以下、図面を参照して、実施形態に係る医用情報処理装置を説明する。なお、実施形態に係る医用情報処理装置は、例えば、医用画像診断装置によって撮影された医用画像データを取得して、取得した医用画像データに対して各種の画像処理を実行する装置である。一例としては、実施形態に係る医用情報処理装置は、医用画像データを用いて、立体物造形装置(例えば、3Dプリンタ)が立体物を造形するためのデータである造形用データを生成する。そして、実施形態に係る医用情報処理装置は、生成した造形用データを立体物造形装置に出力し、医用画像データに基づく立体物を立体物造形装置に造形させる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、医用情報処理装置100は、入力回路101と、ディスプレイ102と、記憶回路110と、処理回路120とを備える。入力回路101、ディスプレイ102、記憶回路110、処理回路120は、相互に通信可能に接続される。
入力回路101は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、操作者からの各種設定要求を受け付ける。入力回路101は、受け付けた各種設定要求を処理回路120へ出力する。
ディスプレイ102は、医用画像診断装置により撮像された医用画像データを表示したり、利用者が入力回路101を用いて各種設定要求を入力するためのGUIを表示したりする。
記憶回路110は、医用画像データやGUIを表示するための各種のプログラムや、当該プログラムによって用いられる情報を記憶する。例えば、記憶回路110は、X線CT装置を用いて撮影されたボリュームデータを記憶する。なお、記憶回路110によって記憶されるボリュームデータは、X線CT(Computed Tomography)装置を用いて撮影されたものに限らず、他の医用画像診断装置によって撮影されたものであってもよい。
処理回路120は、医用情報処理装置100の処理全体を制御する。例えば、図1に示すように、処理回路120は、表示制御機能121と、受付機能122と、生成機能123とを実行する。ここで、例えば、図1に示す処理回路120の構成要素である表示制御機能121、受付機能122、及び生成機能123が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路110に記録されている。処理回路120は、各プログラムを記憶回路110から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。例えば、表示制御機能121は、処理回路120が表示制御機能121に対応するプログラムを記憶回路110から読み出し実行することで、実現される機能である。受付機能122は、処理回路120が受付機能122に対応するプログラムを記憶回路110から読み出し実行することで、実現される機能である。生成機能123は、処理回路120が生成機能123に対応するプログラムを記憶回路110から読み出し実行することで、実現される機能である。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路120は、図2の処理回路120内に示された各機能を有することとなる。なお、処理回路120が実行する各処理機能については、後に詳述する。
なお、図1においては単一の処理回路120にて表示制御機能121、受付機能122、及び生成機能123にて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路110にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
ところで、3Dプリンタにて立体物を造形する場合、立体物を造形するための3次元のデータである造形用データ(ポリゴンのデータ)が用いられる。この造形用データにおいては、例えば、3次元空間のうち、造形する部分と、造形しない部分(つまり、空間のまま)とが規定されている。このため、3Dプリンタは、造形データが入力されると、例えば、造形する部分に対して樹脂を積層させることにより、立体物を造形する。
しかしながら、X線CT装置を用いて撮影されたボリュームデータを用いて上記の造形用データを生成するには、煩雑な手続きを要していた。例えば、操作者は、ボリュームデータの各ボクセルについて、造形するか(1)、造形しないか(0)を個別に設定することを要していた。また、造形対象となる臓器の輪郭(境界面)等をポリゴンに変換するには、操作者は、どの位置を造形し、どの位置を造形しないか、また、表面のみを造形するか等、様々な条件を詳細に設定することを要していた。
また、例えば、3Dプリンタが立体物を造形可能な範囲である造形可能範囲が設定される場合には、この造形対象となる部位と造形可能範囲との位置関係や縮尺を調整することが求められる。
そこで、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100は、被検体の部位を立体物として造形するための操作を容易にするために、以下に説明する構成を備える。
すなわち、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100において、処理回路120は、受付機能122、及び生成機能123を実行する。受付機能122は、立体物造形装置が立体物を造形可能な範囲である造形可能範囲に対して、立体物として造形される被検体の部位の領域を調整する操作を受け付ける。生成機能123は、3次元の医用画像データであるボリュームデータのうち、受付機能122が受け付けた操作により調整された部位の領域に対応するボリュームデータを用いて、立体造形装置が立体物を造形するためのデータである造形用データを生成する。以下、これらの各機能について、詳細に説明する。
表示制御機能121は、ボリュームデータに基づく画像、及び、仮想患者画像の少なくとも一方を表示画像としてディスプレイ102に表示させる。例えば、表示制御機能121は、表示画像を立体画像として3次元ディスプレイであるディスプレイ102に表示させる。なお、表示制御機能121は、表示制御部の一例である。
図2は、第1の実施形態に係る表示制御機能121の処理を説明するための図である。図2には、表示制御機能121により表示される表示画面の一例を示す。
図2に示すように、表示制御機能121は、表示領域40,41,42を含む表示画面をディスプレイ102に表示させる。ここで、表示領域40は、仮想患者画像上の各臓器に対応するボタンが表示される領域である。例えば、表示領域40には、頭、胸部、腹部、肺、心臓、肝臓、胃、骨盤・・・等の文字がそれぞれ表示されたボタンが含まれる。また、表示領域41は、仮想患者画像が表示される領域である。また、表示領域42は、操作者により選択された部位(臓器)の立体画像が表示される領域である。つまり、表示制御機能121は、操作者により選択された部位(臓器)の立体画像をボリュームデータから生成し、生成した立体画像を表示領域42に表示させる。なお、図2の例では、造形対象となる部位(造形対象部位)が未選択であるため、表示領域42には何も表示されない。
受付機能122は、複数の部位のうち、少なくとも一つの部位を選択する操作を受け付ける。例えば、受付機能122は、ディスプレイ102に表示された表示画像上で、部位を選択する操作を受け付ける。なお、受付機能122は、受付部の一例である。
図3は、第1の実施形態に係る受付機能122の処理を説明するための図である。図3には、造形対象部位として肝臓が選択された場合にディスプレイ102に表示される表示画面の一例を示す。
図3に示すように、受付機能122は、表示領域41の仮想患者画像上で、造形対象部位の指定を受け付ける。一例として、操作者により仮想患者画像上の肝臓の領域が指定されると、受付機能122は、肝臓の領域に含まれるボクセルを造形対象として受け付ける。具体的には、受付機能122は、被検体のボリュームデータのうち、肝臓の領域に含まれる複数のボクセルに対して、造形対象部位であることを示す「1」を割り当てる。なお、ここで「1」が割り当てられないボクセルは造形対象部位ではない。言い換えると、ボリュームデータに含まれる肝臓以外のボクセルには、造形対象部位でないことを示す「0」が割り当てられることと同義である。
造形対象部位が選択されると、受付機能122は、造形対象部位の領域及びボタンとを強調表示する。図3に示す例では、受付機能122は、表示領域41の肝臓の領域を強調表示(網掛け)するとともに、表示領域40の肝臓のボタンも強調表示(網掛け)する。そして、受付機能122は、被検体のボリュームデータから肝臓50の立体画像を生成し、生成した立体画像を表示領域42に表示させる。なお、図3に示す例では、肝臓50が、下大動脈51、肝静脈52、及び門脈53と繋がっていることを表すために、下大動脈51、肝静脈52、及び門脈53も表示しているが、実際にはこれらの部位は表示されず、造形対象部位である肝臓50のみが表示される。
なお、図3は一例に過ぎない。例えば、図3では、仮想患者画像上で造形対象部位を選択する操作を受け付ける場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、受付機能122は、表示領域40に表示される各臓器のボタンの指定を受け付けることで、指定されたボタンに対応する臓器を造形対象部位として受け付けてもよい。また、受付機能122は、被検体のボリュームデータに基づく画像(コロナル断面画像等)上で、造形対象部位を選択する操作を受け付けてもよい。また、受付機能122は、被検体のボリュームデータに基づく立体画像上で、造形対象部位を選択する操作を受け付けてもよい。
また、例えば、図3では、造形対象となる部位の選択を受け付ける場合を説明したが、造形対象とならない部位の選択を受け付けてもよい。この場合、肝臓が選択されると、受付機能122は、被検体のボリュームデータに含まれる部位のうち、肝臓以外の部位を造形対象部位として受け付ける。
また、受付機能122は、立体物造形装置が立体物を造形可能な範囲である造形可能範囲に対して、立体物として造形される被検体の部位の領域を調整する操作を受け付ける。例えば、受付機能122は、ディスプレイ102に表示された表示画像と、造形可能範囲との位置関係を調整する操作を受け付ける。また、例えば、受付機能122は、ディスプレイ102に表示された表示画像上で、ボリュームデータのサイズを拡大又は縮小する操作を受け付ける。この場合、例えば、表示制御部121は、ディスプレイ102に表示する表示画像上に、立体物造形装置が立体物として造形可能な範囲である造形可能範囲を重畳表示する。
