JP6927522B2 - 管更生部材の加熱装置 - Google Patents

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Description

この発明は管更生部材の加熱装置に関し、特にたとえば、既設管を更生する管更生部材を既設管内に挿入する前に加熱軟化させる、管更生部材の加熱装置に関する。
従来、老朽化した既設管の更生方法として、屈曲変形して縮径させた合成樹脂製の管更生部材を既設管内に挿入した後、円筒状に拡径復元させて、既設管の内面に内張りする方法が知られている。このような管更生部材は、そのままでは既設管内への挿入が困難であるので、既設管内に挿入する際には、挿入抵抗を低減させるために加熱軟化される。
特許文献1には、管更生部材を既設管内に挿入する前に加熱軟化させる加熱装置の一例が開示される。特許文献1の加熱装置は、管更生部材が収容される加熱室を備える。この加熱室には、加熱室内および管更生部材の内部に蒸気を送り込む蒸気パイプが設けられると共に、管更生部材の表面に付着した水分を気化させるために、熱風発生装置からの熱風を管更生部材よりも下方から加熱室内に送り込む熱風流入口が設けられる。また、加熱室内には、加熱軟化温度測定装置が設けられる。この加熱軟化温度測定装置は、管更生部材と同じ合成樹脂材料からなる中実体と、中実体の内部に設けられる温度検出部(温度計測素子)とを含む。中実体の外表面から温度検出部までの最短距離は、管更生部材の厚みに相関して設定され、温度検出部の周囲には、管更生部材の難加熱部分に近似した環境が作り出される。
特許文献1の技術によれば、難加熱部分の軟化状態を確認しながら管更生部材を加熱することが可能となるので、管更生部材の加熱に必要以上の時間をかけることなく、管更生部材の全体を適切に軟化させることができる。つまり、管更生部材の適切な加熱完了時間を知ることができる。
特開2012−193753号公報
管更生部材の表面を安価かつ短時間に乾燥させるため、加熱室内には高温(たとえば200℃以上)の熱風が送り込まれる。しかしながら、管更生部材の加熱完了時間まで熱風を連続供給すると、加熱室内の温度が時間と共に上昇して、管更生部材に悪影響を及ぼすほどの高温になってしまう恐れがある。また、過度の高温は、加熱装置自体を劣化させる恐れもある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、管更生部材の加熱装置を提供することである。
この発明の他の目的は、加熱室内の過度の温度上昇を適切に防止できる、管更生部材の加熱装置を提供することである。
第1の発明は、既設管を更生する管更生部材を既設管内に挿入する前に加熱軟化させる管更生部材の加熱装置であって、管更生部材が収容される加熱室、加熱室内において管更生部材を支持する回転台、加熱室外に設けられる熱風発生装置、回転台よりも下方に配置され、加熱室内に熱風発生装置からの熱風を送り込む熱風流入口、所定の配置態様で形成される複数の貫通孔を有し、回転台よりも下方であってかつ熱風流入口よりも上方において略水平方向に拡がるように加熱室内に設けられて、熱風の流れを調整する熱流調整板、回転台と熱流調整板との間の空間に配置され、加熱室内の温度を検出する温度検出部、および温度検出部による検出結果に基づいて熱風発生装置を制御する制御部を備える、管更生部材の加熱装置である。
第1の発明では、管更生部材の加熱装置は、管更生部材が収容される加熱室を備え、管更生部材を既設管内に挿入する前に加熱軟化させる。加熱室内には、管更生部材を支持する回転台が設けられる。また、加熱室外には、熱風発生装置が設けられ、熱風発生装置からの熱風は、回転台よりも下方に配置される熱風流入口から加熱室内に送り込まれる。また、回転台よりも下方であってかつ熱風流入口よりも上方に設けられて、加熱室内の熱風の流れを調整する熱流調整板を備える。加熱室内には、加熱対象である管更生部材以外にも、複数の部材ないし部品が設けられる。これらの部材ないし部品は、熱風流入口から加熱室内に送り込まれる熱風の流れ(熱流)にとって障害物となり、加熱室内における熱風の供給が偏る可能性があるが、熱流調整板によって熱風の流れを調整することで、熱風が流れ込み難い部分にも熱風を適切に行き渡らせることができる。さらに、加熱室内には、熱流調整板と回転台との間の空間に温度検出部が配置され、制御部が温度検出部による検出結果に基づいて熱風発生装置を制御する。これによって、加熱室内の温度が所定温度となるように調整される。
