JP2015199725A - 中和活性を有する抗lr11モノクローナル抗体、及びそれを含有してなる医薬 - Google Patents

中和活性を有する抗lr11モノクローナル抗体、及びそれを含有してなる医薬 Download PDF

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康 齋藤
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Keigo Nishii
桂吾 西居
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Chika Murakami
知華 村上
雅尚 渡辺
Masanao Watanabe
雅尚 渡辺
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Abstract

【課題】
本発明は、LR11に特異的に結合し、優れた中和活性を有する新規モノクローナル抗体、及びそれを含有してなる悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤を提供する。
【解決手段】
本発明は、配列番号1、2、3、4、5及び6からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するペプチドを相補性決定領域(CDR)として含むことを特徴とする、抗LR11抗体に関する。
また、本発明は、前記の抗LR11モノクローナル抗体を含有してなる悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、モノクローナル抗体、特に、LR11の細胞外ドメインであるVps10pドメインによってコードされるエピトープによって細胞表面LR11及び可溶性LR11(以下、「sLR11」という。)に特異的に結合し、多くの好ましい特徴を有するモノクローナル抗体に関する。本発明はまた、細胞表面LR11及びsLR11の持つ生物活性を阻害して中和する活性を持つモノクローナル抗体に関する。本発明はまた、前記モノクローナル抗体を含む医薬組成物、又は各種癌の治療方法における使用のための前記モノクローナル抗体を提供する。本発明はさらに、前記モノクローナル抗体の癌治療用医薬の製造における使用に関する。
LR11(Low-density lipoprotein (LDL) receptor relative with 11 ligand-binding repeats)はLDL受容体ファミリータンパク質であり(特許文献1)、その構造は膜貫通領域を1回含むI型の膜タンパク質で、LDL受容体ファミリーの共通した構造であるリガンド結合領域(clusters of type A ligand-binding repeats又はcomplement-type repeats clusters of complement-type repeats)が11回繰り返している構造を持っている(非特許文献1)。LR11は、ヒト、ウサギ、マウス、ラット、ニワトリ等、種差を超えてそのアミノ酸配列は高く保存され、リガンド結合領域の繰り返し構造のN末端側にはVps10p(Vacuolar protein sorting 10 protein)類似ドメインを、C末端側にはフィブロネクチンtypeIIIドメインといった構造を有し、さらにC末端側には膜貫通領域、細胞質尾部C末端を有している。LR11は神経細胞での発現が高く、ヒトにおいては脳や腎臓での発現が高い。また、細胞表面上だけでなく細胞内のエンドゾームにも分布がみられる。脳組織より同定されたSorLA(sorting protein-related receptor containing LDL receptor class A repeats)とLR11は同一のタンパク質であり、ヒト遺伝子名はSORL1である(非特許文献2)。さらに、細胞表面に存在するLR11は膜貫通領域直上でプロテアーゼTACE(tumor necrosis factor-alpha converting enzyme;TNF-α変換酵素)により切断され、細胞外部分はsLR11としてVps10pを含む画分が細胞外へ放出される。LR11は正常血管では発現がみられないが、動脈硬化巣においては、平滑筋細胞の遊走(cell migration)及び増殖によって形成された血管内膜肥厚部位において特異的に発現が亢進することが知られている(非特許文献3、4)。LR11は膜結合型、放出可溶型ともに、細胞表面上のウロキナーゼ(以下、「uPA」という。)受容体(以下、「uPAR」という。)と結合する(非特許文献5)。uPARはさらに細胞接着分子のインテグリンとも細胞表面上で複合体を形成する。可溶性LR11は、uPA-uPAR系を介したプラスミン・カスケードの亢進により、細胞外マトリックスを分解させるとともに、マトリックスメタロプロテアーゼを活性化させることで、細胞周囲の細胞外マトリックスは分解される。さらに、uPAと結合したuPARはインテグリンを介した細胞内シグナルを誘発するが、放出sLR11はuPARと結合することにより、インテグリン/FAK/Rac1経路が活性化し、細胞骨格の構造を変化させて血管平滑筋細胞の遊走能を亢進させると考えられている(非特許文献6)。
また、脳において強く発現しているLR11は神経細胞で細胞内ゴルジ−小胞体ネットワークに局在し神経細胞内で小胞間のタンパク質輸送に関わる(非特許文献7)。LR11はアミロイド前駆体輸送にも関与し、アミロイド前駆タンパク質をゴルジ体中に留め、また、分泌胞に移行したアミロイド前駆タンパク質を再びゴルジ体に戻し、アミロイド前駆タンパク質からアミロイドを生成するβセクレターゼの機能を阻害することで、アミロイドβの産生を抑制することからLR11とアルツハイマー病との関連が報告されている(非特許文献7)。すなわち、アルツハイマー病患者の脳内でのLR11発現減少(非特許文献8、9)や、LR11の遺伝子多型がアルツハイマー病の発症リスクになる可能性が指摘されている(非特許文献10)。
さらに、髄液中のsLR11濃度はアルツハイマー病で高値となり(非特許文献11)、アルツハイマー病の発症リスクと関連する患者のLR11遺伝子多型と髄液中のLR11濃度は相関するという報告もある(非特許文献12−14)。
近年、LR11が血液幹/前駆細胞、すなわち、CD34(+)CD38(-)未分化骨髄幹細胞で高発現する遺伝子の一つであることが見出された(非特許文献15)。さらに、急性骨髄性白血病(以下、「AML」という。)や急性リンパ性白血病(以下、「ALL」という。)等の急性白血病患者の白血病細胞表面でのLR11の発現が高まることや患者血清中のsLR11濃度が高値になり、化学療法による寛解時にはその値が低下することが報告されている(非特許文献16)。また、非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、ろ胞性リンパ腫)においても患者血清でsLR11濃度は高値となり、初発時高値の場合には予後不良となることが報告されている(非特許文献17)。このようにsLR11は、悪性腫瘍、特に白血病や悪性リンパ腫のような造血器腫瘍疾患で異常高値を示し、重要なバイオマーカーの1つとなり得る(特許文献2)。
