ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)充電施設案内システムの構成:
(2)充電施設案内処理:
(3)他の実施形態:
(1)充電施設案内システムの構成:
図1は、本発明にかかる充電施設案内システム10の構成を示すブロック図である。充電施設案内システム10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUやRAMやROM等を備えたコンピュータである。制御部20は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。本実施形態において、制御部20は、記録媒体30に記録された充電施設案内プログラム21を実行する。
充電施設案内システム10は電気自動車に搭載された車載器である。充電施設案内システム10が搭載された電気自動車は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とバッテリECU(Electronic Control Unit)44とユーザIF部45とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して電気自動車の現在地を算出するための信号を出力する。車速センサ42は、電気自動車が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。
ジャイロセンサ43は、電気自動車の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、電気自動車の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して電気自動車の進行方向を取得する。制御部20は、車速センサ42およびジャイロセンサ43等の出力信号に基づいて電気自動車の走行軌跡を特定することで電気自動車の現在地を取得する。GPS受信部41の出力信号は、車速センサ42およびジャイロセンサ43等から特定される電気自動車の現在地を補正するなどのために利用される。
バッテリECU44は、電気自動車が備えているバッテリ(不図示)の充電と放電とを管理するコンピュータであり、現在のバッテリ残電力量を示すデータを制御部20に送信する。バッテリの電力は、電気自動車の駆動輪を回転させるための動力を発生させるモータに供給される。本明細書において、電気自動車の電源がONであるとは、バッテリの電力によってモータが駆動可能な状態となっていることを意味する。また、電気自動車の電源をONとすることにより、バッテリの電力が充電施設案内システム10に供給され、当該充電施設案内システム10の電源もONとなることとする。
本実施形態のユーザIF部45は、タッチパネルディスプレイである。タッチパネルディスプレイは、制御部20から出力される映像信号に基づいて各種画像を表示するディスプレイと、当該ディスプレイ上における指等の接触状態を示す操作信号を制御部20に出力するタッチパネルとを含む。ユーザIF部45は、出力部と入力部とを含んでいればよく、必ずしもタッチパネルディスプレイでなくてもよい。また、ユーザIF部45は、本発明の案内部である。
記録媒体30には、地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、電気自動車が走行する道路上の交差点に設定されたノードの位置を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路の周辺に存在する施設を示す施設データ等を含んでいる。リンクデータは、各リンクについて探索コストを示す。探索コストは、走行予定経路の探索に使用する指標値であり、例えばリンクの長さや旅行時間の長さが長いほど大きい値となっている。施設データが示す施設には、電気自動車が充電可能な充電施設が含まれる。
記録媒体30には、経路情報30bが記録されている。経路情報30bは、走行予定経路を構成する一連のリンクを示すデータである。走行予定経路は、出発地から最終目的地までを接続する一連のリンクによって構成される。
充電施設案内プログラム21は、待機判定モジュール21aと経路変更モジュール21bと案内制御モジュール21cとを含む。待機判定モジュール21aと経路変更モジュール21bと案内制御モジュール21cとを実行する制御部20は、本発明の待機判定部と経路変更部と案内制御部とを構成する。
案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、走行予定経路を案内部に案内させる。案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、出発地から最終目的地までを接続する走行予定経路を探索する。例えば、制御部20は、ダイクストラ法等の公知の手法を用いて、走行予定経路を構成するリンクの探索コストの合計値が最小となるように走行予定経路を探索する。出発地は、ユーザIF部45に対する操作に基づいて設定されてもよいし、電気自動車の現在地であってもよい。最終目的地は、ユーザIF部45に対する操作に基づいて設定され、例えば施設データが示す施設のなかから選択されてもよい。なお、最終目的地だけでなく経由目的地がユーザIF部45に対する操作に基づいて設定されてもよい。この場合、制御部20は、出発地と1個以上の経由目的地と最終目的地とを順に接続する走行予定経路を探索する。