図4は、第1の実施形態に係る受付機能122による位置関係の調整について説明するための図である。図4には、造形対象部位である肝臓50の立体画像と、造形可能範囲60とが示される。
図4の左図に示すように、表示制御部121は、ディスプレイ102に表示する表示画像上に、造形可能範囲60を重畳表示する。ここで、図示のように、肝臓50の立体画像が、造形可能範囲60に含まれていない場合がある。この場合、受付機能122は、肝臓50の立体画像と造形可能範囲60との位置関係を調整する操作を受け付ける。ここで、肝臓50の立体画像を図中の左方向へ移動させる操作、若しくは60を図中の右方向へ移動させる操作を受け付けると、受付機能122は、図4の右図に示すように、両者の位置関係を調整する。
表示制御機能121は、ディスプレイ102に表示する表示画像上に、3Dプリンタが立体物として造形可能な範囲である造形可能範囲を重畳表示する。例えば、表示制御機能121は、造形可能範囲に関する情報を3Dプリンタから取得する。ここで、造形可能範囲に関する情報は、例えば、当該範囲の大きさや形状を示す情報である。表示制御機能121は、取得した造形可能範囲に関する情報を用いて、ディスプレイ102に表示する表示画像を生成する。なお、造形可能範囲に関する情報は、3Dプリンタから取得するのみに限らず、例えば、操作者によって予め登録されてもよい。
図5A及び図5Bは、第1の実施形態に係る受付機能122による拡大及び縮小について説明するための図である。図5A及び図5Bには、造形対象部位である肝臓50の立体画像と、造形可能範囲60とが示される。
図5Aの左図に示すように、肝臓50の立体画像が、造形可能範囲60の大きさに対して小さい場合がある。ここで、造形可能範囲60に対する肝臓50の立体画像の大きさを拡大する操作を受け付けると、受付機能122は、図5Aの右図に示すように、肝臓50のボリュームデータのサイズを拡大する。言い換えると、受付機能122は、肝臓50のボリュームデータのサイズに対する造形可能範囲60の大きさを縮小する。
図5Bの左図に示すように、肝臓50の立体画像が、造形可能範囲60の大きさに対して大きい場合がある。ここで、造形可能範囲60に対する肝臓50の立体画像の大きさを縮小する操作を受け付けると、受付機能122は、図5Bの右図に示すように、肝臓50のボリュームデータのサイズを縮小する。言い換えると、受付機能122は、肝臓50のボリュームデータのサイズに対する造形可能範囲60の大きさを拡大する。
このように、受付機能122は、仮想患者画像上で造形対象部位を選択する操作を受け付ける。これにより、操作者は、被検体のボリュームデータのうち、肝臓の領域に含まれるボクセルを造形対象として容易に指定することができる。
生成機能123は、操作により選択された部位の位置に対応するボリュームデータを用いて、造形用データを生成する。ここで、造形用データとは、3Dプリンタが選択された部位を立体物として造形するためのデータであり、例えば、STL(Standard Triangulated Language)形式のデータである。例えば、生成機能123は、3次元の医用画像データであるボリュームデータのうち、操作により調整された部位の領域に対応するボリュームデータを用いて、造形用データを生成する。なお、生成機能123は、生成部の一例である。
例えば、生成機能123は、造形対象部位であることを示す「1」、若しくは造形対象部位でないことを示す「0」が各ボクセルに割り当てられたボリュームデータを受付機能122から取得する。そして、生成機能123は、取得したボリュームデータをSTL形式に変換することで、造形用データを生成する。
また、例えば、生成機能123は、図4に示したように、位置関係を調整する操作が行われた場合には、この操作により調整された位置関係のボリュームデータを用いて、造形用データを生成する。また、例えば、生成機能123は、図5Aに示したように、拡大する操作が行われた場合には、この操作により拡大されたボリュームデータを用いて、造形用データを生成する。また、例えば、生成機能123は、図5Bに示したように、縮小する操作が行われた場合には、この操作により縮小されたボリュームデータを用いて、造形用データを生成する。
このように、生成機能123は、造形用データを生成する。なお、生成された造形用データは、3Dプリンタに出力され、立体物の造形に用いられたり、所定の記憶部に格納されたりする。
図6は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100による処理手順を示すフローチャートである。図6に示す処理手順は、例えば、3Dプリンタによる造形を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。
ステップS101において、処理回路120は、3Dプリンタによる造形を開始するか否かを判定する。例えば、処理回路120は、3Dプリンタによる造形を開始する旨の指示を操作者から受け付けると、造形用データの生成を開始する。なお、ステップS101が否定される場合には、処理回路120は、造形用データの生成を開始せず、待機状態である。
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、処理回路120は、被検体Pのボリュームデータを記憶回路110から取得する。
ステップS103において、表示制御機能121は、仮想患者画像をディスプレイ102に表示させる。例えば、表示制御機能121は、被検体のボリュームデータとのマッチングがされている仮想患者画像を、ディスプレイ102に表示させる。
ステップS104において、受付機能122は、仮想患者画像上で、造形対象部位(例えば、肝臓50)を選択する操作を受け付ける。そして、受付機能122は、選択された領域に含まれる複数のボクセルに対して、造形対象部位であることを示す「1」を割り当てる。
ステップS105において、表示制御機能121は、造形対象部位及び造形可能範囲60をディスプレイ102に表示させる。具体的には、表示制御機能121は、被検体のボリュームデータから造形対象部位の立体画像を生成し、生成した立体画像及び造形可能範囲60を、表示領域42に表示させる。
ステップS106において、受付機能122は、造形対象部位の領域を調整する操作を受け付ける。例えば、受付機能122は、造形可能範囲60に対する造形対象部位の位置関係を調整したり、造形対象部位のサイズを拡大又は縮小したりする操作を受け付ける。
ステップS107において、生成機能123は、調整後の造形対象部位の情報を用いて、造形用データを生成する。例えば、生成機能123は、造形対象部位であることを示す「1」、若しくは造形対象部位でないことを示す「0」が各ボクセルに割り当てられたボリュームデータを受付機能122から取得する。そして、生成機能123は、取得したボリュームデータをSTL形式に変換することで、造形用データを生成する。
ステップS108において、生成機能123は、造形用データを3Dプリンタに出力する。そして、ステップS109において、3Dプリンタは、造形対象部位の立体物を造形する。
なお、上記の説明は一例に過ぎず、例えば、上記の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、上記のステップS101〜S109の各処理は、処理内容が矛盾しない範囲で、適宜順序を変えて実行されてもよい。
上述してきたように、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100において、受付機能122は、立体物造形装置が立体物を造形可能な範囲である造形可能範囲に対して、立体物として造形される被検体の部位の領域を調整する操作を受け付ける。生成機能123は、3次元の医用画像データであるボリュームデータのうち、受付機能122が受け付けた操作により調整された部位の領域に対応するボリュームデータを用いて、立体造形装置が立体物を造形するためのデータである造形用データを生成する。このため、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100は、被検体の部位を立体物として造形するための操作を容易にすることができる。
(第2の実施形態)
上記の実施形態では、医用情報処理装置100について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、医用情報処理装置100は、X線CT(Computed Tomography)装置に備えられてもよい。
以下、添付図面を参照して、X線CT装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下、X線CT装置を含む医用情報処理システムを例に挙げて説明する。なお、図7に示す医用情報処理システム200においては、サーバ装置と端末装置とがそれぞれ1台のみ示されているが、実際にはさらに複数のサーバ装置と端末装置とを含むことができる。また、医用情報処理システム200は、例えば、X線診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置等の医用画像診断装置を含むこともできる。
図7は、第2の実施形態に係る医用情報処理システム200の構成の一例を示す図である。図7に示すように、第2の実施形態に係る医用情報処理システム200は、X線CT装置1と、サーバ装置2と、端末装置3と、3Dプリンタ4とを備える。X線CT装置1、サーバ装置2、端末装置3、及び3Dプリンタ4は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)5により、直接的、又は間接的に相互に通信可能に接続される。例えば、医用情報処理システム200にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
