JP6923165B2 - 乳酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、乳酸の製造方法に関する。より詳細には、微生物を用いる発酵により乳酸を製造する方法に関する。
乳酸は、生分解性プラスチックであるポリ乳酸およびポリエステルポリオールなどの原料として、または農薬または医薬の原料として用いられ得る。
従来から、微生物を用いる発酵法により光学純度の高い乳酸を製造する方法が知られている。グルコースなどの糖から乳酸を生産する微生物としては、乳酸菌(例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus)(例えば、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)およびラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)))およびカビ(例えば、リゾプス属(Rhizopus))がよく知られている。
また、L−またはD−乳酸合成酵素遺伝子のいずれかを組み込むあるいは破壊した組換え微生物による乳酸の製造方法も知られている。遺伝子組換え宿主としては、ゲノム情報が豊富で実績が十分にある微生物を選択することが多く、酵母(特許文献1)、大腸菌(特許文献2)、乳酸菌(非特許文献1)で高光学純度の乳酸を生産させる試みがなされている。
乳酸菌は、高い対糖収率で乳酸発酵を行うことができるものの、栄養要求性が高い。このため、乳酸菌の発酵培地に高価な材料(例えば酵母エキスなど)を用いた場合、乳酸の製造コストが高くなるという問題がある。この問題を回避するために、コーンスティープリカー(CSL:コーンスターチ製造工程でトウモロコシから溶出した可溶性成分と、乳酸発酵で生成した成分とを含む浸漬液を濃縮したもの)および魚タンパク質加水分解生成物を安価な栄養源として利用することが試みられている。しかし、酵母エキス以外のこれらの栄養源は、乳酸菌にとっての栄養価が優れていないため多量に添加する必要が生じてしまう、および栄養源に含まれる化合物が不純物となって乳酸精製工程に悪影響を及ぼすなどの問題がある。これらを考慮して栄養源の添加量を制限した場合には、乳酸発酵を行う菌体の活性が低いことから、十分な乳酸収量を得られず、発酵液に残存する糖が多くなり、乳酸精製工程に悪影響を及ぼす。
乳酸の主原料である糖質が多量に残存する場合、例えば、乳酸のエステル化に際して乳酸のカルボキシル基と糖質のヒドロキシル基との間で副反応が起こり、目的とする乳酸エステルの収率が低下する。発酵後の培養液から残存した糖質を除去するには煩雑かつ高コストな工程を経る必要があるため、残糖濃度は可能な限り低くする必要がある(特許文献3)。
また、発酵液のpHは、乳酸の生産に伴って徐々に低下する。乳酸菌など微生物の多くは酸感受性を有するため、乳酸生産を維持するためには、中和剤を用いて中和しながら発酵を進めるのが一般的である(特許文献4)。
特開2002−136293号公報 特開2005−102625号公報 特開2011−92045号公報 特開2011−26244号公報
Ferainら,J. Bacteriol., 1994, Vol.176, p.596-601
本発明は、乳酸生産量を増大させ、かつ残糖量を抑制することができる、乳酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、乳酸を製造する方法を提供し、この方法は、
(i)糖を含む培地と、乳酸生産微生物とを含む、該乳酸生産微生物の生育に適したpHである初発pHの培養液を調製し、該微生物を培養する工程、
(ii)該初発pHより低いpH下で該乳酸生産微生物を培養する工程、および
(iii)該乳酸生産微生物の生育に適したpHにて該乳酸生産微生物を培養する工程であって、ここで該工程(iii)のpHが、該初発pHと同じまたは異なるpHである、工程
を含み、
ここで該工程(ii)は該工程(i)の前または後である。
1つの実施形態では、上記工程(i)、上記工程(ii)および上記工程(iii)をこの順に含み、該工程(i)および該工程(ii)を通して、中和することなく前記乳酸生産微生物を培養し、そして該工程(iii)において、該乳酸生産微生物の生育に適したpHに調整しながら該乳酸生産微生物を培養する。
1つの実施形態では、上記工程(i)において、pHを上記初発pHに調整しながら上記乳酸生産微生物を培養し、上記工程(ii)において、中和することなく該乳酸生産微生物を培養し、そして上記工程(iii)において、該乳酸生産微生物の生育に適したpHにpHを調整しながら該乳酸生産微生物を培養する。
1つの実施形態では、上記乳酸生産微生物は、乳酸菌である。
1つの実施形態では、上記乳酸生産微生物の生育に適したpHは、弱酸性から中性付近であり、そして前記初発pHより低いpHは、より酸性である。
1つの実施形態では、上記培養液は、糖化酵素をさらに含む。
本発明によれば、乳酸生産量を増大させ、かつ残糖量を抑制し得る乳酸の製造方法が提供される。本発明の乳酸の製造方法は、培養液(発酵液)のpHを制御するという簡便な操作によって、乳酸を効率的に生産し、かつ培養液(発酵液)中に残存する糖を減らすことができる。
玄米からの乳酸発酵において異なる時点でpH制御を開始した発酵液pHの経時変化を示すグラフである。 玄米からの乳酸発酵において異なる時点でpH制御を開始した発酵液上清のグルコース濃度の経時変化を示すグラフである。 発酵開始17時間後から30分または3時間の間、pHを4.8に維持した発酵液における乳酸およびグルコースの濃度の経時変化を示すグラフである。 ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株について、培養開始から18時間まで中和しない場合および中和した場合の、糖濃度を再調整した後に発酵を開始してからの培養中の生成乳酸およびグルコースの濃度の経時変化を示すグラフである。 ラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株について、培養開始から18時間まで中和しない場合および中和した場合の、糖濃度を再調整した後に発酵を開始してからの培養中の生成乳酸およびグルコースの濃度の経時変化を示すグラフである。 