本発明の繊維は、中実形状であって以下(a)〜(c)を満たす多孔質繊維である。
(a)横断面の形状が、回転非対称形
(b)横断面の断面積をSf、横断面の外接円で囲まれる面積をSoとすると、以下の式で表される外接円占有度Sfoが0.70以下
外接円占有度Sfo=Sf/So
(c)比表面積が5m2/g以上
本発明で言うところの多孔質繊維は、中実繊維と呼ばれる、中空部をもたない繊維の形状・形態をとる繊維である。 本発明における多孔質繊維は単一であること、すなわち単繊維が好ましく、中実繊維の単繊維をそのまま繊維束としたものでもよい。単繊維を複数絡み合わせ1本の繊維としたマルチフィラメントにしてもよいが、絡み合った部分が被処理液と接触しにくいため好ましくない。
なお、ここでいうマルチフィラメントには、同一繊維から構成されているもの、異なる種類の繊維から構成されているものの両方を含む。本発明の多孔質繊維は繊維内部に細孔を有するものであり、細孔の比表面積を制御することで被吸着物質の吸着性能を向上させることができる。
そのため、細孔比表面積の下限としては5m2/g以上となり、好ましくは20m2/g以上、より好ましくは80m2/g以上、さらに好ましくは150m2/g以上、特に好ましくは250m2/g以上となる。一方で、細孔比表面積が大きすぎると機械的強度が不足することから、細孔比表面積の上限としては好ましくは1000m2/g以下であり、より好ましくは800m2/g以下、さらに好ましくは650m2/g以下、特に好ましくは500m2/g以下となる。
比表面積は、非特許文献1に記載のように示差走査熱量計(DSC)を用いた示差走査熱量(DSC)測定により、細孔内の水の毛管凝集による氷点降下度を測ることで求められる。上記測定・算出方法においては、上述した非特許文献1の記載を参照する。
また本発明においては、中実繊維の外接円占有度Sfoを制御することが重要である。外接円占有度は以下の式(1)で表される。
外接円占有度Sfo=(繊維横断面の断面積Sf)/(繊維横断面の外接円で囲まれる面積So) (1)
多孔質繊維のSfoが小さいほど、単位断面積当たりの繊維の占有面積が小さいため、嵩高くなり繊維同士の密着を抑制することが可能である。
そのため、多孔質繊維のSfoの上限は0.70以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.40以下となる。また、Sfoが低すぎる場合には、多孔質繊維の強伸度の低下が懸念されるため、多孔質繊維のSfoの下限としては、0.05以上が好ましく、より好ましくは0.15以上となる。
ここで外接円とは、繊維の輪郭を示す曲線において少なくとも2点で外接し、繊維横断面の外部にのみ存在し、外接円の円周と繊維の輪郭が交差しない範囲においてとりうる最小の半径を有する円のことを指す。
外接円占有度の測定方法を以下に記す。測定対象となる繊維の両端を、0.01〜0.1g/mm2程度の張力を付与した状態で固定し、無作為の位置で切断する。その後、切断面を光学顕微鏡、例えばスカラ社製DIGITAL MICROSCOPE DG−2で拡大して写真撮影する。撮影の際、同一倍率でスケールも撮影する。例えばスカラ(株)の画像解析ソフト「Micro Measure ver.1.04」を用いて繊維横断面の断面積Sf、外接円で囲まれる面積Soを計測する。そして上式(1)により算出する。この測定を30箇所について行い、値を平均化し、小数点以下第2位を四捨五入した値を外接円占有度Sfoとする。
また、多孔質繊維の横断面形状としては回転非対称形であることが好ましい。本発明で言うところの回転非対称形とは、横断面の外接円の中心を中心に360°回転した際に、元の位置に戻るまでの間に元の図形と重ならない形状のことを言う。回転対称形である場合、隣り合う繊維が連続的に重なり合うため繊維同士が密着し易いが、回転非対称形状とすることにより、隣り合う繊維同士が連続的に重なり合うのを抑制できる。具体的な形状としては、土字形、士字形、C字形、L字形、W字形、E字形およびこれらの派生形状などが挙げられる。派生形状とは、形状中のカーブの角度が変わったもの(例:V字形とU字形、W字形とM字形、L字形とV字形など)や、形状の一部が欠けた形状(例:土字形と上字形など)、形状の一部に突起が足された形状、などである。中でも土字形、士字形、W字形、C字形状は、繊維同士の密着が少なく、体積当たりの表面積も大きいため好ましい。
本発明においては、多孔質繊維の異形度の制御が重要となる場合がある。
ここで言う異形度とは、繊維横断面を観察した際の内接円と外接円の直径の比、すなわち、内接円の直径である内接円径Diと外接円の直径である外接円径Doから以下の式(2)にて表される値である。具体例として図1に多孔質繊維の横断面(土字形の形状)と外接円1、内接円2、外接円径Do3、内接円径Di4を例示する。