また、医用情報処理システム200においては、例えば、HIS(Hospital Information System)や、RIS(Radiology Information System)等が導入され、各種情報が管理される。例えば、端末装置3は、上記したシステムに沿って作成された検査オーダーをX線CT装置1やサーバ装置2に送信する。X線CT装置1は、端末装置3から直接受信した検査オーダー、或いは、検査オーダーを受信したサーバ装置2によって作成されたモダリティごとの患者リスト(モダリティワークリスト)から患者情報を取得して、患者ごとのX線CT画像データを収集する。そして、X線CT装置1は、収集したX線CT画像データや、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで生成した画像データをサーバ装置2に送信する。サーバ装置2は、X線CT装置1から受信したX線CT画像データ及び画像データを記憶するとともに、X線CT画像データから画像データの生成を行い、端末装置3からの取得要求に応じた画像データを端末装置3に送信する。端末装置3は、サーバ装置2から受信した画像データをモニタ等に表示する。以下、各装置について説明する。
X線CT装置1は、患者(被検体)のX線CT画像データを撮影する装置である。例えば、X線CT装置1は、患者ごとのX線CT画像データを収集して、収集したX線CT画像データや、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで生成した画像データをサーバ装置2に送信する。なお、X線CT装置1の構成については、後に詳述する。
サーバ装置2は、医用画像診断装置によって収集された医用画像(例えば、X線CT装置1によって収集されたX線CT画像データ及び画像データ)を記憶したり、医用画像に対して各種画像処理を行ったりする装置であり、例えば、PACSサーバ等である。例えば、サーバ装置2は、各診療科に配置された端末装置3から複数の検査オーダーを受信して、医用画像診断装置ごとに患者リストを作成して、作成した患者リストを各医用画像診断装置に送信する。一例を挙げると、サーバ装置2は、X線CT装置1による検査を実施するための検査オーダーを各診療科の端末装置3からそれぞれ受信して患者リストを作成し、作成した患者リストをX線CT装置1に送信する。そして、サーバ装置2は、X線CT装置1によって収集されたX線CT画像データ及び画像データを記憶し、端末装置3からの取得要求に応じて、X線CT画像データ及び画像データを端末装置3に送信する。
端末装置3は、病院内の各診療科に配置され、各診療科に勤務する医師によって操作される装置であり、PC(Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等である。例えば、端末装置3は、医師によって患者の症状や医師の所見等のカルテ情報が入力される。また、端末装置3は、X線CT装置1による検査をオーダーするための検査オーダーが入力され、入力された検査オーダーをX線CT装置1やサーバ装置2に送信する。すなわち、診療科の医師は、端末装置3を操作して、来院した患者の受付情報と電子カルテの情報とを読み出し、該当する患者の診察を行い、読み出した電子カルテにカルテ情報を入力する。そして、診療科の医師は、X線CT装置1による検査の要否に応じて、端末装置3を操作して検査オーダーを送信する。
3Dプリンタ4は、立体物の形状を表す3次元のデータを入力とし、入力された3次元のデータで表される形状の立体物を造形する。例えば、3Dプリンタ4は、立体物を造形するための3次元のデータである造形用データをX線CT装置1から受信して、受信した造形用データで表される立体物を造形する。
図8を用いて、X線CT装置1の構成について説明する。図8は、第2の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。図8に示すように、第2の実施形態に係るX線CT装置1は、架台10と、寝台装置20と、コンソール30とを有する。
架台10は、被検体P(患者)にX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール30に出力する装置であり、X線照射制御回路11と、X線発生装置12と、検出器13と、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)14と、回転フレーム15と、架台駆動回路16とを有する。
回転フレーム15は、X線発生装置12と検出器13とを被検体Pを挟んで対向するように支持し、後述する架台駆動回路16によって被検体Pを中心した円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
X線照射制御回路11は、高電圧発生部として、X線管12aに高電圧を供給する装置であり、X線管12aは、X線照射制御回路11から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御回路11は、後述するスキャン制御回路33の制御により、X線管12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
また、X線照射制御回路11は、ウェッジ12bの切り替えを行う。また、X線照射制御回路11は、コリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。なお、本実施形態は、複数種類のウェッジを、操作者が手動で切り替える場合であっても良い。
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置であり、X線管12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。
X線管12aは、図示しない高電圧発生部により供給される高電圧により被検体PにX線ビームを照射する真空管であり、回転フレーム15の回転にともなって、X線ビームを被検体Pに対して照射する。X線管12aは、ファン角及びコーン角を持って広がるX線ビームを発生する。例えば、X線照射制御回路11の制御により、X線管12aは、フル再構成用に被検体Pの全周囲でX線を連続曝射したり、ハーフ再構成用にハーフ再構成可能な曝射範囲(180度+ファン角)でX線を連続曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御回路11の制御により、X線管12aは、予め設定された位置(管球位置)でX線(パルスX線)を間欠曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御回路11は、X線管12aから曝射されるX線の強度を変調させることも可能である。例えば、X線照射制御回路11は、特定の管球位置では、X線管12aから曝射されるX線の強度を強くし、特定の管球位置以外の範囲では、X線管12aから曝射されるX線の強度を弱くする。
ウェッジ12bは、X線管12aから曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ12bは、X線管12aから被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管12aから曝射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ12bは、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。なお、ウェッジ12bは、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
コリメータ12cは、後述するX線照射制御回路11の制御により、ウェッジ12bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。
架台駆動回路16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置12と検出器13とを旋回させる。
検出器13は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(図8に示すZ軸方向)に沿って複数列配列されている。具体的には、第2の実施形態における検出器13は、被検体Pの体軸方向に沿って320列等多列に配列されたX線検出素子を有し、例えば、被検体Pの肺や心臓を含む範囲等、広範囲に被検体Pを透過したX線を検出することが可能である。
データ収集回路14は、DASであり、検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。例えば、データ収集回路14は、検出器13により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データを後述するコンソール30に送信する。例えば、回転フレーム15の回転中に、X線管12aからX線が連続曝射されている場合、データ収集回路14は、全周囲分(360度分)の投影データ群を収集する。また、データ収集回路14は、収集した各投影データに管球位置を対応付けて、後述するコンソール30に送信する。管球位置は、投影データの投影方向を示す情報となる。なお、チャンネル間の感度補正処理は、後述する前処理回路34が行なっても良い。
寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、図8に示すように、寝台駆動装置21と、天板22とを有する。寝台駆動装置21は、天板22をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム15内に移動させる。天板22は、被検体Pが載置される板である。
なお、架台10は、例えば、天板22を移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。または、架台10は、天板22を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。または、架台10は、天板22の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数のスキャンエリアで行うステップアンドシュート方式を実行する。
