以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
実施形態1は、政府向けの電子申請に伴い、被雇用者に対して発行された公文書を格納する形態に関する。電子申請とは、現在、行政機関の窓口に出向いて紙によって行っている申請・届出等の行政手続が、インターネットを利用して自宅または企業のパソコン・スマートフォン等を使って行えるようにするものである。
図1は、公文書管理システムの概要を示す説明図である。なお、本実施形態では、政府向けの公文書管理システムの例を説明するが、これに限らず、企業、団体、大学、病院またはその他の組織等への電子申請に伴って発行された書類の管理にも同様に適用される。本実施形態のシステムは、情報処理装置1、情報処理装置2、情報処理端末3、情報処理端末4及び情報処理装置5を含み、各装置はインターネット等のネットワークNを介して情報の送受信を行う。
情報処理装置1は、種々の情報に対する処理、記憶及び送受信を行う情報処理装置である。情報処理装置1は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。本実施形態において、情報処理装置1はサーバ装置であるものとし、以下では簡潔のためサーバ1(第1サーバ)と読み替える。
情報処理装置2は、被雇用者に関連する公文書の管理及び記憶(格納)等を行う情報処理装置である。情報処理装置2は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。本実施形態において、情報処理装置2はサーバ装置であるものとし、以下では簡潔のためサーバ2(第2サーバ)と読み替える。
情報処理端末3は、ログイン用の認証情報の送信、エンティティの電子証明書に対応する変換キーの送受信、及び電子申請時に電子申請データの送信等を行う端末装置である。エンティティは、企業(会社)、協会、法人、政府機関、大学、病院またはその他の組織等である。以下では、企業を例として説明するが、ほかの機関または組織等にも同様に適用される。情報処理端末3は、例えばスマートフォン、携帯電話、アップルウォッチ(Apple Watch:登録商標)等のウェアラブルデバイス、タブレット、パーソナルコンピュータ端末等の情報処理機器である。以下では簡潔のため、情報処理端末3を企業端末3と読み替える。
情報処理端末4は、被雇用者に対して発行された公文書の取得及び表示等を行う端末装置である。情報処理端末4は、例えばスマートフォン、携帯電話、アップルウォッチ等のウェアラブルデバイス、タブレット、パーソナルコンピュータ端末等の情報処理機器である。以下では簡潔のため、情報処理端末4を被雇用者端末4と読み替える。
情報処理装置5は、政府向けの電子申請を行うための企業の電子申請データに対する処理、記憶及び送受信を行う政府(部門)用の情報処理装置である。情報処理装置5は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。本実施形態において、情報処理装置5はサーバ装置であるものとし、以下では簡潔のため政府サーバ5と読み替える。
本実施形態に係るサーバ1は、政府向けの電子申請に伴い、被雇用者に対して発行された公文書を政府サーバ5から取得する。サーバ1は、取得した公文書を被雇用者IDに対応付けてサーバ2に送信する。サーバ2は、サーバ1から送信された公文書を分類し、被雇用者IDに対応付けて記憶(格納)する。サーバ2は、公文書が届いたことを確認した後に、該被雇用者IDに対応する電子メールアドレス宛に、公文書がダウンロード可能であることを示す第1通知メールを送信する。該被雇用者が第1通知メールに含まれている公文書のダウンロード用URLを被雇用者端末4によりアクセスした場合、被雇用者端末4は、該URLで指定されるサイトに掲載されている公文書を取得する。
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読取部16及び大容量記憶部17を含む。各構成はバスBで接続されている。
制御部11はCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を含み、記憶部12に記憶された制御プログラム1Pを読み出して実行することにより、サーバ1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、図2では制御部11を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
記憶部12はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1P又はデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部13は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、サーバ2、企業端末3及び政府サーバ5等との間で情報の送受信を行う。
入力部14は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報を制御部11へ出力する。表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、制御部11の指示に従い各種情報を表示する。
読取部16は、CD(Compact Disc)−ROM又はDVD(Digital Versatile Disc)−ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読取部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、大容量記憶部17に記憶しても良い。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部11が制御プログラム1Pをダウンロードし、大容量記憶部17に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでも良い。
大容量記憶部17は、例えばHDD(Hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)等の記録媒体を備える。大容量記憶部17は、グループ情報DB(database)171、企業情報DB172、被雇用者情報DB173及び電子証明書情報DB174を含む。グループ情報DB171は、企業グループに関する情報を記憶している。企業情報DB172は、企業に関する情報を記憶している。被雇用者情報DB173は、被雇用者(利用者)に関する情報を記憶している。電子証明書情報DB174は、企業ごとの署名用の電子証明書、及び該電子証明書のパスフレーズ等の情報を記憶している。
なお、本実施形態において記憶部12及び大容量記憶部17は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部17は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部17はサーバ1に接続された外部記憶装置であっても良い。
なお、本実施形態では、サーバ1は一台の情報処理装置であるものとして説明するが、複数台により分散して処理させても良く、または仮想マシンにより構成されていても良い。