異形度=Do/Di (2)
異形度は、一般的には、増大するにしたがって体積当りの表面積が増大するため、吸着性能を向上させることができる。
好ましい異形度の下限は1.6以上であり、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.4以上、特に好ましくは3.0以上である。
一方、異形度が大きすぎる場合、別の問題が生じ得る。すなわち、繊維断面中心部や突起部が細長くなり、繊維の強伸度が低下することで突起部の折れ曲がりや突起部の切断が起きやすくなり、紡糸安定性が低下したり、繊維形状の保持が困難となったりする。また、多孔質繊維として成型する前の紡糸原液を風や液を用いて速やかに冷却する場合、上記突起部が風や液体の流れを妨げる。その結果、繊維形状や、細孔・表面開孔部といったミクロ構造にもムラが生じることが懸念される。このことから、異形度には一定の上限を設けることがよく、本発明においては12.0以下としており、好ましくは8.0以下、より好ましくは5.4以下である。
ここで内接円とは、繊維横断面の輪郭をなす曲線と少なくとも2点で内接し、繊維の内部にのみ存在して、内接円の円周と繊維の輪郭をなす曲線とが交差しない範囲においてとりうる最大の半径を有する円とする。
異形度の測定方法としては、外接円占有度の測定と同様の手順で繊維を切断、拡大して写真撮影し、画像解析ソフトを用いて繊維横断面の外接円の直径Doと、内接円の直径Diを計測し、上式(2)により算出する。この測定を30箇所について行い、値を平均化し、小数点以下第2位を四捨五入した値を繊維の異形度とする。
繊維横断面の円相当直径としては、小さすぎると繊維の機械的強度が不足し、大きすぎると十分な吸着性能を得られないことから、繊維の円相当直径としては、10μm以上、1000μm以下であることが好ましく、20μm以上、500μm以下であることがより好ましい。
上記円相当直径の測定方法としては、測定対象となる繊維の両端を、0.01〜0.1g/mm2の張力をかけた状態で固定し切断する。その後、切断面を光学顕微鏡、例えば上記したスカラ社製品等で拡大して写真撮影する。その際には同一倍率でスケールも撮影する。該画像をデジタル化した後、例えば画像解析ソフトを用いて断面積Sを算出し、以下の式(3)により円相当直径を算出する。30点の測定値の平均を算出し、小数点以下第1位を四捨五入する。
繊維横断面の円相当直径=2×(S/π)1/2 (3)
本発明における多孔質繊維の素材としては、特に限定されるものではないが、成形加工のし易さやコストなどの観点から有機物が好適に用いられ、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)、ポリアクリロニトリル(以下、PANという)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、セルロース、セルローストリアセテート、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が用いられる。中でも、ある程度の疎水性でありタンパク質などを吸着できる特性を有する素材を含むことが好ましく、例えば、PMMA、PAN等が挙げられる。PMMA、PANは、また、厚み方向に均一構造を有する繊維の代表例であり、均質構造で孔径分布がシャープな構造を得やすいため好ましい。特にPMMAは非晶性の高分子であり、成形加工性やコストに優れ、また、透明性も高いため、繊維の内部状態も比較的観察が容易であり、ファウリング状態を評価しやすく好ましい。
また、多孔質繊維は陰性荷電を有してもよい。素材の少なくとも一部に陰性荷電を有する官能基を含むことで親水性が増し、微分散(すなわち、細かな孔が数多く形成されること)する傾向にあることも報告されている。
陰性荷電を有する官能基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基、エステル基、亜硫酸基、次亜硫酸基、スルフィド基、フェノール基、ヒドロキシシリル基等の置換基を有する素材が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
スルホ基を有するものとしてはビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸パラスチレンスルホン酸、3−メタクリロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ピリジン塩、キノリン塩、テトラメチルアンモニウム塩などがあげられる。
陰性荷電量としては、乾燥した繊維1gあたり5μeq以上、30μeq以下のものが好ましい。
