JP6923957B2 - Dsg2モノクローナル抗体およびその応用 - Google Patents

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Description

本発明は、がん治療のための抗体に関する。より詳しくは、本発明は、Dsg2モノクローナル抗体およびがんの治療におけるその使用に関する。
デスモソームは、上皮組織や心筋組織と他の組織との間の主だった細胞間接着の一種である。このようなデスモソームは、デスモソームカドヘリン、デスモコリン(Dsc)、デスモグレイン(Dsg)と称する膜貫通タンパク質を含む。これらのタンパク質のそれぞれは、組織特異性発現パターンを示す少なくとも3つの異なる遺伝子アイソフォームとして発生する。
Dsg2は、デスモソームを形成するすべての組織内で偏在的に発現する。Dsg2の細胞外ドメインは、それぞれが約110のアミノ酸を有する長さの4つのカドヘリンリピートドメイン(EC1〜4)を含む。細胞外リピートドメインEC1は、細胞間接着をもたらす細胞接着認識(CAR)部位を含む。したがって、Dsg2は、膜貫通細胞接着分子であると認識されている。また、最近の研究では、Dsg2が単純な細胞間接着分子ではないこともわかっている。Dsg2は、血管形成の促進、アポトーシスのシグナリングに関与し、MMP(マトリックス・メタロプロテイナーゼ)の基質である。
Dsg2は、EMT(上皮間葉転換)の制御において以下のような重要な役割を果たす。(1)HGF/SF(肝細胞増殖因子/散乱因子)を用いてEMTを誘導すると、Dsg2を除くデスモソーム接着成分のほとんどがダウンレギュレーションを示す。(2)Dsg2をトランスフェクトした上皮細胞は、間葉系形態を示し、HGF/SFによる治療において移行および侵入能力の向上を示す。(3)Dsg2のEC2ドメインに対する抗体は、インビトロにおいてHGF/SF誘導EMTを顕著に阻止した。さらに、発明者らは、Dsg2のEC2ドメインに対する抗体は、MCF7乳がん細胞、LNCaPヒト前立腺がん細胞、および、KM12ヒト結腸がん細胞を含むがん細胞の侵入を阻止すると判断した。発明者らは、いかなる定説にも縛られるつもりはないが、Dsg2が細胞内でEMTを促進するよう機能し得ることを提唱する。特許文献1は、哺乳類におけるdscおよび/またはdsg発現細胞の接着を阻止することによるがんの治療を教示している。特許文献2は、Dsg2のEC2ドメイン由来の細胞接着認識(CAR)部位が、がんを治療する、および/または、転移を阻止するための調節剤として用いられ得ることを示唆している。特許文献3は、Dsg2のアンタゴニストであって、Dsg2のEC2ドメインの機能を調節するアンタゴニストを開示している。
Dsg2が、がんなどのヒトの病気に関わっていることは、まだ明確にはされていないものの、Dsg2は、基底細胞がん(BCC)、扁平上皮がん(SCC)、胃がん、メラノーマ、転移性前立腺がん、および、膀胱がんを含むいくつかの上皮性悪性腫瘍で高度に発現される。したがって、がんの予防または治療に用いられ得る、Dsg2をターゲットとした抗体が必要とされる。
米国特許公開公報第20040229811号明細書 国際公開公報第99/57149号 米国特許公開公報第20120276082号明細書
本発明は、Dsg2モノクローナル抗体、および、がん治療におけるその使用に関する。
本発明は、Dsg2と特異的に結合する単離したモノクローナル抗体を提供する。
いくつかの実施形態では、抗体は、キメラ抗体、CDR移植抗体、または、ヒト化抗体である。
本発明は、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号1または2のアミノ酸残基、または、配列番号1および2のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む重鎖相補性決定領域1(H−CDR1)、配列番号3または4のアミノ酸残基、または、配列番号3および4のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む重鎖相補性決定領域2(H−CDR2)、および、配列番号5または6のアミノ酸残基、または、配列番号5および6のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む重鎖相補性決定領域3(H−CDR3)の少なくとも1つと、配列番号7または8のアミノ酸残基、または、配列番号7および8のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む軽鎖相補性決定領域1(L−CDR1)、配列番号9のアミノ酸残基、または、配列番号9と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む軽鎖相補性決定領域2(L−CDR2)、および、配列番号10のアミノ酸残基、または、配列番号10と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む軽鎖相補性決定領域3(L−CDR3)の少なくとも1つと、を含み、単離された抗体またはその抗原結合部分は、Dsg2と結合する。