第1の発明によれば、温度検出部による検出結果に基づいて熱風発生装置を制御するので、加熱室内の過度の温度上昇を防止できる。また、回転台よりも下方に温度検出部を配置するので、加熱室内が所定温度に達していることをいち早く検出できる。したがって、管更生部材に悪影響を与えることなく、適切に管更生部材を加熱軟化させることができる。
また、第1の発明によれば、熱流調整板を備えるので、加熱室内の全体に熱風を適切に行き渡らせることができる。したがって、加熱室内に過度に高温となる部分が生じることを防止でき、管更生部材をその全長に亘って均一に加熱することができる。
また、温度検出部を回転台と熱流調整板との間の空間に配置するので、熱流調整板によって略均一化された温度を検出でき、加熱室内の温度の検出精度を安定化できる。
の発明は、第の発明に従属し、温度検出部は、熱流調整板の貫通孔の直上に配置される。
の発明では、熱流調整板に形成される貫通孔の直上に温度検出部が配置される。つまり、貫通孔を通って上昇する熱風の流れに沿って温度が検出される。これによって、加熱室内の温度の検出精度を安定化できる。
の発明は、第1または第2の発明に従属し、熱風流入口は、加熱室の外周部に配置され、温度検出部は、平面視において、熱風流入口と反対側の位置であって、かつ熱風流入口から回転台の中心軸に向かって延びる線を中心線とする90°の範囲内に配置される。
の発明では、熱風流入口と反対側の位置に温度検出部が配置される。これによって、加熱室内の温度の検出精度を安定化できる。
の発明は、第の発明に従属し、温度検出部は、加熱室の外周部に配置される。
の発明では、熱風が回り込み易く、高温になり易い加熱室の外周部に温度検出部が配置される。これによって、加熱室内の温度の検出精度の安定化を図りつつ、加熱室内に高温部分が生じていることをいち早く検出できる。
この発明によれば、温度検出部による検出結果に基づいて熱風発生装置を制御するので、加熱室内の過度の温度上昇を防止できる。また、回転台よりも下方に温度検出部を配置するので、加熱室内が所定温度に達していることをいち早く検出できる。したがって、管更生部材に悪影響を与えることなく、適切に管更生部材を加熱軟化させることができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
この発明の一実施例である管更生部材の加熱装置を示す図解図である。 図1の加熱装置の加熱室部分を拡大して示す概略断面図である。 図2の加熱室の底部を示す平面図である。 ドラムレスで巻かれた管更生部材の一例を示す図解図である。 図1の加熱装置が備える熱流調整板の一例を示す平面図である。 温度センサの一例を示す図解図である。 図1の加熱装置の温度センサの取付部分を拡大して示す図解図である。 温度センサの取付位置を示す図解図である。 図1の加熱装置の電気的構成を示すブロック図である。 図1の加熱装置によって加熱軟化させた管更生部材を用いて既設管を更生する様子を示す図解図である。 巻付用ドラムに巻き付けられた管更生部材の一例を示す図解図である。
図1および図10を参照して、この発明の一実施例である管更生部材の加熱装置10(以下、単に「加熱装置10」と言う。)は、老朽化した既設管100を内側から補修するための管更生部材102を、既設管100内に挿入する前に加熱して軟化させるための装置である。
先ず、加熱装置10の具体的な説明の前に、管更生部材102について簡単に説明する。管更生部材102は、硬質塩化ビニルおよびポリエチレン等の合成樹脂によって形成される長尺管であって、所定の巻き姿に巻かれて搬送等される。図4に示すように、この実施例では、管更生部材102は、平板状部102aとその両端に形成される楕円筒状部102bとを有する断面略瓢箪形の縮径形状とされて、ドラムレスで渦巻き状(ロール状)に巻かれている。
管更生部材102は、公知の製造方法によって製造することができる。管更生部材102を製造する際には、先ず、所定の径で直管を押出成形する。そして、軟化点以上融点以下の範囲における所定の温度(たとえば硬質塩化ビニル製の管更生部材102では、100℃程度)にその直管を加熱した状態で、押し板やローラ等を用いて偏平させる等の縮径加工を施し、断面略瓢箪形の縮径形状にする。これにより、縮径形状とされた管更生部材102は、再び軟化点以上融点以下の温度に加熱および加圧することによって、円筒形等の元の形状に復元するようになる。なお、管更生部材102は、復元したときの外径が既設管100の内径と略等しいサイズとなるように設定される。更生する既設管100の内径は、たとえば100−700mmである。