陰性荷電量は、例えば、滴定法を用いて測定することが出来る。
本発明に係る多孔質繊維の断面構造は特に限定されないが、均質構造をもつ繊維であると繊維の厚み方向に均質な多孔質構造を有することで吸着面積をより確保できるため好ましい。ただし、繊維中心部への拡散抵抗を軽減させるために、繊維外周部の孔を大きくし、繊維中心部へ向けて除々に孔が少しずつ縮小するようなややグラジエントな構造を有しても良い。
また、経時的なファウリングによって繊維最表面の孔が完全に閉塞するような条件などにおいては、かかるグラジエントな構造を有することにより、繊維内部の孔まで閉塞するリスクが小さくなり、繊維中心部への被吸着物質の拡散性が低下する現象を抑制することもできる。逆に、繊維中心部に向けて孔が除々に拡大するようなグラジエント構造の場合、被吸着物質の繊維中心部への拡散性が低下すること、繊維中心部が粗であることから繊維としての細孔比表面積が低下するなどの理由から好ましくない。
かかる均質構造においては、中心部領域における平均孔径に対する繊維の外表面近傍領域における平均孔径(外表面近傍領域における平均孔径/中心部領域における平均孔径)の比率は、0.50倍以上3.00倍以下、より好ましくは0.75倍以上2.00倍以下、さらに好ましくは0.90倍以上1.50倍以下である。
また、非溶媒誘起型相分離法で作製した繊維などによく見られるマクロボイドなどを有する不均質な構造は、体積当たりの表面積を低下させることや、繊維の物理的性質を低下させ得ることから好ましくない。ここでいうマクロボイドとは、直径25μm以上の球形の孔のことであり、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは8μm以上の孔が存在しないことが望ましい。ただし、ここでいう直径とは、孔の形状が球形以外、例えば卵型などである場合には、その孔の短径を指す。
次に、本発明における均質構造の判定方法について説明する。
まず、繊維を十分に湿らせた後に液体窒素に浸し、細孔内の水分を液体窒素で瞬間的に凍結させる。その後、速やかに繊維を折り、繊維断面を露出させた状態で、0.1torr以下の真空乾燥機内で凍結させた水分を除去して乾燥試料を得る。その後、スパッタリングにより、白金−パラジウム(Pt−Pd)の薄膜を繊維表面に形成させて、観察試料とする。該試料の断面を走査型電子顕微鏡(たとえば株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、S−5500)にて観察する。ここで、繊維断面の中心点を通る半径を任意に選択し、この半径の線分を均等な長さに5分割する点を通る同心円を描き、中心点を含む領域を中心部領域とし、最も外周部に近い側を外表面近傍領域とする。中心部領域、外表面近傍領域、それぞれに存在する孔の円相当径を求め、それぞれの領域における平均孔径を得る。
それぞれの領域における平均孔径の算出に際しては、走査型電子顕微鏡(5万倍)で2μm×2μmの範囲を任意に20箇所選択し、撮影した写真の中に孔全体が含まれるものについて測定し、平均の孔径を算出するものとする。孔径の測定においては、電子顕微鏡像を印刷したものの上に透明シートを重ね、黒いペンなどを用いて孔部分を黒く塗りつぶし、その後透明シートを白紙にコピーすることにより、孔部分は黒、非孔部分は白と明確に区別し、画像解析ソフトにて孔径を求める。
繊維の中心部領域における平均孔径と、繊維の外表面近傍領域における平均孔径の比(外表面近傍領域における平均孔径/中心部領域における平均孔径)が0.50倍以上3.00倍以下の場合に、当該多孔質繊維は均質構造を持つものとする。
同様に、多孔質繊維の細孔径分布指数は、1.0以上、3.6以下が好ましく、上限に関してはより好ましくは2.8以下、さらに好ましくは2.0以下であることが好ましい。これは、孔径分布をできるだけ均一にすることで、被吸着物質のサイズ選択性を付与できるためである。3.6を超えると、非特異的な吸着が増大するため好ましくない。
細孔径分布指数の測定方法としては、比表面積と同様にDSCを用いた測定により求められ、2次平均細孔半径を1次平均細孔半径で除した値を細孔径分布指数とする。詳細な測定、算出方法は非特許文献1の記載を参照する。
さらに、被吸着物質の荷電による選択性を付与する目的で、多孔質繊維の表面を改質してもよい。改質とは、アニオン性やカチオン性の親水性高分子を表面に固定化することを言う。改質方法としては特に限定されないが、例えば、多孔質繊維を親水性高分子水溶液と接触させた状態で放射線照射することにより、親水性高分子が表面に固定化された改質繊維を得ることができる。
