外部近接物体の接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出部40Aはタッチ検出が可能となる。
次に本実施形態の表示装置1Jの構成例を説明する。図32は、第10の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を示す断面図である。図33は、本実施形態に係る駆動電極と第2検出電極との関係を説明するための模式平面図である。
図32に示すように、本実施形態の表示装置1Jは、カバー部材101と、指紋センサ部10と、表示パネル30とを含む。本実施形態において、表示パネル30の対向基板30Bに第2検出電極TDLが設けられており、第2検出電極TDLは、タッチセンサ部50の検出電極として機能する。第2検出電極TDLの上側に、偏光板35が設けられている。
指紋センサ部10は、カバー部材101の第1面101aに対して垂直な方向から見たときに、表示領域Adの一部に設けられた指紋検出領域Fdと重なって配置される。指紋センサ部10は、カバー部材101と表示パネル30との間において、接着層72を介して偏光板35の上側に貼り合わされ、接着層71を介してカバー部材101の下側に貼り合わされる。カバー部材101は、指紋センサ部10と重ならない部分において、接着層71、72を介して表示パネル30の偏光板35と貼り合わされる。図32に示す例では、指紋センサ部10は、第2検出電極TDLの一部と重なって配置される。
指紋センサ部10は、上述した各実施形態に示した指紋センサ部10、10A、10B、10D、10Eの構成を採用することができる。また、カバー部材101は、第1の実施形態及び第6の実施形態から第9の実施形態に示したカバー部材101、101A、101B、101C、101Eの構成を採用することができる。
図33に示すように、検出機能付き表示部200は、第1基板31に設けられた駆動電極33Aと、第2基板36に設けられた第2検出電極TDLとを含む。駆動電極33Aは、表示領域Adにおいて、第2方向Dyに延びており第1方向Dxに複数配列されている。駆動電極33Aは、表示動作の際、駆動電極ドライバ14Aから表示用の駆動信号Vcomが供給され、複数の画素電極32(図4参照)に対する共通電極として機能する。
第2検出電極TDLは、表示領域Adにおいて、第1方向Dxに延びており第2方向Dyに複数配列されている。すなわち、第2検出電極TDLは、駆動電極33Aの延在方向と交差する方向に延びている。各第2検出電極TDLは、額縁配線(図33では省略して示す)を介して第2基板36の額縁領域Gdの短辺側に設けられたフレキシブル基板75Aに接続される。本実施形態において、第2検出電極TDLは、例えばITO等の透光性を有する導電性材料が用いられる。図33に示すように、駆動電極33A及び第2検出電極TDLは、表示領域Adの一部に設けられた指紋検出領域Fdに重なって設けられている。
第2検出電極TDLと駆動電極33Aとの交差部分に、それぞれ静電容量が形成される。タッチセンサ部50において、相互静電容量方式のタッチ検出動作を行う際、駆動電極ドライバ14Aは、駆動電極33Aを時分割的に順次選択し、選択された駆動電極33Aに駆動信号Vsを供給する。そして、第2検出電極TDLから検出信号VdetAが出力されることによりタッチ検出が行われるようになっている。つまり、駆動電極33Aは、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理における駆動電極E2に対応し、第2検出電極TDLは、検出電極E3に対応する。なお、駆動電極ドライバ14Aは、複数の駆動電極33Aを含む駆動電極ブロックごとに順次選択して駆動してもよい。
このように、本実施形態において、駆動電極33Aは、表示動作の際に複数の画素電極32に対する共通電極として機能するとともに、検出動作の際に第2検出電極TDLに対する駆動電極として機能する。
なお、図33では、第1基板31の額縁領域Gdに、表示用ゲートドライバ12A、駆動電極ドライバ14A、マルチプレクサ13A等の各種回路が設けられている。これに限定されず、表示用ゲートドライバ12A、駆動電極ドライバ14Aの機能の一部は表示用IC19に含まれていてもよい。
図34は、本実施形態に係るタッチ検出動作を説明するための模式図である。図34に示すように、第2検出電極TDLの一部は、指紋センサ部10と重なっており、カバー部材101の第1面101aに垂直な方向において、カバー部材101に対して指紋センサ部10よりも離れた位置に配置される。