図3は、グループ情報DB171及び企業情報DB172のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
グループ情報DB171は、グループID列、グループ名称列、政府ユーザID列及び政府パスワード列を含む。グループID列は、各企業グループを識別するために、一意に特定される企業グループのIDを記憶している。グループ名称列は、グループの名称を記憶している。
政府ユーザID列及び政府パスワード列は、ログイン用の認証情報に対応する政府サーバ5での認証処理に用いられる第2認証情報を記憶している。第2認証情報は、例えば政府サーバ5に登録した政府ユーザID、政府パスワード等を含む。具体的には、政府ユーザID列は、政府ユーザIDを記憶している。政府パスワード列は、政府パスワードを記憶している。また、政府ユーザIDがグループごとに発行されるため、同一のグループに属している複数の企業は、該グループに発行された政府ユーザIDを原則として共有して利用する。
企業情報DB172は、企業ID列、グループID列及び企業名称列を含む。企業ID列は、各企業を識別するために、一意に特定される企業のIDを記憶している。グループID列は、企業グループを特定するグループIDを記憶している。企業名称列は、企業の名称を記憶している。
図4は、被雇用者情報DB173及び電子証明書情報DB174のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
被雇用者情報DB173は、被雇用者ID列、グループID列、企業ID列、状態列、企業メールアドレス列及び個人メールアドレス列を含む。被雇用者ID列は、各被雇用者を識別するために、一意に特定される被雇用者のIDを記憶している。グループID列は、企業グループを特定するためのグループIDを記憶している。企業ID列は、企業を特定するための企業IDを記憶している。状態列は、被雇用者の在籍状態を記憶している。在籍状態は、例えば「育児休業」、「在職中」、「退職」または「休職」等である。
企業メールアドレス列は、被雇用者が勤務している企業の電子メールドメインで作成された電子メールアドレスを記憶している。個人メールアドレス列は、被雇用者が勤務している企業の電子メールドメインとは異なる電子メールドメインで作成された電子メールアドレスを記憶している。例えば、被雇用者A氏が勤務している企業の電子メールアドレスが「hanako@xxx.com」である場合、企業メールアドレス列には、「hanako@xxx.com」が記憶されている。被雇用者A氏の個人の電子メールアドレスは、企業の電子メールドメイン「xxx.com」とは異なる電子メールドメインで作成された電子メールアドレスであり、例えば「hanako_home@yyy.com」である場合、個人メールアドレス列には、「hanako_home@yyy.com」が記憶されている。
例えば、被雇用者A氏が在職している場合、公文書がダウンロード可能であることを示す第1通知メールを該被雇用者A氏の企業の電子メールアドレス(hanako@xxx.com)宛に送信する。また、例えば被雇用者A氏が育児休業をしている場合、第1通知メールを該被雇用者A氏の個人の電子メールアドレス(hanako_home@yyy.com)宛に送信する。更にまた、例えば被雇用者A氏が退職した後に、該被雇用者A氏に付与された企業の電子メールアドレス(hanako@xxx.com)が無効にされ利用不可能となった場合、登録された個人の電子メールアドレス(hanako_home@yyy.com)宛に第1通知メールを該被雇用者に送信する。
電子証明書情報DB174は、企業ID列、政府ユーザID列、有効開始日列、有効終了日列、電子証明書列、ハッシュ値列、パスフレーズ列及び暗号化鍵列を記憶している。企業ID列は、企業を特定するための企業IDを記憶している。政府ユーザID列は、政府サーバ5に登録したユーザIDを記憶している。有効開始日列は、電子証明書の有効開始日を記憶している。有効終了日列は、電子証明書の有効終了日を記憶している。
電子証明書列は、政府サーバ5へ電子申請データを送信する際に添付する署名用の電子証明書または電子証明書の一部分(例えば、後述する断片B)を記憶している。ハッシュ値列は、電子証明書に対応する変換キー(暗号文)のハッシュ値を記憶している。
パスフレーズ列は、電子証明書より秘密鍵を取得する場合に利用するパスフレーズを記憶している。パスフレーズは、通常よりも高度なセキュリティを実施する場合の認証技術として用いられる。通常のパスワードが1単語程度のものであるのに対し、パスフレーズは1文節1句(フレーズ)に及ぶ長さになる。なお、パスフレーズの代わりにパスワードが利用されても良い。
暗号化鍵列は、電子証明書に対応する変換キーの暗号化鍵を記憶している。暗号化鍵は、情報を暗号化または復号する暗号化アルゴリズムと共に使用される1つの情報である。通常、暗号化鍵は、数字または英数字の連続または値である。
図5は、サーバ2の構成例を示すブロック図である。サーバ2は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25、読取部26及び大容量記憶部27を含む。各構成はバスBで接続されている。
なお、サーバ2の制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25及び読取部26に関しては、サーバ1と同様であるため、説明を省略する。
大容量記憶部27は、例えばHDD、SSD等の記録媒体を備える。大容量記憶部27は、公文書管理DB271を含む。公文書管理DB271は、公文書に関する情報を記憶している。
なお、本実施形態において記憶部22及び大容量記憶部27は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部27は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部27はサーバ2に接続された外部記憶装置であっても良い。
なお、本実施形態では、サーバ2は一台の情報処理装置であるものとして説明するが、複数台により分散して処理させても良く、または仮想マシンにより構成されていても良い。
図6は、公文書管理DB271のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。公文書は、国、地方公共団体の機関または公務員がその職務上作成する文書である。例えば、雇用保険の電子申請を行った後に、行政により発行された「雇用保険資格取得届」、「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」または「雇用保険被保険者資格喪失届提出後の離職票交付」等の書類が公文書である。また、公文書は、企業用公文書及び被雇用者用公文書を含む。企業用公文書は、行政より発行された事業主が保管すべき公文書(事業主控)である。被雇用者用公文書は、行政より発行された被雇用者へ配布すべき公文書(被雇用者控または被保険者控等)である。例えば、育児休業給付金支給の電子申請に伴い、行政が「育児休業給付次回支給申請日指定通知書(事業主通知用)」及び「育児休業給付次回支給申請日指定通知書(被保険者通知用)」を発行する。