案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、走行予定経路上の案内交差点を抽出し、当該案内交差点における車両の進行方向等をユーザIF部45にて案内する。案内交差点とは、走行予定経路上の交差点のうち、例えば車両の進行方向が基準角(例えば15度)以上変化する交差点であってもよい。
さらに、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、走行予定経路上の次の目的地を案内対象の目的地として取得し、当該案内対象の目的地についての案内を行う。例えば、制御部20は、走行予定経路上における案内対象の目的地までの残距離や、当該案内対象の目的地の到着予定時刻や、案内対象の目的地の名称等を案内してもよい。ここで、走行予定経路上の次の目的地とは、走行予定経路上において電気自動車が次に接近する予定の目的地であって、電気自動車が未接近の目的地である。本実施形態において、制御部20は、走行予定経路上の目的地と電気自動車との距離が接近距離(例えば50m)以下となった場合に、当該目的地に電気自動車が接近したと判定する。案内対象の経由目的地に電気自動車が接近した場合、当該経由目的地の次の目的地(経由目的地または最終目的地)が案内対象の目的地として切り替えられることとなる。
経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、走行予定経路の案内が行われている期間において、電気自動車のバッテリ残電力量に基づいて経路変更処理を実行する。経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、バッテリECU44から現在のバッテリ残電力量を取得し、当該バッテリ残電力量分の電力によって電気自動車が最終目的地まで走行可能であるか否かを判定する。
制御部20は、バッテリ残電力量分の電力によって電気自動車が最終目的地まで走行可能であると判定しなかった場合、バッテリ残電力量分の電力によって走行可能な航続可能距離を取得し、現在地からの走行距離が航続可能距離以内となる充電施設のうち、例えば走行予定経路に最も近い充電施設を充電予定施設として設定する。そして、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、充電予定施設を経由目的地として追加し、現在地と、経由目的地としての充電予定施設と、最終目的地と、を接続する最適な経路を変更後の走行予定経路として探索する。そして、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、変更後の走行予定経路を示す経路情報30bを生成し、記録媒体30にて当該経路情報30bを上書きする。以上説明した経路変更処理を実行することにより、変更後の走行予定経路を案内するようにすることができる。
経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、走行予定経路の案内が行われている期間において、原則的に、予め決められた基準期間(例えば5分)が経過するごとに経路変更処理を実行する。これにより、基準期間が経過するごとに現在のバッテリ残電力量に基づいて走行予定経路に充電予定施設を通過するか否かを判定でき、予想外の電力消費等にも対応できる。ただし、走行予定経路上の経由目的地としてすでに設定されている充電予定施設(以下、充電予定施設と表記)の付近に電気自動車が存在する場合、制御部20は、当該充電予定施設における充電の可能性を考慮して、経路変更処理の実行を保留することとしている。
そのために、待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、電気自動車が走行予定経路上の充電予定施設にて待機しているか否かを判定する。充電予定施設にて待機しているとは、充電予定施設にて充電を行うために当該充電予定施設にて待機することを意味する。ここで、電気自動車が走行予定経路上の充電予定施設にて待機している場合として、電気自動車の電源をOFFにして待機する場合と、電気自動車の電源をONのままにして待機する場合とが考えられる。
まず、電気自動車の電源をOFFにして待機する場合について説明する。待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、電気自動車の電源がOFFからONとなった後において電気自動車が充電予定施設から離脱した場合に、電気自動車が充電予定施設にて待機していないと判定する。具体的に、待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、電気自動車の電源がOFFからONとなってからの走行距離が基準距離以上となった場合に、電気自動車が充電予定施設から離脱したと判定する。
すなわち、待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、電気自動車および充電施設案内システム10の電源がOFFからONとなったタイミングからの走行距離を車速センサ42の信号等に基づいて取得する。そして、電源がOFFからONとなったタイミングからの走行距離が基準距離未満である場合、制御部20は、電気自動車が充電予定施設にて待機していると判定する。一方、電源がOFFからONとなったタイミングからの走行距離が基準距離以上である場合、制御部20は、電気自動車が充電予定施設から離脱したとして、電気自動車が充電予定施設にて待機していないと判定する。ここで、基準距離は、予め決められた固定値(例えば100m)に設定されてもよいし、充電予定施設の敷地が大きいほど大きい値に設定されてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