タッチ検出動作の際に、駆動電極33Aに駆動信号Vsが供給されることで、第2検出電極TDLと駆動電極33Aとの間にフリンジ電界が形成される。フリンジ電界の電気力線Emは、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域においては、カバー部材101の第1面101aよりも上方まで到達する。これにより、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいて、カバー部材101の第1面101aに接触又は近接する指等の外部物体の位置を検出可能となっている。
指紋検出領域Fdにおいて、フリンジ電界の電気力線Emは、指紋センサ部10の第1検出電極25及びシールド電極26(図示を省略する)により遮蔽され、カバー部材101の第1面101aよりも上方まで到達できない場合がある。このため、タッチセンサ部50は、指紋検出領域Fdにおいてタッチ検出の検出感度が低下する、又はタッチ検出ができない可能性がある。
本実施形態において、指紋センサ部10の第1検出電極25は、タッチ検出動作における検出電極として用いられる。すなわち、第1検出電極25に駆動信号Vfが供給されることで、第1検出電極25から上方に延びる電界の電気力線Esが形成される。電気力線Esは、指紋検出領域Fdにおいてカバー部材101の第1面101aよりも上方に到達する。これにより上述した自己静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいて、指紋検出領域Fdに接触又は近接する指等の外部物体の位置を検出することができる。
検出制御部11A(図28参照)は、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、タッチセンサ部50の相互静電容量方式によるタッチ検出動作を実行し、指紋検出領域Fdにおいて、指紋センサ部10のタッチ検出動作を実行する。タッチ検出部40A(図28参照)は、第2検出電極TDLから出力される検出信号VdetAに基づいて、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域におけるタッチ検出を行う。タッチ検出部40Aは、さらに、第1検出電極25から出力される検出信号Vdetに基づいて、指紋検出領域Fdにおけるタッチ検出を行う。これにより、表示領域Adの全面におけるタッチ検出が可能となる。このように、指紋センサ部10は、タッチセンサ部50のタッチ検出動作を補完するようにタッチ検出を行うことができる。
この際、指紋センサ部10においては、指紋を検出するのではなく、単にタッチを検出すればよい。したがって、当該指紋センサ部10の駆動としては、上記指紋検出のための駆動ではなく、別の駆動、例えば複数の第1検出電極25を同時に駆動させる方法や、全部の第1検出電極25ではなく、いくつかの代表的な位置の第1検出電極25のみを駆動させる方法等、指紋センサ部10の検出処理を短縮化するための駆動を採用することができる。また、第2検出電極TDLのうち、指紋検出領域Fdと重なる第2検出電極TDLは、検出電極として機能しないダミー電極としてもよい。
検出制御部11Aは、タッチセンサ部50のタッチ検出動作と、指紋センサ部10のタッチ検出動作とを、同時に実行してもよく、又は、異なるタイミングで実行してもよい。また、検出制御部11Aは、指紋センサ部10が、指紋検出領域Fdにおいて指等の接触又は近接を検出した場合、指紋センサ部10のタッチ検出動作から指紋検出動作に切り換えて、指紋検出を実行してもよい。この場合、指紋センサ部10は、タッチ検出動作により検出された接触又は近接する指等の位置情報に基づいて、接触又は近接する指等と重なる位置の第1検出電極25を駆動して指紋検出動作を行うことができる。
上述したように、第1検出電極25は、画素Pixの配列ピッチPpに対応したピッチ、例えば配列ピッチPpの半整数倍±0.1倍のピッチで多数配列されている。タッチ検出動作において、指紋検出に比べて検出の解像度を小さくしてもよい。この場合、指紋センサ部10は、複数の第1検出電極25をまとめて駆動して検出電極ブロックごとに、タッチ検出動作を実行してもよい。
例えば、ゲートドライバ12は、複数のゲート線GCLを同時に選択して、第1検出電極ドライバ14は、選択された複数のゲート線GCLに対応する複数の第1検出電極25(検出電極ブロック)に駆動信号Vfを供給する。複数の第1検出電極25(検出電極ブロック)の容量変化に応じた検出信号Vdetがタッチ検出部40Aに出力される。このように検出電極ブロックごとに、タッチ検出を行うことで、タッチ検出に要する時間を短縮することができ、また、タッチ検出部40Aにおける演算処理の負担を低減することができる。