ある実施形態では、本発明は、a)配列番号1のH−CDR1H、配列番号3のH−DR2H、配列番号5のH−CDR3Hと、配列番号7のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、配列番号10のL−CDR3とを含む、または、b)配列番号2のH−CDR1H、配列番号4のH−DR2H、配列番号6のH−CDR3Hと、配列番号8のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、配列番号10のL−CDR3とを含むDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分を提供する。
他の実施形態では、本発明は、配列番号1のH−CDR1H、配列番号3のH−DR2H、配列番号5のH−CDR3Hと、配列番号7のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、配列番号10のL−CDR3とを含むDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分を提供する。
一実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号11または12の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。
他の実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号13または14の重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。
さらなる実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号11の軽鎖可変領域のアミノ酸配列、および、配列番号13の重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む(3D4)。
さらなる実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号12の軽鎖可変領域のアミノ酸配列、および、配列番号14の重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む(13D3)。
本発明は、また、本発明のDsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分、および、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
本発明は、さらに、本発明のモノクローナル抗体を被検体に投与することを含む、血管形成を治療する方法も提供する。本発明は、さらに、本発明のモノクローナル抗体を被検体に投与することを含む、がんを治療する、および/または、侵入および転移を阻止する方法も提供する。一実施形態では、方法は、EMT、および、関連するがん細胞の侵入および転移の可能性を低減することができる。好ましくは、がんは、腎臓がん、メラノーマ、肺がん、食道がん、子宮頚がん、乳がん、または、膵臓がんである。
モノクローナル抗体3D4および13D3のVおよびV配列を示す。 フローサイトメトリー分析、および、ウエスタンブロット法によるDsg2のノックダウン検査を示す。3D4および13D3がDsg2との特異的結合活性を有することを示している。図2(A)は、3D4のフローサイトメトリー分析;図2(B)は、3D4のウエスタンブロット法;図2(C)は、13D3のフローサイトメトリー分析;図2(D)は、13D3のウエスタンブロット法を示す。 フローサイトメトリー分析、および、ウエスタンブロット法によるDsg2の過剰発現細胞を示す。3D4および13D3がDsg2と特異的に結合することを示している。図3(A)は、3D4のフローサイトメトリー分析;図3(B)は、3D4のウエスタンブロット法;図3(C)は、13D3のフローサイトメトリー分析;図3(D)は、13D3のウエスタンブロット法を示す。 Dsg2モノクローナル抗体3D4が異なる種類の上皮性ヒトガン細胞を認識することを示す。 Dsg2モノクローナル抗体13D3が異なる種類の上皮性ヒトガン細胞を認識することを示す。
本発明は、Dsg2に対する抗体が、がんの治療または予防に有効であることを見出した。
以下の説明では、多数の用語が用いられ、また、以下の定義は、請求項の範囲の内容の理解を容易にすべく定めたものである。本願明細書で用いられる用語は、限定の意味合いはなく、一般的な意味として用いている。
特に指定しない限り、単数形は、「1つ以上」を意味する。
本願明細書中で用いられる用語「エピトープ」は、抗体が結合する抗原の部位を指す。本願明細書中で用いられる用語「抗原」は、免疫応答を誘発する分子として定義される。免疫応答は、抗体の産生、および、特定の免疫適格細胞の活性のいずれか、または、両方を誘発する。
当業者であれば、実質的にすべてのタンパク質またはペプチドを含むいかなる高分子も抗原としての役割を果たし得ることを理解するであろう。