ラクトバチルス・カゼイについて、培養開始から18時間まで中和しない場合および中和した場合の、糖濃度を再調整した後に発酵を開始してからの培養中の生成乳酸およびグルコースの濃度の経時変化を示すグラフである。 栄養源無添加での玄米からの乳酸発酵において、発酵開始から0時間または15時間でpH制御を開始した際の、発酵液における乳酸濃度およびグルコース濃度の経時変化を示すグラフである。 残渣を菌床として繰返し利用して10バッチの発酵を行った場合において、各バッチにつき発酵開始15時間の時点からpH6.0制御した際の発酵液における乳酸濃度およびグルコース濃度の経時変化を示すグラフである。 残渣を菌床として利用し、発酵開始15時間の時点からpH6.0制御した際の第1バッチの発酵および発酵開始0時間の時点からpH6.0制御した際の第2バッチの発酵を行った場合の発酵液における乳酸濃度およびグルコース濃度の経時変化を示すグラフである。 セルロース系原料を用いて、発酵開始15時間または0時間の時点よりpH制御を行った際の、発酵液における乳酸濃度およびグルコースとキシロースの合計糖濃度の経時変化を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
一般に、乳酸発酵は、発酵により生成した乳酸によって、培養液中のpHが低下する。このため、中和しながら発酵を進めるのが一般的であるが、本発明においては、発酵による乳酸の生産過程でpHを意図的に低下させる。
本発明は、乳酸を製造する方法を提供する。この方法は、以下(i)〜(iii)の工程を含む:
(i)糖を含む培地と、乳酸生産微生物とを含み、かつ該乳酸生産微生物の生育に適したpHである初発pHを有する培養液を調製し、該微生物を培養する工程、
(ii)該初発pHより低いpH下で該乳酸生産微生物を培養する工程、および
(iii)該乳酸生産微生物の生育に適したpHにて該乳酸生産微生物を培養する工程。工程(ii)は、工程(i)の前または後であり得る。工程(iii)のpHは、工程(i)の初発pHと同じであり得、あるいは、用いる乳酸生産微生物が生育可能な範囲である限り、異なっていてもよい。
本明細書中で用いる用語「乳酸生産微生物」は、グルコースなどの糖から乳酸を生産することができる(言い換えれば、乳酸発酵能を有する)任意の微生物をいう。乳酸生産微生物は、自然界に存在する微生物および遺伝子組換え微生物のいずれであってもよい。自然界に存在する微生物としては、例えば、乳酸菌およびカビ(例えば、リゾプス(Rhizopus)属)が挙げられる。
「乳酸菌」とは、代謝または発酵によって糖類から乳酸を産生する細菌の総称である。乳酸菌は、主として、ビフィズス菌、エンテロコッカス菌、ラクトバチルス菌、ストレプトコッカス菌の4種に分類され得る。乳酸菌としては、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、またはリューコノストック属(Leuconostoc)に属する菌が挙げられ、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・フェカーリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ラクテイス(Streptococcus lactis)、ラクトバチルス・ブルカリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルツキイ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・アラビノースス(Lactobacillus arabinosus)、ラクトバチルス・カウカシクス(Lactobacillus caucasicus)、ラクトバチルス・ラクテイス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・ライシュマニ(Lactobacillus Leishmanni)、ラクトバチルス・ムシカス(Lactobacillus musicus)、ラクトバチルス・サーモフィルス(Lactobacillus thermophilus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ラクトコッカス・ラクテイス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、およびロイコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)などが挙げられる。乳酸菌には、有胞子性乳酸菌もまた包含される。有胞子性乳酸菌は、有胞子性の乳酸菌の総称である。有胞子性乳酸菌としては、例えば、バチルス属(Bacillus)に属する菌が挙げられる。バチルス属に属する有胞子性乳酸菌は、耐熱性(例えば45℃のような高熱下にて生育可能)、高い発酵速度、および広い糖資化性を有するものであり得る。バチルス属(Bacillus)に属する菌としては、例えば、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans、「スポロ乳酸菌」としても知られる)およびバチルス・リンチェニフォルマイス(Bacillus lincheniformis)が挙げられる。カビとしては、例えば、リゾプス属(Rhizopus)が挙げられ、例えば、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)が挙げられる。
遺伝子組換え微生物としては、例えば、L−またはD−乳酸合成酵素遺伝子のいずれかを組み込むあるいは破壊した組換え微生物が挙げられる。遺伝子組換え宿主としては、ゲノム情報が豊富で実績が十分にある微生物を選択することが多い。例えば、酵母、大腸菌、乳酸菌などが、遺伝子組換え宿主として用いられ得る。遺伝子組換え微生物として、例えば、ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株(Okanoら, Appl. Environ. Microbiol. 2009, Vol.75, 462-467)、およびラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株(Yoshidaら, Appl. Microbiol. Biotechnol., 2011, Vol.92, 67-76)が挙げられる。ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株は、α−アミラーゼを分泌しグルコースからD−乳酸を生成する組換え株であり、ラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株は、グルコースとキシロースの両方からD−乳酸を生成する組換え株である。