AMLやALL等の急性白血病は、化学療法に対する感受性が高く、抗癌剤によって白血病細胞の数が著しく減少し症状が改善される「寛解」が得られる場合が多い。しかし、一旦寛解状態を得た患者でも再発率が高いことが白血病治療の課題となっている。この白血病における再発のメカニズムは、骨髄内の「ニッチ」と呼ばれる骨髄と骨内膜の境界域に存在する白血病幹細胞が抗癌剤に対して抵抗性があるために生き残り、再び自己複製を行いながら、白血病細胞集団を供給するためと考えられている(非特許文献18)。白血病幹細胞に抗癌剤抵抗性があるのは、白血病幹細胞がニッチ環境下で特異的に細胞周期を静止させているためであり、抗癌剤は増殖活性の高い癌細胞を標的としていることから、白血病幹細胞が抵抗性を持つと考えられている(非特許文献18)。このようにニッチと呼ばれる骨内微小環境下で白血病幹細胞が静止期を維持できるのは、白血病幹細胞が周囲の細胞外基質(マトリクス)や間質細胞との接着状態が局在を保っていることが重要と考えられている。一方、最近になって骨髄ニッチ等の低酸素条件下では、造血幹細胞のLR11の発現が亢進され、uPARを介した周囲の細胞外基質や間質細胞との接着を制御していることが報告された(非特許文献19)。さらに、放射線照射し、抗アシアロGM1抗体を投与した免疫不全マウスに、LR11を高発現しているヒト単球系リンパ腫細胞株U937細胞を移植するAMLモデルにおいて、LR11発現を抑制させたU937細胞(LR11-KD)を移植した場合には、骨髄への浸潤、生着数は減少し、生存延長が認められ、さらにLR11-KD U937細胞はヒト骨髄系間質細胞への接着性も低下していた(非特許文献20)。以上の結果は、LR11がAMLの病態に重要な修飾因子として関与していることを示唆している。
抗LR11抗体は前記疾患の診断マーカーへの利用や治療への応用が示唆されている(特許文献2及び3、非特許文献21)。また、抗LR11抗体がラット平滑筋細胞に対する接着亢進作用を抑制する効果も知られているが(非特許文献22)、その作用強度は十分なものではない。
特開平9−163988号公報 特許第4955836号 WO2008/155891号パンフレット WO2009/116268号パンフレット
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本発明の目的は、LR11に特異的に結合し、優れた中和活性を有し、造血器腫瘍、上皮性悪性腫瘍等の悪性腫瘍の予防及び治療効果に優れた新規モノクローナル抗体、及びそれを含有してなる医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは、既存のLR11を認識するモノクローナル抗体では明確な報告のない、sLR11の持つ生物活性である細胞接着亢進作用や細胞遊走亢進作用を阻害する中和抗体としての作用を有する新規な抗LR11モノクローナル抗体の開発を検討してきたところ、特定の抗原を用いて製造した抗体を、接着性アッセイによりスクリーニングすることにより、細胞接着亢進作用や細胞遊走亢進作用を阻害する中和抗体として優れた作用を有する抗LR11モノクローナル抗体が得られることを見出した。このようにして得られた抗体は、優れた接着抑制作用や遊走抑制作用を有しているのみならず、さらに癌細胞の持つ細胞浸潤作用を抑制し、本抗体が悪性腫瘍に対して予防及び治療効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、LR11のVps10pドメインを抗原として製造された抗体であって、接着性アッセイにおいてヒトLR11のVps10pドメインからなるタンパク質により亢進された細胞接着性を有意に抑制することができる抗LR11モノクローナル抗体、及びその製造方法に関する。
また、本発明は、本発明の抗LR11モノクローナル抗体を含有してなる医薬組成物に関する。
さらに、本発明は、本発明の抗LR11モノクローナル抗体の有効量を、悪性腫瘍の患者又は悪性腫瘍の疑いがある患者に投与して、悪性腫瘍を治療する方法、又は悪性腫瘍を予防する方法に関する。
また、本発明は、悪性腫瘍を予防又は治療するための医薬組成物に使用するための抗LR11モノクローナル抗体に関する。
より詳細に本発明を説明すれば、以下のとおりである。
(1)配列番号1、2、3、4、5及び6からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するペプチドを相補性決定領域(CDR)として含むことを特徴とする、抗LR11抗体。
(2)H鎖の可変領域の配列が配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するペプチドを含み、L鎖の可変領域の配列が配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するペプチドを含むことを特徴とする、抗LR11抗体。
(3)前記抗体が、キメラ抗体又はヒト化抗体であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の抗体。
(4)前記抗体が、モノクローナル抗体であることを特徴とする、前記(1)から(3)のいずれか一つに記載の抗体。
(5)前記抗体は、
(A)LR11を認識することができ、
(B)LR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質に特異的結合能を有し、かつ、
(C)接着性アッセイにおいてヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質により亢進される細胞接着性を有意に抑制する、
ことを特徴とする、前記(1)から(4)のいずれか一つに記載の抗体。
(6)配列番号1、2及び3を有するペプチドがH鎖の相補性決定領域(CDR)であり、配列番号4、5及び6を有するペプチドがL鎖の相補性決定領域(CDR)である、前記(1)から(5)のいずれか一つに記載の抗体。
(7)接着性アッセイが、ヒト単球系リンパ腫細胞株U937細胞を用い、ビトロネクチンでコーティングされた容器を用いてのアッセイである、前記(1)から(6)のいずれか一つに記載の抗体。
(8)接着性アッセイにおいて、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質により亢進された値を100%としたとき、その値を80%以下に抑制することができる、前記(1)から(7)のいずれか一つに記載の抗体。
(9)接着性アッセイにおける、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質の濃度が1μg/mL〜100μg/mLであり、抗体の濃度が0.1μg/mL〜100μg/mLである、前記(1)から(8)のいずれか一つに記載の抗体。
(10)ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質に対する特異的結合能が、少なくとも1μg/mLの抗体の濃度において、ヒトソルチリンのVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質からなるタンパク質よりも、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質に強く結合する能力である、前記(1)から(9)9のいずれか一つに記載の抗体。
(11)さらに、抗体が細胞遊走亢進作用に対する抑制作用を有している、前記(1)から(10)のいずれか一つに記載の抗体。
(12)さらに、抗体が悪性腫瘍細胞の持つ細胞浸潤作用を抑制する能力を有している、前記(1)から(11)のいずれか一つに記載の抗体。
(13)前記(1)から(12)のいずれか一つに記載の抗体を含む、悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤。
(14)悪性腫瘍が、造血器腫瘍又は上皮性悪性腫瘍である、前記(13)に記載の悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤。
