JP6927738B2 - 紙質向上剤 - Google Patents

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本発明は、紙質向上剤、及びパルプシートの製造方法に関する。
近年、森林資源の有効利用、自然環境保護の面から、パルプの使用量を抑えるために紙製品の坪量を下げる努力がなされている。紙のボリューム感や柔軟性は、紙の低密度化により得られ、これにより、パルプの有効利用を図ることができる。従来、紙の嵩を高くする方法として、架橋パルプを用いる方法、合成繊維との混抄による方法、パルプ繊維に無機物を充填する方法等が行われている。しかしながら、架橋パルプを用いる方法や合成繊維との混抄による方法では、紙のリサイクル性を阻害してしまうし、無機物を充填する方法では、紙の強度を著しく低下させるという欠点がある。これらの欠点を解消するために、抄紙時に有機化合物を添加して嵩を高くする方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、サイズ剤の効果を損なうことなく嵩高なシートを得る紙用嵩高剤として、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物及び多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物であって当該エステル化合物1モル当たり平均で0モル超12モル未満の炭素数2〜4のオキシアルキレン基を有するエステル化合物から選ばれるHLBが1〜14、融点が100℃以下のエステル化合物が開示されている。
特許文献2には、少量添加でも、紙の軽量化と古紙パルプの増配合で要望されるパルプシートの嵩向上、白色度向上、不透明度向上等の効果に優れ、更に紙力の向上効果に優れる、特定方法により測定される離水度が4%以上となる化合物であって、且つ(i)標準嵩向上度が0.02g/cm以上、(ii)標準白色度向上度が0.5ポイント以上及び(iii)標準不透明度向上度が0.5ポイント以上の何れか2つ以上を満たす化合物(A)と、特定範囲の平均分子量又は粘度の少なくとも何れかを満たす水溶性高分子(B)とを含有する抄紙用紙質向上剤が開示されている。
特許文献3には、嵩高で表面の平滑性に優れたパルプシートを得るための、特定のノニオン界面活性剤(a)と特定のアニオン界面活性剤(b)とを、(a)/(b)=98/2〜10/90の重量比で含有する紙用嵩高剤が開示されている。
特許文献4には、液体あるいは融点が50℃以下で、且つHLB価が8以下である嵩高柔軟剤と、多価アルコールと炭素数5〜60の飽和脂肪酸とのエステル化合物であって、該エステル化合物のモノエステル体含有率が40%以下であるサイズ剤とを含む高い嵩高性と高いサイズ性とを有する嵩高柔軟紙を得る方法が開示されている。
特開平11−350380号公報 特開2001−248100号公報 特開平11−200285号公報 特開2004−324024号公報
本発明は、長期保管時にもブロッキングが生じないといった良好な物性を有する固体形態で得られ、また、使用時には発泡が少なく簡便に安定な乳化液を作製でき、且つ低緊度で嵩高く、白色度及び不透明度の高いパルプシートが製造できる紙質向上剤を提供する。
本発明は、(A)ペンタエリスリトールと炭素数14以上20以下の脂肪酸とのエステル〔以下、成分(A)という〕、及び(B)炭素数14以上20以下の脂肪酸の塩〔以下、成分(B)という〕を含有する、紙質向上剤に関する。
また、本発明は、前記本発明の紙質向上剤を用いる、パルプシートの製造方法に関する。
本発明によれば、長期保管時にもブロッキングが生じないといった良好な物性を有する固体形態で得られ、また、使用時には発泡が少なく簡便に安定な乳化液を作製でき、且つ低緊度で嵩高く、白色度及び不透明度の高いパルプシートが製造できる紙質向上剤が提供される。
<紙質向上剤>
本発明の紙質向上剤は、成分(A)としてペンタエリスリトールと炭素数14以上20以下の脂肪酸とのエステルを、成分(B)として炭素数14以上20以下の脂肪酸の塩を含有する。
本発明の紙質向上剤は、袋詰めのような包装体や容器に収容された状態で長期保管してもブロッキングせず、また、水と混合して乳化液を簡便に製造でき、更に、パルプスラリーに用いることで、抄紙工程後の紙の緊度を下げ、嵩高で、白色度及び不透明度の高いパルプシートを製造することができる。
本発明に係る紙質向上剤における効果の作用メカニズムの詳細は定かではないが、以下のように考えられる。