このような管更生部材102は、種々の用途および構成材料の既設管100の更生に適用し得る。たとえば、ガス管、上下水道管およびケーブル保護管等の更生に適用することができ、更生する管路の材質も、鉄筋コンクリート製、鋳鉄製、鋼製および合成樹脂製などのいずれであってもよい。
続いて、この発明の一実施例である加熱装置10について具体的に説明する。加熱装置10は、上述のように、管更生部材102を加熱して軟化させるための装置であって、管更生部材102を収容する加熱室12を備える。
図1−図3に示すように、加熱室12は、基部14と、基部14上に設けられるテント部16とを含み、全体として、中空の略円柱形状に形成される。加熱室12の直径は、たとえば2550mmであり、その上下方向の長さ(つまり背の高さ)は、たとえば1700mmである。
基部14は、加熱室12の底壁を構成する部分であり、鉄およびSUS(ステンレス鋼)などの金属によって円板状に形成される。また、基部14の下には、矩形枠状の基礎フレーム18が設けられており、基部14は、この基礎フレーム18によって下方に所定の空間を有する状態で保持される。
テント部16は、加熱室12の天壁および側壁を構成する部分であり、有頂円筒状に形成される。この実施例では、テント部16は、その骨組みを形成するフレーム20と、フレーム20に被せられる天幕シート22とを備える。フレーム20は、たとえば、鉄およびSUS等の金属からなる中空パイプを縦横に組み合わせることによって形成され、縦フレーム20aと、縦フレーム20aの上端部同士を連結する横フレーム20bとを含む。また、天幕シート22は、耐熱ゴム等の弾性材によって形成され、フレーム20の天井部および側部を気密的に覆う。
また、天幕シート22の上面および外側面を覆うように、被覆部材24が設けられる。被覆部材24は、断熱性、防風性および防水性を有する素材によって形成される。たとえば、被覆部材24としては、樹脂シート等の基材の両面をアルミニウム箔などの金属層で挟み込んで形成される市販の遮熱シートを用いることができる。このような被覆部材24によって加熱室12の外面全体を覆うことで、外気温、風および雨などの外部環境(外乱因子)が、加熱室12の内部環境に及ぼす影響を低減させることができる。したがって、外部環境によらず、加熱室12内における管更生部材102の加熱条件を均一化ないし安定化することができる。なお、ここで言う防風性を有するとは、風を通さない性能を有することを言い、少なくともJIS A6111:2004の防風性の規格(JIS P8117 ガーレー試験機法による通過時間が10秒以上)を満たすものであることを言う。
このような加熱室12内には、管更生部材102を回転させるための回転機構として、ベース台26およびベース軸28が設けられる。ベース台26は、鉄およびSUS等の金属によって円環板状に形成され、基部14の上面に設置される。このベース台26の外周面には、ギア歯が形成されており、ベース台26のギア歯には、伝達ギア30が連結される。駆動モータ32の駆動力は、伝達チェーン34等を介して伝達ギア30に伝えられ、この伝達ギア30から回転駆動力を受けることによって、ベース台26はその軸周りに回転可能とされる。
また、ベース軸28は、鉄およびSUS等の金属によって直管状に形成され、ベース台26の中央部に一体的に立設される。ベース軸28は、ベース台26と共に回転する。また、ベース軸28の内部には、パイプ立上げ部36が設けられる。パイプ立上げ部36は、鉄およびSUS等の金属によって直管状にされ、ベース台26およびベース軸28とは一体回転しないように、基部14上に立設されている。このパイプ立上げ部36の内部には、後述する第1蒸気パイプ46の立上り部分が挿通される。
さらに、ベース台26上には、管更生部材102を載置するための回転台(ターンテーブル)38が設けられる。回転台38は、鉄およびSUS等の金属によって円環板状に形成され、その外径は、たとえば900mmである。また、回転台38の中央部には、回転軸40が一体的に立設される。回転軸40は、鉄およびSUS等の金属によって直管状に形成され、ベース軸28の外周面を囲繞するように設けられる。ベース台26と回転台38とは、係合ピン等によって連結されており、回転台38および回転軸40は、ベース台26の回転に伴って回転する。