乳酸発酵のために乳酸生産微生物を培養するための培地は、糖のような炭素源を主原料として含み、好ましくは液体培地である。糖としては、グルコース、キシロース、アラビノース、フルクトースのような単糖類;シュークロース、マルトース、トレハロースのような二糖類;およびデンプン、セルロース、ヘミセルロース、キシランのような多糖類;ならびに糖類を含有する糖蜜(例えば、甘藷糖蜜)などが挙げられる。生物資源に由来する糖質材料であるバイオマスもまた、糖として用いられ得る。バイオマスとしては、例えば、トウモロコシや米などのデンプン、ならびに、サトウキビ廃糖蜜のような廃糖蜜などが挙げられる。また、食糧と競合しない糖原材料としては、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンから構成されるリグノセルロース系バイオマスが挙げられる。バイオマス材料は、乳酸発酵培養に供する前に、必要に応じて、前処理(例えば、破砕処理、水熱処理、または乾燥処理)が施され得る。
培地はさらに、窒素原を含み得る。窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、動物性ポリペプトン、植物性ポリペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、魚タンパク加水分解物、カザミノ酸、焼酎粕、油粕のようなペプチド又はアミノ酸類;アンモニア、硝酸塩のような無機窒素類;尿素などが挙げられる。安価に利用することができる点で、コーンスティープリカー、魚タンパク加水分解物、硝酸塩などが好ましい。また、必要に応じて、培地中に乳酸発酵用の培地に通常添加される、リン酸塩、硫酸マグネシウムのようなマグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩のような無機塩類;ビタミン類;ポリソルベートのような脂肪酸などを培地に添加してもよい。窒素源などの栄養を含むバイオマスを糖原材料として用いることもできる。窒素源などの栄養を含むバイオマスを糖原材料として用いる場合には、別に窒素源を添加しなくてもよく、その際に、好ましくは、発酵前にpHを中性付近に調整する。
乳酸発酵のための培養液(本明細書中で、「乳酸発酵液」または単に「発酵液」ともいう)は、糖を含む培地と、乳酸生産微生物とを含む。乳酸発酵のための培養液は、例えば、上記のような培地に、乳酸生産微生物の菌体を添加することにより調製され得る。乳酸生産微生物は、乳酸発酵のための培養に供する前に、当該微生物が生育するのに適した培地にて前培養してもよい。
多糖類、または多糖類を構成成分に含むバイオマスなどが糖として用いられる場合、乳酸発酵のための培養液は、糖化酵素をさらに含み得る。糖化酵素としては、培地に含まれる糖の種類に依存するが、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼなどのアミラーゼ;エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、β−グルカナーゼなどのセルラーゼ;キシラナーゼ;プルラナーゼなどが挙げられ、これらの1つ以上を組み合わせて用いてもよい。糖化酵素の由来は特に限定されない。
本発明の方法における培養工程は、特に制限されることなく、通常の乳酸発酵法を用いることができる。乳酸発酵のための培養液の初発pH(乳酸発酵用に新たに調製された培地のpH)は、用いる微生物の種類、培地の種類、培養条件によって異なるため、必要に応じて適宜決定され得る。初発pHは、乳酸生産微生物の生育に適したpH値であればよい。「乳酸生産微生物の生育に適したpH値」は、用いる乳酸生産微生物の種類に依存し得るが、例えば、弱酸性から中性付近であり得、本明細書においては、「弱酸性から中性付近」のpHは、例えば、pH4.5〜7、好ましくは、5.5〜6.8の範囲内であり得る。「中性付近」の場合、例えば、6〜7、好ましくは6〜6.8の範囲内であり得る。
一般に、乳酸発酵では、発酵により生成した乳酸によって培養液のpHが低下(酸性化)するため、乳酸生産微生物の生育に適したpH下での微生物の培養の際には、中和によってpH制御を行い得る。pH制御に用いる中和剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニウム化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。中和によって得られる乳酸塩の取り扱いやすさの点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましい。
本発明の方法においては、乳酸発酵過程において、初発pH(乳酸発酵用の培地のpHに起因し得る)より酸性のpH(すなわち、より低下したpH)下で、乳酸生産微生物を培養する工程を含む。より酸性のpH(すなわち、より低下したpH)下での培養工程は、乳酸発酵に供する前または乳酸発酵過程の間のいずれでもよい。当該より酸性の(すなわち、より低下した)pH下での培養後、乳酸生産微生物を、乳酸生産微生物の生育に適したpH(当該より低下したpHよりも高いpHとなる)下でさらに培養する。
1つの実施形態(「第1の実施形態」ともいう)では、上記工程(i)、工程(ii)および工程(iii)をこの順に含み、工程(i)および工程(ii)(発酵培養初期からより酸性のpHでの培養まで)を通して、中和することなく乳酸生産微生物を培養し(これにより、発酵により生成した乳酸によってpHを低下させる)、そして工程(iii)(より酸性のpHでの培養後の培養)において、pHを乳酸生産微生物の生育に適したpH(例えば、弱酸性から中性付近)に調整しながら該乳酸生産微生物を培養する。