本発明に係る多孔質繊維を作製するためには、紡糸口金の吐出口形状が重要である。一例として、図2に土字形の断面形状をもつ繊維を紡糸するための口金の吐出口形状を示した。口金の設計としてはスリット部幅、スリット部長さから成りそれぞれを適切な値にする必要がある。同様に、図3にはW字形の断面形状をもつ繊維を紡糸するための口金の吐出口形状を示した。スリット部高さ、スリット部幅、頂点間距離の設計値が重要である。図4にはC字形の断面形状をもつ繊維を紡糸するための口金の吐出口形状を示した。スリット部幅、外角、仮想円直径の設計値が重要である。
医療機器のなどの用途として浄化カラムを用いる場合には、放射線照射により同時に滅菌を兼ねることもできる。アニオン性の親水性高分子の例としてはデキストラン硫酸、ポリビニル硫酸などが挙げられ、カチオン性の親水性高分子としてはポリアルキレンイミンなどが挙げられる。
本発明で言うところの多孔質繊維の形態・形状としては、ストレート形状の繊維をそのまま用いても良いし、織物、編物、不織布などに加工することもできる。織物の種類としては、平織、綾織、朱子織、ななこ織、急斜文織、よこ二重織、たて二重織などである。編物の種類としては、緯編地である平編、鹿の子編、リブ編、両面編などである。不織布の種類としては、短繊維不織布、長繊維不織布、フラッシュ紡糸法による不織布、メルトブロー法による不織布などとなる。これらの中では、編物が特に好ましい。この理由としては、繊維屑が発生しにくいことや空隙のサイズにばらつきができにくく一定に制御しやすいためである。しかし、これら織物、編物、不織布は、繊維に吸着孔を設けるための多孔質化を施すことが製造上困難であり、また、高次加工する際に物理的・化学的な処理によって細孔が潰れる、破壊されるなどの影響が少なくないことから、生産時の工程が複雑化するなどのデメリットがある。さらに、被処理液が多くの溶質を含み、かつ粘性が高い場合には、カラムの圧力上昇などを招き易いため、比較的好ましいとはいえない。
一方、ストレート形状のものは、カラムケースの両側開口部を結ぶ軸方向に対して略平行に挿入しやすく、また、被処理液の流路を吸着材とは別に確保できるため、流路抵抗の抑制や被処理液中の溶質の付着などに関して有利であるため好ましい。
尚、本発明のおけるストレート形状の多孔質繊維としてはクリンプ等の捲縮がかかっていても良いが、先述の通り、クリンプをかける際には、糸切れが発生したり、応力や熱が加わることで繊維の細孔構造が破壊される懸念があるため好ましくない。
本発明で言うところのクリンプとは、繊維に付与された周期的な波状またはそれに類する形状のものであって、繊維を鉛直に自然に垂らした程度で周期性のある波状の形態を保持するものを言う。
紡糸した多孔質繊維を集束する手法としては、一度カセに巻き取りその後に目的の形状に加工する方法や、繊維をそのまま加工装置へ導入する方法がある。本発明に係る多孔質繊維を用いることで繊維の分散性を向上させることが可能であるが、カセで巻き取った後の繊維束の取り扱い性を向上させるため、すなわち繊維束の繊維同士が静電気などによって反発しまとまりがなくなるのを防ぐために、繊維束をフィルムやネット、メッシュ、不織布などで巻込んでも良く、繊維にカバリング糸と呼ばれるようなスペーサーとなる糸を巻きつけても良い。
本発明における多孔質繊維は、処理液の流入口と流出口をもつケーシングに内蔵することで浄化カラムとして用いることができる。
ケーシングの形状としては、両端が開放端であり、例えば四角筒体、六角筒体等の角筒体や円筒体が挙げられ、中でも円筒体、特に断面が真円状の筒体が好ましい。これはケーシングが角をもたないことで、角部での血液の滞留を抑制できるためである。また、両側を開放端とすることで、処理液の流れが乱流になりにくく圧力損失を最小限に抑えることができる。また、ケーシングはプラスチックや金属等により構成される器具であることが好ましい。
ケーシングの材質には、コストや成型性、重量、血液適合性などの観点からプラスチックが好適に用いられる。プラスチックの場合は、例えば機械的強度、熱安定性に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でもケーシングに求められる成形性、放射線耐性の点においてポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびそれらの誘導体が好ましい。特に、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの透明性に優れた樹脂は、たとえば血液などの灌流時に内部の様子を確認できるため安全性の確保に好都合であり、放射線耐性に優れる樹脂は滅菌時に放射性照射する場合に好ましいためである。樹脂は、金型による射出成形や、素材を切削加工することにより製作される。