コンソール30は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台10によって収集された投影データを用いてX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール30は、図8に示すように、入力回路31と、ディスプレイ32と、スキャン制御回路33と、前処理回路34と、記憶回路35と、画像再構成回路36と、処理回路37とを有する。なお、図8に示すコンソール30は、図1に示した医用情報処理装置100と同様の機能を備える。すなわち、入力回路31は、入力回路101と同様の機能を備える。ディスプレイ32は、ディスプレイ102と同様の機能を備える。記憶回路35は、記憶回路110と同様の機能を備える。処理回路37は、処理回路120と同様の機能を備える。
入力回路31は、X線CT装置1の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路37に転送する。例えば、入力回路31は、操作者から、X線CT画像データの撮影条件や、X線CT画像データを再構成する際の再構成条件、X線CT画像データに対する画像処理条件等を受け付ける。また、入力回路31は、被検体Pに対する検査を選択するための操作を受け付ける。また、入力回路31は、画像上の部位を指定するための指定操作を受け付ける。
ディスプレイ32は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路37による制御のもと、X線CT画像データから生成された画像データを操作者に表示したり、入力回路31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。また、ディスプレイ32は、スキャン計画の計画画面や、スキャン中の画面等を表示する。また、ディスプレイ32は、被曝情報を含む仮想患者画像や画像データ等を表示する。なお、ディスプレイ32によって表示される仮想患者画像については、後に詳述する。
また、第2の実施形態に係るディスプレイ32は、立体視可能な立体画像を表示する3次元ディスプレイ(立体表示モニタ)である。例えば、ディスプレイ32は、ボリュームデータから生成される視差画像群を表示することで、立体視可能に画像を表示する。具体的には、ディスプレイ32は、レンチキュラーレンズ(lenticular lens)等の光線制御子を用いることで、観察者が裸眼にて立体視することができるように、画像を表示する。ディスプレイ32は、両眼視差による立体視を可能とし、また、観察者の視点移動に合わせて観察される画像も変化する運動視差による立体視も可能とする。なお、実施形態はこれに限られるものではなく、シャッター(shatter)方式の3次元ディスプレイや偏光方式の3次元ディスプレイ等でもよい。
スキャン制御回路33は、処理回路37による制御のもと、X線照射制御回路11、架台駆動回路16、データ収集回路14及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、架台10における投影データの収集処理を制御する。具体的には、スキャン制御回路33は、位置決め画像(スキャノ画像)を収集する位置決め撮影及び診断に用いる画像を収集する本撮影(本スキャン)における投影データの収集処理をそれぞれ制御する。ここで、第2の実施形態に係るX線CT装置1においては、2次元のスキャノ画像及び3次元のスキャノ画像を撮影することができる。
例えば、スキャン制御回路33は、X線管12aを0度の位置(被検体Pに対して正面方向の位置)に固定して、天板22を定速移動させながら連続的に撮影を行うことで2次元のスキャノ画像を撮影する。或いは、スキャン制御回路33は、X線管12aを0度の位置に固定して、天板22を断続的に移動させながら、天板移動に同期して断続的に撮影を繰り返すことで2次元のスキャノ画像を撮影する。ここで、スキャン制御回路33は、被検体Pに対して正面方向だけでなく、任意の方向(例えば、側面方向等)から位置決め画像を撮影することができる。
また、スキャン制御回路33は、スキャノ画像の撮影において、被検体Pに対する全周分の投影データを収集することで、3次元のスキャノ画像を撮影する。図9は、第2の実施形態に係るスキャン制御回路33による3次元のスキャノ画像撮影を説明するための図である。例えば、スキャン制御回路33は、図9に示すように、ヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンによって被検体Pに対する全周分の投影データを収集する。ここで、スキャン制御回路33は、被検体Pの胸部全体、腹部全体、上半身全体、全身等の広範囲に対して本撮影よりも低線量でヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンを実行する。ノンヘリカルスキャンとしては、例えば、上述のステップアンドシュート方式のスキャンが実行される。
このように、スキャン制御回路33が被検体Pに対する全周分の投影データを収集することで、後述する画像再構成回路36が、3次元のX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成することができ、図9に示すように、再構成したボリュームデータを用いて任意の方向から位置決め画像を生成することが可能になる。ここで、位置決め画像を2次元で撮影するか、或いは、3次元で撮影するかは、操作者によって任意に設定する場合でもよく、或いは、検査内容に応じて予め設定される場合でもよい。
図8に戻って、前処理回路34は、データ収集回路14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。具体的には、前処理回路34は、データ収集回路14によって生成された位置決め画像の投影データ及び本撮影によって収集された投影データのそれぞれについて、補正済みの投影データを生成して、記憶回路35に格納する。
記憶回路35は、前処理回路34により生成された投影データを記憶する。具体的には、記憶回路35は、前処理回路34によって生成された、位置決め画像の投影データ及び本撮影によって収集される診断用の投影データを記憶する。また、記憶回路35は、後述する画像再構成回路36によって生成された画像データや仮想患者画像を記憶する。また、記憶回路35は、後述する処理回路37による処理結果を適宜記憶する。なお、仮想患者画像及び処理回路37による処理結果については、後述する。
画像再構成回路36は、記憶回路35が記憶する投影データを用いてX線CT画像データを再構成する。具体的には、画像再構成回路36は、位置決め画像の投影データ及び診断に用いられる画像の投影データから、X線CT画像データをそれぞれ再構成する。ここで、再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、画像再構成回路36は、逐次近似法を用いて、X線CT画像データを再構成することもできる。なお、画像再構成回路36は、画像再構成部の一例である。
また、画像再構成回路36は、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで、画像データを生成する。そして、画像再構成回路36は、再構成したX線CT画像データや、各種画像処理により生成した画像データを記憶回路35に格納する。
処理回路37は、架台10、寝台装置20及びコンソール30の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。具体的には、処理回路37は、スキャン制御回路33を制御することで、架台10で行なわれるCTスキャンを制御する。また、処理回路37は、画像再構成回路36を制御することで、コンソール30における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、処理回路37は、記憶回路35が記憶する各種画像データを、ディスプレイ32に表示するように制御する。
また、処理回路37は、図8に示すように、検出機能37a、位置照合機能37b、表示制御機能37c、受付機能37d、及び生成機能37eを実行する。ここで、例えば、図8に示す処理回路37の構成要素である検出機能37a、位置照合機能37b、受付機能37c、及び推定機能37dが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路35に記録されている。処理回路37は、各プログラムを記憶回路35から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路37は、図8の処理回路37内に示された各機能を有することとなる。なお、検出機能37aは、検出部の一例である。
なお、以下に説明する造形用データの生成に用いられるボリュームデータは、X線CT装置1の本撮影(本スキャン)によって撮影された診断画像のボリュームデータであることが好ましいが、位置決め画像(スキャノ画像)のボリュームデータであっても以下に説明する同様の処理を適用することができる。
検出機能37aは、3次元画像データに含まれる被検体Pにおける複数の部位をそれぞれ検出する。具体的には、検出機能37aは、画像再構成回路36によって再構成された3次元のX線CT画像データ(ボリュームデータ)に含まれる臓器等の部位を検出する。例えば、検出機能37aは、位置決め画像のボリュームデータ及び診断に用いられる画像のボリュームデータのうち少なくとも一方について、解剖学的な特徴点(Anatomical Landmark)に基づいて臓器等の部位を検出する。ここで、解剖学的な特徴点とは、特定の骨や臓器、血管、神経、内腔等の部位の特徴を示す点である。すなわち、検出機能37aは、特定の臓器や骨等の解剖学的な特徴点を検出することによって、ボリュームデータに含まれる骨や臓器、血管、神経、内腔等を検出する。また、検出機能37aは、人体の特徴的な特徴点を検出することで、ボリュームデータに含まれる頭部、首、胸部、腹部、足等の位置を検出することもできる。なお、本実施形態で説明する部位は、骨や臓器、血管、神経、内腔等にこれらの位置も含めたものを意味する。以下、検出機能37aによる部位の検出の一例について説明する。