(15)造血器腫瘍が、白血病又は悪性リンパ腫である、前記(14)に記載の悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤。
(16)前記(1)から(12)のいずれか一つに記載の抗体を含む、腫瘍細胞の接着抑制、遊走抑制、又は浸潤抑制剤。
(17)腫瘍細胞が、造血器腫瘍又は上皮性悪性腫瘍である、前記(16)に記載の腫瘍細胞の接着抑制、遊走抑制、又は浸潤抑制剤。
本発明の抗LR11モノクローナル抗体は、特定の抗原を用いて製造されるものであり、細胞接着性アッセイによりスクリーニングすることにより、LR11に対する優れた中和活性を有する。
そして、本発明の抗LR11モノクローナル抗体を用いることにより、造血幹細胞の骨髄への移動(ホーミング)及び生着(定着)を抑制し、優れた抗悪性腫瘍作用、腫瘍細胞の接着抑制作用、腫瘍細胞の遊走抑制作用、及び/又は腫瘍細胞の浸潤抑制作用を示す。本発明の抗LR11モノクローナル抗体は、悪性腫瘍、特に造血器腫瘍の予防及び/又は治療に有用である。
図1は、sLR11によるU937細胞のビトロネクチン接着亢進作用に対するマウス抗LR11モノクローナル抗体の抑制作用を示す。 図2は、部分精製ヒトsLR11タンパク質によるU937細胞の細胞遊走亢進作用に対するマウス抗LR11モノクローナル抗体の抑制作用を示す。 図3は、マウス抗LR11モノクローナル抗体のリンパ腫細胞株の細胞浸潤に対する抑制作用を示す。 図4は、マウス抗LR11モノクローナル抗体によるLR11に対する特異性を示す。
本明細書において特段の記載が無い限り、本明細書において使用する専門技術用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されている意味の最も広い意味として解釈される。以下に、いくつかの専門技術用語について説明するが、本発明はこれらの説明により限定されるものではない。
本発明の「モノクローナル抗体」は、一般に、特定のエピトープに対する単一の結合特異性や親和性を有する抗体であり、コーラーらの文献(Kohler, et al, Nature,1975, 256, 495)に記載のハイブリドーマ法;組み換えDNA法(例えば米国特許4,816,567参照);クラクソンらの文献(Clackson, et al., Nature, 1991, 352, 624-628)やマークスらの文献(Marks, et al., J. Mol. Biol., 1991, 222, 581-597)に記載のファージ抗体ライブラリーを用いる方法などによって製造することができる。また、本発明の「モノクローナル抗体」の種類は特に制限されず、マウス抗体、ヒト抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体、モルモット抗体、ハムスター抗体、トリ抗体等や、ヒトに投与した際に免疫応答を引き起こすことを回避するために、抗体の持つ異種抗原性を低下させることを目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、ヒト化抗体等の何れでもよい。また、これらの抗体は、抗体断片等の低分子化抗体や抗体の修飾物のいずれでもよい。抗体断片としては、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv、および可変領域の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドなどが挙げられる。
ヒト抗体については、元来、ヒト体内に天然に存在する抗体を意味するが、遺伝子工学的、細胞工学的、発生工学的な技術の進歩により作製されたヒト抗体ファージライブラリーおよびヒト抗体産生トランスジェニック動物から得られる抗体等も含まれる。ヒト体内に存在する抗体は、例えば、ヒト末梢血リンパ球を単離し、EBウイルス等を感染させ不死化、クローニングすることにより、該抗体を産生するリンパ球を培養でき、培養上清より該抗体を精製することができる。ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB細胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入することによりFab、scFv等の抗体断片をファージ表面に発現させたライブラリーである。このライブラリーより固定化した抗原に対する結合活性を指標として抗原結合活性を有する抗体断片を発現しているファージを回収することができる。該抗体断片は、更に遺伝子工学的手法によって2本の完全なH鎖および2本の完全なL鎖からなるヒト抗体分子へも変換することができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、ヒト抗体遺伝子が細胞内に組み込まれた動物を意味する。具体的には、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、該ES細胞を他のマウスの初期胚へ移植後、発生させることによりヒト抗体産生トランスジェニック動物を作製することができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物からのヒト抗体の作製方法は、通常のヒト以外の哺乳動物で行われているハイブリドーマ作製方法によりヒト抗体産生ハイブリドーマを得て培養し、培養上清より該抗体を精製することができる。
ヒト化抗体としては、ヒト型キメラ抗体、ヒト型CDR移植抗体等が挙げられる。ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体重鎖可変領域及び抗体軽鎖可変領域とヒト抗体の重鎖定常領域及びヒト抗体の軽鎖定常領域とからなる抗体を意味する。ヒト以外の動物としては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ等ハイブリドーマを作成することが可能であれば、いかなるものも用いることができる。本発明のヒト型キメラ抗体におけるヒト以外の動物はマウスが好ましい。この場合、マウス抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をコードするDNAをヒト抗体の重鎖及び軽鎖定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。ヒト型キメラ抗体の重鎖定常領域としては、ヒト免疫グロブリン(hIg)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好ましく、さらにhIgG1,hIgG2,hIgG3,hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型CDR移植抗体の軽鎖定常領域としては、hIgに属すればいかなるものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
ヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物、例えば、マウス抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列をヒト抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の適切な位置に移植した抗体を意味する。例えばマウス抗体の可変領域のCDR以外のフレームワーク配列と類似のフレームワーク配列を有するヒト化抗体の配列を、例えば、公開されているヒト化抗体のデータベースなどから入手し、選択したヒト化抗体のフレームワーク配列を前記マウス抗体のフレームワーク配列と入れ替えることによって作成できる。さらに、その入れ替えたフレームワーク配列の一部をさらに別のアミノ酸と入れ換えることにより、より親和性の高いヒト化抗体とすることも可能である。具体的には、ヒト以外の動物、例えば、マウス抗体の相補性決定領域(CDR)とヒト抗体の可変領域のフレームワーク領域を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAを、ヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(EP239400号公報、国際公開WO96/02576号公報など)。ヒト型CDR移植抗体の重鎖定常領域としては、ヒト免疫グロブリン(hIg)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好ましく、さらにhIgG1,hIgG2,hIgG3,hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型CDR移植抗体の軽鎖定常領域としては、hIgに属すればいかなるものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
相補性決定領域(CDR)を含むアミノ酸配列は、重鎖又は軽鎖相補性決定領域の少なくとも1領域以上を含んで構成される。複数の相補性決定領域は、直接又は適当なアミノ酸配列リンカーを介して結合することができる。
本発明のモノクローナル抗体は、優れた中和活性を有していることを特徴とする。ここで、中和活性とは、当該抗体が特異的に結合するエピトープを含むタンパク質、例えばLR11が有している少なくとも1つの活性を低下させる、又は抑制させることができる活性である。このような中和活性は、in vitro及び/又はin vivoのいずれで確認されるものであってもよい。
本発明のモノクローナル抗体は、細胞表面のLR11が有している少なくとも1つの活性、例えば細胞接着性を低下又は抑制することができる。より詳細には、LR11により亢進された細胞接着を、抗体濃度が10μg/mL、5μg/mL、又は2.5μg/mLにおいて、LR11により亢進された値を100%としたときに、90%以下、好ましくは80%以下、60%以下、又は50%以下に抑制できる中和活性を有する。
本発明のモノクローナル抗体は、LR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質を抗原として製造される抗LR11モノクローナル抗体であって、
(A)LR11を認識することができ、
(B)LR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質に対する特異的結合能を有し、かつ、
(C)接着性アッセイにおいてヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質により亢進される細胞接着性を有意に抑制する、
ことを特徴とする抗LR11モノクローナル抗体である。
LR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質としては、LR11、好ましくはヒトLR11のVps10pドメインからなるタンパク質である。ヒトLR11は、2214個のアミノ酸からなるタンパク質であり(Moerwald S., et al., Arterioscler Thromb Vasc Biol.,17(5):996-1002, 1997.等参照)、Vps10pドメインは、ヒトLR11では、N末端から1番目から753番目までの753個のアミノ酸で構成される部分である。
本発明における「LR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質」は、取り扱いの簡便性や、入手の容易性から、Myc-タグやHis-タグのような各種のタグを有していてもよい。
また、本発明における「LR11を認識できる」とは、結合能を有しているということであり、抗体濃度が10000ng/mL以下、好ましくは1000ng/mL以下での結合能を有するものである。
本発明の好ましいモノクローナル抗体としては、3つの重鎖CDRのアミノ酸配列が、それぞれ配列番号1、2、3に記載のアミノ酸配列、及び軽鎖CDRアミノ酸配列が、それぞれ配列番号4、5、6に記載のアミノ酸配列を含有している抗体が挙げられる。この抗体を以下では461-5抗体という。461-5抗体は、ヒトLR11のVps10pドメインを抗原として製造された抗体であり、接着性アッセイによりスクリーニングされた抗体である。
接着性アッセイは、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質により亢進される細胞接着性をアッセイできるものであれば特に制限はない。アッセイに使用する細胞としては腫瘍細胞が好ましく、例えば、後述する実施例2に記載しているように、ヒト単球系リンパ腫細胞株U937細胞を用い、ビトロネクチンでコーティングされた容器を用いてのアッセイが挙げられる。
本発明のモノクローナル抗体は、このような接着性アッセイにおいて、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質により亢進された値を100%としたときに、抑制することができる抗体であればよく、好ましくは80%以下、85%以下、70%以下、75%以下、60%以下、65%以下、又は50%以下に抑制するものが挙げられる。接着性アッセイにおける、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質の濃度は特に制限はないが、好ましくは0.1μg/mL〜500μg/mL、0.1μg/mL〜100μg/mL、1μg/mL〜500μg/mL、1μg/mL〜100μg/mL、又は1μg/mL〜50μg/mLが挙げられる。そのときに用いる抗体の濃度は、前記したタンパク質の濃度に応じて適宜調整することができ、好ましくは、0.01μg/mL〜100μg/mL、0.01μg/mL〜50μg/mL、0.01μg/mL〜20μg/mL、0.1μg/mL〜100μg/mL、0.1μg/mL〜50μg/mL、又は0.1μg/mL〜20μg/mLが挙げられる。
本発明における好ましい抗体としては、前記した461-5抗体が挙げられる。461-5抗体は、CDRとして配列番号1〜6に記載したアミノ酸配列を有する。また、461-5抗体は可変領域として配列番号7に記載したH鎖のアミノ酸配列、及び配列番号8に記載したL鎖のアミノ酸配列を有する。
本発明における他の好ましい抗体としては、配列番号1〜6からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含有するモノクローナル抗体である。配列番号1、2又は3で示される配列は重鎖超可変領域の相補性決定領域(CDR:complementarity-determining region)アミノ酸配列であり、配列番号4、5又は6で示される配列は軽鎖超可変領域の相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列である。好ましくは、配列番号1、2又は3で示される重鎖CDRアミノ酸配列、及び配列番号4、5又は6で示される軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体が挙げられる。さらに好ましくは、配列番号1、2及び3で示される重鎖CDRアミノ酸配列を含み、かつ配列番号4、5及び6で示される軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体が挙げられる。