別の1つの実施形態(「第2の実施形態」ともいう)では、上記工程(i)(発酵培養初期)において、pHを初発pH(例えば、弱酸性から中性付近)に調整しながら乳酸生産微生物を培養し、上記工程(ii)(より酸性のpHでの培養)において、中和することなく乳酸生産微生物を培養し、そして上記工程(iii)(乳酸生産微生物の生育に適したpHでの培養)において、pHを乳酸生産微生物の生育に適したpH(例えば、弱酸性から中性付近)に調整しながら上記乳酸生産微生物を培養する。工程(ii)は、工程(i)の前または後であり得る。工程(iii)のpHは、工程(i)の初発pHと同じであり得、あるいは、用いる乳酸生産微生物が生育可能な範囲である限り、異なっていてもよい。工程(ii)が工程(i)の前である場合、工程(i)および工程(iii)は、まとめて一つの工程とすることもできる。
培養液(発酵液)のpHを低下させる手段については、発酵中に菌体によって生成された乳酸の作用によって自発的に低下させてもよく(例えば、第1の実施形態および第2の実施形態における中和なしの培養)、またはなんらかの手段にて強制的に低下させてもよい(第2の実施形態)。第2の実施形態の工程(ii)においては、pHは自発的に低下させても、強制的に低下させてもよい。
発酵液のpHを低下させるタイミングとしては、発酵培養の途中にpH制御を停止する、または酸を添加するなどしてpHを低下させてもよく、あるいは、菌体を低いpHの培地で馴化させてもよい。低pH培地への菌体の馴化は、例えば、弱酸性から中性付近の初発pHの培地に菌体を添加して開始する乳酸発酵培養にてpHを調節せずに単に放置する(すなわち、乳酸発酵の進行とともに培養液のpHを低下するにまかせることで、菌体を低pH培地に馴化させる)、または乳酸発酵培養に供する前に、より低いpHの培地にて菌体を前培養することによってなされ得る。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
添加する酸としては、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸、または硝酸、あるいはこれらの任意の組合せのような無機酸などが挙げられる。好ましくは塩酸である。初発pHより酸性のpH(またはより低下したpH)は、用いる微生物の種類に依存し得るが、下記のような通常のpH制御下の培養で見られ得るpH低下を超えて低下したpHであり得、例えば、初発pHより0.7以上低下したpH、好ましくは、1以上低下したpHである。また、このようなpH値は、pH3〜4.8、好ましくは、pH3.5〜4.5の範囲内であり得る。酸の添加濃度は、酸の種類に依存するが、中和を生じるのに適した濃度であればよく、例えば、0.5M〜18M、好ましくは、1M〜6Mの範囲内であり得る。
培養液(発酵液)をより酸性のpHに維持する(すなわち、当該より酸性の発酵液に菌体を浸漬する)時間は、用いる発酵条件および微生物に依存し得るが、例えば、10分〜12時間、好ましくは、20分〜6時間、より好ましくは、30分〜3時間とし得る。中和することなく乳酸生産微生物を培養することによりpHを自発的に低下させる場合は、用いる発酵条件および微生物に依存し得るが、発酵培養培地にて、例えば、6時間〜24時間まで、好ましくは、8時間〜18時間まで、より好ましくは、15時間〜18時間まで、中和することなく(pH制御なしで)乳酸生産微生物を培養することでpHを低下し得る。例えば、乳酸生産微生物(例えば、下記実施例1の乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株)を初発pH5.5で培養を開始し、上記時間中和することなく(pH制御なしで)培養することで、上記のより酸性のpH(例えば、pH3〜4.8、好ましくは、pH3.5〜4.5)を生じ得、そして乳酸生産量の増大と残糖量の低下との両方を達成し得る。初発pHより低下した培養について、必ずしも上記の酸性pH値および時間に限定されない。
なお、上記の通り、乳酸発酵では、乳酸生産微生物の培養の間に、生成された乳酸に起因して培養液のpHが低下し得るので、(pH制御をしている場合であっても)培養の間のpH値は変動し得る。本発明の方法においては、培養時のpH値には、pH制御によるpH変化以外で生じ得る範囲で変化するpH値が包含される。一例として、培養時のpH値が5.5に設定される場合、当該pH値は、例えば、5.4〜5.6を包含する。
培養は、回分培養、半回分培養、または連続培養のいずれであってもよい。また、糖質のみ培養中に追加する半回分培養または連続培養であってもよい。培養時間は、使用菌株、培地成分、特に糖質の量などにより異なるが、回分培養の場合、例えば、1日間〜10日間、好ましくは、2日間〜8日間、より好ましくは、2日間〜7日間である。連続培養、半回分培養を行う場合は、培養期間はこれに限定されない。pHの低下は、菌体の対数増殖期以降のタイミングで行うことが望ましい。発酵残渣を菌床として用いてもよい。例えば、1バッチ(回分)の発酵終了後、その発酵残渣に含まれる乳酸生産微生物を次バッチの発酵に再度利用してもよい。
発酵培養の温度は、用いる乳酸生産微生物が生育する温度および添加される酵素の作用温度などの培養条件を考慮して設定され得る。例えば、25℃〜45℃、または30℃〜40℃、または35℃〜37℃に設定し得るが、特に用いる乳酸生産微生物によっては、より高いまたは低い温度でもあり得る。用いる乳酸生産微生物が有胞子性乳酸菌などの耐熱性微生物の場合は、より高い温度、例えば、一般的に糖化酵素がよく作用する例えば45℃付近の温度に設定し得る。
培養後の培養液から菌体を除去することにより、乳酸を、乳酸または乳酸アルカリ塩の形態で回収し得る。培養液からの乳酸の回収方法は特に制限されず、公知の方法が使用され得る。例えば、WO2007/114017に記載の方法が挙げられる。また、イオン交換樹脂に吸着、洗浄した後、溶出する方法;硫酸添加下でアルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)と反応させてエステルを形成させ、蒸留する方法;およびマグネシウム塩などの不溶性の乳酸塩として回収および精製する方法などが挙げられる。