なお、本実施形態において、図33に示す駆動電極33A及び第2検出電極TDLの形状や配置は適宜変更してもよい。例えば、駆動電極33Aは、第1方向Dxに延びるとともに第2方向Dyに複数配列され、第2検出電極TDLは、第2方向Dyに延びるとともに第1方向Dxに複数配列されていてもよい。
(第1変形例)
図35は、第10の実施形態の第1変形例に係る検出機能付き表示部の模式平面図である。図35に示すように、本変形例の表示装置1Kにおいて、第2検出電極TDLは、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域に設けられ、指紋検出領域Fdに設けられていない点が異なる。
上述のように、指紋検出領域Fdにおいて、指紋センサ部10によりタッチ検出を行うことができるので、指紋センサ部10と重なる位置に第2検出電極TDLを設けなくてもよい。こうすることで、指紋検出領域Fdに指等が接触又は近接した場合に、指紋センサ部10から検出信号Vdetが出力され、タッチセンサ部50から検出信号VdetAが出力されない。したがって、タッチ検出部40Aにおける演算処理の負担を低減することができる。
なお、駆動電極33Aは、表示動作の際に共通電極としての機能を兼ねているので、図35に示すように、指紋検出領域Fdを含む表示領域Adの全体に設けられている。
(第2変形例)
図34及び図35では、帯状の第2検出電極TDLが複数配列された構成を示したが、これに限定されない。図36は、第10の実施形態の第2変形例に係る検出機能付き表示部の模式平面図である。なお、図36は第2基板36の平面図のみ示し、第1基板31に設けられた駆動電極33Aは省略示しているが、本変形例においても、駆動電極33Aは、図34及び図35に示す例と同様の構成とすることができる。
図36に示すように、第2基板36の表示領域Adに、タッチセンサ部50の検出電極として機能する第2検出電極TDLAと、検出電極として機能しないダミー電極TDLdとが設けられている。第2検出電極TDLAが設けられた検出電極領域Rtと、ダミー電極TDLdが設けられたダミー電極領域Rdとは、第2方向Dyにおいて交互に配置される。
第2検出電極TDLAは、複数の金属配線83を含む。金属配線83は、細線片83aと細線片83bとが接続部83xで交互に接続されて構成される。細線片83aと細線片83bとは、第1方向Dxに対して互いに反対方向に傾いており、金属配線83は、ジグザグ線又は波線に形成され全体として第1方向Dxに延びている。金属配線83は、第2方向Dyにおいて間隔を設けて複数配列されている。複数配列された金属配線83の端部同士がパッド部84により接続され、1つの第2検出電極TDLAとして機能する。
第2検出電極TDLAは、全体として第1方向Dxに帯状に延びており、第2方向Dyに複数配列される。各第2検出電極TDLAは、パッド部84及び額縁配線87を介して、第2基板36の額縁領域Gdの短辺側に設けられたフレキシブル基板75Aに接続される。
ダミー電極TDLdは、細線片85aと細線片85bとを含む。細線片85aは、金属配線83の細線片83aと平行な方向に延び、細線片85bは、金属配線83の細線片83bと平行な方向に延びる。細線片85aと細線片85bとは、互いに間隔を有して第1方向Dxに交互に配置され、かつ、第2方向Dyに複数配置される。
ダミー電極TDLdは、第2方向Dyに配列される第2検出電極TDLAの間に配置される。ダミー電極TDLdは、第2検出電極TDLAと間隔を有して配置されており、タッチ検出の際に、電圧信号が供給されず電位が固定されていないフローティング状態となる。
本変形例においても、第2検出電極TDLAと駆動電極33Aとの交差部に静電容量が形成され、上述した相互静電容量方式のタッチ検出の基本原理に基づいてタッチ検出が可能である。なお、上述したフリンジ電界の電気力線Emは、ダミー電極領域Rdを通ってカバー部材101の第1面101aよりも上方まで到達する。
第2検出電極TDLAを構成する金属配線83は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料で形成される。また、金属配線83は、これらの金属材料を1以上用いて、複数積層した積層体としてもよい。アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料は、ITO等の透光性導電酸化物よりも低抵抗である。また、これらの金属材料は、ITO等の透光性導電酸化物に比較して遮光性があるため、透過率が低下する可能性又は第2検出電極TDLAのパターンが視認されてしまう可能性がある。本実施形態において、1つの第2検出電極TDLAが、複数の幅細の金属配線83を有しており、金属配線83が、ジグザグ線又は波線に形成され、線幅よりも大きい間隔を設けて配置されることで、低抵抗化と、不可視化とを実現することができる。その結果、第2検出電極TDLAが低抵抗化し、表示装置1Lは、薄型化、大画面化又は高精細化することができる。