本発明のモノクローナル抗体は、優れた中和活性を有しており、LR11の発現、好ましくは過剰発現に起因する各種の疾患の治療剤及び/又は予防剤として、特に悪性腫瘍の治療剤及び/又は予防剤として使用することができる。
本発明における悪性腫瘍とは、造血器腫瘍、上皮性悪性腫瘍等が挙げられる。ここで造血器腫瘍としては白血病及び悪性リンパ腫等が挙げられる。白血病には急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病等が挙げられ、悪性リンパ腫には非ホジキンリンパ腫等が挙げられる。一方、上皮性悪性腫瘍としては、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、食道癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、結腸癌、大腸癌、腎臓癌、胆嚢癌、神経腫瘍(グリオーマ)、悪性黒色腫(メラノーマ)等が挙げられる。
本発明による具体的な治療対象としては、造血器腫瘍においては、白血病のうち、急性白血病がより好ましく、悪性リンパ腫のうち、非ホジキンリンパ腫がより好ましい。また、上皮性悪性腫瘍においては、肝臓癌、膵臓癌、結腸癌、大腸癌、胆嚢癌が好ましい。
本発明の抗体は、有効成分自体を単独で投与することも可能であるが、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、医薬組成物として投与することができる。本発明の医薬組成物は、経口又は非経口投与に適する医薬用組成物、好ましくは非経口投与に適する医薬組成物とすることができる。非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、静脈内注射剤や筋肉内注射剤などの注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
上記の医薬組成物は、薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物を加えて製造することができる。薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物の例としては、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、矯味剤、香料、被膜剤、希釈剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の医薬の投与量は特に限定されず、疾患の種類、予防又は治療の目的、有効成分の種類などに応じて適宜選択することができ、さらに患者の体重や年齢、症状、投与経路など通常考慮すべき種々の要因に応じて、適宜増減することができる。例えば、静脈内投与の場合には成人一日あたり有効成分の重量として0.1mg〜10g程度の範囲で用いることができるが、投与量は当業者に適宜選択可能であり、上記の範囲に限定されることはない。成人一日あたり有効成分の重量として好ましくは、約0.1mg〜1000mg、より好ましくは約0.5mg〜500mgの用量で静脈内投与することができる。また、投与は一日1回又は数回に分けて行うことができる。
抗LR11モノクローナル抗体の作製や単離・精製には、公知のモノクローナル抗体の作製方法、例えば、浜窪隆雄(2012)「新機能抗体開発ハンドブック(エヌ・ティー・エス)」又は大海忍(1994)「新版抗ペプチド抗体実験プロトコール(秀潤社)」等に従い作製、単離・精製することができる。
抗LR11モノクローナル抗体は、常法に従い、作製したハイブリドーマを培養して、培養上清から分離する方法、ハイブリドーマをこれと適合性のある哺乳類動物に投与して、腹水内に抗体を産生させる方法により製造できる。抗体は、必要に応じてそれをより精製して使用することができる。抗体を精製、単離する方法としては、従来公知の方法、例えば、硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、ゲルろ過法、イオン交換法、プロテインA又はGなどのカラムなどや免疫抗原を固定化したカラムによるアフィニティー精製法などがある。
(モノクローナル抗体作製)
LR11に対するモノクローナル抗体は、具体的に例えば次のようにして作製することができる。抗体の作製に用いられる免疫抗原としては、LR11タンパク質、又はその一部断片(ペプチド)等を用いることができるが、LR11のN末端側のVps10pドメイン部分が好ましい。生体組織、細胞由来の試料から精製することによって得てもよいし、組換えタンパク質や合成ペプチドを用いてもよい。免疫する動物としては、例えばウサギ、マウス、ラットなどが挙げられるが、モノクローナル抗体作製にはマウスを好ましく用いることができる。免疫方法は、公知の手法に従って行われる。例えば、免疫抗原を腹腔内注入、静脈注入、皮下注射などの投与方法によって、抗体産生が可能な部位にそれ自体単独であるいは担体、希釈剤、あるいは抗体産生能を高めるために、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントなどの補液と混合、エマルジョン化させて投与してもよい。投与は、通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。
モノクローナル抗体の作製に際しては、LR11抗原を免疫された動物、例えばマウスからLR11に対するモノクローナル抗体の産生が認められた個体を選択し、脾臓又はリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞(ミエローマ)と融合させることにより、抗LR11モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。細胞融合操作は公知の手法に従って行われる。ポリエチレングリコール(PEG)を融合促進剤として使用したり、電気パルスによって融合してもよいが、好ましくはPEGが用いられる。骨髄腫細胞としては、例えばNS-1,P3U1,SP2/0,AP-1などが挙げられるが、P3U1などが好ましく用いられる。
抗LR11抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えばLR11又はその部分ペプチドなどを吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に、酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる。)を加え、固相に結合した抗LR11モノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。抗LR11モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング、培養は通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加して、10〜20%牛胎児血清を含む細胞培養用培地(例、RPMI1640)で行われる。
抗LR11モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法(例、塩析法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどのアフィニティー精製法など)に従って行われる。以上のようにして、ハイブリドーマ細胞を培養した培養上清やハイブリドーマと適合した動物の体内で増殖させた後の体液から抗体を精製することによって、本発明の抗体を製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