公文書管理DB271は、公文書ID列、企業ID列、被雇用者ID列、種類列、公文書名称列、公文書データ列、登録日時列、ダウンロード日時列、ダウンロード期限列及び保管期間列を含む。公文書ID列は、各公文書を識別するために、一意に特定される公文書のIDを記憶している。企業ID列は、企業を特定するための企業IDを記憶している。被雇用者ID列は、被雇用者を特定するための被雇用者IDを記憶している。種類列は、公文書の種類を記憶している。公文書の種類は、例えば「社会保険」、「雇用保険」等を含む。公文書名称列は、公文書の名称またはファイル名等を記憶している。
公文書データ列は、企業用公文書列及び被雇用者用公文書列を含む。企業用公文書列は、企業用公文書のデータを記憶している。被雇用者用公文書列は、被雇用者用公文書のデータを記憶している。登録日時列は、公文書を登録した日時情報を記憶している。ダウンロード日時列は、公文書をダウンロードした日時情報を記憶している。ダウンロード期限列は、公文書のダウンロード期限を記憶している。保管期間列は、公文書の保管期間を記憶している。
図7は、企業端末3及び被雇用者端末4の構成例を示すブロック図である。
企業端末3は、制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34及び表示部35を含む。各構成はバスBで接続されている。
制御部31はCPU、MPU等の演算処理装置を含み、記憶部32に記憶された制御プログラム3Pを読み出して実行することにより、企業端末3に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、図7では制御部31を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。記憶部32はRAM、ROM等のメモリ素子を含み、制御部31が処理を実行するために必要な制御プログラム3P又はデータ等を記憶している。また、記憶部32は、制御部31が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。
通信部33は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、サーバ1等と情報の送受信を行う。入力部34は、キーボード、マウスまたは表示部35と一体化したタッチパネルでも良い。表示部35は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部31の指示に従い各種情報を表示する。
被雇用者端末4は、制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44及び表示部45を含む。各構成はバスBで接続されている。なお、被雇用者端末4の制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44及び表示部45に関しては、企業端末3と同様であるため、説明を省略する。
図8は、政府サーバ5の構成例を示すブロック図である。政府サーバ5は、制御部51、記憶部52、通信部53、入力部54、表示部55、読取部56及び大容量記憶部57を含む。各構成はバスBで接続されている。なお、政府サーバ5の制御部51、記憶部52、通信部53、入力部54、表示部55及び読取部56に関しては、サーバ1と同様であるため、説明を省略する。
大容量記憶部57は、例えばHDD、SSD等の記録媒体を備え、政府サーバ5で提供されているシステムまたはサービス等を利用するユーザに関する情報、及び電子申請データ等を記憶している。なお、本実施形態において記憶部52及び大容量記憶部57は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部57は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部57は政府サーバ5に接続された外部記憶装置であっても良い。
なお、本実施形態では、政府サーバ5は一台の情報処理装置であるものとして説明するが、複数台により分散して処理させても良く、または仮想マシンにより構成されていても良い。
なお、上述した各DBの記憶形態は一例であり、データ間の関係が維持されていれば、他の記憶形態であっても良い。
図9は、電子申請を行う動作を説明する説明図である。先ず、政府向けの電子申請を行うための企業の電子証明書に対応する変換キー(暗号文)を企業に配布(発行)する処理を説明する。サーバ1は、企業端末3から送信されたグループID、予め政府から発行された電子証明書、及び該電子証明書より秘密鍵を取得する場合に利用するパスフレーズを受信する。電子証明書より秘密鍵を取得する場合に利用するパスフレーズを設定することにより、セキュリティレベルを高める。なお、本実施形態では、電子証明書の秘密鍵にパスフレーズを設定する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、秘密鍵にパスフレーズを設定しない電子証明書を企業端末3からサーバ1に送信しても良い。
サーバ1は、受信したグループIDに対応する政府ユーザIDをグループ情報DB171から取得する。なお、政府ユーザIDが存在していない(未発行)場合、サーバ1は、該グループIDに対して政府ユーザIDを割り振って、割り振った政府ユーザIDを政府サーバ5に送信する。政府サーバ5は、サーバ1から送信された政府ユーザIDを登録する。
サーバ1は、受信した電子証明書に対応する変換キー(平文)を生成する。具体的には、先ずサーバ1は、受信した電子証明書に対して特定アルゴリズムで分割した断片A及び断片Bを生成する。例えば、電子証明書に対して先頭nバイトで分割しても良い。nが100バイトである場合、断片Aは、電子証明書の先頭100バイトのデータであり、断片Bは電子証明書の101バイトから最後までのデータである。
または、電子証明書を奇偶数により分割しても良い。例えばサーバ1は、電子証明書から奇数バイト目のデータ(例えば、1バイト目、3バイト目、5バイト目等)、及び偶数バイト目のデータ(例えば、2バイト目、4バイト目、6バイト目等)をそれぞれ抽出する。例えば、抽出した奇数バイト目のデータを断片Aとし、抽出した偶数バイト目のデータを断片Bとしても良い。
サーバ1は、生成した断片Aにヘッダ部を加えて変換キー(平文)を生成する。サーバ1は乱数を発生させて、発生させた乱数に基づいて変換キーの暗号化鍵を生成する。サーバ1は、生成した変換キーの暗号化鍵及び断片Bを電子証明書情報DB174に記憶する。サーバ1は、生成した暗号化鍵で変換キー(平文)を暗号化することにより、変換キー(暗号文)を生成する。サーバ1は、生成した変換キー(暗号文)を企業端末3に送信する。なお、変換キー(暗号文)が郵送または手渡しにより企業に配布されても良い。
以上の処理流れで、電子証明書に対応する変換キー(暗号文)を企業に配布する。即ち、企業端末3に配布された変換キーは、セキュリティレベルが高い暗号化のデータである。
次に、電子申請を行う処理を説明する。企業端末3は、配布された変換キー(暗号文)、及びログイン用の認証情報(企業ID、パスワード等)を受け付けた場合、受け付けた変換キー(暗号文)、及びログイン用の認証情報をサーバ1に送信する。サーバ1は、受信した変換キー(暗号文)及び認証情報を用いて認証処理を行う。