本願明細書中で用いられる用語「抗体」は、抗体全体、および、抗体のフラグメントまたは単鎖を結合するいかなる抗原をも含む。「抗体」とは、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重鎖(H鎖)および2本の軽鎖(L鎖)からなる糖タンパク質のことを指す。各重鎖は、重鎖可変領域(以下Vと略記する)、および、重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2、および、CH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(以下Vと略記する)、および、軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLからなる。VおよびV領域は、相補性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域へとさらに細別される。CDRは、配列の超可変性を有し、および/または、抗原認識に関与し、および/または、フレームワーク領域(FRまたはFW)と称するより保存された領域に支持された構造的に明確なループを形成する。VおよびVのそれぞれは、3つのCDRおよび4つのFWからなり、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端までFW1、CDR1、FW2、CDR2、FW3、CDR3、FW4の順に配列されている。FW1、FW2、FW3、および、FW4のアミノ酸配列は、本願明細書中に記載されるようなVまたはVの「非CDR領域」、または、「非延長CDR領域」を構成する。
本願明細書中ではCDRの多くの定義が用いられている。例えば、カバット定義は、配列変化に基づき、最も一般的に用いられる(カバットE.A.上記を参照)。ショティアは、構造的ループの位置に言及している(Chothia C&Lesk A M(1987)J.Mol.Biol.196:901−917)。AbM定義は、カバット定義とショティア定義との折衷であり、オックスフォード分子AbM抗体モデリングソフトウェアに用いられている(タンパク質構造予測。オックス大学出版局、オックスフォード141−172)。CDRは、国際的な免疫遺伝学データベースであるIMGT(国際免疫遺伝学情報システム(登録商標))(http://imgt.cines.fr)によって定義されている。IMGTは、ヒトおよび他の脊椎動物の免疫グロブリン(IG)、T細胞受容体(TR)、および、主要組織適合複合体(MHC)を専門とする高品質の統合情報システムである。(Lefranc M P等(1991)ヌクレオチドの研究27(1):209−12;Ruiz M等(2000)ヌクレオチドの研究28(1):219−21;Lefranc M P(2001)ヌクレオチドの研究29(1):207−9;Lefranc M P(2003))。
本願明細書中で用いられる用語「マウス抗体」は、マウス由来の可変領域配列、および、定常領域配列を含む抗体であってよい。
本願明細書中で用いられる用語「キメラ抗体」とは、1つの種由来の抗体、好ましくは、齧歯動物またはトリ抗体、より好ましくは、マウス抗体のCDRを含む、重鎖および軽鎖可変領域を含む組み換えタンパク質のことを指し、抗体分子の定常領域が、ヒト抗体の定常領域に由来する。
本願明細書中で用いられる用語「Fv」とは、完全な抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントのことを指す。一実施形態では、二重鎖Fv種は、1つの重鎖可変領域と、1つの軽鎖可変領域とが強力に非共有結合した二量体からなる。単鎖Fv(scFv)種では、軽鎖および重鎖が二重鎖Fv種のものに類似した「二量体」構造で結合することができるように、1つの重鎖可変領域および1つの軽鎖可変領域を柔軟なペプチドリンカーによって共有結合し得る。この構成において、各可変領域の3つのHVRが相互作用して、V−V二量体の表面に抗原結合部位を形成する。6つのHVRが集合することにより、抗体に特異的な抗原結合をもたらす。しかしながら、単鎖可変領域(または抗原に特異的な3つのHVRのみからなるFvの半分)は、結合部位全体より親和性は低くとも、抗原を認識して結合する能力を有する。
本願明細書中で用いられる用語「診断上の」または「診断された」は、病的状態の存在または病的状態にあることを識別することを意味する。
本願明細書中で用いられる用語「治療」、「治療する」等は、哺乳類、特にヒトの、以下を含む病気のいかなる治療も網羅する。(a)病気の素因となり得るが、まだそうとは診断されていない病気が被検体で発生するのを予防すること。(b)病気を阻止すること、すなわち、病気の進行を食い止めること。(c)病気を緩和する、病気を緩解させること。
本願明細書中で交換可能に用いられる用語「個体」、「被検体」、「宿主」、および、「患者」は、これらに限定されないが、ネズミ(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄類(ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギなど)を含む哺乳類のことを指す。
本願明細書中で用いられる用語「治療効果のある量」または「効果的な量」とは、病気を治療するために哺乳類または他の被検体に投与したときに、病気を治療する十分な効果のあるDsg2モノクローナル抗体の量を指す。
本発明は、Dsg2モノクローナル抗体に関する。Dsg2は、特に、Dsg2の細胞外ドメイン2である。