緊度を下げ、白色度及び不透明度を高くする効果のあるペンタエリスリトールと炭素数14以上20以下の脂肪酸とのエステル(成分(A))は、一般に常温で固体であり、水への溶解度が低く単独ではミセルを形成しにくく、安定な乳化液は容易には得られないが、乳化作用を有する成分と混合することにより安定な乳化液を形成できる。しかし、成分(A)と乳化作用を有する成分を乳化液の作製時に個別に配合する場合、それぞれの必要量を正確に量り取る手間が必要である。そのため事前に成分(A)と乳化作用を有する成分を必要な比率で混合しておけば、その手間は省ける。しかし、得られた混合物から均一な乳化液が得られない場合や、乳化液は均一になったとしても保管時に混合物がブロッキングしてしまっては、期待された効果が十分に発現しない上に作業にも支障をきたす。本発明では、成分(A)と共に、炭素数14以上20以下の脂肪酸の塩(成分(B))を用いることにより、成分(B)と成分(A)の脂肪酸部位の類似構造に起因して成分(A)と成分(B)の相溶性が良好となり、成分(B)が有する乳化性及び崩壊性に起因し、乳化性は良好なまま、長期保管時にブロッキングしないと推定される。また、発泡が少なく、乳化性が良好になることから、成分(A)が有する紙質向上性能を十分発揮することができるようになると推定される。
〔成分(A)〕
成分(A)は、ペンタエリスリトールと炭素数14以上20以下の脂肪酸とのエステルである。
成分(A)を構成する脂肪酸は、炭素数14以上20以下の脂肪酸の1種又は2種以上であってよい。
炭素数14以上20以下の脂肪酸は、直鎖でも分岐鎖であってもよいが、緊度を下げる観点から、直鎖であることが好ましい。また不飽和でも飽和でもよいが、同様の観点から、飽和であることが好ましい。
脂肪酸の炭素数は、上記と同様の観点から、14以上であり、好ましくは16以上であり、そして、20以下であり、好ましくは18である。すなわち、脂肪酸の炭素数は、好ましくは16以上20以下、より好ましくは18以上20以下、更に好ましくは18である。
脂肪酸の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸等の飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸が挙げられ、上記と同様の観点から、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸から選ばれる脂肪酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
なお、成分(A)であるエステルは、製造条件によって、モノ、ジ、トリ及びテトラエステルの単独及び混合エステルで得られるが、単独であっても混合であってもよい。製造工程を簡略化する観点から、混合エステルであることが好ましい。緊度を下げる観点から、エステル平均置換度は、好ましくは25当量%以上、より好ましくは27当量%以上、更に好ましくは30当量%以上、よりさらに好ましくは33当量%以上であり、乳化性を向上する及び緊度を下げる観点から、好ましくは100当量%以下、より好ましくは75当量%以下、更に好ましくは67当量%以下、より更に好ましくは60当量%以下である。
本発明の一実施形態において、成分(A)は、ペンタエリスリトールとステアリン酸のエステルが好ましく、当該エステルは、エステル平均置換度が、25当量%以上が好ましく、27当量%以上がより好ましく、30当量%以上が更に好ましく、33当量%以上がより更に好ましく、そして、100当量%以下が好ましく、75当量%以下がより好ましく、67当量%以下が更に好ましく、60当量%以下がより更に好ましい。
〔成分(B)〕
成分(B)は、炭素数14以上20以下の脂肪酸の塩である。なお、成分(B)の脂肪酸は、炭素数14以上20以下の脂肪酸のいずれか1種を含有していればよく、2種以上を含有していてもよい。
炭素数14以上20以下の脂肪酸は、直鎖でも分岐鎖であってもよいが、緊度を下げること及び乳化液の平均粒径を小さくする観点から、直鎖であることが好ましい。
また、炭素数14以上20以下の脂肪酸は、不飽和でも飽和でもよいが、同様の観点から、不飽和であることが好ましい。
脂肪酸の炭素数は、上記と同様の観点から、14以上であり、好ましくは16以上であり、そして、20以下であり、好ましくは18である。すなわち、脂肪酸の炭素数は、好ましくは16以上20以下、より好ましくは18以上20以下、更に好ましくは18である。