図2Aは、充電予定施設C1にて待機する電気自動車の様子を示す模式図である。白三角の位置Pにて電気自動車の電源がONとなっており、当該位置Pからの走行距離が基準距離U以上であるか否かが判定される。なお、充電予定施設C1は、高速道路のサービスエリアである。充電予定施設C1には2個の充電ブースQが存在するが、いずれも他車両Z(黒三角)が充電中であり、電気自動車は駐車を行った位置Pで待機している。このような状況において、位置Pからの走行距離が基準距離U以上となった場合、電気自動車の運転者は充電予定施設C1での充電を諦めて、充電予定施設C1を離脱し、本線道路R上へと退出したと見なすことができる。
次に、電気自動車の電源をONにしたまま待機する場合について説明する。待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、充電予定施設C1に接近してから電気自動車の電源がONのまま経過した経過期間が基準期間以上となった場合に、電気自動車が充電予定施設にて待機していないと判定する。具体的に、待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、走行予定経路上の充電予定施設C1と電気自動車との距離が接近距離(例えば50m)以下となった場合に、当該充電予定施設C1に電気自動車が接近したと判定する。そして、制御部20は、充電予定施設C1に電気自動車が接近したタイミングからの経過期間を計測し、当該経過期間が基準期間未満であれば場合、電気自動車が充電予定施設C1にて待機していると判定する。一方、充電予定施設C1に電気自動車が接近したタイミングからの経過期間が基準期間以上となった場合、制御部20は、電気自動車が充電予定施設C1にて待機していないと判定する。
図2Bは、充電予定施設C1に接近する電気自動車の模式図である。白三角の位置Bにて電気自動車と充電予定施設C1(例えば敷地の重心)と間の距離が接近距離Fとなり、電気自動車が充電予定施設C1に接近したと判定されている。このような状況において、電気自動車が充電予定施設C1に接近してから電源がONのまま経過した経過期間が基準期間以上となった場合、電気自動車の運転者は充電予定施設C1での充電を行う意思がなく、充電予定施設C1を通過したと見なすことができる。基準期間は、予め決められた固定値(例えば5分)であってもよいし、充電予定施設C1の敷地が大きいほど長い期間に設定されてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、電気自動車が充電予定施設C1にて待機していない場合に、電気自動車のバッテリ残電力量に基づいて充電予定施設C1とは異なる充電施設を経由するように走行予定経路を変更する経路変更処理を実行し、電気自動車が充電予定施設にて待機している場合に、経路変更処理を実行しない。すなわち、図2Aのように、電気自動車の電源がONとなった位置Pからの走行距離が基準距離U未満である場合、制御部20は、電気自動車が充電予定施設C1にて待機をしているとして経路変更処理を実行しない。つまり、電気自動車の電源がONとなった位置Pからの走行距離が基準距離U以上となるまでは、経路変更処理の実行が保留される。
また、図2Bのように、電気自動車が充電予定施設C1に接近してから電源がONのまま経過した経過期間が基準期間未満である場合、制御部20は、電気自動車が充電予定施設C1にて待機をしているとして経路変更処理を実行しない。つまり、電気自動車が充電予定施設C1に接近してからの経過期間が基準期間以上となるまでは、経路変更処理の実行が保留される。
電気自動車の電源がONとなった位置Pからの走行距離が基準距離U以上となった場合、および、電気自動車が充電予定施設C1に接近してからの経過期間が基準期間以上となった場合、制御部20は、経路変更処理を実行する。すなわち、制御部20は、経路変更処理を実行する時点でのバッテリ残電力量分の電力によって最終目的地または次の充電予定施設まで走行可能であるか否かを判定し、最終目的地または次の充電予定施設まで走行可能でない場合には、現在地から航続可能距離内に存在する他の充電施設を経由するように走行予定経路を変更する。充電予定施設C1にて充電が行われていれば、充電施設を経由するように走行予定経路を変更される可能性は低くなる。一方、充電予定施設C1にて充電が行われていなければ、充電施設を経由するように走行予定経路を変更される可能性は高くなる。
案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、電気自動車が充電予定施設C1に接近した段階で、案内対象の目的地を充電予定施設C1から走行予定経路上の次の目的地へと切り替える。上述したように、図2Bのように、電気自動車が充電予定施設C1に接近しても、充電予定施設C1に接近してからの経過期間が基準期間以上となるまでは経路変更処理の実行が保留される。しかし、経路変更処理の実行が保留されている期間においても、案内対象の目的地が充電予定施設C1から走行予定経路上の次の目的地へと切り替えられる。