本発明により得られた乳酸は、例えば、ポリ乳酸およびポリエステルポリオールなどの生分解性プラスチック、ならびに農薬および医薬の原料として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:ラクトバチルス・プランタルムによる玄米からの乳酸発酵)
(1−1:発酵開始からの種々の時点におけるpH制御による乳酸発酵の影響)
破砕済みの玄米200gおよびCSL(日本澱粉工業株式会社製)10mLを蒸留水に溶解し、pHを5.5に合わせてから1L容量に調整し、発酵用培地を調製した。この発酵用培地1Lを3L容量の発酵槽(微生物用ファーメンター:EYELA社製)にて60℃で3時間加熱し、その後最終的に37℃で保温した。
他方、乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株を、2%(v/v)CSLおよび0.5%(w/v)可溶性デンプンを蒸留水中に含む培地において、37℃で20時間静置培養させておいた。
上記加熱滅菌した発酵用培地に、上記乳酸菌の懸濁液50mLおよび糖化酵素(グルコチーム#20000 0.1g、スピターゼCP−40FG 0.13g:ともにナガセケムテックス株式会社製)を加え、発酵を開始した。37℃、200rpmで撹拌しながら、発酵開始から0〜15時間の異なる時点で、5N NaOH(5M NaOH)の滴下による中和を開始した。中和開始以降は発酵液のpHを5.5に調整し、144時間まで発酵を継続した。
サンプリングした試料を15,000rpmで5分間遠心分離し、回収した上清を超純水で適宜希釈した後、日立高速液体クロマトグラフ有機酸(BTB法)分析システム(株式会社日立テクノロジーズ)により以下の条件で分析した:
カラム:GL−C610H−S(φ7.8×300mm)
温度:40℃
溶離液:3mM 過塩素酸水溶液
溶離液流量:0.5ml/分
反応液:BTB(ブロモチモールブルー)溶液
反応液流量:0.6ml/分
検出:VIS 440nm
発酵液上清中の全糖濃度はフェノール・硫酸法で定量し、グルコース濃度はバイオセンサーBF−5(王子計測機器株式会社製)を用いて定量し、乳酸濃度は、高速液体クロマトグラフィーで定量した。以下、これらを単に発酵液中の全糖濃度、グルコース濃度、および乳酸濃度という。
図1は、玄米からの乳酸発酵において異なる時点でpH制御を開始した発酵液pHの経時変化を示す。図中、横軸は発酵経過時間(h:時間)を示し、縦軸は発酵液pH値を示す。X、白菱形、白三角、および白丸はそれぞれ、発酵開始から15時間(15h)、8時間(8h)、5時間(5h)および0時間(0h)の時点で、中和によるpH制御を行った結果を表す。
図1から明らかなように、発酵開始0時間(すなわち発酵開始時)でpH制御を行った場合(対照)、発酵中のpHは5.5に維持されていた。一方、発酵開始から5時間、8時間および15時間で中和によるpH制御を行った場合、発酵液のpHがそれぞれ4.2、3.8、3.6まで低下した後、中和開始以降はpHが5.5に維持されていることを確認できた。
表1は、異なる時点でpH制御を開始した玄米からの乳酸発酵において、発酵144時間後の発酵液中の乳酸濃度(g/L)、中和剤の添加による希釈を考慮した初発発酵液1Lあたりの乳酸量(g)、発酵液中に残存するグルコース濃度(g/L)と全糖濃度(g/L)、米のグルコース含量から算出した乳酸の対糖収率(g/g−グルコース)を示す。
Figure 0006923165
発酵開始0時間(対照)では、乳酸濃度は114.9g/Lと比較的高い値に達したものの、発酵後の上清には高濃度の糖が残存した。pH制御を5時間後に開始した場合、乳酸濃度は125.0g/Lと対照よりも高い値を示したが、残糖濃度も高い値を示した。一方、pH制御を8および15時間後に開始した場合、対照よりも乳酸濃度、乳酸量および対糖収率が高く、さらに残糖濃度は低い値を示した。
図2は、玄米からの乳酸発酵において異なる時点でpH制御を開始した発酵液中のグルコース濃度の経時変化を示す。図中、横軸は発酵経過時間(h:時間)を示し、縦軸は発酵液上清のグルコース濃度(g/L)を示す。X、白菱形、白三角、および白丸はそれぞれ、発酵開始から15時間(15h)、8時間(8h)、5時間(5h)および0時間(0h)の時点でpH制御を行った結果を表す。
図2から明らかなように、いずれも発酵初期(発酵開始から24時間程度まで)に、酵素による糖化で生じたグルコースが高い濃度で存在した。発酵開始0時間でpH制御を行った場合(対照)および発酵開始5時間後にpH制御を開始した場合には、グルコースの消費速度が小さく、発酵後期(発酵72時間以降)になっても高い濃度のグルコースが残存した。発酵開始8および15時間後にpH制御を開始した場合、発酵初期に生じたグルコースは、pH制御開始以降に速やかに消費され、発酵72時間以降には極めて低い残存グルコース濃度となった。
これらのことから、発酵により生じた乳酸によって発酵液のpHを減少させ、その後、中和を開始して乳酸発酵に適するpH(例えば5.5)に設定することで、菌体の糖消費速度が向上し、乳酸収量も増加するものと考えられた。pH制御を5時間後に開始した場合に残糖濃度が高くなった原因としては、発酵開始5時間での菌体密度が低く、中和開始以降から増殖した菌体の性質が発酵結果に影響したものと思われる。
(1−2:発酵開始からの種々の時点におけるpH制御による乳酸発酵の影響)
続いて、菌体の糖消費速度が有意に向上するpH値の上限および該pHで菌体を浸漬する所要時間を調べた。まず中和を伴う乳酸発酵(pH5.5に制御)を行い、発酵開始(菌体添加)17時間後に6N塩酸(6M塩酸)を添加して強制的にpHを4.8まで減少させた。撹拌を継続しながら、このpH値に発酵液を一定時間(30分から3時間)維持した(すなわち該pHの発酵液に菌体を浸漬した)。その後、中和を再開して発酵液のpHを5.5に調整しながら144時間まで発酵を継続した。
図3は、発酵開始17時間後から30分または3時間の間、pHを4.8に維持した発酵液における乳酸およびグルコースの濃度の経時変化を示す。図中、横軸は発酵経過時間(h:時間)を示し、縦軸は発酵液中の乳酸またはグルコースの濃度(g/L)を示す。四角は発酵液中の乳酸濃度を表し、丸は発酵液中のグルコース濃度を表し、白記号はpH4.8に30分間維持した場合の結果であり、黒記号はpH4.8に3時間維持した場合の結果である。