成分(B)の脂肪酸の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸等の飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸が挙げられ、上記と同様の観点から、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸が好ましく、オレイン酸がより好ましい。
成分(B)の脂肪酸の塩としては、無機塩であっても有機塩であってもよく、無機塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、有機塩としては、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩が挙げられる。これらの中でも、無機塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
〔組成、任意成分等〕
本発明の紙質向上剤は、成分(A)と成分(B)の質量比(A)/(B)が、ブロッキング抑制、緊度低減、白色度及び不透明度向上、発泡量低減、乳化液の小粒径化及び乳化液の粘度低減の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは10以上であり、乳化性の観点から、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは19以下、より更に好ましくは15以下である。
本発明の紙質向上剤の形態は、固体が好ましく、粉末がより好ましい。粉末の形状、大きさは限定されない。粉末は、定形、不定形のいずれでもよい。粉末の形状として、フレーク(薄片)状、球状、角状などが挙げられる。例えば、面積0.1cm以上10cm以下、厚さ0.1cm以上1cm以下の薄片をフレークと定義することができる。フレークの面積は、好ましくは0.1cm以上、より好ましくは0.5cm以上、更に好ましくは1cm以上、そして、好ましくは10cm以下、より好ましくは8cm以下、更に好ましくは5cm以下である。また、球状粉末は、おおよそ球形の形状を有し、フレークよりも体積が小さい粒子と定義することができる。本発明の紙質向上剤の形態は、0.1cm以下の形状の均一な粉末、すなわち粒度分布の狭い粉末でもよいが、耐ブロッキング性向上の観点から、フレーク状が好ましく、紙質向上剤の生産効率の観点から、フレーク状及び粒子状であることも好ましい。
本発明の紙質向上剤がフレーク状や球状である場合、それらの形状とするための一般的な方法で製造できる。例えば、成分(A)及び成分(B)を溶融させて混合し、冷却した後、粉砕する方法が挙げられる。より詳細には、成分(A)及び成分(B)を加温して軟化させ混合し、均一にした後に冷却し、固化させ、数mm程度の取り扱いやすい大きさに粉砕する製造方法が好ましい。
本発明の紙質向上剤には、従来から抄紙工程に用いられている成分(A)及び成分(B)以外の成分を、本発明の性能に影響しない範囲内で含有することができる。例えば、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの有機填料;アルキルケテンダイマー系化合物、アルケニル無水コハク酸系化合物、スチレン−アクリル系化合物、スチレン−マレイン系化合物、石油樹脂系サイズ剤、ロジン系サイズ剤などのサイズ剤;歩留まり剤、濾水度向上剤、紙力向上剤として、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等の製紙用内添助剤;各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の製紙用助剤;染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤が挙げられる。
本発明の紙質向上剤は、成分(A)と成分(B)を合計で6質量%含有する乳化液(残部は水)の乳化粒子の平均粒径が、緊度低減の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上、更に好ましくは10μm以上、そして、緊度低減、白色度及び不透明度向上の観点から、好ましくは25μm以下、より好ましくは17μm以下、更に好ましくは15μm以下である。乳化粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定する。
