JP6932942B2 - 固定子およびそれを用いた回転電機 - Google Patents
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Description
例えば、タービン発電機などの発電機では、円筒状の固定子の内側に回転子を配置し、この回転子をタービンなどで回転駆動することで、固定子に設置された誘導コイルに起電力を発生させている。固定子は、主な構成として、誘導コイルに磁束を導くための固定子コア積層体を備えている。
固定子コア積層体としては、厚さ0.35mm〜0.6mm程度の薄板状の電磁鋼板を扇状に切り出して扇状の固定子コア(鉄心)を形成し、この固定子コアを複数枚組み合わせて環状としつつ回転軸方向に積層したものが用いられる。固定子コアの扇状の表面には絶縁用の薄膜が形成され、層間の電気的な導通は遮断されている。
固定子コア積層体において、各層の固定子コアの中間部にスルーボルト孔を形成し、各層の孔を一連のスルーボルトで挿通して軸方向に締め付けることで、各層の固定子コアどうしを結合する構成も採用されている(特許文献2参照)。
固定子コアの表裏の平坦面については、固定子コアを切り出す前に、母材である電磁鋼板の表面に絶縁性材料を塗布している。そのため、固定子コアの表裏の平坦面は絶縁が得られることになるが、一方で、母材である電磁鋼板から切り出された際の切断面にあたる固定子コアの側面部(端面)は、絶縁被膜から母材が露出してしまうこととなり、絶縁が得られない。
前述したコアボルトは、構造上、固定子コアの端面に接触するため、固定子コアに、コアボルトの接触箇所以外の、異物侵入や疵等トラブルにより絶縁が得られなくなった箇所があると、コア層間電流の原因になる。
そこで、切り出し後の固定子コアの端面に、改めて絶縁被膜による絶縁処理が行われる。絶縁被膜としては、シリコンポリマーなどを塗布して形成された平均膜厚0.5μm以上のシリコン化合物被膜などが用いられる(特許文献3参照)。
しかし、固定子コアのコアボルトに当接する部分は、コアボルトと強く接触するため、絶縁被膜が破壊されることがある。とくに、平均膜厚0.5μm程度の絶縁被膜は、コアボルトとの接触によって容易に破断され、絶縁性を維持することが難しい。
例えば、工場での固定子製造工程において、固定子コアのコア積作業やスルーボルト挿入作業時に、固定子コアやスルーボルトに異物が付着することで、固定子コア積層体の内部に異物が侵入することがある。そして、侵入した異物が導電性であり、固定子コア端面に絶縁被膜がない場合、または、異物が絶縁被膜を削り取るようなものである場合には、固定子コアの各層間にコア層間電流が生じ、異物の周辺で発熱して固定子コアの損傷を招く可能性がある。
そして、耐久性がある絶縁シートにより、各層の固定子コアとこれに当接されるコアボルトとの間が電気的に絶縁され、または導通しても電流が抑制される。このため、異物の侵入などにより固定子の内部で固定子コアの各層間の導通が生じても、コア層間電流を防止または抑制することができ、発熱による固定子コアの損傷を防止できる。
絶縁材料としては、固定子コアの層間電圧のもとでも絶縁性が確保できる材料であり、例えばマイカ材(雲母)、その他、加流ゴム(エボナイト)、絶縁ファイバー、シリコン樹脂などの絶縁性樹脂が利用できる。
高抵抗材料としては、固定子コアの層間電圧が印加されても発熱が生じない程度の電気抵抗を有する材料であり、その電気抵抗率としては例えば1K〜100KΩmあるいはそれ以上が好ましく、具体的な材料としては例えばペーパーシリンダーや高強度ケイ素セラミックなどが利用できる。
本発明では、絶縁材料としてマイカ材を用いるので、安価で優れた電気的絶縁性を得ることができる。
本発明では、絶縁シートをテープ状とすることで、コアボルトに巻き付けることでコアボルトに張る作業を効率よく行うことができる。
本発明では、先に本発明の固定子について説明した通りの効果を得ることができる。
なお、以下には、タービン発電機等の発電機における固定子の例を説明するが、同じく回転電機である送風機や圧縮機等の電動機における固定子についても、発電機の固定子と同様の構造を有していることから、同様の説明をすることができる。すなわち、発電機および電動機を含む回転電機の種々の固定子に対して、本発明を適用することができる。
図1において、固定子1は、タービン発電機に設置されるものであり、円筒状に形成され、内部に回転子(図示省略)が設置される。固定子1に対して、回転子はA方向を回転軸とし、R方向に回転する。
固定子1は、電磁鋼板を切り出して形成された扇状の固定子コア2(図2参照)を繋いで環状に組み合わせ(以下この構成を便宜的にコア層3と称する)、これを複数A方向に積層して形成された固定子コア積層体4を主要構造としている。