具体的には、サーバ1は企業ID及びパスワードと、企業情報DB172に記憶された企業ID及びパスワードとを照合し、両者が一致しているか否かを判定する。サーバ1は、両者が一致していると判定した場合、受信した変換キーのハッシュ値と、電子証明書情報DB174に記憶された変換キーのハッシュ値とを照合する。サーバ1は、受信した変換キーのハッシュ値と、電子証明書情報DB174に記憶された変換キーのハッシュ値とが一致していると判定した場合、認証に成功したと判定する。
サーバ1は、認証に成功したと判定した場合、企業端末3から送信された各被雇用者の電子申請データ(申請情報)を受信する。サーバ1は、受け付けた変換キー(暗号文)を用いて電子証明書を復号する。具体的には、サーバ1は、変換キー(暗号文)を、電子証明書情報DB174に記憶された変換キーの暗号化鍵で変換キー(平文)に復号する。サーバ1は、復号した変換キー(平文)(電子証明書の断片A)と、電子証明書情報DB174に記憶された電子証明書の断片Bとを合成して電子証明書を復号(復元)する。サーバ1は、復号した電子証明書に対応するパスフレーズを電子証明書情報DB174から取得する。
サーバ1は、取得したパスフレーズを使用し、電子証明書より秘密鍵を取得する。サーバ1は、取得した秘密鍵を用いて、各被雇用者の電子申請データに対して電子署名(暗号化)を付与する。サーバ1は政府ユーザIDを、各被雇用者の署名付き電子申請データ(被雇用者ID、電子証明書及び電子申請データ)と共に政府サーバ5へ送信する。政府サーバ5は、サーバ1から送信された政府ユーザID及び各被雇用者の署名付き電子申請データを受信する。政府サーバ5は、受信した政府ユーザID及び各被雇用者の署名付き電子申請データを記憶する。サーバ1は、電子申請の完了通知を企業端末3に送信し、電子申請処理を終了する。
続いて、上述した電子申請に伴い、被雇用者に対して発行された公文書を自動的に被雇用者に届ける処理を説明する。例えば、企業が雇用保険の電子申請を行った後に、政府(行政)より被雇用者に対して公文書(例えば、雇用保険被保険者資格喪失届提出後の離職票交付、または支給決定通知書)を発行する。発行された公文書は、企業用公文書(事業主控)及び被雇用者用公文書(被雇用者控)を含み、被雇用者用公文書を被雇用者に送付することが必要である。この場合、企業の担当者がメール送付または郵送等の手段を利用して被雇用者に被雇用者用公文書を送付することが可能であるが、被雇用者用公文書の配付作業に手間または時間を要する。本実施形態では、電子申請に伴って発行された被雇用者用公文書を自動的に被雇用者に届けることができる。
図10は、被雇用者用公文書を自動的に被雇用者に届ける動作を説明する説明図である。サーバ1は、企業端末3から送信された電子証明書に対応する変換キー、及び電子申請データを受信する。サーバ1は、受信した変換キーを用いて電子証明書を復号する。サーバ1は、復号した電子証明書を、受信した電子申請データと共に政府サーバ5に送信する。
政府サーバ5は、サーバ1から送信された電子証明書及び電子申請データに基づき、電子申請処理を行う。政府サーバ5は、電子申請に伴い、被雇用者に対して企業用公文書及び被雇用者用公文書を含む公文書を発行する。例えば、被雇用者が離職した場合の雇用保険被保険者資格喪失届の電子申請に応じて、該被雇用者に対して「雇用保険被保険者資格喪失確認 通知書(事業主通知用)」及び「雇用保険被保険者資格喪失確認 通知書(被保険者通知用)」である公文書を発行する。
政府サーバ5は、被雇用者に対して発行された、企業用公文書及び被雇用者用公文書を含む公文書をサーバ1に送信する。サーバ1は、政府サーバ5から送信された公文書を、企業ID及び被雇用者IDに対応付けてサーバ2に送信する。サーバ2は、サーバ1から送信された企業ID、被雇用者ID及び公文書を受信する。サーバ2は、受信した公文書を企業ID及び被雇用者IDに対応付け、公文書管理DB271に分類して記憶する。
具体的には、サーバ2は、受信した公文書の名称またはファイル名に基づいて公文書の種類を特定する。例えば、公文書の名称が「雇用保険被保険者資格喪失確認 通知書」である場合、該公文書の種類が「雇用保険」であることを特定しても良い。サーバ2は、受信した公文書に対して公文書IDを割り振って、割り振った公文書IDに対応付けて、企業ID、被雇用者ID、公文書の種類、公文書の名称、公文書(企業用公文書及び被雇用者用公文書)のデータ、登録日時、ダウンロード期限及び保管期間を一つのレコードとして公文書管理DB271に記憶する。なお、保管期間に関しては、予め設定された保管期間(例えば、3年)であっても良い。
サーバ2は、公文書を公文書管理DB271に記憶した後に、該公文書に対応する被雇用者の電子メールアドレスを取得する。具体的には、サーバ2は、被雇用者IDに基づいて、「育児休業」、「在職中」、「退職」または「休職」等である該被雇用者の在籍状態を判定する。サーバ2は、該被雇用者の在籍状態が「育児休業」、「退職」または「休職」以外であると判定した場合、該被雇用者の企業の電子メールアドレスをサーバ1の被雇用者情報DB173から取得する。サーバ2は、該被雇用者の在籍状態が「育児休業」、「退職」または「休職」であると判定した場合、被雇用者が勤務している企業の電子メールドメインとは異なる電子メールドメインで作成された個人の電子メールアドレスをサーバ1の被雇用者情報DB173から取得する。なお、被雇用者の企業の電子メールアドレスまたは個人の電子メールアドレスは、予め被雇用者IDに対応付けてサーバ1の被雇用者情報DB173に登録(記憶)されている。
なお、被雇用者の在籍状態及び在籍状態による電子メールアドレスの使い分け処理に関しては、上述した処理に限るものではない。例えば、被雇用者の在籍状態が「育児休業」である場合、該被雇用者の企業の電子メールアドレスと個人の電子メールアドレスとの両方を被雇用者情報DB173から取得しても良い。この場合、サーバ2は、取得した該被雇用者の企業の電子メールアドレスと個人の電子メールアドレスとの両方宛に、後述する第1通知メールの送信処理を実行しても良い。
サーバ2は、取得した被雇用者の電子メールアドレス宛に、公文書がダウンロード可能であることを示す第1通知メールを送信する。第1通知メールには、例えば公文書の名称、被雇用者用公文書のダウンロード用URL(Uniform Resource Locator)等の内容が含まれても良い。被雇用者が第1通知メールに応じて被雇用者用公文書のダウンロード用URLにアクセスした場合、被雇用者端末4は、該URLで指定されるサイトに掲載されている被雇用者用公文書を取得する。被雇用者用公文書がダウンロードされた場合、サーバ2は、該被雇用者用公文書のダウンロード日時情報を公文書IDに対応付けて公文書管理DB271に記憶する。
なお、本実施形態では、第1通知メールをサーバ2から被雇用者の電子メールアドレス宛に送信した例を説明したが、これに限るものではない。例えばサーバ2は、公文書が届いたことを確認した後に、確認済み通知をサーバ1に送信する。サーバ1は、サーバ2から送信された確認済み通知に応じて、被雇用者の電子メールアドレス宛に第1通知メールを送信しても良い。