ダミー電極TDLdを構成する細線片85aと細線片85bは、金属配線83と同じ金属材料を用いることが好ましい。こうすれば、検出電極領域Rtとダミー電極領域Rdとの光の透過率の差を抑制して、これら第2検出電極TDLAやダミー電極TDLdの不可視化を実現することができる。また、反射率を抑えるために、金属配線83、細線片85a及び細線片85bの最表面に黒色化処理を行うことも好ましい。
本変形例においても、指紋検出領域Fdに重なって指紋センサ部10が設けられている。タッチセンサ部50は、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、第2検出電極TDLAと駆動電極33Aとの間の容量変化に応じて、タッチ検出を行う。また、指紋センサ部10は、指紋検出領域Fdにおいて、第1検出電極25の容量変化によりタッチ検出を行う。これにより、表示領域Adの全面におけるタッチ検出が可能となる。
本変形例では、第2検出電極TDLAは金属配線83により構成されているため、第2検出電極TDLAが設けられている領域と、第2検出電極TDLAが設けられていない領域とで光の透過率が異なる結果、観察者に視認される可能性がある。このため、指紋検出領域Fdにおいて第2検出電極TDLAを設けることが好ましい。又は、指紋検出領域Fdに第2検出電極TDLAを設けず、同じ金属材料が用いられたダミー電極TDLdを指紋検出領域Fdに設けてもよい。これにより、表示領域Adの全面において第2検出電極TDLA及びダミー電極TDLdの不可視化を実現できる。
(第11の実施形態)
図37は、第11の実施形態に係る表示装置の概略断面構造を示す断面図である。図28から図36に示した表示装置1J、1K、1Lでは、駆動電極33Aが、表示動作における共通電極として機能するとともに、検出動作における駆動電極と機能する。つまり、表示装置1J、1K、1Lは、表示パネル30とタッチセンサ部50とが一体化された装置である。ただし、これに限定されず、表示パネル30の上にタッチセンサ部50を設けてもよい。
図37に示すように、表示装置1Mにおいて、表示パネル30の偏光板35の上にタッチセンサ部50が設けられている。タッチセンサ部50は、センサ基材91と、センサ基材91に設けられた第2検出電極TDLBとを含む。センサ基材91にはフレキシブル基板75Aが接続されており第2検出電極TDLBの検出信号VdetAが外部に取り出されるようになっている。
図37に示すように、タッチセンサ部50は、接着層72を介して指紋センサ部10と貼り合わされている。また、指紋センサ部10は、接着層71を介してカバー部材101と貼り合わされている。タッチセンサ部50は、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、接着層71及び接着層72を介して、カバー部材101と貼り合わされている。
本実施形態において、タッチセンサ部50は、表示領域Adの全面に設けられており、指紋検出領域Fdにおいて指紋センサ部10と重なって配置される。タッチセンサ部50は、指紋センサ部10と重なる部分において、タッチ検出感度が低下する可能性がある。このため、本実施形態においても、検出制御部11A(図28参照)は、表示領域Adのうち指紋検出領域Fdと重ならない領域において、タッチセンサ部50のタッチ検出動作を実行し、指紋検出領域Fdにおいて、指紋センサ部10のタッチ検出動作を実行する。これにより、表示領域Adの全面におけるタッチ検出が可能となる。このように、指紋センサ部10は、タッチセンサ部50のタッチ検出動作を補完するようにタッチ検出を行うことができる。
本実施形態において、タッチセンサ部50の構成は適宜選択することができる。例えば、タッチセンサ部50は、第2検出電極TDLBを複数マトリクス状に配列し、自己静電容量方式のタッチ検出を行う構成であってもよい。或いは、タッチセンサ部50は、第2検出電極TDLBと駆動電極とを並べて配置し、相互静電容量方式のタッチ検出を行う構成としてもよい。
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。