本発明の一側面は、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号1または2のアミノ酸残基、または、配列番号1および2のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む重鎖相補性決定領域1(H−CDR1)、配列番号3または4のアミノ酸残基、または、配列番号3および4のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む重鎖相補性決定領域2(H−CDR2)、および、配列番号5または6のアミノ酸残基、または、配列番号5および6のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む重鎖相補性決定領域3(H−CDR3)の少なくとも1つと、配列番号7または8のアミノ酸残基、または、配列番号7および8のいずれかと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む軽鎖相補性決定領域1(L−CDR1)、配列番号9のアミノ酸残基、または、配列番号9と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む軽鎖相補性決定領域2(L−CDR2)、および、配列番号10のアミノ酸残基、または、配列番号10と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する変異体を含む軽鎖相補性決定領域3(L−CDR3)の少なくとも1つと、を含み、単離された抗体またはその抗原結合部分は、Dsg2と結合する。
好ましくは、上記配列の同一性は、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。
重鎖および軽鎖それぞれにおけるCDRのアミノ酸配列を以下に示す。CDRには、IMGT番号方式による番号を付している。
Figure 0006923957
いくつかの実施形態では、抗体は、キメラ抗体、CDR移植抗体、または、ヒト化抗体である。
ある実施形態では、本発明は、a)配列番号1のH−CDR1H、配列番号3のH−DR2H、配列番号5のH−CDR3Hと、配列番号7のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、配列番号10のL−CDR3とを含む、または、b)配列番号2のH−CDR1H、配列番号4のH−DR2H、配列番号6のH−CDR3Hと、配列番号8のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、配列番号10のL−CDR3とを含むDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分を提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号1のH−CDR1H、配列番号3のH−DR2H、配列番号5のH−CDR3Hと、配列番号7のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、配列番号10のL−CDR3とを含むDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分を提供する。
他の実施形態では、本発明は、配列番号2のH−CDR1H、配列番号4のH−DR2H、配列番号6のH−CDR3Hと、配列番号8のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、配列番号10のL−CDR3とを含むDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分を提供する。
一実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号11または12の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。
他の実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号13または14の重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。
Figure 0006923957
Figure 0006923957
一実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号11または12の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号13または14の重鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む。さらなる実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号11の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号13の重鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む(3D4)。
さらなる他の実施形態では、Dsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号12の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号14の重鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む(13D3)。