ここで、図2Aに示すように、充電予定施設C1の充電ブースQが他車両Zによって使用されている場合において、当該充電ブースQが空くまで充電予定施設C1で待機する場合がある。電気自動車が充電予定施設C1にて待機している場合には、充電予定施設C1にてバッテリ残電力量が増加する可能性が高いため、現時点のバッテリ残電力量に基づいて経路変更処理を実行しない。一方、電気自動車が充電予定施設C1にて待機していない場合には、充電予定施設C1にてバッテリ残電力量が増加する可能性が低いため、現時点のバッテリ残電力量に基づいて経路変更処理を実行する。このように、ユーザが充電予定施設C1で充電しようと待機している段階では、充電施設を経由するように走行予定経路を変更しないようにすることができる。すなわち、ユーザが充電予定施設C1で充電をしようとしているのに、ユーザの意図に反して充電施設を経由するように走行予定経路が変更される可能性を低減できる。
図2Aに示すように、充電予定施設C1の充電ブースQが他車両Zによって使用されている場合等において、ユーザが電気自動車の電源を一旦OFFにして、当該充電ブースが空くまで充電予定施設C1内の駐車スペースで待機する可能性がある。この状況で、充電ブースQが空いた場合には、電気自動車の電源がOFFからONとなり、図2Aの軌跡L1(一点鎖線)のように駐車スペースから充電ブースQまで電気自動車が走行することとなる。すなわち、電気自動車が走行していても、まだユーザが充電予定施設C1での充電を意図していると判断できる。ただし、電気自動車の電源がOFFからONとなった後において充電予定施設C1から離脱した場合には、もはや駐車スペースから充電ブースまでの走行をしているのではなく、充電予定施設外の地点へ向けて走行していると判断できる。すなわち、ユーザが充電予定施設C1での充電を意図しておらず、充電予定施設C1にて待機していないと判定できる。具体的に、電源がONとなった位置Pから、ある程度長い距離(基準距離U)を走行した場合に、駐車スペースから充電ブースQへと走行しているのではなく、充電予定施設C1外を走行していると判断できる。
また、充電ブースQが空いていない場合に充電予定施設C1にて駐車スペース等を探すために、しばらく電源がONのまま電気自動車が走行する場合もあり得る。すなわち、充電予定施設に接近してから継続して電気自動車が走行している場合でも、充電予定施設にて充電ブースQが空くまで待機する可能性がある。ただし、充電予定施設に接近してからある程度の期間が経過しても電源がOFFとならない場合には、もはや駐車スペースや充電ブースQを探しているのではなく、図2Bの軌跡L2(二点鎖線)のように充電予定施設C1外の地点へ向けて走行していると判断できる。すなわち、ユーザが充電予定施設C1での充電を意図しておらず、充電予定施設C1にて待機していないと判定できる。
上述したように、電気自動車が充電予定施設C1に接近してからの経過期間が閾値未満である段階では、充電予定施設C1とは異なる充電施設を経由するように走行予定経路を変更する経路変更処理が実行されない。この段階で、充電予定施設C1を案内対象の目的地として案内し続けるのではなく、次の目的地を案内対象として案内することにより、充電予定施設C1に到着したことをユーザに認識させ、次の目的地をユーザに認識させることができる。例えば、ユーザは、次の目的地を考慮して、充電予定施設C1での充電の必要性を判断できる。
(2)充電施設案内処理:
次に、充電施設案内処理を詳細に説明する。図3は、充電施設案内処理を示すフローチャートである。充電施設案内処理は、電気自動車の電源がOFFからONに切り替わった場合に開始される処理である。まず、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、案内中の走行予定経路があるか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、記録媒体30に経路情報30bが記録され、かつ、当該経路情報30bが示す走行予定経路が案内中であるか否かを判定する。なお、走行予定経路が案内中であるとは、走行予定経路が案内中の状態のまま電気自動車の電源がOFFとなり、その後、電気自動車の電源がONとなったことを意味する。
案内中の走行予定経路があると判定しなかった場合(ステップS100:N)、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、経路案内をするか否かを判定する(ステップS105)。例えば、制御部20は、ユーザから最終目的地の設定操作を受け付けた場合に、経路案内をすると判定する。経路案内をすると判定しなかった場合(ステップS105:N)、制御部20は、充電施設案内処理を終了する。
一方、経路案内をすると判定した場合(ステップS105:Y)、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、走行予定経路を探索する(ステップS110)。すなわち、ステップS105にて設定された最終目的地までの最適な経路を走行予定経路として探索する。次に、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、走行予定経路の案内を開始する(ステップS115)。