なお、被雇用者の企業の電子メールアドレスと個人の電子メールアドレスとの両方が登録されていない場合、上述した第1通知メールの送信処理を省略しても良い。この場合、被雇用者自身は、公文書管理システムにログインして被雇用者用公文書をダウンロードしても良い。
図11は、公文書の表示画面の一例を示す説明図である。図11Aは、政府サーバ5から発行された公文書を表示する画面の一例を示す説明図である。該画面は、公文書表示欄11a、一括取得ボタン11b及び対象選択チェックボックス11cを含む。公文書表示欄11aは、被雇用者に対して発行された公文書に関する情報を表示するための表示欄である。一括取得ボタン11bは、各被雇用者に対して発行された公文書を一括取得するためのボタンである。対象選択チェックボックス11cは、電子申請の対象者となる被雇用者を選択するためのチェックボックスである。
サーバ1は、電子申請に伴い、企業ごとに被雇用者に対して発行された公文書を政府サーバ5から取得する。サーバ1は、取得した公文書に関する情報を公文書表示欄11aに表示する。図示のように、公文書に関する情報は、公文書の申請日時、企業(会社)名、被雇用者ID、被雇用者の氏名、公文書の名称(手続き名称)、公文書に対するコメント(説明情報)及び公文書のデータを含む。
サーバ1は、対象選択チェックボックス11cに対するチェック操作を受け付けた場合、電子申請の対象者となる単一または複数の被雇用者の選択を受け付ける。サーバ1は、一括取得ボタン11bのクリック操作を受け付けた場合、対象選択チェックボックス11cにより選択された単一または複数の被雇用者の被雇用者ID、該被雇用者IDに対応する企業ID及び公文書(企業用公文書及び被雇用者用公文書)のデータをサーバ2に一括送信する。サーバ2は、サーバ1から一括送信された企業ID、被雇用者ID及び公文書のデータを受信し、受信した公文書のデータを企業ID及び被雇用者IDに対応付けて公文書管理DB271に記憶する。
サーバ2は、上述した電子メールアドレスの取得処理と同様に、被雇用者用公文書を送付する対象者となる単一または複数の被雇用者の電子メールアドレスをサーバ1の被雇用者情報DB173から取得する。サーバ2は、取得した単一または複数の被雇用者の電子メールアドレス宛に、公文書がダウンロード可能であることを示す第1通知メールを一括送信する。図11Bは、第1通知メールの表示画面の一例を示す説明図である。図示のように、第1通知メールには、被雇用者用公文書の名称を含むファイル名、及び被雇用者用公文書のダウンロード用URL等の内容が含まれる。
図12は、電子証明書に対応する変換キーを企業に配布する際の処理手順を示すフローチャートである。企業端末3の制御部31は、グループID、予め政府から発行された電子証明書、及び該電子証明書より秘密鍵を取得する場合に利用するパスフレーズを通信部33によりサーバ1に送信する(ステップS301)。サーバ1の制御部11は、企業端末3から送信されたグループID、電子証明書及びパスフレーズを通信部13により受信する(ステップS101)。
サーバ1の制御部11は、受信したグループIDに対応する政府ユーザIDを大容量記憶部17のグループ情報DB171から取得する(ステップS102)。制御部11は、受信した電子証明書に対して特定アルゴリズムで分割した断片A及び断片Bを生成する(ステップS103)。例えば、電子証明書に対して先頭nバイト(例えば、100バイト)で分割し、断片Aが電子証明書の先頭nバイトのデータであり、断片Bが電子証明書のn+1バイトから最後までのデータである。
制御部11は、生成した断片Aにヘッダ部を加えて変換キー(平文)を生成する(ステップS104)。制御部11は乱数を発生させて、発生させた乱数に基づいて変換キーの暗号化鍵を生成する(ステップS105)。制御部11は、生成した暗号化鍵で変換キー(平文)を暗号化することにより、変換キー(暗号文)を生成する(ステップS106)。制御部11は、暗号学的ハッシュ関数を用いて変換キー(暗号文)のハッシュ値を算出し、政府ユーザIDに対応付けて、変換キー(暗号文)のハッシュ値、電子証明書の一部分(断片B)及び変換キーの暗号化鍵を大容量記憶部17の電子証明書情報DB174に記憶する(ステップS107)。
制御部11は、生成した変換キー(暗号文)を通信部13により企業端末3に送信する(ステップS108)。企業端末3の制御部31は、サーバ1から送信された変換キー(暗号文)を通信部33により受信し(ステップS302)、受信した変換キー(暗号文)を記憶部32に記憶し(ステップS303)、処理を終了する。
図13は、電子申請に伴って公文書を発行する際の処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、配布された変換キー(暗号文)及び各被雇用者の電子申請データ(申請情報)を通信部13により企業端末3から取得する(ステップS111)。制御部11は、取得した変換キー(暗号文)を、電子証明書情報DB174に記憶された変換キーの暗号化鍵で変換キー(平文)に復号する(ステップS112)。制御部11は、復号した変換キー(平文)(電子証明書の断片A)と、電子証明書情報DB174に記憶された電子証明書の断片Bとを合成して電子証明書を復号する(ステップS113)。
制御部11は、復号した電子証明書を用いて各被雇用者の署名付き電子申請データ(被雇用者ID、電子証明書及び電子申請データ)を作成する(ステップS114)。具体的には、制御部11は、復号した電子証明書に対応するパスフレーズを大容量記憶部17の電子証明書情報DB174から取得する。制御部11は、取得したパスフレーズを使用し、電子証明書より秘密鍵を取得する。制御部11は取得した秘密鍵を用いて、電子申請データに対して電子署名(暗号化)を付与することにより、各被雇用者の署名付き電子申請データを作成する。
制御部11は通信部13を介して、政府ユーザIDを各被雇用者の署名付き電子申請データと共に政府サーバ5へ送信する(ステップS115)。政府サーバ5の制御部51は、サーバ1から送信された政府ユーザID及び各被雇用者の署名付き電子申請データを通信部53により受信する(ステップS511)。制御部51は、受信した政府ユーザID及び各被雇用者の署名付き電子申請データに基づいて、電子申請処理を行う(ステップS512)。制御部51は電子申請に伴い、各被雇用者に対して企業用公文書(事業主控)及び被雇用者用公文書(被雇用者控)を含む公文書を発行する(ステップS513)。制御部51は通信部53を介して、各被雇用者に対して発行した公文書を被雇用者IDに対応付けてサーバ1に送信する(ステップS514)。
サーバ1の制御部11は、政府サーバ5から送信された各被雇用者の被雇用者ID及び公文書を通信部13により受信する(ステップS116)。制御部11は通信部13を介して、政府サーバ5から送信された各被雇用者の公文書(企業用公文書及び被雇用者用公文書)を、企業ID及び被雇用者IDに対応付けてサーバ2に送信し(ステップS117)、処理を終了する。
図14は、被雇用者用公文書を自動的に被雇用者に届ける際の処理手順を示すフローチャートである。サーバ2の制御部21は、サーバ1から送信された企業ID、被雇用者ID及び公文書を通信部23により受信する(ステップS221)。制御部21は、受信した公文書に対して公文書IDを割り振り、割り振った公文書IDに対応付けて、企業ID、被雇用者ID、公文書の種類、公文書の名称、公文書(企業用公文書及び被雇用者用公文書)のデータ、登録日時、ダウンロード期限及び保管期間を一つのレコードとして大容量記憶部27の公文書管理DB271に記憶する(ステップS222)。