本発明の他の側面は、Dsg2と結合する抗体およびそのフラグメントも提供する。重鎖CDRの少なくとも1つ、および/または、軽鎖CDRの少なくとも1つは、少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。修飾を導入するために部位特異的突然変異、または、PCR介在性突然変異を行うことができ、抗体結合、または、他の重要な機能特性への効果をインビトロまたはインビボアッセイで評価することができる。好ましくは、保存的修飾が導入される。修飾は、アミノ酸の置換、追加、または欠失であってよいが、置換が好ましい。一般的に、CDR内では、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、最も好ましくは、1以下のアミノ酸修飾が行われる。
特定の実施形態では、変異抗体を産生する可変領域を設計するためにフレームワーク配列が用いられ得る。本発明の異種抗体は、例えば、抗体の特性を向上させるべく、Vおよび/またはV内のフレームワーク残基が修飾されているものを含む。一般的に、このようなフレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を低下させるためになされる。例えば、1つのアプローチとして、1つ以上のフレームワーク残基を、対応するマウスの配列に「復帰突然変異」させる、または、1つ以上のフレームワーク残基を、対応する生殖細胞系の配列に「復帰突然変異」させることが挙げられる。
本願明細書では、本発明のモノクローナル抗体を産生する特に好適な方法が詳細に記載されるが、従来のモノクローナル抗体法を含むさまざまな他の技術、例えば、標準的な体細胞雑種形成技術などを用いることができる。体細胞雑種形成は好ましいが、モノクローナル抗体を産生するには他の技術を用いることもできる。
ハイブリドーマを調製するための好適な動物系は、ネズミ系である。ネズミ系におけるハイブリドーマの産生の方法は、確立されている。融合用の免疫化脾細胞を単離する免疫プロトコルおよび技術は、当技術分野において周知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)、および、融合法も周知である。簡単に説明すると、モノクローナル抗体は、マウスまたはトリに抗原を含む組成物を注射し、Bリンパ球を得るために脾臓を摘出し、Bリンパ球と骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマを生成し、ハイブリドーマをクローニングし、抗原に対して抗体を産生する陽性クローンを選択し、抗原に対して抗体を産生するクローンを培養し、ハイブリドーマ培養組織から抗体を単離することによって得られる。
キメラまたはヒト化抗体を産生するようなさまざまな技術は、抗体クローニング、および、抗体構築の方法を含み得る。対象となる抗体の抗原結合可変軽鎖配列および重鎖配列は、RT−PCR、5’−RACE、および、cDNAライブラリスクリーニングなどのさまざまな分子クローニング法によって得てよい。マウス抗体を発現する細胞からの抗体の可変重鎖または可変軽鎖配列遺伝子は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅によってクローン化・配列決定され得る。それらの信頼性を確かめるために、Orlandi等によって記載されたように、細胞培養中にクローン化VおよびV遺伝子をキメラ抗体として発現させることができる(米国科学アカデミー紀要86:3833(1989))。その後、可変重鎖または可変軽鎖遺伝子配列に基づき、ヒト化抗体は、Leung等によって記載されたように設計・構築され得る(分子免疫学32:1413(1995))。
キメラ抗体は、ヒト抗体の可変領域が、例えば、相補性決定領域(CDR)を含むマウス抗体の可変領域と置き換えられている組み換えタンパク質である。キメラ抗体が被検体に投与されると、免疫原性の低下、および、安定性の向上が見られる。キメラ抗体を構築する方法は、当技術分野では周知である(例えば、Leung等、1994年、ハイブリドーマ13:469)。
キメラモノクローナル抗体は、マウスの免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変領域からヒト抗体の対応する可変領域へとマウスのCDRを移植することによってヒト化され得る。キメラモノクローナル抗体におけるマウスフレームワーク領域(FR)は、ヒトフレームワーク領域の配列と置き換えられる。ヒト化モノクローナル抗体の安定性および抗原特異性を保存するために、1つ以上のヒトフレームワーク領域残基をマウスの対応する残基と置き換えてもよい。ヒト化モノクローナル抗体は、被検体の治療に用いることができる。ヒト化モノクローナル抗体を産生する技術は、当技術分野では周知である(例えば、Jones等、1986年、ネイチャー、321:522;Riechmann等、ネイチャー、1988年、332:323;Verhoeyen等、1988年、サイエンス、239:1534;Carter等、1992年、米国科学アカデミー紀要89:4285;クリティカルレビュー・イン・バイオテクノロジー、1992年、12:437;Tempest等、1991年、バイオテクノロジー9:266;Singer等、ジャーナル・オブ・イミュノロジー、1993年、150:2844)。
