JP6927483B2 - 骨代謝阻害活性を有する新規化合物及びその製造方法 - Google Patents

骨代謝阻害活性を有する新規化合物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、骨代謝阻害活性を有する新規化合物及びその製造方法に関する。
骨は、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収とが絶えず繰り返されることによって骨代謝の平衡状態を維持している動的組織である。骨芽細胞及び破骨細胞の機能バランスに異常が生じると、骨代謝の動的な平衡状態が破綻し、骨代謝異常に起因する様々な疾患が引き起こされることが知られている。
骨形成を制御する因子として、骨形成タンパク質(bone morphogenetic protein, BMP)を挙げることができる。BMPは、骨を誘導するサイトカインである。BMPのシグナルは、I型及びII型のセリン・スレオニンキナーゼ型受容体によって細胞内に伝達され、さらにI型受容体による転写調節因子Smadのリン酸化によって核内に伝達される。BMPシグナルの不足は、短指症又は軟骨形成不全症を引き起こし、一方、BMPシグナルの過剰は、進行性骨化性繊維異形成症等を引き起こすことが明らかとなってきた(非特許文献1)。さらに、BMPは、骨格形成及び骨折治癒等の様々な生理的骨形成に必須の役割を担う。それ故、BMPの臨床における応用範囲は、骨再形成、顎変形症治療及び骨形成性疾患の診断等と幅広く且つ有用性に富むことから、近年注目を集めている。
進行性骨化性繊維異形成症(FOP)は、筋肉、腱又は靭帯等の組織が骨に変わる疾患である。出生児から外反母趾であることが患者に共通しているが、生まれたときにはそれ以外の顕著な異常は認められない。FOPの骨組織を構成するに至る最初の症状は、10歳までに起こることが多い。その症状は、皮膚の下の腫れ又は硬化、時に熱又は痛みを伴うフレア・アップと呼ばれる現象を繰り返しながら異所性骨化を生じ、手足の関節の動きの悪化又は背中の変形を生じる。また、怪我又は手術等がきっかけとなってフレア・アップが起きることから、生じた骨組織を外科的に除くことは不可能である。一般に、患者は、30歳までに身体を動かすことができなくなり、40歳以上まで生存することは稀である。患者数は、人口200万人に対して1人の割合と言われているが、正確な数は把握されていない。患者数があまり多くないことから、発症メカニズムはほとんど解明されておらず、治療法も確立されていない(非特許文献2)。
近年、FOPの患者において、BMPのI型受容体であるアクチビン受容体様キナーゼ(activin receptor-like kinase-2, ALK2)の206番目のアルギニンがヒスチジンに点変異し、恒常的に活性化していることが発見された。これにより、ALK2受容体を介したBMPシグナル伝達経路が、FOPの主な原因であることが示された(非特許文献1)。
このような知見に鑑み、BMPシグナル伝達を阻害することで骨分化を阻害する低分子化合物が探索され、目的の活性を有する化合物としてドルソモルフィンが見いだされた(非特許文献3)。さらに、ドルソモルフィンを基に様々な誘導体が合成され、より優れた化合物群が見いだされた(非特許文献4)。ドルソモルフィンの合成誘導体の一種であるLDN-193189をFOPの病態モデルマウスに経口投与したところ、FOPの発症を有意に抑制し得ることが示された(非特許文献5)。
また、骨分化を阻害する化合物として、トリコデルマ属の真菌培養液からFKI-5513物質が見出された(特許文献1)。
特許第5725469号公報
Kaplanら, J. Bone Miner Metab. 2008年, 第26巻, p. 521-530 Shoreら, Nat. Genet. 2006年, 第38巻, p. 525-527 Yuら, Nat. Chem. Biol. 2008年, 第4巻, p. 33-41 Cunyら, Bioorg. Med. Chem. Lett. 2008年, 第18巻, pp. 4388-4392 Yuら, Nat. Med. 2008年, 第14巻, p. 1363-1369
ALK2受容体を介したBMPシグナル伝達経路は、FOPの主な原因であるだけでなく、他の骨代謝異常に起因する疾患にも関連性があると考えられている。このため、BMPシグナル伝達を阻害する化合物は、FOPを含む骨代謝異常に起因する多数の疾患の予防又は治療に有用であると考えられている。BMPシグナル伝達の阻害活性を介して骨代謝を阻害し得る化合物が知られているが、薬理活性及び/又は安全性等の観点からさらに有用な化合物が必要とされている。
それ故、本発明は、薬理活性及び安全性の高い、骨代謝阻害活性を有する新規化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、土壌から分離した新規放線菌が、BMPシグナル伝達の阻害活性を有する化合物をその培養液中に産生することを見出した。本発明者らは、前記培養液中の化合物が下記化学構造を有する新規化合物であることを見出した。また、本発明者らは、当該放線菌を用いる培養的手段又は安価な基質化合物を用いる合成的手段によって前記化合物を製造できることを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 式(P-I):
Figure 0006927483
[式中、
RP1は、H又はOHであり、
RP2は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
RP3は、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、ブチル又はベンジルであり、
RP4は、2-エチルブチル、シクロヘキシルメチル又はベンジルである。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(2) 式(I):
Figure 0006927483
[式中、
R1は、H又はOHであり、
R2は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
R3は、エチル又は1-ヒドロキシエチルである。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(3) R1が、OHであり、
R2が、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルである、前記(2)に記載の化合物。
(4) R2が、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、又は置換若しくは非置換のC6〜C15アリールである、前記(3)に記載の化合物。
(5) R2が、プロパン-2-イル、ブタン-2-イル、ペンタン-3-イル、ペンタ-2-エン-3-イル又はフェニルであり、且つR3が、エチルであるか、或いは
R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、1-ヒドロキシエチルである、前記(4)に記載の化合物。
(6) 前記(2)〜(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、
式(I)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトマイセス属菌PP11038株(NITE P-02163)又はその変異株である微生物を培地中で培養して、式(I)で表される化合物を該培地中に蓄積させる、化合物蓄積工程;
化合物蓄積工程で得られた式(I)で表される化合物を前記微生物の培養物から精製する、化合物精製工程;
を含む、前記方法。
(7) R1が、OHであり、R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであるか、或いは
R1が、Hであり、R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、エチルである、前記(6)に記載の方法。
(8) 前記(1)に記載の式(P-I)(式中、RP1は、OHである。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
式(P-VI):
Figure 0006927483
[式中、RP3及びRP4は、前記(1)に記載の定義と同義である。]
で表される化合物と、式(P-VII):
RP2-M (P-VII)
[式中、
RP2は、前記(1)に記載の定義と同義であり、
Mは、-MgX、Li又は-NHNH-SO2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)であり、
Xは、ハロゲンである。]
で表される化合物とを反応させて、式(P-I)で表される化合物を得る、側鎖導入工程;
を含む、前記方法。
(9) 前記(2)〜(5)のいずれかに記載の式(I)(式中、R1は、OHである。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
式(VI):
Figure 0006927483
[式中、R3は、前記(2)〜(5)のいずれかに記載の定義と同義である。]
で表される化合物と、式(VII):
R2-M (VII)
[式中、
R2は、前記(2)〜(5)のいずれかに記載の定義と同義であり、
Mは、-MgX、Li又は-NHNH-SO2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)であり、
Xは、ハロゲンである。]
で表される化合物とを反応させて、式(I)で表される化合物を得る、側鎖導入工程;
を含む、前記方法。
(10) 前記(2)〜(5)のいずれかに記載の式(I)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトマイセス属菌PP11038株(NITE P-02163)又はその変異株である微生物。
(11) R1が、OHであり、R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであるか、或いは
R1が、Hであり、R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、エチルである、前記(10)に記載の微生物。
(12) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、骨代謝阻害剤。
(13) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む医薬。
(14) 骨代謝異常に起因する1種以上の疾患、症状若しくは障害の予防又は治療に使用するための、前記(13)に記載の医薬。
(15) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物。
(16) 骨代謝異常に起因する1種以上の疾患、症状若しくは障害の予防又は治療に使用するための、前記(15)に記載の医薬組成物。
本発明により、薬理活性及び安全性の高い、骨代謝阻害活性を有する新規化合物を提供することが可能となる。
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 新規化合物>
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1〜C5アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても5個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル及びn-ペンチル等の直鎖又は分枝鎖のC1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル及び1-ペンテニル等の直鎖又は分枝鎖のC2〜C5アルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル及び1-ペンチニル等の直鎖又は分枝鎖のC2〜C5アルキニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3〜C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC3〜C6シクロアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等のC4〜C6シクロアルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等のC4〜C6シクロアルキニルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等の3〜6員のヘテロシクロアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロヘキシルメチル及びシクロヘキセニルメチル等のC7〜C11シクロアルキルアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えば3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシは、限定するものではないが、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシ等のC1〜C5アルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えばシクロプロポキシ、シクロブトキシ及びシクロペントキシ等のC3〜C6シクロアルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えば3〜6員のヘテロシクロアルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「アリール」は、芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル及びアントラセニル等のC6〜C18アリールを挙げることができる。
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、ビフェニルメチル、テルフェニルメチル及びスチリル等のC7〜C20アリールアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立してN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等の5〜15員のヘテロアリールを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばピリジルメチル等の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシ及びアントリルオキシ(アントラセニルオキシ)等のC6〜C15アリールオキシを挙げることができる。
本明細書において、「アリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルキルに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えばベンジルオキシ、1-フェネチルオキシ、2-フェネチルオキシ及びスチリルオキシ等のC7〜C20アリールアルキルオキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフラニルオキシ、チエニルオキシ(チオフェンイルオキシ)、ピロリルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、テトラゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリニルオキシ、イソキノリニルオキシ及びインドリルオキシ等の5〜15員のヘテロアリールオキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えば5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシを挙げることができる。
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される1価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばホルミル、アセチル及びプロピオニル等のC1〜C5脂肪族アシル、並びにベンゾイル等のC7〜C16芳香族アシルを挙げることができる。
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数の前記で説明した1価基によってさらに置換することもできる。
本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を意味する。
本発明の一態様は、式(P-I):
Figure 0006927483
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に関する。
本態様の一実施形態において、本発明は、式(I):
Figure 0006927483
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に関する。
本発明者らは、土壌から分離した新規放線菌が、BMPシグナル伝達の阻害活性を有する化合物をその培養液中に産生することを見出した。本発明者らは、前記培養液中から、BMPシグナル伝達の阻害活性を有する化合物PP11038A及びPP11038C、並びにその類縁体PP11038Bを見出した。化合物PP11038A及びPP11038Cは、高いBMPシグナル伝達阻害活性を有する一方、細胞毒性は低い。また、本発明者らは、化合物PP11038Aをリード化合物として、その化学構造を改変することによって数種の類縁化合物を合成した。これらの類縁化合物もまた、高いBMPシグナル伝達阻害活性を有する一方、細胞毒性は低い。本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、天然有機化合物PP11038A、PP11038B及びPP11038C、並びにその類縁化合物を包含する。これらの化合物は、BMPシグナル伝達阻害活性を介して骨代謝阻害活性を発現し得る。それ故、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、低細胞毒性で且つ高い骨代謝阻害活性を発現することができる。
式(P-I)及び式(I)において、RP1及びR1は、H又はOHであることが必要である。RP1及びR1は、OHであることが好ましい。RP1及びR1が前記特徴を有する場合、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、低細胞毒性で且つ高い骨代謝阻害活性を発現することができる。
式(P-I)及び式(I)において、RP2及びR2は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであることが必要である。RP2及びR2は、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルであることが好ましく、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、又は置換若しくは非置換のC6〜C15アリールであることがより好ましく、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC6〜C10アリールであることがさらに好ましく、プロパン-2-イル、ブタン-2-イル、ペンタン-3-イル、ペンタ-2-エン-3-イル又はフェニルであることが特に好ましい。RP2及びR2が前記特徴を有する場合、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、低細胞毒性で且つ高い骨代謝阻害活性を発現することができる。
式(P-I)において、RP3は、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、ブチル又はベンジルであることが必要である。RP3は、エチル又は1-ヒドロキシエチルであることが好ましく、エチルであることがより好ましい。RP3が前記特徴を有する場合、本発明の一態様の式(P-I)で表される化合物は、低細胞毒性で且つ高い骨代謝阻害活性を発現することができる。
式(I)において、R3は、エチル又は1-ヒドロキシエチルであることが必要である。R3は、エチルであることが好ましい。R3が前記特徴を有する場合、本発明の式(I)で表される化合物は、低細胞毒性で且つ高い骨代謝阻害活性を発現することができる。
式(P-I)において、RP4は、2-エチルブチル、シクロヘキシルメチル又はベンジルであることが必要である。RP4は、2-エチルブチルであることが好ましい。RP4が前記特徴を有する場合、本発明の一態様の式(P-I)で表される化合物は、低細胞毒性で且つ高い骨代謝阻害活性を発現することができる。
式(P-I)及び式(I)において、前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基であることが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1〜C6アシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基であることがより好ましい。前記1価基が置換されている場合、該置換基は、前記1価基からさらに選択されることができる。
好ましくは、式(P-I)で表される化合物は、
RP1が、OHであり、
RP2が、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルであり、
RP3が、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、ブチル又はベンジルであり、
RP4が、2-エチルブチル、シクロヘキシルメチル又はベンジルであり、
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1〜C6アシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基である。本実施形態において、RP2は、非置換の前記基であることが好ましい。
より好ましくは、式(P-I)で表される化合物は、
RP1が、OHであり、
RP2が、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、又は置換若しくは非置換のC6〜C15アリールであり、
RP3が、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、ブチル又はベンジルであり、
RP4が、2-エチルブチル、シクロヘキシルメチル又はベンジルであり、
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1〜C6アシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基である。本実施形態において、RP2は、非置換の前記基であることが好ましい。
さらに好ましくは、式(P-I)で表される化合物は、
RP1が、OHであり、
RP2が、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC6〜C10アリールであり、
RP3が、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、ブチル又はベンジルであり、
RP4が、2-エチルブチル、シクロヘキシルメチル又はベンジルであり、
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1〜C6アシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基である。本実施形態において、RP2は、非置換の前記基であることが好ましい。
特定の実施形態において、式(P-I)で表される化合物は、
RP3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであり、
RP4が、2-エチルブチルである。本実施形態の式(P-I)で表される化合物は、式(I)で表される化合物に対応する。
好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、OHであり、
R2が、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルであり、
R3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであり、
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1〜C6アシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基である。本実施形態において、R2は、非置換の前記基であることが好ましい。