サーバ2の制御部21は、被雇用者IDに基づいて、該被雇用者の在籍状態が「育児休業」、「退職」または「休職」であるか否かを判定する(ステップS223)。制御部21は、該被雇用者の在籍状態が「育児休業」、「退職」または「休職」であると判定した場合(ステップS223でYES)、該被雇用者の個人の電子メールアドレスを通信部23によりサーバ1の被雇用者情報DB173から取得し(ステップS224)、後述するステップS226の処理を実行する。
制御部21は、該被雇用者の在籍状態が「育児休業」、「退職」または「休職」以外であると判定した場合(ステップS223でNO)、該被雇用者の企業の電子メールアドレスを通信部23によりサーバ1の被雇用者情報DB173から取得する(ステップS225)。制御部21は、取得した被雇用者の電子メールアドレス宛に、被雇用者用公文書の名称及びダウンロード用URL等を含む第1通知メールを通信部23により送信する(ステップS226)。
被雇用者端末4の制御部41は、サーバ2から送信された第1通知メールを通信部43により受信する(ステップS421)。制御部41は、電子メールを管理するメーラを介して、受信した第1通知メールの内容を表示部45により表示する(ステップS422)。制御部41は、第1通知メールに含まれている被雇用者用公文書のダウンロード用URLのリンク操作に応じて、該被雇用者用公文書のダウンロード指示を入力部44により受け付けた場合(ステップS423)、該被雇用者用公文書のダウンロード処理を行う(ステップS424)。なお、ダウンロード処理に対するログイン用の認証処理が必要とされた場合、制御部41は、ログイン用の認証情報(例えば、ユーザID及びパスワード)を入力部44により受け付け、受け付けた認証情報を用いてログイン処理を行う。制御部41は、ログインに成功した場合に該被雇用者用公文書のダウンロード処理を行う。
制御部41は、ダウンロード済み通知を通信部43によりサーバ2に送信する(ステップS425)。サーバ2の制御部21は、被雇用者端末4から送信されたダウンロード済み通知を通信部23により受信する(ステップS227)。制御部21は、受信したダウンロード済み通知に応じて、該被雇用者用公文書のダウンロード日時情報を公文書IDに対応付けて大容量記憶部27の公文書管理DB271に記憶し(ステップS228)、処理を終了する。
本実施形態によると、電子申請に伴って被雇用者に対して発行された公文書を自動的に被雇用者に届けることにより、公文書を被雇用者に配布する作業効率を上げることが可能となる。
本実施形態によると、対象企業の電子メールドメインとは異なる電子メールドメインで作成された被雇用者の電子メールアドレスを登録することにより、例え退職した被雇用者が企業の電子メールアドレスを利用できない場合、公文書の受領に関する通知をスムーズに該被雇用者に送信することが可能となる。
本実施形態によると、被雇用者自身で公文書をダウンロードすることにより、公文書を封書詰めする際の封緘ミスによる渡し間違い事故を防ぐことが可能となる。
(実施形態2)
実施形態2は、被雇用者の電子申請に必要な添付書類の送付リクエストに応じて、被雇用者からアップロードされた添付書類を取得する形態に関する。なお、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。
図15は、実施形態2のサーバ1の構成例を示すブロック図である。なお、図2と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。大容量記憶部17には、添付書類管理DB175が記憶されている。添付書類管理DB175は、電子申請に必要な添付書類に関する情報を記憶している。
図16は、添付書類管理DB175のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。添付書類管理DB175は、企業ID列、被雇用者ID列、依頼名列、依頼実施者列、依頼日時列、添付書類列、書類データ列、添付期限列、状態列及び備考列を含む。
企業ID列は、企業を特定するための企業IDを記憶している。被雇用者ID列は、被雇用者を特定するための被雇用者IDを記憶している。依頼名列は、被雇用者に対して添付書類を依頼した場合に、依頼実施者が入力した依頼名を記憶している。依頼名は、例えば「転居に伴う書類一式」または「育児休業書類一式」等である。依頼実施者列は、添付書類を依頼した実施者(担当者)の氏名を記憶している。依頼日時列は、添付書類を依頼した日時を記憶している。
添付書類列は、添付書類の名称を記憶している。添付書類は、電子申請に際し被雇用者が準備すべき書類である。添付書類は、例えば「住民票の写し」または「母子手帳の写し」等である。書類データ列は、被雇用者からアップロードされた添付書類のデータを記憶している。添付期限列は、添付書類がアップロードされる期限を記憶している。状態列は、添付書類の登録状態を記憶している。例えば状態列には、「登録待ち」、「再登録待ち」、「確認待ち」、「依頼待ち」または「依頼完了」等が記憶される。備考列は、書類依頼に対する説明情報または補足情報等を記憶している。
図17は、被雇用者から電子申請に必要な添付書類を取得する動作を説明する説明図である。サーバ1は、被雇用者の電子申請に必要な添付書類の依頼情報を受け付ける。添付書類の依頼情報は、企業の名称、依頼名、依頼実施者、添付書類の添付期限、または書類依頼に対する説明情報(備考)等を含む。サーバ1は、依頼対象者となる単一または複数の被雇用者の選択を受け付ける。
サーバ1は、受け付けた添付書類の依頼情報を被雇用者IDに対応付けて添付書類管理DB175に記憶する。具体的には、サーバ1は、企業ID及び被雇用者IDに対応付けて、依頼名、依頼実施者の氏名、依頼日時、書類の名称、書類の添付期限、依頼状態及び備考を一つのレコードとして大容量記憶部17の添付書類管理DB175に記憶する。サーバ1は、受け付けた添付書類の依頼情報に基づき、該添付書類の送付リクエストを被雇用者IDに対応付けてサーバ2に送信する。
送付リクエストは、被雇用者ID、被雇用者の電子メールアドレス、添付書類の名称または添付期限等を含む。被雇用者の電子メールアドレスは、被雇用者の在籍状態に基づいて被雇用者情報DB173から取得される。例えば被雇用者の在籍状態が「育児休業」、「退職」または「休職」である場合、被雇用者の個人の電子メールアドレスが被雇用者情報DB173から取得される。または、被雇用者の在籍状態が「育児休業」、「退職」もしくは「休職」以外である場合、被雇用者の企業の電子メールアドレスが被雇用者情報DB173から取得される。
サーバ2は、サーバ1から送信された添付書類の送付リクエストに応じて、被雇用者IDに対応する電子メールアドレス宛に、添付書類のアップロードをリクエストする第2通知メールを送信する。第2通知メールには、例えば添付書類の名称、添付書類のアップロード用URL等の内容が含まれても良い。被雇用者端末4は、アップロード対象となる添付書類の選択を受け付け、第2通知メールに含まれている添付書類のアップロード用URLで指定されるサイトに、受け付けた添付書類のアップロード処理を行う。