本発明の他の側面は、本発明のDsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分、および、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容される担体は、当技術分野では周知の賦形剤および助剤であり、抗体の投与を促進するか、または、作用部位への送達のために薬学的に最適化された製剤へと活性化合物を加工するのを援助する比較的不活性な物質である。適切な賦形剤または添加剤は、これらに限定されないが、安定剤、湿潤および乳化剤、モル浸透圧濃度を変化させる塩、カプセル化剤、緩衝剤、および、皮膚浸透エンハンサーを含む。特定の好適な実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥状態で提供され、投与前に、例えば、緩衝食塩水で戻されてよい。
開示された全身投与のための抗体は、腸内、非経口、または、局所投与用に調製され得る。実際には、活性成分の全身投与を実現するために、3つの剤形を同時に用いてもよい。賦形剤、および、非経口および経口ドラッグデリバリーのための剤形は、レミントンの製薬化学(第20版、マックパブリッシング、2000年)に記載されている。非経口投与のための適切な剤形は、例えば、水溶性塩などの水に溶ける形態の活性化合物の水溶液を含む。さらに、油性注射懸濁液に適するような活性化合物の懸濁液も投与されてよい。適切な親油性溶媒または媒質は、例えば、ヘキシル置換ポリ(ラクチド)などの脂肪油、胡麻油、または、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステルを含む。水性注射懸濁液は、懸濁液の濃度を高め、例えば、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、ソルビトール、および/または、デキストランを含有する物質を含んでよい。懸濁液は、任意で、安定剤を含んでもよい。送達する薬剤を細胞内に封入するためにリポソームを用いることもできる。
腸内投与に適した剤形は、ハードまたはソフトゼラチンカプセル、丸剤、糖衣錠を含む錠剤、エリキシル、懸濁液、シロップ、または、吸入剤、および、その放出制御製剤を含む。一般的に、Dsg2モノクローナル抗体を含む本発明の化合物および組成物は、それを必要とする被検体に、さまざまな経路でインビボ投与されてよい。さまざまな経路は、これらに限定されないが、経口、静脈内、動脈内、皮下、非経口、鼻腔内、筋肉内、頭蓋内、心臓内、心室内、気管内、口腔、直腸、腹腔内、皮内、局所、経皮、および、髄腔内、または、移植もしくは吸入を含み得る。本発明の組成物は、これらに限定されないが、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、水溶液、座薬、浣腸、注射、吸入剤、および、エアロゾルを含む固体、半固体、液体、または、ガス状に調製されてよい。適切な剤形、および、投与経路は、対象とする用途、および、治療計画に従い選択されてよい。
本発明の一側面は、本発明のモノクローナル抗体を被検体に投与することを含む、血管形成を治療する方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、本発明のモノクローナル抗体を被検体に投与することを含む、がんを治療する、および/または、侵入および転移を阻止する方法を提供する。一実施形態では、方法は、Dsg2のEMT、および、細胞転移および/または侵入促進機能を低下させることができる。さまざまながんの例は、これらに限定されないが、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、腎臓がん、肝臓がん、脳がん、リンパ腫、白血病、メラノーマ、食道がん、肺がんなどを含む。好ましくは、がんは、腎臓がん、メラノーマ、肺がん、食道がん、子宮頸がん、乳がん、または、膵臓がんである。
特定の投薬計画、すなわち、用量、タイミング、および、繰り返しは、特定の個人、および、その個人の病歴に依存し、また、薬物動態学(半減期、クリアランス率など)などの経験的考察にも依存するであろう。投与回数は、治療過程を通して決定されかつ調整されてよく、増殖または発がん性細胞数の減少、そのような新生細胞の減少の維持、新生細胞の増殖の抑制、または、転移の遅延に基づいてよい。他の実施形態では、投与用量は、潜在的な副作用、および/または、毒性を制御するために調整または減少されてよい。あるいは、本発明の治療組成物を持続的に連続放出する剤形も適切であり得る。一般的に、本発明の抗体は、さまざまな範囲で投与され得る。体重当たりの用量の範囲は、約100μg/kg〜約100mg/kg、好ましくは、約100μg/kg〜約1mg/kg、約100μg〜約500μ/kg、約500μg/kg〜約1mg/kg、約1mg/kg〜約100mg/kg、約10mg/kg〜約100mg/kg、約50mg/kg〜約100mg/kg、約10mg/kg〜約50mg/kgである。
併用療法は、望ましくない新生細胞の増殖を抑制するかもしくは阻止し、がんの発生を抑制し、がんの再発を抑制もしくは予防し、または、がんの転移を抑制または予防するのに特に有益であり得る。すなわち、本開示の抗体は、特定の実施形態において、他に投与された治療薬の作用機序を高める優れた効果をもたらす。本発明における「併用療法」とは、抗体と、1つ以上の抗がん剤とを投与することを意味するに過ぎず、広く解釈されるべきである。1つ以上の抗がん剤は、これらに限定されないが、細胞毒性薬、細胞増殖抑制薬、抗血管新生剤、化学療法剤、放射線治療薬、標的抗がん剤(モノクローナル抗体および小分子のどちらも含む)、治療抗体、がんワクチン、サイトカイン、ホルモン療法剤、抗転移剤、および、特定および非特定のアプローチを含む免疫療法薬を含む。