浄化カラムの端部封止方法としては、メッシュを配置する方法や、樹脂で固定して隔壁を貫通しケーシング内外を連通する貫通孔を設ける手法もある。ここで、貫通孔とは、隔壁部の両側開口部を結ぶ軸方向に貫通している開口部のことである。すなわち、隔壁部に存在してこれを貫通するものであり、ケーシングの内部と外部を連通する孔のことである。この中でも、メッシュを配置する方法は、隔壁を形成する手法に比べて工程が容易であり、またカラム内への液の分散性も高いためより好ましい。また、カラム内の被処理液の分散性をさらに高める目的で、メッシュの一部により圧力損失の大きいメッシュや、邪魔板あるいは整流板と呼ばれるような流れを制御する板を付与してもよい。
カラムに内蔵する際の多孔質繊維の形状としては上述の通りストレート形状が好ましく、ストレート形状の繊維束をカラムケースの両側開口部を結ぶ軸方向に対して略平行に挿入することが好ましい。ストレート形状の繊維束は、被処理液の流路を確保しやすいため、カラム内に被処理液を均等に分配しやすい。また、流路抵抗の抑制ができ、被処理液中の溶質の付着などによる圧力損失の増大に対しても有利である。そのため、粘性の高い血液を被処理液とした場合においても、ケーシング内での凝固などのリスクを小さく抑えられる。
カラム内に挿入するストレート形状の多孔質繊維の本数としては1000本〜500000本が好ましい。
本発明においては、ケーシングに対する多孔質繊維の充填率の制御が重要である。すなわち、充填率は、高すぎると繊維同士の密着抑制が困難となり、またケースへの挿入性も悪化する。一方で、低すぎるとケース内の繊維が偏ってしまい、カラム内の流れにムラができやすくなる。またカラムの吸着効率も低下する。そのため、充填率の上限としては70%以下が好ましく、より好ましくは65%以下、特に好ましくは62%以下である。充填率の下限としては30%以上が好ましく、より好ましくは45%以上、特に好ましくは52%以上である。
充填率とは、ケーシングの断面積と長さから計算されるケーシング体積(Vc)と個々の繊維断面積およびケーシング長、繊維本数から計算される繊維体積(Vf)の比率であり、以下の(4)〜(6)式から求められる。
Vc=ケーシング胴部の断面積×繊維の有効長 (4)
Vf=繊維断面積×繊維本数×繊維の有効長 (5)
Vf/Vc×100(%) (6)
なお、ケーシング胴部の断面積については、ケーシングにテーパーがある場合は、ケーシング中央における断面積とする。
また、ここでいうVcは、繊維を含まない部材、例えばヘッダー、ヘッダーキャップと呼ばれるような、通常は繊維が直接充填されることのない被処理液の出入口ポートとなる部材についての体積は含まないものとする。
Vfについては、ケース内で繊維同士の密着を防ぐためのスペーサー繊維などを用いる場合には、その体積も含むものである。
繊維の有効長とは、ケーシング長から隔壁の長さを減じた長さを指すものであり、かかる繊維の有効長の上限としては、用途に応じて変わり得るものではあるが、繊維が湾曲してしまう、カラム化した際に圧力損失が増大する等の観点から、5000mm以下が好ましく、より好ましくは500mm以下、特に好ましくは210mm以下となる。また、短すぎると、繊維の長さを揃えるためにカラムから飛び出た余分な繊維をカットする際などに廃棄する繊維の量が増し、生産性が低下するため好ましくない。また、繊維の取り扱いが困難になるなどの欠点がある。そのため、繊維の有効長の下限としては、5mm以上が好ましく、より好ましくは20mm以上、特に好ましくは30mm以上となる。
繊維の有効長の測定方法としては、クリンプ等の捲縮がかかった繊維の場合、繊維両端を伸ばしたストレートな形状の状態で繊維長さを測定する。具体的には、カラムから取り出した繊維の一片をテープ等で固定し、垂直に下げ、もう一片には、繊維の断面積(mm2)当たり5g程度のおもりを付与し、繊維が直線状になった際の全長を速やかに測定する。この測定をカラム内の繊維の任意に選んだ100本の繊維について行い、100本の平均値をmm単位で算出し、小数点以下第1位を四捨五入する。
また本発明における多孔質繊維を繊維束として用いる場合、繊維間の密着を抑制する観点から、本発明における多孔質繊維を束内に多く含むことが好ましい。他の繊維と混繊することもできるが、本発明の多孔質繊維は単独でも繊維の密着を抑制することが可能である。混繊する場合には、工程が複雑になるため好ましくない。混繊する手法としては紡糸の口金部で混繊させる方法、後工程で混繊させる手法が挙げられる。口金部で混繊させる場合には、紡糸性が異なる繊維を同時に紡糸することになり、口金の配置や冷却工程で制約が多くなる。また後工程で混繊させる場合には、繊維の分散性が低くムラができ易いために品質にばらつきがでやすい。繊維束内における本発明の繊維の割合としては、好ましくは51%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、さらにより好ましくは80%以上、特に好ましくは95%以上となる。このようにして得られた繊維束は、高い吸着性能を有する吸着材料として好適に用いることができる。