そして、この回転台38上にドラムレスタイプの管更生部材102が装着される。すなわち、管更生部材102の巻中心に回転軸40が挿通されて、回転台38上に管更生部材102が載置される。回転台38上に載置された管更生部材102は、回転台38および回転軸40の回転に伴って回転する。
また、加熱室12には、蒸気供給部が設けられる。蒸気供給部は、加熱室12の内部に蒸気を供給するものであり、この実施例では、第1蒸気パイプ46と第2蒸気パイプ48とを含む。ただし、蒸気供給部の具体的構成は、以下の構成に限定されるものではないことを予め指摘しておく。たとえば、第1蒸気パイプ46および第2蒸気パイプ48のいずれか一方を省略することもできる。
第1蒸気パイプ46および第2蒸気パイプ48の上流側端部には、接続ホース50を介して、加熱室12の外部に設けられる蒸気発生装置52が接続される。そして、所定の値に加熱および加圧された蒸気が蒸気発生装置52から第1蒸気パイプ46および第2蒸気パイプ48に供給される。
第1蒸気パイプ46は、基部14の下方空間を横方向に延びて加熱室12の中央部で立ち上がり、パイプ立上げ部36の内部を通って上方向に延びる。第1蒸気パイプ46の下流側端部(上端部)には、公知のスイベル等の回転部材54が設けられ、この回転部材54に蒸気ホース56の上流側端部が接続される。この蒸気ホース56の下流側端部が管更生部材102の巻始め側の端部に接続される。そして、蒸気発生装置52からの蒸気は、第1蒸気パイプ46および蒸気ホース56等を介して、管更生部材102の内面側に供給される。管更生部材102の内面側に供給された蒸気は、管更生部材102の巻終り側の端部から加熱室12内に排出される。
また、第2蒸気パイプ48は、基部14の下方空間を横方向に延びてベース台26の周辺部で立ち上がり、ベース台26を囲むように矩形状に配管される。この第2蒸気パイプ48の管壁には、複数の上向きの放出孔が所定間隔で形成されており、蒸気発生装置52からの蒸気は、第2蒸気パイプ48の放出孔から加熱室12の内部(管更生部材102の外面側)に供給される。
さらに、加熱室12には、熱風供給部58が設けられる。熱風供給部58は、所定温度(たとえば200℃以上)に加熱された熱風(乾燥空気)を加熱室12内に供給するためのものであり、基部14の下方空間を横方向に延びるように設けられる。熱風供給部58の上流側端部には、可撓性を有する耐熱ホース60を介して、ジェットヒータ等の熱風発生装置62が接続される。また、熱風供給部58の上流側端部には、熱風供給部58の内部通路を開閉自在に封止するシャッタ64が設けられる。一方、熱風供給部58の下流側端部(熱風流入口66)は、基部14の周縁部において略台形状に上向きに開口する。つまり、加熱室12内に熱風を送り込む熱風流入口66は、回転台38よりも下方に設けられる。熱風発生装置62からの熱風は、耐熱ホース60および熱風供給部58を介して、熱風流入口66から加熱室12の内部に供給される。熱風流入口66から加熱室12内に供給された熱風は、管更生部材102の表面に付着した水分を気化させて、管更生部材102の表面を乾燥状態に保つ。これによって、既設管100内に挿入するために管更生部材102を加熱室12から取り出したときに、付着した水分の気化熱によって管更生部材102の温度が低下してしまうことが防止される。
また、加熱室12には、回転台38よりも下方であってかつ熱風流入口66よりも上方において略水平方向に拡がるように、熱流調整板70が設けられる。熱流調整板70は、熱風流入口66から加熱室12内に送り込まれる熱風の流れを調整ないし制御して、加熱室12内の全体に熱風が適切に行き渡るようにするための部材である。
具体的には、熱流調整板70は、鉄およびSUS等の金属によって円環板状に形成され、ベース台26の外側面から加熱室12の内側面に亘るように、略水平方向に拡がって設けられる。熱流調整板70の下面には、複数の脚部72が設けられ、熱流調整板70は、この脚部72によって、管更生部材102と熱風流入口66との間の所定の高さ位置に保持される。
この熱流調整板70には、その上面と下面とを連通させる複数の円形の貫通孔74が所定の配置態様で形成される。貫通孔74は、熱風の通路となる部分であって、この貫通孔74の配置態様によって、上方へ向かう熱風の流れを調整することができる。各貫通孔74の径は、たとえば20mmである。