例えば、検出機能37aは、位置決め画像のボリュームデータ、或いは、診断に用いられる画像のボリュームデータにおいて、ボリュームデータに含まれるボクセルの値から解剖学的な特徴点を抽出する。そして、検出機能37aは、教科書などの情報における解剖学的な特徴点の3次元的な位置と、ボリュームデータから抽出した特徴点の位置とを比較することによって、ボリュームデータから抽出した特徴点の中から不正確な特徴点を除去して、ボリュームデータから抽出した特徴点の位置を最適化する。これにより、検出機能37aは、ボリュームデータに含まれる被検体Pの各部位を検出する。一例を挙げると、検出機能37aは、まず、教師あり機械学習アルゴリズムを用いて、ボリュームデータに含まれる解剖学的な特徴点を抽出する。ここで、上記した教師あり機械学習アルゴリズムは、正しい解剖学的な特徴点が手動で配置された複数の教師画像を用いて構築されたものであり、例えば、ディシジョンフォレスト(decision forest)等が利用される。
そして、検出機能37aは、身体における解剖学的な特徴点の3次元的な位置関係を示すモデルと、抽出した特徴点とを比較することで、抽出した特徴点を最適化する。ここで、上記したモデルは、上述した教師画像を用いて構築されたものであり、例えば、点分布モデル等が利用される。すなわち、検出機能37aは、正しい解剖学的な特徴点が手動で配置された複数の教師画像に基づいて部位の形状や位置関係、部位に固有な点等が定義されたモデルと、抽出した特徴点とを比較することで、不正確な特徴点を除去して、特徴点を最適化する。
以下、図10A,10B,11,12を用いて、検出機能37aによる部位の検出処理の一例を説明する。図10A,10B,11,12は、第2の実施形態に係る検出機能37aによる部位の検出処理の一例を説明するための図である。なお、図10A,10Bにおいては、2次元上に特徴点を配置しているが、実際には、特徴点は3次元的に配置される。例えば、検出機能37aは、ボリュームデータに対して教師あり機械学習アルゴリズムを適用することで、図10Aに示すように、解剖学的な特徴点とみなすボクセルを抽出する(図中の黒点)。そして、検出機能37aは、抽出したボクセルの位置を、部位の形状や位置関係、部位に固有な点等が定義されたモデルにフィッティングさせることで、図10Bに示すように、抽出したボクセルのうち不正確な特徴点を除去して、より正確な特徴点に対応するボクセルのみを抽出する。
ここで、検出機能37aは、抽出した特徴点(ボクセル)に対して、各部位の特徴を示す特徴点を識別するための識別コードを付与し、識別コードと各特徴点の位置(座標)情報とを対応づけた情報を画像データに付帯させて記憶回路35に格納する。例えば、検出機能37aは、図10Bに示すように、抽出した特徴点(ボクセル)に対して、C1、C2、C3等の識別コードを付与する。ここで、検出機能37aは、検出処理を行ったデータごとにそれぞれ識別コードを付帯させて、記憶回路35に格納する。具体的には、検出機能37aは、位置決め画像の投影データ、非造影下で収集された投影データ、及び、造影剤によって造影された状態で収集された投影データのうち、少なくとも1つの投影データから再構成されたボリュームデータに含まれる被検体Pの部位を検出する。
例えば、検出機能37aは、図11に示すように、位置決め画像のボリュームデータ(図中、位置決め)から検出した各ボクセルの座標に識別コードを対応付けた情報をボリュームデータに付帯させて記憶回路35に格納する。一例を挙げると、検出機能37aは、位置決め画像のボリュームデータから標識点の座標を抽出して、図11に示すように、「識別コード:C1、座標(x1, y1, z1)」、「識別コード:C2、座標(x2, y2, z2)」等をボリュームデータに対応付けて格納する。これにより、検出機能37aは、位置決め画像のボリュームデータにおけるどの位置にどのような特徴点があるかを識別することができ、これらの情報に基づいて臓器等の各部位を検出することができる。
また、検出機能37aは、例えば、図11に示すように、診断用の画像のボリュームデータ(図中、スキャン)から検出した各ボクセルの座標に識別コードを対応付けた情報をボリュームデータに付帯させて記憶回路35に格納する。ここで、検出機能61は、スキャンにおいて、造影剤によって造影されたボリュームデータ(図中、造影Phase)と、造影剤によって造影されていないボリュームデータ(図中、非造影Phase)とから、それぞれ標識点の座標を抽出して、抽出した座標に識別コードを対応付けることができる。
一例を挙げると、検出機能37aは、診断用の画像のボリュームデータのうち、非造影Phaseのボリュームデータから標識点の座標を抽出して、図11に示すように、「識別コード:C1、座標(x’1, y’1, z’1)」、「識別コード:C2、座標(x’2, y’2, z’2)」などをボリュームデータに対応付けて格納する。また、検出機能37aは、診断用の画像のボリュームデータのうち、造影Phaseのボリュームデータから標識点の座標を抽出して、図11に示すように、「識別コード:C1、座標(x’1, y’1, z’1)」、「識別コード:C2、座標(x’2, y’2, z’2)」などをボリュームデータに対応付けて格納する。ここで、造影Phaseのボリュームデータから標識点を抽出する場合、造影されることで抽出可能となる標識点が含まれる。例えば、検出機能61は、造影Phaseのボリュームデータから標識点を抽出する場合、造影剤によって造影された血管などを抽出することができる。従って、造影Phaseのボリュームデータの場合、検出機能61は、図6に示すように、造影することで抽出された血管などの標識点の座標(x’31, y’31, z’31)〜座標(x’34, y’34, z’34)などに、それぞれの血管を識別するための識別コードC31、C32、C33及びC34などを対応付ける。
上述したように、検出機能61は、位置決め用画像、或いは、診断用の画像のボリュームデータにおけるどの位置にどのような標識点があるかを識別することができ、これらの情報に基づいて臓器などの各部位を検出することができる。例えば、検出機能37aは、検出の対象となる対象部位と、対象部位の周辺の部位との解剖学的な位置関係の情報を用いて、対象部位の位置を検出する。一例を挙げると、検出機能37aは、対象部位を「肺」とした場合、肺の特徴を示す識別コードに対応付けられた座標情報を取得するとともに、「肋骨」や「鎖骨」、「心臓」、「横隔膜」等、「肺」の周囲の部位を示す識別コードに対応付けられた座標情報を取得する。そして、検出機能37aは、「肺」と周囲の部位との解剖学的な位置関係の情報と、取得した座標情報とを用いて、ボリュームデータにおける「肺」の領域を抽出する。
例えば、検出機能37aは、「肺尖:鎖骨の2〜3cm上方」や、「肺の下端:第7肋骨の高さ」等の位置関係の情報と、各部位の座標情報とから、図12に示すように、ボリュームデータにおいて「肺」に相当する領域R1を抽出する。すなわち、検出機能37aは、ボリュームデータにおける領域R1のボクセルの座標情報を抽出する。検出機能37aは、抽出した座標情報を部位情報と対応付けてボリュームデータに付帯させて記憶回路35に格納する。同様に、検出機能37aは、図12に示すように、ボリュームデータにおいて「心臓」に相当する領域R2等を抽出することができる。
また、検出機能37aは、人体における頭部や胸部等の位置を定義する特徴点に基づいて、ボリュームデータに含まれる位置を検出する。ここで、人体における頭部や胸部等の位置は任意に定義することができる。例えば、第7頸椎から肺の下端までを胸部と定義すると、検出機能37aは、第7頸椎に対応する特徴点から肺の下端に対応する特徴点までを胸部として検出する。なお、検出機能37aは、上述した解剖学的な特徴点を用いた方法以外にも種々の方法により部位を検出することができる。例えば、検出機能37aは、ボクセル値に基づく領域拡張法等によりボリュームデータに含まれる部位を検出することができる。
位置照合機能37bは、3次元画像データに含まれる被検体Pにおける複数の部位それぞれの位置と、仮想患者データに含まれる人体における複数の部位それぞれの位置とを照合する。ここで、仮想患者データとは、人体における複数の部位それぞれの標準的な位置を表す情報である。すなわち、位置照合機能37bは、被検体Pの部位と標準的な部位の位置とを照合して、照合結果を記憶回路35に格納する。例えば、位置照合機能37bは、人体の部位が標準的な位置に配置された仮想患者画像と、被検体Pのボリュームデータとをマッチングする。
ここで、まず、仮想患者画像について説明する。仮想患者画像は、年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長等の体格等に関わるパラメータに関する複数の組み合わせに応じた標準的な体格等を有する人体について実際にX線で撮影した画像として予め生成されて、記憶回路35に格納される。すなわち、記憶回路35は、上述したパラメータの組み合わせに応じた複数の仮想患者画像のデータを記憶する。ここで、記憶回路35によって記憶される仮想患者画像には、解剖学的な特徴点(特徴点)が対応づけて記憶される。例えば、人体には、パターン認識等の画像処理により比較的容易にその形態的特徴等に基づいて画像から抽出できる多数の解剖学的な特徴点がある。これら多数の解剖学的な特徴点の身体におけるその位置や配置は年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長等の体格等に従っておおよそ決まっている。
記憶回路35によって記憶される仮想患者画像は、これら多数の解剖学的な特徴点が予め検出され、検出された特徴点の位置データがそれぞれの特徴点の識別コードとともに仮想患者画像のデータに付帯又は関連付けされて記憶される。図13は、第2の実施形態に係る記憶回路35によって記憶される仮想患者画像の一例を示す図である。例えば、記憶回路35は、図13に示すように、臓器等の部位を含む3次元の人体に、解剖学的な特徴点と特徴点を識別するための識別コード「V1」、「V2」及び「V3」等とが関連付けられた仮想患者画像を記憶する。
すなわち、記憶回路35は、3次元の人体画像の座標空間における特徴点の座標と対応する識別コードとを関連付けて記憶する。一例を挙げると、記憶回路35は、図13に示す識別コード「V1」に対応づけて、対応する特徴点の座標を記憶する。同様に、記憶回路35は、識別コードと特徴点の座標とを対応づけて記憶する。なお、図13においては、臓器として肺、心臓、肝臓、胃、腎臓等のみが示されているが、実際には、仮想患者画像は、さらに多数の臓器、骨、血管、神経等が含まれる。また、図13においては、識別コード「V1」、「V2」及び「V3」に対応する特徴点についてのみ示されているが、実際にはさらに多数の特徴点が含まれる。