また本発明におけるストレート形状の繊維束は、嵩高いことが好ましい。束として嵩高くなることはすなわち、繊維間の密着が少ないことを意味する。
嵩高さの指標としては、以下の式で表される嵩高指数Viであり、Viは好ましくは1.30以上であり、より好ましくは1.40以上、さらに好ましくは1.50以上、特に好ましくは1.60以上となる。嵩高指数Viは以下の(7)式で表される。
Vi=Rb/2(Sb*π)1/2 (7)
ここで、Rb、Sbは、それぞれストレート形状の繊維50本を引き揃えたときの外周長、繊維50本の横断面積の総和、である。
Rbの測定方法としては、オンラインの巻取り工程において、繊維1本あたり2gの張力で6角カセに巻きとる。50本巻き取った後、カセに巻かれた状態を維持しつつ、束に長さ20cmで3g程度のおもりをつけた釣り糸を1周巻き付ける。巻き付け後、おもりが垂直に垂れ下がる状態で釣り糸の巻き始めの位置と1周の巻き終わりの位置が重なる箇所をマーキングし、該マーキング間の距離を測定し、これを外周長Rbとする。Sbは、先述した、繊維の円相当直径から求められる繊維横断面積を50本分足し合わせることで得られる。
本発明における多孔質繊維、およびそれを内蔵した浄化カラムの使用用途は多種多様であり、水処理、精製、医療などの用途として用いることができる。中でも、医療用途の場合、処理方法には全血を直接灌流する方法と、血液から血漿もしくは血清を分離した後に血漿もしくは血清をカラムに通す方法とがあるが、本発明の浄化カラムはいずれの方法にも用いることができる。
また、医療機器として体外循環に用いる場合、1回の処理量や操作の簡便性などの観点から、体外循環回路に組み込み、オンラインで吸着除去を行う手法が好ましい。この場合、本発明の浄化カラムを単独で用いても良いし、透析時などに人工腎臓と直列に繋いで用いることもできる。このような手法を用いることで、透析と同時に人工腎臓のみでは除去が不十分である物質を除去することができる。特に人工腎臓では除去が困難な大分子量物質を、本発明に係る浄化カラムを用いて吸着除去することで人工腎臓の機能を補完できる。 また、人工腎臓と同時に用いる場合には、回路内において、人工腎臓の前に接続しても良いし人工腎臓の後に接続しても良い。人工腎臓の前に接続するメリットとしては、人工腎臓による透析の影響を受けにくいため、浄化カラムの本来の性能を発揮し易いことがある。一方で人工腎臓の後に接続するメリットとしては、人工腎臓で除水を行った後の血液を処理するため、溶質濃度が高く、吸着除去効率の増加が期待できる。
以下に本発明に係る多孔質繊維およびそれを内蔵した浄化カラムの作成例について説明する。
[多孔質繊維の作製]
ポリマーを溶媒に溶かした紡糸原液を調整する。このとき原液濃度(原液中の溶媒を除いた物質の濃度)が低い程、繊維の細孔径を大きくすることが出来ることから、原液濃度の適宜設定により、細孔径のコントロールが可能となる。この他、陰性荷電基を有するポリマーを用いることで細孔径のコントロールが可能である。かかる観点から、本発明において好ましい原液濃度は30質量%以下であり、より好ましくは27質量%以下、さらに好ましくは24質量%以下である。このような原液を口金から吐出させ、一定距離の乾式空中部分を通過した後に、水などの貧溶媒もしくは非溶媒を含む凝固浴に吐出して凝固させることにより、多孔質繊維が得られる。口金としては、例えば図2に示すような回転非対称形状の吐出口をもつ口金を用いる。口金から吐出した原液は、一定距離の乾式空中部分に通した後に、水などの貧溶媒もしくは非溶媒から成る凝固浴に吐出することにより得られる。上記観点から、乾式部での繊維の通過(滞留)時間の下限は上述した通りとなる。
また、吐出糸の温度が乾式部において低下してゲル化や凝固するなど速やかに構造固定化される場合には、乾式部分において冷風を吹き付け、ゲル化を促進させることができる。
また、詳細なメカニズムは定かではないが冷風速度を上げて冷却効率を上げることで、細孔径を拡大させることができる。
上記の通り、口金から吐出された紡糸原液は凝固浴にて凝固されるが、凝固浴は通常、水やアルコールなどの凝固剤、または紡糸原液を構成している溶媒との混合物からなる。通常は水を用いることが多い。
また、凝固浴の温度をコントロールすることにより、細孔径を変化させることができる。
細孔径は紡糸原液の種類等によって影響を受け得るために、凝固浴の温度も適宜選択されるものであるが、一般に凝固浴温度を高くすることにより、細孔径を高くすることが出来る。この機序は正確には明らかではないが、原液からの脱溶媒と凝固収縮との競争反応で、高温浴では脱溶媒が速く、繊維内部が収縮する前に凝固固定されるからではないかと考えられる。