この実施例では、貫通孔74による熱流調整板70の開口率は、熱流調整板70の下方に存在する障害物(たとえば、伝達ギア30を収容するギアボックス76および補強リブ78)の熱風の流れ方向における下流側よりも上流側の方が小さく設定される。これは、障害物があると、熱風が障害物に当たってその手前側(上流側)で上昇し、障害物の奥側(下流側)には熱風が回り込み難くなるからである。また、熱流調整板70の熱風流入口66の直上部分には、貫通孔74が形成されないか、ほとんど形成されないようにされる。これは、熱風流入口66の直上部分は、最も熱風が上昇し易い位置であるからである。つまり、この実施例では、熱風が流れ込み易い(上昇し易い)部分については、熱流調整板70の開口率を小さくすることによって、熱風が流れ込み難い部分にも熱風が適切に行き渡るようにしている。
具体的には、図5からよく分かるように、ギアボックス76の熱流方向上流側の領域A1における熱流調整板70の開口率は、ギアボックス76の熱流方向下流側の領域A2における熱流調整板70の開口率よりも、小さく設定される。また、補強リブ78の熱流方向上流側の領域B1における熱流調整板70の開口率は、補強リブ78の熱流方向下流側の領域B2における熱流調整板70の開口率よりも、小さく設定される。さらに、加熱室12の外周部は熱風が回り込み易いので、加熱室12の周縁領域C1における熱流調整板70の開口率は、それよりも中央側の内側領域C2における熱流調整板70の開口率よりも、小さく設定される。また、上述のように、熱風流入口66の直上部分における熱流調整板70の開口率は、ゼロまたはゼロに近い値に設定される。
このような熱流調整板70を加熱室12内に設けることによって、熱風流入口66から加熱室12内に送り込まれる熱風の流れを調整ないし制御できるので、加熱室12内の全体に熱風を適切に行き渡らせることができる。すなわち、加熱室12内の温度分布が一様となるように調整できるので、加熱室12内に過度に高温となる部分が生じることを防止できる。また、管更生部材102の全体を可及的均一に加熱軟化させることができる。
ただし、図5に示した貫通孔74の配置態様は単なる例示であり、熱流調整板70に形成する貫通孔74の数、大きさ、形状および位置などの配置態様は、加熱室12内の構造などに応じて適宜変更可能である。また、熱流調整板70は、1枚の板部材で形成してもよいし、たとえば2枚の半円形の板部材を繋ぎ合わせて円形とする等、複数の板部材を組み合わせて形成してもよい。
そして、この実施例では、温度検出部(測温素子82)が回転台38と熱流調整板70との間の空間に位置するように、加熱室12に温度センサ80が設けられる。
温度センサ80の種類は特に限定されないが、この実施例では、図6に示すようなシース測温抵抗体タイプのものを用いている。この温度センサ80は、白金などの金属または金属酸化物を温度検出部である測温素子82とし、その電気抵抗を測定することで温度を検出するものである。温度センサ80は、保護管84の先端部に収容される測温素子82を備えており、この測温素子82は、リード線を介して端子箱86内の端子と接続されている。
図7からよく分かるように、温度センサ80は、たとえば、固定治具88を用いて基部14に固定される。端子箱86内の端子は、図示しない配線を介して後述する制御部92に接続される。また、保護管84は、基部14の孔内および熱流調整板70の貫通孔74内を通るように配設され、測温素子82は、回転台38よりも下方であってかつ熱流調整板70よりも上方に配置される。回転台38よりも下方に測温素子82を配置する、つまり管更生部材102に到達する前の熱風の温度を検出することで、加熱室12内が所定温度に達していることをいち早く検出できる。また、熱流調整板70よりも上方に測温素子82を配置することで、熱流調整板70によって略均一化された温度を検出でき、加熱室12内の温度の検出精度を安定化できる。また、測温素子82は、熱流調整板70の貫通孔74の直上に配置されることが好ましい。これは、貫通孔74を通って上昇する熱風の流れに沿って温度を検出することで、加熱室12内の温度の検出精度をより安定化できるからである。