位置照合機能37bは、検出機能37aによって検出された被検体Pのボリュームデータ中の特徴点と、上述した仮想患者画像中の特徴点とを識別コードを用いてマッチングして、ボリュームデータの座標空間と仮想患者画像の座標空間とを関連付ける。図14は、第2の実施形態に係る位置照合機能37bによる照合処理の一例を説明するための図である。ここで、図14においては、スキャノ画像から検出した特徴点と仮想患者画像から検出された特徴点との間で同一の特徴点を示す識別コードが割り当てられた3組の特徴点を用いてマッチングを行う場合について示すが、実施形態はこれに限定されるものではなく、任意の組の特徴点を用いてマッチングを行うことができる。
例えば、位置照合機能37bは、図14に示すように、仮想患者画像において識別コード「V1」、「V2」及び「V3」で示される特徴点と、スキャノ画像において識別コード「C1」、「C2」及び「C3」で示される特徴点とをマッチングする場合、同一の特徴点間の位置ずれが最小となるように座標変換することにより、画像間の座標空間を関連付ける。例えば、位置照合機能37bは、図14に示すように、解剖学的に同じ特徴点「V1(x1,y1,z1)、C1(X1,Y1,Z1)」、「V2(x2,y2,z2)、C2(X2,Y2,Z2)」、「V3(x3,y3,z3)、C3(X3,Y3,Z3)」の間の位置ズレの合計「LS」を最小化するように、以下の座標変換行列「H」を求める。
LS = ((X1,Y1,Z1)-H(x1,y1,z1))
+((X2,Y2,Z2)-H(x2,y2,z2))
+((X3,Y3,Z3)-H(x3,y3,z3))
位置照合機能37bは、求めた座標変換行列「H」により、仮想患者画像上に指定されたスキャン範囲を位置決め画像上のスキャン範囲に変換することができる。例えば、位置照合機能37bは、座標変換行列「H」を用いることで、図14に示すように、仮想患者画像上に指定されたスキャン範囲「SRV」を位置決め画像上のスキャン範囲「SRC」に変換することができる。図15は、第2の実施形態に係る座標変換によるスキャン範囲の変換例を示す図である。例えば、図15の仮想患者画像上に示すように、操作者が仮想患者画像上でスキャン範囲「SRV」を設定すると、位置照合機能37bは、上述した座標変換行列を用いて、設定されたスキャン範囲「SRV」をスキャノ画像上のスキャン範囲「SRC」に変換する。
これにより、例えば、仮想患者画像上で識別コード「Vn」に対応する特徴点を含むように設定されたスキャン範囲「SRV」は、スキャノ画像上で同一の特徴点に対応する識別コード「Cn」が含まれるスキャン範囲「SRC」に変換されて設定される。なお、上述した座標変換行列「H」は、被検体ごとに記憶回路35に記憶されて、適宜読み出されて使用される場合であってもよく、或いは、スキャノ画像が収集されるごとに算出される場合であってもよい。このように第2の実施形態によれば、プリセット時の範囲指定のために仮想患者画像を表示し、その上で位置・範囲を計画しておくことで、位置決め画像(スキャノ画像)の撮影後に、計画された位置・範囲に対応する位置決め画像上の位置・範囲を自動で数値設定することが可能である。
図8の説明に戻り、処理回路37は、表示制御機能37cと、受付機能37dと、生成機能37eとを実行し、被検体Pの部位を立体物として造形するための操作を容易にするための制御を行う。なお、かかる制御については、後に詳述する。
なお、図8においては単一の処理回路37にて検出機能37a、位置照合機能37b、表示制御機能37c、受付機能37d、及び生成機能37eにて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路35にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図8における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
ところで、3Dプリンタ4にて立体物を造形する場合、立体物を造形するための3次元のデータである造形用データ(ポリゴンのデータ)が用いられる。この造形用データにおいては、例えば、3次元空間のうち、造形する部分と、造形しない部分(つまり、空間のまま)とが規定されている。このため、3Dプリンタ4は、造形データが入力されると、例えば、造形する部分に対して樹脂を積層させることにより、立体物を造形する。
しかしながら、X線CT装置1を用いて撮影されたボリュームデータを用いて上記の造形用データを生成するには、煩雑な手続きを要していた。例えば、操作者は、ボリュームデータの各ボクセルについて、造形するか(1)、造形しないか(0)を個別に設定することを要していた。また、造形対象となる臓器の輪郭(境界面)等をポリゴンに変換するには、操作者は、どの位置を造形し、どの位置を造形しないか、また、表面のみを造形するか等、様々な条件を詳細に設定することを要していた。
そこで、第2の実施形態に係るX線CT装置1は、被検体Pの部位を立体物として造形するための操作を容易にするために、以下に説明する構成を備える。
第2の実施形態に係る処理回路37は、上述したように、表示制御機能37c、受付機能37d、及び生成機能37eを実行する。このうち、表示制御機能37cは、処理回路37が表示制御機能37cに対応するプログラムを記憶回路35から読み出し実行することで、実現される機能である。受付機能37dは、処理回路37が受付機能37dに対応するプログラムを記憶回路35から読み出し実行することで、実現される機能である。生成機能37eは、処理回路37が生成機能37eに対応するプログラムを記憶回路35から読み出し実行することで、実現される機能である。以下、これらの各機能について、詳細に説明する。
表示制御機能37cは、ボリュームデータに基づく画像、及び、仮想患者画像の少なくとも一方を表示画像としてディスプレイ32に表示させる。例えば、表示制御機能37cは、表示画像を立体画像として3次元ディスプレイであるディスプレイ32に表示させる。なお、表示制御機能37cは、表示制御部の一例である。また、表示制御機能37cは、第1の実施形態で説明した表示制御機能121と同様の機能を有するので、説明を省略する。
受付機能37dは、複数の部位のうち、少なくとも一つの部位を選択する操作を受け付ける。例えば、受付機能37dは、ディスプレイ32に表示された表示画像上で、部位を選択する操作を受け付ける。なお、受付機能37dは、受付部の一例である。また、受付機能37dは、第1の実施形態で説明した受付機能122と同様の機能を有するので、説明を省略する。
また、受付機能37dは、表示領域42に表示された立体画像上で、部位を加工する操作を受け付ける。例えば、受付機能37dは、造形対象部位の一部を削除(カット)したり、造形対象部位を追加したりする操作を受け付ける。
図16は、第2の実施形態に係る受付機能37dの処理を説明するための図である。図16には、造形対象部位の加工の一例として、肝臓の一部が削除される場合に表示領域42に表示される立体画像の一例を示す。
図16に示すように、受付機能37dは、肝臓の一部(破線部)を削除する操作を受け付ける。これにより、表示領域42に表示される肝臓50の立体画像は、破線部の領域が削除される。すなわち、この破線部内に含まれるボクセルに割り当てられていた「1」(造形対象部位)の情報は、「0」に変更される。
このように、受付機能37dは、仮想患者画像上で造形対象部位を選択する操作を受け付ける。これにより、操作者は、被検体Pのボリュームデータのうち、肝臓の領域に含まれるボクセルを造形対象として容易に指定することができる。また、受付機能37dは、被検体Pの実画像である立体画像上で、造形対象部位を加工する操作を受け付ける。これにより、操作者は、3Dプリンタ4によって実際に造形される造形対象部位の形状を閲覧しながら、加工することができる。
なお、図16は一例に過ぎない。例えば、受付機能37dは、被検体Pのボリュームデータに基づく画像(コロナル断面画像等)上で、造形対象部位を選択する操作を受け付けてもよい。また、受付機能37dは、被検体Pのボリュームデータに基づく立体画像上で、造形対象部位を選択する操作を受け付けてもよい。
生成機能37eは、操作により選択された部位の位置に対応するボリュームデータを用いて、造形用データを生成する。ここで、造形用データとは、3Dプリンタ4が選択された部位を立体物として造形するためのデータであり、例えば、STL(Standard Triangulated Language)形式のデータである。
例えば、生成機能37eは、造形対象部位であることを示す「1」、若しくは造形対象部位でないことを示す「0」が各ボクセルに割り当てられたボリュームデータを受付機能37dから取得する。そして、生成機能37eは、取得したボリュームデータをSTL形式に変換することで、造形用データを生成する。
このように、生成機能37eは、造形用データを生成する。なお、生成された造形用データは、3Dプリンタ4に出力され、立体物の造形に用いられたり、所定の記憶部に格納されたりする。
図17は、第2の実施形態に係るX線CT装置1による処理手順を示すフローチャートである。図17に示す処理手順は、例えば、3Dプリンタ4による造形を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。
ステップS201において、処理回路37は、3Dプリンタ4による造形を開始するか否かを判定する。例えば、処理回路37は、3Dプリンタ4による造形を開始する旨の指示を操作者から受け付けると、造形用データの生成を開始する。なお、ステップS201が否定される場合には、処理回路37は、造形用データの生成を開始せず、待機状態である。
ステップS201が肯定されると、ステップS202において、検出機能37aは、被検体Pのボリュームデータを記憶回路35から取得する。
ステップS203において、検出機能37aは、ボリュームデータから部位を検出する。例えば、検出機能37aは、被検体Pのボリュームデータから、複数の部位それぞれの位置を検出する。
ステップS204において、表示制御機能37cは、仮想患者画像を位置照合機能37bに表示させる。例えば、表示制御機能37cは、被検体Pのボリュームデータとのマッチングがされている仮想患者画像を、ディスプレイ32に表示させる。