しかしながら、凝固浴温度が高くなりすぎると、細孔径が過大になるため、細孔比表面積の低下、強伸度の低下、非特異的な吸着などが増大する、などの影響が考えられる。そのため例えば、繊維がPMMAを含む場合の凝固浴温度は90℃以下が好ましく、より好ましくは75℃以下、特に好ましくは65℃以下である。一方で、低すぎる場合、細孔径が縮小し、タンパク質が細孔内部に拡散しにくくなる。そのため下限としては12℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。
次いで、凝固した多孔質繊維に付着している溶媒を洗浄する工程を通過させる。繊維を洗浄する手段は特に限定されないが、多段の水を張った浴(水洗浴という)中に繊維を通過させる方法が好んで用いられる。水洗浴中の水の温度は、繊維を構成する重合体の性質に応じて決めればよい。例えばPMMAを含む繊維である場合、30〜50℃が採用される。
また、水洗浴の後に細孔を保持するために、多孔質繊維に保湿成分を付与する工程を入れても良い。ここでいう保湿成分とは、繊維の湿度を保つことが可能な成分、または、空気中にて繊維の湿度低下を防止することが可能な成分をいう。保湿成分の代表例としてはグリセリンやその水溶液などがある。
水洗や保湿成分付与の終わった後、収縮性の高い多孔質繊維の寸法安定性を高めるため、加熱した保湿成分の水溶液が満たされた浴(熱処理浴という)の工程を通過させることも可能である。熱処理浴には加熱した保湿成分の水溶液が満たされており、繊維がこの熱処理浴を通過することで、熱的な作用を受けて、収縮し、以後の工程で収縮しにくくなり、繊維構造を安定させることが出来る。このときの熱処理温度は、繊維素材によって異なるが、PMMAを含む繊維の場合には50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。また、95℃以下が好ましく、87℃以下がより好ましい温度として設定される。
紡糸した多孔質繊維は、上述の通りカセで巻き取って繊維束とすることができる。カセは、6角形などの多角形状とすることで、繊維の乱れが少ないストレート形状の繊維束となる。
[浄化カラムの作製]
得られた繊維束を用いて浄化カラムとする手段の一例を示すと次の通りである。
まず、繊維束を必要な長さに切断し、浄化カラムの筒部分となるケーシングに繊維束がケース軸方向にストレート形状になるように入れる。その後、繊維束の両端をカッター等で繊維束がケーシング内に収まるよう切断し、カラム両側端面の被処理液の流出入口に、内径と同じ径にカットしたメッシュフィルタを装着する。最後にケーシングの両端にヘッダーキャップと呼ばれる被処理液の入口ポート、出口ポートを取り付けて浄化カラムを得ることができる。
また、医療用具等、すなわち医療用吸着カラムとして用いる際には殺菌又は滅菌して用いることが好ましい。殺菌、滅菌方法としては、種々の殺菌・滅菌方法、例えば、高圧蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、電子線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、薬剤殺菌、紫外線殺菌などが例示できる。これらの方法のうち、ガンマ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌は、滅菌効率と材料に与える影響が少なく好ましい。なお、本明細書において上記した数値範囲で規定される全ての各項目については、各項目における上限、好ましい上限、より好ましい上限等のいずれかの数値と、下限、好ましい下限、より好ましい下限等のいずれかの数値とを組み合わせたいずれの数値範囲であってもよい。
[実施例1]
<多孔質繊維の作製>
質量平均分子量が40万のsyn−PMMAを31.7質量部、質量平均分子量が140万のsyn−PMMAを31.7質量部、質量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.7質量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む分子量30万のPMMA共重合体20質量部をジメチルスルホキシド376質量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液の110℃での粘度は1240poiseであった。
92℃に保温された図2に示す形状であり表1に示す寸法の吐出口をもつ口金から紡糸原液を各口金1.0g/minの速度で通過させて空気中に吐出し、空中部分を500mm走行させた後、凝固浴に導き、浴内を通過させて、中実形状の多孔質繊維を得た。凝固浴には水を用いており、水温(凝固浴温度)は42℃であった。