より好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、OHであり、
R2が、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、又は置換若しくは非置換のC6〜C15アリールであり、
R3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであり、
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1〜C6アシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基である。本実施形態において、R2は、非置換の前記基であることが好ましい。
さらに好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、OHであり、
R2が、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC6〜C10アリールであり、
R3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであり、
前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員ヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルオキシ、置換若しくは非置換のC1〜C6アルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のC1〜C6アシルオキシ、及び置換若しくは非置換のアミノからなる群より選択される1価基である。本実施形態において、R2は、非置換の前記基であることが好ましい。
特に好ましくは、式(I)で表される化合物は、
R1が、OHであり、
R2が、プロパン-2-イル、ブタン-2-イル、ペンタン-3-イル、ペンタ-2-エン-3-イル又はフェニルであり、且つ
R3が、エチルであるか、或いは
R1が、OHであり、
R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つ
R3が、1-ヒドロキシエチルである。
とりわけ特に好ましい式(P-I)及び式(I)で表される化合物は、以下:
(E)-2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)ジヒドロフラン-3(2H)-オン (PP11038A) (化合物1-A);
(E)-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-2-(1-ヒドロキシエチル)-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)ジヒドロフラン-3(2H)-オン (PP11038C) (化合物1-C);
2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-フェニルフラン-3(2H)-オン(化合物8);
2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフラン-3(2H)-オン (化合物10);
5-(sec-ブチル)-2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシフラン-3(2H)-オン (化合物11);
2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (化合物12);
(E)-4-ベンジル-2-エチル-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン(化合物22);
(E)-2-ベンジル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (化合物34);
(E)-4-(シクロヘキシルメチル)-2-エチル-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (化合物21);
(E)-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (化合物32);及び
(E)-2-ブチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (化合物33);
からなる群より選択される。
本発明において、式(P-I)及び式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(P-II)、(P-III)、(P-IV)、(P-V)、(P-VI)及び(P-VII)、及び式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。本発明の前記各式で表される化合物の塩としては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、若しくは置換若しくは非置換のアンモニウムイオンのようなカチオンとの塩、又は塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸若しくはリン酸のような無機酸、又はギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、p-トルエンスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸のような有機酸アニオンとの塩が好ましい。式(P-I)及び式(I)で表される化合物が前記の塩の形態である場合、骨代謝阻害活性及び安全性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。また、前記各式で表される化合物が前記の塩の形態である場合、以下において説明する本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の製造方法に適用することができる。
式(P-I)及び式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(P-II)、(P-III)、(P-IV)、(P-V)、(P-VI)及び(P-VII)、及び式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される化合物は、前記又は下記の化合物自体だけでなく、該化合物又はその塩の溶媒和物も包含する。前記化合物又はその塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール(イソプロピルアルコール)のような1〜6の炭素原子数を有するアルコール)、高級アルコール(例えば、1-ヘプタノール若しくは1-オクタノールのような7以上の炭素原子数を有するアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒、又は水が好ましい。式(P-I)及び式(I)で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、骨代謝阻害活性及び安全性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。また、前記各式で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、以下において説明する本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の製造方法に適用することができる。
式(P-I)及び式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(P-II)、(P-III)、(P-IV)、(P-V)、(P-VI)及び(P-VII)、及び式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される化合物は、前記又は下記の化合物自体だけでなく、その保護形態も包含する。本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数の官能基(例えばヒドロキシル基又はカルボン酸基)に保護基が導入された形態を意味する。本明細書において、前記各式で表される化合物の保護形態を、前記各式で表される化合物の保護誘導体と記載する場合がある。また、本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。前記化合物の保護形態を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基の保護基の場合、シリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))、又はアルコキシ(例えば、メトキシメトキシ(MOM)若しくはメトキシ(Me))が、カルボン酸基の保護基の場合、アルキルエステル(例えばメチル、エチル若しくはイソプロピルエステル)、アリールアルキルエステル(例えばベンジルエステル)、又はアミド(例えばオキサゾリジノン類とのアミド)が、それぞれ好ましい。前記保護基による保護化及び脱保護化は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜実施することができる。前記各式で表される化合物が前記の保護基による保護形態である場合であっても、以下において説明する本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の製造方法に適用することができる。
式(P-I)及び式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(P-II)、(P-III)、(P-IV)、(P-V)、(P-VI)及び(P-VII)、及び式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される化合物が1又は複数の互変異性体を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々の互変異性体の形態も包含する。
また、式(P-I)及び式(I)で表される化合物、並びに以下において説明する式(P-II)、(P-III)、(P-IV)、(P-V)、(P-VI)及び(P-VII)、及び式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される化合物が1又は複数の立体中心(キラル中心)を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物も包含する。但し、前記各式において、絶対立体配置が特定されているキラル中心については、該特定されている絶対立体配置のみを有する。
前記特徴を有することにより、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、高い骨代謝阻害活性及び高い安全性を発現することができる。
<2. 培養的手段による新規化合物の製造方法>
本発明者らは、土壌から分離した新規放線菌が、式(P-I)及び式(I)で表される化合物に包含される化合物PP11038A及びPP11038C、並びにその類縁体PP11038Bをその培養液中に産生することを見出した。それ故、本発明の別の一態様は、新規放線菌を用いる本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を製造する方法に関する。
本態様において、本発明の方法は、化合物蓄積工程及び化合物精製工程を含むことが必要である。以下、各工程について、詳細に説明する。
[2-1. 化合物蓄積工程]
一態様において、本発明の方法は、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトマイセス属菌PP11038株(NITE P-02163)又はその変異株である微生物を培地中で培養して、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を該培地中に蓄積させる、化合物蓄積工程を含むことが必要である。
ストレプトマイセス属菌PP11038株は、日本国東京都台東区の土壌より分離されたストレプトマイセス属に属する新規放線菌である。本菌株は、PP11038として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託されている(NITE P-02163)。
本工程において、培養に使用される微生物は、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトマイセス属菌PP11038株又はその変異株であることが好ましく、ストレプトマイセス属菌PP11038株であることがより好ましい。本発明において、ストレプトマイセス属菌PP11038株の変異株は、ストレプトマイセス属菌PP11038株の自然変異株又は人工変異株を意味する。ストレプトマイセス属菌PP11038株の人工変異株は、当該技術分野で通常使用される任意の人工変異株の作出手段によって得ることができる。ストレプトマイセス属菌PP11038株自体だけでなく、ストレプトマイセス属菌PP11038株の変異株であっても、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を産生する能力を有する微生物であれば、本工程において式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を培地中に蓄積することができる。それ故、前記微生物を使用することにより、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を培地中に大量に蓄積させることができる。
微生物の培養に使用される培地は、該微生物の性質に基づき適宜選択することができる。培地は、通常は、1個以上の炭素源及び1個以上の窒素源、並びに場合により1個以上の無機塩及び1個以上のビタミンを含有する。炭素源としては、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、デキストリン及びデンプン等の糖類、並びに大豆油等の植物性油脂類を挙げることができる。窒素源としては、ポリペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、大豆粉、綿実粉、コーン・スティーブ・リカー、カゼイン、アミノ酸、尿素、アンモニウム塩及び硝酸塩を挙げることができる。無機塩としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、銅イオン、コバルトイオン又は亜鉛イオン等のカチオンと、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸又はリン酸のような無機酸アニオンとの塩を挙げることができる。本工程において使用される培地は、例えば、GPY培地(1.0% グルコース、0.4% ポリペプトン、0.4% Bacto-酵母エキス、0.05% MgSO4・7H2O、0.1% K2HPO4、pH 無調整)、GSSY培地(2.0% グリセロール、2.0% 可溶性デンプン、0.5% 大豆粕、0.5% 酵母エキス、0.3% CaCO3)、GOT改変培地(2.0% グリセロール、1.5% オートミール、0.5% トマトペースト、0.3% 炭酸カルシウム、pH7.0)、又は1.0% グリセロール、1.0% 可溶性デンプン、0.25% 大豆粕、0.25% 酵母エキス、0.3% CaCO3、pH7.0培地が好ましい。前記培地中で、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトマイセス属菌PP11038株又はその変異株である微生物を培養することにより、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を該培地中に蓄積させることができる。
微生物の培養は、固体培養又は液体培養のいずれであってもよい。大スケールで前記微生物を培養する場合には、液体培養であることが好ましい。この場合、培養容器の振盪、プロペラ等による培地の攪拌、又はポンプ等による空気の吹き込みによって培地中に通気することが好ましい。培地中に導入される空気は、滅菌フィルター等の滅菌手段を用いて滅菌することが好ましい。前記条件で微生物を培養することにより、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を効率的に培地中に蓄積させることができる。
大スケールで前記微生物を培養する場合、予め少量の培地中で前記微生物を培養(以下、「種培養」とも記載する)し、その後、種培養で得られた培養物を大容量の培地に植菌して培養(以下、「生産培養」とも記載する)することが好ましい。この場合、種培養及び生産培養に使用される培地の成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。種培養及び生産培養を含む複数段階の培養によって本工程を実施することにより、微生物の生育の遅延を実質的に抑制することができる。
本工程において、微生物を培養する条件は、該微生物の性質に基づき適宜設定することができる。培養温度は、通常は20〜30℃の範囲であり、典型的には約25℃である。培地のpHは、通常はpH 2〜8であり、典型的にはpH 7.2である。培養期間は、液体培地を振盪培養する場合、種培養及び生産培養の合計として、通常は3〜14日間であり、典型的には5〜7日間である。前記条件で微生物を培養することにより、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を効率的に培地中に蓄積させることができる。
[2-2. 化合物蓄積工程]
一態様において、本発明の方法は、化合物蓄積工程で得られた本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を前記微生物の培養物から精製する、化合物精製工程を含むことが必要である。
本工程において、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を微生物の培養物から精製する手段としては、当該技術分野で通常使用される有機化合物の分離法を使用することができる。式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を微生物の培養物から精製する手段としては、例えば、抽出、濾過、遠心分離、吸着、再結晶、蒸留、及び各種クロマトグラフィー等を挙げることができる。好ましくは、本工程は、化合物蓄積工程で得られた微生物の培養物から濾過又は遠心分離等によって菌体を分離する工程、分離した菌体をアセトン等の水混和性有機溶媒で抽出する工程、水混和性有機溶媒で抽出した菌体抽出物を酢酸エチル等の水非混和性有機溶媒で抽出する工程、及び水非混和性有機溶媒で抽出した脂溶性成分を分取クロマトグラフィー等の手段でさらに分離して、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を得る工程を含む。前記分取クロマトグラフィーとしては、吸着、分配又はゲル濾過等の各種クロマトグラフィーを適用することができる。最終工程において、分取クロマトグラフィーで得られた画分を、例えば再結晶又は蒸留等の手段でさらに精製してもよい。前記各工程は、所望により同一又は異なる条件下で複数回繰り返してもよい。前記手段を用いることにより、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を微生物の培養物から精製し単離することができる。
本態様の培養的手段による本発明の化合物の製造方法において、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、RP1及びR1が、OHであり、RP2及びR2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、RP3及びR3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであり、且つRP4が、存在する場合、2-エチルブチルであるか、或いは、RP1及びR1が、Hであり、RP2及びR2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、RP3及びR3が、エチルであり、且つRP4が、存在する場合、2-エチルブチルであることが好ましい。この場合、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、ストレプトマイセス属菌PP11038株が産生する化合物PP11038A、B及びCである。特に好ましくは、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、RP1及びR1が、OHであり、RP2及びR2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、RP3及びR3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであり、且つRP4が、存在する場合、2-エチルブチルである。この場合、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、ストレプトマイセス属菌PP11038株が産生する化合物PP11038A及びCである。本態様の方法を用いることにより、化合物PP11038A、B及びC、特に化合物PP11038A及びCに対応する式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を効率的に製造することができる。
以上の特徴を有する本態様の培養的手段による本発明の化合物の製造方法により、医薬の有効成分となり得る本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を、高純度且つ低コストで大量に提供することができる。
本発明の別の一態様は、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトマイセス属菌PP11038株(NITE P-02163)又はその変異株である微生物に関する。本態様において、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、RP1及びR1が、OHであり、RP2及びR2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、RP3及びR3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであり、且つRP4が、存在する場合、2-エチルブチルであるか、或いは、RP1及びR1が、Hであり、RP2及びR2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、RP3及びR3が、エチルであり、且つRP4が、存在する場合、2-エチルブチルであることが好ましい。特に好ましくは、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、RP1及びR1が、OHであり、RP2及びR2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、RP3及びR3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであり、且つRP4が、存在する場合、2-エチルブチルである。本態様の微生物を用いることにより、化合物PP11038A、B及びC、特に化合物PP11038A及びCに対応する式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を効率的に製造することができる。
<3. 合成的手段による新規化合物の製造方法>
本発明者らは、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を、天然物であるPP11038A、PP11038B又はPP11038Cを原料とすることなく、テトラヒドロフラン-2,4-ジオール骨格を有する化合物、特に3-(2-エチルブチル)テトラヒドロフラン-2,4-ジオール骨格を有する化合物を反応中間体として合成できることを見出した。それ故、本発明の別の一態様は、合成的手段による本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を製造する方法に関する。
本態様において、本発明の方法は、側鎖導入工程を含むことが必要である。以下、各工程について、詳細に説明する。
[3-1. 側鎖導入工程]
一態様において、本発明の方法は、式(P-VI):
Figure 0006927483
で表される化合物と、式(P-VII):
RP2-M (P-VII)
で表される化合物とを反応させて、式(P-I)で表される化合物を得る、側鎖導入工程を含むことが必要である。