また、図8に示すように、測温素子82は、平面視において、熱風流入口66と反対側の位置であって、かつ熱風流入口66の中心部から回転台38の中心軸Xに向かって延びる線Yを中心線とする90°の範囲W内に配置されることが好ましい。これによって、加熱室12内の温度の検出精度をより安定化できるからである。この中でも、測温素子82は、加熱室12の外周部に配置されることより好ましい。加熱室12の外周部は、熱風が回り込み易く高温になり易い部分なので、検出精度の安定化を図りつつ、加熱室12内に高温部分が生じていることをいち早く検出できるからである。
ただし、加熱室12に対する温度センサ80の取付方法および取付位置は、図7および図8に示す態様に限定されず、適宜変更可能である。
図1に戻って、加熱室12の外部には、制御装置90が設けられる。制御装置90は、CPUおよびメモリ等を含む制御部92、および図示しない操作ボタン等の操作部などを備える。図9に示すように、制御部92には、熱風発生装置62および温度センサ80等が接続される。温度センサ80の測温素子82の検出結果(つまり加熱室12内の温度データ)は、制御部92に出力される。制御部92は、その検出結果に基づいて、熱風発生装置62のオン-オフを制御することで、加熱室12内を所定温度に調整する。すなわち、制御部92は、熱風発生装置62による加熱室12内への熱風供給を開始した後、測温素子82の検出結果が予め設定しておいた設定温度に達すると、熱風発生装置62に対して熱風供給を停止させる停止信号を出力する。一方、測温素子82の検出結果が設定温度より下がると、熱風発生装置62に対して熱風供給を開始させる作動信号を出力する。この実施例では、制御部92は、測温素子82によって検出された温度が140℃に達すると停止信号を出力し、140℃から0.5℃下がると作動信号を出力するようにして、熱風発生装置62のオン-オフを制御する。これによって、管更生部材102周囲の平均温度が100〜110℃の適温に保たれ、加熱室12内の温度が過度に上昇してしまうことが防止される。
続いて、図1および図10を参照して、加熱装置10および管更生部材102を用いて老朽化した既設管100を更生する工法について説明する。
既設管100を更生する際には、先ず、既設管100の更生区間内の滞留物等を除去洗浄する。また、始点の立坑110側には、加熱装置10を設置し、加熱室12内の回転台38上に管更生部材102を装着する。また、終点の立坑112側には、牽引ワイヤ114を巻き取るためのウインチ116を設置する。
次に、加熱装置10を用いて管更生部材102を加熱軟化させる。管更生部材102を加熱軟化させる際には、先ず、ベース台26を作動させて、回転台38に載置された管更生部材102を回転させる。続いて、蒸気発生装置52を作動させて、第1蒸気パイプ46等を介して管更生部材102の内面側に蒸気を供給すると共に、第2蒸気パイプ48等を介して加熱室12内の全体に蒸気を供給する。また、熱風発生装置62を作動させて、熱風流入口66から加熱室12の内部に熱風を供給し、加熱室12内に供給された蒸気を熱風によってさらに加熱する。この際、測温素子82の検出結果に基づいて熱風発生装置62のオン-オフが制御されるので、加熱室12内の温度が過度に上昇してしまうことが防止される。また、熱流調整板70が加熱室12内に設けられるので、加熱室12内の全体に熱風を略均等に行き渡らせることができ、過度に高温となる部分が加熱室12内に生じることを防止できる。
所定の雰囲気温度の中で管更生部材102を所定時間加熱することで、管更生部材102が十分に加熱軟化されると、続いて、加熱室12内から管更生部材102を引き出して既設管100内に挿入する。すなわち、牽引ワイヤ114を管更生部材102の先端に接続し、その後、牽引ワイヤ114をウインチ116で巻き取ることにより、管更生部材102を既設管100内に引き込む。この際、管更生部材102の表面は、熱風発生装置62による加熱によって乾燥状態に保たれているので、気化熱によって温度低下することがない。したがって、既設管100内への挿入に必要な管更生部材102の軟化状態を適切に継続できる。
管更生部材102の先端が立坑112に到達すると、管更生部材102の両端を切断して、そこに拡径用金具等を取り付け、管更生部材102の管端を封止する。そして、蒸気発生装置を用いて管更生部材102内に蒸気を供給し、管更生部材102を加熱すると共に内圧をかける。すると、管更生部材102は、断面形状が真円形状または略真円形状に拡径復元されて、管更生部材102の外周面全体が既設管100の内周面全体に略密着される。