一方、案内中の走行予定経路があると判定した場合(ステップS100:Y)、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、走行予定経路の案内を再開する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、記録媒体30に記録されている経路情報30bに基づいて走行予定経路の案内を行う。
次に、待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、電気自動車が基準距離U以上走行したか否かを判定する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、電気自動車の電源がOFFからONとなった位置P(図2A)からの走行距離を取得し、当該走行距離が基準距離U以上であるか否かを判定する。電気自動車が基準距離U以上走行したと判定した場合(ステップS125:Y)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、経路変更処理(ステップS200)を実行する。経路変更処理の詳細については後述する。
一方、電気自動車が基準距離U以上走行したと判定しなかった場合(ステップS125:N)、制御部20は、ステップS125に戻る。すなわち、電気自動車の電源がOFFからONとなった位置Pからの走行距離が基準距離Uとなるまでは、経路変更処理の実行が保留される。つまり、ユーザが充電のために電予定施設にて待機している可能性がある段階では、経路変更処理の実行が保留される。なお、制御部20は、電気自動車の電源がOFFからONとなった位置Pが充電予定施設であるか否かに拘わらず、位置Pからの走行距離が基準距離Uとなるまでは経路変更処理の実行が保留してもよい。むろん、制御部20は、電気自動車の電源がOFFからONとなった位置Pが充電予定施設でない場合、即座に経路変更処理を実行してもよい。
図4Aは、経路変更処理のフローチャートである。まず、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、バッテリ残電力量を取得する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、現在のバッテリ残電力量をバッテリECU44から取得する。次に、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、最終目的地または次の充電予定施設まで走行可能であるか否かを判定する(ステップS220)。すなわち、制御部20、バッテリ残電力量に基づいて航続可能距離を取得し、走行予定経路上における現在地から最終目的地または次の充電予定施設までの距離が当該航続可能距離内である場合に、最終目的地または次の充電予定施設まで走行可能であると判定する。
最終目的地または次の充電予定施設まで走行可能であると判定した場合(ステップS220:Y)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、経路変更処理を終了する。すなわち、走行予定経路を変更する必要がないとして、経路変更処理を終了する。一方、最終目的地または次の充電予定施設まで走行可能であると判定しなかった場合(ステップS220:N)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、警告表示を行う(ステップS230)。例えば、制御部20は、このままではバッテリ残電力量が足りないため追加の充電施設を経由する必要があることを示すメッセージをユーザIF部45にて表示させる。
次に、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、充電予定施設を探索する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、現在地からの走行距離が航続可能距離以内となる充電施設のうち、例えば走行予定経路に最も近い充電施設を充電予定施設として探索する。最後に、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、探索した充電予定施設と、もとの目的地(経由目的地、最終目的地)を接続する走行予定経路を変更する。そして、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、変更後の走行予定経路を示す経路情報30bを生成し、記録媒体30にて当該経路情報30bを上書きする。
ここで、図3の充電施設案内処理の説明に戻る。ステップS200にて経路変更処理を行った場合、または、ステップS115にて走行予定経路の案内を開始した場合、制御部20は、タイマをリセットする(ステップS130)。タイマとは、充電施設案内処理の実行後の経過期間を計測するためのタイマであり、当該経過期間が基準期間となった場合に経路変更処理が実行されることとなる。
次に、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、経路案内が終了したか否かを判定する(ステップS135)。例えば、最終目的地に到着した場合や、経路案内を中止する操作を受け付けた場合に、制御部20は、経路案内が終了したと判定する。経路案内が終了したと判定した場合(ステップS135:Y)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、充電施設案内処理を終了する。