本態様の一実施形態において、本発明の方法は、式(VI):
Figure 0006927483
で表される化合物と、式(VII):
R2-M (VII)
で表される化合物とを反応させて、式(I)で表される化合物を得る、側鎖導入工程を含むことが必要である。
式(P-VI)で表される化合物は、例えば、
RP4-OHの一級アルコールをハロゲン化して、式(P-II):
RP4-X21 (P-II)
[式中、RP4は、前記と同義であり、X21は、ハロゲンである。]
で表される化合物を得る、ハロゲン化工程;
式(P-II)で表される化合物と式(P-III):
Figure 0006927483
[式中、RP3は、前記と同義であり、R31は、置換若しくは非置換のアルキルである。]
で表される化合物とを反応させて、式(P-IV):
Figure 0006927483
[式中、RP3及びRP4は、前記と同義であり、R31は、前記と同義である。]
で表される化合物を得る、分岐不飽和エステル形成工程;
式(P-IV)で表される化合物を分子内環化させて、式(P-V):
Figure 0006927483
で表される化合物を得る、分子内環化工程;
式(P-V)で表される化合物のカルボニル基を還元して、式(P-VI)で表される化合物を得る、還元工程;
を含む方法により、調製することができる。
特定の実施形態において、式(VI)で表される化合物は、例えば、
2-エチルブタン-1-オールをハロゲン化して、式(II):
Figure 0006927483
[式中、X21は、ハロゲンである。]
で表される化合物を得る、ハロゲン化工程;
式(II)で表される化合物と式(III):
Figure 0006927483
[式中、R31は、置換若しくは非置換のアルキルである。]
で表される化合物とを反応させて、式(IV):
Figure 0006927483
[式中、R31は、前記と同義である。]
で表される化合物を得る、分岐不飽和エステル形成工程;
式(IV)で表される化合物を分子内環化させて、式(V):
Figure 0006927483
で表される化合物を得る、分子内環化工程;
式(V)で表される化合物のカルボニル基を還元して、式(VI)で表される化合物を得る、還元工程;
を含む方法により、調製することができる。
式(P-VI)、特に式(VI)で表される化合物の調製において、各工程の反応条件は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜設定することができる。ハロゲン化工程は、例えば、I2等のハロゲン分子、PPh3及びイミダゾールを用いて実施することができる。分岐不飽和エステル形成工程は、例えば、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の強塩基を用いて実施することができる。分子内環化工程は、例えば、OsO4及びN-メチルモルホリンオキシド(NMO)を用いて実施することができる。還元工程は、例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)等の還元剤を用いて実施することができる。式(P-VI)、特に式(VI)で表される化合物の調製は、前記で例示した反応剤を用いる反応に限定されず、任意の他の反応を適用して実施してもよい。或いは、式(P-VI)、特に式(VI)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよい。
式(P-III)、(P-IV)、(P-V)及び(P-VI)において、RP3は、前記と同義である。また、式(III)、(IV)、(V)及び(VI)において、R3は、前記と同義である。
式(P-VII)において、RP2は、前記と同義である。また、式(VII)において、R2は、前記と同義である。
式(P-VII)及び式(VII)において、Mは、-MgX、Li又は-NHNH-SO2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)であり、Xは、ハロゲンであることが必要である。Xは、F、Cl、Br又はIであることが好ましい。
Mが-MgXの場合、式(P-VII)及び式(VII)で表される化合物は、グリニヤール試薬としても知られる化合物である。この場合、式(P-VII)、特に式(VII)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよく、グリニヤール試薬の調製方法として当該技術分野で公知の反応条件に基づき調製してもよい。例えば、式(P-VII)、特に式(VII)で表される化合物は、R2-Xで表されるハロゲン化アルキルとマグネシウムとを反応させることにより、調製することができる。
MがLiの場合、式(P-VII)及び式(VII)で表される化合物は、有機リチウム化合物としても知られる化合物である。この場合、式(P-VII)、特に式(VII)で表される化合物は、予め調製された該化合物を購入等して準備してもよく、有機リチウム化合物の調製方法として当該技術分野で公知の反応条件に基づき調製してもよい。
Mが-NHNH-SO2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)の場合、式(P-VII)、特に式(VII)で表される化合物は、公知文献(D. G. Rhys及びP. A. Leo, Organometallics, 1982年, 第1巻, p. 1449-1453)に記載の方法に基づき調製することができる。
本工程において、式(P-VI)、特に式(VI)で表される化合物と、式(P-VII)、特に式(VII)で表される化合物とを反応させる条件は、グリニヤール反応又は有機リチウム化合物の反応の公知の反応条件に基づき、当業者が適宜設定することができる。本工程の反応は、例えば、式(P-VI)、特に式(VI)で表される化合物と、式(P-VII)、特に式(VII)で表される化合物とを、THF又はジエチルエーテル等の溶媒中で反応させることにより、実施することができる。この場合、反応温度は、室温以下の温度であることが好ましく、-80℃〜室温(例えば、約25℃)の範囲であることがより好ましい。反応時間は、0.5時間以上であることが好ましく、0.5〜6時間の範囲であることがより好ましい。反応後、得られた粗生成物を、所望により、無水トリフルオロ酢酸(TFAA)等の強酸を用いて後処理することが好ましい。前記反応により、式(P-VI)、特に式(VI)で表される化合物と、式(P-VII)、特に式(VII)で表される化合物とを反応させて、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を得ることができる。
本態様の合成的手段による本発明の化合物の製造方法において、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、RP1及びR1が、OHである。好ましくは、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、RP1及びR1がOHである、前記で例示した任意の化合物である。本態様の方法を用いることにより、RP1及びR1がOHである式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を効率的に製造することができる。
本態様の合成的手段による本発明の化合物の製造方法により、天然物であるPP11038A、PP11038B又はPP11038Cを原料とすることなく、テトラヒドロフラン-2,4-ジオール骨格を有する化合物、特に3-(2-エチルブチル)テトラヒドロフラン-2,4-ジオール骨格を有する化合物を反応中間体として、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を製造することができる。それ故、本態様の合成的手段による本発明の化合物の製造方法により、薬の有効成分となり得る本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物、又は該化合物から誘導される多様な化合物を、高純度且つ低コストで大量に提供することができる。
<4. 医薬用途>
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、高いBMPシグナル伝達阻害活性を有する一方で、BMPシグナル伝達阻害活性を発現する濃度範囲において細胞毒性を実質的に示さない。それ故、本発明の一態様は、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含むBMPシグナル伝達阻害剤に関する。また、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を対象に投与した場合、高いBMPシグナル伝達阻害活性を介して骨代謝阻害活性を発現して、骨代謝異常によって引き起こされる該対象の有する特定の疾患、症状若しくは障害を予防又は治療し得る。それ故、本発明の別の一態様は、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む骨代謝阻害剤又は医薬に関する。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物のBMPシグナル伝達阻害活性は、限定するものではないが、例えば、成長マウスの筋再生部より樹立された筋芽細胞株であるC2C12細胞をモデル実験系として、決定することができる(T. Katagiriら, J. Cell Biol., 1994年, 第127巻, p. 1755-1766)。BMPによって誘導されるC2C12細胞から骨芽細胞への分化誘導系に特定の化合物を添加すると、骨芽細胞への分化、すなわち骨代謝が阻害され、アルカリホスファターゼの発現量が減少する。このため、アルカリホスファターゼ活性を指標に、C2C12細胞から骨芽細胞への分化誘導系に対するBMPシグナル伝達阻害活性、すなわち骨代謝阻害活性を評価することができる(T. Fukudaら, J. Biol. Chem., 2009年, 第284巻, p. 7149-7156)。この場合、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物のBMPシグナル伝達阻害活性は、例えば、以下の手順で決定することができる。ALK2の206番目のアルギニンをヒスチジンに点変異させた遺伝子を安定導入したマウス筋由来C2C12細胞(以下、「C2C12(R206H)細胞」とも記載する)を、所定の培地に懸濁して細胞懸濁液を調製する。この細胞懸濁液を、96穴マイクロプレートの各ウェルに所定量ずつ播種する。細胞播種後のマイクロプレートを炭酸ガスインキュベーターに移し、細胞を一定期間培養した後、各ウェルの培地を、所定量の組換えヒトBMP-4を含む培地に交換する。所定のウェルに、所定の終濃度の試験化合物を添加する。その後、細胞を一定期間培養する。培養終了後、培養上清を除去して細胞を洗浄する。固定溶液を用いて、細胞を固定する。細胞を洗浄した後、4-ニトロフェニルホスフェート(4-NPP)溶液を各ウェルに分注する。所定の条件下で酵素反応を行った後、各ウェルの溶液の波長405 nmにおける吸光度を、マイクロプレートリーダーを用いて測定する。各試験化合物のBMPシグナル伝達阻害率を、得られた吸光度の値に基づき算出することができる。本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物のBMPシグナル伝達阻害活性は、前記手順により決定したBMPシグナル伝達阻害活性の阻害率に基づき、BMPシグナル伝達を50%阻害する本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の濃度(IC50)として表すことが好ましい。本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、前記手順により決定したBMPシグナル伝達阻害活性のIC50値が、通常は50 μM以下、典型的には20 μM以下、特に15 μM以下である。前記範囲のIC50値を有する場合、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、高いBMPシグナル伝達阻害活性を発現することができる。また、この場合、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、高いBMPシグナル伝達阻害活性を介して骨代謝阻害活性を発現することができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の骨代謝阻害活性は、前記で説明したBMPシグナル伝達阻害活性に基づき決定することができる。或いは、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の骨代謝阻害活性は、限定するものではないが、例えば、骨化シグナルを伝達するALK2若しくはSMAD4に対する抗体を用いたウェスタンブロティング法又は免疫染色法による検出、培養上清中に放出されるオステオカルシン量の測定、又は副甲状腺ホルモンに対する応答性の測定を実施することにより決定することもできる(T. Katagiriら, J. Cell Biol., 1994年, 第127巻, p. 1755-1766)。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の安全性は、限定するものではないが、例えば、チアゾリルブルー臭化テトラゾリル(MTT)を用いるMTT評価法(Mosmannら, J Immunol Methods, 1983年, 第65巻, p. 55-63)により、該化合物の細胞毒性を評価することにより、決定することができる。本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の細胞毒性は、前記手順により決定した細胞毒性の阻害率に基づき、細胞毒性の発現を50%阻害する本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の濃度(IC50)として表すことが好ましい。本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、前記手順により決定した細胞毒性のIC50値が、通常は10 μM以上、典型的には20 μM以上、特に30 μM以上である。前記範囲のIC50値を有する場合、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、細胞毒性のIC50値未満の濃度範囲において実質的に細胞毒性を発現することなく安全に使用することができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物の製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物も包含する。本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物としては、限定するものではないが、例えば、前記で例示した塩又は溶媒和物が好ましい。式(P-I)、特に式(I)で表される化合物が前記の塩又は溶媒和物の形態である場合、骨代謝阻害活性を実質的に低下させることなく、且つ/又は細胞毒性を実質的に増大させることなく、該化合物を所望の医薬用途に適用することができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物のプロドラッグ形態も包含する。本明細書において、「プロドラッグ」は、生体内で親薬物に変換される化合物を意味する。前記化合物のプロドラッグ形態としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基が存在する場合、該ヒドロキシル基と任意のカルボン酸とのエステル、及び該ヒドロキシル基と任意のアミンとのアミド等を挙げることができる。本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物が前記のプロドラッグ形態である場合、親薬物である式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の骨代謝阻害活性を実質的に低下させることなく、且つ/又は細胞毒性を実質的に増大させることなく、対象へのプロドラッグ形態の投与時の薬物動態を向上させることができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、該化合物を単独で使用してもよく、1種以上の製薬上許容される成分と組み合わせて使用してもよい。本発明の医薬は、所望の投与方法に応じて、当該技術分野で通常使用される様々な剤形に製剤されることができる。それ故、本発明の医薬はまた、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物の形態で提供されることもできる。本発明の医薬組成物は、前記成分に加えて、製薬上許容される1種以上の媒体(例えば、滅菌水のような溶媒又は生理食塩水のような溶液)、賦形剤、結合剤、ビヒクル、溶解補助剤、防腐剤、安定剤、膨化剤、潤滑剤、界面活性剤、乳化剤、油性液(例えば、植物油)、懸濁剤、緩衝剤、無痛化剤、酸化防止剤、甘味剤及び香味剤等を含んでもよい。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬の剤形は、特に限定されず、非経口投与に使用するための製剤であってもよく、経口投与に使用するための製剤であってもよい。また、本発明の医薬の剤形は、単位用量形態の製剤であってもよく、複数投与形態の製剤であってもよい。非経口投与に使用するための製剤としては、例えば、水若しくはそれ以外の製薬上許容される媒体との無菌性溶液又は懸濁液等の注射剤を挙げることができる。注射剤に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、生理食塩水、ブドウ糖若しくはその他の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、D-マンノース若しくは塩化ナトリウム)を含む等張液のようなビヒクル、アルコール(例えばエタノール若しくはベンジルアルコール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール)若しくはエステル(例えば安息香酸ベンジル)のような溶解補助剤、ポリソルベート80(商標)又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のような非イオン性界面活性剤、ゴマ油又は大豆油のような油性液、リン酸塩緩衝液又は酢酸ナトリウム緩衝液のような緩衝剤、塩化ベンザルコニウム又は塩酸プロカインのような無痛化剤、ヒト血清アルブミン又はポリエチレングリコールのような安定剤、保存剤、並びに酸化防止剤等を挙げることができる。調製された注射剤は、通常、適当なバイアル(例えばアンプル)に充填され、使用時まで適切な環境下で保存される。
経口投与に使用するための製剤としては、例えば、錠剤、丸薬、散剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁液等を挙げることができる。錠剤は、所望により、糖衣又は溶解性被膜を施した糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠又はフィルムコーティング錠の剤形として製剤してもよく、或いは二重錠又は多層錠の剤形として製剤してもよい。
錠剤又はカプセル剤等に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム又はアラビアゴムのような結合剤;結晶性セルロース、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン又はケイ酸のような賦形剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉又は乳糖のような崩壊剤;白糖、ステアリンカカオバター又は水素添加油のような崩壊抑制剤;第四級アンモニウム塩又はラウリル硫酸ナトリウムのような吸収促進剤;グリセリン又はデンプンのような保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト又はコロイド状ケイ酸のような吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸マグネシウム)、ホウ酸末又はポリエチレングリコールのような潤滑剤;ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤;及びペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤等を挙げることができる。製剤がカプセル剤の場合、さらに油脂のような液状担体を含有してもよい。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、デポー製剤として製剤化することもできる。この場合、デポー製剤の剤形の本発明の医薬を、例えば皮下若しくは筋肉に埋め込み、又は筋肉注射により投与することができる。本発明の医薬をデポー製剤に適用することにより、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の骨代謝阻害活性を、長期間に亘って持続的に発現することができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、医薬として有用な1種以上の他の薬剤と併用することもできる。本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物と併用される他の薬剤としては、限定するものではないが、例えば、ステロイド、非ステロイド性消炎鎮痛剤及びビスフォスフォネート等を挙げることができる。この場合、本発明の医薬は、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを含む併用医薬の形態となる。前記併用医薬は、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを組み合わせてなる医薬組成物の形態であってもよく、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を含む、1種以上の前記他の薬剤と併用される医薬組成物の形態であってもよい。本発明の医薬が前記のような併用医薬の形態である場合、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の他の薬剤とを含む、単一製剤の形態で提供されてもよく、1種以上の他の薬剤とが別々に製剤化された複数の製剤を含む医薬組合せ又はキットの形態で提供されてもよい。医薬組合せ又はキットの形態の場合、それぞれの製剤を同時又は別々に(例えば連続的に)投与することができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、高いBMPシグナル伝達阻害活性を有する。ALK2受容体を介したBMPシグナル伝達経路は、FOPの主な原因であるだけでなく、他の骨代謝異常に起因する疾患等にも関連性があると考えられている。このため、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、FOPを含む骨代謝異常に起因する多数の疾患、症状及び/又は障害を、予防又は治療することができる。前記疾患、症状及び/又は障害としては、限定するものではないが、例えば、進行性骨化性繊維異形成症(FOP)、悪性の高カルシウム血症、異骨症、異常に増大した骨代謝回転、異所性石灰化、Ehlers-Danlos症候群、オズグッドーシュラッター病、外傷性異所性骨化、外反母趾、顎骨顔面骨再建、関節軟骨石灰化症、関節リウマチ、偽悪性転位骨化症、Kienbock病、基節骨短縮症、筋拘縮症、クル病、グルココルチコイド誘導骨粗鬆症、脛骨開放性骨折、頸部脊椎症、限局性骨化性筋炎、原発性肺高血圧症、原発性副甲状腺機能亢進症、後縦靭帯骨化症、甲状腺機能亢進症、骨延長、骨幹端異形成症、骨形成不全症、骨原性腫瘤、骨硬化症、骨硬化型転移性骨腫瘍、後縦靭帯骨化症、骨折、骨線条症、骨粗鬆症、骨軟化症、骨軟骨異形成症、骨肉腫、骨Paget病、骨斑紋症、骨蝋流症、酸素供給不足による骨化、歯周病、歯喪失、若年性ポリポーシス、消化器癌、小耳症軟骨欠損、神経性骨化症、進行性化骨性筋炎、進行性骨化性繊維異形成症、腎性骨異栄養症、脊柱管狭窄症、脊柱後彎症、脊柱前彎症、脊柱側彎症、脊椎骨幹端異形成症、脊椎骨端異形成症、脊椎分離症、脊椎分離辷り症、先天性筋性斜頸、先天性股関節脱臼、先天性多発性関節拘縮症、先天性内反足、側彎症、大腿骨頭壊死、大理石骨病、多発性骨癒合症、多発性骨髄腫、短指症、中手骨短縮症、中節骨短縮症、椎間板変性、転移性骨疾患、転移性骨腫瘍、特発性大腿骨頭壊死、内反足、軟骨外胚葉異形成症、軟骨形成不全症、軟骨無形成症、ハーラー症候群、閉経後骨粗鬆症、ペルテス病、変形性関節症、変形性脊椎症、変性辷り症、補綴具周囲の骨溶解、末節骨短縮症、マルファン症候群、慢性関節リウマチ、慢性腎障害、無耳症、メラーバロウ病、モルキオ病、腰椎椎間板ヘルニア、及び離断性骨軟骨炎を挙げることができる。