多孔質繊維を水洗後、保湿剤としてグリセリンを70質量%含む水溶液から成る浴槽に導いた後、温度を84℃とした熱処理浴内を通過させて余分のグリセリンを除去した後に16m/minで六角形のカセで4545本を巻き取り、繊維束を得た。
得られた多孔質繊維について、外接円占有度、異形度、円相当直径、細孔比表面積、細孔径分布指数、中心部領域に対する外表面近傍領域の平均孔径の比率、繊維束の嵩高指数を測定した。
結果を表1に示した。
<カラムの作製>
得られた繊維束を、内径10mm、軸方向長さ18mmのポリカーボネート製円筒状ケーシング内に、多孔質繊維の充填率が55%となるようにストレート形状で内蔵した。
次にこのケーシングの両側端面の被処理液の流出入口に、ケーシング内径と同等の径にカットした目開き相当直径84μm、開口率36%のポリプロピレン製メッシュフィルタを装着した。最後に、ケーシング端部には被処理液の流入口、流出口をもつヘッダーと呼ばれるキャップをとりつけた。
カラムの吸着性能測定の結果を表1に示した。
<カラムの吸着性能測定>
カラムの吸着性能評価として、β2−MGのクリアランスを測定した。
アジ化ナトリウムを添加した牛血液から、遠心分離によって血漿を得た。該血漿について、ヘマトクリットが30±3%、総タンパク量が6.5±0.5g/dLとなるように調整した。尚、ウシ血漿は、採血後5日以内のものを用いた。
次に、ウシ血漿β2−MG濃度が1mg/lになるように加え、撹拌した。かかる牛血漿について、その35mLを循環用に、40mLをクリアランス測定用として分けた。
回路を図5のようにセットした。回路のうち、被処理液を取り込む入り口部をBi、浄化カラム通液後の液出口部をBoとした。 Biを上記で調整した牛血漿35mL(37℃)の入った循環用ビーカー内に入れ、流速を3.5mL/minとしてポンプをスタートし、Boから最初に排出される液体90秒間分を廃棄後、ただちにBoを循環用ビーカー内に入れて循環状態とした。循環を1時間行った後ポンプを停止した。
次に、Biを上記で調整したクリアランス測定用の牛血漿内に入れ、Boを廃棄用ビーカー内に入れた。
流速は3.5mL/minとして、ポンプをスタートしてから2分経過後、クリアランス測定用の牛血漿(37℃)からサンプルを1ml採取し、Bi液とした。スタートから4分30秒経過後に、Boから流れたサンプルを1ml採取し、Bo液とした。これらのサンプルは−20℃以下の冷凍庫で保存した。 各液のβ2−MGの濃度からクリアランスを下記式(8)によって算出した。牛血液のロットによって測定値が異なる場合があるので、実施例、比較例には全て同一ロットの牛血漿を使用した。
Co(ml/min)=(CBi−CBo)×QB/CBi (8)
上式において、CO=β2−MGクリアランス(ml/min)、CBi=Bi液におけるβ2−MG濃度、CBo=Bo液におけるβ2−MG濃度、QB=Biポンプ流量(ml/min)である。
また表面積当りの吸着性能を求めるため、以下の式(9)からKoを算出した。
Ko(cm/min)=QB/A×ln[QB/(QB―Co)] (9)
上式において、Ko=β2−MGの総括物質移動係数(cm/min)、Aは繊維の総表面積(cm2)である。
[実施例2]
図2および表1の実施例2に示す形状・寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維・カラムを作製した。
結果を表1に示す。
[実施例3]
図3および表1の実施例3に示す形状・寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維・カラムを作製した。
結果を表1に示す。
[実施例4]
図4および表1の実施例3に示す形状・寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維・カラムを作製した。
結果を表1に示す。
[比較例1]
図3および表1の比較例1に示す形状・寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維・カラムを作製した。
結果を表1に示す。
実施例1〜4は、比較例1に比べて、繊維束の嵩高指数が高く、カラムの吸着性能Co、Koも高かった。これは、断面形状を非回転対称形であり、また外接円占有度が低く、異形度が高い形状であったため繊維同士の密着が抑制され、被処理液を接触させた際の表面積のロスが少なかったと考えられる。尚、繊維の細孔形状については、細孔比表面積、細孔径分布指数、中心部領域に対する外表面近傍領域の平均孔径の比率の結果から、両者とも同等であることが示唆された。