一方、経路案内が終了したと判定しなかった場合(ステップS135:N)、待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、走行予定経路上の次の経由目的地に接近したか否かを判定する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、電気自動車の現在地から走行予定経路上の次の経由目的地までの距離を取得し、当該距離が接近距離F(図2B)以下となったか否かを判定する。
走行予定経路上の次の経由目的地に接近したと判定しなかった場合(ステップS140:N)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、基準期間が経過したか否かを判定する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、タイマをリセットしたタイミングからの経過期間が基準期間以上となったか否かを判定する。
基準期間が経過したと判定しなかった場合(ステップS145:N)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、ステップS135に戻る。一方、基準期間が経過したと判定した場合(ステップS145:Y)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、ステップS200に戻って経路変更処理を実行する。以上の処理(ステップS135〜S145)を実行することにより、電気自動車が走行予定経路上の次の経由目的地に接近しない限り、基準期間が経過するごとに経路変更処理を繰り返して実行できる。
一方、走行予定経路上の次の経由目的地に接近したと判定した場合(ステップS140:Y)、待機判定モジュール21aの機能により制御部20は、接近した経由目的地は充電予定施設であるか否かを判定する(ステップS150)。接近した経由目的地が充電予定施設であると判定しなかった場合(ステップS150:N)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、ステップS200に戻って経路変更処理を実行する。すなわち、接近した経由目的地が充電予定施設でない場合、基準期間が経過するのを待つことなく即座に経路変更処理を実行する。
一方、接近した経由目的地が充電予定施設であると判定した場合(ステップS150:Y)、経路変更モジュール21bの機能により制御部20は、タイマをリセットする(ステップS155)。すなわち、接近した経由目的地が充電予定施設である場合、充電のために当該経由目的地にてユーザが待機している可能性があるとして、タイマをリセットする。これにより、当該充電予定施設への接近のタイミングを始期として経過期間を計測し、当該経過期間が基準期間となる段階でステップS200に戻って経路変更処理を実行するようにすることができる。すなわち、充電予定施設に接近してから電気自動車の電源がONのまま経過した経過期間が基準期間以上となるまで、経路変更処理の実行を保留することができる。
図4Bは、図3のステップS130〜S155,S200の処理のタイミングチャートである。図4Bに示すように、原則的には、経路変更処理の直後のステップS130にてタイマがリセットされるため、基準期間が経過するごとに経路変更処理が繰り返して実行されることとなる。ただし、電気自動車が充電予定施設に接近した場合には、当該接近の直後のステップS155にてタイマがリセットされるため、充電予定施設に接近してから基準期間が経過するまでは経路変更処理の実行を保留できる。
以上説明したように、本実施形態の充電施設案内処理によれば、電気自動車の電源がOFFからONとなった位置Pからの走行距離が基準距離Uとなるまでは、経路変更処理の実行を保留できるとともに(図2A,ステップS125,S200)、充電予定施設に接近してから基準期間が経過するまでは経路変更処理の実行を保留できる(図2B,ステップS130〜S155,S200)。
(3)他の実施形態:
前記実施形態においては、電源がONとなった位置Pが充電予定施設であるか否かに拘わらず、当該位置Pからの走行距離が基準距離U以上となるまでは経路変更処理の実行を保留することとした。しかし、制御部20は、電源がONとなった位置Pが充電予定施設または充電施設である場合に限り、走行距離が基準距離U以上となるまでは経路変更処理の実行を保留してもよい。また、充電予定施設にて待機しているとは、電源がONになってからの経過期間が基準期間未満であることであってもよいし、充電予定施設に接近してからの走行距離が基準距離U未満であることであってもよい。また、経路変更処理は、必ずしも基準期間経過するごとに実行されなくてもよく、走行距離が一定距離となるごとに実行されもよい。
充電施設案内システムは、電気自動車に搭載された車載器であってもよいし、電気自動車の運転者が携帯する携帯端末であってもよいし、充電施設案内するための情報を電気自動車に配信するサーバであってもよい。電気自動車とは、航続可能距離がバッテリ残電力量に応じた距離となる車両であればよく、バッテリへの充電が可能な発電用エンジンを搭載する車両であってもよい。走行予定経路とは、目的地まで走行可能な経路であり、目的地までの走行距離が航続可能距離よりも大きい場合には充電予定施設を経由するように設定される経路である。走行予定経路上の充電予定施設において充電を行わない場合、他の充電施設にて充電を行うことが必要となる。