前記疾患、症状及び/又は障害は、FOP又は外傷性異所性骨化であることが好ましくい。前記疾患、症状若しくは障害の予防又は治療を必要とする対象に本発明の医薬を投与することにより、前記疾患、症状若しくは障害を予防又は治療することができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、BMPシグナル伝達が関与する骨代謝異常に起因する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする様々な対象に適用することができる。前記対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の被験体又は患者であることが好ましい。前記対象に本発明の医薬を投与することにより、該対象における骨代謝異常に起因する種々の疾患、症状及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本明細書において、「予防」は、症状、疾患及び/又は障害の発生(発症又は発現)を実質的に防止することを意味する。また、本明細書において、「治療」は、発生(発症又は発現)した症状、疾患及び/又は障害を抑制(例えば進行の抑制)、軽快、修復及び/又は治癒することを意味する。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、前記で説明したBMPシグナル伝達が関与する骨代謝異常に起因する症状、疾患及び/又は障害(例えば、FOP若しくは外傷性異所性骨化)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本発明の医薬は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用するための医薬であることが好ましく、FOP若しくは外傷性異所性骨化の予防又は治療に使用するための医薬であることがより好ましい。本発明の医薬を、BMPシグナル伝達が関与する骨代謝異常に起因する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物のBMPシグナル伝達阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、FOP若しくは外傷性異所性骨化)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本発明の一実施形態は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、有効量の本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を投与することを含む、前記疾患、症状若しくは障害の予防又は治療方法である。前記症状、疾患及び/又は障害は、FOP又は外傷性異所性骨化であることが好ましい。BMPシグナル伝達が関与する骨代謝異常に起因する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物を投与することにより、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物のBMPシグナル伝達阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の他の一実施形態は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、FOP若しくは外傷性異所性骨化)の予防又は治療に使用するための、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物である。本発明の別の実施形態は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、FOP若しくは外傷性異所性骨化)の予防又は治療に用いるための医薬の製造のための、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物の使用である。前記症状、疾患及び/又は障害は、FOP又は外傷性異所性骨化であることが好ましい。本発明の医薬を、BMPシグナル伝達が関与する骨代謝異常に起因する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物のBMPシグナル伝達阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬を、対象、特にヒト患者に投与する場合、正確な用量及び用法(例えば、投与量、投与回数及び/又は投与経路)は、対象の年齢、性別、予防又は治療されるべき症状、疾患及び/又は障害の正確な状態(例えば重症度)、並びに投与経路等の多くの要因を鑑みて、担当医が治療上有効な投与量、投与回数及び投与経路等を考慮して、最終的に決定すべきである。それ故、本発明の医薬において、有効成分である式(P-I)、特に式(I)で表される化合物は、治療上有効な量及び回数で、対象に投与される。例えば、本発明の医薬をヒト患者に投与する場合、有効成分である式(P-I)、特に式(I)で表される化合物の投与量は、通常は、1回投与あたり、0.001〜100 mg/kg体重の範囲であり、典型的には、1回投与あたり、0.01〜10 mg/kg体重の範囲であり、特に、1回投与あたり、0.1〜10 mg/kg体重の範囲である。また、本発明の医薬の投与回数は、例えば、1日に1回又は複数回、或いは数日に1回とすることができる。また、本発明の医薬の投与経路は、特に限定されず、経口的に投与されてもよく、非経口的(例えば、直腸内、径粘膜、腸内、筋肉内、皮下、骨髄内、鞘内、直接心室内、静脈内、硝子体内、腹腔内、鼻腔内又は眼内)に単回若しくは複数回投与されてもよい。本発明の医薬を、前記の用量及び用法で使用することにより、本発明の一態様の式(P-I)、特に式(I)で表される化合物のBMPシグナル伝達阻害活性を介して、BMPシグナル伝達が関与する骨代謝異常に起因する前記症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I. 培養的手段による新規化合物の製造>
[試薬]
グルコース、グリセロール及びCaCO3は、関東化学株式会社より購入した。寒天は、清水食品株式会社より購入した。K2HPO4、可溶性デンプン、ポリペプトン及びMgSO4・7H2Oは、和光純薬工業株式会社より購入した。大豆粕は、株式会社田中竜商店より購入した。Bacto-酵母エキス及びBacto-麦芽エキスは、Becton Dickinson社より購入した。アセトン、酢酸エチル及びヘキサンは、ナカライテスク社より購入した。Na2SO4及びH3PO4 は、関東化学株式会社より購入した。
[材料]
Sepabeads SP2MGS樹脂は、三菱化学株式会社より購入した。
[使用機器]
回転型振盪培養器は、TB-C-60R(高崎科学)を用いた。pHメーターは、B-212(HORIBA 社)を用いた。光学顕微鏡は、JSM-5600(JEOL社)を用いた。超高速液体クロマトグラフィー(UFLC)は、カラムとしてShin pack XR-ODS(φ2.0×75 mm、島津製作所)を装填したProminence UFLC システム (島津製作所) を用いた。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、ポンプにPU-1580 (GULLIVER) を、検出器にUV-1575 (GULLIVER) を、レコーダーにSS-250F (SEKONIC) を装備したHPLCシステムを用いた。分取カラムは、SILICA (φ10×250 mm、SHISEIDO) を用いた。遠心分離器は、KUBOTA 8100 (久保田製作所) を用いた。
1H-NMRスペクトルは、Agilent Technologies NMR System-400(400 MHz)又はMERCURY-400(400 MHz)装置を、13C-NMRスペクトルは、Agilent Technologies NMR System-400(100 MHz)又はMERCURY-400(100 MHz)装置を用いて測定した。本明細書において、NMRスペクトルの化学シフトは、δ(ppm)で表し、カップリングパターンは、以下の略語で示した。s:一重線;d:二重線;m:多重線;t:三重線;q:四重線;qn:五重線;sep:七重線;dd:二重の二重線;ddd: 二重の二重の二重線;dt:二重の三重線;ddt: 二重の二重の三重線;tt:三重の三重線;br:幅広線。
質量(MS)スペクトルは、JEOL JMS-700 Mstation(FABMS)、JEOL JMS-T100LP(ESIMS)又はJEOL JMS-AX505HA(EIMS)により測定した。
赤外線(IR)スペクトルは、FT / IR 460-plus(日本分光社)により測定した。
[培地]
形態観察及び保存用斜面培地には、ISP-2 寒天培地(0.4% グルコース、0.4% Bacto-酵母エキス、1.0% Bacto-麦芽エキス、1.8% 寒天、pH 7.0-7.2)を用いた。種培養には、GPY培地(1.0% グルコース、0.4% ポリペプトン、0.4% Bacto-酵母エキス、0.05% MgSO4・7H2O、0.1% K2HPO4、pH 無調整)を用いた。生産培養には、GSSY培地(2.0% グリセロール、2.0% 可溶性デンプン、0.5% 大豆粕、0.5% 酵母エキス、0.3% CaCO3)又はGOT改変培地(2.0% グリセロール、1.5% オートミール、0.5% トマトペースト、0.3% 炭酸カルシウム、pH7.0)を用いた。
[PP11038株の分離]
PP11038株は、日本国東京都台東区の土壌より分離された放線菌である。PP11038株の形態的特徴、培養性状及び生理的性状に基づき、公知菌種との比較を行った。その結果、本菌株は、ストレプトマイセス属に属する新規菌株であることが明らかとなった。本菌株を、PP11038株と命名した。本菌株は、PP11038として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託されている(NITE P-02163)。PP11038株の菌学的性質は、以下の通りである。
1. 形態的特徴
PP11038株は、ISP-2 寒天培地等の合成栄養寒天培地、ワックスマン寒天培地等の培地で良好に生育した。ISP-2 寒天培地上で、25℃、好気的条件下で2週間生育させたコロニーを顕微鏡で観察したところ、0.8〜0.9 μmの幅を有する気菌糸が観察された。また、螺旋状の連鎖胞子の形成が確認された。
2. 培養性状
ISP-2 寒天培地上で、25℃、好気的条件下で2週間生育させたPP11038株のコロニーは、5〜10 mmのコロニー半径を有した。コロニー表面は、綿状の形状であった。コロニーの表面において、気菌糸は白色であり、コロニーの裏面において、基底菌糸は黄色であった。また、水溶性色素は観察されなかった。
3. 生理的性状
PP11038株の最適生育条件は、好気性条件、pH 7.2、温度25℃であった。また、本菌株の生育可能条件は、好気性条件、pH 5〜9の範囲、温度15〜40℃の範囲であった。
[製造例I-1:PP11038株の培養(1)]
500 μLの保存用グリセロール(10% グリセロール)に1コロニー釣菌し、-80℃で保存していたPP11038株を、保存用培地(ISP-2 培地)上で27℃の条件下で培養した。ISP-2 培地で培養したPP11038株を、100 mLのGPY培地を含む500 mL容三角フラスコに植菌し、27℃、180 rpm、3 日間の条件下で振盪培養した(種培養)。その後、得られた種培養液を、100 mLのGSSY培地を含む500 mL容三角フラスコ60本に1.5 mLずつ植菌し、30℃、140 rpm、4 日間の条件下で振盪培養した(生産培養)。
[製造例I-2: PP11038株の培養液からの新規化合物の精製(1)]
4日間の生産培養で得られた6.0 Lの生産培養液を遠心分離(8,000 rpm、15分)して、上清及び菌体を得た。菌体を、等量のアセトンを加えて抽出した。吸引濾過で菌体残渣を除去し、アセトン抽出液を得た。抽出液からアセトンを留去し、得られた水層をpH 3に調整した。この水層に、等量の酢酸エチルを加えて溶媒抽出を行った。得られた酢酸エチル層に、無水Na2SO4 を加えて脱水した。その後、酢酸エチル層を減圧下濃縮し、粗抽出物を得た。得られた粗抽出物に、メタノール及び少量の樹脂 (Sepabeads SP2MGS) を加えた。この混合物を減圧濃縮することで、樹脂に粗抽出物の成分を吸着させた。この樹脂を、Sepabeads SP2MGSオープンカラムクロマトグラフィー (63 g、φ35 mm×160 mm) に供した。樹脂に吸着された粗抽出物の成分を、混合比10:0、9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、3:7、1:9及び0:10のヘキサン:アセトン溶媒系で各300 mLずつ溶出し、60 mL/frで分画した。各画分の溶出液を、減圧下で濃縮乾固した。以下で説明する生物活性試験で活性が認められた混合比9:1のヘキサン:アセトン溶媒溶出画分の第4画分 (64.7 mg) をヘキサンに溶解させて、100 mg/mL溶液を調製した。この溶液を、分取HPLC (カラム:SILICA φ10×250 mm、移動相:混合比95:5のヘキサン:アセトン単一濃度、流速:3 mL/min、検出:UV 330 nm) を用いて分離し、保持時間33分に溶出されるピークを繰り返し分取した。得られた画分を減圧下で濃縮乾固して、単離化合物としてPP11038Aを得た(13.1 mg)。また、Sepabeads SP2MGSオープンカラムクロマトグラフィーにおける混合比10:0のヘキサン:アセトン溶媒溶出画分の第3〜5画分にも、成分Aと類似した UV 吸収を有する成分が認められた。混合比10:0のヘキサン:アセトン溶媒溶出画分の第3〜5画分をヘキサンに溶解させて、100 mg/mL溶液を調製した。この溶液を、分取HPLC (カラム:SILICA φ10×250 mm、移動相:混合比150:1のヘキサン:アセトン単一濃度、流速:3 mL/min、検出:UV 330 nm) を用いて分離し、保持時間46分に溶出されるピークを繰り返し分取した。得られた画分を減圧下で濃縮乾固して、単離化合物としてPP11038Bを得た(12.1 mg)。
[製造例I-3:PP11038株の培養(2)]
製造例1-1と同様の手順で種培養液を調製した。得られた種培養液を、100 mLのGOT改変培地を含む500 mL容三角フラスコ43本に1.5 mLずつ植菌し、30℃、140 rpm、7日間の条件下で振盪培養した(生産培養)。
[製造例I-4: PP11038株の培養液からの新規化合物の精製(2)]
製造例I-3に記載の7日間の生産培養で得られた4.3 Lの生産培養液を用いた他は、製造例1-2と同様の手順で粗抽出物を得た。得られた粗抽出物に、メタノール及び少量の樹脂 (Sepabeads SP2MGS) を加えた。この混合物を減圧濃縮することで、樹脂に粗抽出物の成分を吸着させた。この樹脂を、Sepabeads SP2MGSオープンカラムクロマトグラフィー (33 g、φ30 mm×230 mm) に供した。樹脂に吸着された粗抽出物の成分を、混合比10:0、9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、3:7、1:9及び0:10のヘキサン:アセトン溶媒系で各200 mLずつ溶出し、50 mL/frで分画した。各画分の溶出液を、減圧下で濃縮乾固した。以下で説明する生物活性試験で活性が認められた混合比8:2のヘキサン:アセトン溶媒溶出画分の第4画分 (35.7 mg) をヘキサンに溶解させて、100 mg/mL溶液を調製した。この溶液を、分取HPLC (カラム:SILICA φ10×250 mm、移動相:混合比90:10のヘキサン:アセトン単一濃度、流速:3 mL/min、検出:UV 330 nm) を用いて分離し、保持時間53分に溶出されるピークを繰り返し分取した。得られた画分を減圧下で濃縮乾固して、単離化合物としてPP11038Cを得た(3.1 mg)。
[製造例I-5:新規化合物の構造決定]
IR、1H-NMR、13C-NMR及びMSによる機器分析結果に基づき、PP11038A(1-A)を(E)-2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)ジヒドロフラン-3(2H)-オンと、PP11038B(1-B)を(E)-2-エチル-4-(2-エチルブチル)-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)ジヒドロフラン-3(2H)-オンと、PP11038C(1-C)を(E)-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-2-(1-ヒドロキシエチル)-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)ジヒドロフラン-3(2H)-オンと、それぞれ構造決定した。
Figure 0006927483
[PP11038A(化合物1-A)]
IR (KBr) 3399, 2964, 1685, 1578, 1459, 1399, 1190 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.28 (q, 1H, J = 7.0 Hz, OCC=C[H]), 2.42 (br.q, 2H, J = 1.0, 7.6 Hz, OCCC[H2]CH3), 2.16 (dd, 2H, J = 2.0, 7.0 Hz, OC=CC[H2]), 1.88 (d, 3H, J = 7.0 Hz, OCC=CHC[H3]), 1.93-1.83 (m, 2H, OCC[H2]), 1.51-1.43 (m, 1H, C[H]Et2), 1.30-1.28 (m, 4H, CH (C[H2]CH3)2), 1.03 (t, 3H, J = 7.0 Hz, OCCCH2C[H3]), 0.92 (t, 3H, J = 7.0 Hz, OCCH2C[H3]), 0.83 (t, 3H, J = 7.0 Hz, 1/2 CH(CH2C[H3])2), 0.82 (t, 3H, J = 7.0 Hz, 1/2 CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 203.6, 183.4, 134.4, 133.7, 112.1, 102.3, 39.8, 29.2, 25.7, 25.3, 25.2, 20.3, 13.8, 13.2, 10.8, 10.7, 6.9。
HRMS (ESI-) [M-H]- 次式の計算値:C17H27O3, 279.1960, 実測値:279.1968。
[PP11038B(化合物1-B)]
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ6.28 (q, 1H, J = 7.0 Hz, OCC=C[H]), 2.46 (dq, 2H, J = 1.0, 7.6 Hz, OCCC[H2]CH3), 2.19 (dd, 2H, J = 2.0, 7.0 Hz, OC=CC[H2]), 1.89 (d, 3H, J = 7.0 Hz, OCC=CHC[H3]), 1.96-1.94 (m, 1H, 1/2 OCC[H2]), 1.74-1.69 (m, 1H, 1/2 OCC[H2]), 1.51-1.44 (m, 1H, C[H]Et2), 1.30-1.20 (m, 2H, CH (C[H2]CH3)2), 1.04 (t, 3H, J = 7.0 Hz, OCCCH2C[H3]), 0.95 (t, 3H, J = 7.0 Hz, CH(CH2C[H3])2), 0.85 (t, 3H, J = 7.0 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ208.4, 187.3, 134.5, 135.8, 115.4, 85.6, 41.1, 26.4, 26.4, 26.3, 25.7, 21.4, 13.5, 13.2, 11.6, 11.2, 8.8。
HRMS (ESI+) [M+H]+ 次式の計算値:C17H29O2, 265.2168, 実測値:265.2170。
[PP11038C(化合物1-C)]
IR (KBr) 3423, 2964, 2934, 2876, 1686, 1579, 1459, 1379, 1188, 1103, 1057, 957 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.28 (q, 1H, J = 7.0 Hz, OCC=C[H]), 3.96 (q, 1H, J = 7.0 Hz OC(OH)C[H]OHCH3), 2.42 (m, 2H, OCCC[H2]CH3), 2.16 (d, 2H, J = 7.0 Hz, OC=CC[H2]CHEt2), 1.88 (d, 3H, J = 7.0 Hz, OCC=CHC[H3]), 1.48 (m, 1H, C[H]Et2), 1.24 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 1.17 (d, 3H, J = 7.0 Hz, OC(OH)CH(OH)C[H3]), 1.03 (t, 3H, J = 7.0 Hz, OCCCH2C[H3]), 0.83 (t, 6H, J = 7.0 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 202.1, 184.4, 134.2, 134.2, 112.9, 100.3, 69.6, 39.8, 25.6, 25.3, 25.2, 20.3, 13.9, 13.2, 16.2, 10.7, 10.7。
HRMS (ESI+) [M+H]+ 次式の計算値:C17H29O4, 297.2066, 実測値:297.2053。
HRMS (ESI−) [M-H]- 次式の計算値:C17H27O4, 295.1909, 実測値:295.1900。
なお、本明細書において、NMRの帰属データ中の「[H]」は、該帰属データに示す化学シフト値に対応する原子を意味する。
<II. 合成的手段による新規化合物の製造>
[使用機器]
1H-NMRスペクトルは、Agilent Technologies NMR System-400(400 MHz)又はMERCURY-400(400 MHz)装置を、13C-NMRスペクトルは、Agilent Technologies NMR System-400(100 MHz)又はMERCURY-400(100 MHz)装置を用いて測定した。MSスペクトルは、JEOL JMS-700 Mstation(FABMS)、JEOL JMS-T100LP(ESIMS)又はJEOL JMS-AX505HA(EIMS)により測定した。IRスペクトルは、FT / IR 460-plus(日本分光社)により測定した。
[材料]
分取薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Merk社製Silica gel 60 F254を使用して実施した。TLCにおいて、化合物の検出には、UV照射(254 nm)、アニスアルデヒド発色又はリンモリブデン発色を用いた。分取カラムクロマトグラフィーは、関東化学株式会社製Silica gel 60 Nをカラム管に充填したシリカゲルカラムを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーで行った。
[製造例II-1:(E)-2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)ジヒドロフラン-3(2H)-オン (1-A)の合成]
化合物1-Aの合成を、下記スキームに従って行った。
Figure 0006927483
[合成例II-1-1:3-(ヨードメチル)ペンタン (2) の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、0℃で2-エチルブタン-1-オール (10.0 mL, 81.2 mmol) のCH2Cl2(150 mL) 溶液に、イミダゾール (7.19 g, 106 mmol)、PPh3 (27.7 g, 106 mmol)及びI2(26.8 g, 106 mmol) を加え、1時間撹拌した。その後、反応液にCH2Cl2を加えた。有機層を、水及びチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。次いで、濃縮物を、セライトで濾過した。濾液を濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 80 g, ペンタン) で精製を行うことにより、無色油状物質2 (15.3 g, 89%) を得た。