本発明の明細書において、アミノ酸等を略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。
PBS:リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline)
FCS:ウシ胎児血清(Fetal calf serum)
モノクローナル抗体461-5の製造
(1)ヒト可溶性LR11(hsLR11)発現ベクターの構築
hsLR11発現ベクターの構築は、クローニングしたhsLR11をpcDNA3.1A-MycHis(V800-20, Life Technologies社)のマルチクローニングサイトに制限酵素EcoRI, PmeIを用いて、常法により挿入した。このhsLR11発現ベクターをpcDNA3.1-hsLR11-MycHis Aとした。
(2)ヒトVps10p(hVps10p)発現ベクターの構築
hVps10pの発現ベクターの構築は、前記(1)で作製した発現プラスミドpcDNA3.1-hsLR11-MycHis Aを鋳型とし、配列番号9及び10で示されるプライマーを用い、ヒトLR11のVps10pドメインの塩基配列内にあるNheI認識部位からVps10pのC末部分までをPCR法で増幅した。
Forward primer: 5’- CCGTGGCTAGCAAGACAAACGTG-3’ (配列番号9)
Reverse primer: 5’- CGATCTAGAGGGACAGGGGACCAGCTCT-3’ (配列番号10)
Forward primerの下線がNheI認識部位、Reverse primerの下線がXbaI認識部位
得られた増幅産物を、さらに制限酵素NheI及びXbaIを用い処理して精製した。このようにして得られた増幅産物は、Vps10pドメイン中の制限酵素Nhelサイトから、Vps10pドメインのC末端の制限酵素Xbalサイトまでのアミノ酸配列をコードする断片である。
一方、hsLR11発現ベクターであるpcDNA3.1-hsLR11-MycHis Aは、LR11の細胞外部分の3’末端側に制限酵素Xbalサイトを有しており、制限酵素Nhel及び制限酵素Xbalで処理することにより、ヒト可溶性LR11(hsLR11)のVps10pドメイン中の制限酵素NhelサイトからC末端部分を切り取ることができる。
hsLR11発現ベクターpcDNA3.1-hsLR11-MycHis Aを、制限酵素NheI及びXbaI処理し、次いで、前記で得られた増幅産物とをAlkaline phosphataseで処理したpcDNA3.1-hsLR11-MycHis A に接合した。得られた発現ベクターは、Myc-タグ及びHis-タグを有しているので、C末端にMyc-タグ及びHis-タグが付加されたhVps10pの発現ベクターであり、pcDNA3.1/myc-His(+)-hsVps10pとした。
(3)ヒトVps10pタンパク質の調製
前記(2)で得られた発現ベクターpcDNA3.1/myc-His(+)-hsVps10pを以下のようにしてFreeStyle 293-F細胞にトランスフェクションしてヒトLR11 Vps10pタンパク質を発現させた。
ベクターDNA 37.5μgは無血清培地OptiPro SFM(Life Technologies社)を加え600μLとし、トランスフェクション試薬FreeStyle MAX Reagent(Life Technologies社)37.5μLとOptiPro SFM 562.5μLの混合液(total 600μL)と穏やかに混合し、室温で10分間インキュベーション後に125mL三角フラスコのFreeStyle 293-F細胞(1×106cells /mL, 30mL)に添加して4日間の旋回培養(8%CO2, 125rpm, 37℃)を行った。回収した培養上清を限外ろ過(Amicon Ultra, 分画分子量30,000, Merck Millipore社)で約10倍に濃縮後、コバルトカラム用のEquilibration buffer(Clontech社)で希釈後、Equilibration bufferで平衡化したコバルトカラム (1mL, Clontech社)に添加した。10% Elution buffer(Clontech社)でカラムを洗浄し、60% Elution bufferで溶出した。溶出画分はさらに限外ろ過で濃縮しPD-10カラム(GEヘルスケア社)によりPBSにbuffer交換して、精製hVps10pタンパク質を得た。
(4)ハイブリドーマの作製
免疫抗原として、前記(3)で調製したヒトLR11の一部アミノ酸配列[1-753]を有するタンパク質(hVps10p)を用いて、この免疫抗原0.1mgを完全フロイントアジュバンドと混和乳化し、6週齢の雌BALB/Cマウスの皮下に2週間間隔で2回投与後、2回目の免疫の3日後に脾臓及びリンパ節を摘出した。摘出した脾臓及びリンパ節から得られた細胞と骨髄腫細胞P3U1とを混合し、ポリエチレングリコール存在下にて細胞融合させた。融合細胞はHAT培地に懸濁し、限外希釈法で96穴培養プレートに分注した。これを5%CO2インキュベーター中で37℃にて培養し、ハイブリドーマの生育してきたウェルの培養上清について、次に示すELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)法にしたがって、ヒトLR11のVps10pドメイン(hVps10p)に対する結合性でスクリーニングし、陽性ウェルを24穴培養プレートまで培養させ、培養上清を再度、ELISAと細胞接着アッセイでスクリーニングし、陽性ウェルを限界希釈法でクローニングしてハイブリドーマ株(461-5)を樹立した。
(5)モノクローナル抗体の調製
2週間前にプリスタン0.5mLを腹腔内に注射しておいた12週齢の雌BALB/Cマウスに、上記で得られたハイブリドーマを細胞数0.5×106個の量で腹腔内に投与した。約14日後に腹水を採取し、遠心分離して上清を得た。該上清を等量のPBSと混和後、0.45μmのフィルター濾過した。濾液をPBSで平衡化したAb-Capcher ExTraカラム(プロテノバ社製)に通して抗体をカラムに吸着させた後、PBSで十分にカラムを洗浄した後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH3.0)でカラムより溶出させ、抗LR11モノクローナル抗体(461-5抗体)を精製した。
(6)アミノ酸配列の解析
得られた抗LR11モノクローナル抗体の可変領域及び超可変領域のアミノ酸配列を常法にしたがって解析した。その結果を配列番号1〜8に示す。
可溶性LR11の生物活性に対する中和活性の測定
(1)可溶性LR11の細胞接着亢進作用に対する抑制作用
工程1:可溶性LR11(sLR11)の調製
アフリカミドリザル腎臓由来の細胞株COS7細胞にヒトLR11の全長cDNAをコードした発現プラスミド(RC214154、Origene社)を、Effectene(Qiagen社)を用いたリポフェクション法によって一過的にトランスフェクションした後、37℃でインキュベーションした。16時間後に無血清培地に交換後、さらに37℃で24時間培養してCOS7細胞表面上にLR11を発現させた。LR11の細胞外ドメインは、sLR11として培養上清中に遊離されることから、細胞培養上清を回収し、限外ろ過(Amicon Ultra, 分画分子量100,000、Merck Millipore社)で約100倍に濃縮し、sLR11を得た。
工程2:可溶性LR11の細胞接着亢進作用に対する抑制作用