図3に示すように、30分および3時間の間、pH4.8の発酵液に菌体を浸漬した(pH4.8に発酵液を維持した)場合、いずれも発酵144時間後の残存グルコース濃度が低く、高い乳酸濃度を得ることができた。
(実施例2:種々の菌体を用いたモデル糖液からの乳酸発酵)
本実施例では、菌株の種類がどのように影響を及ぼすかを調べるため、モデル糖液を用いた実験を行った。ここでは、ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株、ラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株、およびラクトバチルス・カゼイについて調べた。
各種乳酸菌は、発酵に供する前に、2%(v/v)CSLおよび0.5%(w/v)基質(ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株およびラクトバチルス・カゼイについてはグルコースのみ;ラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株についてはグルコースとキシロースとを等量混合)を蒸留水中に含む培地にて、37℃で20時間静置培養させ、菌懸濁液とした。
乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株およびラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株について行った手順は以下のとおりである。
4%(v/v)CSLおよび2%(w/v)基質を蒸留水中に含むpH5.5の培地を900mL調製し、3L容量の発酵槽(微生物用ファーメンター:EYELA社製)にて60℃で3時間殺菌した後、37℃に保温した。これに菌懸濁液を45mL加え、37℃、200rpmで撹拌しながら培養を行った。培養開始直後から中和を行わずに、18時間まで培養を継続した。培養18時間後に100mLの糖液(基質と同じ糖)を加え、発酵槽内の液の全糖濃度が約5%(w/v)(すなわち、5%(w/v)グルコース単独、あるいは各2.5%(w/v)のグルコースおよびキシロース)になるように再調整し、その後、5N NaOHで発酵槽内の液のpHを初発pH値の5.5に制御しながら培養を再開した。
ラクトバチルス・カゼイについては、初発pHを6.0とし、培養温度を30℃としたこと以外は、上記と同様に培養を行った。
各種乳酸菌について、対照実験では、培養開始直後より5N NaOHで中和することで、培養中のpHを初発のpH値(5.5または6.0)に維持したこと以外は、同様に行った。
図4〜6は、各種乳酸菌について、培養開始から18時間まで中和しない場合および中和した場合の、培養18時間後に糖濃度を再調整した後に発酵を開始してからの液培養中の生成乳酸およびグルコースの濃度の経時変化を示す(図4、ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株;図5、ラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株;および図6、ラクトバチルス・カゼイ)。図4〜6中、横軸は発酵経過時間(h:時間)を示し、縦軸は発酵液中の生成乳酸またはグルコースの濃度(g/L)を示す。四角は発酵液中に生成した乳酸濃度を表し、丸は発酵液中のグルコース濃度を表し、白記号は対照(培養直後からpHを調整した)の結果であり、黒記号は低pH期あり(培養直後から18時間まで中和を行わない)の結果である。生成乳酸の濃度は、測定した発酵液中の乳酸濃度から発酵開始直後(糖濃度再調整時)の乳酸濃度を引いた濃度の値として表した。
ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株では、図4に示されるように、培養初期のpHを低下させた場合、グルコースの消費速度が速く、乳酸の生成も促進された。低pH期ありと対照との間の培養18時間後の糖濃度がやや高いことは、操作上の誤差によるものであった。このような糖濃度の差異を考慮しても、低pH期ありの場合において、グルコースの消費速度は促進されており、また、乳酸濃度も高められていると判断できた。すなわち、出発糖濃度(培養18時間後の糖濃度)を対照と同じ濃度に換算しても、低pH期ありの場合に、高められた生成乳酸量が観察された。
ラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株のようなキシロース資化能を付与した株でも、図5に示されるように、培養初期のpHを低下させた場合、グルコースの消費速度が速く、生成乳酸濃度も高くなった。
ラクトバチルス・カゼイでも、図6に示されるように、培養初期のpHを低下させた方がグルコースの消費速度が速く、生成乳酸濃度も高くなった。
以上のように、用いた種々の菌体のいずれにおいても、培養初期のpHを低下させた方がグルコースの消費速度が速く、生成乳酸濃度も高くなることが確認することができた。
(実施例3:栄養源無添加でのpH制御による乳酸発酵の影響)
破砕済みの玄米200gを蒸留水に溶解し、1L容量に調整したものを3L容量の発酵槽(微生物用ファーメンター:EYELA社製)にて60℃で3時間加熱し、その後最終的に37℃で保温し、発酵用培地を得た。
他方、乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株を、2%(v/v)CSLおよび0.5%(w/v)可溶性デンプンを蒸留水中に含む培地において、37℃で20時間静置培養させた後、8,000Gで5分間遠心分離にて集菌し、0.85%生理食塩水に懸濁した。
上記加熱滅菌した発酵用培地に、上記乳酸菌の懸濁液50mLおよび糖化酵素(グルコチーム#20000 0.1g、スピターゼCP−40FG 0.13g:ともにナガセケムテックス株式会社製)を加え、発酵を開始した。37℃、200rpmで撹拌しながら、発酵開始から0時間または15時間で5N NaOH(5M NaOH)の滴下による中和を開始した。中和開始以降は発酵液のpHを6.0に調整し、144時間まで発酵を継続した。