IR (KBr) 3020, 2400, 2250, 1602, 1522, 1476, 1424, 1335, 1216 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.28 (d, 2H, J = 4.8 Hz, C[H2]I), 1.45-1.25 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 1.04-0.98 (m, 1H, C[H]Et), 0.87 (t, 6H, J = 7.4 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 42.0, 26.6, 15.5, 10.9。
HRMS (EI+) [M]+次式の計算値:C6H13I, 212.0062, 実測値:212.0071。
[合成例II-1-2:エチル 2-(2-エチルブチル)ヘキサ-3-エノエート (4)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、0℃でi-Pr2NH (5.26 mL, 37.5 mmol) のTHF (50 mL) 溶液に、n-BuLi (1.55 M n-ヘキサン溶液, 24.2 mL, 37.5 mmol) を加えて1時間撹拌した。この溶液に、-78℃でHMPA (6.50 mL, 37.5 mmol) を加え、30分撹拌した。次いで、この溶液に、化合物3 (5.90 mL, 37.5 mmol) のTHF (100 mL) 溶液を加え、30 分撹拌した。さらに、この溶液に、化合物2 (5.30 g, 25.0 mmol) のTHF (10 mL) 溶液を加え、-78℃で30分撹拌後、続いて-40℃で80分撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄した後、濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 50 g, ペンタン) で精製を行うことにより、黄色油状物質4 (3.73 g, 66%, E : Z = 1 : 5.7) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
IR (KBr) 3019, 2965, 2934, 2876, 2401, 1725, 1461, 1370, 1301, 1263, 1215 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
ジアステレオマーA (Z 体) δ 5.49 (dt, 1H, J = 9.0, 7.6 Hz, CHCH=C[H]), 5.29 (tt, 1H, J = 9.0, 1.6 Hz, CHC[H]=CH), 4.11 (q, 2H, J = 7.2 Hz, OC[H2]CH3), 3.38 (m, 1H, C(O)C[H]), 2.17-1.99 (m, 2H, CH=CHC[H2]), 1.66 (dt, 1H, J = 13.6, 6.0 Hz, 1/2 C[H2]CHEt2), 1.43-1.37 (m, 1H, 1/2 C[H2]CHEt2), 1.34-1.23 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 1.23 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCH2C[H3]), 1.19-1.13 (m, 1H, C[H]Et2), 0.97 (t, 3H, J = 7.6 Hz, CH=CHCH2C[H3]), 0.84 (t, 3H, J = 7.5 Hz, 1/2 CH(CH2C[H3])2), 0.83 (t, 3H, J = 7.5 Hz, 1/2 CH(CH2C[H3])2)。
ジアステレオマーB (E 体) δ 5.57 (dt, 1H, J = 15.5, 6.5 Hz, CHCH=C[H]), 5.37 (ddt, 1H, J = 15.5, 8.0, 1.6 Hz, CHC[H]=CH), 4.12 (q, 2H, J = 7.2 Hz, OC[H2]CH3), 3.02 (dd, 1H, J = 16.2, 8.0 Hz, C(O)C[H]), 2.17-1.99 (m, 2H, CH=CHC[H2]), 1.66 (dt, 1H, J = 13.6, 8.0 Hz, 1/2 C[H2]CHEt2), 1.43-1.37 (m, 1H, 1/2 C[H2]CHEt2), 1.34-1.23 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 1.24 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCH2C[H3]), 1.19-1.13 (m, 1H, C[H]Et2), 0.97 (t, 3H, J = 7.4 Hz, CH=CHCH2C[H3]), 0.83 (t, 6H, J = 7.4 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
13 C-NMR (100MHz, CDCl3)
ジアステレオマーA (Z 体) δ 174.8, 133.9, 127.4, 60.3, 42.0, 37.8, 36.3, 25.3, 25.1, 20.9, 14.2, 14.1, 10.6, 10.5。
ジアステレオマーB (E 体) δ 175.0, 134.5, 127.2, 60.2, 47.2, 42.0, 37.6, 36.1, 25.5, 25.2, 25.0, 14.2, 10.6, 10.5。
HRMS (EI) [M]+次式の計算値:C14H26O2, 226.1933, 実測値:226.1932。
[合成例II-1-3:5-エチル-3-(2-エチルブチル)-4-ヒドロキシジヒドロフラン-2(3H)-オン (5)の合成]
Figure 0006927483
室温下、化合物4 (75.9 mg, 0.335 mmol, E : Z = 1 : 4) のTHF (1.7 mL) 溶液に、H2O (1.7 mL)、NMO (78.5 mg, 0.670 mmol)及びOsO4 (4% 水溶液, 0.0220 mL, 0.00335 mmol) を加え、16.5 時間撹拌した。その後、反応液に、飽和 Na2S2O3 水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 7.60 g, ペンタン: Et2O = 1 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質5 (71.3 mg, 71%, 5a : 5b = 1 : 2.8) を化合物5a及び5bの混合物として得た。化合物5a及び5bは、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる再精製で、一部分離することができた。その際に得られた化合物5a及び5bの機器分析データを下記に示す。
化合物5a
IR (KBr) 3444, 3019, 2966, 2360, 1762, 1634, 1462, 1215 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.04-3.99 (m, 1H, OC[H]Et), 3.79 (t, 1H, J = 7.8 Hz, OCHC[H]OH), 2.58 (dt, 1H, J = 7.8, 5.6 Hz, C(O)C[H]CHOH), 1.83-1.66 (m, 1H, 1/2 OCHC[H2]), 1.83-1.49 (m, 1H, C[H]Et2), 1.64-1.49 (m, 1H, 1/2 OCHC[H2]), 1.75-1.56 (m, 1H, 1/2 C[H2]CHEt2), 1.44-1.35 (m, 1H, 1/2 C[H2]CHEt2), 1.44-1.21 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 0.99 (t, 3H, J = 7.6 Hz, OCHCH2C[H3]), 0.81 (t, 6H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 178.1, 85.6, 77.5, 46.2, 37.1, 32.8, 25.9, 25.1, 24.4, 10.5, 10.0, 9.6。
HRMS (EI+) [M]+次式の計算値:C12H22O3, 214.1569, 実測値:214.1575。
化合物5b
IR (KBr) 3620, 3460, 3020, 2966, 2937, 2877, 2401, 1758, 1462, 1358, 1216 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.27 (t, 1H, J = 7.2 Hz, OC[H]Et), 4.20 (d, 1H, J = 7.2 Hz, OCHC[H]OH), 2.61 (dt, 1H, J = 7.2, 5.6 Hz, C(O)C[H]CHOH), 1.68-1.58 (m, 4H, OCHC[H2], C(O)CHC[H2]), 1.44-1.24 (m, 5H, C[H](C[H2]CH3)2), 1.03 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCHCH2C[H3]), 0.87 (t, 6H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 179.0, 88.4, 72.2, 41.6, 37.6, 26.3, 25.3, 25.3, 24.4, 10.5, 10.1, 9.8。
HRMS (EI+) [M]+次式の計算値:C12H22O3, 214.1569, 実測値:214.1568。
[合成例II-1-4:5-エチル-3-(2-エチルブチル)テトラヒドロフラン-2,4-ジオール (6)の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、-78℃で、化合物5 (d.r. = 1 : 2.3, 347 mg, 1.62 mmol) のCH2Cl2(32 mL) 溶液に、DIBAL (1.02 M n-ヘキサン溶液, 3.97 mL, 4.05 mmol) を加え、80分撹拌した。その後、反応液に、MeOHを加えて反応を止めた。反応液に、CH2Cl2(40 mL)、セライト (2.00 g)、及びNa2SO4・10H2O (2.00 g) を加え、室温で2 時間撹拌した。混合物を、セライトで濾過した。濾液を濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 10.0 g, ヘキサン: EtOAc = 5 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質6 (317 mg, 91%, A : B : C : D = 5 : 1 : 5 : 1) を得た。
IR (KBr) 3678, 3602, 3400, 3019, 2965, 2934, 2876, 2401, 1717, 1604, 1522, 1462, 1422, 1382, 1216 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
ジアステレオマーA δ 5.20 (d, 1H, J = 3.6 Hz, OC[H]OH), 3.99 (ddd, 1H, J = 7.2, 6.0, 4.0 Hz, OC[H]CH2), 3.65-3.60 (m, 1H, OCHC[H]OH), 2.90-2.86 (br s, 1H, OCHO[H]), 2.29-2.26 (br s, 1H, OCHCHO[H]), 2.17-2.14 (m, 1H, OCHC[H]CH2), 1.73-1.55 (m, 2H, OCHC[H2]), 1.38-1.21 (m, 7H, C[H2]CH(C[H2]CH3)2), 1.01 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCHCH2C[H3]), 0.86 (t, 6H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
ジアステレオマーB δ 5.32 (dd, 1H, J = 4.6, 3.0 Hz, OC[H]OH), 3.83 (ddd, 1H, J = 12.4, 5.6, 2.8 Hz, OC[H]CH2), 3.68-3.63 (m, 1H, OCHC[H]OH), 2.45-2.40 (br d, 1H, J = 4.6 Hz, OCHO[H]), 2.14-2.07 (m, 1H, OCHC[H]CH2), 1.73-1.55 (m, 2H, OCHC[H2]), 1.38-1.21 (m, 7H, C[H2]CH(C[H2]CH3)2), 1.01 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCHCH2C[H3]), 0.87 (t, 6H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
ジアステレオマーC δ 5.31 (dd, 1H, J = 5.4, 4.4 Hz, OC[H]OH), 4.13 (t, 1H, J = 7.2 Hz, OC[H]CH2), 3.84 (dd, 1H, J = 7.2, 4.8 Hz, OCHC[H]OH), 3.15-3.04 (br d, 1H, J = 5.4 Hz, OCHO[H]), 2.05-1.19 (m, 1H, OCHC[H]CH2), 1.64-1.55 (m, 3H, C[H2]CHEt2), 1.48 (qn, 2H, J = 7.2 Hz, OCHC[H2]), 1.39-1.28 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 0.97 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCHCH2C[H3]), 0.88 (t, 6H, J = 6.4 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
ジアステレオマーD δ 5.20-5.15 (m, 1H, OC[H]OH), 4.13 (t, 1H, J = 6.4 Hz, OC[H]CH2), 3.80 (dd, 1H, J = 6.4, 2.4 Hz, OCHC[H]OH), 2.14-2.07 (m, 1H, OCHC[H]CH2), 1.64-1.55 (m, 1H, C[H]Et2), 1.48 (qn, 2H, J = 6.4 Hz, OCHC[H2]), 1.39-1.28 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 1.28-1.21 (m, 2H, C[H2]CHEt2), 1.00 (t, 3H, J = 6.4 Hz, OCHCH2C[H3]), 0.88 (t, 6H, J = 6.4 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100 MHz, CDCl3)
ジアステレオマーA δ102.8, 87.5, 80.8, 52.6, 38.3, 34.1, 26.9, 25.2, 25.1, 10.6, 10.5, 10.4。
ジアステレオマーB δ 98.0, 85.7, 79.6, 49.5, 38.2, 30.0, 28.4, 25.8, 10.7, 10.0。
ジアステレオマーC δ 99.8, 89.2, 76.5, 44.6, 38.5, 27.1, 26.0, 25.5, 25.4, 10.6, 10.5, 10.1。
ジアステレオマーD δ 103.0, 87.6, 76.1, 47.4, 38.5, 27.9, 27.7, 25.3, 10.5, 10.3。
HRMS (FAB+) [M+Na]+次式の計算値:C12H24O3Na 239.1623, 実測値:239.1620。
[合成例II-1-5:(E)-2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)ジヒドロフラン-3(2H)-オン (1-A)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物7(D. G. Rhys及びP. A. Leo, Organometallics, 1982年, 第1巻, p. 1449-1453) (2.16 g, 5.88 mmol) のTHF (6.0 mL) 溶液に、n-BuLi (1.63 M n-ヘキサン溶液, 8.1 mL, 13.2 mmol) を加え、-78℃で15分、0℃で5分、室温で40分撹拌した。反応液を、化合物6 (317 mg, 1.47 mmol) のTHF (4.7 mL) 溶液に加え、-78℃で10分、-40℃で10 分、0℃で30分、室温で40分撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2CH2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 30.0 g, ヘキサン: EtOAc = 2 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.767 mL, 10.8 mmol) のCH2Cl2(20 mL) 溶液に、TFAA (1.14 mL, 16.2 mmol) を加え、10分撹拌した。そこに、粗生成物のCH2Cl2(7.0 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (2.26 mL, 16.2 mmol) を滴下し、-78℃で30分、0℃で10分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2Oで洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 31.7 g, ヘキサン: EtOAc = 15 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質1-A (102 mg, 2段階で23%) を得た。
IR (KBr) 3444, 3019, 2966, 2399, 2360, 1695, 1521, 1420, 1216 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.27 (q, 1H, J = 6.8 Hz, OCC=C[H]), 3.33 (s, 1H, O[H]), 2.41 (q, 2H, J = 7.6 Hz, OCCC[H2]CH3), 2.16 (d, 1H, J = 2.4 Hz, 1/2 OC=CC[H2]), 2.14 (d, 1H, J = 2.4 Hz, 1/2 OCCC[H2]), 1.86 (d, 3H, J = 6.8 Hz, OCC=CHC[H3]), 1.93-1.83 (m, 2H, OCC[H2]), 1.51-1.44 (m, 1H, C[H]Et2), 1.30-1.20 (m, 4H, J = 7.2 Hz, CH (C[H2]CH3)2), 1.02 (t, 3H, J = 7.6 Hz, OCCCH2C[H3]), 0.91 (t, 3H, J = 7.4 Hz, OCCH2C[H3]), 0.83 (t, 3H, J = 7.2 Hz, 1/2 CH(CH2C[H3])2), 0.82 (t, 3H, J = 7.2 Hz, 1/2 CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 204.3, 183.8, 134.5, 133.6, 112.1, 103.0, 39.7, 29.2, 25.6, 25.2, 20.3, 13.8, 13.1, 10.7, 6.9。
HRMS (EI+) [M]+ 次式の計算値:C17H28O3, 280.2038 , 実測値:280.2033。
[製造例II-2:2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-フェニルフラン-3(2H)-オン(8)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物6 (100 mg, 0.460 mmol) のTHF (4.6 mL) 溶液に、PhMgBr (1.1 M THF溶液, 1.80 mL, 1.75 mmol) を加え、3時間撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 10.0 g, ヘキサン: EtOAc = 5 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.767 mL, 10.8 mmol) のCH2Cl2(3.0 mL) 溶液に、TFAA (0.338 mL, 2.40 mmol) を加え、10分撹拌した。そこに、粗生成物のCH2Cl2(5.0 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (0.669 mL, 4.80 mmol) を滴下し、-78℃で15分、0℃で15分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2Oで洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 10.0 g, ヘキサン: EtOAc = 8 : 1) で精製を行うことにより、無色油状物質8 (68.4 mg, 2段階で52%) を得た。
IR (KBr) 3346, 2962, 2931, 2875, 1684, 1592, 1568, 1494, 1449, 1384, 1334, 1283 cm-1
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.85 (dt, 2H, J = 7.2, 1.6 Hz, ArH), 7.56-7.46 (m, 3H, ArH), 4.32 (br s, 1H, OCO[H]), 2.35 (d, 2H, J = 7.2 Hz, OC=CC[H2]), 2.03-1.91 (m, 2H, OCC[H2]), 1.52 (sep, 1H, J = 7.2 Hz, C[H]Et2), 1.29-1.22 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 0.96 (t, 3H, J = 7.6 Hz, OCCH2C[H3]), 0.81 (t, 6H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2)。
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 204.0, 179.5, 131.8, 130.2, 128.6, 128.0, 113.1, 103.1, 39.7, 29.4, 25.7, 25.3, 25.2, 10.7, 10.6, 6.9。
HRMS (EI+) [M]+ 次式の計算値:C18H24O3, 288.1725, 実測値:288.1726。
[製造例II-3:2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフラン-3(2H)-オン(9)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物6 (52.0 mg, 0.240 mmol) のTHF (2.4 mL) 溶液に、MeLi (1.16 M THF溶液, 0.830 mL, 0.690 mmol) を加え、室温に昇温し、3.5 時間撹拌した。その後、反応液に、飽和 NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 5.0 g, ヘキサン: EtOAc = 1 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.102 mL, 1.44 mmol) のCH2Cl2(2.0 mL) 溶液に、TFAA (0.152 mL, 1.08 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物のCH2Cl2(1.6 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (0.301 mL, 2.16 mmol) を滴下し、-78℃で15分、0℃で25分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2Oで洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 5.0 g, ヘキサン: EtOAc = 6 : 1) で精製を行うことにより、無色油状物質9 (26.4 mg, 2段階で47%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.53 (br s, 1H, O[H]), 2.19 (s, 3H, Me), 2.06 (dd, 1H, J = 6.8, 14.0 Hz, 1/2C[H2]CHEt2), 1.98 (dd, 1H, J = 6.8, 14.0 Hz, 1/2C[H2]CHEt2), 1.86 (dq, 1H, J = 2.4, 6.8 Hz, CC[H2]CH3), 1.40 (sep, 1H, J = 7.2 Hz, C[H]Et2), 1.29-1.18 (m, 4H, CH(C[H2]CH3)2), 0.92-0.82 (m, 9H, CCH2C[H3], CH(CH2C[H3])2)。