ステップS205において、受付機能37dは、仮想患者画像上で、造形対象部位を選択する操作を受け付ける。そして、受付機能37dは、選択された領域に含まれる複数のボクセルに対して、造形対象部位であることを示す「1」を割り当てる。
ステップS206において、受付機能37dは、被検体Pのボリュームデータの造形対象部位をディスプレイ32に表示させる。具体的には、受付機能37dは、被検体Pのボリュームデータから造形対象部位の立体画像を生成し、生成した立体画像を表示領域42に表示させる。
ステップS207において、受付機能37dは、造形対象部位を加工する操作を受け付ける。例えば、受付機能37dは、造形対象部位の一部を削除(カット)したり、造形対象部位を追加したりする操作を受け付ける。
ステップS208において、生成機能37eは、加工後の造形対象部位の情報を用いて、造形用データを生成する。例えば、生成機能37eは、造形対象部位であることを示す「1」、若しくは造形対象部位でないことを示す「0」が各ボクセルに割り当てられたボリュームデータを受付機能37dから取得する。そして、生成機能37eは、取得したボリュームデータをSTL形式に変換することで、造形用データを生成する。
ステップS209において、生成機能37eは、造形用データを3Dプリンタ4に出力する。そして、ステップS210において、3Dプリンタ4は、造形対象部位の立体物を造形する。
なお、上記の説明は一例に過ぎず、例えば、上記の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、上記のステップS201〜S210の各処理は、処理内容が矛盾しない範囲で、適宜順序を変えて実行されてもよい。例えば、ステップS208の電子密度変換処理は、ステップS202の処理の後に実行されてもよい。
上述してきたように、第2の実施形態に係るX線CT装置1において、検出機能37aは、3次元の医用画像データであるボリュームデータから、被検体Pにおける複数の部位それぞれの位置を検出する。受付機能37dは、複数の部位のうち、少なくとも一つの部位を選択する操作を受け付ける。生成機能37eは、選択された部位の位置に対応するボリュームデータを用いて、立体物造形装置が部位を立体物として造形するためのデータである造形用データを生成する。このため、第2の実施形態に係るX線CT装置1は、被検体Pの部位を立体物として造形するための操作を容易にすることができる。
(第2の実施形態の変形例)
例えば、第2の実施形態において加工された部位の情報は、仮想患者画像上に反映されてもよい。すなわち、表示制御機能37cは、仮想患者画像をディスプレイ32に表示する場合に、部位の加工に連動して、その部位に対応する仮想患者画像の部位も加工して表示してもよい。
図18は、第2の実施形態の変形例に係る表示制御機能37cの処理を説明するための図である。図18には、図16における肝臓の加工により、仮想患者画像の肝臓も連動して加工される場合を例示する。
図18に示すように、表示制御機能37cは、受付機能37dが肝臓の一部(破線部)を削除する操作を受け付けると、この削除に連動して、仮想患者画像における肝臓の領域44を強調表示(黒塗り)する。これにより、操作者は、ボリュームデータに対して行った加工を、仮想患者画像上でも確認することができ、作業効率を高めることができる。
(第3の実施形態)
また、例えば、X線CT装置1は、3Dプリンタ4によって造形される立体物に、立体物の大きさを表すスケール(縮尺)が表示されるようにしてもよい。
第3の実施形態に係るX線CT装置1は、図8に例示したX線CT装置1と同様の構成を備え、表示制御機能37c、受付機能37d、及び生成機能37eの処理の一部が相違する。そこで、第3の実施形態では、第2の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第2の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
図19は、第3の実施形態に係る生成機能37eによる縮尺の設定について説明するための図である。図19には、造形用データに基づいて造形された肝臓50の模型(モデル)61を例示する。この模型61には、肝臓50自体の模型のみならず、肝臓50を支持する台座62が含まれる。そして、この台座62の表面には、1cmの長さに対応するスケール(縮尺)63が示されている。
図19に示すように、生成機能37eは、受付機能37dが受け付けた操作によって拡大又は縮小されたボリュームデータのサイズと、被検体Pの実際のサイズとの縮尺を算出する。そして、生成機能37eは、算出した縮尺に応じて「1cm」の長さを変更し、変更後の「1cm」の長さをスケール63として造形させる。すなわち、生成機能37eは、ボリュームデータのサイズと、被検体Pのサイズとの縮尺を含む造形用データを生成する。
このように、第3の実施形態に係るX線CT装置1は、ディスプレイ32に表示された表示画像上に造形可能範囲を表示させ、造形対象部位と造形可能範囲との位置関係や縮尺を調整した上で、造形用データを生成することができる。
(第4の実施形態)
例えば、3Dプリンタ4において、造形対象部位が分割されて造形される場合がある。この場合、X線CT装置1は、分割位置を表示してもよい。
第4の実施形態に係るX線CT装置1は、図8に例示したX線CT装置1と同様の構成を備え、表示制御機能37c、受付機能37d、及び生成機能37eの処理の一部が相違する。そこで、第4の実施形態では、第3の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第2の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
図20は、第4の実施形態に係る表示制御機能37cによる分割位置の表示について説明するための図である。図20に示すように、表示制御機能37cは、分割位置70を肝臓50の立体画像に表示する。なお、分割位置70は、立体画像が分割される平面を表す情報である。
受付機能37dは、ディスプレイ32に表示された表示画像上で、分割位置70を変更する操作を受け付ける。例えば、図20の左図に示すように、分割位置70が肝臓50の立体画像の左端に寄っている場合がある。この場合、分割位置70を右方向に移動させる操作を受け付けると、受付機能37dは、図20の右図に示すように、分割位置70を肝臓50の立体画像の中央付近まで移動させる。
なお、この位置で造形が行われると、図20の下図に示すように、肝臓50の左側部分71と、右側部分72とが、個別に造形される。すなわち、生成機能37eは、分割位置70で分割される複数の領域ごとに、造形用データを生成する。
図21は、第4の実施形態に係る生成機能37eによる接合部の形成について説明するための図である。図21には、分割位置70により分割される分割面上に、分割された立体物が互いに接合するための接合部73〜76が形成される場合を例示する。
図21に示すように、生成機能37eは、分割位置70により分割される複数の領域の分割面上に、それぞれ領域に対応する立体物が互いに接合するための接合部73〜76を形成させ、造形用データを生成する。このうち、接合部73,74は、凸型であり、接合部75,76は、凹型である。つまり、接合部73と接合部75とが嵌合により接合され、接合部74と接合部76とが嵌合により接合されることにより、肝臓50の左側部分71と、右側部分72とが接合される。
なお、図21では、凸部と凹部との嵌合により接合される場合を例示したが、これに限らず、例えば、ネジ締結、或いは爪嵌合により接合される場合であってもよい。
図22は、第4の実施形態に係る関心領域による分割位置の変更について説明するための図である。図22には、肝臓50の立体画像上に関心領域77が設定され、この関心領域77を避けるように、分割位置70が自動的に変更される場合を例示する。
図22に示すように、受付機能37dは、ディスプレイ32に表示された表示画像上で、関心領域77を設定する操作を受け付ける。これにより、図22に示す関心領域77が肝臓50の立体画像の表面に設定される。
ここで、図22の左図に示すように、設定された関心領域77の位置は、分割位置70と重なっている。このため、生成機能37eは、設定された関心領域77以外の領域に分割位置70を設定する。例えば、生成機能37eは、分割位置70が関心領域77に重ならなくなるまで、分割位置70を右方向へ移動させる。そして、分割位置70が関心領域77に重ならなくなった位置で分割位置70を再設定する。そして、生成機能37eは、再設定した分割位置70により分割される複数の領域ごとに、造形用データを生成する。これにより、X線CT装置1は、造形対象部位が分割される場合であっても、関心領域が分割されてしまうのを防ぐことが可能となる。
(第5の実施形態)
また、例えば、複数の部位が造形される場合には、X線CT装置1は、ある部位を他の部位から取り外し可能に造形してもよい。
第5の実施形態に係るX線CT装置1は、図8に例示したX線CT装置1と同様の構成を備え、受付機能37d及び生成機能37eの処理の一部が相違する。そこで、第5の実施形態では、第2の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第2の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
図23は、第5の実施形態に係る生成機能37eによる取り外しについて説明するための図である。図23には、頭部及び脳の立体物80が造形される場合に、脳の立体物81が頭部の立体物82から取り外される場合を例示する。
図23に示すように、受付機能37dは、立体物として造形する対象の部位が複数選択される場合に、複数の部位のうち、造形後に他の部位から取り外される部位を指定する操作を受け付ける。例えば、受付機能37dは、頭部の立体物82から取り外される部位として、脳の立体物81を指定する操作を受け付ける。これにより、生成機能37eは、指定された部位を他の部位から取り外し可能に造形するための造形用データを生成する。具体的には、生成機能37eは、脳の立体物81が頭部の立体物82から取り外し可能に造形するための造形用データを生成する。