併用療法は、1回、2回、または、少なくとも病状が良くなる、緩和する、または、治るまでの期間行われてよい。いくつかの実施形態では、併用療法は、例えば、1日3回から6か月に1回というように複数回行われる。投与スケジュールは、1日3回、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、週1回、2週間に1回、月1回、2か月に1回、3か月に1回、半年に1回でよく、または、持続的に投与されてもよい。併用療法は、前述のように、いかなる経路で行われてよい。併用療法は、腫瘍部位から離れた部位に行ってよい。
一実施形態では、抗体は、1つ以上の抗がん剤と併せて、必要としている被検体に短い治療周期で投与される。本発明は、また、不連続投与、または、1日の用量をいくつかに分けた投与も提供する。抗体、および、抗がん剤は、日替わりまたは週替わりで交互に投与されるか、または、一連の抗体治療の後に、抗がん剤による1つ以上の治療が行われてよい。いずれにしても、化学療法剤の適切な用量は、化学療法が単独で、または、他の化学療法と併用して行われている臨床治療においてすでに用いられている用量に概ね近くなるであろうことが当業者には理解できよう。
他の好適な実施形態では、病気の初期症状の後の腫瘍再発の機会を減らすまたは失くすために、本発明の抗体を維持療法で用いてもよい。
実施例1 ヒトデスモグレイン2(Dsg2)に対するモノクローナル抗体の調製
Dsg2に特異的なモノクローナル抗体を発現させるためにハイブリドーマ法を用いた。BALB/cマウスを免疫するのに用いられた抗原は、Dsg2の細胞外ドメイン2を含む組換え融合タンパク質である。
簡単に説明すると、(完全なヒトDsg2をコードする)プラスミドIMAGE8694から増幅された短縮型Dsg2のコード配列をpET−28aベクター(ノバジェン)にクローニングした。精製のためのN末端およびC末端ヘキサヒスチジンタグを含むDsg2−EC2コンストラクトは、大腸菌株BL21で発現した。
抗Dsg2免疫応答を誘導すべく、TiterMax Goldアジュバント(シグマアルドリッチ)で乳化した50μgのDsg2−EC2組換えタンパク質を、製造者の指示にしたがい、2週間隔で2回皮下投与してBALB/cマウスを免疫した。0.1mgのDsg2−EC2組換えタンパク質をアジュバントなしで腹腔内投与して最終免疫した。融合の1日前、NS0細胞を10%の加熱不活化したウシ胎児血清(FBS;インビトロジェン)、および1%のペニシリン−ストレプトマイシン混合物(100×ペニシリン−ストレプトマイシン混合溶液;インビトロジェン)を含む新鮮なDMEM培地(インビトロジェン)に再播種した。細胞濃度は、5×10細胞/mlとした。最終免疫の3日後、2匹の免疫化マウスから脾臓細胞を採取し、無血清のDMEM培地で2度洗浄した。5×10のNS0細胞を採取し、無血清のDMEM培地で2度洗浄した。洗浄後、脾臓細胞と、NS0細胞とを融合させるために、1mlの予熱した50%ポリエチレングリコール1500(PEG1500、ロシュ・アプライド・サイエンス)を添加し、細胞をピペットの先端で1分間ゆっくりと撹拌し続け、さらに1分間撹拌した後、2mlの予熱した無血清DMEM培地を2分間かけて加え、最後に、8mlの無血清DMEM培地を2分間かけて加えた。200×gで10分間遠心分離した後、融合細胞を600mlのHAT培地(2%のヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン混合物を加えたDMEM培地(50×HAT溶液;インビトロジェン)、10%のBM−Condimed H1(ロシュ・アプライド・サイエンス)、10%の加熱不活性化したウシ胎児血清、および、1%のペニシリン−ストレプトマイシンの混合物)で再懸濁し、30、96ウェル培養プレートにウェル当たり200μlで分配した。
3日目、100μlのHAT培地を各ウェルに追加した。7日目、および、10日目に、各ウェルの半量を吸引し、HAT培地と交換して新しくした。14日目、ハイブリドーマ上清を用いて、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によってDsg2−EC2タンパク質に結合するための抗Dsg2モノクローナル抗体をスクリーニングした。所望の抗原結合活性を有する抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を以下のようにスクリーニングした。1μg/mLのDsg2−EC2、および、他のさまざまな制御タンパク質、または、10μg/mLのさまざまなペプチドと共に、0.1M、pH9.6の炭酸緩衝液中で一晩インキュベートすることによって、マイクロタイタープレートをコーティングした。pH7.3のPBSに1%のウシ血清アルブミンを加えたものでウェルを1時間充填し、さまざまな希釈度の抗血清またはコントロール抗体と共に1時間、37℃でインキュベートした。洗浄後、Fcγフラグメントに特異的なHRP標識ヤギ抗マウスIgG(ジャクソン免疫研究所)によって、リガンド結合抗体を1:10,000で検出し、37℃で1時間インキュベートした後、TMB基質(Clinical Scientific Products)と共にインキュベートした。光学濃度は450nmとした。さらなる特徴付けのために、モノクローナル抗体3D4および13D3を含む多数の陽性クローンを選択した。