HRMS (EI+) [M]+ 次式の計算値:C13H22O3, 226.1569, 実測値:226.1569。
[製造例II-4:2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフラン-3(2H)-オン (10)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、 化合物6 (49.6 mg, 0.230 mmol) のTHF (2.3 mL) 溶液に、i-PrMgCl (2.0 M THF溶液, 0.460 mL, 0.920 mmol) を加え、室温に昇温し3時間撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 5.0 g, ヘキサン: EtOAc = 3 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.108 mL, 1.52 mmol) のCH2Cl2(2.0 mL) 溶液に、TFAA (0.161 mL, 1.14 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物の CH2Cl2(1.8 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、Et3N (0.318 mL, 2.28 mmol) を滴下し、-78 ℃で20分、0℃で20分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2Oで洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 5.0 g, ヘキサン: EtOAc = 4 : 1) で精製を行うことにより、無色油状物質10 (34.0 mg, 2段階で47%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.40 (br s, 1H, O[H]), 3.02 (sep, 1H, J = 6.8 Hz, C[H]Me2), 2.05 (dd, 1H, J = 7.2, 14.4 Hz, 1/2C[H2]CHEt2), 1.98 (dd, 2H, J = 7.2, 14.4 Hz, 1/2C[H2]CHEt2), 1.87 (q, 1H, J = 6.4 Hz, CC[H2]CH3), 1.40 (sep, 1H, J = 6.4 Hz, C[H]Et2), 1.27-1.22 (m, 10H, CH[Me2],CH(C[H2]CH3)2), 0.88-0.83 (m, 9H, CCH2C[H3], CH(CH2C[H3])2)。
HRMS (EI+) [M]+ 次式の計算値:C15H26O3, 254.1882, 実測値:254.1889。
[製造例II-5:5-(sec-ブチル)-2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシフラン-3(2H)-オン (11)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物6 (36.0 mg, 0.170 mmol) のTHF (1.7 mL) 溶液に、sec-BuMgCl (2.0 M Et2O溶液, 0.340 mL, 0.680 mmol) を加え、室温に昇温し4時間撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 5.0 g, ヘキサン: EtOAc = 3 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (73.9 μL, 1.04 mmol) のCH2Cl2 (1.6 mL) 溶液に、TFAA (110 μL, 0.780 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物のCH2Cl2 (1.0 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (0.217 mL, 1.56 mmol) を滴下し、-78℃で20分、0℃で20分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2Oで洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 5.0 g, ヘキサン: EtOAc = 10 : 1) で精製を行うことにより、無色油状物質11 (20.9 mg, 2段階で46%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.30 (br s, 1H, O[H]), 3.24 (br s, 1H, O[H’]), 2.81-2.75 (m, 2H, C[H](Me)Et, C[H’](Me)Et), 2.12-1.93 (m, 4H, C[H2]CHEt2, C[H2’]CHEt2), 1.91-1.83 (m, 4H, CC[H2]CH3 , CC[H2’]CH3), 1.75-1.65 (m, 2H, 1/2CH(Me)C[H2]CH3, 1/2CH(Me)C[H2’]CH3), 1.60-1.55 (m, 6H, CH([Me])Et, CH([Me’])Et), 1.45-1.38 (m, 2H, 1/2CH(Me)C[H2]CH3, 1/2CH(Me)C[H2’]CH3), 1.31-1.21 (m, 16H, C[H]Et2,C[H’]Et2, CH(Me)CH2C[H3], CH(Me)CH2C[H3’], CH(C[H2]CH3)2, CH(C[H2’]CH3)2), 0.96-0.83 (m, 18H, CCH2C[H3], CCH2C[H3’], CH(CH2C[H3])2, CH(CH2C[H3’])2)。
HRMS (EI+) [M]+ 次式の計算値:C16H28O3, 268.2038, 実測値:268.2038。
[製造例II-6:2-エチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (12)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物6 (30.3 mg, 0.140 mmol) のTHF (1.4 mL) 溶液に、3-ペンチルMgBr (2.0 M THF溶液, 0.420 mL, 0.840 mmol) を加え、室温に昇温し3.5時間撹拌した。その後、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 5.0 g, ヘキサン: EtOAc = 5 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (51.0 μL, 0.720 mmol) のCH2Cl2 (0.8 mL) 溶液に、TFAA (76.1 μL, 0.540 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物のCH2Cl2 (1.2 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (0.151 mL, 1.08 mmol) を滴下し、-78℃で20分、0℃で20分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2Oで洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、分取TLC (ヘキサン : EtOAc = 3 : 1) で精製を行うことにより、無色油状物質12 (9.4 mg, 2段階で17%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.01 (br s, 1H, O[H]), 2.64-2.56 (m, 1H, CC[H]Et2), 2.08-1.97 (m, 2H, C[H2]CHEt2), 1.86 (q, 2H, J = 7.6 Hz, CC[H2]CH3), 1.68-1.61 (m, 4H, CCH(C[H2]CH3)2), 1.39-1.48 (m, 1H, CH2C[H](CH2CH3)2), 1.30-1.20 (m, 4H, CH2CH(C[H2]CH3)2), 0.94-0.84 (m, 15H, CCH2C[H3], CH2CH(CH2C[H3])2, CCH(CH2C[H3])2)。
HRMS (EI+) [M]+ 次式の計算値:C17H30O3, 282.2195, 実測値:282.2208。
[製造例II-7:(E)-4-ベンジル-2-エチル-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン(22)の合成]
[合成例II-7-1:エチル (Z)-2-ベンジルヘキサ-3-エノエート (28) の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、0℃で i-Pr2NH (5.26 mL, 37.5 mmol) の THF (150 mL) 溶液に、n-BuLi (1.54 Mn-ヘキサン溶液, 24.4 mL, 37.5 mmol) を加え、1 時間撹拌した。次いで、この溶液に、-78℃で HMPA (6.52 mL, 37.5 mmol) を加え、30 分撹拌した。そこに、化合物3 (5.93 mL, 37.5 mmol) の THF (50 mL) 溶液を加え、30 分撹拌した。この溶液に、(ブロモメチル)ベンゼン (2.99 g, 25.0 mmol) の THF (50 mL) 溶液を滴下し、-78℃で1.5 時間撹拌した。その後、反応液に、飽和 NH4Cl 水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 100 g, ペンタン : Et2O = 100 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 28 (5.15 g, 89%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.28-7.14 (m, 5H, CH2Ph), 5.49 (dt, 1H, J = 10.5, 7.4 Hz, C[H]=CHCH2CH3), 5.38 (m, 1H, CH=C[H]CH2CH3), 4.09 (q, 2H, J = 7.2 Hz, OCH2CH3), 3.59 (dt, 1H, J = 7.6, 7.4 Hz, C[H]COOCH2CH3), 3.08 (dd, 1H, J = 13.5, 7.6 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 2.77 (dd, 1H, J = 13.5, 7.6 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 2.02-1.82 (m, 2H, CH=CH C[H2]CH3), 1.18 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCH2C[H3]), 0.81 (t, 3H, J = 7.4 Hz, CH=CHCH2C[H3])
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ173.4, 138.9, 134.7, 129.0, 128.1, 126.2 (2C), 125.9 (2C), 60.4, 46.1, 38.9, 20.7, 14.0, 13.8
IR (KBr) 2965, 2934, 2973, 1734, 1496, 1455, 1368, 1158, 1037, 747, 700 cm-1
HRMS (EI) 次式の計算値:C15H20O2 232.1463 [M]+, 実測値: m/z 232.1458。
[合成例II-7-2:3-ベンジル-5-エチル-4-ヒドロキシジヒドロフラン-2(3H)-オン (29) の合成]
Figure 0006927483
室温下、化合物28 (1.57 g, 6.76 mmol) の THF (34 mL) 溶液に、H2O (34 mL)、NMO (1.58 g, 13.5 mmol)及びOsO4 (4% 水溶液, 0.450 mL, 0.0680 mmol) を加え、20 時間撹拌した。その後、反応液に、飽和 Na2S2O3 水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2 で抽出した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 50 g, ヘキサン : AcOEt = 3 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 29 (967 mg, 65%, A : B = 3.5 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定し、下記の機器データより決定した。
主要なジアステレオマーとして:
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36 (m, 5H, CH2[Ph]), 4.28 (t, 1H, J = 7.2 Hz, C[H]CH2CH3), 4.11 (t, 1H, J = 5.0 Hz, C[H]OH), 3.19 (d, 1H, J = 14.1 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 2.99 (d, 1H, J = 14.1, 1/2 C[H2]Ph), 2.95-2.88 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 2.17 (d, 1H, J = 5.0 Hz, CHO[H]), 1.62-1.53 (m, 2H, CHC[H2]CH3), 1.00 (t, 3H, J = 7.4 Hz, CHCH2C[H3])
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 176.9, 139.0, 128.8 (2C), 128.6 (2C), 126.7, 88.3, 71.7, 46.0, 29.4, 25.5, 9.9
IR (KBr) 3451, 2971, 2938, 1753, 1604, 1496, 1361, 1199, 754, 702 cm-1
HRMS (ESI+, TFA-Na) 次式の計算値:C13H16O3Na 243.0997 [M+Na]+, 実測値:m/z 243.0990。
[合成例II-7-3:3-ベンジル-5-エチルテトラヒドロフラン-2,4-ジオール (30) の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、-78℃で、化合物29 (d.r. = 1 : 3.3, 506 mg, 2.28 mmol) のCH2Cl2 (23 mL) 溶液に、DIBAL-H (1.02 Mn-ヘキサン溶液, 5.58 mL, 5.69 mmol) を加え、1 時間撹拌した。その後、反応液に、MeOHを加えて反応を止めた。反応液に、CH2Cl2 (50 mL)、セライト (3.00 g)、及びNa2SO4・10H2O (3.00 g) を加え、室温で2 時間撹拌した。混合物を、セライトで濾過した。濾液を濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 50 g, ヘキサン : EtOAc = 6 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 30 (467 mg, 92%, A : B = 3.2 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
主要なジアステレオマーとして:
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33 (m, 5H, CH2[Ph]), 5.27 (t, 1H, J = 5.1 Hz, OC[H](OH)CH), 4.15 (t, 1H, J = 7.0 Hz, OC[H]CH2CH3), 3.81 (dd, 1H, J = 9.1, 5.1 Hz, OCHC[H](OH)), 3.67 (d, 1H, J = 14.0 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 2.99 (d, 1H, J = 14.0 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 2.95 (s, 1H, OCHCH(O[H])), 2.91 (d, 1H, J = 14.0 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 2.26-2.22 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 1.40 (t, 2H, J = 7.0 Hz, CHC[H2]CH3), 0.92 (t, 3H, J = 7.0 Hz, CHCH2C[H3])
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ C 128.7, 128.5 (2C), 126.1, 99.4, 89.6, 75.8, 49.3, 29.5, 27.1, 10.1
IR (KBr) 3389, 2964, 2932, 1496, 1454, 1052, 789, 741, 700 cm-1
HRMS (ESI+, TFA-Na) 次式の計算値:C13H18O3Na 245.1154 [M+Na]+, 実測値:m/z 245.1151。
[合成例II-7-4:(E)-4-ベンジル-2-エチル-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン(22)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物7(D. G. Rhys及びP. A. Leo, Organometallics, 1982年, 第1巻, p. 1449-1453) (718 mg, 1.96 mmol) のTHF (3.0 mL) 溶液に、n-BuLi (1.54 Mn-ヘキサン溶液, 2.86 mL, 4.41 mmol) を加え、-78℃で10 分、0℃で5分、室温で50分撹拌した。反応液を、-78℃に戻したのち、 該反応液に、化合物30 (109 mg, 0.49 mmol) の THF (1.9 mL) 溶液を加え、0℃で10 分、室温で105分撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、室温で30分撹拌し、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 35.0 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.193 mL, 2.71 mmol) のCH2Cl2 (5.0 mL) 溶液に、TFAA (0.287 mL, 2.04 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物の CH2Cl2 (2.0 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、Et3N (0.567 mL, 4.07 mmol) を滴下し、-78℃で20分、0℃で20分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮し、得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 35 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 22 (50.0 mg, 2段階で36%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25 (m, 5H, CH2[Ph]), 6.27 (q,1H, J = 7.0 Hz, CC[H]CH3), 4.72 (br s, 1H, OH), 3.61 (d, 1H, J = 15.8 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 3.51 (d, 1H, J = 15.8 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 2.36 (q, 2H, J = 7.5 Hz, C(OH)C[H2]CH3), 1.95 (q, 1H, J = 7.5 Hz, 1/2 CCC[H2]CH3), 1.93 (q, 1H, J = 7.5 Hz, 1/2 CCC[H2]CH3), 1.78 (d, 3H, J = 7.0 Hz, C=CCH2C[H3]), 0.95 (t, 3H, J = 7.5 Hz, C(OH)CH2 C[H3] 又は CCCH2C[H3]), 0.93 (t, 3H, J = 7.5 Hz, C(OH)CH2C[H3] 又は CCCH2C[H3])
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 127.9 (2C), 126.0, 111.4, 103.6, 29.2, 27.7, 20.2, 13.9, 13.1, 6.9
IR (KBr) 336, 2973, 2936, 1681, 1572, 1454, 1399, 1182, 1077, 941, 702 cm-1
HRMS (ESI+, TFA-Na) 次式の計算値:C18H22O3Na 309.1467 [M+Na]+, 実測値:m/z 309.1454。
[製造例II-8:(E)-2-ベンジル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (34)の合成]
[合成例II-8-1:エチル (E)-5-フェニルペンタ-2-エノエート (45) の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、0℃で NaH (55%, 567 mg, 13.0 mmol) のTHF (40 mL) 溶液に、トリエチルホスホノアセテート (2.80 mL, 14.0 mmol) を加え、30分間撹拌した。この溶液に、3-フェニルプロピオンアルデヒド (1.32 mL, 10 mmol) を加え、室温で30分間撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 150 g, ヘキサン : EtOAc = 50 : 1) で精製を行うことにより、無色油状物質 45 を定量的に得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.32-7.28 (m, 2H, Ph), 7.23-7.18 (M, 3H, Ph), 7.01 (dt, 1H, J = 15.6, 7.0 Hz, CH=C[H]COOCH2CH3), 5.85 (dt, 1H, J = 15.6, 1.6 Hz, CH=C[H]COOCH2CH3), 4.19 (q, 2H, J = 7.0 Hz, COOC[H2]CH3), 2.78 (t, 2H, J = 7.4 Hz, C[H2]Ph), 2.56-2.50 (m, 2H, C[H2]CH2Ph), 1.29 (t, 3H, J = 7.0 Hz, COOCH2C[H3])
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 128.3 (2C), 126.1, 121.8, 60.1, 34.3, 33.8, 14.2
IR (KBr) 3027, 2982, 2935, 1720, 1654, 1496, 1454, 1367, 1315, 1268, 1198, 1089, 1040, 975, 749, 700 cm-1
HRMS (EI) 次式の計算値: C13H16O2 204.1150 [M]+, 実測値:m/z 204.1148。