充電予定施設にて待機しているとは、充電予定施設にて充電を行うことを意図して充電予定施設に滞在していることを意味する。例えば、充電ブースが空いていないために充電ブースの手前や駐車スペースに駐車している場合や当該駐車スペースの空きを探して走行している場合等が含まれる。待機判定部は、車両の状態(位置、電源の状態、パーキンググレーキ、ドアの開閉、車速、加速度、充電プラグキャップの開閉状態等)に基づいて充電予定施設にて待機しているか否かを判定してもよいし、ユーザの操作に基づいて充電予定施設にて待機しているか否かを判定してもよい。
経路変更部は、電気自動車のバッテリ残電力量に基づいて充電予定施設とは異なる充電施設を経由するように走行予定経路を変更する経路変更処理を実行する。すなわち、経路変更部は、電気自動車のバッテリ残電力量に基づいて航続可能距離を推定し、当該航続可能距離が目的地までの走行距離よりも短ければ充電施設を経由するように走行予定経路を変更する。経路変更部は、充電予定施設にて待機しているか否かに応じて経路変更処理を実行するか否かを切り替える。
また、待機判定部は、電気自動車の電源がOFFからONとなった後において電気自動車が充電予定施設から離脱した場合に、電気自動車が充電予定施設にて待機していないと判定してもよい。ここで、充電予定施設の充電ブースが他車両によって使用されている場合等において、ユーザが電気自動車の電源を一旦OFFにして、当該充電ブースが空くまで充電予定施設内の駐車スペースで待機する可能性がある。この状況で、充電ブースが空いた場合には、電気自動車の電源がOFFからONとなり、駐車スペースから充電ブースまで電気自動車が走行することとなる。すなわち、電気自動車が走行していても、まだユーザが充電予定施設での充電を意図していると判断できる。
ただし、電気自動車の電源がOFFからONとなった後において充電予定施設から離脱した場合には、もはや駐車スペースから充電ブースまでの走行をしているのではなく、充電予定施設外の地点へ向けて走行していると判断できる。すなわち、ユーザが充電予定施設での充電を意図しておらず、充電予定施設にて待機していないと判定できる。充電予定施設から離脱するとは、電気自動車の位置が充電予定施設の敷地外となることであってもよいし、充電予定施設に接続するいずれかの道路区間上を電気自動車が走行していることであってもよい。なお、待機判定部は、道路区間上を電気自動車が走行しているか否かを公知のマップマッチングの手法によって判定してもよい。
さらに、待機判定部は、電気自動車の電源がOFFからONとなってからの走行距離が基準距離以上となった場合に、電気自動車が充電予定施設から離脱したと判定してもよい。ある程度長い距離を走行した場合に、駐車スペースから充電ブースへと走行しているのではなく、充電予定施設外の地点へ向けて走行していると判断できる。
さらに、待機判定部は、充電予定施設に接近してから電気自動車の電源がONのまま経過した経過期間が基準期間以上となった場合に、電気自動車が充電予定施設にて待機していないと判定してもよい。ここで、充電ブースが空いていない場合に充電予定施設にて駐車スペースを探すために、しばらく電源がONのまま電気自動車が走行する場合もあり得る。すなわち、充電予定施設に接近してから継続して電気自動車が走行している場合でも、充電予定施設にて充電ブースが空くまで待機する可能性がある。ただし、充電予定施設に接近してからある程度の期間が経過しても電源がOFFとならない場合には、もはや駐車スペースを探しているのではなく、充電予定施設外の地点へ向けて走行していると判断できる。すなわち、ユーザが充電予定施設での充電を意図しておらず、充電予定施設にて待機していないと判定できる。
また、走行予定経路を案内部に案内させる案内制御部をさらに備えてもよい。そして、案内制御部は、電気自動車が充電予定施設に接近した段階で、案内対象の目的地を充電予定施設から走行予定経路上の次の目的地へと切り替えてもよい。電気自動車が充電予定施設に接近してからの経過期間が閾値未満である段階では、充電予定施設とは異なる充電施設を経由するように走行予定経路を変更する経路変更処理が実行されない。この段階で、充電予定施設を案内対象の目的地として案内し続けるのではなく、次の目的地を案内対象として案内することができる。従って、充電予定施設において、充電予定施設に到着したことをユーザに認識させ、次の目的地をユーザに認識させることができる。例えば、ユーザは、次の目的地を考慮して、充電予定施設での充電の必要性を判断できる。
さらに、電気自動車が充電予定施設にて待機しているか否かに応じて充電施設を経由するように走行予定経路を変更するか否かを切り替える手法は、この処理を行う方法やプログラムとしても適用可能である。また、以上のような充電施設案内システム、方法、プログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置として実現される場合もある。また、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあれば、車両に搭載されない各部と連携して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、充電施設案内システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。