本発明の紙質向上剤は、成分(A)と成分(B)を合計で6質量%含有する乳化液(残部は水)の20℃での粘度が、作業性の観点から、好ましくは1000mPa・s以下、より好ましくは970mPa・s以下、更に好ましくは930mPa・s以下である。乳化液の粘度は、BII形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定する。
<パルプシートの製造方法>
本発明の紙質向上剤は、抄紙工程の何れかにおいて添加されるものである。本発明の紙質向上剤を適用できるパルプ原料としては、TMP(サーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、LBKP(広葉樹晒パルプ)等の化学パルプなどのヴァージンパルプから、各種古紙パルプに至るものまで広くパルプ一般に適用できるものである。また、本発明の紙質向上剤の添加場所としては、パルプ原料の希薄液が金網上を進む間に濾水されて紙層を形成するまでの抄紙工程であれば特に限定するものではないが、例えば工場ではレファイナー、マシンチェスト、ヘッドボックスで添加するなど、均一にパルプ原料に本発明の紙質向上剤を混合できる場所が望ましい。本発明では、本発明の紙質向上剤を添加したパルプスラリーを抄紙することが好ましい。なお、本発明の紙質向上剤はパルプ原料に添加後、そのまま抄紙され紙上に残存する。本発明の紙質向上剤の添加量は、パルプ原料100質量部に対して、緊度低減、白色度及び不透明度向上、発泡量低減、乳化液の小粒径化及び乳化液の粘度低減の観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であって、発泡量低減及び排水処理負荷低減の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。
また、一般的な抄紙条件のまま、特別な条件変更をすることなく、上記の添加方法にて抄紙工程で本発明の紙質向上剤を用いることで、嵩高いパルプシートを得ることができる。
本発明の製造方法により得られたパルプシートの緊度は、書籍用紙などに適した紙質とする観点から、好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.2g/cm以上、そして、好ましくは2g/cm以下、より好ましくは1g/cm以下である。ここで、緊度は、実施例の方法で測定されたものである。
<実施例1〜8及び比較例1〜10>
以下の合成例、実施例、比較例において、特記しない限り「%」は「質量%」を意味する。
合成例1
ペンタエリスリトール(ペンタエリトリトール、東京化成工業株式会社製)1モルに対して、ステアリン酸(東京化成工業株式会社製)1.8モルを脱水縮合し、エステル平均置換度45当量%のペンタエリスリトールのステアリン酸エステル(PEMS)を得た。
用いた成分
成分(A):
・前記合成例1で得られたPEMS
成分(B):
・オレイン酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)
・パルミチン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)
・ミリスチン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)
成分(B’)(成分(B)の比較化合物):
・ラウリン酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)
その他:
・ラウリル硫酸ナトリウム(エマール 10PT、花王株式会社製)
・ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(コータミン 86W、花王株式会社製、28%水溶液)
・ココナットアミンアセテート(アセタミン 24、花王株式会社製)
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(アンヒトール 24B、花王株式会社製、26%水溶液)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン 120、花王株式会社製)
・ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(レオドール TW−L120、花王株式会社製)
・ポリビニルアルコール(クラレポバール PVA−105、株式会社クラレ製)
<紙質向上剤の製造方法>