[合成例II-8-2:エチル (Z)-4-エチル-2-(3-フェニルプロパ-1-エン-1-イル)ヘキサノエート (46) の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、0℃でi-Pr2NH (0.210 mL, 1.50 mmol) のTHF (6 mL) 溶液に、n-BuLi (1.64 M n-ヘキサン溶液, 0.915 mL, 1.50 mmol) を加えて1 時間撹拌した。この溶液に、-78℃でHMPA (0.261 mL, 1.50 mmol) を加え、30分撹拌した。次いで、この溶液に、化合物45 (306 mg, 1.50 mmol) のTHF (2 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。さらに、この溶液に、化合物2 (0.212 mg, 1.00 mmol) の THF (2 mL) 溶液を滴下し、-78℃で80分間、-40℃で2 時間撹拌した。その後、反応液に、飽和 NH4Cl 水溶液を加えて反応を止めた。有機層を、H2Oで洗浄した。有機層を、 Na2SO4で乾燥した後に濃縮し、得られた粗物質をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル 30 g, ペンタン : Et2O = 300 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 46 (164 mg, 57%, E : Z = 1 : 6.6) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
主要なジアステレオマーとして:
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.31-7.27 (m, 2H, Ph), 7.23-7.16 (m, 3H, Ph), 5.73-5.66 (m, 1H, CH=C[H]CH2Ph), 5.50-5.44 (m, 1H, C[H]=CHCH2Ph), 4.14 (q, 2H, J = 7.1 Hz, COOC[H2]CH3), 3.53 (dt, 1H, J = 7.6 Hz, C[H]COOCH2CH3), 3.46 (dt, 2H, J = 7.6 Hz, CH2Ph), 1.77-1.70 (m, 1H, 1/2 C[H2]CH(CH2CH3)2), 1.50-1.42 (m, 1H, 1/2 C[H2]CH(CH2CH3)2), 1.38-1.20 (m, 5H, C[H](CH2CH3)2, CH(C[H2]CH3) 2 ), 0.85 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2), 0.84 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2)
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 174.5, 140.3, 130.6, 128.4, 128.3 (2C), 126.0 (2C), 60.5, 42.1, 37.9, 36.2, 33.8, 25.3 (2C), 25.1, 14.2, 10.5 (2C)
IR (KBr) 2962, 2932, 2875, 1734, 1456, 1160, 1033, 740 698 cm-1
HRMS (EI) 次式の計算値:C19H28O2 288.2089 [M]+, 実測値:m/z 288.2083。
[合成例II-8-3:5-ベンジル-3-(2-エチルブチル)-4-ヒドロキシジヒドロフラン-2(3H)-オン (48) の合成]
Figure 0006927483
室温下、化合物46 (120 mg, 0.420 mmol, E : Z = 1 : 6.6) の THF (2 mL) 溶液に、H2O (2 mL)、NMO (98.4 mg, 0.840 mmol)及びOsO4 (4% 水溶液, 0.0280 mL, 0.00420 mmol) を加え、19.5 時間撹拌した。その後、反応液に、飽和 Na2S2O3 水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 35 g, ヘキサン : AcOEt = 4 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、粗生成物の THF (3 mL) 溶液に、PPTS (62.8 mg, 0.25 mmol) を加え、3 時間加熱還流した。反応液を室温に戻した後、有機層を、H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 15 g, ペンタン : Et2O = 10 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 48 (91.9 mg, 2段階で 79%, A : B = 4.3 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
主要なジアステレオマーとして:
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ (m, 5H, CH2Ph), 4.62 (t, 1H, J = 6.2 Hz, C[H]CH2Ph), 4.26 (t, 1H, J = 5.0 Hz, CHC[H](OH)), 2.97 (dd, 2H, J = 13.0, 6.2 Hz, CH2Ph), 2.20-2.14 (m, 1H, C(O)C[H]CH2), 1.81 (d, 1H, J = 5.0 Hz, CHCH(O[H])), 1.44-1.14 (m, 7H, CHC[H2]C[H](C[H2]CH3) 2 ), 0.83 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2), 0.81 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH(CH2C[H3])2)
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 177.7, 135.4, 129.3 (2C), 128.9 (2C), 127.3, 85.9, 71.9, 41.8, 38.6, 37.9, 26.3, 25.5, 24.6, 10.8, 10.2
IR (KBr) 3440, 2962, 2929, 2875, 1755, 1456, 1167, 1018, 701 cm-1
HRMS (EI) 次式の計算値:C17H24O3 276.1725 [M]+, 実測値:m/z 276.1725。
[合成例II-8-4:5-ベンジル-3-(2-エチルブチル)テトラヒドロフラン-2,4-ジオール (49) の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、-78℃で、化合物48 (d.r. = 1 : 4.3, 55.0 mg, 0.200 mmol) のCH2Cl2 (4 mL) 溶液に、DIBAL-H (1.02 M n-ヘキサン溶液, 0.490 mL, 0.500 mmol) を加え、70分間撹拌した。その後、反応液に、MeOHを加えて反応を止めた。反応液に、CH2Cl2 (6 mL)、セライト (250 mg)、及びNa2SO4・10H2O (250 mg) を加え、室温で1 時間撹拌した。混合物を、セライト濾過した。濾液を濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 35 g, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 49 (47.6 mg, 85%, A : B = 2 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
主要なジアステレオマーとして:
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.3-7.22 (m, 5H, CH2[Ph]), 5.29 (dd, 1H, J = 6.0, 4.1 Hz, OC[H](OH)CH), 4.50 (t, 1H, J = 6.5 Hz, C[H]CH2Ph), 3.92 (dd, 1H, J = 8.6, 5.1 Hz, CHC[H](OH)CH), 3.05 (d, 1H, J = 6.0 Hz, OCH(O[H])CH), 2.79 (dd, 2H, J =6.5, 2.5 Hz, C[H2]Ph), 2.50 (d, 1H, J = 8.6 Hz, CHCH(O[H])CH), 1.81-1.75 (m, 1H, C(OH)C[H]C(OH)), 1.53-1.41 (m, 2H, CHC[H2]CH(CH2CH3)2), 1.36-1.24 (m, 5H, CH2C[H](C[H2]CH3) 2 ), 0.84 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH2C[H3]), 0.83 (t, 3H, J = 7.2 Hz, CH2C[H3])
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 137.6, 129.3 (2C), 128.5, 126.5 (2C), 100.4, 88.1, 76.1, 44.6, 40.3, 38.5, 25.8, 25.5, 25.3, 10.6 (2C)
IR (KBr) 3420, 2960, 2924, 1455, 1046, 700 cm-1
HRMS (FAB, NaI) 次式の計算値:C17H26O3Na 301.1780 [M+Na]+, 実測値: m/z 301.1780。
[合成例II-8-5:(E)-2-ベンジル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (34)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物7(D. G. Rhys及びP. A. Leo, Organometallics, 1982年, 第1巻, p. 1449-1453) (821 mg, 2.24 mmol) のTHF (3.6 mL) 溶液に、n-BuLi (1.60 M n-ヘキサン溶液, 3.15 mL, 5.04 mmol) を加え、-78℃で10分、0℃で5分、室温で45分撹拌した。反応液を、-78℃に戻したのち、化合物49 (155 mg, 0.560 mmol) のTHF (2.0 mL) 溶液を加え、0℃で10分、室温で75分撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、室温で30分撹拌し、有機層を、H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 25 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.250 mL, 3.52 mmol) のCH2Cl2 (6.8 mL) 溶液に、TFAA (0.372 mL, 2.64 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物の CH2Cl2 (2.0 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (0.736 mL, 5.28 mmol) を滴下し、-78℃で20分、0℃で20分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 30 g, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 34 (38.7 mg, 2段階で20%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.09 (q, 1H, J = 7.0 Hz, C=C[H]CH3), 4.16 (br s, 1H, OH), (J = 13.6 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 3.14 (d, 1H, J = 13.6 Hz, 1/2 CH2Ph), 2.37-2.27 (m, 2H, OCCC[H2]CH3), 2.00 (t, 2H, J = 7.2 Hz, C[H2]CH(CH2CH3)2), 1.81 (d, 3H, J = 7.0 Hz, C=CHC[H3]), 1.33-1.24 (m, 1H, CH2C[H](CH2CH3)2), 1.15-1.01 (m, 4H, CH2CH(C[H2]CH3) 2 ), 0.91 (t, 3H, J = 7.4 Hz, OCCCH2C[H3]), 0.75 (t, 3H, J = 7.4 Hz, CH(CH2C[H3])2), 0.73 (t, 3H, J = 7.4 Hz, CH(CH2C[H3])2)
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 203.0, 183,7, 134.2, 133.4, 133.2, 130.5 (2C), 128.2 (2C), 128.1, 127.1, 112.4, 101.4, 42.1, 39.4, 25.6, 25.0, 24.8, 20.3, 13.7, 13.1, 10.7
IR (KBr) 3311, 2962, 2931, 2874, 1683, 1577, 1455, 1379, 1140, 987, 700 cm-1
HRMS (EI) 次式の計算値:C22H30O3 342.2195 [M]+, 実測値:m/z 342.2193。
[製造例II-9:(E)-4-(シクロヘキシルメチル)-2-エチル-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (21)の合成]
[合成例II-9-1:(ヨードメチル)シクロヘキサン (23) の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、0℃でシクロヘキサンメタノール (5.00 mL, 40.7 mmol) のCH2Cl2 (101 mL) 溶液に、イミダゾール (3.6 g, 52.9 mmol)、PPh3 (13.9 g, 52.9 mmol)及びI2 (13.4 g, 52.9 mmol) を加え、30分間撹拌した。その後、反応液にCH2Cl2 を加えた。有機層を、水及びチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を、Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。次いで、濃縮物を、セライトで濾過した。濾液を濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 80 g, ペンタン) で精製を行うことにより、無色油状物質 23 (5.82 g, 64%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値:C7H13I, 224.0062 [M]+, 実測値:m/z 224.0070。
[合成例II-9-2:エチル 2-(シクロヘキシルメチル)ヘキサ-3-エノエート (24) の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、0℃でi-Pr2NH (937.6 mL, 6.69 mmol) の THF (25 mL) 溶液に、n-BuLi (1.63 M n-ヘキサン溶液, 4.6 mL, 7.58 mmol) を加え、1 時間撹拌した。この溶液に、-78℃でHMPA (1.32 mL, 7.58 mmol) を加え、30 分撹拌した。次いで、この溶液に、化合物3 (1.06 mL, 6.69 mmol) の THF (10 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。さらに、この溶液に、化合物23 (1.0 g, 4.46 mmol) の THF (10 mL) 溶液を滴下し、-78 ℃で60分撹拌後、続いて-40℃で170分撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄した後、濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 50 g, ペンタン) で精製を行うことにより、黄色油状物質 24 (763 mg, 72%, E : Z = 1 : 6.6) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値:C14H26O2 238.1933 [M]+, 実測値:m/z 238.1936。
[合成例II-9-3:3-(シクロヘキシルメチル)-5-エチル-4-ヒドロキシジヒドロフラン-2(3H)-オン (25)の合成]
Figure 0006927483
室温下、化合物24 (599 mg, 2.51 mmol, E : Z = 1 : 7) のTHF (13 mL) 溶液に、H2O (13 mL)、NMO (588 mg, 5.02 mmol)及びOsO4 (4% 水溶液, 0.167 mL, 0.0250 mmol) を加え、17 時間撹拌した。その後、反応液に、飽和Na2S2O3 水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 50 g, ペンタン : Et2O = 5 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 25 (395 mg, 69%, d.r. = 3.3 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
HRMS (ESI+, TFA-Na) 次式の計算値:C12H22O3Na 249.1467 [M+Na]+, 実測値:m/z 249.1462。
[合成例II-9-4:3-(シクロヘキシルメチル)-5-エチルテトラヒドロフラン-2,4-ジオール (26)の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、-78℃で、化合物25 (d.r. = 1 : 1.9, 117 mg, 0.52 mmol) のCH2Cl2 (10 mL) 溶液に、DIBAL (1.03 M n-ヘキサン溶液, 1.26 mL, 1.30 mmol) を加え、1時間撹拌した。その後、反応液に、MeOHを加えて反応を止めた。反応液に、CH2Cl2 (20 mL)、セライト (0.600 g)、及びNa2SO4・10H2O (0.600 g) を加え、室温で2 時間撹拌した。混合物を、セライトで濾過した。濾液を濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 50 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 26 (93.7 mg, 79%, d.r. = 2 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
HRMS (ESI+, TFA-Na) 次式の計算値: C12H24O3Na 251.1623 [M+Na]+, 実測値:m/z 251.1617。
[合成例II-9-5:(E)-4-(シクロヘキシルメチル)-2-エチル-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (21)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物7(D. G. Rhys及びP. A. Leo, Organometallics, 1982年, 第1巻, p. 1449-1453) (374 mg, 1.02 mmol) のTHF (1.3 mL) 溶液に、n-BuLi (1.54 M n-ヘキサン溶液, 1.49 mL, 2.29 mmol) を加え、-78℃で10分、0℃で5分、室温で45分撹拌した。反応液を-78℃に戻したのち、化合物26 (58.2 mg, 0.25 mmol) のTHF (1.2 mL) 溶液を加え、0℃で10分、室温で110 分撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、室温で30分撹拌した。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 30.0 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.137 mL, 1.92 mmol) のCH2Cl2 (3.5 mL) 溶液に、TFAA (0.204 mL, 1.44 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物の CH2Cl2 (1.5 mL) 溶液を加え、30 分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (0.402 mL, 2.89 mmol) を滴下し、-78℃で20分、0℃で20分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 35 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 21 (31.3 mg, 2段階で43%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
HRMS (ESI+, TFA-Na) 次式の計算値: C18H28O3Na 315.1936 [M+Na]+, 実測値:m/z 315.1940。
[製造例II-10:(E)-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (32)の合成]
[合成例II-10-1:(E)-エチル ペンタ-2-エノエート (35)の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、trans-2-ペンタン酸 (3.03 mL, 30 mmol) の EtOH (60 mL) 溶液に、PTSA (258 mg, 1.5 mmol) を加え、21.5 時間加熱還流した。反応液を、室温に戻して、有機層を、NaHCO3 水溶液及び水で洗浄した。有機層を、Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。無色油状物質 35 (3.31 g, 86%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値:C7H12O2 128.0837 [M]+, 実測値: m/z 128.0839。
[合成例II-10-2:(Z)-エチル 4-エチル-2-(プロパ-1-エン-1-イル)ヘキサノエート (36)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、0℃でi-Pr2NH (2.10 mL, 15.0 mmol) のTHF (60 mL) 溶液に、n-BuLi (1.60 M n-ヘキサン溶液, 9.38 mL, 15.0 mmol) を加えて1時間撹拌した。この溶液に、-78℃でHMPA (2.61 mL, 15.0 mmol) を加え、30分撹拌した。次いで、この溶液に、化合物35 (1.92 g, 15.0 mmol) の THF (20 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。さらに、この溶液に、化合物2 (2.12 g, 10.0 mmol) の THF (20 mL) 溶液を滴下し、-78℃で1時間、-40℃で2時間撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 100 g, ペンタン : Et2O = 100 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 36 (1.62 g, 76%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値:C13H24O2 212.1776 [M]+, 実測値:m/z 212.1798。
[合成例II-10-3:3-(2-エチルブチル)-4-ヒドロキシ-5-メチルジヒドロフラン-2(3H)-オン (37)の合成]
Figure 0006927483