固定子コア積層体4は、支持リング6を介して発電機の基礎に支持される。なお、図1では支持リング6を一部図示省略しているが、支持リング6は固定子コア積層体4の全長にわたって所定間隔で配置される。
固定子コア2の外周側(図2下側)には、コアボルト5が係合可能な半円形の切欠きが形成されている。
固定子コア2の略中央にはスルーボルト7を挿通させるための円形の孔が形成され、固定子コア2の両側縁の中間にはスルーボルト7を挿通させる半円形の切欠きが形成されている。
固定子コア2の表面および裏面には、半径方向に連続した凹溝が多数形成されている。これらの凹溝は、コア層3として積層した際に他の層の凹溝と向かい合わせられ、固定子コア積層体4の内周側と外周側とを連通する冷却用空気通路を形成する。
絶縁被膜を形成する手法としては、例えば、コアボルト5の表面に絶縁シートを被覆する手法や、コアボルト5自体の表面層に酸化被膜を形成する手法等が考えられる。
以下の説明では、説明を簡単にするために、絶縁層および絶縁シートの例として、マイカテープを用いる場合を例に説明するが、マイカテープを用いる場合に限定されるものではない。
コアボルト5の表面には、固定子コア積層体4に組み込まれる前に、全周面にわたってマイカテープ9が巻かれている。マイカテープ9は、繊維質基材にマイカ材を含有させた絶縁シートである。マイカテープ9は裏面に粘着剤を有する粘着テープとされており、この粘着剤によりコアボルト5の表面に粘着固定されている。
さらに、マイカテープ9は、絶縁材料であるマイカ材を基材に含浸させたものであり、基材の機械的強度が塗装や表面処理による絶縁被膜より十分大きいため、コアボルト5と固定子コア2とに挟まれても破損、摩滅あるいは脱落を防止できる。
その結果、本実施形態の固定子1では、異物の侵入等があってコア層間電流による損傷を回避することができる。
これに対し、図4に示すように、固定子コア2の切欠き部分にマイカテープ9を張り付けるようにしてもよい。この場合でも、コアボルト5と固定子コア2との間を電気的に絶縁することができる。
さらに、絶縁シートは、電気的に絶縁が得られるものに限らず、導通はするが大電流を抑制できる高抵抗材料を含浸させたものとしてもよい。このような高抵抗材料があることで、コアボルト5と固定子コア2との間にコア層間電流が流れる状態となっても、電流が抑制されて過大な発熱を抑制でき、損傷を防止することができる。
また、スルーボルト7と固定子コア2との間は既存の絶縁被膜による絶縁としてもよい。スルーボルト7と固定子コア2とは基本的に大きな荷重がかからないので絶縁被膜でも破壊されにくく、破壊されたとしても、コアボルト5のマイカテープ9によりコアボルト5を通してコア層間電流が生じることは防止できる。
前記実施形態におけるスルーボルト7は省略してもよく、固定子コア2の形状、固定子1としての形態なども適宜選択できる。
Claims (4)
- 回転電機の固定子であって、
表裏に絶縁被膜が形成された電磁鋼板から形成される固定子コアと、
複数の前記固定子コアを環状に組み合わせ、積層した固定子コア積層体と、
前記固定子コア積層体の外周に配置され、前記固定子コアの組み合わせおよび積層を維持する外周に配置された環状の支持リングによって締め付けられたコアボルトと、
絶縁材料または高抵抗材料で形成され、前記コアボルトの表面、または前記固定子コアの各々の前記コアボルトに当接する部分を含む前記固定子コアの端面の一部の表面のみの少なくともいずれか一方に張られた絶縁シートと、を有する固定子。 - 前記絶縁シートは、絶縁材料としてマイカ材を含有するマイカシートである、請求項1に記載の固定子。
- 前記絶縁シートは、裏面に粘着剤を有するテープ状に形成され、前記コアボルトに巻き付けられ前記コアボルトの表面に粘着固定されている、請求項1または請求項2に記載の固定子。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載した固定子を有する、回転電機。
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JP2017027077A JP6932942B2 (ja) | 2017-02-16 | 2017-02-16 | 固定子およびそれを用いた回転電機 |
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JP2017027077A JP6932942B2 (ja) | 2017-02-16 | 2017-02-16 | 固定子およびそれを用いた回転電機 |
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