図7は、栄養源無添加での玄米からの乳酸発酵において、発酵開始から0時間または15時間でpH制御を開始した際の、発酵液における乳酸およびグルコースの濃度の経時変化を示す。図中、横軸は発酵経過時間(h:時間)を示し、縦軸は発酵液中の乳酸またはグルコースの濃度(g/L)を示す。四角は発酵液中の乳酸濃度を表し、丸は発酵液中のグルコース濃度を表し、白記号は発酵開始15時間(15h)、黒記号は0時間(0h)の時点でpH制御を行った結果を示す。
以下の表2は、栄養源無添加での玄米からの乳酸発酵において、発酵開始から0時間または15時間でpH制御を開始した際の発酵144時間後の結果を示す。左から順に、発酵液中の乳酸濃度(g/L)、中和剤の添加による希釈を考慮した初発発酵液1Lあたりの乳酸量ALA(g)、米のグルコース含量から算出した乳酸の対糖収率YLA/Glc(g/g−グルコース)、発酵液中に残存するグルコース濃度(g/L)と全糖濃度(g/L)、およびD−乳酸の光学純度(%ee)を示す。
Figure 0006923165
図7から明らかなように、発酵開始0時間でpH制御を行った場合(対照)、グルコースの消費速度が小さく、発酵後期(発酵72時間以降)になっても高い濃度のグルコースが残存していたが、15時間後にpH制御を開始した場合、発酵初期に生じたグルコースは、pH制御開始以降に速やかに消費され、発酵72時間以降には極めて低い残存グルコース濃度となった。また、グルコースが多く消費された分、乳酸の生成量が上積みされていた。
さらに表2に示すように、発酵開始15時間でpH制御を行った場合は、発酵開始0時間でpH制御を行った場合(対照)よりも、乳酸濃度、乳酸量、光学純度および対糖収率が高く、残糖濃度は低い値を示しており、発酵液の品質が著しく向上した。
(実施例4:発酵残渣を繰り返し利用したpH制御による乳酸発酵の影響)
破砕済みの玄米200gを蒸留水に溶解し、1L容量に調整したものを3L容量の発酵槽(微生物用ファーメンター:EYELA社製)にて60℃で3時間加熱し、その後最終的に37℃で保温し、発酵用培地を得た。
他方、乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株を、2%(v/v)CSLおよび0.5%(w/v)可溶性デンプンを蒸留水中に含む培地において、37℃で20時間静置培養させた後、8,000Gで5分間遠心分離にて集菌し、0.85%(w/v)生理食塩水に懸濁した。
上記加熱滅菌した発酵用培地に、上記乳酸菌の懸濁液50mLおよび糖化酵素(グルコチーム#20000 0.3g、スピターゼCP−40FG 0.39g:ともにナガセケムテックス株式会社製)を加え、発酵を開始した。37℃、200rpmで撹拌しながら、発酵開始から15時間で5N NaOH(5M NaOH)の滴下による中和を開始した。中和開始以降は発酵液のpHを6.0に調整し、96時間まで発酵を継続した。この発酵を1バッチとした。
1バッチの発酵終了後、乳酸発酵液をストレーナーに通過させ、通過した発酵液を回収し、これを12,000Gで10分間遠心分離し、40〜78g(湿重量)の沈殿物(発酵残渣)を得た。この発酵残渣は乳酸菌を含んだ。この発酵残渣を上記のように加熱殺菌した別の発酵用培地に菌床として添加した。同時に糖化酵素(グルコチーム#20000 0.3g、スピターゼCP−40FG 0.39g:ともにナガセケムテックス株式会社製)を加え、次バッチの発酵を開始した。同様にして、発酵を10バッチまで繰り返した。全バッチとも、発酵開始から15時間で5N NaOH(5M NaOH)の滴下による中和を開始した。
図8は、残渣を菌床として繰返し利用して10バッチの発酵を行った場合において、各バッチにつき発酵開始15時間の時点からpH6.0制御した際の発酵液における乳酸とグルコース濃度の経時変化を示す。図中、横軸は発酵経過時間(h:時間)を示し、縦軸は発酵液中の乳酸またはグルコースの濃度(g/L)を示す。また、黒四角は発酵液中の乳酸濃度を表し、白丸は発酵液中のグルコース濃度を表す。
図8に示されるように、長期間、発酵残渣を菌床として繰返し利用することができ、かつ残糖の少ない良好な発酵液を安定して得られることを確認できた。
(実施例5:発酵残渣を利用したpH制御による乳酸発酵の影響)
破砕済みの玄米200gを蒸留水に溶解し、1L容量に調整したものを3L容量の発酵槽(微生物用ファーメンター:EYELA社製)にて60℃で3時間加熱し、その後最終的に37℃で保温し、発酵用培地を得た。
他方、乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株を、2%(v/v)CSLおよび0.5%(w/v)可溶性デンプンを蒸留水中に含む培地において、37℃で20時間静置培養させた後、8,000Gで5分間遠心分離にて集菌し、0.85%(w/v)生理食塩水に懸濁した。
上記加熱滅菌した発酵用培地に、上記乳酸菌の懸濁液50mLおよび糖化酵素(グルコチーム#20000 0.3g、スピターゼCP−40FG 0.39g:ともにナガセケムテックス株式会社製)を加え、発酵を開始した。37℃、200rpmで撹拌しながら、発酵開始から15時間で5N NaOH(5M NaOH)の滴下による中和を開始した。中和開始以降は発酵液のpHを6.0に調整し、96時間まで発酵を継続した(第1バッチの発酵)。
1バッチの発酵終了後、乳酸発酵液をストレーナーに通過させ、通過した発酵液を回収し、これを12,000Gで10分間遠心分離し、40〜78g(湿重量)の沈殿物(発酵残渣)を得た。この発酵残渣は乳酸菌を含んだ。この発酵残渣を上記のように加熱殺菌した別の発酵用培地に菌床として添加した。同時に糖化酵素(グルコチーム#20000 0.3g、スピターゼCP−40FG 0.39g:ともにナガセケムテックス株式会社製)を加え、次バッチ(第2バッチ)の発酵を開始した。但し、この第2バッチの発酵では、発酵開始から0時間で5N NaOH(5M NaOH)の滴下による中和を開始した。
図9は、残渣を菌床として利用し、発酵開始15時間の時点からpH6.0制御した際の第1バッチの発酵および発酵開始0時間の時点からpH6.0制御した際の第2バッチの発酵を行った場合における発酵液における乳酸とグルコース濃度の経時変化を示す。図中、横軸は発酵経過時間(h:時間)を示し、縦軸は発酵液中の乳酸またはグルコースの濃度(g/L)を示す。黒四角は発酵液中の乳酸濃度を表し、白丸は発酵液中のグルコース濃度を表す。