図2(Dsg2ノックダウン)、および、図3(Dsg2過剰発現)に見られるように、フローサイトメトリー分析、および、ウエスタンブロット法によるさらなる特徴付けの検査は、3D4および13D3のいずれもDsg2を発現している細胞に特異的に結合し得ることを示している。
上記抗体クローンのVおよびVの遺伝子断片を、抗体を分泌するハイブリドーマクローンのPCRによって増幅した。これによって得られた遺伝子断片の配列によって、図1に示すモノクローナル抗体3D4および13D3のVおよびV配列を決定した。
およびV領域のCDRにはアンダーラインし、それらの配列を図1に示す。
実施例2 Dsg2モノクローナル抗体3D4および13D3のさまざまな種類のヒトガン細胞への結合
マウス大腸がん細胞株CT26、イヌ腎臓細胞株MDCK、ヒトメラノーマ細胞株A375.S2、ヒト肺がん細胞株A549、ヒト食道がん細胞株BE3、ヒト子宮頸がん細胞株HeLa、ヒト乳がん細胞株MDA−MB−231、および、ヒト膵臓がん細胞株PANC−1を培養し、Dsg2モノクローナル抗体3D4および13D3の結合活性の検査のために用いた。
これらの細胞を10μg/mlのモノクローナル抗体3D4または10μg/mlのモノクローナル抗体13D3と共に20分間、氷上でインキュベートし、フローサイトメトリー分析にかけた。図4および5に示すように、これらの検査から得た結果は、3D4および13D3のいずれもさまざまな種類のヒトガン細胞と結合できることを示している。

Claims (10)

  1. Dsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分であって、
    a)配列番号1のH−CDR1、配列番号3のH−CDR2、および、配列番号5のH−CDR3と、配列番号7のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、および、配列番号10のL−CDR3とを含む、または、b)配列番号2のH−CDR1、配列番号4のH−CDR2、および、配列番号6のH−CDR3と、配列番号8のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、および、配列番号10のL−CDR3とを含む、
    Dsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分。
  2. 配列番号1のH−CDR1、配列番号3のH−CDR2、および、配列番号5のH−CDR3と、配列番号7のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、および、配列番号10のL−CDR3とを含む、
    請求項1に記載のDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分。
  3. 配列番号2のH−CDR1、配列番号4のH−CDR2、および、配列番号6のH−CDR3と、配列番号8のL−CDR1、配列番号9のL−CDR2、および、配列番号10のL−CDR3とを含む、
    請求項1に記載のDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分。
  4. 配列番号11の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号13の重鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む、
    請求項1に記載のDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分。
  5. 配列番号12の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号14の重鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む、
    請求項1に記載のDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分。
  6. 前記抗体は、キメラ抗体、CDR移植抗体、または、ヒト化抗体である、請求項1に記載のDsg2モノクローナル抗体、または、その抗原結合部分。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のDsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のDsg2モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を含む、ヒトガン細胞を結合するための組成物。
  9. 前記がんは、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、腎臓がん、肝臓がん、脳がん、リンパ腫、白血病、メラノーマ、食道がん、または、肺がんである、
    請求項8に記載の組成物。
  10. 前記がんは、腎臓がん、メラノーマ、肺がん、食道がん、子宮頚がん、乳がん、または、膵臓がんである、請求項9に記載の組成物。
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