また、受付機能37dは、部位が取り外される方向を指定する操作を受け付ける。例えば、図23に示す例では、脳の立体物81が頭部の立体物82から取り外される方向83が指定される。これにより、生成機能37eは、操作により指定された方向に垂直な面で部位を他の部位から取り外し可能に造形するための造形用データを生成する。例えば、生成機能37eは、方向83に垂直な面84で脳の立体物81を頭部の立体物82から取り外し可能に、造形用データを生成する。
また、生成機能37eは、垂直な面上に、部位の立体物と、他の部位の立体物とが互いに接合するための接合部を含む造形用データを生成する。例えば、生成機能37eは、面84上に、図21に示したように、脳の立体物81と頭部の立体物82とを互いに接合するための接合部を形成する。
また、生成機能37eは、部位を他の部位から取り外すための取り外し口を造形するための情報を含む造形用データを生成する。図23に示す例では、生成機能37eは、脳の立体物81を方向83へ取り出し可能に、頭部の立体物82の上部が開いた状態で形成される。
このように、第5の実施形態に係るX線CT装置1は、ある部位を他の部位から取り外し可能に造形することができる。
(第5の実施形態の変形例)
また、複数の部位を取り外す場合には、複数の部位の位置及び大きさ等に基づいて、互いに干渉しないようにする。
図24は、第5の実施形態の変形例に係る生成機能37eによる取り外しについて説明するための図である。図24には、腹部の立体物85から肝臓の立体物86と胃の立体物87とが取り出される場合を例示する。
生成機能37eは、他の部位から取り外される部位が複数選択された場合に、複数の部位それぞれの大きさ及び位置に基づいて、取り外し口の大きさ及び位置を設定し、設定した取り外し口を含む造形用データを生成する。例えば、生成機能37eは、腹部の立体物85から肝臓の立体物86と胃の立体物87とが取り出される場合には、肝臓の立体物86及び胃の立体物87の位置及び大きさに基づいて、胴体の立体物88に取り出し口を設定する。この取り出し口は、ちょうど、肝臓の立体物86及び胃の立体物87を覆う胴体表面に対応する。なお、胃の立体物87は、その一部が肝臓の立体物86の下側に存在する。このため、図24の例では、肝臓の立体物86が胴体の立体物88から取り出された後に、胃の立体物87が取り出されることとなる。
(第6の実施形態)
また、例えば、X線CT装置1は、立体物が中空に造形されるように、造形用データを生成してもよい。
図25は、第6の実施形態に係る生成機能37eによる中空構造について説明するための図である。図25には、脳の立体物81の断面を例示する。
図25に示すように、生成機能37eは、操作により選択された部位が中空に造形されるように、造形用データを生成する。例えば、生成機能37eは、立体物を中空にする場合には、立体物の表面の厚み89を所定の厚みに設定した上で、立体物を中空にする。なお、この厚み89は、操作者により予め設定可能である。
また、例えば、X線CT装置1の造影剤検査によって得られた血管画像は、実際には血流、つまり、血管内腔を表すものである。このため、この血管画像を用いて中空構造の立体物を造形する場合には、例えば、生成機能37eは、血管内腔に対応するボクセルを「0(造形しない)」とし、その周囲に所定の厚さを有する外壁を造形してもよい。
(第7の実施形態)
また、例えば、X線CT装置1は、スキャノ画像を用いて造形用データを生成するための造形条件を設定しておき、設定した造形条件を本撮影による診断画像に対して適用することもできる。これによれば、操作者は、本撮影の完了を待たずとも、スキャノ画像を用いて造形条件を設定することができる。
第7の実施形態に係るX線CT装置1は、図8に例示したX線CT装置1と同様の構成を備え、受付機能37d及び生成機能37eの処理の一部が相違する。そこで、第7の実施形態では、第2の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第2の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
図26は、第7の実施形態に係るX線CT装置1による処理手順を示すフローチャートである。図26に示す処理手順は、例えば、検査を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。
ステップS301において、処理回路37は、検査を開始するか否かを判定する。例えば、処理回路37は、検査を開始する旨の指示を操作者から受け付けると、以下のステップを実行する。なお、ステップS301が否定される場合には、処理回路37は、検査を開始せず、待機状態である。
ステップS301が肯定されると、ステップS302において、処理回路37は、3次元で位置決め撮影を実行する。
ステップS303において、画像再構成回路36は、位置決め撮影のボリュームデータを再構成する。
ステップS304において、検出機能37aは、位置決め撮影のボリュームデータから部位を検出する。
ステップS305において、処理回路37は、位置決め画像に基づいて、本撮影の撮影条件を設定する。
ステップS306において、処理回路37は、本撮影を実行する。例えば、ステップS305において設定された本撮影の撮影条件に基づいて、本撮影を実行する。
ステップS307において、受付機能37dは、位置決め画像に基づいて、3Dプリンタ4の造形条件を設定する。例えば、受付機能37dは、造形対象部位の選択、加工、造形可能範囲60との位置関係の調整、拡大/縮小等、造形用データの生成に用いられる造形条件を設定する。言い換えると、受付機能37dは、位置決め撮影のボリュームデータの各ボクセルに対して、造形対象部位であることを示す「1」、若しくは造形対象部位でないことを示す「0」を割り当てる。
ステップS308において、画像再構成回路36は、本撮影のボリュームデータを再構成する。
ステップS309において、検出機能37aは、本撮影のボリュームデータから部位を検出する。
ステップS310において、生成機能37eは、造形条件に基づいて、本撮影のボリュームデータから造形用データを生成する。例えば、生成機能37eは、位置決め撮影のボリュームデータの各部位に対して設定された造形条件を、本撮影のボリュームデータの各部位に対して適用する。この結果、本撮影のボリュームデータの各ボクセルに対して、造形対象部位であることを示す「1」、若しくは造形対象部位でないことを示す「0」が割り当てられる。そして、生成機能37eは、このボリュームデータをSTL形式に変換することで、造形用データを生成する。
ステップS311において、生成機能37eは、造形用データを3Dプリンタ4に出力する。そして、ステップS312において、3Dプリンタ4は、造形対象部位の立体物を造形する。
なお、上記の説明は一例に過ぎず、例えば、上記の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、上記のステップS301〜S312の各処理は、処理内容が矛盾しない範囲で、適宜順序を変えて実行されてもよい。
このように、第7の実施形態に係るX線CT装置1において、検出機能37aは、位置決め撮影のボリュームデータから被検体Pにおける複数の部位それぞれの位置を検出するとともに、位置決め撮影の後に実行される本撮影のボリュームデータから被検体Pにおける複数の部位それぞれの位置を検出する。受付機能37dは、位置決め撮影のボリュームデータに含まれる部位を立体物として造形するための造形条件を設定する操作を受け付ける。生成機能37eは、操作により設定された造形条件に基づいて、本撮影のボリュームデータに含まれる部位を立体物として造形するための造形用データを生成する。これによれば、第7の実施形態に係るX線CT装置1において、操作者は、本撮影の完了を待たずとも、スキャノ画像を用いて造形条件を設定することができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(医用情報処理装置)
例えば、上記の実施形態では、造形用データを生成する処理がX線CT装置1にて実行される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上記の造形用データを生成する処理は、MRI装置、超音波診断装置等、他の医用画像診断装置で実行されてもよいし、パーソナルコンピュータやワークステーション等、他の医用情報処理装置で実行されてもよい。
図27は、その他の実施形態に係る医用情報処理システム210の構成の一例を示す図である。図27に示すように、その他の実施形態に係る医用情報処理システム210は、X線CT装置1と、サーバ装置2と、端末装置3と、3Dプリンタ4と、医用情報処理装置300とを備える。なお、X線CT装置1、サーバ装置2、端末装置3、及び3Dプリンタ4の説明は、図7と同様であるので説明を省略する。
図28は、その他の実施形態に係る医用情報処理装置300の構成の一例を示す図である。図28に示すように、医用情報処理装置300は、入力回路301と、ディスプレイ302と、記憶回路310と、処理回路320とを備える。なお、入力回路301、ディスプレイ302、及び記憶回路310の説明は、図8に示した入力回路31、ディスプレイ32、及び記憶回路35とそれぞれ同様であるので説明を省略する。
処理回路320は、検出機能321、位置照合機能322、表示制御機能323、受付機能324、及び生成機能325を実行する。なお、検出機能321、位置照合機能322、表示制御機能323、受付機能324、及び生成機能325の説明は、図8に示した検出機能37a、位置照合機能37b、表示制御機能37c、受付機能37d、及び生成機能37eとそれぞれ同様であるので説明を省略する。
このように、上記の実施形態にて説明したあらゆる処理は、医用情報処理装置300にて実行可能となり、被検体の部位を立体物として造形するための操作を容易にすることができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上記の実施形態で説明した超音波イメージング方法は、予め用意された超音波イメージングプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この超音波イメージング方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、被検体の部位を立体物として造形するための操作を容易にすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。