サーバ2は、被雇用者端末4を通じて被雇用者からアップロードされた添付書類を取得し、取得した添付書類を被雇用者IDに対応付けてサーバ1に送信する。サーバ1は、サーバ2から送信された被雇用者ID及び添付書類を受信し、受信した添付書類を被雇用者IDに対応付けて添付書類管理DB175に記憶し、添付書類管理DB175の状態列を更新する。例えば、添付書類管理DB175の状態列を「依頼待ち」から「依頼完了」に更新する。
サーバ1は電子証明書を用いて、取得した添付書類を含む署名付き電子申請データを生成する。サーバ1は、生成した電子申請データを政府ユーザIDに対応付けて政府サーバ5に送信する(電子申請)。政府サーバ5は、サーバ1から送信された政府ユーザID及び署名付き電子申請データに基づき、電子申請処理を行って被雇用者に対して公文書を発行する。政府サーバ5は、発行した公文書をサーバ1に送信する。なお、電子申請処理及び公文書の発行処理に関しては、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
図18は、添付書類の依頼画面の一例を示す説明図である。図18Aは、添付書類を依頼する画面の一例を示す説明図である。該画面は、依頼入力欄12a、被雇用者情報表示欄12b、被雇用者選択チェックボックス12c及び依頼開始ボタン12dを含む。
依頼入力欄12aは、電子申請に必要な添付書類の依頼情報の入力を受け付けるための入力欄である。被雇用者情報表示欄12bは、被雇用者に関する情報を表示するための表示欄である。被雇用者選択チェックボックス12cは、被雇用者の選択を受け付けるためのチェックボックスである。依頼開始ボタン12dは、電子申請に必要な添付書類の送付リクエストをサーバ2に送信するためのボタンである。
サーバ1は、企業ID及び被雇用者IDに基づいて被雇用者に関する情報を被雇用者情報DB173から取得する。サーバ1は、取得した被雇用者に関する情報を被雇用者情報表示欄12bに表示する。図示のように、被雇用者ID(社員番号)、被雇用者の氏名(社員名)、依頼状態、被雇用者の電子メールアドレス及び備考を含む被雇用者に関する情報が被雇用者情報表示欄12bに表示される。
サーバ1は、電子申請に必要な添付書類の依頼情報を依頼入力欄12aにより受け付ける。添付書類の依頼情報は、企業(会社)の名称、依頼実施者、依頼名、添付書類の添付期限、依頼に対する説明情報(備考)及び添付書類の名称(コメント)等を含む。図示のように、「転居に伴う書類一式」である依頼名及び「住民票の写し」である添付書類の名称等を含む依頼情報の入力が依頼入力欄12aにより受け付けられる。サーバ1は、被雇用者選択チェックボックス12cに対するチェック操作を受け付けた場合、単一または複数の被雇用者の選択を受け付ける。サーバ1は、依頼開始ボタン12dのクリック操作を受け付けた場合、依頼入力欄12aにより入力された添付書類の依頼情報を、被雇用者選択チェックボックス12cにより選択された単一または複数の被雇用者の被雇用者IDに対応付けて添付書類の送付リクエストをサーバ2に送信する。
サーバ2は、サーバ1から送信された添付書類の送付リクエストを受信した場合、受信した添付書類の送付リクエストに応じて、各被雇用者IDに対応する電子メールアドレス宛に、添付書類のアップロードをリクエストする第2通知メールを送信する。図18Bは、第2通知メールの表示画面の一例を示す説明図である。図示のように、第2通知メールには、添付書類の名称及び添付書類のアップロード用URL等の内容が含まれる。
図19は、添付書類のアップロード画面の一例を示す説明図である。該画面は、依頼情報表示欄13a、履歴表示欄13b、書類登録ボタン13c及びアップロードボタン13dを含む。依頼情報表示欄13aは、添付書類の依頼情報を表示するための表示欄である。履歴表示欄13bは、過去に登録(アップロード)された書類の登録履歴を表示するための表示欄である。書類登録ボタン13cは、添付書類の選択を受け付けるためのボタンである。アップロードボタン13dは、選択された添付書類をアップロード(登録)するためのボタンである。
被雇用者が添付書類のアップロード用URLにアクセスした場合、被雇用者端末4は、該URLで指定される添付書類のアップロード画面の取得リクエストをサーバ2に送信する。アップロード画面の取得リクエストには、企業ID及び被雇用者IDが含まれる。サーバ2は、被雇用者端末4から送信された取得リクエストを受信し、受信した取得リクエストに含まれる企業ID及び被雇用者IDに基づき、添付書類の依頼情報及び過去の登録履歴をサーバ1の添付書類管理DB175から取得する。
添付書類の依頼情報は、依頼名、添付期限及び依頼状態(例えば、「登録待ち」または「再登録待ち」)等を含む。登録履歴は、登録された添付書類のファイル名及び登録日時等を含む。サーバ2は、取得した添付書類の依頼情報及び過去の登録履歴を含むアップロード画面を被雇用者端末4に送信する。被雇用者端末4は、サーバ2から送信された添付書類のアップロード画面を受信して表示する。具体的には、被雇用者端末4は、添付書類の依頼情報を依頼情報表示欄13aに表示し、過去の登録履歴を履歴表示欄13bに表示する。
被雇用者端末4は、書類登録ボタン13cのクリック操作を受け付けた場合、被雇用者により選択された添付書類を受け付ける。被雇用者端末4は、アップロードボタン13dのクリック操作を受け付けた場合、書類登録ボタン13cにより選択された添付書類を被雇用者IDに対応付けてサーバ2に送信(アップロード)する。
図20は、被雇用者から添付書類を取得する際の処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、企業の名称、依頼名、依頼実施者、添付書類の添付期限または備考等を含む添付書類の依頼情報を入力部14により受け付ける(ステップS141)。制御部11は、依頼対象者となる単一または複数の被雇用者の選択を入力部14により受け付ける(ステップS142)。
制御部11は、企業ID及び被雇用者IDに対応付けて、受け付けた依頼名、依頼実施者の氏名、依頼日時、書類の添付期限、依頼状態及び備考を一つのレコードとして大容量記憶部17の添付書類管理DB175に記憶する(ステップS143)。制御部11は通信部13を介して、受け付けた添付書類の依頼情報に基づき、被雇用者の電子メールアドレス、添付書類の名称または添付期限等を含む該添付書類の送付リクエストを被雇用者IDに対応付けてサーバ2に送信する(ステップS144)。
サーバ2の制御部21は、サーバ1から送信された添付書類の送付リクエストを通信部23により受信する(ステップS241)。制御部21は、受信した添付書類の送付リクエストに応じて、被雇用者IDに対応する電子メールアドレス宛に、添付書類の名称及び添付書類のアップロード用URL等を含む第2通知メールを通信部23により送信する(ステップS242)。なお、被雇用者の電子メールアドレスが登録されていない場合、ステップS242の処理を省略する。この場合、被雇用者自身が公文書管理システムにログインして添付書類の送付依頼を確認しても良い。