室温下、化合物36 (1.30 g, 6.10 mmol) の THF (31 mL) 溶液に、H2O (31 mL)、NMO (1.43 g, 12.2 mmol)及びOsO4 (4% 水溶液, 0.407 mL, 0.0610 mmol) を加え、23時間撹拌した。その後、反応液に、飽和Na2S2O3 水溶液を加え反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 50 g, ヘキサン : AcOEt = 3 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 37 (973 mg, 80%, d.r. = 4.2 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値: C11H20O3 200.1412 [M]+, 実測値:m/z 200.1415。
[合成例II-10-4:3-(2-エチルブチル)-5-メチルテトラヒドロフラン-2,4-ジオール (38)の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、-78℃で、化合物37 (d.r. = 1 : 2.3, 573 mg, 2.86 mmol) のCH2Cl2 (29 mL) 溶液に、DIBAL-H (1.02 M n-ヘキサン溶液, 7.01 mL, 7.15 mmol) を加え、2時間撹拌した。その後、反応液に、MeOHを加えて反応を止めた。反応液に、CH2Cl2 (50 mL)、セライト (3.50 g)、及びNa2SO4・10H2O (3.50 g) を加え、室温で2時間撹拌した。混合物を、セライトで濾過した。濾液を濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 100 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 38 (304 mg, 52%, d.r. = 2.1 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
HRMS (FAB + NaI) 次式の計算値:C11H22Na1O3 225.1467 [M+Na]+, 実測値:m/z 225.1466。
[合成例II-10-5:(E)-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (32)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物7(D. G. Rhys及びP. A. Leo, Organometallics, 1982年, 第1巻, p. 1449-1453) (859 mg, 2.34 mmol) のTHF (3.0 mL) 溶液に、n-BuLi (1.60 M n-ヘキサン溶液, 3.29 mL, 5.27 mmol) を加え、-78℃で10分、0℃で5分、室温で45分撹拌した。反応液を、-78℃に戻したのち、化合物38 (119 mg, 0.59 mmol) の THF (2.9 mL) 溶液を加え、0℃で10分、室温で150分撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、室温で30分撹拌し、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 35.0 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.296 mL, 4.16 mmol) のCH2Cl2 (6.0 mL) 溶液に、TFAA (0.440 mL, 3.12 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物の CH2Cl2 (4.0 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (0.870 mL, 6.24 mmol) を滴下し、-78℃で20分、0℃で60分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 35 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 32 (39.5 mg, 2段階で25%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値:C16H26O3 266.1882 [M]+, 実測値:m/z 266.1879。
[製造例II-11:(E)-2-ブチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (33)の合成]
[合成例II-11-1:エチル 2-(2-エチルブチル)オクタ-3-エノエート (40)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、0℃でi-Pr2NH (2.10 mL, 15.0 mmol) のTHF (60 mL) 溶液に、n-BuLi (1.60 M n-ヘキサン溶液, 9.38 mL, 15.0 mmol) を加えて1時間撹拌した。この溶液に、-78℃で HMPA (2.61 mL, 15.0 mmol) を加え、30分撹拌した。次いで、この溶液に、エチル trans-2-オクテノエート (2.87 mL, 15.0 mmol) の THF (20 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。さらに、この溶液に、化合物2 (2.12 g, 10.0 mmol) の THF (20 mL) 溶液を滴下し、-78℃で1時間、-40℃で2時間、-20℃で55分間撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 100 g, ペンタン : Et2O = 300 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 40 (1.56 g, 61%, E : Z = 1 : 7.5) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値:C16H30O2 254.2246 [M]+, 実測値:m/z 254.2252。
[合成例II-11-2:5-ブチル-3-(2-エチルブチル)-4-ヒドロキシジヒドロフラン-2(3H)-オン (42)の合成]
Figure 0006927483
室温下、化合物40 (157 mg, 0.620 mmol, E : Z = 1 : 7.5) の THF (3 mL) 溶液に、H2O (3 mL)、NMO (145 mg, 1.24 mmol)及びOsO4 (4% 水溶液, 0.0413 mL, 0.00620 mmol) を加え、19 時間撹拌した。その後、反応液に、飽和Na2S2O3 水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 60 g, ヘキサン : AcOEt = 6 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、粗生成物の THF (4 mL) 溶液に、PPTS (97.4 mg, 0.39 mmol) を加え、3時間加熱還流した。反応液を室温に戻した後、有機層を、水で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 25 g, ペンタン : Et2O = 10 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 42 (90.8 mg, 2段階で60%, d.r. = 4.3 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値: C14H26O3 242.1882 [M]+, 実測値: m/z 242.1879。
[合成例II-11-3:5-ブチル-3-(2-エチルブチル)テトラヒドロフラン-2,4-ジオール (43)の合成]
Figure 0006927483
窒素雰囲気下、-78℃で、化合物42 (d.r. = 4.3 : 1, 342 mg, 1.41 mmol) のCH2Cl2 (28 mL) 溶液に、DIBAL-H (1.02 M n-ヘキサン溶液, 3.46 mL, 2.53 mmol) を加え、1.5 時間撹拌した。その後、反応液に、MeOHを加えて反応を止めた。反応液に、CH2Cl2 (40 mL)、セライト (1.80 g)、及びNa2SO4・10H2O (1.80 g) を加え、室温で2時間撹拌した。混合物を、セライトで濾過した。濾液を濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 40 g, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 43 (217 mg, 63%, d.r. = 3.3 : 1) を得た。化合物の構造は、ジアステレオ混合物として測定した下記の機器データより決定した。
HRMS (FAB ; NaI) 次式の計算値: C14H28NaO3 267.1936 [M+Na]+, 実測値:m/z 267.1935。
[合成例II-11-4:(E)-2-ブチル-4-(2-エチルブチル)-2-ヒドロキシ-5-(ペンタ-2-エン-3-イル)フラン-3(2H)-オン (33)の合成]
Figure 0006927483
アルゴン雰囲気下、-78℃で、化合物7(D. G. Rhys及びP. A. Leo, Organometallics, 1982年, 第1巻, p. 1449-1453) (919 mg, 2.51 mmol) のTHF (4.3 mL) 溶液に、n-BuLi (1.60 M n-ヘキサン溶液, 3.52 mL, 5.64 mmol) を加え、-78℃で10分、0℃で5分、室温で15分撹拌した。反応液を-78℃に戻したのち、化合物43 (153 mg, 0.63 mmol) の THF (2.0 mL) 溶液を加え、0℃で10分、室温で100分撹拌した。その後、反応液に、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、室温で30分撹拌した。有機層を、 H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 30.0 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1) で粗精製を行うことにより、粗生成物を得た。次に、窒素雰囲気下、-78℃でDMSO (0.312 mL, 4.39 mmol) のCH2Cl2 (8.0 mL) 溶液に、TFAA (0.464 mL, 3.29 mmol) を加え、15分撹拌した。そこに、粗生成物の CH2Cl2 (3.0 mL) 溶液を加え、30分撹拌した。その後、反応液に、Et3N (0.918 mL, 6.59 mmol) を滴下し、-78℃で20分、0℃で20分撹拌した。その後、反応液に、H2Oを加えて反応を止めた。有機層を、 H2O及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を、Na2SO4 で乾燥した後に濃縮した。得られた粗物質を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル 35 g, ヘキサン : EtOAc = 8 : 1) で精製を行うことにより、黄色油状物質 33 (103 mg, 2段階で53%) を得た。化合物の構造は、下記の機器データより決定した。
HRMS (EI) 次式の計算値: C19H32O3 308.2351 [M]+, 実測値:m/z 308.2366。
<III. 新規化合物の薬理試験>
[試験III-1:C2C12細胞由来骨芽細胞におけるアルカリホスファターゼ阻害活性試験]
C2C12細胞は、成長マウスの筋再生部より樹立された筋芽細胞株である。C2C12細胞にBMPを作用させると、筋管細胞への分化が抑制され、骨芽細胞への分化、すなわち骨代謝が促進される。C2C12細胞から分化した骨芽細胞は、アルカリホスファターゼを発現する(T. Katagiriら, J. Cell Biol., 1994年, 第127巻, p. 1755-1766)。ここで、BMPによって誘導されるC2C12細胞から骨芽細胞への分化誘導系に特定の化合物を添加すると、骨芽細胞への分化、すなわち骨代謝が阻害され、アルカリホスファターゼの発現量が減少する。このため、アルカリホスファターゼ活性を指標に、BMPによって誘導されるC2C12細胞から骨芽細胞への分化誘導系に対するBMPシグナル伝達阻害活性、すなわち骨代謝阻害活性を評価することができる。前記の手順で製造された化合物について、下記の手順でアルカリホスファターゼ阻害活性を調査した(T. Fukudaら, J. Biol. Chem., 2009年, 第284巻, p. 7149-7156)。
ALK2の206番目のアルギニンをヒスチジンに点変異させた遺伝子を安定導入したマウス筋由来C2C12細胞(C2C12(R206H)細胞)を、15%ウシ胎仔血清(FBS、Hyclone社)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen社)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、ナカライテスク社)に懸濁して、7.5×104 細胞/mLの細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液を、96穴マイクロプレートの各ウェルに100 μLずつ播種した(0.75×104 細胞/100 μL/ウェル)。細胞播種後のマイクロプレートを炭酸ガスインキュベーターに移し、細胞を37℃、5.0% CO2の条件下で24時間培養した。各ウェルの培地を、1 ng/mLの組換えヒトBMP-4(R & D Systems社)を含む前記培地(100 μL)に交換した。所定のウェルに、所定の終濃度の試験化合物を1.0 μLメタノール溶液として添加した。その後、細胞を37℃、5.0% CO2の条件下で2日間培養した。培養終了後、培養上清を除去した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞を1回洗浄した。各ウェルに、アセトン:エタノール=1:1の混合溶液を100 μLずつ分注し、1分間静置することで、細胞を固定した。PBSで細胞を3回洗浄した。4-ニトロフェニルホスフェート二ナトリウム塩・六水和物(SIGMA社)1錠(5 mg)を、5 mLの反応緩衝液(0.1 M ジエタノールアミン-HCl、及び0.5 mM MgCl2、pH 10.0)に溶解して、4-ニトロフェニルホスフェート(4-NPP)溶液を調製した。各ウェルに、100 μLの1 mg/mL 4-NPP溶液を分注した。マイクロプレートを、室温で1時間振盪した。その後、各ウェルに、50 μLの3 M 水酸化ナトリウム水溶液を加えた。マイクロプレートを、室温で5分間振盪した。各ウェルの溶液の波長405 nmにおける吸光度を、マイクロプレートリーダー(Elx808 Graphicord、BIO-TEK instruments)を用いて測定した。試験化合物に替えて同量のメタノールを添加した他は前記と同様の手順で試験を実施したウェルの吸光度を対照区の吸光度とした。また、細胞を播種しない他は前記と同様の手順で試験を実施したウェルの吸光度をバックグラウンドの値とした。各試験化合物のBMPシグナル伝達阻害率を、以下の式に基づき算出した。各試験化合物について、アルカリホスファターゼ(ALP)阻害率に関する用量応答曲線を作成して、各試験化合物の50%阻害率濃度(ALP-IC50値)を算出した。
Figure 0006927483
[試験III-2:C2C12細胞由来骨芽細胞における細胞毒性試験]
チアゾリルブルー臭化テトラゾリル(MTT)を用いるMTT評価法(Mosmannら, J Immunol Methods, 1983年, 第65巻, p. 55-63)により、前記の手順で製造された化合物の細胞毒性を評価した。C2C12(R206H)細胞を、15% FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM培地に懸濁して、7.5×104 細胞/mLの細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液を、96穴マイクロプレートの各ウェルに100 μLずつ播種した(0.75×104 細胞/100 μL/ウェル)。細胞播種後のマイクロプレートを炭酸ガスインキュベーターに移し、細胞を37℃、5.0% CO2の条件下で24時間培養した。各ウェルの培地を、1 ng/mLの組換えヒトBMP-4を含む前記培地(100 μL)に交換した。所定のウェルに、所定の終濃度の試験化合物を1.0 μLメタノール溶液として添加した。その後、細胞を37℃、5.0% CO2の条件下で2日間培養した。培養終了後、培養上清を除去した。PBSで細胞を1回洗浄した。各ウェルに、10 μLの5.5 mg/mL MTT水溶液を添加した。細胞を37℃、5.0% CO2の条件下で3時間培養した。各ウェルに、90 μLの溶解液(40% N,N,-ジメチルホルムアミド、2% 酢酸、20% ドデシル硫酸ナトリウム、及び0.03 N 塩酸)を添加した。マイクロプレートを、室温で3時間振盪した。各ウェルの溶液の波長550 nmにおける吸光度を、マイクロプレートリーダーを用いて測定した。試験化合物に替えて同量のメタノールを添加した他は前記と同様の手順で試験を実施したウェルの吸光度を対照区の吸光度とした。また、細胞を播種しない他は前記と同様の手順で試験を実施したウェルの吸光度をバックグラウンドの値とした。各試験化合物存在下における細胞生存率を、以下の式に基づき算出した。各試験化合物について、MTT評価法における生存率に関する用量応答曲線を作成して、各試験化合物の50%生存率濃度(MTT-IC50値)を算出した。
Figure 0006927483
[試験III-3:結果]
各試験化合物のALP-IC50値、MTT-IC50値、並びにBMPシグナル伝達阻害活性及び細胞毒性比(MTT-IC50/ALP-IC50)を表1及び2に示す。
Figure 0006927483
Figure 0006927483
表1に示すように、化合物1-A、1-C、8、10、11及び12は、C2C12細胞に対して高いBMPシグナル伝達阻害活性を有するだけでなく、低い細胞毒性を有することが明らかとなった。また、表2に示すように、化合物22、34、21、32及び33も、化合物1-Aと同様に、C2C12細胞に対して高いBMPシグナル伝達阻害活性を有するだけでなく、低い細胞毒性を有することが明らかとなった。特に、化合物1-A、1-C、10及び11は、BMPシグナル伝達阻害活性及び細胞毒性比が高く、比較的高濃度でも細胞毒性を発現することなくBMPシグナル伝達阻害活性を介して骨代謝阻害活性を発現し得ると期待される。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。

Claims (15)

  1. 式(P-I):
    Figure 0006927483
    [式中、
    RP1は、H又はOHであり、
    RP2は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
    RP3は、メチル、エチル、1-ヒドロキシエチル、ブチル又はベンジルであり、
    RP4は、2-エチルブチル、シクロヘキシルメチル又はベンジルである。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
  2. 式(I):
    Figure 0006927483
    [式中、
    R1は、H又はOHであり、
    R2は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
    R3は、エチル又は1-ヒドロキシエチルである。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
  3. R1が、OHであり、
    R2が、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C5アルキルである、請求項2に記載の化合物。
  4. R2が、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、又は置換若しくは非置換のC6〜C15アリールである、請求項3に記載の化合物。
  5. R2が、プロパン-2-イル、ブタン-2-イル、ペンタン-3-イル、ペンタ-2-エン-3-イル又はフェニルであり、且つR3が、エチルであるか、或いは
    R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、1-ヒドロキシエチルである、請求項4に記載の化合物。
  6. 請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、
    式(I)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトマイセス属菌PP11038株(NITE P-02163)である微生物を培地中で培養して、式(I)で表される化合物を該培地中に蓄積させる、化合物蓄積工程;
    化合物蓄積工程で得られた式(I)で表される化合物を前記微生物の培養物から精製する、化合物精製工程;
    を含み、
    式(I)において、R1が、OHであり、R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであるか、或いは
    R1が、Hであり、R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、エチルである、前記方法。
  7. 請求項1に記載の式(P-I)(式中、RP1は、OHである。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
    式(P-VI):
    Figure 0006927483
    [式中、RP3及びRP4は、請求項1に記載の定義と同義である。]
    で表される化合物と、式(P-VII):
    RP2-M (P-VII)
    [式中、
    RP2は、請求項1に記載の定義と同義であり、
    Mは、-MgX、Li又は-NHNH-SO2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)であり、
    Xは、ハロゲンである。]
    で表される化合物とを反応させて、式(P-I)で表される化合物を得る、側鎖導入工程;を含む、前記方法。
  8. 請求項2〜5のいずれか1項に記載の式(I)(式中、R1は、OHである。)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の製造方法であって、以下:
    式(VI):
    Figure 0006927483
    [式中、R3は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の定義と同義である。]
    で表される化合物と、式(VII):
    R2-M (VII)
    [式中、
    R2は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の定義と同義であり、
    Mは、-MgX、Li又は-NHNH-SO2-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)であり、
    Xは、ハロゲンである。]
    で表される化合物とを反応させて、式(I)で表される化合物を得る、側鎖導入工程;
    を含む、前記方法。
  9. 請求項2〜5のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物を産生する能力を有するストレプトマイセス属菌PP11038株(NITE P-02163)である微生物。
  10. R1が、OHであり、R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、エチル又は1-ヒドロキシエチルであるか、或いは
    R1が、Hであり、R2が、ペンタ-2-エン-3-イルであり、且つR3が、エチルである、請求項9に記載の微生物。
  11. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む、骨代謝阻害剤。
  12. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む医薬。
  13. 骨代謝異常に起因する1種以上の疾患、症状若しくは障害の予防又は治療に使用するための、請求項12に記載の医薬。
  14. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物。
  15. 骨代謝異常に起因する1種以上の疾患、症状若しくは障害の予防又は治療に使用するための、請求項14に記載の医薬組成物。
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