表1に示す成分を混合物の有効分の質量が300gになるように500mLのガラスビーカーに添加し、80℃の温浴中にてプロペラ型攪拌機(羽根径φ50mm、プロペラ型4枚羽根、IKAジャパン株式会社製)を用いて500rpmの回転数で撹拌混合し、混合物を得た。この混合物を巾280mm、長さ370mm、厚さ0.05mmのポリエチレン袋に全量移し、室温まで冷却して厚さ約3mmの板状の固体を得た。その後、板状の固体を、面積が約1cm、厚さ約3mmのフレークとなるように粉砕し、紙質向上剤を得た。
<紙質向上剤の耐ブロッキング性評価>
縦150mm×横150mm×厚さ10mmの木板に、内面が縦75mm×横75mm×高さ110mmの木製角筒を一方の開口部を上にして固定して容器とし、この容器に、上記の製造方法で得られたフレーク状の紙質向上剤100gを添加し、紙質向上剤の上へ縦74mm×横74mm×高さ150mmの木製直方体を載せ、直方体の上に5kgの鉄製錘を載せ、40℃の保温庫にて保管した。1か月後、錘を取り除き、直方体と角筒を一緒に上方に抜き取り、紙質向上剤の状態を目視にて観察した。また、直方体と角筒への付着程度を判定するために、木板状に残った紙質向上剤の質量を測定し初期添加量(100g)と対比した。下記の評価にて紙質向上剤の状態を判定した。結果を表1に示した。
5:フレーク状の紙質向上剤が容器の抜き取りにより自然に崩壊し、木板上に残存する紙質向上剤が初期添加量の97質量%以上である。
4:フレーク状の紙質向上剤が容器の抜き取りにより自然に崩壊し、木板上に残存する紙質向上剤が初期添加量の90質量%以上97質量%未満である。
3:フレーク状の紙質向上剤が容器の抜き取りにより自然に崩壊し、木板上に残存する紙質向上剤が初期添加量の70質量%以上90質量%未満である。
2:フレーク状の紙質向上剤が容器の抜き取りにより自然に崩壊し、木板上に残存する紙質向上剤が初期添加量の40質量%以上70質量%未満である。
1:フレーク状の紙質向上剤が崩壊しない、あるいは、フレーク状の紙質向上剤は自然に崩壊するが、木板上に残存する紙質向上剤が初期添加量の40質量%未満である。
<紙質向上剤の乳化性評価>
500mLのガラス製ビーカーに80〜90℃に加温した水270gを加え、温水浴内で80℃を維持する。プロペラ型攪拌機(羽根径φ50mm、プロペラ型4枚羽根、IKAジャパン株式会社製)を用いて500rpmの回転数で撹拌しながら、全量が300gかつ水以外の固形分が6質量%となる量の紙質向上剤及び水を加え、30分撹拌し、その後水浴にて室温まで冷却し、固形分濃度6質量%の紙質向上剤乳化液を得た。
得られた紙質向上剤乳化液を室温にて1時間静置し、液の状態を観察した。乳化性の状態を目視で観察し、以下の基準で判定した。結果を表1に示した。
〇:乳化液は、全体が均一な状態である。
×:乳化液は、液状又は固体状であり、2相以上に分離した状態である。
また、得られた紙質向上剤乳化液の物性として乳化粒子の平均粒径と乳化液の粘度を以下の方法で測定した。結果を表1に示した。
・平均粒径
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−920(株式会社堀場製作所製)を使用して、前記紙質向上剤乳化液の平均粒径を測定した。
・粘度
B II形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、20℃で、前記紙質向上剤乳化液の粘度を測定した。
<紙質向上性能評価>
〔パルプ原料〕
パルプ原料としては下記に示す脱墨パルプ及びヴァージンパルプを用いた。
<脱墨パルプ>
市中回収された原料古紙(新聞紙/チラシ=60/40、質量比)100質量部に対し、水酸化ナトリウム0.5質量部、珪酸ソーダ1.5質量部、30質量%過酸化水素水1.5質量部及び、脱墨剤としてステアリルアルコールのエチレンオキシド・プロピレンオキシドランダム付加物(平均付加モル数:エチレンオキシド50モル、プロピレンオキシド40モル)0.3質量部を加え、パルプ濃度が13質量%になるように50℃の温水を加え10分間離解した。その後50℃の温水でパルプ濃度が1質量%になるように希釈し5分間フローテーション処理を行った。その後、水洗、濃度調整を行い、1質量%に濃度調整した脱墨パルプスラリーを用いた。このスラリーのカナダ標準濾水度(JIS P 8121)は220mLであった。
<ヴァージンパルプ>
化学パルプLBKP(広葉樹晒パルプ)を、25℃で叩解機にて離解、叩解し、2質量%に濃度調整したLBKPスラリーを用いた。このスラリーのカナダ標準濾水度(JISP 8121)は440mLであった。
<抄紙方法>