その後、内圧を保持した状態で、冷却ノズル等から管更生部材102内に冷却空気を供給して、管更生部材102を冷却する。冷却後、管更生部材102内から圧力空気を排出し、後処理を適宜実行することによって、管更生部材102を用いた既設管100の補修が完了する。
以上のように、この実施例によれば、測温素子(温度検出部)82による検出結果に基づいて熱風発生装置62を制御するので、加熱室12内の過度の温度上昇を防止できる。また、回転台38よりも下方に測温素子82を配置するので、加熱室12内が所定温度に達していることをいち早く検出できる。したがって、管更生部材102に悪影響を与えることなく、適切に管更生部材102を加熱軟化させることができる。
また、この実施例によれば、加熱室12内に熱風の流れを調整する熱流調整板70を設けたので、加熱室12内の全体に熱風を適切に行き渡らせることができる。したがって、加熱室12内に過度に高温となる部分が生じることを防止でき、管更生部材102をその全長に亘って均一に加熱することができるので、施工品質の安定化など、様々な効果を発揮できる。
なお、上述の実施例では、管更生部材102は、断面略瓢箪形の縮径形状とされてドラムレスで巻かれているが、管更生部材102の縮径形状および巻き姿は、特に限定されない。たとえば、折り畳み加工により折り畳まれた縮径形状であってもよいし、周方向の一部が押し込まれた断面略ハート形状を有する縮径形状であってもよい。
また、図11に示すように、巻付用ドラム120に巻き付けられた管更生部材102を用いてもよい。たとえば、巻付用ドラム120は、胴部122およびフランジ124を含み、鉄およびSUS等の金属によって形成される。胴部122は、内筒および外筒を備える2重筒構造を有しており、その外周面に管更生部材102が渦巻き状に巻き付けられる。フランジ124は、胴部122の両端部に設けられ、胴部122の外周面から径方向外側に鍔状に突出する。
図11に示すようなドラム巻タイプの管更生部材102の場合、回転台38および回転軸40の代わりに、巻付用ドラム120がベース台26上に取り付けられる。そして、巻付用ドラム120および管更生部材102は、ベース台26の回転に伴って回転する。すなわち、この場合には、巻付用ドラム120の下側のフランジ124が、管更生部材102を支持する回転台となる。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値および各部分の具体的形状などはいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
10 …加熱装置
12 …加熱室
38 …回転台
46 …第1蒸気パイプ
48 …第2蒸気パイプ
62 …熱風発生装置
66 …熱風流入口
70 …熱流調整板
74 …貫通孔
80 …温度センサ
82 …測温素子(温度検出部)
92 …制御部
100 …既設管
102 …管更生部材

Claims (4)

  1. 既設管を更生する管更生部材を前記既設管内に挿入する前に加熱軟化させる管更生部材の加熱装置であって、
    前記管更生部材が収容される加熱室、
    前記加熱室内において前記管更生部材を支持する回転台、
    前記加熱室外に設けられる熱風発生装置、
    前記回転台よりも下方に配置され、前記加熱室内に前記熱風発生装置からの熱風を送り込む熱風流入口、
    所定の配置態様で形成される複数の貫通孔を有し、前記回転台よりも下方であってかつ前記熱風流入口よりも上方において略水平方向に拡がるように前記加熱室内に設けられて、前記熱風の流れを調整する熱流調整板、
    前記回転台と前記熱流調整板との間の空間に配置され、前記加熱室内の温度を検出する温度検出部、および
    前記温度検出部による検出結果に基づいて前記熱風発生装置を制御する制御部を備える、管更生部材の加熱装置。
  2. 前記温度検出部は、前記熱流調整板の前記貫通孔の直上に配置される、請求項記載の管更生部材の加熱装置。
  3. 前記熱風流入口は、前記加熱室の外周部に配置され、
    前記温度検出部は、平面視において、前記熱風流入口と反対側の位置であって、かつ前記熱風流入口から前記回転台の中心軸に向かって延びる線を中心線とする90°の範囲内に配置される、請求項1または2記載の管更生部材の加熱装置。
  4. 前記温度検出部は、前記加熱室の外周部に配置される、請求項記載の管更生部材の加熱装置。
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