細胞外基質のヒトビトロネクチン(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー社、以下、「BD社」という。)をPBSで25μg/mLの濃度に調製した溶液を96ウェル黒色プレート(BD社)に50μL/ウェルずつ分注後、37℃で1時間静置してコーティングした後、PBSで洗浄し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を50μL/ウェルずつ分注後、除去して風乾した。ヒト単球系細胞株U937細胞は無血清のRPMI1640培地で1晩培養後、1μMのCalcein-AMを含む0.1%BSA-ハンクス平衡塩溶液(HBSS)に懸濁して、37℃で30分間インキュベーションしてCalcein-AMを細胞内に取り込ませて細胞を蛍光標識した。その後、無血清培地に3×106cells /mLとなるように細胞を懸濁し、正常マウスIgG抗体又はマウス抗LR11モノクローナル抗体(461-5抗体)を終濃度2.5μg/mLとなるように添加し、その直後にsLR11(COS7培養上清)を培地の1/100量添加し、37℃で3時間反応させた。なお、比較として、各抗体及びsLR11を未添加のウェル、sLR11のみを添加したウェルも設定した。次に、ヒトビトロネクチンをコーティングしたプレートにsLR11及び抗体を含むU937細胞懸濁液を分注し(3×105cells/100μL/ウェル)、低速遠心(1800rpm, 2分間)の後、37℃で20分間静置した。PBSで3回ウェルを洗浄した後、蛍光プレートリーダー(PerkinElmer社)でプレートに結合した細胞の蛍光強度(RFU)を測定した。各実験はすべてN=3で行った。この結果を図1に示す。
可溶性LR11の細胞遊走亢進作用に対する抑制作用
工程1:部分精製ヒトsLR11タンパク質(アミノ酸配列1-2110のC末端にMyc-tag及びHis-tagを付加した部分タンパク質、以下、「hsLR11」という。)の調製
実施例1の(1)で得られたhsLR11発現ベクターpcDNA3.1-hsLR11-MycHis AをFreeStyle 293-F細胞(Life Technologies社)にトランスフェクションしてhsLR11タンパク質を発現させた。トランスフェクション試薬としては、Targefect-293FS reagent(Targetingsystems社)を使用し、トランスフェクション後、3日間の旋回培養(8%CO2, 125rpm, 37℃)を行った。遠心により回収したsLR11発現細胞はLysis buffer(20mM Tris-HCl, pH7.5-1%NP-40-150mM NaCl)に懸濁して可溶化した後、PBSで平衡化した抗His-tag抗体カラム(株式会社医学生物学研究所)に添加し、PBSで洗浄後、酸性条件下(pH3.0)で溶出し、直ちに0.1M Tris-HCl, pH7.5で中和した。溶出分画は引き続き抗Myc-tag抗体カラム(株式会社医学生物学研究所)に添加し、PBSで洗浄後、酸性条件下(pH3.0)で溶出後、直ちに中和し、部分精製hsLR11タンパク質を得た。
工程2:可溶性LR11の細胞遊走亢進作用に対する抑制作用
U937細胞の細胞遊走の実験は上部チャンバー底に8μmのポアサイズの穴の開いたメンブレンが付いている24ウェルのトランスウェル(コーニング社)を用いて行った。U937細胞は無血清培地で1晩培養後、1μMのCalcein-AMを含む0.1%BSA-ハンクス平衡塩溶液(HBSS)に懸濁して、37℃で30分間インキュベーションしてCalcein-AMを細胞内に取り込ませて、U937細胞を蛍光標識した。無血清培地に1×106cells/mLとなるように蛍光標識したU937細胞を懸濁し、正常マウスIgG抗体又はマウス抗LR11モノクローナル抗体(461-5抗体)と部分精製hsLR11を混合した(抗体終濃度130ng/mL 、hsLR11終濃度500ng/mL)。なお、比較として、各抗体及びsLR11を未添加のウェル、sLR11のみを添加したウェルも設定した。次に、トランスウェルの下部チャンバーに10%ウシ胎児血清(FCS)を含むRPMI1640培地を分注し(500μL/ウェル)、上部チャンバーには上記の部分精製hsLR11及び抗体を含むU937細胞懸濁液を分注し(1.5×106cells/150μL/ウェル)、37℃で4時間反応させた。上部チャンバーから下部チャンバーに遊走(移動)した細胞数は、図2に見られるように細胞の蛍光強度で示した。上部チャンバーを取り除いた後に、下部チャンバーの培地を1.5mLチューブに回収し、遠心(1500rpm, 5min)後、沈殿した細胞を100μLのPBSに懸濁して96ウェル黒色プレート(BD社)に分注し、蛍光プレートリーダー(PerkinElmer社)で細胞の蛍光強度を測定した。各実験はすべてN=3で行った。
<マウス抗LR11モノクローナル抗体のリンパ腫細胞株の細胞浸潤に対する抑制作用>
ヒトリンパ腫細胞株の細胞浸潤の実験はトランスウェルの上部チャンバー底のメンブレンにコラーゲンをコーティングして使用し行った。8μmのポアサイズの穴の開いたメンブレンが付いている24ウェルのトランスウェル(BD社)の上部チャンバーに、PBSで300μg/mLの濃度に調製したコラーゲンタイプ1C(Cellmatrix社、1C-20)を分注し(200μL/ウェル)、室温で30分間インキュベーション後、PBSで洗浄してコラーゲンコートしたトランスウェルを作製した。ヒトリンパ腫細胞株Raji細胞又はDaudi細胞は、無血清培地で1晩培養後、1μMのCalcein-AMを含む0.1%BSA-ハンクス平衡塩溶液(HBSS)に懸濁して、37℃で30分間インキュベーションしてCalcein-AMを細胞内に取り込ませて、Raji細胞又はDaudi細胞を蛍光標識した。無血清のダルベッコ改変イーグル培地に1×106cells/mLになるように蛍光標識したRaji細胞又はDaudi細胞を懸濁し、正常マウスIgG抗体又はマウス抗LR11モノクローナル抗体を混合した(抗体終濃度10μg/mL)。次に、トランスウェルの上部チャンバーに抗体を含む細胞懸濁液を分注し(1.5×105cells/150μL/ウェル)、下部チャンバーには10% FCSを含む培地を分注し、トランスウェルチャンバーの上部チャンバーに上記細胞懸濁液を1.5×105cells/150μL/ウェルずつ分注し、37℃で24時間反応させた。上部チャンバー底のコラーゲンコーティングされたメンブレンから下部チャンバーに浸潤(移動)した細胞数は図3で見られるように細胞の蛍光強度で示した。上部チャンバーを取った後に、下部チャンバーの培地を1.5mLチューブに回収し、遠心(1500rpm, 5min)後、沈殿した細胞を100μLのPBSに懸濁して96ウェル黒色プレートに分注し、蛍光プレートリーダーで細胞の蛍光強度を測定した。各実験はすべてN=3で行った。この結果を図3に示す。
<マウス抗LR11モノクローナル抗体のLR11特異性の検討>
工程1:ヒトLR11 Vps10pタンパク質の調製
実施例1の(2)で調製したヒトLR11 Vps10p の発現ベクターpcDNA3.1/myc-His(+)-hsVps10pを用いて、実施例1の(3)に記載の方法で精製hVps10pタンパク質を得た。
工程2: LR11及びSortilin(ソルチリン)のVps10pタンパク質とのELISA