被雇用者端末4の制御部41は、サーバ2から送信された第2通知メールを通信部43により受信する(ステップS441)。制御部41は、電子メールを管理するメーラを介して、受信した第2通知メールの内容を表示部45により表示する(ステップS442)。制御部41は、アップロード対象となる添付書類の選択を入力部44により受け付けた場合(ステップS443)、第2通知メールに含まれている添付書類のアップロード用URLで指定されるサイトに、受け付けた添付書類のアップロード処理を行う(ステップS444)。制御部41は、添付書類のアップロード済み通知を通信部43によりサーバ2に送信する(ステップS445)。
サーバ2の制御部21は、被雇用者端末4から送信された添付書類のアップロード済み通知を通信部23により受信する(ステップS243)。制御部21は通信部23を介して、被雇用者からアップロードされた添付書類を被雇用者IDに対応付けてサーバ1に送信する(ステップS244)。サーバ1の制御部11は、サーバ2から送信された被雇用者ID及び添付書類を通信部13により受信する(ステップS145)。
制御部11は、受信した添付書類を被雇用者IDに対応付けて大容量記憶部17の添付書類管理DB175に記憶し(ステップS146)、添付書類管理DB175の状態列を更新する(ステップS147)。制御部11は、受信した添付書類を用いて電子申請処理を行い(ステップS148)、処理を終了する。なお、電子申請処理に関しては、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態によると、被雇用者の電子申請に必要な添付書類の送付リクエストに応じて、被雇用者からアップロードされた添付書類を取得することが可能となる。
(実施形態3)
実施形態3は、企業側で指定された、企業用公文書を格納(記憶)するためのアーカイブデータベースに企業用公文書に関する情報を出力する形態に関する。なお、実施形態1〜2と重複する内容については説明を省略する。
本実施形態では、アーカイブデータベース6を有する。アーカイブデータベース6は、企業側で指定された、企業用公文書を記憶する記憶装置である。本実施形態において、以下では簡潔のため、アーカイブデータベース6はアーカイブ6と読み替える。
図21は、アーカイブ6の構成例を示すブロック図である。アーカイブ6は、制御部61、記憶部62、通信部63、読取部64及び大容量記憶部65を含む。各構成はバスBで接続されている。
制御部61はCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を含み、記憶部62に記憶された制御プログラム6Pを読み出して実行することにより、データ読取、データ格納等を行う。なお、図21では制御部61を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
記憶部62はRAM、ROM等のメモリ素子を含み、制御部61が処理を実行するために必要な制御プログラム6P又はデータ等を記憶している。また、記憶部62は、制御部61が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部63は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、サーバ2との間で情報の送受信を行う。
読取部64は、CD−ROM又はDVD−ROMを含む可搬型記憶媒体6aを読み取る。制御部61が読取部64を介して、制御プログラム6Pを可搬型記憶媒体6aより読み取り、大容量記憶部65に記憶しても良い。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部61が制御プログラム6Pをダウンロードし、大容量記憶部65に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ6bから、制御部61が制御プログラム6Pを読み込んでも良い。
大容量記憶部65は、例えばHDD、SSD等の記録媒体を備える。大容量記憶部65は、公文書DB651を含む。公文書DB651は、対象企業の企業用公文書に関する情報を記憶している。
なお、本実施形態において記憶部62及び大容量記憶部65は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部65は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部65はアーカイブ6に接続された外部記憶装置であっても良い。
図22は、公文書DB651のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。なお、公文書DB651のレコードレイアウトに関しては、実施形態1での公文書管理DB271(図6)のレコードレイアウトと同様であるため、説明を省略する。
図23は、企業用公文書に関する情報をアーカイブ6に出力する動作を説明する説明図である。サーバ1は、政府サーバ5から送信された企業用公文書を、企業ID及び被雇用者IDに対応付けてサーバ2に送信する。サーバ2は、サーバ1から送信された企業ID、被雇用者ID及び企業用公文書を受信する。サーバ2は、受信した企業IDに基づいて企業側で指定されたアーカイブ6を特定する。例えば、各企業側で指定されたアーカイブ6のアーカイブIDが記憶部22に記憶されている場合、サーバ2は、受信した企業IDに基づいて、該企業側で指定されたアーカイブ6のアーカイブIDを記憶部22から取得する。サーバ2は、取得したアーカイブIDによりアーカイブ6を特定する。
サーバ2は、特定したアーカイブ6に企業用公文書に関する情報を送信(出力)する。企業用公文書に関する情報は、企業ID、被雇用者ID、企業用公文書の種類、名称、公文書のデータ、登録日時、ダウンロード期限及び保管期間等を含む。アーカイブ6は、サーバ2から送信された企業用公文書に関する情報を受信し、受信した企業用公文書に関する情報を公文書DB651に記憶する。具体的には、アーカイブ6は、受信した企業用公文書に対して公文書IDを割り振って、割り振った公文書IDに対応付けて、企業ID、被雇用者ID、公文書の種類、名称、公文書のデータ、登録日時、ダウンロード期限及び保管期間を一つのレコードとして公文書DB651に記憶する。
また、保管期間を迎えた企業用公文書を破棄することができる。例えばサーバ2は、バッチ処理により所定の期間ごとに、企業用公文書の保管期間を迎えたか否かを判定する。具体的には、サーバ2は、公文書IDに基づいて公文書管理DB271から各企業用公文書の保管期間を取得する。サーバ2は、取得したそれぞれの企業用公文書の保管期間に基づいて、それぞれの企業用公文書の保管期間を迎えたか否かを判定する。サーバ2は、企業用公文書の保管期間を迎えたと判定した場合、保管期間を迎えた企業用公文書を公文書管理DB271から削除(破棄)する。
なお、本実施形態では、企業側で指定されたアーカイブ6に企業用公文書(事業主控)を格納した例を説明したが、アーカイブ6に被雇用者用公文書(被雇用者控)を格納する処理にも同様に適用される。
本実施形態によると、企業側で指定されたアーカイブ6に企業用公文書を格納することにより、企業用公文書の適正な管理を確保するための取組を実現することが可能となる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。