パルプスラリーを抄紙後のシートのパルプ坪量が80g/mになるように計り取り、硫酸アルミニウムを用いて、pHを4.5に調整した。次いで表1に示す紙質向上剤を固形分濃度6質量%の紙質向上剤乳化液に調製し、パルプ100質量部当たり固形分1質量部添加し、丸型タッピ抄紙機(熊谷理機工業株式会社製)にてワイヤーメッシュ(80メッシュ、面積200cm)で抄紙し、シートを得た。抄紙後のシートは、340kPaで2分間プレス機にてプレスし、鏡面ドライヤーを用い105℃で1分間乾燥した。乾燥したシートを23℃、湿度50%の条件で1日間調湿してから紙の緊度、白色度及び不透明度を以下の方法で測定した。測定値は10回の平均値である。結果を表1に示した。
<評価項目・方法>
・緊度
調湿したシートの坪量(g/m)と厚み(mm)を測定し、下記計算式により緊度(g/cm)を求めた。
緊度=坪量÷厚み×0.001
緊度は小さいほど嵩が高く、また緊度の0.02の差は有意差として十分に認識されるものである。
・白色度
分光光度計型測色計Color Touch PC(Technidyne Corporation製)を用いて、JISP 8123ハンター白色度を測定した。白色度の0.5ポイントの差は有意差として十分に認識されるものである。
・不透明度
分光光度計型測色計Color Touch PC(Technidyne Corporation製)を用いて、JISP 8138A法で不透明度を測定した。不透明度の0.5ポイントの差は有意差として十分に認識されるものである。
<白水の泡立ち>
前記の<抄紙方法>で紙質向上剤を対パルプ1質量%添加した脱墨パルプスラリーをワイヤーメッシュ(80メッシュ)にてろ過し、採取したろ液(白水)の発泡量を下記にて測定した。
下記の循環発泡試験機を用い、白水を40℃に加温した白水量500gを循環流量1400mL/分にて循環し、循環開始から3分後の発泡量を測定した。循環発泡試験機は、透明ガラス製目盛り付円筒(内径6cm、高さ54cm、目盛り単位10mL)の底に抜き出し口を設け、この抜き出し口と渦巻きポンプの吸い込み口をシリコンチューブで連結し、渦巻きポンプ吐出口に円筒上部で吐出できる長さのシリコンチューブを連結し、このシリコンチューブの吐出口を円筒内の液面から高さ30cmの位置に固定したものである。泡立ち性は下記の基準で評価した。なお、発泡量は少ない方が好ましく、評価点が2以上であれば、実機において操業可能な範囲である。
3:泡量が50mL以下である。
2:泡量が50mL超、100mL以下である。
1:泡量が100mL超である。
Figure 0006927738

Claims (8)

  1. (A)ペンタエリスリトールと炭素数14以上20以下の脂肪酸とのエステル、及び(B)炭素数14以上20以下の脂肪酸の塩を含有する、紙質向上剤であって、(B)の脂肪酸が不飽和脂肪酸である、紙質向上剤。
  2. (A)ペンタエリスリトールと炭素数14以上20以下の脂肪酸とのエステル、及び(B)炭素数14以上20以下の脂肪酸の塩を含有する紙質向上剤であって、(A)と(B)の質量比(A)/(B)が1以上30以下である、紙質向上剤。
  3. 前記(B)の脂肪酸が、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、及びリノール酸から選ばれる1種以上である、請求項2に記載の紙質向上剤。
  4. 前記(A)の脂肪酸が、直鎖の脂肪酸である、請求項1〜3のいずれかに記載の紙質向上剤。
  5. 前記(A)の脂肪酸が、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、イソステアリン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、及びリノール酸から選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の紙質向上剤。
  6. 前記(B)の脂肪酸が、直鎖の脂肪酸である、請求項1〜5のいずれかに記載の紙質向上剤。
  7. 前記(B)の脂肪酸の塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又は有機アミン塩である、請求項1〜6のいずれかに記載の紙質向上剤。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の紙質向上剤を用いる、パルプシートの製造方法。
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