LR11はVps10pドメインタンパク質ファミリーに属することから、マウス抗LR11モノクローナル抗体のヒトLR11に対する特異性は、同じVps10pドメインのタンパク質ファミリーに属するヒトSortilin Vps10pタンパク質とヒトLR11 Vps10pタンパク質に対するELISAの反応性で確認した。ELISAは以下のように行った。96ウェルELISAプレート(Nunc社)に0.05M炭酸-重炭酸緩衝液(pH9.6)で2μg/mLに調製したヒトSortilinのVps10pタンパク質(Se78-Asn755, R&D社, 3154ST)又は精製hVps10pタンパク質を50μL/wellずつ分注し、コーティング(25℃、2時間)した後、0.05%Tween20を含むPBS(PBS-T)で3回プレートを洗浄した後、25%に希釈したブロックエース(DSファーマバイオメディカル社)をウェルに添加してブロッキングを行った(25℃,1時間)。PBS-Tで1回洗浄後、PBS-Tで調製したマウス抗LR11モノクローナル抗体の希釈系列溶液(4000ng/mLより公比4で希釈)を分注し(50μL/well)、2時間反応させた(25℃)。PBS-Tで3回洗浄後、PBS-Tで0.3μg/mLに調製したペルオキシダーゼ標識ロバ抗マウスIgG抗体(Merck Millipore社)をウェルに添加(50μL/well)して1時間反応させた(25℃)。次に、ペルオキシダーゼ基質TMB(3, 3', 5, 5'-tetramethylbenzidine)を添加(50μL/well)して発色反応を行い、1M硫酸(10μL/well)で反応を止めた後に450nmの吸光度を測定した。その結果、マウス抗LR11モノクローナル抗体は、Vps10pドメインタンパク質ファミリーのヒト Sortilin Vps10pタンパク質とは全く反応がみられなかった。一方、hVps10pタンパク質に対しては反応性がみられ、マウス抗LR11モノクローナル抗体のヒトLR11に対する特異性が確認された。この結果を図4に示す。
本発明は、優れた中和活性を有する新規な抗LR11モノクローナル抗体を提供するものであり、本発明の抗LR11モノクローナル抗体は、LR11又はその断片タンパク質が関与する疾患、例えば悪性腫瘍の治療及び/又は予防のための医薬として有用であり、有用な医薬を提供するものであり、産業上の利用可能性を有している。
配列番号 1: 抗体461-5のH鎖のCDR1
配列番号 2: 抗体461-5のH鎖のCDR2
配列番号 3: 抗体461-5のH鎖のCDR3
配列番号 4: 抗体461-5のL鎖のCDR1
配列番号 5: 抗体461-5のL鎖のCDR2
配列番号 6: 抗体461-5のL鎖のCDR3
配列番号 7: 抗体461-5のH鎖の可変領域の全長
配列番号 8: 抗体461-5のL鎖の可変領域の全長
配列番号 9: Vsp10p フォーワードプライマー配列
配列番号10: Vsp10p リバースプライマー配列

Claims (17)

  1. 配列番号1、2、3、4、5及び6からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するペプチドを相補性決定領域(CDR)として含むことを特徴とする、抗LR11抗体。
  2. H鎖の可変領域の配列が配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するペプチドを含み、L鎖の可変領域の配列が配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するペプチドを含むことを特徴とする、抗LR11抗体。
  3. 前記抗体が、キメラ抗体又はヒト化抗体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 前記抗体が、モノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. 前記抗体は、
    (A)LR11を認識することができ、
    (B)LR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質に特異的結合能を有し、かつ、
    (C)接着性アッセイにおいてヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質により亢進される細胞接着性を有意に抑制する、
    ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
  6. 配列番号1、2及び3を有するペプチドがH鎖の相補性決定領域(CDR)であり、配列番号4、5及び6を有するペプチドがL鎖の相補性決定領域(CDR)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. 接着性アッセイが、ヒト単球系リンパ腫細胞株U937細胞を用い、ビトロネクチンでコーティングされた容器を用いてのアッセイである、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体。
  8. 接着性アッセイにおいて、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質により亢進された値を100%としたとき、その値を80%以下に抑制することができる、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体。
  9. 接着性アッセイにおける、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質の濃度が1μg/mL〜100μg/mLであり、抗体の濃度が0.1μg/mL〜100μg/mLである、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体。
  10. ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質に対する特異的結合能が、少なくとも1μg/mLの抗体の濃度において、ヒトソルチリンのVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質からなるタンパク質よりも、ヒトLR11のVps10pドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質に強く結合する能力である、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体。
  11. さらに、抗体が細胞遊走亢進作用に対する抑制作用を有している、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体。
  12. さらに、抗体が悪性腫瘍細胞の持つ細胞浸潤作用を抑制する能力を有している、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体を含む、悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤。
  14. 悪性腫瘍が、造血器腫瘍又は上皮性悪性腫瘍である、請求項13に記載の悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤。
  15. 造血器腫瘍が、白血病又は悪性リンパ腫である、請求項14に記載の悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤。
  16. 請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体を含む、腫瘍細胞の接着抑制、遊走抑制、又は浸潤抑制剤。
  17. 腫瘍細胞が、造血器腫瘍又は上皮性悪性腫瘍である、請求項16に記載の腫瘍細胞の接着抑制、遊走抑制、又は浸潤抑制剤。
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