図9に示されるように、発酵開始15時間の時点からpH6.0制御した第1バッチの発酵に比較して、発酵開始から0時間の時点からpH6.0制御した第2バッチの発酵では、発酵液中の残糖が多く、乳酸濃度の低下が見られた。
(実施例6:セルロース系原料でのpH制御による乳酸発酵の影響)
広葉樹パルプ(粉末)15gおよびバーレックス(三和酒類株式会社製)6mLを蒸留水に溶解し、pHを5.5に合わせてから100mL容量に調整し、発酵用培地を調製した。この発酵用培地100mLを200mL容量の発酵槽(セパラブルフラスコ)に移して121℃、15分オートクレーブにて滅菌し、その後最終的に37℃で保温した。
他方、乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムΔldhL1::PxylAB-xpk1::tkt-Δxpk2::PxylAB株を、6%(v/v)バーレックス、0.4%(w/v)グルコースおよび0.1%(w/v)キシロースを蒸留水中に含む培地において、37℃にて静置培養させ、菌懸濁液とした。
上記加熱滅菌した発酵用培地に、上記乳酸菌の懸濁液5mLおよび糖化酵素(Ctec2:ノボザイムズ社製)を2.55mL加え、発酵を開始した。37℃下にて撹拌しながら、pH6.0に微調整後、発酵開始から15時間の時点で、5N NaOH(5M NaOH)の滴下による中和を開始した。中和開始以降は発酵液のpHを6.0に調整(エイブル株式会社製のpHコントローラーを使用)し、161時間まで発酵を継続した。
対照実験として、同様に上記加熱滅菌した発酵用培地に、上記乳酸菌の懸濁液5mLおよび糖化酵素(Ctec2:ノボザイムズ社製)を2.55mL加え、発酵を開始した。37℃下にて撹拌し、発酵開始時点から、5N NaOH(5M NaOH)の滴下により発酵液のpHを5.5に調整(エイブル株式会社製のpHコントローラーを使用)し、165時間まで発酵を継続した。
図10には、セルロース系原料を用いて、発酵開始15時間または0時間の時点よりpH制御を行った際の、発酵液における乳酸濃度およびグルコースとキシロースの合計糖濃度の経時変化を示す。図中、横軸は発酵経過時間(h:時間)を示し、縦軸は発酵液中の乳酸濃度(g/L)またはグルコースとキシロースの合計の糖濃度(g/L)を示す。四角は発酵液中の乳酸濃度を表し、丸は発酵液中の糖(グルコースおよびキシロースの合計糖)濃度を表し、白記号は発酵開始15時間(15h)、黒記号は0時間(0h)の時点でpH制御を行った結果を示す。
図10で明らかなように、発酵開始0時間でpH制御を行った場合(対照)、糖の消費速度が小さく、発酵後期(発酵72時間以降)になっても高い濃度の糖が残存していたが、15時間後にpH制御を開始した場合、発酵初期に生じた糖は、pH制御開始以降に速やかに消費され、発酵72時間以降には極めて低い残存糖濃度となった。また、糖が多く消費された分、乳酸の生成量が上積みされていた。
本発明によれば、乳酸発酵の過程において培養液(発酵液)のpHを制御するという簡便なプロセスで、乳酸を効率的に生産することができる。さらに、培養液(発酵液)中に残存する糖を減らすことができるので、乳酸精製工程が容易になり、また、乳酸エステルを得る場合においても、乳酸エステル収率が改善される。本発明により達成され得る乳酸の生産向上および残糖の低下により、乳酸を原料とするポリ乳酸およびポリエステルポリオール、ならびに農薬または医薬の製造効率の向上およびコストの削減につながる。

Claims (8)

  1. 乳酸の光学純度を高める方法であって、
    (i)糖を含む培地と、乳酸生産微生物とを含み、かつ該乳酸生産微生物の生育に適したpHである初発pHを有する培養液を調製し、該乳酸生産微生物を培養する工程、
    (ii)該初発pHより低いpH下で該乳酸生産微生物を培養する工程、および
    (iii)該乳酸生産微生物の生育に適したpHにて該乳酸生産微生物を培養する工程であって、ここで該工程(iii)のpHが、該初発pHと同じまたは異なるpHである、工程
    を含み、
    ここで該工程(i)〜(iii)において、該工程(ii)が、該工程(i)の前または後で行われ、
    該乳酸生産微生物が、乳酸合成酵素遺伝子のうち、L−またはD−乳酸合成酵素遺伝子のいずれかのみを有するラクトバチルス・プランタルムである、
    方法。
  2. 前記工程(i)、前記工程(ii)および前記工程(iii)をこの順に含み、
    該工程(i)および該工程(ii)を通して、中和することなく前記乳酸生産微生物を培養し、そして該工程(iii)において、該乳酸生産微生物の生育に適したpHに調整しながら該乳酸生産微生物を培養する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(i)において、pHを前記初発pHに調整しながら前記乳酸生産微生物を培養し、前記工程(ii)において、中和することなく該乳酸生産微生物を培養し、そして前記工程(iii)において、該乳酸生産微生物の生育に適したpHにpHを調整しながら該乳酸生産微生物を培養する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記乳酸生産微生物が、乳酸合成酵素遺伝子のうちD−乳酸合成酵素遺伝子のみを有するラクトバチルス・プランタルムである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記乳酸生産微生物が、ラクトバチルス・プランタルムldhL1::amyA株である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記乳酸生産微生物の生育に適したpHが、弱酸性から中性付近であり、そして前記初発pHより低いpHが、より酸性である、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  7. 前記培地が、糖化酵素をさらに含む、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  8. 前記工程(i)、工程(ii)および工程(iii)の1バッチの発酵終了後の発酵残渣が、次バッチに用いられる、請求項1からのいずれかに記載の方法。
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